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JP2007264408A - 光学素子の製造方法 - Google Patents

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JP2007264408A
JP2007264408A JP2006091084A JP2006091084A JP2007264408A JP 2007264408 A JP2007264408 A JP 2007264408A JP 2006091084 A JP2006091084 A JP 2006091084A JP 2006091084 A JP2006091084 A JP 2006091084A JP 2007264408 A JP2007264408 A JP 2007264408A
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Shigekazu Sakai
繁一 坂井
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Konica Minolta Inc
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Abstract

【課題】外界の温度変化に応じて生じる形状変化を低減し、接着耐久性を向上させ、光学素子の品質の向上を図ること。
【解決手段】線膨張係数が等しい素材で形成されている第1光学基材と第2光学基材L2とを接着してホログラム光学素子を製造する光学素子の製造方法において、接着されるべき第1光学基材及び第2光学基材を互いに略等しい熱的条件下において形成するために、第1光学基の熱エネルギー量と等しくなるように第2光学基材を加熱して、第1光学基材及び第2光学基材に与えられた熱エネルギー量が等しくなるように加熱する第2光学基材加熱工程を含む光学素子の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、光学素子の製造方法に関する。
近年、複数の部材を接着することにより一体化して光学素子を製造する製造方法が開発されている。
例えば、一部領域に回折格子を有する光学素子を製造する方法としては、2つのプリズムと、このプリズムの斜面間に配置される平行平板から構成される光学素子であって、プリズムの斜面とプリズム斜面と接する平行平板の面の何れか一方に回折格子を施し、プリズム斜面と平行平板とを接着剤により接着する方法が開示されている(特許文献1参照)
特開平10−39120号公報
しかしながら、特許文献1のように、少なくとも一方の部材に回折格子を形成するための処理等の何らかの処理が施されている場合には、各部材に与えられた熱エネルギー量が異なっている場合がある。
与えられた熱エネルギー量に応じて部材内部の残留応力が異なることから、接着する前までに与えられた熱エネルギー量が異なる部材を接着して一体化させると、外界の温度変化に応じて各部材内部の残留応力が解放されて部材の形状が変化し、温度変化前後では形状が異なる場合が生じる。このような形状変化に起因して、接着されていた部材間に隙間が生じたり接着剤が剥離したりして接着部分に破壊が生じ、一体化されていた部材が分離するという問題が生じる恐れがある。
特に、近年開発されている頭部等の身体の一部に装着するヘッドマウント型(頭部装着型)や眼鏡型等の映像表示装置(ウェアラブルディスプレイ:Wearable Display)に設けられている光学素子として、ホログラム光学素子(HOE:Holographic Optical Element)が設けられており、表示ユニットから照射された映像光がホログラム光学素子により回折・反射されることにより、装着者の瞳に映像光が入射されるようになっている。
図4に、ホログラム光学素子の一例を示す。
図4に示すように、ホログラム光学素子Lは、ホログラム素子2が形成された第1光学基材L1と、第1光学基材L1と接合するための凹欠部が形成されたコの字型の第2光学基材L2と、が接着されることで一体化され、ひとつのホログラム光学素子Lとして製造される。
