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JP2008069000A - エレベータ装置 - Google Patents

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JP2008069000A JP2006251441A JP2006251441A JP2008069000A JP 2008069000 A JP2008069000 A JP 2008069000A JP 2006251441 A JP2006251441 A JP 2006251441A JP 2006251441 A JP2006251441 A JP 2006251441A JP 2008069000 A JP2008069000 A JP 2008069000A
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Akira Osada
朗 長田
Atsuo Hase
充生 長谷
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Toshiba Elevator and Building Systems Corp
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Toshiba Elevator Co Ltd
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Abstract

【課題】エレベータの主索として鋼心構造のワイヤロープを用いる場合における諸問題を解決し、駆動綱車の小型化(小径化)を図って昇降路内の省スペース化をより高めることができる機械室なしのエレベータ装置を提供する。
【解決手段】昇降路内の巻上機の駆動綱車にワイヤロープが巻き掛けられ、このワイヤロープを介して乗りかごと釣合い重りが昇降路内に吊り下げられ、駆動綱車の回転により乗りかごと釣合い重りが昇降路内で昇降する構造のエレベータ装置において、前記ワイヤロープ1は、断面積が0.014〜0.26mm2、強度が2000N/mm2以上である素線を撚り合わせてなる鋼心3と、この鋼芯3の外周に、断面積および強度が前記範囲内にある素線を撚り合わせてなる複数本のストランド4と、鋼心3と各ストランド4との間に鋼心3を囲むように介在させるとともに合成繊維を筒状に編んでなる被覆材10とで構成されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、建屋の昇降路内の乗りかごを駆動する巻上機がその昇降路内に設置されている構造のエレベータ装置に関する。
近年、中低層建物向けのエレベータについては、建築設計の自由度が大きく、省スペースを図ることができる機械室なし構造が一般的になりつつある。従来一般のエレベータは、乗りかごが昇降する昇降路の上部に機械室が設けられ、この機械室内に乗りかごを駆動するための巻上機が設置されている。しかし、近年の機械室なしエレベータでは、機械室が省かれ、巻上機が昇降路の内部に設置されている。
このような機械室なし構造のつるべ式エレベータの一例を図7に示してある。図7において、100は昇降路で、この昇降路100内に乗りかご101および釣合い重り102ならびに巻上機103が設けられ、巻上機103は駆動綱車104を備えている。駆動綱車104は、昇降路100の内壁部などに締結固定され、この巻上機103の駆動綱車104に主索としてのワイヤロープ105が巻き掛けられている。
このワイヤロープ105の一端側は乗りかご101の吊り車107に巻き掛けられているとともにその端部が昇降路100の上部に固定されている。他端側は釣合い重り102の吊り車108に巻き掛けられているとともにその端部が昇降路100の上部に固定されている。そして、このワイヤロープ105により乗りかご101および釣合い重り102が互いに重量的にほぼ平衡するように昇降路100内に吊下げられている。そしてこの状態で巻上機103が起動して駆動綱車104が回転することにより、乗りかご101および釣合い重り102が昇降路100内で互いに逆方向に昇降移動する。
