JP2007253707A - ステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】常使用時の伸縮量を確保しながら、伸縮軸全体の長さを長くせずに、衝突時の伸縮軸のコラプスストロークを長くして、衝突時の安全性を確保することが可能なステアリング装置を提供する。
【解決手段】一次衝突または二時衝突が起きると、雌中間シャフト4に対して雄中間シャフト3が相対的に収縮する。その結果、雄中間シャフト3右端の第二ヨーク22のアーム221の左端面222が、雌中間シャフト4の右端面44に当接する。それによって、雌中間シャフト4に左方へのコラプス荷重が加わり、所定のコラプス荷重F2になると、雌中間シャフト4が雄中間シャフト3と共に、締め付けリング6に沿って車体前方側にコラプス移動する。
【選択図】図2
【解決手段】一次衝突または二時衝突が起きると、雌中間シャフト4に対して雄中間シャフト3が相対的に収縮する。その結果、雄中間シャフト3右端の第二ヨーク22のアーム221の左端面222が、雌中間シャフト4の右端面44に当接する。それによって、雌中間シャフト4に左方へのコラプス荷重が加わり、所定のコラプス荷重F2になると、雌中間シャフト4が雄中間シャフト3と共に、締め付けリング6に沿って車体前方側にコラプス移動する。
【選択図】図2
Description
本発明はステアリング装置、特に、回転トルクを伝達可能で軸方向に相対移動可能な伸縮軸、例えば、中間シャフトやステアリングシャフト等の伸縮軸を有するステアリング装置に関する。
ステアリング装置には、回転トルクを伝達可能に、かつ、軸方向に相対移動可能に連結された伸縮軸が、中間シャフトやステアリングシャフト等に組み込まれている。この、中間シャフトは、ステアリングギヤのラック軸に噛合うピニオンシャフトに、自在継手を締結する際に、一旦縮めてからピニオンシャフトに嵌合させて締結するために、伸縮機能が必要となる。
また、ステアリングシャフトは、運転者の体格や運転姿勢に応じて、ステアリングホイールの位置を軸方向にテレスコピック位置調整する必要があるため、伸縮機能が要求される。このような伸縮軸では、車両の衝突時に、伸縮軸が収縮して、運転者に加わる衝撃力を緩和するために、伸縮軸の収縮距離を大きくすることが必要となる。
伸縮軸の収縮距離を大きくしたステアリング装置として、特許文献1に開示されたステアリング装置がある。特許文献1のステアリング装置は、通常使用時に伸縮するスプライン部と、車両衝突時に収縮するスプライン部を直列に二箇所配置している。このような、特許文献1のステアリング装置では、規定の長さの伸縮軸に直列に、スプライン部を二箇所配置しているために、通常使用時の伸縮量が小さくなると共に、雄シャフトと雌シャフトとの嵌合長さが短くなるため、剛性が低下する不具合があった。
本発明は、通常使用時の伸縮量を確保しながら、伸縮軸全体の長さを長くせずに、衝突時の伸縮軸のコラプスストロークを長くして、衝突時の安全性を確保することが可能なステアリング装置を提供することを課題とする。
上記課題は以下の手段によって解決される。すなわち、第1番目の発明は、ステアリング装置を構成する雄シャフトと、上記雄シャフトに軸方向に相対移動可能にかつ回転トルクを伝達可能に嵌合する雌シャフトとから構成される伸縮軸、上記伸縮軸の嵌合部の反対側の端部で、上記伸縮軸の少なくともいずれか一方の外周に外嵌された内周を有する自在継手、上記自在継手が外嵌する伸縮軸の外周と自在継手の内周との間に挿入され、環状の薄板に波形形状の凸部を有し、この凸部の半径方向の弾性変形によって、上記伸縮軸の外周と自在継手の内周との間に所定の締め付け力を付与する締め付けリングを備え、車両衝突時に伸縮軸に所定のコラプス荷重が作用すると、締め付けリングに沿って伸縮軸の外周がコラプス移動することを特徴とするステアリング装置である。
第2番目の発明は、第1番目の発明のステアリング装置において、上記自在継手の内周と締め付けリングの外周との間に挿入された弾性体と、上記雄シャフトと雌シャフトとの間で伝達される回転トルクが所定値よりも大きくなると、上記自在継手が外嵌する伸縮軸と自在継手との間で回転トルクを伝達するストッパーとから構成される弾性軸継手を備えたことを特徴とするステアリング装置である。
第3番目の発明は、第1番目の発明のステアリング装置において、上記自在継手は、上記雌シャフトの端部外周に外嵌されていることを特徴とするステアリング装置である。
