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JP2007297606A - 紫外線硬化性組成物、位相差フィルム、および、位相差フィルムの製造方法 - Google Patents

紫外線硬化性組成物、位相差フィルム、および、位相差フィルムの製造方法 Download PDF

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JP2007297606A
JP2007297606A JP2007095745A JP2007095745A JP2007297606A JP 2007297606 A JP2007297606 A JP 2007297606A JP 2007095745 A JP2007095745 A JP 2007095745A JP 2007095745 A JP2007095745 A JP 2007095745A JP 2007297606 A JP2007297606 A JP 2007297606A
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Japan
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liquid crystal
retardation
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crystal material
layer
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JP2007095745A
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English (en)
Inventor
Yoshiko Kiyohara
欣子 清原
Masato Okada
政人 岡田
Minoru Furukawa
稔 古川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

【課題】配向膜を用いることなく透明性に優れた位相差層を形成することが可能な紫外線硬化性組成物の提供。
【解決手段】架橋性液晶材料と、下記式(I)、および、(II)で表される光反応性基の少なくとも1つを有する光反応性化合物とを含有する紫外線硬化性組成物を提供する。
Figure 2007297606

【選択図】なし

Description

本発明は液晶表示装置等に用いられる位相差フィルムの製造に好適に用いられる紫外線硬化性組成物に関するものであり、より詳しくは、配向膜を用いることなく所望の位相差を発現できる位相差層を形成することが可能な紫外線硬化性組成物に関するものである。
液晶表示装置は、その省電力、軽量、薄型等といった特徴を有することから、従来のCRTディスプレイに替わり、近年急速に普及している。一般的な液晶表示装置としては、図3に示すように、入射側の偏光板102Aと、出射側の偏光板102Bと、液晶セル104とを有するものを挙げることができる。偏光板102Aおよび102Bは、所定の振動方向の振動面を有する直線偏光(図中、矢印で模式的に図示)のみを選択的に透過させるように構成されたものであり、それぞれの振動方向が相互に直角の関係になるようにクロスニコル状態で対向して配置されている。また、液晶セル104は画素に対応する多数のセルを含むものであり、偏光板102Aと102Bとの間に配置されている。
液晶表示装置には特有の欠点として視野角特性の問題がある。視野角特性の問題とは、液晶表示装置を正面から見た場合と、斜め方向から見た場合とでコントラストや色味等が変化する問題である。このような問題は、液晶表示装置に用いられる液晶セルが複屈折性を示すことやクロスニコルに配置された2枚の偏光板を有することに起因するものである。
上記視野角特性の問題を改善するため、現在までに様々な技術が開発されている。そして、その代表的な方法の一つに所定の複屈折率を有する位相差フィルムを用いる方法がある。この位相差フィルムを用いる方法は、液晶表示装置における液晶セルと偏光板との間に所定の複屈折率を示す位相差フィルムを配置することによって視野角特性を改善する方法である。このような方法は、液晶セルの種類に応じて複屈折率の異なる位相差フィルムを用いることにより、様々の光学特性を有する液晶セルを用いた液晶表示装置の視野角依存性の問題を改善できる点において有用であり、現在種々の表示方式を採用した液晶表示装置において採用されるに至っている。
上記位相差フィルムとしては、従来、基材と、上記基材上に形成された配向膜と、上記配向膜上に形成され、液晶材料を含有する位相差層とを有するものが広く用いられてきた。このような位相差フィルムは、上記位相差層において上記液晶材料が上記配向膜の配向規制力に従って規則的に配列されていることにより、所望の複屈折率が発現することができるものである。
ところで、近年においては上記位相差フィルムとして上記配向膜を必要としないもの、すなわち、上記基材上に、位相差層が直接形成された構成を有する位相差フィルムが開発されている(特許文献1および特許文献2)。このような配向膜を必要としない位相差フィルムは、従来の配向膜を用いる位相差フィルムでは実現することが困難であった、液晶材料の3次元配向が可能であったり、また、複数の位相差層を積層することが可能であったり、さらには、位相差フィルムの製造工程を簡略化することができるという利点を有する。
しかしながら、特許文献1および特許文献2に開示されているような、化合物を用いて配向膜を必要としない位相差フィルムを作成した場合、従来の配向膜を用いた位相差フィルムに比べて位相差層のヘイズが大きくなってしまう問題点があった。
このようなことから、配向膜を用いない位相差フィルムにおいては、透明性に優れた位相差フィルムを得ることが困難であるという問題点があった。
特表2002−517605号公報 特開2002−82224号公報
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、例えば、配向膜を用いることなく、透明性に優れた位相差層を形成することが可能な紫外線硬化性組成物を提供することを主目的とするものである。
上記課題を解決するために、本発明は、架橋性官能基を有する架橋性液晶材料と、下記式(I)、および、(II)で表される光反応性基の少なくとも1つを有する光反応性化合物と、を含有することを特徴とする紫外線硬化性組成物を提供する。
Figure 2007297606
上記式(I)および(II)において、A、A、Aは、それぞれ独立に未置換、または任意にフッ素、塩素、シアノ、アルキル、アルコキシ、または、アルキルオキシカルボニルで置換された1,4−フェニレン、4,4’−ビフェニレン、1,4−ナフチレン、2,6−ナフチレン、ピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピペリジン−1,4−ジイル、または、ピペラジン−1,4−ジイルを表す。
は、水素、炭素数1〜4のアルキル、または、炭素数1〜4のアルコキシを表す。
は、水素、炭素数1〜4のアルキル、炭素数1〜4のアルコキシ、炭素数2〜6のアルキルオキシカルボニル、または、シアノを表す。
は未置換または任意のフッ素、塩素で置換された炭素数1〜20のアルキルを表す。
本発明によれば、上記光反応性化合物として上記式(I)、および、(II)で表される光反応性基の少なくとも1つを有する光反応性化合物が用いられていることにより、例えば、配向膜を用いることなく、透明性に優れた位相差層を形成することが可能な紫外線硬化性組成物を得ることができる。
本発明の紫外線硬化性組成物は、光重合開始剤および溶媒を含有することが好ましい。光重合開始剤を含有することにより、上記架橋性液晶材料の架橋形成反応を促進することが可能となるため、例えば、本発明の紫外線硬化性組成物を用いて短時間で透明性に優れた位相差層を形成することが可能になるからである。また、溶媒を含有することにより、融点や軟化点が高い架橋性液晶材料や光反応性化合物を含む紫外線硬化性組成物の室温での塗工が容易となるからである。
また、本発明においては、上記光反応性化合物の重量平均分子量が10万以下であることが好ましい。上記光反応性化合物の重量平均分子量が上記範囲内であることにより、上記光反応性化合物の架橋性液晶材料に対する相溶性を向上することができるため、例えば、本発明の紫外線硬化性組成物を用いて、より透明性に優れる位相差層を形成することが可能になるからである。
さらに、本発明においては、上記架橋性液晶材料が備える架橋性官能基がアクリロイル基であることが好ましい。アクリロイル基は紫外線硬化性に優れ、低い紫外線照射量で耐久性に優れた層を形成させることができるからである。また、上記架橋性官能基としてアクリロイル基を有する架橋性液晶材料は工業的に入手可能な種類が多いことから、本発明へ適用することが容易だからである。
また、上記課題を解決するために本発明は、透明基板と、上記透明基板上に形成され、架橋性官能基を有する架橋性液晶材料の架橋物を含有する位相差層とを有する位相差フィルムであって、上記位相差層が、上記式(I)、および、(II)で表される光反応性基の少なくとも1つを有する光反応性化合物の反応物を含有することを特徴とする位相差フィルムを提供する。
本発明によれば、上記位相差層が、架橋性官能基を有する架橋性液晶材料の架橋物と、上記式(I)、および、(II)で表される光反応性基の少なくとも1つを有する光反応性化合物の反応物とを含有するものであることにより、上記位相差層のヘイズを小さくすることができる。
したがって、本発明によれば配向膜を用いることなく、透明性に優れた位相差フィルムを得ることができる。
さらに上記課題を解決するために本発明は、透明基板を用い、上記本発明に係る紫外線硬化性組成物を塗工することにより、位相差層形成用層を形成する位相差層形成用層形成工程と、上記位相差層形成用層に紫外線を照射し、上記光反応性化合物を反応させることによって、上記位相差層形成用層に上記架橋性液晶材料に対する配向性を発現させる配向性付与工程と、上記配向性付与工程により発現された配向性に従って、上記架橋性液晶材料を配列させる液晶配列工程と、上記液晶配列工程により配列された架橋性液晶材料を架橋させる液晶架橋工程と、により、上記透明基板上に位相差層を形成する位相差層形成工程を有することを特徴とする位相差フィルムの製造方法を提供する。
本発明によれば、上記紫外線硬化性組成物として上記本発明に係る紫外線硬化性組成物を用いることにより、配向層を用いることなくヘイズの小さい位相差層を形成することができる。このため、本発明によれば透明性に優れた位相差フィルムを製造することができる。
また、本発明によれば配向層を形成する工程を省略することができるため、簡易的に透明性に優れた位相差フィルムを製造することができる。
本発明の紫外線硬化性組成物は、例えば、配向膜を用いることなく、透明性に優れた位相差層を形成することができるという効果を奏する。
また、本発明の位相差フィルム、および、位相差フィルムの製造方法によれば、配向膜が用いられていない位相差フィルムであって、透明性に優れた位相差フィルムを得ることができるという効果を奏する。
本発明は、紫外線硬化性組成物、位相差フィルム、および、位相差フィルムの製造方法に関するものである。以下、本発明の紫外線硬化性組成物、位相差フィルム、および、位相差フィルムの製造方法について順に説明する。
A.紫外線硬化性組成物
まず、本発明の紫外線硬化性組成物について説明する。本発明の紫外線硬化性組成物は、架橋性官能基を有する架橋性液晶材料と、上記式(I)、および、(II)で表される光反応性基の少なくとも1つを有する光反応性化合物と、を含有することを特徴とするものである。
本発明によれば、例えば、配向膜を用いることなく、透明性に優れた位相差層を形成することが可能な紫外線硬化性組成物を得ることができる。
