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JP2008016415A - 燃料電池用電極およびその製造方法、並びに、この燃料電池用電極を備える燃料電池 - Google Patents

燃料電池用電極およびその製造方法、並びに、この燃料電池用電極を備える燃料電池 Download PDF

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JP2008016415A JP2006189326A JP2006189326A JP2008016415A JP 2008016415 A JP2008016415 A JP 2008016415A JP 2006189326 A JP2006189326 A JP 2006189326A JP 2006189326 A JP2006189326 A JP 2006189326A JP 2008016415 A JP2008016415 A JP 2008016415A
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聡三郎 大橋
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Toyota Motor Corp
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Abstract

【課題】電解質層と触媒電極との界面近傍における生成水のフラッディングを抑制する。
【解決手段】発明の燃料電池用電極は、表面に触媒金属を担持したカーボン粒子と、電解質と、を備える触媒層から成り、電解質層とガス拡散層との間に形成される。前記触媒層は、多層の触媒層で構成されており、前記電解質層側の触媒層に含まれるカーボン粒子ほど自身の撥水性が相対的に高く、前記ガス拡散層側の触媒層に含まれるカーボン粒子ほど自身の撥水性が相対的に低くなるように構成されている。
【選択図】図1

Description

この発明は、燃料電池用電極およびその製造方法、並びに、この燃料電池用電極を備える燃料電池に関する。
燃料電池、例えば固体高分子型燃料電池は、固体高分子材料により形成されたプロトン伝導性のイオン交換膜(以下、「固体高分子電解質膜」あるいは、単に「電解質膜」と呼ぶ。)により構成される電解質層と、この電解質層を挟む2つの触媒層(触媒電極とも呼び、酸素極および水素極がある。酸素極を以下では、カソードと呼び、水素極を以下ではアノードと呼ぶ。)と、を備える単セルを、セパレータにより挟持することにより構成される。そして、アノードに水素を含有する燃料ガスが供給されると共に、カソードに酸素を含有する酸化ガスが供給されることで電気化学反応が進行することにより発電する。アノードおよびカソードにおける電気化学反応は次の通りである。
アノードにおいては、アノードに含まれる触媒の反応により水素分子がイオン化してプロトンになり、電子を放出する。プロトンは電解質層を介してアノードからカソードへ移動する。放出された電子は、外部の電気回路を通ってカソードに移動する。カソードにおいては、カソードに含まれる触媒の反応により、アノードから放出された電子と、電解質層を介して移動してきたプロトンと、酸素分子とを結合して水を生成する。以上のようにして、燃料電池では、アノードおよびカソードにおいて進行する電気化学反応により、発電される。
ここで、電解質層を構成する電解質膜にはフッ素樹脂系イオン交換膜が用いられるが、湿潤状態で良好な電気伝導性を示し、含水率が低下すると抵抗が高くなり電解質として機能しなくなるという特性を有している。このため、例えば特許文献1に記載の例のように、電解質膜の乾燥を防止する目的で、触媒電極のうち、電解質層に近い領域ほど撥水性を弱め、電解質層から離れた領域ほど撥水性を高めた領域とする構成が知られている。
特開平10−189004号公報 特開平6−52871号公報
しかしながら、上記従来の燃料電池のように、触媒電極のうち、電解質層に近い領域ほど撥水性を弱めるとすると、以下で説明する点で問題がある。
