JP2007267404A - 画像処理装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】より忠実な色を再現するとともに、ノイズを低減できるようにする。
【解決手段】4色カラーフィルタ61は、赤の光のみを透過するRフィルタ、青の光のみを透過するBフィルタ、第1の波長帯域の緑色の光のみを透過するG1フィルタ、およびG1フィルタと相関が高い、第2の波長帯域の緑色の光のみを透過するG2フィルタの、合計4個のフィルタを最小単位として構成される。また、G1フィルタとG2フィルタは、その最小単位内において、対角する位置に配置されている。4色カラーフィルタ61を透過し、画像センサにより取得された4種類の信号に基づいてRGB信号が生成される。本発明はディジタルカメラなどの画像処理装置に適用することができる。
【選択図】図9
【解決手段】4色カラーフィルタ61は、赤の光のみを透過するRフィルタ、青の光のみを透過するBフィルタ、第1の波長帯域の緑色の光のみを透過するG1フィルタ、およびG1フィルタと相関が高い、第2の波長帯域の緑色の光のみを透過するG2フィルタの、合計4個のフィルタを最小単位として構成される。また、G1フィルタとG2フィルタは、その最小単位内において、対角する位置に配置されている。4色カラーフィルタ61を透過し、画像センサにより取得された4種類の信号に基づいてRGB信号が生成される。本発明はディジタルカメラなどの画像処理装置に適用することができる。
【選択図】図9
Description
本発明は、画像処理装置の製造方法に関し、特に、より忠実な色を再現するとともに、ノイズを低減するようにした画像処理装置の製造方法に関する。
近年、コンシューマ向けの画像入力装置(ディジタルカメラ、カラースキャナ等)および画像処理ソフトウェアが普及しつつあり、撮影するなどして取得した画像を自ら編集するユーザの数が増加してきている。
また、これに伴い、画像の画質に対する要求(より好ましい色に対する要求、ノイズが少ないことに対する要求等)も非常に高くなってきている。ディジタルカメラ等を購入する際の第1の条件として、画質がよいことを挙げるユーザの割合が半数以上を占める現状である。
ディジタルカメラにおいては、一般的に、図1に示されるようなRGBの3原色のカラーフィルタ1が用いられている。この例では、図1の一点鎖線で示されるように、緑色(G)の光のみを透過するGフィルタが2個、赤(R)の光のみを透過するRフィルタが1個、および青(B)の光のみを透過するBフィルタが1個の、合計4個を最小単位として、いわゆるベイヤー配列(Bayer配列)により、カラーフィルタ1が構成される。
図2は、RGBカラーフィルタ1を有するCCD(Charge Coupled Device)撮像素子により取得されたRGB信号に対して各種の処理を施す信号処理部11の構成例を示すブロック図である。
オフセット補正処理部21は、CCD撮像素子により取得された信号に所定の処理を施すフロントエンド13から供給されてきた画像信号に含まれるオフセット成分を除去し、得られた画像信号をホワイトバランス補正処理部22に出力する。ホワイトバランス補正処理部22は、オフセット補正処理部21から供給されてきた画像信号の色温度、およびカラーフィルタ1の各フィルタの感度の違いに基づいて、各色のバランスを補正する。ホワイトバランス補正処理部22により補正が施され、取得された色信号はガンマ補正処理部23に出力される。ガンマ補正処理部23は、ホワイトバランス補正処理部22から供給されてきた信号に対してガンマ補正を行い、取得した信号を垂直方向同時化処理部24に出力する。垂直方向同時化処理部24にはディレイ素子が設けられており、ガンマ補正処理部23から供給されてきた信号の垂直方向の時間のずれが同時化される。
RGB信号生成処理部25は、垂直方向同時化処理部24から供給されてきた色信号を、同一空間の位相に補間する補間処理、信号のノイズ成分を除去するノイズ除去処理、信号帯域を制限するフィルタリング処理、および信号帯域の高域成分を補正する高域周波数補正処理等を行い、得られたRGB信号を、輝度信号生成処理部26、および色差信号生成処理部27に出力する。
輝度信号生成処理部26は、RGB信号生成処理部25から供給されてきたRGB信号を所定の合成比で合成し、輝度信号を生成する。色差信号生成処理部27も同様に、RGB信号生成処理部25から供給されてきたRGB信号を所定の合成比で合成し、色差信号(Cb,Cr)を生成する。輝度信号生成処理部26により生成された輝度信号、および色差信号生成処理部27により生成された色差信号は、例えば、信号処理部11の外部に設けられているモニタに出力される。
このように、元信号に対してガンマ処理を施してから線形変換によって画像処理を行うことが一般的に行われている。
ところで、カラーフィルタを決定する条件としては、第1に、人間の眼の見え方に忠実な色を再現する「色再現性」があげられる。この「色再現性」は、色を、人間の眼で見える色に近づけることを意味する「色の見え」、および、眼で違うものに見える色は違う色に、同じものに見える色は同じ色に再現することを意味する「色の判別性」(メタメリズムマッチング)の、2つにより構成される。第2に、分光成分が正の感度を有し、かつ、分光感度特性が1つのピークを有するなどの、フィルタを作成するにあたっての「物理的制限」を満たすこと、第3に、「ノイズの低減性」が考慮されていることなどが挙げられる。
「色再現性」を重視したカラーフィルタを作成し、評価するために、従来より、例えば、qファクタ、μファクタ、またはFOM(Figure of Merit)のようなフィルタ評価係数が使用される。これらの係数は0乃至1の値をとり、カラーフィルタの分光感度特性が人間の眼の分光感度特性(等色関数)の線形変換に近似する程、大きな値、すなわち1に近い値を示す。これらの係数の値を1に近い色にするには、分光感度がルータ条件を満足するようにすればよい。
しかしながら、ルータ条件を満たすように設計すると、カラーフィルタは、図3に示されるように、負の分光成分を有するものとなったり、ピーク値が複数発生するものとなる。そのため、物理的に実現不可能であるか、または実現ができたとしても、相当困難となる。
