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JP2008001652A - 含フッ素化合物及びその製造方法 - Google Patents

含フッ素化合物及びその製造方法 Download PDF

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JP2008001652A
JP2008001652A JP2006173719A JP2006173719A JP2008001652A JP 2008001652 A JP2008001652 A JP 2008001652A JP 2006173719 A JP2006173719 A JP 2006173719A JP 2006173719 A JP2006173719 A JP 2006173719A JP 2008001652 A JP2008001652 A JP 2008001652A
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fluorine
refractive index
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polycyclic compound
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Masakuni Sato
正邦 佐藤
Kazuyoshi Kurashima
和良 倉嶋
Hiroshi Yamamoto
博志 山本
Takashi Okazoe
隆 岡添
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Asahi Glass Co Ltd
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Abstract

【課題】C−H結合を有しない非晶性の含フッ素重合体への相溶性が高く、結晶性が低いために光の散乱損失が少ないプラスチック光伝送ファイバ(POF)組成物を得ることのできる、新規な屈折率調整物質とその製造方法を提供する。
【解決手段】C−H結合を有しない、ペルフルオロ[1,3,5−トリ(2−トリフルオロメチル−6−置換基R)フェニル]−2−置換基R−4−置換基R−6−置換基Rベンゼンで、R〜Rは、それぞれ独立にフッ素原子、炭素数1〜5のペルフルオロアルコキシル基または炭素数1〜5のペルフルオロアルキル基で表わされる含フッ素多環式化合物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、C−H結合を有しない非結晶性の含フッ素重合体からなるマトリックス中へ分布する屈折率調整物質として好適な含フッ素多環式化合物及びその製造方法に関し、特に、下記一般式(1)で表すことができる含フッ素多環式化合物に関する。
従来より、非結晶性の含フッ素重合体(以下、非結晶性含フッ素重合体という)は、電気特性、耐薬品性、防水性、撥水撥油性、光学特性等に優れるため、半導体をはじめとする電子部品の保護膜、インクジェットプリンタのヘッドの撥水膜、フィルタの防水防油コート、プラスチック光ファイバ等に使用されている。この非結晶性の含フッ素重合体には、用途に応じて、各種の添加剤、改質剤等が添加され、新たな機能を付加することが検討されている。
このうち、最近では、C−H結合を有しない非結晶性含フッ素重合体からなるマトリックス中に、屈折率調整物質として、例えば、クロロトリフルオロエチレンの5〜8量体であるオリゴマーを分散させて、屈折率分布型プラスチック光伝送ファイバ(以下、「屈折率分布型POF」ともいう)を得る方法が開示されている(特許文献1)。この方法により得られるPOFは、従来のポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート等の樹脂をマトリックスとするプラスチック光伝送ファイバでは達し得なかった、1300〜1550nmでの波長において低損失のものが得られている。しかし、上記クロロトリフルオロエチレンの5〜8量体であるオリゴマーは、ガラス転移点(以下、「Tg」という)が約−60℃と低い。このため、上記POFにおける、開口数NA[NA=(n2−m21/2
nは屈折率分布型光学樹脂材料中の屈折率の最大値、mは屈折率分布型光学樹脂材料中の屈折率の最小値。]を大きくしようとして配合量を多くすると、POF組成物のTgが低下し、POFの耐熱性が低下するため、高温に曝されたときに屈折率分布や光伝送性能が変動するという問題がある。
このため、上記耐熱性の問題点を解決するために、C−H結合を有しない非結晶性含フッ素重合体からなるマトリックス中に、屈折率調整物質として、ペルフルオロフルオレン、ペルフルオロフェナレン等を分散させてPOFを得る方法が開示されている(特許文献2)。しかし、上記方法では、ペルフルオロフルオレン、ペルフルオロフェナレン等の屈折率調整物質が上記含フッ素重合体に対して、相溶性が充分でないことから、マトリックス中に適切な濃度に屈折率調整物質が分布しないため、光散乱や光伝送損失が発生するという問題が挙げられる。
この屈折率調整物質の上記含フッ素重合体への相溶性の問題を解決するために、ペルフルオロ(1,3,5−トリフェニルベンゼン)等の新規な化合物を屈折率調整物質として使用する方法が開示されている(特許文献3)。しかし、最近では、さらに、低い伝送損失で、耐熱性が高く、曲げ損失の低減を目的とした高い開口率化が求められており、上記含フッ素重合体へのより高い相溶性を有し、低結晶化により光の散乱を抑制することができる屈折率調整物質が求められている。
特開平8−5848号公報 特開平11−167030号公報 特開平13−302935号公報 特公昭63−18964号公報 特開昭63−238111号公報 特開昭63−238115号公報
本発明は、C−H結合を有しない非結晶性の含フッ素重合体(以下、単に、本含フッ素重合体という)への相溶性が高く、結晶性が低いために光の散乱損失の少ないPOF組成物を得ることのできる、新規な屈折率調整物質を提供することを目的とする。
