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JP2008005068A - 送信装置、通信システム、およびインパルス無線変調方法 - Google Patents

送信装置、通信システム、およびインパルス無線変調方法 Download PDF

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JP2008005068A JP2006170748A JP2006170748A JP2008005068A JP 2008005068 A JP2008005068 A JP 2008005068A JP 2006170748 A JP2006170748 A JP 2006170748A JP 2006170748 A JP2006170748 A JP 2006170748A JP 2008005068 A JP2008005068 A JP 2008005068A
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ジャン ユー
Takenori Sakamoto
剛憲 坂本
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

【課題】インパルス無線通信において、繰り返しデータから生じる離散成分を抑圧すること。
【解決手段】プレフィックスビット生成部104は、1つまたは複数のプレフィックスビットをランダムに生成し、プレフィックスビット結合部106は繰り返しソースデータにプレフィックスビットを付加する。最初のプレフィックスビットは、繰り返しソースデータの先頭に付加する。差動符号化部108は、プレフィックスビットが付加されたシーケンス107に対し差動符号化を施し、IR変調部110は差動符号化後のシーケンス109に対しインパルス無線変調を施し、RF送信部112は、インパルス無線変調信号に所定の無線送信処理を施し、アンテナ114を経由して送信する。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、インパルス無線通信システムにおいて適用される送信装置、通信システム、およびインパルス無線変調方法に関する。
インパルス無線(IR:Impulse Radio)通信は、接続時間が非常に短く、電力が小さいパルスを使用することによって無線通信を行う通信技術である。インパルス無線通信におけるパルスの接続時間は、一般に1ナノ秒のオーダーである。従って、インパルス無線信号の電力を数GHzの周波数帯域に拡散させることができる。これは、現在利用されている他の無線技術の帯域幅よりもずっと広く、高速無線通信が可能である。さらに、IR通信技術は、映像・音声の無線配信システム、位置標定/ナビゲーションアプリケーション、高速WPAN(Wireless Personal Area Network)など、私たちの日常生活に魅力的なアプリケーションを提供することができる。近年、UWB(Ultra Wide Band)システムとミリ波(mmW)システムがIR通信技術を採用する新しい有望な通信システムとして注目されている。
ところで、上述したIR通信では、広帯域を使用して高速無線通信を可能とする一方、同一の周波数帯域で利用されている他の無線システムとの相互干渉が無視できる程度まで放射出力を低く抑える必要がある。米国のFCC(連邦通信委員会)は、非特許文献1の中で、UWBアプリケーションの放射レベルの上限を規定しており、これによると、UWBシステムは他の狭帯域通信システムと干渉する信号を発生させてはならない。
放射特性は、平均電力スペクトル密度(PSD(Power Spectrum Density))を調べることによって把握することができる。電力スペクトル密度は、パルスの繰り返し周期と振幅レベルとに依存するため、IR通信のように接続時間が短く、振幅レベルが小さい場合には、IR通信における平均電力スペクトル密度は、例えば、10-11Watt/Hzと極めてレベルが小さい。
The FCC first report and order 02-48
しかしながら、同期プリアンブルなどのように一定の周期で繰り返される繰り返しデータが送信される場合には、繰り返しデータの周期に起因して複数のリプルを伴う離散成分が生じ、この離散成分の電力が放射レベルの上限を超えてしまう場合がある。離散成分の周期は、繰り返しデータの周期に依存するため、占有帯域幅が狭い狭帯域信号の場合には、フィルタ等で離散成分のみを除去することが可能であるが、UWBシステムやミリ波システムのようにインパルス無線信号の占有帯域幅が広い場合には、繰り返しデータの周期に起因して生じる離散成分がインパルス無線信号の占有帯域幅内に発生してしまうため、フィルタ等で離散成分のみを除去することが困難となる。したがって、送信前に出来るだけ離散成分を減少させることが受信品質の劣化を低減する上で重要な課題となる。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、インパルス無線通信において、繰り返しデータから生じる離散成分を抑圧することができる送信装置、通信システム、およびインパルス無線変調方法を提供することを目的とする。
かかる課題を解決するため、本発明に係る送信装置は、符号‘0’または符号‘1’のプレフィックスバイナリビットをランダムに生成する生成手段と、ソースデータ列に前記プレフィックスバイナリビットを付加して結合データ列を得る付加手段と、前記結合データ列に対し差動符号化することにより、符号化データ列を得る差動符号化手段と、前記符号化データ列にインパルス無線変調を施しインパルス無線変調信号を得る変調手段と、前記インパルス無線変調信号を送信する送信手段と、を具備する構成を採る。
この構成によれば、ソースデータ列のパターンが固定でその繰り返し周期により離散成分が生じるような場合に、当該ソースデータ列に符号‘0’または符号‘1’のプレフィックスバイナリビットをランダムに付加し、プレフィックスバイナリビット付加後の結合データ列に対し差動符号化を施すことによって、差動符号化後の符号化データ列のパターンをプレフィックスバイナリビットに応じて変えることができるようになり、さらに、符号化データ列のビット値がプレフィックスバイナリビットに応じて互いに反転した関係にあるパターンを作り出すことができるため、繰り返し周期によって生じる離散成分の位相特性が互いに相殺するようになって、離散成分を抑圧することができる。また、この構成によれば、離散成分そのものを減少させることができるようになるため、UWBのように周波数帯域が広帯域にわたり、固定パターンの繰り返し周期によって生じる離散成分の周期がUWBの周波数帯域よりも狭く、当該周波数帯域内に離散成分が発生してしまってフィルタ等を用いて離散成分のみを除去することが困難となる場合においても、受信品質の劣化を防止することが可能となる。