そこで、ルータ条件の他、上記した「物理的制限」をも考慮して設計すると、分光感度の特性は、通常、図4に示されるような、負の分光成分が現れない特性となる。なお、図3の曲線L1および図4の曲線L11はRの分光感度を、図3の曲線L2および図4の曲線L12はGの分光感度を、図3の曲線L3および図4の曲線L13はBの分光感度を、それぞれ表している。
しかしながら、図4に示されるような分光感度特性を有するフィルタおいては、Rの分光感度の特性(曲線L11)とGの分光感度の特性(曲線L12)の重なりが大きくなり、それぞれの色信号を分解(抽出)する際に、伝搬ノイズが増大してしまうという課題があった。すなわち、色信号を分解するためにR信号とG信号の差を大きくする必要があるが、差を大きくすべく、それぞれの信号を増幅した場合、それとともにノイズも増幅されてしまい、上述した「ノイズの低減性」が満足されなくなってしまう。
そこで、「ノイズの低減性」を満足させるべく、「色再現性」を多少犠牲にしてでもGの分光感度とRの分光感度の重複する部分を少なくし、例えば、図5に示されるような分光感度特性にすることも考えられる。
しかしながら、このような特性のフィルタとした場合、例えば、眼では異なる色として見える物体が、ディジタルカメラにおいては同一の色として撮影されるなど、いわゆる「色の判別性」が悪くなってしまうという課題がある。
この「色の判別性」が悪くなることについてさらに説明すると、次のようになる。すなわち、図6は、物体R1と物体R2の分光反射率を示す図であり、図に示されるように物体R1と物体R2の分光反射率は異なっている。また、図7は、図6の分光反射率を有する物体R1と物体R2を、標準観察者の眼で見た場合の三刺激値(X,Y,Z値)(図7A)と、図5の分光感度特性を有するカラーフィルタで撮影した場合のRGB値(図7B)を示す図である。
図7Aにおいては、物体R1のX,Y,Z値(「0.08」,「0.06」,「0.30」)と、物体R2のX,Y,Z値(「0.10」,「0.07」,「0.33」)はそれぞれ異なる値であり、これは、それぞれの物体は、人間の眼では異なる色として見えることを表している。これに対して、図7Bにおいては、物体R1のR,G,Bの値と、物体R2のR,G,Bの値が同一の値(「66.5」,「88.3」,「132.0」)となっている。これは、図5の分光感度特性を有するディジタルカメラ(カラーフィルタ)では、それぞれの物体の色が区別されずに、同じ色のものとして撮影されていることを意味する。
また、qファクタ、μファクタ、FOMを用いて行うカラーフィルタの評価においては、「ノイズの低減性」が考慮されず、「ノイズ低減性」の観点からは望ましくないものであるにも関わらず、「色再現性」、「物理的制限」の両方を満たすフィルタ(ルータ条件を満たす、図4に示されるようなフィルタ)に対して最高の評価(係数の値が1)が示されてしまう。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、より忠実な色を再現するとともに、ノイズを低減できるようにするものである。
本発明の製造方法は、3原色の第1乃至第3の光、および前記3原色の前記第1乃至第3の光のうちの前記第2の光と高い相関を有する第4の光を抽出する抽出手段と、前記抽出手段により抽出された前記第1乃至第4の光を、対応する第1乃至第4の色信号に変換する変換手段と、前記変換手段による変換によって得られた前記第1乃至第4の色信号に基づいて、前記3原色に対応する第5乃至第7の色信号を生成する生成手段と、前記生成手段により生成された前記第5乃至第7のそれぞれの色信号に対して、ガンマ補正を施すガンマ補正手段とを備える画像処理装置の製造方法において、前記変換手段を用意する第1のステップと、3原色の第1乃至第3の光、および前記3原色の前記第1乃至第3の光のうちの前記第2の光と高い相関を有する第4の光を抽出する前記抽出手段を、前記第1のステップの処理により用意された前記変換手段の前面に生成する第2のステップとを含むことを特徴とする。
前記第1乃至第4の光を抽出する前記抽出手段は、前記第1乃至第4の光をそれぞれ抽出する第1乃至第4の抽出部で構成される単位を有し、前記第2の光と前記第4の光をそれぞれ抽出する前記第2の抽出部と前記第4の抽出部は、前記単位において対角に位置するものであるようにすることができる。
前記第2の抽出部および前記第4の抽出部は、輝度信号の視感度特性に近似する分光感度特性を有するものであるようにすることができる。
前記3原色の第1乃至第3の光は、赤、緑、または青の光であり、前記第4の光は、緑の光であるようにすることができる。
前記信号生成手段は、所定のカラーパッチに基づいて算出される参照値と、前記カラーパッチに基づいて前記抽出手段の分光感度特性により算出される出力値の、XYZ色空間における差を最小にするものとして与えられる変換式に基づいて前記第5乃至第7の色信号を生成するものであるようにすることができる。
前記信号生成手段は、所定のカラーパッチに基づいて算出される参照値と、前記カラーパッチに基づいて前記抽出手段の分光感度特性により算出される出力値の、知覚均等色空間における差を最小にするものとして与えられる変換式に基づいて前記第5乃至第7の色信号を生成するものであるようにすることができる。
前記信号生成手段は、所定のカラーパッチに基づいて算出される参照値と、前記カラーパッチに基づいて前記抽出手段の分光感度特性により算出される出力値の、色分解のための伝播ノイズを最小にするものとして与えられる変換式に基づいて前記第5乃至第7の色信号を生成するものであるようにすることができる。
本発明により得られた画像処理装置によれば、撮影された色を忠実に再現することができる。
また、本発明により得られた画像処理装置によれば、「色の判別性」を向上させることができる。
さらに、本発明により得られた画像処理装置によれば、「色の再現性」および「ノイズの低減性」を向上させることができる。
本発明により得られた画像処理装置によれば、「色の見え方」を改善させることができる。
図8は、本発明を適用したディジタルカメラの構成例を示すブロック図である。