電解質層を介してカソードに移動してきたプロトンの多くは、この電解質層とカソードとの界面近傍で酸素との反応が進むため、この界面近傍では多くの水が生成されることになる。従って、上記従来例の燃料電池のように、触媒電極のうち、電解質層に近い領域ほど撥水性を弱めるとすると、特に、高電流密度での動作では、電解質層とカソードとの界面近傍で多量の水が生成されて水膜(水の分子どうしの結合による表面張力でできる膜)を形成し、いわゆるフラッディングが発生する可能性が高くなる。このフラッディングが発生すると、発電性能が低下し、出力電圧の低下を招くことになる。
また、電解質層とカソードとの界面近傍に水膜が形成されて滞留すると、電解質層を介してカソードに移動してきたプロトンのカソード内での移動が抑制されて、これによっても発電性能の低下を招くことになる。
なお、上記フラッディングの発生による発電性能の低下の問題は、撥水性を変化させない構成の電解質層を用いた場合においても同様である。
本発明は、上述した従来の課題を解決するためになされたものであり、燃料電池の電解質層と触媒電極との界面近傍における生成水のフラッディングを抑制する技術を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の燃料電池用電極は、
表面に触媒金属を担持したカーボン粒子と、電解質と、を備える触媒層から成り、電解質層とガス拡散層との間に形成される燃料電池用電極であって、
前記触媒層は、多層の触媒層で構成されており、
前記電解質層側の触媒層に含まれるカーボン粒子ほど自身の撥水性が相対的に高く、前記ガス拡散層側の触媒層に含まれるカーボン粒子ほど自身の撥水性が相対的に低くなるように構成されている、
ことを特徴とする。
上記構成の燃料電池用電極によれば、電解質層側ほど相対的に撥水性が高く、ガス拡散層側ほど相対的に撥水性が低くなるように、多層の触媒層で構成されているので、燃料電池に用いて動作させた場合に、電極内に存在する水の、相対的に撥水性の高い電解質層側から相対的に撥水性の低いガス拡散層側への移動を促進させることができる。これにより、電解質層と電極(触媒層)との界面近傍において、水のフラッディングが発生することを抑制することが可能となる。
ここで、前記多層の触媒層のうち、少なくとも、前記電解質層に接する触媒層のカーボン粒子は、所定の種類のカーボン粒子を熱処理することにより、自身の撥水性を高めたカーボン粒子を用いて構成されていることが好ましい。
このようにすれば、相対的に撥水性の高い触媒層を容易に構成することができる。
なお、多層の触媒層は、電解質層側触媒層と拡散層側触媒層の2層の触媒層で構成されるようにしてもよい。
このようにすれば、本発明の燃料電池用電極を簡単に構成することができる。
本発明の第1の燃料電池用電極の製造方法は、
表面に触媒金属を担持したカーボン粒子と、電解質と、を備える触媒層から成り、電解質層とガス拡散層との間に形成される燃料電池用電極の製造方法であって、
前記電解質層を構成する電解質膜と、前記ガス拡散層を構成するガス拡散層部材と、前記表面に触媒金属を担持したカーボン粒子と前記電解質とを溶媒中に分散させた触媒インクとして、自身の撥水性が相対的に高いカーボン粒子を含む第1の触媒インク、および、自身の撥水性が相対的に低いカーボン粒子を含む第2の触媒インクを用意し、
前記電解質膜の少なくとも一方の表面に、前記第1の触媒インクを用いて電解質層側触媒層を形成し、
前記ガス拡散層部材の一方の表面に、前記第2の触媒インクを用いて拡散層側触媒層を形成し、
前記電解質層側触媒層の表面と、前記拡散層側触媒層の表面とを接合することにより前記触媒層を形成する、
ことを特徴とする。
上記第1の製造方法によれば、上記発明の燃料電池用電極、特に、電解質層側触媒層と拡散層側触媒層の2層の触媒層で構成される燃料電池用電極を作製することができる。
また、本発明の第2の燃料電池用電極の製造方法は、
表面に触媒金属を担持したカーボン粒子と、電解質と、を備える触媒層から成り、電解質層とガス拡散層との間に形成される燃料電池用電極の製造方法であって、
前記電解質層を構成する電解質膜と、前記ガス拡散層を構成するガス拡散層部材と、前記表面に触媒金属を担持したカーボン粒子および前記電解質を溶媒中に分散させた触媒インクとして、それぞれ、自身の撥水性が異なっているカーボン粒子を含む複数の触媒インクと、を用意し、
前記電解質膜の少なくとも一方の表面に、前記複数の触媒インクを、前記電解質膜側から、相対的に撥水性の高いカーボン粒子を含む触媒インクから相対的に撥水性の低いカーボン粒子を含む触媒インクの順に用いて複数層の触媒層を形成する、