本発明によれば、インパルス無線通信において、離散成分を抑圧することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1に、本発明の実施の形態に係る送信装置の要部構成を示す。図1に示す送信装置100は、スクランブラ102と、プレフィックスビット生成部104と、プレフィックスビット結合部106と、差動符号化部108と、IR(Impulse Radio)変調部110と、RF(Radio Frequency)送信部112と、送信アンテナ114とを備えている。
スクランブラ102は、ソースデータに対し所定のスクランブル機能に従ってスクランブル処理を施し、スクランブル処理後のシーケンス103をプレフィックスビット結合部106へ出力する。なお、本実施の形態では、ソースデータが、同期プリアンブルのような固定のパターンを持つ繰り返しデータである場合について説明する。なお、ソースデータには、比較的ゆっくりと移動している場合の位置座標データなどのように、変化がゆっくりで所定期間内においては固定パターンと見なせるようなデータも含まれる。したがって、ソースデータに対し、所定の規則にしたがってスクランブル処理が施されたシーケンス103は、固定のパターンを持つ繰り返しデータとなる。なお、スクランブラ102によるスクランブル処理は、本発明においては必須でなく、複数のリプルを最小にすることによってインパルス無線信号の電力スペクトル密度をなめらかにする目的で使用される。
プレフィックスビット生成部104は、「0」または「1」のプレフィックスビット105をランダムに生成し、プレフィックスビット結合部106へ出力する。
プレフィックスビット結合部106は、1つまたは複数のプレフィックスビット105をシーケンス103に付加して、より長いシーケンス107を生成し、差動符号化部108へ出力する。
図2に、プレフィックスビット結合部106の要部構成を示す。プレフィックスビット結合部106は、クロック1062とスイッチ1064とを備えている。
クロック1062はクロック信号1063をスイッチ1064へ出力し、スイッチ1064は、クロック1062から出力されるクロック信号1063に応じて、スイッチを切り換えて、シーケンス103にプレフィックスビット105を付加する。すなわち、クロック信号1063によってスイッチの切換タイミングが制御されて、プレフィックスビット105が付加される位置が制御される。例えば、クロック1062がある瞬間に「アクティブ」なクロック信号1063をスイッチ1064に出力すると、スイッチ1064は差動符号化部108の入力先をプレフィックスビット生成部104に切り換える。そして、1ビット長経過後、スイッチ1064は、差動符号化部108の入力先をシーケンス103へ切り換える。さらに、所定ビット長(例えば数ビットの時間長)経過後、クロック1062が再び「アクティブ」なクロック信号1063をスイッチ1064へ出力すると、スイッチ1064は差動符号化部108の入力先をプレフィックスビット生成部104へ切り換える。なお、プレフィックスビット結合部106にバッファを設け、バッファにシーケンス103を格納して、待機中のシーケンス103がスイッチ1064の切換時に消失してしまうのを防止するようにしてもよい。プレフィックスビット結合部106は、プレフィックスビット付加後のシーケンス107を差動符号化部108へ出力する。
差動符号化部108は、プレフィックスビット付加後のシーケンス107に対して差動符号化処理を施す。図2に、差動符号化部108の要部構成を示す。差動符号化部108は、AND演算器1082と遅延器1084とを備えている。遅延器1084は、シーケンス109と同一のフィードバックシーケンス1083を、1ビット時間長TBだけ遅延し、遅延後のフィードバックシーケンス1085をAND演算器1082に出力する。
AND演算器1082は、シーケンス107とフィードバックシーケンス1085との間でAND演算を行い、AND演算結果をシーケンス109としてIR変調部110へ出力する。このとき、シーケンス107(b1,b2,b3,…,bi,…)とシーケンス109(S1,S2,S3,…,Si,…)とは、式(1)の関係を有することになる。

Si=biANDSi−1(i=1,2,…) (1)
なお、差動符号化部108における初期ビットb0は、「0」または「1」のどちらでもよい。また、バイナリビットのAND演算(以下「AND」と略記する)は、0AND0=0、0AND1=1、1AND0=1、1AND1=0とする。
IR変調部110は、シーケンス109に対しインパルス無線変調を施し、インパルス無線変調信号をRF送信部112へ出力する。なお、インパルス無線変調には、パルス極性変調、パルス振幅変調(PAM:Pulse Amplitude Modulation)、パルス位相変調、パルス周波数変調、パルス位置変調(PPM:Pulse Position Modulation、「タイムシフト変調」または「パルス間隔変調」ともいう)、あるいはこれらのM−aryバージョンなど、さまざまな変調方法が存在するが、以下では、IR変調部110がバイナリIR変調を施す場合を例に説明する。
RF送信部112は、インパルス無線変調信号に対して所定の無線送信処理(パルス整形等)を施し、無線送信処理後のインパルス無線変調信号を送信アンテナ114へ出力する。なお、パルス整形されるパルス形状は特に限定されるものではない。
送信アンテナ114は、インパルス無線変調信号を図示せぬ通信相手へ送信する。
図3に、本実施の形態に係る受信装置の要部構成を示す。図3に示す受信装置200は、受信アンテナ202と、RF受信部204と、遅延検波部206と、同期部208と、積分器210と、IR復調部212と、デスクランブラ214とを備えている。図3において、遅延検波部206、同期部208、および積分器210は、差動検出部216を構成する。
RF受信部204は、受信アンテナ202を介してインパルス無線変調信号を受信し、LNA(Low Noise Amplifier:低雑音増幅器)等を用いて増幅し、増幅後の受信信号205を遅延検波部206へ出力する。
遅延検波部206は、受信信号205を遅延検波する。図4に、遅延検波部206の要部構成を示す。図4に示す遅延検波部206は、遅延器2064と乗算器2068とを備えている。
遅延器2064は、1ビット時間長TBだけ受信信号205(2062)を遅延させて、遅延後の遅延信号2066を乗算器2068へ出力する。
乗算器2068は、遅延信号2066と受信信号205(2061)とを乗算し、乗算して得られた結果を、遅延検波結果207として同期部208へ出力するとともに、積分器210へ出力する。
同期部208は、遅延検波結果207を用いて同期信号209を生成し、積分器210へ出力する。同期信号209は、同期獲得および同期追従のために用いる信号で、より具体的には、積分器210における積分の開始時刻tを決定するのに用いられる。
図5に、同期部208の一般的な要部構成を示す。同期部208は、クロック発生器2080と、第1の積分器2082−1と、第2の積分器2082−2と、比較器2084とを備えている。クロック発生器2080は、2つの異なるタイミング信号t1,t2(=t1+Δt)を発生させ、タイミング信号t1を経路2081−1を経由させて第1の積分器2082−1に出力するとともに、タイミング信号t2を経路2081−2を経由させて第2の積分器2082−2に出力する。なお、Δtは同期部208の分解能を示す。
