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JP2007228472A - 静電型超音波トランスデューサ、静電型超音波トランスデューサの構成方法、および超音波スピーカ - Google Patents

静電型超音波トランスデューサ、静電型超音波トランスデューサの構成方法、および超音波スピーカ Download PDF

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JP2007228472A JP2006049744A JP2006049744A JP2007228472A JP 2007228472 A JP2007228472 A JP 2007228472A JP 2006049744 A JP2006049744 A JP 2006049744A JP 2006049744 A JP2006049744 A JP 2006049744A JP 2007228472 A JP2007228472 A JP 2007228472A
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Abstract

【課題】静電型超音波トランスデューサにおいて、出力音圧をさらに増加させる。
【解決手段】複数の貫通孔が形成された第1の固定電極と、前記第1の固定電極と対をなす複数の貫通孔が形成された第2の固定電極と、前記一対の固定電極に挟持され導電層を有し、該導電層に直流バイアス電圧が印加される振動膜とを有し、前記一対の固定電極間には交流信号が印加される固定電極構造の複数が、各固定電極構造の対応する貫通穴の位置が一致するように並列に積層されると共に、外部への音波放射面を形成する固定電極構造の振動膜の振動部に対して、他の固定電極構造の振動膜の振動部が加振作用を及ぼすように構成されたことを特徴とする静電型超音波トランスデューサ。
【選択図】図1

Description

本発明は、従来の静電型超音波トランスデューサに比べて出力音圧を増加させることができる、静電型超音波トランスデューサ、静電型超音波トランスデューサの構成方法、および超音波スピーカに関するものである。
超音波トランスデューサは、超音波周波数帯域の搬送波を可聴帯域の音響信号によって変調した変調波を出力することで、鋭い指向性を有する音を再生することができるというものである。
図7は、従来の圧電型の超音波トランスデューサの構成例を示す図である。従来の超音波トランスデューサは、圧電セラミックを用いた共振型がほとんどである。圧電型の超音波トランスデューサは、振動素子として圧電セラミックを用いて電気信号から超音波への変換と、超音波から電気信号への変換(超音波の送信と受信)の両方を行う。
図7に示すバイモルフ型の超音波トランスデューサは、2枚の圧電セラミック61および62と、コーン63と、ケース64と、リード65および66と、スクリーン67とから構成されている。圧電セラミック61および62は、互いに貼り合わされていて、その貼り合わせ面と反対側の面にそれぞれリード65とリード66が接続されている。
圧電型の超音波トランスデューサは、圧電セラミックの共振現象を利用しているので、超音波の送信および受信の特性がその共振周波数周辺の比較的狭い周波数帯域で良好となる。しかし、圧電型のトランスデューサは素子の鋭い共振特性を利用していることから、高い音圧が得られるが周波数帯域は非常に狭い。このため、圧電型のトランスデューサを用いた超音波スピーカでは再生可能な周波数帯域が狭く、ラウドスピーカと比較して再生音質が悪いという傾向がある。
上述した圧電型のトランスデューサと異なり、従来より静電方式の超音波トランスデューサは高周波数帯域にわたって高い音圧を発生可能な広帯域発振型超音波トランスデューサとして知られている。図8に広帯域発振型の静電型超音波トランスデューサの構成例を示す。この静電型超音波トランスデューサは、振動膜が固定電極側に引き付けられる方向のみに働くことからプル型(Pull型)と呼ばれている。
図8に示す静電型の超音波トランスデューサは、振動体(振動膜)として3〜10μm程度の厚さのPET(ポリエチレンテレフタレート樹脂)等の誘電体131(絶縁体)を用いている。誘電体131に対しては、アルミ等の金属箔として形成される上電極132がその上面部に蒸着等の処理によって一体形成されるとともに、真鍮で形成された下電極133が誘電体131の下面部に接触するように設けられている。この下電極133は、リード152が接続されるとともに、ベークライト等からなるベース板135に固定されている。また、上電極132は、リード153が接続されており、このリード153は直流バイアス電源150に接続されている。この直流バイアス電源150により上電極132には50〜150V程度の上電極吸着用の直流バイアス電圧が常時印加され、上電極132が下電極133側に吸着されるようになっている。151は信号源である。誘電体131および上電極132ならびにベース板135は、メタルリング136、137、および138、ならびにメッシュ139とともに、ケース130によってかしめられている。