第4番目の発明は、第1番目の発明のステアリング装置において、上記自在継手は、上記雌シャフトの端部外周と雄シャフトの端部外周の両方に外嵌されていることを特徴とするステアリング装置である。
第5番目の発明は、第1番目から第4番目までのいずれかの発明のステアリング装置において、上記雄シャフトが雄中間シャフトであり、上記雌シャフトが雌中間シャフトであることを特徴とするステアリング装置である。
本発明のステアリング装置では、自在継手が外嵌する伸縮軸の外周と自在継手の内周との間に、環状に形成された薄板の内外周に波形形状の凹凸部を有し、この凸部の半径方向の弾性変形によって、伸縮軸の外周と自在継手の内周との間に所定の締め付け力を付与する締め付けリングを装着し、車両衝突時に伸縮軸に所定のコラプス荷重が作用すると、締め付けリングに沿って伸縮軸の外周がコラプス移動するようにしている。
従って、従来固定していた伸縮軸と自在継手との間でコラプス移動するため、通常使用時の伸縮量を確保しながら、中間シャフト全体の長さを長くせずに、衝突時の伸縮軸のコラプスストロークを長くすることができるため、衝突時の安全性を確保することが可能となる。
また、自在継手の内周と締め付けリングの外周との間に弾性軸継手を装着しているため、中間シャフト全体の長さを長くせずに、ステアリングホイールの操縦安定性が向上すると共に、運転席の静粛性を確保することが可能となる。
以下、図面に基づいて本発明の実施例1から実施例3を説明する。
図1は、本発明のステアリング装置を車両に取り付けた状態を示す全体斜視図である。図2は本発明の実施例1の中間シャフトの伸長状態を示し、(1)は一部断面を含む正面図、(2)は(1)のA−A拡大断面図、(3)は(1)の弾性軸継手部の拡大断面図である。図3は実施例1の中間シャフトのコラプス移動状態を示し、(1)はコラプス動作途中の状態を示す一部断面を含む正面図、(2)はコラプス動作終端の状態を示す一部断面を含む正面図である。図4は締め付けリング単体を示す部品図である。
図1に示すように、ステアリング装置1は、ステアリングシャフト11を回動自在に軸支している。ステアリングシャフト11には、その右端(車体後方側)にステアリングホイール12が装着され、ステアリングシャフト11の左端(車体前方側)には、上自在継手2を介して雄中間シャフト(雄シャフト)3の右端が連結されている。
雄中間シャフト3にスプライン嵌合する雌中間シャフト(雌シャフト)4の左端には下自在継手5が連結されている。下自在継手5には、ピニオン軸15(図2参照)が取り付けられ、ピニオン軸下端のピニオンが、ラックアンドピニオン機構等からなるステアリングギヤ13のラックに噛み合っている。
運転者がステアリングホイール12を回転操作すると、ステアリングシャフト11、上自在継手2、雄中間シャフト3、雌中間シャフト4、下自在継手5を介して、その回転力がステアリングギヤ13に伝達され、ラックアンドピニオン機構を介して、タイロッド14を移動し、車輪の操舵角を変えることができる。
図2に本発明の実施例1の雄中間シャフト3と雌中間シャフト4とで構成される伸縮軸の連結部を示す。図2に示すように、中空円筒状の雌中間シャフト4には、右端(車体後方側)に雌スプライン41が形成され、中空の雄中間シャフト3の左端(車体前方側)に形成された雄スプライン31が雌スプライン41に嵌合して、軸方向に摺動可能に、かつ回転トルクを伝達可能に係合している。なお、ここでは雄中間シャフト3を中空としたが、これは中実であってもよい。
上自在継手2は、右側の第一ヨーク21と左側の第二ヨーク22で構成され、スリ割りを有する第一ヨーク21はボルト212を締め付けてステアリングシャフト11に連結される。第二ヨーク22には、雄中間シャフト3の右端の小径部32が内嵌され、小径部32の右端を半径方向外側にかしめることで、第二ヨーク22を雄中間シャフト3に連結している。
上自在継手2の第一ヨーク21と第二ヨーク22には、各々一対のアーム211、221が形成され、アーム211とアーム221が十字軸部材23で連結されている。十字軸部材23は十字状に伸びる4本の軸部分を備えており、互いに反対側にある軸部分が、アーム211、221にそれぞれ軸受されている。十字軸部材23は、ころ転動体を有する軸受24により、アーム211、221と嵌合して、回転バックラッシュ(円周方向のガタツキ)を無くしている。アーム211、221と十字軸部材23の嵌合は、軸受24をしまりばめ嵌合にしてもよい。
