JP2007308453A - γ−ラクトン類の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、プラスチック様の香味や酸味を伴わない良好な香気を有するγ−ラクトン類の安全かつ簡便な製造方法に関する。
γ−ラクトン類の製造方法は多数報告されているが、その多くは、アルコールとアクリル酸誘導体とから、有機過酸化物等によるラジカル付加で製造するものである。例えば、ジ−t−ブチルペルオキシドとハロゲン化亜鉛の存在下にアクリル酸誘導体とアルコールを反応させる方法が知られている(特許文献1)。しかしながら、当該方法で製造されたγ−ラクトン類は、一般にプラスチック様の香味や酸味を有しており、本来のフルーティーもしくはフローラルの良好な香気が損なわれるという重大な欠点があった。そうした欠点を改善するための精製方法が種々これまで開示されているが、いずれも完全なものではなかった。また、ジ−t−ブチルペルオキシドなどの有機過酸化物は爆発性を有する危険な物質であり、その取扱いには特別の対策を要するという難点もあった。そのため、根本的に異なるγ−ラクトン類の製造方法の開発が強く望まれていた。
本発明は、プラスチック様の香味や酸味を伴わない良好な香気を有するγ−ラクトン類の安全かつ簡便な製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、新規な合成ルートを開発するに至り、本発明を完成した。すなわち、本発明は以下のとおりである。
下記の第一工程〜第二工程より成ることを特徴とするγ−ラクトン類の製造方法。
(第一工程)
下記式(1)で表されるフルフリルアルコールを、下記式(2)で表されるアルコールの存在下、塩化水素により開裂し、下記式(3)で表されるγ−ケトエステルを製造する工程。
(第二工程)
下記式(3)で表されるγ−ケトエステルを還元し、下記式(4)で表されるγ−ラクトン類を製造する工程。
下記の第一工程〜第二工程より成ることを特徴とするγ−ラクトン類の製造方法。
(第一工程)
下記式(1)で表されるフルフリルアルコールを、下記式(2)で表されるアルコールの存在下、塩化水素により開裂し、下記式(3)で表されるγ−ケトエステルを製造する工程。
(第二工程)
下記式(3)で表されるγ−ケトエステルを還元し、下記式(4)で表されるγ−ラクトン類を製造する工程。
本発明により、プラスチック様の香味や酸味を伴わない良好な香気を有するγ−ラクトン類の安全かつ簡便な製造方法を提供することが可能となる。
本発明につき、以下に具体的に説明する。
本発明の製造方法は、前記の2工程からなることが必須要件である。この要件を満足しないと、目的とするγ−ラクトン類を安全かつ簡便に製造することは困難である。
以下に各工程の最良の形態につき詳述する。
本発明の第一工程で用いる前記式(1)で表される化合物を合成する方法は特に制限はなく、公知の方法で合成することができる。例えば、フランの2−位の水素をアルキルリチウムなどの強塩基で引き抜いて生成するアニオンを、下記式(7)で表されるアルデヒドに付加する方法や、フルフラールに対し下記式(8)で表される有機マグネシウム化合物もしくは下記式(9)で表される有機リチウム化合物などを付加させる方法等、さまざまな方法があげられるが、簡便さにおいては有機マグネシウム化合物を用いる方法が好適である。
本発明の製造方法は、前記の2工程からなることが必須要件である。この要件を満足しないと、目的とするγ−ラクトン類を安全かつ簡便に製造することは困難である。
以下に各工程の最良の形態につき詳述する。
本発明の第一工程で用いる前記式(1)で表される化合物を合成する方法は特に制限はなく、公知の方法で合成することができる。例えば、フランの2−位の水素をアルキルリチウムなどの強塩基で引き抜いて生成するアニオンを、下記式(7)で表されるアルデヒドに付加する方法や、フルフラールに対し下記式(8)で表される有機マグネシウム化合物もしくは下記式(9)で表される有機リチウム化合物などを付加させる方法等、さまざまな方法があげられるが、簡便さにおいては有機マグネシウム化合物を用いる方法が好適である。
R1−CHO (7)
(式中、R1は前記の意味を表す。)
R1MgX (8)
(式中、R1は前記の意味を表し、XはClもしくはBrを表す。)
R1Li (9)
(式中、R1は前記の意味を表す。)
(式中、R1は前記の意味を表す。)
R1MgX (8)
(式中、R1は前記の意味を表し、XはClもしくはBrを表す。)
R1Li (9)
(式中、R1は前記の意味を表す。)