本発明は、上記の課題を解決するために以下の(A)〜(E)に記載の構成を採用した。
(A)本発明は、下記一般式(1)[式中、R1〜R4はそれぞれ独立にフッ素原子、炭素数1〜5のペルフルオロアルコキシル基または炭素数1〜5のぺルフルオロアルキル基である。]で表される含フッ素多環式化合物である。
Figure 2008001652
(B)本発明は、一般式(1)におけるR1〜R4がフッ素原子又はトリフルオロメチル基である前記(A)に記載の含フッ素多環式化合物である。
(C)本発明は、一般式(1)におけるR1〜R4がフッ素原子である前記(A)又は(B)に記載の含フッ素多環式化合物である。

(D)本発明は、一般式(2)[式中、R1〜R3はそれぞれ独立にフッ素原子、炭素数1〜5のペルフルオロアルコキシル基又は炭素数1〜5のペルフルオロアルキル基であり、X1〜X3は臭素原子もしくはヨウ素原子である。]で表される化合物と下記の一般式(3)[式中、R4はフッ素原子、炭素数1〜5のペルフルオロアルコキシル基又は炭素数1
〜5のペルフルオロアルキル基からなる群より選ばれるいずれかである。]で表される化合物とを溶媒中で反応させることにより得られる前記(A)〜(C)のいずれか一に記載の含フッ素多環式化合物の製造方法である。
Figure 2008001652
Figure 2008001652
(E)本発明は、前記溶媒が極性溶媒であることを特徴とする前記(D)に記載の含フッ素多環式化合物の製造方法である。
本発明により、本含フッ素重合体への相溶性が高く、結晶性が低いために光の散乱損失の少ないPOF組成物を得ることのできる新規な屈折率調整物質を提供できる。
すなわち、本発明に係る含フッ素多環式化合物は本含フッ素重合体、特に非結晶性ペルフルオロ重合体に対する溶解性が良好であるため、得られるPOF組成物の透明性が良好であり、ミクロな相分離や本発明に係る含フッ素多環式化合物の微結晶などにより生じる光散乱が少ない。
本発明に係る含フッ素多環式化合物においては、上記一般式(1)においてR1〜R4は、それぞれ独立に、フッ素原子、炭素数1〜5のペルフルオロアルコキシル基または炭素数1〜5のぺルフルオロアルキル基である化合物である。このような含フッ素多環式化合物は、本含フッ素重合体との相溶性が高くなる。このため、ミクロな相分離や本発明に係
る含フッ素多環式化合物の微結晶などにより生じる光散乱が少なく、透明性が良好な、光学樹脂組成物を得ることができるので好ましい。本発明に係る含フッ素多環式化合物が本含フッ素重合体に対して、相溶性の高い理由としては、本発明に係る含フッ素多環式化合物が分子内に、本含フッ素重合体に対して、親和性の高いトリフルオロメチル基を有することによる。また、本発明に係る含フッ素多環式化合物は、分子サイズが大きいため、得られた組成物のTgが高くなるほか、本含フッ素重合体中での拡散速度が小さく、得られる組成物は熱安定性に優れるので好ましい。
本発明に係る含フッ素多環式化合物は、屈折率が1.40〜1.50であることが好ましい。これにより、本含フッ素重合体への添加量が少なく、熱伝送損失に優れる光学材料を提供することができる。屈折率1.40未満であると、目的の屈折率を有する光学樹脂組成物に調整するために必要な屈折率調整剤の量が増加し、屈折率の揺らぎに起因する光散乱が増加してしまうので好ましくなく、屈折率1.50超であると、本含フッ素重合体に対する相溶性が低下し、相分離による光散乱の原因になるおそれがあるので好ましくない。屈折率は1.41〜1.47であることが特に好ましい。
また、本発明に係る含フッ素多環式化合物は、Tgが−20〜10℃であることが好ましい。これにより、得られる光学樹脂組成物のTgを高く、熱安定性に優れた、光学樹脂組成物を得ることができるので好ましい。Tgが−20℃未満であると、得られる光学樹脂組成物のTgがさがり、使用している最中に、含フッ素多環式化合物が熱で拡散するため屈折率分布が変動してしまい、帯域性能やNAの性能が低下するおそれがあるので好ましくない。また、Tgが10℃超であると、成型工程で、光学樹脂組成物中で含フッ素多環式化合物の結晶が発生してしまい、組成物内で相分離が起こり、光散乱の原因となるおそれがあるので好ましくない。Tgは−15℃〜2℃であることが特に好ましい。
本発明により提供される一般式(1)に示す含フッ素多環式化合物は、分子内の立体障害により結晶性が低いため、重合体中で微結晶を形成することがないため光散乱を少なくすることができる。更に、本含フッ素重合体に対する相溶性が高いため、本発明に係る含フッ素多環式化合物を多量に含有させても相分離を生じることがないので、高屈折率な光学樹脂組成物を作製することが可能となる。中でも、本含フッ素重合体への相溶性及び分子内の立体障害が大きく光学樹脂組成物が低散乱であることから、一般式(1)において、R1〜R4が、それぞれ、独立にフッ素原子又はトリフルオロメチル基である下記一般式(4)〜(11)で表される含フッ素多環式化合物であることが好ましい。
Figure 2008001652
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本含フッ素重合体としては、特に限定はされないが、主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する含フッ素重合体が好ましい。例えば、含フッ素環構造を有する単量体を重合して得られるものや、2つ以上の重合性二重結合を有する含フッ素単量体を環化重合して得られる主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する重合体が好適である。