第1の積分器2082−1および第2の積分器2082−2は、遅延検波部206から出力される遅延検波結果207を、異なる開始時刻t1,t2から同一の時間長TIだけ積分し、積分結果を積分出力2083−1,2083−2として比較器2084へ出力する。比較器2084は、2つの積分出力2083−1,2083−2を比較し、開始時刻t1,t2のどちらの開始時刻における積分出力が大きかったか判定し、判定結果2085をクロック発生器2080にフィードバックする。
クロック発生器2080は、積分出力が大きいと判定された積分器のタイミング信号はそのまま維持し、他方の積分器のタイミング信号を調整する。具体的には、積分器2082−2の積分出力に比べ、積分器2082−1の積分出力が大きい場合には、積分器2082−2におけるタイミング信号t2を、t2=t1−Δtに調整する。一方、積分器2082−1の積分出力に比べ、積分器2082−2の積分出力が大きい場合には、積分器2082−1におけるタイミング信号t1を、t1=t2+Δtに調整する。このようにして積分出力が小さい積分器のタイミング信号を調整していくことにより、最終的に、積分出力が大きい積分器のタイミング信号(以下「tmax」と表す)が一定となり、他方のタイミング信号は、tmax−Δtとtmax+Δtとが交互となる状況において収束する。クロック発生器2080は、このようにして調整され一定の値に収束したタイミング信号tmaxを同期信号209として積分器210に出力する。
なお、同期部208に備えられる積分器は2つに限られず、同期部208に異なる開始時刻において同じ時間長TIだけ積分を行う3つ以上の積分器を設け、比較器2084が複数の積分器の積分出力を比較し、積分出力が最大となる積分器以外のタイミング信号をクロック発生器2080によって調整するようにしてもよい。積分器の数を増やすことにより、同期獲得までの処理時間を短くすることができる。
再度、図3に戻り積分器210について説明する。
積分器210は、同期部208から出力される同期信号209を用いて、開始時刻tを制御して、遅延検波結果207を所定の時間長TIだけ積分する。上述したように遅延検波結果207は、遅延検波部206の乗算器2068によって、受信信号205(2061)と、受信信号205(2062)を1ビット時間長TBだけ遅延させた遅延信号2066とが乗算された結果である。すなわち、積分器210において、遅延検波結果207を積分することは、受信信号の相関演算を行うのと等価となる。このため、文献によっては、乗算器2068と積分器210とが、相関器としてひとつのブロックにまとめられて記載されていることがある。
このようにして、遅延検波部216、同期部208および積分器210によって構成される差動検出部216は、受信したインパルス無線変調信号に対し、差動検出を行い、差動検出部216の積分器210は、差動検出結果211をIR復調部212へ出力する。
なお、送信装置100のプレフィックスビット結合部106において、プレフィックスビットが付加される数や位置に応じて、遅延検波結果207にプレフィックスビットに対応した遅延検波結果が残存する場合があるが、プレフィックスビットが付加される位置について受信装置200へ予め伝えるようにしておくことにより、例えば、積分器210において、プレフィックスビットに対応した遅延検波結果を取り除いて、シーケンス103にのみ対応した積分結果を取得するようにすればよい。具体的には、積分器210において、遅延検波結果207からプレフィックスビットに対応する遅延検波結果を取り除いて、削除後の遅延検波結果207を積分して、シーケンス103にのみ対応した積分結果を取得したり、もしくは、積分後の遅延検波結果207からプレフィックスビットに対応する積分結果を取り除いてシーケンス103にのみ対応した積分結果を取得したりするようにすればよい。プレフィックスビットが付加される数および位置によって、遅延検波結果にプレフィックスビットに対応する遅延検波結果が残存する場合がある点については後述する。
IR復調部212は、差動検出結果211を復調しシーケンス213を取得する。なお、IR復調部212における復調方法は、通信相手の送信装置100のIR変調部110において用いられる変調方法に依存する。例えば、送信装置100のIR変調部110がパルス極性変調を行う場合には、IR復調部212に、しきい値検出器を用い、差動検出結果211がしきい値以上のときにはビット「1」と判定し、差動検出結果211がしきい値未満のときにはビット「0」と判定することにより、シーケンス213を得ることができる。
デスクランブラ214は、シーケンス213をデスクランブルして出力データ215を取得する。
なお、図6に、本実施の形態に係る受信装置の他の要部構成を示す。図6は、図3に対し、積分器210を削除して、しきい値比較器222を追加した構成を採る。しきい値比較器222には、予め所定のしきい値が設定されていて、遅延検波結果207をしきい値判定して、遅延検波結果207がしきい値より大きいときに受信信号を検出する。なお、しきい値比較器222に設定されるしきい値は、チャネル品質や受信信号電力に基づいて定期的に調整するようにする。この結果、しきい値が定期的に最適な値に調整され、検出誤りを減少させることができる。
以上、本発明の実施の形態にかかる送信装置100および受信装置200の構成と、各処理部について説明したが、各処理部の複数を同一のハードウェアまたはソフトウェアモジュールによって実現することも可能である。また、各処理部をハードウェア、ソフトウェア、若しくはこれら組合せにより実装することも可能である。
次いで、上記のように構成された送信装置100および受信装置200の動作について、具体例を示しながら説明する。
(具体例A)
始めに、具体例Aとして、プレフィックスビット結合部106によって、ランダムプレフィックスビットbprefixがデータパケットの先頭に1ビット付加される場合について説明する。
まず、スクランブラ102によって、繰り返しソースデータ101に対し所定のスクランブル処理が施され、スクランブル処理後のシーケンス103は、プレフィックスビット結合部106へ出力される。以下では、1パケットあたり9ビットから構成されるシーケンス103「010111110」が、プレフィックスビット結合部106に入力される場合について説明する。なお、シーケンス103のパターン「010111110」の並びは、右端のビットが最初にプレフィックスビット結合部106に入力されるビットを示し、左端のビットが最後にプレフィックスビット結合部106に入力されるビットを示している。すなわち、b1=0,b2=1,b3=1,…,b9=0を示す。
プレフィックスビット生成部104によって、1パケットごとにプレフィックスビットbprefixが1ビットずつランダムに生成され、プレフィックスビット結合部106のクロック1062から出力されるクロック信号1063によってスイッチ1064が切り換えられて、シーケンス103の先頭にプレフィックスビットbprefixが付加され、シーケンス107が生成される。具体的には、プレフィックスビットbprefixが「0」の場合、シーケンス107のパターンは以下のようになる。
