JP2007252987A - 無機微粒子及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ナノメートルサイズで単分散性な無機微粒子を安定的に製造することができる。
【解決手段】無機微粒子を形成する2種類以上の反応溶液をマイクロ流路16内に非層流状態で流通させ、その流通過程で反応溶液を反応させて無機微粒子を形成する。
【選択図】 図4
【解決手段】無機微粒子を形成する2種類以上の反応溶液をマイクロ流路16内に非層流状態で流通させ、その流通過程で反応溶液を反応させて無機微粒子を形成する。
【選択図】 図4
Description
本発明は無機微粒子及びその製造方法に係り、特に、白色顔料用途、光触媒材料用途、医療材料用途等として工業的に幅広く利用されている二酸化チタン微粒子の製造技術に関する。
無機微粒子は、各種工業製品の材料として幅広く利用されている。特にその一つである二酸化チタンは、その光散乱能や光活性分解能の特徴を生かして、電子ディスプレー、塗料、インク、プラスチック、繊維、化粧品、紙などに白色顔料用途として、更には建築資材などに光触媒材料用途として幅広く利用されている(例えば特許文献1〜3)。更に、二酸化チタンは大気や溶液中でも極めて安定な物質であり、且つ毒性が少なく安全であることから、ガン治療等におけるドラッグデリバリーシステム(DDS)などの医療材料用途等としての用途も期待されている(例えば特許文献4)。
このように、工業的に有用な二酸化チタン微粒子の性能は、主として、そのサイズ、サイズ分布、結晶構造によって発現される。特に、光学特性や光触媒特性の性能の発現には、単位体積当たりの表面積を大きくすることが重要であり、具体的にはナノメートルサイズレベルまで微細化することが重要になる。また、発現する性能を均一化するためには、微粒子サイズ分布を単分散化することが重要になる。
二酸化チタンに限らず、無機材料の中には単分散性良く微細化することを要求されているものは多く、今後の無機材料の工業的な利用において、微細化技術は一層重要になる。
一般に微粒子の製造法としては、非特許文献1等に示されるようにバルク物質から粉砕などにより製造するブレイクダウン法、気相中または液相中からの粒子成長により製造するビルドアップ法に大別される。ブレイクダウン法による粉砕法は、従来から多用されており実用性が高い微粒子製造法であるが、ナノメートルサイズの粒子を製造するには、極めて生産性が低いことや適用できる物質が限定されるなどの種々の問題点がある。このことから、近年、ビルドアップ法によりナノメートルサイズの微粒子化を行う方法が検討されている。
ビルドアップ法はどのような相で反応させるかによって、固相法、気相法、液相法に大別されるが、ナノメートルサイズの微粒子の合成には、気相法、液相法が好適とされている。気相法は、高温蒸気の冷却による物理的凝集プロセス(PVD法)と気相化学反応による粒子生成プロセス(CVD法)に分類される。これらの手法は、高純度で粒子径の小さな粒子を製造できるため広く利用されているが、厳密な粒子サイズ制御や単分散性の制御には問題がある。一方、液相法は、分子レベルでの原料の混合が可能であるという利点があり、ゾル−ゲル法、アルコキシド法、逆ミセル法、ホットソープ法などに分類される。
最近注目されているビルドアップ法の液相法による微粒子製造方法の一つとして、「マイクロ化学プロセス技術」を用いた微粒子製造方法がある。「マイクロ化学プロセス技術」とは、微小な流路断面積の反応流路を用いて効率的に化学反応を行う技術であり、具体的にはマイクロ加工技術等により固体基板上に作成された幅数μm〜数百μmのマイクロ流路内で発現する化学・物理現象を利用して物質生産や化学分析等の行う技術である。非特許文献2及び3には、マイクロ流路内の秩序だった層流を利用した分子拡散を混合の推進力として二酸化チタン微粒子を製造し、2重管マイクロ流路の直径や流量などの操作条件を変化させて、単分散性を保ちながら平均サイズを50〜80nmの範囲で制御することを提案している。
特開2005−272270号公報
特開2006−037090号公報
特開2006−008475号公報
特開2005−289660号公報
特開2005−288254号公報
日本化学会編「第4版実験化学講座」第12巻、年、411〜488頁、(株)丸善
M.Takagi et al.,"Production of titania nanoparticles by using a microreactor assembled with same axle dual pipe",Elsevier B.V.,chem..Eng.J.2004,101,p.269-276
辻内等、「2重管型マイクロリアクターを用いた粒子成長過程の制御法に関する検討」、化学工学会第37回秋季大会 研究発表講演予稿集 I-317,2005
H.Nagasawa et al.,"Design of a New Micromixer for Instant Mixing Based on the Collision of Micro Segments",WILEY-VCH Verlag GmbH & Co. KGaA, , Chem.Eng.Technol.2005, 28, No.3, p.324-330
しかしながら、単分散性の良い無機微粒子(例えば二酸化チタン微粒子)をナノメートルサイズで安定的に製造するには、単にマイクロ化学プロセス技術を利用しても製造できず、更なる製造技術の改良を必要とする。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、ナノメートルサイズで単分散性な無機微粒子を安定的に製造することができると共に処方条件(混合する反応溶液の流量比が相違する等)へのフレキシブルな対応が可能であり、更には高製造量処理が可能な無機微粒子の製造方法及びその製造方法で製造された無機微粒子を提供することを目的とする。
本発明の請求項1は前記目的を達成するために、無機微粒子を形成する2種類以上の反応溶液を、マイクロ流路内にて非層流状態で流通させ、その流通過程で前記反応溶液を反応させて前記無機微粒子を形成することを特徴とする無機微粒子の製造方法を提供する。
本発明の請求項1によれば、無機微粒子を形成する2種類以上の反応溶液を、マイクロ流路内に流通させて無機微粒子を製造する際に、反応溶液をマイクロ流路に非層流状態で流通させるようにしたので、溶液同士の単位時間あたりの接触面積の増大及び拡散混合距離の縮小を図ることができ、溶液同士の瞬時混合が可能となる。これにより、ナノメートルサイズで単分散性な無機微粒子を安定的に製造することができる。
本発明で定義される非層流とは、規則的または不規則な変動を含む流れのことをいい、カルマン渦やテーラー渦等で代表される層流渦の領域から乱流領域までを含む流れを言い、詳細は後述する。