図4に示すようなホログラム光学素子Lは、接着される面が複数であり形状が複雑であることから、第1光学基材L1に与えられた熱エネルギー量と第2光学基材L2に与えられた熱エネルギー量とに差が生じている状態で接着して一体化すると、外界の温度変化に応じて接着面110a、110b、110cに破壊が生じ、一体化されていた第1光学基材L1と第2光学基材L2とが分離してしまう怖れがあり、ホログラム光学素子Lの品質の低下を招く怖れがある。
従って、本発明の課題は上述した問題に鑑みて、外界の温度変化に応じて生じる形状変化を低減し、接着耐久性を向上させ、光学素子の品質の向上を図ることである。
請求項1に記載の発明は、複数の部材を接着して光学素子を製造する光学素子の製造方法において、接着されるべき前記複数の部材を互いに略等しい熱的条件下において形成する加熱工程を含む光学素子の製造方法であること、を特徴としている。
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の光学素子の製造方法において、前記部材は、線膨張係数が等しい素材で形成されていること、を特徴としている。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2記載の光学素子の製造方法において、前記加熱工程は、前記部材毎に与えられた熱エネルギー量が等しくなるように加熱すること、を特徴としている。
請求項4に記載の発明は、請求項3記載の光学素子の製造方法において、前記加熱工程は、前記部材毎に与えられた熱エネルギー量が異なっている場合、最も与えられた熱エネルギー量が高い前記部材の熱エネルギー量と等しくなるように他の前記部材を加熱すること、を特徴としている。
請求項5に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の光学素子の製造方法において、前記加熱工程は、前記部材を加熱する際、前記部材毎の熱履歴が等しくなるように加熱すること、を特徴としている。
請求項6に記載の発明は、請求項1又は2記載の光学素子の製造方法において、前記加熱工程は、前記部材毎に与えられた熱エネルギー量が異なっている場合、最も与えられた熱エネルギー量が大きい前記部材の熱エネルギー量が、加熱前後の形状変化率が一定である熱エネルギー量の範囲内である場合には、他の前記部材に対して、当該加熱前後の形状変化率が一定である熱エネルギー量の範囲内の熱エネルギー量を与えること、を特徴としている。
請求項1に記載の発明によれば、接着されるべき複数の部材は、互いに略等しい熱的条件下において形成する加熱工程を経ることにより、各部材に与えられる熱エネルギー量を略等しくすることができ、接着前の各部材内部の残留応力を等しくすることができる。従って、接着され一体化された後に外界の温度変化に応じて各部材内部の残留応力が解放されても、各部材に同一の形状変化を生じさせることができることから、接着されていた部材間に隙間が生じたり接着剤が剥離したりして接着部分に破壊が生じたりして、一体化されていた部材が分離するという問題が生じる恐れを低減することができる。このようなことから、外界の温度変化に応じて生じる形状変化を低減し、接着耐久性を向上させ、光学素子の品質の向上を図ることができる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1と同様の効果を得られるのは勿論のこと、各部材を形成する素材が互いに線膨張係数が等しい素材であることから、外界の温度変化に応じた形状変化を等しくすることができる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2と同様の効果を得られるのは勿論のこと、接着されるべき各部材に与えられる熱エネルギー量を等しくすることにより、接着前の各部材内部の残留応力を等しくすることができる。従って、接着され一体化された後に外界の温度変化に応じて各部材内部の残留応力が解放されても、一体化されていた部材が分離するという問題が生じる恐れを低減することができる。
請求項4に記載の発明によれば、請求項3と同様の効果を得られるのは勿論のこと、最も熱エネルギー量が高い部材の熱エネルギー量と等しくなるように他の前記部材を加熱することにより、接着されるべき各部材に与えられた熱エネルギーを等しくすることができる。
