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JP2007295806A - 核内受容体リガンドの分析方法、それに用いる培地、形質転換酵母およびキット - Google Patents

核内受容体リガンドの分析方法、それに用いる培地、形質転換酵母およびキット Download PDF

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JP2007295806A
JP2007295806A JP2006124267A JP2006124267A JP2007295806A JP 2007295806 A JP2007295806 A JP 2007295806A JP 2006124267 A JP2006124267 A JP 2006124267A JP 2006124267 A JP2006124267 A JP 2006124267A JP 2007295806 A JP2007295806 A JP 2007295806A
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nuclear receptor
gene
receptor
transformed yeast
estrogen
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JP2006124267A
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Yukifumi Nishimoto
幸史 西本
Koji Yagi
孝司 八木
Masayoshi Kawanishi
優喜 川西
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Nagase and Co Ltd
Osaka Metropolitan University
Original Assignee
Nagase and Co Ltd
Osaka Prefecture University PUC
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Abstract

【課題】 短時間かつ高検出感度で、信頼性に優れた核内受容体のリガンドの分析が可能な分析方法を提供する。
【解決手段】 検体に含まれる核内受容体リガンドを分析するための方法であって、検体を含む培地中で、核内受容体遺伝子およびβ−ガラクトシダーゼ遺伝子が発現可能に導入されており、かつ核内受容体リガンドと核内受容体との複合体を認識して前記β−ガラクトシダーゼ遺伝子を発現し得る形質転換酵母を培養する培養工程と、前記培養工程の後、前記培地中に産生されたβ−ガラクトシダーゼの活性を測定する測定工程とを包含し、
前記培地が、炭素源としてガラクトースおよびグルコースを含有する培地を使用する方法である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、核内受容体リガンドの分析方法、それに用いる培地、形質転換酵母およびキットに関する。
環境中の化学物質の測定において、従来は機器分析が主流であったが、生物的な影響をも評価できる測定手法として核内受容体遺伝子を宿主細胞に組み込み、その発現の程度で化学物質の分析を行う手法が開発されている。例えば、近年、雌化現象等で注目された環境ホルモン(内分泌撹乱物質)のエストロゲン様活性の測定手法として、ブルーギル由来のエストロゲン受容体遺伝子(特許文献1)、オオマキトカゲ由来エストロゲン受容体遺伝子、(特許文献2)、ワニ由来エストロゲン受容体遺伝子(特許文献3)、ファットヘッドミノー由来エストロゲン受容体遺伝子(特許文献4)等の各種野生動物のエストロゲン受容体遺伝子を酵母に組み込み、その発現を測定するという手法が開発されている(特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4)。この他、ヒト由来エストロゲン受容体遺伝子を組み込んだ形質転換酵母を用いてアルキルフェノール化合物のエストロゲン様活性を測定する手法が開発されている(非特許文献1)。また、例えば、ダイオキシン等のアリールハイドロカーボン類を測定するために、モルモット由来のアリールハイドロカーボン受容体遺伝子を組み込んだ形質転換酵母を用いた手法が開発されている(特許文献5)。これらの手法では、各種受容体遺伝子が発現し、測定対象となるリガンド(化学物質等)が前記受容体に結合して複合体を形成し、この複合体がレポータ遺伝子を発現させ、これを検出する。前記レポータ遺伝子としては、β−ガラクトシダーゼ遺伝子が使用されており、β−ガラクトシダーゼの酵素活性を測定することで、遺伝子の発現を測定している。このような各種受容体遺伝子を組み込んだ形質転換酵母を使用した測定手法では、前記形質転換酵母を、測定対象のリガンドの存在下で培養する必要があるが、その培養期間が長期間であるという問題がある。例えば、前述のヒトエストロゲン受容体遺伝子を組み込んだ形質転換酵母では、測定対象の化合物の存在下で84時間にわたり培養を行っている。仮に培養時間を短縮するとすれば、測定感度が低下し、信頼性に問題が生じる。
特開2001−197890号公報 特開2003−274号公報 特開2002−360273号公報 特開2001−352992号公報 特開2005−87077号公報 The Journal Of Biologcal Chemistry Vol.272,No.6,Feb.7 pp.3280−3288
そこで、本発明の目的は、短時間の分析時間で、検出感度が高く、信頼性に優れる核内受容体リガンドの分析方法、それに用いる培地、形質転換酵母およびキットを提供することである。
前記目的を達成するために、本発明の核内受容体リガンドの分析方法は、
検体に含まれる核内受容体リガンドを分析するための方法であって、
検体を含む培地中で、核内受容体遺伝子およびβ−ガラクトシダーゼ遺伝子が発現可能に導入されており、かつ核内受容体リガンドと核内受容体との複合体を認識して前記β−ガラクトシダーゼ遺伝子を発現し得る形質転換酵母を培養する培養工程と、
前記培養工程の後、前記培地中に産生されたβ−ガラクトシダーゼの活性を測定する測定工程とを包含し、
前記培地が、炭素源としてガラクトースおよびグルコースを含有する、方法である。
本発明の培地は、検体の存在下、核内受容体遺伝子およびβ−ガラクトシダーゼ遺伝子が発現可能に導入されており、かつ核内受容体リガンドと核内受容体との複合体を認識して前記β−ガラクトシダーゼ遺伝子を発現し得る形質転換酵母を培養することにより、前記検体に含まれる核内受容体リガンドを分析するために用いられる培地であって、炭素源として、ガラクトースおよびグルコースを含む培地である。
本発明の第一の形質転換酵母は、前記本発明の分析方法に使用する形質転換酵母であって、核内受容体遺伝子およびβ−ガラクトシダーゼ遺伝子が発現可能な状態で導入され、かつ前記リガンドと前記核内受容体との複合体を認識して前記β−ガラクトシダーゼ遺伝子を発現し得る形質転換酵母である。
本発明の第二の形質転換酵母は、検体に含まれる核内受容体リガンドの分析に使用する形質転換酵母であって、核内受容体遺伝子およびβ−ガラクトシダーゼ遺伝子が発現可能に導入されており、核内受容体リガンドと核内受容体との複合体を認識して前記β−ガラクトシダーゼ遺伝子を発現し得、さらに、応答配列を1つのみ含むレポータプラスミドを含む形質転換酵母である。
本発明の第一のキットは、検体に含まれる核内受容体リガンドを分析するためのキットであって、
(a)炭素源として、ガラクトースおよびグルコースを含有する培地と、
(b)核内受容体遺伝子およびβ−ガラクトシダーゼ遺伝子が発現可能に導入されており、核内受容体リガンドと核内受容体との複合体を認識して前記β−ガラクトシダーゼ遺伝子を発現し得る形質転換酵母と、
(c)発色基質と
を備える、キットである。
本発明の第二のキットは、検体に含まれる核内受容体リガンドを分析するためのキットであって、
(a)培地と、
(b)核内受容体遺伝子およびβ−ガラクトシダーゼ遺伝子が発現可能に導入されており、核内受容体リガンドと核内受容体との複合体を認識して前記β−ガラクトシダーゼ遺伝子を発現し得、応答配列を1つのみ含むレポータプラスミドを有する形質転換酵母と、