図8に示されるディジタルカメラは、CCD(Charge Coupled Device)等よりなる画像センサ45の前面(レンズ42に対向する面)に、4種類の色(光)を識別するカラーフィルタが設けられている。
図9は、図8の画像センサ45に設けられる4色カラーフィルタ61の例を示す図である。
図9の一点鎖線で示されるように、4色カラーフィルタ61は、赤の光のみを透過するRフィルタ、青の光のみを透過するBフィルタ、第1の波長帯域の緑色の光のみを透過するG1フィルタ、およびG1フィルタと相関が高い、第2の波長帯域の緑色の光のみを透過するG2フィルタの、合計4個のフィルタを最小単位として構成される。また、G1フィルタとG2フィルタは、その最小単位内において、互いに対角する位置に配置されている。
後に詳述するように、画像センサ45により取得される画像の色を4種類とし、取得される色情報を増やすことにより、3種類の色(RGB)のみが取得される場合と較べて、より正確に色を表現することができ、眼で違うものに見える色は違う色に、同じものに見える色は同じ色に、それぞれ再現すること(「色の判別性」)を向上させることができる。
なお、図10に示される視感度曲線から分かるように、人間の眼は輝度に敏感である。従って、図9の4色カラーフィルタ61の例においては、より正確な輝度情報を取得することにより、輝度の階調を上げることができ、かつ、眼の見え方に近い画像を再現することができるように、視感度曲線に近い分光感度特性を有するG2のカラーフィルタが追加されている(図1のR,G,Bに対応するR,G1,Bのフィルタに対して、新たに決定された緑G2フィルタが追加されている)。
また、4色カラーフィルタ61を決定する際に使用されるフィルタ評価係数として、例えば、「色再現性」と「ノイズ低減性」の両方を考慮した係数であるUMG(Unified Measure of Goodness)が用いられている。
UMGを用いた評価においては、評価対象のフィルタが単にルータ条件を満たしているだけでは、その評価値は高くならず、それぞれのフィルタの分光感度分布の重なりも考慮される。従って、qファクタ、μファクタ、またはFOM(Figure of Merit)を利用して評価されたカラーフィルタの場合と比較して、ノイズをより低減させることができる。すなわち、UMGを用いた評価により、それぞれのフィルタの分光感度特性が、ある程度の重なりを有するが、図4のRの特性とGの特性のようにほぼ全てが重なるものではないフィルタが選択されるため、色の分離のため、それぞれの色信号を増幅する場合であっても、増幅率をそれ程大きくする必要がなく、それに伴ってノイズ成分が増幅されることが抑制される。
第4のフィルタ(G2フィルタ)によりノイズが抑制される理由について付言すれば、画素数拡大のためにCCDのセルサイズが微小化されるに伴い、感度効率を向上させるために原色フィルタの分光感度曲線が太くなって各フィルタの重なりが大きくなる傾向にある。この様な状況下でもう一枚フィルタを追加することは、元の3原色の重なりを抑制し、結果としてノイズを防ぐ効果がある。
図11は、各フィルタ評価係数の特徴を示す図である。図11においては、各評価係数に対して、1度に評価できるフィルタの数、物体の分光反射率が考慮されているか否か、および、ノイズの低減が考慮されているか否かが示されている。
図11に示されるように、qファクタ(q-factor)は、1度に評価できるフィルタの数が「1個」のみであり、物体の分光反射率と、ノイズの低減が考慮されていない。また、μファクタ(μ-factor)は、1度に複数のフィルタを評価することができるものの、物体の分光反射率とノイズの低減は考慮されていない。さらに、FOMは、1度に複数のフィルタを評価することができ、物体の分光反射率が考慮されているものの、ノイズの低減が考慮されていない。
これに対して、4色カラーフィルタ61を決定する際に使用されるUMGは、1度に複数のフィルタを評価することができ、物体の分光反射率が考慮され、かつ、ノイズの低減も考慮されている。
なお、qファクタについては「H.E.J.Neugebauer "Quality Factor for Filters Whose Spectral Transmittances are Different from Color Mixture Curves, and Its Application to Color Photography" JOURNAL OF THE OPTICAL SOCIETY OF AMERICA, VOLUME 46, NUMBER 10」にその詳細が開示されており、μファクタについては「P.L.Vora and H.J.Trussell, "Measure of Goodness of a set of color-scanning filters", JOURNAL OF THE OPTICAL SOCIETY OF AMERICA, VOLUME 10, NUMBER 7」にその詳細が開示されている。また、FOMについては「G.Sharma and H.J.Trussell, "Figures of Merit for Color Scanners, IEEE TRANSACTION ON IMAGE PROCESSING, VOLUME 6」にその詳細が開示されており、UMGについては「S.Quan, N.Ohta, and N.Katoh, "Optimal Design of Camera Spectral Sensitivity Functions Based on Practical Filter Components", CIC, 2001」にその詳細が開示されている。
図8の説明に戻り、マイクロコンピュータ41は、所定の制御プログラムに従って全体の動作を制御する。例えば、マイクロコンピュータ41は、絞り43による露光制御、シャッター44の開閉制御、TG(Timing Generator)46の電子シャッターの制御、フロントエンド47でのゲインコントロール、カメラシステムLSI(Large Scale Integrated Circuit)48のモード制御、パラメータ制御等を行う。