本発明の請求項2は前記目的を達成するために、無機微粒子を形成する2種類以上の反応溶液を、マイクロ流路内に流通させ、その流通過程で前記無機微粒子を形成する無機微粒子の製造方法であって、前記製造方法は、前記2種類以上の反応溶液のうちの少なくとも一つの溶液を複数の溶液に分割する分割工程と、前記分割された複数の分割溶液のうちの少なくとも1つの分割溶液の中心軸と前記2種類以上の溶液のうちの前記1つの分割溶液とは異なる他の溶液の中心軸とを合流領域において一点で交差するように合流させる合流工程と、前記合流した溶液同士を前記マイクロ流路内の流通過程において反応させて前記無機微粒子を形成する反応工程と、を備えたことを特徴とする無機微粒子の製造方法を提供する。
本発明の請求項2によれば、2種類以上の反応溶液のうちの少なくとも一つの溶液を複数の溶液に分割し、分割された複数の分割溶液のうちの少なくとも1つの分割溶液の中心軸と2種類以上の溶液のうちの前記1つの分割溶液とは異なる他の溶液の中心軸とを合流領域において1点で交差するように合流させる。
ここで、溶液の中心軸とは、例えば流路を流れる溶液が円柱状の形を成している場合には、円柱の軸方向の中心線をいう。また、溶液が流路で中心軸を表す場合には、流路の長さ方向に垂直な断面の重心(幾何学的な重心)を通過して流路の長さ方向に沿った軸が中心軸に相当する。
通常、マイクロ流路内における2種類以上の溶液の反応は基本的に分子拡散による混合によって生じることから、分子拡散による瞬時混合を達成するためには、2種類以上の溶液同士の単位時間当たりの接触面積が増大するような混合が必要である。また、2種類以上の溶液を反応させる場合、マイクロ流路内への供給流量が異なることが一般的であり、異なる供給流量の2種類以上の溶液をそのままマイクロ流路内に供給するとマイクロ流路内において不安定な流れが発生し、反応が不安定になる。
かかる課題解決のため本発明では、2種類以上の溶液が合流する前に少なくとも一つの溶液を複数の溶液に分割した上で、その分割された複数の分割溶液を含む全ての溶液を合流工程で合流させると共に溶液同士の中心軸が合流領域の一点で所定の交差角度をもって交差するように合流させる。これら分割された流れの合流と合流時の各溶液の流れの方向転換に起因する縮流とによって、溶液同士の接触面積の増大と拡散混合距離の縮小が図られ、瞬時混合を達成することができる。従って、この瞬時混合によりマイクロ流路内において反応溶液の反応を瞬時に終了させることができるので、ナノメートルサイズで単分散性の良い無機微粒子を安定的に製造することができる。
また、溶液を分割することで、比較的大きな代表寸法のマイクロ流路を使用しても瞬時混合が可能なので、ナノメートルサイズで単分散性に優れた無機微粒子を高製造量処理することができる。更には、比較的大きな代表寸法のマイクロ流路を使用することで低圧力損失での運転が可能となるので、省エネルギーで環境に優しい運転を行うことができる。
請求項3は請求項2において、前記2種類以上の反応溶液を非層流状態で前記マイクロ流路内を流通させることを特徴とする。
請求項3において特に合流時の各溶液の流速が速い場合、それらの流れは大きな運動エネルギーを有しているため、流れの方向転換に起因する縮流が顕著に現れると共に対流渦が発生するので、つまり非層流状態が形成されるので、2種類以上の溶液の接触面積の増大と拡散混合距離の縮小が促進され、更なる瞬時混合が可能となる。
請求項4は請求項1〜3のいずれか1において、前記マイクロ流路の代表長さが、等価直径で1μm以上1000μm以下であることを特徴とする。
請求項4は本発明を実施するにあたって好ましいマイクロ流路の流路径を規定したものである。等価直径で1μm未満のマイクロ流路は製造が難しく、1000μmを超えると溶液の流れの厚みが厚くなり瞬時混合が生じにくくなるからである。より好ましいマイクロ流路の流路径は等価直径で5μm以上800μm以下であり、特に好ましいマイクロ流路の流路径は等価直径で10μm以上500μm以下である。
請求項5は請求項1〜4の何れか1において、前記マイクロ流路の等価直径をR(m)とし、該マイクロ流路を流れる溶液の平均流速をU(m/秒)としたときに、U/Rで表される剪断速度(1/秒)を変化させることを特徴とする。
請求項5は非層流状態の流れを剪断速度(U/R)(1/秒)を指標として表したものであり、剪断速度(U/R)(1/秒)を変化させることにより混合性能を変えることができ、結果的に無機微粒子の析出速度にも依存するが、製造される無機微粒子の粒子径を変えることができる。
請求項6は請求項5において、前記剪断速度(U/R)が100(1/秒)以上になるようにすることを特徴とする。これは、剪断速度(U/R)を100(1/秒)以上とすることで瞬時混合が可能だからである。
請求項7は請求項2〜6の何れか1において、前記合流工程では、前記合流された全ての溶液の厚み方向の断面積の総和をS1とし、前記マイクロ流路の径方向の断面積をS2としたときに、S1>S2を満足するように前記溶液同士が合流する際の前記中心軸の交差角度を設定することにより、前記合流領域において前記溶液の流れを縮流させることを特徴とする。
溶液同士が合流する際の中心軸の交差角度を適切に設定することで、合流領域において溶液の流れを縮流させることにより、溶液同士の接触面積の一層の増大と拡散混合距離の一層の縮小を図ることができるので、より瞬時混合を行い易くなる。交差角度の設定は、合流領域に合流する各溶液の供給流路の中心軸同士が成す交差角度を変えることにより行うことができる。
請求項8は請求項2〜7の何れか1において、前記溶液同士を前記合流領域で合流させてから前記マイクロ流路から排出するまでの混合時間を1マイクロ秒以上1000ミリ秒以下にすることを特徴とする。
請求項8は、ナノメートルサイズで単分散性な無機微粒子を安定的に製造するための瞬時混合の好ましい時間を規定したものであり、マイクロ流路から排出するまでの混合時間を1マイクロ秒以上1000ミリ秒以下にすることが好ましい。より好ましい混合時間は10マイクロ秒以上500ミリ秒以下である。
請求項9は請求項1〜8の何れか1において、前記反応溶液が、分散剤を含有していることを特徴とする。
分散剤は形成された無機微粒子に素早く吸着して、無機微粒子同士が再び凝集することを防止し、これにより一層の微粒子化を図ることができるからである。
請求項10は請求項9において、前記分散剤の少なくとも一つが低分子分散剤であることを特徴とする。
無機微粒子を形成する分散剤には、一般的にアニオン性分散剤、カチオン性分散剤、両イオン分散剤、及び高分子分散剤があるが、低分子分散剤は無機微粒子同士の凝集をより効果的に防止するからである。
請求項11は請求項1〜10の何れか1において、前記無機微粒子が、その分散液として得られることを特徴とする。
本発明の請求項12は前記目的を達成するために、請求項1〜11のいずれか1に記載の製造方法により製造される無機微粒子であって、該モード径が1μm以下であることを特徴とする無機微粒子を提供する。
本発明の製造方法により、モード径が1μm以下の無機微粒子を製造することができる。