(C)発色基質と
を備える、キットである。
従来の形質転換酵母の測定用培地には、β−ガラクトシダーゼを測定するために、炭素源として、ガラクトースのみを配合することが常識であった。しかし、本発明では、ガラクトースに加えてグルコースを配合することにより、形質転換酵母の増殖を早めることに成功し、例えば、後述の実施例で示すように、18時間という短時間で分析可能なまでに形質転換酵母を培養することができるようになる。したがって、本発明の分析方法によれば、短時間かつ高感度で、信頼性に優れた核内受容体のリガンドの分析が可能となる。また、本発明の分析方法は、核内受容体の機能を利用する方法であるため、分析結果は、機器分析と異なり、例えば、化学物質を分析する場合は、その毒性等量(toxic equvalents;TEQ)を反映しており、生体への影響を知る指標となりうる。そして、本発明の培地、形質転換酵母および分析キットを用いれば、本発明の分析方法を簡単に実施可能となる。さらに、本発明の第二の形質転換酵母若しくは第二のキットを使用すれば、従来よりも短時間かつ高感度で、信頼性に優れた核内受容体リガンドの分析が可能になる。そして、本発明の分析方法に、本発明の第二の形質転換酵母若しくは第二のキットを適用すれば、さらに、短時間かつ高感度で、信頼性に優れた核内受容体リガンドの分析が可能になる。
本発明の分析方法において、前記ガラクトースおよび前記グルコースの合計に対する前記グルコースの重量割合は、特に制限されないが、例えば、0を超え60重量%以下の範囲、好ましくは、0を超え40重量%以下の範囲、より好ましくは、10〜30重量%の範囲である。
本発明の分析方法において、前記形質転換酵母が、グリセロール存在下で保存されていた酵母であることが好ましい。前記のグルコース存在下で保存されていた形質転換酵母は、予め、グルコース単独を炭素源とする培地で培養された酵母であることが好ましい。
本発明の分析方法において、前記形質転換酵母は、特に制限されないが、例えば、出芽酵母、分裂酵母、糸状酵母等があるが、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)が好ましい。
本発明の分析方法は、例えば、検出、定性分析または定量分析である。また、本発明において、分析は、検出、定性分析および定量分析を含む。
本発明の分析方法において、前記リガンドが、エストロゲンまたはエストロゲン様化学物質であり、前記核内受容体が、エストロゲン受容体(ERα)であり、前記形質転換酵母が、その染色体上に前記エストロゲン受容体(ERα)遺伝子を有し、かつ前記形質転換酵母が、エストロゲン応答(ERE)配列および前記β−ガラクトシダーゼ遺伝子が作動的に組み込まれたプラスミドを有し、前記エストロゲン受容体とエストロゲンとの複合体が前記エストロゲン応答配列に結合して前記β−ガラクトシダーゼ遺伝子を発現し得るという態様であってもよい。すなわち、この態様は、本発明の分析方法を用いたエストロゲンまたはエストロゲン様化学物質の分析方法となる。
本発明の分析方法において、前記リガンドが、アリールハイドロカーボンであり、前記核内受容体が、アリールハイドロカーボン受容体(AhR)であり、前記形質転換酵母が、その染色体上に前記アリールハイドロカーボン受容体(AhR)遺伝子およびAhR核内移行因子(Arnt)遺伝子を有し、かつ前記形質転換酵母が、前記異物応答配列(XRE)配列および前記β−ガラクトシダーゼ遺伝子が作動的に組み込まれたプラスミドを有し、前記アリールハイドロカーボン、前記アリールハイドロカーボン受容体およびAhR核内移行因子の複合体が前記異物応答配列に結合して前記β−ガラクトシダーゼ遺伝子を発現し得るという態様であってもよい。すなわち、この態様は、本発明の分析方法を用いたアリールハイドロカーボンの分析方法となる。
前記アリールハイドロカーボンとしては、例えば、ダイオキシン類、ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)、ポリ塩化ビフェニル(PCB)、β−ナフトフラボン、3−メチルコラントレン、ベンゾピレン、ベンゾイミダゾール、ジベンゾアンスラセン、ペンタクロロフェノール、ジコホール、オクタクロロスチレンおよびこれらの誘導体等がある。なお、前記メチルコラントレン等のように、ポリスチレンに吸着しやすい化合物が被験物に含まれるおそれがある場合には、分析処理操作は、ガラス製の容器、器具を用いることが好ましい。
本発明の第二の形質転換酵母において、前記応答配列が、5´−AGGTCANNNTGACCT−3´で表されるコンセンサス配列を有することが好ましい。
本発明の第二の形質転換酵母において、
前記リガンドがエストロゲンまたはエストロゲン様化学物質であり、
前記核内受容体がエストロゲン受容体(ERα)であり、
前記応答配列が、エストロゲン応答(ERE)配列であり、
その染色体上に前記エストロゲン受容体(ERα)遺伝子を有し、かつエストロゲン応答(ERE)配列および前記β−ガラクトシダーゼ遺伝子が作動的に組み込まれたレポータプラスミドを有し、
前記エストロゲン受容体(ERα)と前記リガンドとの複合体が前記エストロゲン応答配列に結合して前記β−ガラクトシダーゼ遺伝子を発現し得る、形質転換酵母であってもよい。
つぎに、本発明について詳しく説明する。
本発明において、前記核内受容体および前記核内受容体のリガンドは、特に制限されず、例えば、下記に示す核内受容体および前記受容体に結合可能なリガンドがあげられる。
(1)TRα:Thyroid Hormone Receptor alpha
(2)TRβ:Thyroid Hormone Receptor beta
(3)RARα:Retinoic Acid Receptor alpha
(4)RARβ:Retinoic Acid Receptor beta
(5)RARγ:Retinoic Acid Receptor gamma
(6)PPARα:Peroxisome proliferator activated receptor alpha (PPAR−alpha)
(7)PPARδ:Peroxisome proliferator activated receptor delta (PPAR−delta) (PPAR−beta) (Nuclear hormone receptor 1) (NUC1) (NUCI)
(8)PPARγ1:Peroxisome proliferator activated receptor gamma (PPAR−gamma) 1
PPARγ2:Peroxisome proliferator activated receptor gamma (PPAR−gamma) 2
(9)Rev−erbα:Orphan nuclear receptor NR1D1 (V−erbA related protein EAR−1) (Rev− erbA−alpha)
(10)Rev−erbβ:Orphan nuclear receptor NR1D2 (Rev−erb−beta) (EAR−1R) (Orphan nuclear hormone receptor BD73)
(11)RORα:Nuclear receptor ROR−alpha (Nuclear receptor RZR−alpha)
(12)RORβ:Nuclear receptor ROR−beta (Nuclear receptor RZR−beta)
(13)RORγ:Nuclear receptor ROR−gamma (Nuclear receptor RZR−gamma)
(14)LXRβ:Oxysterols receptor LXR−beta (Liver X receptor beta) (Nuclear orphan receptor LXR−beta) (Ubiquitously−expressed nuclear receptor) (Nuclear receptor NER)
(15)LXRα:Oxysterols receptor LXR−alpha (Liver X receptor alpha) (Nuclear orphan receptor LXR−alpha)
