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JP2008003359A - 反射防止フィルム、偏光板、及び液晶表示装置 - Google Patents

反射防止フィルム、偏光板、及び液晶表示装置 Download PDF

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JP2008003359A
JP2008003359A JP2006173563A JP2006173563A JP2008003359A JP 2008003359 A JP2008003359 A JP 2008003359A JP 2006173563 A JP2006173563 A JP 2006173563A JP 2006173563 A JP2006173563 A JP 2006173563A JP 2008003359 A JP2008003359 A JP 2008003359A
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acid
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Takashi Murakami
隆 村上
Noriki Tachibana
範幾 立花
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Konica Minolta Opto Inc
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Konica Minolta Opto Inc
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Abstract

【課題】中空シリカ系微粒子を含有する低屈折率層等を有する反射防止フィルムの製造の際に生じる筋状故障の発生を防止し、大画面の液晶等の画像表示装置においてムラが生じない反射防止フィルムを提供する。更に、当該反射防止フィルムを利用する偏光板の製造工程におい生じるしわや泡の巻き込みなどの故障を防止することともに、正面コントラストを向上させた偏光板及び液晶表示装置を提供する。
【解決手段】透明支持体上に、少なくともハードコート層及び反射防止層を有する反射防止フィルムであって、該透明支持体が少なくとも含水性を有するポリエステルフィルムからなり、該ハードコート層が少なくとも活性線硬化樹脂を含有し、かつ該反射防止層として、少なくとも、外殻層を有し内部が多孔質または空洞の中空シリカ系微粒子を含有する低屈折率層を有することを特徴とする反射防止フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、反射防止フィルム、偏光板、及び液晶表示装置に関し、より詳しくは大画面の液晶等の画像表示装置においてムラが生じない反射防止フィルム、正面コントラストを向上させた偏光板及び液晶表示装置に関する。
液晶等の画像表示装置の最表面で使用される反射防止フィルムでは、光学干渉方式の反射防止層を設けて低反射率とする技術が提案されている。
反射率を下げる技術として、最表面の低屈折率層の屈折率を低下させる方法があり、低屈折率素材や、空隙を多くして屈折率を下げる方式が提案されている。しかし、いずれの技術についても、膜強度、耐傷性が弱点となっている。
これらの問題の解決策として提案された、内部が多孔質または空洞となっている中空シリカ系微粒子を用いる技術(例えば、特許文献1〜3参照。)は、空隙による屈折率低下を維持したまま膜強度を向上する技術であり、幾らかの改良効果を有するものではあるが、中空シリカ系微粒子を含有する低屈折率層等を有する反射防止フィルムの製造の際に、筋状故障が発生しやすく、当該反射防止フィルムを利用する偏光板の製造工程においてしわや泡の巻き込みなどの故障が起こりやすく、更には、大画面の液晶等の画像表示装置においてムラを生じやすいという問題があることが分かった。
一方、偏光板等の保護フィルムとしては、セルロースエステルフィルムのほかポリエステル系樹脂フィルム(例えば、特許文献4参照。)、ポリオレフィン系樹脂フィルム等種々の樹脂が候補として検討されたことがある。しかしながら、光学性能的にセルロースエステルフィルムを凌ぐものは現われず、現時点でもセルロースエステルが偏光板保護フィルムとして最も一般に使用され続けている。
また一方、位相差板は偏光板に貼合するタイプ、偏光子であるポリビニルアルコール誘導体と直接接着するタイプ(偏光板保護フィルムを兼ねた構造)などがあるが、部材数を減らすこと、あるいは部材のコストダウンなどの要求から、偏光板保護フィルムが位相差板の機能を有するタイプが主流になりつつあり、セルロースエステルだけでなく、シクロオレフィン樹脂からなる位相差フィルムが偏光板保護フィルムとして使用されることも提案されている(例えば、特許文献5参照。)。この場合であっても、2枚の偏光板保護フィルムの一方は必ずセルロースエステルフィルムが使われてきた。
最近液晶テレビにおいて、大型化が急速に進むことにより正面コントラストを従来よりも高くすることが要求されており、偏光板の偏光度向上だけでなく、位相差フィルムの透明性、透湿性、位相差値の制御、表面フィルムの防眩処理の低減など様々な要求・提案がなされている(例えば、特許文献6、7、8参照。)。
正面コントラストは正面の白表示の光量と黒表示の光量との比であり、白の光量を上昇させる、もしくは黒の光量を減少させることで上昇させることができる。位相差フィルムに関しては、例えばフィルムのヘイズを抑えることで黒表示の光漏れを抑える方法が考えられている(例えば、特許文献9参照。)。
しかしながら、前記開示された技術によっても、コントラストの上昇は、必ずしも十分ではなく、むしろコントラストが下がってしまう現象が起こることがあるということが分かった。
特開2001−167637号公報 特開2001−233611号公報 特開2002−79616号公報 特開2002−116320号公報 特開2004−334168号公報 特開2005−55601号公報 特開2005−17435号公報 特開2003−222713号公報 特開平7−294736号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、第1に、中空シリカ系微粒子を含有する低屈折率層等を有する反射防止フィルムの製造の際に生じる筋状故障の発生を防止し、大画面の液晶等の画像表示装置においてムラが生じない反射防止フィルムを提供すること、第2に、当該反射防止フィルムを利用する偏光板の製造工程において生じるしわや泡の巻き込みなどの故障を防止することともに、正面コントラストを向上させた偏光板及び液晶表示装置を提供することにある。
本発明に係る上記課題は、下記の手段によって解決される。
1.透明支持体上に、少なくともハードコート層及び反射防止層を有する反射防止フィルムであって、該透明支持体が少なくとも含水性を有するポリエステルフィルムからなり、該ハードコート層が少なくとも活性線硬化樹脂を含有し、かつ該反射防止層として、少なくとも、外殻層を有し内部が多孔質または空洞の中空シリカ系微粒子を含有する低屈折率層を有することを特徴とする反射防止フィルム。
2.前記1に記載の反射防止フィルムを偏光子の少なくとも一方の面に貼合したことを特徴とする偏光板。
3.前記偏光子のもう一方の面に少なくともシクロオレフィン樹脂若しくはセルロースエステル樹脂からなる位相差フィルムを貼合したことを特徴とする前記2に記載の偏光板。
4.前記2又は3に記載の偏光板を用いたことを特徴とする液晶表示装置。
本発明の上記手段により、中空シリカ系微粒子を含有する低屈折率層等を有する反射防止フィルムの製造の際に生じる筋状故障の発生を防止し、大画面の液晶等の画像表示装置においてムラが生じない反射防止フィルムを提供することができる。更には、当該反射防止フィルムを利用する偏光板の製造工程において生じるしわや泡の巻き込みなどの故障を防止することともに、正面コントラストを向上させた偏光板及び液晶表示装置を提供することができる。
本発明の反射防止フィルムは、透明支持体上に、少なくともハードコート層及び反射防止層を有する反射防止フィルムであって、該透明支持体が少なくとも含水性を有するポリエステルフィルムからなり、該ハードコート層が少なくとも活性線硬化樹脂を含有し、かつ該反射防止層として、少なくとも、外殻層を有し内部が多孔質または空洞の中空シリカ系微粒子を含有する低屈折率層を有することを特徴とする。
以下、本発明及びその構成要素等について詳細な説明をする。
(反射防止フィルムの構成)
本発明の反射防止フィルムは、透明支持体としての特定ポリエステルフィルム上に、ハードコート層として活性線硬化樹脂層を有し、さらに反射防止層として特定の低屈折率層を有することを特徴とするが、下記のように、種々の構成態様を採り得る。
次に好ましい反射防止フィルムの構成を下記に示すが、これらに限定されるものではない。なお、下記の「透明支持体/ハードコート層/低屈折率層」という記載は透明支持体上にハードコート層ついで低屈折率層が積層されて設けられていることを意味している。他の例も同様である。
透明支持体/ハードコート層/低屈折率層
透明支持体/ハードコート層/高屈折率層/低屈折率層
透明支持体/帯電防止層/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
透明支持体/防眩性ハードコート層/低屈折率層
透明支持体/防眩性ハードコート層/高屈折率層/低屈折率層
透明支持体/防眩性ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
透明支持体/帯電防止層/防眩性ハードコート層/高屈折率層/低屈折率層
なお、ここで、ハードコート層とは、本発明においては、前述の活性線硬化樹脂層を意味する。また、透明支持体の上に下引き層を形成した後でハードコート層もしくは防眩性ハードコート層を設けることも好ましい。
また、いずれも透明基材フィルムの低屈折率層を塗設した側と反対面には、前述のバックコート層を設けることが好ましい。
本発明においては、上記各層を塗布する前に透明支持体もしくはその上に形成された各層の表面をアルカリ鹸化処理、コロナ放電処理、プラズマ処理などの表面処理行い、該表面処理を行った後に各層を形成することが好ましい。また、低屈折率層の上にフッ素系化合物を含有する防汚層を形成することも好ましい。
なお、後述する液晶表示装置の表面側に用いられる偏光板保護フィルムとして、当該反射防止フィルムを使用する場合には、帯電防止層を設けることが好ましく、帯電防止層は独立した層として設けることもできるが、ハードコート層、高屈折率層、中屈折率層、低屈折率層などのいずれかの層に帯電防止剤を含有させてこれらと兼ねることが好ましい。
(透明支持体としてのポリエステルフィルム)
本発明においては、透明支持体(「透明基材フィルム」ともいう。)として、含水性のポリエステルフィルムを使用することを特徴とする。ここで、「含水性のポリエステルフィルム」とは、平衡含水率が0.5%以上であるポリエステルフィルムをいう。好ましくは平衡含水率が0.5〜10%、特に好ましくは0.5〜5%であるポリエステルフィルムである。
特に好ましい含水性のポリエステルフィルムは、スルホン酸基を有するポリエステル樹脂から形成されたポリエステルフィルムであって、その平衡含水率が上記の範囲内にあるポリエステルフィルムである。
本発明において、平衡含水率0.5〜10%のポリエステルフィルムは平衡含水率0.5〜10%のポリエステル樹脂単独で形成してもよく、当該平衡含水率範囲に維持できる限りにおいて、平衡含水率0.5〜10%のポリエステル樹脂に他種の樹脂成分、各種添加剤等を含有させてもよい。その外、平衡含水率0.5%未満のポリエステル樹脂と積層されていてもよく、また他の材質のフィルム上に積層されていてもよく、支持体に用いられる樹脂は特に限定されない。
ここで、平衡含水率とは、試料の中に平衡状態で含まれる水分量を試料質量に対する百分率で表したものである。具体的な求め方としては、ポリエステルフィルム、あるいは他のフィルム上に積層されている場合には、基体より引き剥がした該ポリエステル樹脂層フィルムを、23℃、相対湿度20%に調湿された部屋に4時間以上放置した後、23℃の蒸留水に24時間浸漬させた後、サンプルを微量水分計(例えば、三菱化学(株)製、CA−20型)を用いて温度150℃で、水分を乾燥・気化させた後、カールフィッシャー法で定量する方法である。
ポリエステルは、芳香族ジカルボン酸成分をグリコール成分と直接エステル化反応させる直接エステル化法、また初めに芳香族ジカルボン酸成分としてジアルキルエステルを用いて、これとグリコール成分とでエステル交換反応させ、これを減圧下で加熱して余剰のグリコール成分を除去することにより重合させるエステル交換法を用いて製造できる。この際、必要に応じてエステル交換触媒、重合反応触媒、耐熱安定剤等を用いて製造される。
本発明においては、始めにジカルボン酸のジアルキルエステルを用いた場合でも、また一旦ジカルボン酸成分とグリコール成分をエステル化反応させるエステル化法を用いた場合でも、原料およびその共重合成分に言及する場合、芳香族ジカルボン酸、グリコール換算の量をいうこととする。
上記プロセスにおいては、スルホン酸およびその塩から選ばれる基を有する芳香族ジカルボン酸或いはポリアルキレングリコール等の共重合成分をエステル交換反応後に添加し、重縮合を行うことにより得られるポリエステル樹脂が、特に好ましい。
本発明に用いられる平衡含水率0.5〜10%のポリエステル樹脂としては、具体的には、少なくとも芳香族ジカルボン酸とグリコールの反応により得られたポリエステル樹脂であって、ポリエステル樹脂構造中にスルホン酸またはその塩から選ばれる基を有しているポリエステル樹脂が好ましい。
これらのスルホン酸基は、スルホン酸およびその塩から選ばれる基を有する芳香族ジカルボン酸またはグリコールを所定量テレフタル酸等のジカルボン酸或いはエチレングリコール等のグリコールの共重合成分として混合し、ポリエステルを製造することにより、ポリエステル樹脂中に導入することができる。
この様にして得られるポリエステル樹脂中に含まれる硫黄元素含有量は、0.15〜2質量%であることが好ましい。
これら硫黄元素含量が2%以下である場合には、機械的強度に優れ、また0.15%以上では、スルホン酸基数が充分な割合で存在し、顕著な効果を得ることができる。
ポリエステル樹脂中の硫黄元素は、全てがスルホン酸基またはその塩から選ばれる基由来である必要はないが、50%以上、好ましくは80%以上がスルホン酸またはその塩としてポリエステル中に含まれるスルホン酸基に由来するものであることが好ましい。
ポリエステル樹脂中の硫黄元素の定量方法は、特に限定されないが、例えば、ICP−AES(誘導結合プラズマ発光分光分析)により定量できる。具体的には、試料に炭酸ナトリウムを添加して、1000℃で加熱溶融して得られた分解物に水を加えて水溶液とし、これをセイコー電子工業(株)製SPS−4000を用いて、ICP−AES分析にて求めることができる。
上記スルホン酸基を含有するポリエステル樹脂は、従って、少なくとも芳香族ジカルボン酸とグリコールの反応により製造される際に用いられる全芳香族ジカルボン酸に対して、1〜10モル%のスルホン酸およびその塩から選ばれる基を有する芳香族ジカルボン酸或いはグリコールを共重合成分として用いることにより得ることができる。また、スルホン酸をポリエステルに導入するには、スルホン酸およびその塩から選ばれる基を有する芳香族ジカルボン酸を、全芳香族ジカルボン酸に対し1〜10モル%用いて製造することが原料の入手のしやすさ等から見てより好ましい。
また、本発明に用いられるポリエステル樹脂は、更にポリアルキレングリコールを、生成したポリエステルの全量に対して0.1〜10質量%共重合成分として用いて製造されることが好ましい。
これらの成分により、ポリエステル樹脂を偏光板保護フィルム等に用いる際の、偏光子との接着性や貼合の際の接着剤の乾燥性等偏光板保護フィルムとしての特性は大きく改善する。
本発明に用いるポリエステル樹脂においては、特にポリエステルの主成分がテレフタル酸およびエチレングリコールを用いて得られるポリエチレンテレフタレートであることが好ましい。
本発明においては、後述するが、溶融流延されたフィルムを2軸延伸もしくは1軸延伸で延伸したフィルムが好ましく用いられる。このようにして得られたフィルムは膜厚5〜500μmが用いられる。特に膜厚5〜40μmであっても、適切な透湿度を有するため、偏光板製造時の接着剤の乾燥性に優れ、偏光子との接着性も良好であった。また、膜厚5〜40μmであっても偏光板製造時に皺が入りにくく、偏光子との貼合が容易である。本発明の反射防止フィルムのJIS Z0208によって求められる25℃、90%RHにおける24時間の透湿性は5〜250g/m2であることが好ましく、特に10〜220g/m2であることが好ましい。
本発明に係る偏光板保護フィルムを用いた偏光板は、膜厚5〜40μmの偏光板保護フィルムを用いても、高温高湿条件下での偏光度の低下が著しく少なく、しかも寸法安定性にも優れることが確認された。
本発明に用いられるポリエステルの製造に用いられる芳香族ジカルボン酸としては前記テレフタル酸のほか、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などがあり、またこれらの低級アルキルエステル(無水物、低級アルキルエステル等のエステル形成可能な誘導体)を使用することができる。グリコールとしてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、p−キシリレングリコールなどがある。なかでもテレフタル酸とエチレングリコールの反応により得られたポリエチレンテレフタレートを主成分とすることが好ましい。
主成分がポリエチレンテレフタレートであるとは、ポリエチレンテレフタレートの繰返し単位が50モル%以上の共重合体、あるいはブレンドされている場合は、ポリエチレンテレフタレートを50質量%以上含有していることをいう。好ましくはポリエチレンテレフタレートの繰返し単位が80モル%以上の共重合体、あるいはブレンドされている場合は、ポリエチレンテレフタレートを80質量%以上含有していることである。
本発明において用いられる、ポリエステル中にスルホン酸基を含有させるために用いられるスルホン酸およびその塩から選ばれる基を有する芳香族ジカルボン酸としては、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、2−ナトリウムスルホイソフタル酸、4−ナトリウムスルホイソフタル酸、4−ナトリウムスルホ−2,6−ナフタレンジカルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体、およびこれらのナトリウムを他の金属(例えばカリウム、リチウムなど)で置換した化合物が用いられる。
また、グリコール中にスルホン酸およびその塩から選ばれる基を導入したものを用いてもよいが、ポリエステル中にスルホン酸基を含有させるために好ましい化合物として好ましいのは、前記スルホン酸基またはその塩を有する芳香族ジカルボン酸である。
これらのスルホン酸基またはその塩を有する芳香族ジカルボン酸成分が製造時に用いられる全芳香族ジカルボン酸の10モル%以下であると延伸性や機械的強度に優れ、また1モル%以上では、十分な乾燥性が得られるため好ましい。
更に、本発明に用いられるポリエステルは、ポリアルキレングリコールを共重合成分として含有することが好ましく、前述したように、ポリエステルが、反応生成物のポリエステル全量に対してポリアルキレングリコールを0.1〜10質量%用い製造されることが好ましい。また、更に好ましくは0.2〜8質量%である。ポリアルキレングリコールが0.1質量%以上では乾燥性に優れるため好ましく、10質量%以下であると高いヤング率を維持し、機械的強度に優れるため好ましい。
ポリアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどが用いられるが、このうちポリエチレングリコールが好ましく、分子量(数平均分子量)としては特に限定されないが300〜20000が好ましく、さらに好ましくは600〜10000、特に1000〜5000のものが好ましく用いられる。これらの分子量はGPCを用いることにより測定できる。
本発明の光学フィルムに用いられるポリエステルには、本発明の効果を阻害しない範囲で、さらに他の成分が共重合されていても良いし、他のポリマーがブレンドされていても良い。
上記以外の他の芳香族ジカルボン酸又はその誘導体として、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸及びその低級アルキルエステル(無水物、低級アルキルエステル等のエステル形成可能な誘導体)を用いることができる。また製造の際、シクロプロパンジカルボン酸、シクロブタンジカルボン酸及びヘキサヒドロテレフタル酸などの脂環式ジカルボン酸及びその誘導体(無水物、低級アルキルエステル等のエステル形成可能な誘導体)、アジピン酸、コハク酸、シュウ酸、アゼライン酸、セバシン酸及びダイマー酸などの脂肪族ジカルボン酸及びその誘導体(無水物、低級アルキルエステルなどのエステル形成可能な誘導体)を全ジカルボン酸の10モル%以下の量で使用することも好ましい。
本発明で使用することができるグリコールとしては、エチレングリコールおよび前記のグリコールの他、トリメチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA、p,p′−ジヒドロキシフェニルスルフォン、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ポリアルキレン(例、エチレン、プロピレン)グリコール、及びp−フェニレンビス(ジメチロールシクロヘキサン)などを挙げることができ、これらは用いられるグリコールの10モル%以下の量で使用することも好ましい。
本発明に用いられるポリエステルは、例えば、安息香酸、ベンゾイル安息香酸、ベンジルオキシ安息香酸、メトキシポリアルキレングリコールなどの1官能性化合物によって末端の水酸基および/またはカルボキシル基を封鎖したものであってもよく、あるいは、例えば、極く少量のグリセリン、ペンタエリスリトールの如き3官能、4官能エステル形成化合物も用いて共重合体されたものでもよい。
また、本発明に用いられるポリエステルには、フィルムの耐熱性を向上する目的で、ビスフェノール系化合物、ナフタレン環又はシクロヘキサン環を有する化合物を共重合させることも好ましい。シクロヘキサン環にスルホン酸基を有することも好ましい。
シクロヘキサン環を有する化合物もしくはシクロヘキサン環にスルホン酸基を有する化合物は、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸もしくはその誘導体等のジカルボン酸であってもあるいはグリコールであっても好ましい。
本発明に用いられるポリエステルの固有粘度(Intrinsic Viscousity)は0.35〜0.65の範囲のものが好ましく用いられる。0.35以上では得られるフィルムの脆弱性に劣ることがなく、0.65以下であると、溶融押し出し時に溶融粘度が適切であり、平面性に優れるフィルムを得やすくなる。
固有粘度の算出はウベローデ型粘度計を用いて行った。質量比が約55:45(流下時間42.0±0.1秒に調整)であるフェノールと1,1,2,2−テトラクロロエタンとの混合溶媒を用い、これにサンプルを溶かして濃度0.2,0.6,1.0(g/dl)の溶液(温度20℃)を調製する。ウベローデ型粘度計によって、それぞれの濃度(C)における比粘度(ηsp)を求め、式[ηsp/C]を濃度零(C→0)に補外し固有粘度[η]を求めた。固有粘度[η]の単位はdl/gである。
また、本発明に用いられるポリエステルはガラス転移温度(Tg)が55℃以上であることが好ましく、更に60℃以上であることが好ましい。55℃未満では得られたフィルムの高温高湿下での寸法安定性に劣る場合がある。Tgは示差走査熱量計で測定するところのベースラインが偏奇し始める温度と、新たにベースラインに戻る温度との平均値として求められたものである。
本発明に用いられるポリエステルには、酸化防止剤が含有されていてもよい。特にポリエステルが、ポリオキシアルキレン基を有する化合物を含む場合に効果が顕著となる。含有させる酸化防止剤はその種類につき特に限定はなく、各種の酸化防止剤を使用することができるが、例えば、ヒンダードフェノール系化合物、ホスファイト系化合物、チオエーテル系化合物等の酸化防止剤を挙げることができる。中でも透明性の点でヒンダードフェノール系化合物の酸化防止剤が好ましい。酸化防止剤の含有量は、通常、ポリエステルに対して0.01〜2質量%、好ましくは0.1〜0.5質量%である。
本発明に係るポリエステルフィルムには、必要に応じて易滑性を付与することもできる。易滑性付与手段としては、特に限定はないが、ポリエステルに不活性無機粒子を添加する外部粒子添加方法、ポリエステルの合成時に添加する触媒を析出させる内部粒子析出方法、或いは界面活性剤、マット剤等をフィルム表面に塗布する方法等が一般的である。
〈紫外線吸収剤〉
本発明のポリエステルフィルムには、必要に応じて紫外線吸収剤を添加することもできる。
紫外線吸収剤としては、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましく用いられる。
本発明に用いられる紫外線吸収剤の具体例としては、例えばオキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物、トリアジン系化合物、ベンゾエート系化合物などが挙げられる。又、特開平6−148430号記載の高分子紫外線吸収剤、特願2000−214134号の高分子紫外線吸収剤も好ましく用いられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては下記一般式〔UVA1〕で示される化合物が好ましく用いられる。
Figure 2008003359
式中、R1、R2、R3、R4及びR5は同一でも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシル基、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、モノ若しくはジアルキルアミノ基、アシルアミノ基または5〜6員の複素環基を表し、R4とR5は閉環して5〜6員の炭素環を形成してもよい。
また、上記記載のこれらの基は、任意の置換基を有していて良い。
以下に一般式〔UVA1〕で示される紫外線吸収剤の具体例を挙げるが、これらに限定されない。
UV−1:2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−2:2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−3:2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−4:2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール
UV−5:2−(2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−6:2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)
UV−7:2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール
UV−8:2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール(TINUVIN 171、Ciba製)
UV−9:オクチル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートの混合物(TINUVIN 109、Ciba製)
また本発明において、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては下記一般式〔UVA2〕で表される化合物が好ましく用いられる。
Figure 2008003359
式中、Yは水素原子、ハロゲン原子またはアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、及びフェニル基を表し、これらのアルキル基、アルケニル基及びフェニル基は置換基を有していてもよい。Aは水素原子、アルキル基、アルケニル基、フェニル基、シクロアルキル基、アルキルカルボニル基、アルキルスルホニル基又は−CO(NH)n1−D基を表し、Dはアルキル基、アルケニル基又は置換基を有していてもよいフェニル基を表す。m及びnは1または2を表す。