下自在継手5は、右側の第一ヨーク51と左側の第二ヨーク52で構成され、スリ割りを有する第2ヨーク52は、図示しないボルトを締め付けて、ピニオン軸15に連結され、ピニオン軸15下端の図示しないピニオンが、ラックアンドピニオン機構等からなるステアリングギヤ13(図1)のラックに噛み合っている。下自在継手5の第一ヨーク51には、雌中間シャフト4の外周42の左端が内嵌されている。
下自在継手5の第一ヨーク51と第二ヨーク52には、各々一対のアーム511、521が形成され、アーム511とアーム521が十字軸部材53で連結されている。十字軸部材53は十字状に伸びる4本の軸部分を備えており、互いに反対側にある軸部分が、アーム511、521にそれぞれ軸受されている。十字軸部材53は、ころ転動体を有する軸受54により、アーム511、521と嵌合して、回転バックラッシュ(円周方向のガタツキ)を無くしている。アーム511、521と十字軸部材23の嵌合は、軸受24をしまりばめ嵌合にしてもよい。
図2(3)に拡大して示すように、下自在継手5の第一ヨーク51の内周512と雌中間シャフト4の外周42との間には、内側から順に、環状の締め付けリング6、環状の内側スリーブ9、環状の弾性体7、環状の外側スリーブ8が嵌合している。図4は、締め付けリング6単体を示し、図4(2)は図4(1)の右側面図であって、締め付けリング6の右半分を省略して示している。
締め付けリング6は、図4に示すように、ばね鋼の薄板を環状に形成し、環状の薄板に、等角度間隔に波形形状の凹凸部を形成したものである。内側スリーブ9、弾性体7、外側スリーブ8は、焼き付け若しくは接着により一体的に結合されている。そして、締め付けリング6の外周61を、内側スリーブ9の内周91に圧入して内嵌している。また、締め付けリング6の内周側の凸部62が、雌中間シャフト4の外周42に当接して半径方向外側に弾性変形することによって、雌中間シャフト4の外周42を、締め付けリング6の内周側の凸部62で、所定の締め付け力で締め付けることができる。
締め付けリング6が雌中間シャフト4の外周42を締め付ける締め付け力F1は、内周側の凸部62の半径方向の高さ、内周側の凸部62の円周方向の間隔(ピッチ)、ばね鋼の板厚によって決まる。また、雌中間シャフト4を締め付けリング6に沿って車体前方側にコラプス移動するのに必要な力(コラプス荷重)F2は、雌中間シャフト4の外周42と内周側の凸部62との間の摩擦係数をμとすると、F2=F1・μで求められる。
従って、雌中間シャフト4の外周42の外径寸法の公差を考慮し、コラプス荷重F2が所定の値になるように、締め付けリング6の内周側の凸部62の半径方向の高さ、内周側の凸部62の円周方向の間隔、ばね鋼の板厚を選定し、所定の寸法で径方向に弾性変形させれば良い。
図2(2)に示すように、雌中間シャフト4の外周42の左端には、半径方向外側に突出したストッパー突起(ストッパー)43、43が形成されている。また、下自在継手5の第一ヨーク51には、このストッパー突起43、43が嵌合するストッパー溝513、513が形成されている。ストッパー溝513、513の円周方向の幅は、ストッパー突起43、43の円周方向の幅よりも若干広く形成されて、ストッパー溝513、513とストッパー突起43、43との間には、円周方向に隙間が形成されている。
上記弾性体7は、ゴム等のエラストマー材料で、円筒状に形成されている。また、金属製で円筒状に形成した外側スリーブ8と内側スリーブ9、及び弾性体7を同心に配置している。そして、外側スリーブ8の内周81と弾性体7の外周72、及び弾性体7の内周71と内側スリーブ9の外周92を焼き付け若しくは接着により結合している。外側スリーブ8の外周82は、下自在継手5の第一ヨーク51の内周512に圧入されている。この構成によって、弾性体7、外側スリーブ8、内側スリーブ9、ストッパー突起43、ストッパー溝513は、雌中間シャフト4と下自在継手5を弾性的に連結する弾性軸継手を形成している。
上述の様に構成される実施例1のステアリング装置の動作は次の通りである。ステアリングホイール12からステアリングシャフト11に加えられる回転トルクが小さい場合には、ストッパー突起43、43は、下自在継手5のストッパー溝513、513との間に隙間が形成されて、ストッパー突起43、43がストッパー溝513、513に接触することはない。