請求項5に記載の発明によれば、請求項1から3のいずれか一項と同様の効果を得られるのは勿論のこと、各部材の熱履歴が等しくなるように加熱することにより、接着されるべき各部材に与えられた熱エネルギーを等しくすることができると共に、各部材の内部構造を等しくすることができ、各部材の品質を均一化することができる。
請求項6に記載の発明によれば、請求項1又は2と同様の効果を得られるのは勿論のこと、最も熱エネルギー量が大きい部材に与えられた熱エネルギー量が、加熱前後の形状変化率が一定である熱エネルギー量の範囲内である場合には、他の前記部材に対して、当該加熱前後の形状変化率が一定である熱エネルギー量の範囲内の熱エネルギー量を与えることにより、接着されるべき各部材の残留応力を等しくすることができる。
以下、図を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明の実施の形態は、本発明の光学素子の製造方法をホログラム素子が形成されたホログラム光学素子の製造方法に適用した例について説明するが、発明の範囲は図示例に限定されないものとする。
まず、図1を参照して、ホログラム光学素子の製造工程について説明する。なお、本実施の形態では、眼鏡型の映像表示装置に適用可能なホログラム光学素子を製造する例を示す。図1に示すように、ホログラム光学素子は、第1光学基材及び第2光学基材を所定の形状に形成し、第1光学基材の一端に傾斜面を形成する光学基材加工工程(A)と、第1光学基材の一端に形成された傾斜面にホログラム素子を形成する光学基材形成工程(B)と、第1光学基材を第2光学基材に一体化させる一体化工程(C)と、を経て製造される。
以下、各工程について詳細に説明する。
尚、説明の簡便上、ホログラム光学素子を眼鏡フレームに装着し、眼鏡フレームをヒトが装着した際の眼がある方向を背面方向、ヒトが見える像がある方向を正面方向と定義する。また、ホログラム光学素子の上下方向をY方向、左右方向をX方向、厚み方向をZ方向と定義する。
A.光学基材加工工程
光学基材加工工程は、図1に示したように、第1光学基材加工工程(A−1)、第2光学基材加工工程(A−2)を含み、それぞれ射出成形金型工程、射出圧縮成形工程、切削工程、研磨工程などから構成されている。
第1光学基材加工工程(A−1)は、第1光学基材L1の一端に、ホログラム感材を貼付けてホログラム素子に形成する傾斜面を形成し、第2光学基材加工工程(A−2)は、第2光学基材L2の形状を第1光学基材L1の外形形状に対応して形成する。
図2に第1光学基材L1及び第2光学基材L2の外観形状の一例を示す。
図2に示すように、第1光学基材L1は、第1光学基材L1の外部形状の下方向及び両側面方向の面には、第2光学基材L2の凹欠部106に嵌合する際に接合する外周面102a、102b、102cが形成されている。外周面102aは、上面102d側から投射された表示ユニットからの映像光を後述するホログラム素子を介して使用者の眼に導くことができるよう予め設定された傾斜角度で傾斜し、ホログラム感材20が貼り付けられる傾斜面として形成され、外周面102b、102cは、第2光学基材L2の内周面105b、105cの形状に対応して形成されている。
第2光学基材L2は、中央部付近に第1光学基材L1の外形形状の外周面102a、102b、102cに対応する凹欠部106が形成される。この凹欠部106は、外周面102a、102b、102cとそれぞれ接合できるように対応する内周面105a、105b、105cから形成される。
なお、外周面102b、102c及び内周面105b、105cの各面は、第1光学基材L1が第2光学基材L2の凹欠部106に嵌合することができれば、平面状、曲面状等のいずれの形状でもよく、外周面102b、102c及び内周面105b、105cの各面を瞳から扇状に広がるように傾斜させて形成することが好ましい。
また、凹欠部106の形状は特に限定されないが、多角及び/又は半円形状であることが好ましい。このことによって、第1光学基材L1と第2光学基材L2との接着力を強化することができる。
第1光学基材L1及び第2光学基材L2を形成する素材としては、光透過性のガラスや樹脂等を使用することができるが、互いに線膨張係数が等しい素材により形成される。
第1光学基材L1及び第2光学基材L2を形成する素材が互いに線膨張係数が等しい素材であることから、外界の温度変化に応じた形状変化を等しくすることができる。
