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JP2007232352A - 脱脂用治具、セラミック成形体の脱脂方法、及び、ハニカム構造体の製造方法 - Google Patents

脱脂用治具、セラミック成形体の脱脂方法、及び、ハニカム構造体の製造方法 Download PDF

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JP2007232352A
JP2007232352A JP2006310265A JP2006310265A JP2007232352A JP 2007232352 A JP2007232352 A JP 2007232352A JP 2006310265 A JP2006310265 A JP 2006310265A JP 2006310265 A JP2006310265 A JP 2006310265A JP 2007232352 A JP2007232352 A JP 2007232352A
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degreasing
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honeycomb
ceramic
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JP2006310265A
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English (en)
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Takamitsu Saijo
貴満 西城
Kazuya Naruse
和也 成瀬
Kenichiro Kasai
健一郎 葛西
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Ibiden Co Ltd
Original Assignee
Ibiden Co Ltd
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Abstract

【課題】脱脂時に、成形体にタール状物等が付着することを防止することができる脱脂用治具を提供する。
【解決手段】セラミック粉末とバインダと分散媒液とを含むセラミック成形体の脱脂に用いる脱脂用治具10であって、上記セラミック成形体15を載置する底板11と、底板から所定距離をおいて上記セラミック成形体を覆うように設けられた通気性を有するカバー部材12とカバーを支持する柱状の支持部材13を備えることを特徴とする脱脂用治具。
【選択図】図1

Description

本発明は、脱脂用治具、セラミック成形体の脱脂方法及びハニカム構造体の製造方法に関する。
バス、トラック等の車両や建設機械等の内燃機関から排出される排ガス中に含有されるスス等のパティキュレートが環境や人体に害を及ぼすことが最近問題となっている。
そこで、排ガス中のパティキュレートを捕集して、排ガスを浄化するフィルタとして多孔質セラミックからなるハニカム構造体を用いたハニカムフィルタが種々提案されている。
図5は、このようなハニカム構造体の一例を模式的に示す斜視図であり、図6(a)は、上記ハニカム構造体を構成するハニカム焼成体を模式的に示す斜視図であり、(b)は、そのA−A線断面図である。
ハニカム構造体130では、図6に示すようなハニカム焼成体140がシール材層(接着剤層)131を介して複数個結束されてセラミックブロック133を構成し、さらに、このセラミックブロック133の外周にシール材層(コート層)132が形成されている。
また、ハニカム焼成体140は、図6に示すように、長手方向に多数のセル141が並設され、セル141同士を隔てるセル壁143がフィルタとして機能するようになっている。
すなわち、ハニカム焼成体140に形成されたセル141は、図6(b)に示すように、排ガスの入口側又は出口側の端部のいずれかが封口材層142により目封じされ、一のセル141に流入した排ガスは、必ずセル141を隔てるセル壁143を通過した後、他のセル141から流出するようになっており、排ガスがこのセル壁143を通過する際、パティキュレートがセル壁143部分で捕捉され、排ガスが浄化される。
従来、このようなハニカム構造体130を製造する際には、まず、原料粉末であるセラミック粉末とバインダとを混合し、さらに分散媒液等を添加、混合して湿潤混合物を調製する。そして、この湿潤混合物をダイスにより連続的に押出成形し、押出された成形体を所定の長さに切断することにより、角柱形状のハニカム成形体を作製する。
次に、得られたハニカム成形体を、マイクロ波乾燥や熱風乾燥を利用して乾燥させ、その後、所定のセルに目封じを施し、セルのいずれかの端部が封口材層により封止された状態とした後、脱脂処理及び焼成処理を施し、ハニカム焼成体を製造する。
この後、ハニカム焼成体の側面にシール材ペーストを塗布し、ハニカム焼成体同士を接着させることにより、シール材層(接着剤層)を介してハニカム焼成体が多数結束した状態のハニカム焼成体の集合体を作製する。次に、得られたハニカム焼成体の集合体に、切削機等を用いて円柱、楕円柱等の所定の形状に切削加工を施してセラミックブロックを形成し、最後に、セラミックブロックの外周にシール材ペーストを塗布してシール材層(コート層)を形成することにより、ハニカム構造体の製造を終了する。
このようなハニカム構造体の製造方法では、ハニカム成形体の脱脂工程中には、有機分や水分等の液体やガスが大量に発生し、これらが脱脂炉の壁面(特に上側の壁面)に付着し、さらに、ハニカム成形体上にタール状物となって落下した場合には、ハニカム構造体の特性に悪影響があった。
そこで、特許文献1には、2枚の板状体の間に、ハニカム成形体を載置して脱脂処理を行う方法が開示されている。
特許文献1に開示されているように、ハニカム成形体の上方を覆うように、板状体を設置する脱脂方法を用いることにより、脱脂炉の壁面から落下する液体が、ハニカム成形体に付着することを防止することができる。