(16)FXR:Bile acid receptor (Farnesoid X−activated receptor) (Farnesol receptor HRR−1) (Retinoid X receptor−interacting protein 14) (RXR−interacting protein 14)
(17)VDR:Vitamin D3 receptor (VDR) (1,25−dihydroxyvitamin D3 receptor)
(18)PXR−1: Orphan nuclear receptor PXR (Pregnane X receptor) (Orphan nuclear receptor PAR1) (Steroid and xenobiotic receptor) (SXR) − 1

PXR−2:Orphan nuclear receptor PXR (Pregnane X receptor) (Orphan nuclear receptor PAR1) (Steroid and xenobiotic receptor) (SXR) − 2
(19)CAR:Orphan nuclear receptor NR1I3 (Constitutive androstane receptor) (CAR) (Orphan nuclear receptor MB67)
(20)HNF4α: Hepatocyte nuclear factor 4−alpha (HNF−4−alpha)(Transcription factor 14)
(21)HNF4γ: Hepatocyte nuclear factor 4−gamma (HNF−4−gamma)
(22)RXRα:Retinoic acid receptor RXR−alpha
(23)RXRβ:Retinoic acid receptor RXR−beta
(24)RXRγ:Retinoic acid receptor RXR−gamma
(25)TR2:Nuclear Hormone Receptor TR2 (Orphan nuclear receptor TR2)
(26)TR4:Orphan nuclear receptor TR4 (Orphan nuclear receptor TAK1)
(27)TLX:Orphan nuclear receptor NR2E1 (Nuclear receptor TLX) (Tailless homolog) (Tll) (hTll)
(28)PNR:Photoreceptor−specific nuclear receptor (Retina−specific nuclear receptor)
(29)COUP−TF I:COUP transcription factor 1 (COUP−TF1) (COUP−TFα) (V−ERBA related protein EAR−3)
(30)COUP−TF II:COUP transcription factor 2 (COUP−TF2) (COUP−TFβ) (Apolipoprotein AI regulatory protein−1) (ARP−1)
(31)EAR−2:Orphan nuclear receptor EAR−2 (V−erbA related protein EAR−2)(COUP−TFγ)
(32)ERα:Estrogen receptor (ER) (Estradiol receptor) (ER−alpha)
(33)ERβ:Estrogen receptor beta (ER−beta)
(34)ERRα:Steroid hormone receptor ERR1 (Estrogen−related receptor, alpha) (ERR−alpha) (Estrogen receptor−like 1)
(35)ERRβ:Steroid hormone receptor ERR2 (Estrogen−related receptor, beta) (ERR−beta) (Estrogen receptor−like 2) (ERR beta−2)
(36)ERRγ:Estrogen−related receptor gamma (Estrogen receptor related protein 3) (ERR gamma−2)
(37)GRα:Glucocorticoid receptor alpha
GRβ:Glucocorticoid Receptor beta
(38)MR:Mineralocorticoid receptor (MR)
(39)PRα:Progesterone receptor alpha
PRβ:Progesterone receptor beta
(40)AR:Androgen receptor (Dihydrotestosterone receptor)
(41)NGFI−Bα:Orphan nuclear receptor HMR (Early response protein NAK1) (TR3 orphan receptor)
(42)NGFI−Bβ:Orphan nuclear receptor NURR1 (Immediate−early response protein NOT) (Transcriptionally inducible nuclear receptor)
(43)NGFI−Bγ:Nuclear hormone receptor NOR−1 (Neuron−derived orphan receptor 1) (Mitogen induced nuclear orphan receptor)
(44)SF−1:Steroidogenic factor 1 (STF−1) (SF−1) (Steroid hormone receptor AD4BP) (Fushi tarazu factor homolog 1)(FTZ−FIα)
(45)LRH−1:Orphan nuclear receptor NR5A2 (Alpha−1−fetoprotein transcription factor) (Hepatocytic transcription factor) (B1−binding factor) (hB1F) (CYP7A promoter binding factor)(FTZ−FIβ )
(46)GCNF:Orphan nuclear receptor NR6A1 (Germ cell nuclear factor) (GCNF) (Retinoid receptor−related testis specific receptor) (RTR)
(47)DAX1:Orphan nuclear receptor DAX−1
(48)SHP:Orphan nuclear receptor SHP (Small heterodimer partner)
これらの核内受容体の中で、例えば、エストロゲン受容体(ERα)若しくはアリールハイドロカーボン受容体(AhR)の態様がある。
まず、ERαとしては、特に制限されないが、背景技術の欄に記載した、ブルーギル由来ERα、オオマキトカゲ由来ERα、ワニ由来ERα、ファットヘッドミノー由来ERα等の各種野生動物のものがある。また、ERαは、ヒト由来ERαがある。なお、ERαは、リガンド(エストロゲン若しくは化学物質)と複合体を形成し、これがERE配列を認識して結合し、これにより、ERE配列の下流に存在する遺伝子(β−ガラクトシダーゼ遺伝子)が発現する。
前記ヒト由来ERαとしては、例えば、下記(a)または(b)のタンパク質があげられる。なお、下記配列番号1のアミノ酸配列は、公知であり、例えば、登録番号AY891064(GenBank/EMBL/DDBJ)を参照できる。下記(b)のタンパク質は、下記(a)のタンパク質との相同性が、例えば、98%以上であって、好ましくは、98.5%以上であり、より好ましくは、99%以上であり、さらに好ましくは、99.5%以上である。また、下記(b)のタンパク質において、置換、付加、挿入もしくは欠失したアミノ酸残基の数は、例えば、1〜11であって、好ましくは、1〜8であり、より好ましくは、1〜5であり、さらに好ましくは、1〜2である。
