JP2007223563A - 車輪用軸受装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】車輪取付フランジの面振れ精度を高めてブレーキジャダーの発生を抑制すると共に、フランジ強度を確保した車輪用軸受装置を提供する。
【解決手段】ハブ輪2の一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジ4と、この基部からアウター側に延びるブレーキパイロット部13が形成されると共に、車輪取付フランジ4の円周方向等配に複数のハブボルト5が圧入された車輪用軸受装置において、車輪取付フランジ4のアウター側の側面4aとブレーキパイロット部13の外周面とが交差する隅部15が、それぞれ異なる位置に中心を有する曲率半径R1、R2の円弧面からなる複合Rで構成されると共に、側面4aにハブボルト5を包含する環状溝11が形成され、当該側面4aのうち環状溝11以外の側面4aが、ハブボルト5が圧入された後に切削加工された切削面で構成され、その面振れが所定値以下に規制されている。
【選択図】図2
【解決手段】ハブ輪2の一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジ4と、この基部からアウター側に延びるブレーキパイロット部13が形成されると共に、車輪取付フランジ4の円周方向等配に複数のハブボルト5が圧入された車輪用軸受装置において、車輪取付フランジ4のアウター側の側面4aとブレーキパイロット部13の外周面とが交差する隅部15が、それぞれ異なる位置に中心を有する曲率半径R1、R2の円弧面からなる複合Rで構成されると共に、側面4aにハブボルト5を包含する環状溝11が形成され、当該側面4aのうち環状溝11以外の側面4aが、ハブボルト5が圧入された後に切削加工された切削面で構成され、その面振れが所定値以下に規制されている。
【選択図】図2
Description
本発明は、自動車等の車輪を支持する車輪用軸受装置に関するもので、特に、車輪取付フランジの面振れ精度を高めてブレーキジャダーの発生を抑制すると共に、フランジ強度を増大させた車輪用軸受装置に関する。
一般にディスクブレーキの普及によって制動力が増大してきた反面、このディスクブレーキのロータをブレーキパッドにて挟持して制動を行う場合、特に車両低速走行時に振動が発生し、低周波の不快な騒音を誘発することがある。こうした現象はブレーキジャダーと呼ばれ、車両の高性能化や静寂化に伴って、近年、この分析および改善が新しい技術課題として着目されている。
ブレーキジャダーの明確なメカニズムはまだ詳細には解明されてはいないが、その一要因としてブレーキロータのパッド摺接面の振れ精度が挙げられている。この振れ精度は、ブレーキロータ単体の振れ精度だけでなく、ブレーキロータを取り付ける車輪取付フランジの面振れ精度、転がり軸受のアキシアル振れ、転走面の精度、および転がり軸受の組立精度等々が累積され、最終的にブレーキロータ側面の面振れ精度となって現れてくる。
また、近年、低コスト化は言うに及ばず、燃費向上のために軽量化を追求することにより、余肉を排除して車輪用軸受装置をスリム化させることと、操縦安定性のために車輪用軸受装置を剛性アップさせることがなされている。こうした、言わば両者相反する要求を満足しつつ、前述したブレーキロータ側面の面振れ精度対策が種々講じられている。
図4は従来の車輪用軸受装置を示し、(a)は側面図で、(b)はその縦断面図である。なお、以下の説明では、車両に組み付けた状態で、車両の外側寄りとなる側をアウター側(図面左側)、中央寄り側をインナー側(図中右側)という。
この車輪用軸受装置は、アウター側端部に車輪(図示せず)を取り付けるための車輪取付フランジ55を一体に有し、外周にアウター側の内側転走面52aと、この内側転走面52aから軸方向に延びる小径段部54が形成されたハブ輪52、およびこのハブ輪52の小径段部54に圧入され、外周にインナー側の内側転走面53aが形成された内輪53からなる内方部材51と、外周に車体(図示せず)に取り付けられるための車体取付フランジ61を一体に有し、内周に複列の転走面60a、60bが形成された外方部材60と、保持器62、62で円周等配され、両転走面間に転動自在に収容された複列のボール63、63とを備えている。また、車輪取付フランジ55の円周等配位置には車輪を固定するためのハブボルト56が植設されている。
外方部材60の両端にはシール64、65が装着され、外方部材60と内方部材51との環状空間を密封し、軸受内部に封入された潤滑グリースの外部への漏洩と、外部から雨水やダスト等が軸受内部に侵入するのを防止している。