配向膜を用いない位相差フィルムは、従来の配向膜を用いる位相差フィルムでは実現することが困難であった液晶材料の3次元配向が可能であったり、また、複数の位相差層を積層することが可能であったり、さらには、位相差フィルムの製造工程を簡略化することができるという利点を有するが、従来の配向膜を用いた位相差フィルムに比べて位相差層のヘイズが大きくなってしまうことから、透明性に優れた位相差フィルムを得ることが困難であるという問題点があった。
この点、本発明によれば、上記光反応性化合物が上記式(I)、および、(II)で表される光反応性基の少なくとも1つを有する光反応性化合物であることにより、配向膜を用いることなく、透明性に優れた位相差層を形成することが可能な紫外線硬化性組成物を得ることができる。
本発明に用いられる光反応性化合物が、上記式(I)、および、(II)で表される光反応性基の少なくとも1つを有するものであることにより、配向膜を用いることなく、透明性に優れた位相差層を形成できるのは次のような理由によるものと考えられる。
すなわち、従来の配向層を用いない位相差層においてヘイズが大きくなるのは、上記位相差層を形成する際に用いられる架橋性液晶材料と光反応性化合物との相溶性が低いことに起因するものと考えられる。
ここで、一般的に上記架橋性液晶材料は、芳香族系の環状構造が連結された剛直部と、上記剛直部に結合し、炭素−酸素結合を含む鎖状部とを有するものである。それに対し、本発明の光反応性化合物に含まれる上記式(I)、および(II)で示される光反応性基は、芳香環を少なくとも2個以上連結した構造であり、架橋性液晶材料の剛直部との分子構造の類似性が高い。
このため、本発明においては上記光反応性化合物および上記架橋性液晶材料の相溶性を向上することができるため、透明性に優れた層を形成することができることから、これを液晶表示装置用の位相差フィルムに用いることにより、配向膜を用いることなく透明性に優れた位相差層を形成することが可能になると考えられる。
本発明の紫外線硬化性組成物は、少なくとも光反応性化合物と、架橋性液晶材料とを含有するものであり、必要に応じて他の化合物を含有しても良いものである。
以下、このような本発明の紫外線硬化性組成物の各構成について順に詳細に説明する。
1.光反応性化合物
まず、本発明に用いられる光反応性化合物について説明する。本発明に用いられる光反応性化合物は、上記式(I)、および、(II)で表される光反応性基の少なくとも1つを有することを特徴とするものである。
本発明においては、上記光反応性化合物としてこのような光反応性基を有するものを用いることにより、後述する架橋性液晶材料との相溶性を向上することができるため、配向膜を用いることなく、透明性に優れた位相差層を形成すること等が可能になるのである。
以下、このような光反応性化合物について詳細に説明する。
(1)光反応性基
まず、本発明の光反応性化合物が有する光反応性基について説明する。上記光反応性基は、上記式(I)、および、(II)で表されるものである(以下、上記式(I)、(II)で表される光反応性基をそれぞれ、光反応性基I、光反応性基IIと称する場合がある。)
上記光反応性基Iとしては、上記式(I)で表される構造を有するものであれば特に限定されるものではなく、本発明の紫外線硬化性組成物の用途や、後述する架橋性液晶材料の種類等に応じて適宜選択して用いることができる。なかでも本発明においては、クマリンが7位または6位で酸素と結合していることが、光反応性が高い点で好ましい。
また本発明においては、上記Aが、未置換または任意にフッ素、塩素、シアノ、アルキルまたはアルコキシで置換された1,4−フェニレンであることが好ましい。上記Aがこのような構造であることにより、本発明に用いられる光反応性化合物の分子構造を、後述する架橋性液晶材料の分子構造により近似するものにできるため、上記光反応性化合物と上記架橋性液晶材料との相溶性をさらに向上することができる結果、本発明の紫外線硬化性組成物を用いて透明性により優れた位相差層等を形成することが可能になるからである。
このような、光反応性基Iとしては、例えば、下記式(I)−1、(I)−2で表されるものを例示することができる。
Figure 2007297606
ここで、上記式においてRは、水素、炭素数1〜4のアルキル、または、炭素数1〜4のアルコキシを表す。
また、RおよびRは、それぞれ独立に水素、炭素数1〜4のアルキル、炭素数1〜4のアルコキシ、シアノ、または、炭素数2〜6のアルキルオキシカルボニルを表す。
本発明においては、上記式(I)−1、および、(I)−2で表される光反応性基Iのいずれであっても好適に用いることができるが、なかでも本発明においては、上記式(I)−1および(I)−2で表される光反応性基IのなかでもRが水素またはメチル基で、かつRが水素であるものが光反応性が高いため好ましい。
このような光反応性基Iの具体例としては、例えば、下記式で表されるものを挙げることができる。
Figure 2007297606
上記光反応性基IIとしては、上記式(II)で表される構造を有するものであれば特に限定されるものではなく、本発明の紫外線硬化性組成物の用途や、後述する架橋性液晶材料の種類等に応じて適宜選択して用いることができる。なかでも本発明においては、上記AおよびAがそれぞれ独立に、未置換または任意にフッ素、塩素、シアノ、アルキル、アルコキシ、または、アルキルオキシカルボニルで置換された1,4−フェニレン、4,4’−ビフェニレン、または2,6−ナフチレンであることが好ましい。上記AおよびAがこのような構造であることにより、本発明に用いられる光反応性化合物の分子構造を、後述する架橋性液晶材料の分子構造により近似するものにできるため、上記光反応性化合物と上記架橋性液晶材料との相溶性をさらに向上することができる結果、本発明の紫外線硬化性組成物を用いて透明性により優れた位相差層等を形成することが可能になるからである。
このような、光反応性基IIとしては、例えば、下記式(II)−1、(II)−2、および、(II)−3で表されるものを例示することができる。
Figure 2007297606
ここで、上記式においてRは、未置換または任意にフッ素、塩素で置換された炭素数1〜20のアルキルを表す。
また、R、Rは、それぞれ独立に水素、または、炭素数1〜4の炭素原子を有するアルコキシを表す。R10は、水素、炭素数1〜4のアルキル、炭素数1〜4のアルコキシ、炭素数2〜6のアルキルオキシカルボニル、またはシアノを表す。
さらに、mは、0または1である。
本発明に用いられる上記光反応性基IIの具体例としては、例えば、下記式で表されるものを挙げることができる。
Figure 2007297606
(2)光反応性化合物
本発明に用いられる、光反応性化合物は、上記式(I)、および、(II)で表される光反応性基の少なくとも1を含有するものであれば特に限定されるものではない。したがって、本発明に用いられる光反応化合物としては、上記式(I)、および、(II)で表される光反応性基のいずれか1つを含有するものであっても良く、または、複数の光反応性基を有するものであっても良い。
本発明に用いられる光反応性化合物が、上記式(I)、および、(II)で表される光反応性基を複数する態様としては、同一の式で表される同一の光反応性基を複数含有する態様であっても良く、同一の式で表され、構造の異なる光反応性基を複数含有する態様であっても良く、さらには、異なる式で表される光反応性基を複数含有する態様であっても良い。
また、本発明に用いられる光反応性化合物は、後述する架橋性液晶材料との相溶性を損なわない範囲内であれば、上記式(I)、および、(II)で表される光反応性基以外の他の光反応性基を含有しても良い。
また、本発明に用いられる光反応性化合物は、上記式(I)および(II)で表される光反応性基の少なくとも1つを含有するものであれば、光反応性化合物自身が液晶性であっても、非液晶性であってもどちらでもよい。
このような光反応性化合物としては、例えば、下記式で表される低分子化合物(III)−1〜(III)−5、および(III)−1で表される化合物の重合体を挙げることができる。
Figure 2007297606
上記式においてXは、上記式(I)、および、(II)で表される光反応性基を表す。また、R11は、水素、または、メチルを表す。さらに、nは0〜20の整数、pは0または1を表す。
ここで、上記式(III)−1で表される化合物の重合体の場合には、単独重合体、共重合体のどちらでもよい。また、共重合体の場合には、後述する架橋性液晶材料との相溶性を損なわない範囲内であれば(III)−1以外のモノマーとの共重合体でもよい。(III)−1以外のモノマーとの共重合体の場合、(III)−1以外のモノマーは液晶性モノマーでも非液晶性モノマーのどちらでもよいが、液晶性モノマーである方が、架橋性液晶材料と相溶性を向上することができるため好ましい。
本発明に用いられる光反応性化合物としては、後述する架橋性液晶材料との相溶性の観点から、重量平均分子量が比較的小さいものを用いることが好ましい。より具体的には、重量平均分子量が、10万以下であることが好ましく、なかでも300〜5万の範囲内であることが好ましく、さらには500〜2万の範囲内であることが好ましい。重量平均分子量が上記範囲内であることにより、上記光反応性化合物の架橋性液晶材料との相溶性を向上することができるため、例えば、本発明の紫外線硬化性組成物を用いてより透明性に優れる位相差層を形成することが可能になるからである。
ここで、上記重量平均分子量は、例えば、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定することができ、ポリスチレン換算の値である。
また、本発明に用いられる光反応性化合物は高分子化合物であっても良い。このような高分子化合物としては、上記式(III)−1で表される低分子化合物が重合された化合物を例示することができる。
本発明においては、上記式(III)−1〜(III)−5で表される光反応性化合物および(III)−1で表される化合物の重合体のいずれであっても好適に用いることができるが、なかでも下記式(IV)−1〜(IV)−3で表されるユニットを含む重合体が好適に用いられる。
Figure 2007297606
ここで、上記式においてR12は、水素またはメチル基を表す。R13は、水素、炭素数1〜4のアルキル、炭素数1〜4のアルコキシを表す。R14、R15はそれぞれ独立して、水素、炭素数1〜4のアルキル、炭素数1〜4のアルコキシ、炭素数2〜6のアルキルオキシカルボニルまたは、シアノを表す。R16は、未置換、または、任意にフッ素、塩素で置換された炭素数1〜20のアルキルを表す。R17、R18は、それぞれ独立に水素、炭素数1〜4のアルコキシを表す。qは、2〜20の整数を表す。
本発明に用いられる光反応性化合物の具体例としては、例えば、下記式で表されるものを挙げることができる。
上記式(I)で表される光反応性基を有する光反応性化合物;7-{[4−(4−アクリロイルオキシ)ブチロキシ]ベンゾイルオキシ}クマリン、7-{[4−(6−アクリロイルオキシ)ヘキシロキシ]ベンゾイルオキシ}クマリン、4−メチル−7-{[4−(4−アクリロイルオキシ)ブチロキシ]ベンゾイルオキシ}クマリン、4−メチル−7-{[4−(6−アクリロイルオキシ)ヘキシロキシ]ベンゾイルオキシ}クマリン、6-{[4−(6−アクリロイルオキシ)ヘキシロキシ]ベンゾイルオキシ}クマリン、4−メチル−6-{[4−(6−アクリロイルオキシ)ヘキシロキシ]ベンゾイルオキシ}クマリン、ポリ[7-{[4−(6−アクリロイルオキシ)ヘキシロキシ]ベンゾイルオキシ}クマリン]、ポリ[7-{[4−(8−アクリロイルオキシ)オクチロキシ]ベンゾイルオキシ}クマリン]、ポリ[4−メチル−7-{[4−(6−アクリロイルオキシ)ヘキシロキシ]ベンゾイルオキシ}クマリン]、ポリ[4−メチル−7-{[4−(8−アクリロイルオキシ)オクチロキシ]ベンゾイルオキシ}クマリン]、ポリ[7-{[4−(6−メタクリロイルオキシ)ヘキシロキシ]ベンゾイルオキシ}クマリン]、ポリ[7-{[4−(8−メタクリロイルオキシ)オクチロキシ]ベンゾイルオキシ}クマリン]、ポリ[7-{[4−(11−メタクリロイルオキシ)ウンデシロキシ]ベンゾイルオキシ}クマリン]、ポリ[4−メチル−7-{[4−(6−メタクリロイルオキシ)ヘキシロキシ]ベンゾイルオキシ}クマリン]、ポリ[4−メチル−7-{[4−(8−メタクリロイルオキシ)オクチロキシ]ベンゾイルオキシ}クマリン]、ポリ[4−メチル−7-{[4−(11−メタクリロイルオキシ)ウンデシロキシ]ベンゾイルオキシ}クマリン]、ポリ[4−メチル−6-{[4−(6−メタクリロイルオキシ)ヘキシロキシ]ベンゾイルオキシ}クマリン]、ポリ[4−メチル−6-{[4−(8−メタクリロイルオキシ)オクチロキシ]ベンゾイルオキシ}クマリン]、ポリ[4−メチル−6-{[4−(11−メタクリロイルオキシ)ウンデシロキシ]ベンゾイルオキシ}クマリン]、ポリ[4−メチル−6-{[4−(6−メタクリロイルオキシ)ヘキシロキシ]ベンゾイルオキシ}クマリン]、ポリ[4−メチル−6-{[4−(8−メタクリロイルオキシ)オクチロキシ]ベンゾイルオキシ}クマリン]、ポリ[4−メチル−6-{[4−(11−メタクリロイルオキシ)ウンデシロキシ]ベンゾイルオキシ}クマリン]。