従来のこのようなエレベータに用いられるワイヤロープ105は、JIS B 3525に規定された繊維心構造のものが最も一般的である。この繊維心構造からなるワイヤロープ105の断面構造の一例を図8に示してある。110はストランド、111はストランド110を構成する素線、112は合成繊維または天然繊維からなる心綱である。ストランド110は複数本の素線111を撚り合わせて構成され、このようなストランド110の6本または8本程度を心綱112の周囲に撚り合わせる構造が普通である。このワイヤロープ105に張力が加わると、ストランド110から心綱112に圧縮力が作用する。ワイヤロープ105の強さに関しては、JIS規格にその等級が規定され、概ね1300〜1900N/mm2程度の破断荷重をもつ素線111が等級に応じて使い分けられている。
機械室なし構造のエレベータにおいて、さらなる省スペース化を進めるためには、駆動綱車104を備える巻上機103を小型化(小径化)することがポイントとなる。しかし、駆動綱車104を小型化(小径化)すると、ワイヤロープ105に生じる曲げ応力が増加し、疲労寿命が低下するため、エレベータを規定する国内法規(例えば建築基準法)では、駆動綱車104の直径Dとワイヤロープ105の直径dとの比(D/d)が40を下回らないこととしている。
したがって、駆動綱車104を小径化するためには、ワイヤロープ105も同時に小径化する必要があるが、単にワイヤロープ105を小径化するとその強度が低下し、このためワイヤロープ105の使用本数を増加しなければならなくなる。そこで、ワイヤロープ105の素線111の材料を強化することが重要となる。
すなわち、素線111として高強度材料を用い、このような素線111でワイヤロープ105を構成して小型化を図ることにより、従来と同等の寿命を保ちつつ駆動綱車104の小型化を達成することが可能となる。
ところが、素線111を高強度化した場合、ワイヤロープ105の構造が従来一般の繊維心構造であると、心綱112がその周囲のストランド110から受ける圧縮圧力に充分に抗しきれず、経年的なロープ径の低下の度合いが大きくなり、ワイヤロープ105の早期断線や駆動力の低下を招くことになる。
したがって、高強度のワイヤロープをエレベータの主索として用いる場合には、その主索の経年的な直径の低下を防ぐことが重要で、このためには従来の繊維による心綱に替えてIWRC(Independent Wire Rope Core:鋼心)を用いることが有効である。
IWRCを備えるワイヤロープの断面構造を図9に示してある。図9において、120が複数本の素線からなる鋼心(IWRC)で、この鋼心120の外周に複数本のストランド110が撚り合わされている。
このようなIWRC構造のワイヤロープは、曲げ疲労試験等において、鋼心120とストランド110との接触部Aの損傷が他の部分より先行し、つまり内部損傷が大きく外観の損傷程度のわりには強度低下が著しいことが知られている。このためIWRC構造のワイヤロープをエレベータの主索として用いた場合には強度を判断する保守が極めて困難となる。
このような内部損傷を低減する方法として、前述した破断荷重範囲(1300〜1900N/mm2)を超えるような高強度素線を用いたワイヤロープにおいて、その鋼心の外周を樹脂で被覆することが特開平8−158275号公報(特許文献1)に開示されている。
図10にはこの公報に開示されているワイヤロープの構造を示してある。図10において、120が複数本の素線からなる鋼心で、この鋼心120の外周が樹脂121で被覆され、この樹脂121の外周に複数本のストランド110が撚り合わされている。このような構造によれば、樹脂121により鋼心120と各ストランド110との接触圧力が緩和され、断線が抑えられる。
また、他の例として、特表2004−521050(特許文献2)においても、図11に示すように高強度素線を用いたワイヤロープの内部に樹脂122を充填し、そのワイヤロープをエレベータの主索として用いることが開示されている。
特開平8−158275号 特表2004−521050号
ところが、鋼心120の外周を樹脂121で被覆した構造や、内部に樹脂122を充填した構造のワイヤロープをエレベータの主索として用いるときには、以下のような問題が生じる。すなわち、ワイヤロープの構造伸びを製造段階で取り除くことが困難であること、鋼心120への潤滑油の供給が難しいこと、ロープ内部に潤滑油を保持する機能が低いことである。
一般にワイヤロープの製造段階においては、心綱とストランドとの接触圧が低いため、主索として使用を開始すると、張力により心綱とストランドとの密着性が増してロープが伸びる。つまりいわゆる構造伸び現象が生じる。特に、エレベータを据え付けた直後は構造伸び大きい(初期延び)。このため主索の切り詰めが必要となることが多い。
そのため、主索として用いるワイヤロープについては、ワイヤロープの出荷前に、ロープの破断荷重の30乃至50%の張力をかけて使用時の構造伸びを少なくするプリテンション加工を施す場合が多い。