絞り43は、レンズ42により集光された光の通過(絞り)を調整し、画像センサ45により取り込まれる光量を制御する。シャッター44は、マイクロコンピュータ41の指示に基づいて、レンズ42により集光された光の通過を制御する。
画像センサ45は、さらに、CCDやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)により構成される撮像素子を有し、その撮像素子の前面に形成する4色カラーフィルタ61を介して入射された光を電気信号に変換し、4種類の色信号(R信号,G1信号,G2信号,B信号)をフロントエンド47に出力する。画像センサ45には、図9の4色カラーフィルタ61が設けられ、レンズ42を介して入射された光から、R,G1,G2,Bのそれぞれの帯域の波長の成分(その詳細は、図18を参照して後述する)が抽出される。
フロントエンド47は、画像センサ45から供給されてきた色信号に対して、ノイズ成分を除去するための相関二重サンプリング処理、ゲインコントロール処理、およびディジタル変換処理等を施す。フロントエンド47により各種の処理が施され、得られた画像データは、カメラシステムLSI48に出力される。
カメラシステムLSI48は、後に詳述するように、フロントエンド47から供給されてきた画像データに対して各種の処理を行い、例えば、輝度信号および色信号を生成して画像モニタ50に出力し、信号に対応する画像を表示させる。
画像メモリ49は、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)やSDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)などにより構成され、カメラシステムLSI48が各種の処理を行う際に適宜利用される。半導体メモリ、ディスク等により構成される外部記憶媒体51は、例えば、図8のディジタルカメラに対して着脱可能に構成され、カメラシステムLSI48によりJPEG(Joint Photographic Expert Group)フォーマットで圧縮された画像データが記憶される。
画像モニタ50は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)などにより構成され、撮影された画像や各種のメニュー画面等を表示する。
図12は、図8のカメラシステムLSI48の構成例を示すブロック図である。カメラシステムLSI48を構成する各ブロックは、マイクロコンピュータインタフェース(I/F)73を介して、図8のマイクロコンピュータ41により制御される。
信号処理部71は、フロントエンド47から供給されてきた4種類の色情報に対して、補間処理、フィルタリング処理、マトリクス演算処理、輝度信号生成処理、色差信号生成処理等の各種の処理を行い、例えば、生成した画像信号をモニタインタフェース77を介して画像モニタ50に出力する。
画像検波部72は、フロントエンド47の出力に基づいて、オートフォーカス、オートエキスポージャー、オートホワイトバランス等の検波処理を行い、その結果を、適宜、マイクロコンピュータ41に出力する。
メモリコントローラ75は、処理ブロック間同士のデータの送受信、または、所定の処理ブロックと画像メモリ49との間のデータの送受信を制御し、例えば、信号処理部71から供給されてきた画像データをメモリインタフェース74を介して画像メモリ49に出力し、記憶させる。
画像圧縮・解凍部76は、例えば、信号処理部71から供給されてきた画像データをJPEGフォーマットで圧縮し、得られたデータをマイクロコンピュータインタフェース73を介して外部記憶媒体51に出力し、記憶させる。画像圧縮・解凍部76は、また、外部記憶媒体51から読み出された圧縮データを解凍(伸張)し、モニタインタフェース77を介して画像モニタ50に出力する。
図13は、図12の信号処理部71の詳細な構成例を示すブロック図である。信号処理部71を構成する各ブロックは、マイクロコンピュータインタフェース73を介して、マイクロコンピュータ41により制御される。
オフセット補正処理部91は、フロントエンド47から供給されてきた画像信号に含まれるノイズ成分(オフセット成分)を除去し、得られた画像信号をホワイトバランス補正処理部92に出力する。ホワイトバランス補正処理部92は、オフセット補正処理部91から供給されてきた画像信号の色温度、および4色カラーフィルタ61の各フィルタの感度の違いに基づいて、各色のバランスを補正する。ホワイトバランス補正処理部92により補正が施され、取得された色信号は、垂直方向同時化処理部93に出力される。垂直方向同時化処理部93にはディレイ素子が設けられており、ホワイトバランス補正処理部92から出力されてきた信号の垂直方向の時間のずれが同時化(補正)される。
信号生成処理部94は、垂直方向同時化処理部93から供給されてきたRG1G2Bの最小単位の2×2画素の色信号を、同一空間の位相に補間する補間処理、信号のノイズ成分を除去するノイズ除去処理、信号帯域を制限するフィルタリング処理、および信号帯域の高域成分を補正する高域周波数補正処理等を行い、得られたRG1G2B信号を、リニアマトリクス処理部95に出力する。
リニアマトリクス処理部95は、次式(1)に従って、所定のマトリクス係数(3×4の行列)に基づいて、RG1G2B信号の演算を行い、3色のRGB信号を生成する。
リニアマトリクス処理部95により生成されたR信号はガンマ補正処理部96−1に出力され、G信号はガンマ補正処理部96−2に出力され、B信号はガンマ補正処理部96−3に出力される。
ガンマ補正処理部96−1乃至96−3は、リニアマトリクス処理部95から出力されてきたRGB信号のそれぞれの信号に対してガンマ補正を行い、取得されたRGB信号を輝度(Y)信号生成処理部97および色差(C)信号生成処理部98に出力する。
輝度信号生成処理部97は、ガンマ補正処理部96−1乃至96−3から供給されてきたRGB信号を、例えば、次式(2)に従って、所定の合成比で合成し、輝度信号を生成する。
