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JP2007526329A - 賦形剤の結晶化を改善するための凍結乾燥法 - Google Patents

賦形剤の結晶化を改善するための凍結乾燥法 Download PDF

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JP2007526329A JP2007501970A JP2007501970A JP2007526329A JP 2007526329 A JP2007526329 A JP 2007526329A JP 2007501970 A JP2007501970 A JP 2007501970A JP 2007501970 A JP2007501970 A JP 2007501970A JP 2007526329 A JP2007526329 A JP 2007526329A
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Abstract

本発明は、タンパク質や核酸、ウイルスなどの活性成分を凍結乾燥(フリーズドライ)するための、改善された方法を提供する。本発明の方法は、従来の方法にも優って、凍結乾燥中の賦形剤の結晶化度を改善する。賦形剤結晶化の改善は、一部には、2次乾燥の前または2次乾燥と同時に実施される高温アニーリング工程に基づいている。高温アニーリング工程が活性成分を不安定化しないことは、重要である。さらに、高温アニーリング工程は、その実施前に、完全な賦形剤結晶化をもたらすために氷点下アニーリング工程を必要としない。

Description

発明の詳細な説明
本願は、その全体を本明細書の一部とする、2004年6月15日出願の米国仮特許出願第60/580140号および2004年3月4日出願の米国仮特許出願第60/550020号の、優先権を主張するものである。
本明細書に引用される全ての特許、特許出願、および刊行物は、その全体を、出典明示により本明細書の一部とする。これら刊行物の開示は、その全体において、本願において記載かつ主張されている発明がなされた当時の、当業者に知られていた現状をより完全に記載するために、出典を明示することで本明細書の一部とするものである。
(発明の背景)
タンパク質や核酸、ウイルス(例えば、ワクチンの成分として)などの活性成分は、不安定になり分解する可能性があるので、医薬品として許容される保存期間が得られるように、しばしば固体形態に作製しなければならない。固体のタンパク質医薬品を調製するために、最も一般的に使用される方法は、凍結乾燥である。凍結乾燥は、伝統的に2つの主な工程から、すなわち(1)タンパク質溶液を凍結させる工程と、(2)凍結した固体を真空乾燥させる工程とからなる。乾燥工程は、さらに2つの段階に、すなわち1次乾燥と2次乾燥とに分かれる。1次乾燥工程は、凍結した水または溶媒を除去しようとするものであり(昇華)、2次乾燥工程は、凍結していない「結合」水または溶媒を除去しようとするものである(脱着)。凍結乾燥による水またはその他の溶媒の除去は、活性成分の分解速度を大幅に低下させることによって、医薬処方を安定化する。このプロセスは、化学反応または生物学的成長をもはや支援しないレベルにまで処方中の溶媒成分を除去することにより、分解過程を阻害する。さらに、溶媒の除去によって分子移動度が低下し、分解反応の可能性が低下する。溶媒の除去は、まず処方を凍結し、その凍結プロセスによって1種または複数の溶媒を溶質から分離し、凍結していないあらゆる溶媒分子を、凍結した溶媒結晶同士の格子間領域に固定化することによって実現される。次いで溶媒を、昇華(1次乾燥)によって、次に脱着(2次乾燥)によって除去する。
凍結乾燥前の溶液中の溶質は、問題となるタンパク質または薬物(活性成分)と、不活性成分(賦形剤)とを含む。凍結乾燥させると、賦形剤は、タンパク質と同じ相に残る可能性があり、または賦形剤は、タンパク質(活性成分)含有相から相分離する可能性がある。タンパク質含有相は、典型的な場合、非晶質相である。賦形剤がタンパク質含有相から相分離するとき、この賦形剤は、結晶質相または非晶質相を形成することができる。
さらに、結晶化賦形剤は、充填剤として、また時には安定化剤として、凍結乾燥生成物に一般に使用される。一般に使用される結晶化賦形剤は、グリシンなどのアミノ酸、マンニトールなどのポリオール、および塩化ナトリウムなどの塩を含む。通常は、凍結乾燥後に完全な結晶になることが、結晶化賦形剤にとって望ましい。結晶化賦形剤が、凍結乾燥後に完全に結晶化していない場合、この賦形剤は、タンパク質と同じ非晶質相内に残る可能性がある。これは、分子移動度を大きくすることによって、タンパク質を不安定にする可能性がある。完全な結晶化は、乾燥およびケーク構造を強化し、それによって最終的な残留水分レベルを低下させる。また完全な結晶化は、望ましくない結晶化が貯蔵中に生ずるのを防止する。より高い結晶化度は、非晶質材料の量を低下させるので、より高いガラス転移温度が実現される。典型的な場合、これらの種類の賦形剤の結晶化は、1次乾燥前の氷点下(摂氏)の温度で実施される低温アニーリング工程を通して実現される。しかし、この氷点下温度でのアニーリングプロセスは、ゆっくりで、常に十分なまたは完全な結晶化をもたらすとは限らない。特に、グリシンと塩化ナトリウムとの混合は、どの賦形剤の結晶化も阻害し、このような低温アニーリングプロセスは、結晶化を促進させるのに不十分であるので、複数の低温アニーリング工程が、賦形剤をさらに結晶化するのに必要となる可能性がある。
(発明の開示)
本発明は、タンパク質、核酸、およびウイルスを含めた活性成分を凍結乾燥(フリーズドライ)するための、改善された方法を提供する。本発明の方法は、従来の方法よりも優れた状態で、凍結乾燥中の賦形剤の結晶化度を改善する。賦形剤の結晶化の改善は、その一部が、2次乾燥へのアニーリング工程の導入に基づいている。このアニーリング工程は、高温(0℃よりも高い)で行われ、その実施の前に、複数の氷点下温度でのアニーリング工程を必要としない。タンパク質やウイルス、核酸などの活性成分は、本質的に熱に対して不安定であり、高温に曝されることによって分解を引き起こすことになるが、本発明は、高温アニーリングが活性成分の分解または不安定性を引き起こさないという意外な発見をもたらす。さらに本発明は、本発明の凍結乾燥法によって生成された凍結乾燥生成物を提供し、この生成物は、グリシンと塩化ナトリウムの両方を含むものであり、グリシンは、実質的に完全に結晶化し、または高温アニーリングを含まない従来技術の方法よりも結晶化したものである(またはより結晶質である)。
ある態様では、本発明は、(a)−10℃未満の温度で水性医薬処方を凍結させる工程と、(b)約−35℃から約20℃の間の温度で工程(a)の医薬処方を乾燥させる工程と、(c)約25℃より高い温度で工程(b)の医薬処方をアニールする工程と、(d)工程(c)で使用した温度より低い温度で工程(c)の医薬処方を乾燥させる工程とを含む、水性医薬処方を凍結乾燥させるための方法を提供する。本発明の一態様では、工程(a)の温度が−35℃未満であり、凍結は、1時間よりも長い所要時間で実施される。別の態様では、工程(b)の温度が約−30℃から約20℃の間であり、または約−25℃から約10℃の間であり、または約0℃である。別の態様では、工程(c)の温度が約25℃から約75℃の間であり、または約35℃から約60℃の間であり、または約50℃である。別の態様では、工程(d)の温度が約25℃から約35℃の間であり、一態様では、工程(d)の温度が約25℃である。本発明の方法によって凍結乾燥される水性医薬処方は、本質的に、タンパク質、ペプチド、核酸、およびウイルスを含むがこれらに限定することのない任意の活性成分を含有することができる。
別の態様では、本発明は、(a)−10℃未満の温度で水性医薬処方を凍結させる工程と、(b)約−35℃から約0℃の間の温度で工程(a)の医薬処方をアニールする工程と、(c)約−35℃から約10℃の間の温度で工程(b)の医薬処方を乾燥させる工程と、(d)約25℃から約75℃の間の温度で工程(c)の医薬処方をアニールする工程と、(e)工程(d)で使用した温度よりも低い温度で工程(d)の医薬処方を乾燥させる工程とを含む、水性医薬処方を凍結乾燥させるための方法を提供する。別の態様では、工程(b)の温度が約−25℃から−10℃の間であり、または約−20℃から−10℃の間であり、または約−15℃である。別の態様では、工程(c)の温度が約−30℃から5℃の間であり、または約−25℃から10℃の間であり、または約−20℃から0℃の間であり、または約−20℃から−10℃の間であり、または約0℃である。別の態様では、工程(d)の温度が約35℃から60℃の間であり、または約50℃である。別の態様では、工程(e)の温度が約25℃である。さらに別の態様では、この方法は、工程(b)の後であって工程(c)の前に、再凍結工程をさらに含むことができ、この再凍結工程は、−35℃未満の温度、または約−40℃から約−50℃の温度で処方を凍結させることを含む。
別の態様では、本発明は、水性医薬処方が少なくとも1種の結晶化賦形剤を含む、凍結乾燥法を提供する。結晶化賦形剤は、アミノ酸、塩、およびポリオールからなる群から選択することができる。ある態様では、アミノ酸がグリシンまたはヒスチジンである。別の態様では、塩が塩化ナトリウムである。別の態様では、ポリオールがマンニトールである。ある態様では、水性医薬処方が、塩とアミノ酸との組合せである、結晶化賦形剤の組合せを含む。ある態様では、この組合せ中の塩が塩化ナトリウムであり、この塩化ナトリウムは、約25mMよりも高い濃度で、または約25mMから200nMの間、30mMから100mMの間、または40mMから60mMの間、または約50mMの濃度で処方中に存在するものである。別の態様では、組合せ中のアミノ酸が、約1%から約10%の間、1.5%から5%の間、1.5%から3%の間、または約2%の濃度で処方中に存在する。別の態様では、組合せ中のアミノ酸がグリシンである。
