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JP2007513954A - 眼の疾患の処置のためのチューブリン結合性薬剤を投与するための組成物および方法 - Google Patents

眼の疾患の処置のためのチューブリン結合性薬剤を投与するための組成物および方法 Download PDF

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JP2007513954A JP2006543893A JP2006543893A JP2007513954A JP 2007513954 A JP2007513954 A JP 2007513954A JP 2006543893 A JP2006543893 A JP 2006543893A JP 2006543893 A JP2006543893 A JP 2006543893A JP 2007513954 A JP2007513954 A JP 2007513954A
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Abstract

本発明は、眼の新生血管形成、眼の腫瘍、ならびに糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、網膜芽細胞腫および黄斑変性のような状態の処置のための、脈管標的化薬剤、特に、チューブリン結合性薬剤の投与に関する。本発明は、眼の疾患を処置するための方法を提供し、この方法は、以下の工程:a)薬学的に有効な投薬量のチューブリン結合性薬剤を含有する投薬量を調製する工程;b)この薬学的に有効な投薬量を、このような処置を必要とする被験体に投与する工程、を包含する。

Description

(発明の分野)
本発明は、眼の疾患の処置のための、脈管標的化因子(特に、チューブリン結合性薬剤)の投与に関する。
(発明の背景)
眼は、基本的に、一生の間で最も重要な器官のうちの1つである。視覚に有害に影響し得る加齢、疾患および他の因子が原因で、眼の健康を維持する能力は、すべて重要となる。失明の主要な原因は、眼に薬物または治療因子を導入できないこと、およびこれらの薬物または因子を治療上有効な濃度で維持できないことである。薬物の経口接種または眼以外の部位での薬物の注入は、その薬物を全身に提供する。しかし、そのような全身投与は、眼に特異的には有効レベルのその薬物を提供せず、従って、有効な眼内濃度を達成するために、しばしば受容可能でない高レベルの因子を投与することが必要となり得る。
斑は、微細で詳細な視覚を担う光感覚細胞の上昇した濃度を含む網膜領域である(ヒトの眼の一般的解剖学的図が、図1に示される)。黄斑変性は、斑の光感覚細胞が機能を失うようにするほとんど理解されていない群の疾患に与えられた、不明確な歴史的名称である。黄斑変性の結果は、重要な中心視力および詳細な視力の喪失である。黄斑変性に罹患した患者は、その視野の中心に空白の斑点を経験し、しばしば、小さい印刷物を読む能力を失う(出典:Macular Degeneration Foundation、San Josse、CA:www.eyesight.org)。
1200万人を超えるアメリカ人が、なんらかの形態の黄斑変性を有する。55歳と64歳との間のアメリカ人の6人中1人が、黄斑変性に罹患しており、そしてその疾患の発症率は、年齢とともに増加する。黄斑変性に罹患した推定1200万人の患者のうち毎年120万人が、深刻な中心視力の喪失に悩まされている。毎年200,000人の個体が、一方の眼または両方の眼の中心視力すべてを失う。
黄斑変性の正確な原因は不明であるが、斑の構造により、どのようにこの疾患が開始され得るかに関する手がかりが見出される。斑は、大量のエネルギーを消費する非常に活性な光受容体を含む。このエネルギーを生成するには、豊富な酸素および栄養素の供給が必要とされる。斑は、その供給脈管(脈絡膜としてもまた公知である)を通る最高速度の1つの血流を有する。この豊富な血管供給を妨げるいかなることも、斑の機能不全を引き起こし得る。酸素が枯渇した斑は、内皮細胞増殖および新生脈管形成をシグナル伝達するサイトカインを生成することによって応答する。
基本的な2つの型の黄斑変性(乾燥形態および湿潤形態)が存在する。黄斑変性の原因の約85%〜90%は、乾燥型である。この疾患の乾燥形態において、網膜の悪化は、結晶腔として公知である斑の下の黄色沈着物の形成に関連する。結晶腔の沈着物は、斑を含む網膜細胞の厚さの減少と相関する。中心視力の喪失量は、結晶腔に誘導される網膜の菲薄化の位置および重篤度と直接関連する。黄斑変性の乾燥形態は、この疾患の湿潤形態よりもゆっくり進行する傾向がある。乾燥形態の黄斑変性についての有効な処置は存在しない。乾燥形態の黄斑変性に罹患している少数パーセンテージの個体は、湿潤形態の黄斑変性へと進行する。図2は、正常な斑および乾燥形態の黄斑変性を示す。
湿潤形態の黄斑変性は、重篤な視力喪失をほぼ常にもたらす、迅速に進行する疾患である。湿潤型黄斑変性と関連する視力喪失は、網膜下新生脈管形成の結果である。網膜下血管の迅速な増殖により、その上にある網膜細胞層が曲げられ、栄養素が豊富な脈絡膜から剥離させられる。湿潤型黄斑変性の極端な症例において、増殖中に脈管が網膜に浸透し、そして硝子体液に浸潤する。湿潤形態の新生脈管形成についてのいくつかの処置が存在するが、いずれも満足するにはほど遠い。図3は、正常な斑および湿潤型黄斑変性を示す。
黄斑変性についての現行の標準的処置は、レーザー光凝固である。レーザー光凝固を実施する眼科医は、蛍光血管造影法を用いて異常な脈管を位置決めし、そしてレーザー切除技術を用いてその脈管を選択的に焼く。レーザー手術の副作用は、異常な脈管のすぐ上に存在する網膜層の破壊である。レーザー光凝固で処置された患者は、処置の直後に測定可能な視力喪失を有し、これは、容認できない負の副作用である。概して、レーザー手術は、この疾患を遅くすることにほんの中程度にしか有効ではない、その場しのぎの処置として見なされる。
光力学的治療が、黄斑変性についての処置技術の現在の水準である。米国食品医薬品局は、湿潤型の加齢性黄斑変性を処置するための注射用ベルテポルフィン(Ciba Vision&QLTにより開発されたVisudyneTM)を承認した。光力学的治療で処置されている患者は、光反応性化合物(ベルテポルフィン)を注射され、すぐに、非破壊性眼科レーザーで処置される。この手術を実施する眼科医は、異常な脈管を同定し、そしてレーザービームをその異常な脈管へと向ける。ベルテポルフィンは、レーザーにより活性化された場合に、活性化した分子の近傍にあるすべての細胞を有効に焦がす、一過性のエネルギーバーストを生じる(出典:HHS News,米国保険社会福祉省、2000年4月13日)。
電離放射線は、増殖中の脈管を殺傷するために使用される(増殖中の細胞は、静止細胞よりも放射線感受性である)。電離放射線は、通常、眼の大部分に曝露するに十分な大きさのビームの状態で投与される。1993年に、University of Belfast in Northern Irelandのグループが、湿潤型黄斑変性に罹患している少数の患者に対してX線を試したと報告した。その正の結果は、欧州の他の研究チームにより行われたX線を用いたいくつかの同様の研究によって支持されている。
別の消耗性眼疾患は、未熟児網膜症(ROP)である。ROPは、有意な割合の未熟児において生じる眼の疾患である。満期産(28週〜40週)の最後の12週間は、胎児の眼の発生において特に活性な月である。網膜血液供給(脈絡膜)の出生前発生が、16週目に視神経にて始まり、そして半径方向様式で網膜の前部領域の方へと出産(40週)まで進行する。出産が未熟である場合、網膜脈環構造は、十分に発生するに十分な時間を有さず、網膜の前方縁が、酸素欠乏になる。網膜前部酸素付加の欠如が、ROPの潜在的な原因である(出典:The Association of Retinopathy of Prematurity and Related Diseases,Franklin,MI)。
未熟児において、網膜前部の有意な部分が、十分な血液供給欠乏である。酸素が欠乏した網膜前部は、新生脈管の増殖のためのシグナル伝達によって応答する。網膜前部と網膜後部との間の一帯における異常な新生脈管形成は、重篤な病理学的結果を伴う事象のカスケードを開始する。新生脈管が化学的シグナルに応答して成長するので、動静脈シャントが、脈管形成した網膜後部と脈管がない網膜前部との間の一帯において形成される。これらの脈管シャントは、徐々に拡大し、より厚くなり、そしてより上昇する。その新生脈管は、浸潤性線維芽細胞により達成され、この浸潤性線維芽細胞は、繊維性瘢痕組織を生成する。結局、網膜および硝子体ゲルに付着した瘢痕組織の環が、形成される。この瘢痕組織の環は、眼の内側の周囲に360°拡大し得る。この瘢痕組織が接触する場合、この瘢痕組織は、網膜を引っ張り、そして網膜剥離を生じる。十分な瘢痕組織が形成される場合、網膜は、完全に剥離され得る。未熟児は、ROPを発症する危険がある。なぜなら、未熟児は、子宮の保護環境の外に取り出されており、種々の脈管形成刺激(医薬、高レベルの酸素、ならびに光の変動および温度の変動を含む)に曝されているからである。これらの因子のうちのいくつかまたはすべては、ROPの発症に対して効果を有し得る。幸運なことに、ほとんどの未熟児は、ROPを発症せず、ROPに罹患するほとんどの乳児は、自然に改善する。ROPが発症する場合、ROPは、出生時の妊娠年齢に関わらず、受胎後34週目と40週目との間に通常生じる。
寒冷療法と呼ばれる技術が、ROPの処置のために有益な効果を有することが示されている。寒冷療法は、眼の外壁(強膜)上に氷点下のプローブを配置することを包含する。このプローブは、強膜と硝子体との間の網膜表面上に氷結晶化の一帯を生じる。寒冷療法の複数の適用が、脈管のない領域全体(これは、新生脈管の縁の前方である)を処置するために実施される。縁自体の処置は、回避される。なぜなら、この縁は、出血する傾向があり、凍結すると、硝子体の出血を引き起こすからである。
寒冷療法の作用機構は、完全には理解されていない。実用的な仮説は、寒冷療法が、おそらく、脈管のない網膜層前部に損傷を与えることである。この損傷は、残りの生細胞への酸素の拡散の促進を可能にする網膜の肥厚を生じる。さらに、寒冷処置された網膜は、より少数の生細胞を有し、従って、酸素の需要の減少を有する。減少した酸素需要は、脈管形成刺激を低下させ、新生脈管形成を停止させる。寒冷療法は、未処置の眼の43%から処置した眼の21%へと、網膜剥離の危険を減少させることが見出された。しかし、寒冷療法は、潜在的な合併症を有する;この手順は、しばしば、未熟児にとって危険があり得る全身麻酔下で実施される。
本明細書中で上記されるレーザー光凝固は、ROPの処置において類似の原理を使用する。このレーザー処置は、血液供給を未だ有さない網膜前部に適用される。この処置の目的は、異常な脈管が網膜剥離を生じるに十分な瘢痕組織を貯える前に、その異常な脈管を排除することである。さらに、脈管のない網膜前部は、レーザーにより縁が薄くなり、酸素需要が減少し、そして寒冷療法とそっくりに、脈管形成刺激が低下される。レーザー療法は、網膜に指向されるが眼の壁の厚さ全体には指向されないという点で、寒冷療法よりも優れている。レーザー療法は、より少数の組織にしか関わらず痛くないので、処置後の炎症が非常に低減される。寒冷療法と比較した場合、レーザー療法は、優れている。なぜなら、麻酔の必要性が減少するからである。
レーザー療法または寒冷療法が、ROPの進行を停止する際に不成功である場合、いくつかの外科処置が利用可能である。線維−脈管瘢痕組織からの小さな牽引に起因して、浅い網膜剥離が存在する場合、強膜折込みと呼ばれる処置が、有益であり得る。強膜折込みは、眼球赤道の周囲にシリコンバンドを配置する工程、およびそのシリコンバンドを締めて、眼の内側にわずかなへこみを生じる工程を包含する。このバンドは、硝子体ゲルの牽引を軽減し、繊維性瘢痕組織および網膜を引っ張る(pull on)。これにより、網膜が眼の壁上に平らになり、正常な機能を回復することが可能になる。強膜折込みを経験した乳児は、特に斑が剥離しなかった場合に、眼において良好な視力を維持し得る。この取り囲むバンドは、通常は、数ヶ月または数年後に除去される必要がある。なぜなら、眼は成長し続け、徐々に増加する眼球圧縮および誘導性近視を生じるからである。
後期段階ROPにおいて、網膜上の瘢痕組織に起因して完全に網膜が剥離して、強膜折込みは、牽引を軽減するに不十分である。これらの乳児のために、硝子体切除が、考慮され得る。硝子体切除は、眼の中にいくつかの小さな切開を作製する工程、および吸引デバイス/切断デバイスを使用して硝子体ゲルを除去する工程を包含する。硝子体が生理食塩水で置換され、眼の形態が維持される。眼は、硝子体ゲルを含まずに不明確にその形状および圧力を維持することができる。硝子体が除去された後、網膜上の瘢痕組織は、剥がされ得るかまたは切除され得、それにより、網膜が弛緩して眼の壁に対してよりかかるようにされる。網膜が手術後に再付着されるのには、数週間かかり得る。処置の間、網膜円孔および網膜中に涙が生じる場合、網膜は通常、再付着しない。眼の水晶体は、しばしば、瘢痕組織の完全な解剖が可能なように除去されなければならないが、水晶体を保存し得るいくつかの新規な技術が、試行されている。