請求項13は請求項12において、前記無機微粒子は二酸化チタン微粒子であることを特徴とする。
無機微粒子の一つである二酸化チタン微粒子は、その光学特性や光触媒特性の性能の発現にとって、ナノメートルサイズで単分散性の良いことは極めて重要であり、本発明が有効だからである。
請求項14は前記目的を達成するために、請求項1〜11の何れか1に記載の製造方法により二酸化チタン微粒子を製造することを特徴とする二酸化チタン微粒子の製造方法を提供する。
請求項14は、請求項1〜11の何れか1に記載される無機微粒子の製造方法を、二酸化チタン微粒子の製造に適用することが特に有効だからである。
請求項15は請求項14において、前記二酸化チタン微粒子を製造する反応はアルコキシド加水分解であることを特徴とする。
二酸化チタン微粒子を製造するための反応として、 アルコキシド加水分解が好適だからである。
請求項16は請求項15において、前記マイクロ流路内における反応温度は0〜50℃の範囲であることを特徴とする。
アルコキシド加水分解法は、0〜50℃の範囲の反応温度において急速に反応し、純度の高い二酸化チタン微粒子が得られると共に、比較的生産性も高く生産時の消費エネルギーが少なくなる等のメリットを有する。また、より好ましい反応温度は5〜30℃の範囲である。
以上説明したように、本発明によれば、ナノメートルサイズで単分散性に優れた無機微粒子を安定的に製造することができる。また、処方条件(混合する反応溶液の流量比が相違する等)へのフレキシブルな対応が可能であり、更には高製造量処理が可能である。
以下、添付図面に従って、本発明に係る無機微粒子及びその製造方法の好ましい実施の形態について詳説する。
本発明の無機微粒子の製造方法は、無機微粒子を形成する2種類以上の溶液をマイクロ流路内にて非層流状態で流通させ、その流通過程で反応溶液同士を反応させて無機微粒子を形成するものであり、この非層流の流れをマイクロ流路内に形成することで溶液同士の積極的な混合を促進することにより瞬時混合を可能とし、これによりナノメートルサイズで単分散性に優れた無機微粒子を安定的に製造するものである。
本発明で定義される非層流とは、規則的または不規則な変動を含む流れのことをいう。通常、マイクロ流路中に第1の粘性流体(例えば水)を流し、その中心軸上にそのマイクロ流路よりも細い管を挿入して別の第2の粘性流体(例えば着色水)を注入すると、流速が十分に遅ければ、着色水は変動を含まない1本の線状の流れとなって流路軸に平行に安定的に流れる。そして、徐々に流速を上げていくと不安定で変動を含む流れと移行していき、その変動を起因とした乱れにより、第2の粘性流体は、第1の粘性流体と混合していく。その変動の形態としては、規則的である場合と不規則である場合があるが、本発明においてはこの両方の場合を含む。
例えば、規則的な変動を含む流れとしては、流体中で適当な速さで柱状の物体を動かすと、ある流動条件においてその物体の後流に物体の左右両側から交互に反対向きの渦(カルマン渦)が発生して規則的に2列に並ぶ流れや、共軸二重円管の環状部内の流体がその内側の円筒を回転させることにより発生する二次的回転流(テーラー渦)が発生するような流れが挙げられる。一方、不規則な変動を含む流れとしては、無秩序に大小の様々な渦の発生と消滅が繰り返されるような、いわゆる乱流状態の流れが挙がられる。
規則的または不規則な変動を発生させる要因としては様々なことが考えられるが、例えば、流路内の構造物、壁面の移動や振動、電磁力などの外部力や流体自体の脈動や運動エネルギーなどの内部力などが挙げられる。このような非層流状態の流れにすることは、2種類以上の流体を迅速に完全混合したい場合に有効である。一般的に完全混合とは、2種類以上の流体を構成する分子が均一に配合されている状態であり、その最終過程は分子拡散による混合(均一化)である。そのためには、分子拡散量の重要なパラメーターの一つであるそれら2種類以上の流体の接触面積を、より短時間で増加させることがポイントとなる。一般的にマイクロ流路内を粘性流体が流れる場合、その流体は慣性力に対して粘性力の影響を大きく受けるため、このような接触面積の増大が起こりにくい。しかし、前記に示した外部力や内部力を利用することにより、規則的変動または不規則的変動を含む流れ(対流)いわゆる非層流を発生させることにより、結果的に単位時間あたりの接触面積の増大を行うことができ迅速な完全混合が可能となる。
参考文献; 1)化学工学便覧改訂六版、化学工学会編、丸善株式会社
2)理化学辞典第5版、岩波書店
3)M. Engler et al., “Effective Mixing by the Use of Convective Micro Mixers”, Conference Proceedings, 2005 Spring National Meeting, AIChE, 128d
2)理化学辞典第5版、岩波書店
3)M. Engler et al., “Effective Mixing by the Use of Convective Micro Mixers”, Conference Proceedings, 2005 Spring National Meeting, AIChE, 128d
次に、本発明の無機微粒子の製造方法を実施するためのマイクロリアクター装置の一例を説明するが、これらの装置に限定されるものではなく、要はマイクロ流路内に非層流状態を形成できる装置であればよい。また、無機微粒子を製造するための溶液として、反応溶液Aと反応溶液Bの2種類の反応溶液の例で以下に説明する。
図1は、本発明の無機微粒子の製造方法を適用する平面型のマイクロリアクター装置の一例である。
図1に示すように、マイクロリアクター装置10は、反応溶液Aを供給する1本の供給流路12の途中から分岐して反応溶液Aを2つに分割できるようにした2本の分割供給流路12A,12Bと、反応溶液Bを供給する分割していない1本の供給流路14と、反応溶液Aと反応溶液Bとの反応を行うマイクロ流路16とが、1つの合流領域18で連通するように形成される。また、これら分割供給流路12A,12B、供給流路14、及びマイクロ流路16は、実質的に同一の平面内で合流領域18の周りに90°の等間隔で配置される。即ち、各流路12A,12B,14、16の中心軸(一点鎖線)は合流領域18において十文字状(交差角度α=90°)に交差する。尚、図1では反応溶液Bに比べて供給量の多い反応溶液Aの供給流路12のみを分割したが、反応溶液Bの供給流路14も複数に分割してもよい。また、合流領域18の周りに配置する各流路12A,12B,14、16の交差角度αは、90°に限らず適宜設定できる。また、供給流路12、14の分割数は、特に限定されるものではないが、数が多すぎるとマイクロリアクター装置10の構造が複雑になるので、2〜10が好ましく、2〜5がより好ましい。