ある態様では、本発明は、(a)−35℃未満の温度で水性医薬処方を凍結させる工程と、(b)所望により約−20℃から約−10℃の間の温度で工程(a)の医薬処方をアニールする工程と、(c)約−10℃から約10℃の間の温度で工程(b)の医薬処方を乾燥させる工程と、(d)約35℃から約60℃の間、または約35℃から約50℃の間の温度で工程(c)の医薬処方をアニールする工程と、(e)工程(d)で使用した温度よりも低い温度で工程(d)の医薬処方を乾燥させる工程とを含む、水性医薬処方を凍結乾燥させるための方法を提供する。
別の態様では、本発明は、(a)−35℃未満の温度で水性医薬処方を凍結させる工程と、(b)所望により約−20℃から約−10℃の間の温度で工程(a)の医薬処方をアニールする工程と、(c)約−10℃から約10℃の間の温度で工程(b)の医薬処方を乾燥させる工程と、(d)約35℃から約50℃の間の温度で工程(c)の医薬処方をアニールする工程と、(e)工程(d)で使用した温度よりも低い温度で工程(d)の医薬処方を乾燥させる工程とを含む、塩化ナトリウムとグリシンを含んだ水性医薬処方を凍結乾燥させるための方法を提供する。
別の態様では、本発明は、(a)−35℃未満の温度で水性医薬処方を凍結させる工程と、(b)約−15℃で工程(a)の医薬処方をアニールする工程と、(c)約0℃で工程(b)の医薬処方を乾燥させる工程と、(d)約50℃で工程(c)の医薬処方をアニールする工程と、(e)約25℃で工程(d)の医薬処方を乾燥させる工程とを含む、35mMよりも高い塩化ナトリウムと、約250mMから約300mMの間のグリシン、または約250mMから約270mMの間のグリシンとを含んだ水性医薬処方を凍結乾燥させるための方法を提供する。この方法はさらに、工程(b)の後であって工程(c)の前に、再凍結する工程を含むことができ、この再凍結工程は、約−40℃から約−50℃で工程(b)の医薬処方を凍結させることを含む。
ある態様では、本発明は、凍結乾燥中の賦形剤の結晶化を増大させるための方法であって、(a)塩化ナトリウムと、グリシンなどの別の充填剤とを含んだ水性医薬処方を提供する工程と、(b)水性医薬処方を凍結させる工程と、(c)所望により、約−35℃から約0℃の間、または約20℃から約−10℃の間の温度で工程(b)の医薬処方をアニールする工程と、(d)約−35℃から約10℃の間、または約−5℃から約5℃の間の温度で工程(b)または工程(c)の医薬処方を乾燥させる工程と、(e)充填剤および/または塩化ナトリウムが、工程(e)の前よりも工程(e)の後でより結晶化されるように、約25℃から約75℃の間の温度で工程(d)の医薬処方をアニールする工程と、(f)工程(e)で使用した温度と同じかそれよりも低い温度で工程(e)の医薬処方を乾燥させる工程とを含み、それによって賦形剤の結晶化を増大させる方法を提供する。この方法では、充填剤が、例えばグリシン、アラニン、またはマンニトールを含むことができる(塩化ナトリウムの他に)。ある態様では、充填剤がグリシンである。別の態様では、この凍結乾燥中に賦形剤の結晶化を増大させるための方法がさらに、工程(c)の後であって工程(d)の前に再凍結工程を含み、この再凍結工程は、約−40℃から−50℃の間の温度、または約−50℃の温度で工程(c)から得た処方を凍結させることを含む。
別の態様では、本発明は、(a)グリシンおよび塩化ナトリウムを含む処方を提供する工程と、(b)この処方を凍結させる工程と、(c)所望により、約−35℃から約0℃の間の温度で工程(b)の処方をアニールする工程と、(d)約−35℃から約10℃の間の温度で工程(c)の処方を乾燥させる工程と、(e)約25℃から約70℃の間の温度で工程(d)の処方をアニールする工程と、(f)工程(e)で使用した温度と同じかまたはそれよりも低い温度で工程(e)の処方を乾燥させる工程とを含み、それによって凍結乾燥生成物が提供されるプロセスによって生成された、凍結乾燥生成物を提供する。このプロセスによって凍結乾燥される処方中の活性成分は、タンパク質、核酸、またはウイルスを含むことができる。さらに、工程(f)の後、凍結乾燥した生成物中のグリシンは、工程(e)の前よりも結晶化することができる。
ある態様では、本発明は、(a)グリシンおよび塩化ナトリウムを含む処方を提供する工程と、(b)この処方を凍結させる工程と、(c)所望により、約−20℃から約−10℃の間の温度で工程(b)の処方をアニールする工程と、(d)約−5℃から約5℃の間の温度で工程(c)の処方を乾燥させる工程と、(e)約35℃から約60℃の間、または約35℃から約50℃の間の温度で工程(d)の処方をアニールする工程と、(f)工程(e)で使用した温度と同じかまたはそれよりも低い温度で工程(e)の処方を乾燥させる工程とを含み、それによって凍結乾燥生成物が提供されるプロセスによって生成された、凍結乾燥生成物を提供する。別の態様では、工程(f)の後、凍結乾燥した生成物中のグリシンは、実質的に完全に結晶化し、または工程(e)がない場合よりも結晶化する(または2次乾燥前に高温アニーリング工程を含まない凍結乾燥法よりも、結晶化する)。別の態様では、凍結乾燥生成物は、高い貯蔵温度または促進温度で、長期間にわたり実質的に安定である。長期間とは、例えば少なくとも1カ月、3カ月、6カ月、1年、またはそれ以上とすることができる。高い貯蔵温度または促進温度とは、例えば約25℃から約50℃の間とすることができる。安定性は、例えば、凍結乾燥生成物中に存在するHMV部分のパーセント、活性成分の濃度、または活性成分の活性によって試験することができる。
(図面の簡単な説明)
図1は、サイクルLyo G、H、またはIに従い凍結乾燥した処方1の、固体ケークの代表的な示差走査熱量測定(DSC)の、第1の走査(図1A)および第2の走査(図1B)を示す(処方1、2、および3の含量に関して表2を参照;Lyo G、H、およびIのサイクルの各工程に関して表3、4、および5を参照;実験の説明に関して実施例1を参照)。結晶化の現象は、サイクルLyo G、H、およびIに従い凍結乾燥した処方1の、固体ケークの第1の走査で観察したが、これは、ケーク中の完全なまたは実質的な結晶化が不十分であることを示している。図に示すように、DSCの第1の走査が結晶化を示す場合、これは、完全なまたは実質的に完全な結晶化が、凍結乾燥したケークでは生じなかったことを示す。したがって第1の走査は、結晶化現象が生じたことを示し、第2の走査は、発熱現象が再結晶化であったことを確認する。
図2は、サイクルLyo G、H、またはIに従い凍結乾燥した処方2の、固体ケークの代表的なDSCの第1の走査(図2A)および第2の走査(図2B)を示す(処方1、2、および3の含量に関して表2を参照;Lyo G、H、およびIのサイクルの各工程に関して表3、4、および5を参照;実験の説明に関して実施例1を参照)。結晶化現象は、サイクルLyo G、H、およびIに従い凍結乾燥した処方2の、固体ケークの第1の走査で観察したが、これは、ケーク中の完全なまたは実質的な結晶化が不十分であることを示している。第2の走査は、第1の走査で観察された発熱現象が結晶化であることを確認する。さらに、第2の走査は転移Tを示していなかった。
図3は、サイクルLyo G、H、またはIに従い凍結乾燥した処方3の、固体ケークの代表的なDSCの、第1の走査(図3A)および第2の走査(図3B)を示す(処方1、2、および3の含量に関して表2を参照;Lyo G、H、およびIのサイクルの各工程に関して表3、4、および5を参照;実験の説明に関して実施例1を参照)。結晶化現象は、サイクルLyo G、H、およびIに従い凍結乾燥した処方3の、固体ケークの第1の走査で観察したが、これは、ケーク中の完全なまたは実質的な結晶化が不十分であることを示している。第2の走査は、第1の走査で観察された発熱現象が結晶化であることを確認する。さらに、第2の走査は転移Tを示していなかった。
図4は、サイクルLyo Jに従い凍結乾燥した処方4(「fix927lyoJ.001」、一点鎖線)、処方5(「fix50250lyoja.001」、非破線)、および処方6(「fix50270lyoja.001」、破線)の、固体ケークのDSCの第1の走査(図4A)および第2の走査(図4B)を示す(処方4、5、および6の含量に関して表7を参照;Lyo J、K、およびLのサイクルの各工程に関して表8、9、および10を参照;実験の説明に関して実施例2を参照)。表11は、実施例2におけるDSCの、第1および第2の走査データをまとめたものであり、Lyo Jに従い凍結乾燥した処方5および6は、第1の走査で結晶化を示したが、第2の走査では転移Tを示さなかった。
図5は、サイクルLyo Kに従い凍結乾燥した処方4(「fix927yoK.002」、一点鎖線)、処方5(「fix50250yok.001」、非破線)、および処方6(「fix50270yok.001」、破線)の、固体ケークのDSCの第1の走査(図5A)および第2の走査(図5B)を示す(処方4、5、および6の含量に関して表7を参照;Lyo J、K、およびLのサイクルの各工程に関して表8、9、および10を参照;実験の説明に関して実施例2を参照)。図5Cは、Lyo Kサイクルによって凍結乾燥した処方4(「fix927lyoK」)の、固体ケークに関する別の第2の走査から得たデータを示す。表11は、実施例2におけるDSCの、第1および第2の走査データをまとめたものであり、Lyo Kに従い凍結乾燥した処方4、5、および6は、第1の走査で結晶化を示さなかったが、第2の走査では転移Tを有していた。