しかし、ROPについての硝子体切除手術の成功率は、制限されている。公開された解剖学的成功率(これは、眼の壁に再付着した網膜を得ることを意味する)は、手術を受ける患者のうちの25%〜50%の範囲である。機能的成功率(これは、良く見える能力を意味する)は、有意に低い。「成功する」硝子体切除手術(解剖学的成功)を有する眼のうち、ほんの約1/4が、物体に手を伸ばして掴むために十分に、またはパターンを認識するために十分に、良く見ることができる。
別の消耗性眼疾患が、真性糖尿病に罹患する患者において生じる。約1400万人のアメリカ人が、真性糖尿病を有する。多数の全身性合併症(例えば、腎不全、高血圧、および心血管疾患)を引き起こすことに加えて、糖尿病は、労働年齢のアメリカ人の間で失明の主要な原因のうちの1つである。実際、糖尿病を有する患者に対する失明リスクは、一般的人口の失明リスクより25倍高い。糖尿病性の眼の問題を有する多くの患者は、視力を脅かす疾患の存在に関わらず、無症候性である。糖尿病性眼疾患が未処置のままにされると、この疾患は、深刻な視力喪失をもたらし得る。糖尿病に起因する視力減少は、いくつかの機構により引き起こされ得、個体のニーズに処置を調整する必要がある。(出典:The Center for Disease Control、「The Prevention and Treatment of Diabetes Mellitus−A Guide for Primary Care Practitioners」:www.cdc.gov/health/diseases.htm)。
多くの糖尿病患者は、その血糖が特に高いかまたは特に低い場合に、不鮮明な視覚に気付く。この不鮮明な視覚は、眼の水晶体の形状変化から生じ、通常は、その血糖が正常に戻った場合に逆転する。糖尿病は、患者の血糖レベルに影響するだけではなく、血管にも影響する、疾患である。糖尿病に関係する症状(血圧の上昇を含む)は、網膜に関係する毛細血管を含む微小循環系に対して損傷を引き起こす。毛細血管の損傷は、分離された網膜の領域への血流の減少を生じる。さらに、損傷した血管は、漏出する傾向があり、これにより、網膜内での膨張が生じる。
糖尿病性眼疾患の2つの主要なカテゴリーが存在する。第1のカテゴリーは、バックグラウンドの糖尿病性網膜症または非増殖性網膜症と呼ばれる。これは、本質的には、糖尿病性網膜症の最初期段階である。この段階は、小網膜血管に対する損傷により特徴付けられ、これにより、網膜中への流体(血液)の浸出が生じる。この段階の間のほとんどの視力喪失は、斑中へのこの流体蓄積に起因する。この流体蓄積は、黄斑水腫(macular edema)と呼ばれる。この流体蓄積は、一時的視力減少または永続的視力減少を引き起こし得る。糖尿病性網膜症の第2のカテゴリーは、増殖性糖尿病性網膜症と呼ばれる。増殖性網膜症は、網膜毛細血管床(脈絡膜)により維持される糖尿病誘導性損傷の最終結果である。脈絡膜に対する損傷は、網膜における酸素枯渇を引き起こす。網膜組織は、新生脈管形成を刺激する脈管形成サイトカインを生成することによって、その低酸素性環境に応答する。以前に記載されたように、網膜の新生脈管形成は、眼における出血、網膜瘢痕組織、網膜剥離を引き起こし、これらの症状のうちのいずれか1つは、視力減少または失明を引き起こし得る。糖尿病患者はまた、しばしば、血管新生緑内障にも罹患し、このことは、ルベオーシス(隅角の閉塞を引き起こす虹彩上で成長する血管)を示す。
糖尿病性網膜症は、I型糖尿病患者(40歳より前の糖尿病の発症)およびII型糖尿病患者(40歳より後の発症)の両方において生じ得るが、糖尿病性網膜症は、I型患者においてより一般的でありかつより重篤である傾向にある。II型糖尿病患者は、しばしば、その患者が長年糖尿病を有するまで、診断されないが、糖尿病が発見された時点でII型患者において糖尿病網膜症が存在し得る。
糖尿病性網膜症の処置は、複数の要因(網膜症の型および程度、関係する眼の要因(例えば、白内障または硝子体出血)、および患者の医療歴を含む)に依存する。処置の選択肢としては、ROPについて議論されたのと同じ選択肢(すなわち、レーザー光凝固、寒冷療法(凍結)、および硝子体切除手術)が挙げられる。糖尿病性網膜症に起因する失明は、ほんとんどの場合において予防可能である。
いかなる型の眼内癌性腫瘍も、ほとんど一般的ではない。しかし、眼の腫瘍は、ブドウ膜(眼)癌が一般的に他の身体領域への転移しそして他の身体領域から転移する点で、非常に深刻である。眼の最も一般的な主要な悪性腫瘍であるブドウ膜黒色腫は、1年あたり一般の集団において100万人中7人において発症する(肺癌の発生率の1/10未満である)。網膜芽細胞腫は、血友病とほぼ同じ程度の頻度で小児疾患として生じる。これらの2つの眼内腫瘍は、非常に異なり、解剖学的近さによってのみ関連する。眼性癌についての処置の選択は、その癌が眼のどこにあるか、どの程度遠くまでその癌が伝播しているか、ならびにその患者の全身の健康および年齢に依存する(出典:The Eye Cancer Network:www.eyecancer.com;OncoLink:cancer.med.upenn.edu)。
網膜芽細胞腫は、若齢の小児において生じる一方または両方の眼の癌である。米国において、1年あたり約350件の新規に診断される症例が存在する。網膜芽細胞腫は、米国において生まれる15,000〜30,000人の生存乳児につき1人に発症する。網膜芽細胞腫は、すべての人種の小児ならびに少年および少女の両方に発症する。
網膜芽細胞腫は、網膜(眼にものを見えるようにする眼の光感受性層)に起源する。網膜芽細胞腫の処置は、各患者について個別化し、その小児の年齢、一方の眼もしくは両方の眼に関与していること、および癌が他の身体部分に伝播しているか否かに依存する。未処置のままにされると、その小児は死亡し得る。網膜芽細胞腫についての処置としては、摘出、外部ビーム照射、放射性プラーク、レーザー療法、寒冷療法、および化学的減少(chemoreduction)が挙げられる。
摘出が、網膜芽細胞腫についての処置の最も一般的形態である。摘出の間に、眼が外科的に除去される。この除去は、癌を完全に除去することが唯一の方法であるので、必要である。眼全体を除去することなく眼内から癌を除去することは、不可能である。部分的摘出は、いくつかの他の眼性癌について可能であるが、それは危険があり、そして網膜芽細胞腫患者についての癌の伝播になお寄与し得る。
両方の眼が関与する場合、時々、より関与している方、すなわち「悪い方」の眼が、摘出され、一方、もう一方の眼は、視覚保存処置(例えば、下記に記載される、外部ビーム照射、プラーク療法、寒冷療法、レーザー処置、および化学的減少(chemoreduction))のうちの1つで処置され得る。
外部ビーム照射が、1900年代初期以来、眼および視力を保存するための方法として使用されている。網膜芽細胞腫は、放射線に感受性であり、しばしば、この処置は成功する。この照射処置は、3〜4週間の長さにわたって1週間につき5回、外来患者ベースで実施される。あつらえられた石膏型が、処置の間に頭が動くのを防ぐために作製され、時々、鎮静薬が、処置前に処方される。
腫瘍は、通常、外部ビーム照射処置後に、小さくなり(後退)そして瘢痕形成したように見えるが、めったに完全には消失しない。実際、腫瘍は、収縮するにつれてより明瞭にさえなり得る。なぜなら、ピンクがかった灰色の腫瘍塊が、白色カルシウムで置換されるからである。処置直後に、皮膚が火傷し得るか、小さい髪片が、ビームの出口位置から頭後ろで失われ得る。外部ビーム照射後、長期間の効果としては、白内障、放射線網膜症(出血および網膜浸出液)、視力の減損、および一時的骨抑制(正常には増殖しない頭部側面の骨)が挙げられる。照射はまた、身体のどの細胞にも異常な遺伝子を保有する小児について、眼の外側に他の腫瘍を発症する小児リスクを増加し得る。
放射性プラークは、網膜芽細胞腫に照射するために1930年代に開発された、放射性物質のディスクである。今日、同位体ヨウ素125が使用され、このプラークは、各小児にあつらえ作製される。小児は、この手術のために通常入院しなければならず、2回の別個の手術(1回は、プラークを挿入するため、1回はプラークを除去するため)を、3〜7日間にわたって受けなければならない。
レーザー療法は、時に、光凝固またはレーザー高熱(これらは、2つの異なる技術である)と呼ばれ、網膜芽細胞腫に対する非侵襲性処置である。レーザーは、比較的小さい網膜芽細胞腫を効果的に破壊する。この型の処置は、通常は、眼の中の癌上とその周囲とに、瞳孔と通して光を集束することによって実施される。近年、レーザーの新規な送達システム(ジオペキシ(diopexy)プローブと呼ばれる)は、瞳孔を通してではなく眼の壁を通して光を投げかけることによって、その癌の処置を可能にしている。レーザー処置は、局所麻酔または全身麻酔下で行われ、通常は、その処置に関連するいかなる手術後の疼痛も有さず、そしていかなる手術後の投薬も必要としない。レーザーは、単独でか、または外部ビーム照射、プラーク、または寒冷療法に加えて、使用され得る。
寒冷療法はまた、網膜芽細胞腫に罹患している患者に対して行われ得る。寒冷療法は、局所麻酔または全身麻酔のもとで行われ、より小さな網膜芽細胞腫の腫瘍を凍結する。ペン様プローブを、腫瘍に隣接した強膜に配置し、その腫瘍を凍結する。寒冷療法は、通常、ガン細胞の全てを実質的に破壊するためには、多数回反復されなければならない。寒冷療法の有害な副作用は、瞼および眼が1〜5日間腫脹することである;ときおり、この腫脹は、非常に甚だしいので、小児は、数日間彼らの瞼を開ける(眼を開ける)ことができない。点眼剤または軟膏は、しばしば、腫脹を低減するために与えられる。
化学的減少(chemoreduction)は、化学療法を使用した網膜芽細胞腫の処置である。化学療法は、一般的に、小児に対して静脈内に投与され、血流を通って、成功する場合は、数週間以内に腫瘍の縮小を生じる。1以上の薬物を使用する化学療法は、1回、2回またはそれ以上行われ得る。薬物および施設に依存して、小児は、このプロセスの間に入院しても、入院しなくてもよい。化学療法の後、小児は再検査され、残りの腫瘍は、寒冷療法、レーザー、または放射性プラークを使用して処置される。小児は、3週間毎に、麻酔下で、眼を再試験しながら、20回ほど処置することが必要であり得る。
まれではあるが、網膜芽細胞腫が即座に処置されることはまれであるにもかかわらず、網膜芽細胞腫は、眼の外側から脳、中枢神経系(脳および脊髄)、および骨へと拡がり得る(転移し得る)。この場合、化学療法が、小児腫瘍学者により処方され、転移性疾患の最初の診断の後に数ヶ月から数年にわたって、末梢血管を通ってまたは脳へと投与される。
網膜芽細胞腫および黒色腫以外の腫瘍は、眼で発生し、これらはしばしば、他の場所での疾患の前兆である。脈絡膜転移は、眼内悪性疾患を最も頻繁に生じやすく、全身性悪性疾患の最初の徴候であり得る。脈絡膜転移は、無着色性黒色腫(nonpigmented melanoma)に似ている。それらは、蛍光眼底血管造影像上で黒色腫に類似の外観を有し、超音波記録上でわずかなエコーグラム差異を示す。しかし、脈絡膜転移は、より急速に増殖し、大きな滲出性網膜剥離を引き起こす可能性がより高い。
概して、生存についての予後は、一旦転移性疾患が眼において見いだされると乏しい。しかし、全身性癌患者における生存が改善されるにつれて、よい生活の質を維持する際に、眼の転移の首尾よい処置がますます重要な役割を果たしている。
原発性眼球リンパ腫症は、最も興味をそそられる眼内腫瘍のうちの1つである。その原発性中枢神経系リンパ腫およびリンパ性組織が存在しない場合の腫瘍が網膜下色素上皮腔において増殖する傾向との関係は、この非常に攻撃的なリンパ腫の実際の2つ魅力的な局面である。原発性眼球リンパ腫の臨床的発現は、良性のブドウ膜の実体を模倣することが有名であり、従って、数ヶ月間、正確な診断が遅れる。眼球リンパ腫における新生物細胞は、網膜色素上皮とブルーフ膜との間の空間に拘束され続け得る。リンパ腫のこれらの凝集と関連する硝子体(vitritis)は、しばしば、反応性リンパ球からなり、硝子体生検は、非診断的であり得る。これは、実際に、外科医が腫瘍細胞をとっていなかった場合に、眼内細胞学を解明することが困難であるという誤解をもたらした。眼内生検からのポジティブな収穫は、いくつかの場合において、外科医が網膜下色素上皮腔における網膜切開術を介した吸入生検を行う場合に増大され得る。原発性眼球リンパ腫は、白血球共通抗原についてポジティブに染まる、大きく、細胞学的に異型の細胞からなる。吸引は、通常、多量の壊死による細片と関連づけられる。免疫表現型分析は、過去、問題をはらんでいた。いくつかの初期の研究では、いずれの表面マーカーも見いだすことができず、眼球リンパ腫がホルモン非産生細胞腫瘍(nullcell tumor)であったと結論づけた。ヒアルロニダーゼを用いた細胞の前処置は、免疫病理学研究の収穫を増大させた。
眼の癌の別の形態は、脈絡膜黒色腫である。脈絡膜黒色腫は、眼の原発性癌である。眼の脈絡膜の色素細胞から発生し、どこか他の場所で発生して眼へと拡がった癌ではない。いくつかの脈絡膜黒色腫は、他の癌より生命を脅かすものであるが、ほとんど全てが悪性であるかのように処置されるべきである。いくつかの脈絡膜黒色腫は、不活発のままであるようであり、増殖しない。大部分はゆっくりと時間がたつにつれて拡がり、失明をもたらす。これらの腫瘍は、身体の他の部分に拡がり得、最終的には死をもたらす。眼の黒色腫が肝臓に転移した多くの症例が、報告された(情報源:The Eye Cancer
Network:www.eyecancer.com)。