含フッ素脂肪族環構造を有する単量体を重合して得られる主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する重合体は、特許文献4等により知られている。すなわち、ペルフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)などの含フッ素脂肪族環構造を有する単量体を単独重合することにより、またこの単量体とテトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ペルフルオロ(メチルビニルエーテル)などのラジカル重合性単量体とを共重合
させることにより主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する重合体が得られる。
また、2つ以上の重合性二重結合を有する含フッ素単量体を環化重合して得られる、主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する重合体は、特許文献5や特許文献6などにより知られている。すなわち、ペルフルオロ(アリルビニルエーテル)やペルフルオロ(ブテニルビニルエーテル)などを環化重合することにより、またはこのような単量体とテトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ペルフルオロ(メチルビニルエーテル)などのラジカル重合性単量体とを共重合させることにより主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する重合体が得られる。
また、ペルフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)などの含フッ素脂肪族環構造を有する単量体とペルフルオロ(アリルビニルエーテル)やペルフルオロ(ブテニルビニルエーテル)などの2つ以上の重合性二重結合を有する含フッ素単量体とを共重合させることによっても主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する重合体が得られる。
本含フッ素重合体における本発明に係る含フッ素多環式化合物の含有量は、本含フッ素重合体の種類にもよるが、本含フッ素重合体(100質量部)に対して、本発明に係る含フッ素多環式化合物が5〜25質量部であることが好ましい。これにより、本含フッ素重合体中に本発明に係る含フッ素多環式化合物が充分均一に溶解することができ、適度な屈折率や、Tgの組成物を得ることができるので好ましい。本発明に係る含フッ素多環式化合物の含有量が5質量部未満であると、得られる光学樹脂組成物中において、必要な屈折率差が得られなくなるので好ましくなく、含有量が25質量部超であると、成型工程で、光学樹脂組成物中に屈折率調整剤の結晶の相分離が起こりやすく、散乱原因となるおそれがあるので好ましくない。本発明に係る含フッ素多環式化合物の含有量は、7〜15質量部であることが特に好ましい。
本発明に係る含フッ素多環式化合物は本含フッ素重合体中に完全に溶解し、不溶解物がなくまたミクロな相分離構造が生じていないことが好ましい。不溶解物やミクロな相分離構造が存在すると、その部分が光散乱の要因となる。したがって、本発明に係る含フッ素多環式化合物は本含フッ素重合体中にその飽和溶解度量以下で存在することが好ましく、含フッ素多環式化合物が部分的に高濃度に存在する場合であってもその高濃度部分に不溶解物がないことが好ましい。本発明に係る含フッ素多環式化合物は本含フッ素重合体中に溶解させるためには、200〜300℃で加熱溶融して混合する事が好ましい。
本発明に係る含フッ素多環式化合物は、光伝送体に使用することが好ましい。ここでいう光伝送体とは、光を光学樹脂組成物中に通過させて伝送する機能を有する部材をいう。光伝送体は、プラスチック光伝送ファイバに限られるものではなく、例えば、ロッドレンズ、光導波路、光分岐器、光合波器、光分波器、光減衰器、光スイッチ、光アイソレータ、光送信モジュール、光受信モジュール、カプラ、偏向子、光集積回路などのそのものやその光伝送部分をいう。これら光伝送体の光を伝送する部分は、後述する屈折率分布構造を有するもの(以下屈折率分布型という)であることが好ましい。すなわち本含フッ素重合体中に含有される本発明に係る含フッ素多環式化合物が、光伝送体の光伝送路の中心軸から周辺方向に沿って濃度が低下する濃度勾配を有して分布している屈折率分布型光伝送体であることが好ましい。
本発明に係る含フッ素多環式化合物を含有する光伝送体としては特にPOFが好ましく、屈折率分布型光伝送体としては、光伝送体の光が通過する光伝送路において、本含フッ素重合体中に本発明に係る含フッ素多環式化合物が光伝送路の中心軸から周辺方向に沿って濃度が低下する濃度勾配を有して分布している屈折率分布型光POFであるのが特に好ましい。この屈折率分布は屈折率調整物質である本発明に係る含フッ素多環式化合物をマ
トリックスである本含フッ素重合体中に拡散させることにより形成される。例えば、光伝送路の中心軸となる部分にある濃度で本発明に係る含フッ素多環式化合物を存在させ、その含フッ素多環式化合物を熱拡散させて中心軸から周辺方向に沿って濃度が低下する濃度勾配を形成する。
本含フッ素重合体と屈折率調整物質を用いて屈折率分布型POF(及びそれを製造するためのプリフォーム)を製造する方法は前記特許文献1や特許文献2などに記載されている。これら公報記載の屈折率調整物質の代わりに本発明に係る含フッ素多環式化合物を使用して、これら公報記載の方法で屈折率分布型POFを製造することができる。同様にこれら公報記載の方法で屈折率分布型POF製造用プリフォームを製造することができる。
尚、本発明に係る含フッ素多環式化合物を含有する光伝送体としては、屈折率分布型POFのみならずステップインデックス型POFとしても好ましく利用することができる。ステップインデックス型POFの製造方法としては円柱状の、本発明に係る含フッ素多環式化合物と本含フッ素重合体が均一に混合したコア材と、本含フッ素重合体のみからなる、内径がコア材外径よりもおおきな円筒状のクラッド材を、外嵌して、プリフォームを作成する。本発明に係る含フッ素多環式化合物がクラッド材へ拡散しないように、230℃以下の低温条件で、コア材とクラッド材のクリアランスを潰しながら紡糸することによって、POFを作製することができる。なお、コア材は、円柱状の成型容器へ本発明に係る含フッ素多環式化合物と本含フッ素重合体を仕込み、250〜300℃で加熱溶融することにより、均一な組成のコア材を容易に作製する事ができる。また、円筒状のクラッド材は、回転成型法により容易に作製できる。