特開2001−19560号公報
しかしながら、特許文献1に開示された脱脂用治具は、その上面が板状体で覆われているため、脱脂時にハニカム成形体から生じたガスが脱脂用治具外へ抜けにくく、このような状態で脱脂処理を行った場合、後工程を経て得られたハニカム焼成体において、気孔径や強度等の特性にバラツキが発生することとなった。
また、ハニカム成形体の脱脂処理中に発生したガスや液体の一部は、脱脂用治具を構成する板状体の下面に付着し、その後、ハニカム成形体上に、タール状物となって落下することがあり、これによりハニカム焼成体の特性に悪影響を及ぼすこともあった。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討を行い、脱脂時に、成形体にタール状物等が付着することを防止することができる脱脂用治具等を見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の脱脂用治具は、セラミック粉末とバインダと分散媒液とを含むセラミック成形体の脱脂に用いる脱脂用治具であって、
上記セラミック成形体を載置する底板と、上記セラミック成形体を覆うように設けられた通気性を有するカバー部材とを備えることを特徴とする。
本発明の脱脂用治具において、上記通気性を有するカバー部材は、格子状体であって、その開き目が0.045〜0.46mmであることが望ましい。また、上記格子状体のカバー部材は、平網であることが望ましい。
また、上記脱脂用治具において、上記底板と上記通気性を有するカバー部材とは、略平行に配設されていることが望ましい。
また、本発明のセラミック成形体の脱脂方法は、セラミック粉末とバインダと分散媒液とを含むセラミック成形体を脱脂用治具に載置した後、加熱処理により、上記バインダ及び上記分散媒液を分解、消失させるセラミック成形体の脱脂方法であって、
上記脱脂用治具として、上記セラミック成形体を載置する底板と、上記セラミック成形体を覆うように設けられた通気性を有するカバー部材とを備える脱脂用治具を用いることを特徴とする。
本発明のセラミック成形体の脱脂方法において、上記通気性を有するカバー部材は、格子状体であって、その開き目が0.045〜0.46mmであることが望ましい。また、上記格子状体のカバー部材は、平網であることが望ましい。
また、上記セラミック成形体の脱脂方法において、上記底板と上記通気性を有するカバー部材とは、略平行に配設されていることが望ましい。
本発明のハニカム構造体の製造方法は、セラミック原料を成形することで、多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設された柱状のハニカム成形体を作製した後、脱脂用治具を用いてハニカム成形体の脱脂処理を行い、さらに上記脱脂処理が施されたハニカム成形体を焼成してハニカム焼成体からなるハニカム構造体を製造するハニカム構造体の製造方法であって、
上記脱脂処理は、上記ハニカム成形体を載置する底板と、上記ハニカム成形体を覆うように設けられた通気性を有するカバー部材とを備える脱脂用治具を用いて行うことを特徴とする。
本発明のハニカム構造体の製造方法において、上記通気性を有するカバー部材は、格子状体であって、その開き目が0.045〜0.46mmであることが望ましい。また、上記格子状体のカバー部材は、平網であることが望ましい。
また、上記ハニカム構造体の製造方法において、上記底板と上記通気性を有するカバー部材とは、略平行に配設されていることが望ましい。
本発明の脱脂用治具では、セラミック成形体を覆うように、通気性を有するカバー部材を備えているため、脱脂時にセラミック成形体から発生したガスや液状体は、上記カバー部材を通過することとなる。一方、脱脂時に脱脂炉の上方から落下したタール状物等は、カバー部材でトラップされることとなる。
従って、本発明の脱脂用治具を用いて脱脂処理を行った場合には、セラミック成形体から発生した有機物等に起因するタール状物がセラミック成形体に付着することを防止することができ、良好に脱脂処理を行うことができる。
また、本発明のセラミック成形体の脱脂方法によれば、セラミック成形体を覆うように、通気性を有するカバー部材を備えた脱脂用治具にセラミック成形体を載置して脱脂処理を行うため、脱脂時にセラミック成形体から発生したガスや液状体は、上記カバー部材を通過することとなる。一方、脱脂時に脱脂炉の上方から落下したタール状物等は、カバー部材でトラップされることとなる。
従って、本発明の脱脂方法では、セラミック成形体から発生した有機物等に起因するタール状物がセラミック成形体に付着することを防止することができ、良好にセラミック成形体の脱脂を行うことができる。
また、本発明のハニカム構造体の製造方法は、ハニカム成形体を覆うように、通気性を有するカバー部材を備えた脱脂用治具にハニカム成形体を載置して脱脂処理を行う工程を有しており、この脱脂工程において、ハニカム成形体から発生したガスや液状体は、上記カバー部材を通過することとなる。一方、脱脂時に脱脂炉の上方から落下したタール状物等は、カバー部材でトラップされることとなる。
従って、本発明の製造方法では、脱脂工程において、ハニカム成形体から発生した有機物等に起因するタール状物がハニカム成形体に付着することに起因する不良品の発生を防止することができ、効率よく、所望のハニカム構造体を製造することができる。
まず、本発明の脱脂用治具、及び、本発明のセラミック成形体の脱脂方法について説明する。
本発明の脱脂用治具は、セラミック粉末とバインダと分散媒液とを含むセラミック成形体の脱脂に用いる脱脂用治具であって、
上記セラミック成形体を載置する底板と、上記セラミック成形体を覆うように設けられた通気性を有するカバー部材とを備えることを特徴とする。
また、本発明のセラミック成形体の脱脂方法は、脱脂用治具を用いてセラミック成形体の脱脂処理を行う工程を含むセラミック成形体の脱脂方法であって、
上記脱脂用治具として、上記セラミック成形体を載置する底板と、上記セラミック成形体を覆うように設けられた通気性を有するカバー部材とを備える脱脂用治具を用いることを特徴とする。
従って、本発明のセラミック成形体の脱脂方法は、本発明の脱脂用治具を用いて好適に行うことができる。