上記において、アルキル基としては、例えば、炭素数24までの直鎖または分岐の脂肪族基を表し、アルコキシ基としては例えば、炭素数18までのアルコキシ基で、アルケニル基としては例えば、炭素数16までのアルケニル基で例えばアリル基、2−ブテニル基などを表す。又、アルキル基、アルケニル基、フェニル基へ置換してもよい置換基としてはハロゲン原子、例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子など、ヒドロキシル基、フェニル基、(このフェニル基にはアルキル基又はハロゲン原子などを置換していてもよい)などが挙げられる。
以下に一般式〔UVA2〕で表されるベンゾフェノン系化合物の具体例を示すが、これらに限定されない。
UV−10:2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン
UV−11:2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン
UV−12:2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン
UV−13:ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニルメタン)
市販されているものとしては、TINUVIN P、TINUVIN 324、TINUVIN 320、TINUVIN 326、TINUVIN 327、TINUVIN 328、TINUVIN 329、TINUVIN 770、TINUVIN 780、TINUVIN 144、TINUVIN 120、UVITEX OB(日本チバガイギー(株)製)等から適宜選択して使用することもできる。
本発明で好ましく用いられる上記記載の紫外線吸収剤は、透明性が高く、偏光板や液晶素子の劣化を防ぐ効果に優れたベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤やベンゾフェノン系紫外線吸収剤が好ましく、不要な着色がより少ないベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が特に好ましく用いられる。
〈蛍光増白剤〉
また、本発明に用いられるポリエステルフィルムには蛍光増白剤を含有することができる。特に、バックライト側に配置されるポリエステルフィルムに蛍光増白剤を含有させることが好ましい。蛍光増白剤は通常市販されているもの、あるいは新規物質の中から耐光性に基づいて任意に選択することができる。例えば、特開2002−53824の段落番号[0029]〜[0034]に記載のものが挙げられる。一般に蛍光増白剤は約320〜約410nmの波長の光を吸収して、約410〜約500nmの波長の光を放射する性質を有する化合物よりなる。これらの蛍光増白剤による分だけ可視光のエネルギーが増加し、輝度が向上する。
蛍光増白剤としては、更に下記一般式〔OBA1〕のものが挙げられる。
Figure 2008003359
式中、R1およびR4は水素原子、アルキル基またはアルコキシ基を表し、R2およびR3はアルキル基を表す。[A]は置換アリール基または置換エテニル基を表す。一般式〔OBA1〕で表される化合物は、好ましくは下記一般式〔OBA2〕で表される化合物である。
Figure 2008003359
式中、R5およびR7は前記R2と同義の基であり、R6およびR8は前記R3と同義である。nは1または2の整数を表す。これらの化合物は特開平11−29556号記載の方法で合成することができる。一般式〔OBA2〕で表される化合物の具体例は、特開2002−53824の段落番号[0050]〜[0060]に記載されている。
これらの蛍光増白剤はクリアハードコート層、支持体、バインダー層のいずれに添加してもよく、2種以上併用することもできる。添加量は層の厚さ、蛍光増白剤の性質、紫外線吸収剤の有無、性質、添加量によって変化するので一義的には決められない。一般的には厚さ50μmの層であれば0.1〜30質量%、好ましくは1〜10質量%で十分である。
本発明に用いるポリエステルの合成方法は、特に限定があるわけではなく、前述したように従来公知のポリエステルの製造方法に従って製造できる。例えば、ジカルボン酸成分をジオール成分と直接エステル化反応させる直接エステル化法、初めにジカルボン酸成分としてジアルキルエステルを用いて、これとジオール成分とでエステル交換反応させ、これを減圧下で加熱して余剰のジオール成分を除去することにより重合させるエステル交換法を用いることができる。この際、必要に応じてエステル交換触媒或いは重合反応触媒を用い、或いは耐熱安定剤を添加することができる。この際、共重合成分である金属スルホネート基を有する芳香族ジカルボン酸類やポリエチレングリコールをエステル交換反応後に添加し、重縮合を行うことが好ましい。
また、合成時の各過程で着色防止剤、酸化防止剤、結晶核剤、すべり剤、安定剤、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、粘度調節剤、消泡剤、透明化剤、帯電防止剤、pH調整剤、染料、顔料等を添加させてもよい。
本発明で用いられるポリエステルフィルムは延伸倍率1.0〜10.0に二軸延伸されたものが用いられ、特に実質的に一軸延伸されたものが好ましく用いられる。実質的に一軸延伸したポリエステルフィルムとは、二軸延伸製膜において、主にどちらか一方向のみに延伸を行うことで得られる。即ち、本発明において、ポリエステルフィルムは一方向の延伸倍率が1.00〜2.5倍、それと直交する方向の延伸倍率が2.5〜10倍に二軸延伸製膜されたポリエステルフィルムであることが好ましく、より好ましくは、縦方向の延伸倍率が1.0〜2.0倍、横方向の延伸倍率が2.5〜7倍に二軸延伸製膜されたポリエステルフィルムであり、更に好ましくは縦方向の延伸倍率が1.1〜1.8倍、横方向の延伸倍率が3.0〜6.0倍に二軸延伸製膜されたポリエステルフィルムである。一方向の延伸倍率を大きくすることが好ましく、延伸倍率の比(縦横いずれかの高い方の延伸倍率/縦横いずれかの低い方の延伸倍率)は2以上であることが好ましく、更に4以上であることが好ましく、6以上であることが好ましい。又、未延伸のものに対して延伸後の面積比で4倍以上に延伸されていることが好ましく、更に好ましくは5〜7倍に延伸されていることが好ましい。
上記ポリエステルフィルムを得るには、従来公知の方法で行うことができ、特に限定されないが、以下の様な方法で行うことができる。この場合、縦方向とは、フィルムの製膜方向(長手方向)を、横方向とはフィルムの製膜方向と直角方向(幅手方向)のことをいう。
先ず、原料のポリエステルをペレット状に成型し、熱風乾燥又は真空乾燥した後、溶融押出し、Tダイよりシート状に押出して、静電印加法等により冷却ドラムに密着させ、冷却固化させ、未延伸シートを得る。次いで、得られた未延伸シートを複数のロール群及び/又は赤外線ヒーター等の加熱装置を介してポリエステルのガラス転移温度(Tg)からTg+100℃の範囲内に加熱し、一段又は多段縦延伸する方法である。
次に、上記のようにして得られた縦方向に延伸されたポリエステルフィルムを、Tg〜Tm(融点)−20℃の温度範囲内で、横延伸し次いで熱固定する。
横延伸する場合、2つ以上に分割された延伸領域で温度差を1〜50℃の範囲で順次昇温しながら横延伸すると巾方向の物性の分布が低減でき好ましい。更に横延伸後、フィルムをその最終横延伸温度以下でTg−40℃以上の範囲に0.01〜5分間保持すると巾方向の物性の分布が更に低減でき好ましい。
熱固定は、その最終横延伸温度より高温で、Tm−20℃以下の温度範囲内で通常0.5〜300秒間熱固定する。この際、2つ以上に分割された領域で温度差を1〜100℃の範囲で順次昇温しながら熱固定することが好ましい。
熱固定されたフィルムは通常Tg以下まで冷却され、フィルム両端のクリップ把持部分をカットし巻き取られる。この際、最終熱固定温度以下、Tg以上の温度範囲内で、横方向及び/又は縦方向に0.1〜10%弛緩処理することが好ましい。また冷却は、最終熱固定温度からTgまでを、毎秒100℃以下の冷却速度で徐冷することが好ましい。冷却、弛緩処理する手段は特に限定はなく、従来公知の手段で行えるが、特に複数の温度領域で順次冷却しながら、これらの処理を行うことが、フィルムの寸法安定性向上の点で好ましい。尚、冷却速度は、最終熱固定温度をT1、フィルムが最終熱固定温度からTgに達するまでの時間をtとしたとき、(T1−Tg)/tで求めた値である。
これら熱固定条件、冷却、弛緩処理条件のより最適な条件は、フィルムを構成するポリエステルにより異なるので、得られた延伸フィルムの物性を測定し、好ましい特性を有するように適宜調整して決定すればよい。
また、上記フィルム製造に際し、延伸の前及び/又は後で帯電防止層、易滑性層、接着層、バリアー層等の機能性層を塗設してもよい。この際、コロナ放電処理、大気圧プラズマ放電処理、薬液処理等の各種表面処理を必要に応じて施すことができる。
カットされたフィルム両端のクリップ把持部分は、粉砕処理された後、或いは必要に応じて造粒処理や解重合・再重合等の処理を行った後、同じ品種のフィルム用原料として又は異なる品種のフィルム用原料として再利用してもよい。
本発明において、上記のようにして製膜されたポリエステルフィルムの面方向においての屈折率は、横方向の屈折率(nTD)と縦方向の屈折率(nMD)との差の絶対値|nTD−nMD|が0.05以下であることが好ましく、より好ましくは0.04以下、更に好ましくは0.025以下である。
本発明で用いられるポリエステルフィルムの厚みは、通常3〜500μm、好ましくは5〜120μm、更に好ましくは5〜40μm、より好ましくは10〜35μmである。巻き取り前に幅手両端部に膜厚の1〜25%程度の高さのナーリングで、幅0.1〜3cm程度の加工を施すことが好ましい。
本発明で用いられるポリエステルフィルムの面内方向におけるリターデーションR0(nm)は、0〜1000nm以下であることが好ましく、0〜800nm以下であることがより好ましく、0〜500nm以下であることが更に好ましい。
また、本発明で用いられるポリエステルフィルムは、フィルム面内の屈折率が最大となる方向とフィルムの幅手方向(フィルムの長尺方向)とのなす角度が0°±10°もしくは90°±10°であることが好ましく、更に0°±5°もしくは90°±5°であることが好ましく、より好ましくは0°±1°もしくは90°±1°であることであり、0°±0.1°もしくは90°±0.1°であることが特に好ましい。
本発明で用いられるポリエステルフィルムは、上記ポリエステルフィルムからなる単独(単層)のフィルムでもよいが、本発明の効果を阻害しない範囲で、上記ポリエステルからなる層を少なくとも1層含む、複数の樹脂層からなる多層フィルムとしてもよい。上記ポリエステル層をA、その他の樹脂層をB及びCとすると、例えばA/B、A/B/A、B/A/B、B/A/Cのように構成できる。もちろん4層以上の構成にすることもできる。この様に多層構成にすることで、例えば、強度や水バリアー性の高いフィルムをコア層や外層に積層することにより、複数の機能を同時に付与することもできる。
上記その他の樹脂層としては、アクリル樹脂、セルロースエステル樹脂(セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースアセテートプロピオネート)、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂等でもよく、あるいは前述のポリエステルなどが好ましく用いられる。例えば、スルホン酸基含有ポリエステル層/スルホン酸基を含有しないポリエステル層(例えば、PET)/スルホン酸基含有ポリエステル層といった多層構成とすることもできる。
偏光子との接着性を改良するため、ポリエステルラテックスの水性分散物を塗設することもできる。
〈マット剤等の微粒子〉
また、滑り性を付与するためマット剤等の微粒子を添加する場合は、最外層のみに添加すれば効果が得られるので、透明性等を劣化させずに機能付与することが可能となる。
添加できる微粒子としては特に限定はされないが、無機化合物の微粒子または有機化合物の微粒子が挙げられる。
無機化合物としては、珪素を含む化合物、二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウム等が好ましく、更に好ましくは、ケイ素を含む無機化合物や酸化ジルコニウムであるが、二酸化珪素が好ましく用いられる。二酸化珪素の微粒子としては、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上、日本アエロジル(株)製)等の市販品が使用できる。酸化ジルコニウムの微粒子としては、例えば、アエロジルR976及びR811(以上、日本アエロジル(株)製)等の市販品が使用できる。
有機化合物としては、例えば、シリコーン樹脂、弗素樹脂及びアクリル樹脂等のポリマーが好ましく、中でも、シリコーン樹脂が好ましく用いられる。上記記載のシリコーン樹脂の中でも、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、トスパール103、同105、同108、同120、同145、同3120及び同240(以上、東芝シリコーン(株)製)等の商品名を有する市販品が使用できる。
本発明において用いられる微粒子の粒径は0.01〜1μm、好ましくは0.05〜0.5μmである。
多層フィルムを製造する方法としては、共押し出しによる方法、エクストルージョンラミネートによる方法、ドライラミネーションによる方法などを好ましく用いることができる。
〈導電性付与物質〉
本発明において、光学フィルムの表面が導電性を有することが好ましく、表面比抵抗(23℃、25%RH)が1×1012Ω/cm2以下であることが好ましい。より好ましくは、1×1011Ω/cm2以下、更に好ましくは1×1010Ω/cm2以下である。
本発明においては、吸湿性物質又は導電性物質を含有させることにより光学フィルムに導電性を付与することができる。これら導電性を付与させる物質としては、例えば、界面活性剤、導電性ポリマー、無機金属酸化物を挙げることができる。
用いることができる界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性、両性及びノニオン性のいずれでもよい。アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルカルボン酸塩、アルキルスルフォン酸塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルナフタレンスルフォン酸塩、アルキル硫酸エステル類、アルキルリン酸エステル類、N−アシル−N−アルキルタウリン酸、スルホコハク酸エステル類、スルホアルキルポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル類等の様なカルボキシ基、スルホ基、ホスホ基、硫酸エステル基、燐酸エステル基等の酸性基を含むものが好ましい。
カチオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩類、脂肪族或いは芳香族第4級アンモニウム塩類、ピリジニウム、イミダゾリウム等の複素環第4アンモニウム塩類、及び脂肪族又は複素環を含むホスホニウム又はスルホニウム塩類等が好ましい。
両性界面活性剤としては、例えば、アミノ酸類、アミノアルキルスルホン酸類、アミノアルキル硫酸又は燐酸エステル類、アルキルベタイン類、アミンオキシド類等が好ましい。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、サポニン(ステロイド系)、アルキレンオキサイド誘導体(例えば、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール縮合物、ポリエチレングリコールアルキルエーテル類又はポリエチレングリコールアルキルアリールエーテル類、ポリエチレングリコールエステル類、ポリエチレングリコールソルビタンエステル類、ポリアルキレングリコールアルキルアミン又はアミド類、シリコーンのポリエチレンオキサイド付加物類)、グリシドール誘導体(例えば、アルケニルコハク酸ポリセリド、アルキルフェノールポリグリセリド)、多価アルコール脂肪酸エステル類等のアルキルエステル類等が好ましい。
導電性ポリマーは特に限定されず、アニオン性、カチオン性、両性及びノニオン性のいずれでもよいが、その中でも好ましいのは、アニオン性、カチオン性である。より好ましいのは、アニオン性では、スルホン酸系、カルボン酸系、カチオン性では、3級アミン系、4級アンモニウム系のポリマー又はラテックスである。
これらの導電性ポリマーは、例えば、特公昭52−25251号、特開昭51−29923号、特公昭60−48024号記載のアニオン性ポリマー又はラテックス、特公昭57−18176号、同57−56059号、同58−56856号、米国特許第4,118,231号等に記載のカチオン性ポリマー又はラテックスを挙げることができる。
例えば、特開2000−33720に記載のプラズマ放電処理で帯電防止層あるいは導電層を設けることもできる。
次いで、ポリエステルフィルム上に設ける反射防止層について説明する。
反射防止層は、光学干渉によって反射率が減少するように屈折率、膜厚、層の数、層順等を考慮して積層されていることが好ましい。反射防止層は、支持体よりも屈折率の高い高屈折率層と、支持体よりも屈折率の低い低屈折率層を組み合わせて構成されている。得に好ましくは、3層以上の屈折率層から構成される反射防止層であり、支持体側から屈折率の異なる3層を、中屈折率層(支持体または防眩層よりも屈折率が高く、高屈折率層よりも屈折率の低い層)/高屈折率層/低屈折率層の順に積層されているものが好ましく用いられる。または、2層以上の高屈折率層と2層以上の低屈折率層とを交互に積層した4層以上の層構成の反射防止層も好ましく用いられる。
〔ハードコート層:活性線硬化樹脂層〕
本発明の反射防止フィルムには、透明基材フィルムと低屈折率層の間にハードコート層として活性線硬化樹脂層を設けることを特徴としている。
本発明に係る「活性線硬化樹脂層」とは、紫外線や電子線のような活性線(「活性エネルギー線」ともいう。)照射により架橋反応等を経て硬化する樹脂を主たる成分とする層をいう。活性線硬化樹脂としては、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーを含む成分が好ましく用いられ、紫外線や電子線のような活性線を照射することによって硬化させて活性線硬化樹脂層が形成される。活性線硬化樹脂としては紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂等が代表的なものとして挙げられるが、紫外線照射によって硬化する樹脂が好ましい。
紫外線硬化性樹脂としては、例えば、紫外線硬化型ウレタンアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂、または紫外線硬化型エポキシ樹脂等が好ましく用いられる。中でも紫外線硬化型アクリレート系樹脂が好ましい。
紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂は、一般にポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー、またはプレポリマーを反応させて得られた生成物にさらに2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下アクリレートにはメタクリレートを包含するものとしてアクリレートのみを表示する)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等の水酸基を有するアクリレート系のモノマーを反応させることによって容易に得ることができる。例えば、特開昭59−151110号に記載のものを用いることができる。
例えば、ユニディック17−806(大日本インキ(株)製)100部とコロネートL(日本ポリウレタン(株)製)1部との混合物等が好ましく用いられる。
紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂としては、一般にポリエステルポリオールに2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレート系のモノマーを反応させると容易に形成されるものを挙げることができ、特開昭59−151112号に記載のものを用いることができる。
紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂の具体例としては、エポキシアクリレートをオリゴマーとし、これに反応性希釈剤、光重合開始剤を添加し、反応させて生成するものを挙げることができ、特開平1−105738号に記載のものを用いることができる。
紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂の具体例としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等を挙げることができる。
これら紫外線硬化性樹脂の光重合開始剤としては、具体的には、ベンゾイン及びその誘導体、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、α−アミロキシムエステル、チオキサントン等及びこれらの誘導体を挙げることができる。光増感剤と共に使用してもよい。上記光重合開始剤も光増感剤として使用できる。また、エポキシアクリレート系の光重合開始剤の使用の際、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等の増感剤を用いることができる。紫外線硬化樹脂組成物に用いられる光重合開始剤また光増感剤は該組成物100質量部に対して0.1〜15質量部であり、好ましくは1〜10質量部である。
樹脂モノマーとしては、例えば、不飽和二重結合が一つのモノマーとして、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、酢酸ビニル、スチレン等の一般的なモノマーを挙げることができる。また不飽和二重結合を二つ以上持つモノマーとして、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ジビニルベンゼン、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、1,4−シクロヘキシルジメチルアジアクリレート、前出のトリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリルエステル等を挙げることができる。
本発明において使用し得る紫外線硬化樹脂の市販品としては、アデカオプトマーKR・BYシリーズ:KR−400、KR−410、KR−550、KR−566、KR−567、BY−320B(旭電化(株)製);コーエイハードA−101−KK、A−101−WS、C−302、C−401−N、C−501、M−101、M−102、T−102、D−102、NS−101、FT−102Q8、MAG−1−P20、AG−106、M−101−C(広栄化学(株)製);セイカビームPHC2210(S)、PHC X−9(K−3)、PHC2213、DP−10、DP−20、DP−30、P1000、P1100、P1200、P1300、P1400、P1500、P1600、SCR900(大日精化工業(株)製);KRM7033、KRM7039、KRM7130、KRM7131、UVECRYL29201、UVECRYL29202(ダイセル・ユーシービー(株)製);RC−5015、RC−5016、RC−5020、RC−5031、RC−5100、RC−5102、RC−5120、RC−5122、RC−5152、RC−5171、RC−5180、RC−5181(大日本インキ化学工業(株)製);オーレックスNo.340クリヤ(中国塗料(株)製);サンラッドH−601、RC−750、RC−700、RC−600、RC−500、RC−611、RC−612(三洋化成工業(株)製);SP−1509、SP−1507(昭和高分子(株)製);RCC−15C(グレース・ジャパン(株)製)、アロニックスM−6100、M−8030、M−8060(東亞合成(株)製)等を適宜選択して利用できる。
また、具体的化合物例としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等を挙げることができる。
こうして得た硬化樹脂層には耐傷性、滑り性や屈折率を調整し、また作製された反射防止フィルムに防眩性を付与するために無機化合物または有機化合物の微粒子を含んでもよい。
ハードコート層に使用される無機微粒子としては、酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウム、ITO、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。特に、酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム等が好ましく用いられる。
また有機粒子としては、ポリメタアクリル酸メチルアクリレート樹脂粉末、アクリルスチレン系樹脂粉末、ポリメチルメタクリレート樹脂粉末、シリコン系樹脂粉末、ポリスチレン系樹脂粉末、ポリカーボネート樹脂粉末、ベンゾグアナミン系樹脂粉末、メラミン系樹脂粉末、ポリオレフィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、ポリアミド系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉末、またはポリ弗化エチレン系樹脂粉末等紫外線硬化性樹脂組成物に加えることができる。特に好ましくは、架橋ポリスチレン粒子(例えば、綜研化学製SX−130H、SX−200H、SX−350H)、ポリメチルメタクリレート系粒子(例えば、綜研化学製MX150、MX300)が挙げられる。
これらの微粒子粉末の平均粒径としては、0.01〜5μmが好ましく0.1〜5.0μm、さらには、0.1〜4.0μmであることが特に好ましい。また、粒径の異なる2種以上の微粒子を含有することが好ましい。紫外線硬化樹脂組成物と微粒子の割合は、樹脂組成物100質量部に対して、0.1〜30質量部となるように配合することが望ましい。
これらのハードコート層はグラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、インクジェット法等公知の方法で塗設することができる。塗布後、加熱乾燥し、UV硬化処理を行う。
紫外線硬化性樹脂を光硬化反応により硬化させ、硬化皮膜層を形成するための光源としては、紫外線を発生する光源であれば制限なく使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、活性線の照射量は、通常5〜500mJ/cm2、好ましくは5〜150mJ/cm2であるが、特に好ましくは20〜100mJ/cm2である。
また、活性線を照射する際には、フィルムの搬送方向に張力を付与しながら行うことが好ましく、さらに好ましくは幅方向にも張力を付与しながら行うことである。付与する張力は30〜300N/mが好ましい。張力を付与する方法は特に限定されず、バックロール上で搬送方向に張力を付与してもよく、テンターにて幅方向、または2軸方向に張力を付与してもよい。これによってさらに平面性優れたフィルムを得ることができる。
ハードコート層塗布液には溶媒が含まれていてもよく、必要に応じて適宜含有し、希釈されたものであってもよい。塗布液に含有される有機溶媒としては、例えば、炭化水素類(トルエン、キシレン、)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸メチル)、グリコールエーテル類、その他の有機溶媒の中でもから適宜選択し、またはこれらを混合し利用できる。プロピレングリコールモノアルキルエーテル(アルキル基の炭素原子数として1〜4)またはプロピレングリコールモノアルキルエーテル酢酸エステル(アルキル基の炭素原子数として1〜4)等を5質量%以上、より好ましくは5〜80質量%以上含有する上記有機溶媒を用いるのが好ましい。
ハードコート層は、JIS B 0601で規定される中心線平均粗さ(Ra)が0.001〜0.1μmのクリアハードコート層、またはRaが0.1〜1μmである防眩性ハードコート層が好ましい。中心線平均粗さ(Ra)は光干渉式の表面粗さ測定器で測定することが好ましく、例えばWYKO社製非接触表面微細形状計測装置WYKO NT−2000を用いて測定することができる。
さらにハードコート層に前記フッ素系またはシリコーン系界面活性剤を含有させることも好ましい。これらは塗布性を高める。これらの成分は、塗布液中の固形分成分に対し、0.01〜3質量%の範囲で添加することが好ましい。
また、ハードコート層は、2層以上の重層構造を有し、その中の1層は例えば導電性微粒子、または、イオン性ポリマーを含有する所謂帯電防止層としてもよいし、また、種々の表示素子に対する色補正用フィルタとして色調調整機能を有する色調調整剤(染料もしくは顔料等)を含有させてもよいし、また電磁波遮断剤または赤外線吸収剤等を含有させそれぞれの機能を有するようにすることは好ましい。