本発明に係る含フッ素多環式化合物を含有した光伝送体を屈折率分布型光伝送体とするためには、マトリックスとなる本含フッ素重合体と屈折率調整物質である本発明に係る含フッ素多環式化合物との屈折率の差が0.05〜0.25であることが好ましい。これにより、両者は屈折率分布を形成するに充分な屈折率差を有することができるので好ましい。本含フッ素重合体の屈折率は、その種類にもよるが、通常1.25〜1.35であるが、本発明に係る含フッ素多環式化合物の屈折率は約1.40〜1.50である。屈折率の差は、0.055〜0.20であることが特に好ましい。また、屈折率差が大きいことにより、本含フッ素重合体に対する本発明に係る含フッ素多環式化合物の割合が、最大存在部分において、本含フッ素重合体100質量部に対して、10質量部以下であっても充分な屈折率分布を形成し得る。
また、得られた光伝送体は、Tgが90〜150℃であることが好ましい。Tgが90℃未満であると、通常の使用温度上限である80℃において、屈折率調整物質に熱的な拡散が生じ、組成の変化に伴って屈折率分布形状が適切な形から変化してしまい、その結果、帯域性能やNAの性能が低下するので好ましくなく、Tg150℃超であると、マトリックス中に部分的な結晶性が発生し、光散乱が発生するおそれがあるので好ましくない。中でも、Tgは90〜120℃であることが特に好ましい。本発明に係る含フッ素多環式化合物のTgは−15℃〜2℃であり、従来の屈折率調整物質に比較して比較的高いTgを有している。したがって、本発明に係る含フッ素多環式化合物は本含フッ素重合体のTgを低下させる作用が少なく、光学樹脂組成物に対して少ない量で、耐熱性の良好な光伝送体が得られるので好ましい。
本発明に係る含フッ素多環式化合物は、一般式(2)により表される化合物と一般式(3)により表される化合物を反応させることにより、ホモカップリング体を殆ど副生することなく、高選択的かつ高収率で製造することができるので好ましい。一般式(2)により表される化合物と一般式(3)により表される化合物は、いずれも、反応性が高い。このため、これらの化合物を混合することにより、反応が速やかに進み、ホモカップリング
体を生成することなく、高い収率で、本発明に係る含フッ素多環式化合物が得られるので好ましい。
上記一般式(2)においてそれぞれ独立に選択されるR1〜R3は、それぞれ独立にフッ素原子、炭素数1〜5のペルフルオロアルコキシル基または炭素数1〜5のペルフルオロアルキル基であり、X1〜X3はそれぞれ独立に臭素原子又はヨウ素原子であることが好ましい。また、上記一般式(3)で表される化合物においてR4は、フッ素原子、炭素数1
〜5のペルフルオロアルコキシル基または炭素数1〜5のペルフルオロアルキル基からなる群より選ばれるいずれかであることが好ましい。これらの化合物の中でも、得られる化合物の特性がよく、目的物の収率のよいことから、R1〜R3及びR4が、それぞれ、独立
にトリフルオロメチル基又はフッ素原子で、X1〜X3がヨウ素原子であることが好ましい。
本発明では、一般式(2)により表される化合物と、一般式(3)により表される化合物を反応させるには、溶媒中で反応させることが好ましい。混合の仕方は特に限定されないが、溶媒中に、一般式(2)により表される化合物と、一般式(3)により表される化合物をそれぞれ加えることが好ましい。
上記反応をさせる際には、一般式(3)で表される化合物は一般式(2)で表される化合物の3倍モル以上であることが好ましい。特に、3〜10倍モルが好ましく、更に、3〜4倍モルであることが最も好ましい。また、反応温度は、10〜160℃が好ましく、特に40〜100℃が好ましい。反応温度は、低すぎると反応に長時間を要するので好ましくなく、高すぎると副反応が起き易くなるので好ましくない。
溶媒は、反応液中のアニオン種を安定させることから極性溶媒であることが好ましい。極性溶媒は特に限定されるものではないが、非プロトン系極性溶媒を好ましく利用することができる。極性溶媒としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(以下、THFという)、ジメチルホルムアミドなどの非プロトン系極性溶媒が反応のアニオン種を安定させることから特に好ましい。極性溶媒の使用量は、特に限定されるものではないが、上記一般式(2)で表される化合物に対し3〜20倍モルが適当である。
反応終了後、溶媒と無機物を除去することによりほぼ純粋な目的物が得られ、ペルフルオロビフェニルなどの副生物は通常10質量%以下である。また、Ullmann型のカップリングでは今まで避けられなかったタール状成分がほとんど副生しないため、目的物単離のためのハンドリングも容易である。こうして得られた粗結晶は、再結晶をすることで容易に純度を上げることができる。再結晶溶媒は特に制限されないが、トルエン、ヘキサン、ペルフルオロ系有機溶媒等が好ましい。
上記一般式(3)で表される化合物は、従来より公知の方法により得ることができ、例えば、下記一般式(12)で表される化合物を溶媒中で、エチルマグネシウムブロマイドなどのアルキルマグネシウムブロマイドや金属マグネシウム等とのグリニヤー交換反応により、下記一般式(13)で表される化合物とした後、この反応系に臭化銅(CuBr)を添加し反応させて製造し得る。この反応は発熱の大きい反応であり、反応温度が上がりすぎると分解などの副反応が生じやすくなるため、副反応を抑制するために反応温度を低めに抑えることが好ましい。具体的には−20〜+40℃が適当で、特に0〜+10℃で行なうのが好ましい。臭化銅を分割添加し、かつ反応温度を上記範囲に維持しながら反応を行なうことが好ましい。臭化銅の量は出発物質である一般式(12)で表される化合物に対して1〜10倍モルが適当であり、特に2〜5倍モルが好ましい。
Figure 2008001652