まず、本発明の脱脂用治具について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の脱脂用治具の一例を模式的に示した斜視図である。
この脱脂用治具10は、平板状の底板(成形体載置板)11と、成形体載置板11から所定の距離をおいて成形体載置板11を覆うように設けられた外縁が長方形形状で、平網のカバー部材12と、カバー部材12の四隅に固定され、カバー部材12を支持する柱状の支持部材13とから構成されている。
支持部材13は、四角柱状で成形体載置板11の四隅に形成された貫通孔11aに嵌合されるようになっている。
成形体載置板11には、複数箇所、平行に細い帯状の炭素繊維マット14が固定されており、炭素繊維マット14を介して乾燥処理、封口処理が終了したセラミック成形体15が載置されることとなる。
実際にセラミック成形体15を載置する際には、まず、炭素繊維マット14を介して、成形体載置板11上にセラミック成形体を載置し、その後、カバー部材12に固定された支持部材13の下部を成形体載置板11の貫通孔11aに嵌合することにより、カバー部材12を設置することとなる。
ハニカム成形体の脱脂工程では、有機分、水分等の液体、ガス等が大量に発生し、これらが脱脂炉の壁面(特に上側の壁面)に付着し、さらに、ハニカム成形体上にタール状物となって落下する場合がある。
このような構成からなる脱脂用治具10では、載置されたセラミック成形体を覆うように、カバー部材12が設けられているため、セラミック成形体15を脱脂する際に、その上方から分解した有機物に起因したタール状物等が落下しても、セラミック成形体15と接触することはなく、また、セラミック成形体15の周囲は開放状態にあるため、良好に脱脂処理を行うことができる。
また、本発明の脱脂用治具において、炭素繊維マットは、必要に応じて備えていればよい。
上記炭素繊維マットは、セラミック成形体が成形体載置板に接触することを防止するために設けたものであり、脱脂処理温度に対する耐久性を有するものであれば、炭素繊維マット以外の繊維からなるマットを設けてもよく、セラミック等からなる多孔質部材を炭素繊維マットの代わりに設けてもよい。
また、図1では、炭素繊維マット14は、成形体載置板11の長辺の方向に平行に設けられており、セラミック成形体15は、長さ方向が炭素繊維マット14に直角になるように配置されるが、炭素繊維マット14が成形体載置板11の長辺の方向に直角に設けられ、セラミック成形体15は、長さ方向が炭素繊維マット14に直角になるように配置されていてもよい。
また、図1では、脱脂用治具10に5個のセラミック成形体が載置されているが、載置されるセラミック成形体の数は特に限定されない。
上記平網は、その開き目(開口径)が0.045〜0.46(0.04〜0.50)mmであることが望ましい。
上記開き目が、0.045mm未満では、脱脂工程中に、セラミック成形体から発生した有機物が、平網の下面(底板側の面)に付着し、タール状物等となって、セラミック成形体に落下、付着することがあるからであり、一方、上記目開きが0.46mmを超えると、脱脂処理時に、脱脂炉の上部から分解した有機物に起因してタール状物等が落下した場合に、上記タール状物等が平網を通過してセラミック成形体に落下、付着する場合があるからである。
また、上記カバー部材が網状体である場合、その種類は平網であることが望ましいが、必ずしも平網には限定されず、綾畳織、クランプ等の織網、焼結金網、メタルファイバ(焼結金属不繊布)等であってもよい。なお、平網が望ましい理由は、経済的に有利だからである。
上記網状体を構成する線状体の材質としては、例えば、ステンレス、鉄、亜鉛引鉄、硬鋼、ピアノ線材、マンガン鋼、銅、真鍮、丹銅、リン青銅、ニッケル、ニッケル−クロム、鉄−クロム、モネル、アルミニウム等が挙げられる。
また、上記網状体を構成する線状体の径は、30〜200μmが望ましい。
30μm未満では、強度が低く、取り扱い時に形状が歪んだり、穴が開いたりする場合があり、200μmを超えると、開き目に対して、径が太くなるため、開き目のバラツキが大きくなり、場合によっては、タール状物が落下する等の不都合が生じることがあるからである。
また、上記網状体を構成する線状体の断面形状は、通常、円形であるが、円形に限定されるわけではなく、例えば、三角形、四角形、多角形、楕円形等任意の形状であればよい。そして、それぞれの形状において、断面径とは、断面における最も長い部分の長さをいう。
上記底板の材質としては、脱脂処理の温度(例えば、200〜600℃)に耐えることができれば特に限定されず、例えば、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化硼素等の非酸化物系セラミック等が挙げられる。
また、本明細書において、カバー部材がセラミック成形体を覆うように設けられているとは、上記脱脂用治具を平面視した際に、カバー部材の外縁がなす領域の内側に全てのセラミック成形体が位置するように設けられていることをいう。
また、本発明の脱脂用治具の形状は、図1に示した形状に限定されるわけではなく、例えば、図2に示したような形状を有するものであってもよい。
図2は本発明の脱脂用治具の別の一例を模式的に示す斜視図である。
図2に示した脱脂用治具20は、平板状の底板(成形体載置板)21と、成形体載置板21から所定の距離をおいて成形体載置板21を覆うように設けられた、上が凸に湾曲した板状の平網のカバー部材22と、カバー部材22の四隅に固定されカバー部材22を支持する柱状の支持部材23とから構成されている。支持部材23は、四角柱状で、成形体載置板21の四隅に形成された貫通孔21aに嵌合されるようになっている。
また、成形体載置板21には、成形体載置板11と同様、複数箇所に平行に細い帯状の炭素繊維マット24が固定されており、炭素繊維マット24を介してセラミック成形体(図示せず)が設置されることとなる。
このように、本発明の脱脂用治具を構成するカバー部材の形状は特に限定されるものではなく、セラミック成形体を覆うように設けられたものであればよい。
しかしながら、上記カバー部材は、底板(成形体載置板)と略平行に配設されていることが望ましい。