上記式(II)で表される光反応性基を有する光反応性化合物;1−〔4−〔4−〔4−〔(E)−2−メトキシカルボニルビニル〕フェノキシカルボニル〕フェノキシ〕ブチルオキシカルボニル〕エチレン、1−〔6−〔4−〔4−〔(E)−2−メトキシカルボニルビニル〕フェノキシカルボニル〕フェノキシ〕ヘキシルオキシカルボニル〕エチレン、1−〔4−〔4−〔2−メトキシ−4−〔(E)−2−メトキシカルボニルビニル〕フェノキシカルボニル〕フェノキシ〕ブチルオキシカルボニル〕エチレン、1−〔6−〔4−〔2−メトキシ−4−〔(E)−2−メトキシカルボニルビニル〕フェノキシカルボニル〕フェノキシ〕ヘキシルオキシカルボニル〕エチレン、ポリ〔1−〔6−〔4−〔4−〔(E)−2−メトキシカルボニルビニル〕フェノキシカルボニル〕フェノキシ〕ヘキシルオキシカルボニル〕エチレン〕、ポリ〔1−〔8−〔4−〔4−〔(E)−2−メトキシカルボニルビニル〕フェノキシカルボニル〕フェノキシ〕オクチルオキシカルボニル〕エチレン〕、ポリ〔1−〔11−〔4−〔4−〔(E)−2−メトキシカルボニルビニル〕フェノキシカルボニル〕フェノキシ〕ウンデシルオキシカルボニル〕エチレン〕、ポリ〔1−〔6−〔4−〔2−メトキシ−4−〔(E)−2−メトキシカルボニルビニル〕フェノキシカルボニル〕フェノキシ〕ヘキシルオキシカルボニル〕エチレン〕、ポリ〔1−〔8−〔4−〔2−メトキシ−4−〔(E)−2−メトキシカルボニルビニル〕フェノキシカルボニル〕フェノキシ〕オクチルオキシカルボニル〕エチレン〕、ポリ〔1−〔11−〔4−〔2−メトキシ−4−〔(E)−2−メトキシカルボニルビニル〕フェノキシカルボニル〕フェノキシ〕ウンデシルオキシカルボニル〕エチレン〕、ポリ〔1−〔6−〔4−〔4−〔(E)−2−メトキシカルボニルビニル〕フェノキシカルボニル〕フェノキシ〕ヘキシルオキシカルボニル〕−1−メチルエチレン〕、ポリ〔1−〔8−〔4−〔4−〔(E)−2−メトキシカルボニルビニル〕フェノキシカルボニル〕フェノキシ〕オクチルオキシカルボニル〕−1−メチルエチレン〕、ポリ〔1−〔11−〔4−〔4−〔(E)−2−メトキシカルボニルビニル〕フェノキシカルボニル〕フェノキシ〕ウンデシルオキシカルボニル〕−1−メチルエチレン〕、ポリ〔1−〔6−〔4−〔4−〔(E)−2−エトキシカルボニルビニル〕フェノキシカルボニル〕フェノキシ〕ヘキシルオキシカルボニル〕−1−メチルエチレン〕、ポリ〔1−〔8−〔4−〔4−〔(E)−2−プロポキシカルボニルビニル〕フェノキシカルボニル〕フェノキシ〕オクチルオキシカルボニル〕−1−メチルエチレン〕、ポリ〔1−〔6−〔4−〔2−メトキシ−4−〔(E)−2−メトキシカルボニルビニル〕フェノキシカルボニル〕フェノキシ〕ヘキシルオキシカルボニル〕−1−メチルエチレン〕、ポリ〔1−〔8−〔4−〔2−メトキシ−4−〔(E)−2−メトキシカルボニルビニル〕フェノキシカルボニル〕フェノキシ〕オクチルオキシカルボニル〕−1−メチルエチレン〕、ポリ〔1−〔11−〔4−〔2−メトキシ−4−〔(E)−2−メトキシカルボニルビニル〕フェノキシカルボニル〕フェノキシ〕ウンデシルオキシカルボニル〕−1−メチルエチレン〕、ポリ〔1−〔6−〔4−〔2−メトキシ−4−〔(E)−2−エトキシカルボニルビニル〕フェノキシカルボニル〕フェノキシ〕ヘキシルオキシカルボニル〕−1−メチルエチレン〕、ポリ〔1−〔8−〔4−〔2−メトキシ−4−〔(E)−2−プロポキシカルボニルビニル〕フェノキシカルボニル〕フェノキシ〕オクチルオキシカルボニル〕−1−メチルエチレン〕、ポリ〔1−〔6−〔4−〔4−〔(E)−2−メトキシカルボニルビニル〕フェノキシカルボニル〕ナフタリン−6−イルオキシ〕ヘキシルオキシカルボニル〕−1−メチルエチレン〕、ポリ-[1-[11-[5-[4-[(E)-2-メトキシカルボニルビニル]ベンゾイロキシ]-2-[6-[2-メトキシ-(E)-4-(メトキシカルボニルビニル)フェノキシ]オキシヘキシル]ベンゾイロキシ]ウンデシロキシカルボニル]-1-メチルエチレン]、ポリ-[1-[11-[5-[4-[(E)-2-メトキシカルボニルビニル]ベンゾイルオキシ]-2-(4-プロピルベンゾイルオキシ)ベンゾイルオキシ]ウンデシロキシカルボニル]-1-メチルエチレン]、ポリ-[1-[11-[5-[4-[(E)-2-メトキシカルボニルビニル]ベンゾイルオキシ]-2-(4-ペンチルベンゾイルオキシ)ベンゾイルオキシ]ウンデシロキシカルボニル]-1-メチルエチレン]、ポリ-[1-[8-[5-[4-[(E)-2-メトキシカルボニルビニル]ベンゾイルオキシ]-2-(4-プロピルベンゾイルオキシ)ベンゾイルオキシ]オクチロキシカルボニル]-1-メチルエチレン]。
なお、本発明においてはこのような光反応性化合物を1種類のみ用いても良く、または、複数種類の光反応性化合物を混合して用いても良い。
2.架橋性液晶材料
次に、本発明に用いられる架橋性液晶材料について説明する。本発明に用いられる架橋性液晶材料は、架橋性官能基を有するものである。
本発明に用いられる架橋性液晶材料としては、本発明の紫外線硬化性組成物の用途等に応じて、任意の液晶性を備えるものを用いることができる。なかでも、本発明においては、上記架橋性液晶材料としてネマチック相を示すものを用いることが好ましい。ネマチック液晶は、他の液晶相を示す液晶材料と比較して規則的に配列させることが容易だからである。
本発明に用いられる架橋性液晶材料が有する架橋性官能基としては、分子間架橋を形成することができるものであれば特に限定されるものではなく、本発明の紫外線硬化性組成物の用途等に応じて適宜選択して用いることができる。このような架橋性官能基としては、例えば、紫外線、電子線等の放射線によって架橋を形成する放射線架橋性官能基、熱の作用によって架橋を形成する熱架橋性官能基等を挙げることができるが、なかでも本発明においては放射線架橋性官能基を用いることが好ましく、特に紫外線を照射することにより架橋を形成する紫外線架橋性官能基を用いることが好ましい。その理由は次の通りである。
すなわち、上記架橋性液晶材料として、上記熱架橋性官能基を用いた場合は、例えば、本発明の紫外線硬化性組成物を塗布・乾燥することによって位相差フィルム用の位相差層を形成する際に、上記塗膜を形成する乾燥工程において架橋が形成されてしまい、結果として形成される位相差フィルムの位相差性を所望の範囲にできない可能性があるが、紫外線架橋性官能基であればこのような問題が少ないからである。また、紫外線架橋性官能基を用いることにより、上記架橋性液晶材料を架橋する工程を短時間で完了させることができるからである。
上記紫外線架橋性官能基としては、通常、紫外線を照射することにより架橋を形成し、上記架橋性液晶材料のポリマー化合物を得ることが可能な重合性官能基、または、紫外線を照射することにより架橋を形成し、上記架橋性液晶材料の二量体を得ることが可能な二量化官能基が用いられる。
上記重合性官能基としては、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニルエーテル基、オキセタニル基、グリシジル基、脂環式エポキシ基等を挙げることができる。
また、上記二量化官能基としては、例えば、シンナメート、クマリン、カルコン、ベンジリデンフタルイミジン、ベンジリデンアセトフェノン、ジフェニルアセチレン、スチルバゾール、ウラシル、キノリノン、チミン、マレインイミド、シンナミリデン酢酸およびその誘導体等を挙げることができる。
本発明においては上記重合性官能基、または、上記二量化官能基のいずれであっても好適に用いることができるが、なかでも重合性官能基を用いることが好ましい。重合性官能基は光重合開始剤を添加した場合には反応速度が高く、二量化官能基よりも少ない紫外線照射量で耐久性の高い層を形成することができるからである。
また、本発明においては、上記重合性官能基のなかでもアクリロイル基、オキセタニル基を用いることが好ましい。これらの重合性官能基は反応性に優れるからである。
さらに、本発明においてはこれらの重合性官能基のなかでもアクリロイル基を用いることが好ましい。アクリロイル基を有する架橋性液晶材料は、工業的に入手可能な種類が多いことから、本発明の紫外線硬化性組成物の用途等に応じて、適宜選択して本発明へ適用することが容易だからである。
本発明に用いられる架橋性液晶材料は、上記架橋性官能基を複数有するものであっても良く、または、1つのみを有するものであっても良い。また、本発明においては架橋性官能基を複数有する架橋性液晶材料と、架橋性官能基を1つのみを有する架橋性液晶材料とを混合して用いても良い。
本発明に用いられる架橋性液晶材料は、少なくとも、−A−CO−O−A−で表される構造を含むことが好ましい。架橋性液晶材料が上記構造を含むことにより、光反応性化合物との相溶性が向上するあらである。
ここで、上記A、Aは、それぞれ独立に未置換または任意にフッ素、塩素、シアノ、アルキル、またはアルコキシ、またはアルキルオキシカルボニルで置換された1,4−フェニレン、4,4’−ビフェニレン、1,4−ナフチレン、2,6−ナフチレン、ピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピペリジン−1,4−ジイル、または、ピペラジン−1,4−ジイルを表す。
上記架橋性官能基を複数有する架橋性液晶材料としては、例えば、下記式(1)〜(7)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2007297606
Figure 2007297606
また、上記架橋性官能基を1つのみ有する架橋性液晶材料としては、例えば、下記式(8)、(9)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2007297606
ここで、上記式(1)〜(9)において、L、Lは、それぞれ独立に−O−、または、−O−CO−O−を表す。また、Bは、下記式(i)〜(viii)で表されるメソゲン基を表す。
Figure 2007297606
また、R19は、それぞれ独立に水素またはメチル基を表す。d〜lは、それぞれ独立に2〜12の整数であるが、より好ましくは4〜10である。
さらに、L、Lは、それぞれ独立に下記式(ix)〜(xiii)のいずれかを表す。
Figure 2007297606
また、rは、0〜20の整数を表す。R21は、水素、塩素、臭素、ヨウ素、炭素数1〜10のアルキル基、アルキルオキシカルボニル基、アルコキシ基、シアノ基、または、ニトロ基を表す。
上記以外に、本発明に用いられる架橋性液晶材料の具体例としては、例えば、特開平4−227684号公報、特開平9−111240号公報、特開平10−182556号公報、特開平11−513019号公報、特開2000−98113号公報、特開2002−69450号公報、特開2002−30042号公報、特開2003−96066号公報、および、特開2004−123597号公報に記載されているような化合物を挙げることができる。
さらに、上記以外に本発明に用いられる架橋性液晶材料の具体例としては、例えば、下記式(10)〜(17)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2007297606
