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JP2008003541A - 偏光板保護フィルムとそれを用いた偏光板及び液晶表示装置 - Google Patents

偏光板保護フィルムとそれを用いた偏光板及び液晶表示装置 Download PDF

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JP2008003541A
JP2008003541A JP2006286545A JP2006286545A JP2008003541A JP 2008003541 A JP2008003541 A JP 2008003541A JP 2006286545 A JP2006286545 A JP 2006286545A JP 2006286545 A JP2006286545 A JP 2006286545A JP 2008003541 A JP2008003541 A JP 2008003541A
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Yoshirou Futamura
恵朗 二村
Takashi Kobayashi
孝史 小林
Hidetoshi Watabe
英俊 渡部
Atsushi Watabe
淳 渡部
Takato Suzuki
貴登 鈴木
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Abstract

【課題】液晶表示装置において、高湿または低湿での光漏れが発生せず、虹状のムラが発生しない偏光板保護フィルムを提供すること。該偏光板保護フィルムを用いた偏光板及び液晶表示装置を提供すること。
【解決手段】透湿度が700g/m2・day以下でありかつ面内のレターデーションReが500nm以上のポリエステル樹脂を主成分とするフィルムの少なくとも一方の面に光散乱層を設けた偏光板保護フィルムとする。
【選択図】なし

Description

本発明は偏光板保護フィルムとそれを用いた偏光板及び液晶表示装置に関するものである。
情報産業の著しい発達に伴って、各所で表示装置が活用されるようになっている。特に液晶表示装置の発達はめざましく、様々な機器に搭載されるようになった。
これら液晶表示装置において、設置環境での表示品質の安定性は重要な項目となっている。そして、表示品質の安定性に関わるものとして、液晶表示装置において使用されている偏光板について、その安定性、耐久性が求められている。
偏光板は通常2枚の保護フィルムで偏光子をサンドイッチして作られており、偏光板保護フィルムとしてはトリアセチルセルロース(TAC)が好ましく用いられている。
しかしながら、TACは水分をある程度透過させるため長期間の高湿状態や低湿状態にさらされると光漏れ等が発生し、表示品質が保てず特にTNモードでは問題となる場合がある。
また、近年偏光板の薄型化の要求があり、偏光板を薄くするために、保護フィルムであるトリアセチルセルロースフィルム(TACフィルム)を薄くすると透湿性が悪化したり、寸法安定性が低下するといった問題があり、特に40μm未満の薄膜フィルムでは著しい物性低下が起こるために、偏光板に十分な耐久性を付与することが困難であった。
偏光板の耐久性向上のために、偏光板保護フィルムとしてセルロースエステル樹脂の代わりに、延伸された高分子フィルム例えばポリエステル樹脂を主成分とする保護フィルムを用いることが開示されている(特許文献1〜5)。
しかしながら、これらの方法では、TACを用いた場合に比べ偏光板の耐久性は向上するものの、虹状のムラが発生し視認性が悪いという問題があった。
特開2000−356714号公報 特開2002−8223号公報 特開2002−116320号公報 特開2004−205773号公報 特開2004−219620号公報
本発明の目的は、液晶表示装置において、高湿または低湿での光漏れが発生せず、虹状のムラが発生しない偏光板保護フィルムと、それを用いた偏光板及び液晶表示装置を提供することにある。
本発明の発明者らは、上記虹状ムラの発現メカニズムが延伸されているがゆえに大きな複屈折が発現しそれによる複屈折干渉により説明できることを明らかにし、ポリエステル表面に光を散乱する層を設ける事で、虹状のムラが発生しないことを見出し、本発明をなすに至った。
〔1〕
透湿度が700g/m2・day以下でありかつ面内のレターデーションReが500nm以上のポリエステル樹脂を主成分とするフィルムの少なくとも一方の面に光散乱層を設けたことを特徴とする偏光板保護フィルム。
〔2〕
全ヘイズが10〜80%であることを特徴とする〔1〕記載の偏光板保護フィルム。
〔3〕
表面ヘイズが0.3〜70%であることを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載の偏光板保護フィルム。
〔4〕
内部ヘイズが10〜80%であることを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の偏光板保護フィルム。
〔5〕
前記ポリエステル樹脂を主成分とするフィルムの380nmの透過率が0〜50%であり、600nmの透過率が80〜100%であることを特徴とする〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の偏光板保護フィルム。
〔6〕
前記ポリエステル樹脂を主成分とするフィルムが紫外線吸収剤を含有していることを特徴とする〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の偏光板保護フィルム。
〔7〕
前記紫外線吸収剤が、窒素ガス下、300℃の温度に到達するまで10℃/分の昇温速度で昇温した場合の質量減量%が10%以下である紫外線吸収剤を含有していることを特徴とする〔6〕に記載の偏光板保護フィルム。
〔8〕
前記紫外線吸収剤が、下記一般式(1)で表される紫外線吸収剤の少なくとも一種であることを特徴とする特徴とする〔6〕又は〔7〕に記載の偏光板保護フィルム。
Figure 2008003541
式中、X1、Y1およびZ1は、それぞれ独立して、置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基またはヘテロ環基を示し、X1、Y1およびZ1のうち少なくとも一つは下記構造式(A)で示される置換基を表す。
Figure 2008003541
式中、R1およびR2は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、アシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、カルボキシル基もしくはその塩またはスルホ基もしくはその塩を表す。隣り合うR1およびR2が連結して環を形成してもよい。
〔9〕
前記ポリエステル樹脂を主成分とするフィルムの含水率が1%以下であることを特徴とする〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の偏光板保護フィルム。
〔10〕
前記ポリエステル樹脂を主成分とするフィルムの弾性率が3〜7GPaであることを特徴とする〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の偏光板保護フィルム。
〔11〕
前記ポリエステル樹脂を主成分とするフィルムの膜厚が5〜200μmであることを特徴とする〔1〕〜〔10〕のいずれかに記載の偏光板保護フィルム。
〔12〕
前記ポリエステル樹脂のガラス転移温度が80℃以上であることを特徴とする〔1〕〜〔11〕のいずれかに記載の偏光板保護フィルム。
〔13〕
前記ポリエステル樹脂がスルホン酸又はその塩から選ばれる基を有することを特徴とする〔1〕〜〔12〕のいずれかに記載の偏光板保護フィルム。
〔14〕
前記ポリエステル樹脂を主成分とするフィルムの少なくとも一方の面がコロナ放電処理されていることを特徴とする〔1〕〜〔13〕のいずれかに記載の偏光板保護フィルム。
〔15〕
前記ポリエステル樹脂を主成分とするフィルムの少なくとも一方の面がグロー放電処理されていることを特徴とする〔1〕〜〔13〕のいずれかに記載の偏光板保護フィルム。
〔16〕
前記ポリエステル樹脂を主成分とするフィルムの少なくとも一方の面に易接着層を形成したことを特徴とする〔1〕〜〔15〕のいずれかに記載の偏光板保護フィルム。
〔17〕
前記ポリエステル樹脂を主成分とするフィルムの両面に易接着層を形成したことを特徴とする〔1〕〜〔15〕のいずれかに記載の偏光板保護フィルム。
〔18〕
前記易接着層が、アクリル酸エステル系ラテックス、メタクリル酸系ラテックス、スチレン系ラテックスから選ばれる少なくとも一種を含有することを特徴とする〔16〕又は〔17〕に記載の偏光板保護フィルム。
〔19〕
前記易接着層が紫外線吸収剤を含有することを特徴とする〔16〕〜〔18〕のいずれかに記載の偏光板保護フィルム。
〔20〕
前記易接着層が導電性金属酸化物を含有することを特徴とする〔16〕〜〔19〕のいずれかに記載の偏光板保護フィルム。
〔21〕
前記易接着層が50〜1000nm厚であることを特徴とする〔16〕〜〔20〕に記載の偏光板保護フィルム。
〔22〕
前記易接着層上に親水性高分子を含有する層をさらに形成したことを特徴とする〔16〕〜〔21〕のいずれかに記載の偏光板保護フィルム。
〔23〕
前記親水性高分子を含有する層が紫外線吸収剤を含むことを特徴とする〔22〕に記載の偏光板保護フィルム。
〔24〕
前記親水性高分子を含有する層が50〜1000nm厚であることを特徴とする〔22〕又は〔23〕に記載の偏光板保護フィルム。
〔25〕
前記ポリエステル樹脂を主成分とするフィルムがその製造においてフィルム搬送方向に1.5倍以上7倍以下かつ搬送方向に対し直交する方向に1.5倍以上7倍以下延伸されたものであることを特徴とする〔1〕〜〔24〕に記載の偏光板保護フィルム。
〔26〕
偏光子と〔1〕〜〔25〕のいずれかに記載の偏光板保護フィルムとを有することを特徴とする偏光板。
〔27〕
偏光子を挟むもう一方の偏光板保護フィルムがセルロースエステルフィルムを主成分とするフィルムを有するものであることを特徴とする〔26〕に記載の偏光板。
〔28〕
偏光子を挟むもう一方の偏光板保護フィルムが視野角補償機能を持つことを特徴とする〔26〕又は〔27〕に記載の偏光板。
〔29〕
偏光子を挟むもう一方の偏光板保護フィルムが光学異方性層が塗布されているものであることを特徴とする〔26〕〜〔28〕のいずれかに記載の偏光板。
〔30〕
液晶セルを挟む偏光板のうち少なくとも一方が〔26〕〜〔29〕のいずれかに記載の偏光板であることを特徴とする液晶表示装置。
〔31〕
〔26〕〜〔29〕のいずれかに記載の偏光板が液晶セルの視認側にのみ設置されていることを特徴とする〔30〕に記載の液晶表示装置。
〔32〕
さらに輝度向上フィルムが搭載されていることを特徴とする〔30〕又は〔31〕に記載の液晶表示装置。
〔33〕
前記輝度向上フィルムと隣接する偏光板保護フィルムとが密着していることを特徴とする〔32〕に記載の液晶表示装置。
〔34〕
表示モードがTNモードであることを特徴とする〔30〕〜〔33〕のいずれかに記載の液晶表示装置。
透湿度が低くReの高いポリエステルフィルムに光散乱層を設けた本発明の偏光板保護フィルムを用いた偏光板、液晶表示装置とすることにより、液晶表示装置において、高湿または低湿での光漏れが発生せず、虹状のムラも発生しなかった。
《ポリエステル樹脂とそれにより形成されるフィルム》
(ポリエステル)
本発明に用いられるポリエステル樹脂は特に構造的な限定はない。その中で特に望ましいものは、芳香族系ジカルボン酸と、脂肪族系グリコールを用い縮重合させて得られる樹脂である。
具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート等を挙げることができる。中でも、コストや機械的強度の観点から、ポリエチレンテレフタレートを用いることが特に好ましい。
芳香族ジカルボン酸としてはテレフタル酸のほか、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などがあり、またこれらの低級アルキルエステル(無水物、低級アルキルエステル等のエステル形成可能な誘導体)を使用することができる。
脂肪族系グリコールとしてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、p−キシリレングリコールなどがある。
なかでもテレフタル酸とエチレングリコールの反応により得られたポリエチレンテレフタレートを主成分とすることが好ましい。
主成分がポリエチレンテレフタレートであるとは、ポリエチレンテレフタレートの繰返し単位が80モル%以上の共重合体、あるいはブレンドされている場合は、ポリエチレンテレフタレートを80質量%以上含有していることをいう。
本発明において用いられる、ポリエステル中にスルホン酸基を含有させるために用いられるスルホン酸およびその塩から選ばれる基を有する芳香族ジカルボン酸としては、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、2−ナトリウムスルホイソフタル酸、4−ナトリウムスルホイソフタル酸、4−ナトリウムスルホ−2,6−ナフタレンジカルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体、およびこれらのナトリウムを他の金属(例えばカリウム、リチウムなど)で置換した化合物が用いられる。
また、グリコール中にスルホン酸およびその塩から選ばれる基を導入したものを用いてもよいが、ポリエステル中にスルホン酸基を含有させるために化合物として好ましいのは、前記スルホン酸基またはその塩を有する芳香族ジカルボン酸を用いることである。
これらのスルホン酸基またはその塩を有する芳香族ジカルボン酸成分が製造時に用いられる全芳香族ジカルボン酸の10モル%を越えると延伸性が劣ったり、機械的強度が劣ったものとなる場合があり、また1モル%未満では、十分な乾燥性が得られない場合がある。
本発明に用いられるポリエステルには、本発明の効果を阻害しない範囲で、さらに他の成分が共重合されていても良いし、他のポリマーがブレンドされていても良い。
上記以外の他の芳香族ジカルボン酸又はその誘導体として、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸及びその低級アルキルエステル(無水物、低級アルキルエステル等のエステル形成可能な誘導体)を用いることができる。また製造の際、シクロプロパンジカルボン酸、シクロブタンジカルボン酸及びヘキサヒドロテレフタル酸などの脂環式ジカルボン酸及びその誘導体(無水物、低級アルキルエステル等のエステル形成可能な誘導体)、アジピン酸、コハク酸、シュウ酸、アゼライン酸、セバシン酸及びダイマー酸などの脂肪族ジカルボン酸及びその誘導体(無水物、低級アルキルエステルなどのエステル形成可能な誘導体)を全ジカルボン酸の10モル%以下の量で使用しても良い。
本発明で使用することができるグリコールとしてはエチレングリコールおよび前記のグリコールの他、トリメチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA、p,p′−ジヒドロキシフェニルスルフォン、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ポリアルキレン(例、エチレン、プロピレン)グリコール、及びp−フェニレンビス(ジメチロールシクロヘキサン)などを挙げることができ、これらは用いられるグリコールの10モル%以下の量で使用しても良い。
本発明に用いられるポリエステルは、例えば安息香酸、ベンゾイル安息香酸、ベンジルオキシ安息香酸、メトキシポリアルキレングリコールなどの1官能性化合物によって末端の水酸基および/またはカルボキシル基を封鎖したものであってもよく、あるいは、例えば極く少量のグリセリン、ペンタエリスリトールの如き3官能、4官能エステル形成化合物で実質的に線状の共重合体が得られる範囲内で変性されたものでもよい。
また、本発明に用いられるポリエステルには、フィルムの耐熱性を向上する目的で、ビスフェノール系化合物、ナフタレン環又はシクロヘキサン環を有する化合物を共重合することができる。
また、本発明に用いられるポリエステルはガラス転移温度(Tg)が80℃以上であることが好ましく、更に90℃以上であることが好ましい。80℃未満では得られたフィルムの高温高湿下での寸法安定性に劣る場合がある。Tgは動的粘弾性測定のtanδのピークより求められる。
〔酸化防止剤〕
本発明に用いられるポリエステルには、酸化防止剤が含有されていてもよい。特にポリエステルが、ポリオキシアルキレン基を有する化合物を含む場合に効果が顕著となる。含有させる酸化防止剤はその種類につき特に限定はなく、各種の酸化防止剤を使用することができるが、例えば、ヒンダードフェノール系化合物、ホスファイト系化合物、チオエーテル系化合物等の酸化防止剤を挙げることができる。中でも透明性の点でヒンダードフェノール系化合物の酸化防止剤が好ましい。酸化防止剤の含有量は、通常、ポリエステルに対して0.01〜2質量%、好ましくは0.1〜0.5質量%である。
本発明のポリエステルフィルムには、必要に応じて易滑性を付与することもできる。易滑性付与手段としては、特に限定はないが、ポリエステルに不活性無機粒子を添加する外部粒子添加方法、ポリエステルの合成時に添加する触媒を析出させる内部粒子析出方法、或いは界面活性剤等をフィルム表面に塗布する方法等が一般的である。
〔紫外線吸収剤〕
本発明のポリエステルフィルムには、偏光子および液晶の劣化防止のため必要に応じて紫外線吸収剤を添加することもできる。
紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶表示性の観点から、紫外線吸収剤としては、紫外線吸収剤を添加したポリエステルフィルムの、波長380nmの透過率が0〜50%、好ましくは0〜30%、より好ましくは0〜10%、600nmの透過率が80〜100%、好ましくは85〜100%、より好ましくは90〜100%であるものが好ましく用いられる。
紫外線吸収剤は、窒素ガス下、300度の温度に到達するまで10度/分の昇温速度で昇温した場合の質量減量%が10%以下である揮散性の少ない紫外線吸収剤、あるいは紫外線吸収剤が、該紫外線吸収剤を0.4質量%含み、ポリエステル樹脂を300℃で1分加熱した後、厚さ1.5mmに成形した板のb値(色差計による測定値)と、前記ポリエステル樹脂を8分加熱した後、厚さ1.5mmに成形した板のb値との差が3.0以下であるような耐熱性を示す紫外線吸収剤、さらには、前記揮散性および耐熱性に関する性能を併せもつ紫外線吸収剤を少なくとも一種、練り込むことが好ましい。
窒素ガス下、300℃の温度に到達するまで10℃/分の昇温速度で昇温した場合の質量減量%が10%以下である揮散性の少ない紫外線吸収剤を用いると、透明ポリエステル樹脂に該紫外線吸収剤を添加して溶融混練した後、ダイ部から排出された直後のフィルムから紫外線吸収剤が揮散することが少ないため、紫外線吸収能の低下が防がれ、あるいは多量の紫外線吸収剤の使用を不要とする。また、紫外線吸収剤が多量に揮散すると、製造ラインにおいて揮散(昇華)した紫外線吸収剤がラインを汚し、これがまた、ライン中を進む支持体フィルムに付着するなどを起こすことにもなるが、本発明においてはこのようなことも回避することができる。前記の質量減量は好ましくは5%以下、さらには1%以下にすることがより好ましい。一般的に紫外線吸収剤の分子量を400以上とすることにより、質量減量を5%以下に抑制することができる。前記の特性を有する紫外線吸収剤としては、下記一般式(1)に示される構造式を有する紫外線吸収剤のほか、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸エステル系、シアノアクリレート系、ベンゾオキサジン系、トリアジン−クマリン共重合体系又、特開平6−148430号公報記載の高分子紫外線吸収剤、特開2002−31715号公報の高分子紫外線吸収剤も用いられる。