prefix=0 シーケンス107「0101111100」
また、プレフィックスビットbprefix「1」の場合のシーケンス107は以下のようになる。
prefix=1 シーケンス107「0101111101」
そして、シーケンス107に対し差動符号化部108によって差動符号化が施され、シーケンス109が生成される。例えば、差動符号化部108の初期値がb0=0の場合、プレフィックスビットbprefixの値に応じて、以下のようなパターンのシーケンス109が生成される。
prefix=0 シーケンス109「0011010100」
prefix=1 シーケンス109「1100101011」
上記パターンを見るとわかるように、bprefixが「0」の場合のシーケンス109の各ビット値と、bprefixが「1」の場合のシーケンス109の各ビット値とは、同一の位置において互いに反転している。つまり、シーケンス103の先頭にプレフィックスビットbprefixを付加し、付加後のシーケンス107に対し差動符号化を施すことにより、差動符号化後のシーケンス109は、各ビット値が互いに反転するパターンを有することになる。この結果、シーケンス109の固定パターンの繰り返し周期に起因して発生する離散成分の位相が、プレフィックスビットbprefixが「0」の場合と「1」の場合とで互いに反転することになり、これらが互いに相殺され合うようになって、離散成分を抑圧することができるようになる。また、プレフィックスビット生成部104によって生成されるプレフィックスビットbprefixが「0」である確率と「1」である確率、つまり生成確率が等しい場合には、互いにビット値が反転し合う2つのパターンが等確率で生成されることになるため、離散成分の位相が確実に相殺され合うようになる。なお、b0=1の場合にも同様の結果を得ることができる。
シーケンス109は、IR変調部110によって、IR変調が施され、変調後のIR変調信号111が、RF送信部112へ出力される。
IR変調信号111は、RF送信部112によってパルス波形整形等の所定の無線送信処理が施され、無線送信処理後のインパルス無線変調信号は、送信アンテナ114を経由して、通信チャネルを経て、通信相手へ送信される。図7に、インパルス無線変調信号の波形の様子を示す。図7に示すインパルス無線変調信号は、IR変調部110によってパルス極性変調が施され、RF送信部112によって正弦波モノパルスに波形整形された場合の例である。同図において、パルス502は、ビット「0」504に対する正弦波モノパルスであり、パルス506は、ビット「1」508に対する正弦波モノパルスである。パルス502とパルス504は、対応するビットが異なるため、極性が異なっている。隣り合うパルス間の時間間隔は、ビット時間長TBに等しい。
なお、上記説明では、IR変調部110によって、シーケンス109にパルス極性変調が施され、RF送信部112によって、正弦波モノパルスに波形整形された場合について説明したが、本発明は、パルス極性変調や正弦波モノパルスのいずれにも制限されるものではない。
そして、通信相手の受信装置200の受信アンテナ202を経由して受信されたインパルス無線変調信号は、RF受信部204によって、その振幅レベルが増幅されて、増幅後の受信信号205が、差動検出部216へ出力される。そして、差動検出部216によって、受信信号205に対して差動検出処理が行なわれる。
図8は、図7に示すインパルス無線変調信号が雑音のない通信チャネルを経て受信された場合の差動検出部216の遅延検波部206における遅延検波結果207を示している。図8からわかるように、送信装置100において付加されたプレフィクスビットbprefixの値によらず、bprefix=0またはbprefix=1のいずれの場合も、遅延検波部206の遅延検波結果207は同じとなる。すなわち、データパケットの先頭にプレフィックスビットbprefixを1ビット付加し、差動符号化および遅延検波による差動検出を行うと、付加されるプレフィックスビットbprefixのビット値には関係なく、遅延検波結果207が一定となる。これは、差動符号化および遅延検波を用いた差動検出の特徴であって、この特徴は、複数のプレフィックスビットbprefixの場合にもあてはまる。なお、プレフィックスビットbprefixを複数付加する場合については以下の具体例Bにおいて説明する。
そして、積分器210によって遅延検波結果207が積分時間TIとしてビット時間長TBだけ積分され、積分出力の極性が復調されることにより、シーケンス211が取得される。上述したように、遅延検波結果207がプレフィックスビットbprefixの値に関わらず一定となるため、遅延検波結果207を積分して得られるシーケンス211もプレフィックスビットbprefixの値に関わらず一定となる。
(具体例B)
具体例Aでは、データパケットごとにプレフィックスビットbprefixを1ビットずつ先頭に付加した場合について説明したが、データパケットごとに複数のプレフィックスビットbprefixを付加すると、繰り返しソースデータをさらにランダム化することが可能となり、離散成分をより抑圧することが可能となる。以下では、データパケットごとに複数のプレフィックスビットbprefixを付加する場合について説明する。
具体的には、1データパケットが8ビットから構成されるシーケンス103「01011110」が、プレフィックスビット結合部106に入力され、プレフィックスビット結合部106によって、プレフィックスビットbprefixが4ビットごとに付加される場合について説明する。つまり、具体例Bでは、1データパケットあたり2ビットのプレフィックスビットbprefixが付加される。
1データパケットに付加されるプレフィックスビットbprefixの組み合わせは、「0 0」,「0 1」,「1 0」,「1 1」の4通りである。クロック1062は、シーケンス103の各4ビットの先頭にプレフィックスビットbprefixが付加されるようにスイッチ1064を制御する。
以下、b0=0の場合について考える。プレフィックスビットbprefixの組み合わせが「0 1」のとき、シーケンス107は「0101011101」となり、差動符号化部108の出力109は「0011001011」となる。
同様に、プレフィックスビットbprefixの組み合わせが「0 0」の場合、差動符号器の出力109は「1100110100」となり、「1 0」の場合には「0011010100」、「1 1」の場合には「1100101011」となる。
以下に、プレフィックスビットbprefixの組み合わせと対応する差動符号化部108のシーケンス109をまとめて示す。
prefix「0 1」 シーケンス109「0011001011」
prefix「0 0」 シーケンス109「1100110100」
prefix「1 0」 シーケンス109「0011010100」
prefix「1 1」 シーケンス109「1100101011」