本発明に用いられる液晶材料は1種類でも良く、または、2種類以上を混合して用いても良い。本発明において2種類以上の液晶材料を混合して用いる場合は、架橋性液晶材料と、重合性官能基を有さない液晶材料とを混合して用いても良い。
3.紫外線硬化性組成物
(1)他の構成
本発明の紫外線硬化性組成物は、上記光反応性化合物および上記架橋性液晶材料を含有するものであるが、必要に応じて上記光反応性化合物および上記架橋性液晶材料以外の他の構成を含有するものであっても良い。このような他の構成としては、光重合開始剤、重合禁止剤、可塑剤、界面活性剤、および、シランカップリング剤等を挙げることができる。なかでも本発明においては上記他の構成として、光重合開始剤、および、溶媒を用いることが好ましい。光重合開始剤を含有することにより、本発明の紫外線硬化性組成物に含有される架橋性液晶材料の架橋形成反応を促進することが可能となるため、例えば、本発明の紫外線硬化性組成物を用いて短時間で透明性に優れた位相差層を形成することが可能になるからである。また溶媒を含有することにより、融点や軟化点が高い架橋性液晶材料や光反応性化合物を含む紫外線硬化性組成物の室温での塗工が容易となるからである。
以下、このような溶媒および光重合開始剤について説明する。
上記溶媒としては、上記光反応性化合物および上記架橋性液晶材料を所望の濃度で溶解できるものであれば特に限定されるものではない。このような溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン等のケトン系溶媒;ベンゼン、トルエン、ヘキサン等の炭化水素系溶媒;テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒;クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化アルキル系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒;およびジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒等を挙げることができるが、これらに限られるものではない。また、本発明に用いられる溶媒は、1種類でもよく、2種類以上の溶媒の混合溶媒でもよい。
また、上記光重合開始剤については、本発明に用いられる架橋性液晶材料として重合性官能基を有するものを用いる場合に好ましく用いられる。光重合開始剤を含有することにより上記架橋性液晶材料の重合反応を促進することが可能となるため、例えば、本発明の紫外線硬化性組成物を用いて短時間で透明性に優れた位相差層を形成することが可能になるからである。
本発明に用いられる光重合開始剤としては、上記架橋性液晶材料が有する重合性官能基の種類等に応じて適宜選択して用いることができる。なかでも本発明においては、特に、上記重合性官能基として、アクリロイル基、および、メタクリロイル基を有する架橋性液晶材料を用いる場合においては、光ラジカル重合開始剤を用いることが好ましく、一方、上記重合性官能基として、ビニルエーテル基、オキセタニル基、グリシジル基、および、脂環式エポキシ基を有する架橋性液晶材料を用いる場合においては、光カチオン重合開始剤を用いることが好ましい。
上記光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンジル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、ベンジルメチルケタール、ジメチルアミノメチルベンゾエート、2−n−ブトキシエチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、3、3’−ジメチル−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、メチロベンゾイルフォーメート、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノー1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェルニケトン、2−ヒロドキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロキシチオキサントン、2−ヒドロキシ−2−メチル−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノールオリゴマー等を挙げることができる。
また、上記光カチオン重合開始剤としては、スルホン酸エステル、イミドスルホネート、ジアルキル−4−ヒドロキシスルホニウム塩、アリールスルホン酸−p−ニトロベンジルエステル、シラノール−アルミニウム錯体、(η6−ベンゼン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(II)等を挙げることができる。さらに具体的には、ベンゾイントシレート、2,5−ジニトロベンジルトシレート、N−トシフタル酸イミド等を挙げることができる。
さらに、上記光ラジカル重合開始剤および上記光カチオン重合開始剤として用いることが可能な化合物としては、例えば、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ホスホニウム塩、トリアジン化合物、鉄アレーン錯体等を例示することができる。より具体的には、ジフェニルヨードニウム、ジトリルヨードニウム、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、ビス(p−クロロフェニル)ヨードニウム等のヨードに有無のクロリド;ブロミド、ホウフッ化塩、ヘキサフルオロホスフェート塩、ヘキサフルオロアンチモネート塩等のヨードニウム塩、トリフェニルスルホニウム、4−tert−ブチルトリフェニルスルホニウム、トリス(4−メチルフェニル)スルホニウム等のスルホニウムのクロリド、ブロミド、ホウフッ化塩、ヘキサフルオロホスフェート塩、ヘキサフルオロアンチモネート塩等のスルホニウム塩、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−フェニルー4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−メチルー4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン等の2,4,6−置換−1,3,5−トリアジン化合物等を挙げることができる。
さらに、上記光重合開始剤を用いる場合には、光重合開始助剤を併用することができる。このような光重合開始助剤としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン等の3級アミン類や、2−ジメチルアミノエチル安息香酸、4−ジメチルアミド安息香酸エチル等の安息香酸誘導体を例示することができるが、これらに限られるものではない。
このような光重合開始剤の添加量は、上記架橋性液晶材料に対して、0.01質量%〜20質量%の範囲内であることが好ましく、なかでも0.1質量%〜10質量%の範囲内であることが好ましく、特に0.3質量%〜5質量%の範囲内であることが好ましい。光重合開始剤の添加量が上記範囲よりも少ないと、上記架橋性液晶材料を硬化させるのに必要な紫外線照射量が多くなりすぎてしまう可能性があり、また、上記範囲よりも多いと上記光反応性化合物の反応を阻害してしまう恐れがあるからである。
(2)その他
本発明の紫外線硬化性組成物は、上記光反応性化合物および上記架橋性液晶材料を含有するものであるが、両化合物を含有する比率としては本発明の紫外線硬化性組成物の用途等に応じて適宜決定すれば良い。なかでも本発明においては、上記架橋性液晶材料100重量部に対する上記光反応性化合物の含有量が、0.1重量部〜60重量部の範囲内であることが好ましく、なかでも3重量部〜50重量部の範囲内であることが好ましく、特に10重量部〜50重量部の範囲内であることが好ましい。上記光反応性化合物の含有量が上記範囲よりも少ないと、例えば、本発明の紫外線硬化性組成物を用いて位相差フィルム用の位相差層を形成した際に、上記位相差層において架橋性液晶材料を規則的に配列させることが困難となる可能性があるからであり、上記範囲よりも多いと所望の位相差性を発現できない恐れがあるからである。
また、本発明の紫外線硬化性組成物が上記溶媒を含有するものである場合、本発明の紫外線硬化性組成物の固形分濃度としては特に限定されるものではなく、本発明の紫外線硬化性組成物の用途等に応じて任意の濃度にすることができる。
4.紫外線硬化性組成物の用途
本発明の紫外線硬化性組成物は、例えば、光学機能層を備える光学機能フィルムの光学機能層の製造、セキュリティーに有効な部材の製造、および、周期的な構造を有する光学格子の製造等に用いることができる。なかでも本発明の紫外線硬化性組成物は、上記光学機能層を形成するのに好適に用いることができ、特に、液晶表示装置の視野角補償フィルムとして用いられる位相差フィルムの位相差層を形成するのに好適に用いることができる。
B.位相差フィルム
次に、本発明の位相差フィルムについて説明する。本発明の位相差フィルムは、透明基板と、上記透明基板上に形成され、架橋性官能基を有する架橋性液晶材料の架橋物を含有する位相差層とを有するものであって、上記位相差層が、上記式(I)、および、(II)で表される光反応性基の少なくとも1つを有する光反応性化合物の反応物を含有することを特徴とするものである。
このような本発明の位相差フィルムについて図を参照しながら説明する。図1は、本発明の位相差フィルムの一例を示す概略図である。図1に例示するように、本発明の位相差フィルム10は、透明基板1と、上記透明基板1上に形成された位相差層2とを有するものである。
このような例において、本発明の位相差フィルム10は、上記位相差層2が架橋性官能基を有する架橋性液晶材料の架橋物を含有するものであり、かつ、上記式(I)、および、(II)で表される光反応性基の少なくとも1つを有する光反応性化合物の反応物を含有することを特徴とするものである。
本発明によれば、上記位相差層が架橋性官能基を有する架橋性液晶材料の架橋物と、上記式(I)、および、(II)で表される光反応性基の少なくとも1つを有する光反応性化合物の反応物とを含有するものであることにより、上記位相差層をヘイズが小さいものとすることができる。したがって、本発明によれば配向膜を用いることなく、透明性に優れた位相差フィルムを得ることができる。
本発明の位相差フィルムは、少なくとも透明基板と位相差層とを有するものであり、必要に応じて他の層を有するものである。以下、このような本発明の位相差フィルムの各構成について順に説明する。
1.位相差層
まず、本発明に用いられる位相差層について説明する。本発明に用いられる位相差層は、架橋性官能基を有する架橋性液晶材料の架橋物を含有するものであり、かつ、上記式(I)、および、(II)で表される光反応性基の少なくとも1つを有する光反応性化合物の反応物を含有することを特徴とするものである。
本発明は、位相差層に、上記式(I)、および、(II)で表される光反応性基の少なくとも1つを有する光反応性化合物の反応物が含有されることにより、配向膜を用いることなく、透明性に優れた位相差フィルムを得ることができるのである。
以下、このような位相差層について詳細に説明する。
(1)光反応性化合物の反応物
まず、上記光反応性化合物の反応物について説明する。本発明に用いられる光反応性化合物の反応物は、上記式(I)、および、(II)で表される光反応性基の少なくとも1つを有する光反応性化合物に、光反応を生じ得る光を照射することによって得られる結果物である。
上記式(I)、および、(II)で表される光反応性基は、通常、紫外光が照射されることにより光二量化反応を生じるものであるため、本発明に用いられる光反応性化合物の反応物は、分子中に上記式(I)、および(II)で表される光反応性基を複数有する光反応性化合物が架橋構造を形成したものとなる。