ガラスとしては、その材質に制限ないが、ソーダライムガラス、ホウ珪酸ガラス、超高純度ガラス、クリスタルガラス等を挙げることが出来、これらは好ましく用いることができる。
また、樹脂の材質としては、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースアセテートプロピオネートまたはセルロースアセテートブチレートのようなセルロースエステル、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートのようなポリエステル、ポリエチレンやポリプロピレンのようなポリオレフィン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコールコポリマー、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネイト、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリエーテルイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ポリメチルアクリレート、アクリレートコポリマー等を挙げることができる。
B.光学基材形成工程
次に、光学基材形成工程(B)について説明する。光学基材形成工程は、図1に示したように、積層シート形成工程(B−1)、切断工程(B−2)、貼付工程(B−3)、露光工程(B−4)、加熱工程(B−5)を含み、第1光学基材L1の第1外周面102aにホログラム感材20を貼り付け、ホログラム感材20をホログラム素子2に形成する。
B−1.積層シート形成工程
積層シート形成工程では、一対の保護シートの間にホログラム感材が互いに剥離可能に接着されて断面サンドイッチ状に形成された積層シートを生成する。なお、予め目的に応じた積層シートがある場合には、積層シート形成工程を省略してもよい。
本実施の形態に用いられる積層シートは4層構造であり、下から順に第1保護シートであるカバーシート、ホログラム感材、第3保護シートであるバリアシート及び第2保護シートであるベースシートからなる。これらのシート間には、シート間を密着させると共に剥離可能な粘着剤が塗布されている。
B−2.切断工程
切断工程では、積層シートに切断機構(図示省略)を用いて島状部の切り込みを入れる。島状部の切り込み輪郭線は半切断部及び切断部により構成されている。以下、各島状部周辺の積層シートを梯子状部という。なお、島状部の形状は多角形状、楕円形状等としてもよいが、第1光学基材L1の外周面102aに対応する形状が好ましく、このような形状とすることによりホログラム素子がズレのない映像を形成することができる。
カバーシート、バリアシート、ベースシートの素材としては、例えば、プラスチック、ガラス、金属等が挙げられる。状況に応じてロール状や平坦状にすることができる可撓性があり、内部のホログラム感材に傷を与えにくい強度をもつ、紙又はプラスチックがよい。ここで、プラスチックとしては、例えば、ポリエステル、ポリスチレン、ポリガーボネイト、ポリエーテルスルフォン、ポリイミド、ポリシクロペンタジエン、ポリノルボルネン、ナイロン、セルロースアセテート等が挙げられる。
B−3.貼付工程
貼付工程は、まず、積層シートのカバーシートが剥離されると、貼付機構によりホログラム感材の島状部を他方の保護シートであるベースシートに付着させた状態で第1光学基材L1の外周面102aに貼り付けるために加圧される。貼付機構は、貼り付けローラ、貼り付けローラを支持する支持部材、貼り付けローラの加圧を調整する弾性部材、ローラ軸等により構成される。貼り付けローラの中心には、貼り付けローラを回転させるためのローラ軸が設けられている。このローラ軸の両側には、貼り付けローラを支持する支持部材が設けられ、この支持部材の中央部には、弾性部材が設けられている。この弾性部材により、ベースシートを介してホログラム感材の島状部を上方から加圧する際にこの加圧を調整することが可能となっている。