上記に示すプレフィックスビットbprefixとシーケンス109との対応からわかるように、シーケンス109の前半の5ビットと後半の5ビットが、2つのプレフィックスビットbprefixのパターンによって変化し、4通りのパターンのシーケンス109が生成される。すなわち、1データパケットあたりに付加するプレフィックスビットを2ビットにすることにより、5ビットをひと固まりとして、ひと固まりごとにビット値が反転されるようになって、付加されるプレフィックスビットが1ビットの場合よりも、シーケンス109として取り得るパターンを増やすことができる。この結果、シーケンス109のパターンがよりランダム化されるようになるため、シーケンス109の繰り返し周期に起因して生じる離散成分をより抑圧することができるようになる。さらに、具体例Aと同様に、プレフィックスビットbprefixとして生成される「0」と「1」の生成確率が等しい場合には、プレフィックスビットbprefixの4つの組み合わせの生成確率も等しくなるため、互いにビットが反転し合うシーケンス109の4つのパターンの生成確率が等しくなり、この結果、離散成分の位相が確実に相殺されるようになる。
このようにして、8ビットから成る1データパケットに、2ビットのプレフィクスビットbprefixが4ビットごとに付加されたシーケンス109に対し、具体例Aと同様に、IR変調部110によってIR変調が施され、変調後のIR変調信号111に対しRF送信部112によって波形整形が施され、波形整形後のインパルス無線変調信号が送信アンテナ114を経由して送信される。
図9は、2ビットのプレフィックスビットbprefixの組み合わせと、各組み合わせに対応するインパルス無線変調信号の波形(シーケンス702,704,706,708)を示している。
そして、通信相手の受信装置200の受信アンテナ202を経由して受信されたインパルス無線変調信号は、RF受信部204によって、その振幅レベルが増幅されて、増幅後の受信信号205が、差動検出部216へ出力される。そして、差動検出部216によって、受信信号205に対して差動検出処理が行なわれる。
図10は、シーケンス702,704,706,708に対し、差動検出部216の遅延検波部206によって遅延検波が施されて得られた出力波形802,804を示している。同図からわかるように、シーケンス702および704に対して遅延検波が施されて得られる結果は同一(出力波形802)となる。また、シーケンス706および708に対して遅延検波が施されて得られる結果も同一(出力波形804)となる。
ところで、出力波形802と出力波形804には、データパケットの先頭以外の位置に付加したプレフィックスビットbprefixに対応するパルス810およびパルス812がそれぞれ残存している。しかしながら、送信装置100から受信装置200にプレフィックスビットbprefixが付加される位置を予め通知するようにしておくことで、受信装置200はパルス810とパルス812を取り除くことができる。具体的には、積分器210において、積分前にパルス810または812を取り除くようにしたり、または積分後にパルス810またはパルス812を積分した積分結果を取り除くようにしたりすることによって、プレフィックスビットbprefixが取り除かれたシーケンス209を得ることができる。そして、最後に、IR復調部212によって、シーケンス209に対して復調処理を施すことによってシーケンス103を得ることができる。
このようにして、1データパケットあたり2ビットのプレフィックスビットbprefixを付加し、プレフィックスビット付加後のシーケンスに対し差動符号化することにより、図9に示すように4つのパターンのシーケンスを送信するようにしたので、1データパケットの先頭にプレフィックスビットbprefixを1ビット付加する場合に比べ、シーケンスの固定パターンの種類が増え、固定パターンの繰り返し周期に起因して生じる離散成分をより抑圧することができるようになる。
(具体例C)
具体例Bでは、2ビットのプレフィックスビットbprefixをデータパケットの先頭と先頭以外の特定の位置に付加するようにしたが、先頭以外の位置をデータパケットごとに変更するようにしてもよい。
以下では、具体例Cとして、1データパケットが8ビットから構成されるシーケンス103「01011110」がプレフィックスビット結合部106に入力され、2ビットのプレフィックスビットbprefixのうち1ビットが1データパケットの先頭に付加され、もう1ビットを付加する位置がデータパケットごとに選択される場合について説明する。
始めに、b0=0であって、付加される2ビットのプレフィックスビットbprefixの組み合わせが「0 1」で、プレフィックスビットbprefixが、データパケットのシーケンス103の先頭と6ビット目に付加されるようクロック1062がスイッチ1064を切り換える場合を考える。
このとき、プレフィクスビット付加後のシーケンス107は「0100111101」となり、差動符号化部108から出力されるシーケンス109は「0011101011」となる。このシーケンス109は、上述した具体例Bの4通りのパターンのいずれとも異なる。すなわち、先頭以外の位置に付加されるプレフィックスビットbprefixの位置を、データパケットごとに選択していくことによって、シーケンス109のパターンの種類が増え、この結果、シーケンス109のパターンのランダム性が高まり離散成分をより減少することができるようになる。
このようにして、先頭以外の位置に付加されるプレフィックスビットbprefixの位置をデータパケットごとに選択していく場合には、プレフィックスビットbprefixが付加される位置によって、シーケンス109のパターンが変わりランダム化されるようになるため、付加することできるプレフィックスビットbprefix数が限られている場合に特に有効である。なお、プレフィックスビットbprefixが付加される位置は、具体例Bと同様に、受信装置200に予め通知されている必要がある。
先頭以外の位置に付加されるプレフィックスビットbprefixの位置を、データパケットごとに選択していく方法を実現する構成としては、図11に示すように、クロック制御部1066を用いて、クロック1062を擬似ランダムに制御して、クロック信号1063によりスイッチ1064を切り換えるようにすればよい。擬似ランダムなパターンとしては、例えば、PN(Pseudo Noise)符号等を用いる。このように、擬似ランダムなタイミングでスイッチ1064が切り換えられるようにすることで、付加されるプレフィックスビットbprefixの位置を擬似ランダムに変更していくことができるようになる。また、クロック制御部1066が生成する擬似ランダムパターンと同一のパターンを受信装置200が予め取得するようにしておくことにより、受信装置200は擬似ランダムな位置に付加されたプレフィックスビットbprefixを取り除いて所望のシーケンス109を取得することができる。なお、予めメモリにPN(Pseudo Noise)シーケンスを格納しておいて、PNシーケンスに応じてクロック1062を制御して、プレフィックスビットbprefixが擬似ランダムな位置に付加されるようにしてもよい。