図6は、サイクルLyo Lに従い凍結乾燥した処方4(「fix927lyol.001」、一点鎖線)、処方5(「fix50250lyoL.001」、非破線)、および処方6(「fix50270lyol.001」、破線)の、固体ケークのDSCの第1の走査(図6A)および第2の走査(図6B)を示す(処方4、5、および6の含量に関して表7を参照;Lyo J、K、およびLのサイクルの各工程に関して表8、9、および10を参照;実験の説明に関して実施例2を参照)。図6Cは、Lyo Lサイクルによって凍結乾燥した処方4(「fix927lyoL」)の、固体ケークに関する別の第2の走査から得たデータを示す。表11は、実施例2におけるDSCの、第1および第2の走査データをまとめたものであり、Lyo Lに従い凍結乾燥した処方4、5、および6は、第1の走査で結晶化を示さなかったが、第2の走査では転移Tを有していた。
図7は、凍結乾燥前の処方と、Lyo J、K、およびLに従い凍結乾燥した処方4、5、および6の、凍結乾燥後のケーク中に存在する、高分子量の化学種のパーセントを示す(実施例2参照)。各処方ごとに、10個のバイアルについて試験をし、3重にアッセイを行った。「PCTRL」は、凍結乾燥前の処方4を示し、「CTRL」は、凍結乾燥後の処方4を示す。「P50/250」は、凍結乾燥前の処方5を示し、「50/250」は、凍結乾燥後の処方5を示す。「P50/270」は、凍結乾燥前の処方6を示し、「50/270」は、凍結乾燥後の処方6を示す。
図8は、凍結乾燥前の処方と、Lyo J、K、およびLに従い凍結乾燥した処方4、5、および6の凍結乾燥後のケークにおける、第IX因子タンパク質の凝固活性(図8A)および凝固活性の回復パーセント(図8B)を示す(実施例2参照)。処方ごとに、凍結乾燥後の処方当たり8個のバイアルについて試験をした。4mLの充填物質と5mLの復元希釈物質によれば、80%の回復が図8Bで予測される最高の回復値である。
図9は、凍結乾燥前の処方と、Lyo J、K、およびLに従い凍結乾燥した処方4、5、および6の凍結乾燥後のケークにおける、第IX因子タンパク質の比活性の回復パーセントを示す(実施例2参照)。
図10は、Lyo Gに従い凍結乾燥した処方2のケーク(図10A)と、Lyo Lに従い凍結乾燥した処方6のケーク(図10B)の、X線回折(XRD)パターンを示す。XRDパターンは、凍結乾燥したサンプル中に、結晶質グリシンが存在することを示す。さらに、XRDパターンは、Lyo Lによって凍結乾燥したグリシン/塩化ナトリウム処方が、Lyo Gによって凍結乾燥したグリシン/塩化ナトリウム処方よりも結晶性の高い材料を有するという、定性的パターンを示す。XRDのピーク高さは、結晶化度と相関関係があり、より高いピークは、より結晶性の高い材料の存在を反映している。
図11は、Lyo Qに従い凍結乾燥した処方7のケークの、XRDパターンを示す(実施例3参照)。Lyo Qに関するXRDパターンを、Lyo Gに関するXRDパターンと比較する。Lyo Gは、Lyo Gが50℃の熱処理を行わないこと以外、Lyo Qと同じ凍結乾燥サイクルパラメータを含むので、比較のために使用した。XRDパターンの比較では、17.5°のピーク強度によって観察することができるように、Lyo Qによる凍結乾燥がグリシン結晶化の増大をもたらすことを示す。
(発明の詳細な説明)
本発明は、医薬処方を凍結乾燥させるための、改善されたプロセスに関する。凍結乾燥は、一部には分解を遅くしまたは防ぐことによって活性成分(タンパク質、核酸およびウイルスなど)の安定化を助けるので、重要である。本発明の方法は、凍結乾燥工程中の、改善された賦形剤結晶化をもたらし、それによって、凍結乾燥した生成物の安定性および効率が改善されるようにする。結晶化賦形剤がタンパク質または薬物含有非晶質相に残される場合、賦形剤は、この相のガラス転移温度(T)を低下させるので、通常は凍結乾燥後に、結晶化賦形剤が完全な結晶質になることが望ましい。Tが低下した非晶質相は、増大した分子移動度を有する可能性がある。増大した分子移動度は、分解反応速度を増大させる可能性がある。したがって、薬物が非晶質相内にあることが予測される場合、この相のガラス転移温度を上昇させることによって、安定性が高まることになる。逆に言えば、不十分な凍結乾燥法のため非晶質相内に残されたままの結晶化していない賦形剤により、ガラス転移温度が低下した処方は、より乏しい安定性を有することが予測される。
従来技術の方法は、1次乾燥の前に、摂氏氷点下の温度で実施されるアニーリング工程を通して、賦形剤を結晶化した。しかし、この氷点下アニーリングプロセスは遅く、完全な結晶化を常にもたらすとは限らない。特に、グリシンと塩化ナトリウムとの混合は、どの賦形剤の結晶化も阻害し、そのような低温アニーリングプロセスが賦形剤の結晶化を高めるのに不十分であるので、より長いサイクルが必要とされる。対照的に、本発明は、賦形剤の結晶化を高めるのに複数の氷点下アニーリング工程を必要としなくなるように、2次乾燥の前に高温アニーリング工程を導入する方法を提供する。さらに、タンパク質やウイルス、核酸などの活性成分は、本質的に熱に対し不安定であり、高温に曝すことによって分解が生じるようになるが、本発明は、高温アニーリングが活性成分の分解または不安定性を引き起こさないという、意外な発見をもたらすものである。したがって本発明は、グリシンと塩化ナトリウムの両方を含んだ処方の賦形剤結晶化を高める工程を含む、凍結乾燥中の賦形剤の結晶化を高めるのに効率的な方法を提供する。
本明細書で使用する「凍結乾燥」、「凍結乾燥した」、および「フリーズドライした」という用語は、溶液を「凍結し」、その後に「乾燥させる」などのプロセスに関する。一般に、本発明の凍結乾燥法は、下記の工程、すなわち(1)凍結させる工程と、(2)1次乾燥させる工程と、(3)約25℃よりも高い温度で高温アニールする工程と、(4)高温アニーリング工程での温度と同じかそれよりも低い温度で2次乾燥させる工程とを含む。1つまたは複数の所望の低温アニーリング工程は、1次乾燥の前に実施することができ、所望の再凍結工程は、低温アニーリング工程の後に実施することができる。
本発明は、2次乾燥前の高温アニーリング工程が活性成分を不安定化しないという意外な発見をもたらし、したがって本発明は、より効率的、実用的、または堅固な凍結乾燥プロトコルを提供しながら、賦形剤の結晶化を改善することができる。本発明の凍結乾燥法によれば、従来の方法よりも結晶化度が増大した充填剤が可能になり、それと同時に活性成分の安定性および活性を維持することができる。本発明は、時々、完全な賦形剤の結晶化の目的について言及するが、現行の技術感度では、賦形剤を100%結晶化するという絶対的な確実性を知らせることができないので、当業者なら、「完全な結晶化」を検証することが困難であることが理解される。したがって、実際的な言い方をすれば、本発明は、従来の方法よりも賦形剤の結晶化を改善する凍結乾燥法を、提供する。したがって、本明細書で使用する凍結乾燥生成物の「完全な結晶化」は、例えば、示差走査熱量測定(DSC)によって評価することができ、当業者なら、第1の走査における不可逆的発熱現象が結晶化現象を示し、これは結晶化賦形剤が凍結乾燥中に完全には結晶化しなかったことを示していることが、理解される(実施例参照)。
(凍結乾燥プロセス)
凍結乾燥サイクルは、伝統的に、3つの段階を含み、すなわち凍結(熱処理)と、1次乾燥(昇華)と、2次乾燥(脱着)とを含む。様々な実施形態では、本発明は、2次乾燥の前に1つまたは複数のアニーリング段階を導入することによって、伝統的な凍結乾燥プロセスを改善するが、この場合、アニーリング段階および乾燥段階は、特定の温度範囲で行う。本発明では、凍結乾燥プロセスの特定の温度および温度範囲は、他に特に示さない限り、凍結乾燥機の棚温度を指す。棚温度は、凍結乾燥機の棚内を流れる冷却剤の、制御温度を指し、これは、凍結乾燥中の温度について制御するものである。サンプルの温度(生成物温度)は、棚温度、チャンバ圧、および1次乾燥中の蒸発/昇華速度に依存する(蒸発冷却は、生成物温度を棚温度よりも低くする)。本発明は、例えば、より一貫して安定な審美的に許容される生成物を提供するために、改善された凍結乾燥プロセスを提供する。
本発明では、パーセンテージは、固体を指す場合には重量/重量で表し、液体を指す場合には重量/容量で表す。
(定型用語)
医薬処方を冷却する際の氷(溶媒結晶)の形成は、全ての溶質を濃縮する。溶質の濃縮によりその溶液は液体からガラスへと最終的に変化する。この凍結濃縮溶液に関する可逆的転移温度を、最大限に凍結濃縮した溶液のガラス転移温度T’と呼ぶ。この温度は、ガラス変態温度とも呼ばれる。T’は、純粋なポリマーの真のガラス転移Tの軟化点から、この転移を区別するのに使用する。崩壊温度Tcolは、凍結母材中の間隙水が著しく移動するようになる温度である。参考のため、表1に、いくつかの一般に使用される賦形剤および緩衝剤(およびタンパク質、これらのタンパク質は、処方活性成分ではなく、むしろ処方への追加の要素である)を列挙する。
Figure 2007526329
水性処方の温度が0℃よりも下まで低下する場合、水は通常、最初に結晶化する。凍結速度に応じて、処方における溶解度が最も低い結晶化可能な成分を、次に結晶化することができる。この温度(処方中の結晶化可能な成分が結晶化する温度)を、結晶化温度と呼ぶ。溶解性が最も低い成分の結晶化後、水性処方の温度がさらに低下する場合、結晶化可能な成分および水が、混合物として同時に結晶化する。この温度を、共晶化/融解温度、Teutと呼ぶ。賦形剤の相互作用により、いくつかの多成分処方は、Teutを示さない。
(凍結)
凍結乾燥の第1の工程は、凍結工程である。処方またはサンプルを固体に凍結し、材料の水分を氷に変換する。一実施形態では、水性医薬処方の凍結を、−10℃未満の温度で実施することができる。別の実施形態では、凍結を、−35℃でまたはこれよりも低い温度、すなわち−50℃で、実施することができる。本発明では、凍結温度(棚温度の場合のように)が、例えば約−35℃から約−50℃の間の目標温度に到達したら、サンプルが凍結するまで、すなわち約1時間から約24時間、約3時間から約12時間、約5時間から約10時間、または約5時間、凍結温度を維持する(「凍結維持」工程)。凍結時間は、処方の組成とは無関係に、バイアル当たりの溶液の容量などの要因に応じて異なる。