車輪取付フランジ55の側面55aには旋盤等の一次切削により環状溝57が形成されている。この環状溝57の溝幅中央部にはボルト穴58が円周等配に穿設されている。さらにハブボルト56の外径に形成されたナール56a部をこのボルト穴58に圧入固定した後、環状溝57以外の側面55aが旋盤等により二次切削されている。
このように、従来の車輪用軸受装置にあっては、環状溝57が側面55aに形成されていることにより、ハブボルト56の圧入による側面55aの変形等の影響を最小限に抑制することができると共に、ハブボルト56の圧入後、さらに側面55aが二次切削されているので、ハブボルト56の圧入によって増加した側面55aの面振れを抑制することができる。
特開2003−154801号公報
然しながら、前述した車輪用軸受装置において、車両の横旋回等により車輪取付フランジ55に大きなモーメント荷重が負荷された場合、車輪取付フランジ55の基部、すなわち、車輪取付フランジ55とブレーキパイロット部59間の隅部59aの表面に繰り返し交番応力が発生する。この交番応力に対し、車輪取付フランジ55の形状・寸法を変更し、単純に車輪取付フランジ55を厚肉化して車輪取付フランジ55の強度・耐久性を向上させることも考えられるが、これでは市場における軽量・コンパクト化の流れと逆行し、強度対策としては得策と言えない。
また、交番応力が生じる隅部59aの表面に高周波焼入れにより硬化処理を施すことも提案されているが、熱処理を行った場合、硬化した表面を二次切削するには高価な工具が必要となるばかりでなく、硬化層と非硬化層とは切削抵抗の違いから結果的に切削深さが異なってその境界部に段差が生じ表面精度が劣化する。したがって、隅部59aの表面に硬化処理を施す場合、二次切削時に加工上の段差が生じないよう、車輪取付フランジ55の側面から所定深さの環状の段付部(盗み)を形成しなければならなかった。ところが、車輪取付フランジ55にモーメント荷重が作用した場合、この段差部に過大な応力が発生する恐れがあり、ハブ輪52の強度低下が懸念される。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、車輪取付フランジの面振れ精度を高めてブレーキジャダーの発生を抑制すると共に、フランジ強度を確保した車輪用軸受装置を提供することを目的としている。
係る目的を達成すべく、本発明のうち請求項1に記載の発明は、内周に複列の外側転走面が形成された外方部材と、一端部にブレーキロータを介して車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に、この車輪取付フランジから軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に所定のシメシロを介して圧入された少なくとも一つの内輪からなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、この内方部材と前記外方部材の転走面間に保持器を介して転動自在に収容された複列の転動体とを備え、前記車輪取付フランジからアウター側に延び、前記ブレーキロータを案内支持する円筒状のブレーキパイロット部が形成されると共に、前記車輪取付フランジの円周方向等配に複数のハブボルトが圧入された車輪用軸受装置において、前記車輪取付フランジのアウター側の側面と前記ブレーキパイロット部の外周面とが交差する隅部が、それぞれ異なる位置に中心を有する所定の曲率半径の円弧面からなる複合Rで構成されると共に、前記側面の面振れが所定値以下に規制されている。
このように、ハブ輪の一端部にブレーキロータを介して車輪を取り付けるための車輪取付フランジと、この車輪取付フランジの基部からアウター側に延び、ブレーキロータを案内支持する円筒状のブレーキパイロット部が形成されると共に、車輪取付フランジの円周方向等配に複数のハブボルトが圧入された車輪用軸受装置において、車輪取付フランジのアウター側の側面とブレーキパイロット部の外周面とが交差する隅部が、これらに外接し、それぞれ異なる位置に中心を有する所定の曲率半径の円弧面からなる複合Rで構成されると共に、側面の面振れが所定値以下に規制されているので、例えば、側面の二次切削により隅部に段差が生じることはなく、車輪取付フランジにモーメント荷重が作用しても、この隅部に過大な応力が発生するのを防止してフランジ強度を確保すると共に、ブレーキジャダーの発生を抑制した車輪用軸受装置を提供することができる。
好ましくは、請求項2に記載の発明のように、前記円弧面の曲率半径が同じに設定されていれば、隅部の複合Rが対称形となり、繰り返し応力に対し、隅部の強度を高めてハブ輪の耐久性を向上させることができる。