下電極133の誘電体131側の面には不均一な形状を有する数十〜数百μm程度の微小な溝(凹凸部)が複数形成されている。この微小な溝は、下電極133と誘電体131との間の空隙となるので、上電極132および下電極133間の静電容量の分布が微小に変化する。このランダムな微小な溝は、下電極133の表面を手作業でヤスリにより荒らすことで形成されている。静電方式の超音波トランスデューサでは、このようにして空隙の大きさや深さの異なる無数のコンデンサを形成することによって、周波数特性が広帯域となっている(特許文献1、2)。
上述したように、図8に示す静電型の超音波トランスデューサは従来から広周波数帯に渡って比較的高い音圧を発生させることが可能な広帯域超音波トランスデューサ(Pull型)として知られている。
(特許文献1、2参照)。
特開2000−50387号公報 特開2000−50392号公報
しかしながら、上述した従来の静電型超音波トランスデューサから出力される音圧は振動膜に働く静電力の大きさに依存し、出力音圧が十分でない場合もあった。近時は機器の小型化と高性能化の要求が強くなっており、静電型超音波トランスデューサにおいて更なる音圧増を実現する為には、何らかの構造的な工夫が必要とされていた。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、静電型超音波トランスデューサにおいて、出力音圧をさらに増加させることができる、静電型超音波トランスデューサ、静電型超音波トランスデューサの構成方法、および超音波スピーカを提供することにある。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の静電型超音波トランスデューサは、複数の貫通孔が形成された第1の固定電極と、前記第1の固定電極と対をなす複数の貫通孔が形成された第2の固定電極と、前記一対の固定電極に挟持され導電層を有し、該導電層に直流バイアス電圧が印加される振動膜とを有し、前記一対の固定電極間には交流信号が印加される固定電極構造の複数が、各固定電極構造の対応する貫通穴の位置が一致するように並列に積層されると共に、外部への音波放射面を形成する固定電極構造の振動膜の振動部に対して、他の固定電極構造の振動膜の振動部が加振作用を及ぼすように構成されたことを特徴とする。
このように構成された静電型超音波トランスデューサでは、例えば、図1に示すような、放射穴(貫通穴)14を有する上下の固定電極10、11により振動膜12を挟持したプッシュプル型の固定電極構造を複数並列に積層する。そして、外部への音波放射面を形成する固定電極構造の振動膜の振動部に対し、他の固定電極構造の振動膜の振動部が、加振作用を及ぼすように構成する。
このように、複数の固定電極構造を積層し、振動膜の振動部に加振作用が生じるようにすることで、超音波出力音圧を増加させることができる。
また、本発明の静電型超音波トランスデューサは、前記積層された固定電極構造の結合部の上下の貫通孔と振動膜とで形成される空間に対して、該空間に面する振動膜の振動部が空気による抵抗を受けることなく振動できるようにするための空気抜き構造を設けたことを特徴とする。
このような構成の静電型超音波トランスデューサにおいては、固定電極構造の結合部分の上下の貫通孔と振動膜とで構成される空間が密閉空間とならないように空気抜き構造を設ける。すなわち、振動膜の振動部分が振動空間となる貫通孔内で空気抵抗(振動膜の振動により空気を排除または吸引する際の空気抵抗)を受けずに自由に振動できるようにする。
これにより、固定電極構造を積層した場合においても、振動膜の振動部が空気抵抗を受けることなく自由に振動することができる。このため、超音波出力音圧を増加させることができる。
また、本発明の静電型超音波トランスデューサは、前記外部への音波放射面を形成する固定電極構造の振動膜の振動部に対して、他の固定電極構造の振動膜の振動部が加振作用を及ぼすように、前記各固定電極構造の振動膜に印加する交流信号の位相を調整するための移相手段を備えることを特徴とする。
このような構成により、外部への音波を放射する固定電極構造の振動膜の振動部に対して、他の固定電極構造の振動膜の振動部が加振作用を及ぼすように、固定電極構造の振動膜に印加する交流信号の位相を調整する。
これにより、各固定電極構造の振動膜に印加する交流信号の位相を設定することができ、振動膜に加振作用が生じるようにできる。このため、超音波出力音圧を増加させることができる。