ハードコート層塗布液の塗布方法としては、前述のものを用いることができる。塗布量はウェット膜厚として0.1〜40μmが適当で、好ましくは、0.5〜30μmである。また、ドライ膜厚としては平均膜厚0.1〜30μm、好ましくは1〜20μmである。
ハードコート層は塗布乾燥後に、紫外線を照射するのがよく、必要な活性線の照射量を得るための照射時間としては、0.1秒〜1分程度がよく、紫外線硬化性樹脂の硬化効率または作業効率の観点から0.1〜10秒がより好ましい。
また、これら活性線照射部の照度は0.05〜0.2W/m2であることが好ましい。
〈低屈折率層〉
本発明に係る低屈折率層の屈折率は、支持体である透明基材フィルムの屈折率より低く、23℃、波長550nm測定で、1.30〜1.45の範囲であることが好ましい。
低屈折率層の膜厚は、5nm〜0.5μmであることが好ましく、10nm〜0.3μmであることがさらに好ましく、30nm〜0.2μmであることが最も好ましい。
本発明に用いられる低屈折率層形成用組成物については、外殻層を有し、内部が多孔質または空洞である中空シリカ系微粒子が必須成分である。
なお、低屈折率層形成用組成物には、下記一般式(OSi−1)で表される有機珪素化合物若しくはその加水分解物、或いは、その重縮合物を併せて含有させても良い。
一般式(OSi−1):Si(OR)4
(式中、Rはアルキル基であり、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基である。)
他に溶剤、必要に応じて、シランカップリング剤、硬化剤、界面活性剤等を添加してもよい。
〔中空シリカ系微粒子〕
中空シリカ系微粒子は、(I)多孔質粒子と該多孔質粒子表面に設けられた被覆層とからなる複合粒子、または(II)内部に空洞を有し、かつ内容物が溶媒、気体または多孔質物質で充填された空洞粒子である。なお、低屈折率層には(I)複合粒子または(II)空洞粒子のいずれかが含まれていればよく、また双方が含まれていてもよい。
なお、空洞粒子は内部に空洞を有する粒子であり、空洞は被覆層(粒子壁ともいう。)で覆われている。空洞内には、調製時に使用した溶媒、気体または多孔質物質等の内容物で充填されている。このような中空微粒子の平均粒子径が5〜300nm、好ましくは10〜200nmの範囲にあることが望ましい。使用される中空微粒子の平均粒子径は、形成される低屈折率層の平均膜厚の3/2〜1/10好ましくは2/3〜1/10の範囲にあることが望ましい。これらの中空微粒子は、低屈折率層の形成のため、適当な媒体に分散した状態で使用することが好ましい。分散媒としては、水、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール)及びケトン(例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン)、ケトンアルコール(例えばジアセトンアルコール)が好ましい。
複合粒子の被覆層の厚さまたは空洞粒子の粒子壁の厚さは、1〜20nm、好ましくは2〜15nmの範囲にあることが望ましい。複合粒子の場合、被覆層の厚さが1nm未満の場合は、粒子を完全に被覆することができないことがあり、後述する塗布液成分である重合度の低いケイ酸モノマー、オリゴマー等が容易に複合粒子の内部に内部に進入して内部の多孔性が減少し、低屈折率の効果が十分得られないことがある。また、被覆層の厚さが20nmを越えると、前記ケイ酸モノマー、オリゴマーが内部に進入することはないが、複合粒子の多孔性(細孔容積)が低下し低屈折率の効果が十分得られなくなることがある。また空洞粒子の場合、粒子壁の厚さが1nm未満の場合は、粒子形状を維持できないことがあり、また厚さが20nmを越えても、低屈折率の効果が十分に現れないことがある。
複合粒子の被覆層または空洞粒子の粒子壁は、シリカを主成分とすることが好ましい。また、シリカ以外の成分が含まれていてもよく、具体的には、Al23、B23、TiO2、ZrO2、SnO2、CeO2、P23、Sb23、MoO3、ZnO2、WO3等が挙げられる。複合粒子を構成する多孔質粒子としては、シリカからなるもの、シリカとシリカ以外の無機化合物とからなるもの、CaF2、NaF、NaAlF6、MgF等からなるものが挙げられる。このうち特にシリカとシリカ以外の無機化合物との複合酸化物からなる多孔質粒子が好適である。シリカ以外の無機化合物としては、Al23、B23、TiO2、ZrO2、SnO2、CeO2、P23、Sb23、MoO3、ZnO2、WO3等との1種または2種以上を挙げることができる。このような多孔質粒子では、シリカをSiO2で表し、シリカ以外の無機化合物を酸化物換算(MOX)で表したときのモル比MOX/SiO2が、0.0001〜1.0、好ましくは0.001〜0.3の範囲にあることが望ましい。多孔質粒子のモル比MOX/SiO2が0.0001未満のものは得ることが困難であり、得られたとしても細孔容積が小さく、屈折率の低い粒子が得られない。また、多孔質粒子のモル比MOX/SiO2が、1.0を越えると、シリカの比率が少なくなるので、細孔容積が大きくなり、さらに屈折率が低いものを得ることが難しいことがある。
このような多孔質粒子の細孔容積は、0.1〜1.5ml/g、好ましくは0.2〜1.5ml/gの範囲であることが望ましい。細孔容積が0.1ml/g未満では、十分に屈折率の低下した粒子が得られず、1.5ml/gを越えると微粒子の強度が低下し、得られる被膜の強度が低下することがある。
なお、このような多孔質粒子の細孔容積は水銀圧入法によって求めることができる。また、空洞粒子の内容物としては、粒子調製時に使用した溶媒、気体、多孔質物質等が挙げられる。溶媒中には空洞粒子調製する際に使用される粒子前駆体の未反応物、使用した触媒等が含まれていてもよい。また多孔質物質としては、前記多孔質粒子で例表した化合物からなるものが挙げられる。これらの内容物は、単一の成分からなるものであってもよいが、複数成分の混合物であってもよい。
このような中空微粒子の製造方法としては、例えば特開平7−133105号公報の段落番号[0010]〜[0033]に開示された複合酸化物コロイド粒子の調製方法が好適に採用される。具体的に、複合粒子が、シリカ、シリカ以外の無機化合物とからなる場合、以下の第1〜第3工程から中空微粒子は製造される。
第1工程:多孔質粒子前駆体の調製
第1工程では、予め、シリカ原料とシリカ以外の無機化合物原料のアルカリ水溶液を個別に調製するか、または、シリカ原料とシリカ以外の無機化合物原料との混合水溶液を調製しておき、この水溶液を目的とする複合酸化物の複合割合に応じて、pH10以上のアルカリ水溶液中に攪拌しながら徐々に添加して多孔質粒子前駆体を調製する。
シリカ原料としては、アルカリ金属、アンモニウムまたは有機塩基のケイ酸塩を用いる。アルカリ金属のケイ酸塩としては、ケイ酸ナトリウム(水ガラス)やケイ酸カリウムが用いられる。有機塩基としては、テトラエチルアンモニウム塩等の第4級アンモニウム塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン類を挙げることができる。なお、アンモニウムのケイ酸塩または有機塩基のケイ酸塩には、ケイ酸液にアンモニア、第4級アンモニウム水酸化物、アミン化合物等を添加したアルカリ性溶液も含まれる。
また、シリカ以外の無機化合物の原料としては、アルカリ可溶の無機化合物が用いられる。具体的には、Al、B、Ti、Zr、Sn、Ce、P、Sb、Mo、Zn、W等から選ばれる元素のオキソ酸、該オキソ酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、第4級アンモニウム塩を挙げることができる。より具体的には、アルミン酸ナトリウム、四硼酸ナトリウム、炭酸ジルコニルアンモニウム、アンチモン酸カリウム、錫酸カリウム、アルミノケイ酸ナトリウム、モリブデン酸ナトリウム、硝酸セリウムアンモニウム、燐酸ナトリウムが適当である。
これらの水溶液の添加と同時に混合水溶液のpH値は変化するが、このpH値を所定の範囲に制御するような操作は特に必要ない。水溶液は、最終的に、無機酸化物の種類及びその混合割合によって定まるpH値となる。このときの水溶液の添加速度には特に制限はない。また、複合酸化物粒子の製造に際して、シード粒子の分散液を出発原料と使用することも可能である。当該シード粒子としては、特に制限はないが、SiO2、Al23、TiO2またはZrO2等の無機酸化物またはこれらの複合酸化物の微粒子が用いられ、通常、これらのゾルを用いることができる。さらに前記の製造方法によって得られた多孔質粒子前駆体分散液をシード粒子分散液としてもよい。シード粒子分散液を使用する場合、シード粒子分散液のpHを10以上に調整した後、該シード粒子分散液中に前記化合物の水溶液を、上記したアルカリ水溶液中に攪拌しながら添加する。この場合も、必ずしも分散液のpH制御を行う必要はない。このようにしてシード粒子を用いると、調製する多孔質粒子の粒径コントロールが容易であり、粒度の揃ったものを得ることができる。
上記したシリカ原料及び無機化合物原料はアルカリ側で高い溶解度を有する。しかしながら、この溶解度の大きいpH領域で両者を混合すると、ケイ酸イオン及びアルミン酸イオン等のオキソ酸イオンの溶解度が低下し、これらの複合物が析出して微粒子に成長したり、または、シード粒子上に析出して粒子成長が起る。従って、微粒子の析出、成長に際して、従来法のようなpH制御は必ずしも行う必要がない。
第1工程におけるシリカとシリカ以外の無機化合物との複合割合は、シリカに対する無機化合物を酸化物(MOX)に換算し、MOX/SiO2のモル比が、0.05〜2.0、好ましくは0.2〜2.0の範囲内にあることが望ましい。この範囲内において、シリカの割合が少なくなる程、多孔質粒子の細孔容積が増大する。しかしながら、モル比が2.0を越えても、多孔質粒子の細孔の容積はほとんど増加しない。他方、モル比が0.05未満の場合は、細孔容積が小さくなる。空洞粒子を調製する場合、MOX/SiO2のモル比は、0.25〜2.0の範囲内にあることが望ましい。
第2工程:多孔質粒子からのシリカ以外の無機化合物の除去
第2工程では、前記第1工程で得られた多孔質粒子前駆体から、シリカ以外の無機化合物(珪素と酸素以外の元素)の少なくとも一部を選択的に除去する。具体的な除去方法としては、多孔質粒子前駆体中の無機化合物を鉱酸や有機酸を用いて溶解除去したり、または、陽イオン交換樹脂と接触させてイオン交換除去する。
なお、第1工程で得られる多孔質粒子前駆体は、珪素と無機化合物構成元素が酸素を介して結合した網目構造の粒子である。このように多孔質粒子前駆体から無機化合物(珪素と酸素以外の元素)を除去することにより、一層多孔質で細孔容積の大きい多孔質粒子が得られる。また、多孔質粒子前駆体から無機酸化物(珪素と酸素以外の元素)を除去する量を多くすれば、空洞粒子を調製することができる。
また、多孔質粒子前駆体からシリカ以外の無機化合物を除去するに先立って、第1工程で得られる多孔質粒子前駆体分散液に、シリカのアルカリ金属塩を脱アルカリして得られる、フッ素置換アルキル基含有シラン化合物を含有するケイ酸液または加水分解性の有機珪素化合物を添加してシリカ保護膜を形成することが好ましい。シリカ保護膜の厚さは0.5〜15nmの厚さであればよい。なおシリカ保護膜を形成しても、この工程での保護膜は多孔質であり厚さが薄いので、前記したシリカ以外の無機化合物を、多孔質粒子前駆体から除去することは可能である。
このようなシリカ保護膜を形成することによって、粒子形状を保持したまま、前記したシリカ以外の無機化合物を、多孔質粒子前駆体から除去することができる。また、後述するシリカ被覆層を形成する際に、多孔質粒子の細孔が被覆層によって閉塞されてしまうことがなく、このため細孔容積を低下させることなく後述するシリカ被覆層を形成することができる。なお、除去する無機化合物の量が少ない場合は粒子が壊れることがないので必ずしも保護膜を形成する必要はない。
また空洞粒子を調製する場合は、このシリカ保護膜を形成しておくことが望ましい。空洞粒子を調製する際には、無機化合物を除去すると、シリカ保護膜と、該シリカ保護膜内の溶媒、未溶解の多孔質固形分とからなる空洞粒子の前駆体が得られ、該空洞粒子の前駆体に後述の被覆層を形成すると、形成された被覆層が、粒子壁となり空洞粒子が形成される。
上記シリカ保護膜形成のために添加するシリカ源の量は、粒子形状を保持できる範囲で少ないことが好ましい。シリカ源の量が多すぎると、シリカ保護膜が厚くなりすぎるので、多孔質粒子前駆体からシリカ以外の無機化合物を除去することが困難となることがある。シリカ保護膜形成用に使用される加水分解性の有機珪素化合物としては、一般式RnSi(OR′)4n〔R、R′:アルキル基、アリール基、ビニル基、アクリル基等の炭化水素基、n=0、1、2または3〕で表されるアルコキシシランを用いることができる。特に、フッ素置換したテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン等のテトラアルコキシシランが好ましく用いられる。
添加方法としては、これらのアルコキシシラン、純水、及びアルコールの混合溶液に触媒としての少量のアルカリまたは酸を添加した溶液を、前記多孔質粒子の分散液に加え、アルコキシシランを加水分解して生成したケイ酸重合物を無機酸化物粒子の表面に沈着させる。このとき、アルコキシシラン、アルコール、触媒を同時に分散液中に添加してもよい。アルカリ触媒としては、アンモニア、アルカリ金属の水酸化物、アミン類を用いることができる。また、酸触媒としては、各種の無機酸と有機酸を用いることができる。
多孔質粒子前駆体の分散媒が、水単独、または有機溶媒に対する水の比率が高い場合には、ケイ酸液を用いてシリカ保護膜を形成することも可能である。ケイ酸液を用いる場合には、分散液中にケイ酸液を所定量添加し、同時にアルカリを加えてケイ酸液を多孔質粒子表面に沈着させる。なお、ケイ酸液と上記アルコキシシランを併用してシリカ保護膜を作製してもよい。
第3工程:シリカ被覆層の形成
第3工程では、第2工程で調製した多孔質粒子分散液(空洞粒子の場合は空洞粒子前駆体分散液)に、フッ素置換アルキル基含有シラン化合物を含有する加水分解性の有機珪素化合物またはケイ酸液等を加えることにより、粒子の表面を加水分解性有機珪素化合物またはケイ酸液等の重合物で被覆してシリカ被覆層を形成する。
シリカ被覆層形成用に使用される加水分解性の有機珪素化合物としては、前記したような一般式RnSi(OR′)4n〔R、R′:アルキル基、アリール基、ビニル基、アクリル基等の炭化水素基、n=0、1、2または3〕で表されるアルコキシシランを用いることができる。特に、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン等のテトラアルコキシシランが好ましく用いらる。
添加方法としては、これらのアルコキシシラン、純水、及びアルコールの混合溶液に触媒としての少量のアルカリまたは酸を添加した溶液を、前記多孔質粒子(空洞粒子の場合は空洞粒子前駆体)分散液に加え、アルコキシシランを加水分解して生成したケイ酸重合物を多孔質粒子(空洞粒子の場合は空洞粒子前駆体)の表面に沈着させる。このとき、アルコキシシラン、アルコール、触媒を同時に分散液中に添加してもよい。アルカリ触媒としては、アンモニア、アルカリ金属の水酸化物、アミン類を用いることができる。また、酸触媒としては、各種の無機酸と有機酸を用いることができる。
多孔質粒子(空洞粒子の場合は空洞粒子前駆体)の分散媒が水単独、または有機溶媒との混合溶媒であって、有機溶媒に対する水の比率が高い混合溶媒の場合には、ケイ酸液を用いて被覆層を形成してもよい。ケイ酸液とは、水ガラス等のアルカリ金属ケイ酸塩の水溶液をイオン交換処理して脱アルカリしたケイ酸の低重合物の水溶液である。
ケイ酸液は、多孔質粒子(空洞粒子の場合は空洞粒子前駆体)分散液中に添加され、同時にアルカリを加えてケイ酸低重合物を多孔質粒子(空洞粒子の場合は空洞粒子前駆体)表面に沈着させる。なお、ケイ酸液を上記アルコキシシランと併用して被覆層形成用に使用してもよい。被覆層形成用に使用される有機珪素化合物またはケイ酸液の添加量は、コロイド粒子の表面を十分被覆できる程度であればよく、最終的に得られるシリカ被覆層の厚さが1〜20nmとなるように量で、多孔質粒子(空洞粒子の場合は空洞粒子前駆体)分散液中で添加される。また前記シリカ保護膜を形成した場合はシリカ保護膜とシリカ被覆層の合計の厚さが1〜20nmの範囲となるような量で、有機珪素化合物またはケイ酸液は添加される。
次いで、被覆層が形成された粒子の分散液を加熱処理する。加熱処理によって、多孔質粒子の場合は、多孔質粒子表面を被覆したシリカ被覆層が緻密化し、多孔質粒子がシリカ被覆層によって被覆された複合粒子の分散液が得られる。また空洞粒子前駆体の場合、形成された被覆層が緻密化して空洞粒子壁となり、内部が溶媒、気体または多孔質固形分で充填された空洞を有する空洞粒子の分散液が得られる。
このときの加熱処理温度は、シリカ被覆層の微細孔を閉塞できる程度であれば特に制限はなく、80〜300℃の範囲が好ましい。加熱処理温度が80℃未満ではシリカ被覆層の微細孔を完全に閉塞して緻密化できないことがあり、また処理時間に長時間を要してしまうことがある。また加熱処理温度が300℃を越えて長時間処理すると緻密な粒子となることがあり、低屈折率の効果が得られないことがある。
このようにして得られた無機微粒子の屈折率は、1.42未満と低い。このような無機微粒子は、多孔質粒子内部の多孔性が保持されているか、内部が空洞であるので、屈折率が低くなるものと推察される。
外殻層を有し、内部が多孔質または空洞である中空シリカ系微粒子の低屈折率層中の含有量は、10〜50質量%であることが好ましい。低屈折率の効果を得る上で、15質量%以上が好ましく、50質量%を超えるとバインダー成分が少なくなり膜強度が不十分となる。特に好ましくは20〜50質量%である。
前記一般式(OSi−1)で表される、有機珪素化合物は、式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表す。
具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン等が好ましく用いられる。
低屈折率層への添加方法としては、これらのテトラアルコキシシラン、純水、及びアルコールの混合溶液に触媒としての少量のアルカリまたは酸を添加した溶液を、前記中空シリカ系微粒子の分散液に加え、テトラアルコキシシランを加水分解して生成したケイ酸重合物を中空シリカ系微粒子の表面に沈着させる。このとき、テトラアルコキシシラン、アルコール、触媒を同時に分散液中に添加してもよい。アルカリ触媒としては、アンモニア、アルカリ金属の水酸化物、アミン類を用いることができる。また、酸触媒としては、各種の無機酸と有機酸を用いることができる。
また、本発明では低屈折率層に、下記一般式(OSi−2)で表されるフッ素置換アルキル基含有シラン化合物を含有させることも出来る。
Figure 2008003359
前記一般式(OSi−2)で表されるフッ素置換アルキル基含有シラン化合物について説明する。
式中、R1〜R6は炭素数1〜16、好ましくは1〜4のアルキル基、炭素数1〜6、好ましくは1〜4のハロゲン化アルキル基、炭素数6〜12、好ましくは6〜10のアリール基、炭素数7〜14、好ましくは7〜12のアルキルアリール基、アリールアルキル基、炭素数2〜8、好ましくは2〜6のアルケニル基、または炭素数1〜6、好ましくは1〜3のアルコキシ基、水素原子またはハロゲン原子を示す。
Rfは−(Cabc)−を表し、aは1〜12の整数、b+cは2aであり、bは0〜24の整数、cは0〜24の整数を示す。このようなRfとしては、フルオロアルキレン基とアルキレン基とを有する基が好ましい。具体的に、このような含フッ素シリコーン系化合物としては、(MeO)3SiC242424Si(MeO)3、(MeO)3SiC244824Si(MeO)3、(MeO)3SiC2461224Si(MeO)3、(H52O)3SiC244824Si(OC253、(H52O)3SiC2461224Si(OC253で表されるメトキシジシラン化合物等が挙げられる。
バインダーとして、フッ素置換アルキル基含有シラン化合物を含んでいると、形成される透明被膜自体が疎水性を有しているので、透明被膜が充分緻密化しておらず、多孔質であったり、またクラックやボイドを有している場合であっても、水分や酸・アルカリ等の薬品による透明被膜への進入が抑制される。さらには、基板表面や下層である導電層中に含まれる金属等の微粒子と水分や酸・アルカリ等の薬品とが反応することもない。このため、このような透明被膜は、優れた耐薬品性を有している。
また、バインダーとして、フッ素置換アルキル基含有シラン化合物を含んでいると、このような疎水性のみならず、滑り性がよく(接触抵抗が低く)、このためスクラッチ強度に優れた透明被膜を得ることができる。さらに、バインダーが、このような構成単位を有するフッ素置換アルキル基含有シラン化合物を含んでいると、下層に導電層が形成されている場合には、バインダーの収縮率が、導電層と同等か近いものであるため導電層と密着性に優れた透明被膜を形成することができる。さらに、透明被膜を加熱処理する際に、収縮率の違いから、導電層が剥離して、透明導電性層に電気的接触のない部分が生じることもない。このため、膜全体として充分な導電性を維持できる。
フッ素置換アルキル基含有シラン化合物と、前記外殻層を有し、内部が多孔質または空洞である中空シリカ系微粒子とを含む透明被膜は、スクラッチ強度が高い上に、消しゴム強度または爪強度で評価される膜強度が高く、鉛筆硬度も高く、強度の上で優れた透明被膜を形成することができる。
本発明に係る低屈折率層にはシランカップリング剤を含有してもよい。シランカップリング剤としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリアセトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(β−グリシジルオキシエトキシ)プロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポシシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン及びβ−シアノエチルトリエトキシシランが挙げられる。
また、珪素に対して2置換のアルキル基を持つシランカップリング剤の例として、ジメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルフェニルジエトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン及びメチルビニルジエトキシシランが挙げられる。
これらのうち、分子内に二重結合を有するビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシエトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン及びγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、珪素に対して2置換のアルキル基を持つものとしてγ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン及びメチルビニルジエトキシシランが好ましく、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン及びγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン及びγ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシランが特に好ましい。
2種類以上のカップリング剤を併用してもよい。上記に示されるシランカップリング剤に加えて、他のシランカップリング剤を用いてもよい。他のシランカップリング剤には、オルトケイ酸のアルキルエステル(例えば、オルトケイ酸メチル、オルトケイ酸エチル、オルトケイ酸n−プロピル、オルトケイ酸i−プロピル、オルトケイ酸n−ブチル、オルトケイ酸sec−ブチル、オルトケイ酸t−ブチル)及びその加水分解物が挙げられる。
低屈折率層のその他のバインダーとして用いられるポリマーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、フルオロアクリレート、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、ニトロセルロース、ポリエステル、アルキド樹脂が挙げられる。
低屈折率層は、全体で5〜80質量%のバインダーを含むことが好ましい。バインダーは、中空シリカ微粒子を接着し、空隙を含む低屈折率層の構造を維持する機能を有する。バインダーの使用量は、空隙を充填することなく低屈折率層の強度を維持できるように調整する。
(溶媒)
本発明に係る低屈折率層は有機溶媒を含有することが好ましい。具体的な有機溶媒の例としては、アルコール(例、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル)、脂肪族炭化水素(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例、メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン)、エーテル(例、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラハイドロフラン)、エーテルアルコール(例、1−メトキシ−2−プロパノール)が挙げられる。中でも、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン及びブタノールが特に好ましい。
低屈折率層塗布組成物中の固形分濃度は1〜4質量%であることが好ましく、該固形分濃度が4質量%以下にすることによって、塗布ムラが生じにくくなり、1質量%以上にすることによって乾燥負荷が軽減される。
〈高屈折率層〉
本発明においては、反射防止層として、上述の低屈折率層の他に、下記のような高屈折率層を有することが好ましい。
本発明に係る高屈折率層には金属酸化物微粒子が含有されることが好ましい。金属酸化物微粒子の種類は特に限定されるものではなく、Ti、Zr、Sn、Sb、Cu、Fe、Mn、Pb、Cd、As、Cr、Hg、Zn、Al、Mg、Si、P及びSから選択される少なくとも一種の元素を有する金属酸化物を用いることが出来、これらの金属酸化物微粒子はAl、In、Sn、Sb、Nb、ハロゲン元素、Taなどの微量の原子をドープしてあっても良い。また、これらの混合物でもよい。本発明においては、中でも酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム−スズ(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、及びアンチモン酸亜鉛から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物微粒子を主成分として用いることが特に好ましい。
これら金属酸化物微粒子の一次粒子の平均粒子径は10nm〜200nmの範囲であり、10〜150nmであることが特に好ましい。金属酸化物微粒子の平均粒子径は、走査電子顕微鏡(SEM)等による電子顕微鏡写真から計測することが出来る。動的光散乱法や静的光散乱法等を利用する粒度分布計等によって計測してもよい。粒径が小さ過ぎると凝集しやすくなり、分散性が劣化する。粒径が大き過ぎるとヘイズが著しく上昇し好ましくない。金属酸化物微粒子の形状は、米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状、針状或いは不定形状であることが好ましい。
高屈折率層の屈折率は、具体的には、支持体である透明基材フィルムの屈折率より高く、23℃、波長550nm測定で、1.5〜2.2の範囲であることが好ましい。高屈折率層の屈折率を調整する手段は、金属酸化物微粒子の種類、添加量が支配的である為、金属酸化物微粒子の屈折率は1.80〜2.60であることが好ましく、1.85〜2.50であることが更に好ましい。
金属酸化物微粒子は有機化合物により表面処理してもよい。金属酸化物微粒子の表面を有機化合物で表面修飾することによって、有機溶媒中での分散安定性が向上し、分散粒径の制御が容易になるとともに、経時での凝集、沈降を抑える事も出来る。このため、好ましい有機化合物での表面修飾量は金属酸化物粒子に対して0.1質量%〜5質量%、より好ましくは0.5質量%〜3質量%である。表面処理に用いる有機化合物の例には、ポリオール、アルカノールアミン、ステアリン酸、シランカップリング剤及びチタネートカップリング剤が含まれる。この中でも後述するシランカップリング剤が好ましい。二種以上の表面処理を組み合わせてもよい。
前記金属酸化物微粒子を含有する高屈折率層の厚さは5nm〜1μmであることが好ましく、10nm〜0.2μmであることが更に好ましく、30nm〜0.1μmであることが最も好ましい。