このとき、小さな回転トルクは、締め付けリング6、弾性体7、外側スリーブ8を介して、下自在継手5からピニオン軸15、ステアリングギヤ13に伝達される。走行時の車輪や車体の振動により、ステアリングギヤ13の図示しないラックが振動する。ラックが振動すると、ピニオン軸15が振動するが、雌中間シャフト4と下自在継手5との連結部に弾性軸継手が介在しているため、ピニオン軸15の振動が弾性体7により吸収され、雌中間シャフト4やステアリングシャフト11には伝わらない。
従って、ステアリングホイール12の操縦安定性が向上すると共に、弾性軸継手が振動や騒音の発信源の近傍で、運転席から離れた位置に配置されているため、運転席の静粛性を十分に確保することができる。
前輪に大きな舵角を付与する場合等の様に、ステアリングホイール12からステアリングシャフト11に加えられる回転トルクが大きい場合には、上記ストッパー突起43、43とストッパー溝513、513とが当接する。この結果、ステアリングホイール12からステアリングシャフト11に加えられた回転トルクのうちの多くの部分が、ストッパー突起43、43を介して下自在継手5に伝達される。この状態では、上記弾性体7を介して伝達される回転トルクは限られたものとなり、この弾性体7に無理な力が作用する事はない。
一次衝突または二次衝突が起きると、雄中間シャフト3と雌中間シャフト4とで構成される伸縮軸に、伸縮軸を収縮させる方向の衝撃力が加わる。すると、雄中間シャフト3の雄スプライン31と雌中間シャフト4の雌スプライン41が相対摺動して、雌中間シャフト4に対して雄中間シャフト3が相対的に収縮する。
その結果、図3(1)に示すように、雄中間シャフト3右端の第二ヨーク22のアーム221の左端面(車体前方側端面)222が、雌中間シャフト4の右端面(車体後方側端面)44に当接する。それによって、雌中間シャフト4に左方(車体前方側)へのコラプス荷重が加わり、所定のコラプス荷重F2になると、雌中間シャフト4が雄中間シャフト3と共に、締め付けリング6に沿って車体前方側にコラプス移動する。その結果、コラプス荷重F2で、雌中間シャフト4が締め付けリング6の内周側の凸部62に沿って車体前方側に移動する。
図3(2)に示すように、雌中間シャフト4の左端面45が十字軸部材53に当接するまで、雌中間シャフト4が雄中間シャフト3と共に、締め付けリング6に沿って車体前方側にコラプス移動することができる。従って、雄スプライン31と雌スプライン41のコラプスストロークに加えて、雌中間シャフト4と雄中間シャフト3を、下自在継手5に対してさらにコラプス移動させることができる。そのため、通常使用時の伸縮量を確保しながら、中間シャフト全体の長さを長くせずに、衝突時の中間シャフトのコラプスストロークを十分に確保することが可能となって、衝突時の安全性を十分に確保することができる。
次に本発明の実施例2を説明する。図5は、本発明の実施例2の中間シャフトの伸長状態を示し、(1)は一部断面を含む正面図、(2)は(1)のB−B拡大断面図、(3)は(1)の弾性軸継手部の拡大断面図である。図6は実施例2の中間シャフトのコラプス移動状態を示し、(1)はコラプス動作途中の状態を示す一部断面を含む正面図、(2)はコラプス動作終端の状態を示す一部断面を含む正面図である。以下の説明では、実施例1と異なる構造部分についてのみ説明し、重複する説明は省略する。また、実施例1と同一部品には同一番号を付して説明する。
実施例2は、弾性体7に無理な力が作用するのを防止するストッパーの形状を変更した例である。すなわち、図5に示すように、実施例2では、環状の締め付けリング6、弾性体7、外側スリーブ8、内側スリーブ9は、実施例1と同一形状をしている。
雌中間シャフト4には、雌中間シャフト4の外周42から直径方向外方に突出するストッパーピン46が挿入されている。ストッパーピン46は円柱状の金属製で、ストッパーピン46の両端部の外径は、中央部の外径よりも若干大きくしている。すなわち、ストッパーピン46の両端部の内径孔を拡げることで、ストッパーピン46の両端部の外径を拡径している。
また、下自在継手5の第一ヨーク51には、このストッパーピン46の両端部が嵌合するストッパー溝514、514が形成されている。ストッパー溝514、514の円周方向の幅は、ストッパーピン46の両端部の直径よりも若干広く形成されて、ストッパー溝514、514とストッパーピン46の両端部との間には、円周方向に隙間が形成されている。