また、前記のごとき耐熱性を示す紫外線吸収剤は、ポリエステル樹脂と溶融混練する際の樹脂温度(たとえば300度)においても安定であり熱分解しないため、ポリエステル樹脂支持体に用いた場合、紫外線吸収剤の分解に基づく支持体フィルムの黄色化や紫外線吸収能の低下を抑制することができる。また、紫外線吸収剤の分解に起因して生ずるポリエステル樹脂の分解(ポリエステル樹脂の低分子量化)を防ぐこともできる。前記b値の差が好ましくは2.0以下、さらには1.0以下にすることが好ましい。前記の特性を有する紫外線吸収剤としては、下記一般式(1)に示される構造式を有する紫外線吸収剤のほか、ベンゾオキサジン系紫外線吸収剤等が挙げられる。
また、前記2つの特性を併せ持つ紫外線吸収剤を用いることにより、前記の効果を併せ発揮することが可能となる。このような特性を有する紫外線吸収剤としては、下記一般式(1)に示される構造式を有する紫外線吸収剤のほか、ベンゾオキサジン系紫外線吸収剤等が挙げられる。
さらに、前記のごとき揮散性および/または耐熱性を有する紫外線吸収剤を、支持体を成膜する際に、同時に混練せしめて、紫外線吸収能を有する支持体を容易に作製することができる。
また、本発明においては、一般式(1)で示される紫外線吸収剤を用いることが好ましい。下記一般式(1)で示される紫外線吸収剤は、高温において安定でありかつ揮散性が少ないので、ポリエステル樹脂に前記紫外線吸収剤を添加して溶融混練する際の樹脂温度(たとえば300度)においても安定であり熱分解せず、また、ダイ部から出た直後において揮散することもない。したがって、フィルムの黄色化や紫外線吸収能の低下を抑制することができる。また、前記の工程簡素化等の効果を有することも勿論である。
Figure 2008003541
式中、X1、Y1およびZ1は、それぞれ独立して、置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基またはヘテロ環基を示し、X1、Y1およびZ1のうち少なくとも一つは下記構造式(A)で示される置換基を表す。
Figure 2008003541
式中、R1およびR2は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、アシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、カルボキシル基もしくはその塩またはスルホ基もしくはその塩を表す。隣り合うR1およびR2が連結して環を形成してもよい。
前記一般式(1)および構造式(A)におけるX1、Y1、Z1、R1およびR2のアルキル基は、炭素数1〜20が好ましく、置換基〔例えば、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子(例えば塩素、臭素、フッ素)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、ブトキシ、オクチルオキシ、フェノキシエトキシ)、アリーロキシ基(例えばフェノキシ)、エステル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、オクチルオキシカルボニル、ドデシルオキシカルボニル)、カルボニルオキシ基(例えば、エチルカルボニルオキシ、ヘプチルカルボニルオキシ、フェニルカルボニルオキシ)、アミノ基(例えば、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ)、アリール基(例えば、フェニル、トリル、4−メトキシフェニル)、カルボンアミド基(例えば、メチルカルボニルアミド、フェニルカルボニルアミド)、カルバモイル基(例えば、エチルカルバモイル、フェニルカルバモイル)、スルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド)、スルファモイル基(例えば、ブチルスルファモイル、フェニルスルファモイル、メチルオクチルアミノスルホニル)、カルボキシル基およびその塩、スルホ基およびその塩〕を有していてもよい。具体的には、メチル、エチル、プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、t−ペンチル、ヘキシル、オクチル、2−エチルヘキシル、t−オクチル、デシル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、ベンジル、フェネチル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ビシクロ[2,2,2]オクチル等の基及び上述の置換基を有する基を挙げることができる。
前記一般式(1)および構造式(A)におけるX1、Y1、Z1、R1およびR2のアリール基は、炭素数6〜10が好ましく、置換基〔例えばアルキル基(メチル、エチル、プロピル、iso−プロピル、ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、t−ペンチル、オクチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル)及び前記のアルキル基が有してもよい置換基として挙げた基〕を有していてもよい。アリール基として具体的には、フェニル、ナフチルを挙げることができる。
前記一般式(1)および構造式(A)におけるX1、Y1、Z1、R1およびR2のアルコキシ基は、炭素数1〜20が好ましく、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、イソブトキシ、n−オクトキシ、イソオクトキシ、ドデシルオキシ、ベンジルオキシ、オクタデシルオキシ等を挙げることができ、これらは前記したアルキル基が有してもよい置換基として挙げた基で置換されていてもよい。
前記一般式(1)および構造式(A)におけるX1、Y1、Z1、R1およびR2のアリールオキシ基は、炭素数6〜10が好ましく、例えばフェノキシ、ナフトキシを挙げることができ、これらは前記したアリール基が有してもよい置換基として挙げた基で置換されていてもよい。
前記一般式(1)および構造式(A)におけるX1、Y1、Z1、R1およびR2のアルキルチオ基は、炭素数1〜20が好ましく、例えば、メチルチオ、ヘキシルチオ、オクチルチオ、ヘキサデシルチオ等を挙げることができる。
前記一般式(1)および構造式(A)におけるX1、Y1、Z1、R1およびR2のアリールチオ基は、炭素数6〜10が好ましく、例えば、フェニルチオ、ナフチルチオを挙げることができる。これらのアルキルチオ基及びアリールチオ基は前記したアルキル基又はアリール基が有してもよい置換基として挙げた基で置換されていてもよい。
前記一般式(1)におけるX1、Y1およびZ1のヘテロ環基は、フラン、チオフェン、インドール、ピロール、ピラブール、イミダゾール、ピリジン等を挙げることができ、前記したアリ−ル基が有してもよい置換基として挙げた基で置換されていてもよい。
前記構造式(A)におけるR1およびR2のアルケニル基は、炭素数3〜20が好ましく、アリル、2−ブテニル、3−ブテニル、オレイルを挙げることができ、これらは前記アルキル基が有してもよい置換基として挙げた基で置換されていてもよい。
前記構造式(A)におけるR1およびR2のアシルオキシ基は、炭素数2〜20が好ましく、アセチルオキシ、ヘキサノイルオキシ、デカノイルオキシ、ステアロイルオキシ、ベンゾイルオキシ等を挙げることができ、前記したアリール基が有してもよい置換基として挙げた基で置換されていてもよい。
前記構造式(A)におけるR1およびR2のアミノ基は、炭素数0〜40の置換もしくは無置換のアミノ基が好ましく、例えば無置換のアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、オクチルアミノ、ジヘキシルアミノ、ジステアリルアミノ、ジイソブチルアミノ、アニリノ、ジフェニルアミノ、メチルフェニルアミノ、ホルムアミド、アセチルアミノ、ヘキサノイルアミノ、デカノイルアミノ、ステアロイルアミノ、ベンゾイルアミノ、メタンスルホンアミド、エタンスルホンアミド、ノナンスルホンアミド、ブタンスルホンアミド、ドデカンスルホンアミド、オクタデカンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、メトキシカルボニルアミノ、フェノキシカルボニルアミノ、カルバモイルアミノ、シクロヘキシルカルバモイルアミノ、ジエチルカルバモイルアミノ等を挙げることができ、前記したアリール基が有してもよい置換基として挙げた基で置換されていてもよい。
前記構造式(A)におけるR1およびR2のアシル基は、炭素数1〜20が好ましく、アセチル、ブタノイル、ピバロイル、オクタノイル、ヘキサデカノイル、ベンゾイル等を挙げることができ、前記したアリール基が有してもよい置換基として挙げた基で置換されていてもよい。
前記構造式(A)におけるR1およびR2のオキシカルボニル基は、炭素数2〜20が好ましく、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、ヘプチルオキシカルボニル、テトラデシルオキシカルボニル、オクタデシルオキシカルボニル、フェノキシカルボニル等を挙げることができ、前記したアリール基が有してもよい置換基として挙げた基で置換されていてもよい。
前記構造式(A)におけるR1およびR2のカルバモイル基は、炭素数1〜20が好ましく、例えば無置換のカルバモイル、メチルカルバモイル、プロピルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、オクチルカルバモイル、ドデシルカルバモイル、ヘキサデシルカルバモイル、オクタデシルカルバモイル、フェニルカルバモイル等を挙げることができ、前記したアリール基が有してもよい置換基として挙げた基で置換されていてもよい。
前記構造式(A)におけるR1およびR2のスルファモイル基は、炭素数0〜20が好ましく、無置換のスルファモイル、エチルスルファモイル、ブチルスルファモイル、ヘプチルスルファモイル、テトラデシルスルファモイル、ジブチルスルファモイル、オクタデシルスルファモイル、フェニルスルファモイル等を挙げることができ、前記したアリール基が有してもよい置換基として挙げた基で置換されていてもよい。
前記構造式(A)におけるR1およびR2のハロゲン原子は、フッ素、塩素、臭素等を挙げることができる。
また、前記一般式(1)で示される紫外線吸収剤の分子量は400以上であることが好ましい。分子量が400以上の紫外線吸収剤は、特に揮散性が低いので製造ラインを汚すことなく、低添加量で必要な紫外線吸収能を与えることができる。
ベンゾオキサジンの具体例としては下記の分子(BO−1)が挙げられる。
分子(BO−1)
Figure 2008003541
(ポリエステルの合成方法)
本発明に用いるポリエステルの合成方法は、特に限定があるわけではなく、前述したように従来公知のポリエステルの製造方法に従って製造できる。例えば、ジカルボン酸成分をジオール成分と直接エステル化反応させる直接エステル化法、初めにジカルボン酸成分としてジアルキルエステルを用いて、これとジオール成分とでエステル交換反応させ、これを減圧下で加熱して余剰のジオール成分を除去することにより重合させるエステル交換法を用いることができる。この際、必要に応じてエステル交換触媒或いは重合反応触媒を用い、或いは耐熱安定剤を添加することができる。この際、共重合成分である金属スルホネート基を有する芳香族ジカルボン酸類やポリエチレングリコールをエステル交換反応後に添加し、重縮合を行うことが好ましい。また、合成時の各過程で着色防止剤、酸化防止剤、結晶核剤、すべり剤、安定剤、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、粘度調節剤、消泡剤、透明化剤、帯電防止剤、pH調整剤、染料、顔料等を添加させてもよい。
(ポリエステルフィルムの製造方法)
次に本発明のポリエステルフィルムの製造方法について説明する。
本発明においてポリエステルフィルムは、二軸延伸製膜されたポリエステルフィルムであることが好ましい。
上記ポリエステルフィルムを得るには、従来公知の方法で行うことができ、特に限定されないが、以下の様な方法で行うことができる。この場合、縦方向とは、フィルムの製膜方向(長手方向)を、横方向とはフィルムの製膜方向と直角方向のことをいう。
先ず、原料のポリエステルをペレット状に成型し、熱風乾燥又は真空乾燥した後、溶融押出し、Tダイよりシート状に押出して、静電印加法等により冷却ドラムに密着させ、冷却固化させ、未延伸シートを得る。次いで、得られた未延伸シートを複数のロール群及び/又は赤外線ヒーター等の加熱装置を介してポリエステルのガラス転移温度(Tg)からTg+100℃の範囲内に加熱し、一段又は多段縦延伸する方法である。
次に、上記のようにして得られた縦方向に延伸されたポリエステルフィルムを、Tg〜Tm(融点)の温度範囲内で、横延伸し次いで熱固定する。
熱固定されたフィルムは通常Tg以下まで冷却され、フィルム両端のクリップ把持部分をカットし巻き取られる。この際、最終熱固定温度以下、Tg以上の温度範囲内で、横方向及び/又は縦方向に0.1〜10%弛緩処理することが好ましい。冷却、弛緩処理する手段は特に限定はなく、従来公知の手段で行えるが、特に複数の温度領域で順次冷却しながら、これらの処理を行うことが、フィルムの寸法安定性向上の点で好ましい。
これら熱固定条件、冷却、弛緩処理条件のより最適な条件は、フィルムを構成するポリエステルにより異なるので、得られた延伸フィルムの物性を測定し、好ましい特性を有するように適宜調整して決定すればよい。
二軸延伸されたポリエステルフィルムは、十分に分子配向が制御されているため優れた機械強度を有する。なお、延伸倍率は特に制限されるものではないが、フィルム搬送方向に1.5倍以上7倍以下かつ搬送方向に対し直交する方向に1.5倍以上7倍以下延伸することが好ましく、より好ましくは各2.5〜5倍程度である。特に、1軸方向あたりの延伸倍率を3〜5倍程度として二軸延伸させたフィルムは、分子配向がより効果的かつ効果的に制御されているので、非常に優れた機械強度を備え好適である。ただし、延伸倍率が1.5倍よりも小さいと充分な機械的強度が得られなくなる。一方で、延伸倍率が7倍を超えると均一な厚みを得ることが難しくなる。
このように二軸延伸することにより、低い透湿度でありながら十分なフィルム強度が得られる。
また、このように延伸を加えることにより必然的にフィルムの複屈折が上がり、十分な機械強度を持たせたものであると、面内のレターデーションReが500nm以上、好ましくは1000nm以上さらに好ましくは1500nm以上となる。
また、上記フィルム製造に際し、延伸の前及び/又は後で帯電防止層、易滑性層、接着層、バリアー層等の機能性層を塗設してもよい。この際、コロナ放電処理、大気圧プラズマ処理、薬液処理等の各種表面処理を必要に応じて施すことができる。
カットされたフィルム両端のクリップ把持部分は、粉砕処理された後、或いは必要に応じて造粒処理や解重合・再重合等の処理を行った後、同じ品種のフィルム用原料として又は異なる品種のフィルム用原料として再利用してもよい。
(膜厚)
本発明のポリエステルフィルムの厚みは5〜200μm、好ましくは5〜100μm、さらに好ましくは膜厚40〜100μmである。
(透湿度)
本発明のポリエステルフィルムの透湿度は700g/m2・day以下であることが好ましく、300g/m2・day以下であることがより好ましく、100g/m2・day以下であることがもっとも好ましい。
透湿度が低いことにより、偏光板に加工し液晶表示装置に使用した際に、高湿低湿の環境下であっても光漏れ、偏光度の低下等の不具合が発生しづらい。
(弾性率)
本発明のポリエステルフィルムの弾性率は3〜7GPaであることが好ましい。
弾性率がこの範囲であると、偏光板に加工し液晶表示装置に使用した際に、高湿低湿の環境下であっても光漏れ、偏光度の低下等の不具合が発生しづらい。
(含水率)
本発明のポリエステルフィルムの含水率は1%以下であることが好ましい。
含水率がこの範囲であると、偏光板に加工し液晶表示装置に使用した際に、高湿低湿の環境下であっても光漏れ、偏光度の低下等の不具合が発生しづらい。
(層構成)
本発明のポリエステルフィルムは、上記ポリエステルフィルムからなる単独(単層)のフィルムでもよいが、本発明の効果を阻害しない範囲で、上記ポリエステルからなる層を少なくとも1層含む、複数の樹脂層からなる多層フィルムとしてもよい。上記ポリエステル層をA、その他の樹脂層をB及びCとすると、例えばA/B、A/B/A、B/A/B、B/A/Cのように構成できる。もちろん4層以上の構成にすることもできる。この様に多層構成にすることで、例えば、強度や水バリアー性の高いフィルムをコア層や外層に積層することにより、複数の機能を同時に付与することができる。
(微粒子添加)
また、滑り性を付与するためマット剤等の微粒子を添加する場合は、最外層のみに添加すれば効果が得られるので、透明性等を劣化させずに機能付与することが可能となる。
(添加できる微粒子)
添加できる微粒子としては特に限定はされないが、無機化合物の微粒子または有機化合物の微粒子が挙げられる。
無機化合物としては、珪素を含む化合物、二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウム等が好ましく、更に好ましくは、ケイ素を含む無機化合物や酸化ジルコニウムであるが、二酸化珪素が特に好ましく用いられる。
二酸化珪素の微粒子としては、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル社製)等の市販品が使用できる。
酸化ジルコニウムの微粒子としては、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル社製)等の市販品が使用できる。
有機化合物としては、例えば、シリコーン樹脂、弗素樹脂及びアクリル樹脂等のポリマーが好ましく、中でも、シリコーン樹脂が好ましく用いられる。
上記記載のシリコーン樹脂の中でも、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、トスパール103、同105、同108、同120、同145、同3120及び同240(以上東芝シリコーン社製)等の商品名を有する市販品が使用できる。
《光散乱層》
光散乱層は、本発明で用いるポリエステル樹脂を用いたフィルムに発生する複屈折干渉による虹状ムラを散乱により低減し、好ましくはフィルムの耐擦傷性を向上するためのハードコート性をフィルムに付与する目的で形成される。
光散乱層を形成する方法としては、特開平6−16851号公報記載のような表面に微細な凹凸を有するマット状の賦型フィルムをラミネートして形成する方法、特開2000−206317号公報記載のように電離放射線照射量の差による電離放射線硬化型樹脂の硬化収縮により形成する方法、特開2000−338310号公報記載のように乾燥にて透光性樹脂に対する良溶媒の質量比が減少することにより透光性微粒子および透光性樹脂とをゲル化させつつ固化させて塗膜表面に凹凸を形成する方法、特開2000−275404号公報記載のように外部からの圧力により表面凹凸を付与する方法などが知られており、これら公知の方法を利用することができる。
本発明で用いることができる光散乱層は好ましくはハードコート性を付与することのできるバインダー、光散乱性を付与するための透光性粒子、および溶媒を必須成分として含有し、透光性粒子自体の突起あるいは複数の粒子の集合体で形成される突起によって表面の凹凸を形成されるものであることが好ましい。
マット粒子の分散によって形成される光散乱層は、バインダーとバインダー中に分散された透光性粒子とからなる。光散乱層は、光散乱性とハードコート性を兼ね備えていることが好ましい。
[光散乱層のバインダー]
本発明の光散乱層は、電離放射線硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成されることができる。すなわち、バインダーとして電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーを含む塗布組成物を透明支持体上に塗布し、多官能モノマーや多官能オリゴマーを架橋反応、又は、重合反応させることにより形成することができる。