Figure 2008001652
また、本発明に係る含フッ素多環式化合物は異性体の混合物として合成される。例えば一般式(4)で表される化合物は下記一般式(14)及び(15)で表される化合物の混合物として得られる。このため、本発明に係る含フッ素多環式化合物は異性体の混合物のまま利用すればより結晶性が低下し、比較的高い屈折率を維持したまま、より本含フッ素重合体との高い相溶性が得られるという効果を有する。また、これらの混合物は、液体クロマトグラフ法等により各々分離することが可能である。
Figure 2008001652
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以下に、例1〜3及び5(実施例)、例4、6(比較例)を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、例1は本発明の製造方法による。
[例1]
[1,3,5−トリヨード−2,4,6−トリフルオロベンゼンの合成]
温度計、ジムロート冷却器、メカニカル撹拌器、滴下ロートの付いた2Lガラスフラスコに、室温にて、ヨウ素577g(2.27mol)、60質量%発煙硫酸1000gを仕込み、ここに滴下ロートより1,3,5−トリフルオロベンゼン100g(0.76mol)をゆっくり滴下した。全量を仕込んだ後、反応器内温を60〜70℃に保ち、18
時間そのまま撹拌を続けた。その後室温まで冷却し、反応液を氷水にゆっくり注ぎ込むと黒色の固体が析出した。過剰のヨウ素をチオ硫酸ナトリウム水溶液で処理した後、褐色固体をヘキサンから再結晶することにより338gの淡褐色針状結晶を得た。NMR、ガスクロマトグラフ(以下、GCとも記す)、マススペクトルの結果、純度99.1質量%の1,3,5−トリヨード−2,4,6−トリフルオロベンゼンであることを確認した。融点は155℃であった。収率は1,3,5−トリフルオロベンゼン基準で87%であった。
なお、ガスクロマトグラフは、Agilent Technologies 社製GC
System6850にキャピラリーカラムHP−1(Thicness:0.25μm、Length:30m,Phase Ratio 320,Colum ID:0.32mm)を用いて、JISI:K114に準じて測定を行った。
マススペクトルは、Agilent Technologies 社製GC System5890にキャピラリーカラムHP−1(Thicness:0.25μm、Length:30m,Phase Ratio 320,Colum ID:0.32mm)、検出器に日本電子社製 SX−102Aをもちいて、JISI:K0123に準じて測定した。
また、NMRは、日本電子データム社製 JNM−AL300を用いて測定した。
ガスクロマトグラフ、マススペクトル、NMRは以下の各例においても同様に測定した。
[目的物の一般式(14)および一般式(15)で表される化合物の合成]
ジムロートコンデンサ、熱電対温度計、滴下ロート、メカニカルスターラーの付いた2Lパイレックス(登録商標)製4つ口フラスコを窒素置換した。100rpmで撹拌しながら室温にて2−ブロモ−3,4,5,6−テトラフルオロベンゾトリフロライド22.3g(0.075mol)とテトラヒドロフラン(関東化学社製、以下、THFと記す)50mlをロートから仕込んだ。その後、氷水でフラスコを冷却し撹拌速度を500rpmに上昇させた。0.96mol/LのエチルマグネシウムブロマイドTHF溶液76ml(0.0730mol)を滴下ロートに仕込み、フラスコ内温が5℃以下になったら、エチルマグネシウムブロマイドを5ml/分程度の速度で滴下すると内温は3〜6℃に保たれ、約1時間で滴下終了した。滴下終了後、そのまま1時間撹拌を続けると淡青緑色懸濁溶液になった。
つぎに固体の臭化銅(CuBr)21.53g(0.150mol)をロートから添加するが、この際発熱が大きく温度が高いと、ホモカップリングが起こりペルフルオロ(2,2−ジメチルビフェニル)が副生しやすくなるため、フラスコを氷冷したまま4回に分けて添加した。添加終了後、1時間以上そのまま撹拌を続けると淡灰色懸濁溶液となった。さらに滴下ロートからジオキサン20mlを加え、そのまま30分間撹拌した。つぎに例2の様に合成した1,3,5−トリヨード−2,4,6−トリフルオロベンゼンの固体7.65g(0.015mol)をロートから一括投入し、氷浴をオイルバスに切り替えた後、撹拌しながら16時間還流を続けた。
16時間後に反応液から溶媒を留去濃縮し、残留物を水中に入れ、急冷した。濾過して集めた固体を500gのジクロロペンタフルオロプロパン(商品名「AK225」:旭硝子(株)製。以下、R225という)で抽出した後、エバポレーターで濃縮すると、透明褐色のオイル状の液体が得られた。
得られた透明褐色のオイル状の液体を液体クロマトグラフ法(MERK製Silicagel60/φ30×500H/n−ヘキサン)を用いて分離を行い、得られた留分を生成物ごとにまとめて、ロータリーエバポレーターを用いて80℃/400Paで濃縮することにより、純度99質量%のペルフルオロ(2,2−ジメチルビフェニル)が0.51
g分別され、更に2つの生成物が各々6.8g、3.3g得られた。
NMR、ガスクロマトグラフ、マススペクトルの結果、純度98質量%の目的物の一般式(14)と一般式(15)で表される化合物であることを確認した。
一般式(14)で表される化合物NMRデータ:19FNMR(282.65MHz,溶媒(CDCl3,基準CFCl3):δ(ppm):−57.50(3F,d,J=22.6Hz),):−57.58(6F,d,J=22.6Hz),−105.34(2F,s) ,−105.48(1F,s),−133.94(3F,m),−136.00(3F,m)−146.88(1F,m),−147.07(2F,m),−148.93(1F,m),−18.95(2F,m)
一般式(15)で表される化合物NMRデータ:19FNMR(282.65MHz,溶媒(CDCl3,基準CFCl3):δ(ppm):−57.60(9F,d,J=22.6Hz),−105.36(3F,s),−133.8(3F,m),−135.9(3F,m),−147.26(3F,m),−148.92(3F,m)