(低温アニーリング(任意の工程))
本発明では、低温アニーリング工程は、任意選択である。従来の方法では、結晶化可能な成分が完全にまたは十分に結晶化できないので、乾燥前に1つまたは複数の低温アニーリング工程を使用した。しかし、これら従来の方法は、その低温アニーリング工程が、長くまたは複数のサイクルを必要とするので非効率的であったが、これら従来の方法は、十分なまたは完全な結晶化を促進させるのに不十分である。
処方成分の完全な結晶化は、必要なケーク構造を提供することができ、または活性成分は、完全に結晶化された処方中でより安定になることができる。グリシンなど、結晶化可能な成分の非晶質相から除去することにより、非晶質相のT’を高めることができる。T’が高くなると、より高い温度でより効率的な1次乾燥を行うことができる。さらに、賦形剤のより完全な結晶化は、凍結乾燥後のTも高めることができ、これは、活性成分の安定性に極めて重要なことである。
本発明では、低温アニーリング工程を、約−35〜約0℃の温度で、または約−25℃から−10℃の間、または約−20℃から−10℃の間で実施することができる。一実施形態では、低温アニーリング工程を、約−15℃の温度で実施する。
低温アニーリング工程の温度は、凍結工程(「凍結維持」とも呼ぶ)から温度を高めることによって得られる。凍結温度から低温アニーリング温度への温度の上昇を調節するプロセスを、「アニーリングランプ」工程と呼び、これは本発明では所望によるものである。アニーリングランプ工程は、例えば毎分約0.1℃から約5℃の、種々の速度で実施することができる。
(再凍結(所望による工程))
本発明の凍結乾燥法は、低温アニーリング工程後に再凍結工程を含むという選択肢も包含する。再凍結工程は、約1〜10時間、3〜7時間、または5時間にわたり、約−35℃から約−50℃の間の凍結温度(凍結維持温度)で実施することができる。再凍結ランプ工程は、例えば、毎分約−0.5℃から−5℃の速度で実施することができる。
(真空の開始)
1次乾燥の直前に、処方を、1次乾燥直前の工程温度の真空中に置く。この工程を、「真空の開始」と呼ぶ。したがって、例えば再凍結工程が1次乾燥の前である場合、真空の開始は再凍結工程温度で行われる。真空は、約20から約300ミクロンの間のレベルにすることができる。真空が開始されると、真空は、凍結乾燥プロセスの残りに対してもたらされるが、真空レベルは変えることができる。
(1次乾燥)
乾燥は、2段階に、すなわち1次乾燥と2次乾燥とに分かれる。1次乾燥は、凍結水を除去し(氷の昇華)、2次乾燥は、凍結していない「結合」水を除去する(水の脱着)。1次乾燥では、その目的が、結合しておらずまたは容易に除去される氷をサンプルから除去することである。1次乾燥工程開始時の非結合水は、固体から蒸気に直接変換することによって除去される、自由な氷(free ice)の形をとるべきであり、この変換プロセスを、昇華と呼ぶ。
本発明では、1次乾燥工程を、約−35℃から約20℃の間、または約−25℃から10℃の間、または約−20℃から0℃の間の温度で実施することができる。一実施形態では、1次乾燥工程を0℃で実施する。
1次乾燥前の工程から1次乾燥温度への温度上昇の調節を、「1次乾燥ランプ」工程と呼ぶが、これは所望による工程である。1次乾燥ランプ工程は、毎分約0.1℃から約5℃の速度で実施することができる。
1次乾燥工程は、凍結水の実質的に全てがサンプルから確実に除去されるのに十分な時間、実施することができる。1次乾燥の所要時間は、充填容量および幾何形状(ケークの表面積−抵抗/流束)に応じて変わるので、当業者なら、1次乾燥時間が構成と共に変化することが理解されよう。一実施形態では、1次乾燥の所要時間が10時間よりも長く、別の実施形態では、約10から約100時間である。別の実施形態では、1次乾燥の所要時間が、約30から50時間である。別の実施形態では、1次乾燥の所要時間が38時間である。
1次乾燥工程の終了をモニタするために、いくつかの方法を使用することができる。ある方法は、凍結乾燥中の生成温度の変化を観察することである。別の方法は、チャンバ圧の変化を観察することであり、この場合、昇華が終了すると、圧力変化に寄与する水分子がチャンバ内にもはや存在しない。1次乾燥工程の終わりは、生成物(サンプル)温度が棚温度に近付くときであり、これは、昇華速度が遅くなったことによる、生成物温度の足跡の勾配の著しい変化によって明示され、昇華が終了したときに、蒸発冷却が終了する。早めに終了するのを防ぐため、余分に2から3時間の1次乾燥を、所要時間に加えることができる。1次乾燥の終了をモニタする別の方法は、圧力上昇試験である。真空源を切り離すことによって、チャンバ圧は、生成物中の水分量に応じた速度で上昇すべきである。1次乾燥プロセスの終わりは、圧力上昇速度が指定された値よりも低いときとして設定することができる。1次乾燥工程の終わりを決定するための別の方法は、熱伝達速度の測定である(Jennings,T.A.,Duan,N.(1995),J.Parent.Sci.Technol.,49,272−282)。
(高温アニーリング)
本発明の方法は、2次乾燥の前に、1つまたは複数の高温アニーリング(または熱処理)工程を含む。従来の方法は、2次乾燥を高温で実施する場合、1次乾燥の前に氷点下アニーリング工程が必要であることを報告している。しかし本発明は、高温2次乾燥を行うために氷点下アニーリング工程を必要としない方法を、開示する。本発明は、2次乾燥中または2次乾燥の直前に高温アニーリング工程を行う場合、高温乾燥前の氷点下アニーリング工程が必要でないと決定した。本発明は、高温アニーリング工程が、グリシンの結晶化も含めた賦形剤の結晶化を高め、それと同時に活性成分の安定性も維持されると決定した。
したがって本発明は、高温アニーリング工程を約25℃よりも高い温度で実施する、2次乾燥前の高温アニーリング工程を提供する。一実施形態では、高温アニーリング工程の温度が、約25℃から約75℃であり、または約35℃から約60℃である。別の実施形態では、高温アニーリング工程を、約50℃の温度で実施する。その他の実施形態では、高温アニーリング工程を、約25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、または60℃の温度で実施する。別の実施形態では、アニーリング工程の温度は、結晶化現象の始まりに対応する、示差走査熱量測定によって観察される温度で、またはその温度よりも高い温度である。当業者なら、結晶化動態がより遅くてよく、かつ工程所要時間がより長くてよいことを理解して、結晶化開始温度よりもわずかに低い温度の使用を考えることができる。結晶化動態はより速く、かつ工程所要時間はより短くてよいので、結晶化開始温度よりも高い温度が好ましい。
1次乾燥から高温アニーリングへの温度上昇の調節を、「高温アニーリングランプ」と呼び(1つの温度維持から別の温度維持への変化は、本質的に何がしかのランピングを含むので、ランプ工程は、本明細書では暗黙的なものである)、毎分約0.1から約20℃の速度で実施することができる。
高温アニーリング工程の所要時間は、充填容量も含めた多くの要因に依存する。高温アニーリング工程は、例えば、1時間から約24時間にわたり実施することができる。一実施形態では、高温アニーリング工程は、約1時間から約15時間実施する。別の実施形態では、高温工程を、約10時間実施する。驚くべきことに、本発明の高温アニーリング工程は、タンパク質の安定性または活性に悪影響を及ぼさない(実施例2参照)。これは、タンパク質が熱に対し不安定であることが知られているので、意外なことである。さらに、実施例2は、高温アニーリング工程が賦形剤(この実施例では、グリシン)の結晶化の増大を引き起こすことを示している。
(2次乾燥)
全ての自由な氷が、前述の昇華プロセスによって除去されたとしても、サンプルは依然として、その構造の完全性および保存寿命を制限するのに十分な結合水を、含有する可能性がある。2次乾燥中、生成物中の固形分に結合した水は、蒸気に変換される。これは、残留する結合水が、同じ温度で遊離した液体よりも低い圧力を有するので、ゆっくりとしたプロセスにすることができる。いくらかの結合水は、従来の乾燥およびアニーリング法の間に除去されるが、最終生成物の所望の生物学的および構造的特徴を提供する十分に低い残留水分レベルを実現するために、自由な氷を除去した後に2次乾燥が必要である。
凍結乾燥プロセスに応じて、マンニトールはマンニトール水和物として結晶化する可能性がある。貯蔵により、マンニトール水和物を結晶質マンニトールに変換することができ、水が放出される。次いで放出された水は、(1)化学反応に寄与する可能性があり、(2)非晶質相のTを低下させる可能性があり、それによって、より高い分子移動度および分解反応が生じる可能性がある。高温アニーリング工程は、結晶質マンニトール水和物を結晶質マンニトール変換するのに使用することができ、したがって残留する水は、2次乾燥中に除去することができる。
本発明では、2次乾燥工程を、高温工程で使用した温度と同じかまたはそれよりも低い温度で実施することができる。一実施形態では、2次乾燥工程を、約0℃から35℃未満の温度で、または約15℃から約35℃の温度で実施する。別の実施形態では、2次乾燥工程を、約25℃で実施する。
高温アニーリング工程から2次乾燥工程までの温度低下を調節する工程を、「2次乾燥ランプ」と呼び、これは本発明において所望による工程である。2次乾燥ランプ工程は、毎分約0.1℃から約10℃の温度低下速度で実施することができる。
