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JP2008001894A - 耐プラズマ性に優れた含フッ素エラストマー組成物およびそれからなるシール材 - Google Patents

耐プラズマ性に優れた含フッ素エラストマー組成物およびそれからなるシール材 Download PDF

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JP2008001894A
JP2008001894A JP2007137902A JP2007137902A JP2008001894A JP 2008001894 A JP2008001894 A JP 2008001894A JP 2007137902 A JP2007137902 A JP 2007137902A JP 2007137902 A JP2007137902 A JP 2007137902A JP 2008001894 A JP2008001894 A JP 2008001894A
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JP2007137902A
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Seiichi Hirano
平野  誠一
Katsuhiko Tono
克彦 東野
Hiroyuki Tanaka
宏幸 田中
Koji Fukuyama
幸治 福山
Takeshi Noguchi
剛 野口
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Daikin Industries Ltd
Original Assignee
Daikin Industries Ltd
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Abstract

【課題】本発明は、耐熱性に優れ、さらに半導体の製造工程で曝されるフッ素系プラズマ、酸素プラズマおよびこれらの混合プラズマに対してともに重量変化が小さく、これらの処理において異物(パーティクル)の発生がない成形品を与える含フッ素エラストマー組成物、ならびに該組成物からなるシール材を提供する。
【解決手段】シアノ基、カルボキシル基およびアルコキシカルボニル基よりなる群から選択される少なくとも1つの基を有する含フッ素エラストマー、および有機フィラーを含む半導体製造装置のシール材用含フッ素エラストマー組成物であって、窒素雰囲気下、10℃/分で測定した熱重量分析における、該有機フィラーの1重量%減少温度が300℃以上であり、かつ該有機フィラーが耐プラズマ老化防止効果を有するフィラーである含フッ素エラストマー組成物である。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐熱性に優れ、さらに半導体の製造工程で曝されるフッ素系プラズマおよび酸素プラズマに対してともに重量変化が小さく、これらの処理において異物(パーティクル)の発生がない成形品を与える含フッ素エラストマー組成物、ならびに該組成物からなるシール材に関する。
含フッ素エラストマー、特にテトラフルオロエチレン(TFE)単位を中心とするパーフルオロエラストマーは、優れた耐薬品性、耐溶剤性および耐熱性を示すことから、航空宇宙分野、半導体製造装置分野、化学プラント分野などの過酷な環境下でシール材などとして広く使用されている。
なかでも、半導体製造工程では、絶縁膜や金属配線薄膜形成工程としてCVDが使用され、CVD装置では、種々の連結部分や可動部分を封止するためにエラストマー性シール材が使用されている。これらのシール材にはシール性だけではなく、微細化や基板ウェハーの大型化により、高密度(1012〜1013/cm3)という厳しいプラズマ処理条件に耐えられること、および極めて精密な加工が要求される半導体を汚染しないことが要求される。このような要求に対応できるシール材のエラストマー性材料として、架橋性の含フッ素エラストマーおよびシリコーン系エラストマーが採用されている。さらに、エラストマー単独で架橋された場合よりも充分な機械的強度を達成するために、通常、有機または無機フィラーが配合されている。従来から使用または提案されているフィラーとしては、カーボンブラック、シリカ(たとえば、特許文献1および2参照)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粉末、酸化チタン粉末、クレー、タルク、硫酸バリウムなどがある。
CVDによる薄膜形成プロセス時に用いられる、酸素を代表とする各種プラズマ、CVD装置のチャンバー内をクリーニングするために用いられるフッ素系プラズマ、およびNF3リモートプラズマを利用した高濃度フッ素ラジカルによるクリーニングプラズマに対しても安定であることが要求される。
これらの処理に安定なフィラーとして、アルミナおよびイミド系フィラーを使用することが知られている(たとえば、特許文献3および4参照)。これらのフィラーは、酸素プラズマおよびフッ素プラズマの両処理において安定であり、分解による重量減少を抑制できる。またこのような処理により生じるフィラーの重量減少は、重量減少分が何らかの形で半導体や液晶に不要な異物(パーティクル)として悪影響を与えることが知られているが、重量減少を抑えられることで、このようなパーティクルの発生も抑制できる。しかし、極めて精密な加工が要求される半導体製造分野においては、さらなる耐プラズマ性向上が要求されている。
一方、高分子有機材料に顔料組成物を混合することは知られている(たとえば、特許文献5参照)。しかし、該公報に記載されている高分子有機材料は、ポリ塩化ビニルまたはポリオレフィンなどのフッ素原子を含まない材料を想定している。さらに、顔料組成物は高分子有機材料の着色のために用いられているため、その添加量は極めて微量であって、耐プラズマ性については全く考慮されていない。