ことを特徴とする。
上記第2の製造方法によれば、複数層の触媒層で構成される上記発明の燃料電池用電極を作製することができる。
また、前記複数の触媒インクとして、自身の撥水性が相対的に高いカーボン粒子を含む第1の触媒インク、および、自身の撥水性が相対的に低いカーボン粒子を含む第2の触媒インクと、を用意し、
前記電解質膜の少なくとも一方の表面に、前記第1の触媒インクを用いて電解質層側触媒層を形成し、
前記電解質層側触媒層の表面に、前記第2の触媒インクを用いて拡散層側触媒層を形成して前記触媒層を形成するようにしてもよい。
上記のようにすれば、上記発明の燃料電池用電極、特に、電解質層側触媒層と拡散層側触媒層の2層の触媒層で構成される燃料電池用電極を作製することができる。
本発明は、種々の態様で実現可能であり、例えば、本発明の燃料電池用電極や燃料電池用電極の製造方法、その燃料電池用電極を備える燃料電池、その燃料電池を備える燃料電池システム、その燃料電池システムを備える発電装置、その燃料電池システムを備える電気自動車の態様で実現することが可能である。
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.燃料電池の構成:
B.触媒電極の製造方法:
C.触媒電極(カソード)の機能:
D.触媒電極の別の製造方法:
E.変形例:
A.燃料電池の構成:
図1は、本発明の実施例である燃料電池の概略構成を表わす断面模式図である。本実施例の燃料電池は、例えば固体高分子電解質型燃料電池とすることができ、単セル10を複数積層したスタック構造を有している。単セル10は、MEA(膜電極接合体、Membrance Electrode Assembly)20と、MEA20を両側から挟持するセパレータ30,40と、を備えている。
MEA20は、電解質層21と、電解質層21を間に挟んでその表面に形成されると共に電気化学反応が進行する触媒金属を備えた触媒層(「触媒電極」とも呼ぶ。)であるカソード22およびアノード23と、上記触媒電極のさらに外側に配設されたカソード側のガス拡散層24およびアノード側のガス拡散層25と、を備えている。
電解質層21は、固体高分子材料、例えばフッ素系樹脂により形成されたプロトン伝導性のイオン交換膜であり、湿潤状態で良好なプロトン伝導性を示す。
カソード22およびアノード23は、電気化学反応を促進する触媒、例えば、白金または白金と他の金属からなる合金を有する触媒電極を構成する層(触媒層)である。特に、カソード22は、電解質層21側の層(以下、「電解質層側触媒層」と呼ぶ。)22aとガス拡散層24側の層(以下、「拡散層側触媒層」と呼ぶ。)22bとで、それぞれの固体表面における水の接触角が異なる2層構造となっている。電解質層側触媒層22aの接触角をθa、拡散層側触媒層22bの接触角をθbとすると、θa>θb、すなわち、電解質層側触媒層22aは、拡散層側触媒層22bに対して接触角が大きくなるように設定されている。これにより、電解質層側触媒層22aは、拡散層側触媒層22bに対して撥水性が強くなるように設定されている。なお、本発明の特徴は、この2層構造のカソードの機能にあり、このカソードの機能については、後述する。
ガス拡散層24,25は、ガス透過性を有する導電性部材、例えば、カーボンペーパ等のカーボン多孔質体や、金属メッシュや発泡金属などの金属多孔質体によって形成することができる。
ガスセパレータ30,40は、ガス不透過の導電性部材、例えば、カーボンを圧縮してガス不透過とした緻密質カーボンや、プレス成形した金属板によって形成することができる。ガスセパレータ30,40の表面には、単セル10に供給された燃料ガスあるいは酸化ガスの流路を形成するための凹凸形状が形成されている。すなわち、カソード22側のガス拡散層24とガスセパレータ30との間には、カソードでの電気化学反応に供される酸化ガス(図中Oと記す。)が通過する単セル内酸化ガス流路31が形成されている。また、アノード23側のガス拡散層25とガスセパレータ40との間には、アノードでの電気化学反応に供される燃料ガス(図中Hと記す。)が通過する単セル内燃料ガス流路41が形成されている。なお、図1のガスセパレータ30,40は、平行な複数の溝からなる凹凸形状を有しているが、異なる形状としても良く、ガスセパレータ30,40とMEA24との間に、ガスの流路を形成するための空間を形成可能であればよい。