また、本発明の静電型超音波トランスデューサは、前記固定電極構造の積層数が2層であり、貫通穴の放射軸上に振動部が2箇所形成されるように構成されると共に、一方の固定電極構造の振動膜の振動部により、他方の固定電極構造の振動膜の振動部を加振するように構成されたことを特徴とする。
このような構成により、固定電極構造を2層とし、また、一方の固定電極構造の振動膜の振動部により、他方の固定電極構造の振動膜部の振動を加振する。これにより、静電型超音波トランスデューサの固定電極構造を2層にすることにより、超音波出力音圧を増加させることができる。
また、本発明の静電型超音波トランスデューサの構成方法は、複数の貫通孔が形成された第1の固定電極と、前記第1の固定電極と対をなす複数の貫通孔が形成された第2の固定電極と、前記一対の固定電極に挟持され導電層を有し、該導電層に直流バイアス電圧が印加される振動膜とを有し、前記一対の固定電極間には交流信号が印加される固定電極構造の複数を、各固定電極構造の対応する貫通穴の位置が一致するように並列に積層する手順と、外部への音波放射面を形成する固定電極構造の振動膜の振動部に対して、他の固定電極構造の振動膜の振動部が加振作用を及ぼすように構成する手順とを含むことを特徴とする。
このような手順の静電型超音波トランスデューサの構成方法では、例えば、図1に示すような、放射穴(貫通穴)14を有する上下の固定電極10、11により振動膜12を挟持したプッシュプル型の固定電極構造を複数並列に積層する。そして、外部への音波放射面を形成する固定電極構造の振動膜の振動部に対し、他の固定電極構造の振動膜の振動部が、加振作用を及ぼすようにする。
このように、複数の固定電極構造を積層することで、超音波出力音圧を増加させることができる。
また、本発明の超音波スピーカは、上記のいずれかに記載の静電型超音波トランスデューサを有することを特徴とする。
これにより、超音波スピーカにおいて超音波出力音圧を増加させることがでる。
次に本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
[プッシュプル型の静電型超音波トランスデューサについての説明]
図1は、本発明の超音波トランスデューサの構成要素となる、プッシュプル型と呼ばれる静電型超音波トランスデューサについて説明するための図である。図1(A)は、プッシュプル型の静電型超音波トランスデューサ1の断面構造を示す図であり、図1(B)は、静電型超音波トランスデューサ1の上面図を示している。本発明の超音波トランスデューサでは、このプッシュプル型の静電型超音波トランスデューサ1を積層すること特徴がある。
図1において、プッシュプル型の静電型超音波トランスデューサ1は、電極として機能する導電性材料で形成された導電部材を含む一対の固定電極10、11と、一対の固定電極10、11に挟持され、導電層(蒸着膜層)121を有する振動膜12と、一対の固定電極10、11と振動膜12を保持する部材(図示せず)とを有している。
振動膜12は、絶縁層120と、導電性材料で形成された導電層121とを有しており、該導電層121には、直流バイアス電源16により単一極性(正極性でも負極性のいずれでもよい)の直流バイアス電圧が印加されるようになっている。
また、一対の固定電極10、11は振動膜12を介して対向する位置に同数かつ複数の放射穴(段付きの貫通穴)14を有しており(図1(B)を参照)、一対の固定電極10、11の導電部材間には交流信号源18A、18Bにより交流信号が印加されるようになっている。固定電極10と導電層121、固定電極11と導電層121には、それぞれコンデンサが形成されている。
上記構成において、超音波トランスデューサは、振動膜12の導電層121に、直流バイアス電源16により単一極性の(本例では正極性の)直流バイアス電圧が印加される。一方、一対の固定電極10、11には、信号源18A、18Bにより交流信号が印加される。この結果、信号源18A、18Bから出力される交流信号の正の半サイクルでは、固定電極10に正の電圧が印加されるために、振動膜12の固定電極で挟持されていない表面部分13Aには、静電反発力が作用し、表面部分13Aは、図1上、下方に引っ張られる。また、このとき、対向する固定電極11には、負の電圧が印加されるために、振動膜12の前記表面部分13Aの裏面側である裏面部分13Bには、静電吸引力が作用し、裏面部分13Bは、図1上、さらに下方に引っ張られる。