2次乾燥工程は、凍結乾燥した生成物中の残留水分レベルを所望のレベルまで低下させるのに十分な時間、実施することができる。本発明では、所望の残留水分レベルは2%未満である。一実施形態では、この方法によって生成された凍結乾燥した生成物の残留水分レベルは、1%、0.75%、0.5%、0.25%、または0.10%未満である。サンプル中の残留水分レベルを決定するには、カールフィッシャー法を使用することができる。さらに、圧力上昇試験または熱伝達速度の測定を使用して、2次乾燥工程の終わりを決定することもできる。あるいは、電子湿度計または残留ガス分析器を使用してもよい(Nail,S.L.,Johnson,W.,(1992)Dev.Biol.Stand.74,137−150)。また、2次乾燥の最小限の所要時間は、棚温度(2次乾燥工程の棚温度は、高温工程で使用した温度と同じかまたはそれよりも低い温度である)と所要時間との種々の組合せを使用することによって、体系的に決定することができる。凍結乾燥処方の残留水分は、乾燥減量、カールフィッシャー滴定、熱重量分析(TGA)、ガスクロマトグラフィ(GC)、または赤外分光法を含めたいくつかの方法によって、決定することができる。
(凍結乾燥処方)
凍結乾燥される処方は、3つの基本的な成分、すなわち(1)活性成分と、(2)賦形剤と、(3)溶媒とを含む。賦形剤は、生物活性の十分な保持が維持されるように(タンパク質の安定性など、活性成分の安定性を含む)、良好な凍結乾燥ケーク特性を提供すると共に(充填剤)、貯蔵中の、タンパク質の凍結保護および/または低温保護(lyoprotection/cryoprotection)(「安定化剤」)、pHの維持(緩衝剤)、およびタンパク質の適正な高次構造を提供するために、医薬品として許容される試薬を含む。したがって、賦形剤に関し、処方の例には、緩衝剤、充填剤、タンパク質安定化剤、および抗菌剤の、1種または複数を含めることができる。活性成分は、例えば、試薬または治療薬を指す。活性成分が薬物を指す場合、薬物の活性は、その効力に関する。活性成分が試薬を指す場合、試薬の活性は、その反応性を指す。
(糖/ポリオール)
多くの糖またはポリオールは、溶液中、および凍結融解中、および凍結乾燥中に、非特異的タンパク質安定化剤として使用される。糖またはポリオールによって得られた安定化剤レベルは、一般に、その濃度に依存する。一実施形態では、本発明は、開示された方法により凍結乾燥される処方中で、二糖を使用することを企図する。二糖には、トレハロース、スクロース、マルトース、およびラクトースを含めることができるが、これらに限定するものではない。使用することができるその他の糖またはポリオールには、グリセロール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、グルコース、イノシトール、ラフィノース、およびマルトトリオースが含まれるが、これらに限定するものではない。マンニトールは、充填剤として使用することもできる結晶化ポリオールである。
(ポリマー)
ポリマーは、溶液中、凍結融解中、および凍結乾燥中に、タンパク質を安定化するのに使用することができる。ある一般的なポリマーは、低温保護剤として、かつ凍結保護剤としても使用されてきた血清アルブミンである。しかし、血液由来の病原体に関する問題が、治療および治療関連製品への血清アルブミンの利用を制限している。したがって、一実施形態では、本発明は、開示された方法によって凍結乾燥された、アルブミンを含まない処方を提供する。その他のポリマーには、デキストラン、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ゼラチン、ポリエチレングリコール(PEG)、およびポリビニルピロリドン(PVP)が含まれるが、これらに限定するものではない。ポリマーは、非晶質相を形成するので、結晶化賦形剤ではない。
(非水性溶媒)
非水性溶媒は、一般に、溶液中のタンパク質を不安定にする。低濃度で、ある非水性溶媒は安定化効果を得ることができる。これらの安定化非水性溶媒には、PEGやエチレングリコール、グリセロールなどの多価アルコールと、ジメチルスルホキシド(DMSO)やジメチルホルムアミド(DMF)などの、いくらかの極性および非プロトン性溶媒とが含まれる。しかし、非水性溶媒は、本発明で使用するのに好ましくない。
(界面活性剤)
凍結中の、氷−水の界面の形成は、タンパク質の表面変性を引き起こす可能性がある。界面活性剤は、タンパク質溶液の表面張力を低下させ、これら界面でのタンパク質の吸着および/または凝集の推進力を低下させる可能性がある。また、界面活性剤は、凍結乾燥中に、氷/水の界面において活性成分と競合する可能性もある。界面活性剤には、例えば、Tween 80(商標)(ポリソルベート80;その他のポリソルベートも考えられる)、Brij(登録商標)35、Brij 30(登録商標)、Lubrol−px(商標)、Triton X−10(商標)、Pluronic(登録商標)F127、およびドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含めることができる。
(充填剤としての塩)
様々な塩を、充填剤として使用することができる。例示的な塩の充填剤には、例えば、NaCl、MgCl、およびCaClが含まれる。
(アミノ酸)
あるアミノ酸は、低温保護剤および/または凍結保護剤および/または充填剤として、使用することができる。使用することができるアミノ酸には、グリシン、プロリン、4−ヒドロキシプロリン、L−セリン、グルタミン酸ナトリウム、アラニン、アルギニン、および塩酸リジンを含めることができるが、これらに限定するものではない。ジリジンも含めた、ジアミノ酸またはトリアミノ酸などの短鎖アミノ酸を、使用してもよい。ほとんどのアミノ酸は、一般に容易に結晶化するので、潜在的な充填剤である。しかし、酸塩の形成は、結晶化する傾向を低下させる。さらに、タンパク質処方中の非晶質賦形剤は、充填剤の結晶化を阻害する可能性があり、そのためタンパク質の安定性に影響を及ぼす。したがって、従来の方法では、NaClが低い共晶温度およびガラス転移温度を有するので、グリシンとNaClとの組合せが好ましくなかった。本発明において、その方法は、従来の氷点下アニーリング工程を用いない高温アニーリング工程および高温2次乾燥工程を提供し、それによって、塩化ナトリウムの存在下で配合する場合であっても、グリシンの結晶化度が増大する。
(緩衝剤)
広いpH範囲を包含する多くの緩衝剤を、処方において選択することができる。緩衝剤には、例えば、酢酸塩、クエン酸塩、グリシン、ヒスチジン、リン酸塩(ナトリウムまたはカリウム)、ジエタノールアミン、およびTrisが含まれる。緩衝剤は、凍結乾燥前に溶液のpHを許容範囲内に維持する薬剤を包含する。
上限濃度は、一般に、「投薬」タンパク質形態の場合よりも、「バルク」タンパク質形態の場合のほうが高い。例えば、緩衝剤濃度は、数ミリモルからその溶解度の上限にまで及ぶことができ、例えばヒスチジンは、200mM程度に高くすることができるが、当業者なら、妥当で生理的に適した濃度を実現し/維持することも考慮するであろう。
(活性成分)
本発明の方法によって凍結乾燥した処方は、本質的に、タンパク質や核酸、ウイルス、およびこれらの組合せなど、任意の活性成分を含むことができる。タンパク質には、例えば、凝固因子、成長因子、サイトカイン、抗体、およびキメラ構造を含めることができる。タンパク質に関し、処方中に存在する活性成分は、組換えタンパク質、または生物から分離したタンパク質とすることができる。
(グリシン/NaCl処方)
従来の凍結乾燥法によれば、グリシンの存在下(典型的な場合、約2%、すなわち約250mM)で塩化ナトリウムを約20mM以上含む処方では、グリシンの結晶化が塩化ナトリウムによって阻害される。30mMよりも多いNaClを含む処方では、従来の凍結乾燥法を使用した場合、グリシンの結晶化が著しく減じられる。対照的に、本発明は、塩がアミノ酸賦形剤(例えば、塩化ナトリウムおよびグリシン)の結晶化を実質的に阻害しない、凍結乾燥法を提供する。
(第IX因子処方)
一実施形態では、本発明は、開示されたプロセスにより形成された、凍結乾燥した第IX因子生成物を提供する。本発明の方法によって凍結乾燥させることができる、適切な第IX因子処方には、米国特許第6372716号、米国特許第5770700号、および米国特許出願公開No.US2001/0031721に開示されている第IX因子処方が含まれる。
例えば、凍結乾燥させることができる第IX因子処方は、第IX因子、充填剤、および低温保護剤を含む。第IX因子濃度は、例えば、約0.1mg/mLから約20mg/mL(約20から少なくとも4000U/mLに等しい)、または約0.4mg/mLから約20mg/mLにすることができる。第IX因子処方用の充填剤には、例えば、グリシンおよび/またはマグネシウム塩、カルシウム塩、ナトリウム塩、または塩化物塩を含めることができ、その場合、充填剤の濃度は約0.5mMから約400mMである。一実施形態では、充填剤がグリシンであり、そのグリシンの濃度は、約0.1Mから約0.3M、約0.2Mから約0.3M、または約0.25Mから約0.27Mである。別の実施形態では、充填剤は、約0.25Mから約0.27Mの濃度のグリシンと、約50mMの濃度の塩化ナトリウムである。第IX因子処方に適した低温保護剤には、例えば、マンニトールやスクロースなどのポリオールが、約0.5%から約2%の濃度で含まれる。第IX因子処方は、さらに、凍結工程中に低温保護剤として働くこともできる、ポリソルベート(例えばTween−80)やポリエチレングリコール(PEG)などの界面活性剤および/または洗浄剤を含むことができる。界面活性剤は、約0.005%から約0.05%に及んでよい。賦形剤の濃度は、例えば、約250mOsMから約350mOsM、または約300mOsM±50mOsMの混合浸透圧を有することができ、さらに、生理的に適切なpH、例えば約6.0から8.0の範囲内のpHを維持するのに適した緩衝剤を含有することができる。緩衝剤には、例えば、目標pHが約6.5から約7.5である、ヒスチジン、リン酸ナトリウム、またはリン酸カリウムを、全て約5mMから約50mMで含めることができる。一実施形態では、第IX因子処方は、第IX因子、10mMのヒスチジン、1%のスクロース、50mMの塩化ナトリウム、0.005%のポリソルベート80、および250から270mMのグリシンを含む。復元した凍結乾燥第IX因子処方中の、最終的なNaCl濃度は、第IX因子処方を投与したときに赤血球凝集/集合を低下させるため、≧40mMであるべきである。したがって、一実施形態では、本発明の方法によって凍結乾燥した第IX因子処方が、少なくとも40mMの塩化ナトリウムを含む。