長年にわたり、脈絡膜黒色腫に有用な処置は、摘出であった。腫瘍が身体の他の部分に拡がっていない場合、眼の除去は、一般に、患者から腫瘍を完全に除去する。第二次世界大戦以来、脈絡膜黒色腫については、放射線処置が使用されてきた。過去20年間、この処置方法は、改良されてきている。適切な線量率および適切な物理的形態での照射は、眼の除去を必要とするに十分な正常な組織へ損傷を生じることなく、増殖している腫瘍細胞を排除することが意図される。細胞が死ぬにつれて、腫瘍は縮小するが、通常、完全には消失しない。中間の脈絡膜黒色腫を照射するために最も見込みのある広く利用可能な方法は、一方の側面に接着した放射活性のペレットで小さなプラークを構成する工程を包含する。しかし、照射は、通常、嘔吐および脱毛のような有害な副作用が伴う。
サイクロトロンからの高エネルギー粒子(ヘリウムイオンまたは陽子ビームの照射)をまた使用して、腫瘍を照射し得る。まず、小さな金属クリップを強膜に縫いつけるための手術が行われ、その結果、この粒子ビームが正確に照準され得る。連続する数日間にわたって処置が施される。これらの処置に必要な器具は、世界中でいくつかの医療センターでのみ利用可能である。良好な結果が幾人かの患者で報告されたが、この方法で処置された多くの患者が、数年のみ追従した。よって、より一般的に使用されるプラークと比較した放射線治療のこれらの形態の長期での結果は、知られていない。
数年にわたって、他の処置が、少数の患者について使用された。白色光またはレーザー光を使用する光凝固術が、小さな腫瘍を焼くために使用され、そして寒冷療法が、腫瘍を凍結することによってこれらを殺傷するために使用された。これらの技術は、非常に小さな腫瘍についてのみ作用すると考えられている。幾人かの医者は、レーザーまたは寒冷療法を照射と組み合わせたが、このような処置は実験的であった。幾人かの患者は、彼らの眼から腫瘍を取り除くために、眼壁(eye wall)切除または関連手順を受けた。これらの処置法は、ほとんどの医者によって実験的であると考えられており、そして少数の腫瘍についてのみ使用された。腫瘍を破壊するか、視覚を保護するか、または正常な寿命を確保することを保障し得る処置は、利用可能ではない。
別の眼の癌は、眼内黒色腫であり、この癌細胞中に稀な癌が、ブドウ膜と呼ばれる眼の一部において見出される。ブドウ膜は、色素を含むメラノサイトと呼ばれる細胞を含む。これらの細胞が癌性になる場合、この癌は、黒色腫と呼ばれる。ブドウ膜は、虹彩(眼の着色部分)、毛様体(眼中の筋肉)、および脈絡膜(眼の背後の組織層)を含む。虹彩は、開閉して眼に入る光量を変化させる。毛様体は、眼の内側のレンズの形状を変化させ、その結果、焦点を合わせ得る。脈絡膜層は、網膜の次にあり、映像を作製する眼の一部である。虹彩に始まる黒色腫がある場合、これは、虹彩上に黒点様に見え得る。黒色腫が毛様体または脈絡膜にある場合、ぼやけた視野を有し得るか、または症状を有し得ない。そしてこの癌は、気づかれる前に増殖し得る(出典:The Eye Cancer Netwook:www.eyecancer.com)。
眼内黒色腫からの回復(予後)の変化は、癌が眼内にある場合そしてこの癌が広がっている場合、癌のサイズおよび癌の細胞型に依存する。眼内黒色腫を有する患者全てに対する、処置が存在する。3つの処置型(すなわち、手術(癌の除去)、放射線療法(癌細胞を「殺傷」するための高用量x線または他の高エネルギー線)、および光凝固術(腫瘍を養う血管を破壊する)が、一般に投与される。
手術は、眼内黒色種の最も一般的な処置である。医者は、以下の操作のうち1つを使用して癌を除去し得る:
−虹彩切除−虹彩の一部のみの除去;
−虹彩トラベクレクトミー−虹彩の一部および角膜(眼の前を被う清浄層)周辺の支持組織の除去;
−虹彩毛様体切除−虹彩および毛様体の一部の除去;
−脈絡膜切除−脈絡膜の一部の除去;
−摘出−眼全体の除去。
放射線療法をまた使用して、癌細胞を殺傷しそして腫瘍を縮小させるために、癌細胞が存在する領域にx線または他の高エネルギー線を適用し得る。放射線は、単独でかまたは手術と組み合わせて使用され得る。光凝固術処置もまた使用され得、ここで、光の極小ビーム(通常レーザー由来)が眼に適用され、血管を破壊し得そして腫瘍を殺傷し得る。
眼の疾患の処置について提唱される治療法の圧倒的大多数(特に、網膜下新生血管形成および眼の腫瘍)は、最初手術または放射線処置を利用する。患者が投薬単独または手術後の投薬で処置される場合、薬物投与は、一般に注射または経口のいずれかでの全身性である。前記したように、眼の疾患に対する手術または放射線処置は、両方とも痛みを伴い、しばしば長い回復期を必要とし、そして有害な副作用が続き得る。さらに、薬物の経口摂取または眼以外の部位での注射を介する全身投与が、効果的な眼内濃度を達成するために、しばしば受容し得ない高レベルの薬物の投与を必要とする効果的ではない量でしばしば提供される。よって、癌疾患(例えば、角膜および網膜の新生血管形成)の処置に首尾よい非全身性治療の必要性が多く存在する。さらに、有害な副作用なく薬物および医薬を眼に送達することは、主要な難題を残す。本発明は、最小限の副作用を有する癌疾患の処置のためのチューブリン結合性薬剤の効果的な非全身投与を提供する治療を提供する。
(発明の要旨)
本発明は、眼組織での悪性または非悪性の血管増殖性障害の処置のための、脈管標的化因子(「VTA」)(特に、チューブリン結合性薬剤)の投与を指向する。
眼組織の新生血管形成は、血管増殖によって特徴付けられる病原性状態であり、種々の程度の視力機能不全を有する種々の眼の疾患において生じる。悪性でない血管増殖性障害(例えば、湿性の黄斑変性、増殖性糖尿病網膜症または未熟網膜症に関連する新生血管形成の薬理学的コントロールに対するVTAの投与は、ほとんどの治療オプションが利用可能ではない患者に対して潜在的に有利である。別の実施形態において、本発明は、悪性の血管増殖性障害(例えば、眼の腫瘍)に関連する新生血管形成の薬理学的コントロールに対するVTAの投与を提供する。
血液網膜関門(BRB)は、網膜の毛細血管と網膜組織との間の特定の物質についての輸送バリアを形成する、堅固に連結した、特殊化した非有窓性の内皮細胞から構成される。固体腫瘍に関連する血管に酷似する、網膜症に関連する角膜および網膜の新生血管は、異常である。チューブリン結合性薬剤、チューブリン重合のインヒビターおよび脈管標的化因子は、異常な血管を攻撃し得る。なぜなら、これらの血管は、血管網膜関門と構造的類似性を共有しないからである。チューブリン結合性薬剤は、それらが腫瘍−脈管構造を停止させるのと同様に疾患の進行を停止し得る。チューブリン結合性薬剤の眼への局所(非全身性)送達は、硝子体内(intravitreal)注射、トノン下注射、点眼イオン導入法、ならびに移植物および/または挿入物を使用して達成され得る。全身投与は、疾患器官もしくは疾患組織または罹患器官もしくは罹患組織(この場合、これらは眼である)から測定可能な距離だけ隔てた部位でチューブリン結合性薬剤を血流へ投与することによって達成され得る。全身投与の好ましい様式としては、非経口投与または経口投与が挙げられる。
本発明の1つ以上の実施形態の詳細は、以下の添付の説明に記載される。本明細書中に記載される方法および材料と類似または等価な方法および材料のいずれも、本発明の実施または試験に使用され得、好ましい方法および材料は、ここで記載される。本発明の他の特徴、目的および利点は、この記載から明らかである。本明細書および添付の特許請求の範囲において、単数形はまた、その文脈がそうでないと明らかに示さないかぎり、複数形を含む。他で規定されない限り、本明細書中で使用される技術用語および科学用語の全ては、本発明が属する分野の当業者によって一般的に理解されるものと同一の意味を有する。本明細書中に列挙される特許および刊行物の全てが、本明細書中に参考として援用される。
(発明の詳細な説明)
本発明は、被験体における眼の疾患の処置または予防のための方法および組成物に関する。この方法は、チューブリン結合性薬剤の薬学的に有効な投薬量を含有する投薬量を調製する工程、および処置または予防を必要とする被験体に薬学的にその有効な投薬量を投与する工程を包含する。
一実施形態は、処置または予防を必要とする被験体の眼に、その眼の中のチューブリン結合性薬剤の濃度を眼房水組織の約1nM〜約100mMの範囲で達成するに十分な用量で、チューブリン結合性薬剤を投与することにより、眼の疾患を処置または予防する方法である。
本発明の方法の別の方法は、脈絡膜の新生血管形成を有し、そして損傷を有すると確認される被験体の眼における損傷からの滲出液の漏出を減少させるに十分な用量での、チューブリン結合性薬剤を必要とする被験体へのチューブリン結合性薬剤の投与である。
本発明の別の方法は、脈絡膜の新生血管形成に罹患する被験体の眼における増殖性脈間構造の退行を誘導するに十分な用量での、チューブリン結合性薬剤を必要とする被験体へのチューブリン結合性薬剤の投与である。
本発明はまた、眼の疾患の処置または予防のための薬学的医薬に関し、この医薬は、眼の新生血管形成を減少させるための、治療有効量のチューブリン結合性薬剤を、この医薬を必要とする被験体への投与のために薬学的に受容可能なキャリア、賦形剤、希釈剤またはアジュバントと組み合わせて含有する。
被験体は好ましくは哺乳動物であり、より好ましくはヒトである。本発明の組成物および方法のために好ましいチューブリン結合性薬剤としては、コンブレタスタチンA4およびコンブレタスタチンA4プロドラッグが挙げられる。
本発明の組成物および方法により処置または予防される眼の疾患としては、網膜の新生血管形成、脈絡膜の新生血管形成、眼の腫瘍の新生血管形成、糖尿病性網膜症、未熟網膜症、網膜芽腫、角膜の新生血管形成、および黄斑変性が挙げられる。より具体的には、適切な疾患としては中心窩下の脈絡膜の新生血管形成を示す疾患が挙げられ、これらとしては、病的な近視、および滲出性の年齢関連黄斑変性が挙げられる。病的な近視は、あるいは、増殖性ミオパシーまたは近視性黄斑変性と呼ばれ得る。本明細書中で用いる場合、用語「病的な近視」、用語「増殖性ミオパシー」、および用語「近視性黄斑変性」は、全て同じ疾患状態をいう。眼の腫瘍としては、網膜芽腫、一次眼リンパ腫、脈絡膜黒色腫、および眼内黒色腫が挙げられ得る。
上記のチューブリン結合性薬剤は、全身的または非全身的のいずれかで送達され得る。非全身投与の好ましい実施形態としては、硝子体内注射、結膜下注射、眼球周辺注射、トノン下(sub−Tenon)注射、点眼薬、イオン注入、ならびに、眼性移植物(ocular implant)および/または眼性挿入物(ocular insert)が挙げられる。非全身投与されるチューブリン結合性薬剤の適切な投薬量範囲は、約0.1mg/ml〜約100mg/mlの範囲である。
全身投与の好ましい実施形態としては、非経口的投与および経口投与が挙げられる。より具体的な全身投与経路としては、静脈内、皮内、筋肉内、皮下、吸入、経粘膜、および直腸性のものが挙げられる。全身投与されるチューブリン結合性薬剤の適切な投薬量範囲は、約0.1mg/m〜約120mg/mの範囲である。好ましい投薬量範囲としては、約2mg/m〜約90mg/mの範囲、約15mg/m〜約50mg/mの範囲、約10mg/m〜約80mg/mの範囲、および約20mg/m〜約60mg/mの範囲が挙げられる。全身投与されるチューブリン結合性薬剤の特に好ましい投薬量は、実施例9に記載される患者を処置するために用いられる投薬量範囲であり、27mg/mである。上記のチューブリン結合性薬剤がホスフェートプロドラッグである場合、この投薬量は、ホスフェートの遊離酸の量に基づいて算出される。
本発明の薬学的組成物の好ましい実施形態は、懸濁液、乳濁液、または溶液中に、約0.1mg/ml〜約100mg/mlの範囲である一定量のCA4P;約5mg/mlのカルボキシメチルセルロース;および約9mg/mlのNaClを含む。好ましくは、この組成物は約6.6〜8.6の範囲の最終pHを有し、約291〜492mosmol/kg HOの範囲の浸透性を有し、そして約50〜66mPa.s.の範囲の粘度を有する。
ヒトの眼は、いくつかの構造的に特有の性質を有する:ヒトの眼は環境に曝露され、非常に神経が衰弱され、脈絡膜では高速の血流を有するが、前眼房および硝子体液は完全に無血管性であり、循環系から隔離されている。眼の例外的な構造は、眼の状態、疾患、腫瘍、および障害の処置のための投与の1つ以上の非全身性の方法による、チューブリン結合性薬剤の送達のために、十分な機会を提供する。眼の簡略化された解剖学的な図を図1に示す。
以前に記載したように、眼組織の新生血管形成は、種々の眼疾患において生じ、かつ種々の程度の視力機能不全に関連する病原性状態である。新生血管形成の病理学的コントロールは、湿性の黄斑変性、増殖性糖尿病網膜症または未熟網膜症のような疾患を罹患する患者に潜在的に役立つ。
チューブリン結合性薬剤は、有糸分裂中に細胞中のチューブリン結合補因子または補因子−チューブリン複合体に結合することによってチューブリンアセンブリを阻害し、そして分裂を阻止し、よって、細胞の増殖を阻止する。チューブリン結合性薬剤は、チューブリン重合を阻害する広範なクラスの化合物を含み、これは、一般に、癌化学療法および他の非癌適用(例えば、眼の疾患)に有用な腫瘍選択的脈管標的化因子として機能する。