使用する金属酸化物微粒子と後述する電離放射線硬化型樹脂等のバインダーとの比は、金属酸化物微粒子の種類、粒子サイズなどにより異なるが体積比で前者1に対して後者2から前者2に対して後者1程度が好ましい。
本発明において用いられる金属酸化物微粒子の使用量は高屈折率層中に5質量%〜85質量%が好ましく、10質量%〜80質量%であることがより好ましく、20〜75質量%が最も好ましい。使用量が少ないと所望の屈折率や本発明の効果が得られず、多すぎると膜強度の劣化などが発生する。
上記金属酸化物微粒子は、媒体に分散した分散体の状態で、高屈折率層を形成するための塗布液に供される。金属酸化物粒子の分散媒体としては、沸点が60〜170℃の液体を用いることが好ましい。分散溶媒の具体例としては、水、アルコール(例、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、ケトンアルコール(例、ジアセトンアルコール)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル)、脂肪族炭化水素(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例、メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン)、エーテル(例、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラハイドロフラン)、エーテルアルコール(例、1−メトキシ−2−プロパノール)が挙げられる。中でも、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン及びブタノールが特に好ましい。
また金属酸化物微粒子は、分散機を用いて媒体中に分散することができる。分散機の例としては、サンドグラインダーミル(例、ピン付きビーズミル)、高速インペラーミル、ペッブルミル、ローラーミル、アトライター及びコロイドミルが挙げられる。サンドグラインダーミル及び高速インペラーミルが特に好ましい。また、予備分散処理を実施してもよい。予備分散処理に用いる分散機の例としては、ボールミル、三本ロールミル、ニーダー及びエクストルーダーが挙げられる。
本発明では、更にコア/シェル構造を有する金属酸化物微粒子を含有させてもよい。シェルはコアの周りに1層形成させてもよいし、耐光性を更に向上させるために複数層形成させてもよい。コアは、シェルにより完全に被覆されていることが好ましい。
コアは酸化チタン(ルチル型、アナターゼ型、アモルファス型等)、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンをドープした酸化スズ等を用いることができるが、ルチル型の酸化チタンを主成分としてもよい。
シェルは酸化チタン以外の無機化合物を主成分とし、金属の酸化物または硫化物から形成することが好ましい。例えば、二酸化珪素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化鉄、硫化亜鉛等を主成分とした無機化合物が用いられる。この内アルミナ、シリカ、ジルコニア(酸化ジルコニウム)であることが好ましい。また、これらの混合物でもよい。
コアに対するシェルの被覆量は、平均の被覆量で2〜50質量%である。好ましくは3〜40質量%、更に好ましくは4〜25質量%である。シェルの被覆量が多いと微粒子の屈折率が低下し、被覆量が少な過ぎると耐光性が劣化する。二種以上の無機微粒子を併用してもよい。
コアとなる酸化チタンは、液相法または気相法で作製されたものを使用できる。また、シェルをコアの周りに形成させる手法としては、例えば、米国特許第3,410,708号、特公昭58−47061号、米国特許第2,885,366号、同第3,437,502号、英国特許第1,134,249号、米国特許第3,383,231号、英国特許第2,629,953号、同第1,365,999号に記載されている方法等を用いることができる。
本発明に係る高屈折率層もしくは前述の低屈折率層には、下記一般式(CL1)で表される化合物またはそのキレート化合物を含有することができ、硬度などの物性を改善させることができる。
一般式(CL1) AnMBx-n
式中、Mは金属原子、Aは加水分解可能な官能基または加水分解可能な官能基を有する炭化水素基、Bは金属原子Mに共有結合またはイオン結合した原子団を表す。xは金属原子Mの原子価、nは2以上でx以下の整数を表す。
加水分解可能な官能基Aとしては、例えば、アルコキシル基、クロル原子等のハロゲン、エステル基、アミド基等が挙げられる。上記式(2)に属する金属化合物には、金属原子に直接結合したアルコキシル基を2個以上有するアルコキシド、または、そのキレート化合物が含まれる。好ましい金属化合物としては、チタンアルコキシド、ジルコニウムアルコキシドまたはそれらのキレート化合物を挙げることができる。チタンアルコキシドは反応速度が速くて屈折率が高く、取り扱いも容易であるが、光触媒作用があるため大量に添加すると耐光性が劣化する。ジルコニウムアルコキシドは屈折率が高いが白濁し易いため、塗布する際の露点管理等に注意しなければならない。また、チタンアルコキシドは紫外線硬化樹脂、金属アルコキシドの反応を促進する効果があるため、少量添加するだけでも塗膜の物理的特性を向上させることができる。
チタンアルコキシドとしては、例えば、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラ−iso−プロポキシチタン、テトラ−n−プロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラ−sec−ブトキシチタン、テトラ−tert−ブトキシチタン等が挙げられる。
ジルコニウムアルコキシドとしては、例えば、テトラメトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、テトラ−iso−プロポキシジルコニウム、テトラ−n−プロポキシジルコニウム、テトラ−n−ブトキシジルコニウム、テトラ−sec−ブトキシジルコニウム、テトラ−tert−ブトキシジルコニウム等が挙げられる。
遊離の金属化合物に配位させてキレート化合物を形成するのに好ましいキレート化剤としては、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類、アセチルアセトン、アセト酢酸エチル等であって分子量1万以下のものを挙げることができる。これらのキレート化剤を用いることにより、水分の混入等に対しても安定で、塗膜の補強効果にも優れるキレート化合物を形成できる。
金属化合物の添加量は、高屈折率層に含まれる該金属化合物由来の金属酸化物の含有量が0.3〜5質量%であるように調整することが好ましい。0.3質量%未満では耐擦傷性が不足し、5質量%を超えると耐光性が劣化する傾向がある。
本発明に係る高屈折率層には、電離放射線硬化型樹脂を、金属酸化物微粒子のバインダーとして、塗膜の成膜性や物理的特性の向上のために含有させることが出来る。電離放射線硬化型樹脂としては、紫外線や電子線のような電離放射線の照射により直接、または光重合開始剤の作用を受けて間接的に重合反応を生じる官能基を2個以上有するモノマーまたはオリゴマーを用いることができる。官能基としては(メタ)アクリロイルオキシ基等のような不飽和二重結合を有する基、エポキシ基、シラノール基等が挙げられる。中でも不飽和二重結合を2個以上有するラジカル重合性のモノマーやオリゴマーを好ましく用いることができる。必要に応じて光重合開始剤を組み合わせてもよい。このような電離放射線硬化型樹脂としては、ポリオールアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレートもしくはそれらの混合物が用いられる。例えば多官能アクリレート化合物等が挙げられ、ペンタエリスリトール多官能アクリレート、ジペンタエリスリトール多官能アクリレート、ペンタエリスリトール多官能メタクリレート、及びジペンタエリスリトール多官能メタクリレートよりなる群から選ばれる化合物であることが好ましい。ここで、多官能アクリレート化合物とは、分子中に2個以上のアクリロイルオキシ基及び/またはメタクロイルオキシ基を有する化合物である。
多官能アクリレート化合物のモノマーとしては、例えばエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタグリセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、グリセリントリアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、テトラメチロールメタントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ペンタグリセロールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、グリセリントリメタクリレート、ジペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレートが好ましく挙げられる。これらの化合物は、それぞれ単独または2種以上を混合して用いられる。また、上記モノマーの2量体、3量体等のオリゴマーであってもよい。
電離放射線硬化型樹脂の添加量は、高屈折率組成物では固形分中の15質量%以上50質量%未満であることが好ましい。
本発明に係る電離放射線硬化型樹脂の硬化促進のために、光重合開始剤と分子中に重合可能な不飽和結合を2個以上有するアクリル系化合物とを質量比で3:7〜1:9含有することが好ましい。
光重合開始剤としては、具体的には、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーケトン、α−アミロキシムエステル、チオキサントン等及びこれらの誘導体を挙げることができるが、特にこれらに限定されるものではない。
本発明に係る高屈折率層をコーティングする際に用いられる有機溶媒としては、例えば、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール等)、多価アルコールエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン等)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド等)、スルホン類(例えば、スルホラン等)、尿素、アセトニトリル、アセトン等が挙げられるが、特に、アルコール類、多価アルコール類、多価アルコールエーテル類が好ましい。
〔バックコート層〕
本発明の反射防止フィルムは、活性線硬化樹脂層を設けた側と反対側の面にバックコート層を設けることが好ましい。バックコート層は、活性線硬化樹脂層やその他の層を設けることで生じるカールを矯正するために設けられる。即ち、バックコート層を設けた面を内側にして丸まろうとする性質を持たせることにより、カールの度合いをバランスさせることができる。なお、バックコート層は好ましくはブロッキング防止層を兼ねて塗設され、その場合、バックコート層塗布組成物には、ブロッキング防止機能を持たせるために微粒子が添加されることが好ましい。
バックコート層に添加される微粒子としては無機化合物の例として、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、ITO、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。
これらの微粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。ポリマーの例として、シリコーン樹脂、フッ素樹脂及びアクリル樹脂を挙げることができる。シリコーン樹脂が好ましく、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、トスパール103、同105、同108、同120、同145、同3120及び同240(以上東芝シリコーン(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
これらの中でもでアエロジル200V、アエロジルR972Vがヘイズを低く保ちながら、ブロッキング防止効果が大きいため特に好ましく用いられる。本発明で用いられる反射防止フィルムは、活性エネルギー線硬化樹脂層の裏面側の動摩擦係数が0.9以下、特に0.1〜0.9であることが好ましい。
バックコート層に含まれる微粒子は、バインダーに対して0.1〜50質量%好ましくは0.1〜10質量%であることが好ましい。バックコート層を設けた場合のヘイズの増加は1%以下であることが好ましく0.5%以下であることが好ましく、特に0.0〜0.1%であることが好ましい。
バックコート層の塗布に用いられる溶媒としては、例えば、ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、酢酸メチル、酢酸エチル、トリクロロエチレン、メチレンクロライド、エチレンクロライド、テトラクロロエタン、トリクロロエタン、クロロホルム、水、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブタノール、シクロヘキサノン、シクロヘキサノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、または炭化水素類(トルエン、キシレン)等があげられ、適宜組み合わされて用いられる。
これらの塗布組成物をグラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、またはスプレー塗布、インクジェット塗布等を用いて透明樹脂フィルムの表面にウェット膜厚1〜100μmで塗布するのが好ましいが、特に5〜30μmであることが好ましい。バックコート層のバインダーとして用いられる樹脂としては、例えば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニルとビニルアルコールの共重合体、部分加水分解した塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、塩素化ポリ塩化ビニル、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体または共重合体、ニトロセルロース、セルロースアセテートプロピオネート(好ましくはアセチル基置換度1.8〜2.3、プロピオニル基置換度0.1〜1.0)、ジアセチルセルロース、セルロースアセテートブチレート樹脂等のセルロース誘導体、マレイン酸及び/またはアクリル酸の共重合体、アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、塩素化ポリエチレン、アクリロニトリル−塩素化ポリエチレン−スチレン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエーテルポリウレタン樹脂、ポリカーボネートポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、アミノ樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、ブタジエン−アクリロニトリル樹脂等のゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。例えば、アクリル樹脂としては、アクリペットMD、VH、MF、V(三菱レーヨン(株)製)、ハイパールM−4003、M−4005、M−4006、M−4202、M−5000、M−5001、M−4501(根上工業株式会社製)、ダイヤナールBR−50、BR−52、BR−53、BR−60、BR−64、BR−73、BR−75、BR−77、BR−79、BR−80、BR−82、BR−83、BR−85、BR−87、BR−88、BR−90、BR−93、BR−95、BR−100、BR−101、BR−102、BR−105、BR−106、BR−107、BR−108、BR−112、BR−113、BR−115、BR−116、BR−117、BR−118等(三菱レーヨン(株)製)のアクリル及びメタクリル系モノマーを原料として製造した各種ホモポリマー並びにコポリマー等が市販されており、この中から好ましいモノを適宜選択することもできる。
バックコート層を塗設する順番は本発明の反射防止フィルムの活性エネルギー線硬化樹脂層を塗設する前でも後でも構わないが、バックコート層がブロッキング防止層を兼ねる場合は先に塗設することが望ましい。または2回以上に分けてバックコート層を塗布することもできる。また、バックコート層は偏光子との接着性を改善するための易接着層を兼ねることも好ましい。
(反射防止フィルムの反射率)
本発明に係る反射防止フィルムの反射率は分光光度計により測定を行うことができる。その際、サンプルの測定側の裏面を粗面化処理した後、黒色のスプレーを用いて光吸収処理を行ってから、可視光領域(400〜700nm)の反射光を測定する。反射率は低いほど好ましいが、可視光領域の波長における平均値が1.5%以下であることが好ましく、最低反射率は0.8%以下であることが好ましい。また、可視光の波長領域において平坦な形状の反射スペクトルを有することが好ましい。
また、反射防止処理を施した偏光板表面の反射色相は、反射防止膜の設計上可視光領域において短波長域や長波長域の反射率が高くなることから赤や青に色づくことが多いが、反射光の色味は用途によって要望が異なり、FPDテレビ等の最表面に使用する場合にはニュートラルな色調が好まれる。この場合、一般に好まれる反射色相範囲は、XYZ表色系(CIE1931表色系)上で0.17≦x≦0.27、0.07≦y≦0.17である。
高屈折率層と低屈折率層の膜厚は、各々の層の屈折率より反射率、反射光の色味を考慮して常法に従って計算で求められる。
本発明の各層を塗布する前に表面処理する方法としては、洗浄法、アルカリ処理法、フレームプラズマ処理法、高周波放電プラズマ法、電子ビーム法、イオンビーム法、スパッタリング法、酸処理、コロナ処理法、大気圧グロー放電プラズマ法等が挙げられる。
コロナ処理とは、大気圧下、電極間に1kV以上の高電圧を印加し、放電することで行う処理のことであり、春日電機(株)や(株)トーヨー電機などで市販されている装置を用いて行うことが出来る。コロナ放電処理の強度は、電極間距離、単位面積当たりの出力、ジェネレーターの周波数に依存する。コロナ処理装置の一方の電極(A電極)は、市販のものを用いることが出来るが、材質はアルミニウム、ステンレスなどから選択が出来る。もう一方はプラスチックフィルムを抱かせるための電極(B電極)であり、コロナ処理が、安定かつ均一に実施されるように、前記A電極に対して一定の距離に設置されるロール電極である。これも通常市販されているものを用いることが出来、材質は、アルミニウム、ステンレス、及びそれらの金属で出来たロールに、セラミック、シリコン、EPTゴム、ハイパロンゴムなどがライニングされているロールが好ましく用いられる。本発明に用いられるコロナ処理に用いる周波数は、20kHz以上100kHz以下の周波数であり、30kHz〜60kHzの周波数が好ましい。周波数が低下するとコロナ処理の均一性が劣化し、コロナ処理のムラが発生する。また、周波数が大きくなると、高出力のコロナ処理を行う場合には、特に問題ないが、低出力のコロナ処理を実施する場合には、安定した処理を行うことが難しくなり、結果として、処理ムラが発生する。コロナ処理の出力は、1〜5w・min./m2であるが、2〜4w・min./m2の出力が好ましい。電極とフィルムとの距離は、5mm以上50mm以下であるが、好ましくは、10mm以上35mm以下である。間隙が開いてくると、一定の出力を維持するためにより高電圧が必要になり、ムラが発生し易くなる。また、間隙が狭くなりすぎると、印加する電圧が低くなりすぎ、ムラが発生し易くなる。更にまた、フィルムを搬送して連続処理する際に電極にフィルムが接触し傷が発生する。
アルカリ処理方法としては、ハードコート層を塗設したフィルムをアルカリ水溶液に浸す方法であれば特に限定されない。
アルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、アンモニア水溶液等が使用可能であり、中でも水酸化ナトリウム水溶液が好ましい。
アルカリ水溶液のアルカリ濃度、例えば水酸化ナトリウム濃度は0.1〜25質量%が好ましく、0.5〜15質量%がより好ましい。
アルカリ処理温度は通常10〜80℃、好ましく20〜60℃である。
アルカリ処理時間は5秒〜5分、好ましくは30秒〜3分である。アルカリ処理後のフィルムは酸性水で中和した後、十分に水洗いを行うことが好ましい。
反射防止層の各層は、透明基材フィルム上に、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法やエクストルージョンコート法を用いて、塗布により形成することができる。塗布に際しては、透明基材フィルムが、幅が1.4〜4mでロール状に巻き取られた状態から繰り出して、上記塗布を行い、乾燥・硬化処理した後、ロール状に巻き取られることが好ましい。
更に、本発明の反射防止フィルムは、透明基材フィルム上に前記光学干渉層を積層した後、ロール状に巻き取った状態で50〜160℃で加熱処理を行う製造方法によって製造されることが好ましい。加熱処理の期間は、設定される温度によって適宜決定すればよく、例えば、50℃であれば、好ましくは3日間以上30日未満の期間、160℃であれば10分以上1日以下の範囲が好ましい。通常は、巻外部、巻中央部、巻き芯部の加熱処理効果が偏らないように、比較的低温に設定することが好ましく、50〜60℃付近で7日間程度行うことが好ましい。
加熱処理を安定して行うためには、温湿度が調整可能な場所で行うことが必要であり、塵のないクリーンルーム等の加熱処理室で行うことが好ましい。
機能性薄膜がコーティングされた光学フィルムをロール状に巻き取る際の、巻きコアとしては、円筒上のコアであれは、特に限定されないが、好ましくは中空プラスチックコアであり、プラスチック材料としては加熱処理温度に耐える耐熱性プラスチックが好ましく、例えばフェノール樹脂、キシレン樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂が挙げられる。またガラス繊維などの充填材により強化した熱硬化性樹脂が好ましい。
これらの巻きコアへの巻き数は、100巻き以上であることが好ましく、500巻き以上であることが更に好ましく、巻き厚は5cm以上であることが好ましい。
このようにして長巻のプラスチックフィルム基材上に機能性薄膜がコーティングされ、プラスチックコアに巻き取られたロールを、巻き取った状態で前記加熱処理を行うとき、該ロールを回転させることが好ましく、回転は、1分間に1回転以下の速度が好まく、連続でも良く断続的な回転であっても良い。又、加熱期間中に該ロールの巻き替えを1回以上行うことが好ましい。
コアに巻き取られた長巻の光学フィルムロールを加熱処理中に回転させる為加熱処理室に専用の回転台を設けることが好ましい。
回転は、断続の場合は停止している時間を10時間以内とすることが好ましく、停止位置は、円周方向に均一となる様にすることが好ましく、停止時間は10分以内とすることがより好ましい。最も好ましくは、連続回転である。
連続回転での回転速度は、1回転に要する時間は好ましくは10時間以下とすることであり、早いと装置的に負担となるため実質的には、15分から2時間の範囲が好ましい。
尚、回転機能を有する専用の台車の場合には、移動や保管中にも光学フィルムロールを回転させることが出来て好ましく、この場合、保管期間が長い場合に生じるブラックバンド対策として回転が有効に機能する。
(位相差フィルム)
本発明の反射防止フィルムは偏光板保護フィルムとして好ましく用いられる。本発明の偏光板は、偏光子の少なくとも一方の面に本発明の反射防止フィルムを有し、種々の公知の樹脂からなるフィルムをもう一方の面に用いる偏光板保護フィルムとすることが出来るが、シクロオレフィン樹脂若しくはセルロースエステル樹脂からなる位相差フィルムを用いることが好ましい。以下、これらのフィルムについて説明する。
〔シクロオレフィン樹脂フィルム〕
本発明に係るシクロオレフィン樹脂は脂環式構造を含有する重合体樹脂からなるものである。
好ましいシクロオレフィン樹脂は、シクロオレフィンを重合または共重合した樹脂である。シクロオレフィンとしては、ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、テトラシクロドデセン、エチルテトラシクロドデセン、エチリデンテトラシクロドデセン、テトラシクロ〔7.4.0.110,13.02,7〕トリデカ−2,4,6,11−テトラエンなどの多環構造の不飽和炭化水素及びその誘導体;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、3,4−ジメチルシクロペンテン、3−メチルシクロヘキセン、2−(2−メチルブチル)−1−シクロヘキセン、シクロオクテン、3a,5,6,7a−テトラヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデン、シクロヘプテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエンなどの単環構造の不飽和炭化水素及びその誘導体等が挙げられる。これらシクロオレフィンには置換基として極性基を有していてもよい。極性基としては、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシル基、エポキシ基、グリシジル基、オキシカルボニル基、カルボニル基、アミノ基、エステル基、カルボン酸無水物基などが挙げられ、特に、エステル基、カルボキシル基またはカルボン酸無水物基が好適である。
好ましいシクロオレフィン樹脂は、シクロオレフィン以外の単量体を付加共重合したものであってもよい。付加共重合可能な単量体としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテンなどのエチレンまたはα−オレフィン;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンなどのジエン等が挙げられる。
シクロオレフィン樹脂は、付加重合反応或いはメタセシス開環重合反応によって得られる。重合は触媒の存在下で行われる。付加重合用触媒として、例えば、バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなる重合触媒などが挙げられる。開環重合用触媒として、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金などの金属のハロゲン化物、硝酸塩またはアセチルアセトン化合物と、還元剤とからなる重合触媒;或いは、チタン、バナジウム、ジルコニウム、タングステン、モリブデンなどの金属のハロゲン化物またはアセチルアセトン化合物と、有機アルミニウム化合物とからなる重合触媒などが挙げられる。重合温度、圧力等は特に限定されないが、通常−50℃〜100℃の重合温度、0〜490N/cm2の重合圧力で重合させる。
本発明に用いるシクロオレフィン樹脂は、シクロオレフィンを重合または共重合させた後、水素添加反応させて、分子中の不飽和結合を飽和結合に変えたものであることが好ましい。水素添加反応は、公知の水素化触媒の存在下で、水素を吹き込んで行う。水素化触媒としては、酢酸コバルト/トリエチルアルミニウム、ニッケルアセチルアセトナート/トリイソブチルアルミニウム、チタノセンジクロリド/n−ブチルリチウム、ジルコノセンジクロリド/sec−ブチルリチウム、テトラブトキシチタネート/ジメチルマグネシウムの如き遷移金属化合物/アルキル金属化合物の組み合わせからなる均一系触媒;ニッケル、パラジウム、白金などの不均一系金属触媒;ニッケル/シリカ、ニッケル/けい藻土、ニッケル/アルミナ、パラジウム/カーボン、パラジウム/シリカ、パラジウム/けい藻土、パラジウム/アルミナの如き金属触媒を担体に担持してなる不均一系固体担持触媒などが挙げられる。
或いは、シクロオレフィン樹脂として、下記のノルボルネン系ポリマーも挙げられる。ノルボルネン系ポリマーは、ノルボルネン骨格を繰り返し単位として有していることが好ましく、その具体例としては、特開昭62−252406号公報、特開昭62−252407号公報、特開平2−133413号公報、特開昭63−145324号公報、特開昭63−264626号公報、特開平1−240517号公報、特公昭57−8815号公報、特開平5−39403号公報、特開平5−43663号公報、特開平5−43834号公報、特開平5−70655号公報、特開平5−279554号公報、特開平6−206985号公報、特開平7−62028号公報、特開平8−176411号公報、特開平9−241484号公報等に記載されたものが好ましく利用出来るが、これらに限定されるものではない。また、これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明においては、前記ノルボルネン系ポリマーの中でも、下記構造式(I)〜(IV)のいずれかで表される繰り返し単位を有するものが好ましい。