電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーの官能基としては、光、電子線、放射線重合性のものが好ましく、中でも光重合性官能基が好ましい。
光重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
光重合性官能基を有する光重合性多官能モノマーの具体例としては、
ネオペンチルグリコールアクリレート、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
2,2−ビス{4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル}プロパン、2−2−ビス{4−(アクリロキシ・ポリプロポキシ)フェニル}プロパン等のエチレンオキシドあるいはプロピレンオキシド付加物の(メタ)アクリル酸ジエステル類;
等を挙げることができる。
さらにはエポキシ(メタ)アクリレート類、ウレタン(メタ)アクリレート類、ポリエステル(メタ)アクリレート類も、光重合性多官能モノマーとして、好ましく用いられる。
中でも、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル類が好ましい。さらに好ましくは、1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマーが好ましい。具体的には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、1,2,4−シクロヘキサンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタグリセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールトリアクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールペンタアクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールトリアクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサトリアクリレート等が挙げられる。本明細書において、「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリロイル」は、それぞれ「アクリレートまたはメタクリレート」、「アクリル酸またはメタクリル酸」、「アクリロイルまたはメタクリロイル」を表す。
モノマーバインダーとしては、各層の屈折率を制御するために、屈折率の異なるモノマーを用いることが出来る。特に高屈折率モノマーの例としては、ビス(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィド、ビニルナフタレン、ビニルフェニルスルフィド、4−メタクリロキシフェニル−4’−メトキシフェニルチオエーテル等が含まれる。
また、例えば特開2005−76005号、同2005−36105号に記載されたデンドリマーや、例えば特開2005−60425号記載のようなノルボルネン環含有モノマーを用いることもできる。
多官能モノマーは、二種類以上を併用してもよい。
(開始剤)
これらのエチレン性不飽和基を有するモノマーの重合は、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤の存在下、電離放射線の照射または加熱により行うことができる。
光重合性多官能モノマーの重合反応には、光重合開始剤を用いることが好ましい。光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤と光カチオン重合開始剤が好ましく、特に好ましいのは光ラジカル重合開始剤である。
<光開始剤>
光ラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類(特開2001−139663号等)、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類、芳香族スルホニウム類、ロフィンダイマー類、オニウム塩類、ボレート塩類、活性エステル類、活性ハロゲン類、無機錯体、クマリン類などが挙げられる。
アセトフェノン類の例には、2,2−ジメトキシアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシ−ジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシ−ジメチル−p−イソプロピルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、が含まれる。
ベンゾイン類の例には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾインベンゼンスルホン酸エステル、ベンゾイントルエンスルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテルおよびベンゾインイソプロピルエーテルが含まれる。
ベンゾフェノン類の例には、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノンおよびp−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、3,3’、4、4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどが含まれる。
ボレート塩としては、例えば、特許第2764769号、特開2002−116539号等の各公報、および、Kunz,Martin“Rad Tech’98.Proceeding April 19〜22頁,1998年,Chicago”等に記載される有機ホウ酸塩記載される化合物があげられる。例えば、前記特開2002−116539号明細書の段落番号[0022]〜[0027]記載の化合物が挙げられる。またその他の有機ホウ素化合物としては、特開平6−348011号公報、特開平7−128785号公報、特開平7−140589号公報、特開平7−306527号公報、特開平7−292014号公報等の有機ホウ素遷移金属配位錯体等が具体例として挙げられ、具体例にはカチオン性色素とのイオンコンプレックス類が挙げられる。
ホスフィンオキシド類の例には、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドが含まれる。
活性エステル類の例には1、2−オクタンジオン、1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、スルホン酸エステル類、環状活性エステル化合物などが含まれる。
具体的には特開2000−80068記載の実施例記載化合物1〜21が特に好ましい。
オニウム塩類の例には、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩が挙げられる。
活性ハロゲン類としては、具体的には、若林 等の“Bull Chem.Soc Japan“42巻、2924頁(1969年)、米国特許第3,905,815号明細書、特開平5−27830号、M.P.Hutt“Jurnal of Heterocyclic Chemistry”1巻(3号),(1970年)等に記載の化合物が挙げられ、特に、トリハロメチル基が置換したオキサゾール化合物:s−トリアジン化合物が挙げられる。より好適には、少なくとも一つのモノ、ジまたはトリハロゲン置換メチル基がs−トリアジン環に結合したs−トリアジン誘導体が挙げられる。具体的な例にはS−トリアジンやオキサチアゾール化合物が知られており、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−(p−スチリルフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−(3−Br−4−ジ(エチル酢酸エステル)アミノ)フェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−トリハロメチル−5−(p−メトキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールが含まれる。具体的には特開昭58−15503のp14〜p30、特開昭55−77742のp6〜p10、特公昭60−27673のp287記載のNo.1〜No.8、特開昭60−239736のp443〜p444のNo.1〜No.17、US−4701399のNo.1〜19などの化合物が特に好ましい。
無機錯体の例にはビス(η−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウムが挙げられる。
クマリン類の例には3−ケトクマリンが挙げられる。
これらの開始剤は単独でも混合して用いても良い。
「最新UV硬化技術」,(株)技術情報協会,1991年,p.159、及び、加藤清視著,「紫外線硬化システム」平成元年,総合技術センター発行,p.65〜148にも、種々の例が記載されており本発明に有用である。
市販の光ラジカル重合開始剤としては、日本化薬(株)製のKAYACURE(DETX−S,BP−100,BDMK,CTX,BMS,2−EAQ,ABQ,CPTX,EPD,ITX,QTX,BTC,MCAなど)、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製のイルガキュア(651,184,500,819,907,369,1173,1870,2959,4265,4263など)、サートマー社製のEsacure(KIP100F,KB1,EB3,BP,X33,KT046,KT37,KIP150,TZT)等およびそれらの組み合わせが好ましい例として挙げられる。
光重合開始剤は、多官能モノマー100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
<光増感剤>
光重合開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。光増感剤の具体例として、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーケトンおよびチオキサントン、などを挙げることができる。
更にアジド化合物、チオ尿素化合物、メルカプト化合物などの助剤を1種以上組み合わせて用いてもよい。
市販の光増感剤としては、日本化薬(株)製のKAYACURE(DMBI,EPA)などが挙げられる。
<熱開始剤>
熱ラジカル開始剤としては、有機あるいは無機過酸化物、有機アゾ及びジアゾ化合物等を用いることができる。
具体的には、有機過酸化物として過酸化ベンゾイル、過酸化ハロゲンベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化ジブチル、クメンヒドロぺルオキシド、ブチルヒドロぺルオキシド、無機過酸化物として、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等、アゾ化合物として2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(プロピオニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)等、ジアゾ化合物としてジアゾアミノベンゼン、p−ニトロベンゼンジアゾニウム等が挙げられる。
[透光性粒子]
透光性粒子は有機粒子であっても、無機粒子であってもよい。透光性粒子としては、プラスチックビーズが好適であり、特に透明度が高く、バインダーとの屈折率差が0.01以上0.3以下になるものが好ましい。
有機粒子としては、ポリメチルメタクリレート粒子(屈折率1.49)、架橋ポリ(アクリル−スチレン)共重合体粒子(屈折率1.54)、メラミン樹脂粒子(屈折率1.57)、ポリカーボネート粒子(屈折率1.57)、ポリスチレン粒子(屈折率1.60)、架橋ポリスチレン粒子(屈折率1.61)、ポリ塩化ビニル粒子(屈折率1.60)、ベンゾグアナミン−メラミンホルムアルデヒド粒子(屈折率1.68)等が用いられる。
無機粒子としては、シリカ粒子(屈折率1.44)、アルミナ粒子(屈折率1.63)、ジルコニア粒子、チタニア粒子、また中空や細孔を有する無機粒子が挙げられる。
なかでも架橋ポリスチレン粒子、架橋ポリ((メタ)アクリレート)粒子、架橋ポリ(アクリル−スチレン)粒子が好ましく用いられ、これらの粒子の中から選ばれた各透光性粒子の屈折率にあわせてバインダーの屈折率を調整することにより、目的とする内部ヘイズ、表面ヘイズ、中心線平均粗さを達成することができる。
バインダー(透光性樹脂)と透光性粒子との屈折率は、1.45〜1.70であることが好ましく、より好ましくは1.48〜1.65である。屈折率を前記範囲とするには、バインダー及び透光性粒子の種類及び量割合を適宜選択すればよい。どのように選択するかは、予め実験的に容易に知ることができる。
ここで、バインダーの屈折率は、アッベ屈折計で直接測定するか、分光反射スペクトルや分光エリプソメトリーを測定するなどして定量評価できる。前記透光性粒子の屈折率は、屈折率の異なる2種類の溶媒の混合比を変化させて屈折率を変化させた溶媒中に透光性粒子を等量分散して濁度を測定し、濁度が極小になった時の溶媒の屈折率をアッベ屈折計で測定することで測定される。
上記のような透光性粒子の場合には、バインダー中で透光性粒子が沈降し易いので、沈降防止のためにシリカ等の無機フィラーを添加してもよい。なお、無機フィラーは添加量が増す程、透光性粒子の沈降防止に有効であるが、塗膜の透明性に悪影響を与える。従って、好ましくは、粒径0.5μm以下の無機フィラーを、バインダーに対して塗膜の透明性を損なわない程度に、0.1質量%未満程度含有させるとよい。
透光性粒子の平均粒径は0.5〜10μmが好ましく、より好ましくは2.0〜8.0μmである。平均粒径が0.5μm以上、10μm以下であると、ディスプレイの文字ボケを引き起こさず、かつカールやコスト上昇といった問題が生じないため、好ましい。
また、粒子径の異なる2種以上の透光性粒子を併用して用いてもよい。より大きな粒子径の透光性粒子で光散乱性を付与し、より小さな粒子径の透光性粒子で表面のザラツキ感を低減することが可能である。
前記透光性粒子は、添加層全固形分中に3〜30質量%含有されるように配合される。より好ましくは5〜20質量%である。3質量%未満であると、添加効果が不足し、30質量%を超えると、画像ボケや表面の白濁やギラツキ等の問題が生じる。
また、透光性粒子の密度は、好ましくは10〜1000mg/m2、より好ましくは100〜700mg/m2である。
<透光性粒子調製、分級法>
透光性粒子の製造法は、懸濁重合法、乳化重合法、ソープフリー乳化重合法、分散重合法、シード重合法等を挙げることができ、いずれの方法で製造されてもよい。これらの製造法は、例えば「高分子合成の実験法」(大津隆行、木下雅悦共著、化学同人社)130頁及び146頁から147頁の記載、「合成高分子」1巻、p.246〜290、同3巻、p.1〜108等に記載の方法、及び特許第2543503号明細書、同第3508304号明細書、同第2746275号明細書、同第3521560号明細書、同第3580320号明細書、特開平10−1561号公報、特開平7−2908号公報、特開平5−297506号公報、特開2002−145919号公報等に記載の方法を参考にすることができる。
透光性粒子の粒度分布はヘイズ値と拡散性の制御、塗布面状の均質性から単分散性粒子が好ましい。例えば平均粒子径よりも20%以上粒子径が大きな粒子を粗大粒子と規定した場合、この粗大粒子の割合は全粒子数の1%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1%以下であり、さらに好ましくは0.01%以下である。このような粒度分布を持つ粒子は、調製または合成反応後に、分級することも有力な手段であり、分級の回数を上げることやその程度を強くすることで、望ましい分布の粒子を得ることができる。
分級には風力分級法、遠心分級法、沈降分級法、濾過分級法、静電分級法等の方法を用いることが好ましい。
また、粒子径の異なる2種以上の透光性粒子を併用して用いてもよい。より大きな粒子径の透光性粒子で光散乱性を付与し、より小さな粒子径の透光性粒子で別の光学特性を付与することが可能である。例えば、133ppi以上の高精細ディスプレイに光散乱性反射防止フィルムを貼り付けた場合に、「ギラツキ」と呼ばれる表示画像品位上の不具合が発生する場合がある。「ギラツキ」は、光散乱性反射防止フィルム表面に存在する凹凸により、画素が拡大もしくは縮小され、輝度の均一性を失うことに由来するが、光散乱性を付与する透光性粒子よりも小さな粒子径で、バインダーの屈折率と異なる透光性粒子を併用することにより大きく改善することができる。
(スピノーダル分解による光散乱層の作成)
光散乱層の作成手法として、透光性粒子を使用して光散乱性を発現する以外の手法の一例として、複数のポリマーのスピノーダル分解により光散乱層を作成する手法が挙げられる。
スピノーダル分解により作成される光散乱層は、互いに屈折率の異なる複数のポリマーで構成され、通常、使用雰囲気(特に、約10〜30℃程度の室温下)において、少なくとも共連続相構造を有する相分離構造を形成している。そして、前記共連続相構造は、複数のポリマーを含む液相(常温で液相、例えば、混合液又は溶液)からのスピノーダル分解により形成されている。前記共連続相構造は、通常、複数のポリマーを含み、かつ常温で液相を形成する組成物(例えば、混合液又は溶液)を用い、溶媒の蒸発を経たスピノーダル分解により形成されている。このような光散乱層は、液相から形成されるため、均一で微細な共連続相構造を有している。このような透過型光散乱層を用いると、入射光が実質的に等方的に散乱し、かつ透過散乱光に指向性を付与できる。そのため、高い光散乱性と指向性とを両立できる。
光散乱性を高めるため、複数のポリマーは、屈折率の差が、例えば、0.01〜0.2程度、好ましくは0.1〜0.15程度となるように組み合わせて使用できる。屈折率の差が0.01未満では透過散乱光の強度が低下し、屈折率の差が0.2より大きいと透過散乱光に高い指向性を付与できない。
複数のポリマーは、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ビニルエステル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、オレフィン系樹脂(脂環式オレフィン系樹脂を含む)、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリスルホン系樹脂(ポリエーテルスルホン、ポリスルホンなど)、ポリフェニレンエーテル系樹脂(2,6−キシレノールの重合体など)、セルロース誘導体(セルロースエステル類、セルロースカーバメート類、セルロースエーテル類など)、シリコーン樹脂(ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサンなど)、ゴム又はエラストマー(ポリブタジエン、ポリイソプレンなどのジエン系ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴムなど)などから適当に組み合わせて選択できる。
好ましいポリマーには、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ビニルエステル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース誘導体、シリコーン系樹脂、及びゴム又はエラストマーなどが含まれる。複数のポリマーとしては、通常、非結晶性であり、かつ有機溶媒(特に複数のポリマーを溶解可能な共通溶媒)に可溶な樹脂が使用される。特に、成形性又は製膜性、透明性や耐候性の高い樹脂、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース誘導体(セルロースエステル類など)などが好ましい。