貼り付けの際は、ホログラム感材の島状部のみが第1光学基材L1の外周面102aに貼り付く位置に配置し、ベースシートの上方にある貼り付けローラによりベースシートの方向からホログラム感材の島状部及び第1光学基材L1の外周面102aを密着させるように加圧しながら順逆に転動させる。このことにより、ホログラム感材の島状部と第1光学基材L1の外周面102aとが密着する。そして、第1光学基材L1の外周面102aにホログラム感材の島状部を残し、保護シートであるベースシート及びホログラム感材の梯子状部が剥離される。
B−4.露光工程
露光工程は、第1光学基材L1の外周面102aに貼付されたホログラム感材の島状部に対してレーザ発信器から射出した参照光及び物体光によってレーザ露光を行う。レーザ発信器から射出したレーザ光を可変ビームスプリッタにより参照光と物体光とに分光し、各種ミラーによってホログラム感材の島状部の主面に入射する。このことにより、ホログラム感材の島状部上における所定の位置に参照光と物体光との干渉によって生じる干渉縞がホログラム感材の島状部の感光層に屈折率の変化として記録されホログラム素子が形成される。
露光工程で用いる露光機構は、レーザ光を照射するレーザ露光部等により構成される。レーザ露光部には、ホログラム感材の島状部の表裏に干渉縞を露光するRGBのレーザ発信器及びレーザ発信器からのレーザをホログラム感材の島状部の所定位置にレーザ光で露光するための反射鏡、シャッター、ビームスプリッタ等が備えられている。
B−5.加熱工程
加熱工程B−5は、図1に示したように、第1光学基材加熱工程(B−5a)、第2光学基材加熱工程(B−5b)を含む。
B−5a.第1光学基材加熱工程
第1光学基材加熱工程は、露光工程(B−4)が終了した後にホログラム素子による屈折率変調を大幅に高める工程である。この工程では、恒温器によりホログラム素子が形成された第1光学基材L1を、予め設定された温度(例えば、85℃前後の温度)に保たれた加熱装置に投入して所定時間(例えば、6時間程度)加熱を行う。
このように、干渉縞が記録されたホログラム素子を加熱することにより、この干渉縞による回折効率を向上させることができ、反射(回折)される映像の鮮鋭度の向上や高画質化を実現することができる。ここで、加熱温度は、第1光学基材L1及びホログラム素子の組成に変化が生じない温度であることが好ましく、第1光学基材L1のガラス転移温度以下、又は、第1光学基材L1及びホログラム素子のガラス転移温度のうち最も低い温度以下であることが好ましい。なお、本実施の形態における第1光学基材加熱工程では、後者の第1光学基材L1及びホログラム感材のガラス転移温度のうち最も低い温度以下で加熱するものとする。
第1光学基材L1は、光学基材加工工程を経た後から一体化工程前までにホログラム素子による屈折率変調を大幅に高めるため、第1光学基材加熱工程において加熱される必要がある。従って、第1光学基材L1は第2光学基材L2に比べて与えられる熱エネルギー量が高くなってしまい、第1光学基材L1と第2光学基材L2とにそれぞれ与えられた熱エネルギー量に差が生じてしまう。この熱エネルギー量の差が生じたまま第1光学基材L1と第2光学基材L2とが一体化工程後を経ると、外界の温度変化に応じて形状変化が生じ、接着耐久性が低下して、光学素子の品質が低下する怖れがある。
そこで、本実施の形態では、加熱工程に第2光学基材加熱工程を含み、この問題の解決を図るものとする。
B−5b.第2光学基材加熱工程
第2光学基材加熱工程は、接着されるべき第1光学基材L1及び第2光学基材L2を互いに略等しい熱的条件下において形成する加熱工程である。
接着されるべき第1光学基材L1及び第2光学基材L2を互いに略等しい熱的条件下において形成するために、与えられる熱エネルギー量が最も高い光学基材(第1光学基材L1)の熱エネルギー量と等しくなるように他の光学基材(第2光学基材L2)を加熱し、第1光学基材L1及び第2光学基材L2にそれぞれ与えられた熱エネルギー量が等しくなるように第2光学基材を加熱する。
なお、第2光学基材L2を加熱して第1光学基材L1と等しい熱エネルギー量を与える際の温度の上限値は、第2光学基材L2の素材の物性(軟化点)に応じて制限されるものであり、この温度の上限値と第1光学基材L1に与えられた熱エネルギー量に基づいて加熱時間を設定する。