(a)配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質。
(b)配列番号1に記載のアミノ酸配列の少なくとも1つのアミノ酸残基が置換、付加、挿入もしくは欠失したアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ヒト由来ERαとして機能するタンパク質。
前記ヒト由来ERαを酵母で発現させるためには、例えば、ヒト由来ERα遺伝子を前記酵母の染色体遺伝子内に導入すればよい。
前記ヒト由来ERα遺伝子としては、例えば、下記(c)または(d)のポリヌクレオチドを含むことが好ましく、または、下記(c)または(d)のポリヌクレオチドからなる遺伝子が好ましい。なお、下記配列番号2の塩基配列は公知であり、例えば、登録番号AY891064(GenBank/EMBL/DDBJ)を参照できる。下記(d)のポリヌクレオチドは、下記(c)のポリヌクレオチドとの相同性が、例えば、90%以上であって、好ましくは、93%以上であり、より好ましくは、95%以上であり、さらに好ましくは、98%以上である。また、下記(d)のポリヌクレオチドにおいて、置換、付加、挿入もしくは欠失した塩基の数は、例えば、1〜178であって、好ましくは、1〜125であり、より好ましくは、1〜89であり、さらに好ましくは、1〜35である。
(c)配列番号2に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチド。
(d)配列番号2に記載の塩基配列の少なくとも1つの塩基が置換、付加、挿入もしくは欠失した塩基配列からなるポリヌクレオチドであって、ヒト由来のERαとして機能するタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
前記ERα遺伝子は、配列番号2の塩基配列に基づいて、ヒトのトータルRNA等を使用してクローニングしてもよく、また、ホスホルアミダイト(phosphoramidite)法を利用して化学的にDNA合成してもよい。前記クローニングの方法は、特に制限されず、例えば、市販のクローニングキット等を利用して実施できる。
エストロゲン受容体リガンドおよびERαの二者の複合体は、前述のようにゲノム上の前記複合体認識配列(ERE)を認識して結合し、この下流にある遺伝子(本発明ではβ―ガラクトシダーゼ遺伝子)を発現させる。前記複合体認識配列(ERE)としては、形質転換酵母内で発現させるヒト由来の複合体との親和性が高い複合体認識配列(ERE)であることが好ましく、より好ましくは、ヒト由来の複合体認識配列(ERE)である。前記EREのコンセンサス配列としては、例えば5’―AGGTCANNNTGACCT―3’(配列番号20)等があげられ、前記レポーター遺伝子の発現制御のため、前記ERE配列は1回のみのの繰り返し配列にすることが好ましい。なお、Nは、A,T,C又はGである。
前記AhRとしては、特に制限されず、ヒト由来AhR、マウス由来AhRおよびモルモット由来AhR等がある。この中で、アリールハイドロキシカーボンへの感受性が高いという理由から、モルモット由来AhRが好ましい。また、前記AhR受容体が発現可能な形質転換酵母では、前述のように、前記AhRに加えて、Arntが発現可能なようにする。すなわち、形質転換酵母において、AhRが発現し、これと、リガンドとArntの三者の複合体が、異物応答配列(XRE配列)に結合し、これによりβ−ガラクトシダーゼが発現する。
前記モルモット由来AhRとしては、例えば、下記(e)または(f)のタンパク質が好ましい。なお、下記配列番号7のアミノ酸配列は、公知であり、例えば、登録番号AY028947(GenBank/EMBL/DDBJ)を参照できる。下記(f)のタンパク質は、下記(e)のタンパク質との相同性が、例えば、98%以上であって、好ましくは、98.5%以上であり、より好ましくは、99%以上であり、さらに好ましくは、99.5%以上である。また、下記(f)のタンパク質において、置換、付加、挿入もしくは欠失したアミノ酸残基の数は、例えば、1〜16であって、好ましくは、1〜12であり、より好ましくは、1〜8であり、さらに好ましくは、1〜4である。
(e)配列番号7に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質。
(f)配列番号7に記載のアミノ酸配列の少なくとも1つのアミノ酸残基が置換、付加、挿入もしくは欠失したアミノ酸配列からなるタンパク質であって、モルモット由来のAhRとして機能するタンパク質。
一方、前記モルモット由来のArntとしては、例えば、下記(g)または(h)のタンパク質が好ましい。下記(h)のタンパク質は、下記(g)のタンパク質との相同性が、例えば、98.5%以上であって、好ましくは、99.0%以上であり、より好ましくは、99.2%以上であり、さらに好ましくは、99.5%以上である。また、下記(h)のタンパク質において、置換、付加、挿入もしくは欠失したアミノ酸残基の数は、例えば、1〜12であって、好ましくは、1〜8であり、より好ましくは、1〜6であり、さらに好ましくは、1〜4である。
(g)配列番号8に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質。
(h)配列番号8に記載のアミノ酸配列の少なくとも1つのアミノ酸残基が置換、付加、挿入もしくは欠失したアミノ酸配列からなるタンパク質であって、モルモット由来のArntとして機能するタンパク質。
前記AhRおよびArntを細胞内で発現させるためには、例えば、モルモット由来のAhR遺伝子およびArnt遺伝子を前記細胞内に導入すればよい。
前記モルモット由来のAhR遺伝子としては、例えば、下記(i)または(j)のポリヌクレオチドを含むことが好ましく、または、下記(i)または(j)のポリヌクレオチドからなる遺伝子が好ましい。なお、下記配列番号9の塩基配列は公知であり、例えば、登録番号AY028947(GenBank/EMBL/DDBJ)を参照できる。下記(j)のポリヌクレオチドは、下記(i)のポリヌクレオチドとの相同性が、例えば、90%以上であって、好ましくは、93%以上であり、より好ましくは、95%以上であり、さらに好ましくは、98%以上である。また、下記(j)のポリヌクレオチドにおいて、置換、付加、挿入もしくは欠失した塩基の数は、例えば、1〜250であって、好ましくは、1〜200であり、より好ましくは、1〜140であり、さらに好ましくは、1〜60である。
(i)配列番号9に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチド。
(j)配列番号9記載の塩基配列の少なくとも1つの塩基が置換、付加、挿入もしくは欠失した塩基配列からなるポリヌクレオチドであって、モルモット由来のAhRとして機能するタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
一方、前記モルモット由来のArnt遺伝子としては、例えば、下記(m)または(n)のポリヌクレオチドを含むことが好ましく、または、下記(m)または(n)のポリヌクレオチドからなる遺伝子が好ましい。下記(n)のポリヌクレオチドは、下記(m)のポリヌクレオチドとの相同性が、例えば、95%以上であって、好ましくは、97%以上であり、より好ましくは、98%以上であり、さらに好ましくは、99%以上である。また、下記(n)のポリヌクレオチドにおいて、置換、付加、挿入もしくは欠失した塩基の数は、例えば、1〜120であって、好ましくは、1〜70であり、より好ましくは、1〜40であり、さらに好ましくは、1〜20である。
(m)配列番号10に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチド。
(n)配列番号10記載の塩基配列の少なくとも1つの塩基が置換、付加、挿入もしくは欠失した塩基配列からなるポリヌクレオチドであって、モルモット由来のArntとして機能するタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
