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JP2007218317A - 低温液体・気体水素貯蔵タンク - Google Patents

低温液体・気体水素貯蔵タンク Download PDF

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JP2007218317A JP2006038085A JP2006038085A JP2007218317A JP 2007218317 A JP2007218317 A JP 2007218317A JP 2006038085 A JP2006038085 A JP 2006038085A JP 2006038085 A JP2006038085 A JP 2006038085A JP 2007218317 A JP2007218317 A JP 2007218317A
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Yasuaki Kawai
泰明 河合
Yoshitsugu Kojima
由継 小島
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Toyota Central R&D Labs Inc
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Abstract

【課題】エネルギーを浪費することなく、液体水素及びボイルオフ水素ガスを効率よく貯蔵することが可能な低温液体・気体水素貯蔵タンクを提供すること。
【解決手段】液体水素18を貯蔵するための液体水素タンク12と、液体水素タンク12から放出されるボイルオフ水素ガスを貯蔵するための第1水素貯蔵材料20が充填された第1水素貯蔵材料タンク14と、第1水素貯蔵材料タンク14から排出されるボイルオフ水素ガスを貯蔵するための第2水素貯蔵材料22が充填された第2水素貯蔵材料タンク16とを備え、第1水素貯蔵材料タンク14−第2水素貯蔵材料タンク16間は、水素の吸蔵・放出に伴う反応熱の授受を行うことができるように、熱的に接続されている低温液体・気体水素貯蔵タンク10。
【選択図】図1