したがって、振動膜12の一対の固定電極10、11により挟持されていない膜部分は、同方向に静電反発力と静電斥力を受ける。これは、信号源18A、18Bから出力される交流信号の負の半サイクルについても同様に、振動膜12の表面部分13Aには図1上、上方に静電吸引力が、また裏面部分13Bには、図1上、上方に静電反発力が作用し、振動膜12の一対の固定電極10、11により挟持されていない膜部分は、同方向に静電反発力と静電斥力を受ける。このようにして、交流信号の極性の変化に応じて振動膜12が同方向に静電反発力と静電斥力を受けながら、交互に静電力が働く方向が変化するので、大きな膜振動、すなわち、パラメトリックアレイ効果を得るのに十分な音圧レベルの音響信号を発生することができる。
このように超音波トランスデューサは、振動膜12が一対の固定電極10、11から力を受けて振動することからプッシュプル(Push−Pull)型と呼ばれている。プッシュプル型の静電型超音波トランスデューサは、振動膜に静電吸引力のみしか作用しないプル型(Pull)型の静電型超音波トランスデューサに比して、広帯域性と高音圧を同時に満たす能力を持っている。
図1に示す静電型超音波トランスデューサにおいて、固定電極10、11は、その材質が導電性であればよく、例えば、SUSや真鍮、鉄、ニッケルの単体構成も可能である。また、軽量化をはかる必要があるため、回路基板などで一般的に用いられるガラスエポシキ基板や紙フェノール基板に所望の穴加工を施した後、ニッケルや金、銀、銅などでメッキ処理をすることなども可能である。またこの場合成型後のソリを防止するために基板へのメッキ加工は両面に施すなどの工夫も有効である。ただし絶縁性を考慮すると、各々の固定電極の振動膜側には何らかの絶縁処理が施される事が望ましい。例えば、液状ソルダーレジスト、感光性フイルム、感光性コート材、非導電性塗料、電着材料などで絶縁された凸部を形成する。
上述したように、プッシュプル型の静電型超音波トランスデューサにおいては、振動膜には高電圧の直流バイアス電圧が印加され、固定電極には交流電圧が印加されることにより、固定電極−振動膜に働く静電力(引力及び斥力)により膜部分が振動する。この場合、超音波帯の振動を実現する為には振動部分の穴径を数mm以下にする必要があり、多数の振動穴を設けることにより、追従性が高くて出力が大きいトランスデューサを構成する必要がある。なお、固定電極の形状は円形のみならず、方形等の任意の形状とすることができる。
[本発明の静電型超音波トランスデューサの構成例の説明]
図2は、本発明の超音波トランスデューサの構成例を示す図であり、本発明の静電型超音波トランスデューサの一部分を示したものである。図2(A)は、断面構造を示す図であり、図2(B)は底面図である。なお、図2(A)に示す断面構造は、図2(B)上の一点鎖線で示すX−Y方向の断面を示している。
本発明の超音波トランスデューサ2は、図2上で上側の固定電極構造3と、下側の固定電極構造4とが絶縁材19を介して積層して構成されている。
上側の固定電極構造3は、図1に示したプッシュプル型の静電型超音波トランスデューサ1の固定電極構造と同じ構成と機能のものである。下側の固定電極構造4は、上側の固定電極構造3と同様な構成と機能のものであるが、空気抜き穴31A、31Bを設け空気抜き構造を有している点が異なる。
図2に示すように、下側の固定電極構造4は、上側の固定電極構造3と同様に、電極として機能する導電性材料で形成された導電部材を含む一対の固定電極20、21と、一対の固定電極20、21に挟持され、導電層(蒸着膜層)221を有する振動膜22とを有している。
振動膜22は、絶縁層220と、導電性材料で形成された導電層221とを有している。また、一対の固定電極20、21は振動膜22を介して対向する位置に同数かつ複数の放射穴(段付きの貫通穴)24を有している。
上記構成により、超音波の放射軸CL上に振動膜の振動部25A、25Bが2箇所並列に形成され、一方の振動部25Aに対して他方の振動部25Bがアシスト(加振用)となる。このような構成により振動部25Aにおける出力音圧増を実現することができる(この加振の仕組みについては後述する)。なお、図2に示した例では、下側の固定電極構造4を上側の固定電極構造3のアシストとして使用する例としたが、反対であっても構わない。
また、図3は、図2に示す静電型超音波トランスデューサの下側の固定電極構造の空気抜き穴の例を示す図である。図3の右側の図は、下側の固定電極構造4の一部を拡大して示した斜視図であり、図面の分かり易さのために、空気抜き穴のみを示しており、固定電極および振動膜は省略して示している。
図3に示すように、空気抜き穴として、下側の固定電極構造4の固定電極20には放射穴(段付き貫通穴)24と連通する、図3上で、横方向の空気抜き穴31Aが設けられる。また、空気抜き31Aと連通する、図3上で、縦方向の空気抜き穴31Bが設けられる。