これらの複数のポリマーは適当に組み合わせて使用できる。例えば、複数のポリマーの組合せにおいて、少なくとも1つのポリマーを、セルロース誘導体、特にセルロースエステル類(例えば、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどのセルロースC2-4アルキルカルボン酸エステル類)とし、他のポリマーと組み合わせてもよい。
ポリマーのガラス転移温度は、例えば、−100℃〜250℃、好ましくは−50〜230℃、さらに好ましくは0〜200℃程度(例えば、50〜180℃程度)の範囲から選択できる。なお、光散乱層の強度や剛性の点から、構成ポリマーのうち少なくとも1つのポリマーのガラス転移温度は、50℃以上(例えば、70〜200℃程度)、好ましくは100℃以上(例えば、100〜170℃程度)であるのが有利である。ポリマーの重量平均分子量は、例えば、1,000,000以下(10,000〜1,000,000程度)、好ましくは10,000〜700,000程度の範囲から選択できる。
複数のポリマーを含む液相から溶媒を蒸発させてスピノーダル分解する湿式法を採用すると、原理的には複数のポリマーの相溶性の如何にかかわらず、実質的に等方性の共連続相構造を有する光散乱層を形成できる。そのため、互いに相溶性の複数のポリマーを組み合わせて構成してもよいが、通常、スピノーダル分解により相分離構造を容易に制御し、効率よく共連続相構造を形成するため、非相溶性(相分離性)の複数のポリマーを組み合わせる場合が多い。
複数のポリマーは、第1のポリマーと第2のポリマーとの組み合わせにより構成でき、第1のポリマー及び第2のポリマーは、それぞれ単一の樹脂で構成してもよく複数の樹脂で構成してもよい。第1のポリマーと第2のポリマーとの組み合わせは特に制限されない。例えば、第1のポリマーがセルロース誘導体(例えば、セルロースアセテートプロピオネートなどのセルロースエステル類)である場合、第2のポリマーは、スチレン系樹脂(ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体など)、(メタ)アクリル系樹脂(ポリメタクリル酸メチルなど)、脂環式オレフィン系樹脂(ノルボルネンを単量体とする重合体など)、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂(前記ポリC2-4アルキレンアリレート系コポリエステルなど)などであってもよい。
第1のポリマーと第2のポリマーとの割合は、例えば、前者/後者=10/90〜90/10(重量比)程度、好ましくは20/80〜80/20(重量比)程度、さらに好ましくは30/70〜70/30(重量比)程度、特に40/60〜60/40(重量比)程度である。一方のポリマーの割合が多すぎると、分離した相間の体積比が偏るため、散乱光の強度が低下する。なお、3以上の複数のポリマーで光散乱層を形成する場合、各ポリマーの含有量は、通常、1〜90質量%(例えば、1〜70質量%、好ましくは5〜70質量%、さらに好ましくは10〜70質量%)程度の範囲から選択できる。
光散乱層は、少なくとも共連続相構造を有している。共連続相構造とは、共連続構造や三次元的に連続又は繋がった構造と称される場合があり、少なくとも2種の構成ポリマー相が連続している構造(例えば、網目構造)を意味する。前記光散乱層は、少なくとも共連続相構造を有していればよく、共連続相構造と液滴相構造(独立又は孤立した相構造)とが混在した構造を有していてもよい。なお、スピノーダル分解において、相分離の進行に伴って共連続相構造を形成し、さらに相分離を進行させると、連続相が自らの表面張力により非連続化し、液滴相構造(球状、真球状などの独立相の海島構造)となる。従って、相分離の程度によって、共連続相構造と液滴相構造との中間的構造、すなわち、上記共連続相から液滴相に移行する過程の相構造も形成できる。上記中間的構造も共連続相構造という。なお、相分離構造が共連続相構造と液滴構造との混在構造である場合、液滴相(独立ポリマー相)の割合は、例えば、30%以下(体積比)、好ましくは10%以下(体積比)であってもよい。共連続相構造の形状は特に制限されず、ネットワーク状、特にランダムなネットワーク状であってもよい。
前記共連続相構造は、通常、光散乱層面内において異方性が低減されており、実質的に等方性である。なお、等方性とは、光散乱層面内のどの方向に対しても共連続相構造の平均相間距離が実質的に等しいことを意味する。
共連続相構造は、通常、相間距離(同一相間の距離)に規則性を有する。そのため、光散乱層に入射した光はブラッグ反射により透過散乱光が特定方向に指向する。従って、反射型液晶表示装置に装着しても、透過した散乱光を一定の方向に指向させることができ、表示画面を高度に明るくすることができ、従来の粒子分散型の透過型光散乱層では解決できなかった問題点、すなわち、パネルへの光源(例えば、蛍光灯など)の映りを回避できる。
光散乱層において共連続相の平均相間距離は、例えば、0.5〜20μm(例えば、1〜20μm)、好ましくは1〜15μm(例えば、1〜10μm)程度である。平均相間距離が小さすぎると、高い散乱光強度を得ることが困難であり、平均相間距離が大きすぎると、透過散乱光の指向性が低下する。
なお、共連続層の平均相間距離は、光散乱層の顕微鏡写真(透過型顕微鏡、位相差顕微鏡、共焦点レーザー顕微鏡など)から算出することができる。また、後述する散乱光の指向性の評価法と同様の方法により、散乱光強度が極大になる散乱角度θを測定し、下記のブラッグ反射条件の式より共連続相の平均相間距離dを算出してもよい。
2d・sin(θ/2)=λ
(式中、dは共連続相の平均相間距離、θは散乱角度、λは光の波長を示す)
(エンボス法による光散乱層の作成)
光散乱層の作成手法として、透光性粒子を使用して光散乱性を発現する以外の手法の一例として、エンボス法により光散乱層を作成する手法が挙げられる。
エンボス法により作成される光散乱層とは、透明フィルム上に、表面が微細な凹凸を有するマット状の賦型フィルムで賦形された電離放射線硬化型樹脂組成物、または熱硬化型樹脂組成物から本質的に構成される光拡散層が形成されたものである。
上記光散乱層の製造方法は、樹脂が電離放射線硬化型樹脂組成物の場合には、透明フィルム上に電離放射線硬化型樹脂組成物を塗工し、次に塗工された電離放射線硬化型樹脂組成物の未硬化状態の塗膜上に表面に微細な凹凸を有するマット状の賦型フィルムをラミネートし、次に前記賦型フィルムがラミネートされた塗膜上に電離放射線を照射することにより前記電離放射線硬化型樹脂組成物の塗膜を硬化させ、次に硬化した電離放射線硬化型樹脂の塗膜から賦型フィルムを剥離する製造方法で製造することが好ましい。
また、樹脂が熱硬化型樹脂組成物の場合には、透明フィルム上に熱硬化型樹脂組成物を塗工し、次に塗工された熱硬化型樹脂組成物の未硬化状態の塗膜上に表面に微細な凹凸を有するマット状の賦型フィルムをラミネートし、次に前記賦型フィルムがラミネートされた前記塗膜を加熱して硬化させ、次に硬化した熱硬化型樹脂組成物の塗膜から賦型フィルムを剥離する製造方法で製造することが好ましい。
賦型フィルムを未硬化の電離放射線硬化型樹脂組成物の塗膜上にラミネートする際には、塗工した樹脂が溶剤希釈系のものであれば、溶剤を乾燥した後にラミネートを行い、また、塗工した樹脂が無溶剤系のものであれば、そのままラミネートを行う。
エンボス法の光拡散層に用いられる電離放射線硬化型樹脂組成物の皮膜形成成分は、好ましくは、アクリレート系の官能基を有するもの、例えば、比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂、多価アルコール等の多官能化合物の(メタ)アクリレート等のオリゴマーまたはプレポリマーおよび反応性希釈剤としてエチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等の単官能モノマー並びに多官能モノマー、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1、6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等を比較的多量に含有するものが使用できる。
特に好適には、ポリエステルアクリレートとポリウレタンアクリレートの混合物が用いられる。その理由は、ポリエステルアクリレートは塗膜が非常に硬くてハードコートを得るのに適しているが、ポリエステルアクリレート単独ではその塗膜は衝撃性が低く、脆くなるので、塗膜に耐衝撃性及び柔軟性を与えるためにポリウレタンアクリレートを併用する。ポリエステルアクリレート100重量部に対するポリウレタンアクリレートの配合割合は30重量部以下とする。この値を越えると塗膜が柔らかすぎてハード性がなくなってしまうからである。
さらに、上記の電離放射線硬化型樹脂組成物を紫外線硬化型樹脂組成物とするには、この中に光重合開始剤として、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイド、チオキサントン類や、光増感剤としてn−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリーn−ブチルホスフィン等を混合して用いることができる。オリゴマーとしてウレタンアクリレート、モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を混合するのが好ましい。
光拡散性を有し且つハードコート(耐擦傷性)塗膜を形成するための塗料は、電離放射線硬化型樹脂100重量部に対し溶剤乾燥型樹脂を10重量部以上100重量部以下含ませてもよい。前記溶剤乾燥型樹脂には、主として熱可塑性樹脂が用いられる。電離放射線硬化型樹脂に添加する溶剤乾燥型熱可塑性樹脂の種類は通常用いられるものが使用されるが、特に、電離放射線硬化型樹脂にポリエステルアクリレートとポリウレタンアクリレートの混合物を使用した場合には、使用する溶剤乾燥型樹脂にはポリメタクリル酸メチルアクリレート又はポリメタクリル酸ブチルアクリレートが塗膜の硬度を高く保つことができる。しかも、この場合、主たる電離放射線硬化型樹脂との屈折率が近いので塗膜の透明性を損なわず、透明性、特に、低ヘイズ値、高透過率、また相溶性の点において有利である。
(光散乱層の膜厚、等)
光散乱層の膜厚は、1〜25μmが好ましく、2〜15μmがより好ましい。薄すぎるとハード性が不足し、厚すぎるとカールや脆性が悪化して加工適性が低下する場合があるので、前記範囲内とするのが好ましい。
光散乱層にて、虹状ムラを抑える場合は、全ヘイズは10%〜80%が好ましく、20%〜70%であることがより好ましい。また、表面ヘイズが0.3%〜70%であることが好ましく、0.3%〜20%であることがより好ましい。
さらに、ハードコート層の内部散乱により液晶パネルの模様や色ムラ、輝度ムラ、ギラツキなどを見難くしたり、散乱により視野角を拡大する機能を付与する場合は、内部ヘイズ値(全ヘイズ値から表面ヘイズ値を引いた値)は10%〜80%であることが好ましく、更に好ましくは15%〜70%であり、最も好ましくは20%〜60%である。
本発明のフィルムは、目的に応じて、表面ヘイズ及び内部ヘイズを自由に設定可能である。
一方、光散乱層の中心線平均粗さ(Ra)は、0.01〜0.40μmの範囲が好ましく、0.05〜0.20μmの範囲がより好ましい。0.40μmを超えると、ギラツキや外光が反射した際の表面の白化等の問題が発生する。また、透過画像鮮明度の値は、5〜60%とするのが好ましい。
光散乱層の硬度は、鉛筆硬度試験で、3H以上であることが好ましく、4H以上であることがさらに好ましく、5H以上であることが最も好ましい。
〔高屈折率層、中屈折率層〕
本発明のフィルムには、高屈折率層、中屈折率層を設け、反射防止性を高めることができる。
以下の本明細書では、この高屈折率層と中屈折率層を高屈折率層と総称して呼ぶことがある。なお、本明細書において、高屈折率層、中屈折率層、低屈折率層の「高」、「中」、「低」とは層相互の相対的な屈折率の大小関係を表す。また、透明支持体との関係で言えば屈性率は、透明支持体>低屈折率層、高屈折率層>透明支持体の関係を満たすことが好ましい。
また、本明細書では高屈折率層、中屈折率層、低屈折率層を総称して反射防止層と総称して呼ぶことがある。
高屈折率層の上に低屈折率層を構築して、反射防止フィルムを作製するためには、高屈折率層の屈折率は1.55〜2.40であることが好ましく、より好ましくは1.60〜2.20、更に好ましくは、1.65〜2.10、最も好ましくは1.80〜2.00である。
支持体から近い順に中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層を塗設し、反射防止フィルムを作成する場合、高屈折率層の屈折率は、1.65乃至2.40であることが好ましく、1.70乃至2.20であることがさらに好ましい。中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.55乃至1.80であることが好ましい。
高屈折率層および中屈折率層に用いるTiO2を主成分とする無機粒子は、分散物の状
態で高屈折率層および中屈折率層の形成に使用する。
無機粒子の分散において、分散剤の存在下で分散媒体中に分散する。
高屈折率層および中屈折率層は、分散媒体中に無機粒子を分散した分散液に、好ましくは、さらにマトリックス形成に必要なバインダー前駆体(例えば、後述する電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーなど)、光重合開始剤等を加えて高屈折率層および中屈折率層形成用の塗布組成物とし、透明支持体上に高屈折率層および中屈折率層形成用の塗布組成物を塗布して、電離放射線硬化性化合物(例えば、多官能モノマーや多官能オリゴマーなど)の架橋反応又は重合反応により硬化させて形成することが好ましい。
さらに、高屈折率層および中屈折率層のバインダーを層の塗布と同時または塗布後に、分散剤と架橋反応又は重合反応させることが好ましい。
このようにして作製した高屈折率層および中屈折率層のバインダーは、例えば、上記の好ましい分散剤と電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーとが、架橋又は重合反応し、バインダーに分散剤のアニオン性基が取りこまれた形となる。さらに高屈折率層および中屈折率層のバインダーは、アニオン性基が無機粒子の分散状態を維持する機能を有し、架橋又は重合構造がバインダーに皮膜形成能を付与して、無機粒子を含有する高屈折率層および中屈折率層の物理強度、耐薬品性、耐候性を改良する。
高屈折率層のバインダーは、該層の塗布組成物の固形分量に対して、5〜80質量%添加する。
高屈折率層における無機粒子の含有量は、高屈折率層の質量に対し10〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは15〜80質量%、特に好ましくは15〜75質量%である。無機粒子は高屈折率層内で二種類以上を併用してもよい。
高屈折率層の上に低屈折率層を有する場合、高屈折率層の屈折率は透明支持体の屈折率より高いことが好ましい。
高屈折率層に、芳香環を含む電離放射線硬化性化合物、フッ素以外のハロゲン化元素(例えば、Br,I,Cl等)を含む電離放射線硬化性化合物、S,N,P等の原子を含む電離放射線硬化性化合物などの架橋又は重合反応で得られるバインダーも好ましく用いることができる。
高屈折率層の膜厚は用途により適切に設計することができる。高屈折率層を後述する光学干渉層として用いる場合、30〜200nmが好ましく、より好ましくは50〜170nm、特に好ましくは60〜150nmである。
高屈折率層のヘイズは、光散乱機能を付与する粒子を含有しない場合、低いほど好ましい。5%以下であることが好ましく、さらに好ましくは3%以下、特に好ましくは1%以下である。
高屈折率層は、前記透明支持体上に直接、又は、他の層を介して構築することが好ましい。
〔低屈折率層〕
フィルムの反射率を低減するためには、低屈折率層を用いる必要がある。
低屈折率層の屈折率は、1.20〜1.46であることが好ましく、1.25〜1.46であることがより好ましく、1.30〜1.46であることが特に好ましい。
低屈折率層の厚さは、50〜200nmであることが好ましく、70〜100nmであることがさらに好ましい。低屈折率層のヘイズは、3%以下であることが好ましく、2%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが最も好ましい。具体的な低屈折率層の硬度は、500g荷重の鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
また、光学フィルムの防汚性能を改良するために、表面の水に対する接触角が90度以上であることが好ましい。更に好ましくは95度以上であり、特に好ましくは100度以上である。
硬化性組成物は、(A)含フッ素ポリマー、(B)無機粒子、(C)オルガノシラン化合物を含有してなるのが好ましい。
低屈折率層には、微粒子を分散・固定するためにバインダーが用いられる。バインダーとしては、前記ハードコート層で述べたバインダーを用いることが出来るが、バインダー自身の屈折率の低い含フッ素ポリマー、あるいは含フッ素ゾルゲル素材などを用いることが好ましい。含フッ素ポリマーあるいは含フッ素ゾルゲルとしては、熱または電離放射線により架橋し、形成される低屈折率層表面の動摩擦係数0.03〜0.30であり、水に対する接触角85〜120°となる素材が好ましい。
〔帯電防止層〕
帯電防止層を設けることがフィルム表面での静電気防止の点で好ましい。帯電防止層を付与することで、プラスチック支持体をハンドリングする製造プロセスにおいて発生する静電気起因のゴミ付き故障の発生等を抑制することができる。
帯電防止層を形成する方法は、例えば、導電性微粒子と反応性硬化樹脂を含む導電性塗工液を塗工する方法、或いは透明膜を形成する金属や金属酸化物等を蒸着やスパッタリングして導電性薄膜を形成する方法等の従来公知の方法を挙げることができる。
帯電防止層は、支持体に直接又は支持体との接着を強固にするプライマー層を介して形成することができる。また、帯電防止層を反射防止膜の一部として使用することもできる。この場合、最表層から近い層で使用する場合には、膜の厚さが薄くても十分に帯電防止性を得ることができる。
帯電防止層の厚さは、0.01〜10μmが好ましく、0.03〜7μmであることがより好ましく、0.05〜5μmであることがさらに好ましい。
帯電防止層の表面抵抗は、105〜1012Ω/sqであることが好ましく、105〜109Ω/sqであることがさらに好ましく、105〜108Ω/sqであることが最も好ましい。帯電防止層の表面抵抗は、四探針法により測定することができる。
帯電防止層は、実質的に透明であることが好ましい。具体的には、帯電防止層のヘイズが、10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、3%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが最も好ましい。波長550nmの光の透過率が、50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、65%以上であることがさらに好ましく、70%以上であることが最も好ましい。
帯電防止層は、硬度が優れており、具体的な帯電防止層の硬度は、1kg荷重の鉛筆硬度で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがより好ましく、3H以上であることがさらに好ましく、4H以上であることが最も好ましい。
帯電防止層は、例えば、導電性金属酸化物粒子を含む層であり、一般に更に結合剤を含んでいる。上記導電性金属酸化物粒子としては、針状粒子であり、その短軸に対する長軸の比(長軸/短軸)が3〜50の範囲にあるものを使用することが好ましい。特に長軸/短軸が10〜50の範囲のものが好ましい。このような針状粒子の短軸は、0.001〜0.1μmの範囲にあることが好ましく、特に0.01〜0.02μmの範囲にあることが好ましい。またその長軸は、0.1〜5.0μmの範囲にあることが好ましく、特に0.1〜2.0μmの範囲にあることが好ましい。