その理由は、略平行にすることによって、脱脂用治具の高さを最低限必要な高さに抑えることができ、これにともない、脱脂炉内の高さも低く抑えることができ、その結果、炉内温度を均一に保ち易くなるからである。
なお、図2に示したような、湾曲した板状のカバー部材が形成された脱脂用治具は、例えば、円柱状のセラミック成形体を脱脂する際等に好適に使用することができる。
また、上記カバー部材の形状は、上述したように、通気性を有し、かつ、載置したセラミック成形体を覆うことができる形状であればよく、例えば、図3−1、2、図4に示すような形状であってもよい。
図3−1、2、図4は、それぞれ本発明の脱脂用治具を構成するカバー部材の別の一例を模式的に示す斜視図である。
図3−1に示したカバー部材32は、複数の平面視形状が円形の通気孔32bを有する板状体である。
このようなカバー部材32を備えた脱脂用治具でも上述した本発明の効果を享受することができる。
図3−2に示したカバー部材52は、複数の平面視形状が菱形の通気孔52bを有する板状体である。なお、カバー部材52は、格子状体である。
このようなカバー部材52を備えた脱脂用治具でも上述した本発明の効果を享受することができる。
カバー部材32、52において、通気孔32b、52bの開口径は特に限定されないが、0.045〜0.46mmが望ましい。
上記開口径が0.045mm未満では、脱脂工程中に、セラミック成形体から発生した有機物が、カバー部材の下面(底板側の面)に付着し、タール状物等となって、セラミック成形体に落下、付着することがあり、上記開口径が0.46mmを超えると、脱脂時に脱脂炉の上方から落下したタール状物がカバー部材を透過し、セラミック成形体に落下、付着することがあるからである。
なお、上記開口径とは、それぞれの平面視形状において、最も長い部分の長さのことをいう。
上記通気孔の平面視形状は、図3−1、2に示したような円形や菱形に限定されず、三角形、四角形、多角形、楕円形等任意の形状であればよい。そして、それぞれの形状において、開口径とは、平面視形状における最も長い部分の長さをいう。
上記カバー部材の材質としては特に限定されず、例えば、ステンレス、ニッケル、ニッケル−コバルト合金等の金属、上記底板と同様の非酸化物セラミック等が挙げられる。
また、上記カバー部材の厚さは特に限定されないが、その望ましい下限は15μmであり、望ましい上限は60μmである。
上記カバー部材の厚さが15μm未満では、強度が不充分になる場合があり、一方、60μmを超えるとガスの透過性が低下する場合があるからである。
図3−1、2に示したような形状のカバー部材を作製する方法としては、上記カバー部材が上述した金属からなるものである場合には、レーザ加工、エッチング、パンチング、アディティブめっき等の方法を用いることができ、上記カバー部材が上述したセラミックからなるものである場合には、セラミック板にブラスト加工、ドリル加工等で通気孔を形成する方法や、セラミックグリーンシートにパンチング加工を施し、その後、焼成処理を施す方法等を用いることができる。
また、図4に示したカバー部材42は、外寸法が成形体載置板と略同寸法の枠材42aと、その内側に所定の間隔で平行に配設された複数本の線状体42bとから構成されている。
このようなカバー部材42を備えた脱脂用治具でも上述した本発明の効果を享受することができる。
カバー部材42において、線状体42bの間隔は特に限定されないが、0.045〜0.46mmが望ましい。
上記間隔が0.045mm未満では、脱脂工程中に、セラミック成形体から発生した有機物が、カバー部材の下面(底板側の面)に付着し、タール状物等となって、セラミック成形体に落下、付着することがあるからであり、上記間隔が0.46mmを超えると、脱脂処理時に、脱脂炉の上部から分解した有機物に起因したタール状物等が落下した場合に、上記タール状物等がカバー部材42を通過してセラミック成形体上に落下、付着する場合があるからである。
また、線状体42bの望ましい断面径は、上述した網状体を構成する線状体の断面径と同様であり、その定義も、上記網状体を構成する線状体と同様である。
さらに、線状体42bの具体的な断面形状も、上記網状体を構成する線状体と同様である。
また、本発明の脱脂用治具を構成するカバー部材は、セラミック成形体を覆うように設けられたものであれば特に限定されないが、図1、2、3−2に示したような格子状体であることが望ましい。
その理由は、脱脂処理時にハニカム成形体から生じたガスを確実に透過させるとともに、セラミック成形体にタール状物が付着することを確実に防止することができ、加えて、強度及び取り扱い性に優れるからである。
また、上記格子状体の開き目が0.045〜0.46mmであることが望ましいことは上述した通りである。
次に、このような本発明の脱脂用治具を用いた、本発明のセラミック成形体の脱脂方法を説明する。
まず、脱脂の対象となるセラミック成形体の作製方法について説明する。
本発明の脱脂方法において、脱脂の対象となるセラミック成形体は、セラミック粉末とバインダと分散媒液とを含むセラミック成形体である。
ここでは、上記セラミック粉末として炭化ケイ素粉末を使用した場合を例に、セラミック成形体の作製方法について説明する。また、上記セラミック成形体については、ハニカム構造体の製造に用いるセラミック成形体を例に説明する。
勿論、上記セラミック成形体を構成する原料の主成分は、炭化ケイ素に限定されるわけではなく、他に、例えば、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化チタン等の窒化物セラミック、炭化ジルコニウム、炭化チタン、炭化タンタル、炭化タングステン等の炭化物セラミック、アルミナ、ジルコニア、コージェライト、ムライト、チタン酸アルミニウム等の酸化物セラミック等が挙げられる。
これらのなかでは、非酸化物セラミックが好ましく、炭化ケイ素が特に好ましい。耐熱性、機械強度、熱伝導率等に優れるからである。
また、上述したセラミックに金属ケイ素を配合したケイ素含有セラミック、ケイ素やケイ酸塩化合物で結合されたセラミック等であってもよく、例えば、炭化ケイ素に金属ケイ素を配合したものも好適である。
(1)まず、炭化ケイ素粉末と有機バインダ(有機粉末)とを乾式混合して混合粉末を調製する。