この空気抜き穴31A、31Bから振動膜22および振動膜12の振動部の表面に空気を供給することにより、振動膜22および振動膜12の振動面が空気抵抗(振動膜の振動により空気を排除または吸引する際の空気抵抗)の影響を受けることなく、自由に振動するように構成されている。なお、空気抜き穴31A、31Bの構造については、図3に示す例に限定されず、振動膜22および振動膜12の振動面が空気抵抗の影響を受けないような構造であれば、どのような構造であっても構わない。
図4は、本発明の静電型超音波トランスデューサの駆動方法の例を示す図である。下側の固定電極構造4についても、上側の固定電極構造3と同様に、振動膜22の導電層221に、直流バイアス電源26により単一極性の(本例では正極性の)直流バイアス電圧が印加される。一方、一対の固定電極20、21には、信号源28A、28Bにより交流信号(超音波周波数帯のキャリア波信号を可聴周波数波信号で変調した信号)が印加される。
次に、この様な積層構造で構成される静電型超音波トランスデューサの1つの放射穴(貫通穴)を例に、本発明における振動構造による音圧増加の仕組みについて説明する。
図5は、本発明の静電型超音波トランスデューサにおける加振作用の仕組みを説明するための図である。図5に示す例は、振動膜の放射軸上に2つの振動部(A)、(B)が形成されている例である。なお、図面簡略化の為、固定電極および空気の抜き穴等は省略されている。
図5(A)中の振動部(A)から右側を放射方向とし、超音波を放射するトランスデューサを考える。この振動部(A)を加振する役割を持つ振動部(B)が存在している。
加振の仕組みは、振動部(A)と振動部(B)との距離に依存し、駆動周波数(超音波周波数帯のキャリア波信号の周波数)に応じた距離に振動部(A)、(B)を配置することが必要になる。例えば、駆動周波数を60kHz(λ=約5.7mm)とした場合には、1/4波長(約1.425mm)の奇数倍になる距離に構成し、振動部(A)の駆動位相を振動部(B)に対して遅らせることにより、振動部(A)の振動振幅を増加させることができる。
振動部(B)による加振の有無により、振動部(A)の振動波形の大きさが変わる様子を図5(B)、図5(C)に示す。図5(B)は、振動部(B)による加振のない場合であり、図5(C)は、振動部(B)による加振のある場合を示している。図5(C)に示すように、振動部(B)による加振のある場合は、振動部(A)の振動振幅が増大する。
なお、振動部(A)の駆動位相を振動部(B)に対して遅らせる場合には、例えば、図4に示した駆動回路において、上側の信号源18A、18Bの交流信号の位相を、下側の信号源28A、28Bより遅らせるための移相手段を設ければよい。
また、振動部(A)と振動部(B)とで形成される空間Cに空気抜き穴を設けることにより、振動部(A)と振動部(B)間の空気が自由に動けるようになるので、空気抵抗の影響を受けることなく、加振作用により振動部(A)の振動振幅を増加させることができる。このようにして、超音波出力の音圧増を実現することができる。
[超音波スピーカの構成例の説明]
図6は、本発明の静電型超音波トランスデューサを使用した超音波スピーカの構成例を示す図である。超音波スピーカは、キャリア波と呼ばれる超音波にオーディオ信号(可聴周波数信号)で振幅変調(AM変調)をかけ、これを空中に放出すると空気の非線形により、空中で元のオーディオ信号が自己再生される、というものである。つまり音波は空気を媒体として伝播する粗密波であるので、変調された超音波が伝播する過程で、空気の密な部分と疎な部分とが顕著に表れ、密な部分は音速が速く、疎な部分は音速が遅くなるので変調波自身に歪が生じ、その結果キャリア波(超音波)と可聴波(元オーディオ信号)に波形分離され、我々人間は20kHz以下の可聴音(元オーディオ信号)のみを聴くことができるという原理であり、一般にはパメトリックアレイ効果と呼ばれている。
図6に示す超音波スピーカ41は、超音波周波数帯のキャリア波を生成し、出力するキャリア波信号源42と、可聴波周波数帯の信号波を生成する可聴周波数波信号源(オーディオ信号源)43と、変調器44と、移相回路46と、パワーアンプ45、47と、固定電極構造3、4が積層された静電型超音波トランスデューサ2とを有している。
上記構成において、可聴周波数波信号源43より出力されるオーディオ信号波により、キャリア波信号源42から出力される超音波周波数帯のキャリア波を変調器44により変調し、パワーアンプ45で増幅した変調信号により静電型超音波トランスデューサ2中のアシスト側の固定電極構造4を駆動する。また、変調器44の出力は移相回路46に入力され、該移相回路46により位相が遅らされた(振動膜で加振作用が起こるように位相が遅らされた)変調信号をパワーアンプ47により増幅し固定電極構造3に印加する。この結果、固定電極構造3の振動膜の振動部が、固定電極構造4の振動膜の振動部により加振される。