このような問題を解決する組成物として、特定のプラズマ老化防止効果を有する化合物を添加した含フッ素エラストマー組成物が知られている(例えば、特許文献6参照)。該公報に記載されている含フッ素エラストマー組成物は、ドライエッチング装置内部のようにプラズマに直接曝される環境下において、耐熱性、加工性を維持し、さらに半導体の製造工程で曝されるフッ素系プラズマおよび酸素プラズマに対してともに重量変化が小さく、これらの処理において異物(パーティクル)の発生がないものである。
特許第2783576号公報 特許第2858198号公報 国際公開第00/64980号パンフレット 国際公開第01/32782号パンフレット 特開平6−166827号公報 国際公開第04/094527号パンフレット
本発明は、耐熱性に優れ、さらに半導体の製造工程で曝されるフッ素系プラズマ、酸素プラズマおよびこれらの混合プラズマに対してともに重量変化が小さく、これらの処理において異物(パーティクル)の発生がない成形品を与える含フッ素エラストマー組成物、ならびに該組成物からなるシール材を提供する。
すなわち、本発明は、シアノ基、カルボキシル基およびアルコキシカルボニル基よりなる群から選択される少なくとも1つの基を有する含フッ素エラストマー、および有機フィラーを含む半導体製造装置のシール材用含フッ素エラストマー組成物であって、
窒素雰囲気下、10℃/分で測定した熱重量分析における、該有機フィラーの1重量%減少温度が300℃以上であり、かつ該有機フィラーが耐プラズマ老化防止効果を有するフィラーである含フッ素エラストマー組成物に関する。
含フッ素エラストマーが、パーフルオロエラストマーであることが好ましい。
有機フィラーが、有機顔料であることが好ましい。
有機顔料が、イソインドリノン系顔料、キナクリドン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料およびアンスラキノン系顔料よりなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
有機フィラーが、含フッ素エラストマー100重量部に対して、0.5〜50重量部含まれることが好ましい。
また、本発明は、前記半導体製造装置のシール材用含フッ素エラストマー組成物を架橋して得られる半導体製造装置用シール材およびプラズマプロセス用半導体製造装置用シール材に関する。
本発明の含フッ素エラストマー組成物は、窒素雰囲気下、10℃/分で測定した熱重量分析における、1重量%減少温度が300℃以上であり、かつ耐プラズマ老化防止効果を有する有機フィラーを含有することで、半導体の製造工程で曝されるフッ素系プラズマ、酸素プラズマおよびこれらの混合プラズマのいずれのプラズマに対しても重量変化が小さく、これらの処理において異物(パーティクル)の発生がない成形品を提供することができ、特定の基を有する含フッ素エラストマーを用いることで耐熱性に優れる成形品を提供することができる。
本発明は、シアノ基、カルボキシル基およびアルコキシカルボニル基よりなる群から選択される少なくとも1つの基を有する含フッ素エラストマー、および有機フィラーを含む半導体製造装置のシール材用含フッ素エラストマー組成物であって、
該有機フィラーの耐熱性が、窒素雰囲気下、10℃/分で測定した熱重量分析における、1重量%減少温度が300℃以上であり、かつ耐プラズマ老化防止効果を有するフィラーである含フッ素エラストマー組成物に関する。
本発明では、耐薬品性、耐熱性、あらゆるプラズマに対しての耐性がある点から含フッ素エラストマーを用いるが、耐薬品性、耐熱性、耐プラズマ性がさらに優れている点よりパーフルオロエラストマーを用いることが好ましい。
本発明で用いられる含フッ素エラストマーは、シアノ基(−CN基)、カルボキシル基(−COOH基)、アルコキシカルボニル基(−COOR1基、R1は炭素数1〜3のアルキル基)を有するものであり、これらの基が架橋反応可能な架橋部位として作用することができるため好ましい。これらの中でも、架橋反応性の点からはシアノ基がより好ましい。また、製造が容易な点からはカルボキシル基、アルコキシカルボニル基が好ましく、カルボキシル基であることがより好ましい。
含フッ素エラストマーとしては、従来からシール材用、とくに半導体製造装置のシール材用に用いられているものであればとくに制限はなく、たとえば、フッ素ゴム(a)、熱可塑性フッ素ゴム(b)、およびこれらのフッ素ゴムからなるゴム組成物などがあげられる。
フッ素ゴム(a)としては、非パーフルオロフッ素ゴム(a−1)およびパーフルオロフッ素ゴム(a−2)があげられる。
非パーフルオロフッ素ゴム(a−1)としては、ビニリデンフルオライド(以下、VdFとする)系フッ素ゴム、テトラフルオロエチレン(以下、TFEとする)/プロピレン系フッ素ゴム、TFE/プロピレン/VdF系フッ素ゴム、エチレン/ヘキサフルオロプロピレン(以下、HFPとする)系フッ素ゴム、エチレン/HFP/VdF系フッ素ゴム、エチレン/HFP/TFE系フッ素ゴム、フルオロシリコーン系フッ素ゴム、またはフルオロホスファゼン系フッ素ゴムなどがあげられ、これらをそれぞれ単独で、または本発明の効果を損なわない範囲で任意に組み合わせて用いることができる。
VdF系フッ素ゴムとは、VdF45〜85モル%と、VdFと共重合可能な少なくとも1種の他の単量体55〜15モル%とからなる含フッ素エラストマーをいう。好ましくは、VdF50〜80モル%と、VdFと共重合可能な少なくとも1種の他の単量体50〜20モル%とからなる含フッ素エラストマーをいう。