また、請求項3に記載の発明のように、前記車輪取付フランジのアウター側の側面に前記ハブボルトを包含する所定幅の環状溝が形成されていれば、ハブボルトの圧入による変形等、側面への影響を最小限に抑制できる。
また、請求項4に記載の発明のように、前記側面のうち前記環状溝以外の側面が、前記ハブボルトが圧入された後に切削加工された切削面で構成されていれば、ハブボルトの圧入によって増加した側面の面振れを可及的に抑制することができ、車輪取付フランジの面振れ精度を高めることができる。
また、請求項5に記載の発明のように、前記車輪取付フランジに前記ハブボルトを圧入した時に生じる変形を予め測定すると共に、この測定値に基き、前記ハブボルトが圧入される前に、前記車輪取付フランジの側面が切削加工により所定の形状・寸法に形成されていれば、側面の面振れを所定の精度に規制することができると共に、例えば、車輪取付フランジにハブボルトを圧入した後、ハブボルトと切削用バイトとの干渉を避けながら側面を二次切削する必要がなくなり、切削加工を容易に、かつ短縮することができる。
本発明に係る車輪用軸受装置は、内周に複列の外側転走面が形成された外方部材と、一端部にブレーキロータを介して車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に、この車輪取付フランジから軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に所定のシメシロを介して圧入された少なくとも一つの内輪からなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、この内方部材と前記外方部材の転走面間に保持器を介して転動自在に収容された複列の転動体とを備え、前記車輪取付フランジからアウター側に延び、前記ブレーキロータを案内支持する円筒状のブレーキパイロット部が形成されると共に、前記車輪取付フランジの円周方向等配に複数のハブボルトが圧入された車輪用軸受装置において、前記車輪取付フランジのアウター側の側面と前記ブレーキパイロット部の外周面とが交差する隅部が、それぞれ異なる位置に中心を有する所定の曲率半径の円弧面からなる複合Rで構成されると共に、前記側面の面振れが所定値以下に規制されているので、例えば、側面の二次切削により隅部に段差が生じることはなく、車輪取付フランジにモーメント荷重が作用しても、この隅部に過大な応力が発生するのを防止してフランジ強度を確保すると共に、ブレーキジャダーの発生を抑制した車輪用軸受装置を提供することができる。
外周に車体取付フランジを一体に有し、内周に複列の外側転走面が形成された外方部材と、一端部にブレーキロータを介して車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に前記複列の外側転走面に対向する一方の内側転走面と、この内側転走面から軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に所定のシメシロを介して圧入され、外周に前記複列の外側転走面に対向する他方の内側転走面が形成された内輪からなる内方部材と、この内方部材と前記外方部材の転走面間に保持器を介して転動自在に収容された複列の転動体とを備え、前記車輪取付フランジからアウター側に延び、前記ブレーキロータを案内支持する円筒状のブレーキパイロット部が形成されると共に、前記車輪取付フランジの円周方向等配に複数のハブボルトが圧入された車輪用軸受装置において、前記車輪取付フランジのアウター側の側面と前記ブレーキパイロット部の外周面とが交差する隅部が、それぞれ異なる位置に中心を有する所定の曲率半径の円弧面からなる複合Rで構成されると共に、前記側面に前記ハブボルトを包含する所定幅の環状溝が形成され、当該側面のうち前記環状溝以外の側面が、前記ハブボルトが圧入された後に切削加工された切削面で構成され、その面振れが所定値以下に規制されている。
以下、本発明の実施の形態を図面に基いて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る車輪用軸受装置の第1の実施形態を示す縦断面図、図2は、図1のハブ輪における車輪取付フランジの側面および隅部の加工方法を示す説明図である。
図1は、本発明に係る車輪用軸受装置の第1の実施形態を示す縦断面図、図2は、図1のハブ輪における車輪取付フランジの側面および隅部の加工方法を示す説明図である。
この車輪用軸受装置は駆動輪側で第3世代構造をなし、内方部材1と外方部材10と複列の転動体(ボール)6、6とを備えている。内方部材1はハブ輪2と、このハブ輪2に圧入固定された別体の内輪3とからなる。