単セル10の外周部には、単セル内酸化ガス流路31および単セル内燃料ガス流路41におけるガスシール性を確保するための図示しないシール部材が配設されている。また、本実施例の燃料電池は、単セル10を複数積層したスタック構造を有しているが、このスタック構造の外周部には、単セル10の積層方向と平行であって燃料ガスあるいは酸化ガスが流通する複数のガスマニホールドが設けられている(図示せず)。これら複数のガスマニホールドのうちの酸化ガス供給マニホールドを流れる酸化ガスは、各単セル10に分配され、電気化学反応に供されつつ各単セル内酸化ガス流路31内を通過し、その後、酸化ガス排出マニホールドに集合する。同様に、燃料ガス供給マニホールドを流れる燃料ガスは、各単セル10に分配され、電気化学反応に供されつつ各単セル内燃料ガス流路41内を通過し、その後、燃料ガス排出マニホールドに集合する。
燃料電池に供給される酸化ガスとしては、例えば空気を用いることができる。また、燃料電池に供給される燃料ガスとしては、炭化水素系燃料を改質して得られる水素リッチガスを用いても良いし、純度の高い水素ガスを用いても良い。
なお、図示は省略しているが、スタック構造の内部温度を調節するために、各単セル間に、あるいは所定数の単セルを積層する毎に、冷媒の通過する冷媒流路を設けても良い。冷媒流路は、隣り合う単セル間において、一方の単セルが備えるガスセパレータ30と、これに隣接して設けられる他方の単セルのガスセパレータ40との間に設ければよい。
B.触媒電極の製造方法:
2層構造を有する触媒電極は、以下で説明するようにして作製することができる。図2は、燃料電池の製造時に実行される触媒電極の製造工程を表す説明図である。
触媒電極であるカソード22およびアノード23を作製するには、まず、電解質層21を構成する固体高分子電解質膜と、ガス拡散層24,25を構成する拡散層部材と、3種類の触媒インクを用意する(ステップS100)。
3種類の触媒インクは、アノード22を形成するためのアノード用触媒インクと、カソード22を形成するためのカソード用電解質層側触媒インクおよびカソード用拡散層側触媒インクである。
ここで、触媒インクは、触媒金属を所定量担持させた触媒担持カーボン粒子と、電解質と、を水及びエタノールなどの分散溶媒とを混合することにより作製することができる。
カソード用電解質層側触媒インクとカソード用拡散層側触媒インクとは、触媒層形成時における撥水性を異ならせるために、それぞれ異なった撥水性を有するカーボン粒子に触媒電極を担持した担持カーボン粒子を用いる。
本実施例では、例えば、カソード用拡散層側触媒インクには、カーボン粒子(ケッチェン・ブラック・インターナショナル社製、Ketjen EC)に50質量%の白金を担持させた触媒担持カーボン粒子を用いることとした。一方、カソード用電解質層側触媒インクには、同じカーボン粒子を約1500℃程度の高温熱処理することにより、撥水性を強めたカーボン粒子を作製し、このカーボン粒子に50質量%の白金を担持させた触媒担持カーボン粒子を用いることとした。なお、高温熱処理の温度は、これに限定されるものではなく、所望の撥水性が得られるように設定すればよい。また、アノード用触媒インクは、カソード用拡散層側触媒インクと同じカーボン粒子に30質量%の白金を担持させた触媒担持カーボン粒子を用いることとした。
また、電解質としては、電解質層21に用いられる固体高分子電解質膜(デュポン社製、Nafion 112)と同じ種類のイオン交換樹脂であるナフィオン溶液(デュポン社製)を用いることとした。アノード側およびカソード側拡散層部材としては、拡散層部材(東レ社製、TGP−H−060)の表面をカーボン/PTFEにより撥水処理したものを用いることとした。
そして、電解質層21となる電解質膜のアノード側の面上にアノード用触媒インクを用いてアノード用触媒層を形成する(ステップS110)。例えば、電解質膜のアノード側の面上にアノード用触媒インクをスプレー塗布し、乾燥させることにより形成することができる。塗布量は、白金量が0.2mg/cmとなるように調整する。
次に、電解質膜のカソード側の面上にカソード用電解質層側触媒インクを用いてカソード用電解質層側触媒層を形成する(ステップS120)。例えば、カソード用電解質層側触媒層の形成も、アノード用触媒層と同様に、電解質膜のカソード側の面上にカソード用電解質層側触媒インクをスプレー塗布し、乾燥させることにより形成することができる。塗布量も、同様に、白金量が0.2mg/cmとなるように調整すればよい。