上記炭化ケイ素粉末の粒径は特に限定されないが、後の焼成工程で収縮の少ないものが好ましく、例えば、0.3〜50μm程度の平均粒径を有する粉末100重量部と0.1〜1.0μm程度の平均粒径を有する粉末5〜65重量部とを組み合せたものが好ましい。
焼成後のハニカム焼成体の気孔径等を調節するためには、焼成温度を調節する必要があるが、セラミック粉末の粒径を調節することにより、気孔径を調節することができる。
上記有機バインダとしては特に限定されず、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール等が挙げられる。これらのなかでは、メチルセルロースが望ましい。
上記バインダの配合量は、通常、セラミック粉末100重量部に対して、1〜10重量部程度が望ましい。
(2)次に、液状の可塑剤と潤滑剤と水とを混合して混合液体を調製し、続いて、上記(1)の工程で調製した混合粉末と上記混合液体とを湿式混合機を用いて混合することにより、成形体製造用の湿潤混合物を調製する。
上記可塑剤としては特に限定されず、例えば、グリセリン等が挙げられる。
また、上記潤滑剤としては特に限定されず、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル等のポリオキシアルキレン系化合物等が挙げられる。
潤滑剤の具体例としては、例えば、ポリオキシエチレンモノブチルエーテル、ポリオキシプロピレンモノブチルエーテル等が挙げられる。
なお、可塑剤、潤滑剤は、場合によっては、上記混合液体に含まれていなくてもよい。
また、上記湿潤混合物を調製する際には、分散媒液を使用してもよく、上記分散媒液としては、例えば、水、ベンゼン等の有機溶媒、メタノール等のアルコール等が挙げられる。
さらに、上記湿潤混合物中には、成形助剤が添加されていてもよい。
上記成形助剤としては特に限定されず、例えば、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等が挙げられる。
さらに、上記湿潤混合物には、必要に応じて酸化物系セラミックを成分とする微小中空球体であるバルーンや、球状アクリル粒子、グラファイト等の造孔剤を添加してもよい。
上記バルーンとしては特に限定されず、例えば、アルミナバルーン、ガラスマイクロバルーン、シラスバルーン、フライアッシュバルーン(FAバルーン)、ムライトバルーン等を挙げることができる。これらのなかでは、アルミナバルーンが望ましい。
また、ここで調製した、炭化ケイ素粉末を用いた湿潤混合物は、その温度が28℃以下であることが望ましい。温度が高すぎると、有機バインダがゲル化してしまうことがあるからである。
また、上記湿潤混合物中の有機分の割合は10重量%以下であることが望ましく、水分の含有量は8.0〜20.0重量%であることが望ましい。
(3)次に、調製した湿潤混合物を搬送機により押出成形機に搬送し、押出成形により所定の形状のセラミック成形体とする。
本発明の脱脂方法では、このような方法で製造したセラミック成形体に脱脂処理を施す。また、本発明の脱脂方法では、上記セラミック成形体を押出成形により作製した後、脱脂処理を施す前に、必要に応じて、上記セラミック成形体に乾燥処理を施してもよい。上記乾燥処理は、マイクロ波乾燥機、熱風乾燥機、減圧乾燥機、誘電乾燥機、凍結乾燥機等を用いて行えばよい。
上記脱脂処理は、まず、上述した本発明の脱脂用治具を構成する成形体載置板上に、上記セラミック成形体を載置する。ここで、上記成形体載置板が炭素繊維マットを備えている場合には、その炭素繊維マットを介して、セラミック成形体を載置する。
その後、カバー部材に固定された支持部材の下部を成形体載置板の貫通孔に嵌合することにより、カバー部材を設置し、セラミック成形体の脱脂用治具への載置を完了する。
本発明の脱脂方法では、次に、上記セラミック成形体を載置した脱脂用治具に加熱処理を施し、上記バインダ及び上記分散媒液を分解、消失させる。
具体的には、例えば、上記脱脂用治具をベルトコンベアを介して脱脂炉に搬入し、200〜600℃で加熱処理を施す。
また、上記脱脂処理は、通常、有機物を酸化分解することができるように、大気雰囲気等の酸化雰囲気で行うことが望ましい。
上記脱脂炉は、特に限定されるものではなく、バッチ形式の脱脂炉でもよいが、連続的に処理を行うことができるように、ベルトコンベアを備えた連続炉により行うことが望ましい。
このような工程では、脱脂処理時にセラミック成形体から発生したガスや蒸発物は、上記カバー部材を通過し、一方、脱脂炉の壁面から落下したタール状物等は、カバー部材に付着する。従って、本発明の脱脂方法では、タール状物がセラミック成形体に、落下、付着することを防止することができ、タール状物等の付着に起因する不良製品の発生を防止することができ、良好に脱脂工程を行うことができる。
また、ここまで、本発明の脱脂方法について、脱脂の対象となるセラミック成形体として、ハニカム構造体の製造に用いるハニカム成形体を例に説明したが、本発明の脱脂方法で脱脂の対象となるセラミック成形体は、ハニカム成形体に限定されるわけではなく、その他の種々のセラミック成形体が脱脂の対象となる。
次に、本発明のハニカム構造体の製造方法について説明する。
本発明のハニカム構造体の製造方法は、セラミック原料を成形することで、多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設された柱状のハニカム成形体を作製した後、脱脂用治具を用いてハニカム成形体の脱脂処理を行い、さらに上記脱脂処理が施されたハニカム成形体を焼成してハニカム焼成体からなるハニカム構造体を製造するハニカム構造体の製造方法であって、
上記脱脂用治具として、上記ハニカム成形体を載置する底板と、上記ハニカム成形体を覆うように設けられた通気性を有するカバー部材とを備える脱脂用治具を用いることを特徴とする。
以下、本発明のハニカム構造体の製造方法について、工程順に説明する。
本発明の製造方法では、まず、セラミック粉末、バインダ、分散媒液等を出発材料として、ハニカム成形体を作製する。