しかし、図10に示すような鋼心120を樹脂121で被覆した構造や、図11に示すような内部に樹脂122を充填した構造のロープの場合には、樹脂121,122の反発により製造段階で十分なプリテンション加工を施すことが容易でなく、使用時の樹脂部分の降伏により構造伸びが生じ、伸びの度合が張力に依存し、作業現場での寸法管理に手間がかかる。また、製造段階で鋼心120に塗布した潤滑油が劣化し、または減少した場合、鋼心120が樹脂121,122で覆われているためその鋼心120への給油が困難となる。さらに、樹脂材料は繊維材料と異なり、潤滑油を保持する機能が低く、このためロープ内部に十分な潤滑油を貯留することが難しく、頻繁に補給を要する問題がある。
本発明は、エレベータの主索として鋼心構造のワイヤロープを用いる場合における上述の諸問題を解決し、駆動綱車の小型化(小径化)を図って昇降路内の省スペース化をより高めることができるエレベータ装置を提供することを目的とする。
請求項1の発明は、昇降路の内部に巻上機が設置され、この巻上機の駆動綱車に主索としてのワイヤロープが巻き掛けられ、このワイヤロープを介して乗りかごと釣合い重りが昇降路内に吊り下げられ、前記駆動綱車の回転により前記ワイヤロープが摩擦駆動されて前記乗りかごと釣合い重りが昇降路内で昇降する構造のエレベータ装置において、前記ワイヤロープが、断面積が0.014mm2以上0.26mm2以下、強度が2000N/mm2以上である素線を撚り合わせてなる鋼心と、この鋼芯の外周に、断面積および強度が前記範囲内にある素線を撚り合わせてなる複数本のストランドと、前記鋼心と前記各ストランドとの間に前記鋼心を囲むように介在させるとともに合成繊維を筒状に編んでなる被覆材とで構成されていることを特徴としている。
請求項2の発明は、請求項1に記載のエレベータ装置において、合成繊維で編んだ前記筒状の被覆材の厚さが0.2mm以上0.5mm以下であることを特徴としている。
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載のエレベータ装置において、前記被覆材の材料としてポリプロピレンの繊維が用いられていることを特徴としている。
請求項4の発明は、請求項1又は2に記載のエレベータ装置において、前記被覆材の材料としてポリエステルの繊維が用いられていることを特徴としている。
請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載のエレベータ装置において、前記素線の強度が2300N/mm2以上3200N/mm2未満の範囲内にあることを特徴としている。
請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載のエレベータ装置において、主索としての前記ワイヤロープを摩擦駆動する駆動綱車が、材質が鋳鉄材で、周面には前記ワイヤロープを巻き掛ける溝を有し、この溝の底部にアンダーカットが形成され、そのアンダーカットの中心角が85乃至100°であり、かつ前記溝の少なくとも前記ワイヤロープが接触する表面の硬度がHB250乃至HB350の範囲内にあることを特徴としている。
請求項7の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載のエレベータ装置において、主索としての前記ワイヤロープを摩擦駆動する駆動綱車が、材質が鋳鉄材で、周面には前記ワイヤロープを巻き掛ける断面U字状の溝を有し、この溝の少なくとも前記ワイヤロープが接触する表面の硬度がHB250乃至HB350の範囲内にあり、かつ前記ワイヤロープを巻き掛ける巻き付け角が180°以上となっていることを特徴としている。
請求項8の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載のエレベータ装置において、前記駆動綱車の溝の表面が高分子材料からなる被覆材で覆われ、この被覆材の硬度がHs90以上で、厚さが1mm以下となっていることを特徴としている。
請求項9の発明は、請求項1乃至8のいずれかに記載のエレベータ装置において、主索としての前記ワイヤロープの内部には1乃至2.5重量%の潤滑油を含有させてあることを特徴としている。
請求項10の発明は、請求項1乃至9のいずれかに記載のエレベータ装置において、前記昇降路内に、粘度が20000cSt以下の潤滑油を前記ワイヤロープの送りの移動に応じて自動的に給油することが可能な給油装置が設けられていることを特徴としている。