上記光反応性化合物については、上記「A.紫外線硬化性組成物」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
(2)架橋性液晶材料の架橋物
次に、本発明に用いられる架橋性液晶材料の架橋物について説明する。本発明に用いられる架橋性液晶材料の架橋物は、架橋性官能基を有する架橋性液晶材料が架橋を形成することにより得られる結果物である。
上記架橋性液晶材料の架橋物は、上記架橋性官能基として、重合性官能基を有する架橋性液晶材料が用いられている場合には、上記架橋性液晶材料の重合物となる。一方、上記架橋性官能基として、二量化官能基を有する架橋性液晶材料が用いられている場合、分子中に二量化官能基の一つの場合は二量体となり、分子中の二量化官能基が複数である場合は、架橋物となる。
ここで、上記架橋性液晶材料については、上記「A.紫外線硬化性組成物」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
(3)位相差層
本発明における位相差層には、上記架橋性液晶材料の架橋物および上記光反応性化合物の反応物以外の他の化合物が含まれていても良い。このような他の化合物としては、位相差層における上記液晶材料の配列状態や、位相差層の光学特性発現性を損なわないものであれば特に限定されるものではなく、本発明に用いられる位相差フィルムの用途等に応じて適宜選択して用いることができる。このような他の化合物としては、例えば、重合開始剤、重合禁止剤、可塑剤、界面活性剤、および、シランカップリング剤等を挙げることができる。なかでも本発明においては、上記液晶材料として上記架橋性液晶材料を用いる場合、上記他の化合物として重合開始剤または重合禁止剤を用いることが好ましい。
また、本発明における位相差層には、本発明の目的を損なわない範囲内で、非架橋性の液晶材料や下記に示すような非液晶性化合物を添加することができる。添加できる非液晶性合物としては、例えば、ポリオールアクリレート類、エポキシアクリレート類、ウレタンアクリレート類、ポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂等が挙げられる。
本発明における位相差層中の上記架橋性液晶材料の架橋物の配列状態としては、本発明に用いられる位相差フィルムに所望の光学特性を発現できる配列状態であれば特に限定されるものではない。また、本発明の位相差フィルムは配向層を必要としないものであるため、上述したように、従来の配向層を必要とする位相差フィルムでは実現することが困難であった液晶材料の三次元配向を実現することが可能となる。
このような配列状態としては、例えば、透明基板に対してメソゲンが平行となるように、かつ平均配向方向が面内の特定の方向に配向した状態や、透明基板に対して液晶材料が垂直に配向した状態を挙げることができる。前者の液晶構造はホモジニアス構造(平行配向構造)と称され、このような構造を有することにより、本発明に用いられる位相差フィルムに光学的にAプレートとしての性質を付与することができる。また、後者の液晶構造はホメオトロピック構造(垂直配向構造)と称され、このような構造を有することにより、本発明の位相差フィルムに光学的に正のCプレートとしての性質を付与することができる。
さらに、メソゲンを透明基板に対して傾斜した方向に配向させることができ、位相差の特定方向での傾斜角依存性が法線方向に対して非対称とすることもできる。
本発明に用いられる位相差層の構成としては、本発明の位相差フィルムの用途等に応じて、所望の位相差性を発現できるものであれば特に限定されるものではない。したがって、本発明に用いられる位相差層は、単一層からなる構成を有するものであっても良く、または、複数の層が積層された構成を有するものであっても良い。
なお、従来の配向層を用いる位相差フィルムにおいては配向層の配向規制力により位相差層に含まれる液晶材料を配列させていたため、位相差層を複数の層が積層された構成にすることが困難であったが、本発明の位相差フィルムは、配向層を用いることなく、所望の位相差性を発現する位相差層が形成されているものであるため、複数の位相差層が積層された構成も容易に実現できるという利点を有している。
本発明における位相差層の厚みは、上記架橋性液晶材料の架橋物や上記光反応性化合物の反応物の種類等に応じて、本発明に用いられる位相差フィルムに所望の光学特性を付与できる範囲内であれば特に限定されない。なかでも本発明においては、0.5μm〜10μmの範囲内であることが好ましく、特に0.5μm〜5μmの範囲内であることが好ましく、さらには0.8μm〜3μmの範囲内であることが好ましい。
ここで、上記位相差層が複数の層が積層された構成を有するものである場合、上記厚みは、すべての層の厚みの総和を意味するものとする。
本発明における位相差層は位相差性を示すものであるが、このような位相差性は、本発明の位相差フィルムの用途等に応じて任意に調整することができる。なかでも本発明用いられる位相差層はλ/4板としての性質、または、λ/2板としての性質を有することが好ましい。
ここで、上記「λ/4板としての性質を有する」とは、通常、位相差層のReが、入射光の波長の1/4の値を示すことを意味するものであるが、なかでも本発明における位相差層は、波長550nmにおけるReが120nm〜150nmの範囲内であることが好ましい。
また、上記「λ/2板としての性質を有する」とは、通常、位相差層のReが、入射光の波長の1/2の値を示すことを意味するものであるが、なかでも本発明における位相差層は、波長550nmにおけるReが250nm〜300nmの範囲内であることが好ましい。
ここで、上記Reとは、上記位相差層の進相軸方向(屈折率が最も小さい方向)の屈折率Nx、および、遅相軸方向(屈折率が最も大きい方向)の屈折率Nyと、上記位相差層の厚みdとにより、Re=(Nx−Ny)×dの式で表される値であり、自動複屈折測定装置(王子計測機器株式会社製、商品名:KOBRA−21ADH)により測定することができる。
また、本発明に用いられる位相差層のReは、Reが既知の基材上に、位相差層を形成し、上記の方法に従って当該基材および位相差層の積層体のReを測定した後、当該測定値から上記基材のReを差し引くことによって求めることができる。
2.透明基板
次に、本発明に用いられる透明基板について説明する。本発明に用いられる透明基板は、透明性を有するものであり、上記位相差層を支持する機能を有するものである。
本発明に用いられる透明基板の透明度は、本発明の位相差フィルムに求める透明性等に応じて任意に決定すればよいが、通常、可視光領域における透過率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。透過率が上記範囲であることにより、例えば、本発明の位相差フィルムを液晶表示装置の視野角補償フィルムとして用いた場合に、液晶表示装置の表示輝度が低下すること等を防止することができるからである。
ここで、透明基板の透過率は、JIS K7361−1(プラスチックー透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
本発明に用いられる透明基板は、上記透明性を具備するものであれば、可撓性を有するフレキシブル材でも、ガラス基板等の可撓性のないリジッド材でも用いることもできる。なかでも本発明においてはフレキシブル材を用いることが好ましい。フレキシブル材を用いることにより、本発明の位相差フィルムの製造工程をRoll to Rollプロセスとすることが可能になるため、生産性に優れた位相差フィルムを得ることができるからである。
本発明に用いられる透明基板は、光学的等方性基板でも、透明基板自体が位相差性を有する基板であってもよい。ここで光学的等方性基板とは、Reが10nmであり、かつ、Rthが40nm以下である透明基板を意味するものとする。なかでも本発明に用いられる光学的等方性基板は、Reが5nm以下であること好ましい。また、Rthは20nm以下であることが好ましい。
ここで、上記ReとRthそれぞれ下記式で定義される。
Re=(nx−ny)×d
Rth=[{(nx+ny)/2}−nz]×d
式中、nxおよびnyは、透明支持体の面内屈折率であり、nzは透明支持体の厚み方向の屈折率であり、そしてdは透明支持体の厚さである。
透明基板自体が位相差性を有する場合、本発明の位相差フィルムに所望の屈折率異方性を付与できるものであれば特に限定されない。なかでも本発明においては、λ/4板としての性質、または、λ/2板としての性質を有することが好ましい。なお、λ/4板としての性質、または、λ/2板としての性質について上述した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
上記光学的等方性の基板を構成する材料としては、セルロース誘導体、ノルボルネン系ポリマー、シクロオレフィン系ポリマー、ポリカーボネート、ポリエステル類などを例示することができる。なかでも本発明においては上記材料としてセルロース誘導体またはシクロオレフィン系ポリマーを用いることが好ましい。セルロース誘導体は特に光学的等方性に優れるからである。また、シクロオレフィン系ポリマーは耐久性に優れるからである。他の位相差性を有する透明基板と組み合わせて用いる場合には、透明基板として、延伸などの配向処理施されたポリマーフィルムを用いてもよい。配向処理が施された高分子フィルムには、例えば、ポリカーボネート系ポリマーやシクロオレフィン系ポリマーなどからなるフィルムの一軸延伸又は二軸延伸フィルム、トリアセチルセルロースのようなセルロース系ポリマーなどからなる面配向キャストフィルムが挙げられる。
上記セルロース誘導体としては、セルロースエステルを用いることが好ましく、さらに、セルロースエステル類のなかでも、セルロースアシレート類を用いることが好ましい。セルロースアシレート類は工業的に広く用いられていることから、入手容易性の点において有利だからである。
上記セルロースアシレート類としては、炭素数2〜4の低級脂肪酸エステルが好ましい。このような低級脂肪酸エステルとしては、例えばセルロースアセテートのように、単一の低級脂肪酸エステルのみを含むものでもよく、また、例えばセルロースアセテートブチレートやセルロースアセテートプロピオネートのような複数の脂肪酸エステルを含むものであっても良い。
本発明においては、上記低級脂肪酸エステルのなかでもセルロースアセテートを特に好適に用いることができる。また、セルロースアセテートとしては、平均酢化度が57.5〜62.5%(置換度:2.6〜3.0)のトリアセチルセルロースを用いることが最も好ましい。ここで、酢化度とは、セルロース単位質量当りの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験方法)におけるアセチル化度の測定および計算により求めることができる。なお、トリアセチルセルロースフィルムを構成するトリアセチルセルロースの酢化度は、フィルム中に含まれる可塑剤等の不純物を除去した後、上記の方法により求めることができる。
一方上記シクロオレフィン系ポリマーとは、例えば、ノルボルネンや多環ノルボルネン系モノマーのような、環状オレフィン(シクロオレフィン)からなるモノマーのユニットを有するポリマーである。シクロオレフィン系ポリマーでは分子設計により、ガラス転移点や吸水率を好ましい範囲に制御でき、良好な耐熱性と適度な吸水性を満たすことができる。シクロオレフィン系ポリマーの23℃における飽和吸水率が1重量%以下であると、吸水による光学特性の変化や寸法変化をおこしづらいため光学フィルムとして好ましい。
また、耐熱性と加工適性の点でガラス転移温度が100℃〜200℃のシクロオレフィン系ポリマーであることが好ましい。
ここで、上記飽和吸水率はASTMD570に準拠し、23℃水中で1週間浸漬して増加重量を測定することにより得られる値である。
市販のシクロオレフィン系ポリマーとしては、例えば、ドイツのTicona社から販売されている「Topas」、ジェイエスアール(株)から販売されている「アートン」、日本ゼオン(株)から販売されている「ZEONOR」や「ZEONEX」、三井化学(株)から販売されている「アペル」などがある。このようなシクロオレフィン系樹脂を製膜してフィルムとすることになるが、製膜には、溶剤キャスト法、溶融押出法など、公知の方法が適宜用いられる。製膜されたシクロオレフィン系樹脂フィルムも市販されている。