図2は、図1の平面型のマイクロリアクター装置10の変形例であり、供給流路14の中心軸に対して分割供給流路12A,12Bの中心軸の成す交差角度βは図1の90°よりも小さく45°に形成される。また、分割供給流路12A,12Bの中心軸に対してマイクロ流路16の中心軸の成す交差角度αが135°になるように形成される。
図3は、図1の平面型のマイクロリアクター装置の更に別の変形例であり、反応溶液Bが流れる供給流路14の中心軸に対して反応溶液Aが流れる分割供給流路12A,12Bの中心軸の成す交差角度βは図1の90°よりも大きく135°に形成される。また、分割供給流路12A,12Bの中心軸に対してマイクロ流路16の中心軸の成す交差角度αが45°になるように形成される。供給流路14、分割供給流路12A,12B、及びマイクロ流路16の互いの交差角度α、βは適宜設定できるが、合流された反応溶液Bと反応溶液Aの全ての溶液の厚み方向の断面積の総和をS1とし、マイクロ流路16の径方向の断面積をS2としたときに、S1>S2を満足するように交差角度α、βを設定することが好ましい。これにより、溶液A,B同士の接触面積の一層の増大と拡散混合距離の一層の縮小を図ることができるので、より瞬時混合が生じ易くなるからである。
図4は、本発明の無機微粒子の製造方法を適用する立体型のマイクロリアクター装置30の一例であり、マイクロリアクター装置30を構成する3つのパーツを分解した状態を斜視図で示した分解斜視図である。尚、図1〜図3と同じ機能を有する部分には同符号を付して説明する。
立体型のマイクロリアクター装置30は、主として、それぞれが円柱状の形状をした供給ブロック32、合流ブロック34、及び反応ブロック36により構成される。そして、マイクロリアクター装置30を組み立てるには、円柱状をしたこれらのブロック32、34、36を、この順番で互いの側面同士を合わせて円柱状になるようにし、この状態で各ブロック32、34、36をボルト・ナット等により一体的に締結する。
供給ブロック32の合流ブロック34に対向する側面33には、2本の環状溝38、40が同芯状に穿設されており、マイクロリアクター装置30を組み立て状態において、2本の環状溝38、40は反応溶液Aと反応溶液Bとがそれぞれ流れるリング状流路を形成する。そして、供給ブロック32の合流ブロック34に対向しない反対側の側面35から外側環状溝38と内側環状溝40に達する貫通孔42、44がそれぞれ形成される。かかる2本の貫通孔42、44のうち、外側の環状溝38に連通する貫通穴42には、反応溶液Aを供給する供給手段(ポンプ及び連結チューブ等)が連結され、内側環状溝40に連通する貫通孔44には、反応溶液Bを供給する供給手段(ポンプ及び連結チューブ等)が連結される。図4では、外側環状溝38に反応溶液Aを流し、内側環状溝40に反応溶液Bを流すようにしたが、逆にしてもよい。
合流ブロック34の反応ブロック36に対向する側面41の中心には円形状の合流穴46が形成され、この合流穴46から放射状に4本の長尺放射状溝48、48…と4本の短尺放射状溝50、50…が交互に穿設される。これら合流穴46や放射状溝48,50はマイクロリアクター装置30を組み立て状態において、合流領域18となる円形状空間と溶液A,Bが流れる放射状流路とを形成する。また、8本の放射状溝48,50のうち、長尺放射状溝48の先端から合流ブロック34の厚み方向にそれぞれ貫通穴52、52…が形成され、これらの貫通穴52は供給ブロック32に形成されている前述の外側環状溝38に連通される。同様に、短尺放射状溝50の先端から合流ブロック34の厚み方向にそれぞれ貫通穴54、54…が形成され、これらの貫通穴54は供給ブロック32に形成されている内側環状溝40に連通される。
また、反応ブロック36の中心には、反応ブロック36の厚み方向に合流穴46に連通する1本の貫通孔58が形成され、この貫通孔58がマイクロ流路16となる。
これにより、反応溶液Aは供給ブロック32の貫通孔42→外側環状溝38→合流ブロック34の貫通孔52→長尺放射状溝48から構成される供給流路12を流れて4つの分割流に分割されて合流領域18(合流穴46)に至る。一方、反応溶液Bは供給ブロック32の貫通孔44→内側環状溝40→合流ブロック34の貫通孔54→短尺放射状溝50から構成される供給流路14を流れて4つの分割流に分割されて合流領域18(合流穴46)に至る。合流領域18において反応溶液Aの分割流と反応溶液Bの分割流とがそれぞれの運動エネルギーを有して合流した後、90°流れ方向を変えてマイクロ流路16に流入する。
図5(A)は合流ブロック34の平面図、図5(B)は図5(A)のa−a線に沿った断面図である。図5において、Wは分割された供給流路12、14の幅、Hは分割された供給流路12、14の深さ、Dは合流領域18の直径、Rはマイクロ流路16の直径であり、通常、合流領域18の直径とマイクロ流路16の直径は同じになる。また、UAinは分割された各供給流路12を流れる反応溶液Aが合流領域18に流入する平均流速であり、UBinは分割された各供給流路14を反応溶液Bが合流領域18に流入する平均流速である。また、Uoutは合流した溶液A,Bが合流領域18からマイクロ流路16に流出する平均流速である。
マイクロ流路16は、その流路16を流れる流体の流動特性を主に決定する長さ、つまり代表長さが等価直径において、1μm以上1000μm以下、好ましくは5μm以上800μm以下、さらに好ましくは10μm以上500μm以下の流路であることが好ましいが、流速が速い場合や分割数が多い場合には、溶液同士の接触面積の増大や拡散混合距離の縮小を図ることができるので、1000μm以上でもよい。ここで言う等価直径とは、相当(直)径とも呼ばれ、機械工学の分野で用いられる用語である。任意断面形状の配管(本発明では流路)に対し等価な円管を想定するとき、その等価円管の直径を等価直径という。
等価直径(deq)は、A:配管の断面積、p:配管のぬれぶち長さ(周長)を用いて、deq=4A/pと定義される。円管に適用した場合、この等価直径は円管直径に一致する。等価直径は等価円管のデータを基に、その配管の流動あるいは熱伝達特性を推定するのに用いられ、現象の空間的スケール(代表的長さ)を表す。等価直径は、一辺aの正四角形管ではdeq=4a2/4a=a、−辺aの正三角形管では、deq=a/√3となる。また、流路高さhの平行平板間の流れではdeq=2hとなる(例えば、(社)日本機械学会編「機械工学事典」1997年、丸善(株)参照)。
上記の如く構成された図1〜図4のマイクロリアクター装置10、30は、半導体加工技術、特にエッチング(例えばフォトリソエッチング)加工、超微細放電加工、光造形法、鏡面加工仕上げ技術、拡散接合技術等の精密機械加工技術を利用して製造することができる。また、汎用的な旋盤、ボール盤を用いる機械加工技術も利用できる。
装置10、30の材料としては、特に限定されるものではなく、上述の加工技術を適用できるものであればよい。具体的には、金属材料(鉄、アルミニウム、ステンレススチール、チタン、各種の金属等)、樹脂材料(フッ素樹脂、アクリル樹脂等)、ガラス(シリコン、石英等)を用いることができる。