ハブ輪2は、一端部に車輪(図示せず)を取り付けるための車輪取付フランジ4を一体に有し、外周に一方(アウター側)の内側転走面2aと、この内側転走面2aから軸方向に延びる円筒状の小径段部2bが形成され、内周にトルク伝達用のセレーション(またはスプライン)2cが形成されている。車輪取付フランジ4の円周等配位置には車輪を固定するためのハブボルト5が圧入されている。内輪3は、外周に他方(インナー側)の内側転走面3aが形成され、ハブ輪2の小径段部2bに圧入固定されている。
また、ハブ輪2は、S53C等の炭素0.40〜0.80重量%を含む中炭素鋼で形成され、内側転走面2aをはじめ、後述するシール8が摺接するシールランド部および小径段部2bに亙り高周波焼入れによって表面硬さを58〜64HRCの範囲に硬化層が形成されている。こうした高周波焼入れによりハブ輪2の強度が向上すると共に、内輪3の嵌合面におけるフレッティングが抑制されて耐久性が向上する。一方、内輪3は、SUJ2等の高炭素クロム軸受鋼からなり、ズブ焼入れにより芯部まで58〜64HRCの範囲で硬化処理されている。
外方部材10は、外周に車体(図示せず)に取り付けられるための車体取付フランジ10bを一体に有し、内周に内方部材1の内側転走面2a、3aに対向する複列の外側転走面10a、10aが形成されている。また、外方部材10は、ハブ輪2と同様、S53C等の炭素0.40〜0.80重量%を含む中炭素鋼で形成され、複列の外側転走面10a、10aが高周波焼入れによって表面硬さを58〜64HRCの範囲に硬化処理されている。これら複列の外側転走面10a、10aと内側転走面2a、3a間には保持器7、7で円周等配された複列の転動体6、6がそれぞれ転動自在に収容されている。
外方部材10と内方部材1との間に形成された環状空間の開口部にはシール8、9が装着され、軸受内部に封入され潤滑グリースの漏洩と、外部から雨水やダスト等が軸受内部に侵入するのを防止している。
ここで、車輪取付フランジ4の側面4aには旋盤等の一次切削により環状溝11が形成されている。この環状溝11の溝幅中央部にはボルト穴12が円周方向等配に穿設されている。そして、このボルト穴12にハブボルト5が圧入され、ハブボルト5の外径に形成されたナール部5aがボルト穴12に食い込んでハブボルト5が固定されている。なお、ボルト穴12は環状溝11の幅内に位置すれば良く、必ずしも溝幅中央部に設ける必要はない。
また、ハブ輪2には、車輪取付フランジ4の基部からアウター側に延びる円筒状のブレーキパイロット部13およびホイールパイロット部14がそれぞれ形成されている。これらブレーキパイロット部13およびホイールパイロット部14は、図示しないブレーキロータおよびホイールを径方向に案内支持する。
本実施形態では、図2(b)に拡大して示すように、車輪取付フランジ4のアウター側の側面4aとブレーキパイロット部13の外周面とが交差する隅部15が、それぞれ異なる位置に中心を有する曲率半径R1、R2の円弧面からなる複合Rで構成されている。すなわち、図2(a)に示すように、ハブ輪2単体の一次切削で、ブレーキパイロット部13の外周面と車輪取付フランジ4’の側面4a’、およびこれらに外接する曲率半径R1からなる単一円弧面の隅部15’が形成される。そして、ハブボルト5の圧入後、完成品の状態で所定の取代δだけ環状溝11以外の側面4a’が二次切削されて側面4aが形成されると共に、(b)に示すように、この側面4aに外接する曲率半径R2の円弧面からなる複合Rの隅部15が形成される。これにより、ハブボルト5の圧入によって増加した側面4aの面振れを可及的に抑制することができ、車輪取付フランジ4の面振れ精度を高めてブレーキジャダーの発生を抑制すると共に、側面4aの二次切削により隅部15に段差が生じることはなく、車輪取付フランジ4にモーメント荷重が作用しても、この隅部15に過大な応力が発生するのを防止してフランジ強度を確保した車輪用軸受装置を提供することができる。なお、隅部15の複合Rを同じ曲率半径(R1=R2)の円弧面で構成することにより複合Rが対称形となり、繰り返し応力に対し、隅部15の強度を高めてハブ輪2の耐久性を向上させることができる。
本出願人が実施した車輪取付フランジ4の隅部15に発生する応力を解析した結果を表1に示す。なお、単一R(比較例)とした場合の曲率半径を2.5mmとし、複合Rにおける曲率半径R1、R2を、実施例では、R1=R2=2.5mmとした。また、図1において、外方部材10における車体取付フランジ10bの側面を固定面とし、ハブ輪2における車輪取付フランジ4の側面4aを荷重負荷面とした。表1から明らかなように、車輪取付フランジの隅部が従来の単一Rで構成した場合に対して、隅部15を複合Rで構成した場合は、隅部15に発生する応力を略13%減少させることができる。