Figure 2008003359
前記構造式(I)〜(IV)中、A、B、C及びDは、各々独立して、水素原子または1価の有機基を表す。
また、前記ノルボルネン系ポリマーの中でも、下記構造式(V)または(VI)で表される化合物の少なくとも1種と、これと共重合可能な不飽和環状化合物とをメタセシス重合して得られる重合体を水素添加して得られる水添重合体も好ましい。
Figure 2008003359
前記構造式中、A、B、C及びDは、各々独立して、水素原子または1価の有機基を表す。
ここで、上記A、B、C及びDは特に限定されないが、好ましくは水素原子、ハロゲン原子、一価の有機基、または、少なくとも2価の連結基を介して有機基が連結されてもよく、これらは同じであっても異なっていてもよい。また、AまたはBとCまたはDは単環または多環構造を形成してもよい。ここで、上記少なくとも2価の連結基とは、酸素原子、イオウ原子、窒素原子に代表されるヘテロ原子を含み、例えばエーテル、エステル、カルボニル、ウレタン、アミド、チオエーテル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、上記連結基を介し、上記有機基は更に置換されてもよい。
また、ノルボルネン系モノマーと共重合可能なその他のモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどの炭素数2〜20のα−オレフィン、及びこれらの誘導体;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、3a,5,6,7a−テトラヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデンなどのシクロオレフィン、及びこれらの誘導体;1、4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンなどの非共役ジエン;などが用いられる。これらの中でも、α−オレフィン、特にエチレンが好ましい。
これらの、ノルボルネン系モノマーと共重合可能なその他のモノマーは、それぞれ単独で、或いは2種以上を組み合わせて使用することが出来る。ノルボルネン系モノマーとこれと共重合可能なその他のモノマーとを付加共重合する場合は、付加共重合体中のノルボルネン系モノマー由来の構造単位と共重合可能なその他のモノマー由来の構造単位との割合が、質量比で通常30:70〜99:1、好ましくは50:50〜97:3、より好ましくは70:30〜95:5の範囲となるように適宜選択される。
合成したポリマーの分子鎖中に残留する不飽和結合を水素添加反応により飽和させる場合には、耐光劣化や耐候劣化性などの観点から、水素添加率を90%以上、好ましくは95%以上、特に好ましくは99%以上とする。
この他、本発明で用いられるシクロオレフィン樹脂としては、特開平5−2108号公報段落番号[0014]〜[0019]記載の熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂、特開2001−277430号公報段落番号[0015]〜[0031]記載の熱可塑性ノルボルネン系ポリマー、特開2003−14901号公報段落番号[0008]〜[0045]記載の熱可塑性ノルボルネン系樹脂、特開2003−139950号公報段落番号[0014]〜[0028]記載のノルボルネン系樹脂組成物、特開2003−161832号公報段落番号[0029]〜[0037]記載のノルボルネン系樹脂、特開2003−195268号公報段落番号[0027]〜[0036]記載のノルボルネン系樹脂、特開2003−211589号公報段落番号[0009]〜[0023]脂環式構造含有重合体樹脂、特開2003−211588号公報段落番号[0008]〜[0024]記載のノルボルネン系重合体樹脂若しくはビニル脂環式炭化水素重合体樹脂などが挙げられる。
具体的には、日本ゼオン(株)製ゼオネックス、ゼオノア、JSR(株)製アートン、三井化学(株)製アペル(APL8008T、APL6509T、APL6013T、APL5014DP、APL6015T)などが好ましく用いられる。
本発明で使用されるシクロオレフィン樹脂の分子量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、シクロヘキサン溶液(重合体樹脂が溶解しない場合はトルエン溶液)のゲル・パーミエーション・クロマトグラフ法で測定したポリイソプレンまたはポリスチレン換算の重量平均分子量で、通常、5000〜500000、好ましくは8000〜200000、より好ましくは10000〜100000の範囲である時に、成形体の機械的強度、及び成形加工性とが高度にバランスされて好適である。
シクロオレフィン樹脂フィルムの成形方法は格別な限定はなく、加熱溶融成形法、溶液流延法のいずれも用いることが出来る。加熱溶融成形法は、更に詳細に、押し出し成形法、プレス成形法、インフレーション成形法、射出成形法、ブロー成形法、延伸成形法などに分類出来るが、これらの方法の中でも、機械強度、表面精度等に優れたフィルムを得るためには、押し出し成形法、インフレーション成形法、及びプレス成形法が好ましく、押し出し成形法が最も好ましい。成形条件は、使用目的や成形方法により適宜選択されるが、加熱溶融成形法による場合は、シリンダー温度が、通常150〜400℃、好ましくは200〜350℃、より好ましくは230〜330℃の範囲で適宜設定される。
樹脂温度が過度に低いと流動性が悪化し、フィルムにヒケやひずみを生じ、樹脂温度が過度に高いと樹脂の熱分解によるボイド等が発生したり、フィルムが黄変するなどの成形不良が発生するおそれがある。フィルムの厚みは、通常5〜300μm、好ましくは10〜200μm、より好ましくは15〜100μmの範囲である。厚みが薄過ぎる場合は、積層時の取り扱いが困難となり、厚過ぎる場合は、積層後の乾燥時間が長くなって生産性が低下する。
フィルムの幅は1.4m以上が生産性の点から好ましい。より好ましくは1.4〜4mの範囲である。
シクロオレフィン樹脂フィルムは、その表面の濡れ張力が、好ましくは40mN/m以上、より好ましくは50mN/m以上、更に好ましくは55mN/m以上である。表面の濡れ張力が上記範囲にあると、フィルムと偏光子との接着強度が向上する。表面の濡れ張力を調整するために、例えば、コロナ放電処理、プラズマ放電処理、オゾンの吹き付け、紫外線照射、火炎処理、化学薬品処理、その他公知の表面処理を施すことが出来る。
上記シクロオレフィン樹脂フィルムは、シートを少なくとも一軸方向に延伸することが好ましく、より好ましくは幅方向に延伸することである。尚、実質的な一軸延伸、例えば、分子の配向に影響のない範囲で延伸した後、分子を配向させるべく一軸方向に延伸する二軸延伸であってもよい。好ましくは二軸延伸であり、延伸するには前記テンター装置等を用いることが好ましい。
延伸倍率は1.1〜10倍、好ましくは1.2〜8倍であることが好ましい。延伸倍率が低過ぎると平面性が劣化したり所望の光学補償性能が発現しなかったり、高過ぎると破断することもある。
延伸は、通常、シートを構成する樹脂のTg〜Tg+50℃、好ましくはTg〜Tg+40℃の温度範囲で行われる。延伸温度が低過ぎると破断し、高過ぎると分子配向しないため、平面性の劣化や所望の光学補償性能が得られない。
この様にして得たフィルムは、延伸により分子が配向されて、所望の大きさのリターデーションを持たせることが出来る。光学補償フィルムとして用いる場合、本発明において好ましいリターデーション値は、フィルム厚み方向のリターデーション値Rtが70〜400nm、フィルム面内方向のリターデーション値Roが30〜120nmであり、更に好ましいRoは30〜70nmである。
なお、上記リターデーション値Ro及びRtは、下記式で定義される。
Ro=(Nx−Ny)×d
Rt=((Nx+Ny)/2−Nz)×d
(式中、Nx、Ny、Nzはそれぞれ屈折率楕円体の主軸x、y、z方向の屈折率を表し、かつ、Nx、Nyはフィルム面内方向の屈折率を、Nzはフィルムの厚み方向の屈折率を表す。また、Nx≧Nyであり、dはフィルムの厚み(nm)を表す。)
尚、リターデーション値Ro、Rtは自動複屈折率計を用いて測定することが出来る。例えば、KOBRA−21ADH(王子計測機器(株))を用いて、23℃、55%RHの環境下で、波長が590nmで求めることが出来る。
リターデーションは、延伸前のシートのリターデーションと延伸倍率、延伸温度、延伸配向フィルムの厚さにより制御することが出来る。延伸前のシートが一定の厚さの場合、延伸倍率が大きいフィルムほどリターデーションの絶対値が大きくなる傾向があるので、延伸倍率を変更することによって所望のリターデーションの光学補償フィルムを得ることが出来る。
リターデーションのバラツキは小さいほど好ましく、光学補償フィルムとしては、波長550nmのリターデーションのバラツキが通常±10nm以内、好ましくは±5nm以下、より好ましくは±1nm以下の小さなものである。
リターデーションの面内でのバラツキや厚さムラは、それらの小さな延伸前のシートを用いる他、延伸時にシートに応力が均等にかかるようにすることにより、小さくすることが出来る。そのためには、均一な温度分布下、好ましくは±5℃以内、更に好ましくは±2℃以内、特に好ましくは±0.5℃以内に温度を制御した環境で延伸することが望ましい。
〈セルロースエステル樹脂〉
本発明に用いられるセルロース誘導体としては、トリアセチルセルロース(TAC)、ジアセチルセルロース(DAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートトリメリテート、硝酸セルロース等のセルロースエステル類と、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、シアノエチルセルロースなどのセルロースエーテル類が挙げられるが、好ましくはセルロースエステル類である。
本発明に用いられるセルロース誘導体の原料のセルロースとしては、特に限定はないが、綿花リンター、木材パルプ、ケナフなどを挙げることが出来る。また、これらから得られたセルロース誘導体は、それぞれを単独あるいは任意の割合で混合使用することが出来るが、綿花リンターを50質量%以上使用することが好ましい。
セルロースエステルフィルムの分子量が大きいと弾性率が大きくなるが、分子量を上げすぎるとセルロースエステルの溶解液の粘度が高くなりすぎるため生産性が低下する。セルロースエステルの分子量は数平均分子量(Mn)で40000〜200000のものが好ましく、100000〜200000のものが更に好ましい。本発明で用いられるセルロースエステルはMw/Mn比が4.0以下であることが好ましく、更に好ましくは1.4〜2.3である。
セルロースエステルの平均分子量及び分子量分布は、高速液体クロマトグラフィーを用い測定できるので、これを用いて数平均分子量(Mn)、質量平均分子量(Mw)を算出し、その比を計算することができる。
測定条件は以下の通りである。
溶媒: メチレンクロライド
カラム: Shodex K806,K805,K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度: 0.1質量%
検出器: RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ: L6000(日立製作所(株)製)
流量: 1.0ml/min
校正曲線: 標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1,000,000〜500迄の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いることが好ましい。
好ましいセルロースエステルは、炭素原子数2〜4のアシル基を置換基として有し、アセチル基の置換度をXとし、プロピオニル基またはブチリル基の置換度をYとした時、下記式(I)及び(II)を同時に満たすセルロースエステルである。
式(I) 2.0≦X+Y≦2.8
式(II) 0≦X≦2.8
特に2.4≦X+Y≦2.6、1.4≦X≦2.3、0.1≦Y≦1.2のセルロースアセテートプロピオネート(総アシル基置換度=X+Y)が好ましい。アシル基で置換されていない部分は通常水酸基として存在している。これらのセルロースエステルは公知の方法で合成することが出来る。
〈溶媒〉
本発明のに用いられるセルロースエステルフィルムは溶液流延法もしくは溶融流延法によって形成することができる。特に、本発明において用いられるセルロース誘導体は溶媒に溶解させてドープを形成し、これを基材上に流延しフィルムを形成させることが好ましい。この際に押し出しあるいは流延後に溶媒を蒸発させる必要性があるため、揮発性の溶媒を用いることが好ましい。
ここで、上記セルロース誘導体に対して良好な溶解性を有する有機溶媒を良溶媒といい、また溶解に主たる効果を示し、その中で大量に使用する有機溶媒を主(有機)溶媒または主たる(有機)溶媒という。
良溶媒の例としてはアセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類、ぎ酸メチル、ぎ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、γ−ブチロラクトン等のエステル類の他、メチルセロソルブ、ジメチルイミダゾリノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、ジメチルスルフォキシド、スルホラン、ニトロエタン、塩化メチレン、アセト酢酸メチルなどが挙げられるが、1,3−ジオキソラン、THF、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸メチルおよび塩化メチレンが好ましい。
ドープには、上記有機溶媒の他に、1〜40質量%の炭素原子数1〜4のアルコールを含有させることが好ましい。これらは、ドープを金属支持体に流延した後、溶媒が蒸発し始めてアルコールの比率が多くなることでウェブ(支持体上にセルロース誘導体のドープを流延した以降のドープ膜の呼び方をウェブとする)をゲル化させ、ウェブを丈夫にし金属支持体から剥離することを容易にするゲル化溶媒として用いられたり、これらの割合が少ない時は非塩素系有機溶媒のセルロース誘導体の溶解を促進したりする役割もある。
炭素原子数1〜4のアルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルを挙げることが出来る。これらのうち、ドープの安定性に優れ、沸点も比較的低く、乾燥性も良く、且つ毒性がないこと等からエタノールが好ましい。これらの有機溶媒は、単独ではセルロース誘導体に対して溶解性を有しておらず、貧溶媒という。
このような条件を満たし好ましい高分子化合物であるセルロース誘導体を高濃度に溶解する溶剤として最も好ましい溶剤は塩化メチレン:エチルアルコールの比が95:5〜80:20の混合溶剤である。あるいは、酢酸メチル:エチルアルコール60:40〜95:5の混合溶媒も好ましく用いられる。
〈添加剤〉
本発明に係る位相差フィルムには、フィルムに加工性・柔軟性・防湿性を付与する可塑剤、紫外線吸収機能を付与する紫外線吸収剤、フィルムの劣化を防止する酸化防止剤、フィルムに滑り性を付与する微粒子(マット剤)、フィルムのリターデーションを調整するリターデーション調整剤等を含有させても良い。
〈可塑剤〉
用いられる可塑剤としては特に限定はないが、フィルムにヘイズを発生させたりフィルムからブリードアウト或いは揮発しないように、セルロース誘導体と水素結合などによって相互作用可能である官能基を有していることが好ましい。
このような官能基としては、水酸基、エーテル基、カルボニル基、エステル基、カルボン酸残基、アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、シアノ基、ニトロ基、スルホニル基、スルホン酸残基、ホスホニル基、ホスホン酸残基等が挙げられるが、好ましくはカルボニル基、エステル基、ホスホニル基である。
このような可塑剤の例として、リン酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤、ピロメリット酸系可塑剤、多価アルコール系可塑剤、グリコレート系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、脂肪酸エステル系可塑剤、カルボン酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤などを好ましく用いることが出来るが、特に本発明の効果を得る上で、好ましくは多価アルコール系可塑剤、及びエステル系可塑剤を使用することであり、特に多価アルコールエステル系可塑剤と後述する芳香族末端エステル系可塑剤とを含有することが好ましい。
多価アルコールエステルは2価以上の脂肪族多価アルコールとモノカルボン酸のエステルよりなり、分子内に芳香環またはシクロアルキル環を有することが好ましい。
本発明に用いられる多価アルコールは次の一般式(PA1)で表される。
一般式(PA1) R1−(OH)n
(ただし、R1はn価の有機基、nは2以上の正の整数を表す)
好ましい多価アルコールの例としては、例えば以下のようなものをあげることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。アドニトール、アラビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジブチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサントリオール、ガラクチトール、マンニトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ピナコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、キシリトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどを挙げることが出来る。中でも、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが好ましい。
多価アルコールエステルに用いられるモノカルボン酸としては、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸などを用いることが出来る。脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸を用いると、透湿性、保留性を向上させる点で好ましい。好ましいモノカルボン酸の例としては、以下のようなものを挙げることが出来るが、本発明はこれに限定されるものではない。
脂肪族モノカルボン酸としては、炭素数1〜32の直鎖または側鎖を持った脂肪酸を好ましく用いることが出来る。炭素数1〜20であることが更に好ましく、炭素数1〜10であることが特に好ましい。酢酸を用いるとセルロースエステルとの相溶性が増すため好ましく、酢酸と他のモノカルボン酸を混合して用いることも好ましい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸などの飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸などの不飽和脂肪酸などを挙げることが出来る。好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることが出来る。好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸などの安息香酸のベンゼン環にアルキル基を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸などのベンゼン環を2個以上持つ芳香族モノカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることが出来る。特に、安息香酸が好ましい。
多価アルコールエステルの分子量300〜1500の範囲であることが好ましく、350〜750の範囲であることが更に好ましい。分子量が大きい方が揮発し難くなるため好ましく、透湿性、セルロースエステルとの相溶性の点では小さい方が好ましい。多価アルコールエステルに用いられるカルボン酸は一種類でもよいし、二種以上の混合であってもよい。また、多価アルコール中のOH基は全てエステル化してもよいし、一部をOH基のままで残してもよい。以下に、多価アルコールエステルの具体的化合物を示す。
Figure 2008003359
Figure 2008003359
Figure 2008003359
Figure 2008003359
本発明に係る多価アルコールエステルの含有量は、セルロースエステルフィルム中に1〜15質量%含有することが好ましく、特に3〜10質量%含有することが好ましい。
《エステル系可塑剤》
エステル系可塑剤は特に限定されないが、分子内に芳香環またはシクロアルキル環を有するエステル系可塑剤を好ましく用いることが出来る。好ましいエステル系可塑剤としては、特に限定されないが、例えば、下記一般式(PC1)で表せる芳香族末端エステル系可塑剤が好ましい。
一般式(PC1) B−(G−A)n−G−B
(式中、Bはベンゼンモノカルボン酸残基、Gは炭素数2〜12のアルキレングリコール残基または炭素数6〜12のアリールグリコール残基または炭素数が4〜12のオキシアルキレングリコール残基、Aは炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸残基または炭素数6〜12のアリールジカルボン酸残基を表し、またnは1以上の整数を表す。)
一般式(PC1)中、Bで示されるベンゼンモノカルボン酸残基とGで示されるアルキレングリコール残基またはオキシアルキレングリコール残基またはアリールグリコール残基、Aで示されるアルキレンジカルボン酸残基またはアリールジカルボン酸残基とから構成されるものであり、通常のポリエステル系可塑剤と同様の反応により得られる。
本発明で使用されるエステル系可塑剤のベンゼンモノカルボン酸成分としては、例えば、安息香酸、パラターシャリブチル安息香酸、オルソトルイル酸、メタトルイル酸、パラトルイル酸、ジメチル安息香酸、エチル安息香酸、ノルマルプロピル安息香酸、アミノ安息香酸、アセトキシ安息香酸等があり、これらはそれぞれ1種または2種以上の混合物として使用することが出来る。
エステル系可塑剤の炭素数2〜12のアルキレングリコール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール、2−メチル1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロ−ルペンタン)、2−n−ブチル−2−エチル−1,3プロパンジオール(3,3−ジメチロールヘプタン)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル1,3−ペンタンジオール、2−エチル1,3−ヘキサンジオール、2−メチル1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−オクタデカンジオール等があり、これらのグリコールは、1種または2種以上の混合物として使用される。特に炭素数2〜12のアルキレングリコールがセルロースエステルとの相溶性に優れているため、特に好ましい。
また、芳香族末端エステルの炭素数4〜12のオキシアルキレングリコール成分としては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等があり、これらのグリコールは、1種または2種以上の混合物として使用できる。
芳香族末端エステルの炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸成分としては、例えば、コハク酸、マレイン酸、フマール酸、グルタール酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等があり、これらは、それぞれ1種または2種以上の混合物として使用される。炭素数6〜12のアリーレンジカルボン酸成分としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,5ナフタレンジカルボン酸、1,4ナフタレンジカルボン酸等がある。
本発明で使用されるエステル系可塑剤は、数平均分子量が、好ましくは300〜1500、より好ましくは400〜1000の範囲が好適である。また、その酸価は、0.5mgKOH/g以下、水酸基価は25mgKOH/g以下、より好ましくは酸価0.3mgKOH/g以下、水酸基価は15mgKOH/g以下のものが好適である。
以下、本発明に係る芳香族末端エステル系可塑剤の合成例を示す。
〈サンプルNo.1(芳香族末端エステルサンプル)〉
反応容器にフタル酸410部、安息香酸610部、ジプロピレングリコール737部、及び触媒としてテトライソプロピルチタネート0.40部を一括して仕込み窒素気流中で攪拌下、還流凝縮器を付して過剰の1価アルコールを還流させながら、酸価が2以下になるまで130〜250℃で加熱を続け生成する水を連続的に除去した。次いで200〜230℃で100〜最終的に4.0×102Pa以下の減圧下、留出分を除去し、この後濾過して次の性状を有する芳香族末端エステル系可塑剤を得た。
粘度(25℃、mPa・s);43400
酸価 ;0.2
〈サンプルNo.2(芳香族末端エステルサンプル)〉
反応容器に、フタル酸410部、安息香酸610部、エチレングリコール341部、及び触媒としてテトライソプロピルチタネート0.35部を用いる以外はサンプルNo.1と全く同様にして次の性状を有する芳香族末端エステルを得た。
粘度(25℃、mPa・s);31000
酸価 ;0.1
〈サンプルNo.3(芳香族末端エステルサンプル)〉
反応容器に、フタル酸410部、安息香酸610部、1,2−プロパンジオール418部、及び触媒としてテトライソプロピルチタネート0.35部を用いる以外はサンプルNo.1と全く同様にして次の性状を有する芳香族末端エステルを得た。
粘度(25℃、mPa・s);38000
酸価 ;0.05
〈サンプルNo.4(芳香族末端エステルサンプル)〉
反応容器に、フタル酸410部、安息香酸610部、1,3−プロパンジオール418部、及び触媒としてテトライソプロピルチタネート0.35部を用いる以外はサンプルNo.1と全く同様にして次の性状を有する芳香族末端エステルを得た。
粘度(25℃、mPa・s);37000
酸価 ;0.05
以下に、本発明に係る芳香族末端エステル系可塑剤の具体的化合物を示すが、本発明はこれに限定されない。
Figure 2008003359
Figure 2008003359
これらの可塑剤は単独あるいは2種以上混合して用いることができる。可塑剤の使用量は、セルロース誘導体に対して1質量%未満ではフィルムの透湿度を低減させる効果が少ないため好ましくなく、20質量%を越えるとフィルムから可塑剤がブリードアウトし、フィルムの物性が劣化するため、1〜20質量%が好ましい。6〜16質量%が更に好ましく、特に好ましくは8〜13質量%である。
〈紫外線吸収剤〉
紫外線吸収機能は、液晶の劣化防止の観点から、偏光板保護フィルム、位相差フィルム、光学補償フィルムなどの各種光学フィルムに付与されていることが好ましい。このような紫外線吸収機能は、紫外線を吸収する材料をセルロース誘導体中に含ませても良く、セルロース誘導体からなるフィルム上に紫外線吸収機能のある層を設けてもよい。
このような紫外線吸収機能のある紫外線吸収剤としては、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましく用いられる。好ましく用いられる紫外線吸収剤の具体例としては、例えばトリアジン系化合物、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物などが挙げられるが、これらに限定されない。又、特開平6−148430号公報に記載の高分子紫外線吸収剤も好ましく用いられる。
本発明に有用な紫外線吸収剤の具体例として、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチル−フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチル−フェノール<<チヌビン(TINUVIN)171>>、2−オクチル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートの混合物<<チヌビン(TINUVIN)109>>、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール<<チヌビン234>>、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロ−ベンゾトリアゾール<<チヌビン326>>等を挙げることが出来るが、これらに限定されない。また、上記のチヌビン109、チヌビン171、チヌビン326等チヌビンは何れもチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製の市販品で、好ましく使用出来る。