融点は示差走査熱量計(以下、DSCと記す)で測定した結果、一般式(14)で表される化合物は68.4℃、一般式(15)で表される化合物では115.8℃あった。
収率は1,3,5−トリヨード−2,4,6−トリフルオロベンゼン基準で一般式(14)で表される化合物は56.9%、一般式(15)で表される化合物は27.5%であった。
なお、得られた一般式(14)で表される化合物の屈折率は1.41であり、Tgは−12℃であった。また、得られた一般式(15)で表される化合物の屈折率は1.46であり、Tgは−1℃であった。
なお、DSCはTA Instruments社 DSC Q100を用いて測定した。Tgは、TA Instruments社 DSC Q100にて測定した。以下の各例においても同様である。
また、屈折率は、アタゴ社製 アッペ屈折率計2Tを用いてJISI:K7142に準じて、測定した。以下の各例においても同様である。
[例2]
[1,3,5−トリブロモ−2,4,6−トリフルオロベンゼンの合成]
温度計、滴下ロート、ジムロート冷却器、メカニカル撹拌器のついた1Lガラスフラスコに、96質量%硫酸400gと1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン195g(0.682mol)を入れて撹拌した。フラスコを氷浴で冷却した後、1,3,5−トリフルオロベンゼン50g(0.379mol)を滴下ロートから滴下した。発熱があるため内温33〜37℃を保つように1時間かけて滴下を行なった。滴下終了後、水浴で50℃に加温しさらに3時間撹拌を続けた。
この反応液にR225を500ml加えて撹拌すると均一赤色溶液になるので、その混合液を水1Lを入れた2Lビーカー中に撹拌しながら注ぎ込んだ。下層の有機相を水1Lで3回水洗した後、硫酸マグネシウムで一晩乾燥した。硫酸マグネシウムを濾過で取り除いた後、エバポレーターで余分なR225を除去し、R225の100mlから再結晶を行ない淡黄色の結晶を得た。ガスクロマトグラフ、マススペクトルの結果、純度98質量%の1,3,5−トリブロモ−2,4,6−トリフルオロベンゼン85g(収率61質量%)であることを確認した。
[目的物の一般式(14)および一般式(15)で表される化合物の合成]
温度計、ジムロート冷却器、メカニカル撹拌器の付いた2Lガラスフラスコに、室温に
て、銅粉(アルドリッチ社製カッパーブロンズ)31.0g(0.49mol)、ジメチルホルムアミド50ml、2−ブロモ−3,4,5,6−テトラフルオロベンゾトリフロライド47.5g(0.16mol)、1,3,5−トリブロモ−2,4,6−トリフルオロベンゼン6.0g(0.016mol)を入れた。撹拌しながら、マントルヒーターでゆっくり加熱し昇温した。153℃で還流を3時間続けた後、反応液を濾過して濾液を回収した。さらに濾さいをアセトン50mlで洗い、濾液と混合した。混合液を水400mlに撹拌しながら投入し、更にR225を500g加えて30分攪拌を継続したのち、分液ロートを用いてR225層を回収し、3回ほど500mlの水で抽出操作を繰り返した。
その後、このR225層をロータリーエバポレーターを用いて80℃/400Paで濃縮すると、透明褐色のオイル状の液体が得られた。
得られた透明褐色のオイル状の液体を液体クロマトグラフ法(MERK製 Silicagel60/φ30×500H/n−ヘキサン)を用いて分離を行い、得られた留分を生成物ごとにまとめて、ロータリーエバポレーターを用いて80℃/400Paで濃縮することにより、純度99.8質量%のペルフルオロ(2,2−ジメチルビフェニル)が25g分別され、更に2つの生成物が各々0.84g、0.40g得られた。
NMR、ガスクロマトグラフ、マススペクトルの結果、純度99質量%の目的物の一般式(14)と一般式(15)で表される化合物であることを確認した。融点はDSCで測定した結果、一般式(14)で表される化合物は68.4℃、一般式(15)で表される化合物では115.8℃あった。
収率は1,3,5−トリブロモ−2,4,6−トリフルオロベンゼン基準で一般式(14)で表される化合物は6.8%、一般式(15)で表される化合物では3.2%あった。
なお、得られた一般式(14)で表される化合物の屈折率は1.41であり、Tgは−12℃であった。また、得られた一般式(15)で表される化合物の屈折率は1.46であり、Tgは−1℃であった。
[例3]
[一般式(14)及び(15)で表される化合物を含有した屈折率分布型POFの作製及びその耐熱性評価]
<マトリックスの作製>
750gのペルフルオロ(ブテニルビニルエーテル)[以下、PBVEという]、4kgのイオン交換水、260gのメタノールおよび3.7gのジイソプロピルペルオキシジカーボネートを、内容積5Lのガラスフラスコに入れた。系内を窒素で置換した後、40℃で22時間懸濁重合を行い、数平均分子量約5×104の重合体を690g得た。この
重合体をフッ素/窒素混合ガス(フッ素ガス濃度20容量%)雰囲気中で250℃、5時間加熱処理することにより光透過性および熱安定性の良好な重合体(以下、重合体Aという)を得た。
重合体Aの固有粘度[η]は、ペルフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)[以下、PBTHFという]中30℃で0.3であった。重合体AのTgは108℃であり、室温では強靱で透明なガラス状重合体であった。また屈折率は1.342であった。
なお、固有粘度[η]は、JIS K7367−1の規定に則り、柴田科学器械工業株式会社製のウベローデ型粘度計を用いて下記条件にて測定した。
測定温度:30℃(恒温槽)
希釈溶媒:ペルフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)
希釈濃度:1%、0.67%、0.59%
<屈折率分布型POFの作製例及びその評価>