このようにして、上記変調信号が静電型超音波トランスデューサ2により有限振幅レベルの音波に変換され、この音波は媒質中(空気中)に放射されて媒質(空気)の非線形効果によって元の可聴周波数帯の信号音が自己再生される。
以上説明したように、本発明の静電型超音波トランスデューサでは、プッシュプル型の静電型超音波トランスデューサの固定電極構造を積層構造とすることにより、超音波出力の音圧増を実現することができる。また、固定電極構造の積層数は、2層に限られることはなく、3層以上であってもよい。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の静電型超音波トランスデューサは、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
プッシュプル型の静電型超音波トランスデューサの説明図。 本発明の静電型超音波トランスデューサの構成例を示す図。 固定電極構造における空気抜き構造の例を示す図。 本発明の静電型超音波トランスデューサの駆動方法の例を示す図。 本発明の静電型超音波トランスデューサの加振の仕組みの説明図。 超音波スピーカの構成例を示す図。 圧電型の超音波トランスデューサの構成例を示す図。 従来の静電型超音波トランスデューサの構成例を示す図。
符号の説明
1、2…静電型超音波トランスデューサ、3…上側の固定電極構造
4…下側の固定電極構造、10、11、20、21…固定電極、12、22… 振動膜、121、221…導電層、120、220…絶縁層、14、24…放射穴(貫通穴)、16、26…直流バイアス電源、18A、18B、28A、28B …交流信号源、19…絶縁材、31A、31B…空気抜き穴、41…超音波スピーカ、42…キャリア波信号源、43…可聴周波数波信号源、44…変調器、45、47…パワーアンプ、46…移相回路

Claims (6)

  1. 複数の貫通孔が形成された第1の固定電極と、前記第1の固定電極と対をなす複数の貫通孔が形成された第2の固定電極と、前記一対の固定電極に挟持され導電層を有し、該導電層に直流バイアス電圧が印加される振動膜とを有し、前記一対の固定電極間には交流信号が印加される固定電極構造の複数が、
    各固定電極構造の対応する貫通穴の位置が一致するように並列に積層されると共に、
    外部への音波放射面を形成する固定電極構造の振動膜の振動部に対して、他の固定電極構造の振動膜の振動部が加振作用を及ぼすように構成されたこと
    を特徴とする静電型超音波トランスデューサ。
  2. 前記積層された固定電極構造の結合部の上下の貫通孔と振動膜とで形成される空間に対して、該空間に面する振動膜の振動部が空気による抵抗を受けることなく振動できるようにするための空気抜き構造を設けたこと
    を特徴とする請求項1に記載の静電型超音波トランスデューサ。
  3. 前記外部への音波放射面を形成する固定電極構造の振動膜の振動部に対して、他の固定電極構造の振動膜の振動部が加振作用を及ぼすように、前記各固定電極構造の振動膜に印加する交流信号の位相を調整するための移相手段を
    備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の静電型超音波トランスデューサ。
  4. 前記固定電極構造の積層数が2層であり、貫通穴の放射軸上に振動部が2箇所形成されるように構成されると共に、
    一方の固定電極構造の振動膜の振動部により、他方の固定電極構造の振動膜の振動部を加振するように構成されたこと
    を特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の静電型超音波トランスデューサ。
  5. 複数の貫通孔が形成された第1の固定電極と、前記第1の固定電極と対をなす複数の貫通孔が形成された第2の固定電極と、前記一対の固定電極に挟持され導電層を有し、該導電層に直流バイアス電圧が印加される振動膜とを有し、前記一対の固定電極間には交流信号が印加される固定電極構造の複数を、
    各固定電極構造の対応する貫通穴の位置が一致するように並列に積層する手順と、
    外部への音波放射面を形成する固定電極構造の振動膜の振動部に対して、他の固定電極構造の振動膜の振動部が加振作用を及ぼすように構成する手順と
    を含むことを特徴とする静電型超音波トランスデューサの構成方法。
  6. 請求項1から4のいずれかに記載の静電型超音波トランスデューサを有すること
    を特徴とする超音波スピーカ。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012100043A (ja) * 2010-11-01 2012-05-24 Nec Corp 発振装置及び圧電素子の製造方法
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