また、マイクロリアクター装置10、30に反応溶液Aや反応溶液Bを供給する供給手段には、溶液の流れを制御する流体制御機能が必要である。特に、マイクロ流路16内における流体の挙動は、マクロスケールとは異なる性質を持つため、マイクロスケールに適した制御方式を考えなければならない。流体制御方式は形態分類すると連続流動方式と液滴(液体プラグ)方式があり、駆動力分類すると電気的駆動方式と圧力駆動方式がある。
これらの方式のうち最も広く用いられるのが連続流動方式である。連続流動式の流体制御では、マイクロ流路16内は全て流体で満たされ外部に用意したシリンジポンプなどの圧力源によって、流体全体を駆動するのが一般的である。この方法は、デッドボリュームが大きいことなどが難点であるが比較的簡単なセットアップで制御システムを実現できることが大きな利点である。
連続流動方式とは異なる方式として、液滴(液体プラグ)方式がある。この方式は、装置内部や装置に至る流路内で、空気で仕切られた液滴を動かすものであり、個々の液滴は空気圧によって駆動される。その際、液滴と流路壁あるいは液滴同士の間の空気を必要に応じて外部に逃がすようなベント構造、および分岐した流路内の圧力を他の部分と独立に保つためのバルブ構造などを、リアクターシステム内部に用意する必要がある。また、圧力差を制御して液滴の操作を行うために、外部に圧力源や切り替えバルブからなる圧力制御システムを構築する必要がある。このように液滴方式では、装置構成やリアクターの構造がやや複雑になるが、複数の液滴を個別に操作して、いくつかの反応を順次行うなどの多段階の操作が可能で、システム構成の自由度は大きくなる。
流体制御を行うための駆動方式として、マイクロ流路16の両端に高電圧をかけて電気浸透流を発生させ、これによって流体移動させる電気的駆動方法と、外部に圧力源を用いて流体に圧力をかけて移動させる圧力駆動方法が一般に広く用いられている。両者の違いは、たとえば流体の挙動として、流路断面内で流速プロファイルが電気的駆動方式の場合にはフラットな分布となるのに対して、圧力駆動方式では双曲線状に、流路中心部が速くて、壁面部が遅い分布となることが知られており、サンプルプラグなどの形状を保ったまま移動させるといった目的には、電気的駆動方式の方が適している。電気的駆動方式を行う場合には、流路内が流体で満たされている必要があるため、連続流動方式の形態をとらざるを得ないが、電気的な制御によって流体の操作を行うことができるため、例えば連続的に2種類の溶液の混合比率を変化させることによって、時間的な濃度勾配をつくるといった比較的複雑な処理も実現されている。圧力駆動方式の場合には、流体の電気的な性質にかかわらず制御可能であること、発熱や電気分解などの副次的な効果を考慮しなくてよいことなどから、基質に対する影響がほとんどなく、その適用範囲は広い。その反面、外部に圧力源を用意しなければならないこと、圧力系のデッドボリュームの大小に応じて、操作の応答特性が変化することなど、複雑な処理を自動化する必要がある。本発明における流体制御方法として用いられる方法はその日的によって適宜選ばれるが、好ましくは連続流動方式の圧力駆動方式である。
また、マイクロ流路16内の温度制御(反応温度制御)は、装置全体を温度制御された容器中に入れることにより制御してもよいし、金属抵抗線やポリシリコンなどのヒーター構造を装置内に作り込み、加熱についてはこれを使用し、冷却については自然冷却でサーマルサイクルを行つてもよい。温度のセンシングは、金属抵抗線を使用する場合はヒーターと同じ抵抗線をもう一つ作り込んでおき、その抵抗値の変化に基づいて温度検出を行うのが好ましく、ポリシリコンを使用する場合は熱電対を用いて検出を行うのが好ましい。また、ペルチェ素子を流路に接触させることによって外部から加熱、冷却を行ってもよい。どの方法を用いるかは用途や流路本体の材料などに合わせて選択される。
本発明に用いられるマイクロリアクター装置10、30の数は、勿論、一つでも構わないが、必要に応じて複数並列化し(ナンバリングアップ)、その処理量を増大させることができる。
次に、上記の如く構成されたマイクロリアクター装置10、30を用いて本発明の無機微粒子の製造方法について説明する。
上記の如く構成された図1〜図4のマイクロリアクター装置10、30によって、無機微粒子を製造する場合には、いずれの装置10、30の場合にも、分割工程と合流工程と反応工程との3つの工程を経て無機微粒子が製造される。
分割工程(供給ブロック)では、反応溶液Aと反応溶液Bとの2種類の溶液A,Bのうちの少なくとも一方の溶液を複数の溶液に分割する。
合流工程(合流ブロック)では、分割された複数の分割溶液のうちの少なくとも1つの分割溶液の中心軸と2種類の溶液A,Bのうちの他方の溶液の中心軸とを合流領域18において一点で交差するように合流させる。
また、反応工程(反応ブロック、場合により合流ブロックの合流穴を含む)では、合流した溶液A,B同士をマイクロ流路16内の流通過程において反応溶液Aと反応溶液Bとを反応させることにより無機微粒子を形成(生成)させる。反応方法としては、無機微粒子を形成するための反応溶液によって、沈殿法、加水分解法、酸化・還元法等が適宜採用される。二酸化チタン微粒子を形成するための反応方法としては、例えばアルコキシド加水分解法が好適に採用される。
図1〜図3のマイクロリアクター装置10では、反応溶液Bを2つに分割し、反応溶液Aは分割しない場合である。また、図4のマイクロリアクター装置30では、反応溶液Bと反応溶液Aをそれぞれ4分割した場合である。
このように、反応溶液Aと反応溶液Bとが合流する前に少なくとも一方の溶液を複数の溶液に分割した上で、その分割された複数の溶液を含む全ての溶液を合流領域18に合流させた後、合流した溶液A,Bの流れ方向を所定角度で方向転換してマイクロ流路16に流すことにより、合流した溶液A,Bの流れが有する運動エネルギーと流れの方向転換に起因する縮流とが発生する。これにより、溶液A,B同士の接触面積の増大と拡散混合距離の縮小によって瞬時混合を達成することができるので、マイクロ流路16内において反応溶液Aと反応溶液Bとの反応を瞬時に終了させることができる。この結果、ナノメートルサイズで単分散性な無機微粒子を安定的に製造することができる。
ここで、一般的に混合とは、2成分以上の粉粒体、粉粒体と流体(液体、気体)、あるいは流体の均一化を図る操作である。特に2成分以上の流体に関しては、分子レベルで均一化されていることが望ましい。マイクロ流路16内の混合は分子拡散による混合が基本であることから、迅速に混合を達成するためには、2種類以上の流体同士の単位時間当たりの接触面積を増大させることがポイントである。瞬時混合の好ましい混合時間は、溶液同士が合流してからマイクロ流路16から排出するまでの時間を1マイクロ秒以上1000ミリ秒以下にすることが好ましい。より好ましい混合時間は10マイクロ秒以上500ミリ秒以下である。