VdFと共重合可能な少なくとも1種の他の単量体としては、たとえばTFE、クロロトリフルオロエチレン(以下、CTFEとする)、トリフルオロエチレン、HFP、トリフルオロプロピレン、テトラフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロブテン、テトラフルオロイソブテン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(以下、PAVEとする)、フッ化ビニルなどの含フッ素単量体、エチレン、プロピレン、アルキルビニルエーテルなどの非フッ素単量体があげられる。これらをそれぞれ単独で、または、任意に組み合わせて用いることができる。これらのなかでも、TFE、HFP、PAVEを用いることが好ましい。
具体的なゴムとしては、VdF−HFP系ゴム、VdF−HFP−TFE系ゴム、VdF−CTFE系ゴム、VdF−CTFE−TFE系ゴムなどがある。
TFE/プロピレン系フッ素ゴムとは、TFE45〜70モル%、プロピレン55〜30モル%からなり、さらにTFEとプロピレンの合計量に対して、架橋部位を与える単量体0〜5モル%含有する含フッ素エラストマーをいう。
架橋部位を与える単量体としては、たとえば特公平5−63482号公報、特開平7−316234号公報に記載されているようなパーフルオロ(6,6−ジヒドロ−6−ヨード−3−オキサ−1−ヘキセン)やパーフルオロ(5−ヨード−3−オキサ−1−ペンテン)などのヨウ素含有単量体、特開平4−505341号公報に記載されている臭素含有単量体、特開平4−505345号公報、特開平5−500070号公報に記載されているようなシアノ基含有単量体、カルボキシル基含有単量体、アルコキシカルボニル基含有単量体などがあげられる。
かかる非パーフルオロフッ素ゴム(a−1)のうち市販のものとしては、たとえば、ダイキン工業(株)製のダイエルG−800系、G−900系などがあげられる。
パーフルオロフッ素ゴム(a−2)としては、TFE/PAVE/架橋部位を与える単量体からなる含フッ素エラストマーがあげられる。TFE/PAVEの組成は、50〜90/10〜50(モル%)であることが好ましく、より好ましくは50〜80/20〜50(モル%)であり、さらに好ましくは55〜70/30〜45(モル%)である。架橋部位を与える単量体は、TFEとPAVEの合計量に対して、0〜5モル%であることが好ましく、0〜2モル%であることがより好ましい。これらの組成の範囲を外れると、ゴム弾性体としての性質が失われ、樹脂に近い性質となる傾向がある。
この場合のPAVEとしては、たとえばパーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)などがあげられ、本発明の効果を損なわない範囲でこれらをそれぞれ単独で、または任意に組合わせて用いることができる。
架橋部位を与える単量体としては、たとえば、一般式(1):
CX1 2=CX1−Rf 1CHR22 (1)
(式中、X1は水素原子、フッ素原子または−CH3、Rf 1はフルオロアルキレン基、パーフルオロアルキレン基、フルオロポリオキシアルキレン基またはパーフルオロポリオキシアルキレン基、R2は水素原子または−CH3、X2はヨウ素原子または臭素原子である)
で表されるヨウ素または臭素含有単量体、
一般式(2):
CF2=CFO(CF2CF(CF3)O)m(CF2n−X3 (2)
(式中、mは0〜5の整数、nは1〜3の整数、X3はシアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、臭素原子である)
で表されるような単量体などがあげられ、これらをそれぞれ単独で、任意に組み合わせて用いることができる。
このヨウ素、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、臭素原子が、架橋点として機能することができる。
架橋部位を与える単量体の具体例としては、式(3)〜(19):
CY2=CY(CF2n−X2 (3)
(式中、Yは水素原子またはフッ素原子、nは1〜8の整数である)
CF2=CFCF2f 2−X2 (4)
(式中、Rf 2は−(OCF2n−、−(OCF(CF3))n−であり、nは0〜5の整数である)
CF2=CFCF2(OCF(CF3)CF2m
(OCH2CF2CF2nOCH2CF2−X2 (5)
(式中、mは0〜5の整数、nは0〜5の整数である)
CF2=CFCF2(OCH2CF2CF2m
(OCF(CF3)CF2nOCF(CF3)−X2 (6)
(式中、mは0〜5の整数、nは0〜5の整数である)
CF2=CF(OCF2CF(CF3))mO(CF2n−X2 (7)
(式中、mは0〜5の整数、nは1〜8の整数である)
CF2=CF(OCF2CF(CF3))m−X2 (8)
(式中、mは1〜5の整数である)
CF2=CFOCF2(CF(CF3)OCF2nCF(−X2)CF3 (9)
(式中、nは1〜4の整数である)
CF2=CFO(CF2nOCF(CF3)−X2 (10)
(式中、nは2〜5の整数である)
CF2=CFO(CF2n−(C64)−X2 (11)
(式中、nは1〜6の整数である)
CF2=CF(OCF2CF(CF3))nOCF2CF(CF3)−X2 (12)
(式中、nは1〜2の整数である)
CH2=CFCF2O(CF(CF3)CF2O)nCF(CF3)−X2 (13)
(式中、nは0〜5の整数である)
CF2=CFO(CF2CF(CF3)O)m(CF2n−X2 (14)
(式中、mは0〜5の整数、nは1〜3の整数である)
CH2=CFCF2OCF(CF3)OCF(CF3)−X2 (15)
CH2=CFCF2OCH2CF2−X2 (16)
CF2=CFO(CF2CF(CF3)O)mCF2CF(CF3)−X2 (17)
(式中、mは0以上の整数である)
CF2=CFOCF(CF3)CF2O(CF2n−X2 (18)
(式中、nは1以上の整数である)
CF2=CFOCF2OCF2CF(CF3)OCF2−X2 (19)