色差信号生成処理部98も同様に、ガンマ補正処理部96−1乃至96−3から供給されてきたRGB信号を所定の合成比で合成し、色差信号(Cb,Cr)を生成する。輝度信号生成処理部97により生成された輝度信号、および色差信号生成処理部98により生成された色差信号は、例えば、図12のモニタインタフェース77を介して画像モニタ50に出力される。
以上のような構成を有するディジタルカメラにおいて、画像の撮影が指示された場合、マイクロコンピュータ41は、TG46を制御し、画像センサ45により画像を取り込ませる。すなわち、画像センサ45を構成するCCDなどの撮像素子の前面に形成されている4色カラーフィルタ61により4色の光が透過され、透過された光がCCD撮像素子により取り込まれる。CCD撮像素子により取り込まれた光は、4色の色信号に変換され、それがフロントエンド47に出力される。
フロントエンド47は、画像センサ45から供給されてきた色信号に対して、ノイズ成分を除去するための相関二重サンプリング処理、ゲインコントロール処理、およびディジタル変換処理等を施し、得られた画像データをカメラシステムLSI48に出力する。
カメラシステムLSI48の信号処理部71においては、オフセット補正処理部91により色信号のオフセット成分が除去され、ホワイトバランス補正処理部92により、画像信号の色温度、および4色カラーフィルタ61の各フィルタの感度の違いに基づいて、各色のバランスが補正される。
また、垂直方向同時化処理部93により、ホワイトバランス補正処理部92により補正された信号の垂直方向の時間のずれが同時化(補正)され、信号生成処理部94により、垂直方向同時化処理部93から供給されてきたRG1G2Bの最小単位の2×2画素の色信号を、同一空間の位相に補間する補間処理、信号のノイズ成分を除去するノイズ除去処理、信号帯域を制限するフィルタリング処理、および信号帯域の高域成分を補正する高域周波数補正処理等が行われる。
さらに、リニアマトリクス処理部95においては、信号生成処理部94により生成された信号(RG1G2B信号)が、所定のマトリクス係数(3×4の行列)に基づいて変換され、3色のRGB信号が生成される。リニアマトリクス処理部95により生成されたR信号はガンマ補正処理部96−1に出力され、G信号はガンマ補正処理部96−2に出力され、B信号はガンマ補正処理部96−3に出力される。
ガンマ補正処理部96−1乃至96−3により、リニアマトリクス処理部95の処理により得られたRGB信号のそれぞれの信号に対してガンマ補正が行われ、取得されたRGB信号が輝度信号生成処理部97および色差信号生成処理部98に出力される。輝度信号生成処理部97、および色差信号生成処理部98においては、ガンマ補正処理部96−1乃至96−3から供給されてきたR信号、G信号、B信号のそれぞれの信号が所定の合成比で合成され、輝度信号および色差信号が生成される。輝度信号生成処理部97により生成された輝度信号、および色差信号生成処理部98により生成された色差信号は、図12の画像圧縮・解凍部76に出力され、例えば、JPEGフォーマットで圧縮される。圧縮され、得られた画像データは、マイクロコンピュータインタフェース73を介して外部記憶媒体51に出力され、記憶される。
以上のように、1つの画像データが4種類の色信号に基づいて形成されるため、その再現性は、人間の眼の見えにより近いものとなる。
一方、外部記憶媒体51に記憶されている画像データの再生(表示)が指示されたとき、マイクロコンピュータ41により、外部記憶媒体51に記憶されている画像データが読み出され、それがカメラシステムLSI48の画像圧縮・解凍部76に出力される。画像圧縮・解凍部76においては、圧縮されている画像データが伸張され、モニタインタフェース77を介して、得られたデータに対応する画像が画像モニタ50に表示される。
次に、図14のフローチャートを参照して、以上のような構成を有するディジタルカメラを作成する処理(手順)について説明する。
ステップS1において、図8の画像センサ45に設けられる4色カラーフィルタ61の分光感度特性を決定する4色カラーフィルタ決定処理が行われ、ステップS2において、図13のリニアマトリクス処理部95に設定されるマトリクス係数を決定するリニアマトリクス決定処理が行われる。ステップS1において実行される4色カラーフィルタ決定処理の詳細については、図15のフローチャートを参照して、また、ステップS2において実行されるリニアマトリクス決定処理の詳細については、図19のフローチャートを参照して、それぞれ後述する。
4色カラーフィルタ61が決定され、マトリクス係数が決定された後、ステップS3において、図13の信号処理部71が作成され、ステップS4に進み、図12のカメラシステムLSI48が作成される。また、ステップS5において、図8に示されるような画像処理装置(ディジタルカメラ)の全体が作成される。ステップS6において、ステップS5で作成されたディジタルカメラの画質(「色再現性」、「色判別性」)の評価が行われ、処理が終了される。
ここで、「色再現性」、「色判別性」などを評価する際に参照される物体色について説明する。物体色は「物体の分光反射率」、「標準照明の分光エネルギー分布」、および「物体を感知するセンサ(カラーフィルタ)の分光感度分布(特性)」の積を可視光領域(例えば、400乃至700nm)の範囲で積分した値によって算出される。すなわち、次の式(3)により物体色が算出される。
例えば、所定の物体を眼で観察する場合、式(3)の「センサの分光感度特性」が等色関数で表され、その物体の物体色は、X,Y,Zの三刺激値で表される。具体的には、Xの値は式(4−1)で算出され、Yの値は式(4−2)で算出され、Zの値は式(4−3)で算出される。なお、式(4−1)乃至(4−3)における定数kの値は式(4−4)で算出される。
また、ディジタルカメラなどの画像処理装置により、所定の物体の画像を取り込む場合、上式(3)の「センサの分光感度特性」がカラーフィルタの分光感度特性で表され、その物体の物体色は、フィルタの数の色値(例えば、RGBフィルタ(3種類)の場合はRGB値(3値))の物体色が算出される。画像処理装置に、3種類の色を検出するRGBフィルタが設けられている場合、具体的には、Rの値は式(5−1)で算出され、Gの値は式(5−2)で算出され、Bの値は式(5−3)で算出される。また、式(5−1)における定数krの値は式(5−4)で算出され、式(5−2)における定数kgの値は式(5−5)で算出され、式(5−3)における定数kbの値は式(5−6)で算出される。