本実施形態では、車輪取付フランジ4の側面4aの面振れが20μm以下に規制されている。これにより、この側面4aに当接して固定されるブレーキロータ(図示せず)の面振れを少なくとも50μmに抑えることができ、ブレーキジャダーの発生を防止することができる。
なお、車輪取付フランジ4’の側面4a’および隅部15’が予めハブボルト5の圧入前にハブ輪2単体で一次切削されると共に、ハブボルト5が圧入され、ハブ輪2の組立後に二次切削されて車輪取付フランジ4の側面4aおよび隅部15が形成される実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものではなく、例えば、ハブボルト5を圧入する前に、側面4aが粗旋削と中仕上げ旋削からなる一次切削が行われ、ハブボルト5の圧入後に二次切削(仕上げ旋削)を行っても良い。また、ハブボルト5の圧入前に旋削を行わず鍛造肌のままとし、ハブボルト5の圧入後に切削(仕上げ旋削)を行っても良い。つまり、切削加工の回数は関係なく、ハブボルト5の圧入後に切削するものであれば良い。
図3は、本発明に係る車輪用軸受装置の第2の実施形態を示す縦断面図である。なお、この実施形態は前述した実施形態(図1)と基本的には軸受部とハブ輪の一部の構成が異なるだけで、その他同一部品、同一部位あるいは同一機能を有する部位には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
この車輪用軸受装置は駆動輪側の第2世代と称され、ハブ輪17と車輪用軸受18とを備えている。ハブ輪17は、一端部に車輪取付フランジ16を一体に有し、外周に、この車輪取付フランジ16から軸方向に延びる円筒状の小径段部17aが形成されている。車輪用軸受18はこの小径段部17aに所定のシメシロを介して圧入固定されている。
車輪用軸受18は、外周に車体取付フランジ10bを一体に有し、内周に複列のテーパ状の外側転走面19a、19aが形成された外方部材19と、この外方部材19に内挿され、外周に前記複列の外側転走面19a、19aに対向するテーパ状の内側転走面20aが形成された一対の内輪20、20と、両転走面19a、20a間に収容された複列の転動体(円すいころ)21、21と、これら複列の転動体21、21を転動自在に保持する保持器22とを備えている。
内輪20には内側転走面20aの大径側に大鍔20bが形成されて転動体21が案内されると共に、小径側に転動体21の脱落を防止する小鍔20cが形成されている。そして、一対の内輪20、20の小端19c側の端面が突き合された状態でセットされ、所謂背面合せタイプの複列の円すいころ軸受を構成している。
ハブ輪17は、S53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中炭素鋼で形成され、車輪取付フランジ16の基部から小径段部17aに亙り高周波焼入れによって表面硬さを58〜64HRCの範囲に硬化処理されている。これにより、ハブ輪17の耐久性が向上すると共に、小径段部17aに嵌合される一対の内輪20、20とのフレッティング摩耗を防止する。
内輪20は、SUJ2等の高炭素クロム軸受鋼からなり、ズブ焼入れにより芯部まで58〜64HRCの範囲で硬化処理されている。なお、外方部材19においては、ハブ輪17と同様、S53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中炭素鋼で形成され、複列の外側転走面19a、19aが高周波焼入れによって表面硬さを58〜64HRCの範囲に硬化処理されている。
ハブ輪17は、鍛造後に車輪取付フランジ16をはじめ、外周面が一次切削によって所定の形状・寸法に形成され、その後、前述した所定の部位に高周波焼入れによって硬化処理されるが、ここで、本実施形態では、ハブ輪17の車輪取付フランジ16にハブボルト5を圧入した時に生じる変形、具体的には、円周方向等配に圧入されたハブボルト5、5間がアウター側へ湾曲する変形量と変形部位を予め測定すると共に、この変形と逆の方向、すなわち、車輪取付フランジ16のアウター側の側面16aが凹状となるような加工量に換算し、これらの情報をNC加工機の指令値として取り込み、二次切削によって車輪取付フランジ16の側面16aおよび複合Rからなる隅部15が所望の形状・寸法に形成されている。