上記のように、眼の疾患を処置するための薬物の全身投与の不利益の1つは、全身投与が一般に効果的なレベルの薬物を眼に特異的に提供しないことである。全身性に投与された薬物は、眼に到達する前でさえ身体内で代謝され得るので、効果的な眼内濃度を達成するために、より高レベルの薬物が、投与される必要性があり得る。眼の疾患を罹患する患者の眼への直接的な薬物の非全身投与または局所投与は、薬物の効果的な濃度が投与されることを可能にし、そして非常にその患者のためになる。
本発明に従うチューブリン結合性薬剤の非全身投与によって処置可能な眼の徴候としては、角膜、虹彩、小柱網、網膜、網膜下、眼神経頭部、または脈絡膜の新生血管形成によって特徴付けられる、悪性でない血管増殖性疾患、ならびに悪性の血管増殖性疾患(例えば、眼の腫瘍および癌)が挙げられる。
角膜の新生血管形成は、以下において生じる:トラコーマ(Chlamydia trachomatis)、ウイルス介在性角膜炎、微生物性角結膜炎、角膜移植および火傷。これは、感染(トラコーマ、ヘルペス、リーシュマニア症、オンコセルカ症(onchoceroiasis))、移植、火傷(熱、アルカリ)、外傷、栄養不全およびコンタクトレンズ誘導性損傷。虹彩の新生血管形成が関与する疾患としては、虹彩ルベオーシス、フックス虹彩異色性虹彩毛様体炎、および虹彩の発育不全が挙げられる。
網膜および/または脈絡膜の新生血管形成は、黄斑変性、糖尿病網膜症、鎌状赤血球網膜症、および未熟網膜症において生じる。脈絡膜の新生血管形成は、血管が、脈絡膜からブルーフ膜における断裂(break)を通って成長し、そして網膜下の色素上皮または網膜下の空間の中へと成長する場合に生じて、流体の蓄積(水腫)および/または出血として顕在化する。このこと自体は、重篤な視力喪失につながり得るが、網膜色素上皮または感覚網膜はまた、剥離し得る。好ましい実施形態において、本発明は、以下の状態の結果として生じるかまたはこれと併発的に生じる、高増殖性の中心窩下脈絡膜新生血管形成の処置に関する:滲出性(湿性)の加齢性黄斑変性、糖尿病網膜症、未熟網膜症、病的近視、後部ブドウ膜炎、慢性ブドウ膜炎、眼ヒストプラスマ症候群、黄斑水腫、網膜静脈の不顕性出血、網膜色素線条、脈絡膜裂傷、多病巣性脈絡膜炎、虚血性網膜疾患、および他のブドウ膜の実体。
中心窩下脈絡膜新生血管形成の特定の好ましい形態は、病的近視の結果として生じるかまたは病的近視と併発的に生じる。高度の近視(極端な近視)は、眼球の異常な成長によって特徴付けられる状態であり、網膜およびブルーフ膜の伸張を生じる。視力の漸進的低下は、網膜の伸張の結果として黄斑が薄くされる場合に生じる。ブルーフ膜の薄化は裂け目を生じ得、この裂け目を通って新生血管が脈絡膜から網膜の下に成長し得る。中心窩下脈絡膜新生血管形成は、突発性かつ重篤な視力喪失を引き起こし得る。中心窩下脈絡膜新生血管形成の別の特定の好ましい形態は、滲出性の加齢性黄斑変性の結果としてかまたはこの滲出性の加齢性黄斑変性と併発的に生じる。前房の新生血管形成は、血管新生緑内障において生じる。
本発明によって企図されるチューブリン結合性薬剤の非全身投与方法としては、以下が挙げられる:硝子体内投与(注射)、結膜下投与、眼周囲投与、トノン下注射、イオン導入法送達、点眼、ゲルまたは軟膏での局所投与、および眼挿入物または移植物を介しての投与。
チューブリン結合性薬剤は、眼の硝子体液への直接的な注射を介して硝子体内投与され得る。チューブリン結合性薬剤はまた、結膜下注射によって結膜の下に、および眼周囲での注射を介して眼の周囲に投与され得る。
チューブリン結合性薬剤はまた、平滑チップConnor Cannulaを用いてトノン下腔(トノン嚢の下)への注射によって投与され得る。適切な技術を用いて、チューブリン結合性薬剤の投薬量を投与する医療専門家は、眼球を穿刺することおよび視神経を損傷することを避け得る。送達後、注射部位は麻痺し、そしてこの空間は、薬物の貯留部として働く。トノン腔下への投与は、硝子体注射より侵襲性ではない。
本発明の別の実施形態において、チューブリン結合性薬剤は、薬物の徐放性および長期に渡る治療的に効果的な薬物濃度の維持を提供するために、生体適合性、生分解性、および/または生体侵食性(bioerodible)である、チューブリン結合性薬剤を含む眼の移植物または挿入物として処方され得る。哺乳動物の眼への移植または挿入のための、薬物を含有する生体侵食性の眼の移植物は、例えば、米国特許第5,904,144号および同第5,766,242号に記載される(これらはその全体が本明細書中に参考として援用される)。眼の移植物は、一般に、眼内の所望の位置に置かれるカプセルを含む。このカプセルは、眼への連続的な制御された送達のために、1つ以上の医薬を含んでも、生物学的に活性な分子を生成する細胞を含んでもよい。この実施形態において使用され得る薬物の量は、その薬物の効果的な投与量、および眼上または眼内の挿入物または移植物からの放出速度に依存して変化する。
強膜は露出されるので、イオン導入法プローブが、眼の表面上に適用され得る。イオン導入法は、細胞膜を横切るイオン性化合物の流れを駆動するために電流を使用する。この技術は、現在、イオン性薬物の経皮送達に利用される。イオン導入法が薬物輸送を駆動する2つの主な機構は、以下である:(a)イオン導入法(ここで、荷電したイオンは、同一の電荷の電極から反発される)、および(b)電気浸透(電場が適用される場合、対イオンの選択的通路に応答して、荷電した「ポア」を介して生じる溶媒の対流)。
チューブリン結合性薬剤はまた、滅菌点眼形態での眼への局所投与のために処方され得る。
本発明に従うと、好ましいチューブリン結合性薬剤は、潜在的な脈管標的化因子であるコンブレタスタチン(combretastatin)A4(「CA4」)である。CA4は、水に実質的に不溶性である。この特徴は、この化合物の薬学的調製物の処方に干渉する。よって、コンブレタスタチンA4のより好ましいプロドラッグ形態(「CA4P」)は、CA4の一般に不十分な可溶性を補うために利用される。本明細書中で使用される場合、CA4Pとは、コンブレタスタチンA4の全てのプロドラッグ塩をいう。適切なCA4P塩としては、とりわけ、米国特許第5,561,122号に記載されるホスフェートプロドラッグ、およびWO02/22626に記載されるTRISプロドラッグが挙げられる。しかし、本発明は、この局面に限定されず、そしてCA4の処方物は、CA4Pと同等かまたはそれよりよく働き得る。
コンブレタスタチンは、熱帯および亜熱帯の低木および樹木であるコンブレタスタチン科に由来し、これは、潜在的に有用な生物学的特性を有する新たな物質の、事実上未踏のリザーバを示す。例示的なものは、らい病(Watt,J.M.ら、「The Medicinal and Poisonous Plants of Southern and Eastern Africa」、E&S.Livingstone,Ltd.,London,1962,194頁を参照のこと)(Combretum sp.root)および癌(Combretum latifolium)の処置と同程度に多様な用途に対する、アフリカおよびインドの原始的な医療実践において公知である25種(全体の10%)を有するコンブレタスタチン属である。
コンブレタスタチンは、抗腫瘍性物質であることが見出された。多くのコンブレタスタチンが、単離され、構造的に解明され、そして合成された。米国特許第5,409,953号および同第5,59,786号は、A−1、A−2、A−3、B−1、B−2、B−3およびB−4と称されるコンブレタスタチンの単離および合成を記載する。これらの特許の開示は、これらの全体が本明細書中に参考として援用される。関連のコンブレタスタチン(コンブレタスタチンA4と示される)は、Pettitに対する米国特許第4,996,237号に記載され、その全体が本明細書中に参考として援用される。
CA4Pは、米国特許第5,561,122号(この開示の全体は、本明細書中に参考として援用される)に記載される天然のコンブレタスタチンA4サブタイプの誘導体である。好ましいCA4P化合物は、CA4構造中の−OH基にリン酸二ナトリウム誘導体を置換し、そしてこの置換は、CA4Pをインビボで水に不溶性のCA4に戻す代謝性変換を可能にする。しかし、本発明はホスフェート誘導体に限定されず、そして他のプロドラッグ部分が、CA4化合物中の−OH基を置換し得る。さらにCA4Pの二ナトリウム塩以外のホスフェートプロドラッグ塩が、本発明の目的について実質的に同一の方法で行われることが予想される。他のホスフェートプロドラッグ塩の例(TRIS塩を含む)は、PCT特許出願WO02/22626およびWO99/35150(これらの開示は本明細書中に援用される)に記載される。
CA4Pは、新脈管形成によって形成される腫瘍特異的血管を選択的に標的化および破壊することによって固体腫瘍を減少させる新たなクラスの薬物(抗腫瘍性脈管標的化因子)の最初のものである。抗腫瘍脈管標的化および新脈管形成阻害は、癌処置の慣用的なアプローチとは根本的に異なる関連の癌治療である。癌細胞に対する直接的な攻撃を含む伝統的な方法とは対照的に、これらの新たな薬物は、腫瘍の寿命維持系、新脈管形成の結果として形成する新たに出現する血管のネットワーク、以前から存在する血管からの新たな血管の出芽を標的化する。前臨床的な研究は、これらの治療の使用が腫瘍を減少させ得そして最終的には消失させ得ることを示した。さらに、CA4Pがインビトロおよびインビボでの動物細胞モデルにおいて使用された場合、血管毒性に対する著しい特異性を示した(Int.J.Radiat.Oncol.Biol.Phys.42(4):895−903,1998;Cancer Res.57(10):1839−1834 1997)。
新脈管形成インヒビターおよび抗腫瘍脈管標的化因子(例えば、コンブレタスタチン)は両方とも、腫瘍の血管を標的化するが、これらは、そのアプローチおよび最終結果において異なる。新脈管形成阻害について、その目的は、腫瘍を養いかつ維持する腫瘍特異的血管の形成を阻害することによって腫瘍増殖を阻止することである。一方、抗腫瘍脈管標的化について、その目的は、既存の血管を選択的に攻撃および破壊すること、これらの血管の迅速かつ不可逆な活動停止を作製することによって腫瘍を除去することである。このような効果は、抗新脈管形成薬では観察されない。抗脈管標的化活性のみが、腫瘍増殖を支持する既存の血管を破壊し得る。コンブレタスタチンはまた、新たな腫瘍脈管構造を産生および裏打ちする内皮細胞の増殖を阻害する能力(抗脈管形成活性)を有する。よって、コンブレタスタチンが抗腫瘍脈管標的化因子および抗脈管形成薬の両方として振舞い得ると、考えられている。前臨床的な研究において、両方の治療薬が、罹患していない正常組織に関連する血管を残すことが示されている。本発明は、CA4Pの単独投与および/または眼の疾患の処置に対する従来の医薬の現在の状態とのCA4Pの組合せ投与の両方を企図する。
新脈管形成によって形成される脈管構造はまた、眼の疾患(例えば、黄斑変性、増殖性糖尿病網膜症および未熟網膜症)を含む癌以外の疾患において観察された。実験的な眼モデルにおいてこのような脈管構造を低減させる予備的研究が、Donald Armstrong,Ph.D.,D.Sc.,University of Florida,College of Veterinary Medicine,Division of Ophthalmologyの研究室から実施され、彼は、CA4Pが実験的な動物モデルの眼において予め形成された血管の退行速度を加速することを示した。図3A、図3B、図4Aおよび図4Bは、この実験において研究されたウサギの眼において予め形成された血管の退行を示す。
CA4およびCA4Pは、抗腫瘍脈管標的化因子としての使用および新脈管形成のインヒビターとしての使用を含む、種々の疾患および徴候の処置のための、現在行われている臨床試験である。さらに、CA4Pは、網膜下の新生血管形成のような眼の疾患を処置する能力を示した。
本発明はまた、以下に記載されるようなコンブレタスタチンの合成アナログの使用を企図する:Bioorg.Med.Chem.Lett.11(2001)871−874、3073−3076、J.Med.Chem.(2002),45:1697−1711、WO02/50007、WO01/12579、WO00/35865、WO00/48590、WO01/12579、米国特許第5,525,632号、同第5,674,906号および同第5,731,353号。
VTAとして投与され得る他のチューブリン結合性薬剤としては、以下の薬剤およびそれらのプロドラッグが挙げられる:2,3−二置換ベンゾ[b]チオフェン(米国特許第5,886,025号;同第6,162,930号、および同第6,350,777号)、2,3−二置換ベンゾ[b]フラン(WO98/39323)、2,3−二置換インドール(WO01/19794)、二置換ジヒドロナフタレン(WO01/68654)またはコルヒチンアナログ(WO99/02166)。さらに、血管標的化因子のさらなる非細胞傷害性プロドラッグ(これは、脈管増殖の部位において増強されたレベルで選択的に誘導される内皮の酵素の作用によって実質的に細胞傷害性薬物に変換される)は、WO00/48606に開示される。
本発明に従って投与され得るさらなる既知のチューブリン結合性薬剤としては、以下が挙げられる:タキサン、ビンブラスチン(ビンカアルカロイド)、コルヒチン(コルヒチノイド)、ドラスタチン、ポドフィロトキシン、ステガナシン(steganacin)、アンフェチニル(amptethinile)、フラボノイド、リゾキシン、キュラシン(curacin)A、エポチロン(ephothilone)A、エポチロンB、ウェルウィスタチン(welwistatin)、フェンスタチン(phenstatin)、2−ストリキナゾリン(strylquinazolin)−4(3H)−オン、スチルベン、2−アリール−1,8−ナフチリジン−4(1H)−オン、および5,6−ジヒドロインドール(indolo)(2,1−a)イソキノリン。