次に、図15のフローチャートを参照して、図14のステップS1で行われる4色カラーフィルタ決定処理について説明する。
なお、4色カラーフィルタの決定方法としては様々な方法があるが、例えば、RGBフィルタを基調として(既存の(図1の)Gフィルタの一方をG1フィルタとして)、G1フィルタを透過する色と相関の高い色を透過するG2フィルタを選択し、それを追加して4色カラーフィルタを決定する処理について説明する。
ステップS21において、UMG値を算出するために使用されるカラーターゲットが選択される。例えば、ステップS21において、現存する色を代表するカラーパッチを多く含み、かつ、人間の記憶色(肌色、植物の緑、空の青等)を重視したカラーパッチを多く含むカラーターゲットが選択される。カラーターゲットとしては、例えば、IT8.7,Macbeth Color Checker,GretagMacbeth DigitalCamera Color Checker,CIE,Color Bar等がある。
また、目的に応じて、SOCS(Standard Object Color Spectra Database)などのデータから、標準となりうるカラーパッチを作成し、それを使用するようにしてもよい。なお、SOCSについては「田島譲二, "標準物体色分光データベース(SOCS)による統計的色再現評価", カラーフォーラムJAPAN 99」にその詳細が開示されている。以下、Macbeth Color Checkerがカラーターゲットとして選択された場合について説明する。
ステップS22において、G2フィルタの分光感度特性が決定される。分光感度特性として、実存する材料から作成可能なものを使用するようにしてもよいし、図16に示されるようなcubic spline曲線(3次スプライン関数)で仮想曲線C(λ)を想定し、仮想曲線C(λ)のピーク値λ0、値w(w1とw2の和を2で除算した値)、値Δw(w1からw2を減算した値を2で除算した値)を、図中に示す範囲で変化させたものを使用するようにしてもよい。なお、w,Δwの値は、半値幅の値に基づく値とされる。λ0,w,Δwの変化の方法は、例えば、5nm刻みとする。仮想曲線C(λ)は、それぞれの範囲において、下式(6−1)乃至(6−5)で表される。
なお、この例では、フィルタG2のみが追加されるが、図1のフィルタ(R,G,G,B)のRフィルタとBフィルタのみを使用し、残りの2つのG1,G2フィルタを、緑色付近の上式(6−1)乃至(6−5)の仮想曲線として定義することも可能である。また、同様に、RとGのみ、GとBのみを、図1のフィルタから使用するようにしてもよい。さらに、4色のフィルタのうち、3色を仮想曲線、または4色とも仮想曲線として定義することも可能である。
ステップS23において、追加するフィルタ(G2フィルタ)と、現存のフィルタ(Rフィルタ,G1フィルタ,Bフィルタ)が組み合わされ、4色カラーフィルタの最小単位(セット)が作成される。また、ステップS24において、ステップS23で作成された4色カラーフィルタに対して、フィルタ評価係数としてUMGが用いられ、UMG値が算出される。
図11を参照して説明したように、UMGを用いた場合、4色のそれぞれのカラーフィルタに対して1度で評価を行うことができる。また、物体の分光反射率を考慮して評価が行われるだけでなく、ノイズの低減性をも考慮して評価が行われる。UMGを用いた評価においては、それぞれのフィルタの分光感度特性に、適度な重なりがあるフィルタに対して高い評価が示されるため、例えば、Rの特性とGの特性が広い波長帯域にわたって重複する特性を有するフィルタ(それぞれの色信号を分離した際、ノイズが増幅されるフィルタ)に対して、高い評価が示されるということを抑制することができる。
図17は、3色カラーフィルタにおいて算出されるUMG値の例を示す図である。例えば、RGBの特性がそれぞれ重複しない図17Aに示されるような特性のフィルタにおいては、「0.7942」のUMG値が算出され、Rの特性とGの特性が広い波長帯域にわたって重複する図17Bに示されるような特性のフィルタにおいては、「0.8211」のUMG値が算出される。また、RGBのそれぞれの特性が適度に重なる図17Cに示されるような特性を有するフィルタにおいては、「0.8879」のUMG値が算出される。すなわち、RGBのそれぞれの特性が適度に重なる、図17Cに示されるような特性を有するフィルタに対して最も高い評価が示される。このことは、4色カラーフィルタにおいても同様である。なお、図17Aの曲線L31、図17Bの曲線L41、および図17Cの曲線L51はRの分光感度を、図17Aの曲線L32、図17Bの曲線L42、および図17Cの曲線L52はGの分光感度を、図17Aの曲線L33、図17Bの曲線L43、および図17Cの曲線L53はBの分光感度を、それぞれ表している。
ステップS25において、ステップS24で算出されたUMG値が、所定の閾値である「0.95」以上であるか否かが判定され、「0.95」未満であると判定された場合、ステップS26に進み、作成された4色カラーフィルタが却下される(使用されない)。ステップS26において、4色カラーフィルタが却下された場合、その後、処理は終了される(図14のステップS2以降の処理は実行されない)。
一方、ステップS25において、ステップS24で算出されたUMG値が「0.95」以上であると判定された場合、ステップS27において、その4色カラーフィルタが、ディジタルカメラで使用される候補のフィルタとされる。
ステップS28において、ステップS27で候補のフィルタとされた4色カラーフィルタが、現存する材料、染料で実現可能であるか否かが判定される。材料、染料等が取得困難である場合、実現不可能であると判定され、ステップS26に進み、その4色カラーフィルタが却下される。