混和性液体同士の混合評価方法は、例えば非特許文献「S.Pani?, et.al., “Experimental approaches to a better understanding of mixing performance of microfluidic devices”, Chem.Eng.J.101, 2004, p.409-p.419」に記載されており、混合時間は、前記の混合評価方法で完全に混合が完了したと考えられる条件において、混合が行われるマイクロ流路16の容積(mL)をその容積を流れる総流量(mL/秒)で割った値で計算することにより算出することができる。
マイクロ流路16における混合の原理および方法に関しては、例えば非特許文献「V. Hessel, et. al., “Chemical Micro Process Engineering -Processing and Plant-”, WILEY-VCH, 2005, p.1-p.280」に詳細が記載されている。
かかる無機微粒子の製造においてマイクロ流路16内に非層流状態を形成するには、マイクロ流路16の等価直径をR(m)とし、該マイクロ流路16を流れる溶液の平均流速をU(m/秒)としたときに、U/Rで表される剪断速度(1/秒)が100以上になるようにすることが好ましい。
図6は、非特許文献4に記載されているマイクロ流路16内の剪断速度(U/R)と混合性能との関係を調べたもので、混合性能を溶液の濁りを吸光度で表すことにより評価したものである。即ち、吸光度が大きいほど混合性能が悪いことを示し、吸光度が小さいほど混合性能が良いことを示す。図6から分かるように、マイクロ流路16内の剪断速度(U/R)を大きくしていくと、吸光度が急激に低下し、剪断速度(U/R)が100以上で略同じ吸光度で推移する。このことは、剪断速度(U/R)が100以上の領域では、層流状態での分子拡散による混合状態とは別の混合状態、即ち非層流状態での分子拡散による混合が発生しているものと考えられる。従って、マイクロ流路16の等価直径R(m)と、該マイクロ流路16を流れる溶液の平均流速U(m/秒)との関係を適切に設計することにより、マイクロ流路16内の剪断速度(U/R)を100以上とすることができ、これにより瞬時混合を行うことができる。尚、図6のグラフでは、剪断速度(U/R)が100以上のときの混合性能の詳細な挙動がどうなるかが分からないが、剪断速度が約2万(1/秒)から約10万(1/秒)の高レベル領域で製造された無機微粒子の粒子径を調べたところ、この高レベル領域でも剪断速度を大きくすると次第に粒子径が小さくなった。このことから、剪断速度は100(1/秒)を超えても大きくするほど混合性能が向上するものと考察される。
また、合流領域18で溶液A,Bが方向転換をすることで縮流を発生させるには、合流する際の各溶液A,Bの平均流速と溶液A,B同士が合流する際の中心軸の交差角度α、βとの関係を適切に設計することで達成できる。また、合流領域18で溶液A,Bを急激に方向転換することで、規則的又は不規則な変動を含む流れを形成し易い。従って、合流領域18へ流入する各溶液A,Bの平均流速と溶液A,B同士が合流する際の中心軸の交差角度α、βとの関係を適切に設計することでマイクロ流路16内に非層流状態の流れを形成し易くなることが考えられる。
尚、マイクロ流路16内を流れる溶液A,Bの温度は、水性溶媒が凝固又は沸騰しない範囲内であればよいが、好ましい反応温度としては0〜50°C、より好ましくは5〜30°Cである。また、マイクロ流路16内を流れる溶液A,Bの流量は0.1〜5000mL/分が好ましく、より好ましくは1〜1000mL/分であり、特に好ましくは5〜500mL/分である。また、本発明において、マイクロ流路16内を流れる基質(無機材料やその反応成分)の濃度範囲は、通常0.01〜20質量%であり、好ましくは0.1〜10質量%である。
また、本発明により製造される無機微粒子の材料としては、二酸化チタン 、炭酸カルシウム、酸化銅、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化クロム、バナジン酸ビスマス、ルチル型混合相顔料、ハロゲン化銀、シリカ、及びカーボンブラック等があるが、これに限定するものではない。
次に反応溶液に添加される分散剤について説明する。
本発明の無機微粒子を製造する方法では、反応溶液A,Bの少なくとも一方に、分散剤を添加することができる。分散剤は生成した無機微粒子表面に素早く吸着して、微細な無機微粒子を形成し、且つこれらの粒子が再び凝集することを防ぐ作用を有するものである。本発明では、このような分散剤として、アニオン性、カチオン性、両イオン性、ノニオン性の低分子または高分子分散剤を使用することができる。これらの分散剤は、単独あるいは併用して使用することができる。無機微粒子の分散に用いる分散剤に関しては、「顔料分散安定化と表面処理技術・評価」(化学情報協会、2001年12月発行)の29〜46頁に詳しく記載されている。
アニオン性分散剤(アニオン性界面活性剤)としては、N−アシル−N−アルキルタウリン塩、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等を挙げることができる。これらアニオン性分散剤は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
カチオン性分散剤(カチオン性界面活性剤)としては、四級アンモニウム塩、アルコキシル化ポリアミン、脂肪族アミンポリグリコールエーテル、脂肪族アミン、脂肪族アミンと脂肪族アルコールから誘導されるジアミンおよびポリアミン、脂肪酸から誘導されるイミダゾリンおよびこれらのカチオン性物質の塩が含まれる。これらカチオン性分散剤は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
両イオン性分散剤は、前記アニオン性分散剤が分子内に有するアニオン基部分とカチオン性分散剤が分子内に有するカチオン基部分を共に分子内に有する分散剤である。
ノニオン性分散剤(ノニオン性界面活性剤)としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステルなどを挙げることができる。これらノニオン性分散剤は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