前記AhR遺伝子およびArnt遺伝子は、配列番号9および配列番号10の塩基配列に基づいて、モルモットのトータルRNA等を使用してクローニングしてもよく、また、ホスホルアミダイト(phosphoramidite)法を利用して化学的にDNA合成してもよい。前記クローニングの方法は、特に制限されず、例えば、市販のクローニングキット等を利用して行える。
前記アリールハイドロカーボン、AhRおよびArntの三者の複合体は、前述のように、ゲノム上の前記複合体認識配列(XRE)を認識して結合し、この下流にある遺伝子(本発明ではβ−ガラクトシダーゼ遺伝子)を発現させる。記複合体認識配列(XRE)としては、形質転換酵母内で発現されるモルモット由来の複合体との親和性が高い複合体認識配列(XRE)であることが好ましく、より好ましくは、モルモット由来の複合体認識配列(XRE)である。前記XREのコンセンサス配列としては、例えば、5´−GCGTG−3´等があげられ、前記レポーター遺伝子の発現制御のために、前記XRE配列は、1〜6回の繰り返し配列とすることが好ましく、より好ましくは、2〜5回であって、さらに好ましくは、2〜3回である。
本発明の遺伝子組換え細胞の宿主細胞は、酵母であり、好ましいのは、出芽酵母であることは、前述のとおりである。
前記酵母内に、前記核内受容体遺伝子を導入する方法としては、特に制限されず、従来公知の遺伝子導入方法により行うことができる。前記遺伝子導入方法としては、例えば、酢酸リチウム法、リン酸カルシウム法、リポソームを用いた方法、エレクトロポレーション、ウイルスベクターを用いる方法、マイクロピペットインジェクション法等があげられる。本発明における核内受容体遺伝子の導入は、そのリガンドの分析に用いることが可能であれば、一過性型の導入でもよく、または、宿主染色体への組込み型もしくは自律複製・分配可能な人工染色体もしくはプラスミド型の導入でもよい。取扱いや保存の容易性およびリガンドの分析の迅速性、正確性、簡便性からは、宿主染色体への遺伝子導入方法が好ましい。
前記酵母内に導入する前記核内受容体遺伝子は、酵母内で恒常的または任意に発現するように、必要な調節配列と作動的に連結されていることが好ましい。前記調節配列とは、宿主細胞内において、作動的に連結された前記遺伝子の発現に必要な塩基配列であって、例えば、真核細胞に適した調節配列としては、プロモーター、ポリアデニル化シグナル、エンハンサー等があげられる。前記作動的に連結とは、各構成要素が機能を果たすことができるように並置していることを意味する。
本発明において、前記核内受容体とリガンドの複合体を検出するためのレポーター遺伝子として、β−ガラクトシダーゼ遺伝子を使用する。前記β−ガラクトシダーゼ遺伝子は、その上流に、前記複合体が認識して結合する転写調節配列と作動的に結合している。前記転写調節配列しては、ERαの場合は、ERE配列であり、AhRの場合は、XREであることは、前述のとおりである。これらの転写調節配列およびβ−ガラクトシダーゼ遺伝子は、プラスミドに組み込まれて形質転換酵母に導入されていることが好ましい。
つぎに、本発明の分析方法の一例を示す。
まず、所定の核内受容体遺伝子、前記転写調節配列およびβ−ガラクトシダーゼ遺伝子を導入した形質転換酵母を準備する。そして、この形質転換酵母のグリセロールストックを調製することが好ましい。グリセロールストックを調製するために使用する培地は、特に制限されず、例えば、窒素源、炭素源、アミノ酸、核酸、ビタミン類等を含む培地があげられる。グリセロールストックを調製する培地組成の例を、下記表Aに示す。
(表A)
成分 配合量
ドロップアウトパウダー (注1) 1.3g
窒素源 (注2) 1.7g
(NHSO 5g
炭素源(グルコースまたはガラクトース) 20g
(注1)
ドロップアウトパウダー組成
アデニン 2.5g L−メチオニン 1.2g
L−アルギニン 1.2g L−フェニルアラニン 3 g
L−アスパラギン酸 6 g L−セリン 22.5g
L−グルタミン酸 6 g L−スレオニン 12 g
L−ヒスチジン 1.2g L−チロシン 1.8 g
L−ロイシン 3.6g L−バリン 9 g
L−リジン 1.8g ウラシル 1.2 g
(注2)
Yeast Nitrogen W/O Amino Acid & Ammonium Sulfate (Difco社製)
前記グリセロールストックを調製するための培養は、前記のような培地で継続的に培養された状態のものを利用する場合には、例えば、培養液を50μL分取し、前記表Aの培地5000μL中に加え、30℃で12〜24時間程度振とう培養することによって実施する。一方、形質転換酵母として凍結乾燥菌体を利用してグリセロールストックを調製するための培養を行う場合には、例えば、YPD培地等の栄養培地を加え、30℃で24時間培養した培養液を50μL分取し、前記と同様に前記表Aに示す培地5000μLに加え、30℃で12〜24時間程度振とう培養する。
前記グリセロールストックを調製するための培養により、菌体が十分増殖したら、得られた培養液から10倍濃縮グリセロールストック液を作製する。このグリセロールストック液の組成は、例えば培養液80%、グリセロール20%から成り、−80℃での保存も可能である。そして、このグリセロールストック液から本培養を実施する。前記本培養に使用する培地としては、例えば、前記表1に示す培地において、炭素源として、ガラクトースおよびグルコースを含むものを使用する。ガラクトースとグルコースの比率は、前述のとおりである。また、本培養においては、培地中に、化学物質等の被険物質を添加して行う。前記本培養の温度は、例えば、28〜30℃であり、前記本培養時間は、例えば、10〜48時間、好ましくは、15〜36時間、より好ましくは18〜24時間である。すなわち、本発明では、本培養における前記形質転換酵母の増殖を促進させることができるので、短時間の本培養で、被険物質を高感度かつ高信頼性で分析可能である。また、本培養は、振とう培養でもよいし、静置培養でもよい。なお、前記被験物が固体の場合には、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の形質転換酵母に対して毒性を示さない溶媒を用いて前記被験物を溶解してから前記培地と混合することが好ましい。
つぎに、本培養後の前記形質転換酵母を、公知の手法により溶菌させる。この溶菌には、例えば、下記に示すような、Zバッファーに界面活性剤(サルコシル)を添加した溶菌液等が使用できる。
(溶菌液)
成分 配合量(最終濃度)
NaHPO 60mM
NaHSO 40mM
MgCl 1 mM
KCl 10mM
ジチオスレイトール(Dithiothreitol) 2mM
サルコシル(Sarcosil) 0.20%
そして、前記溶菌液を適量採取し、産生されたβ−ガラクトシダーゼの酵素活性を測定する。β−ガラクトシダーゼの活性は、例えば、ONPG(オルソニトロフェニルガラクトピラノシド)やCPRG(クロロフェノールレッドガラクトピラノシド)等の発色試薬(発色基質)を作用させ、その吸光度を測定すればよい。この測定において、予め、標準物質を用いて検量線を作成しておくことが好ましく、前記検量線は、被験物の測定と同時に作成することが好ましい。さらに、測定に際しては、用量作用関係の範囲内に納まるように被験物を適宜希釈することが好ましい。このような分析方法であれば、吸光度を測定するだけでよく、簡便かつ迅速に分析できる。
本発明の分析用キットは、本発明の分析方法を簡単に実施するためのキットであって、本発明の前記培地を含むキットである。このようなキットには、その他に、例えば、本発明の前記形質転換酵母、β−ガラクトシダーゼ活性測定のための試薬(例えば、ONPGやCPRG等)、検量線作成のための標準物質等を含んでいても良い。前記形質転換酵母は、凍結乾燥させて粉末状にしてもよい。
つぎに、本発明の実施例について比較例と併せて説明する。ただし、本発明は、下記の実施例および比較例に限定されるものではない。
本実施例では、下記の手順によりヒトERα遺伝子を組み込んだ形質転換酵母を作製し、エストラジオールの分析を行った。
(両方向プロモーターを有するプラスミドへのヒトERα遺伝子のクローニング)
ヒト乳がん由来細胞MCF−7細胞を約30〜35mg採取し、キット(商品名:Rnaasy Mini Kit、QIAGEN社製)を用いてRNAを抽出し、このRNAとキット(商品名:RNA LA PCR Kit(AMV) Ver:1.1、タカラバイオ社製)を用いてRT−PCRを下記条件で行った。