即ち、第1光学基材L1に与えられる熱エネルギー量と等しくなるように第2光学基材L2を加熱することにより、接着されるべき第1光学基材L1及び第2光学基材L2に与えられた熱エネルギーを等しくすることができ、接着前の第1光学基材L1及び第2光学基材L2内部の残留応力を等しくすることができる。従って、接着され一体化された後に外界の温度変化に応じて各部材内部の残留応力が解放されても、一体化されていた第1光学基材L1及び第2光学基材L2が分離するという問題が生じる恐れを低減することができる。
更に、第2光学基材加熱工程においては、第1光学基材L1の熱エネルギー量と等しくなるように第2光学基材L2を加熱する際、第1光学基材L1及び第2光学基材L2夫々の熱履歴(時間経過に伴う温度変化)が等しくなるように加熱することが好ましい。
例えば、第2光学基材加熱工程は、第1光学基材L1が第1光学基材加熱工程を経る際、第2光学基材L2を第1光学基材L1と同時に加熱装置内に投入し、第1光学基材L1と同一温度条件及び同一時間で加熱して、第1光学基材L1と第2光学基材L2との熱履歴を等しくする。
第1光学基材L1及び第2光学基材L2の熱履歴(時間経過に伴う温度変化)が等しくなるように加熱することにより、接着されるべき第1光学基材L1及び第2光学基材L2に与えられた熱エネルギーを等しくすることができると共に、各部材の内部構造を等しくすることができ、各部材の品質を均一化することができる。
B−5b.第2光学基材加熱工程の他の例
また、第2光学基材加熱工程は、最も与えられた熱エネルギー量が高い光学基材(第1光学基材L1)の熱エネルギー量が、加熱前後の形状変化率が一定となる熱エネルギー量の範囲内である場合、他の光学基材(第2光学基材L2)に対して、この加熱前後の形状変化率が一定である熱エネルギー量の範囲内の熱エネルギー量を与えることとしてもよい。
なお、加熱前後の形状変化率が一定である熱エネルギー量の範囲内の熱エネルギー量を与える際の温度の上限値は、第1光学基材L1及び第2光学基材L2の素材の物性(軟化点)に応じて制限される。
以下に、第1光学基材L1に与えられた熱エネルギー量が、加熱前後の形状変化率が一定となる熱エネルギー量の範囲内である場合、第2光学基材L2に対し与え得る熱エネルギー量の推定の例を説明する。
図3に、第2光学基材L2の熱エネルギー量に対する形状変化率のグラフの例を示す。
図3に示すグラフは、第2光学基材L2の素材にPMMAを用いた場合のグラフの例である。横軸は、加熱時間を所定時間(ここでは1時間)に設定して加熱温度を変化させた際の熱エネルギー量[℃・h]を示し、縦軸は、形状変化率として各熱エネルギー量が与えられて加熱された加熱前後の凹欠部106の開口幅Wの変化率[%]を示すものである。
図3に示すように、第2光学基材L2は、熱エネルギー量が増加するに伴って形状変化率も大きくなるが、熱エネルギー量が70[℃・h]付近を過ぎると形状変化率は一定となる。これは、第2光学基材L2内の残留応力を除去するために必要な熱エネルギー量が与えられたことを示すものである。また、第1光学基材L1と第2光学基材L2とが同一の線膨張係数の素材にて形成されることから、第1光学基材L1の熱エネルギー量に対する形状変化率も図3と略等しくなる。
従って、第1光学基材及び第2光学基材L2の素材の物性に基づいて加熱可能な上限温度が100[℃]である場合、加熱前後の形状変化率が一定となる熱エネルギー量の範囲としては、70〜100[℃・h]として推定することができる。
そこで第1光学基材L1に与えられた熱エネルギー量が、加熱前後の形状変化率が一定となる熱エネルギー量の範囲内(ここでは、70〜100[℃・h])である場合、第2光学基材L2に対して、第1光学基材L1に与えられた熱エネルギー量と等しい熱エネルギー量を与えることに替えて、この加熱前後の形状変化率が一定である熱エネルギー量の範囲内の熱エネルギー量を与えることとしてもよい。
即ち、第1光学基材L1に与えられた熱エネルギー量が、加熱前後の形状変化率が一定となる熱エネルギー量の範囲内(ここでは、70〜100[℃・h])である場合には、第2光学基材L2に対して、第1光学基材L1に与えられた熱エネルギー量と等しい熱エネルギー量を与える場合と、この加熱前後の形状変化率が一定である熱エネルギー量の範囲内の熱エネルギー量を与える場合とは、残留応力を除去して接着されるべき第1光学基材L1及び第2光学基材L2の残留応力を等しくすることができるという共通の作用を奏し、一体化工程後に外界の温度変化に応じて形状変化が生じたり接着耐久性が低下したりして光学素子の品質が低下する怖れが無くなるという同様の効果を得ることができる。