導電性金属酸化物粒子の材料としては、ZnO、TiO2、SnO2、Al23、In23、MgO、BaO及びMoO3及びこれらの複合酸化物、そしてこれらの金属酸化物に更に異種原子を含む金属酸化物を挙げることができる。金属酸化物としては、SnO2、ZnO、Al23、TiO2、In23、及びMgOが好ましく、さらにSnO2、ZnO、In22及びTiO2が好ましく、SnO2が特に好ましい。異種原子を少量含む例としては、ZnOに対してAlあるいはIn、TiO2に対してNbあるいはTa、In23に対してSn、及びSnO2に対してSb、Nbあるいはハロゲン元素などの異種元素を0.01〜30モル%(好ましくは0.1〜10モル%)ドープしたものを挙げることができる。異種元素の添加量が、0.01モル%未満の場合は酸化物または複合酸化物に充分な導電性を付与することができず、30モル%を超えると粒子の黒化度が増し、帯電防止層が黒ずむため感材用としては適さない。従って、導電性金属酸化物粒子の材料としては、金属酸化物または複合金属酸化物に対し異種元素を少量含むものが好ましい。また結晶構造中に酸素欠陥を含むものも好ましい。上記異種原子を少量含む導電性金属酸化物粒子としては、アンチモンがドープされたSnO2粒子が好ましく、特にアンチモンが0.2〜2.0モル%ドープされたSnO2粒子が好ましい。従って、前記短軸、長軸の寸法を有するアンチモンドープSnO2等の金属酸化物粒子を使用することが、透明で、良好な導電性を有する帯電防止層を形成するのに有利である。
前記短軸、長軸の寸法を有する針状の金属酸化物粒子(例、アンチモンドープSnO2)を使用することにより、透明で、良好な導電性を有する帯電防止層を有利に形成できる理由については、次のように考えられる。上記針状の金属酸化物粒子は、帯電防止層内では、長軸方向が帯電防止層の表面に平行に、長く伸びているが、層の厚さ方向には短軸の径の長さ分だけ占めているに過ぎない。このような針状の金属酸化物粒子は、上記のように長軸方向に長いため、通常の球状の粒子に比べて、互いに接触し易く、少ない量でも高い導電性が得られる。従って、透明性を損なうことなく、表面電気抵抗を低下させることができる。また、上記針状の金属酸化物粒子では、短軸の径は、通常、帯電防止層の厚さより小さいか、ほぼ同じであり、表面に突出することは少なく、仮に突出してもその突出部分はわずかなため、帯電防止層上に設けられる表面層によりほぼ完全に覆われることになる。
帯電防止層は、導電性金属酸化物粒子を分散、支持する結合剤を、一般に含んでいる。結合剤の材料としては、アクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等の種々のポリマーを使用することができる。粉落ちを防止する観点から、ポリマー(好ましくは、アクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂又はポリエステル樹脂)とカルボジイミド化合物との硬化物であることが好ましい。良好な作業環境の維持、及び大気汚染防止の観点から、ポリマーもカルボジイミド化合物も、水溶性のものを使用するか、あるいはエマルジョン等の水分散状態で使用することが好ましい。また、ポリマーは、カルボジイミド化合物との架橋反応が可能なように、メチロール基、水酸基、カルボキシル基及びアミノ基のいずれかの基を有する。水酸基及びカルボキシル基が好ましく、特にカルボキシル基が好ましい。ポリマー中の水酸基又はカルボキシル基の含有量は、0.0001〜1当量/1kgが好ましく、特に0.001〜1当量/1kgが好ましい。
アクリル樹脂としては、アクリル酸、アクリル酸アルキル等のアクリル酸エステル類、アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸アルキル等のメタクリル酸エステル類、メタクリルアミド及びメタクリロニトリルのいずれかのモノマーの単独重合体又はこれらのモノマー2種以上の重合により得られる共重合体を挙げることができる。これらの中では、アクリル酸アルキル等のアクリル酸エステル類、及びメタクリル酸アルキル等のメタクリル酸エステル類のいずれかのモノマーの単独重合体又はこれらのモノマー2種以上の重合により得られる共重合体が好ましい。例えば、炭素原子数1〜6のアルキル基を有するアクリル酸エステル類及びメタクリル酸エステル類のいずれかのモノマーの単独重合体又はこれらのモノマー2種以上の重合により得られる共重合体を挙げることができる。上記アクリル樹脂は、上記組成を主成分とし、カルボジイミド化合物との架橋反応が可能なように、例えば、メチロール基、水酸基、カルボキシル基及びアミノ基のいずれかの基を有するモノマーを一部使用して得られるポリマーである。
上記ビニル樹脂としては、ポリビニルアルコール、酸変性ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルメチルエーテル、ポリオレフィン、エチレン/ブタジエン共重合体、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル/(メタ)アクリル酸エステル共重合体及びエチレン/酢酸ビニル系共重合体(好ましくはエチレン/酢酸ビニル/(メタ)アクリル酸エステル共重合体)を挙げることができる。これらの中で、ポリビニルアルコール、酸変性ポリビニルアルコール、ポリビニルホリマール、ポリオレフィン、エチレン/ブタジエン共重合体及びエチレン/酢酸ビニル系共重合体(好ましくは、エチレン/酢酸ビニル/アクリル酸エステル共重合体)が好ましい。上記ビニル樹脂は、カルボジイミド化合物との架橋反応が可能なように、ポリビニルアルコール、酸変性ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルメチルエーテル及びポリ酢酸ビニルでは、例えば、ビニルアルコール単位をポリマー中に残すことにより水酸基を有するポリマーとし、他のポリマーについては、例えば、メチロール基、水酸基、カルボキシル基及びアミノ基のいずれかの基を有するモノマーを一部使用することにより架橋可能なポリマーとする。
上記ポリウレタン樹脂としては、ポリヒドロキシ化合物(例、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン)、ポリヒドロキシ化合物と多塩基酸との反応により得られる脂肪族ポリエステル系ポリオール、ポリエーテルポリオール(例、ポリ(オキシプロピレンエーテル)ポリオール、ポリ(オキシエチレン−プロピレンエーテル)ポリオール)、ポリカーボネート系ポリオール、及びポリエチレンテレフタレートポリオールのいずれか一種、あるいはこれらの混合物とポリイソシアネートから誘導されるポリウレタンを挙げることができる。上記ポリウレタン樹脂では、例えば、ポリオールとポリイソシアネートとの反応後、未反応として残った水酸基をカルボジイミド化合物との架橋反応が可能な官能基として利用することができる。
上記ポリエステル樹脂としては、一般にポリヒドロキシ化合物(例、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン)と多塩基酸との反応により得られるポリマーが使用される。上記ポリエステル樹脂では、例えば、ポリオールと多塩基酸との反応終了後、未反応として残った水酸基、カルボキシル基をカルボジイミド化合物との架橋反応が可能な官能基として利用することができる。勿論、水酸基等の官能基を有する第三成分を添加しても良い。
上記ポリマーの中で、アクリル樹脂及びポリウレタン樹脂が好ましく、特にアクリル樹脂が好ましい。
使用されるカルボジイミド化合物としては、分子内にカルボジエミド構造を複数有する化合部を使用することが好ましい。
ポリカルボジイミドは、通常、有機ジイソシアネートの縮合反応により合成される。ここで分子内にカルボジイミド構造を複数有する化合物の合成に用いられる有機ジイソシアネートの有機基は特に限定されず、芳香族系、脂肪族系のいずれか、あるいはそれらの混合系も使用可能であるが、反応性の観点から脂肪族系が特に好ましい。
合成原料としては、有機イソシアネート、有機ジイソシアネート、有機トリイソシアネート等が使用される。
有機イソシアネートの例としては、芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート、及び、それらの混合物が使用可能である。
具体的には、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4'−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート等が用いられ、また、有機モノイソシアネートとしては、イソホロンイソシアネート、フェニルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ナフチルイソシアネート等が使用される。
また、用いうるカルボジイミド系化合物は、例えば、カルボジライトV−02−L2(商品名:日清紡績(株)製)などの市販品としても入手可能である。
本発明のカルボジイミド系化合物はバインダーに対して1〜200質量%、より好ましくは5〜100質量%の範囲で添加することが好ましい。
帯電防止層を形成するには、まず、例えば前記導電性金属酸化物粒子をそのままあるいは水等の溶媒(必要に応じて分散剤、結合剤を含む)に分散させた分散液を、上記結合剤(例、ポリマー、カルボジイミド化合物及び適当な添加剤)を含む水分散液あるいは水溶液に、添加、混合(必要に応じて分散)して帯電防止層形成用塗布液を調製する。上記帯電防止層は、上記帯電防止層形成用塗布液をポリエステル等のプラスチックフィルムの表面に一般によく知られた塗布方法、例えばディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、エクストルージョンコート法などにより塗布することができる。塗布されるポリエステル等のプラスチックフィルムは、逐次二軸延伸前、同時二軸延伸前、一軸延伸後で再延伸前、あるいは二軸延伸後のいずれであっても良い。帯電防止層形成用塗布液を塗布するプラスチック支持体の表面は、あらかじめ紫外線処理、コロナ処理、グロー放電処理などの表面処理を施しておくことが好ましい。
帯電防止層の層厚は、0.01〜1μmの範囲が好ましく、さらに0.01〜0.2μmの範囲が好ましい。0.01μm未満では塗布剤を均一に塗布しにくいため製品に塗布むらが生じやすく、1μmを超える場合は、帯電防止性能や耐傷性が劣る場合がある。導電性金属酸化物粒子は、帯電防止層中に、結合剤(例、上記ポリマー及びカルボジイミド化合物の合計)に対して10〜1000質量%の範囲で含まれていることが好ましく、更に100〜500質量%の範囲が好ましい。10質量%未満の場合は、充分な帯電防止性が得られず、1000質量%を超えた場合はヘイズが高くなり過ぎる。
帯電防止層および下記の表面層には必要に応じて、マット剤、界面活性剤、滑り剤などの添加剤を併用して使用することができる。マット剤としては、0.001〜10μmの粒径をもつ酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなどの酸化物の粒子や、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン等の重合体あるいは共重合体等の粒子をあげることができる。界面活性剤としては公知のアニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性系界面活性剤、非イオン系界面活性剤等があげることができる。滑り剤としては、カルナバワックス等の天然ワックス、炭素数8〜22の高級アルコールのリン酸エステルもしくはそのアミノ塩;パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸およびそのエステル類;及びシリコーン系化合物等を挙げることができる。
帯電防止層の上には、主として接着剤層との接着性付与、及び帯電防止層の導電性金属酸化物粒子の脱離防止機能を補助するための層が設けられることがある。この層の材料には、一般にアクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等の種々のポリマーを使用することができ、上記帯電防止層中の結合剤として記載したポリマーが好ましい。
用いられる架橋剤は、エポキシ化合物が好ましい。エポキシ化合物としては、1,4−ビス(2’,3’−エポキシプロピルオキシ)ブタン、1,3,5−トリグリシジルイソシアヌレート、1,3−ジクリシジル−5−(γ−アセトキシ−β−オキシプロピル)イソシヌレート、ソルビトールポリグリシジルエーテル類、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル類、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル類、ジグリセロ−ルポリグルシジルエーテル、1,3,5−トリグリシジル(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、グリセロールポリグリセロールエーテル類およびトリメチロ−ルプロパンポリグリシジルエーテル類等のエポキシ化合物が好ましく、その具体的な市販品としては、例えばデナコールEX−521やEX−614B(ナガセ化成工業(株)製)などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
上記の層を形成するには、まず、例えば水等の溶媒(必要に応じて分散剤、結合剤を含む)に上記ポリマー、エポキシ化合物、及び適当な添加剤を添加、混合(必要に応じて分散)して表面層塗布液を調製する。
上記層は、本発明の帯電防止層上に一般によく知られた塗布方法、例えばディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、エクストルージョンコート法などにより上記表面層塗布液を塗布することにより形成することができる。上記表面層の層厚は、0.01〜1μmの範囲が好ましく、さらに0.01〜0.2μmの範囲が好ましい。0.01μm未満では帯電防止層の導電性金属酸化物粒子の脱離防止機能が不十分で、1μmを超える場合は、塗布剤を均一に塗布しにくいため製品に塗布むらが生じやすい。
〔防汚層〕
本発明の最表面には防汚層を設けることができる。防汚層は反射防止層の表面エネルギーを下げ、親水性あるいは親油性の汚れを付きにくくするものである。
防汚層には含フッ素ポリマーや防汚剤を用いて形成することができる。
防汚層の厚さは2〜100nmであることが好ましく、5〜30nmであることがさらに好ましい。
<密着>
本発明では上記光散乱層および偏光板の偏光子との密着を向上させるため、本発明の偏光板保護フィルムではポリエステル樹脂を主成分とするフィルム上にコロナ放電処理、グロー放電処理を行って密着性を向上させることが出来る。
《易接着層》
本発明ではさらに密着を向上させるために易接着層を形成することが好ましい。
本発明はポリエステル樹脂を主成分とするフィルム支持体上に、アクリル酸エステル系ラテックス、メタクリル酸系ラテックス、スチレン系ラテックスからなる下塗層としての易接着層を形成される事が好ましい。また、このラテックスは、(a)ジオレフィン系単量体、(b)ビニル単量体、(c)1種以上の分子内に2個以上のビニル基、アクリロイル基、メタアクリロイル又はアリル基を有する単量体からなる単量体混合物に対し、(d)α−メチルスチレンダイマーと他の重合連鎖移動剤とからなる重合連鎖移動剤の存在下において、水性媒体中で乳化重合して得られる共重合体ラテックスでも良い。
共重合体を形成する一方の単量体である(a)ジオレフイン系単量体には、共役ジエンであるブタジエン、イソプレン、クロロプレン、等を挙げることができ、とりわけブタジエンが好ましく用いられる。
共重合体の第2成分である(b)ビニル単量体としては、ビニル基を固有する単量体なら何でもよいが、好ましくは下記に示すものであり、スチレン、アクリロニトリル、メタクリル酸メチル、塩化ビニル、酢酸ビニル及びこれらの誘導体、アクリル酸のアルキルエステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクロレイン、メタアクロレイン、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、N−メチロール化アクリルアミド、N−メチロール化メタクリルアミド、ビニルイソシアネート、アリルイソシアネート等を挙げることができる。
上記スチレンの誘導体としては、例えば、メチルスチレン、ジメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、シクロヘキシルスチレン、デシルスチレン、ベンジルスチレン、クロルメルスチレン、トリフルオロメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレン、メトキシスチレン、4−メトキシ−3−メチルスチレン、ジメトキシスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、トリクロルスチレン、テトラクロスチレン、ペンタクロルスチレン、ブロムスチレン、ジブロムスチレン、ヨードスチレン、フルオロスチレン、トリフルオルスチレン、2−ブロム−4−トリフルオルメチルスチレン、4−フルオル−3−トリフルオルメチルスチレン、ビニル安息香酸メチルエステル等を挙げることができる。
アクリル酸のエステルの中で好ましいものとしては、アクリル酸エステル、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを挙げることができる。
また、共重合体の第3成分である(c)分子内に2個以上のビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、又はアリル基を有する単量体としては、ジビニルベンゼン、1,5−ヘキサジエン−3−イン、ヘキサトリエン、ジビニルエーテル、ジビニルスルホン、ジアリルフタレート、ジアリルカルビノール、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート等の通常ビニル単量体の重合の際に添加されるいわゆる架橋剤を挙げることができる。
共重合体中の(a)ジオレフイン単量体の含有量が共重合体全体の10〜60質量%、特に15〜40質量%であることが好ましい。(b)ビニル単量体としては全体の90〜40質量%であるが、特に、上記ビニル単量体、とりわけスチレン類が共重合全体の70〜40質量%であることが好ましい。(c)分子内に2個以上のビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基を有する単量体は、(a)ジオレフイン単量体と(b)ビニル単量体との合計に対して0.01〜10質量%、特に0.1〜5質量%であることが好ましい。
(d)重合連鎖移動剤中のα−メチルスチレンダイマーとしては、異性体として、(イ)2−4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン、(ロ)2−4−ジフェニル−4−メチル−2−ペンテン、(ハ)1−1−3−トリメチル−3−フェニルインダンがある。α−メチルスチレンダイマーとして好ましい組成は、(イ)成分が40質量%以上、(ロ)成分及び/又は(ハ)成分が60質量%以下、さらに好ましくは(イ)成分が50質量%以上、(ロ)成分及び/又は(ハ)成分が50質量%以下、特に好ましくは(イ)成分が70質量%以上、(ロ)成分及び/又は(ハ)成分が30質量%以下である。(イ)成分の組成比率が増加するに従って連鎖移動効果に優れる。
α−メチルスチレンダイマーは、本発明の目的を損なわない範囲で、不純物、例えば、未反応のα−メチルスチレン、前記(イ)、(ロ)、(ハ)成分以外のα−メチルスチレンオリゴマー、α−メチルスチレンポリマーを含むものであってもよい。α−メチルスチレンダイマーを使用する場合、その目的を損なわないものであれば、α−メチルスチレンダイマーを合成後、これを未精製の状態で使用することができる。