これにより、前述した実施形態のように車輪取り付けフランジに環状溝を形成しなくても、車輪取付フランジ16の側面16aの面振れを所定の精度に規制することができると共に、車輪取付フランジにハブボルトを圧入した後、ハブボルト5と切削用バイトとの干渉を避けながら側面16aを二次切削する必要がなくなり、切削加工を容易に、かつ短縮することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、例えば、外方部材に車輪取付フランジを有する外輪回転タイプでも良く、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことである。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
本発明に係る車輪用軸受装置は、一端部にブレーキロータを介して車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有するハブ輪と複列の転がり軸受とがユニット化された第1世代乃至第3世代構造の車輪用軸受装置に適用することができる。
1・・・・・・・・・・・・内方部材
2、17・・・・・・・・・ハブ輪
2a、3a、20a・・・・内側転走面
2b、17a・・・・・・・小径段部
2c・・・・・・・・・・・セレーション
3、20・・・・・・・・・内輪
4、4’、16・・・・・・車輪取付フランジ
4a、4a’、16a・・・側面
5・・・・・・・・・・・・ハブボルト
5a・・・・・・・・・・・ナール部
6、21・・・・・・・・・転動体
7、22・・・・・・・・・保持器
8、9・・・・・・・・・・シール
10、19・・・・・・・・外方部材
10a、19a・・・・・・外側転走面
10b・・・・・・・・・・車体取付フランジ
11・・・・・・・・・・・環状溝
12・・・・・・・・・・・ボルト穴
13・・・・・・・・・・・ブレーキパイロット部
14・・・・・・・・・・・ホイールパイロット部
15、15’・・・・・・・隅部
18・・・・・・・・・・・車輪用軸受
20b・・・・・・・・・・大鍔
20c・・・・・・・・・・小鍔
51・・・・・・・・・・・内方部材
52・・・・・・・・・・・ハブ輪
52a、53a・・・・・・内側転走面
53・・・・・・・・・・・内輪
54・・・・・・・・・・・小径段部
55・・・・・・・・・・・車輪取付フランジ
55a・・・・・・・・・・側面
56・・・・・・・・・・・ハブボルト
56a・・・・・・・・・・ナール部
57・・・・・・・・・・・環状溝
58・・・・・・・・・・・ボルト穴
59・・・・・・・・・・・ブレーキパイロット部
59a・・・・・・・・・・隅部
60・・・・・・・・・・・外方部材
60a、60b・・・・・・外側転走面
61・・・・・・・・・・・車体取付フランジ
62・・・・・・・・・・・保持器
63・・・・・・・・・・・ボール
64、65・・・・・・・・シール
δ・・・・・・・・・・・・取代
2、17・・・・・・・・・ハブ輪
2a、3a、20a・・・・内側転走面
2b、17a・・・・・・・小径段部
2c・・・・・・・・・・・セレーション
3、20・・・・・・・・・内輪
4、4’、16・・・・・・車輪取付フランジ
4a、4a’、16a・・・側面
5・・・・・・・・・・・・ハブボルト
5a・・・・・・・・・・・ナール部
6、21・・・・・・・・・転動体
7、22・・・・・・・・・保持器
8、9・・・・・・・・・・シール
10、19・・・・・・・・外方部材
10a、19a・・・・・・外側転走面
10b・・・・・・・・・・車体取付フランジ
11・・・・・・・・・・・環状溝
12・・・・・・・・・・・ボルト穴
13・・・・・・・・・・・ブレーキパイロット部
14・・・・・・・・・・・ホイールパイロット部
15、15’・・・・・・・隅部
18・・・・・・・・・・・車輪用軸受
20b・・・・・・・・・・大鍔
20c・・・・・・・・・・小鍔
51・・・・・・・・・・・内方部材
52・・・・・・・・・・・ハブ輪
52a、53a・・・・・・内側転走面
53・・・・・・・・・・・内輪
54・・・・・・・・・・・小径段部
55・・・・・・・・・・・車輪取付フランジ
55a・・・・・・・・・・側面
56・・・・・・・・・・・ハブボルト
56a・・・・・・・・・・ナール部
57・・・・・・・・・・・環状溝
58・・・・・・・・・・・ボルト穴
59・・・・・・・・・・・ブレーキパイロット部
59a・・・・・・・・・・隅部
60・・・・・・・・・・・外方部材
60a、60b・・・・・・外側転走面
61・・・・・・・・・・・車体取付フランジ
62・・・・・・・・・・・保持器
63・・・・・・・・・・・ボール