RT−PCR条件: 30℃ 10分、42℃ 30分、99℃ 5分
前記RT−PCRで得られた試料を基に、さらに下記条件のPCRを行い、ERαcDNA断片を得た。
フォワードプライマー:ggggtaccatgaccatgaccctccacac(配列番号3)
リバーズプライマー:cggaattctcagactgtggcagggaaac(配列番号4)
PCR条件: 94℃ 2分 1サイクル
94℃ 30秒、55℃ 15秒、68℃ 1分30秒 30サイクル
こうして得られた断片をKpnIおよびEcoRIにより制限酵素処理し、両方向プロモーター領域Gal1、10を持つプラスミドYEplacGal1、10(GeneBank、pMC262)の前記両プロモーターの下流に位置するKpnI部位およびEcoRI部位に挿入し、ERα遺伝子を有し、その上流にプロモーターが介在したプラスミドYEplacを得た。なお、クローニングには大腸菌HB101株を使用した。
(染色体組込み型シャトルベクターへのクローニング)
前記ERα遺伝子を有し、その上流にプロモーターが介在したプラスミドYEplacをEcoRIおよびBamHIにより制限酵素処理し、続いてT4ポリメラーゼ(タカラバイオ社製)を用いて平滑末端化し、酵母染色体組込み型シャトルベクターpAUR101(タカラバイオ社製)のSmaI部位に挿入し、pAUR101ERαを得た。なお、クローニングには大腸菌HB101株を使用した。
(形質転換酵母の作製)
前記pAUR101ERαを、制限酵素EcoO65Iで処理して直鎖状とし、以下のように酢酸リチウム法にて宿主となる酵母へ導入し、さらに、染色体への組込みを行った。宿主株として、酵母(Saccharomyces cerevisiae)W303a株を使用した。
まず、前記宿主となる酵母を、30℃でOD660が1〜2になるまでYPD培地中で培養し、ソリューションA(0.1 M Lithium acetate, 10 mM Tris−HCl(pH 7.5), 1 mM EDTA いずれも最終濃度)で洗浄後、OD660=150となるようにソリューションAに再懸濁し、1.5mlマイクロチューブに100μlずつ分注して、30℃で1時間インキュベートした。その後、直鎖状のpAUR101gAhR/Arnt 5μgと、キャリアーDNA(商品名:SALMON TESTES DNA for hybridization、SIGMA社製)150μg(合計20μl)を加え、さらに、ソリューションB(ソリューションA100mlにポリエチレングリコール4000を溶解したもの)を850μl添加し、緩やかに混合した。
つぎに、前記混合液を30℃で30分インキュベートして42℃で15分熱処理した後、さらに、10分室温に放置してから、5000rpm1分間の遠心分離で集菌し、それらを5〜10mlのYPD培地に懸濁し、30℃で一晩培養した。そして、培養後集菌して洗浄した酵母を、0.9%NaCl溶液に懸濁し、AureobasidinA(0.5g/ml)を含むYPD選択プレートに100μずつ塗布して培養した。そして、AureobasidinA耐性株をGal1プロモーターとERαcDNA領域が染色体上に組込まれた形質転換酵母として選択した。
(レポータープラスミドの導入)
β―ガラクトシダーゼをコードする遺伝子を含むプラスミドpTXRE5−Z(Miller et al.;Toxicology and Applied Pharmacology 160,297−303(1999))からSalIとSpeIにより制限酵素処理して、XRE配列を抜き出し、そこにヒト由来ERE配列を挿入し、レポータープラスミドを作製した。ヒト由来ERE配列は、ヒト由来ERE配列作製プライマーフォワード(配列番号5)とヒト由来ERE配列作製プライマーリバース(配列番号6)を水溶液に溶解させ、99℃で30秒処理して、室温になるまで放置し、それぞれをハイブリダイズさせて作製した。このプラスミドを酢酸リチウム法により前記形質転換酵母に導入し、Gal1プロモーターとERαcDNA領域が染色体上に組込まれ、さらに、前記レポータープラスミドが導入された形質転換酵母を作製した。
(形質転換酵母の前培養)
前記形質転換酵母を、下記に示すグリセロールストック調製用の培地にて24時間前培養を行った。得られた培養液から、10倍濃縮グリセロールストック液(培養液80%、グリセロール20%)を作製した。このストック液は、−80℃での保存が可能である。
前培養の培地
ドロップアウトパウダー 1.3g
窒素源 1.7g
(NHSO 5g
ウラシル 0.02g
グルコース 20g
水 1L
(形質転換酵母の本培養)
前記ストック液50μLを、下記の本培養培地(1)および(2)5mLに加えて本培養溶液を調製した。また、ジメチルスルホキシド(DMSO)1μLに、各種の濃度(1nM,10nM,0.1μM,1μM,0.01mM,0.1mMおよび1mM)に溶解させたエストラジオール溶液を調製した。前記本培養溶液200μLと前記エストラジオール溶液1μLとを混合し、30℃で18時間静置して培養した。一方、前記本培養培地に代えて、下記の比較例1の培地を用いた以外は、本実施例と同様にして本培養を行ったものを比較例1とした。
本培養の培地(1)
ドロップアウトパウダー 1.3g
窒素源 1.7g
(NHSO 5g
ウラシル 0.02g
グルコース 3.5g
ガラクトース 16.5g
水 1L
本培養の培地(2)
ドロップアウトパウダー 1.3g
窒素源 1.7g
(NHSO 5g
ウラシル 0.02g
グルコース 2g
ガラクトース 18g
水 1L
比較例1の本培養の培地
ドロップアウトパウダー 1.3g
窒素源 1.7g
(NHSO 5g
ウラシル 0.02g
ガラクトース 20g
水 1L
(β−ガラクトシダーゼ活性の測定)
前記本培養の培養液をよく混合し、595nmの吸光度を測定した。さらに、前記培養液100μLに下記の測定試薬液を100μL加え、37℃で1.5時間静置した後、よく混合してから540nmの吸光度を測定した。β−ガラクトシダーゼ活性は、540nmの吸光度/595nmの吸光度の比で評価した。その結果を、図1のグラフに示す。同図において、培地(1)および培地(2)が本実施例の結果である。
測定試薬液
NaHHPO 60mM
NaHPO 40mM
MgCl 1mM
KCl 10mM
ジチオスレイトール 2mM
サルコシル 0.20%
CPRG 0.1mg/mL
図1のグラフに示すように、本実施例では、エストラジオールの濃度に応じてβ−ガラクトシダーゼの活性が向上した。これに対し、比較例1では、エストラジオールの濃度が変化してもβ−ガラクトシダーゼの活性は、ほぼ一定であった。
つぎに、前記形質転換酵母を種々のグルコース濃度で本培養を実施した場合のβ−ガラクトシダーゼ活性を測定した。
前記本培養の培地(1)若しくは(2)において、ガラクトースとグルコースの合計に対するガラクトースの濃度を、0%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%に設定した8種類の培地を準備した。この中で、0%および100%の培地は、比較例2となる。また、DMSOにエストラジオールを、0μM(コントロール),0.1μMおよび1μMの各種の濃度で溶解したエストラジオール溶液を準備した。前記各種濃度の培地1.5mLに、前記ストック液3.75μLを添加して混合して培養液を調製した。そして、マイクロプレートに、前記エストラジオール溶液1μLおよび前記培養液200μLを分注し、30℃で一晩静置培養した。前記マイクロプレートをよく攪拌して595nmの吸光度を測定した。その後、前記培養液100μLを新しいマイクロプレートに移して、下記の染色液100μLを添加した後、37℃でインキュベートし、90分後および210分後に540nmの吸光度を測定した。β−ガラクトシダーゼ活性は、540nmの吸光度/595nmの吸光度の比で評価した。また、これらの測定は、各培地について3回実施し、その平均を求めた。これらの結果を、下記の表1(90分後)および表2(210分後)に示す。
(表1):90分後の吸光度
ガラクトース濃度 コントロール エストラジオール濃度
(%) (DMSO) 0.1μM 1μM
100 0.649 0.686 0.638