ベンゾフェノン系化合物の具体例として、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニルメタン)等を挙げることが出来るが、これらに限定されない。
また、本発明の位相差フィルムに用いることのできる紫外線吸収剤は、各種塗布層の塗布性にも優れる為、特開2000−187825に記載されている分配係数が9.2以上の紫外線吸収剤を含むことが好ましく、特に分配係数が10.1以上の紫外線吸収剤を用いることが好ましい。
また、特開平6−148430号及び特開2002−47357号記載の高分子紫外線吸収剤(または紫外線吸収性ポリマー)を好ましく用いることができる。特開平6−148430号の一般式(1)、あるいは一般式(2)、あるいは特開2002−47357号の一般式(3)(6)(7)記載の高分子紫外線吸収剤が特に好ましく用いられる。
また、本発明の位相差フィルムの紫外線吸収剤として、1,3,5−トリアジン環を有する化合物を好ましく用いることが出来る。該化合物はリターデーション調整剤としても用いることが出来る。
これらの化合物の添加量は、セルロース誘導体に対して質量割合で0.1〜5.0%が好ましく、0.5〜1.5%が更に好ましい。
〈酸化防止剤〉
本発明では、シクロオレフィン樹脂フィルム及びセルロースエステル樹脂フィルムを成膜する際に酸化防止剤を好ましく使用することができる。
高湿高温の状態に液晶画像表示装置などがおかれた場合には、位相差フィルムの劣化が起こる場合があるが、酸化防止剤は、例えば、位相差フィルム中の残留溶媒量のハロゲンやリン酸系可塑剤のリン酸等により位相差フィルムが分解するのを遅らせたり、防いだりする役割を有するので、位相差フィルム中に含有させるのが好ましい。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、耐熱加工安定剤、酸素スカベンジャー等が挙げられ、これらの中でもフェノール系酸化防止剤、特にアルキル置換フェノール系酸化防止剤が好ましい。これらの酸化防止剤を配合することにより、透明性、耐熱性等を低下させることなく、成型時の熱や酸化劣化等による成形体の着色や強度低下を防止出来る。
これらの酸化防止剤は、それぞれ単独で、或いは2種以上を組み合わせて用いることが出来、その配合量は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択されるが、シクロオレフィン樹脂、セルロースエステル樹脂等の樹脂100質量部に対して好ましくは0.001〜5質量部、より好ましくは0.01〜1質量部である。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール酸化防止剤化合物は既知の化合物であり、例えば、米国特許第4,839,405号明細書の第12〜14欄に記載されているものなどの、2,6−ジアルキルフェノール誘導体化合物が含まれる。このような化合物には、以下の一般式(AO1)のものが含まれる。
Figure 2008003359
上式中、R1、R2及びR3は、更に置換されているかまたは置換されていないアルキル置換基を表す。ヒンダードフェノール化合物の具体例には、n−オクタデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−オクタデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−アセテート、n−オクタデシル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、n−ヘキシル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルベンゾエート、n−ドデシル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルベンゾエート、ネオ−ドデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ドデシルβ(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、エチルα−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)イソブチレート、オクタデシルα−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)イソブチレート、オクタデシルα−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−(n−オクチルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンゾエート、2−(n−オクチルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニルアセテート、2−(n−オクタデシルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート、2−(n−オクタデシルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンゾエート、2−(2−ヒドロキシエチルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ジエチルグリコールビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)プロピオネート、2−(n−オクタデシルチオ)エチル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ステアルアミドN,N−ビス−[エチレン3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、n−ブチルイミノN,N−ビス−[エチレン3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2−(2−ステアロイルオキシエチルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2−(2−ステアロイルオキシエチルチオ)エチル7−(3−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ヘプタノエート、1,2−プロピレングリコールビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、エチレングリコールビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ネオペンチルグリコールビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、エチレングリコールビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート)、グリセリン−l−n−オクタデカノエート−2,3−ビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート)、ペンタエリトリトール−テトラキス−[3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,1,1−トリメチロールエタン−トリス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ソルビトールヘキサ−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2−ヒドロキシエチル7−(3−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−ステアロイルオキシエチル7−(3−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ヘプタノエート、1,6−n−ヘキサンジオール−ビス[(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリトリトール−テトラキス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)が含まれる。上記タイプのヒンダードフェノール系酸化防止剤化合物は、例えば、Ciba Specialty Chemicalsから、“Irganox1076”及び“Irganox1010”という商品名で市販されている。
その他の酸化防止剤としては、具体的には、トリスノニルフェニルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト等のリン系酸化防止剤、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)等のイオウ系酸化防止剤、2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3、5−ジ−tert−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−tert−ペンチルフェニルアクリレート等の耐熱加工安定剤、特公平08−27508記載の3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン系化合物、3,3’−スピロジクロマン系化合物、1,1−スピロインダン系化合物、モルホリン、チオモルホリン、チオモルホリンオキシド、チオモルホリンジオキシド、ピペラジン骨格を部分構造に有する化合物、特開平03−174150記載のジアルコキシベンゼン系化合物等の酸素スカベンジャー等が挙げられる。これら酸化防止剤の部分構造が、ポリマーの一部、或いは規則的にポリマーへペンダントされていても良く、可塑剤、酸捕捉剤、紫外線吸収剤等の添加剤の分子構造の一部に導入されていても良い。
〈酸捕捉剤〉
酸捕捉剤としては、公知の種々の酸捕捉剤を用いることが出来るが、例えば、米国特許第4,137,201号明細書に記載されているようなエポキシ化合物が好ましい。
酸捕捉剤としてのエポキシ化合物は当該技術分野において既知であり、種々のポリグリコールのジグリシジルエーテル、特にポリグリコール1モル当たりに約8〜40モルのエチレンオキシドなどの縮合によって誘導されるポリグリコール、グリセロールのジグリシジルエーテルなど、金属エポキシ化合物(例えば、塩化ビニルポリマー組成物において、及び塩化ビニルポリマー組成物と共に、従来から利用されているもの)、エポキシ化エーテル縮合生成物、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(即ち、4,4’−ジヒドロキシジフェニルジメチルメタン)、エポキシ化不飽和脂肪酸エステル(特に、2〜22この炭素原子の脂肪酸の4〜2個程度の炭素原子のアルキルのエステル(例えば、ブチルエポキシステアレート)など)、及び種々のエポキシ化長鎖脂肪酸トリグリセリドなど(例えば、エポキシ化大豆油などの組成物によって代表され、例示され得る、エポキシ化植物油及び他の不飽和天然油(これらは時としてエポキシ化天然グリセリドまたは不飽和脂肪酸と称され、これらの脂肪酸は一般に12〜22個の炭素原子を含有している))が含まれる。特に好ましいのは、市販のエポキシ基含有エポキシド樹脂化合物 EPON 815c、及び一般式(OT1)の他のエポキシ化エーテルオリゴマー縮合生成物である。
Figure 2008003359
上式中、nは0〜12に等しい。用いることが出来る更に可能な酸捕捉剤としては、特開平5−194788号公報の段落87〜105に記載されているものが含まれる。
〈光安定剤〉
光安定剤としては、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)化合物が挙げられ、これは既知の化合物であり、例えば、米国特許第4,619,956号明細書の第5〜11欄及び米国特許第4,839,405号明細書の第3〜5欄に記載されているように、2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン化合物、またはそれらの酸付加塩もしくはそれらと金属化合物との錯体が含まれる。このような化合物には、以下の一般式(PS1)のものが含まれる。
Figure 2008003359
上式中、R1及びR2は、Hまたは置換基である。ヒンダードアミン光安定剤化合物の具体例には、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−アリル−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−ベンジル−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(4−t−ブチル−2−ブテニル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−エチル−4−サリチロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−メタクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル−β(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、1−ベンジル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニルマレイネート(maleinate)、(ジ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−アジペート、(ジ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−セバケート、(ジ−1,2,3,6−テトラメチル−2,6−ジエチル−ピペリジン−4−イル)−セバケート、(ジ−1−アリル−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−4−イル)−フタレート、1−アセチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル−アセテート、トリメリト酸−トリ−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)エステル、1−アクリロイル−4−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ジブチル−マロン酸−ジ−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−ピペリジン−4−イル)−エステル、ジベンジル−マロン酸−ジ−(1,2,3,6−テトラメチル−2,6−ジエチル−ピペリジン−4−イル)−エステル、ジメチル−ビス−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オキシ)−シラン,トリス−(1−プロピル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−ホスフィット、トリス−(1−プロピル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−ホスフェート,N,N’−ビス−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−ヘキサメチレン−1,6−ジアミン、N,N’−ビス−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−ヘキサメチレン−1,6−ジアセトアミド、1−アセチル−4−(N−シクロヘキシルアセトアミド)−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン、4−ベンジルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、N,N’−ビス−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−N,N’−ジブチル−アジパミド、N,N’−ビス−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−N,N’−ジシクロヘキシル−(2−ヒドロキシプロピレン)、N,N’−ビス−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−p−キシリレン−ジアミン、4−(ビス−2−ヒドロキシエチル)−アミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−メタクリルアミド−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、α−シアノ−β−メチル−β−[N−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)]−アミノ−アクリル酸メチルエステル。好ましいヒンダードアミン光安定剤の例には、以下のHALS−1及びHALS−2が含まれる。
Figure 2008003359
これらのヒンダードアミン系耐光安定剤は、それぞれ単独で、或いは2種以上を組み合わせて用いることが出来、またこれらヒンダードアミン系耐光安定剤と可塑剤、酸捕捉剤、紫外線吸収剤等の添加剤と併用しても、添加剤の分子構造の一部に導入されていても良い。その配合量は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択されるが、セルロースエステル樹脂等の樹脂100質量部に対して好ましくは0.01〜20質量部、より好ましくは0.02〜15質量部、特に好ましくは0.05〜10質量部である。
〈マット剤〉
本発明に係る位相差フィルムには、滑り性を付与するためにマット剤等の微粒子を添加することができる。微粒子としては、無機化合物の微粒子又は有機化合物の微粒子が挙げられる。
微粒子の添加量は、位相差フィルム1m2当たり0.01〜1.0gが好ましく、0.03〜0.5gがより好ましく、0.08〜0.3gが更に好ましい。これにより、位相差フィルム表面に高さ0.1〜1μmの凸部が形成されることが好ましく、フィルムに滑り性が付与される。
位相差フィルム中に添加される微粒子としては、無機化合物の例として、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることが出来る。中でもケイ素を含むものが濁度が低くなり、また、フィルムのヘイズを小さく出来るので好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。
二酸化珪素のような微粒子は有機物により表面処理されている場合が多いが、このようなものはフィルムのヘイズを低下出来るため好ましい。表面処理で好ましい有機物としては、ハロシラン類、アルコキシシラン類、シラザン、シロキサンなどを挙げることが出来る。
二酸化珪素微粒子は、例えば、気化させた四塩化珪素と水素を混合させたものを1000〜1200℃にて空気中で燃焼させて得ることが出来る。
二酸化珪素の微粒子は、1次平均粒子径が20nm以下、見掛比重が70g/L以上であるものが好ましい。1次粒子の平均径が5〜16nmであるのがより好ましく、5〜12nmであるのが更に好ましい。これらの微粒子はフィルム中で2次凝集体を形成してフィルム表面に凹凸を形成することによって滑り性を付与している。1次粒子の平均径が小さい方がヘイズが低く好ましい。見掛比重は90〜200g/L以上がより好ましく、さらに100〜200g/L以上がより好ましい。見掛比重が大きい程、高濃度の微粒子分散液を作ることが可能になり、ヘイズ、大きな凝集物の発生が少なく好ましい。なお、本発明において、リットルをLで表すこととする。
好ましい二酸化珪素の微粒子としては、例えば、日本アエロジル(株)製のアエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されているものを挙げることが出来、アエロジル200V、R972、R972V、R974、R202、R812を好ましく用いることが出来る。酸化ジルコニウムの微粒子としては、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、何れも使用することが出来る。
これらの中でアエロジル200V、アエロジルR972V、アエロジルTT600が本発明に係る位相差フィルムの濁度を低くし、且つ摩擦係数を下げる効果が大きいため特に好ましい。
有機化合物の微粒子の例としては、シリコーン樹脂、弗素樹脂及びアクリル樹脂を挙げることが出来る。これらのうちシリコーン樹脂が好ましく、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、トスパール103、同105、同108、同120、同145、同3120及び同240(東芝シリコーン(株)製)を挙げることが出来る。
微粒子の1次平均粒子径の測定においては、透過型電子顕微鏡(倍率50万〜200万倍)で粒子の観察を行い、粒子100個を観察し、その平均値をもって、1次平均粒子径とすることができる。
また、上記記載の見掛比重は、二酸化珪素微粒子を一定量メスシリンダーに採り、この時の重さを測定し、下記式で算出することができる。
見掛比重(g/L)=二酸化珪素質量(g)/二酸化珪素の容積(L)
ここで添加される無機微粒子は、フィルム表面に滑り性を付与することが出来る。
〈その他添加剤〉
本発明においては、吸湿性物質又は導電性物質を含有させることによりシクロオレフィン樹脂フィルム及びセルロースエステル樹脂フィルムに導電性を付与することができる。これら導電性を付与させる物質としては、例えば、界面活性剤、導電性ポリマー、無機金属酸化物を挙げることができる。
用いることができる界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性、両性及びノニオン性のいずれでもよい。アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルカルボン酸塩、アルキルスルフォン酸塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルナフタレンスルフォン酸塩、アルキル硫酸エステル類、アルキルリン酸エステル類、N−アシル−N−アルキルタウリン酸、スルホコハク酸エステル類、スルホアルキルポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル類等の様なカルボキシ基、スルホ基、ホスホ基、硫酸エステル基、燐酸エステル基等の酸性基を含むものが好ましい。
カチオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩類、脂肪族或いは芳香族第4級アンモニウム塩類、ピリジニウム、イミダゾリウム等の複素環第4アンモニウム塩類、及び脂肪族又は複素環を含むホスホニウム又はスルホニウム塩類等が好ましい。
両性界面活性剤としては、例えば、アミノ酸類、アミノアルキルスルホン酸類、アミノアルキル硫酸又は燐酸エステル類、アルキルベタイン類、アミンオキシド類等が好ましい。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、サポニン(ステロイド系)、アルキレンオキサイド誘導体(例えば、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール縮合物、ポリエチレングリコールアルキルエーテル類又はポリエチレングリコールアルキルアリールエーテル類、ポリエチレングリコールエステル類、ポリエチレングリコールソルビタンエステル類、ポリアルキレングリコールアルキルアミン又はアミド類、シリコーンのポリエチレンオキサイド付加物類)、グリシドール誘導体(例えば、アルケニルコハク酸ポリセリド、アルキルフェノールポリグリセリド)、多価アルコール脂肪酸エステル類等のアルキルエステル類等が好ましい。
導電性ポリマーは、特に限定されず、アニオン性、カチオン性、両性及びノニオン性のいずれでもよいが、その中でも好ましいのは、アニオン性、カチオン性である。より好ましいのは、アニオン性では、スルホン酸系、カルボン酸系、カチオン性では、3級アミン系、4級アンモニウム系のポリマー又はラテックスである。
これらの導電性ポリマーは、例えば、特公昭52−25251号、特開昭51−29923号、特公昭60−48024号記載のアニオン性ポリマー又はラテックス、特公昭57−18176号、同57−56059号、同58−56856号、米国特許4,118,231号等に記載のカチオン性ポリマー又はラテックスを挙げることができる。
例えば、特願2000−80043号記載のプラズマ処理で帯電防止層あるいは導電層を設けることもできる。
〈製膜〉
以下、例として、セルロースエステル樹脂の位相差フィルムの製膜方法について説明する。
1)溶解工程
セルロース誘導体に対する良溶媒を主とする有機溶媒に、溶解釜中で該セルロース誘導体、添加剤を攪拌しながら溶解しドープを形成する工程、あるいはセルロース誘導体溶液に添加剤溶液を混合してドープを形成する工程である。
セルロース誘導体の溶解には、常圧で行う方法、主溶媒の沸点以下で行う方法、主溶媒の沸点以上で加圧して行う方法、特開平9−95544号公報、特開平9−95557号公報、または特開平9−95538号公報に記載の如き冷却溶解法で行う方法、特開平11−21379号公報に記載の如き高圧で行う方法等種々の溶解方法を用いることが出来るが、特に主溶媒の沸点以上で加圧して行う方法が好ましい。
ドープ中のセルロース誘導体の濃度は10〜35質量%が好ましい。溶解中または後のドープに添加剤を加えて溶解及び分散した後、濾材で濾過し、脱泡して送液ポンプで次工程に送る。
2)流延工程
ドープを送液ポンプ(例えば、加圧型定量ギヤポンプ)を通して加圧ダイに送液し、無限に移送する無端の金属ベルト、例えばステンレスベルト、あるいは回転する金属ドラム等の金属支持体上の流延位置に、加圧ダイスリットからドープを流延する工程である。
ダイの口金部分のスリット形状を調整出来、膜厚を均一にし易い加圧ダイが好ましい。加圧ダイには、コートハンガーダイやTダイ等があり、何れも好ましく用いられる。金属支持体の表面は鏡面となっている。製膜速度を上げるために加圧ダイを金属支持体上に2基以上設け、ドープ量を分割して重層してもよい。あるいは複数のドープを同時に流延する共流延法によって積層構造のフィルムを得ることも好ましい。
3)溶媒蒸発工程
ウェブを金属支持体上で加熱し、金属支持体からウェブが剥離可能になるまで溶媒を蒸発させる工程である。
溶媒を蒸発させるには、ウェブ側から風を吹かせる方法及び/または金属支持体の裏面から液体により伝熱させる方法、輻射熱により表裏から伝熱する方法等があるが、裏面液体伝熱の方法が乾燥効率がよく好ましい。またそれらを組み合わせる方法も好ましい。裏面液体伝熱の場合は、ドープ使用有機溶媒の主溶媒または最も低い沸点を有する有機溶媒の沸点以下で加熱するのが好ましい。
4)剥離工程
金属支持体上で溶媒が蒸発したウェブを、剥離位置で剥離する工程である。剥離されたウェブは次工程に送られる。なお、剥離する時点でのウェブの残留溶媒量(下記式)があまり大き過ぎると剥離し難かったり、逆に金属支持体上で充分に乾燥させ過ぎてから剥離すると、途中でウェブの一部が剥がれたりする。
ここで、製膜速度を上げる方法(残留溶媒量が出来るだけ多いうちに剥離することで製膜速度を上げることが出来る)としてゲル流延法(ゲルキャスティング)がある。例えば、ドープ中にセルロース誘導体に対する貧溶媒を加えて、ドープ流延後、ゲル化する方法、金属支持体の温度を低めてゲル化する方法等がある。金属支持体上でゲル化させ剥離時の膜の強度を上げておくことによって、剥離を早め製膜速度を上げることが出来る。
金属支持体上でのウェブの剥離時残留溶媒量は、乾燥の条件の強弱、金属支持体の長さ等により5〜150質量%の範囲で剥離することが好ましいが、残留溶媒量がより多い時点で剥離する場合、ウェブが柔らか過ぎると剥離時平面性を損なったり、剥離張力によるツレや縦スジが発生し易いため、経済速度と品質との兼ね合いで剥離時の残留溶媒量が決められる。本発明においては、該金属支持体上の剥離位置における温度を−50〜40℃とするのが好ましく、10〜40℃がより好ましく、15〜30℃とするのが最も好ましい。
また、該剥離位置におけるウェブの残留溶媒量を10〜150質量%とすることが好ましく、更に10〜120質量%とすることが好ましい。
残留溶媒量は下記の式で表すことが出来る。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