チューブリン結合性薬剤をその必要のある被験体の眼へ投与および送達することについて、ヒトの眼がいくつかの構造的に独特な特性を有することを考慮することは重要である:ヒトの眼は環境に曝され、ヒトの眼は非常に神経が衰弱され、ヒトの眼は脈絡膜において高速の血流を有し、さらに前房および硝子体液は、完全に無血管性でありかつ循環系から分離されている。眼の珍しい構造は、代替の薬物送達法について十分な機会を提供する。この点において、投与の4つの非全身性様式が、本発明によって企図される:硝子体内投与(注射)、トノン下注射、イオン導入法送達、移植物/挿入物および点眼送達。
眼の刺激および体内分布の研究結果、ならびにCA4P投与後の角膜、脈絡膜または網膜の新生血管形成の動物モデルにおける血管増殖の阻害の結果は、以下の実施例の節に記載される。
従って、血管新生網膜症および眼の腫瘍は、種々の理由のためにCA4P治療および他のチューブリン結合性薬剤についての実行可能な標的である。すなわち:
・チューブリン結合性薬剤は、網膜症に関連する異常な新生血管を攻撃し得る。なぜなら、これらの血管は、BRBと構造的類似性を共有しないからである。チューブリン結合性薬剤は、この薬剤が固体腫瘍の脈管構造を処置するのと同様に、疾患の進行を停止し得る。さらに、チューブリン結合性薬剤は、種々の前臨床的な研究において観察されるような新生血管の退行を生じ得る。
・網膜下新生血管形成について100%効果的な処置が存在しないので、チューブリン結合性薬剤は、当該分野の処置の現在の状態と組み合わせて使用される場合に、効果的な薬物であり得る。
・網膜症についてごく最近認可された処置は、痛みを伴い得かつ長期の回復期を必要とし得る外科的介入を含む。チューブリン結合性薬剤の非全身投与または全身投与は、処置の非手術形態である。
・全身的にかまたは非全身的に送達される場合、CA4Pは、角膜、網膜または脈絡膜の新脈管形成の動物モデルにおいて、および眼の腫瘍を有する動物モデルにおいて、脈管標的化因子としての裏付けを示す。
記載されるように、CA4Pならびに他の脈管標的化因子およびチューブリン結合性薬剤は、角膜、網膜または脈絡膜の新脈管形成モデルならびに他の眼性疾患モデルおよび眼の腫瘍モデルにおいて、全身的に送達される場合の裏づけを示す。全身投与の好ましい様式としては、非経口投与および経口投与が挙げられる。非経口投与は、1つ以上の皮膚層または筋膜の下またはこれらを介する注射による薬物の投与経路である。規定による非経口投与経路としては、経口−胃腸管(腸管)以外の任意の経路が挙げられる。非経口投与としては、静脈内経路、筋肉内経路および皮下経路が挙げられる。
本発明の薬学的組成物は、その意図される投与経路に適合可能であるように処方される。眼用局所投与のための薬学的組成物としては、点眼液、点眼ゲル、スプレー、軟膏、灌流および挿入物が挙げられ得る。チューブリン結合性薬剤の局所的送達処方物は、所望の治療効果を達成するために十分に長期間安定のままであるべきである。さらに、この因子は、眼の表面構造を透過しかつ疾患の部位において有意な量で蓄積しなければならない。さらに、局所的送達因子は、過剰量の局所毒性を引き起こすべきではない。
点眼剤の形態にある眼用溶液(ophthalmic solution)は、一般に、水性媒体からなる。種々の極性の程度を有する広範な薬物に適応させるために、緩衝液、有機キャリア、無機キャリア、乳化剤、湿潤剤などが添加され得る。眼用の局所的処方物のための薬学的に受容可能な緩衝液としては、とりわけ、リン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、酢酸緩衝液、グルクロン酸緩衝液(glucoronate buffer)などが挙げられる。薬物キャリアとしては、水、低級アルカノールと水の混合物、植物油、ポリアルキレングリコール、石油ベースのゼリー、エチルセルロース、オレイン酸エチル、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、およびミリスチン酸イソプロピル(isoproplyl myristrate)が挙げられ得る。眼用スプレーは、一般的に、点眼剤と同じ結果を生じ、類似の様式にて処方され得る。いくつかの眼用薬物は、眼障壁を横切る透過性が乏しく、点眼剤としてもスプレーとしても投与できない。従って、軟膏が使用されて、接触時間を延長させ得、薬物吸収量を増大させ得る。薬物溶液を用いた眼の連続的かつ一定の灌流は、結膜嚢中にポリエチレンチュービングを入れることにより達成され得る。灌流液の流速は、眼の連続的灌注を生じるように、ミニポンプシステムを介して調節可能である。挿入物は、概して、上側結膜円蓋に配置されるか、またはあまり頻繁ではないが、切開された角膜(open cornea)に取り付けられずに、下側結膜嚢に配置されることを除いて、角膜上に置かれるソフトコンタクトレンズに類似である。挿入物は、概して、涙中に溶解するか、または薬物を放出しながら崩壊する、生物学的に可溶性の材料から作製される。
一実施形態において、活性化合物は、眼に移植される移植物または挿入物上に被覆される。本発明によって企図されるこのような移植物の1つの例は、Oculex Pharmaceuticals,Inc.,Sunnyvale,CA製の移植物である。このOculex移植物は、ミクロカプセル化された薬物治療剤が眼内部に移植され得る生体分解性ミクロサイズポリマーシステムから構成される、生体分解性のBDDTM薬物送達デバイスである。この移植物は、数日から数ヶ月〜数年もの長期の所定の時間にわたって、所望の薬物を、投薬が必要な眼の領域に直接放出させる。
投与の容易さおよび投薬の均一性のために投薬単位形態において局所的組成物を処方することが特に有利である。本明細書中で使用される場合、投薬単位形態とは、処置される被験体に一単位の投薬として適した物理的に別個の単位をいう;各単位は、必要な薬学的キャリアとともに、所望の治療効果を生成するように計算された所定の活性化合物の量を含む。本発明の投薬単位形態の仕様(specification)は、活性化合物の独特の特徴および達成される特定の治療効果、ならびに個体の処置のためにこのような活性化合物を作るという技術に本質的な制限により示され、そしてこれらに直接依存する。本発明に従って処方物を生成するための方法に関するさらなる既知の情報は、例えば、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」,Mack
Publishing Co.,Easter,PA,15thEd.(1975)のような当該分野における標準的な参考文献中に見いだされ得る。
先に議論された非全身的投与経路に加えて、全身的投与経路の例としては、非経口投与(例えば、静脈内)、皮内投与、皮下投与、経口投与(例えば、吸入)、経粘膜投与、および直腸投与が挙げられる。非経口投与または皮下投与に使用される溶液または懸濁液としては、以下の成分が挙げられ得る:滅菌希釈液(例えば、注射用水、生理食塩水溶液、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンのような抗菌剤;アスコルビン酸または重硫酸ナトリウムのような抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸のようなキレート剤;酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩のような緩衝剤、および塩化ナトリウムまたはデキストロースのような等張性を調節するための薬剤。pHは、酸または塩基(例えば、塩酸または水酸化ナトリウム)で調節され得る。非経口調製物は、ガラスまたはプラスチックから作製されるアンプル、使い捨てシリンジまたは複数用量バイアル中に封入され得る。
注射可能な使用に適切な薬学的組成物としては、滅菌水溶液(水溶性である場合)または分散液、および滅菌注射可能溶液または分散液の用時調製のための滅菌散剤が挙げられる。静脈内投与のために、適切なキャリアとしては、生理食塩水、静菌水、Cremophor EL(BASF,Parsippany,N.J.)またはリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)が挙げられる。全ての場合において、組成物は、滅菌でなければならず、容易にシリンジから出る程度に流動性であるべきである。この組成物は、製造条件および貯蔵条件下で安定でなければならず、細菌および真菌のような微生物の汚染作用に対して保護されなければならない。キャリアは、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、およびこれらの適切な混合物を含む、溶媒または分散媒体であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンのようなコーティングの使用によって、分散の場合に必要な粒子サイズの維持によって、および界面活性剤の使用によって、維持され得る。微生物作用の防止は、種々の抗菌剤および抗真菌剤(例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなど)によって達成され得る。多くの場合、組成物中に等張剤(例えば、糖類、多価アルコール(例えば、マンニトール、ソルビトール)、塩化ナトリウム)を含めることは好ましい。注射可能組成物の長期の吸収は、吸収を遅らせる薬剤(例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチン)を組成物中に含めることによりもたらされ得る。
滅菌注射可能溶液は、活性化合物(例えば、脈管標的化薬剤)を、必要であれば、適切な溶媒(上記で列挙した成分の1以上の組み合わせ)中に必要な量で組み込み、続いて滅菌濾過することにより調製され得る。一般に、分散液は、活性化合物を、ベースの分散媒体および上記に列挙されたものから必要な他の成分を含む滅菌ビヒクル中に組み込むことにより調製される。滅菌注射可能溶液の調製のための滅菌散剤の場合、調製の方法は、予め滅菌濾過したその溶液からその活性成分および任意のさらなる所望の成分の粉末を生じる真空乾燥および凍結乾燥である。
経口用組成物は、一般に、不活性希釈剤または食用キャリアを含む。これらは、ゼラチンカプセル中に封入され得るか、または錠剤に圧縮され得る。経口治療剤投与のために、活性化合物は、賦形剤とともに組み込まれ得、錠剤、トローチ、またはカプセル剤の形態において使用され得る。経口用組成物はまた、うがい薬として使用するための液体キャリアを使用して調製され得る。ここで液体キャリア中の化合物は、経口的に適用され、うがいによりゆすがれ(swished)、はき出されるかまたは飲み込まれる。薬学的に適合性の結合剤、および/またはアジュバント物質は、この組成物の一部として含まれ得る。錠剤、丸剤、カプセル剤、トローチなどは、以下の成分のいずれか、または類似の性質の化合物を含み得る:微結晶性セルロース、トラガカントガムまたはゼラチンのような結合剤;賦形剤(例えば、デンプンまたはラクトース)、崩壊剤(例えば、アルギン酸、Primogel、またはトウモロコシデンプン);滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウムまたはSterote);滑り剤(glidant)(例えば、二酸化ケイ素コロイド);甘味剤(例えば、スクロースまたはサッカリン);または矯味矯臭剤(例えば、ペパーミント、サリチル酸メチル、またはオレンジ香料)。
吸入による投与のために、化合物は、適切なプロペラント(例えば、二酸化炭素のような気体)を含む加圧容器またはディスペンサー(すなわち、ネブライザ)からのエアロゾルスプレーの形態で送達される。
全身投与はまた、経粘膜手段または経皮手段によってであり得る。経粘膜投与または経皮投与のために、透過されるべき障壁に適切な浸透剤が、処方物中で使用される。このような浸透剤は、一般に、当該分野で公知であり、これらの浸透剤としては、例えば、経粘膜投与については、界面活性剤、胆汁酸、およびフシジン酸誘導体が挙げられる。経粘膜投与は、鼻スプレーまたは坐剤の使用を介して達成され得る。経皮投与については、一般的に当該分野で公知であるように、活性化合物は、軟膏(ointment)、軟膏(salve)、ゲルまたはクリームに配合される。
化合物はまた、(例えば、従来の坐剤の基材(例えば、ココアバターおよび他のグリセリド)を用いて)坐剤、または直腸送達のための保持浣腸(retention enema)の形態において調製され得る。
上記のチューブリン結合性薬剤に加えて、本発明はまた、薬学的に受容可能なキャリア、希釈剤または賦形剤(例えば、水、グルコース、ラクトース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースならびに当該分野で一般的に公知の他の薬学的に受容可能なキャリア、希釈剤または賦形剤が挙げられるが、これらに限定されない)とともに、チューブリン結合性薬剤を含む薬学的組成物および処方物の使用を包含する。