この構成によって、弾性体7、外側スリーブ8、内側スリーブ9、ストッパーピン46、ストッパー溝514は、雌中間シャフト4と下自在継手5を弾性的に連結する弾性軸継手を形成している。
上述の様に構成される実施例2のステアリング装置の動作は次の通りである。ステアリングホイール12からステアリングシャフト11に加えられる回転トルクが小さい場合には、ストッパーピン46の両端部は、下自在継手5のストッパー溝514、514との間に隙間が形成されて、ストッパーピン46がストッパー溝514、514に接触する事はない。
このとき、小さな回転トルクは、締め付けリング6、弾性体7、外側スリーブ8を介して、下自在継手5からピニオン軸15、ステアリングギヤ13に伝達される。走行時の車輪や車体の振動により、ステアリングギヤ13の図示しないラックが振動する。ラックが振動すると、ピニオン軸15が振動するが、雌中間シャフト4と下自在継手5との連結部に弾性軸継手が介在しているため、ピニオン軸15の振動が弾性体7により吸収され、雌中間シャフト4やステアリングシャフト11には伝わらない。
従って、ステアリングホイール12の操縦安定性が向上すると共に、弾性軸継手が振動や騒音の発信源の近傍で、運転席から離れた位置に配置されているため、運転席の静粛性を十分に確保することができる。
前輪に大きな舵角を付与する場合等の様に、ステアリングホイール12からステアリングシャフト11に加えられる回転トルクが大きい場合には、上記ストッパーピン46の両端部とストッパー溝514、514とが当接する。この結果、ステアリングホイール12からステアリングシャフト11に加えられた回転トルクのうちの多くの部分が、ストッパーピン46を介して下自在継手5に伝達される。この状態では、上記弾性体7を介して伝達される回転トルクは限られたものとなり、この弾性体7に無理な力が作用する事はない。
一次衝突または二次衝突が起きると、雄中間シャフト3と雌中間シャフト4とで構成される伸縮軸に、伸縮軸を収縮させる方向の衝撃力が加わる。すると、雄中間シャフト3の雄スプライン31と雌中間シャフト4の雌スプライン41が相対摺動して、雌中間シャフト4に対して雄中間シャフト3が相対的に収縮する。
その結果、図6(1)に示すように、雄中間シャフト3右端の第二ヨーク22のアーム221の左端面222が、雌中間シャフト4の右端面44に当接する。また、雄中間シャフト3の左端面33が、ストッパーピン46の外周に当接する。それによって、雌中間シャフト4に左方(車体前方側)へのコラプス荷重が加わり、所定のコラプス荷重F2になると、雌中間シャフト4が雄中間シャフト3と共に、締め付けリング6に沿って車体前方側にコラプス移動する。
図6(2)に示すように、雌中間シャフト4の左端面45が十字軸部材53に当接するまで、雌中間シャフト4が雄中間シャフト3と共に、締め付けリング6に沿って車体前方側にコラプス移動することができる。従って、雄スプライン31と雌スプライン41のコラプスストロークに加えて、雌中間シャフト4と雄中間シャフト3を、下自在継手5に対してさらにコラプス移動させることができる。そのため、通常使用時の伸縮量を確保しながら、中間シャフト全体の長さを長くせずに、衝突時の中間シャフトのコラプスストロークを十分に確保することが可能となって、衝突時の安全性を十分に確保することができる。
次に本発明の実施例3を説明する。図7は、本発明の実施例3の中間シャフトを示し、(1)は伸長状態を示す一部断面を含む正面図、(2)は(1)のC−C拡大断面図、(3)は(1)の弾性軸継手部の拡大断面図である。図8は実施例3の中間シャフトのコラプス移動状態を示し、(1)はコラプス動作途中の状態を示す一部断面を含む正面図、(2)はコラプス動作終端の状態を示す一部断面を含む正面図である。以下の説明では、上記実施例と異なる構造部分についてのみ説明し、重複する説明は省略する。また、上記実施例と同一部品には同一番号を付して説明する。
実施例3は、弾性体7に無理な力が作用するのを防止するストッパーの形状を実施例2と同様なストッパーピンにすると共に、雄中間シャフト3右端に形成した段付き面を雌中間シャフト4の右端面44に当接させて、雌中間シャフト4に左方(車体前方側)へのコラプス荷重を加えるようにした例である。すなわち、図7に示すように、実施例3では、環状の締め付けリング6、弾性体7、外側スリーブ8、内側スリーブ9、ストッパーピン46、ストッパー溝514は、実施例2と同一形状をしている。