重合体Aを100質量部に対して一般式(14)で表される化合物8.8質量部および一般式(15)で表される化合物2.2質量部の混合物をガラス封管中に仕込み、250℃で溶融成形し円柱状の成形体(以下、成形体aという)を得た。成形体aの屈折率は1.354、Tgは92℃であった。
つぎに、重合体Aのみからなる円筒管を溶融成形により作成し、この円筒管中空部に成形体aを挿入し200℃に加熱して合体させることによりプリフォームを得た。このプリフォームを230℃で溶融紡糸することにより屈折率が中心部から周辺部に向かって徐々に低下する屈折率分布型光ファイバ(i)を得た。得られた光ファイバ(i)の光伝送特性は、650nmで70dB/km、850nmで19dB/km、1300nmで19dB/km、開口数NAは0.177であり、可視光から近赤外光までの光を良好に伝達できる光ファイバであることを確かめた。
伝送損失は、JIS−C−6863に規定された評価方法に準拠した方法で測定した。評価は、以下のように行った。光源は安藤電気社製のAQ4215(085)LED UNIT、パワーメータは安藤電気社製のAQ2730OPM UNIT、励振器はアンリツ社製のMODE SCRAMBLER MZ106Cを使用した。
以下の各例においても同様である。
この光ファイバ(i)を80℃のオーブン中に1000時間保存した後、取り出してから屈折率分布をインターファコ干渉顕微鏡により測定し、保存前の屈折率分布と比較したところ変化は見られなかった。さらに、以下のようなパルス法により伝送帯域を測定することにより伝送特性を評価した。
すなわち、パルスジェネレータ(浜松ホトニクス社製ピコセックライトパルサPLP−01 以下の各例においても同様である。)を用いてパルスレーザ光を発振させ、これを光ファイバに入射し、出射光をサンプリングオシロスコープ(浜松ホトニクス社製オシロスコープ OOS−01 以下の各例においても同様である。)で検出した。この検出信号をフーリエ変換して周波数特性を解析することにより電送帯域を測定した。光ファイバ(i)を80℃で1000時間保存した後に電送帯域を測定したところ、保存前後ともに260MHz・kmで、帯域の低下が起こらないことから耐熱性が良好であることを確認した。
[例4(比較例)]
[ペルフルオロ(1,3,5−トリフェニルベンゼン)を含有した屈折率分布型POFの作製例及びその評価]
<ペルフルオロ(1,3,5−トリフェニルベンゼン)の合成>
ジムロートコンデンサ、熱電対温度計、滴下ロート、メカニカルスターラーの付いた2Lパイレックス(登録商標)製4つ口フラスコを窒素置換した。100rpmで撹拌しながら室温にてペンタフルオロブロモベンゼン148.2g(0.60mol)とTHF500mlをロートから仕込んだ。その後、氷水でフラスコを冷却し撹拌速度を500rpmに上昇させた。0.96mol/LのエチルマグネシウムブロマイドTHF溶液600ml(0.576mol)を滴下ロートに仕込み、フラスコ内温が5℃以下になったら、エチルマグネシウムブロマイドを5ml/分程度の速度で滴下すると内温は6〜7℃に保たれ、約2時間で滴下終了した。滴下終了後、そのまま1時間撹拌を続けると淡褐色均一透明溶液になった。
つぎに固体の臭化銅(CuBr)172.2g(1.20mol)をロートから添加するが、この際発熱が大きく温度が高いと、ホモカップリングが起こりペルフルオロビフェニルが副生しやすくなるため、フラスコを氷冷したまま4回に分けて添加した。添加終了後、1時間以上そのまま撹拌を続けると淡青緑色懸濁溶液となった。さらに滴下ロートからジオキサン200mlを加え、そのまま30分間撹拌した。つぎに1,3,5−トリヨ
ード−2,4,6−トリフルオロベンゼンの固体をロートから一括投入し、氷浴をオイルバスに切り替えた後、撹拌しながら16時間還流を続けた。
16時間後に反応液から溶媒を留去濃縮し、残留物を水中に入れ、急冷した。濾過して集めた固体を2000gのR225で抽出した後、エバポレーターで乾固すると、92gの黄色結晶(GC純度95質量%、収率92質量%)が得られた。さらにこの結晶をヘキサンから再結晶すると白色針状結晶が得られた。NMR、ガスクロマトグラフ、マススペクトルの結果、純度99.99質量%のペルフルオロ(1,3,5−トリフェニルベンゼン)であることを確認した。融点は152℃であった。収率は1,3,5−トリヨード−2,4,6−トリフルオロベンゼン基準で85%であった。
なお、得られたペルフルオロ(1,3,5−トリフェニルベンゼン)の屈折率は1.47であり、Tgは−45℃であった。
<屈折率分布型POFの作製及びその評価>
重合体Aおよびペルフルオロ(1,3,5−トリフェニルベンゼン)の混合物[重合体Aの100質量部に対して、後者を混合物中7.0質量部含む]をガラス封管中に仕込み、250℃で溶融成形し円柱状の成形体(以下、成形体bという)を得た。成形体bの屈折率は1.357、Tgは90℃であった。
つぎに、重合体Aのみからなる円筒管を溶融成形により作成し、この円筒管中空部に成形体bを挿入し200℃に加熱して合体させることによりプリフォームを得た。このプリフォームを230℃で溶融紡糸することにより屈折率が中心部から周辺部に向かって徐々に低下する光ファイバ(ii)を得た。得られた光ファイバ(ii)の光伝送特性は、650nmで63dB/km、850nmで23dB/km、1300nmで20dB/kmであり、開口数NAは0.191であり、可視光から近赤外光までの光を良好に伝達できる光ファイバであることを確かめた。
この光ファイバ(ii)を80℃のオーブン中に1000時間保存した後、以下のようなパルス法により伝送帯域を測定することにより伝送特性を評価した。
すなわち、パルスジェネレータを用いてパルスレーザ光を発振させ、これを光ファイバに入射し、出射光をサンプリングオシロスコープで検出した。この検出信号をフーリエ変換して周波数特性を解析することにより伝送帯域を測定した。
光ファイバを80℃、1000時間保存した後に伝送帯域を測定したところ、保存前に260MHz・kmであったものが保存後には180MHz・kmに低下していた。
[例5]