本発明の別の目的は、チューブリン結合性薬剤と他の治療剤(例えば、抗酸化剤、抗炎症性組成物(例えば、インターフェロンα)、血管形成を抑制するステロイド(angiostatic steroid)(例えば、Annocortave(登録商標))、スタウロスポリン誘導体、またはVEGF誘発性の新生血管形成を妨げる抗脈管形成因子(例えば、アンジオポエチン−2(Angiopoietin−2)、色素上皮由来因子(PEGF)、Avastin(登録商標)、Macugen(登録商標))との相乗的な組み合わせを提供することである。本発明のさらなる目的は、眼の新生血管形成のために現在利用可能な対症的な処置(低視力の機械的補助、レーザー光凝固治療法、または光ダイナミック療法が挙げられる)を増強するための処置方法を提供する。
本明細書中で使用される場合、用語「薬理学的に有効な量」、「薬学的に有効な投薬量」、または「治療的に有効な量」は、研究者または臨床医により調査されている組織、システム、動物またはヒトの、生物学的または医学的応答を誘発する薬物あるいは薬剤の量を意味する。適切な応答としては、疾患の発症の防止、疾患の進行の防止、または疾患の退行が挙げられ得る。好ましい実施形態において、本発明の薬学的に効果的な用量の投与は、中心窩下脈絡膜新生血管形成の退行を生じる。より好ましい実施形態は、病的近視の退行を生じる。別の好ましい実施形態は、滲出性の加齢性黄斑変性の退行を生じる。本明細書中で使用される場合、中心窩下脈絡膜新生血管形成の退行とは、網膜において新生血管病変の累積的サイズによって測定される場合の、網膜当たりの新生血管病変の数の退行、網膜当たりの新生血管の平均サイズの退行、または新生血管形成の総面積の退行をいう。新生血管形成面積におけるこの減少は、種々の技術(例えば、フルオレセイン血管造影法、および画像分析が挙げられる)によって評価され得る。
応答は、視力試験、フルオレセイン血管造影法、または多くの他の眼の試験のうちの1つによって、評価され得る。応答を評価するための好ましい実施形態は、視力試験によって、患者の視力が視力試験において少なくとも2段階(line)改善するような実施形態である。代替の実施形態において、応答は、処置された眼における滲出液の漏出量の減少を測定することによって評価され得る。滲出液の漏出におけるこの低下は、種々の技術(例えば、フルオレセイン注入後の種々の時間における高蛍光発光の領域が挙げられる)によって測定され得る。
被験体の眼に投与する(非全身投与)ためのCA4Pの投薬量は、約0.01mg/ml〜100mg/mlの範囲内である。眼において達成されるCA4Pの濃度は、治療的に適切であるべきであり、約1ナノモル濃度〜100ミリモル濃度の範囲内である。眼におけるより好ましいCA4P濃度は、約1マイクロモル濃度〜100マイクロモル濃度の範囲内である。CA4Pが全身投与される場合、約0.1mg/m〜約120mg/mの範囲内のコンブレタスタチンA4プロドラッグの量が、有利には、非経口投与される。特に好ましい実施形態において、CA4Pは、27mg/mの用量で静脈内投与される。
本発明に従うチューブリン結合性薬剤の全身的投与および非全身的投与は、哺乳動物(特に、ヒト)への投与のために処方されることが意図される。しかし、本発明は、この点において限定されず、処方物は、同様に、動物に投与するための獣医学的ガイドラインに従って調製され得る。
本発明は、以下の実施例を参照することにより、さらに明確にされる。多くの改変(材料および方法の両方)が本発明の目的および意図から逸脱することなく実施され得ることは、当業者に明らかである。
(実施例1.3つの投与経路を使用して眼に局所的に投与した場合の、CA4Pの眼の刺激の研究および平均許容可能量(MTD)の決定)
(i)硝子体内(intravitreal)投与
試験物品であるCA4Pを、ウサギにおける硝子体内投与の後に眼内刺激を引き起こす潜在性について評価した。全身麻酔の後、8羽のウサギの右目に、0.2ml用量のCA4Pを投与した。0.9% 塩化ナトリウム(米国局方)溶液の0.2ml用量を、それらのウサギの左目に投与して、ネガティブコントロールとした。4種類の異なる濃度のCA4Pを試験した。4種類の濃度の各々(0.1mg/ml、1.0mg/ml、10mg/mlおよび100mg/ml)を、2羽のウサギの右目に投薬した。処置の約48時間後、生体顕微鏡(biomicroscopic slit−lamp)および倒像検眼鏡を使用して眼を調べた。スコアを記録し、ウサギを安楽死させた。安楽死の直後、硝子体液のサンプルを取り出し、血球計算板を用いて白血球数を決定した。200細胞/mm以下の数を、許容可能とみなした。
コントロールの眼は、生体顕微鏡および倒像検眼鏡試験に基づいて、眼の組織において有意な変化がなかった。試験処置した眼に関しては、刺激の証拠が、1mg/ml濃度において1匹の動物で認められ、100mg/ml濃度においては両方について認められた。硝子体液中の平均細胞数は、0.1mg/ml濃度を与えられた眼については9細胞/mmであり;1mg/ml濃度を与えられた眼については962細胞/mmであり;10mg/ml濃度を与えられた眼については10細胞/mmであり;100mg/ml濃度を投薬された眼については409細胞/mmであり、コントロールの眼については5細胞/mmであった。
研究条件下で、コントロールは、予測通りに反応し、眼の試験および硝子体分析において有意な反応が認められなかった。試験処置した動物について、両方の動物に、100mg/ml濃度を投薬すると、両方の眼の試験において刺激および炎症が示され、硝子体の白血球分析から炎症の証拠が示された。低用量レベルの全て(0.1mg/ml、1.0mg/mlおよび10mg/ml)について、刺激の明らかな証拠も、炎症の明らかな証拠もなかった。
(ii)トノン下投与
試験物品であるCA4Pを、一次性の眼の刺激について評価した。適切なCA4P濃度(0.1mg/ml、1.0mg/ml、10mg/mlおよび100mg/ml)の2回の0.1ml注射を、2羽のウサギの右目のトノン腔下に注入した。緩衝化生理食塩水溶液の0.2ml部分を、左目のトノン腔下に注入して、ネガティブコントロールとした。サンプル点眼の24時間後、48時間後および72時間後に、眼の反応を評価した。3日目に、ウサギを安楽死させ、眼を取り出した。標本を固定し、包埋し、そして組織学を行った。眼の組織における組織病理学的変化を記録した。トノン腔下変化の試験を強調した。
この研究の条件下で、対応するネガティブコントロールの眼と比較して、0.1mg/mlおよび1.0mg/ml濃度で処置した眼においては刺激は認められなかった。対応するネガティブコントロールの眼と比較して、10mg/mlおよび100mg/ml濃度で処置した眼においてわずかな刺激が認められた。
(iii)局所的点眼(topical drop)
試験物品であるCA4Pを、一次性の眼の刺激について評価した。CA4P希釈液(0.1mg/ml、1.0mg/ml、10mg/mlおよび100mg/ml)の単一の0.2ml用量を、左目の下側結膜嚢に入れて、比較コントロールとした。反対側の眼に、緩衝化生理食塩水溶液を与えた。サンプル点眼の24時間後、48時間後、および72時間後に、眼の反応を評価した。
この研究の条件下で、試験物品希釈液の全ての肉眼で見える反応を、コントロールの反応と比較して、有意でないと見なした。顕微鏡的には、緩衝化生理食塩水溶液コントロール物品と比較して、試験物品を刺激物質と見なさなかった。
結果のまとめを、以下の表に示す:
(実施例2.異なる投与経路を用いて、眼に局所的に投与した場合の、CA4Pの体内分布の評価)
眼の新生血管形成の処置において有効であるために、非全身的な薬物投与方法は、眼の関連構造に浸透し、そして治療的に意味のある量の薬物を疾患部位に送達しなければならない。種々の非全身的注射の方法が、CA4Pの有意な体内分布を生じることを確認するために、放射標識された薬物の体内分布試験を実行した。
(方法:)
以下に記載する場合を除いて、各体内分布について以下の実験プロトコルに従った。
14C−CA4P(OXiGENE Inc.,Watertown,MA)を、100ul容量の生理食塩水に再懸濁し、そして麻酔した雄性New Zealandウサギ(4月齢、1.8〜2.5kg、サンプルあたりn=3)の右眼に30G針を用いて注射した。3つの異なる濃度の14C−CA4Pを、それぞれ適用した1、5、および5uCiの用量の放射活性に対応して試験(1、10、100mg/ml)した。ブランクコントロール群もまた含めた。ウサギを、1、6、24、および48時間で麻酔し、血液を採取した。血液採集後、これらの動物をPhenobarbital注射によって安楽死させ、全ての試験動物から処置した右眼を摘出した。眼組織サンプルを、角膜、眼房水、硝子体、脈絡膜、または網膜から解剖し、20mlのガラスシンチレーションバイアルに入れ、ボルテックスし、そして500ul消化流体と共に24時間インキュベートした。血漿を、遠心分離(1,800gで10分間)によって全血から分離した。眼の組織サンプルと血漿の両方を、放射活性をカウントする前24時間にわたって、16mlのHionic FluorTM シンチレーション流体と共に室温でインキュベートした。各サンプルをBetamatic Vカウンター(Bio−Tek Kontron Instruments,St Quentin en Yvelines,France)において5分間カウントした。1分あたりのカウント(「cpm」)の、1分あたりの崩壊(「dpm」)への換算を、14C標準から得た較正曲線および14C標準でスパイクしたそれぞれのブランクマトリクスからのクエンチ曲線を用いて、βカウンターによって自動的に実行した。薬物の濃度を、CA4P(組織のng−Eq/g)ng等量(測定したdpm値、組織標本の重量、および薬物の比活性(0.37mCi/mg)から計算し、その後コントロールの眼組織から対応するバックグランドを引いた)によって決定した。1uM CA4Pの組織濃度は、440nEq/組織と等しい。
(結果:)
(i)硝子体内投与
表1は、硝子体内投与後の体内分布の結果を示す。全ての実験した組織において、眼浸透の程度は、眼の表面に配置されたCA4P濃度に依存した。眼において最も高い薬物濃度(「Cmax」)は、投与後1時間以内に達成した。薬物の治療関連濃度(>1uM)は、全ての試験した濃度において網膜に送達された。高濃度の薬物もまた、硝子体および強膜において見出された。眼の房水または血漿において、薬物は相対的にほとんど見出されなかった。
(表1:硝子体内注射後のCA4Pの体内分布)
(ii)トノン下(sub−Tenon)投与
(1)体内分布
表2は、トノン下注射後の体内分布の結果を示す。全ての実験した組織において、眼浸透の程度は、眼の表面に配置されたCA4P濃度に依存した。眼において最も高い薬物濃度は、投与後1時間以内であった。薬物の治療関連濃度(>1uM)は、100mg/mlおよび10mg/mlの投与用量で、網膜および脈絡膜に送達された。高濃度の薬物もまた、強膜において見出された。硝子体、眼房水または血漿において、薬物は相対的にほとんど見出されなかった。
(表2:トノン下注射後のCA4Pの体内分布)
(iii)結膜下投与
結膜下注射を、0.1、1、10および100mg/mlの用量で投与した。14C−CA4P溶液を、0.24% 10N KOHおよび0.01%塩化ベンザルコニウムと共に処方し、そして100ulの容量で注射した。動物を、右眼の単回結膜下注射により、5uCiの適用用量で処置した。送達後、眼を2〜5秒間、穏やかに閉じさせた。以下の表3に、実験の結果を示す。
眼において最も高い薬物濃度は、投与後1時間以内であった。薬物の治療関連濃度(>1uM)は、100、10および1mg/mlの投与用量で、角膜、網膜および脈絡膜に送達された。硝子体または血漿において、薬物は相対的にほとんど見出されなかった。
(表3:結膜下注射後のCA4Pの体内分布)
(iv)眼周囲投与
表4は、眼周囲注射後の体内分布の結果を示す。試験した全ての組織において、眼浸透の程度は、その眼の表面上に配置されたCA4Pの濃度に依存した。眼内の薬物の最高濃度は、投与後の最初の1時間内にあった。治療学的に適切な濃度(>1μM)の薬物を、全ての投与用量にて、網膜および脈絡膜に送達した。高濃度の薬物はまた、強膜においても観察された。相対的に少量の薬物が、硝子体または血漿において見出された。
(表4:眼周囲注射後のCA4Pの体内分布)
(v)局所処方物
局所ゲルおよび局所溶液を、眼の表面へのCA4Pの局所送達に適切な局所処方物として使用するために開発した。局所溶液(1%、3%、および10%)を、0.9% NaCl(Aguettant,Lyon,France)中に直接調製し、そして0.2μmのフィルターを用いて滅菌した(pH:6.4〜8.5、浸透圧モル濃度:290〜459mosmol/kg HO)。低粘度の局所ゲル(1%、3%、および10%)を、0.9% NaClを用いて、0.5%カルボキシメチルセルロース(Sigma Aldrich Chimie,St.Quentin Fallavier Cedex,France)中で調製した。各ゲルの物理化学的仕様を、表5に示す。
(表5:局所CA4Pゲル処方物)
局所処方物を、50μlの容量中、5μCiの適用用量にて、右眼表面に適用した。強膜の代わりに、角膜をサンプリングした。サンプルを、0.5時間、1.6時間、および24時間で採取した。
表6は、各局所CA4Pゲル処方物の投与後の体内分布の結果を示す。試験した全ての組織において、眼浸透の程度は、各ゲル処方物中のCA4Pの濃度に依存した。眼内の薬物の最高濃度は、投与後の最初の1時間内にあった。治療学的に適切な濃度(>1μM)の薬物を、3つ全てのゲル処方物を用いて、角膜、網膜および脈絡膜に送達した。相対的に少量の薬物が、血漿において見出された。