本発明によれば、エレベータの主索として鋼心構造のワイヤロープを用いる場合における諸問題を解決し、駆動綱車の小型化(小径化)を図って昇降路内の省スペース化をより高めることができる機械室なしのエレベータ装置を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1には、本発明の一実施形態に係るエレベータ装置の主索として用いられるワイヤロープの断面構造を示してある。このワイヤロープ1は、複数本の素線2で構成された鋼心(IWRC)3を備え、この鋼心3の外周に複数本、例えば6本のストランド4が撚り合わされている。各ストランド4は中心の素線5の外周に直径の異なる複数本の素線6,7を2層に撚り合わせてなる。
そして、前記鋼心3とその外周側のストランド4との間に合繊繊維を筒状に編んでなる被覆材10が介挿されている。この被覆材10は、耐摩耗性に優れるポリプロピレンやポリエステルなどの合成繊維により筒状に編成され、鋼心3を囲むようにワイヤロープ1の内部に組み込まれている。
このようなワイヤロープ1に張力が加わると、各ストランド4が鋼心3を押し付けるように作用するため被覆材10が圧縮力を受ける。この際、被覆材10は合成繊維による編成構造であり、従来のようなロープ内部に組み込まれる樹脂材料と異なり良好な柔軟性を有し、このため圧縮に応じて被覆材10が容易に鋼心3の表面形状に倣うように変形する。したがってプリテンション加工時の反発が少なく、ロープ出荷前に構造伸びを容易に除去することができ、使用時の寸法管理が容易となる。
また、合成繊維による編成構造の被覆材10は、ロープ内部に組み込まれる樹脂材料よりも多量の潤滑油を含有し、かつ浸透させることが可能であり、このためロープ内部に十分な量の潤滑油を貯留でき、また被覆材10を通してその内側の鋼心3へ潤滑油を容易にかつ必要量、補給することができる。ワイヤロープ1の内部には、そのワイヤロープ1に対する重量比で1乃至2.5%程度の量の潤滑油を含有させることが好ましい。
また、本発明による試験結果によれば、ワイヤロープ1への給油に関し、粘度が20000cSt以下の流動性のある潤滑油であれば、外部から被覆材10を通して鋼心3へ十分に潤滑油を供給してワイヤロープ1の寿命を向上させることができることが確認された。
一方、粘度が20000cStを超える潤滑油の場合、エレベータに組み込まれた状態のワイヤロープ1に塗布したときに、ワイヤロープ1の内部への浸透は確認されたものの、綱車部分での滴下のほうが目立ち、効率的な供給が難しいことが確認された。このためエレベータに組み込まれた状態での給油に当っては、20000cSt以下の粘度の潤滑油を用いることが望ましい。
このような潤滑油をエレベータに組み込まれた状態のワイヤロープ1に供給するための給油装置の一例を図2に示してある。この給油装置20は、油タンク21を備え、この油タンク21内に20000cSt以下の粘度の潤滑油22が収容されている。油タンク21にはフェルトなどの繊維材料からなる紐状の給油材23が取り付けられ、この給油材23はその一端側が油タンク21内の潤滑油中に浸漬され、他端側が油タンク21の上方側に引き出されている。
この油タンク21はワイヤロープ1が通る昇降路内の適宜な場所に、潤滑油中から引き出された給油材23の端部がワイヤロープ1に接触するように設置されている。給油材23の全体には毛細管現象により油タンク21内の潤滑油が浸透しており、したがってこの状態で、エレベータの運転に応じてワイヤロープ1が上下方向に送られると、給油材23を介してそのワイヤロープ1の各部に順次潤滑油が供給される。
ところで、一般にワイヤロープの素線は、原材料に対して熱処理と引き抜き加工を施すことにより強化され、断面積が小さく細いものほど金属組織が均質化するために高い強度が得られる。細く強度の高い素線としては、3500N/mm2を超えるものも実用化されている。
一方、エレベータの主索が巻き掛けられて接触する駆動綱車は、ねずみ鋳鉄材や球状黒鉛鋳鉄により製作されていることが多く、強度が素線強度よりも劣るため、素線強度の大幅な増加は駆動綱車の摩耗を招く。したがって、素線強度については、綱車材料の強度に合ったものを選ぶべきである。また、素線の極端な細径化は断線観察による保守作業の作業性を悪化させ、エレベータの主索として用いる場合の信頼性を低下させることにもなる。
そのため素線の断面積としては、0.014mm2以上0.26mm2以下が好ましく、その範囲の素線によるワイヤロープは、公称径として4mmから6mmに相当する。