前記式(1)において、R1は水素原子又は炭素数1〜12の鎖状もしくは環状のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基を表し、それらの基はヘテロ原子を含んでも良い。R1の具体例としては、メチル基、エチル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプ
チル基、オクチル基、ノニル基などの飽和炭化水素基の他、cis−2−ペンテニル基、2−ペンチニル基などの不飽和炭化水素基などがあげられる。
チル基、オクチル基、ノニル基などの飽和炭化水素基の他、cis−2−ペンテニル基、2−ペンチニル基などの不飽和炭化水素基などがあげられる。
本発明の第一工程は、塩化水素及び前記式(2)で表されるアルコールの存在下、前記式(1)で表される化合物を加熱することにより達成できる。前記式(2)において、R2は、炭素数1〜8の炭化水素基を表す。例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、アリル基、メタリル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基などがあげられるが、反応後処理における留去の容易性、安全性や価格等を考慮すると、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基がより好ましく、もっとも好ましくは、n−ブチル基、イソブチル基である。前記式(2)で表されるアルコールの存在量は制限はないが、前記式(1)で表されるフルフリルアルコールに対して等モル以上100倍モル以下用いることが好ましい。さらに好ましくは、1.5倍モル以上80倍モル以下である。反応温度も制限はないが、実用的な反応速度が得られることを考慮すると、30乃至150℃である。更に好ましくは、40乃至120℃であり、もっとも好ましくは、50乃至100℃である。
本発明の第二工程は、前記式(3)で表されるγ−ケトエステルのケトンを水酸基に還元する条件に付することにより達成できる。γ−ケトエステルのカルボニル基を還元すると4−ヒドロキシエステルが生成するが、多くの場合それと同時に5員環形成が起こり、γ−ラクトンが生成する。5員環形成が不完全な場合には、酸触媒等を用いた公知の環化処理を施せばよい。
本発明の第二工程において、γ−ケトエステルのカルボニル基を還元する方法に制限はなく、水素化ホウ素ナトリウムなどの水素化物を用いる方法や遷移金属触媒を用いた水素添加が例示できるが、操作の簡便性において、前者が好ましい。ところで、光学活性γ−ラクトンは、香り強度や香気特性において大きなメリットを有することが知られているので、当該工程において不斉水素化が達成できれば、製品に大きな付加価値が付与できる。その場合には、不斉配位子を有する遷移金属触媒や、パン酵母や酵素などの生体触媒を用いた不斉水素化が有効である。このように、光学活性体を製造し得ることも本発明の大きな特徴のひとつである。
本発明の第二工程において、γ−ケトエステルのカルボニル基を還元する方法に制限はなく、水素化ホウ素ナトリウムなどの水素化物を用いる方法や遷移金属触媒を用いた水素添加が例示できるが、操作の簡便性において、前者が好ましい。ところで、光学活性γ−ラクトンは、香り強度や香気特性において大きなメリットを有することが知られているので、当該工程において不斉水素化が達成できれば、製品に大きな付加価値が付与できる。その場合には、不斉配位子を有する遷移金属触媒や、パン酵母や酵素などの生体触媒を用いた不斉水素化が有効である。このように、光学活性体を製造し得ることも本発明の大きな特徴のひとつである。
本発明を実施例に基いて説明する。
なお、実施例におけるガスクロマトグラフおよび液体クロマトグラフによる分析条件は下記のとおりである。
ガスクロマトグラフ
カラム:J&Wサイエンティフィック社製 DB−1(0.25mm×30m、液相膜厚0.25μm)
カラム温度:100℃×2分→250℃(10℃/分)
注入部温度:250℃
検出部温度:300℃
なお、実施例におけるガスクロマトグラフおよび液体クロマトグラフによる分析条件は下記のとおりである。
ガスクロマトグラフ
カラム:J&Wサイエンティフィック社製 DB−1(0.25mm×30m、液相膜厚0.25μm)
カラム温度:100℃×2分→250℃(10℃/分)
注入部温度:250℃
検出部温度:300℃
[実施例1]