(一般式(6)〜(19)中、X2は、ニトリル基(−CN基)、カルボキシル基(−COOH基)またはアルコキシカルボニル基(−COOR3基、R3は炭素数1〜10のフッ素原子を含んでいてもよいアルキル基)である)で表される単量体などがあげられる。これらの中で、含フッ素エラストマーの耐熱性が優れ、また、含フッ素エラストマーを重合反応により合成する際に、連鎖移動による分子量低下を抑えるために、水素原子を含まないパーフルオロ化合物が好ましい。また、テトラフルオロエチレンとの重合反応性に優れる点からCF2=CFO−構造を持つ化合物が好ましい。
かかるパーフルオロフッ素ゴム(a−2)の具体例としては、国際公開97/24381号パンフレット、特公昭61−57324号公報、特公平4−81608号公報、特公平5−13961号公報、特表平9−512569号公報、国際公開00/29479号パンフレット、特開平11−92529号公報などに記載されているフッ素ゴムなどがあげられる。
これらのパーフルオロフッ素ゴム(a−2)は、常法により製造することができる。
本発明で使用するラジカル重合開始剤は、従来からフッ素ゴムの重合に使用されているものであればよく、たとえば、有機および無機の過酸化物ならびにアゾ化合物がある。典型的な開始剤として過硫酸塩類、過酸化カーボネート類、過酸化エステル類などがあり、好ましい開始剤として過硫酸アンモニウム(APS)があげられる。APSは単独で使用してもよく、またサルファイト類、亜硫酸塩類のような還元剤と組み合わせて使用することもできる。
乳化重合に使用される乳化剤としては、広範囲なものが使用可能であるが、重合中におこる乳化剤分子への連鎖移動反応を抑制する観点から、フルオロカーボン鎖、またはフルオロポリエーテル鎖を有するカルボン酸の塩類が望ましい。乳化剤の使用量は、添加された水の約0.05〜2重量%が好ましく、とくに0.2〜1.5重量%が好ましい。
本発明で使用するモノマー混合ガスは、カルブ(G.H.Kalb)ら、アドヴァンシーズ・イン・ケミストリー・シリーズ(Advances in Chemistry Series.),129,13(1973)に記載されるように、爆発性を有するので、重合装置には着火源となるスパークなどが発生しないように工夫する必要がある。
重合圧力は、広い範囲で変化させることができる。一般には、0.5〜7MPaの範囲である。重合圧力は、高い程重合速度が大きくなるため、生産性の向上の観点から、0.7MPa以上であることが好ましい。
本発明で用いる含フッ素エラストマーにシアノ基、カルボキシル基およびアルコキシカルボニル基よりなる群から選択される少なくとも1つの基を導入する方法としては、前述のように、含フッ素エラストマー製造時に、架橋部位を有する単量体を添加して共重合することにより導入することができるが、その他の方法として、たとえば、重合生成物を酸処理することにより、重合生成物に存在しているカルボン酸の金属塩やアンモニウム塩などの基をカルボキシル基に変換する方法もあげることができる。酸処理法としては、たとえば塩酸、硫酸、硝酸などにより洗浄するか、これらの酸で重合反応後の混合物の系をpH3以下にする方法が適当である。
また、ヨウ素や臭素を含有する架橋性エラストマーを発煙硝酸により酸化してカルボキシル基を導入することもできる。
本発明の含フッ素エラストマー組成物は、窒素雰囲気下、10℃/分で測定した熱重量分析における、1重量%減少温度が300℃以上であり、かつ耐プラズマ老化防止効果を有する有機フィラーを含むものである。
本発明で用いる有機フィラーは、プラズマに対する老化防止効果を有するものであり、フッ素系プラズマ、酸素プラズマおよびこれらの混合プラズマなどの処理において安定であり、添加することにより、耐熱性に優れ、半導体の製造工程で曝されるフッ素系プラズマ、酸素プラズマおよびこれらの混合プラズマに対してともに重量変化が小さく、これらの処理において異物(パーティクル)の発生がない成形品を提供することができるものである。
本発明で用いる有機フィラーの耐熱性は、窒素雰囲気下、10℃/分で測定した熱重量分析における、1重量%減少温度が300℃以上であり、好ましくは400℃以上であり、より好ましくは450℃以上である。フィラーの耐熱性が300℃未満であると、含フッ素エラストマーを架橋して得られる成形品の永久圧縮歪み特性(300℃)が大きく劣化する傾向がある。また、耐熱温度の上限値は特に限定されず、高ければ高いほど好ましい。
また、本発明のフィラーの耐プラズマ性は、以下の条件により測定した酸素プラズマ、フッ素系プラズマ、またはそれらの混合プラズマによる重量減少率が、2.5重量%以下であることが好ましく、より好ましくは2.0重量%以下であり、さらに好ましくは1.5重量%以下である。また、耐プラズマ性の下限値は特に限定されるものではなく、重量減少率が小さいほどよい。重量減少率が2.0重量%をこえるとパーフロオロエラストマー自身の重量減少よりも重量減少率が大きくなる傾向がある。
(プラズマ照射条件)
ガス流量 :16SCCM
圧力 :20mTorr
出力 :1000W
チャンバー温度 :250℃
照射時間 :5分間
さらに、本発明の含フッ素エラストマー組成物から得られる成形品の耐プラズマ性は、以下の条件により測定した酸素プラズマ、フッ素系プラズマ、またはそれらの混合プラズマによる重量減少率が、10重量%以下であることが好ましく、より好ましくは8重量%以下であり、さらに好ましくは7重量%以下である。また、耐プラズマ性の下限値は特に限定されるものではなく、重量減少率が小さいほどよい。重量減少率が10重量%をこえるとプラズマによるエッチングにより、シール寿命が著しく短くする傾向がある。
<耐プラズマ性測定>
サンプル:O−リング(P−24)
ICP高密度プラズマ装置((株)サムコインターナショナル研究所製 MODEL RIE−101iPH)を用いて以下の条件のプラズマ照射を行ない、プラズマ耐性測定をした(O2、CF4、O2/CF4混合プラズマとも以下の条件にて測定した)。
(プラズマ照射条件)
ガス流量 :16SCCM
圧力 :20mTorr
出力 :1000W
チャンバー温度 :250℃
照射時間 :30分間