雄中間シャフト3の右側には、雌中間シャフト4の内径よりも大径の段付き面34が形成されており、雌中間シャフト4に対して雄中間シャフト3が相対的に収縮すると、段付き面34が雌中間シャフト4の右端面44に当接可能に形成されている。
一次衝突または二次衝突が起きると、雄中間シャフト3と雌中間シャフト4とで構成される伸縮軸に、伸縮軸を収縮させる方向の衝撃力が加わる。すると、雄中間シャフト3の雄スプライン31と雌中間シャフト4の雌スプライン41が相対摺動して、雌中間シャフト4に対して雄中間シャフト3が相対的に収縮する。
その結果、図8(1)に示すように、雄中間シャフト3の段付き面34が、雌中間シャフト4の右端面44に当接する。また、雄中間シャフト3の左端面33が、ストッパーピン46の外周に当接する。それによって、雌中間シャフト4に左方(車体前方側)へのコラプス荷重が加わり、所定のコラプス荷重F2になると、雌中間シャフト4が雄中間シャフト3と共に、締め付けリング6に沿って車体前方側にコラプス移動する。
図8(2)に示すように、雌中間シャフト4の左端面45が十字軸部材53に当接するまで、雌中間シャフト4が雄中間シャフト3と共に、締め付けリング6に沿って車体前方側にコラプス移動することができる。従って、雄スプライン31と雌スプライン41のコラプスストロークに加えて、雌中間シャフト4と雄中間シャフト3を、下自在継手5に対してさらにコラプス移動させることができる。そのため、通常使用時の伸縮量を確保しながら、中間シャフト全体の長さを長くせずに、衝突時の中間シャフトのコラプスストロークを十分に確保することが可能となって、衝突時の安全性を十分に確保することができる。
実施例3では、雄中間シャフト3の段付き面34を雌中間シャフト4の右端面44に当接させているが、雄中間シャフト3の外周に止め輪を取り付け、この止め輪を雌中間シャフト4の右端面44に当接させることで、雌中間シャフト4と雄中間シャフト3を、締め付けリング6に沿って車体前方側にコラプス移動させてもよい。
上記した実施例においては、ステアリング装置の中間シャフトに適用した例について説明したが、ステアリング装置に使用される任意の伸縮軸に適用することができる。また、上記した実施例においては、雌シャフトと自在継手との間を締め付けリングで締め付けて、衝突時の衝撃荷重でコラプス移動させているが、雄シャフトと自在継手との間を締め付けリングで締め付けてコラプス移動させてもよい。さらに、雄シャフトと雌シャフトの両方に対して、自在継手を締め付けリングで締め付けて、雄シャフトと雌シャフトの両方が、自在継手に対してコラプス移動するようにしてもよい。また、締め付けリング6の内側に凸部62を形成した例を示したが、この凸部62は、外側あるいは内外両側に設けるようにすることも可能である。
1 ステアリング装置
11 ステアリングシャフト
12 ステアリングホイール
13 ステアリングギヤ
14 タイロッド
15 ピニオン軸
2 上自在継手
21 第一ヨーク
211 アーム
212 ボルト
22 第二ヨーク
221 アーム
222 左端面
23 十字軸部材
24 軸受
3 雄中間シャフト
31 雄スプライン
32 小径部
33 左端面
34 段付き面
4 雌中間シャフト
41 雌スプライン
42 外周
43 ストッパー突起
44 右端面
45 左端面
46 ストッパーピン
5 下自在継手
51 第一ヨーク
511 アーム
512 内周
513 ストッパー溝
514 ストッパー溝
52 第二ヨーク
521 アーム
53 十字軸部材
54 軸受
6 締め付けリング
61 外周
62 凸部
7 弾性体
71 内周
72 外周
8 外側スリーブ
81 内周
82 外周
9 内側スリーブ
91 内周
92 外周
11 ステアリングシャフト
12 ステアリングホイール
13 ステアリングギヤ
14 タイロッド
15 ピニオン軸
2 上自在継手
21 第一ヨーク
211 アーム
212 ボルト
22 第二ヨーク
221 アーム
222 左端面
23 十字軸部材
24 軸受
3 雄中間シャフト
31 雄スプライン
32 小径部
33 左端面
34 段付き面
4 雌中間シャフト
41 雌スプライン
42 外周
43 ストッパー突起
44 右端面
45 左端面
46 ストッパーピン
5 下自在継手
51 第一ヨーク
511 アーム
512 内周
513 ストッパー溝
514 ストッパー溝