高分子分散剤としては、具体的には、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアクリルアミド、ビニルアルコール−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール一部分ホルマール化物、ポリビニルアルコール一部分ブチラール化物、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロック共重合体、ポリアクリル酸塩、ポリビニル硫酸塩、ポリ(4−ビニルピリジン)塩、ポリアミド、ポリアリルアミン塩、縮合ナフタレンスルホン酸塩、スチレン−アクリル酸塩共重合物、スチレン−メタクリル酸塩共重合物、アクリル酸エステル−アクリル酸塩共重合物、アクリル酸エステル−メタクリル酸塩共重合物、メタクリル酸エステル−アクリル酸塩共重合物、メタクリル酸エステル―メタクリル酸塩共重合物、スチレン−イタコン酸塩共重合物、イタコン酸エステル−イタコン酸塩共重合物、ビニルナフタレン−アクリル酸塩共重合物、ビニルナフタレン−メタクリル酸塩共重合物、ビニルナフタレン−イタコン酸塩共重合物、セルロース誘導体、澱粉誘導体などが挙げられる。その他、アルギン酸塩、ゼラチン、アルブミン、カゼイン、アラビアゴム、トンガントゴム、リグニンスルホン酸塩などの天然高分子類も使用できる。これら高分子は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
分散剤の配合量は、無機材料の均一分散性および保存安定性をより一層向上させるために、無機材料100質量部に対して0.1〜1000質量部の範囲であることが好ましく、より好ましくは1〜500質量部の範囲であり、さらに好ましくは10〜250質量部の範囲である。0.1質量部未満であると無機微粒子の分散安定性の向上が見られない場合がある。
次に、製造された無機微粒子の粒径サイズの計測法について説明する。
微粒子の計測法において、数値化して集団の平均の大きさを表現する方法があるが、よく使用されるものとして、分布の最大値を示すモード径、積分分布曲線の中央値に相当するメジアン径、および各種の平均径(長さ平均、面積平均、重量平均など)がある。本発明の方法で製造される無機微粒子の粒径サイズはマイクロ流路16を閉塞しない範囲で任意であるが、モード径で1μm以下が好ましい。好ましくは1nm〜500nmであり、特に好ましくは1nm〜50nmである。
次に、製造された無機微粒子のサイズ及びサイズ分布について説明する。
微粒子の粒子サイズが揃っていること、すなわち単分散微粒子系は、含まれる粒子の大きさが揃っているだけではなく、粒子内の化学組成や結晶構造にも粒子間の変動がないことを示すので粒子の性能を決める重要な要素である。特に粒子サイズがナノメートルの超微粒子においてはその粒子の特性を支配する因子として重視される。本発明の方法は粒子の大きさをコントロールできるだけでなく、そのサイズを揃える点でも優れた方法である。サイズが揃っていることを表す指標として算術標準偏差値が用いられるが、本発明により製造される無機微粒子の算術標準偏差値は、好ましくは130nm以下であり、特に好ましくは80nm以下である。算術標準偏差値は、粒度分布を正規分布とみなして標準偏差を求める方法で、積算分布の84%粒子径から、16%粒子径を減じた値を2で除した値である。
以下の実施例に基づき本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
実施例では、白色無機微粒子として二酸化チタン微粒子を製造した。
製造された二酸化チタン微粒子の粒度分布は、株式会社堀場製作所の動的光散乱法粒度分布計(LB−550)で測定した。
反応溶液A,Bは以下の如く調製した。
(1)反応溶液A〈1容積%アルコキシド溶液 〉
・チタニウムテトライソプロポキシド(TTIP)和光純薬(株)製、特級)…10ml
・1−オクタノール(和光純薬製、特級)…990ml
以上の成分を室温にて十分に攪拌混合して完全に溶解した。
・チタニウムテトライソプロポキシド(TTIP)和光純薬(株)製、特級)…10ml
・1−オクタノール(和光純薬製、特級)…990ml
以上の成分を室温にて十分に攪拌混合して完全に溶解した。
(2)反応溶液B〈34容積%イソプロパノール水溶液〉
・分散剤のアミノフェクト(昭和電工(株)製、特級)…0.0104g
・イソプロパノール(和光純薬(株)製、特級)…667ml
・蒸留水…333ml
上記の成分を室温にて十分に攪拌混合して完全に溶解した。
・分散剤のアミノフェクト(昭和電工(株)製、特級)…0.0104g
・イソプロパノール(和光純薬(株)製、特級)…667ml
・蒸留水…333ml
上記の成分を室温にて十分に攪拌混合して完全に溶解した。
(3)マイクロリアクター装置としては、以下の分割数(流路本数)等を有する図4の立体型のマイクロリアクター装置を使用した。
i)供給流路本数(n)…反応溶液Aについて3本に分割し、反応溶液Bについて3本に分割した。
ii)供給流路12、14の幅(W)…各200μm
iii)供給流路12、14の深さ(H)…各200μm
iv)合流領域18の直径(D)…400μm
v)マイクロ流路16の直径(R)…400μm
vi)入口及び出口面積…入口総面積(S1)を0.24mm2、出口面積(S2)を0.126mm2となるようにした。
vii)合流領域18において各供給流路12、14とマイクロ流路16との中心軸同士の交差角度…90°
viii)装置の材質…ステンレス(SUS316)
ix)流路加工法…マイクロ放電加工で行い、供給ブロック32、合流ブロック34、反応ブロック36の3つのパーツの封止方法は鏡面研磨による金属面シールで行った。
i)供給流路本数(n)…反応溶液Aについて3本に分割し、反応溶液Bについて3本に分割した。
ii)供給流路12、14の幅(W)…各200μm
iii)供給流路12、14の深さ(H)…各200μm
iv)合流領域18の直径(D)…400μm
v)マイクロ流路16の直径(R)…400μm
vi)入口及び出口面積…入口総面積(S1)を0.24mm2、出口面積(S2)を0.126mm2となるようにした。
vii)合流領域18において各供給流路12、14とマイクロ流路16との中心軸同士の交差角度…90°
viii)装置の材質…ステンレス(SUS316)
ix)流路加工法…マイクロ放電加工で行い、供給ブロック32、合流ブロック34、反応ブロック36の3つのパーツの封止方法は鏡面研磨による金属面シールで行った。
(4)反応条件
i)設定流量…シリンジポンプ(ハーバード社製)を用いて、反応溶液Aを3.402mL/分、反応溶液Bを23.71mL/分の一定流量で供給した。このときのマイクロ流路16内を流れる二酸化チタン微粒子分散液の流量は27.112mL/分となり、反応溶液Aと反応溶液Bの流量比は1:7になる。
ii)溶液A,Bの平均流速…UAinを0.47m/秒とし、UBinを3.29m/秒とし、Uoutを3.60m/秒になるようにした。
iii)剪断速度…マイクロ流路16内における剪断速度(U/R)=9.0×103
iv)反応温度…25°C
i)設定流量…シリンジポンプ(ハーバード社製)を用いて、反応溶液Aを3.402mL/分、反応溶液Bを23.71mL/分の一定流量で供給した。このときのマイクロ流路16内を流れる二酸化チタン微粒子分散液の流量は27.112mL/分となり、反応溶液Aと反応溶液Bの流量比は1:7になる。