本発明に用いられる透明基板の厚みは、本発明の位相差フィルムの用途等に応じて、必要な自己支持性を備えることができる範囲内であれば特に限定されない。なかでも本発明においては25μm〜1000μmの範囲内がであること好ましく、特に30μm〜100μmの範囲内がであることが好ましい。透明基板の厚みが上記の範囲よりも薄いと、本発明の位相差フィルムに必要な自己支持性を付与することができない場合があるからである。また、厚みが上記の範囲よりも厚いと、例えば、本発明の位相差フィルムを裁断加工する際に、加工屑が増加したり、裁断刃の磨耗が早くなってしまう場合があるからである。
本発明における透明基板の構成は、単一の層からなる構成に限られるものではなく、複数の層が積層された構成を有してもよい。複数の層が積層された構成を有する場合は、同一組成の層が積層されてもよく、また、異なった組成を有する複数の層が積層されても良い。
3.その他の層
本発明に用いられる位相差フィルムは、上記透明基板および位相差層以外の他の構成を有していても良い。このような他の構成としては、上記位相差層と上記透明基板との間に形成され、透明基板上に位相差層を形成する際に、上記透明基板に含まれる添加剤が上記位相差層に移動することを抑制する遮蔽層を挙げることができる。本発明に用いられる遮蔽層としては、遮蔽性、及び本発明の位相差層との密着性の点で、紫外線及び/又は電子線硬化性樹脂が紫外線又は電子線により硬化された層であることが好ましい。紫外線及び/電子線硬化性樹脂は、重合可能なビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基、イソペニル基、エポキシ基、オキセタニル基等の重合性基を二つ以上有するもので、紫外線又は電子線の照射により架橋構造または網目構造を形成するものが好ましい。(メタ)アクリロイル基、又はエポキシ基が重合速度、反応性の面から好ましく多官能モノマーまたはオリゴマーが好ましい。例として、紫外線硬化型のポリオールアクリレート類、エポキシアクリレート類、ウレタンアクリレート類、ポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂が挙げられる。これらは通常公知の光重合開始剤と共に使用される。塗布乾燥後に揮発する溶媒成分を除いた紫外線及び/および又は電子線硬化性樹脂組成物に含まれる光重合開始剤または光増感剤は該組成物の0.5〜5質量%であることが好ましい。
4.位相差フィルム
本発明の位相差フィルムが示す位相差性は、本発明の位相差フィルムの用途等に応じて適宜決定することができるが、なかでも本発明の位相差フィルムは、λ/4板としての性質、または、λ/2板としての性質を有することが好ましい。
上記「λ/4板としての性質を有する」とは、通常、本発明の位相差フィルムReが、入射光の波長の1/4の値を示すことを意味するものであるが、なかでも本発明の位相差フィルムは、波長550nmにおけるReが120nm〜150nmの範囲内であることが好ましい。
また、上記「λ/2板としての性質を有する」とは、通常、本発明の位相差フィルムのReが、入射光の波長の1/2の値を示すことを意味するものであるが、なかでも本発明の位相差フィルムは、波長550nmにおけるReが250nm〜300nmの範囲内であることが好ましい。
なお、上記Reの定義および測定方法については上記「1.位相差層」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
また、本発明の位相差フィルムのReの波長分散は、波長が短くなるほどRe値が小さくなる逆分散型であっても良く、波長が短くなるほどRe値が大きくなる正分散型であっても良く、または、Re値に波長依存性を有さないフラット型であっても良い。
本発明の位相差フィルムの形態は特に限定されるものではなく、例えば、本発明の位相差フィルムを用いる液晶表示装置の画面サイズに合致したシート状であっても良く、または、長尺状であっても良い。
5.位相差フィルムの用途
本発明の位相差フィルムの用途としては特に限定されるものではなく、上記位相差層が示す位相差性を任意に制御することにより、種々の用途に用いることが可能である。このような用途としては、例えば、液晶表示装置に用いられる光学補償フィルム(例えば、視野角補償フィルム)、楕円偏光板、円偏光板、輝度向上板等を挙げることができる。なかでも本発明の位相差フィルムは、液晶表示装置の視野角依存性改善のための光学補償フィルムとして好適に用いることができる。
6.位相差フィルムの製造方法
本発明の位相差フィルムの製造方法としては、上記構成を有する位相差フィルムを製造できる方法であれば特に限定されるものではない。このような方法としては、例えば、後述する「C.位相差フィルムの製造方法」の項に記載する方法を挙げることができる。
C.位相差フィルムの製造方法
次に、本発明の位相差フィルムの製造方法について説明する。本発明の位相差フィルムの製造方法は、透明基板を用い、上記本発明の紫外線硬化性組成物を塗工することにより、位相差層形成用層を形成する位相差層形成用層形成工程と、上記位相差層形成用層に紫外線を照射し、上記光反応性化合物を反応させることによって上記位相差層形成用層に上記架橋性液晶材料に対する配向性を発現させる配向性付与工程と、上記配向性付与工程により発現された配向性に従って、上記架橋性液晶材料を配列させる液晶配列工程と、上記液晶配列工程により配列された架橋性液晶材料を架橋させる液晶架橋工程と、により、上記透明基板上に位相差層を形成する位相差層形成工程を有することを特徴とするものである。
このような本発明の位相差フィルムの製造方法について図を参照しながら説明する。図2は本発明の位相差フィルムの製造方法の一例を示す概略図である。図2に例示するように、本発明の位相差フィルムの製造方法は、透明基板1を用い(図2(a))、上記透明基板1上に紫外線硬化性組成物を塗工することにより、上記透明基板1上に位相差層形成用層2’を形成する位相差層形成用層形成工程(図2(b))と、上記位相差層形成用層2’に特定の紫外線を照射し、上記位相差層形成用層2’に含有される光反応性化合物を反応させることによって上記位相差層形成用層2’に、上記位相差層形成用層2’に含有される上記架橋性液晶材料に対する配向性を発現させる配向性付与工程(図2(c))と、上記配向性付与工程により発現された配向性に従って、上記架橋性液晶材料を配列させる液晶配列工程(図2(d))と、上記液晶配列工程により配列された架橋性液晶材料を架橋させる液晶架橋工程(図2(e))と、により、上記透明基板1上に位相差層2を形成する位相差層形成工程を有することを特徴とするものである。
このような例において、本発明の位相差フィルムの製造方法は、上記紫外線硬化性組成物20として、上記本発明に係る紫外線硬化性組成物を用いることを特徴とするものである。
本発明によれば、上記紫外線硬化性組成物として上記本発明に係る紫外線硬化性組成物を用いることにより、配向層を用いることなくヘイズの小さい位相差層を形成することができる。このため、本発明によれば透明性に優れた位相差フィルムを製造することができる。
また、本発明によれば配向層を形成する工程を省略することができるため、簡易的に透明性に優れた位相差フィルムを製造することができる。
本発明の位相差フィルムの製造方法は、上記位相差層形成工程を有するものであり、必要に応じて他の工程を有するものである。以下、このような本発明の位相差フィルムを構成する各工程について順に説明する。
1.位相差層形成工程
まず、本発明に用いられる位相差層形成工程について説明する。本工程は、透明基板を用い、上記本発明の紫外線硬化性組成物を塗工することにより、位相差層形成用層を形成する位相差層形成用層形成工程と、上記位相差層形成用層に偏光を照射し、上記光反応性化合物を反応させることによって上記位相差層形成用層に上記架橋性液晶材料に対する配向性を発現させる配向性付与工程と、上記配向性付与工程により発現された配向性に従って、上記架橋性液晶材料を配列させる液晶配列工程と、上記液晶配列工程により配列された架橋性液晶材料を架橋させる液晶架橋工程と、により、上記透明基板上に位相差層を形成する工程である。
以下、本工程を構成する上記各工程について詳細に説明する。
(1)位相差層形成用層形成工程
まず、上記位相差層形成用層形成工程について説明する。本工程は、透明基板を用い、透明基板を用い、上記透明基板上に紫外線硬化性組成物を塗工することにより位相差層形成用層を形成する工程であり、上記紫外線硬化性組成物として、上記本発明に係る紫外線硬化性組成物を用いることを特徴とするものである。
本発明は、本工程において上記本発明に係る紫外線硬化性組成物を用いることにより、配向層を用いることなくヘイズの小さい位相差層を形成することができるのである。
本工程において、上記紫外線硬化性組成物を透明基板上に塗工する塗布方式としては、上記紫外線硬化性組成物の組成等に応じて、所望の平面性を備える位相差層形成用層を形成できる方法であれば特に限定されるものではない。このような塗布方としては、例えば、グラビアコート法、リバースコート法、ナイフコート法、ディップコート法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、ロールコート法、プリント法、カーテンコート法、ダイコート法、キャスティング法、バーコート法、エクストルージョンコート法、E型塗布方法などを例示することができる。
上記紫外線硬化性組成物の塗膜の厚みは、本工程に用いられる紫外線硬化性組成物に含有される架橋性液晶材料の種類等に応じて、本発明により所望の位相差性を発現できる位相差フィルムを製造できる範囲内であれば特に限定されない。なかでも、本工程においては、通常、0.1μm〜50μmの範囲内が好ましく、特に0.5μm〜30μmの範囲内が好ましく、なかでも0.5μm〜10μmの範囲内が好ましい。
上記紫外線硬化性組成物として溶媒を含有するものを用いる場合における塗膜の乾燥方法としては、例えば、加熱乾燥方法、減圧乾燥方法、ギャップ乾燥方法等、一般的に用いられる乾燥方法を用いることができる。また、本発明における乾燥方法は、単一の方法に限られず、例えば残留する溶媒量に応じて順次乾燥方式を変化させる等の態様により、複数の乾燥方式を採用してもよい。
なお、本発明において上記加熱乾燥方法を用いる場合は、上記紫外線硬化性組成物中に含有される架橋性液晶材料の液晶性発現温度未満の温度で乾燥することが好ましい。
なお、本工程に用いられる紫外線硬化性組成物については、上記「A.紫外線硬化性組成物」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
(2)配向性付与工程
次に、上記配向性付与工程について説明する。本工程は、上記位相差層形成用層形成工程において形成された上記位相差層形成用層に特定の紫外線を照射し、上記位相差層形成用層に含有される光反応性化合物を反応させることによって、上記位相差層形成用層に、上記位相差層形成用層形成工程に含有されている上記架橋性液晶材料に対する配向性を付与する工程である。
本工程においては、上記位相差層形成用層に照射される偏光の振動方向と平行な方向に沿って、上記光反応性化合物の反応物が形成されることから、上記偏光の振動方向と平行な方向に上記架橋性液晶材料に対する配向規制力が発現されることになる。
本工程において、上記位相差層形成用層に照射される紫外線としては、波長が上記光反応性化合物が有する光反応性基の光反応を生じることができる範囲内、かつ、上記架橋性液晶材料が有する架橋性官能基の架橋形成反応を生じにくい範囲内であれば特に限定されるものではなく、上記光反応性基および上記架橋性官能基の種類に応じて適宜選択して用いることができる。