本発明で用いるワイヤロープの素線は、破断強度が2000N/mm2以上、より好ましくは2300N/mm2以上で3200N/mm2未満の範囲のものが望ましい。なぜならば、その範囲の破断強度であれば、前記範囲の断面積をもつ素線において強度と適正な延性を両立でき、かつ品質的なばらつきが少ないとともに、駆動綱車の溝への攻撃性(綱車の溝の摩耗)も綱車側の強化で抑制できるからである。
次に、本発明によるエレベータ装置の駆動綱車について述べる。図3には駆動綱車の溝部分の断面構造を示してある。駆動綱車30aはその周面にエレベータの主索としてのワイヤロープ1が嵌合する溝31aを有し、この溝31aの底部にはアンダーカット32aが形成されている。αはそのアンダーカット32aの中心角である。
アンダーカット32aを有する溝31aの場合の有利な点は、溝31aの表面とワイヤロープ1との接触圧が高くなるため、ロープ表面での損傷(素線の断線)が、ロープ内部での損傷よりも先行し、したがって目視による外部からの断線観察によりロープの劣化を発見でき、保守管理が容易となる点である。
前記駆動綱車30aは溝31aの表面を含めて鋳鉄材料で形成されている。溝31aの表面では、2300N/mm2以上3200N/mm2未満の高強度素線が表面を滑るが、アンダーカット32aの中心角αが85〜100°までの条件に対し、溝31aの表面の硬度がHB250以上であれば重大な摩耗が生じない。また、HB350以上の硬度は、ロープの摩耗を増やすため、望ましくない。したがって、素線強度が2300N/mm2以上3200N/mm2未満である直径4〜6mm程度のロープに対応する駆動綱車30aの溝31aのアンダーカット32aの中心角αは85〜100°の範囲内、硬度はHB250〜350の範囲内にあることが望ましい。
以上のような小径でかつ高強度のワイヤロープを用いることにより、駆動綱車30aの小型化を達成することができ、これによりエレベータ装置の省スペース化が図れるとともに、構造伸びが少なく、また長寿命の主索を実現して信頼性の高いエレベータ装置を提供することができる。
図4には駆動綱車の他の構造例を示してある。この駆動綱車30bにおいては、周面の溝31bの断面形状がU字状となっている。このようなU字形状の溝31bの場合、図3に示すアンダーカット32aを有する溝31aに比べて、ワイヤロープ1を駆動するための摩擦力が小さくなるが、ワイヤロープ1を図5(A)に示すような全掛け(ダブルラップ)の形態で駆動綱車30bに巻き掛けたり、図5(B)に示すようなたすき掛けの形態で巻き掛けたりして巻き付け角θが180°以上となるようにすれば、所要の駆動力を確保することができる。なお、図5に示す40は乗りかご、41は釣合い重りである。
U字形状の溝31bの場合、アンダーカット32aを有する溝31aに比べ、溝31bに対するワイヤロープ1の表面の接触圧が低いため、相対的にロープ内部での損傷がロープ表面での損傷よりも早期に進み、外部観察による外観上の損傷が、アンダーカット溝31aの場合の損傷と同程度であっても、ワイヤロープ1の残存強度が低くなることが多い。
しかしながら、本発明に係るワイヤロープ1によれば、上述したように高い含油率と良好な給油が可能であるからロープ内部での損傷を抑制でき、使用に伴う残存強度の低下を抑えて安全性を向上させることができる。
図6には溝構造がさらに異なる駆動綱車の例を示してある。この駆動綱車30cにおいては、周面に断面U字状の溝31cが形成されているとともに、この溝31cの表面に被覆材32が貼り付けられている。この被覆材32はポリウレタンなどの耐摩耗性を有する高分子材料からなり、厚さδが1mm以下で、Hs90以上の硬度を有している。この被覆材32は駆動綱車30cにおける少なくとも溝31cの表面の全体を覆うように設ける。
このような構造においては、溝31cに巻き掛けられるワイヤロープ1が鋳鉄製の溝31cと直接接触せずに被覆材32を介して接触するため、ロープ表面の損傷が軽減される。ただ、ロープ表面の損傷が軽減すると、その分、内部損傷が表面の損傷に比べて先行する傾向がより顕著になる。
しかしながら、前述したように、本発明に係るワイヤロープ1においては、高い含油率と良好な給油が可能であるからロープ内部での損傷を抑制でき、使用に伴う残存強度の低下を抑えることができる。
なお、被覆材の厚さδが1mmを超えたり、硬度がHs90を下回ると、小径かつ高強度のワイヤロープ1を用いる高面圧下のもとでは、被覆材32の弾性変形による異音の発生や、被覆材32と綱車材料との界面で剥離が生じる恐れがあり、したがって被覆材32は厚さδが1mm以下、硬度がHs90以上の条件を満たすようにする。