窒素ガスで置換した反応器に、塩化水素0.7wt%含有イソブタノール(予め塩化水素ガスを吹き込んで調製)1.1Lを仕込んだ。当該塩化水素溶液を80℃に加熱・攪拌したところに、n−ペンチル−フリルカルビノール(前記式(1)でR1がn−ペンチル基に相当する化合物)264g(1.57mol)を3時間かけて滴下した。滴下終了後、同温度でさらに10分間攪拌した。イソブタノールを減圧留去し、イソブチル4−オキソデカノエート(前記式(3)で、R1がn−ペンチル基に、R2がイソブチル基に相当する化合物)を得た。ガスクロマトグラフ分析の結果、イソブチル4−オキソデカノエー
トの収率は85%であった。
窒素ガスで置換した反応器に、塩化水素0.7wt%含有イソブタノール(予め塩化水素ガスを吹き込んで調製)1.1Lを仕込んだ。当該塩化水素溶液を80℃に加熱・攪拌したところに、n−ペンチル−フリルカルビノール(前記式(1)でR1がn−ペンチル基に相当する化合物)264g(1.57mol)を3時間かけて滴下した。滴下終了後、同温度でさらに10分間攪拌した。イソブタノールを減圧留去し、イソブチル4−オキソデカノエート(前記式(3)で、R1がn−ペンチル基に、R2がイソブチル基に相当する化合物)を得た。ガスクロマトグラフ分析の結果、イソブチル4−オキソデカノエー
トの収率は85%であった。
イソブチル4−オキソデカノエート24.2g(0.10mol)を99.5%エタノール200mlに溶解した。水素化ホウ素ナトリウム4.2g(0.11mol)を少量ずつ加えた後、室温で10分間攪拌した。該溶液を水1L中へ注ぎ、酢酸エチル1Lで抽出した。酢酸エチルを留去した後減圧蒸留し、γ−デカラクトン(前記式(4)でR1がn−ペンチル基に相当する化合物)を得た。ガスクロマトグラフ分析の結果、γ−デカラクトンのイソブチル4−オキソデカノエートに対する収率は93%であった。得られたγ―デカラクトンには、プラスチック様の香味や酸味は全く認められず、良好なピーチ様香気を有していた。
[比較例1]
オートクレーブにn−ヘプタノール349g(3.0mol)と臭化亜鉛0.06g(0.27mmol)を入れた。該混合物を165℃に加熱攪拌した状態で、該混合物中へアクリル酸メチル57g(0.66mol)とジ−t−ブチルペルオキシド9.9g(0.068mol)の混合液を6時間かけて圧入した。同温度で更に1時間攪拌した。ついで未反応のn−ヘプタノールを留去した後減圧蒸留し、γ−デカラクトンを得た。ガスクロマトグラフ分析の結果、γ−デカラクトンの収率は69%であった。得られたγ−デカラクトンは、プラスチック様の香気や酸味を伴っており、香気の品位が劣るものであった。
オートクレーブにn−ヘプタノール349g(3.0mol)と臭化亜鉛0.06g(0.27mmol)を入れた。該混合物を165℃に加熱攪拌した状態で、該混合物中へアクリル酸メチル57g(0.66mol)とジ−t−ブチルペルオキシド9.9g(0.068mol)の混合液を6時間かけて圧入した。同温度で更に1時間攪拌した。ついで未反応のn−ヘプタノールを留去した後減圧蒸留し、γ−デカラクトンを得た。ガスクロマトグラフ分析の結果、γ−デカラクトンの収率は69%であった。得られたγ−デカラクトンは、プラスチック様の香気や酸味を伴っており、香気の品位が劣るものであった。
本発明により、プラスチック様の香味や酸味を伴わない良好な香気を有するγ−ラクトン類の安全かつ簡便な製造方法を提供することが可能となる。
Claims (1)
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006141598A JP2007308453A (ja) | 2006-05-22 | 2006-05-22 | γ−ラクトン類の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
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JP2007308453A true JP2007308453A (ja) | 2007-11-29 |
Family
ID=38841647
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2006141598A Pending JP2007308453A (ja) | 2006-05-22 | 2006-05-22 | γ−ラクトン類の製造方法 |
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2006
- 2006-05-22 JP JP2006141598A patent/JP2007308453A/ja active Pending
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