90 0.286 0.445 0.807
80 0.306 0.468 0.531
70 0.311 0.479 0.572
60 0.277 0.423 0.484
50 0.255 0.390 0.393
40 0.254 0.307 0.330
0 0.289 0.275 0.267
(表2):210分後の吸光度
ガラクトース濃度 コントロール エストラジオール濃度
(%) (DMSO) 0.1μM 1μM
100 0.635 0.686 0.643
90 0.255 0.497 0.943
80 0.267 0.472 0.567
70 0.269 0.475 0.594
60 0.255 0.434 0.508
50 0.236 0.408 0.401
40 0.234 0.312 0.340
0 0.266 0.253 0.247
前記表1および表2から分かるように、グルコースとガラクトースの双方を用いた培地では、エストラジオールの濃度に応じたβ−ガラクトシダーゼの活性を得ることができた。
本実施例では、下記の手順によりモルモットAhR遺伝子を組み込んだ形質転換酵母を作製し、β−ナフトフラボン(β−NF)の分析を行った。
(モルモットArnt遺伝子のクローニング)
モルモット(STD:Hartley)の肺組織を約30〜35mg採取し、キット(商品名:Rneasy Mini Kit、QIAGEN社製)を用いてRNAを抽出し、このRNAとキット(商品名:RNA PCR kit(AMV) Ver:2.1、TaKaRa社製)を用いてRT−PCRを下記条件で行った。
フォワードプライマー:配列番号11、リバースプライマー:配列番号12
RT条件 55℃ 30min、99℃ 5min、5℃ 5min
PCR条件 94℃ 2min 1サイクル
94℃ 30sec、49℃ 30sec、72℃ 3min 50サイクル
前記RT−PCR後にゲル電気泳動を行い、約2.4kbのArntcDNA断片を確認し、前記RT−PCRで得られた試料を基に、さらに、下記条件のPCRを行い、ArntcDNA断片を得た。
PCR条件 94℃ 2min 1サイクル
94℃ 30sec、49℃ 30sec、68℃ 3min 30サイクル
68℃ 5min 1サイクル
こうして得られたモルモットArntcDNA断片の末端を、T4PolynucleotideKinase(TOYOBO社製)を用いてリン酸化した。この断片を、プラスミドpBluscript(STRATAGENE社製)のSmaI部位に挿入し、モルモットArnt遺伝子をクローニングした(pBluscript−ArntcDNAの完成)。このpBluscript−ArntcDNA上のArnt遺伝子の配列は、DNAシーケンサーにより配列決定した(配列番号10)。なお、クローニングには、大腸菌DH5α株を使用した。
(両方向プロモーターを有するプラスミドへのモルモットAhRおよびArnt遺伝子のクローニング)
両方向プロモーター領域Gal1,10を持つプラスミドYEplac Gal1,10 (GenBank,pMC262)の前記両プロモーターの下流に位置するBsiWI/MfeI部位およびXbaI/SbfI部位に、それぞれ、AhR断片およびArnt断片を挿入し、AhRおよびArnt遺伝子を有し、それらの間に両方向プロモーターが介在したプラスミドYEplacを得た。なお、クローニングには、大腸菌DH5α株を使用した。
前記AhR断片は、前記モルモットの肺から抽出したRNAと、キット(商品名:Rever Tra Dash、TOYOBO社製)を用いて、下記条件のRT−PCRを行い、その増幅産物をMfeIおよびBsiWIにより制限酵素処理して作製した。
フォワードプライマー:配列番号13、リバースプライマー :配列番号14
RT条件 42℃ 20min、99℃ 5min、4℃ 5min
PCR条件 98℃ 10sec、60℃ 2sec、72℃ 3min 30サイクル
一方、前記Arnt断片は、前記pBluscript−ArntcDNAとKOD plusポリメラーゼを用いて、下記条件のPCRを行い、その増幅産物をXbaIおよびSbfIにより制限酵素処理して作製した。
フォワードプライマー:配列番号15、リバースプライマー:配列番号16
PCR条件 94℃ 2min 1サイクル
94℃ 15sec、52℃ 30sec、68℃ 3min 30サイクル
68℃ 5min 1サイクル
(染色体組込み型シャトルベクターへのクローニング)
前記AhRおよびArnt遺伝子を有し、それらの間に両方向プロモーターが介在したプラスミドYEplacのAhR cDNA−Gal1.10promoter−Arnt cDNA 領域を下記条件のPCRにより増幅し、その増幅産物をSse8387Iで処理し、酵母染色体組込み型シャトルベクターpAUR101(TaKaRa社製)のSmaI/Sse8387I部位に挿入し、pAUR101gAhR/Arnt(受託番号FERM P−19496)を得た。なお、クローニングには、大腸菌DH5α株を使用した。
フォワードプライマー:配列番号17、リバースプライマー :配列番号18
PCR条件 94℃ 2min 1サイクル
94℃ 15sec、52℃ 30sec、68℃ 3min 30サイクル
68℃ 5min 1サイクル
(形質転換酵母の作製)
前記pAUR101gAhR/Arntを、制限酵素BsiWIで処理して直鎖状とし、以下のように酢酸リチウム法にて宿主となる酵母へ導入し、さらに、染色体への組込みを行った。宿主株として、酵母(Saccharomyces cerevisiae)W303a株を使用した。
まず、前記宿主となる酵母を、30℃でOD660が1〜2になるまでYPD培地中で培養し、ソリューションA(0.1 M Lithium acetate, 10 mM Tris−HCl(pH 7.5), 1 mM EDTA いずれも最終濃度)で洗浄後、OD660=150となるようにソリューションAに再懸濁し、1.5mlマイクロチューブに100μlずつ分注して、30℃で1時間インキュベートした。その後、直鎖状のpAUR101gAhR/Arnt 5μgと、キャリアーDNA(商品名:SALMON TESTES DNA for hybridization、SIGMA社製)150μg(合計20μl)を加え、さらに、ソリューションB(ソリューションA100mlにポリエチレングリコール4000を溶解したもの)を850μl添加し、緩やかに混合した。
つぎに、前記混合液を30℃で30分インキュベートして42℃で15分熱処理した後、さらに、10分室温に放置してから、5000rpm1分間の遠心分離で集菌し、それらを5〜10mlのYPD培地に懸濁し、30℃で一晩培養した。そして、培養後集菌して洗浄した酵母を、0.9%NaCl溶液に懸濁し、AureobasidinA(0.5g/ml)を含むYPD選択プレートに100μlずつ塗布して培養した。AureobasidinA耐性株をAhR cDNA−Gal1.10promoter−Arnt cDNA 領域が染色体上に組込まれた形質転換酵母として選択した。
(レポータープラスミドの導入)
β−ガラクトシダーゼをコードする遺伝子を含むプラスミドpRW95−3(Wolf et al. ; Biotechniques 20, 568−573 (1996))のBamHI/XmaI部位に、ヒト由来のXRE配列(配列番号19)を挿入し、レポータープラスミドを作製した。このプラスミドを酢酸リチウム法により前記形質転換酵母に導入し、AhR cDNA−Gal1.10promoter−Arnt cDNA 領域が染色体上に組込まれ、さらに、前記レポータープラスミドが導入された形質転換酵母を作製した。このようにして作製された形質転換酵母の一例が、OPU−G11株(受託番号 FERM P−19497)である。
(β−ガラクトシダーゼ活性の測定)
前記実施例1と同様に、前記形質転換酵母のグリセロールストックからを本培養して、β−ガラクトシダーゼ活性を測定した。なお、用いたリガンドは、β−NFであり、その濃度は、0.01nM,1nMおよび100nMとした。β−ガラクトシダーゼ活性時のインキュベーション時間は、2時間とした。また、前記比較例1の培地を用いて本培養したものを、比較例3とした。この結果を、下記表3に示す。
(表3)
コントロール β−NF濃度