以上のように、本実施の形態によれば、パターンが固定の繰り返しソースデータにランダムなプレフィックスビットbprefixを付加し、プレフィックスビットbprefix付加後のシーケンス107に対し差動符号化を施し、差動符号化後のシーケンス109にインパルス無線変調を施し送信するようにしたので、送信されるシーケンス109のパターンがプレフィックスビットbprefixの値に応じて変わり、パターンが変動するようになって、パターンの繰り返し周期により発生する離散成分を低減させることができ、受信品質の劣化を低減することができるようになる。一般に、UWBのように周波数帯域が広帯域にわたる場合、離散成分の周期がUWBの周波数帯域よりも狭くなるため、UWBの周波数帯域内に離散成分が発生してしまい、フィルタ等で離散成分のみを除去することが困難となるが、本実施の形態によれば、送信前に離散成分を減少させておくことができるようになるため、UWBのように周波数帯域が広帯域にわたる場合においても、受信品質の劣化を防止することが可能となる。
さらに、受信装置200の遅延検波部206によって遅延検波を行い、積分器210によって遅延検波結果207を積分して差動検出を行うことにより、マルチパス干渉によって歪んだ信号を改善することができる。遅延検波と積分を用いた差動検出により、マルチパス干渉の影響を低減することができる理由について以下説明する。
マルチパス干渉が起こる原因は、発信源から送信された無線信号が受信装置に伝わるまでに、信号電力の一部が建物や壁などの障害物に当たってはねかえるためである。障害物は送信信号を反射し、障害物が多ければ多いほど何度も反射される。反射信号には、元の信号と同じ情報が含まれている。しかしながら、送信経路の長さが異なるため、反射信号は元の信号と位相がずれたり遅延したりして受信装置に到着する。この結果、受信装置において反射信号と元の信号とが合成されるときに、しばしば信号品質の劣化を招く。これをフェーディングと称する。
IRシステムにおいては、送信パルスの時間長は短く1ナノ秒のオーダーである。従って、マルチパス干渉において、反射パルスと元のパルスの経路長差が30cm(1フィート)より長いときには、これらのパルスが重なることがない。マルチパス環境下において受信された受信信号r(t)は、式(2)のようにモデル化することができる。
Figure 2008005068
式(2)において、s(t)は元の送信信号であり、n(t)は熱雑音およびその他の広帯域雑音を表す。項As(t−τ)は、k番目の経路からの受信信号を表し、ランダム変数τおよびAは、送信器からk番目の経路を通って受信装置に到達する受信信号の遅延時間および振幅ゲインである。なお、Nは、受信信号が受信装置200に到着するまでに経由する経路数を示す。
図12に、送信信号s(t)902と、雑音のないマルチパスチャネル(N=5)の場合の受信信号r(t)904の模範的な波形を示す。受信信号r(t)904は、遅延時間がそれぞれτ1,τ2,τ3,τ4,τ5の5つのモノパルス906,908,910,912,914を含んでいる。すべての遅延時間は、各モノパルスの到着時刻と共通の基準時刻t0との時間差から算出される。5つのモノパルスの振幅ゲインは、A1,A2,A3,A4,A5と異なり、振幅ゲインは図12のA1,A4のように負となる場合もある。
多くの受信装置では、一般に、マルチパスの影響による遅延時間や振幅ゲインを推定し、Rake受信装置などのイコライザを用いてフェーディングによる影響を補正している。しかしながら、イコライザによってマルチパスを効果的に補正することは実際には極めて難しく、受信装置の構成も非常に複雑になる。
図13は、インパルス無線変調信号がマルチパス環境下を経由して受信された場合の遅延検波部206の出力の模範的な波形を示している。送信信号1002は、3ビットのシーケンス109に対応したパルス送信波形を表している。受信信号1004は、シーケンス109が雑音のないマルチパスチャネルを経由して受信装置200において受信された波形を示す。IRシステムにおいては、ビット時間長TBは、一般にナノ秒またはマイクロ秒のオーダーである。マルチパスフェージングは数ビット内でゆっくりと変化するため、図13において3ビットの波形1014,1016,1018のマルチパス環境下における遅延スプレッドは、ビット時間長TB内にそのまま維持されることになる。すなわち、受信信号1004の各波形1014,1016,1018内の遅延時間がそのまま維持されることになる。
遅延検波部206において、受信信号1004は遅延経路2066を経由してTBだけ遅延され、遅延後の受信信号1006として乗算器2068へ出力される。そして、乗算器2068において、受信信号1004と遅延後の受信信号1006とが乗算されて、遅延検波結果1024が生成される。遅延スプレッドが変化せず遅延時間がそれぞれ同じであるため、波形1020,1022は、それぞれ波形1016,1018と完全に重なる。従って、遅延検波部206の差動検出結果1024には劣悪な歪みが含まれず、各波形(1026,1028など)が積分器210によって積分された結果、シーケンス109を検出することができる。
このようにして、遅延検波部206において遅延検波を行い、積分器210によって遅延検波結果1024を1ビット時間長TBだけ積分して相関演算を行うことで、遅延スプレッドがビット時間長TB内でそのまま維持されるような場合、チャネル推定をせずに、受信信号の電力全体を捉えることができるようになる。
なお、IRシステムにおいて自己相関による方法を使用するシステムとして「US patent 2001/0053175 “Ultra-wideband communication system”」には、TR(transmitted-reference)システムが開示されている。TRシステムでは、各データパルスを送信する前に基準パルスを1つ送信し、受信側では基準パルスとデータパルスとを相関処理して同期を取って復調を行っている。
しかしながら、TRシステムでは、基準信号が雑音の影響を受けた場合に、パフォーマンスが低下するという欠点がある。具体的には、TRシステムでは、基準パルスの信号電力およびデータパルスの信号電力がそれぞれ全体の信号電力の1/2となってしまうため、送信電力が同一の他のIRシステムと比べると、基準パルスおよびデータパルスの信号電力が小さく、雑音の影響による歪みが大きくなって、システム全体のパフォーマンスが低下してしまう。
これに対し、本実施の形態では、基準パルスを用いず、相関演算結果を用いて同期を取るようにしたので、信号出力をデータパルスにすべて割り当てることが可能となり、この結果、信号対雑音電力比が高まり、受信装置における検出パフォーマンスを向上させることができるようになる。
本発明に係る送信装置は、符号‘0’または符号‘1’のプレフィックスバイナリビットをランダムに生成する生成手段と、ソースデータ列に前記プレフィックスバイナリビットを付加して結合データ列を得る付加手段と、前記結合データ列に対し差動符号化することにより、符号化データ列を得る差動符号化手段と、前記符号化データ列にインパルス無線変調を施しインパルス無線変調信号を得る変調手段と、前記インパルス無線変調信号を送信する送信手段と、を具備する構成を採る。