さらに、カソード側拡散層部材の一方の面上にカソード用拡散層側触媒インクを用いてカソード用拡散層側触媒層を形成する(ステップS130)。例えば、カソード用拡散層側触媒層の形成も、アノード用触媒層やカソード用電解質層側触媒層と同様に、カソード側拡散層部材の一方の面上にカソード用拡散層側触媒インクをスプレー塗布し、乾燥させることにより形成することができる。塗布量も、同様に、白金量が0.2mg/cmとなるように調整すればよい。
最後に、電解質膜のアノード用触媒層形成面とアノード側拡散層部材の一方の面、および、電解質膜のカソード用電解質層側触媒層形成面とカソード側拡散層部材のカソード用拡散層側触媒層形成面、を接合する(ステップS140)。この接合は、例えば、圧着面温度130℃、圧力5MPaでの熱圧接合により実行することができる。
以上のようにして、図1に示した構造の触媒電極を製造することができる。なお、ステップS110からS130の順番は任意である。
C.触媒電極(カソード)の機能:
次に、上記製造方法に従って作成された2層構造を有する触媒電極(カソード)の機能について説明する。
背景技術においても説明したように、アノードに水素を含有する燃料ガスが供給されると共に、カソードに酸素を含有する酸化ガスが供給されることで電気化学反応が進行することにより発電する。このとき、アノード23においては、図1に示すように、アノードに含まれる触媒の反応により水素分子(H)がイオン化してプロトン(2H)になり、電子(2e)を放出する。プロトンは電解質層21を介してアノード23からカソード22へ移動する。放出された電子は、外部の電気回路(負荷)を通ってカソード22に移動する。カソード22においては、カソードに含まれる触媒の反応により、アノード23から放出された電子と、電解質層21を介して移動してきたプロトンと、酸素分子(O)とを結合して水(HO)を生成する。なお、この水の生成反応は、電解質層21を介して多くのプロトンが移動してくるカソード22の電解質層21との界面近傍、言い換えると、カソード22の電解質層側触媒層22aの領域内で多く発生する。
ここで、カソード22の電解質層側触媒層22aと拡散層側触媒層22bとでは、電解質層側触媒層22aの方が拡散層側触媒層22bに比べて相対的に接触角が大きく撥水性が強いので、電解質層側触媒層22aにおいて生成された水(生成水)は、相対的に接触角が小さく撥水性が弱い拡散層側触媒層22bの側に移動しやすくなる。これにより、電解質層側触媒層22aの領域における水膜の形成を抑制し、フラッディング現象の発生を抑制することが可能となるため、高電流密度での動作において、発電性能が低下し、出力電圧の低下を招くことを抑制することができる。
また、カソード22の電解質層側触媒層22aから拡散層側触媒層22bへ生成水を移動させることにより、電解質層21を介して電解質層側触媒層22aに移動してきたプロトンを、生成水と共に拡散層側触媒層22bへ移動させることが容易となるので、拡散層側触媒層22bにおける電気化学反応を促進して、発電性能を向上させることが可能となり、高電流密度での動作において、発電性能が低下し、出力電圧の低下を招くことを抑制することができる。
図3は、2層構造の触媒電極であるカソードを有する燃料電池の電流密度に対する出力電圧特性の一例を示すグラフである。図の比較例は1層構造の触媒電極を有する燃料電池の特性を示しており、触媒電極の接触角θが約142°である場合の特性を示している。図の実施例は、上記製造方法に従って作製され、2層構造の触媒電極であるカソードを有する燃料電池の特性を示しており、図1に示すカソード22の電解質層側触媒層22aの接触角θaが約152°で拡散層側触媒層22bの接触角θbが約139°の場合の特性を示している。
図3から分かるように、比較例の場合に比べて実施例の場合には、電流密度の変化に応じた出力電圧の変化の幅が約25%程度小さくなっており、発電性能の低下を抑制していることがわかる。
以上説明したように、上記製造方法に従って作製され、2層構造の触媒電極であるカソードを有する燃料電池では、電解質層と触媒電極との界面近傍における生成水のフラッディングを抑制することができるため、高電流密度での動作において、発電性能が低下し、出力電圧の低下を招くことを抑制することができる。