一方、ステップS28において、材料、染料等が取得可能であり、実現可能であると判定された場合、ステップS29に進み、作成された4色カラーフィルタが、ディジタルカメラにおいて使用されるフィルタとして決定される。その後、図14のステップS2以降の処理が実行される。
図18は、ステップS29において決定された4色カラーフィルタの分光感度特性の例を示す図である。
図18において、曲線L61はRの分光感度を表し、曲線L62はG1の分光感度を表している。また、曲線L63はG2の分光感度を表し、曲線L64はBの分光感度を表している。図18に示されるように、G2の分光感度曲線(曲線L63)は、G1の分光感度曲線(曲線L62)に対して相関が高い。また、Rの分光感度、G(G1,G2)の分光感度、およびBの分光感度は、それぞれ適度な範囲において重複している。なお、図18に示される特性は、図5に示される3色カラーフィルタの特性に対して、G2の特性が付加されたものである。
以上のようにして決定された4色カラーフィルタを利用することにより、特に、「色再現性」のうちの「色の判別性」を改善させることができる。
なお、光の利用効率の観点から、以上のように、現存するRGBフィルタのGフィルタと相関の高いフィルタを、追加するフィルタ(G2フィルタ)とすることが好ましい。この場合、追加するフィルタの分光感度曲線のピーク値は、経験的に495乃至535nmの範囲(現存するGフィルタの分光感度曲線のピーク値の近傍)にあることが望ましい。
また、現存するGフィルタと相関の高いフィルタを追加する場合、図1の最小単位(R,G,G,B)を構成する2つのGフィルタのいずれか一方を追加色のフィルタにするだけで4色カラーフィルタを作成することができるため、作成の行程に大きな変更を加える必要がない。
以上のようにして4色カラーフィルタが作成され、それがディジタルカメラに設けられた場合、図13の信号処理装置71には4種類の色信号が信号生成処理部94から供給されるため、リニアマトリクス処理部95において、4色(R,G1,G2,B)の信号から3色(R,G,B)の信号を生成する変換処理が行われる。この変換処理は、輝度リニアな(輝度値を線形的な変換により表すことができる)入力信号値に対するマトリクス処理であるため、以下、リニアマトリクス処理部95において行われる変換処理を、適宜、リニアマトリクス処理と称する。
次に、図19のフローチャートを参照して、図14のステップS2において実行される、リニアマトリクス決定処理について説明する。
なお、図19の処理において使用されるカラーターゲットはMacbeth Color Checkerとし、また、使用される4色カラーフィルタは図18に示される分光感度特性を有するものとする。
ステップS41において、例えば、CIE(Commision Internationale del'Eclairange)において標準光源とされている一般的な昼光D65(照明光L(λ))が照明光として選択される。なお、照明光は、画像処理装置が頻繁に使用されることが予想される環境の照明光等に変更してもよい。また、想定される照明環境が複数ある場合、リニアマトリクスを複数用意することも考えられる。以下、照明光として昼光D65が選択された場合について説明する。
ステップS42において、リファレンス値(参照値)Xr,Yr,Zrが算出される。具体的には、リファレンス値Xrは式(7−1)により算出され、Yrは式(7−2)により算出され、Zrは式(7−3)により算出される。
また、定数kは式(8)により算出される。
次に、ステップS43において、4色カラーフィルタの出力値Rf,G1f,G2f,Bfが算出される。具体的には、Rfは式(9−1)により算出され、G1fは式(9−2)により算出され、G2fは式(9−3)により算出され、Bfは式(9−4)により算出される。
また、定数krは式(10−1)により算出され、定数kg1は式(10−2)により算出され、定数kg2は式(10−3)により算出され、定数kbは式(10−4)により算出される
ステップS44において、ステップS43で算出されたフィルタ出力値を、ステップS42で算出されたリファレンス値(XYZref)に近似させる変換を行うマトリクスが、例えば、XYZ色空間における誤差最小二乗法により算出される。
例えば、算出される、3×4のマトリクスを式(11)で表されるAとした場合、マトリクス変換(XYZexp)は、次の式(12)で表される。
また、リファレンス値に対するマトリクス変換(式(12))の誤差の2乗(E2)は、次の式(13)で表され、これに基づいてリファレンス値に対するマトリクス変換の誤差を最小にするマトリクスAが算出される。
また、誤差最小二乗法で使用する色空間を、XYZ色空間以外のものに変更するようにしてもよい。例えば、人間の知覚に対して均等なLab,Luv,Lch色空間(知覚均等色空間)に変換した後に同様の演算を行うことにより、知覚的な誤差の少ない色の再現を可能にするリニアマトリクスを算出することができる。なお、これらの色空間の値は、XYZ値から非線形な変換によって算出されるため、誤差最小二乗法においても非線形な計算アルゴリズムが使用される。
上述したような演算により、例えば、図18の分光感度特性を有するフィルタに対するマトリクス係数として式(14)で表されるものが算出される。
ステップS45において、リニアマトリクスが決定される。例えば、作成される最終のRGB画像データが次の式(15)で表されるとした場合、リニアマトリクス(LinearM)は、以下のようにして算出される。
すなわち、照明光がD65である場合、sRGB色空間をXYZ色空間に変換する変換式はITU-R709.BTマトリクスを含む式(16)で表され、そのITU-R709.BTマトリクスの逆マトリクスにより式(17)が算出される。
式(12)のマトリクス変換式、式(15)および式(17)のITU-R709.BTマトリクスの逆マトリクスにより、式(18)が算出される。式(18)の右辺には、ITU-R709.BTマトリクスの逆マトリクスと、上述したマトリクスAを乗算した値としてのリニアマトリクスが含まれる。