本工程において上記位相差層形成用層に紫外線を照射する方法としては、上記位相差層形成用層に所望の振動方向の偏光を照射できる方法であれば特に限定されるものではない。このような方法としては、通常、上記波長を有する光を発振する光源を用い、上記光源から発振された光を偏光子を通して上記位相差層形成用層に照射する方法が用いられる。このとき、上記位相差層形成用層に照射される偏光の振動方向は、上記偏光子の吸収軸の方向を変更することにより変化させることができる。
上記偏光子としては、例えば、グラントムソンプリズム、グランテーラープリズム、二色性色素を含有する偏光フィルム、ブルースタープレート偏光子、ワイヤーグリッド偏光子等を挙げることができる。
また、上記光源としては、超高圧水銀灯、中圧水銀灯、キセノン灯、ハロゲンランプ、DeepUVランプ、蛍光灯等を挙げることができる。
さらに、本工程において上記位相差層形成用層に偏光を照射する際には必要に応じて、特定波長の紫外線を遮蔽するUVカットフィルターを用いても良い。このようなUVカットフィルターを用いることにより、例えば、上記光反応性化合物の反応が阻害されることを防止したり、または、本工程において上記架橋性液晶材料の架橋形成反応が進行してしまうことを防止できるからである。このようなUVカットフィルターとしては、例えば、上記光反応性化合物の反応が阻害されることを防止するために用いられるものとして、SCHOTT製WG280を挙げることができる。また、上記架橋性液晶材料の架橋形成反応が進行してしまうことを防止する態様としては、例えば、最大吸収波長が270nm〜310nmの光反応性化合物を使用する場合に、325nm〜350nmの紫外線を遮蔽するUVカットフィルター(朝日分光社製:SU0325、SU0350)を用いる態様を挙げることができる。
本工程において上記位相差層形成用層に紫外線を照射する際の温度は、上記架橋性液晶材料が非液晶性温度であることが好ましい。ここで、非液晶性温度は、通常、液晶性を発現する温度未満、または、液晶−等方性遷移温度よりも高い温度を意味するものであるが、本発明においては、上記液晶性を発現する温度未満であることが好ましい。
また、本工程に用いられる紫外線の照射法は、所望の位相差性によって適宜決定される。基板面に上記架橋性液晶材料のメソゲンが平行で、かつ平均配向方向がフィルム面内の特定の方向となるように配向させて、面内位相差を発現し、かつ位相差の傾斜角依存性が法線方向に対して対称である光学的に正の一軸性又は正の二軸性を有する複屈折フィルムを得るには、フィルム法線方向から前記特定の方向に電場ベクトルがある偏光紫外線を照射する。
また、偏光紫外線を斜め方向から照射した場合には、偏光軸が法線と照射軸を含む面内にあるようにすることで、上記架橋性液晶材料のメソゲンの平均配向方向が紫外線進行方向に垂直な面内で偏光軸に平行な方向となるため、光学的に正の一軸性又は二軸性を有し、光学主軸のうち、最も屈折率が大きい軸が法線方向から傾斜している位相差層とすることができる。この場合、透明基板や空気との界面相互作用などによっては、厚み方向で傾斜角度が一様ではなく、配向が連続的に変化したハイブリッド配向になることもある。
さらに、無偏光紫外線を斜め方向から照射した場合には、上記架橋性液晶材料のメソゲンの平均配向方向は紫外線進行方向に垂直な面に平行で、その面内ではランダムとなるため、光学的に負の一軸性を有し、光学軸が法線方向から傾斜している位相差層となる。偏光紫外線の場合と同様に、透明基板や空気との界面相互作用などによっては、ハイブリッド配向になることもある。
(3)液晶配列工程
次に、上記液晶配列工程について説明する。本工程は、上記配向性付与工程により発現された配向性に従って、上記位相差層形成用層に含有される架橋性液晶材料を配列させる工程である。
本工程において、上記架橋性液晶材料を配列させる方法としては、上記架橋性液晶材料の種類等に応じて上記配向性に従って上記架橋性液晶材料を配列できる方法であれば特に限定されるものではない。このような方法としては、通常、上記位相差層形成用層を上記架橋性液晶材料が液晶性を発現する温度以上であり、かつ、液晶−等方性遷移温度未満の温度に加温する方法が好適に用いられる。
(4)液晶架橋工程
次に、上記液晶架橋工程について説明する。本工程は、上記液晶配列工程により配列された架橋性液晶材料を架橋させる工程である。
本工程において、上記架橋性液晶材料を架橋させる方法としては、上記架橋性液晶材料が有する架橋性官能基の架橋形成反応を生じさせることができる方法であれば特に限定されるものではなく、上記架橋性液晶材料が有する架橋性官能基の種類に応じた方法が用いられる。このような方法としては、例えば、架橋性液晶材料として、紫外線重合性官能基を有するものが用いられている場合においては、上記紫外線重合性官能基の重合反応を所持させることができる波長の紫外線を、上記位相差層形成用層に照射する方法が用いられる。なお、このような紫外線を照射する方法が用いられる場合、上記架橋性液晶材料を反応させる紫外線は反応性が高いという観点から、通常、非偏光紫外線が用いられる。
(5)その他
本発明の位相差フィルムの製造方法は、複数の位相差層形成工程を有するものであっても良い。このように複数の位相差層形成工程を有するものであることにより、本発明の位相差フィルムの製造方法により、複数の層が積層された位相差層を有する位相差フィルムを製造することができる。
2.位相差フィルムの製造方法
本発明の位相差フィルムの製造方法は、上記位相差層形成工程以外に、他の工程を有するものであっても良い。このような他の工程としては、本発明の位相差フィルムの製造方法により製造される位相差フィルムの用途等に応じて、任意の工程を用いることができる。本発明に用いられる上記他の工程としては、例えば、上記位相差層形成工程前に、上記位相差層形成工程に用いられる透明基板上に、遮蔽層を形成する遮蔽層形成工程等を例示することができる。
3.位相差フィルム
本発明により製造される位相差フィルムは、透明基板と、上記透明基板上に形成された位相差層とを有するものとなる。このような本発明により製造される位相差フィルムについては、上記「B.位相差フィルム」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
次に、実施例を示すことにより本発明についてさらに具体的に説明する。
(合成例1)
ポリ〔1−〔6−〔4−〔2−メトキシ−4−〔(E)−2−メトキシカルボニルビニル〕フェノキシカルボニル〕フェノキシ〕ヘキシルオキシカルボニル〕−1−メチルエチレン〕(下記式A)の合成
Figure 2007297606
1−〔6−〔4−〔2−メトキシ−4−〔(E)−2−メトキシカルボニルビニル〕フェノキシカルボニル〕フェノキシ〕ヘキシルオキシカルボニル〕−1−メチルエチレン4.91質量部、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル0.018質量部を脱水テトラヒドロフラン28質量部に溶解した。窒素雰囲気下、65℃で25時間加熱した。得られた反応溶液を800mlのメタノールに滴下し、沈降物をろ過し、減圧乾燥を行った。得られた固体をクロロホルム5質量部に溶解し、その溶液をメタノール1Lに滴下し、沈降物をろ過後、減圧乾燥を行った。重量平均分子量116000(GPC:溶媒THF、ポリスチレン換算)であるポリ〔1−〔6−〔4−〔2−メトキシ−4−〔(E)−2−メトキシカルボニルビニル〕フェノキシカルボニル〕フェノキシ〕ヘキシルオキシカルボニル〕−1−メチルエチレン〕3.6質量部が得られた。
(合成例2)
ポリ[7-{[4−(6−メタクリロイルオキシ)ヘキシロキシ]ベンゾイルオキシ}クマリン](下記式B)の合成
Figure 2007297606
Chem.Mater.,Vol.13,No.2,2001,694−703に記載の方法と同様に合成し、7-{[4−(6−メタクリロイルオキシ)ヘキシロキシ]ベンゾイルオキシ}クマリンを得た。
7-{[4−(6−メタクリロイルオキシ)ヘキシロキシ]ベンゾイルオキシ}クマリン1.1質量部、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル0.04質量部、メルカプトプロピオン酸0.06質量部を脱水テトラヒドロフラン7質量部に溶解した。窒素雰囲気下、65℃で19時間加熱した。得られた反応溶液をメタノール600mlに滴下し、沈降物をろ過、メタノールで洗浄後、室温で減圧乾燥を行った。得られた固体にメチルエチルケトン15gを添加、攪拌後、ろ過によりメチルエチルケトンに不溶な部分は除去した。メチルエチルケトン溶液をメタノール800mlに滴下し、沈降物をろ過、減圧乾燥を行った。重量平均分子量5100(GPC:溶媒THF、ポリスチレン換算)であるポリ[7-{[4−(6−メタクリロイルオキシ)ヘキシロキシ]ベンゾイルオキシ}クマリン]0.25質量部が得られた。
(合成例3) 比較例用ポリマー
ポリ〔1−〔2−〔4−〔(E)−2−メトキシカルボニルビニル〕フェノキシ〕エトキシカルボニル〕−1−メチルエチレン〕(下記式C)の合成
Figure 2007297606
1−〔2−〔4−〔(E)−2−メトキシカルボニルビニル〕フェノキシ〕エトキシカルボニル〕−1−メチルエチレン2.9質量部、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル0.041質量部を脱水テトラヒドロフラン17質量部に溶解した。窒素雰囲気下、60℃で3時間加熱した。反応溶液を室温に戻した後800mlのメタノールに滴下し、沈降物をろ過、減圧乾燥を行った。得られた固体をクロロホルム5質量部に溶解し、その溶液をメタノール1Lに滴下し、沈降物をろ過後、減圧乾燥を行った。重量平均分子量41000(GPC:溶媒THF、ポリスチレン換算)のポリ〔1−〔2−〔4−〔(E)−2−メトキシカルボニルビニル〕フェノキシ〕エトキシカルボニル〕−1−メチルエチレン〕0.94質量部を得た。
(合成例4) 比較例用ポリマー
ポリ[7-(2−メタクリロイルオキシエトキシ)クマリン](下記式D)の合成
Chem.Mater.,Vol.11,No.3,1999,656−664に記載の方法と同様に合成し、7-(2−メタクリロイルオキシエトキシ)クマリンを得た。
7-(2−メタクリロイルオキシエトキシ)クマリン4.1質量部、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル0.061質量部をジメチルホルムアミド25質量部に溶解した。窒素雰囲気下、60℃で6時間加熱した。反応溶液を室温に戻した後800mlのメタノールに滴下し、沈降物をろ過、減圧乾燥を行った。得られた固体をクロロホルム5質量部に溶解し、その溶液をメタノール1Lに滴下し、沈降物をろ過後、減圧乾燥を行った。重量平均分子量336000(GPC:溶媒N−メチルピロリジノン、ポリスチレン換算)のポリ[7-(2−メタクリロイルオキシエトキシ)クマリン]1.43質量部を得た。
Figure 2007297606
(合成例5)
ポリ〔1−〔8−〔4−〔2−メトキシ−4−〔(E)−2−メトキシカルボニルビニル〕フェノキシカルボニル〕フェノキシ〕オクチルオキシカルボニル〕−1−メチルエチレン〕(下記式A’)の合成
Figure 2007297606
p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル 5.46質量部、 8−ブロモ−1−オクタノール 4.8質量部、及び炭酸カリウム 4.52質量部をN,N´−ジメチルホルムアミド55mlに加えた。90℃にて24時間、加熱攪拌した。その反応液に水を加えて無機物を溶解させた。ジエチルエーテル270mlで抽出後、ジエチルエーテル層を2規定の水酸化ナトリウム水溶液で洗浄した。次いで、水洗を2回行い、油層を硫酸マグネシウムで脱水後、減圧乾燥し黄色粘ちょう液を得た。この黄色粘ちょう液7.5質量部、シクロヘキセン120ml、エタノール160mlの混合溶液に水酸化パラジウム/炭素粉末(20%パラジウム)1.4質量部を除々に加えた。この混合液を73℃で22時間加熱した後、ゼオライトを加えてろ過し、ろ液を濃縮することにより結晶を得た。エタノールを用いて再結晶精製を行い、4.75質量部の4−(8−ヒドロキシオクチルオキシ)安息香酸を得た(収率81.9%)。