本発明で用いる有機フィラーとしては、耐熱性、耐プラズマ性(プラズマ照射時の低パーティクル性、低重量減少率)の点から有機顔料が好ましい。
有機顔料としては、縮合アゾ系顔料、イソインドリノン系顔料、キナクリドン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、アンスラキノン系顔料などがあげられるが、それらの中でも、耐熱性、耐薬品性に優れ、成形体特性に与える影響が少ない点から、キナクリドン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、アンスラキノン系顔料が好ましく、キナクリドン系顔料がより好ましい。
具体的には、
Figure 2008001894
などがあげられるが、これらに限られるものではない。これらのフィラーは、単独で用いても2種以上の混合物で用いてもよい。
前記有機フィラーの形状は、とくに限定されず、球状だけでなく、リン片状のものも使用することができる。球状のものであれば、異方性の少ない成形品が得られ、リン片状のものであれば、特定方向に補強性のある成形品が得られる。
前記有機フィラーの粒子径は、0.01〜5.0μmであることが好ましく、より好ましくは0.01〜1.0μmである。この粒子径が小さい程、フィラー表面積が増えるため、プラズマ照射時にガス化しやすく、また、仮にパーティクルとして半導体製造装置中に放出されたとしても、プロセスガス等により排気され易く、フィラーのパーティクル汚染が減少する傾向があり、1.0μmをこえるとプラズマ照射により、ゴム部分が分解しガス化した時に、有機フィラーがゴム表面に析出してパーティクル汚染の要因となる傾向がある。
フィラーの添加量としては、含フッ素エラストマー100重量部に対して、0.5〜50重量部が好ましく、2〜30重量部がより好ましく、5〜20重量部がさらに好ましい。フィラーの添加量が0.5重量部未満であると成型加工性が悪くなる傾向がある。すなわち、熱収縮率が大きくなり、粘着性も大きくなる傾向がある。
また本発明の含フッ素エラストマー組成物には、前記有機フィラー以外にも、耐プラズマ性を付与することが期待できる化合物、たとえば、酸化防止剤、老化防止剤として用いられている化合物なども添加することができる。
酸化防止剤としては、機能面から一次酸化防止剤(ラジカル連鎖禁止剤)、二次酸化防止剤(過酸化物分解剤)に分類される。
また、これらのフィラーには、特に半導体製造装置用シール材として求められるクリーン性(ノンメタル)の点から、金属原子を含まないことが好ましい。
酸化防止剤、老化防止剤としては、アミン系、フェノール系、イオウ系、リン系化合物が耐プラズマ性の点で好ましい。具体的には、トリフェニルホスファイト((C65O)3P)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂などがあげられるが、これらに限られるものではない。
さらに、本発明の含フッ素エラストマー組成物は、一般的な充填剤を含有してもよい。
一般的な充填剤としては、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミドなどのイミド構造を有するイミド系フィラー;ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリオキシベンゾエートなどのエンジニアリングプラスチック製の有機物フィラー、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化イットリウムなどの金属酸化物フィラー、炭化ケイ素、炭化アルミニウムなどの金属炭化物、窒化ケイ素、窒化アルミニウムなどの金属窒化物フィラー、フッ化アルミニウム、フッ化カーボンなどの無機物フィラーがあげられる。
これらの中でも、各種プラズマの遮蔽効果の点から、酸化アルミニウム、酸化イットリウム、酸化ケイ素、ポリイミド、フッ化カーボンが好ましい。
また、前記無機フィラー、有機フィラーを単独で、または2種以上を組み合わせて配合してもよい。
前記一般的な充填剤の配合量は、含フッ素エラストマー100重量部に対して、好ましくは0.5〜50重量部、より好ましくは1〜20重量部である。
本発明で使用される架橋剤は、特に限定されるものではなく、通常含フッ素エラストマーの架橋剤として使用されているものであればよいが、得られる成形品の耐熱性の点から、トリアジン架橋系架橋剤、オキサゾール架橋系架橋剤、イミダゾール架橋系架橋剤、チアゾール架橋系架橋剤が好ましい。
トリアジン架橋に用いる架橋剤としては、テトラフェニルスズ、トリフェニルスズなどの有機スズ化合物があげられる。
オキサゾール架橋系、イミダゾール架橋系、チアゾール架橋系に使用する架橋剤としては、たとえば一般式(20):
Figure 2008001894
(式中、R4は−SO2−、−O−、−CO−、炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数1〜10のパーフルオロアルキレン基または単結合手または、
Figure 2008001894
で示される基であり、R5およびR6は一方が−NH2であり他方が−NHR7、−NH2、−OHまたは−SHであり、R7は水素原子、フッ素原子または一価の有機基であり、好ましくはR5が−NH2でありR6が−NHR7である。炭素数1〜6のアルキレン基の好ましい具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基などをあげることができ、炭素数1〜10のパーフルオロアルキレン基としては、
Figure 2008001894
などがあげられる。なお、これらの化合物は、特公平2−59177号公報、特開平8−120146号公報などで、ビスジアミノフェニル化合物の例示として知られているものである)で示されるビスジアミノフェニル系架橋剤、ビスアミノフェノール系架橋剤、ビスアミノチオフェノール系架橋剤、一般式(21):