(d)重合連鎖移動剤中のα−メチルスチレンダイマーの割合は2〜100質量%、好ましくは3〜100質量%、さらに好ましくは5〜95質量%である。このα−メチルスチレンダイマーの割合が2質量%未満では接着強度と耐ブロッキング性に優れた共重合体ラテックスを得ることができない。また、α−メチルスチレンダイマーと他の重合連鎖移動剤との併用により、重合時における反応性を高めることができる。
(d)重合連鎖移動剤の使用量は、単量体混合物100質量部当たり、0.3〜10質量部、好ましくは0.5〜7質量部である。この(d)重合連鎖移動剤の使用量が0.3質量部未満では耐ブロッキング性が劣り、一方10質量部を越えると接着強度が低下して好ましくない。なお、α−メチルスチレンダイマーの使用量については、単量体混合物の100質量部当り、0.1〜5質量部の範囲で使用することが好ましい。
次に、(d)重合連鎖移動剤におけるα−メチルスチレンダイマーと併用する他の連鎖移動剤としては、一般の乳化重合に使用されている公知の重合連鎖移動剤を使用することができる。具体的には、例えば、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、t−テトラデシルメルカプタンなどのメルカプタン類;ジメチルキサントゲンジスルフィド、ジエチルキサントゲンジスルフィド、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィドなどのキサントゲンジスルフィド類;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィドなどのチウラムジスルフィド類;四塩化炭素、臭化エチレンなどのハロゲン化炭化水素類;ペンタフェニルエタンなどの炭化水素類;およびアクロレイン、メタクロレイン、アリルアルコール、2−エチルヘキシルチオグリコレート、ターピノーレン、α−テルピネン、γ−テルピネン、ジペンテンなどを挙げることができる。これらは単独でも、あるいは2種以上を組み合わせて使用することもできる。これらのうち、メルカプタン類、キサントゲンジスルフィド類、チウラムジスルフィド類、四塩化炭素などが好適に使用される。
共重合体ラテックスは、上記の単量体混合物及び重合連鎖移動剤を使用する点を除けば、従来公知の乳化重合法によって製造することができる。すなわち、水等の水性媒体に単量体混合物及び重合開始剤、乳化剤、重合連鎖移動剤等を加えて乳化重合を行うことによって得られる。
上記の共重合体ラテックスは、ポリエステルフィルム支持体上に下塗層(易接着層)として塗布される。塗布膜厚は50〜1000nmが好ましく、50〜300nmがより好ましく、さらに好ましくは50nm〜200nmである。
ポリエステルフィルム支持体上に下塗層(易接着層)を形成する際に、共重合体ラテックスに対してジクロロ−s−トリアジン系架橋剤を併用することが好ましい。ジクロロ−s−トリアジン系架橋剤の併用により常湿条件下、高湿条件下、低湿条件下での接着力が著しく向上し、低湿条件下での亀裂が生じなくなり、その他、帯電防止性、耐傷性、耐水性、耐溶剤性等に優れた効果を付与できる。
使用されるジクロロ−s−トリアジン系架橋剤は、下記に示すものである。
一般式(2)
Figure 2008003541
(一般式(2)中、Aはアルキル基、環状アルキル基、アリール基、アルアルキル基、金属、水素原子である。)
及び/又は一般式(3)
Figure 2008003541
(一般式(3)中、R1、R2は、水素、アルキル基、環状アルキル基、アリール基、アルアルキル基、−NHR3(R3はアルキル基、アシル基)、R1とR2は結合してもよく、また、O、S、N−R4(R4はアルキル基)を含む5〜6員の環を形成していてもよい。)
これらのジクロロ−s−トリアジン系架橋剤は、単量体混合物に対して0.1〜100質量部添加することができる。ジクロロ−s−トリアジン系架橋剤の添加量が0.1質量部より少ないと、接着力の向上が不充分となり、その他、低湿条件下での亀裂防止効果や帯電防止性、耐傷性、耐水性、耐溶剤性等効果が不充分となり易い。一方、ジクロロ−s−トリアジン系架橋剤の添加量が100質量部を超えると、未反応の架橋剤が多量に残り、上層のゼラチン層に移行して過硬膜となり、乳剤又はバック層との接着性が低下させ、好ましくない。
これらのジクロロ−s−トリアジン系架橋剤の具体例としては、次に示すものがある。
Figure 2008003541
〔親水性高分子を含有する層〕
上記の下塗層(易接着層)上に親水性高分子を主バインダーとする第2の下塗層を設けることが望ましい。
ここで、親水性高分子として、ゼラチン、フタル化ゼラチン、マレイン化ゼラチン等のアシル化ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、アクリル酸、メタクリル酸もしくはアミド等をゼラチンにグラフトさせたグラフト化ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシアルキルアクリレート、ポリビニルピロリドン、コポリ−ビニルピロリドン−酢酸ビニル、カゼイン、アガロース、アルブミン、アルギン酸ソーダ、ポリサッカライド、寒天、でんぷん、グラフトでんぷん、ポリアクリルアミド、N−置換アクリルアミド、N−置換メタクリルアミド等の単独もしくは共重合体、あるいはそれらの部分加水分解物等合成もしくは天然の親水性高分子化合物が用いられる。これらのものは、単独または混合して使用される。好ましい親水性高分子としては、ゼラチンあるいはその誘導体である。
下塗液は、一般によく知られた塗布方法、例えば、ディップコート法、エアナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビヤコート法、あるいは米国特許第2681294号明細書に記載のホッパーを使用するエクストルージョン法等により塗布することができる。
易接着層や親水性高分子を含有する層の厚みとしては0.05〜1.0μmの範囲が好ましい。易接着層の厚みが0.05μmより薄いと十分な接着性が得られ難く、また、1.0μmより厚いと接着性の効果は飽和する。
易接着層、親水性高分子を含有する層には、必要に応じて紫外線吸収剤を添加することもできる。
紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶表示性の観点から、紫外線吸収剤としては、各層に紫外線吸収剤を添加した後の偏光板保護フィルム全体での、波長380nmの透過率が0〜50%、好ましくは0〜30%、より好ましくは0〜10%、600nmの透過率が80〜100%、好ましくは85〜100%、より好ましくは90〜100%であるものが好ましく用いられる。
〔カール防止層〕
本技術のフィルムには、カール防止加工を施すこともできる。カール防止加工とは、これを施した面を内側にして丸まろうとする機能を付与するものであるが、この加工を施すことによって、透明樹脂フィルムの片面に何らかの表面加工をして、両面に異なる程度・種類の表面加工を施した際に、その面を内側にしてカールしようとするのを防止する働きをするものである。
カール防止層は基材の光散乱層を有する側と反対側に設ける態様、或いは、同じ側に設ける態様が挙げられる。
カール防止加工の具体的方法としては、溶剤塗布によるもの、溶剤とセルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースアセテートプロピオネート等の透明樹脂層を塗設するもの等が挙げられる。溶剤による方法とは、具体的には偏光板用保護フィルムとして用いるポリエステルフィルムを溶解させる溶剤または膨潤させる溶剤を含む組成物を塗布することによって行われる。しかしながら、用いる溶剤としては溶解させる溶剤および/または膨潤させる溶剤の混合物の他、さらに溶解させない溶剤を含む場合もあり、これらを透明樹脂フィルムのカール度合や樹脂の種類によって適宜の割合で混合した組成物および塗布量を用いて行う。この他にも、透明ハード加工や帯電防止加工を施してもカール防止機能を発揮する。
〔プライマー層・無機薄膜層〕
本発明のフィルムでは、支持体と積層体との間に、公知のプライマー層または無機薄膜層を設置することでガスバリアー性を高めたりすることができる。
プライマー層としては、例えばアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂等を用いることが可能であるが、このプライマー層として有機無機ハイブリッド層が、無機薄膜層として無機蒸着層またはゾル−ゲル法による緻密な無機コーティング薄膜が好ましい。無機蒸着層としては、シリカ、ジルコニア、アルミナ等の蒸着層が好ましい。無機蒸着層は真空蒸着法、スパッタリング法等により形成することができる。
〔硬化〕
本発明のフィルムは溶剤の乾燥の後に、ウェブで電離放射線および/または熱により各塗膜を硬化させるゾーンを通過させ、塗膜を硬化することができる。
電離放射線種は特に制限されるものではなく、皮膜を形成する硬化性組成物の種類に応じて、紫外線、電子線、近紫外線、可視光、近赤外線、赤外線、X線などから適宜選択することができが、紫外線、電子線が好ましく、特に取り扱いが簡便で高エネルギーが容易に得られるという点で紫外線が好ましい。
紫外線反応性化合物を光重合させる紫外線の光源としては、紫外線を発生する光源であれば何れも使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。また、ArFエキシマレーザ、KrFエキシマレーザ、エキシマランプまたはシンクロトロン放射光等も用いることができる。このうち、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプを好ましく利用できる。
また、電子線も同様に使用できる。電子線としては、コックロフトワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される50〜1000keV、好ましくは100〜300keVのエネルギーを有する電子線を挙げることができる。
照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、照射光量は10mJ/cm2以上が好
ましく、更に好ましくは、50mJ/cm2〜10000mJ/cm2であり、特に好ましくは、50mJ/cm2〜2000mJ/cm2である。その際、ウェブの幅方向の照射量分布は中央の最大照射量に対して両端まで含めて50〜100%の分布が好ましく、80〜100%の分布がより好ましい。
本発明では、支持体上に積層された少なくとも一層を、電離放射線を照射しかつ電離放射線照射開始から0.5秒以上の間、膜面温度60℃以上に加熱した状態で、酸素濃度10体積%以下の雰囲気で電離放射線を照射する工程によって硬化することが好ましい。
また電離放射線照射と同時および/または連続して酸素濃度3体積%以下の雰囲気で加熱されることも好ましい。
特に最外層であり、かつ膜厚が薄い低屈折率層がこの方法で硬化されることが好ましい。硬化反応が熱で加速され、物理強度、耐薬品性に優れた皮膜を形成することができる。
電離放射線を照射する時間については0.7秒以上60秒以下が好ましく、0.7秒以上10秒以下がより好ましい。0.5秒以下では、硬化反応が完了することができず、十分な硬化を行うことができない。また長時間低酸素条件を維持することは、設備が大型化し、多量の不活性ガスが必要であり好ましくない。
酸素濃度は6体積%以下の雰囲気で電離放射線硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成することが好ましく、更に好ましくは酸素濃度が4体積%以下、特に好ましくは酸素濃度が2体積%以下、最も好ましくは1体積%以下である。必要以上に酸素濃度を低減するためには、窒素などの不活性ガスの多量の使用量が必要であり、製造コストの観点から好ましくない。
酸素濃度を10体積%以下にする手法としては、大気(窒素濃度約79体積%、酸素濃度約21体積%)を別の気体で置換することが好ましく、特に好ましくは窒素で置換(窒素パージ)することである。
硬化の際、フィルム面が60℃以上170℃以下で加熱されることが好ましい。60℃以下では加熱の硬化は少なく、170℃以上では基材の変形などの問題が生じる。更にこの好ましい温度は60℃〜100℃である。フィルム面とは硬化しようとする層の膜面温度を指す。またフィルムが前記温度になる時間は、UV照射開始から0.1秒以上、300秒以下が好ましく、更に10秒以下が好ましい。フィルム面の温度を上記の温度範囲に保つ時間が短すぎると、皮膜を形成する硬化性組成物の反応を促進できず、逆に長すぎてもフィルムの光学性能が低下し、また設備が大きくなるなどの製造上の問題も生じる。
加熱する方法に特に限定はないが、ロールを加熱してフィルムに接触させる方法、加熱した窒素を吹き付ける方法、遠赤外線あるいは赤外線の照射などが好ましい。特許2523574号に記載の回転金属ロールに温水や蒸気・オイルなどの媒体を流して加熱する方法も利用できる。加熱の手段としては誘電加熱ロールなどを使用しても良い。
紫外線照射は、構成する複数の層それぞれに対して1層設ける毎に照射してもよいし、積層後照射してもよい。あるいはこれらを組み合わせて照射してもよい。生産性の点から、多層を積層後、紫外線を照射することが好ましい。
本発明では、支持体上に積層された少なくとも一層を複数回の電離放射線により硬化することができる。この場合、少なくとも2回の電離放射線が酸素濃度3体積%を超えることのない連続した反応室で行われることが好ましい。複数回の電離放射線照射を同一の低酸素濃度の反応室で行うことにより、硬化に必要な反応時間を有効に確保することができる。
特に高生産性のため製造速度をあげた場合には、硬化反応に必要な電離放射線のエネルギーを確保するために複数回の電離放射線照射が必要となる。
また、硬化率(100−残存官能基含率)が100%未満のある値となった場合、その上に層を設けて電離放射線および/または熱により硬化した際に下層の硬化率が上層を設ける前よりも高くなると、下層と上層との間の密着性が改良され、好ましい。
〔ハンドリング〕
本発明のフィルムを連続的に製造するために、ロール状の支持体フィルムを連続的に送り出す工程、塗布液を塗布・乾燥する工程、塗膜を硬化する工程、硬化した層を有する支持体フィルムを巻き取る工程が行われる。
ロール状のフィルム支持体からフィルム支持体がクリーン室に連続的に送り出され、クリーン室内で、フィルム支持体に帯電している静電気を静電除電装置により除電し、引き続きフィルム支持体上に付着している異物を、除塵装置により除去する。引き続きクリーン室内に設置されている塗布部で塗布液がフィルム支持体上に塗布され、塗布されたフィルム支持体は乾燥室に送られて乾燥される。
乾燥した塗布層を有するフィルム支持体は乾燥室から硬化室へ送り出され、塗布層に含有されるモノマーが重合して硬化する。さらに、硬化した層を有するフィルム支持体は硬化部へ送られ硬化を完結させ、硬化が完結した層を有するフィルム支持体は巻き取られてロール状となる。
上記工程は、各層の形成毎に行ってもよいし、塗布部−乾燥室−硬化部を複数設けて、各層の形成を連続的に行うことも可能である。
本発明のフィルムを作成するためには、前記したように塗布液の精密濾過操作と同時に、塗布部における塗布工程および乾燥室で行われる乾燥工程が高い清浄度の空気雰囲気下で行われ、かつ塗布が行われる前に、フィルム上のゴミ、ほこりが充分に除かれていることが好ましい。塗布工程および乾燥工程の空気清浄度は、米国連邦規格209Eにおける空気清浄度の規格に基づき、クラス10(0.5μm以上の粒子が353個/(立方メートル)以下)以上であることが望ましく、更に好ましくはクラス1(0.5μm以上の粒子が35.5個/(立方メートル)以下)以上であることが望ましい。また、空気清浄度は、塗布−乾燥工程以外の送り出し、巻き取り部等においても高いことがより好ましい。
〔偏光膜の作製〕
本発明の偏光板保護フィルムは、偏光子の少なくとも1面に張り合わせることで偏光板を構成する。偏光子の他の面は、透湿度が700〜3000g/m2・dayの偏光板保護フィルムを張り合わる事が好ましく、さらに好ましくは1000〜1700g/m2・dayである。通常使用されているTACは好適に用いられる。
通常のセルロースアセテートフィルムを用いてもよいが、溶液製膜法で製造され、且つ10〜100%の延伸倍率でロールフィルム形態における巾方向に延伸したセルロースアセテートフィルムを用いても良い。
更には、本発明の偏光板において、片面が本発明の偏光板保護フィルムであるのに対して他方の保護フィルムが液晶性化合物からなる光学異方性層を有する光学補償フィルムであっても良い。
また、本発明の偏光板において、片面が本発明の偏光板保護フィルムであるのに対して他方の保護フィルムがReが0〜10nm、Rthが−20〜20nmであるフィルム(たとえば、特開2005−301227号公報段落番号[0095]参照)であっても良い。
偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。
偏光子の2枚の保護フィルムのうち、本発明の偏光板保護フィルム以外のフィルムが、光学異方層を含んでなる光学補償層を有する光学補償フィルムであることも好ましい。光学補償フィルム(位相差フィルム)は、液晶表示画面の視野角特性を改良することができる。
光学補償フィルムとしては、公知のものを用いることができるが、視野角を広げるという点では、特開2001−100042号公報に記載されている光学補償フィルムが好ましい。
本発明の偏光板保護フィルムは、液晶表示装置等とともに用いられる際には、液晶セルと反対側の視認側に配置することが好ましい。
《液晶表示装置》
本発明のフィルム、偏光板は、液晶表示装置等の画像表示装置に有利に用いることができ、ディスプレイの最表層に用いることが好ましい。
液晶表示装置は、液晶セルおよびその両側に配置された二枚の偏光板を有し、液晶セルは、二枚の電極基板の間に液晶を担持している。さらに、光学異方性層が、液晶セルと一方の偏光板との間に一枚配置されるか、あるいは液晶セルと双方の偏光板との間に二枚配置されることもある。
液晶セルは、TNモード、VAモード、OCBモード、IPSモードまたはECBモードであることが好ましい。
<TNモード>
TNモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向し、さらに60〜120゜にねじれ配向している。
TNモードの液晶セルは、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。
<VAモード>
VAモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向している。
VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of Tech. Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載)および(4)SURVAIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が含まれる。
<OCBモード>
OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルであり、米国特許第4583825号、同5410422号の各明細書に開示されている。棒状液晶性分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend)液晶モードと呼ばれる。ベンド配向モードの液晶表示装置は、応答速度が速いとの利点がある。
<IPSモード>
IPSモードの液晶セルは、ネマチック液晶に横電界をかけてスイッチングする方式であり、詳しくはProc.IDRC(Asia Display ’95),p.577−580及び同p.707−710に記載されている。
<ECBモード>
ECBモードの液晶セルは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向している。ECBモードは、最も単純な構造を有する液晶表示モードの一つであって、例えば特開平5−203946号公報に詳細が記載されている。
<輝度向上フィルム>