D.触媒電極の別の製造方法:
図4は、燃料電池の製造時に実行される触媒電極の別の製造工程を表す説明図である。この製造工程は、図2に示した製造工程のステップS130をステップS130Bに置き換え、これに応じて、ステップS140をステップS140Bに置き換えたものである。
ステップS130Bは、カソード用拡散層側触媒層の形成方法がステップS130とは異なっている。具体的には、ステップS130Bでは、ステップS120において形成されたカソード用電解質層側触媒層の面上にカソード用拡散層側触媒インクを用いてカソード用拡散層側触媒層を形成する。この場合のカソード用拡散層側触媒層の形成も、アノード用触媒層やカソード用電解質層側触媒層と同様に、形成されたカソード用電解質層側触媒層の面上にカソード用拡散層側触媒インクをスプレー塗布し、乾燥させることにより形成することができる。塗布量も、同様に、白金量が0.2mg/cmとなるように調整すればよい。これにより、カソード用触媒層を形成することができる。
そして、ステップS140Bでは、電解質膜のアノード用触媒層形成面とアノード側拡散層部材の一方の面、および、電解質膜のカソード用触媒層形成面とカソード用拡散層部材と、を接合する。
本例のようにしても、図1に示した2層構造の触媒電極であるカソードを製造することができる。ただし、本例の場合には、カソード用電解質層側触媒層形成面上にカソード用拡散層拡散層側触媒インクをスプレー塗布することにより、カソード用電解質層側触媒層内に、カソード用拡散層拡散層側触媒インクが浸潤し、カソード用電解質層側触媒層とカソード用拡散層側触媒層との界面において、カソード用拡散層側触媒層とカソード用電解質層側触媒層との中間の領域が形成される可能性がある。
E.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
E1.変形例1:
上記実施例では、相対的に撥水性の高い電解質層側触媒層と相対的に撥水性の低い拡散層側触媒層の2層構造を有する触媒電極を例に説明したが、これに限定されるものではなく、電解質層側ほど相対的に撥水性が高く拡散層側ほど相対的に撥水性が低くなるように、3層以上の多層構造を有する触媒電極とするようにしてもよい。この場合であっても、同様に、燃料電池の電解質層と触媒電極との界面近傍における生成水のフラッディングを抑制することが可能となるため、高電流密度での動作において、発電性能が低下し、出力電圧の低下を招くことを抑制することができる。
なお、3層以上の多層構造を有する触媒電極は、上記触媒電極の別の製造工程において説明したように、媒層形成面上に異なった触媒層を形成することを繰り返すことにより製造することができる。
E2.変形例2:
上記実施例では、カソードを例に説明したが、カソードだけでなくアノードにおいても、カソードと同様に、電解質層側ほど相対的に撥水性が高く拡散層側ほど相対的に撥水性が低くなるように多層構造とするようにしてもよい。この場合には、電解質層を介して、カソードからアノードに移動する水により、電解質層と触媒電極との界面近傍における水のフラッディングを抑制することができる。
E3.変形例3:
また、拡散層やセパレータの形状を、実施例の燃料電池とは異なる形状としても良い。例えば、セパレータ表面において、単セル内ガス流路を形成するための凹凸形状を設けない形状とすると共に、セパレータとMEAとの間に導電性多孔質部材を配置して、この導電性多孔質部材内に形成される空隙によって、単セル内ガス流路を形成することとしても良い。単セル内ガス流路の形状を他の任意の形状とする場合であっても、同様に、燃料電池の電解質層と触媒電極との界面近傍における生成水のフラッディングを抑制することが可能となるため、高電流密度での動作において、発電性能が低下し、出力電圧の低下を招くことを抑制することができる。
本発明の実施例である燃料電池の概略構成を表わす断面模式図である。 燃料電池の製造時に実行される触媒電極の製造工程を表す説明図である。 2層構造の触媒電極であるカソードを有する燃料電池の電流密度に対する出力電圧特性の一例を示すグラフである。 燃料電池の製造時に実行される触媒電極の別の製造工程を表す説明図である。
符号の説明
10...単セル
20...MEA
21...電解質層
22...カソード
22a...電解質層側触媒層
22b...拡散層側触媒層
23...アノード