例示的な実施形態で本明細書に開示されている、本発明の原理の変形例は、当業者によってなされることが理解されかつ予測され、またそのような修正例、変更例、および置換例は、本発明の範囲内に含まれるものとする。
以下に述べる実施例は、本発明のいくつかの実施形態を例示する。これらの実施例は、例示のみを目的とし、限定を意味するものではない。
(実施例)
(実施例1)
(高温アニーリングのない凍結乾燥法)
グリシンの結晶化を増大させ、かつタンパク質の安定性を維持する凍結乾燥法を特定するために、3つの異なる凍結乾燥サイクルを実施した。調査をした別の利益には、凍結乾燥した生成物が1%未満の残留水分を有するか否かが含まれていた。この実施例で行われた凍結乾燥サイクルを、表3、4、および5にそれぞれ示されるように、「Lyo G」、「Lyo H」、および「Lyo I」と表記する。これらのサイクルは、高温アニーリング工程を含まず、その結果、グリシンの結晶化は完全ではなく、または高温アニーリング工程を含む方法に比べてそれほど完全ではなかった。さらに、高温アニーリング工程のないサイクルは、残留水分が2%未満の凍結乾燥生成物をもたらした。
表2は、この実施例で使用した3種の処方を示す。各処方は、pH6.8で、第IX因子を250 IU/mL含有していた。
Figure 2007526329
表3、4、および5は、Lyo G、H、およびIに関する凍結乾燥工程を示す。全てのバイアルに、真空中で栓をした。
Figure 2007526329
Figure 2007526329
Figure 2007526329
処方1、2、および3を、それぞれ2つずつ、Lyo G、Lyo H、およびLyo Iのプロトコルに従って凍結乾燥した。次いで、凍結乾燥した各生成物の残留水分を、カールフィッシャー法を使用して評価した。表6からわかるように、Lyo GもLyo Hも、またLyo Iも、水分が1%未満になるように処方を凍結乾燥しなかった。
Figure 2007526329
さらに、Lyo G、H、およびIのプロトコルによって生成された、凍結乾燥した処方1、2、および3のケークについて、完全な結晶化の評価をした。完全な結晶化の評価は、DSCによって実施した。第1の走査で観察されたものは(図1A、2A、および3A)、不可逆的発熱現象である。第2の走査では発熱現象がないので、これは不可逆的であることが確認される。当業者なら、この不可逆的発熱現象が結晶化現象を表すことが、理解される。これは、結晶化賦形剤が、凍結乾燥中に完全に結晶化しなかったことを示している。図1Aは、凍結乾燥した処方1に関する第1の走査を示し、図1Bは、その第2の走査を示し、これらの走査は、Lyo G、H、およびIを表している。図2Aは、凍結乾燥した処方2に関する第1の走査を示し、図2Bは、その第2の走査を示し、これらの走査は、Lyo G、H、およびIを表している。図3Aは、凍結乾燥した処方3に関する第1の走査を示し、図3Bは、その第2の走査を示し、これらの走査は、Lyo G、H、およびIを表している。図1、2、および3で観察できるように、Lyo G、H、およびIのプロトコルによって調製された、凍結乾燥したサンプルの全ては、第1の走査中で結晶化現象を示しており(第2の走査中に転移はない)、これは、凍結乾燥中にグリシンが完全に結晶化していないことを示している。
(実施例2)
(高温アニーリングを含む凍結乾燥法)
ケーク内の賦形剤の、完全な結晶化をもたらすために、またはその結晶化を改善するために、高温アニーリング工程を含む凍結乾燥法の試験をした。追加の目的は、最終的な残留水分%が1%よりも低くなるように改善することであった。
表7は、実施例2で使用される処方を示す。各処方は、pH6.8で、第IX因子を250 IU/mL含有していた。
Figure 2007526329
表8、9、および10は、Lyo J、K、およびLに関する凍結乾燥工程を示す。全てのバイアルに、真空中で栓をした。
Figure 2007526329
Figure 2007526329
Figure 2007526329
処方4、5、および6を、それぞれ2つずつ、Lyo J、Lyo K、およびLyo Lのプロトコルに従って凍結乾燥した。次いで凍結乾燥した各生成物の水分を、カールフィッシャーを使用して評価した(表11参照)。
次いでLyo J、K、およびLのサイクルによって生成された、凍結乾燥した処方4〜6のケークについて、完全な結晶化の評価をした。完全な結晶化に関する評価は、DSCによって実施した。
やはり、結晶化現象が第1の走査で観察される場合、サンプルは、凍結乾燥中に完全に結晶化しなかった。図4Aは、凍結乾燥した処方4(「fix927lyoJ.001」)、凍結乾燥した処方5(「fix50250lyoja.001」)、および凍結乾燥した処方6(「fix50270lyoja.001」)に関する第1の走査を示し、図4Bは、その第2の走査を示すが、これら処方は、LyoJによって凍結乾燥したものである。図5Aは、凍結乾燥した処方4(「fix927yoK.002」)、凍結乾燥した処方5(「fix50250yok.001」)、および凍結乾燥した処方6(「fix50270yok.001」)に関する第1の走査を示し、図5Bは、その第2の走査を示すが、これら処方は、LyoKによって凍結乾燥したものである。図5Cは、LyoKサイクルによって凍結乾燥した処方4(「fix 927 lyo K」)に関する、別の第2の走査から得たデータを示す。図6Aは、凍結乾燥した処方4(「fix927lyol.001」)、凍結乾燥した処方5(「fix50250lyoL.001」)、および凍結乾燥した処方6(「fix50270lyoL.001」)に関する第1の走査を示し、図6Bは、その第2の走査を示すが、これら処方は、LyoLによって凍結乾燥したものである。図6Cは、LyoLによって凍結乾燥した処方4(「fix 927 Lyo L」)に関する、別の第2の走査を示す。
表11は、Lyo J、K、またはLによって凍結乾燥した処方4、5、および6の、DSCの第1および第2の走査データの概要を示す。
Figure 2007526329
処方5および6に関し、結晶化現象が第1の走査で観察されたので、Lyo Jは、賦形剤を完全に結晶化しなかった。理論に拘泥するものではないが、これはおそらく、Lyo Jでの2次乾燥工程の所要時間が0時間であり、高温アニーリング工程が3時間であったことが原因と考えられる。Lyo Jは、処方4の場合に賦形剤を完全に結晶化することができたが、処方4は、塩化ナトリウムとグリシンとの組合せを含有しておらず、それに対して処方5および6は、塩化ナトリウムとグリシンとの組合せを有している。Lyo Kは、完全な結晶化を示し、最終ケーク中の残留水分は、1.2%未満であった。Lyo Lは、完全な結晶化が生じたので、また最終ケーク中の残留水分が1%未満であったので、優れた結果を示していた。
さらに、Lyo Lサイクルによって凍結乾燥したケークの、3カ月安定性調査では、水分が1%未満残ることが示されている。さらに、高温アニーリング工程と共に凍結乾燥したサンプルのX線回折分析は、高温(35℃よりも高い)アニーリング工程なしで凍結乾燥したサンプルと比較した場合、グリシン結晶化が増大することを示していた(図10Aおよび図10B参照)。
(1)最終ケーク内に存在する高分子量(HMW)化学種%、(2)第IX因子の凝固活性の回復%、および(3)第IX因子の比活性の回復%をアッセイすることによって、凍結乾燥した生成物の安全性についても試験をした。高分子量%は、サイズ排除クロマトグラフィ(SEC−HPLC)によって決定する。凝固活性は、1段階活性化部分トロンボプラスチン時間アッセイを使用して決定した。比活性は、凝固活性をタンパク質濃度で割ることによって計算し、このタンパク質濃度は、SEC−HPLCを使用することにより決定した。図7は、Lyo J、K、およびLによって凍結乾燥した処方4〜6の、%HMWを示す。図8Aおよび8Bは、凍結乾燥前後での、第IX因子の凝固活性データを示す(4mLの充填物質と5mLの復元希釈物質によれば、80%の回復が図8Bで予測される最高の回復値である)。図9は、比活性の回復%示す。これらの結果は、高温アニーリングおよび乾燥工程を有する方法によって凍結乾燥した第IX因子が、%HMWによってまた力価アッセイによって示されたように、悪影響を受けなかったことを示している。
(実施例3)
(高温アニーリングを含む凍結乾燥法は、長期安定性をもたらす)
実施例2の結果は、処方が、50℃の熱処理(または「アニーリング維持」;表9および10参照)工程によって悪影響を受けなかったことを示す。事実、この熱処理工程は、塩化ナトリウムおよびグリシンを含む処方に関し、より低いパーセント(%)の残留水値をもたらした。水分%のこの低下は、グリシンの結晶化の増大に相関していた。高温熱処理工程と共に実施した凍結乾燥サイクルが、活性成分の安定性に悪影響を与えないというさらなる証拠を与えるために、以下の実験を実施した。
表12は、この実施例で充填され凍結乾燥された処方を示す。処方は、組換え第IX因子を、pH6.8で69 IU/mL、またはpH6.8で550 IU/mL含有していた。
Figure 2007526329
2つの凍結乾燥サイクル(Lyo PおよびLyo Q)を実施したが、このとき、これら2つのサイクルは、その一方の場合に完全真空中で栓をし、また他方については、バイアルの上部隙間に窒素を充填して栓をしたことだけが、異なっていた。表13および14は、Lyo PおよびLyo Qの凍結乾燥サイクルを列挙する。Lyo Pでは、全てのバイアルに、真空中で栓をした。Lyo Qでは、全てのバイアルを、その上部隙間に窒素を充填して栓をした。
Figure 2007526329