具体的には、本発明のセラミック成形体の脱脂方法で説明したセラミック成形体の作製方法と同様の方法を用いて、多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設された柱状のハニカム成形体を作製する。
次に、上記ハニカム成形体に、必要に応じて、各セルのいずれか一方の端部に封止材となる封止材ペーストを所定量充填し、セルを目封じする。
具体的には、セラミックフィルタとして機能するハニカム構造体を製造する場合には、各セルのいずれか一方の端部を目封じする。
また、上記ハニカム成形体を目封じする前には、必要に応じて、乾燥処理を施してもよく、この場合、上記乾燥処理は、マイクロ波乾燥機、熱風乾燥機、減圧乾燥機、誘電乾燥機、凍結乾燥機等を用いて行えばよい。
上記封止材ペーストとしては特に限定されないが、後工程を経て製造される封止材の気孔率が30〜75%となるものが望ましく、例えば、上述した湿潤混合物と同様の材料からなるものを用いることができる。
次に、上記ハニカム成形体に、脱脂処理を施す。
ここでは、脱脂用治具として、本発明の脱脂用治具を使用し、さらに、本発明のセラミック成形体の脱脂方法で説明した方法で、脱脂処理を施せばよい。
その後、所定の条件で焼成(例えば、1400〜2300℃)することにより、複数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設され、上記セルのいずれか一方の端部が封止されたハニカム焼成体(図6参照)を作製することができる。
上記ハニカム成形体の焼成の条件は、従来から多孔質セラミックからなるフィルタを製造する際に用いられている条件を適用することができる。
また、脱脂処理を行った後、焼成処理を行う際には、脱脂処理が終了したハニカム成形体を蓋部が開口した箱状の焼成用治具に移動させて焼成処理を行ってもよいが、脱脂処理の終了したハニカム成形体は、脆く、壊れやすいため、該ハニカム成形体を掴んで移動させることは好ましくない。
そこで、脱脂用治具を構成する成形体載置板上に脱脂処理を施したハニカム成形体を載置したまま、カバー部材及び支持部材を取り外し、成形体載置板の上に側壁となる枠状の側壁部材を載置して焼成用治具とし、このように構成された焼成用治具を積み重ねて焼成炉に搬入することが望ましい。
次に、ハニカム焼成体の側面に、シール材層(接着剤層)となるシール材ペーストを均一な厚さで塗布してシール材ペースト層を形成し、このシール材ペースト層の上に、順次他のハニカム焼成体を積層する工程を繰り返し、所定の大きさのハニカム焼成体の集合体を作製する。
上記シール材ペーストとしては、例えば、無機バインダと有機バインダと無機繊維及び/又は無機粒子とからなるもの等が挙げられる。
上記無機バインダとしては、例えば、シリカゾル、アルミナゾル等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記無機バインダのなかでは、シリカゾルが望ましい。
上記有機バインダとしては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記有機バインダのなかでは、カルボキシメチルセルロースが望ましい。
上記無機繊維としては、例えば、シリカ−アルミナ、ムライト、アルミナ、シリカ等のセラミックファイバー等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記無機繊維のなかでは、アルミナファイバが望ましい。
上記無機粒子としては、例えば、炭化物、窒化物等を挙げることができ、具体的には、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素からなるセラミック粉末等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記無機粒子のなかでは、熱伝導性に優れる炭化ケイ素が望ましい。
さらに、上記シール材ペーストには、必要に応じて酸化物系セラミックを成分とする微小中空球体であるバルーンや、球状アクリル粒子、グラファイト等の造孔剤を添加してもよい。
上記バルーンとしては特に限定されず、例えば、アルミナバルーン、ガラスマイクロバルーン、シラスバルーン、フライアッシュバルーン(FAバルーン)、ムライトバルーン等を挙げることができる。これらのなかでは、アルミナバルーンが望ましい。
次に、このハニカム焼成体の集合体を加熱してシール材ペースト層を乾燥、固化させてシール材層(接着剤層)とする。
次に、ダイヤモンドカッター等を用い、ハニカム焼成体がシール材層(接着剤層)を介して複数個接着されたハニカム焼成体の集合体に切削加工を施し、円柱形状のセラミックブロックを作製する。
そして、セラミックブロックの外周に上記シール材ペースト用いてシール材層(コート層)を形成する。このような工程を経ることにより、ハニカム焼成体がシール材層(接着剤層)を介して複数個接着された円柱形状のセラミックブロックの外周部にシール材層(コート層)が設けられたハニカム構造体(図5参照)を製造することができる。
また、本発明のハニカム構造体の製造方法では、この後、必要に応じて、ハニカム構造体に触媒を担持させてもよい。
上記触媒の担持は、集合体を作製する前のハニカム焼成体に行ってもよい。
触媒を担持させる場合には、ハニカム構造体の表面に高い比表面積のアルミナ膜を形成し、このアルミナ膜の表面に助触媒、及び、白金等の触媒を付与することが望ましい。
上記ハニカム構造体の表面にアルミナ膜を形成する方法としては、例えば、Al(NO等のアルミニウムを含有する金属化合物の溶液をハニカム構造体に含浸させて加熱する方法、アルミナ粉末を含有する溶液をハニカム構造体に含浸させて加熱する方法等を挙げることができる。
上記アルミナ膜に助触媒を付与する方法としては、例えば、Ce(NO等の希土類元素等を含有する金属化合物の溶液をハニカム構造体に含浸させて加熱する方法等を挙げることができる。
上記アルミナ膜に触媒を付与する方法としては、例えば、ジニトロジアンミン白金硝酸溶液([Pt(NH(NO]HNO、白金濃度4.53重量%)等をハニカム構造体に含浸させて加熱する方法等を挙げることができる。
また、予め、アルミナ粒子に触媒を付与して、触媒が付与されたアルミナ粉末を含有する溶液をハニカム構造体に含浸させて加熱する方法で触媒を付与してもよい。