64、65・・・・・・・・シール
δ・・・・・・・・・・・・取代
Claims (5)
- 内周に複列の外側転走面が形成された外方部材と、
一端部にブレーキロータを介して車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に、この車輪取付フランジから軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に所定のシメシロを介して圧入された少なくとも一つの内輪からなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、
この内方部材と前記外方部材の転走面間に保持器を介して転動自在に収容された複列の転動体とを備え、
前記車輪取付フランジからアウター側に延び、前記ブレーキロータを案内支持する円筒状のブレーキパイロット部が形成されると共に、
前記車輪取付フランジの円周方向等配に複数のハブボルトが圧入された車輪用軸受装置において、
前記車輪取付フランジのアウター側の側面と前記ブレーキパイロット部の外周面とが交差する隅部が、それぞれ異なる位置に中心を有する所定の曲率半径の円弧面からなる複合Rで構成されると共に、前記側面の面振れが所定値以下に規制されていることを特徴とする車輪用軸受装置。 - 前記円弧面の曲率半径が同じに設定されている請求項1に記載の車輪用軸受装置。
- 前記車輪取付フランジのアウター側の側面に前記ハブボルトを包含する所定幅の環状溝が形成されている請求項1または2に記載の車輪用軸受装置。
- 前記側面のうち前記環状溝以外の側面が、前記ハブボルトが圧入された後に切削加工された切削面で構成されている請求項3に記載の車輪用軸受装置。
- 前記車輪取付フランジに前記ハブボルトを圧入した時に生じる変形を予め測定すると共に、この測定値に基き、前記ハブボルトが圧入される前に、前記車輪取付フランジの側面が切削加工により所定の形状・寸法に形成されている請求項1または2に記載の車輪用軸受装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006050040A JP2007223563A (ja) | 2006-02-27 | 2006-02-27 | 車輪用軸受装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006050040A JP2007223563A (ja) | 2006-02-27 | 2006-02-27 | 車輪用軸受装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007223563A true JP2007223563A (ja) | 2007-09-06 |
Family
ID=38545759
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006050040A Withdrawn JP2007223563A (ja) | 2006-02-27 | 2006-02-27 | 車輪用軸受装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2007223563A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017089696A (ja) * | 2015-11-05 | 2017-05-25 | 日本精工株式会社 | 車輪支持用転がり軸受ユニット |
WO2023149151A1 (ja) * | 2022-02-04 | 2023-08-10 | Ntn株式会社 | 車輪用軸受装置 |
-
2006
- 2006-02-27 JP JP2006050040A patent/JP2007223563A/ja not_active Withdrawn
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017089696A (ja) * | 2015-11-05 | 2017-05-25 | 日本精工株式会社 | 車輪支持用転がり軸受ユニット |
WO2023149151A1 (ja) * | 2022-02-04 | 2023-08-10 | Ntn株式会社 | 車輪用軸受装置 |
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A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20100531 |