(DMSO) 0.01nM 1nM
培地(1) 0.30 0.27 0.40
培地(2) 0.35 0.36 0.42
比較例3 0.22 0.18 0.22
前記表3に示すように、比較例3では、β―NFの濃度1nMとコントロールの測定結果が同じであり、β―NFの濃度1nMを検出することはできなかったが、本実施例{培地(1)、(2)}では、β―NFの濃度1nMの測定結果とコントロールの測定結果に差が認められ、β―NFの濃度1nMを検出することはでき、β―NFの濃度検出限界を下げることができた。
つぎに、実施例1と同様にして、前記形質転換酵母を種々のグルコース濃度で本培養を実施した場合のβ−ガラクトシダーゼ活性を測定した。なお、β−ガラクトシダーゼの活性測定におけるインキュベーション時間は、30分にした。この結果を、下記の表4に示す。
(表4):30分後の吸光度
ガラクトース濃度 コントロール β−NF濃度
(%) (DMSO) 0.1μM 1μM
100 0.192 0.262 0.605
90 0.305 0.511 1.097
80 0.421 0.755 1.472
70 0.408 0.496 0.997
60 0.366 0.547 0.768
0 0.191 0.193 0.176
前記表4から分かるように、グルコースとガラクトースの双方を用いた培地では、β−NFの濃度に応じたβ−ガラクトシダーゼの活性を得ることができた。
以上のように、本発明の分析方法によれば、短時間かつ高検出感度で、信頼性に優れた核内受容体のリガンドの分析が可能となる。したがって、本発明の分析方法は、化学物質やタンパク質等のリガンドの分析の分野において有用な方法であり、その用途は制限されず広い。
図1は、本発明の一実施例におけるβ−ガラクトシダーゼ活性の測定結果を示すグラフである。

Claims (16)

  1. 検体に含まれる核内受容体リガンドを分析するための方法であって、
    検体を含む培地中で、核内受容体遺伝子およびβ−ガラクトシダーゼ遺伝子が発現可能に導入されており、かつ核内受容体リガンドと核内受容体との複合体を認識して前記β−ガラクトシダーゼ遺伝子を発現し得る形質転換酵母を培養する培養工程と、
    前記培養工程の後、前記培地中に産生されたβ−ガラクトシダーゼの活性を測定する測定工程とを包含し、
    前記培地が、炭素源としてガラクトースおよびグルコースを含有する、方法。
  2. 前記ガラクトースおよび前記グルコースの合計に対する前記グルコースの重量割合が、0を超え60重量%以下の範囲である請求項1記載の方法。
  3. 前記形質転換酵母が、グリセロール存在下で保存されていた酵母である、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記形質転換酵母が、予め、グルコース単独を炭素源とする培地で培養された酵母である、請求項3に記載の方法。
  5. 前記形質転換酵母が、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)である請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記分析が、検出、定性分析または定量分析のいずれかのために実施される請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記リガンドが、エストロゲンまたはエストロゲン様化学物質であり、前記核内受容体が、エストロゲン受容体(ERα)であり、前記形質転換酵母が、その染色体上に前記エストロゲン受容体(ERα)遺伝子を有し、かつ前記形質転換酵母が、エストロゲン応答(ERE)配列および前記β−ガラクトシダーゼ遺伝子が作動的に組み込まれたプラスミドを有し、前記エストロゲン受容体と前記リガンドとの複合体が前記エストロゲン応答配列に結合して前記β−ガラクトシダーゼ遺伝子を発現し得る請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記リガンドが、アリールハイドロカーボンであり、前記核内受容体が、アリールハイドロカーボン受容体(AhR)であり、前記形質転換酵母が、その染色体上に前記アリールハイドロカーボン受容体(AhR)遺伝子およびAhR核内移行因子(Arnt)遺伝子を有し、かつ前記形質転換酵母が、前記異物応答配列(XRE)配列および前記β−ガラクトシダーゼ遺伝子が作動的に組み込まれたプラスミドを有し、前記アリールハイドロカーボン、前記アリールハイドロカーボン受容体およびAhR核内移行因子の複合体が前記異物応答配列に結合して前記β−ガラクトシダーゼ遺伝子を発現し得る請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記アリールハイドロカーボンが、ダイオキシン類、ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)、ポリ塩化ビフェニル(PCB)、β−ナフトフラボン、3−メチルコラントレン、べンゾピレン、ベンゾイミダゾール、ジベンゾアンスラセン、ペンタクロロフェノール、ジコホール、オクタクロロスチレンおよびこれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1つの化合物である請求項8記載の方法。
  10. 検体の存在下、核内受容体遺伝子およびβ−ガラクトシダーゼ遺伝子が発現可能に導入されており、かつ核内受容体リガンドと核内受容体との複合体を認識して前記β−ガラクトシダーゼ遺伝子を発現し得る形質転換酵母を培養することにより、前記検体に含まれる核内受容体リガンドを分析するために用いられる培地であって、炭素源として、ガラクトースおよびグルコースを含む培地。
  11. 請求項1から9のいずれか一項に記載の方法に使用する形質転換酵母であって、核内受容体遺伝子およびβ−ガラクトシダーゼ遺伝子が発現可能な状態で導入され、かつ前記リガンドと前記核内受容体との複合体を認識して前記β−ガラクトシダーゼ遺伝子を発現し得る形質転換酵母。
  12. 検体に含まれる核内受容体リガンドの分析に使用する形質転換酵母であって、
    核内受容体遺伝子およびβ−ガラクトシダーゼ遺伝子が発現可能に導入されており、核内受容体リガンドと核内受容体との複合体を認識して前記β−ガラクトシダーゼ遺伝子を発現し得、さらに、応答配列を1つのみ含むレポータプラスミドを含む形質転換酵母。
  13. 前記応答配列が、5´−AGGTCANNNTGACCT−3´で表されるコンセンサス配列を有する請求項12記載の形質転換酵母。
  14. 前記リガンドがエストロゲンまたはエストロゲン様化学物質であり、
    前記核内受容体がエストロゲン受容体(ERα)であり、
    前記応答配列が、エストロゲン応答(ERE)配列であり、
    その染色体上に前記エストロゲン受容体(ERα)遺伝子を有し、かつエストロゲン応答(ERE)配列および前記β−ガラクトシダーゼ遺伝子が作動的に組み込まれたレポータプラスミドを有し、
    前記エストロゲン受容体(ERα)と前記リガンドとの複合体が前記エストロゲン応答配列に結合して前記β−ガラクトシダーゼ遺伝子を発現し得る請求項12または13に記載の形質転換酵母。
  15. 検体に含まれる核内受容体リガンドを分析するためのキットであって、
    (a)炭素源として、ガラクトースおよびグルコースを含有する培地と、
    (b)核内受容体遺伝子およびβ−ガラクトシダーゼ遺伝子が発現可能に導入されており、核内受容体リガンドと核内受容体との複合体を認識して前記β−ガラクトシダーゼ遺伝子を発現し得る形質転換酵母と、
    (c)発色基質と
    を備える、キット。
  16. 検体に含まれる核内受容体リガンドを分析するためのキットであって、
    (a)培地と、
    (b)核内受容体遺伝子およびβ−ガラクトシダーゼ遺伝子が発現可能に導入されており、核内受容体リガンドと核内受容体との複合体を認識して前記β−ガラクトシダーゼ遺伝子を発現し得、応答配列を1つのみ含むレポータプラスミドを有する形質転換酵母と、
    (C)発色基質と
    を備える、キット。
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