ここで、Mはウェブの任意時点での質量、Nは質量Mのものを110℃で3時間乾燥させた時の質量である。
5)乾燥及び延伸工程
剥離後、ウェブを乾燥装置内に複数配置したロールに交互に通して搬送する乾燥装置、及び/またはクリップでウェブの両端をクリップして搬送するテンター装置を用いて、ウェブを乾燥する。
本発明においては、クリップ間の幅手方向に対して1.0〜2.0倍延伸する方法として、テンター装置を用いて延伸することが好ましい。更に好ましくは縦及び横方向に2軸延伸されたものである。2軸延伸の際に縦方向に0.8〜1.0倍に緩和させて所望のリターデーション値を得ることも出来る。延伸倍率は目的の光学特性(Ro、Rt)に応じて設定される。又、本発明に係る位相差フィルムを製造する場合、長尺方向に一軸延伸することもできる。延伸の際の温度は80〜180℃、好ましくは90〜160℃であり、延伸時の残留溶媒量は5〜40質量%、好ましくは10〜30質量%である。
これにより、位相差フィルムとして、湿度が変動する条件下でもRo、Rtの変動の少ない耐久性に優れた位相差フィルムを提供することができることを見出した。
乾燥の手段はウェブの両面に熱風を吹かせるのが一般的であるが、風の代わりにマイクロウエーブを当てて加熱する手段もある。あまり急激な乾燥は出来上がりのフィルムの平面性を損ね易い。全体を通して、通常乾燥温度は40〜250℃の範囲で行われる。使用する溶媒によって、乾燥温度、乾燥風量及び乾燥時間が異なり、使用溶媒の種類、組合せに応じて乾燥条件を適宜選べばよい。
また、本発明に係る位相差フィルムは、陽電子消滅寿命法により求められる自由体積半径が0.250〜0.310nmであることが好ましい。
本発明における自由体積は、セルロース樹脂分子鎖に占有されていない空隙部分を表している。これは、陽電子消滅寿命法を用いて測定することが出来る。具体的には、陽電子を試料に入射してから消滅するまでの時間を測定し、その消滅寿命から原子空孔や自由体積の大きさ、数濃度等に関する情報を非破壊的に観察することにより求めることが出来る。
〈陽電子消滅寿命法による自由体積半径の測定〉
下記測定条件にて陽電子消滅寿命と相対強度を測定した。
(測定条件)
陽電子線源:22NaCl(強度1.85MBq)
ガンマ線検出器:プラスチック製シンチレーター+光電子増倍管
装置時間分解能:290ps
測定温度:23℃
総カウント数:100万カウント
試料サイズ:20mm×15mmにカットした切片を20枚重ねて約2mmの厚みにした。試料は測定前に24時間真空乾燥を行った。
照射面積:約10mmφ
1チャンネルあたりの時間:23.3ps/ch
上記の測定条件に従って、陽電子消滅寿命測定を実施し、非線形最小二乗法により3成分解析して、消滅寿命の小さいものから、τ1、τ2、τ3とし、それに応じた強度をI1,I2,I3(I1+I2+I3=100%)とした。最も寿命の長い平均消滅寿命τ3から、下記式を用いて自由体積半径R3(nm)を求めた。τ3が空孔での陽電子消滅に対応し、τ3が大きいほど空孔サイズが大きいと考えられている。
τ3=(1/2)〔1−{R3/(R3+0.166)}+(1/2π)sin{2πR3/(R3+0.166)}〕−1
ここで、0.166(nm)は空孔の壁から浸出している電子層の厚さに相当する。
以上の測定を2回繰り返し、その平均値を求めた。
陽電子消滅寿命法は、例えばMATERIAL STAGE vol.4,No.5 2004 p21−25、東レリサーチセンター THE TRC NEWS No.80(Jul.2002)p20−22、「ぶんせき,1988,pp.11−20」に「陽電子消滅法による高分子の自由体積の評価」が掲載されており、これらを参考にすることが出来る。
本発明に係る位相差フィルムあるいは反射防止フィルムに用いられるポリエステルフィルムの自由体積半径は、0.250〜0.310nmであることが好ましく、更に好ましい範囲は、0.270〜0.305nmである。自由体積半径が0.250nm未満であるセルロース樹脂系位相差フィルムを製造するのは工業的に困難であったりすることがある。また、自由体積半径が0.310nmを超える従来の位相差フィルムでは、本発明の目的を達成出来ず、高温高湿下でリタデーション斑も起こりやすくなる。
低揮発性可塑剤とセルロース樹脂を含有する位相差フィルムの自由体積半径を所定の範囲にする方法は特に限定はされないが、下記の方法によってこれらを制御することが出来る。
陽電子消滅寿命法により求められる自由体積半径が0.250〜0.310nmである位相差フィルムは、少なくともセルロース誘導体と可塑剤を含有するドープを流延してウェブを作製し、溶媒を含んだ状態で延伸した後、残留溶媒量が0.3%未満となるまで乾燥させてセルロース樹脂フィルムを得て、これを更に、105〜155℃で、雰囲気置換率12回/時間以上、好ましくは12〜45回/時間の雰囲気下で搬送しながら処理することによって、所定の自由体積半径である位相差フィルムを得ることが出来る。
雰囲気置換率は、熱処理室の雰囲気容量をV(m3)、Fresh−air送風量をFA(m3/hr)とした場合、下式によって求められる単位時間あたり熱処理室の雰囲気をFresh−airで置換する回数である。Fresh−airは熱処理室に送風される風のうち、循環再利用している風ではなく、揮発した溶媒若しくは可塑剤などを含まない、若しくはそれらが除去された新鮮な風のことを意味している。
雰囲気置換率=FA/V(回/時間)
更に温度が155℃を超えると、本発明の効果は得られ難く、105℃を下回っても本発明の効果は得られ難い。処理温度としては、110〜150℃であることが更に好ましい。更に、該処理部において雰囲気置換率が12回/時間以上の雰囲気置換率に維持された雰囲気下で処理されることが好ましく、12回/時間未満では、本発明の効果が得られ難い。
これは12回/時間以上の雰囲気置換率では、位相差フィルムから揮発した可塑剤による雰囲気中の可塑剤濃度を十分に低減することが出来、フィルムへの再付着が低減される。これが本発明の効果を得ることに寄与しているものと推測している。通常の乾燥工程では雰囲気置換率は10回/時間以下で行われる。置換率を必要以上に増加させるとコストが高くなるため好ましくなく、また、熱処理工程内でウェブがばたつくことにより、面内リタデーション斑が増加する傾向があるため、特に位相差フィルムを製造する際は高くすることは好ましくないが、十分に乾燥が終了し、残留溶媒量が低減した後であれば、雰囲気置換率を上げることが出来る。しかしながら、45回より多くなると空調装置コストが極端に増大するため実用的でない。この条件下における処理時間は1分〜1時間が好ましい。1分未満では自由体積半径を所定の範囲にすることは難しく、1時間以下ではこの処理によるリタデーション値の変動が少ないため好ましい。
更に、この処理工程において、厚み方向に加圧処理することも自由体積半径をより好ましい範囲に制御することが出来る。好ましい圧力は0.5〜10kPaである。圧力をかける際の残留溶媒量は0.3%未満であることが望ましい。残留溶媒量の多いところ、0.3%以上では平面性改善などには効果があるものの、本発明の効果は得られない。
このような処理を行っていない従来の位相差フィルムは、自由体積半径が0.315nmより大きいものであった。
本発明に係る位相差フィルムの膜厚は30〜90μmであることが好ましい。30μm未満であると薄膜である為機械的強度が不足し生産時の破断等の故障が起こり易い。90μm以内であると自由体積半径も好ましい範囲に入りやすく本発明の効果にとって好ましい。
光学補償フィルムとして用いる場合、本発明において好ましいリターデーション値は、フィルム厚み方向のリターデーション値Rtが70〜400nm、フィルム面内方向のリターデーション値Roが30〜120nmであり、更に好ましいRoは30〜70nmである。
(偏光板及び液晶表示装置)
本発明に係る位相差フィルムは、優れた視野角補償機能、視野角補償機能の湿度依存性を向上させることが出来たことにより、偏光板保護フィルムであると同時に液晶表示装置の視野角を拡大する光学補償フィルムとして安定した性能を維持して使用することが出来る。
〈偏光板〉
本発明に係る偏光板は、偏光子の1面にポリエステルフィルムを張り合わせ、偏光子の他の1面にシクロオレフィン樹脂フィルム又はセルロースエステル樹脂フィルムを張り合わせることにより構成することが出来る。
偏光板は一般的な方法で作製することが出来るが、上記張り合わせ(貼合)は、接着剤を介して行うことが好ましい。なお、セルロースエステル樹脂フィルムの場合には、当該フィルムをアルカリ鹸化処理した後に、偏光子の片面に、完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせる方法がある。ここで、アルカリ鹸化処理とは、水系接着剤の濡れを良くし、接着性を向上させるために、セルロースエステルフィルムを高温の強アルカリ液中に浸ける処理のことをいう。
なお、本発明において、偏光子表面側の一方の面の偏光板保護フィルムとして用いるセルロースエステル樹脂フィルムとしては、市販のセルロースエステルフィルム(KC8UX2M、KC4UX2M、KC5UN、KC4UY、KC8UY、KC8UE、KC4UE、KC8UCR−3、KC8UCR−4、KC8UCR−5、KC4FR−1、KC8UY−HA、KC8UX−RHA(コニカミノルタオプト(株)製))を用いることも出来る。
また、偏光板の作製時には、本発明の位相差フィルムの面内遅相軸と偏光子の透過軸が平行或いは直交するように貼合することが好ましい。この場合、特に長尺フィルムを用いてロール・トゥ・ロールで貼合することが生産上好ましい。
〈偏光子〉
偏光子としては、ポリビニルアルコール系フィルムを延伸、染色したものが好ましく用いられる。特に、エチレン単位の含有量1〜4モル%、重合度2000〜4000、けん化度99.0〜99.99モル%のエチレン変性ポリビニルアルコールが好ましく用いられる。中でも熱水切断温度が66〜73℃であるエチレン変性ポリビニルアルコールフィルムが好ましく用いられる。又、フィルムのTD方向に5cm離れた二点間の熱水切断温度の差が1℃以下であることが、色斑を低減させるうえでさらに好ましく、さらにフィルムのTD方向に1cm離れた二点間の熱水切断温度の差が0.5℃以下であることが、色斑を低減させるうえでさらに好ましい。
このエチレン変性ポリビニルアルコールフィルムを用いた偏光子は、偏光性能および耐久性能に優れているうえに、色斑が少なく、大型液晶表示装置に特に好ましく用いられる。
本発明において用いられるエチレン変性ポリビニルアルコール(エチレン変性PVA)としては、エチレンとビニルエステル系モノマーとを共重合して得られたエチレン−ビニルエステル系重合体をけん化し、ビニルエステル単位をビニルアルコール単位としたものを用いることができる。このビニルエステル系モノマーとしては、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸ビニル等を挙げることができ、これらのなかでも酢酸ビニルを用いるのが好ましい。
エチレン変性PVAにおけるエチレン単位の含有量(エチレンの共重合量)は、1〜4モル%であり、好ましくは1.5〜3モル%であり、より好ましくは2〜3モル%である。
エチレン単位の含有量がこの範囲にあると、偏光性能および耐久性能が向上し、色斑が低減されるため好ましい。
さらに、エチレン変性ポリビニルアルコールには、ビニルエステル系モノマーに下記のモノマーを共重合させることもできる。ビニルエステル系モノマーに共重合させる場合、好ましい範囲は15モル%以下、より好ましくは5モル%以下である。
このようなビニルエステル系モノマーと共重合可能なモノマーとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等の炭素数3〜30のオレフィン類;アクリル酸およびその塩;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルへキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデシル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸およびその塩;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルへキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシル等のメタクリル酸エステル類;アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンおよびその塩、N−メチロールアクリルアミドおよびその誘導体等のアクリルアミド誘導体;メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、メタクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンおよびその塩、N−メチロールメタクリルアミドおよびその誘導体等のメタクリルアミド誘導体;N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン等のN−ビニルアミド類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル等のビニルエーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニル類;酢酸アリル、塩化アリル等のアリル化合物;マレイン酸およびその塩またはそのエステル;イタコン酸およびその塩またはそのエステル;ビニルトリメトキシシラン等のビニルシリル化合物;酢酸イソプロペニル、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン等のN−ビニルアミド類を挙げることができる。
偏光子を構成するエチレン変性PVAの重合度は、偏光性能と耐久性の点から2000〜4000であり、2200〜3500が好ましく、2500〜3000が特に好ましい。重合度が2000より小さい場合には、偏光子の偏光性能や耐久性能が低下し、好ましくない。また、重合度が4000以下であることが偏光子の色斑が生じにくく好ましい。
エチレン変性PVAの重合度は、GPC測定から求めた重量平均重合度である。この重量平均重合度は、単分散PMMAを標品として移動相に20ミリモル/リットルのトリフルオロ酢酸ソーダを加えたヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)を用い、40℃でGPC測定を行って求めた値である。
偏光子を構成するエチレン変性PVAのけん化度は、偏光子の偏光性能および耐久性の点から99.0〜99.99モル%であり、99.9〜99.99モル%がより好ましく、99.95〜99.99モル%が特に好ましい。
エチレン変性PVAフィルムを製造する方法としては特に限定されないが、流延製膜法および溶融押出製膜法が、良好なエチレン変性PVAフィルムを得る観点から好ましい。又、得られたエチレン変性PVAフィルムは、必要に応じて乾燥および熱処理が施される。
エチレン変性PVAフィルムを製造する際に使用されるエチレン変性PVAを溶解する溶剤としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリメチロールプロパン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、グリセリン、水などを挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を使用することができる。これらのなかでも、ジメチルスルホキシド、水、またはグリセリンと水の混合溶媒が好ましく使用される。
エチレン変性PVAフィルムを製造する際に使用されるエチレン変性PVA溶液または水を含むエチレン変性PVAにおけるエチレン変性PVAの割合はエチレン変性PVAの重合度に応じて変化するが、20〜70質量%が好ましく、25〜60質量%がより好ましく、30〜55質量%がさらに好ましく、35〜50質量%が最も好ましい。エチレン変性PVAの割合が70質量%を超えるとエチレン変性PVA溶液または水を含むエチレン変性PVAの粘度が高くなり過ぎて、フィルムの原液を調製する際に濾過や脱泡が困難となり、異物や欠点のないフィルムを得ることが困難となる。また、エチレン変性PVAの割合が20質量%より低いとエチレン変性PVA溶液または水を含むエチレン変性PVAの粘度が低くなり過ぎて、目的とする厚みを有するPVAフィルムを製造することが困難になる。また、このエチレン変性PVA溶液または水を含むエチレン変性PVAには、必要に応じて可塑剤、界面活性剤、二色性染料などを含有させてもよい。
エチレン変性PVAフィルムを製造する際に可塑剤として、多価アルコールを添加することが好ましい。多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジグリセリン、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリメチロールプロパンなどを挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を使用することができる。これらの中でも延伸性向上効果からジグリセリンやエチレングリコールやグリセリンが好ましく使用される。
多価アルコールの添加量としてはエチレン変性PVA100質量部に対し1〜30質量部が好ましく、3〜25質量部がさらに好ましく、5〜20質量部が最も好ましい。1質量部より少ないと、染色性や延伸性が低下する場合があり、30質量部より多いと、エチレン変性PVAフィルムが柔軟になりすぎて、取り扱い性が低下する場合がある。
エチレン変性PVAフィルムを製造する際には、界面活性剤を添加することが好ましい。界面活性剤の種類としては特に限定はないが、アニオン性またはノニオン性の界面活性剤が好ましい。アニオン性界面活性剤としては、たとえば、ラウリン酸カリウムなどのカルボン酸型、オクチルサルフェートなどの硫酸エステル型、ドデシルベンゼンスルホネートなどのスルホン酸型のアニオン性界面活性剤が好ましい。ノニオン性界面活性剤としては、たとえば、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどのアルキルエーテル型、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルなどのアルキルフェニルエーテル型、ポリオキシエチレンラウレートなどのアルキルエステル型、ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテルなどのアルキルアミン型、ポリオキシエチレンラウリン酸アミドなどのアルキルアミド型、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエーテルなどのポリプロピレングリコールエーテル型、オレイン酸ジエタノールアミドなどのアルカノールアミド型、ポリオキシアルキレンアリルフェニルエーテルなどのアリルフェニルエーテル型などのノニオン性界面活性剤が好ましい。これらの界面活性剤の1種または2種以上の組み合わせで使用することができる。
界面活性剤の添加量としては、エチレン変性PVA100質量部に対して0.01〜1質量部が好ましく、0.02〜0.5質量部がさらに好ましい。0.01質量部より少ないと、製膜性や剥離性向上の効果が現れにくく、1質量部より多いと、界面活性剤がエチレン変性PVAフィルムの表面に溶出してブロッキングの原因になり、取り扱い性が低下する場合がある。
偏光子の作製に用いられる延伸前のエチレン変性PVAフィルムは厚みが10〜50μmであることが好ましく、20〜40μmであることがさらに好ましい。厚みが10μmより小さいと、フィルム強度が低すぎて均一な延伸が行いにくく、偏光子の色斑が発生しやすい。厚みが50μmを超えると、エチレン変性PVAフィルムを一軸延伸して偏光子を作製した際に端部のネックインによる厚み変化が発生し易くなり、偏光子の色斑が強調されやすいので好ましくない。
また、エチレン変性PVAフィルムから偏光子を製造するには、例えばエチレン変性PVAフィルムを染色、一軸延伸、固定処理、乾燥処理をし、さらに必要に応じて熱処理を行えばよく、染色、一軸延伸、固定処理の操作の順番に特に制限はない。また、一軸延伸を二回またはそれ以上行っても良い。
染色は、一軸延伸前、一軸延伸時、一軸延伸後のいずれでも可能である。染色に用いる染料としては、ヨウ素−ヨウ化カリウムや二色性染料などが、1種または2種以上の混合物で使用できる。通常染色は、PVAフィルムを上記染料を含有する溶液中に浸漬させることにより行うことが一般的であるが、PVAフィルムに混ぜて製膜するなど、その処理条件や処理方法は特に制限されるものではない。
一軸延伸は、湿式延伸法または乾熱延伸法が使用でき、ホウ酸水溶液などの温水中(前記染料を含有する溶液中や後記固定処理浴中でもよい)または吸水後のエチレン変性PVAフィルムを用いて空気中で行うことができる。延伸温度は、特に限定されず、エチレン変性PVAフィルムを温水中で延伸(湿式延伸)する場合は30〜90℃が好ましく、また乾熱延伸する場合は50〜180℃が好ましい。また一軸延伸の延伸倍率(多段の一軸延伸の場合には合計の延伸倍率)は、偏光子の偏光性能の点から4倍以上が好ましく、特に5倍以上が最も好ましい。延伸倍率の上限は特に制限はないが、8倍以下であると均一な延伸が得られやすいので好ましい。延伸後のフィルムの厚さは、5〜20μmが好ましく、5〜15μmがより好ましい。
エチレン変性PVAフィルムへの上記染料の吸着を強固にすることを目的に、固定処理を行うことが多い。固定処理に使用する処理浴には、通常、ホウ酸および/またはホウ素化合物が添加される。また、必要に応じて処理浴中にヨウ素化合物を添加してもよい。
得られた偏光子の乾燥処理は、30〜150℃で行うのが好ましく、50〜150℃で行うのがより好ましい。
以上のようにして得られた偏光子は、通常、その両面または片面に偏光板保護フィルムが貼合されて偏光板として使用される。貼合する際に用いられる接着剤としては、PVA系の接着剤やウレタン系の接着剤などを挙げることができるが、なかでもPVA系の接着剤が好ましく用いられる。
〈接着剤〉
本発明のポリエステルフィルム及びシクロオレフィン樹脂フィルムとポリビニルアルコール系偏光子とを貼り合わせるのに使用される接着剤としては、十分な接着性を持ち、透明で、偏光機能を阻害しないものであって水性のものが好ましく用いられ、例えば、ポリエステル系接着剤、ポリアクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、ポリウレタン系接着剤、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルコール系接着剤などが挙げられる。特にウレタン樹脂系の接着剤が好ましい。
ウレタン樹脂としては、ポリエーテル系ウレタン樹脂、ポリエステル系ウレタン樹脂、アクリル系ウレタン樹脂などが挙げられるが、なかでも、ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂が好適である。ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂とは、ポリエステル骨格を有するウレタン樹脂であって、その中に少量のイオン性成分(親水成分)が導入されたものである。かかるアイオノマー型ウレタン樹脂は、乳化剤を使用せずに直接、水中で乳化してエマルジョンとなることから、水系の接着剤として好適である。ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂それ自体は公知であり、例えば、特開平7−97504号公報に、フェノール系樹脂を水性媒体中に分散させるための高分子分散剤の例として記載されている。このようなポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂は、例えば、以下の方法で製造することができる。
(1)親水性基含有化合物(A)、ポリエステルポリオール(B)及びポリイソシアネート(C)を反応させて得られた親水性基含有ポリウレタン樹脂を水中に乳化して、アイオノマー樹脂を得る方法;
(2)親水性基含有化合物(A)、ポリエステルポリオール(B)及びポリイソシアネート(C)を反応させて親水性基が導入された末端イソシアナト基含有ウレタンポリマーを水に分散させ、ポリアミンと反応させて、アイオノマー樹脂を得る方法など。
ここで用いる親水性基含有化合物(A)としては、例えば、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、スルホコハク酸、スルファニル酸、2,4−ジアミノトルエンスルホン酸のようなスルホン酸基含有化合物、2,2−ジメチロールプロピオン酸、ジヒドロキシマレイン酸、3,4−ジアミノ安息香酸のようなカルボン酸基含有化合物、ポリマー中に少なくとも1個の活性水素を有するポリオキシエチレングリコール又はポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体グリコールなどが挙げられる。
ポリエステルポリオール(B)は、グリコール成分と酸成分との脱水縮合反応によって得られるポリエステルのほか、ε−カプロラクトンのような環状エステル化合物の開環重合反応によって得られるポリエステル、又はこれらの共重合ポリエステルであることができる。ポリエステルポリオールに用いるグリコール成分には、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール(分子量 300〜6,000)、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−ペンチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−ヘキシル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ハイドロキノン及びそれらのアルキレンオキシド付加体などがある。また酸成分には、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−p,p’−ジカルボン酸、及びこれらジカルボン酸の無水物やエステル形成性誘導体、p−ヒドロキシ安息香酸、p−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸及びこれらのヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体などがある。
なお、ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂は、上記のポリエステルポリオールに加えて、本発明の効果を阻害しない範囲で、その他の高分子量ポリオール成分や低分子量の活性水素含有化合物を併用したものであってもよい。高分子量ポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリアセタールポリオール、ポリアクリレートポリオール、ポリエステルアミドポリオール、ポリチオエーテルポリオールなどが挙げられる。また低分子量の活性水素含有化合物としては、例えば、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパンの如きポリヒドロキシ化合物、エチレンジアミン、ピペラジンの如きジアミン化合物などが挙げられる。なかでも、低分子量の活性水素含有化合物を併用することは、好ましい形態である。
前記のポリイソシアネート(C)は、分子内にイソシアナト基を少なくとも2個有する化合物であって、具体的には例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどが挙げられる。
これら親水性基含有化合物(A)、ポリエステルポリオール(B)及びポリイソシアネート(C)の反応は、無溶剤下で行うこともできるが、有機溶剤中で行ってもさしつかえない。得られた樹脂は、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムのような不揮発性塩基、トリエチルアミンやジメチルエタノールアミンのようなアミン類、又はアンモニアで中和し、そこに水を添加することにより、ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂の水性分散液が得られる。
ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂は、反応に有機溶剤を用いるなどして有機溶剤を含有する状態で得られる場合には、その有機溶剤を蒸留などにより除去してから用いるのが有利である。このウレタン樹脂はアイオノマー型のため、水中で極めて微細でかつ安定なコロイドが形成でき、有機溶剤を含まない水系接着剤となる。
ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂は、重量平均分子量が5,000以上であることが好ましく、さらに好ましくは重量平均分子量が10,000以上300,000以下である。その重量平均分子量が5,000以下では、接着層の強度が充分に得られず、また、300,000より高いと、それを水分散液としたときの粘度が高くなり、取り扱いにくくなる。
かかるポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂が水中に分散した状態で、水系接着剤とされる。この水系接着剤の粘度は、2,000mPa・sec以下であるのが取り扱い上好ましく、さらには1,000mPa・sec以下、とりわけ500mPa・sec以下であるのが一層好ましい。粘度が低いほど接着剤の塗布が行いやすく、また、得られた偏光板の外観も良好なものとなる。この水系接着剤におけるポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂の固形分濃度は、粘度と接着強度の観点から、10〜70質量%の範囲が好ましく、とりわけ、20質量%以上、また50質量%以下であるのが好ましい。
ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂の水分散液にはさらに、ポリエチレングリコールやポリオキシエチレンなど、また界面活性剤などが添加されていてもよい。さらには、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール系樹脂などの水溶性樹脂が添加されていてもよい。
本発明で用いるのに好適な市販のポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂として、例えば、大日本インキ化学工業(株)から販売されている“ハイドラン AP−20”、“ハイドラン APX−101H”などが挙げられる。
本発明では、以上説明したようなウレタン樹脂、好ましくはポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂に加えて、オキセタン化合物及びエポキシ化合物を含有する水系接着剤を用いることができる。
接着性向上のため、コロナ放電処理、グロー放電処理、紫外線処理、火炎処理、大気圧ガス中放電プラズマ処理、薬液処理などの各種表面処理を必要に応じて施すことができる。さらに接着性向上の為、下引層を塗設してもよい。下引層としては偏光子との接着性に優れる親水性コロイド層が特に好ましい。
例えば、偏光板保護フィルムとして偏光子との接着性を向上させるために特願2000−97061号の方法等でプラズマ処理を行うことによって、接着性をさらに向上させることができる。
〈液晶表示装置〉
本発明に係る偏光板を、液晶セルの少なくとも一方の面に配置して貼合し、液晶表示装置を作製することが出来る。
上記のように作製した本発明に係る偏光板を液晶表示に使用した場合には、15型以上の大画面の液晶表示装置であっても、ムラを生じず、画面周辺部での白抜けなどもなく、安定した視野角特性が長期間維持され、かつ、正面コントラストも向上し、特にMVA(マルチドメインバーティカルアライメント)型液晶表示装置では顕著な効果が認められる。また、TN,STN,VA,OCB,HAN、IPS等の各種駆動方式を採用した液晶表示装置の画像特性を向上させることが出来る。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されるものではない。
〔ポリエステルの合成〕
〈ポリエステルA〉
テレフタル酸ジメチル100質量部、エチレングリコール64質量部に酢酸カルシウム水和物0.1質量部を添加し、常法によりエステル交換反応を行なった。得られた生成物に5−ナトリウムスルホジ(β−ヒドロキシエチル)イソフタル酸のエチレングリコール溶液(濃度35質量%)39質量部(7モル%/全ジカルボン酸成分)、ポリエチレングリコール(数平均分子量3000)5.8質量部(5質量%/生成したポリエステル)、三酸化アンチモン0.05質量部、リン酸トリメチルエステル0.13質量部を添加した。次いで徐々に昇温、減圧にし、280℃、40Paで重合を行ない、ポリエステルAを得た。以下に示す方法に従って固有粘度を求めた。その結果、固有粘度は0.50であった。
固有粘度についてはウベローデ型粘度計を用いて以下の手順で算出した。質量比が約55:45(流下時間42.0±0.1秒に調整)であるフェノールと1,1,2,2−テトラクロロエタンとの混合溶媒を用い、サンプルを溶かして濃度0.2,0.6,1.0(g/dl)の溶液(温度20℃)を調製した。ウベローデ型粘度計によって、それぞれの濃度(C)における比粘度(ηsp)を求め、式[ηsp/C]を濃度零に補外(C→0)し固有粘度[η]を求めた。固有粘度[η]の単位はdl/gである。
〈ポリエステルB〉
添加量を5−ナトリウムスルホジ(β−ヒドロキシエチル)イソフタル酸のエチレングリコール溶液(濃度35質量%)22質量部(4モル%/全ジカルボン酸成分)、ポリエチレングリコール(数平均分子量3000)12.2質量部(10.5質量%/生成したポリエステル)に変更した以外は上記と同様にして、ポリエステルBを得た。前期同様に測定した固有粘度は0.55であった。
〈ポリエステルC〉
テレフタル酸ジメチル100質量部、エチレングリコール65質量部、ジエチレングリコール2質量部にエステル交換触媒として酢酸マグネシウム水和物0.05質量部を添加し、常法に従ってエステル交換反応を行った。得られた生成物に、三酸化アンチモン0.05質量部、リン酸トリメチルエステル0.03質量部を添加した。次いで、徐々に昇温、減圧にし、280℃、80Paで重合を行い、固有粘度0.65のポリエステルCを得た。
〔ポリエステルフィルムの作製〕
〈ポリエステルフィルム1:EP−1〉
ポリエステルBのペレットを150℃で8時間真空乾燥した後、押出機を用いて285℃で溶融押出し、30℃の冷却ドラム上に静電印加しながら密着させ、冷却固化させ未延伸シートを得た。この未延伸シートをロール式縦延伸機を用いて、85℃で縦方向に1.2倍延伸した。表裏面の温度差は5℃以内であった。
得られた一軸延伸フィルムをテンター式横延伸機を用いて、95℃で横方向に4.5倍延伸した。次いで、70℃で2秒間熱処理し、さらに第一熱固定ゾーン150℃で10秒間熱固定し、第二熱固定ゾーン180℃で15秒間熱固定して、次いで160℃で横(幅手)方向に5%弛緩処理し巻き取り、横方向の長さ1500mm、厚さ35μmのポリエステルフィルム(ポリエステルフィルム1)を作製した。
〈ポリエステルフィルム2:EP−2〉
ポリエステルAのペレットを150℃で8時間真空乾燥した後、押出機を用いて285℃で溶融押出し、30℃の冷却ドラム上に静電印加しながら密着させ、冷却固化させ未延伸シートを得た。この未延伸シートを、ロール式縦延伸機を用いて、90℃で縦方向に4.0倍延伸した。表裏面の温度差は5℃以内であった。
得られた一軸延伸フィルムをテンター式横延伸機を用いて、100℃で横方向に1.2倍延伸した。次いで、70℃で2秒間熱処理し、さらに第一熱固定ゾーン150℃で10秒間熱固定し、第二熱固定ゾーン180℃で15秒間熱固定して、次いで160℃で横(幅手)方向に2%弛緩処理し巻き取り、横方向の長さ1500mm、厚さ35μmのポリエステルフィルム(ポリエステルフィルム2)を作製した。
〈ポリエステルフィルム3:EP−3〉
ポリエステルAとポリエステルCのペレットを質量比で3:7になるようにタンブラー型混合機で混合し、150℃で8時間真空乾燥した。また、ポリエステルBのペレットも150℃で8時間真空乾燥した。ポリエステルAとポリエステルCの混合物及びポリエステルBを2台の押出機を用いて285℃で溶融押出し、マルチマニホールドダイを用いてシート状に押し出し、30℃の冷却ドラム上に静電印加しながら密着させ、冷却固化させ未延伸シートを得た。この時各層の厚みの比は1:1となるようにした。この未延伸シートをロール式縦延伸機を用いて、95℃で縦方向に1.05倍延伸した。表裏面の温度差は5℃以内であった。
得られた一軸延伸フィルムを、テンター式横延伸機を用いて105℃で横方向に4.0倍延伸した。次いで、70℃で2秒間熱処理し、さらに第一熱固定ゾーン150℃で10秒間熱固定し、第二熱固定ゾーン180℃で15秒間熱固定して、次いで160℃で横(幅手)方向に5%弛緩処理し巻き取り、横方向の長さ1500mm、厚さ30μmのポリエステルフィルム(ポリエステルフィルム3)を作製した。
〈ポリエステルフィルム4:EP−4〉
ポリエステルCのペレットを150℃で8時間真空乾燥し、押出機を用いて290℃で溶融押出し、30℃の冷却ドラム上に静電印加しながら密着させ、冷却固化させ未延伸シートを得た。この未延伸シートをロール式縦延伸機を用いて、95℃で縦方向に1.2倍延伸した。表裏面の温度差は5℃以内であった。
得られた一軸延伸フィルムを、テンター式横延伸機を用いて105℃で横方向に4.5倍延伸した。次いで、70℃で2秒間熱処理し、さらに第一熱固定ゾーン150℃で10秒間熱固定し、第二熱固定ゾーン180℃で15秒間熱固定して、次いで160℃で横(幅手)方向に5%弛緩処理し巻き取り、横方向の長さ1500mm、厚さ30μmのポリエステルフィルム(ポリエステルフィルム4)を作製した。
なお、ポリエステルフィルムの平衡含水率は表1に示した通りである。
Figure 2008003359
〈シクロオレフィン樹脂フィルム1:COP−1〉
窒素雰囲気下、脱水したシクロヘキサン500部に、1−ヘキセン1.2部、ジブチルエーテル0.15部、トリイソブチルアルミニウム0.30部を室温で反応器に入れ混合した後、45℃に保ちながら、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(ジシクロペンタジエン、以下、DCPと略記)20部、1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン(以下、MTFと略記)140部、及び8−メチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−ドデカ−3−エン(以下、MTDと略記)40部からなるノルボルネン系モノマー混合物と、六塩化タングステン(0.7%トルエン溶液)40部とを、2時間かけて連続的に添加し重合した。重合溶液にブチルグリシジルエーテル1.06部とイソプロピルアルコール0.52部を加えて重合触媒を不活性化し重合反応を停止させた。
次いで、得られた開環重合体を含有する反応溶液100部に対して、シクロヘキサン270部を加え、更に水素化触媒としてニッケル−アルミナ触媒(日揮化学社製)5部を加え、水素により5MPaに加圧して撹拌しながら温度200℃まで加温した後、4時間反応させ、DCP/MTF/MTD開環重合体水素化ポリマーを20%含有する反応溶液を得た。濾過により水素化触媒を除去した後、軟質重合体(クラレ社製;セプトン2002)、及び酸化防止剤(チバスペシャリティ・ケミカルズ社製;イルガノックス1010)を、得られた溶液にそれぞれ添加して溶解させた(いずれも重合体100部あたり0.1部)。
次いで、溶液から、溶媒であるシクロヘキサン及びその他の揮発成分を、円筒型濃縮乾燥器(日立製作所製)を用いて除去し、水素化ポリマーを溶融状態で押出機からストランド状に押出し、冷却後ペレット化して回収した。重合体中の各ノルボルネン系モノマーの共重合比率を、重合後の溶液中の残留ノルボルネン類組成(ガスクロマトグラフィー法による)から計算したところ、DCP/MTF/MTD=10/70/20でほぼ仕込組成に等しかった。この開環重合体水素添加物の、重量平均分子量(Mw)は31,000、分子量分布(Mw/Mn)は2.5、水素添加率は99.9%、Tgは134℃であった。
得られた開環重合体水素添加物のペレットを、空気を流通させた熱風乾燥器を用いて70℃で2時間乾燥して水分を除去した。次いで、前記ペレットを、リップ幅1.6mのコートハンガータイプのTダイを有する短軸押出機(三菱重工業株式会社製:スクリュー径90mm、Tダイリップ部材質は炭化タングステン、溶融樹脂との剥離強度44N)を用いて溶融押出成形して厚み60μmのシクロオレフィン樹脂フィルムを製造した。押出成形は、クラス10000以下のクリーンルーム内で、溶融樹脂温度240℃、Tダイ温度240℃の成形条件にて行った。得られたシクロオレフィン樹脂フィルムは両耳をスリットし、幅1.5mに加工した。また、巻き取る際にプロテクトフィルムとして市販のポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレート)を一緒に巻き取った。
上記のようにして得られたフィルムを乾燥工程途中にて、テンター装置を用い、幅手方向に延伸温度155℃にて1.5倍延伸し、リターデーション値Ro45nm、Rt100nmのシクロオレフィン樹脂フィルム1を得た。その際、テンター装置の長さ、クリップ間隔及びクリップの張力を調整した結果、フィルムの面内遅相軸とフィルム幅手方向とのなす配向角偏差は±0.4°以内であった。
〈シクロオレフィン樹脂フィルム2:COP−2〉
シクロオレフィン樹脂フィルム1の場合と同様な製造方法によって、厚み80μmのシクロオレフィン樹脂フィルムを製造した後、そのフィルムを乾燥工程途中にて、テンター装置を用い、幅手方向に延伸温度155℃にて1.5倍延伸し、リターデーション値Ro50nm、Rt125nmのシクロオレフィン樹脂フィルム2を得た。その際、テンター装置の長さ、クリップ間隔及びクリップの張力を調整した結果、フィルムの面内遅相軸とフィルム幅手方向とのなす配向角偏差は±0.4°以内であった。
なお、位相差フィルムとしてのセルロースエステルフィルムは、コニカミノルタオプト株式会社製KC4FR(40μm、Ro45nm、Rt125nm)及びKC8UCR5(80μm、Ro45nm、Rt125nm)を使用した。
〈平衡含水率〉
フィルムサンプルを23℃、相対湿度20%に調湿された部屋に4時間以上放置した後、23℃の蒸留水に24時間浸漬させ、しかる後、表面の水分をふき取り、サンプルを微量水分計(例えば三菱化学(株)製、CA−20型)を用いて温度150℃で水分を乾燥・気化させた後カールフィッシャー法により定量した。
〈リターデーション及び配向角の測定〉
自動複屈折率計KOBRA−21ADH(王子計測機器(株)製)を用いて、23℃、55%RHの環境下で、590nmの波長において、3次元屈折率測定を行い、屈折率Nx、Ny、Nzを求めた。下記式(1)に従って、面内リターデーションR0を算出した。又、フィルム面内の屈折率が最大となる方向とフィルムの幅手方向とのなす角度θ(配向角)を求めた。
式(1):R0=(Nx−Ny)×d
式中、Nxはフィルム面内の屈折率が最大となる方向の屈折率、NyはNxに対し直角な方向のフィルム面内の屈折率である。dはフィルムの膜厚(nm)をそれぞれ表す。又、Nxとフィルムの幅手方向とのなす角度をθ(°)とした。
《ハードコート層1の作製法》
上記ポリエステルフィルム1にコロナ放電処理(ピラー社製ソリッドステートコロナ処理機6KVAモデルを使用;20m/分、0.375KV・A・分/m2、処理時の放電周波数は9.6KHz、電極と誘電体ロールのギャップクリアランスは1.6mm。)を施した後に、下記のハードコート層用塗布液1を孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過してハードコート層塗布液1を調製し、これをマイクログラビアコーターを用いて塗布し、90℃で乾燥の後、紫外線ランプを用い照射部の照度が100mW/cm2で、照射量を100mJ/cm2として塗布層を硬化させ、厚さ10μmのハードコート層1を形成しハードコートフィルムを作製した。
(ハードコート層塗布液1)
下記材料を攪拌、混合しハードコート層塗布液1とした。
アクリルモノマー;KAYARAD DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリ レート、日本化薬製) 200質量部
イルガキュア184(チバスペシャルティケミカルズ(株)製) 20質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 110質量部
酢酸エチル 110質量部
〈バックコート層組成物〉
UV3300B(日本合成化学(株)製末端アクリル変性ウレタンオリゴマー)
1質量部
919−C64−(OCH2CH212OH 0.05質量部
トルエン/酢酸メチル(1/1) 95質量部
超微粒子シリカ (日本アエロジル(株)製アエロジル200V) 0.2質量部
これらのバックコート層組成物を、押し出しコ−ターを用いて7ml/m2になるように塗布し、搬送しつつ加熱ゾーンにて160℃で加熱乾燥した。
《ハードコート層2の作製法》
<下塗り液の調製および塗布>
下記素材を使用し、コロナ放電処理されたポリエステルフィルム1とハードコート層との間に密着性を付与させる為の下塗り液を調製し、塗布を実施した。
UV3300B(日本合成化学(株)製末端アクリル変性ウレタンオリゴマー)
5質量部
919−C64−(OCH2CH212OH 0.05質量部
トルエン/酢酸メチル(1/1) 95質量部
これらの下塗り液を、バーコ−ターを用いて7ml/m2になるように塗布し、搬送しつつ加熱ゾーンにて160℃で5分間加熱乾燥した。巻き取り直前で冷却ローラーにて30℃以下に冷却し、作製した下塗り付きフィルムを巻き取った。
<ハードコート層塗布液の調製およびハードコート層の作製>
下記の通り、無機粒子含有のハードコート層塗布液を調製し、塗布・乾燥・紫外線硬化処理を行い、ハードコート層を形成した。
[無機粒子分散液(M−1)の調製]
メチルイソブチルケトン 234g、アロニックスM5300(東亜合成(株)製オリゴエステルアクリレートポリマー) 36g、AKP−G015(住友化学工業製アルミナ) 180g、の混合液をセラミックコートしたサンドミル(1/4Gのサンドミル、メディアは1mmφのジルコニアビーズ)にて1600rpm、10時間微分散した。
[ハードコート層用塗布液の調製]
メチルエチルケトン100gにE−1を60gとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)180gを加えて溶解した。さらに、得られた溶液に、光重合開始剤(イルガキュア184、チバスペシャルティケミカルズ(株)製)6.8gおよびメチルエチルケトン7gを添加した。さらにカチオンン重合開始剤(UVI−6990(ユニオンカーバイド日本(株)製)をメチルイソブチルケトン/メチルエチルケトン混合溶液(1/1)に溶解後、13.4gを添加した。その混合物を30分間攪拌した後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターで濾過してハードコート層用塗布液を調製した。
[ハードコートフィルムの作製]
下塗り層を設けたフィルムに、その面の上にバーコーターを用いて上記のハードコート塗布液を層厚20μmになるように塗布・乾燥し紫外線照射してハードコート層を作製した。
《反射防止フィルムの作製》
上記作製したハードコートフィルム上に、下記のように高屈折率層、次いで、低屈折率層の順に反射防止層を塗設し、反射防止フィルムを作製した。
《反射防止層の作製:高屈折率層》
ハードコートフィルム上に、下記高屈折率層塗布組成物を押し出しコーターで塗布し、80℃で1分間乾燥させ、次いで紫外線を0.1J/cm2照射して硬化させ、更に100℃で1分熱硬化させ、厚さが78nmとなるように高屈折率層を設けた。
〈高屈折率層塗布組成物〉
金属酸化物微粒子のイソプロピルアルコール溶液(固形分20%、ITO粒子、粒径5nm) 55質量部
金属化合物:Ti(OBu)4(テトラ−n−ブトキシチタン) 1.3質量部
電離放射線硬化型樹脂:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
3.2質量部
光重合開始剤:イルガキュア184(チバスペシャルティケミカルズ(株)製)
0.8質量部
直鎖ジメチルシリコーン−EOブロックコポリマー(FZ−2207、日本ユニカー( 株)製)の10%プロピレングリコールモノメチルエーテル液 1.5質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 120質量部
イソプロピルアルコール 240質量部
メチルエチルケトン 40質量部
《反射防止層の作製:低屈折率層》
前記各々の高屈折率層上に、下記の低屈折率層塗布組成物1を押し出しコーターで塗布し、100℃で1分間乾燥させた後、紫外線を0.1J/cm2照射して硬化させ、更に120℃で5分間熱硬化させ、厚さ95nmとなるように低屈折率層を設け、表2に記載の反射防止フィルムを作製した。なお、この低屈折率層の屈折率は1.37であった。
(低屈折率層塗布組成物1の調製)
〈テトラエトキシシラン加水分解物Aの調製〉
テトラエトキシシラン289gとエタノール553gを混和し、これに1.6%酢酸水溶液157gを添加し、25℃のウォーターバス中で30時間攪拌することで加水分解物Aを調製した。
テトラエトキシシラン加水分解物A 110質量部
中空シリカ系微粒子分散液(下記P−1) 30質量部
KBM503(シランカップリング剤、信越化学(株)製) 4質量部
直鎖ジメチルシリコーン−EOブロックコポリマー(FZ−2207、日本ユニカー( 株)製)の10%プロピレングリコールモノメチルエーテル液 3質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 400質量部
イソプロピルアルコール 400質量部
〈中空シリカ系微粒子分散液P−1の調製〉
平均粒径5nm、SiO2濃度20質量%のシリカゾル100gと純水1900gの混合物を80℃に加温した。この反応母液のpHは10.5であり、同母液にSiO2として0.98質量%のケイ酸ナトリウム水溶液9000gとAl23として1.02質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液9000gとを同時に添加した。その間、反応液の温度を80℃に保持した。反応液のpHは添加直後、12.5に上昇し、その後、ほとんど変化しなかった。添加終了後、反応液を室温まで冷却し、限外濾過膜で洗浄して固形分濃度20質量%のSiO2・Al23核粒子分散液を調製した。(工程(a))
この核粒子分散液500gに純水1700gを加えて98℃に加温し、この温度を保持しながら、ケイ酸ナトリウム水溶液を陽イオン交換樹脂で脱アルカリして得られたケイ酸液(SiO2濃度3.5質量%)3000gを添加して第1シリカ被覆層を形成した核粒子の分散液を得た。(工程(b))
次いで、限外濾過膜で洗浄して固形分濃度13質量%になった第1シリカ被覆層を形成した核粒子分散液500gに純水1125gを加え、さらに濃塩酸(35.5%)を滴下してpH1.0とし、脱アルミニウム処理を行った。次いで、pH3の塩酸水溶液10Lと純水5Lを加えながら限外濾過膜で溶解したアルミニウム塩を分離し、第1シリカ被覆層を形成した核粒子の構成成分の一部を除去したSiO2・Al23多孔質粒子の分散液を調製した(工程(c))。
上記多孔質粒子分散液1500gと、純水500g、エタノール1,750g及び28%アンモニア水626gとの混合液を35℃に加温した後、エチルシリケート(SiO228質量%)104gを添加し、第1シリカ被覆層を形成した多孔質粒子の表面をエチルシリケートの加水分解重縮合物で被覆して第2シリカ被覆層を形成した。次いで、限外濾過膜を用いて溶媒をエタノールに置換した固形分濃度20質量%の中空シリカ系微粒子分散液(P−1)を調製した。
この中空シリカ系微粒子の第1シリカ被覆層の厚さは3nm、平均粒径は47nm、MOx/SiO2(モル比)は0.0017、屈折率は1.28であった。ここで、平均粒径は動的光散乱法により測定した。
(低屈折率層塗布組成物2の調製)
本発明に係る上記中空シリカ系微粒子に代えて、通常のシリカ系微粒子(平均粒径45nm、屈折率1.46)を使用した以外は、上記の低屈折率層塗布組成物1と同様にして低屈折率層塗布組成物2を調製した。
上記低屈折率層塗布組成物1同様にして、表2に記載の反射防止フィルムを作製した。
《反射防止フィルムの加熱処理》
上記のように作製した反射防止フィルムをプラスチックコアに巻き長2500mで巻き取った。
〔偏光板の作製〕
厚さ、120μmのポリビニルアルコールフィルムを、一軸延伸(温度110℃、延伸倍率5倍)した。これをヨウ素0.075g、ヨウ化カリウム5g、水100gからなる水溶液に60秒間浸漬し、次いでヨウ化カリウム6g、ホウ酸7.5g、水100gからなる68℃の水溶液に浸漬した。これを水洗、乾燥し偏光子を得た。
次いで、偏光子と本発明のポリエステルフィルム及びシクロオレフィン樹脂フィルムを、偏光子と接する面を予め春日電機(株)製コロナ放電処理装置(HFS−202)を用いて、12W・min/m2の条件によって表面処理した後、下記組成のウレタン系接着剤を用いて貼り合わせた。
<ウレタン系接着剤>
ウレタン樹脂の水性エマルジョン
(大日本インキ化学工業(株)製ハイドランAP−20) 100質量部
多官能グリシジルエーテル(大日本インキ化学工業(株)製CR−5L) 5質量部
なお、比較用のセルローストリアセテートフィルムは、40℃の2.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液中に60秒間浸せきした後、水洗乾燥し偏光子に完全鹸化型ポリビニルアルコール5%水溶液を接着剤として使用した。
貼り合わせにおいては、ローラーで偏光子とポリエステルフィルムおよびシクロオレフィン樹脂フィルムとの積層物の端から過剰の接着剤及び気泡を取り除き貼り合わせた。ローラーの圧力は20〜30N/cm2、スピードは約2m/分で貼合した。次いで、80℃の乾燥機中に前記貼り合わせた試料を2分間乾燥し、偏光板を作製した。偏光板の構成は表2に示す通りである。
〔液晶表示装置の作製〕
市販の32型MVA型液晶テレビ(シャープ製アクオス32AD5)の両面の偏光板を剥がして上記作製の偏光板を両面に貼りつけて液晶表示装置を作製した。その際、その偏光板の貼合の向きは、シクロオレフィン樹脂フィルムの面が、液晶セル側となるように、且つ、購入時に予め貼合されていた偏光板と同一の方向に吸収軸が向くように行い、液晶表示装置を作製した。
《評価》
反射防止フィルムの製造の際に生じる筋状故障、当該反射射防止フィルムを利用する偏光板の製造工程において生じるしわや泡の巻き込みなどの故障、液晶表示装置の画面上のムラ及び正面コントラストを下記の方法によって評価した。
〈筋故障耐性の評価等〉
フィルム上の筋状故障を目視観察し、下記の基準に基づき評価した。
評価基準:
◎:全く故障なく優れているレベル
○:極少数の筋故障はあるが実用上無視可能範囲内にあり良好なレベル
△:若干の筋故障はあるが実用可能な従来製品の平均的レベル
×:筋故障が多く実用不可で、従来製品より劣るレベル
しわ・泡巻き込み故障耐性の評価及びムラ耐性の評価も上記の筋故障耐性の評価と同様の基準を設け同様にして行った。
〈正面コントラスト評価〉
23℃55%RHの環境で、この液晶TVのバックライトを点灯して30分そのまま放置してから測定を行った。測定にはELDIM社製EZ−Contrast160Dを用いて、液晶TVで白表示と黒表示の正面輝度を測定し、その比を正面コントラストとした。値が高い程コントラストに優れている。
以上の、各種評価の結果を表2及び表3にまとめて示す。
Figure 2008003359
Figure 2008003359
表2及び3から明らかなように、本発明によれば、中空シリカ系微粒子を含有する低屈折率層等を有する反射防止フィルムの製造の際に生じる筋状故障の発生を防止し、大画面の液晶等の画像表示装置においてムラが生じない反射防止フィルムを提供することができることが分かる。更には、当該反射防止フィルムを利用する偏光板の製造工程におい生じるしわや泡の巻き込みなどの故障を防止することにより、正面コントラストを向上させた偏光板及び液晶表示装置を提供することができることが分かる。
VA型液晶セルの両面に本発明の偏光板を貼合した図
符号の説明
1 本発明のポリエステルフィルム
2 偏光子
3 本発明のシクロオレフィン樹脂フィルム
4 本発明の偏光板
5 VA型液晶セル

Claims (4)

  1. 透明支持体上に、少なくともハードコート層及び反射防止層を有する反射防止フィルムであって、該透明支持体が少なくとも含水性を有するポリエステルフィルムからなり、該ハードコート層が少なくとも活性線硬化樹脂を含有し、かつ該反射防止層として、少なくとも、外殻層を有し内部が多孔質または空洞の中空シリカ系微粒子を含有する低屈折率層を有することを特徴とする反射防止フィルム。
  2. 請求項1に記載の反射防止フィルムを偏光子の少なくとも一方の面に貼合したことを特徴とする偏光板。
  3. 前記偏光子のもう一方の面に少なくともシクロオレフィン樹脂若しくはセルロースエステル樹脂からなる位相差フィルムを貼合したことを特徴とする請求項2に記載の偏光板。
  4. 請求項2又は3に記載の偏光板を用いたことを特徴とする液晶表示装置。
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