輝度向上フィルムとしては、光源(バックライト)からの出射光を透過偏光と反射偏光または散乱偏光に分離するような機能を有する偏光変換素子が用いられる。かかる輝度向上フィルムは、反射偏光または散乱偏光のバックライトからの再帰光を利用して、直線偏光の出射効率を向上できる。
たとえば、異方性反射偏光子があげられる。異方性反射偏光子としては、一方の振動方向の直線偏光を透過し、他方の振動方向の直線偏光を反射する異方性多重薄膜があげられる。異方性多重薄膜としては、たとえば、3M製のDBEFがあげられる(たとえば、特開平4−268505号公報等参照。)。また異方性反射偏光子としては、コレステリック液晶層とλ/4板の複合体があげられる。かかる複合体としては、日東電工製のPCFがあげられる(特開平11−231130号公報等参照。)。また異方性反射偏光子としては、反射グリッド偏光子があげられる。反射グリッド偏光子としては、金属に微細加工を施し可視光領域でも反射偏光を出すような金属格子反射偏光子(米国特許第6288840号明細書等参照。)、金属の微粒子を高分子マトリック中に入れて延伸したようなもの(特開平8−184701号公報等参照。)があげられる。
また、異方性散乱偏光子があげられる。異方性散乱偏光子としては、3M製のDRPがあげられる(米国特許第5825543号明細書参照)。
さらに、ワンパスで偏光変換できるような偏光素子があげられる。たとえば、スメクテイックCを用いたものなどがあげられる(特開2001−201635号公報等参照。)。異方性回折格子を用いることができる。
輝度向上フィルムを使用している液晶表示装置の場合には、本発明の偏光板保護フィルムを用いた偏光板は視認側の偏光板にのみ使用し、バックライト側の輝度向上フィルムと接している側のフィルムはRe、Rthともに300nm以下のフィルムを用いた偏光板を使用することが好ましい。この事により、複屈折干渉が抑えられ、虹ムラ、色味変化が大幅に改善する。
さらに、Reが0〜10nmであり、Rthが−30〜25nmであるフィルムを用いることがより好ましい。
例えば、好ましい物としてTAC(富士フイルム(株)製)、特に好ましい物としてZ−TAC(富士フイルム(株)製)、O−PET(鐘紡製)、アルテスタフィルム(三菱瓦斯化学(株)製)等が挙げられる。
また、輝度向上フィルムを用いる場合には、偏光板と輝度向上フィルムを密着することが偏光板への水分の浸入を防ぎ光漏れを抑制するため好ましい。偏光板と輝度向上フィルムとは貼り合わせる接着剤としては特に制限されない。例えばアクリル系重合体、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルエーテル、酢酸ビニル/塩化ビニルコポリマー、変性ポリオレフィン、エポキシ系、フッ素系、天然ゴム、合成ゴム等のゴム系などのポリマーをベースポリマーとするものを適宜に選択して用いることができる。特に、光学的透明性に優れ、適度な濡れ性と凝集性と接着性の粘着特性を示して、耐候性や耐熱性などに優れるものが好ましく用いうる。
<タッチパネル>
本発明のフィルムは、特開平5−127822号公報、特開2002−48913号公報等に記載されるタッチパネルなどに応用することができる。
<有機EL素子>
本発明のフィルムは、有機EL素子等の基板(基材フィルム)や保護フィルムとして用いることができる。
本発明のフィルムを有機EL素子等に用いる場合には、特開平11−335661号、特開平11−335368号、特開2001−192651号、特開2001−192652号、特開2001−192653号、特開2001−335776号、特開2001−247859号、特開2001−181616号、特開2001−181617号、特開2002−181816号、特開2002−181617号、特開2002−056976号等の各公報記載の内容を応用することができる。また、特開2001−148291号、特開2001−221916号、特開2001−231443号の各公報記載の内容と併せて用いることが好ましい。
《測定法》
以下、本明細書に記載のある各種の量を測定する方法について、説明する。
〔透湿度〕
透湿度の測定法は、「高分子の物性II」(高分子実験講座4 共立出版)の285頁〜294頁:蒸気透過量の測定(質量法、温度計法、蒸気圧法、吸着量法)に記載の方法を適用することができ、本発明にかかるフィルム試料70mmφを60℃、95%RHでそれぞれ24時間調湿し、JIS Z−0208に従って、透湿度=調湿後質量−調湿前質量で単位面積あたりの水分量(g/m2)を算出した。
〔Tg〕
Tgは動的粘弾性測定で得られるtanδのピーク温度から決定する。動的粘弾性測定装置はDVA−225(アイティー計測制御(株)社製)を用いtanδは測定周波数1Hzでの測定する。
〔弾性率〕
東洋ボールドウィン製万能引っ張り試験機STM T50BPを用い、25℃・60%雰囲気中、引っ張り速度10%/分で0.5%伸びにおける応力を測定し、弾性率を求める。
〔含水率〕
フィルムサンプルを25℃、60%RHに調節された部屋に4時間以上放置した後、試料7mm×35mmを水分測定器、試料乾燥装置(CA−03、VA−05、共に三菱化学(株))にてカールフィッシャー法で測定する。水分量(g)を試料質量(g)で除して算出する。
〔レターデーション〕
本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける面内のレターデーションおよび厚さ方向のレターデーションを表す。Re(λ)はKOBRA 21ADHまたはWR(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。本明細書では特に記載がなければλ=590nmでの値を用いた。
測定されるフィルムが1軸または2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレターデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレターデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
尚、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基に、以下の式(1)及び式(2)よりRthを算出することもできる。
Figure 2008003541
−−−式(1)
注記:
上記のRe(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレターデーション値をあらわす。
式(1)におけるnxは面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnx及びnyに直交する方向の屈折率を表す。

Rth=((nx+ny)/2−nz)×d −−− 式(2)

測定されるフィルムが1軸や2軸の屈折率楕円体で表現できないもの、いわゆる光学軸(optic axis)がないフィルムの場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50度から+50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
上記の測定において、平均屈折率の仮定値は、ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する: セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADHまたはWRはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx,ny,nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)が更に算出される。
〔表面粗さ〕
中心線平均粗さ(Ra)の測定は、JIS−B0601に準じて行うことができる。
〔ヘイズ〕
本発明のフィルムのヘイズはJIS−K7105に規定されたヘイズ値のことであり、JIS−K7361−1で規定された測定法に基づき、日本電色工業(株)製の濁度計「NDH−1001DP」を用いて測定したヘイズ=(拡散光/全透過光)×100(%)として自動計測される値を用いた。
〔硬度〕
<鉛筆硬度>
本発明のフィルムの硬度は、JIS―K5400に従う鉛筆硬度試験で評価することが出来る。
鉛筆硬度はH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
また、特開2004−354828号公報記載のナノインデンテーションによって表面硬度をもとめることができ、この場合の硬度としては2GPa〜4GPa、ナノインデンテーション弾性率は10GPa〜30GPaであることが好ましい。
〔密着性評価〕
フィルムの層間、あるいは支持体と塗布層との密着性は以下の方法により評価することが出来る。
塗布層を有する側の表面にカッターナイフで碁盤目状に縦11本、横11本の切り込みを1mm間隔で入れて合計100個の正方形の升目を刻み、日東電工(株)製のポリエステル粘着テープ(NO.31B)を圧着し、24時間放置後引き剥がす試験を同じ場所で繰り返し3回行い、剥がれの有無を目視で観察する。
100個の升目中、剥がれが10升以内であることが好ましく、2升以内であることが更に好ましい。
〔分光特性〕
試料13mm×40mmを、25℃,60%RHで分光光度計(U−3210、(株)日立製作所)にて、波長300〜450nmにおける透過率を測定した。
b値は、日本電色工業(株)製SZ−Σ90型色差計により測定した。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されるものではない。
<原料樹脂合成>
ポリエチレンテレフタレートの合成は常法によりポリエステルAを得た。
また、スルホン酸基を含むもの(ポリエステルS)は以下の方法により合成した。
〔スルホン酸基を含有したポリエチレンテレフタレートの合成〕
テレフタル酸ジメチル100質量部、エチレングリコール64質量部に酢酸カルシウム水和物0.1質量部を添加し、常法によりエステル交換反応を行なった。
得られた生成物に5−ナトリウムスルホジ(β−ヒドロキシエチル)イソフタル酸のエチレングリコール溶液(濃度31質量%)35質量部(6.3モル%/全ジカルボン酸成分)、ポリエチレングリコール(数平均分子量3000)5.8質量部(5質量%/生成したポリエステル)、三酸化アンチモン0.05質量部、リン酸トリメチルエステル0.13質量部を添加した。
次いで徐々に昇温、減圧にし、280℃、40Paで重合を行ない、ポリエステルSを得た。
実施例1
〔偏光板保護フィルムの作製〕
<ポリエステルフィルムの作成>
上記ポリエステルAのチップ材料を、ヘンシェルミキサーおよびパドルドライヤー乾燥機内で含水率50ppm以下に乾燥させた後、ヒーター温度を280度〜300度に設定した押し出し機内で溶融させた。溶融させたポリエステル樹脂を、ダイ部より静電印加されたチラーロール上に吐出させ、非結晶ベースを得た。この非結晶ベースをベース流れ方向に延伸比3.3倍に延伸後、ベース幅方向に延伸比3.9倍に延伸し、厚さ100μmの偏光板保護フィルム1用のポリエステルフィルムPETを作成した。
また、ポリエステルSを用いて、同様にして、厚さ80μmのポリエステルフィルムPETSを作成した。
<下塗り層S1(易接着層)>
上記偏光板保護フィルム1用のポリエステルフィルムPETの一方の面(光散乱層との接着界面となる面)に、塗布直前にコロナ放電処理を行い、以下の塗布液を乾燥膜厚が90nmとなるように塗布し易接着層(S1)を形成した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
スチレンブタジエンラテックス(固形分43%) 300g
2,4−ジクロロ−6ヒドロキシ−s−トリアジンナトリウム塩(8%) 49g
蒸留水 1600g
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
<光散乱層形成>
(ゾル液a−2の調製)
温度計、窒素導入管、滴下ロートを備えた1,000mlの反応容器に、アクリロキシオキシプロピルトリメトキシシラン187g(0.80mol)、メチルトリメトキシシラン27.2g(0.20mol)、メタノール320g(10mol)とKF0.06g(0.001mol)を仕込み、攪拌下室温で水15.1g(0.86mol)をゆっくり滴下した。滴下終了後室温で3時間攪拌した後、メタノール還溜下2時間加熱攪拌した。この後、低沸分を減圧留去し、更にろ過することによりゾル液a−2を120g得た。このようにして得た物質をGPC測定した結果、質量平均分子量は1500であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は30%であった。
また1H−NMRの測定結果から、得られた物質の構造は、以下の一般式で表される構造であった。
Figure 2008003541
更に、29Si−NMR測定による縮合率αは0.56であった。この分析結果から、本シランカップリング剤ゾルは直鎖状構造部分が大部分であることが分かった。
また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロキシプロピルトリメトキシシランは5%以下の残存率であった。
(1)光散乱層用塗布液の調製
────────────────────────────────────
光散乱層(防眩性ハードコート層)用塗布液A−1の組成
────────────────────────────────────
PET−30 50.0g
イルガキュア184 2.0g
SX−350(30%) 1.5g
架橋アクリル−スチレン粒子(30%) 13.0g
FP−1 0.75g
ゾル液a−2 9.5g
トルエン 38.5g
────────────────────────────────────
───────────────────────────────────
光散乱層(防眩性ハードコート層)用塗布液A−2の組成
───────────────────────────────────
PET−30 46.0g
イルガキュア184 1.7g
MX−600(30%) 28.6g
FP−1 0.06g
ゾル液a−2 6.0g
MiBK(メチルイソブチルケトン) 14.0g
MEK(メチルエチルケトン) 5.0g
───────────────────────────────────
───────────────────────────────────
光散乱層(防眩性ハードコート層)用塗布液A−3の組成
───────────────────────────────────
PET−30 50.0g
イルガキュア184 2.0g
SX−350(30%) 1.7g
架橋アクリルースチレン粒子(30%) 13.3g
FP−1 0.06g
ゾル液a−2 10.0g
トルエン 38.5g
───────────────────────────────────
───────────────────────────────────
光散乱層(防眩性ハードコート層)用塗布液A−4の組成
───────────────────────────────────
PET−30 40.0g
DPHA 6.0g
イルガキュア184 2.0g
MX−800(30%) 28.6g
FP−1 0.06g
ゾル液a−2 6.0g
MiBK 14.0g
MEK 5.0g
───────────────────────────────────
上記塗布液を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して光散乱層用塗布液A−1〜A−4を調製した。
それぞれ使用した材料を以下に示す。
・PET−30:ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物[日本化薬(株)製]
・イルガキュア184:重合開始剤[チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製]
・SX−350:平均粒径3.5μm架橋ポリスチレン粒子[屈折率1.60、綜研化学(株)製、30%トルエン分散液、ポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散後使用]
・架橋アクリル−スチレン粒子:平均粒径3.5μm[屈折率1.55、綜研化学(株)製、30%トルエン分散液、ポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散後使用]
・FP−1:フッ素系表面改質剤
・MX−600:平均粒径6μmPMMA粒子[屈折率1.49、綜研化学(株)製、30%MIBK分散液、ポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散後使用]
・MX−800:平均粒径8μmPMMA粒子[屈折率1.49、綜研化学(株)製、30%MIBK分散液、ポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散後使用]
(2)光散乱層(防眩性ハードコート層)の塗設
下塗り層S1を塗布してある偏光板保護フィルム1用のポリエステルフィルムPETをロール形態で巻き出してS1を塗布してある面に直接、光散乱層(防眩性ハードコート層)用塗布液A−1を線数135本/インチ、深度60μmのグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、搬送速度10m/分の条件で塗布し、60℃で150秒乾燥の後、さらに窒素パージ下で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量250mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、巻き取った。
<偏光子用下塗り>
偏光子との接着面に以下の処方の下塗りを行った。
<下塗り層SS1(易接着層)>
下塗り層S1と光散乱層を塗布た偏光板保護フィルム1用のポリエステルフィルムPETのS1塗布の反対面に、コロナ放電処理を行い、以下の塗布液を乾燥膜厚が90nmとなるように塗布し易接着層(SS1)を形成した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
スチレンブタジエンラテックス(固形分43%) 300g
2,4−ジクロロ−6ヒドロキシ−s−トリアジンナトリウム塩(8%) 49g
蒸留水 1600g
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
<親水性高分子層SS2>
さらに、SS1の塗布乾燥後、SS1塗布層の上に、コロナ放電処理を行い、次の親水性高分子層塗布液を乾燥膜厚100nmとなるように塗布し親水性高分子層(SS2)を形成して、偏光板保護フィルム1を得た。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ゼラチン 30g
酢酸(20%) 20g
蒸留水 1900g
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
〔偏光子の作製〕
厚さ120μmのポリビニルアルコールフィルムを沃素1質量部、沃化カリウム2質量部、ホウ酸4質量部を含む水溶液に浸漬し50℃で4倍に延伸し偏光子を作製した。
(他の偏光板保護フィルム)
また、光学異方性層が塗布されているWVフィルム(富士フイルム(株)製)を55℃の1.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液中に120秒間浸漬した後、水洗乾燥した。
〔偏光板の作製〕
偏光板保護フィルム1のSS2を施した面側の表面と上記鹸化したWVフィルムの光学異方性層が塗布されていない面に、上記偏光子を完全鹸化型ポリビニルアルコール5%水溶液を接着剤として貼合し偏光板1を作製した。
〔液晶表示装置の性能〕
TN型液晶セルを使用した液晶表示装置(MRT−191S、三菱電機(株)製)に設けられている偏光板を剥がし、代わりに本発明の偏光板1を、ポリエステル樹脂フィルム面が外側(空気界面側)に、且つ偏光板の透過軸が製品に貼られていた偏光板と一致するように粘着剤を介して貼り付けた。暗室にて、液晶表示装置を表示して、種々の視角から目視により以下の特性を評価した。(結果は表4参照。)