52 第二ヨーク
521 アーム
53 十字軸部材
54 軸受
6 締め付けリング
61 外周
62 凸部
7 弾性体
71 内周
72 外周
8 外側スリーブ
81 内周
82 外周
9 内側スリーブ
91 内周
92 外周
Claims (5)
- ステアリング装置を構成する雄シャフトと、
上記雄シャフトに軸方向に相対移動可能にかつ回転トルクを伝達可能に嵌合する雌シャフトとから構成される伸縮軸、
上記伸縮軸の嵌合部の反対側の端部で、上記伸縮軸の少なくともいずれか一方の外周に外嵌された内周を有する自在継手、
上記自在継手が外嵌する伸縮軸の外周と自在継手の内周との間に挿入され、環状の薄板に波形形状の凸部を有し、この凸部の半径方向の弾性変形によって、上記伸縮軸の外周と自在継手の内周との間に所定の締め付け力を付与する締め付けリングを備え、
車両衝突時に伸縮軸に所定のコラプス荷重が作用すると、締め付けリングに沿って伸縮軸の外周がコラプス移動すること
を特徴とするステアリング装置。 - 請求項1に記載されたステアリング装置において、
上記自在継手の内周と締め付けリングの外周との間に挿入された弾性体と、
上記雄シャフトと雌シャフトとの間で伝達される回転トルクが所定値よりも大きくなると、上記自在継手が外嵌する伸縮軸と自在継手との間で回転トルクを伝達するストッパーとから構成される弾性軸継手を備えたこと
を特徴とするステアリング装置。 - 請求項1に記載されたステアリング装置において、
上記自在継手は、
上記雌シャフトの端部外周に外嵌されていること
を特徴とするステアリング装置。 - 請求項1に記載されたステアリング装置において、
上記自在継手は、
上記雌シャフトの端部外周と雄シャフトの端部外周の両方に外嵌されていること
を特徴とするステアリング装置。 - 請求項1から請求項4までのいずれかに記載されたステアリング装置において、
上記雄シャフトが雄中間シャフトであり、
上記雌シャフトが雌中間シャフトであること
を特徴とするステアリング装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006078899A JP2007253707A (ja) | 2006-03-22 | 2006-03-22 | ステアリング装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006078899A JP2007253707A (ja) | 2006-03-22 | 2006-03-22 | ステアリング装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007253707A true JP2007253707A (ja) | 2007-10-04 |
Family
ID=38628391
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006078899A Pending JP2007253707A (ja) | 2006-03-22 | 2006-03-22 | ステアリング装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2007253707A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009190586A (ja) * | 2008-02-15 | 2009-08-27 | Nsk Ltd | ステアリング装置 |
KR101396950B1 (ko) | 2008-06-03 | 2014-05-20 | 한국델파이주식회사 | 방진형 인터미디에이트 샤프트 |
-
2006
- 2006-03-22 JP JP2006078899A patent/JP2007253707A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2009190586A (ja) * | 2008-02-15 | 2009-08-27 | Nsk Ltd | ステアリング装置 |
KR101396950B1 (ko) | 2008-06-03 | 2014-05-20 | 한국델파이주식회사 | 방진형 인터미디에이트 샤프트 |
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