ii)溶液A,Bの平均流速…UAinを0.47m/秒とし、UBinを3.29m/秒とし、Uoutを3.60m/秒になるようにした。
iii)剪断速度…マイクロ流路16内における剪断速度(U/R)=9.0×103
iv)反応温度…25°C
(5)製造結果
i)粒子サイズおよびサイズ分布結果
上記条件の実施例により製造された二酸化チタン微粒子のメジアン平均径M50%は20.1nmであると共に、算術標準偏差STDは3.5nmであった(CV=17.4%)。この結果から分かるように、実施例ではナノメートルサイズで単分散性に優れた二酸化チタン微粒子を安定的に製造することができた。
i)粒子サイズおよびサイズ分布結果
上記条件の実施例により製造された二酸化チタン微粒子のメジアン平均径M50%は20.1nmであると共に、算術標準偏差STDは3.5nmであった(CV=17.4%)。この結果から分かるように、実施例ではナノメートルサイズで単分散性に優れた二酸化チタン微粒子を安定的に製造することができた。
また、製造中において目詰まりが発生することなく安定した連続製造を行うことができた。ちなみに、年間6000時間の稼動で計算すると、1基のマイクロリアクター装置当たり9.8トン/年の生産量となり実製造で利用可能な高処理量であった。また、マイクロリアクター装置における圧力損失は0.07MPaと低圧力損失で運転を行うことができ、低い動力で目的とする二酸化チタン微粒子を得ることができた。
[比較例]
実施例と同じ溶液A,Bを使用すると共に、30mLの攪拌機付き小型容器(タンク形状)を使用して二酸化チタン微粒子を製造した。
実施例と同じ溶液A,Bを使用すると共に、30mLの攪拌機付き小型容器(タンク形状)を使用して二酸化チタン微粒子を製造した。
(1)反応条件
25°Cに温度を保った恒温水槽に上記の小型容器を浸漬し、その中に23.71mLの反応溶液Bを入れて500rpmの回転数で攪拌した。その攪拌の最中に、シリンジポンプ(ハーバード社製)を用いて、3.402mLの反応溶液Aを3.402mL/分の添加速度で液面から添加した。
25°Cに温度を保った恒温水槽に上記の小型容器を浸漬し、その中に23.71mLの反応溶液Bを入れて500rpmの回転数で攪拌した。その攪拌の最中に、シリンジポンプ(ハーバード社製)を用いて、3.402mLの反応溶液Aを3.402mL/分の添加速度で液面から添加した。
(2)製造結果
i)粒子サイズおよびサイズ分布結果
上記条件の比較例により製造された二酸化チタン微粒子のメジアン平均径M50%は57.1nmであった。また、算術標準偏差STDは16.1nm(CV=28.2%)
であり、実施例に比べて悪い結果となった。
i)粒子サイズおよびサイズ分布結果
上記条件の比較例により製造された二酸化チタン微粒子のメジアン平均径M50%は57.1nmであった。また、算術標準偏差STDは16.1nm(CV=28.2%)
であり、実施例に比べて悪い結果となった。
10、30…マイクロリアクター装置、12、14…溶液の供給流路、12A…分割供給流路、16…マイクロ流路、18…合流領域、32…供給ブロック、34…合流ブロック、36…反応ブロック、38…外側環状溝、40…内側環状溝、42、44…供給ブロックの貫通孔、46…合流穴(合流領域18)、48…長尺放射状溝、50…短尺放射状溝、52、54…合流ブロックの貫通孔、58…反応ブロックの貫通孔(マイクロ流路16)
Claims (16)
- 無機微粒子を形成する2種類以上の反応溶液を、マイクロ流路内にて非層流状態で流通させ、その流通過程で前記反応溶液を反応させて前記無機微粒子を形成することを特徴とする無機微粒子の製造方法。
- 無機微粒子を形成する2種類以上の反応溶液を、マイクロ流路内に流通させ、その流通過程で前記無機微粒子を形成する無機微粒子の製造方法であって、
前記製造方法は、
前記2種類以上の反応溶液のうちの少なくとも一つの溶液を複数の溶液に分割する分割工程と、
前記分割された複数の分割溶液のうちの少なくとも1つの分割溶液の中心軸と前記2種類以上の溶液のうちの前記1つの分割溶液とは異なる他の溶液の中心軸とを合流領域において一点で交差するように合流させる合流工程と、
前記合流した溶液同士を前記マイクロ流路内の流通過程において反応させて前記無機微粒子を形成する反応工程と、を備えたことを特徴とする無機微粒子の製造方法。 - 前記2種類以上の反応溶液を非層流状態で前記マイクロ流路内を流通させることを特徴とする請求項2の無機微粒子の製造方法。
- 前記マイクロ流路の代表長さが、等価直径で1μm以上1000μm以下であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1に記載の無機微粒子の製造方法。
- 前記マイクロ流路の等価直径をR(m)とし、該マイクロ流路を流れる溶液の平均流速をU(m/秒)としたときに、U/Rで表される剪断速度(1/秒)を変化させることを特徴とする請求項1〜4の何れか1に記載の無機微粒子の製造方法。
- 前記剪断速度(U/R)が100(1/秒)以上になるようにすることを特徴とする請求項5に記載の無機微粒子の製造方法。
- 前記合流工程では、前記合流された全ての溶液の厚み方向の断面積の総和をS1とし、前記マイクロ流路の径方向の断面積をS2としたときに、S1>S2を満足するように前記溶液同士が合流する際の前記中心軸の交差角度を設定することにより、前記合流領域において前記溶液の流れを縮流させることを特徴とする請求項2〜6の何れか1に記載の無機微粒子の製造方法。
- 前記溶液同士を前記合流領域で合流させてから前記マイクロ流路から排出するまでの混合時間を1マイクロ秒以上1000ミリ秒以下にすることを特徴とする請求項2〜7の何れか1に記載の無機微粒子の製造方法。
- 前記反応溶液が、分散剤を含有していることを特徴とする請求項1〜8の何れか1に記載の無機微粒子の製造方法。
- 前記分散剤の少なくとも一つが低分子分散剤であることを特徴とする請求項9に記載の無機微粒子の製造方法。
- 前記無機微粒子が、その分散液として得られることを特徴とする請求項1〜10の何れか1に記載の無機微粒子の製造方法。
- 請求項1〜11の何れか1に記載の製造方法により製造される無機微粒子であって、該モード径が1μm以下であることを特徴とする無機微粒子。
- 前記無機微粒子は二酸化チタン微粒子であることを特徴とする請求項12に記載の無機微粒子。
- 請求項1〜11の何れか1に記載の製造方法により二酸化チタン微粒子を製造することを特徴とする二酸化チタン微粒子の製造方法。
- 前記二酸化チタン微粒子を製造する反応はアルコキシド加水分解であることを特徴とする請求項14に記載の二酸化チタン微粒子の製造方法。
- 前記マイクロ流路内における反応温度は0〜50℃の範囲であることを特徴とする請求項14又は15に記載の二酸化チタン微粒子の製造方法。
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