[一般式(14)で表される化合物を含有したフィルムの作製及びその評価]
(例5−1)
重合体Aの100質量部に対して、一般式(14)で表される化合物10質量部をガラス封管中に仕込み、ガラス管ごと250℃で溶融加熱し、均一濃度になるようにガラス管を1時間加熱後、上下をひっくりかえす操作を10回実施した。その後、3時間静置した後にガラス管をゆっくりと冷却したのち、ガラス管から円柱状の成型体を得た。得られた成型体を200℃のホットプレスで200μmの厚みの透明なフィルムを得た。
このフィルムのTgは91℃であった。また、屈折率は1.355であった。
(例5−2)
重合体Aの100質量部に対して、一般式(14)で表される化合物30質量部をガラス封管中に仕込み、ガラス管ごと250℃で溶融加熱し、均一濃度になるようにガラス管を1時間加熱後、上下をひっくりかえす操作を10回実施した。その後、3時間静置した後にガラス管をゆっくりと冷却したのち、ガラス管から円柱状の成型体を得た。
得られた成型体を200℃のホットプレスで200μmの厚みの透明なフィルムを得た。このフィルムのTgは65℃であった。また、屈折率は1.375であった。
このフィルムの光線透過率を測定すると350〜700nmの可視光線に対しては90%以上の透過率であったことから、一般式(14)で表される含フッ素多環式化合物は重合体Aに対する相溶性が改善されていて、これを利用した含フッ素樹脂組成物は、より高屈折率な組成でも相分離に由来する光散乱が生じない、均一な組成物であることがわかった。
[例6(比較例)]
[ペルフルオロ(1,3,5−トリフェニルベンゼン)を含有したフィルムの作製及びその評価]
<ペルフルオロ(1,3,5−トリフェニルベンゼン)を含有したフィルムの作製>
(例6−1)
重合体Aの100質量部に対して、ペルフルオロ(1,3,5−トリフェニルベンゼン)の7.5質量部をガラス封管中に仕込み、ガラス管ごと250℃で溶融加熱し、均一濃度になるようにガラス管を1時間加熱後、上下をひっくりかえす操作を10回実施した。その後、3時間静置した後にガラス管をゆっくりと冷却したのち、ガラス管から円柱状の成型体を得た。
得られた成型体を200℃のホットプレスで200μmの厚みの透明なフィルムを得た。
このフィルムのTgは89℃であった。また、屈折率は1.355であった。
(例6−2)
重合体Aの100質量部に対して、ペルフルオロ(1,3,5−トリフェニルベンゼン)の17.6質量部をガラス封管中に仕込み、ガラス管ごと250℃で溶融加熱し、均一濃度になるようにガラス管を1時間加熱後、上下をひっくりかえす操作を10回実施した。その後、3時間静置した後にガラス管をゆっくりと冷却したのち、ガラス管から円柱状の成型体を得た。
得られた成型体を200℃のホットプレスで200μmの厚みのフィルムを得た。このフィルムは透明であったが、部分的にペルフルオロ(1,3,5−トリフェニルベンゼン)が層分離した白色な部分が存在した。
このフィルムのTgは70℃であった。また、屈折率は1.370であった。
すなわち、ペルフルオロ(1,3,5−トリフェニルベンゼン)は、本発明に係る含フッ素多環式化合物に比べて含フッ素重合体Aに対する相溶性が悪く、これを含有した含フッ素樹脂組成物は、高屈折率にした場合に相分離による光散乱が生じていることが確認された。
本発明に係る含フッ素多環式化合物は機能性材料の添加剤またはその前駆体としてきわめて有用な化合物である。また、本発明に係る含フッ素多環式化合物は高屈折率であり、かつ含フッ素樹脂組成物への相溶性が高いため、光学樹脂材料の屈折率調整剤として非常に好ましく利用することができる。
本発明によって提供される含フッ素多環式化合物は、C−H結合を有しない非結晶性の含フッ素重合体からなるマトリックス中へ分布する屈折率調整物質として好適である。かかる組成物は様々な光学樹脂材料に利用することが可能である。例えば光伝送体として、芯−鞘型プラスチック光伝送ファイバ、屈折率分布型プラスチック光伝送ファイバ、ロッドレンズ、光導波路、光分岐器、光合波器、光分波器、光減衰器、光スイッチ、光アイソレータ、光送信モジュール、光受信モジュール、カプラ、偏向子、光集積回路等として好ましく利用することができる。また、自動車のエンジンルームなどでの過酷な使用条件に耐える、耐熱性、耐薬品性、耐湿性、不燃性を備える光学樹脂材料として利用し得る。さらに、透明性の高いフッ素樹脂製のフィルムやシートとしても有用であり、各種の紫外線遮蔽フィルムとしても利用し得る。

Claims (5)

  1. 下記の一般式(1)[式中、R1〜R4は、それぞれ独立にフッ素原子、炭素数1〜5のペルフルオロアルコキシル基または炭素数1〜5のペルフルオロアルキル基である。]で表される含フッ素多環式化合物。
    Figure 2008001652
  2. 前記一般式(1)におけるR1〜R4が,それぞれ独立にフッ素原子またはトリフルオロメチル基である請求項1に記載の含フッ素多環式化合物。
  3. 前記一般式(1)におけるR1〜R4が、フッ素原子である請求項1または2に記載の含フッ素多環式化合物。
  4. 下記の一般式(2)[式中、R1〜R3は、それぞれ独立にフッ素原子、炭素数1〜5のペルフルオロアルコキシル基または炭素数1〜5のペルフルオロアルキル基であり、X1
    〜X3は、それぞれ独立に臭素原子もしくはヨウ素原子である。]で表される化合物と、
    下記の一般式(3)[式中、R4は、フッ素原子、炭素数1〜5のペルフルオロアルコキ
    シル基及び炭素数1〜5のペルフルオロアルキル基からなる群より選ばれるいずれかである。]で表される化合物とを溶媒中で反応させることにより得られる請求項1〜3のいずれかに記載の含フッ素多環式化合物の製造方法。
    Figure 2008001652
    Figure 2008001652
  5. 前記溶媒が極性溶媒であることを特徴とする請求項4に記載の前記含フッ素多環式化合物の製造方法。


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