C.一体化工程
次に、第1光学基材L1を第2光学基材L2に一体化させる一体化工程について説明する。一体化工程は、図1に示したように、第2光学基材L2の凹欠部106に光硬化型接着剤を塗布する接着剤塗布工程(C−1)、第1光学基材L1の外周面102a、102b、102cを第2光学基材L2の凹欠部106に嵌合させた状態で接合する接合工程(C−2)、第1光学基材L1と第2光学基材L2との接合面にはみ出した光硬化型接着剤を除去する接着剤除去工程(C−3)、第1光学基材L1と第2光学基材L2との接合面に光を照射し光硬化型接着剤を硬化させる硬化工程(C−4)等を含んでいる。以下、一体化工程の各工程について説明する。
C−1.接着剤塗布工程
接着剤塗布工程は、第2光学基材L2の凹欠部106に光硬化型接着剤を塗布する。このときの光硬化型接着剤の塗布量は、第1光学基材L1と第2光学基材L2とを圧接した際に、接合面からはみ出る量の十分な量とする。
なお、本実施の形態における接着剤塗布工程においては、第2光学基材L2の凹欠部106に光硬化型接着剤を塗布する工程としたが、第1光学基材L1の外周面102a、102b、102cに光硬化型接着剤を塗布する工程としてもよく、第1光学基材L1の接合外周面102a、102b、102c又は/及び第2光学基材L2の凹欠部106に光硬化型接着剤を塗布する工程であればよい。
光硬化型接着剤としては、硬化したときに第1光学基材L1及び第2光学基材L2の屈折率と同程度の屈折率を有するものが好ましく、特に紫外線硬化型接着剤が好ましい。
紫外線硬化型接着剤は、紫外線などの光エネルギーを照射することによって硬化するとともに、第1光学基材L1及び第2光学基材L2の光屈折率の範囲のものを選択することができるため好ましく、第1光学基材L1及び第2光学基材L2の表面を侵食しにくいため好ましい。
紫外線硬化型接着剤としては、重合性モノマーとして、ビニル系、アクリル系、又はメタクリル系等で分子内に少なくとも1つ以上二重結合を有するものを用いることができる。具体的には単官能モノマーとしてアクリル酸、メタクリル酸の他にアクリル酸メチル、アクリル酸エチル等のアルキルアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル若しくはそれらのヒドロキシ化合物等も含むアルキルメタクリル酸エステル類、又はスチレンモノマー、アクリルニトリルモノマー等を用いることができる。また、多官能モノマーとしてエチレングリコールジメタクリレート等のアクリル系やジアリルフタレート等のアリル系等があり、重合硬化過程で架橋構造が得られ接着部の耐久性や熱安定性を改良することができるものを用いることが好ましい。
紫外線硬化型接着剤に添加される光重合剤としては、通常の紫外線によってラジカル重合できるものであればよく、アセトフェノン系、ネンゾフェニル系、ベンゾイン系、チオキサンソン系、アジルフォスフィンオキサイド系の化合物が挙げられる。
紫外線硬化型接着剤の具体例としては、第1光学基材L1及び第2光学基材L2の屈折率の範囲に含まれるNorland社製品NOAシリーズ又はEMI社製品OPTOCAST3400シリーズなどを挙げることができる。
C−2.接合工程
接合工程は、第1光学基材L1又は第2光学基材L2の少なくとも一方を正面方向又は背面方向に移動させ、第1光学基材L1の外周面102a、102b、102cと第2光学基材L2の凹欠部106とを組み合わせて嵌合させ接合させる。この接合時において、外周面102a、102b、102cと凹欠部106とが密着するように圧接させ、余剰な光硬化型接着剤をはみ出させる。
以下、第1光学基材L1の外周面102aと第2光学基材L2の内周面105aとが接着された面を接着面110a、第1光学基材L1の外周面102bと第2光学基材L2の内周面105bとが接着された面を接着面110b、第1光学基材L1の外周面102cと第2光学基材L2の内周面105cとが接着された面を接着面110cとする。
C−3.接着剤除去工程
接着剤除去工程は、第1光学基材L1と第2光学基材L2との接着面からはみ出した光硬化型接着剤を除去する。なお、光硬化型接着剤の除去方法としては、光硬化型接着剤の特性に応じた公知の技術を用いることとする。