この構成によれば、ソースデータ列のパターンが固定でその繰り返し周期により離散成分が生じるような場合に、当該ソースデータ列に符号‘0’または符号‘1’のプレフィックスバイナリビットをランダムに付加し、プレフィックスバイナリビット付加後の結合データ列に対し差動符号化を施すことによって、差動符号化後の符号化データ列のパターンをプレフィックスバイナリビットに応じて変えることができるようになり、さらに、符号化データ列のビット値がプレフィックスバイナリビットに応じて互いに反転した関係にあるようなパターンを作ることができるため、繰り返し周期によって生じる離散成分の位相特性が互いに相殺するようになって、離散成分を抑圧することができる。また、この構成によれば、離散成分そのものを減少させることができるようになるため、UWBのように周波数帯域が広帯域にわたり、固定パターンの繰り返し周期によって生じる離散成分の周期がUWBの周波数帯域よりも狭く、当該周波数帯域内に離散成分が発生してしまってフィルタ等を用いて離散成分のみを除去することが困難となる場合においても、受信品質の劣化を防止することが可能となる。
本発明に係る送信装置は、上記第1の態様において、前記プレフィックスバイナリビットは、符号‘0’と符号‘1’とが等しい確率で出現する構成を採る。
この構成によれば、プレフィックスバイナリビット付加後の結合データ列に対し差動符号化を施し、異なるパターンの符号化データ列を得る場合に、異なるパターンの出現確率が等しくなって、ビット値が互いに反転した関係にある状態を等確率で作り出すことができるようになるため、離散成分の位相特性を確実に相殺して離散成分を抑圧することができる。
本発明に係る送信装置は、上記第1の態様において、前記付加手段は、前記ソースデータ列の先頭に前記プレフィックスバイナリビットを1ビット付加する構成を採る。
この構成によれば、受信側で差動検出を行った場合に、プレフィクスバイナリビットに応じて、符号化データ列の全ビット値が互いに反転し合うようになるため、離散成分の位相特性を確実に相殺して離散成分を抑圧することができる。また、受信側において、特別な処理を行わなくても、先頭に付加されたプレフィックスバイナリビットに対応する波形が差動検出結果に含まれないようになるため、単に差動検出結果に対し復調処理を施すことにより前記ソースデータ列を取得することができる。
本発明に係る送信装置は、上記第3の態様において、前記付加手段は、前記ソースデータ列の先頭以外の位置に前記プレフィックスバイナリビットをさらに付加する構成を採る。
この構成によれば、ソースデータ列の先頭の位置にのみプレフィクスバイナリビットが付加された場合に比べ、符号化データ列のパターンの種類を増やすことができるため、符号化データ列がよりランダム化されるようになって、この結果、ソースデータ列の先頭の位置にプレフィックスバイナリビットが付加される場合に比べ、電力スペクトル密度が白色雑音化されて連続成分を有するようになり、結合データ列の固定パターンの繰り返し周期に起因して生じる離散成分が抑圧され、受信品質の劣化を防止することができる。
本発明に係る送信装置は、上記第4の態様において、前記付加手段は、前記ソースデータ列の先頭以外の位置に付加される前記プレフィックスバイナリビットの位置を、前記繰り返しソースデータ列ごとに選択する構成を採る。
この構成によれば、ソースデータ列の先頭以外の位置に付加されるプレフィックスバイナリビットの位置をソースデータ列ごとに変更して、結合データ列のパターンの種類を増やし、よりランダム化すことができるようになるため、結合データ列の固定パターンの繰り返し周期に起因して生じる離散成分をより抑圧し、受信品質の劣化を防止することができる。
本発明に係る通信システムは、符号‘0’または符号‘1’のプレフィックスバイナリビットをランダムに生成する生成手段と、前記ソースデータ列に前記プレフィックスバイナリビットを付加して結合データ列を得る付加手段と、前記結合データ列に対し差動符号化することにより、符号化データ列を得る差動符号化手段と、前記符号化データ列にインパルス無線変調を施し、インパルス無線変調信号を得る変調手段と、前記インパルス無線変調信号を送信する送信手段と、を有するインパルス無線送信装置と、前記インパルス無線変調信号を受信する受信手段と、受信した前記インパルス無線変調信号に対し差動検出する差動検出手段と、前記差動検出手段により得られた差動検出結果から前記ソースデータ列を得る復調手段と、を有するインパルス無線受信装置と、を具備する構成を採る。
この構成によれば、ソースデータ列のパターンが固定でその繰り返し周期により離散成分が生じるような場合に、当該ソースデータ列に符号‘0’または符号‘1’のプレフィックスバイナリビットをランダムに付加し、プレフィックスバイナリビット付加後の結合データ列に対し差動符号化を施すことによって、差動符号化後の符号化データ列のパターンをプレフィックスバイナリビットに応じて変えることができるようになり、さらに、符号化データ列のビット値がプレフィックスバイナリビットに応じて互いに反転した関係にあるようなパターンを作ることができるため、繰り返し周期によって生じる離散成分の位相特性が互いに相殺するようになって、離散成分を抑圧することができる。また、この構成によれば、離散成分そのものを減少させることができるようになるため、UWBのように周波数帯域が広帯域にわたり、固定パターンの繰り返し周期によって生じる離散成分の周期がUWBの周波数帯域よりも狭く、当該周波数帯域内に離散成分が発生してしまい、フィルタ等を用いて離散成分のみを除去することが困難となる場合においても、受信品質の劣化を防止することが可能となる。さらに、受信側へプレフィックスバイナリビットが付加される位置を予め通知しておくようにすることで、差動検出結果に残存するプレフィックスバイナリビットに対応した波形を取り除くことができるため、比較的簡易な構成でソースデータを復調することができる。
本発明に係る通信システムは、上記第6の態様において、前記差動検出手段は、前記インパルス無線変調信号を1ビット時間長だけ遅延して遅延信号を得る遅延手段と、前記受信手段から出力された前記インパルス無線変調信号と前記遅延信号とを乗算する乗算手段と、前記乗算手段により得られた乗算結果を用いて同期を取りながら、前記乗算結果を積分する積分手段と、前記積分手段により得られた積分結果から、前記プレフィックスバイナリビットに対応する前記積分結果を除去することにより前記差動検出結果を得る除去手段と、を具備する構成を採る。
この構成によれば、1ビット時間長がナノ秒またはマイクロ秒と極めて短く占有帯域幅が広帯域であって、マルチパスフェージングによる伝搬環境がゆっくりと変動し、数ビット内では遅延時間が一定とみなすことができるような場合には、受信したインパルス無線変調信号を1ビット時間長だけ遅延した遅延信号は、受信したインパルス無線変調信号と同一の波形となるため、乗算結果を1ビット時間長積分して差動検出を行う処理が、1ビット時間長内に異なる時刻に到着した遅延信号に対しRake合成を行うのと等価になり、マルチパスの影響を低減することができる。
本発明に係るインパルス無線変調方法は、符号‘0’または符号‘1’のプレフィックスバイナリビットをランダムに生成する生成ステップと、前記ソースデータ列に前記プレフィックスバイナリビットを付加して結合データ列を得る結合ステップと、前記結合データ列に対し差動符号化することにより、符号化データ列を得る符号化ステップと、前記符号化データ列にインパルス無線変調を施し、インパルス無線変調信号を得る変調ステップと、を有するようにした。