また、ここまで説明したハニカム構造体の製造方法により製造されるハニカム構造体は、複数のハニカム焼成体がシール材層(接着剤層)を介して結束された構成を有するハニカム構造体(以下、集合型ハニカム構造体ともいう)であるが、本発明の製造方法により製造するハニカム構造体は、円柱形状のセラミックブロックが1つのハニカム焼成体から構成されているハニカム構造体(以下、一体型ハニカム構造体ともいう)であってもよい。
このような一体型ハニカム構造体を製造する場合は、まず、押出成形により成形するハニカム成形体の大きさが、集合型ハニカム構造体を製造する場合に比べて大きい以外は、集合型ハニカム構造体を製造する場合と同様の方法を用いて、ハニカム成形体を作製する。
ここで、原料粉末を混合する方法等は、上記集合型ハニカム構造体を製造する方法と同様であるため、ここではその説明を省略する。
次に、集合型ハニカム構造体の製造と同様に、上記ハニカム成形体を、必要に応じて、マイクロ波乾燥機、熱風乾燥機、誘電乾燥機、減圧乾燥機、真空乾燥機、凍結乾燥機等を用いて乾燥させ、さらに、必要に応じて、各セルのいずれか一方の端部に封止材ペーストを所定量充填し、セルを目封じする。
次に、集合型ハニカム構造体の製造と同様に、本発明の脱脂用治具及び本発明のセラミック成形体の脱脂方法を使用して、脱脂処理を施し、その後、脱脂処理されたハニカム成形体の焼成を行うことによりセラミックブロックを製造し、必要に応じて、シール材層(コート層)の形成を行うことにより、一体型ハニカム構造体を製造する。また、上記一体型ハニカム構造体にも、上述した方法で触媒を担持させてもよい。
なお、上述したような製造方法により、ハニカム構造体を製造する場合において、上記集合型ハニカム構造体を製造する場合には、その構成材料の主成分は、炭化ケイ素や、金属ケイ素及び炭化ケイ素が望ましく、一体型ハニカム構造体を製造する場合には、コージェライトやチタン酸アルミニウムが望ましい。
以下に実施例を掲げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
(実施例1)
(1)平均粒径10μmのα型炭化ケイ素粉末250kgと、平均粒径0.5μmのα型炭化ケイ素粉末100kgと、有機バインダ(メチルセルロース)と20kgとを混合し、混合粉末を調製した。
次に、別途、潤滑剤(日本油脂社製 ユニルーブ)12kgと、可塑剤(グリセリン)5kgと、水65kgとを混合して液体混合物を調製し、この液体混合物と混合粉末とを湿式混合機を用いて混合し、湿潤混合物を調製した。
次に、この湿潤混合物を用いた押出成形、及び、これにつづく切断を行い、ハニカム成形体を作製した。
(2)次に、上記ハニカム成形体を、マイクロ波乾燥機を用いて乾燥させ、上記ハニカム成形体と同様の組成のペーストを所定のセルに充填した後、再び乾燥機を用いて乾燥させた。
(3)次に、図1に示した脱脂用治具10に、上記(1)及び(2)の工程を経て作製したハニカム成形体を5個載置し、その後、上記脱脂用治具をベルトコンベアを介して、連続式の脱脂炉に搬入し、N雰囲気下、300℃で加熱処理を施す。
ここで、脱脂用治具10としては、直径140μmのステンレス製の線状体が、その開き目(開口径)280μmで編まれた、図1に示した形状の平網のカバー部材12を備えたものを使用した。
(4)次に、脱脂用治具10のカバー部材12を支持部材13とともに取り外し、脱脂処理を施したハニカム成形体を載置したまま、成形体載置板11上に側壁となる枠状の側壁部材を載置し、脱脂済みハニカム成形体が載置された焼成用治具とする。
そして、この焼成用治具を焼成炉に投入し、常圧のアルゴン雰囲気下2200℃、3時間で焼成を行うことにより、図3に示したような形状で、その大きさが34mm×34mm×300mmで、セルの数が45個/cm、セル壁の厚さが0.25mmの炭化ケイ素焼結体からなるハニカム焼成体を製造した。
(実施例2〜21)
カバー部材の形状を表1に示した形状に変更した以外は、実施例1と同様にしてハニカム焼成体を製造した。
なお、図4の示した形状のカバー部材における開口径とは、線状体の間隔のことである。
(参考例1〜9)
カバー部材の形状を表1に示した形状に変更した以外は、実施例1と同様にしてハニカム焼成体を製造した。
(比較例1)
カバー部材12及び支持部材13を配設せずに脱脂処理を行った以外は、実施例1と同様にしてハニカム焼成体を製造した。
(比較例2)
カバー部材として通気性を有さない板状体からなるカバー部材を用いた以外は、実施例1と同様にしてハニカム焼成体を製造した。
(ハニカム焼成体の評価)
(1)付着物の有無
実施例、参考例及び比較例に係るハニカム焼成体について、目視観察により、ハニカム焼成体の表面における、タール状物等の付着跡の有無について調べた。
なお、タール状物が付着した部分は、焼成後において、変色して観察されることとなる。
結果を下記の表1に示した。なお、サンプル数は5本である。
(2)剥がれ有無
実施例、参考例及び比較例に係るハニカム焼成体について、参考例及び比較例に係るハニカム焼成体ではタール状物等の付着跡が有る部分を、実施例に係るハニカム焼成体では無作為に選択した部分を、金属棒で軽く叩き、外周を構成するセル壁に剥がれが発生するか否かを目視観察した。
結果を下記の表1に示した。なお、サンプル数は5本である。
(3)平均気孔径
実施例、参考例及び比較例に係るハニカム焼成体について、参考例及び比較例に係るハニカム焼成体ではタール状物等の付着跡が有る部分を含む1cmの幅の立方体を、実施例に係るハニカム焼成体では無作為に選択した1cmの幅の立方体を、切り出してサンプルとし、JIS R 1655に準じ、水銀圧入法による細孔分布測定装置(島津製作所社製、オートポアIII 9405)を用い、細孔直径0.2〜500μmの範囲で細孔分布を測定し、そのときの平均細孔径を(4V/A)として計算し、平均気孔径を算出した。
結果を下記の表1に示した。なお、サンプル数は5個である。
(4)強度
実施例、参考例及び比較例に係るハニカム焼成体について、図7に示したテクスチャーアナライザー TX−XT2i(STABLE MICRO SYSTEMS社製)を用いて、その破壊強度を下記の方法により評価した。