Figure 2008001894
で示されるビスアミドラゾン系架橋剤、一般式(22):
Figure 2008001894
(式中、Rf 3は炭素数1〜10のパーフルオロアルキレン基である)、
または一般式(23):
Figure 2008001894
(式中、nは1〜10の整数である)で示されるビスアミドオキシム系架橋剤などがあげられる。これらのビスアミノフェノール系架橋剤、ビスアミノチオフェノール系架橋剤またはビスジアミノフェニル系架橋剤などは従来シアノ基を架橋点とする架橋系に使用していたものであるが、カルボキシル基およびアルコキシカルボニル基とも反応し、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環を形成し、架橋物を与える。
とくに好ましい架橋剤としては、複数個の3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル基、または3−アミノ−4−メルカプトフェニル基を有する化合物、もしくは一般式(24):
Figure 2008001894
(式中、R4、R5、R6、は前記と同じである)で示される化合物があげられ、具体的には、たとえば2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(一般名:ビス(アミノフェノール)AF)、2,2−ビス(3−アミノ−4−メルカプトフェニル)ヘキサフルオロプロパン、テトラアミノベンゼン、ビス−3,4−ジアミノフェニルメタン、ビス−3,4−ジアミノフェニルエーテル、2,2−ビス(3,4−ジアミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[3−アミノ−4−(N−フェニルアミノ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[3−アミノ−4−(N−メチルアミノ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[3−アミノ−4−(N−エチルアミノ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[3−アミノ−4−(N−プロピルアミノ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[3−アミノ−4−(N−パーフルオロフェニルアミノ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[3−アミノ−4−(N−ベンジルアミノ)フェニル]ヘキサフルオロプロパンなどである。
これらの中でも、架橋剤としては耐熱性、耐スチーム性、耐アミン性、良好な架橋性の点から、2,2−ビス[3−アミノ−4−(N−フェニルアミノ)フェニル]ヘキサフルオロプロパンが好ましい。
本発明においては、前記架橋剤とともに、上記以外の架橋剤を併用することができる。
上記以外の架橋剤としては、たとえば、パーオキサイド架橋剤、ポリオール架橋剤、ポリアミン架橋剤などをあげることができる。
パーオキサイド架橋において用いる架橋剤は、熱や酸化還元系の存在下で容易にパーオキシラジカルを発生し得る有機過酸化物であればよく、具体的には、たとえば1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、α,α−ビス(t−ブチルパーオキシ)−p−ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−ヘキシン−3、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネートなどをあげることができる。一般に活性−O−O−の量、分解温度などを考慮して有機過酸化物の種類並びに使用量が選ばれる。
また、この場合に用いることのできる架橋助剤としては、パーオキシラジカルとポリマーラジカルに対して反応活性を有する化合物であればよく、たとえばCH2=CH−、CH2=CHCH2−、CF2=CF−などの官能基を有する多官能性化合物があげられる。具体的には、たとえばトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、トリアクリルホルマール、トリアリルトリメリテート、N,N′−n−フェニレンビスマレイミド、ジプロパギルテレフタレート、ジアリルフタレート、テトラアリルテレフタレートアミド、トリアリルホスフェート、ビスマレイミド、フッ素化トリアリルイソシアヌレート(1,3,5−トリス(2,3,3−トリフルオロ−2−プロペニル)−1,3,5−トリアジン2,4,6−トリオン)、トリス(ジアリルアミン)−S−トリアジン、亜リン酸トリアリル、N,N−ジアリルアクリルアミド、1,6−ジビニルドデカフルオロヘキサンなどがあげられる。
ポリオール架橋に用いる架橋剤としては、ビスフェノールA、ビスフェノールAFなどの多価アルコール化合物があげられる。
ポリアミン架橋に用いる架橋剤としては、ヘキサメチレンジアミンカルバメート、N,N’−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサンジアミン、4,4’−ビス(アミノシクロヘキシル)メタンカルバメートなどの多価アミン化合物があげられる。
本発明において架橋剤は、含フッ素エラストマー100重量部に対して、0.05〜10重量部であることが好ましく、1〜5重量部であることがより好ましい。架橋剤が、0.05重量部より少ないと、含フッ素エラストマーが充分架橋されない傾向があり、10重量部を超えると、架橋物の物性を悪化させる傾向がある。
本発明において、とくに高純度かつ非汚染性が要求されない分野では、必要に応じて含フッ素エラストマー組成物に配合される通常の添加物、たとえば充填剤、加工助剤、可塑剤、着色剤などを配合することができ、前記のものとは異なる常用の架橋剤や架橋助剤を1種またはそれ以上配合してもよい。