4−(8−ヒドロキシオクチルオキシ)安息香酸4.75質量部、メタクリル酸16.68質量部、p−トルエンスルホン酸0.65質量部、ハイドロキノン0.65質量部をトルエン65mlに添加した。この混合液を106℃で40時間加熱した後、反応液を減圧濃縮した。析出した褐色結晶をジエチルエーテルに溶解し、水洗を二回行い、ジエチルエーテル層を硫酸マグネシウムで脱水後、減圧濃縮し、少量のアセトンを加えた後、水を添加すると灰白色晶が析出した。その灰白色晶をろ取し、水洗し、さらにエタノールから再結晶を行い、4.94質量部の4−[8−(2−メチルアクリロイルオキシ)オクチルオキシ]安息香酸を得た。(収率82.7%)
4−[8−(2−メチルアクリロイルオキシ)オクチルオキシ]安息香酸 4.94質量部、1―エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩 8.4質量部をジクロロメタン102mlに溶解した。この溶液にトリエチルアミン6.12mlを加え、さらにメチル−4−ヒドロキシ−3−メトキシシンナメート 3.88質量部、ジブチルヒドロキシトルエン 1.02質量部を加えて室温にて3日間攪拌した。反応液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄後、5%塩酸で洗浄した。ジクロロメタン抽出液を硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。得られた黄色オイル状物質をクロロホルム/酢酸エチル(10:1)によるシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーで精製した。2−メトキシ−4−〔(E)−2−メトキシカルボニルビニル〕フェニル−4−〔8−(2−メチルアクリロイルオキシ)オクチルオキシ〕ベンゾエート 2.63質量部が白色結晶として得られた(融点:60℃)。
2−メトキシ−4−〔(E)−2−メトキシカルボニルビニル〕フェニル‐4−〔8−(2−メチルアクリロイルオキシ)オクチルオキシ〕ベンゾエート2.6質量部(5ミリモル)及び2,2′−アゾ−ビス−イソブチロニトリル0.008質量部(0.05ミリモル)をテトラヒドロフラン(THF)10mlに溶解した。この溶液にアルゴンを30分間通気した。次いで、55℃に加熱した。24時間後、容器を開放し、溶液をTHF8mlで希釈し、攪拌しつつ、メタノール1.6リットルに室温で滴加した。分離した重合体を濾取し、室温で減圧乾燥した。更に精製するため、重合体をTHF25mlに溶解し、メタノール1.75リットル中で再び沈澱させた。沈降物をろ過後、減圧乾燥を行った。重量平均分子量310000(GPC:溶媒THF、ポリスチレン換算)であるポリ〔1−〔8−〔4−〔2−メトキシ−4−〔(E)−2−メトキシカルボニルビニル〕フェノキシカルボニル〕フェノキシ〕オクチルオキシカルボニル〕−1−メチルエチレン〕2.0質量部が得られた。
[実施例1]
(遮蔽層の作製)
ペンタエリスリトールトリアクリレート(PET−30、日本化薬製)40質量部、光重合開始剤イルガキュア184(チバスペシャリティーケミカルズ製)2質量部、メチルエチルケトン29質量部、トルエン58質量部からなる溶液を、トリアセチルセルロースフィルム(FT−T80UZ、富士写真フィルム社製)上にバーコートし、80℃で3分間乾燥後、UV照射装置(フュージョンUVシステムズジャパン(株)製、光源:Hバルブ)を用いて窒素雰囲気下70mJ/cmの紫外線を照射して膜厚1μmの遮蔽層を作製した。
(紫外線硬化性組成物の調製)
光反応性化合物: ポリ〔1−〔6−〔4−〔2−メトキシ−4−〔(E)−2−メトキシカルボニルビニル〕フェノキシカルボニル〕フェノキシ〕ヘキシルオキシカルボニル〕−1−メチルエチレン〕(合成例1の化合物)2質量部、下記式(E)で表される架橋性液晶材料8質量部、光重合開始剤:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン(商品名IRGACURE184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)0.004質量部をメチルエチルケトンに溶解し、固形分10%溶液として、紫外線硬化性組成物を調製した。
Figure 2007297606
(位相差層の形成)
上記溶液を前記工程で作製した遮蔽層上にワイヤーバーにて塗工し、30℃で3分間加熱乾燥した。
500WのDeepUVランプによる紫外線照射装置にカットフィルターとしてショット製WG280と朝日分光製SU0325を配置して波長制限し、さらにワイヤーグリッド偏光板を透過させることにより偏光紫外線とした。前記、紫外線硬化性組成物が塗布された膜に対し、膜に対し垂直方向から偏光紫外線を8mJ/cm大気中で照射した。ここで偏光紫外線強度はセンサーS−310(測定範囲280〜360nm)を用いてUV RADIO METER UVR−400A(アズワン株式会社製)で測定した。
偏光紫外線を照射後、オーブンにて100℃3分間加熱して液晶を配向させた後、窒素雰囲気下120mJ/cm非偏光紫外線を照射して塗膜を硬化させた。これにより、配列した液晶が固定化され、位相差フィルムが製造した。 この位相差層の膜厚は0.8μmであった。
[実施例2]
光反応性化合物をポリ〔1−〔6−〔4−〔4−〔(E)−2−メトキシカルボニルビニル〕フェノキシカルボニル〕フェノキシ〕ヘキシルオキシカルボニル〕−1−メチルエチレン〕から、合成例2のポリ[7-{[4−(6−メタクリロイルオキシ)ヘキシロキシ]ベンゾイルオキシ}クマリン]へ変更し、偏光紫外線照射後のオーブンでの加熱を100℃3分間から70℃3分間に変更する以外は実施例1と同様にして位相差フィルムを作製した。この位相差層の膜厚は0.8μmであった。
[比較例1]
光反応性化合物をポリ〔1−〔6−〔4−〔4−〔(E)−2−メトキシカルボニルビニル〕フェノキシカルボニル〕フェノキシ〕ヘキシルオキシカルボニル〕−1−メチルエチレン〕から、合成例3のポリ〔1−〔2−〔4−〔(E)−2−メトキシカルボニルビニル〕フェノキシ〕エトキシカルボニル〕−1−メチルエチレン〕に変更する以外は実施例1と同様にして位相差フィルムを作製した。この位相差層の膜厚は0.8μmであった。
[比較例2]
光反応性化合物をポリ〔1−〔6−〔4−〔4−〔(E)−2−メトキシカルボニルビニル〕フェノキシカルボニル〕フェノキシ〕ヘキシルオキシカルボニル〕−1−メチルエチレン〕から、合成例4のポリ[7-(2−メタクリロイルオキシエトキシ)クマリン]に変更、溶媒をメチルエチルケトンからシクロペンタノンへ変更、遮蔽層上にワイヤーバーでコート後の乾燥条件を30℃3分から室温での減圧乾燥に変更する以外は実施例1と同様にして位相差フィルムを作製した。この位相差層の膜厚は0.8μmであった。
[実施例3]
光反応性化合物をポリ〔1−〔6−〔4−〔4−〔(E)−2−メトキシカルボニルビニル〕フェノキシカルボニル〕フェノキシ〕ヘキシルオキシカルボニル〕−1−メチルエチレン〕2質量部から、合成例5のポリ〔1−〔8−〔4−〔2−メトキシ−4−〔(E)−2−メトキシカルボニルビニル〕フェノキシカルボニル〕フェノキシ〕オクチルオキシカルボニル〕−1−メチルエチレン〕3質量部へ変更し、架橋性液晶材料を上記式(E)で表される架橋性液晶材料8質量部から下記式(F)で表される架橋性液晶材料7質量部に変更する以外は実施例1と同様にして位相差フィルムを作製した。この位相差層の膜厚は0.8μmであった。
Figure 2007297606
[評価]
上記実施例及び比較例において作製した位相差フィルムについて、面内位相差測定と、ヘイズ値測定を行った。面内位相差は王子計測(株)製 KOBRA21DHを用いて、波長550nmにおける面内位相差を測定した。ヘイズ値は濁度計NDH2000(日本電色工業(株)社製)にて測定し、以下の基準で表1に示した。
○:ヘイズ値 3%未満 ×:ヘイズ値 3%以上
Figure 2007297606
本発明の位相差フィルムの一例を示す概略断面図である。 本発明の位相差フィルムの製造方法の一例を示す概略断面図である。 一般的な液晶表示装置の一部を模式的に示す概略図である。
符号の説明
10 … 位相差フィルム
1 … 透明基板
2 … 位相差層
2’… 位相差層形成用層

Claims (6)

  1. 架橋性官能基を有する架橋性液晶材料と、下記式(I)および(II)で表される光反応性基の少なくとも1つを有する光反応性化合物と、を含有することを特徴とする、紫外線硬化性組成物。
    Figure 2007297606
    (上記式(I)および(II)において、A、A、Aは、それぞれ独立に未置換、または任意にフッ素、塩素、シアノ、アルキル、アルコキシ、または、アルキルオキシカルボニルで置換された1,4−フェニレン、4,4’−ビフェニレン、1,4−ナフチレン、2,6−ナフチレン、ピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピペリジン−1,4−ジイル、または、ピペラジン−1,4−ジイルを表す。
    は、水素、炭素数1〜4のアルキル、または、炭素数1〜4のアルコキシを表す。
    は、水素、炭素数1〜4のアルキル、炭素数1〜4のアルコキシ、炭素数2〜6のアルキルオキシカルボニル、または、シアノを表す。
    は未置換または任意のフッ素、塩素で置換された炭素数1〜20のアルキルを表す。)
  2. 光重合開始剤および溶媒を含有することを特徴とする、請求項1に記載の紫外線硬化性組成物。
  3. 前記光反応性化合物の重量平均分子量が10万以下であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の紫外線硬化性組成物。
  4. 前記架橋性官能基がアクリロイル基であることを特徴とする、請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の紫外線硬化性組成物。
  5. 透明基板と、前記透明基板上に形成され、架橋性官能基を有する架橋性液晶材料の架橋物を含有する位相差層とを有する位相差フィルムであって、
    前記位相差層が、下記式(I)および(II)で表される光反応性基の少なくとも1つを有する光反応性化合物の反応物を含有することを特徴とする位相差フィルム。
    Figure 2007297606
    (上記式(I)および(II)において、A、A、Aは、それぞれ独立に未置換、または任意にフッ素、塩素、シアノ、アルキル、アルコキシ、または、アルキルオキシカルボニルで置換された1,4−フェニレン、4,4’−ビフェニレン、1,4−ナフチレン、2,6−ナフチレン、ピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピペリジン−1,4−ジイル、または、ピペラジン−1,4−ジイルを表す。
    は、水素、炭素数1〜4のアルキル、または、炭素数1〜4のアルコキシを表す。
    は、水素、炭素数1〜4のアルキル、炭素数1〜4のアルコキシ、炭素数2〜6のアルキルオキシカルボニル、または、シアノを表す。
    は未置換または任意のフッ素、塩素で置換された炭素数1〜20のアルキルを表す。)
  6. 透明基板を用い、前記透明基板上に請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の紫外線硬化性組成物を塗工することにより、位相差層形成用層を形成する位相差層形成用層形成工程と、
    前記位相差層形成用層に紫外線を照射し、前記光反応性化合物を反応させることによって前記位相差層形成用層に前記架橋性液晶材料に対する配向性を発現させる配向性付与工程と、
    前記配向性付与工程により発現された配向性に従って、前記架橋性液晶材料を配列させる液晶配列工程と、
    前記液晶配列工程により配列された架橋性液晶材料を架橋させる液晶架橋工程と、により、前記透明基板上に位相差層を形成する位相差層形成工程を有することを特徴とする、位相差フィルムの製造方法。
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