Figure 2007526329
複数のケーク(全てのケークの外観は、良好であった)をLyo PおよびLyo Qによって生成し、これらケークを、様々な時間および様々な温度で貯蔵中の、残留水分レベルの試験に用いた。試験をした全ての時間および温度で、ケークは、1.5%よりも低い残留水分レベルを有していた(2%よりも低い残留水分レベルが、一般に許容される)。50℃で9カ月および12カ月経過した後であっても、ケークは、1%よりも低い残留水分レベルを有していた。結果を、以下の表15に列挙する。
Figure 2007526329
Lyo PおよびLyo Qによって生成されたケークの安定性を、ケーク中に存在するHMWのパーセンテージのアッセイを行うことによって試験した。これらの安定性試験は、ケークを2〜8℃およびより高い貯蔵温度で貯蔵して行った。3%未満のHMWが許容される。実験は、1つの時点当たり単一のバイアルで実施し、各時点では、SEC−HPLCを使用してアッセイを3回行った。結果を、以下の表16A〜Dに示す。
Figure 2007526329
Figure 2007526329
Figure 2007526329
Figure 2007526329
Lyo PおよびLyo Qによって凍結乾燥した薬剤生成物の安定性も、第IX因子の濃度のアッセイを行うことによって試験をした。これらの安定性試験は、ケークを2〜8℃および促進温度で貯蔵して実施した。実験は、1つの時点当たり単一のバイアルで実施し、各時点で3回アッセイを行った。結果(μg/mLを単位とする)を、以下の表17A〜Dに示す。注記:表17A〜Dで、−80℃の各時点は対照であり、凍結乾燥前のバルク製剤(BDP)対照について試験をする。BDP 4mLを、各バイアルに充填し、凍結乾燥した。得られたバイアルを、水5mLを加えて復元し、注射に用いた(WFI)。この結果、BDP対照よりも20%少ない濃度の薬剤生成物が得られる。復元したバイアルの第IX因子の濃度を、SEC−HPLCにより決定した。
Figure 2007526329
Figure 2007526329
Figure 2007526329
Figure 2007526329
Lyo PおよびLyo Qによって生成したケークの安定性も、第IX因子の凝固活性の強さのアッセイを行うことによって試験をした。これらの安定性は、ケークを2〜8℃および促進温度で貯蔵して実施した。実験を、1つの時点当たり単一のバイアルで実施し、以下の表18A〜Dに示される結果は、IU/mLを単位とする。さらに、表18A〜Dでは、−80℃のデータポイントが対照であり、すなわち凍結乾燥前のバルク製剤対照(BDP)である。BDP 4mLを各バイアルに充填し、凍結乾燥させる。得られたバイアルを、WFI 5mLで復元する。この結果、BDP対照よりも効力が20%低い薬剤生成物が得られる。したがって、表18Aの場合、44 IU/mLは、復元したBDPの100%活性と均等である(12カ月で、BDPの−80℃での対照よりも、効力が20%低い)。同様に、表18Bの場合、593 IU/mLが、復元したBDPの100%活性に均等であり;表18Cの場合、49 IU/mLが、復元したBDPの100%活性に均等であり;表18Dの場合、697 IU/mLが、復元したBDPの100%活性に均等である。第IX因子の効力は、1段階活性化部分トロンボプラスチン時間アッセイを使用して凝固活性のアッセイを行うことにより、決定した。
Figure 2007526329
Figure 2007526329
Figure 2007526329
Figure 2007526329
Lyo PおよびLyo Qによって生成されたケークの安定性も、第IX因子の比活性を決定することにより評価した。第IX因子の比活性は、凝集活性をタンパク質濃度で割ることにより計算した。以下のデータポイントは、IU/mgを単位とする。
Figure 2007526329
Figure 2007526329
Figure 2007526329
Figure 2007526329
高温熱処理工程がグリシンの結晶化を高めるか否か観察するために、凍結乾燥したケークに関してX線回折(XRD)も実施した(図11参照)。XRDは、凍結乾燥したケーク中に存在する結晶構造を特定するのに使用した。Lyo Gは、Lyo Gが2次乾燥前に50℃の熱処理工程を含まないこと以外、Lyo Qと同じ凍結乾燥サイクルパラメータを含んでいたので、比較のために使用した。図11は、Lyo Qでグリシンの結晶化の増大があることを示している。
まとめると、実施例3の結果は、(1)高温熱処理工程が、%HMWにより測定したときに、活性成分、第IX因子の安定性または活性に影響を及ぼさず、効力、および比活性にも影響を及ぼさなかったこと、(2)安定性のデータが、第IX因子が熱処理プロセスに安定であり、促進温度での長時間にわたる貯蔵で安定であること、および(3)高温熱処理工程が、結晶質グリシンの量を増加させたことを示している。追加の利益として、高温熱処理工程は、サンプルの最終残留水分値を低下させた。したがって、実施例3の結果は、2次乾燥前の高温アニーリングまたは熱処理工程が活性成分を不安定化せず、むしろ賦形剤の結晶化および全体的な凍結乾燥効率を改善するという、さらなる証拠を与えている。
(実施例4)
(低温アニーリング工程は、所望による)
低温アニーリング工程が、グリシンの結晶化を高めるのに必要か否かを決定するために、−15℃および50℃のアニーリング工程ありおよびなしで、凍結乾燥サイクルのマトリックスを実施した。10mMヒスチジン、1%スクロース、260mMグリシン、50mM NaCl、0.005%ポリソルベート80、pH6.8からなる処方緩衝剤を、全てのサイクルで使用した。凍結乾燥したケーックの分析は、DSC、XRD、および残留水分%からなるものであった。表20は、実施した凍結乾燥サイクルを示す。
Figure 2007526329
以下の表21は、実験の分析結果を示す。
Figure 2007526329
DSCデータに基づけば、低温アニーリング工程(ここでは−15℃)を含む場合、結晶化現象が第1の走査で検出されるか否かに関して影響を及ぼさないという証拠が示される。高温アニーリング工程(ここでは50℃)は、DSCの第1の走査で観察されるような再結晶現象をなくすのに十分である。より低いアニーリング工程は、所望によるものであるが、XRDデータから得た17.5°のピークは、−15℃のアニーリング工程がグリシンの結晶化をさらに高めることを示唆しているので、このアニーリング工程を含むことは有益である。
サイクルLyo G、H、またはIに従い凍結乾燥した処方1の、固体ケークの代表的な示差走査熱量測定(DSC)の、第1の走査(図1A)および第2の走査(図1B)を示す図である。 サイクルLyo G、H、またはIに従い凍結乾燥した処方2の、固体ケークの代表的なDSCの第1の走査(図2A)および第2の走査(図2B)を示す図である。 サイクルLyo G、H、またはIに従い凍結乾燥した処方3の、固体ケークの代表的なDSCの、第1の走査(図3A)および第2の走査(図3B)を示す図である。 サイクルLyo Jに従い凍結乾燥した処方4(「fix927lyoJ.001」、一点鎖線)、処方5(「fix50250lyoja.001」、非破線)、および処方6(「fix50270lyoja.001」、破線)の、固体ケークのDSCの第1の走査(図4A)および第2の走査を示す図である。 サイクルLyo Kに従い凍結乾燥した処方4(「fix927yoK.002」、一点鎖線)、処方5(「fix50250yok.001」、非破線)、および処方6(「fix50270yok.001」、破線)の、固体ケークのDSCの第1の走査(図5A)および第2の走査(図5B)を示す図である。図5Cは、Lyo Kサイクルによって凍結乾燥した処方4(「fix927lyoK」)の、固体ケークに関する別の第2の走査から得たデータを示す。 サイクルLyo Lに従い凍結乾燥した処方4(「fix927lyol.001」、一点鎖線)、処方5(「fix50250lyoL.001」、非破線)、および処方6(「fix50270lyol.001」、破線)の、固体ケークのDSCの第1の走査(図6A)および第2の走査(図6B)を示す図である。図6Cは、Lyo Lサイクルによって凍結乾燥した処方4(「fix927lyoL」)の、固体ケークに関する別の第2の走査から得たデータを示す。 凍結乾燥前の処方と、Lyo J、K、およびLに従い凍結乾燥した処方4、5、および6の、凍結乾燥後のケーク中に存在する、高分子量の化学種のパーセントを示す図である。 凍結乾燥前の処方と、Lyo J、K、およびLに従い凍結乾燥した処方4、5、および6の凍結乾燥後のケークにおける、第IX因子タンパク質の凝固活性(図8A)および凝固活性の回復パーセント(図8B)を示す図である。 凍結乾燥前の処方と、Lyo J、K、およびLに従い凍結乾燥した処方4、5、および6の凍結乾燥後のケークにおける、第IX因子タンパク質の比活性の回復パーセントを示す図である。 Lyo Gに従い凍結乾燥した処方2のケーク(図10A)と、Lyo Lに従い凍結乾燥した処方6のケーク(図10B)の、X線回折(XRD)パターンを示す図である。 Lyo Qに従い凍結乾燥した処方7のケークの、XRDパターンを示す図である。

Claims (57)

  1. 水性医薬処方を凍結乾燥させる方法であって、
    (a)水性医薬処方を凍結させる工程と、
    (b)工程(a)の医薬処方を乾燥させる工程と、
    (c)約25℃よりも高い温度で工程(b)の医薬処方をアニールする工程と、
    (d)工程(c)で使用した温度よりも低い温度で、工程(c)の医薬処方を乾燥させる工程と
    を含む、方法。
  2. 工程(a)での凍結を、−10℃未満の温度で実施する、請求項1に記載の方法。
  3. 工程(a)での凍結を、−35℃未満の温度で実施する、請求項1に記載の方法。
  4. 工程(b)での乾燥を、約−35℃から約20℃の間の温度で実施する、請求項1に記載の方法。