本発明の一実施形態に係るエレベータ装置の主索として用いられるワイヤロープの構造を示す断面図。 そのワイヤロープに潤滑油を供給する給油装置の一例を示す一部破断の側面図。 そのワイヤロープを巻き掛ける駆動綱車の溝部分の構造を示す断面図。 そのワイヤロープを巻き掛ける他の駆動綱車の溝部分の構造を示す断面図。 その駆動綱車に対するワイヤロープの巻き掛け構造の例を示す正面図。 さらに異なる駆動綱車の溝部分の構造を示す断面図。 従来のエレベータ装置の全体の構造を示す説明図。 そのエレベータ装置の主索として用いられるワイヤロープの構造を示す断面図。 従来の鋼心構造のワイヤロープを示す断面図。 従来の樹脂入り鋼心構造のワイヤロープを示す断面図。 従来のさらに異なる樹脂入り鋼心構造のワイヤロープを示す断面図。
符号の説明
1…ワイヤロープ
2…素線
3…鋼心
4…ストランド
5…素線
6.7…素線
10…被覆材
20…給油装置
21…油タンク
22…潤滑油
23…給油材
30a…駆動綱車
30b…駆動綱車
30c…駆動綱車
31a…溝
31b…溝
31c…溝
32a…アンダーカット
32…被覆材

Claims (10)

  1. 昇降路の内部に巻上機が設置され、この巻上機の駆動綱車に主索としてのワイヤロープが巻き掛けられ、このワイヤロープを介して乗りかごと釣合い重りが昇降路内に吊り下げられ、前記駆動綱車の回転により前記ワイヤロープが摩擦駆動されて前記乗りかごと釣合い重りが昇降路内で昇降する構造のエレベータ装置において、
    前記ワイヤロープは、断面積が0.014mm2以上0.26mm2以下、強度が2000N/mm2以上である素線を撚り合わせてなる鋼心と、この鋼芯の外周に、断面積および強度が前記範囲内にある素線を撚り合わせてなる複数本のストランドと、前記鋼心と前記各ストランドとの間に前記鋼心を囲むように介在されるとともに合成繊維を筒状に編んでなる被覆材とで構成されていることを特徴とするエレベータ装置。
  2. 請求項1に記載のエレベータ装置において、合成繊維で編んだ前記筒状の被覆材の厚さが0.2mm以上0.5mm以下であることを特徴とするエレベータ装置。
  3. 請求項1又は2に記載のエレベータ装置において、前記被覆材の材料としてポリプロピレンの繊維が用いられていることを特徴とするエレベータ装置。
  4. 請求項1又は2に記載のエレベータ装置において、前記被覆材の材料としてポリエステルの繊維が用いられていることを特徴とするエレベータ装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載のエレベータ装置において、前記素線の強度が2300N/mm2以上3200N/mm2未満の範囲内にあることを特徴とするエレベータ装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載のエレベータ装置において、主索としての前記ワイヤロープを摩擦駆動する駆動綱車は、材質が鋳鉄材で、周面には前記ワイヤロープを巻き掛ける溝を有し、この溝の底部にはアンダーカットが形成され、そのアンダーカットの中心角が85乃至100°であり、かつ前記溝の少なくとも前記ワイヤロープが接触する表面の硬度がHB250乃至HB350の範囲内にあることを特徴とするエレベータ装置。
  7. 請求項1乃至5のいずれかに記載のエレベータ装置において、主索としての前記ワイヤロープを摩擦駆動する駆動綱車は、材質が鋳鉄材で、周面には前記ワイヤロープを巻き掛ける断面U字状の溝を有し、この溝の少なくとも前記ワイヤロープが接触する表面の硬度がHB250乃至HB350の範囲内にあり、かつ前記ワイヤロープを巻き掛ける巻き付け角が180°以上となっていることを特徴とするエレベータ装置。
  8. 請求項1乃至5のいずれかに記載のエレベータ装置において、前記駆動綱車の溝の表面が高分子材料からなる被覆材で覆われ、この被覆材の硬度がHs90以上で、厚さが1mm以下となっていることを特徴とするエレベータ装置。
  9. 請求項1乃至8のいずれかに記載のエレベータ装置において、主索としての前記ワイヤロープの内部には1乃至2.5重量%の潤滑油を含有させてあることを特徴とするエレベータ装置。
  10. 請求項1乃至9のいずれかに記載のエレベータ装置において、前記昇降路内には、粘度が20000cSt以下の潤滑油を前記ワイヤロープの送りの移動に応じて自動的に給油することが可能な給油装置が設けられていることを特徴とするエレベータ装置。
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