<画像の虹状ムラ評価>
作成した液晶表示装置を用いて、表示時の虹状のムラおよび視野角によるコントラストおよび色味変化を複数の観察者により目視評価する。
○ 虹状のムラ、視野角によるコントラストおよび色味変化は殆ど観察されなかった
× 虹状のムラ、又は視野角によるコントラストおよび色味変化がはっきり観察された
<高湿および低湿処理後の光漏れ評価(周辺ムラ評価)>
液晶表示装置を60℃90%50時間、または70℃10%50時間処理後に、25℃60%の環境下で2時間放置した後、液晶表示装置を黒表示させ、正面からの光漏れを複数の観察者により目視評価する。
◎ 光漏れは観察されなかった
○ 光漏れは殆ど目立たなかった
× 光漏れがはっきり観察された
実施例2〜28、比較例1〜3
〔偏光板保護フィルムの作製〕
(偏光板保護フィルム2〜17,T)
実施例1の偏光板保護フィルム1に代え、ハードコート層塗布液量が1/2となるように塗布した偏光板保護フィルム2、ハードコート層塗布液に散乱粒子(SX−350、架橋アクリル−スチレン粒子)を入れないで塗布した偏光板保護フィルム3、ポリエステルフィルムの原料ポリエステルをポリエステルSに変更した偏光板保護フィルム4、原料ポリエステルをポリエステルSとし散乱層を塗布しなかった偏光板保護フィルム5、ポリエステルフィルム厚みを変えた偏光板保護フィルム7を作製した。また、原料ポリエステルに紫外線吸取剤を混錬したポリエステルフィルムPET−UV1〜PET−UV8(表1)を用いて、偏光板保護フィルム6、8〜14を作製した。
また、実施例1において、使用するポリエステルフィルムをPET−UV1に変更し、かつ使用する光散乱層(ハードコート層)塗布液をA−1からA−2、A−3、A−4に変更して偏光板保護フィルム15〜17を作成した。
なお、紫外線吸収剤を入れたポリエステルフィルムPET−UV1〜PET−UV8は以下の様に作成した。
表1記載の紫外線吸収剤(下記化合物:化(1),化(2),化(3))を原料ポリエステルAまたはSに練り込んだものをチップの形態とし、さらにポリエステルAまたはSのチップとブレンドした。全ポリエステル樹脂に対し、前記紫外線吸収剤が表1記載の添加量%となるような含有量に調節した。これらのチップ材料を、ヘンシェルミキサーおよびパドルドライヤー乾燥機内で含水率50ppm以下に乾燥させた後、ヒーター温度を280度〜300度に設定した押し出し機内で溶融させた。溶融させたポリエステル樹脂を、ダイ部より静電印加されたチラーロール上に吐出させ、非結晶ベースを得た。この非結晶ベースをベース流れ方向に延伸比3.3倍に延伸後、ベース幅方向に延伸比3.9倍に延伸し、表2に記載の厚さ(100μm、80μm)のポリエステルフィルムPET−UV1〜PET−UV8を得た。得られたポリエステルフィルムの紫外線吸収剤の染み出しは観察されなかった。紫外線吸収剤染み出しはフィルムシート60度・90%相対湿度雰囲気下に10日間放置し、表面の紫外線吸収剤の染み出し(ブリードアウト)を目視観察した。
Figure 2008003541
Figure 2008003541
Figure 2008003541
Figure 2008003541
〔偏光板保護フィルム18〕
偏光板保護フィルム8の作成方法において以下の下塗り層(光散乱層側および偏光子側)を作成した。
<下塗り層S2>
PET−UV2フィルムの一方の面(光散乱層との接着界面となる面)に下記の方法で二層塗布した。
搬送速度105m/分条件で搬送した状態で、概支持体表面を727J/m2条件でコロナ放電処理を行い、下記組成からなる帯電防止層用塗布液をバーコート法により塗布した。
塗布量は、7.1cc/m2とし、エアー浮上乾燥ゾーンで180℃1分乾燥することで帯電防止層を得た。
(1層目塗布液(帯電防止層用))
蒸留水 781.7重量部
ポリアクリル樹脂(シ゛ュリマーET-410:日本純薬製、固形分30%) 30.9重量部
針状構造酸化スズ粒子(FS-10D:石原産業製、固形分20%) 131.1重量部
カルボジイミド化合物(カルホ゛シ゛ライトV-02-L2:日清紡製、固形分40%)6.4重量部
界面活性剤(サンテ゛ットBL:三洋化成工業製 固形分44.6%) 1.4重量部
界面活性剤(ナロアクティーHN-100:三洋化成工業製 固形分100%) 0.7重量部
シリカ微粒子分散液(シーホスターKE-W30:日本触媒製 0.3μm 固形分20%) 5.0重量部
搬送速度105m/分を保ったまま、上記帯電防止層上に、引き続き、下記組成からなる表面層用塗布液をバーコート法により塗布した。
塗布量は、5.05cc/m2とし、エアー浮上乾燥ゾーンで160℃1分乾燥することで2層構成のバック層を得た。
(2層目塗布液(表面層用))
蒸留水 941.0重量部
ポリアクリル樹脂(シ゛ュリマーET-410:日本純薬製、固形分30%) 57.3重量部
エポキシ化合物(テ゛ナコールEX-521:ナガセ化成工業製、固形分100%) 1.2重量部
界面活性剤(サンテ゛ットBL:三洋化成工業製 固形分44.6%) 0.5重量部
<偏光子側下塗り>
PET−UV2フィルムの一方の面(偏光子との接着界面となる面)に下記の方法で二層塗布した。
搬送速度105m/分条件で搬送した状態で、概支持体の反対面表面を467J/m2条件でコロナ放電処理を行い、下記組成からなる下塗層1層目用塗布液をバーコート法により塗布した。
塗布量は、5.05cc/m2とし、バック層帯電防止層乾燥ゾーンと同じ、エアー浮上乾燥ゾーンで180℃1分乾燥することで下塗り層1層目を得た。
<下塗層1層目>
蒸留水 823.0重量部
スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス
(Nipol Latex LX407C5:日本ゼオン製 固形分40%) 151.5重量部
2,4−ジクロル−6−ヒドロキシ−s−トリアジンナトリウム塩
(H-232:三協化学製 固形分8%) 25.0重量部
ポリスチレン微粒子(平均粒径2μ)
(Nipol UFN1008:日本ゼオン製 固形分10%) 0.5重量部
搬送速度105m/分を保ったまま、上記下塗層1層目上に、引き続き、下記組成からなる表面層用塗布液をバーコート法により塗布した。
塗布量は、8.7cc/m2とし、エアー浮上乾燥ゾーンで160℃1分乾燥することで2層構成のバック層を得た。
<下塗層第2層>
蒸留水 982.4重量部
ゼラチン(アルカリ処理) 14.8重量部
メチルセルロース(TC-5:信越化学工業製) 0.46重量部
化合物(Cpd-21) 0.33重量部
プロキセル(Cpd-22 固形分3.5%) 2.0重量部
Figure 2008003541
Figure 2008003541
〔フィルム19〕
偏光板保護フィルム1の作成方法において表2の様に延伸条件を変更してフィルムPET2を作成した。
ただし、十分なフィルム強度が得られていないためきれいな面状が得られず、偏光板加工が出来なかった。
Figure 2008003541
偏光板保護フィルム1,2,4,6〜18は、本発明の偏光板保護フィルムである。一方、偏光板保護フィルム3,5は、散乱層を有しない、比較例としての偏光板保護フィルムである。また、フィルム19は、偏光板保護フィルムとしての役をなさない、比較例としてのフィルムである。表2には、他に比較例の偏光板保護フィルムTとして、透湿度の大きい通常のTAC(TD80 富士フイルム(株)製)を示している。
表2には、各偏光板保護フィルム1〜18,T、及びフィルム19の、それぞれの基材フィルムについて、フィルム名、原料、厚み、延伸倍率(搬送方向/ベース幅方向)、透湿度、レターデーションRe、Tg、弾性率を示すとともに、各フィルム1〜18,T,19の、全ヘイズ、表面ヘイズ、内部ヘイズを示した。
さらに、偏光板の耐光性試験をXeランプを24時間照射する事により評価した。偏光板の透過率変化がほとんど無いものを◎、若干あるが問題にならないもの○、変化するものを×とした。
〔偏光板の作製〕
(偏光板2〜18、偏光板T)
偏光板1と同様にして、偏光板保護フィルム1に代え偏光板保護フィルム2〜18を用い偏光板2〜18を作製した。
また、比較として偏光板保護フィルム1に代え、偏光板保護フィルムTすなわち通常のTAC(TD80 富士フイルム(株)製)を用いた偏光板Tも作成した。
(偏光板WV)
偏光板1のWVフィルムを通常のTAC(TD80 富士フイルム(株)製)とした以外は偏光板1と全く同様にして偏光板WVを作成した。
(偏光板Z)
偏光板1のWVフィルムを低レターデーションTAC(Z−TAC 富士フイルム(株)製。Re=1nm、Rth=−3nm)とした以外は偏光板1と全く同様にして偏光板Zを作成した。
(偏光板WVZ)
偏光板WVのTACの対向基材フィルムを低レターデーションTAC(Z−TAC 富士フイルム(株)製)とした以外は偏光板WVと全く同様にして偏光板WVZを作成した。
(偏光板ZZ)
偏光板ZのZ−TACの対向基材フィルムを低レターデーションTAC(Z−TAC 富士フイルム(株)製)とした以外は偏光板Zと全く同様にして偏光板ZZを作成した。
偏光板1,2,4,6〜18,WV,Zは、本発明の偏光板である。一方、偏光板3,5は、散乱層を有しない、また、偏光板T,WVZ,ZZは、基材フィルムとしてTACフィルムのみを用いた、比較例としての偏光板である。(なお、各偏光板構成を表3に示した。)
Figure 2008003541
〔液晶表示装置の性能〕
実施例1と同様にして、偏光板1の代わりに偏光板T,偏光板2,偏光板3,4,5,6,7,8〜18を用いたものについても、虹ムラ、高湿・低湿での光漏れを評価した(比較例1,実施例2,比較例2,実施例3,比較例3,実施例4,実施例5,実施例13〜23。表4参照。)。
さらに、VA型液晶表示装置(LC−26GD3 シャープ製)に設けられている偏光板を位相差膜を残したまま剥がし、代わりに本発明の偏光板WVをポリエステル樹脂フィルム面が外側(空気界面側)に、且つ偏光板の透過軸が製品に貼られていた偏光板と一致するように貼り付けた(実施例6)。
IPS型液晶表示装置(Th−26LX300 松下製)に設けられている偏光板を剥がし、代わりに本発明の偏光板Zをポリエステル樹脂フィルム面が外側(空気界面側)に、且つ偏光板の透過軸が製品に貼られていた偏光板と一致するように貼り付けた(実施例7)。
また、IPS型液晶表示装置(32LC100 東芝製)に設けられている偏光板を表側の位相差膜を残し、裏側の位相差膜は剥がし、代わりに本発明の偏光板Zをポリエステル樹脂フィルム面が外側(空気界面側)に、且つ偏光板の透過軸が製品に貼られていた偏光板と一致するように貼り付けた(実施例8)。
これらについても、虹ムラ、高湿・低湿での光漏れを評価した。(実施例6〜8。表4参照。)
また、実施例1,実施例6〜8,23の装置については、バックライト側の偏光板だけを偏光板Tに替え、さらにバックライト側に輝度向上フィルム(DBEF 3M製)を入れた場合についての虹ムラ、高湿・低湿での光漏れも評価した(実施例9〜12,24。表4参照。)。
さらに、輝度向上フィルムDBEFを用いた装置において、輝度向上フィルムと接する偏光板保護フィルムにレターデーションのきわめて小さいZ−TACを用いた装置では視野角の色味変化が小さいことが認められた。(実施例25〜28。表4参照。)
また、実施例25または26において、輝度向上フィルムDBEFと偏光板を粘着剤によって密着させたフィルムでは、周辺ムラの発生がより抑えられていることが分かる(実施例27,28。表4参照。)。
Figure 2008003541
本発明の偏光板保護フィルムである偏光板保護フィルム1,2,4,6〜18,WV,Zを用いた、偏光板1,2,4,6〜18,WV,Zを使用した各実施例では、高湿または低湿での光漏れは発生せず、また、虹状のムラも発生しなかった。
透湿度の大きい偏光板保護フィルムである偏光板保護フィルムTすなわち通常のTAC(TD80)を用いた偏光板Tを視認側、バックライト側両方に使用した比較例1では、高湿または低湿条件で光漏れが発生した。
ハードコート層塗布液に散乱粒子を入れないで塗布した偏光板保護フィルム3、あるいは散乱層を塗布しなかった偏光板保護フィルム5を用いた、偏光板3及び5を使用した比較例2及び比較例3では、虹ムラや視野角による色味変化等が発生した。
また、輝度向上フィルムDBEFを使用した液晶表示装置については、本発明の偏光板保護フィルムを用いた偏光板を視認側の偏光板にのみ使用し、バックライト側には通常のTAC(TD80)やZ−TACを用いた偏光板TやWVZ,ZZを使用した場合(実施例9〜12,24や25〜28)でも、充分、虹ムラや視野角による色味変化等を抑えることができた。

Claims (34)

  1. 透湿度が700g/m2・day以下でありかつ面内のレターデーションReが500nm以上のポリエステル樹脂を主成分とするフィルムの少なくとも一方の面に光散乱層を設けたことを特徴とする偏光板保護フィルム。
  2. 全ヘイズが10〜80%であることを特徴とする請求項1記載の偏光板保護フィルム。
  3. 表面ヘイズが0.3〜70%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の偏光板保護フィルム。
  4. 内部ヘイズが10〜80%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の偏光板保護フィルム。
  5. 前記ポリエステル樹脂を主成分とするフィルムの380nmの透過率が0〜50%であり、600nmの透過率が80〜100%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の偏光板保護フィルム。
  6. 前記ポリエステル樹脂を主成分とするフィルムが紫外線吸収剤を含有していることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の偏光板保護フィルム。
  7. 前記紫外線吸収剤が、窒素ガス下、300℃の温度に到達するまで10℃/分の昇温速度で昇温した場合の質量減量%が10%以下である紫外線吸収剤を含有していることを特徴とする請求項6に記載の偏光板保護フィルム。
  8. 前記紫外線吸収剤が、下記一般式(1)で表される紫外線吸収剤の少なくとも一種であることを特徴とする特徴とする請求項6又は7に記載の偏光板保護フィルム。
    Figure 2008003541
    式中、X1、Y1およびZ1は、それぞれ独立して、置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基またはヘテロ環基を示し、X1、Y1およびZ1のうち少なくとも一つは下記構造式(A)で示される置換基を表す。
    Figure 2008003541
    式中、R1およびR2は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、アシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、カルボキシル基もしくはその塩またはスルホ基もしくはその塩を表す。隣り合うR1およびR2が連結して環を形成してもよい。
  9. 前記ポリエステル樹脂を主成分とするフィルムの含水率が1%以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の偏光板保護フィルム。
  10. 前記ポリエステル樹脂を主成分とするフィルムの弾性率が3〜7GPaであることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の偏光板保護フィルム。
  11. 前記ポリエステル樹脂を主成分とするフィルムの膜厚が5〜200μmであることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の偏光板保護フィルム。
  12. 前記ポリエステル樹脂のガラス転移温度が80℃以上であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の偏光板保護フィルム。
  13. 前記ポリエステル樹脂がスルホン酸又はその塩から選ばれる基を有することを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の偏光板保護フィルム。
  14. 前記ポリエステル樹脂を主成分とするフィルムの少なくとも一方の面がコロナ放電処理されていることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の偏光板保護フィルム。
  15. 前記ポリエステル樹脂を主成分とするフィルムの少なくとも一方の面がグロー放電処理されていることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の偏光板保護フィルム。
  16. 前記ポリエステル樹脂を主成分とするフィルムの少なくとも一方の面に易接着層を形成したことを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の偏光板保護フィルム。
  17. 前記ポリエステル樹脂を主成分とするフィルムの両面に易接着層を形成したことを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の偏光板保護フィルム。
  18. 前記易接着層が、アクリル酸エステル系ラテックス、メタクリル酸系ラテックス、スチレン系ラテックスから選ばれる少なくとも一種を含有することを特徴とする請求項16又は17に記載の偏光板保護フィルム。
  19. 前記易接着層が紫外線吸収剤を含有することを特徴とする請求項16〜18のいずれかに記載の偏光板保護フィルム。
  20. 前記易接着層が導電性金属酸化物を含有することを特徴とする請求項16〜19のいずれかに記載の偏光板保護フィルム。
  21. 前記易接着層が50〜1000nm厚であることを特徴とする請求項16〜20に記載の偏光板保護フィルム。
  22. 前記易接着層上に親水性高分子を含有する層をさらに形成したことを特徴とする請求項16〜21のいずれかに記載の偏光板保護フィルム。
  23. 前記親水性高分子を含有する層が紫外線吸収剤を含むことを特徴とする請求項22に記載の偏光板保護フィルム。
  24. 前記親水性高分子を含有する層が50〜1000nm厚であることを特徴とする請求項22又は23に記載の偏光板保護フィルム。
  25. 前記ポリエステル樹脂を主成分とするフィルムがその製造においてフィルム搬送方向に1.5倍以上7倍以下かつ搬送方向に対し直交する方向に1.5倍以上7倍以下延伸されたものであることを特徴とする請求項1〜24に記載の偏光板保護フィルム。
  26. 偏光子と請求項1〜25のいずれかに記載の偏光板保護フィルムとを有することを特徴とする偏光板。
  27. 偏光子を挟むもう一方の偏光板保護フィルムがセルロースエステルフィルムを主成分とするフィルムを有するものであることを特徴とする請求項26に記載の偏光板。
  28. 偏光子を挟むもう一方の偏光板保護フィルムが視野角補償機能を持つことを特徴とする請求項26又は27に記載の偏光板。
  29. 偏光子を挟むもう一方の偏光板保護フィルムが光学異方性層が塗布されているものであることを特徴とする請求項26〜28のいずれかに記載の偏光板。
  30. 液晶セルを挟む偏光板のうち少なくとも一方が請求項26〜29のいずれかに記載の偏光板であることを特徴とする液晶表示装置。
  31. 請求項26〜29のいずれかに記載の偏光板が液晶セルの視認側にのみ設置されていることを特徴とする請求項30に記載の液晶表示装置。
  32. さらに輝度向上フィルムが搭載されていることを特徴とする請求項30又は31に記載の液晶表示装置。
  33. 前記輝度向上フィルムと隣接する偏光板保護フィルムとが密着していることを特徴とする請求項32に記載の液晶表示装置。
  34. 表示モードがTNモードであることを特徴とする請求項30〜33のいずれかに記載の液晶表示装置。
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