  5. 工程(b)での乾燥を、約−25℃から約10℃の間の温度で実施する、請求項1に記載の方法。
  6. 工程(b)での乾燥を、約−20℃から約0℃の間の温度で実施する、請求項1に記載の方法。
  7. 工程(b)での乾燥を、約0℃の温度で実施する、請求項1に記載の方法。
  8. 工程(c)でのアニーリングを、約25℃から約75℃の間の温度で実施する、請求項1に記載の方法。
  9. 工程(c)でのアニーリングを、約35℃から約60℃の間の温度で実施する、請求項1に記載の方法。
  10. 工程(c)でのアニーリングを、約50°の温度で実施する、請求項1に記載の方法。
  11. 工程(d)での乾燥を、約25℃の温度で実施する、請求項1に記載の方法。
  12. 水性医薬処方を凍結乾燥させる方法であって、
    (a)水性医薬処方を凍結させる工程と、
    (b)約−35℃から約0℃の間の温度で、工程(a)の医薬処方をアニールする工程と、
    (c)約−35℃から約10℃の間の温度で、工程(b)の医薬処方を乾燥させる工程と、
    (d)約25℃から約75℃の間の温度で、工程(c)の医薬処方をアニールする工程と、
    (e)工程(d)で使用した温度よりも低い温度で、工程(c)の医薬処方を乾燥させる工程と
    を含む、方法。
  13. 工程(a)での凍結を、−10℃未満の温度で実施する、請求項12に記載の方法。
  14. 工程(a)での凍結を、−35℃未満の温度で実施する、請求項12に記載の方法。
  15. 工程(b)でのアニーリングを、約−25℃から約10℃の間の温度で実施する、請求項12に記載の方法。
  16. 工程(b)でのアニーリングを、約−20℃から約−10℃の間の温度で実施する、請求項12に記載の方法。
  17. 工程(b)でのアニーリングを、約−15℃の温度で実施する、請求項12に記載の方法。
  18. 工程(c)での乾燥を、約−25℃から約−10℃の間の温度で実施する、請求項12に記載の方法。
  19. 工程(c)での乾燥を、約−20℃から約−10℃の間の温度で実施する、請求項12に記載の方法。
  20. 工程(c)での乾燥を、約0℃の温度で実施する、請求項12に記載の方法。
  21. 工程(d)でのアニーリングを、約35℃から約60℃の間の温度で実施する、請求項12に記載の方法。
  22. 工程(d)でのアニーリングを、約50℃の温度で実施する、請求項12に記載の方法。
  23. 工程(e)での乾燥を、約25℃の温度で実施する、請求項12に記載の方法。
  24. 工程(b)の後であって工程(c)の前に実施される再凍結工程をさらに含み、前記再凍結工程は、−35℃未満の温度で実施される、請求項12に記載の方法。
  25. 前記再凍結工程を、約−40℃から約−50℃の間の温度で実施する、請求項24に記載の方法。
  26. 前記水性医薬処方が、少なくとも1種の結晶化賦形剤を含む、請求項1または12に記載の方法。
  27. 前記結晶化賦形剤が、アミノ酸、塩、およびポリオールからなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
  28. 前記アミノ酸が、グリシンまたはヒスチジンである、請求項27に記載の方法。
  29. 前記塩が塩化ナトリウムである、請求項27に記載の方法。
  30. 前記ポリオールがマンニトールである、請求項27に記載の方法。
  31. 前記水性医薬処方が、結晶化賦形剤の組合せを含み、前記組合せは塩とアミノ酸とである、請求項1または12に記載の方法。
  32. 前記塩が塩化ナトリウムである、請求項31に記載の方法。
  33. 前記塩化ナトリウムが、約25mMよりも高い濃度で前記処方中に存在する、請求項32に記載の方法。
  34. 前記塩化ナトリウムが、約25mMから200mMの間の濃度で前記処方中に存在する、請求項32に記載の方法。
  35. 前記塩化ナトリウムが、約30mMから100mMの間の濃度で前記処方中に存在する、請求項32に記載の方法。
  36. 前記塩化ナトリウムが、約40mMから60mMの間の濃度で前記処方中に存在する、請求項32に記載の方法。
  37. 前記塩化ナトリウムが、約50mMの濃度で前記処方中に存在する、請求項32に記載の方法。
  38. 前記アミノ酸が、約1%から約10%の間の濃度で前記処方中に存在する、請求項31に記載の方法。
  39. 前記アミノ酸が、約1.5%から約5%の間の濃度で前記処方中に存在する、請求項31に記載の方法。
  40. 前記アミノ酸が、約1.5%から約3%の間の濃度で前記処方中に存在する、請求項31に記載の方法。
  41. 前記アミノ酸が、約2%の濃度で前記処方中に存在する、請求項31に記載の方法。
  42. 前記アミノ酸がグリシンである、請求項38、39、40、41、または42に記載の方法。
  43. 塩化ナトリウムおよびグリシンを含む水性医薬処方を凍結乾燥させる方法であって、
    (a)−35℃未満の温度で、水性医薬処方を凍結させる工程と、
    (b)約−20℃から約−10℃の間の温度で、工程(a)の医薬処方をアニールさせてもよい工程と、
    (c)約−10℃から約10℃の間の温度で、工程(b)の医薬処方を乾燥させる工程と、
    (d)約35℃から約50℃の間の温度で、工程(c)の医薬処方をアニールする工程と、
    (e)工程(d)で使用した温度よりも低い温度で、工程(d)の医薬処方を乾燥させる工程と
    を含む、方法。
  44. 工程(e)での温度が約25℃である、請求項43に記載の方法。
  45. 35mMよりも高い塩化ナトリウムと約250mMから約300mMの間のグリシンとを含む水性医薬処方を凍結乾燥させる方法であって、
    (a)−35℃未満の温度で、水性医薬処方を凍結させる工程と、
    (b)約−15℃で、工程(a)の医薬処方をアニールする工程と、
    (c)約0℃で、工程(b)の医薬処方を乾燥させる工程と、
    (d)約50℃で、工程(c)の医薬処方をアニールする工程と、
    (e)約25℃で、工程(d)の医薬処方を乾燥させる工程と
    を含む、方法。
  46. 約−50℃で工程(b)の医薬処方を再凍結する再凍結工程を、工程(b)の後であって工程(c)の前にさらに含む、請求項45に記載の方法。
  47. 工程(a)を約5時間実施し、工程(b)を約5時間実施し、工程(c)を約38時間実施し、工程(d)を約5時間実施し、工程(e)を約9.5時間実施する、請求項46に記載の方法。
  48. 凍結乾燥中に賦形剤の結晶化を増大させる方法であって、
    (a)グリシンおよび塩化ナトリウムを含む水性医薬処方を提供する工程と、
    (b)前記水性医薬処方を凍結させる工程と、
    (c)約−35℃から約0℃の間の温度で、工程(b)の医薬処方をアニールさせてもよい工程と、
    (d)約−35℃から約10℃の間の温度で、工程(b)または工程(c)の医薬処方を乾燥させる工程と、
    (e)前記グリシンが、工程(e)の前よりも工程(e)の後でより結晶化するように、約25℃から約75℃の間の温度で工程(d)の医薬処方をアニールする工程と、
    (f)工程(e)で使用した温度と同じかまたはより低い温度で、工程(e)の医薬処方を乾燥させる工程と
    を含み、それによって賦形剤の結晶化を増大させる、方法。
  49. (a)グリシンおよび塩化ナトリウムを含む処方を提供する工程と、
    (b)前記処方を凍結させる工程と、
    (c)約−35℃から約0℃の間の温度で、工程(b)の医薬処方をアニールさせてもよい工程と、
    (d)約−35℃から約10℃の間の温度で、工程(b)または工程(c)の医薬処方を乾燥させる工程と、
    (e)約25℃から約75℃の間の温度で、工程(d)の医薬処方をアニールする工程と、
    (f)工程(e)で使用した温度と同じかまたはより低い温度で、工程(e)の医薬処方を乾燥させる工程と
    を含み、それにより凍結乾燥した生成物が得られる方法によって生成された、凍結乾燥生成物。
  50. 前記処方が、活性成分をさらに含む、請求項49に記載の凍結乾燥生成物。
  51. 前記活性成分が、タンパク質、核酸、またはウイルスである、請求項50に記載の凍結乾燥生成物。
  52. 前記活性成分が第IX因子である、請求項50に記載の凍結乾燥生成物。
  53. 工程(f)の後の凍結乾燥生成物中のグリシンが、2次乾燥の前に高温アニーリング工程を含まない方法によって形成された凍結乾燥生成物よりも結晶化されている、請求項49に記載の凍結乾燥生成物。
  54. (a)グリシンおよび塩化ナトリウムを含む処方を提供する工程と、
    (b)前記処方を凍結させる工程と、
    (c)約−20℃から約−10℃の間の温度で、工程(b)の処方をアニールする工程と、
    (d)約0℃から約5℃の間の温度で、工程(c)の処方を乾燥させる工程と、
    (e)約35℃から約50℃の間の温度で、工程(d)の処方をアニールする工程と、
    (f)工程(e)で使用した温度と同じかまたはより低い温度で、工程(e)の処方を乾燥させる工程と
    を含み、それにより凍結乾燥した生成物を提供する方法によって生成された、凍結乾燥生成物。
  55. 工程(f)の後の凍結乾燥生成物中のグリシンが、2次乾燥の前に高温アニーリング工程を含まない方法によって形成された凍結乾燥生成物よりも結晶化されている、請求項54に記載の凍結乾燥生成物。
  56. 前記凍結乾燥生成物が、高い貯蔵温度で長期間にわたり実質的に安定である、請求項54に記載の凍結乾燥生成物。
  57. 前記長期間が約3カ月から約1年の間を含み、促進温度が約25℃から約50℃の間を含む、請求項56に記載の凍結乾燥生成物。
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