24,25...ガス拡散層
30,40...ガスセパレータ
31...単セル内酸化ガス流路
41...単セル内燃料ガス流路

Claims (7)

  1. 表面に触媒金属を担持したカーボン粒子と、電解質と、を備える触媒層から成り、電解質層とガス拡散層との間に形成される燃料電池用電極であって、
    前記触媒層は、多層の触媒層で構成されており、
    前記電解質層側の触媒層に含まれるカーボン粒子ほど自身の撥水性が相対的に高く、前記ガス拡散層側の触媒層に含まれるカーボン粒子ほど自身の撥水性が相対的に低くなるように構成されている、
    ことを特徴とする燃料電池用電極。
  2. 請求項1記載の燃料電池用電極であって、
    前記多層の触媒層のうち、少なくとも、前記電解質層に接する触媒層のカーボン粒子は、所定の種類のカーボン粒子を熱処理することにより、自身の撥水性を高めたカーボン粒子を用いて構成されている、
    ことを特徴とする燃料電池用電極。
  3. 請求項1または請求項2記載の燃料電池用電極であって、
    電解質層側触媒層と拡散層側触媒層の2層の触媒層で構成されている、
    ことを特徴とする燃料電池用電極。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の燃料電池用電極を備える燃料電池。
  5. 表面に触媒金属を担持したカーボン粒子と、電解質と、を備える触媒層から成り、電解質層とガス拡散層との間に形成される燃料電池用電極の製造方法であって、
    前記電解質層を構成する電解質膜と、前記ガス拡散層を構成するガス拡散層部材と、前記表面に触媒金属を担持したカーボン粒子と前記電解質とを溶媒中に分散させた触媒インクとして、自身の撥水性が相対的に高いカーボン粒子を含む第1の触媒インク、および、自身の撥水性が相対的に低いカーボン粒子を含む第2の触媒インクを用意し、
    前記電解質膜の少なくとも一方の表面に、前記第1の触媒インクを用いて電解質層側触媒層を形成し、
    前記ガス拡散層部材の一方の表面に、前記第2の触媒インクを用いて拡散層側触媒層を形成し、
    前記電解質層側触媒層の表面と、前記拡散層側触媒層の表面とを接合することにより前記触媒層を形成する、
    ことを特徴とする燃料電池用電極の製造方法。
  6. 表面に触媒金属を担持したカーボン粒子と、電解質と、を備える触媒層から成り、電解質層とガス拡散層との間に形成される燃料電池用電極の製造方法であって、
    前記電解質層を構成する電解質膜と、前記ガス拡散層を構成するガス拡散層部材と、前記表面に触媒金属を担持したカーボン粒子および前記電解質を溶媒中に分散させた触媒インクとして、それぞれ、自身の撥水性が異なっているカーボン粒子を含む複数の触媒インクと、を用意し、
    前記電解質膜の少なくとも一方の表面に、前記複数の触媒インクを、前記電解質膜側から、相対的に撥水性の高いカーボン粒子を含む触媒インクから相対的に撥水性の低いカーボン粒子を含む触媒インクの順に用いて複数層の触媒層を形成する、
    ことを特徴とする燃料電池用電極の製造方法。
  7. 請求項6記載の燃料電池用電極の製造方法であって、
    前記複数の触媒インクとして、自身の撥水性が相対的に高いカーボン粒子を含む第1の触媒インク、および、自身の撥水性が相対的に低いカーボン粒子を含む第2の触媒インクと、を用意し、
    前記電解質膜の少なくとも一方の表面に、前記第1の触媒インクを用いて電解質層側触媒層を形成し、
    前記電解質層側触媒層の表面に、前記第2の触媒インクを用いて拡散層側触媒層を形成して前記触媒層を形成する、
    ことを特徴とする燃料電池用電極の製造方法。
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JP2010080378A (ja) * 2008-09-29 2010-04-08 Toyota Motor Corp 燃料電池
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CN117438596A (zh) * 2023-10-31 2024-01-23 安徽明天新能源科技有限公司 一种梯度催化层膜电极制备方法

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