この方法によれば、ソースデータ列のパターンが固定でその繰り返し周期により離散成分が生じるような場合に、当該ソースデータ列に符号‘0’または符号‘1’のプレフィックスバイナリビットをランダムに付加し、プレフィックスバイナリビット付加後の結合データ列に対し差動符号化を施すことによって、差動符号化後の符号化データ列のパターンをプレフィックスバイナリビットに応じて変えることができるようになり、さらに、符号化データ列のビット値がプレフィックスバイナリビットに応じて互いに反転した関係にあるようなパターンを作ることができるため、繰り返し周期によって生じる離散成分の位相特性が互いに相殺するようになって、離散成分を抑圧することができる。また、この構成によれば、離散成分そのものを減少させることができるようになるため、UWBのように周波数帯域が広帯域にわたり、固定パターンの繰り返し周期によって生じる離散成分の周期がUWBの周波数帯域よりも狭く、当該周波数帯域内に離散成分が発生してしまい、フィルタ等を用いて離散成分のみを除去することが困難となる場合においても、受信品質の劣化を防止することが可能となる。さらに、受信側へプレフィックスバイナリビットが付加される位置を予め通知しておくようにすることで、差動検出結果に残存するプレフィックスバイナリビットに対応した波形を取り除くことができるため、比較的簡易な構成でソースデータを復調することができる。
本発明は、インパルス無線通信において、離散成分を抑圧することができ、例えば、インパルス無線通信システムにおいて用いられる送信装置、通信システム、およびインパルス無線変調方法などに有用である。
本発明の実施の形態に係るインパルス無線送信装置の要部構成を示すブロック図 プレフィックスビット結合部および差動符号化部の要部構成を示すブロック図 上記実施の形態に係るインパルス無線受信装置の要部構成を示すブロック図 遅延検波部の代表的な構成を示すブロック図 同期部の代表的な要部構成を示すブロック図 上記実施の形態に係るインパルス無線受信装置の要部構成を示すブロック図 プレフィックスビット付加後のインパルス無線変調信号の波形を示す図 差動検出部の出力波形を示す図 プレフィックスビット付加後のインパルス無線変調信号の波形を示す図 差動検出部の出力波形を示す図 プレフィックスビット結合部の要部構成を示すブロック図 送信信号s(t)とマルチパス伝搬路を経由した受信信号r(t)の波形を示す図 送信信号、マルチパス伝搬路を経由した受信信号および差動検出部の出力の波形を示す図
符号の説明
100 送信装置
102 スクランブラ
104 プレフィクスビット生成部
106 プレフィクスビット結合部
108 差動符号化部
110 IR変調部
112 RF送信部
114 送信アンテナ
200 受信装置
202 受信アンテナ
204 RF受信部
206 遅延検波部
208 同期部
210,2082−1,2082−2 積分器
212 IR復調部
214 デスクランブラ
216 差動検出部
1062 クロック
1064 スイッチ
1066 クロック制御部
1082 AND演算器
1084,2064 遅延器
2068 乗算器
2080 クロック発生器
2084 比較器

Claims (8)

  1. 符号‘0’または符号‘1’のプレフィックスバイナリビットをランダムに生成する生成手段と、
    ソースデータ列に前記プレフィックスバイナリビットを付加して結合データ列を得る付加手段と、
    前記結合データ列に対し差動符号化することにより、符号化データ列を得る差動符号化手段と、
    前記符号化データ列にインパルス無線変調を施しインパルス無線変調信号を得る変調手段と、
    前記インパルス無線変調信号を送信する送信手段と、
    を具備する送信装置。
  2. 前記プレフィックスバイナリビットは、符号‘0’と符号‘1’とが等しい確率で出現する
    請求項1に記載の送信装置。
  3. 前記付加手段は、
    前記ソースデータ列の先頭に前記プレフィックスバイナリビットを1ビット付加する
    請求項1に記載の送信装置。
  4. 前記付加手段は、
    前記ソースデータ列の先頭以外の位置に前記プレフィックスバイナリビットをさらに付加する
    請求項3に記載の送信装置。
  5. 前記付加手段は、
    前記ソースデータ列の先頭以外の位置に付加される前記プレフィックスバイナリビットの位置を、前記ソースデータ列の繰り返し周期ごとに選択する
    請求項4に記載の送信装置。
  6. 符号‘0’または符号‘1’のプレフィックスバイナリビットをランダムに生成する生成手段と、
    前記ソースデータ列に前記プレフィックスバイナリビットを付加して結合データ列を得る付加手段と、
    前記結合データ列に対し差動符号化することにより、符号化データ列を得る差動符号化手段と、
    前記符号化データ列にインパルス無線変調を施し、インパルス無線変調信号を得る変調手段と、
    前記インパルス無線変調信号を送信する送信手段と、
    を有するインパルス無線送信装置と、
    前記インパルス無線変調信号を受信する受信手段と、
    受信した前記インパルス無線変調信号に対し差動検出する差動検出手段と、
    前記差動検出手段により得られた差動検出結果から前記ソースデータ列を得る復調手段と、
    を有するインパルス無線受信装置と、
    を具備する通信システム。
  7. 前記差動検出手段は、
    前記インパルス無線変調信号を1ビット時間長だけ遅延して遅延信号を得る遅延手段と、
    前記受信手段から出力された前記インパルス無線変調信号と前記遅延信号とを乗算する乗算手段と、
    前記乗算手段により得られた乗算結果を用いて同期を取りながら、前記乗算結果を積分する積分手段と、
    前記積分手段により得られた積分結果から、前記プレフィックスバイナリビットに対応する前記積分結果を除去することにより前記差動検出結果を得る除去手段と、を具備する
    請求項6に記載の通信システム。
  8. 符号‘0’または符号‘1’のプレフィックスバイナリビットをランダムに生成する生成ステップと、
    前記ソースデータ列に前記プレフィックスバイナリビットを付加して結合データ列を得る結合ステップと、
    前記結合データ列に対し差動符号化することにより、符号化データ列を得る符号化ステップと、
    前記符号化データ列にインパルス無線変調を施し、インパルス無線変調信号を得る変調ステップと、
    を有するインパルス無線変調方法。
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JP2010171859A (ja) * 2009-01-26 2010-08-05 Furukawa Electric Co Ltd:The 無線通信装置
WO2019072242A1 (zh) * 2017-10-12 2019-04-18 中兴通讯股份有限公司 数据处理方法及装置

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