即ち、図7に示したテクスチャーアナライザー100の測定テーブル102上に、ハニカム焼成体105を載置し、その後、プローブ101を速度0.5mm/sで降下させ、破壊時の圧縮荷重を測定した。
なお、プローブ101としては、15mmφ円柱体の先に、先端に90°の円錐体が固定された形状で、全体の長さが50mmのプローブ(ステンレス製)を使用した。
ここで、参考例及び比較例に係るハニカム焼成体では、タール状物等の付着跡が有る部分に、実施例に係るハニカム焼成体では、無作為に選択した部分にプローブ101を降下させた。さらに、プローブ101の先端の降下位置は、側面の上記した部分のうち、内部のセル壁と交差しない部分とした。
また、サンプルとしては、上記(2)の剥がれの有無を評価したサンプルとは別のサンプルを用いた。
結果を表1に示した。なお、サンプル数は5本である。
Figure 2007232352
表1に示した結果から明らかなように、開口径(図1に係るカバー部材でいう開き目)が0.045〜0.46mmのカバー部材を備えた脱脂用治具を用いて作製したハニカム焼成体では、全てのハニカム焼成体で付着物が観察されなかったのに対し、上記開口径が上記範囲を外れたカバー部材を備えた脱脂用治具を用いて作製したハニカム焼成体では一部のハニカム焼成体で付着物が観察された。
さらに、カバー部材のない脱脂用治具を用いた場合や、板状体のカバー部材を備えた脱脂用治具を用いた場合は、全てのハニカム焼成体で付着物が観察された。
また、剥がれの有無及び強度の評価において、付着物が有る部分は、その特性が劣り、その理由は焼結が充分に進行していないためと考えられる。また、付着物がある部分は、焼結が充分に進行していないため、所望の径を有する気孔も形成することができなかった。
これらのことから、カバー部材を備えた本発明の脱脂用治具を用いることにより、ハニカム焼成体への付着物を低減することができ、その場合、カバー部材の開口径(開き目)は、0.045〜0.46mmが望ましいことが明らかとなった。
ここまでは、主にセラミックフィルタとして好適に使用することができるハニカム構造体を例に、本発明の実施形態に係るハニカム構造体の製造方法について説明したが、本発明の実施形態に係るハニカム構造体の製造方法においては、上述したように封止材ペーストを充填せずにハニカム構造体を製造してもよく、封止材でセルの端部を目封じしなかった実施形態に係るハニカム構造体は、触媒担持体として好適に使用することが可能となり、セラミックフィルタとして使用する場合と同様の本発明の効果を得ることが可能となる。
本発明の脱脂用治具の一例を模式的に示した斜視図である。 本発明の脱脂用治具の別の一例を模式的に示す斜視図である。 本発明の脱脂用治具を構成するカバー部材の別の一例を模式的に示す斜視図である。 本発明の脱脂用治具を構成するカバー部材の別の一例を模式的に示す斜視図である。 本発明の脱脂用治具を構成するカバー部材の別の一例を模式的に示す斜視図である。 ハニカム構造体の一例を模式的に示す斜視図である。 (a)は、ハニカム構造体を構成するハニカム焼成体を模式的に示す斜視図であり、(b)は、そのA−A線断面図である。 テクスチャーアナライザーの模式図である。
符号の説明
10、20 脱脂用治具
11、21 底板(成形体載置板)
12、22、32、42 カバー部材
13、23 支持部材

Claims (12)

  1. セラミック粉末とバインダと分散媒液とを含むセラミック成形体の脱脂に用いる脱脂用治具であって、
    前記セラミック成形体を載置する底板と、前記セラミック成形体を覆うように設けられた通気性を有するカバー部材とを備えることを特徴とする脱脂用治具。
  2. 前記通気性を有するカバー部材は、格子状体であって、その開き目が0.045〜0.46mmである請求項1に記載の脱脂用治具。
  3. 前記格子状体のカバー部材は、平網である請求項1又は2に記載の脱脂用治具。
  4. 前記底板と前記通気性を有するカバー部材とは、略平行に配設されている請求項1〜3のいずれかに記載の脱脂用治具。
  5. セラミック粉末とバインダと分散媒液とを含むセラミック成形体を脱脂用治具に載置した後、加熱処理により、前記バインダ及び前記分散媒液を分解、消失させるセラミック成形体の脱脂方法であって、
    前記脱脂用治具として、前記セラミック成形体を載置する底板と、前記セラミック成形体を覆うように設けられた通気性を有するカバー部材とを備える脱脂用治具を用いることを特徴とするセラミック成形体の脱脂方法。
  6. 前記通気性を有するカバー部材は、格子状体であって、その開き目が0.045〜0.46mmである請求項5に記載のセラミック成形体の脱脂方法。
  7. 前記格子状体のカバー部材は、平網である請求項5又は6に記載のセラミック成形体の脱脂方法。
  8. 前記底板と前記通気性を有するカバー部材とは、略平行に配設されている請求項5〜7のいずれかに記載のセラミック成形体の脱脂方法。
  9. セラミック原料を成形することで、多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設された柱状のハニカム成形体を作製した後、脱脂用治具を用いてハニカム成形体の脱脂処理を行い、さらに前記脱脂処理が施されたハニカム成形体を焼成してハニカム焼成体からなるハニカム構造体を製造するハニカム構造体の製造方法であって、
    前記脱脂処理は、ハニカム成形体を載置する底板と、前記ハニカム成形体を覆うように設けられた通気性を有するカバー部材とを備える脱脂用治具を用いて行うことを特徴とするハニカム構造体の製造方法。
  10. 前記通気性を有するカバー部材は、格子状体であって、その開き目が0.045〜0.46mmである請求項9に記載のハニカム構造体の製造方法。
  11. 前記格子状体のカバー部材は、平網である請求項9又は10に記載のハニカム構造体の製造方法。
  12. 前記底板と前記通気性を有するカバー部材とは、略平行に配設されている請求項9〜11のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
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