(表6:ゲルの局所投与後のCA4Pの体内分布)
表7は、各局所CA4P溶液処方物の投与後の体内分布の結果を示す。試験した全ての組織において、眼浸透の程度は、各溶液処方物中のCA4Pの濃度に依存した。眼内の薬物の最高濃度は、投与後の最初の1時間内にあった。治療学的に適切な濃度(>1μM)の薬物を、3つ全ての溶液処方物を用いて角膜に送達し、一方、10mg/ml用量が、網膜および脈絡膜への、有意な量の薬物送達を生じた。
(表7.溶液処方物の局所投与後のCA4Pの体内分布)
これらの試験から、任意の種々の方法によるCA4Pの非全身送達は、角膜、網膜、または脈絡膜において治療学的に適切な薬物濃度を達成するのに有効であることが明らかである。これらの組織の各々は、眼の潜在的な新生血管形成部位である。
(実施例3.イオン浸透法によるCA4Pの眼投与)
CA4Pは、生理学的pHにてイオン化可能であり、そのため、イオン浸透送達に従う。CA4Pの経強膜(transcleral)イオン浸透送達の有効性を、塩化銀被覆銀箔電流分布成分で裏打ちされた180μlのシリコーンレセプタクルシェル、コネクタリードワイヤ、およびヒドロゲル含浸ポリビニルアセタールマトリクスの単層(これに、CA4P(10mg/ml)を投与した)から構成される、接眼ウサギ眼用塗布器(ocular rabbit ophthalmic applicator)(IOMED
Inc.,Salt Lake City,UT)を使用して、評価した。塗布器の接触面面積は、0.54cmであった。この塗布器を、縁部(その先端部は、角強膜の接合部から1〜2mm遠位にある)の上盲嚢(superior cul−de−sac)において、ニュージーランド白色ウサギ(3〜3.5kg、各処置について、n=6)の右眼の強膜に配置した。直流のアノードイオン浸透を、2mA、3mA、および4mAにて20分間、Phoresor IITMPM700(IOMED Inc.,Salt
Lake City,UT)電源を使用する、各塗布器を用いて行った。受動的イオン浸透(0mAで20分間)を、コントロールとして使用した。処置後、その動物を安楽死させ、そして眼を、処置の30分間後に摘出し、水道水でリンスし、そして−70℃にて凍結した。網膜組織および脈絡膜(choirodal)組織を、これらのサンプルから部検した。
CP4A、CA、および内部標準ジエチルスチルベストロール(Sigma Chemical Company)を、クロマトグラフィータンデム質量分析法(「LC/MS/MS」)を使用して、約100mgの組織から定量した。メタノール抽出物のアリコートを、HPLCカラムを備えたSCIEX APIO 3000 LC/MS/MS装置に注入した。CA43のm/z315→285生成物イオンおよびCA4Pのm/z395→79生成物イオンのピーク領域を、内部標準のm/z267→237生成物イオンのピーク領域に対して測定した。各実行の直前に調製された強化較正標準から作成した、加重(1/X)線形最小二乗回帰解析を使用して、定量を行った。この最初のコンブレタスタチン量は、定量範囲よりも有意に多く、そのため、解析後に外挿しなければならなかった。表8が示すように、脈絡膜および網膜への全コンブレタスタチンの送達は、受動的送達と比較した場合、イオン浸透法によって約15倍増加される。これらのレベルは、チューブリン結合を阻害するために治療学的に適切な濃度であると考えられる濃度(2〜3μM)の数千倍超過を表わす。しかし、この網膜/脈絡膜への送達は、電流依存性ではないようであった。
(表8.網膜/脈絡膜へのコンブレタスタチン送達のイオン浸透増強(平均±標準偏差))
(実施例4.CA4Pの全身投与による角膜の新生血管形成の処置)
病原性の眼の新脈管形成を刺激するために、眼の新生血管形成を、30μgの投薬量にて、ウサギの眼に角膜内注射によって脂質ヒドロペルオキシド(LHP)を投与することによって、誘導した。数日〜14日後に、眼血管が、LHP侵襲(insult)に起因して、この注射された眼に形成された。被験体を、2つの群に分けた;1つの群の被験体は、5日間にわたる1日1回、40mg/kgの投薬量での静脈内投与による、所定のコンブレタスタチンA4リン酸二ナトリウムを受け、一方、コンブレタスタチンA4リン酸二ナトリウムを含まないビヒクルを、同じ期間にわたる水の投薬としての静脈内投与によって、他の群に投与した。両方の群の眼を、7日後に試験した。コンブレタスタチンA4リン酸二ナトリウムで処置した群において、40%以上の血管の減少が観察されたが、他の群においては、観察されなかった。
(実施例5.CA4Pの全身投与による角膜の新生血管形成の処置)
CA4Pが角膜の新生血管形成を阻害する能力を評価するために、ウサギの角膜モデルを使用した。このモデルにおいて、新生血管形成を、リノール酸ヒドロペルオキシド(「LHP」)注射(Uedaら、Angiogenesis,1997,1:174−184)によって誘導した。角膜支質におけるLHPの注射は、この角膜内の脈管形成サイトカインの局在産生を刺激する。周囲叢(circumlimbal plexus)の血管は、LHP注射部位の方に移動することによって、脈管形成刺激に応答した。全身に送達されたCA4Pの治療学的効果を、これらの成長する血管の長さを測定することによって評価した。
(実験方法:)
以下の表9に概略されるように、成体雄ニューヨークウサギ(2.7〜3.0kg)に、上縁から5mmのところに、LHP(60μg)の10μl懸濁液を注射して、角膜の脈管形成を誘導した。血管は、0.25mm/日の速度で成長した。群2および群4に、それぞれ、血管成長の3日後および10日後に、CA4P(50mg/kg)を腹腔内(「IP」)注射した。処置群1および3に、LHP注射後3日目および10日目に、生理食塩水コントロールを注射した。この角膜の表面写真を、LHP注射後、0日目、3日目、6日目、12日目、17日目、および28日目に撮影した。各写真撮影の後、角膜血管を、手術用顕微鏡下で観察し、Castroviejoカリパスを使用して、最も顕著な血管の長さを測定した。
最長血管の測定に加えて、28日目に組織学分析を行って、溶解した細胞外マトリクスの量、血管壁の厚さ、および血管の分枝の程度を評価した。安楽死させた動物から眼球を摘出し、その硝子体を、各眼から取り出し、その後、4%パラホルムアルデヒドで45分間、および0.2Mカコジル酸緩衝液(pH7.4)で一晩、固定化した。眼をパラフィン中に包埋し、3μm厚に切り出し、そして溶血素およびエオシンで染色した。
(表9.実験計画)
(結果:)
表10および表11は、処置の介入時間および処置回数の関数として、血管の長さに対するCA4Pの効果を要約している。CA4P処置を用いて、最初の脈管刺激から3日以内に介入した場合(表10、群2)、薬物は、新生脈管成長の完全な阻害を引き起こした。対照的に、ビヒクルコントロール群における血管は、成長し続けた。この効果を、脈管形成阻害または脈管形成効果として定性化し得る。CA4P処置を用いて、脈管刺激の10日後に介入した場合(表11、群2)、その効果は、同じであった。
(表10:初期介入:3日目に処置を開始する)
(表11:後期介入:10日目に処置を開始する)
図3Bは、28日目でのCA4Pで処置した眼の表面写真を示す。この写真は、図3Aに示したビヒクルコントロールの眼と比較した、CA4P投与後28日目における血管成長の阻害をさらに示す。
図4Aおよび図4Bで示される顕微鏡写真(倍率400×)は、28日目に同じサンプルから得られた、染色した組織化学的検体の例である。ビヒクルで処置した動物(図4A)において、血管は、丸く見え、多数現れた。対照的に、CA4Pで処置した動物(図4B)において、血管は、狭くより少数現れた。さらに、血管後退の証拠が、CA4Pの介入の後期段階の間で観察された(データは示さず)。CA4Pは、確立した血管の幅を減少させ得、血管からの分枝の出芽を有意に阻害し得たようであった。これは、さらなる脈管標的化効果を示す。
(実施例6.CA4Pの全身投与による、黄斑変性の動物モデルにおける脈絡膜の新生血管形成の処置)
脈絡膜の新生血管形成は、加齢性黄斑変性または湿潤性黄斑変性を有する患者における重篤な視覚損失の主要な原因である。脈絡膜においてCA4Pが血管成長を阻害する能力を調査するために、脈絡膜の新生血管形成のマウスモデルを試験した。このモデルにおいて、研究者らは、クリプトンレーザを使用して、C57BL/6Jマウスのブルーフ膜上に創傷を作製した。各眼は、いくらかの火傷を受けた。この火傷は、脈絡膜内に新生血管形成を誘導する、古典的な創傷治癒応答を誘発した。このクリプトンレーザ光凝固方法は、Tobeら、Am.J.of Pathology,1998,153(5):1641−6において記載されている。動物の部分集合(n=19)において、CA4Pを、用量100mg/kg/日にてIP注射によって、全身投与した。組織病理学およびフルオレセイン血管造影法を用いて、火傷の周辺の新生血管形成を同定した。電子顕微鏡検査法を用いて、脈絡膜の新生血管損傷内における有窓新生血管の管腔直径を測定した。表12は、平均血管管腔面積に対するCA4P処置の結果を示す。CA4Pで処置した動物は、生理食塩水で処置した動物(n=33)と比較した場合、約50%少ない血管管腔面積(mm)を有した。これらの結果の統計学的分析は、高度な有意性を示した。
(表12.CA4Pで処置したマウスおよびビヒクルで処置したマウスの平均管腔面積)
(実施例7.CA4Pの全身投与による、未熟児網膜症のマウスモデルにおける網膜の新生血管形成の処置)
哺乳動物の眼の内部網膜は、表在網膜の毛細血管床から酸素を受け取る。この毛細血管床は、内境界膜の下に位置され、この膜は、内部網膜と外部の無血管硝子体との間で境界面として働く。網膜の新生血管形成および網膜症の病理は、虚血(これは、網膜の内境界膜を越えて硝子体内に、新生血管形成の成長を誘導する)から生じ、重篤な視覚損失を引き起こし、しばしば網膜剥離の原因となる。酸素誘導性網膜新生血管形成の十分に特徴付けされたマウスモデルは、早熟で産まれた乳児によって示される未熟児網膜症(「ROP」)を綿密に模倣し、種々の他の虚血誘導性未児網膜症(糖尿病性網膜症が挙げられる)に共通な特徴を示す(Smithら、Invest.Ophthalmol.Vis.Sci,1994,35:101−11)。このモデルにおいて、新生期のマウスを、持続性高酸素条件下(75%酸素で7日間)に曝した。この条件は、表在網膜の毛細血管床の発達を阻害する。マウスの子を、純粋な酸素環境から離し、環境酸素の相対的低酸素中に置いた場合、発達不十分な表在網膜の毛細血管床は、十分な量の酸素を角膜に送達することができない。この網膜は、重篤な病理学的結果を引き起こす脈管形成サイトカインを生成することによって、酸素不足に応答する。脈管形成サイトカインの局在生成は、発達不十分の表在網膜の毛細血管床が、内境界膜を破壊する新たな血管を出芽するのを引き起こし得る。硝子体における異常な血管の成長は、重篤な瘢痕組織の形成および牽引誘導性網膜剥離を引き起こす。
高酸素条件からの除去直後に、CA4Pで新生マウスを処置することは、ROPのために有効な処置方法であることが予期される。網膜の新生血管形成を、既存の方法(Majkaら、Invest.Ophthalmol.Vis,Sci.2001,42:210−15)に従って、処置した眼および未処置の眼の網膜組織切片における穿通性内皮細胞の化学染色された核の数を計数することによって、定量し得る。内境界膜を穿通する核の数は、CA4Pの眼において有意に減少されると予測される。
(実施例8.CA4Pの結膜下(subconjuctival)投与による、網膜芽細胞腫のマウスモデルにおける眼の腫瘍の処置)
網膜芽細胞腫のマウストランスジェニックモデルを使用した。このモデルにおいて、SV−40ラージT抗原陽性マウスは、ヒト小児網膜芽細胞腫に似ている左右の網膜芽細胞腫を発症する。このモデルにおいて、腫瘍が、最初に4週齢で現れ、そして安定でかつ再現可能な様式で発達する(Haydenら、Arch Ophthalmol.2002;120(3):353−9)。1つの実験において、12週齢の動物(n=48)を、右眼のみにおいて、CA4Pの単回の20μl結膜下注射(100mg/ml)で処置した。コントロールマウス(n=8)を、平衡塩溶液(「BSS」)で処置した。眼を、処置後1日、3日、7日、14日、21日、および28日に摘出することによってサンプリングした(n=8(眼/サンプリング))。サンプルを固定し、パラフィン包埋し、連続的に切り出し、そしてヘマトキシリン、エオシン、およびPASで事前に染色した。各組織サンプルを、組織病理学的腫瘍血管応答について試験した。図5Aに例示されるように、腫瘍内新生血管形成の有意な減少が、1日目、3日目、および7日目に見られた。
別々の投薬実験において、動物(n=48)を、20μlの容量において100mg/ml、10mg/ml、1mg/ml、0.1mg/mlまたは0.01mg/mlの濃度にて、隔週での6回の連続的なCA4Pの結膜下注射で処置した(n=6(眼/サンプリング))。コントロール群(n=6)は、BSSの連続的な結膜下注射を受けた。眼を、処置後28日目に摘出し、そして腫瘍容量の減少について試験した。図5Bは、コントロールと比較した、腫瘍血管容量に対するCA4Pの用量依存性効果を例示する。腫瘍内血管分布は、10mg/mlより高い処置用量レベルでは存在せず、毒性の証拠は、いかなる時点においてもいかなる処置用量においても注目されなかった。