C−4.硬化工程
硬化工程は、第1光学基材L1と第2光学基材L2との接着面に光を照射することにより光硬化型接着剤を硬化させ、第1光学基材L1と第2光学基材L2とを一体化する。
光硬化型接着剤を硬化させる光を照射する光源としては、光硬化型接着剤を硬化可能な特定波長の光を照射する低/高圧水銀ランプ、紫外線ランプ、ブラックライト、発光ダイオード等を挙げることができる。
このような各種工程により、嵌合された第1光学基材L1の外周面102a、102b、102c及び第2光学基材L2の凹欠部106が光硬化型接着剤を介して接着され、図4に示すようなホログラム光学素子Lが形成される。
以上のように、本実施の形態によれば、接着されるべき複数の部材は、互いに略等しい熱的条件下において形成する加熱工程を経ることにより、各部材に与えられる熱エネルギー量を略等しくすることができ、接着前の各部材内部の残留応力を等しくすることができる。従って、接着され一体化された後に外界の温度変化に応じて各部材内部の残留応力が解放されても、各部材に同一の形状変化を生じさせることができることから、接着されていた部材間に隙間が生じたり接着剤が剥離したりして接着部分に破壊が生じたりして、一体化されていた部材が分離するという問題が生じる恐れを低減することができる。このようなことから、外界の温度変化に応じて生じる形状変化を低減し、接着耐久性を向上させ、光学素子の品質の向上を図ることができる。
また、本発明は、上記実施の形態の内容に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
ホログラム光学素子の製造工程を示すフローチャートである。 第1光学基材L1及び第2光学基材L2の外観形状の一例である。 第2光学基材L2の熱エネルギー量に対する形状変化率のグラフの例である。 ホログラム光学素子の外観の一例である。
符号の説明
2 ホログラム素子
20 ホログラム感材
102a、102b、102c 外周面
102d 上面
106 凹欠部
105a、105b、105c 内周面
110a、110b、110c 接着面
L ホログラム光学素子
L1 第1光学基材
L2 第2光学基材
W 開口幅
X 左右方向
Y 上下方向
Z 厚み方向

Claims (6)

  1. 複数の部材を接着して光学素子を製造する光学素子の製造方法において、
    接着されるべき前記複数の部材を互いに略等しい熱的条件下において形成する加熱工程を含むこと、
    を特徴とする光学素子の製造方法。
  2. 前記部材は、線膨張係数が等しい素材で形成されていること、
    を特徴とする請求項1記載の光学素子の製造方法。
  3. 前記加熱工程は、
    前記部材毎に与えられた熱エネルギー量が等しくなるように加熱すること、
    を特徴とする請求項1又は2記載の光学素子の製造方法。
  4. 前記加熱工程は、
    前記部材毎に与えられた熱エネルギー量が異なっている場合、
    最も与えられた熱エネルギー量が高い前記部材の熱エネルギー量と等しくなるように他の前記部材を加熱すること、
    を特徴とする請求項3記載の光学素子の製造方法。
  5. 前記加熱工程は、
    前記部材を加熱する際、前記部材毎の熱履歴が等しくなるように加熱すること、
    を特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の光学素子の製造方法。
  6. 前記加熱工程は、
    前記部材毎に与えられた熱エネルギー量が異なっている場合、
    最も与えられた熱エネルギー量が大きい前記部材の熱エネルギー量が、加熱前後の形状変化率が一定である熱エネルギー量の範囲内である場合には、他の前記部材に対して、当該加熱前後の形状変化率が一定である熱エネルギー量の範囲内の熱エネルギー量を与えること、
    を特徴とする請求項1又は2記載の光学素子の製造方法。
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JP2018527971A (ja) * 2015-07-22 2018-09-27 デカスロンDecathlon 卓球ボール及びその製造方法

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