本発明の組成物は、前記の各成分を、通常のエラストマー用加工機械、たとえば、オープンロール、バンバリーミキサー、ニーダーなどを用いて混合することにより調製することができる。この他、密閉式混合機を用いる方法によっても調製することができる。
前記組成物から予備成形体を得る方法は通常の方法でよく、金型にて加熱圧縮する方法、加熱された金型に圧入する方法、押出機で押出す方法など公知の方法で行なうことができる。ホースや電線などの押出製品の場合は押出後にスチームなどによる加熱架橋を行なうことで、架橋成形体を得ることができる。
本発明においての架橋条件としては、
(標準配合)
含フッ素エラストマー 100重量部
架橋剤 2,2−ビス[3−アミノ−4−(N−フェニルアミノ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン 1重量部
有機フィラー 15重量部
(標準架橋条件)
混練方法 :ロール練り
プレス架橋 :180℃で20分間
オーブン架橋:290℃で18時間
であり、特にことわらない限りは、この条件で架橋する。
前記組成物を架橋成形して、特に高度なクリーンさが要求される半導体製造装置、特に高密度プラズマ照射が行なわれる半導体製造装置の封止用のシール材に好適に使用できる。シール材としてはO−リング、角−リング、ガスケット、パッキン、オイルシール、ベアリングシール、リップシールなどがあげられる。
なお、本発明でいう半導体製造装置は、特に半導体を製造するための装置に限られるものではなく、広く、液晶パネルやプラズマパネルを製造するための装置など、高度なクリーン度が要求される半導体分野において用いられる製造装置全般を含むものであり、たとえば次のようなものをあげることができる。
(1)エッチング装置
ドライエッチング装置
プラズマエッチング装置
反応性イオンエッチング装置
反応性イオンビームエッチング装置
スパッタエッチング装置
イオンビームエッチング装置
ウェットエッチング装置
アッシング装置
(2)洗浄装置
乾式エッチング洗浄装置
UV/O3洗浄装置
イオンビーム洗浄装置
レーザービーム洗浄装置
プラズマ洗浄装置
ガスエッチング洗浄装置
抽出洗浄装置
ソックスレー抽出洗浄装置
高温高圧抽出洗浄装置
マイクロウェーブ抽出洗浄装置
超臨界抽出洗浄装置
(3)露光装置
ステッパー
コータ・デベロッパー
(4)研磨装置
CMP装置
(5)成膜装置
CVD装置
スパッタリング装置
(6)拡散・イオン注入装置
酸化拡散装置
イオン注入装置
本発明のシール材は、とくに、NF3プラズマ処理、O2プラズマ処理、フッ素プラズマ処理などのプラズマ処理が行なわれる装置、たとえば、CVD装置、プラズマエッチング装置、反応性イオンエッチング装置、アッシング装置またはエキシマレーザー露光機のシール材として優れた性能を発揮する。また、本発明のシール材は、有機系アウトガス量や金属含有量が少ないという優れた性能も期待できる。
つぎに本発明を実施例をあげて説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
<100%引張応力、引張強度、伸びおよび硬度(SHORE A)>
実施例および比較例で得られたO−リングを、JIS−K6301に準じて、100%引張応力、引張強度、伸びおよび硬度(SHORE A)を測定する。
<圧縮永久歪率>
実施例および比較例で得られたO−リングを、JIS−K6301に準じて、1次プレス架橋後の圧縮永久歪みおよび2次オーブン架橋後の圧縮永久歪み(CS)を測定する(25%加圧圧縮下に300℃または250℃で70時間保持したのち25℃の恒温室内に30分間放置した試料を測定)。
<プラズマ耐性>
サンプル:O−リング(P−24サイズ)
ICP高密度プラズマ装置((株)サムコインターナショナル研究所製 MODEL RIE−101iPH)を用いて以下の条件のプラズマ照射を行ない、プラズマ耐性測定をした(O2、O2/CF4混合プラズマとも以下の条件にて測定した)。
(プラズマ照射条件)
ガス流量 :16SCCM
RF出力 :800Wh
圧力 :2.66Pa
エッチング時間:20分間
周波数 :13.56MHz
温度 :250℃
<表面パーティクル数>
プラズマ照射後の試料(O−リング)を25℃の超純水中に浸漬させ、遊離しているパーティクルを水中に取りだし、粒子径が0.2μm以上のパーティクル数(個/L)を微粒子測定器法(センサー部に流入させたパーティクルを含む超純水に光を当て、液中パーティクルカウンターにより、その透過性や散乱光の量を電気的に測定する方法)により測定する。表1においては、O−リング1個あたりのパーティクル数に換算した値を示す。
<耐熱性>
示差走査熱量計(装置名:RTG220、エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製)を用いて、窒素雰囲気下、10℃/分で測定したときの1重量%減少温度を測定した。
<有機系アウトガス量>
ダイナミックヘッドスペース装置(日本分析工業(株)製 JHS−100A)を用いて、石英製の密閉管に試料としてO−リング(P−24サイズ)を封入し、200℃にて15分間加熱する。発生したガスを液体窒素で−40℃に冷却したトラップ管に採取濃縮する、ついで350℃に瞬間加熱してガスクロマトグラフィー((株)島津製作所製GC−17A、カラム:(Ultra Alloy Capillary UA−5))に送り込んで分析する。得られたチャートのピーク面積から有機系ガス量(ppm)を算出する。
<金属含有量分析>
O−リング(P−24サイズ)の被験サンプル中の金属含有量について、測定する固体試料をまず白金製の蒸発皿(白金純度 99.9%)に入れ、電気炉により試料を800℃にて60分間灰化した後に残存する微量金属を高純度硝酸(67%)に溶解して、フレームレス原子吸光分光光度計(偏光ゼーマン原子吸光分光光度計 Z−5700 (株)日立製作所製)で吸光度を測定した。