すなわち、3×4のリニアマトリクス(LinearM)は式(19−1)により表され、例えば、式(14)のマトリクス係数が用いられる、図18の分光分布特性を有する4色カラーフィルタに対するリニアマトリクスは、式(19−2)により表される。
以上のようにして算出されたリニアマトリクスが、図13のリニアマトリクス処理部95に与えられる。これにより、輝度を線形変換により表すことができる信号(R,G1,G2,B)に対してマトリクス処理を行うことができるので、図2に示される信号処理部11における処理のように、ガンマ処理を施した後に得られる信号に対してマトリクス処理を行う場合に較べて、色彩工学的に、より忠実な色を再現させることができる。
次に、図14のステップS6において行われる評価について説明する。
以上のようにして作成された、例えば、図18の分光感度特性を有する4色カラーフィルタが設けられた画像処理装置(図8のディジタルカメラ)の色再現性と、図1に示される3色カラーフィルタが設けられる画像処理装置の色再現性を比較した場合、以下のような差が現れる。
例えば、マクベスチャートを2種類の画像入力装置(4色カラーフィルタが設けられるディジタルカメラと、3色カラーフィルタが設けられるディジタルカメラ)で撮像したときの出力値とリファレンス値とのLab色空間における色差が次の式(20)によりそれぞれ算出される。
図20は、式(20)による算出結果を示す図である。図20に示されるように、3色カラーフィルタが設けられるディジタルカメラの場合は色差が「3.32」であるのに対して、4色カラーフィルタが設けられるディジタルカメラの場合は「1.39」であり、「色の見え方」は4色カラーフィルタが設けられたディジタルカメラの方が優れている(色差が小さい)。
また、図21は、図6の分光反射率を有する物体R1と物体R2を、4色カラーフィルタが設けられたディジタルカメラにより撮影した場合のRGB値を示す図である。
図21においては、物体R1のR値が「49.4」、G値が「64.1」、B値が「149.5」とされ、物体R2のR値が「66.0」、G値が「63.7」、B値が「155.6」とされている。従って、上述したように、3色カラーフィルタで撮影した場合、そのRGB値は図7Bに示されるものとなり、それぞれの物体の色が識別されていないのに対して、4色カラーフィルタにおいては、物体R1と物体R2のRGB値はそれぞれ異なる値となり、眼で見た場合(図7A)と同様に、それぞれの物体の色が識別されていることが図21により表されている。すなわち、4種類の色を識別できるフィルタを設けることにより、「色の判別性」が改善されている。
以上においては、4色カラーフィルタ61は、図9に示されるように、G1フィルタの左右にBフィルタが設けられるとともに、G2フィルタの左右にRフィルタが設けられるような配列により構成されるとしたが、図22に示されるような配列により構成されるようにしてもよい。図22に示される4色カラーフィルタ61においては、G1フィルタの左右にRフィルタが設けられるとともに、G2フィルタの左右にBフィルタが設けられている。4色カラーフィルタ61をこのように構成することによっても、図9に示されるものと同様に、「色の判別性」、「色の再現性」および「ノイズの低減性」を向上させることができる。
45 画像センサ, 61 4色カラーフィルタ, 71 信号処理部, 94 信号生成処理部, 95 リニアマトリクス処理部
Claims (7)
- 3原色の第1乃至第3の光、および前記3原色の前記第1乃至第3の光のうちの前記第2の光と高い相関を有する第4の光を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出された前記第1乃至第4の光を、対応する第1乃至第4の色信号に変換する変換手段と、
前記変換手段による変換によって得られた前記第1乃至第4の色信号に基づいて、前記3原色に対応する第5乃至第7の色信号を生成する生成手段と、
前記生成手段により生成された前記第5乃至第7のそれぞれの色信号に対して、ガンマ補正を施すガンマ補正手段と
を備える画像処理装置の製造方法において、
前記変換手段を用意する第1のステップと、
3原色の第1乃至第3の光、および前記3原色の前記第1乃至第3の光のうちの前記第2の光と高い相関を有する第4の光を抽出する前記抽出手段を、前記第1のステップの処理により用意された前記変換手段の前面に生成する第2のステップと
を含むことを特徴とする製造方法。 - 前記第1乃至第4の光を抽出する前記抽出手段は、前記第1乃至第4の光をそれぞれ抽出する第1乃至第4の抽出部で構成される単位を有し、前記第2の光と前記第4の光をそれぞれ抽出する前記第2の抽出部と前記第4の抽出部は、前記単位において対角に位置する
請求項1に記載の画像処理装置の製造方法。 - 前記第2の抽出部および前記第4の抽出部は、輝度信号の視感度特性に近似する分光感度特性を有する
請求項2に記載の画像処理装置の製造方法。 - 前記3原色の第1乃至第3の光は、赤、緑、または青の光であり、前記第4の光は、緑の光である
請求項1に記載の画像処理装置の製造方法。 - 前記信号生成手段は、所定のカラーパッチに基づいて算出される参照値と、前記カラーパッチに基づいて前記抽出手段の分光感度特性により算出される出力値の、XYZ色空間における差を最小にするものとして与えられる変換式に基づいて前記第5乃至第7の色信号を生成する
請求項1に記載の画像処理装置の製造方法。 - 前記信号生成手段は、所定のカラーパッチに基づいて算出される参照値と、前記カラーパッチに基づいて前記抽出手段の分光感度特性により算出される出力値の、知覚均等色空間における差を最小にするものとして与えられる変換式に基づいて前記第5乃至第7の色信号を生成する
請求項1に記載の画像処理装置の製造方法。 - 前記信号生成手段は、所定のカラーパッチに基づいて算出される参照値と、前記カラーパッチに基づいて前記抽出手段の分光感度特性により算出される出力値の、色分解のための伝播ノイズを最小にするものとして与えられる変換式に基づいて前記第5乃至第7の色信号を生成する
請求項1に記載の画像処理装置の製造方法。
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