(実施例9.CA4Pの全身投与を介した、ヒト患者における病的な近視の処置)
35歳の男性を、彼の左眼の視覚的障害を訴えた後の1日目に、最初に検査した。その患者は、近視を矯正する約2年前に、その両眼に眼のレンズ移植物を受けていた。患者を病的近視(増殖性ミオパシーおよび近視性黄斑変性としても公知である)について診断し、次の8ヶ月の間にわたって、左眼にPhotodynamic Therapy(PDT、VisudyneTM)の、合計4種類の処置を与えた。しかし、この患者は再び、左眼に重篤な視力の喪失を訴え、そして検査の際に、その左眼は血液および流体の活発な漏出を示した。2003年6月に、この患者は、右目もまた病的な近視と診断された。
約3ヵ月後、この患者を、CA4Pの、非盲見で、試験的(フェーズI/フェーズII)な、用量増大性の安全性試験および許容性試験に登録した。この時、この患者の最も良く矯正された視力は、Snellenバックリット(back−lit)視力試験によって決定した場合、左眼が20/50−3であり、右眼が20/25−3であった。検査の際、両眼が血液および流体の活発な漏出を示した。研究の1日目に、この患者に、CA4P(遊離酸)の、27mg/mの用量での、10分間にわたる静脈内注射による処置を始めた。研究の8日目に、この患者は、左眼で20/20−1の視力を、右眼で20/20−0の視力を示した。いずれの眼のFAにおいても、活発な漏出は観察されなかった。研究の8日目、15日目、および22日目に、この患者に2回目、3回目、および4回目のCA4Pの注入を与え、視力が維持され、いずれの眼においても活発な漏出はなかった。この患者は、CA4P処置を始めてから自分の視覚が劇的に改善し、そして通常のフォントサイズの文字を読むことが出来ることを主観的に報告した。
上記の病歴例からの知見は以下の通りである:
1.主観的な視覚の改善。この患者は、彼の悪化する視覚が、CA4Pの処置を始めてから顕著に改善したことを報告した。
2.客観的な視覚の改善。患者のSnellen視力は、左眼において、20/20まで5段階改善した。
3.病的な近視のFA評価。CA4Pによる処置が始まる前に、患者の両眼の評価は、流体の漏出および出血を示した。比較すると、処置の直後、および研究の残りの期間にわたって、FAでは出血または滲出は観察されなかった。
(実施例10.CA4Pの全身投与を介する、ヒト患者における年齢関連黄斑変性の処置)
50歳またはそれ以上の年齢の3人の患者を、CA4Pの、非盲見で、試験的(フェーズI/フェーズII)な、用量増大性の安全性試験および許容性試験に登録した。それぞれの患者は、早期処置糖尿病性網膜症研究(EDTRS)によって決定されるように、研究する眼において視力が20/40未満であり、他方の眼(fellow eye)において視力が20/800より良いかまたは同じであるという、研究登録基準を満たした。それぞれの患者の研究する眼のフルオレセイン血管造影法(FA)は、年齢関連性黄斑変性に派生する中心窩下脈絡膜新生血管形成を示し、全損傷サイズ(血液、萎縮/線維症、および新生血管形成を含む)は、12個の総ディスク面積より小さく、その少なくとも50%は、活性な脈絡膜の新生血管形成からなっていた。臨床的に有意な心臓の異常、またはQTc延長の証拠を示した患者はいなかった。さらに、スクリーニングの12週間前の内に、中心窩下の熱レーザー治療もいかなる他の眼の処置も以前に受けた患者はいなかった。25%以上の瘢痕または萎縮を有する患者はなく、そして全ての患者が、明瞭な眼の媒体および適切な乳頭拡張を有して、良質の立体眼底撮影を可能にした。
2〜4週間の評価期間の完了に続いて、研究の1日目に、それぞれの患者に、生理食塩水溶液中の27mg/m用量のCA4P遊離酸の10分間にわたって投与される静脈内注射による処置を開始した。研究の8日目、15日目、および22日目に、それぞれの患者にCA4P(27mg/m用量の遊離酸溶液)の2回目、3回目、および4回目の注入を与えた。インラインフィルター(5ミクロン未満)と合わせた注入ポンプまたはシリンジポンプを、CA4Pの投与のために用いた。注射のためのCA4Pは、滅菌され、凍結乾燥された二ナトリウム塩からなり、90mgの遊離酸を提供するのにバイアル中で十分な過剰量であった。注射のためのCA4Pのそれぞれのバイアルは、11mlの注射用滅菌水、USPから構成されて、遊離酸として9mg/mlの濃度の製剤を生じた。これをさらに、約100ml〜約150mlの通常の生理食塩水で希釈して、IV投与に先立って、遊離酸として0.6mg/mlと1.1mg/mlとの間の濃度(conventration)を達成した。投与されるCA4Pの全用量は、最も近いミリグラムに概算され、そして体表面積(Body Surface Area)を、患者の実際の身長および体重を用いて計算した。2.0mを超えるBSAを有する患者については、CA4P用量を、BSA=2.0mを用いて計算した。
最初の注入に続く1時間、ならびに第二のCA4P注入、第三のCA4P注入、および第四のCA4P注入の直前に、FAを実施した。第四のCA4P注入に続く4週目および8週目の追加の検査の間にも、FAを実施した。滲出液の漏出量を、フルオレセインの注射の30秒後および3分後の、超蛍光(hyperfluorescence)の面積の差によって測定した。新生血管形成の面積を、FAの投射画像上に重ね合わされたテンプレートを用いて得た。それぞれの眼の検査の間の眼結合力断層撮影法(Optical Coherence Tomography)(OCT)によって、損傷の組成および網膜の厚さも評価した。それぞれの患者の視力もまた、それぞれの眼の検査の間に、ETDRSプロトコルの眼の屈折力測定によって評価した。
患者は、視力試験において、2段階または3段階の改善を示した。
(他の実施形態)
本発明は、その詳細な説明とともに記載されてきたが、前出の記載は、例示を意図しており、本発明の範囲を制限することを意図していないことが理解されるべきであり、本発明は、添付の特許請求の範囲の範囲によって規定される。
図面は、必ずしも一定の比例に拡大縮小して描かれるわけではなく、本質的には、単に概念上のものであることもまた、理解されるべきである。
本発明は、添付の図面を参照してより理解される。
図1は、哺乳動物の眼の正面および横からの解剖図である 図2Aは、正常な黄斑を示す。 図2Bは、乾燥型の黄斑変性を示す。 図2Cは、湿性の黄斑変性を示す。 図3Aおよび図3Bは、ビヒクルコントロールの眼と比較した、CA4P投与28日後での血管増殖阻害を示す角膜部分の拡大写真である。 図4Aおよび図4Bは、ビヒクルコントロールの眼と比較した、CA4P全身投与28日後での角膜に対する変化(血管増殖の阻害)の顕微鏡組織学を示す。 図5Aは、網膜芽細胞腫の動物モデルにおける眼の腫瘍の新生血管形成に対する単回用量のCA4Pの効果を示す。図5Bは、反復用量のCA4Pに続く網膜芽細胞腫の動物モデルにおける腫瘍退行の程度を示す。

Claims (43)

  1. 脈絡膜の新生血管形成を処置または予防するための方法であって、該方法は、以下の工程:
    a)薬学的に有効な投薬量のチューブリン結合性薬剤を含有する投薬量を調製する工程;
    b)該薬学的に有効な投薬量を、脈絡膜の新生血管形成を処置または予防を必要とする被験体に投与する工程、
    を包含する、方法。
  2. 前記チューブリン結合性薬剤が、コンブレタスタチンA4である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記チューブリン結合性薬剤が、コンブレタスタチンA4プロドラッグである、請求項1に記載の方法。
  4. 前記脈絡膜の新生血管形成が中心窩下である、請求項1に記載の方法。
  5. 前記脈絡膜の新生血管形成が、滲出性の年齢関連黄斑変性、または病的な近視に罹患する被験体に見られる、請求項1に記載の方法。
  6. 前記薬学的に有効な投薬量が、前記被験体の眼に全身投与される請求項1に記載の方法。
  7. 前記薬学的に有効な投薬量が、静脈内注射によって投与される、請求項1に記載の方法。
  8. 全身投与される前記薬学的に有効な投薬量が、約0.1mg/m〜約120mg/mの範囲の量のコンブレタスタチンA4プロドラッグを含有する、請求項6に記載の方法。
  9. 全身投与される前記薬学的に有効な投薬量が、約2mg/m〜約90mg/mの範囲の量のコンブレタスタチンA4プロドラッグを含有する、請求項6に記載の方法。
  10. 全身投与される前記薬学的に有効な投薬量が、約15mg/m〜約50mg/mの範囲の量のコンブレタスタチンA4プロドラッグを含有する、請求項6に記載の方法。
  11. 全身投与される前記薬学的に有効な投薬量が、約27mg/mのコンブレタスタチンA4ホスフェートの遊離酸を含有する、請求項6に記載の方法。
  12. 前記薬学的に有効な投薬量が、1週間に1度、4週間の間投与される、請求項11に記載の方法。
  13. 脈絡膜の新生血管形成に罹患する被験体における視力を改善するための方法であって、該方法は、該被験体にチューブリン結合性薬剤の投薬量を定期的に投与する工程を包含する、方法。
  14. 前記被験体が、視力試験において少なくとも2段階の改善を示す、請求項13に記載の方法。
  15. 前記チューブリン結合性薬剤がコンブレタスタチンA4である。請求項13に記載の方法。
  16. 前記チューブリン結合性薬剤がコンブレタスタチンA4ホスフェートの遊離酸である、請求項13に記載の方法。
  17. 前記投薬量が約2mg/m〜約90mg/mの範囲である、請求項16に記載の方法。
  18. 前記投薬量が約15mg/m〜約50mg/mの範囲である、請求項16に記載の方法。
  19. 前記投薬量が約27mg/mを含有する、請求項16に記載の方法。
  20. 前記薬学的に有効な投薬量が、1週間に1度、4週間の間投与される、請求項19に記載の方法。
  21. 脈絡膜の新生血管形成を有し、そして損傷を有すると確認される被験体の眼における損傷からの滲出液の漏出を減少させるための方法であって、該方法は、該被験体にチューブリン結合性薬剤の投薬量を定期的に投与する工程を包含する、方法。
  22. 前記チューブリン結合性薬剤がコンブレタスタチンA4である。請求項21に記載の方法。
  23. 前記チューブリン結合性薬剤がコンブレタスタチンA4ホスフェートの遊離酸である、請求項21に記載の方法。
  24. 前記投薬量が約2mg/m〜約90mg/mの範囲である、請求項23に記載の方法。
  25. 前記投薬量が約15mg/m〜約50mg/mの範囲である、請求項23に記載の方法。
  26. 前記投薬量が約27mg/mを含有する、請求項23に記載の方法。
  27. 前記薬学的に有効な投薬量が、1週間に1度、4週間の間投与される、請求項26に記載の方法。
  28. 脈絡膜の新生血管形成に罹患する被験体の眼における増殖性脈間構造の退行を誘導するための方法であって、該方法は、該被験体にチューブリン結合性薬剤の投薬量を定期的に投与する工程を包含する、方法。
  29. 前記チューブリン結合性薬剤がコンブレタスタチンA4である。請求項28に記載の方法。
  30. 前記チューブリン結合性薬剤がコンブレタスタチンA4ホスフェートの遊離酸である、請求項28に記載の方法。
  31. 前記投薬量が約2mg/m〜約90mg/mの範囲である、請求項30に記載の方法。
  32. 前記投薬量が約15mg/m〜約50mg/mの範囲である、請求項30に記載の方法。
  33. 前記投薬量が約27mg/mを含有する、請求項30に記載の方法。
  34. 前記薬学的に有効な投薬量が、1週間に1度、4週間の間投与される、請求項33に記載の方法。
  35. 脈絡膜の新生血管形成に罹患する被験体の眼における増殖性脈間構造の増殖を抑制するための方法であって、該方法は、該被験体にチューブリン結合性薬剤の投薬量を定期的に投与する工程を包含する、方法。
  36. 前記チューブリン結合性薬剤がコンブレタスタチンA4である。請求項35に記載の方法。
  37. 前記チューブリン結合性薬剤がコンブレタスタチンA4ホスフェートの遊離酸である、請求項35に記載の方法。
  38. 前記投薬量が約2mg/m〜約90mg/mの範囲である、請求項37に記載の方法。
  39. 前記投薬量が約15mg/m〜約50mg/mの範囲である、請求項37に記載の方法。
  40. 前記投薬量が約27mg/mを含有する、請求項37に記載の方法。
  41. 前記薬学的に有効な投薬量が、1週間に1度、4週間の間投与される、請求項40に記載の方法。
  42. 脈絡膜の新生血管形成の処置または予防のための薬学的組成物であって、約15mg/m〜約50mg/mのコンブレタスタチンA4ホスフェートの遊離酸を、脈絡膜の新生血管形成の処置または予防を必要とする被験体への全身投与のために、薬学的に受容可能なキャリア、賦形剤、希釈剤またはアジュバントと一緒に含有する、薬学的組成物。
  43. 脈絡膜の新生血管形成の処置または予防のための薬学的組成物であって、約15mg/m〜約50mg/mのコンブレタスタチンA4ホスフェートの遊離酸を、脈絡膜の新生血管形成の処置または予防を必要とする被験体への非全身投与のために、薬学的に受容可能なキャリア、賦形剤、希釈剤またはアジュバントと一緒に含有する、薬学的組成物。
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