参考例
実施例および比較例で用いた有機フィラーの評価を行った。評価結果を表1に示す。
Figure 2008001894
実施例1
含フッ素エラストマー(CNVE(CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2CN)に由来する基を架橋基として含有するTFE/PMVEからなるパーフルオロエラストマー、TFE/PMVE=60/40(モル%))100重量部に対して、架橋剤として2,2−ビス[3−アミノ−4−(N−フェニルアミノ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン(中外化成(株)製)1重量部、キナクリドン系顔料(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製 CROMOPHTAL Red 2020)15重量部を混合し、オープンロールにて混練して架橋可能な含フッ素エラストマー組成物を調整した。
この含フッ素エラストマー組成物を180℃20分間プレスして架橋を行なったのち、さらに290℃で18時間のオーブン架橋を施し、O−リング(P−24サイズ)の被験サンプルを作製した。この被験サンプルの圧縮永久歪率、熱老化試験、プラズマ照射時の重量減少、表面パーティクル数、有機物アウトガス量および含有金属量を測定した。結果を表2に示す。
(標準配合)
含フッ素エラストマー 100重量部
架橋剤 1重量部
有機フィラー 15重量部
(標準架橋条件)
混練方法 :ロール練り
プレス架橋 :180℃で20分間
オーブン架橋:290℃で18時間
実施例2
実施例1のキナクリドン系顔料をジケトピロロピロール系顔料(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製 CROMOPHTAL Red 2030)にした以外は、実施例1と同様にして含フッ素エラストマー組成物およびO−リングを作製した。結果を表2に示す。
実施例3
実施例1のキナクリドン系顔料をチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製 CROMOPHTAL Magenta Pにした以外は、実施例1と同様にして含フッ素エラストマー組成物およびO−リングを作製した。結果を表2に示す。
実施例4
実施例1のキナクリドン系顔料をチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製 CROMOPHTAL Rubin 4Nにした以外は、実施例1と同様にして含フッ素エラストマー組成物およびO−リングを作製した。結果を表2に示す。
実施例5
実施例1のキナクリドン系顔料をイソインドリノン系顔料(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製 CROMOPHTAL Yellow 3RLP)にした以外は、実施例1と同様にして含フッ素エラストマー組成物およびO−リングを作製した。結果を表2に示す。
比較例1
実施例1のキナクリドン系顔料をポリイミド樹脂粉末(商品名UIP−S、宇部興産(株)製)に変更した以外は、実施例1と同様にして含フッ素エラストマー組成物およびO−リングを作製した。結果を表2に示す。
比較例2
実施例1のキナクリドン系顔料15重量部をカーボンブラック(CANCARB(株)製)20重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして含フッ素エラストマー組成物およびO−リングを作製した。結果を表2に示す。
比較例3
実施例1のキナクリドン系顔料を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして含フッ素エラストマー組成物およびO−リングを作製した。結果を表2に示す。
Figure 2008001894

Claims (7)

  1. シアノ基、カルボキシル基およびアルコキシカルボニル基よりなる群から選択される少なくとも1つの基を有する含フッ素エラストマー、および有機フィラーを含む半導体製造装置のシール材用含フッ素エラストマー組成物であって、
    窒素雰囲気下、10℃/分で測定した熱重量分析における、該有機フィラーの1重量%減少温度が300℃以上であり、かつ該有機フィラーが耐プラズマ老化防止効果を有するフィラーである含フッ素エラストマー組成物。
  2. 含フッ素エラストマーが、パーフルオロエラストマーである請求項1記載の半導体製造装置のシール材用含フッ素エラストマー組成物。
  3. 有機フィラーが、有機顔料である請求項1または2記載の半導体製造装置のシール材用含フッ素エラストマー組成物。
  4. 有機顔料が、イソインドリノン系顔料、キナクリドン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料およびアンスラキノン系顔料よりなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項3記載の半導体製造装置のシール材用含フッ素エラストマー組成物。
  5. 有機フィラーが、含フッ素エラストマー100重量部に対して、0.5〜50重量部含まれる請求項1〜4のいずれかに記載の半導体製造装置のシール材用含フッ素エラストマー組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の半導体製造装置のシール材用含フッ素エラストマー組成物を架橋して得られる半導体製造装置用シール材。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の半導体製造装置のシール材用含フッ素エラストマー組成物を架橋して得られるプラズマプロセス用半導体製造装置用シール材。
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