Description

本発明は、低温液体・気体水素貯蔵タンクに関し、さらに詳しくは、液体水素及びこれが蒸発することにより生ずるボイルオフ水素ガスの双方を効率よく貯蔵することが可能な低温液体・気体水素貯蔵タンクに関する。
近年、二酸化炭素の排出による地球の温暖化等の環境問題や、石油資源の枯渇等のエネルギー問題から、クリーンな代替エネルギーとして水素エネルギーが注目されている。水素は、クリーンであるだけでなく、最も軽い燃料であり、質量当たりのエネルギー密度が大きいという特徴がある。しかしながら、水素は、常温・常圧では気体であり、単位体積当たりのエネルギー貯蔵量が小さいという欠点がある。そのため、水素エネルギーを実用化するためには、水素を安全かつ効率的に貯蔵、輸送する技術の開発が重要となる。
水素を貯蔵する方法としては、
(1) 高圧の水素ガスを耐圧容器に貯蔵する第1の方法、
(2) 液体水素を断熱容器に貯蔵する第2の方法、
(3) ある種の材料に水素を物理的又は化学的に吸着させる第3の方法、
などが知られている。
水素を物理的又は化学的に吸着(貯蔵)できる水素貯蔵材料としては、
(1) 活性炭、フラーレン、ナノチューブ等のカーボン材料、
(2) LaNi、TiFe等の水素吸蔵合金、
などが知られている。
これらの水素貯蔵方法には、それぞれ、一長一短がある。
例えば、第1の方法は、極めて簡便な貯蔵方法である。しかしながら、耐圧容器の重量が大きく、かつ、水素ガスの圧縮には限界があるので、単位体積当たり及び単位重量当たりの水素密度は、相対的に小さい。
また、第2の方法は、液化によって水素の体積を大幅に縮小することができる。しかしながら、第2の方法は、
(1) 水素の液化に多量のエネルギーを消費する、
(2) 液体水素の貯蔵のために特殊な断熱容器を必要とする、
(3) 液体水素を断熱容器に貯蔵した場合であっても、外部より侵入する熱のために液体水素が蒸発しやすい、
(4) 高圧の水素ガスを得るには、加圧装置が必要になる、
等の問題がある。
さらに、第3の方法は、液体水素と同等以上の密度で水素を貯蔵でき、かつ、貯蔵のために特殊な容器や多量のエネルギーを必要としないという特徴がある。しかしながら、第3の方法は、
(1) カーボン材料は、比重が軽いために、単位体積当たりの水素密度が小さい、
(2) 水素吸蔵合金は、La、Ni、Ti等の希少金属を含んでいるものが多く、その資源確保が困難であり、コストも高い、
(3) 水素吸蔵合金は、合金自体の重量が大きいために、単位重量当たりの水素密度が小さい、すなわち、大量の水素を貯蔵するために極めて重い貯蔵材料を必要とする、
(3) 水素吸蔵合金から多量の水素を速やかに放出させるためには、水素吸蔵合金を加熱する必要がある、
等の問題がある。
そこでこの問題を解決するために、従来から種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1には、液体水素貯蔵タンクに接続された蒸発水素トラップ用配管経路に、低温での水素貯蔵効率が良い多孔質材料が入れられた第1のタンクと、前記多孔質材料から離脱した水素を貯蔵しかつ前記低温より高い温度域での水素貯蔵効率が良い水素吸蔵合金が入れられた第2のタンクとが設けられている液体水素貯蔵タンクの水素蒸発装置が開示されている。同文献には、蒸発水素配管に第1のタンク及び第2のタンクが設けられているので、効率よくボイルオフ水素をトラップできる点が記載されている。
また、特許文献2には、液体水素タンクから排出されたボイルオフガスを昇圧する昇圧手段と、昇圧手段により昇圧されたボイルオフガスを貯蔵し、貯蔵したボイルオフガスを水素利用機器に供給可能な圧力容器とを備え、昇圧手段は、加熱することによってボイルオフ水素ガスを昇圧することが可能な水素貯蔵材料と、これを加熱する加熱手段とを備えているボイルオフガス処理装置が開示されている。同文献には、このような構成を採用することによって、圧力容器に貯蔵されたボイルオフ水素ガスを水素利用機器に供給することができるので、水素の供給速度が速くなる点、及び、水素貯蔵材料及び加熱手段を備えた昇圧手段を用いると、昇圧手段をコンパクトにすることができる点が記載されている。
さらに、特許文献3には、容器と、該容器に収容された水素吸蔵体とを含む水素貯蔵装置であって、前記水素吸蔵体は、比表面積が1000m/g以上である多孔質炭素材料と、水素吸蔵合金とを含む水素貯蔵装置が開示されている。同文献には、このような構成によって、水素を圧縮水素、吸着水素及び原子状水素の3つの状態で貯蔵することができるので、単位体積当たりの水素貯蔵量が大きくなる点が記載されている。
特開2002−213697号公報 特開2003−056799号公報 特開2003−172499号公報
上述した各種の水素貯蔵方法の中でも、液体水素を貯蔵する方法は、他の方法に比べて小型・軽量化が容易である。また、この方法を車載動力源として用いられる燃料電池に供給される水素の貯蔵方法として使用すれば、航続距離を大幅に延長することが可能と考えられる。
しかしながら、液体水素から所定の圧力を有する水素ガスを発生させるためには、ヒーターを用いて液体水素を加熱する必要がある。また、水素ガスを消費していない場合であっても、断熱容器内に貯蔵されている液体水素からは、常時、ボイルオフ水素ガスが発生している。このボイルオフ水素ガスをそのまま大気に放出するのは水素ロスを招くので、液体水素貯蔵システムにおいては、通常、ボイルオフ水素ガスを液体水素に戻すための冷凍機が備えられている。これらのヒータや冷凍機は、消費されるエネルギーが膨大であるので、液体水素貯蔵システムのエネルギー効率を低下させる原因となっている。また、一定の圧力を有する水素ガスを発生させるためには、ヒータや冷凍機を制御する必要があるので、液体水素貯蔵システムを複雑化させる原因となっている。
本発明が解決しようとする課題は、エネルギーを浪費することなく、液体水素及びボイルオフ水素ガスを効率よく貯蔵することが可能な低温液体・気体水素貯蔵タンクを提供することにある。
また、本発明が解決しようとする他の課題は、システムを複雑化させることなく、所定の圧力を有する水素ガスを発生させることが可能な低温液体・気体水素貯蔵タンクを提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る低温液体・気体水素貯蔵タンクは、液体水素を貯蔵するための液体水素タンクと、前記液体水素タンクから放出されるボイルオフ水素ガスを貯蔵するための第1水素貯蔵材料が充填された第1水素貯蔵材料タンクと、前記第1水素貯蔵材料タンクから排出される前記ボイルオフ水素ガスを貯蔵するための第2水素貯蔵材料が充填された第2水素貯蔵材料タンクとを備え、前記第1水素貯蔵材料タンク−前記第2水素貯蔵材料タンク間は、水素の吸蔵・放出に伴う反応熱の授受を行うことができるように、熱的に接続されていることを要旨とする。
この場合、前記液体水素タンク−前記第1水素貯蔵材料タンク間は、熱的に接続されていても良く、あるいは、断熱されていても良い。また、前記第1水素貯蔵材料は、カーボン系材料を含むものが好ましく、前記第2水素貯蔵材料は、30℃における水素貯蔵の解離圧が5MPa以上である高解離圧水素吸蔵合金を含むものが好ましい。
さらに、低温液体・気体水素貯蔵タンクは、前記第1水素貯蔵材料及び/又は前記第2水素貯蔵材料を加温するための高温流体を流す高温流体導入手段をさらに備えているものが好ましい。また、前記第2水素貯蔵材料タンクから放出される前記ボイルオフ水素ガスを一時的に貯蔵する蓄圧タンクをさらに備えているものが好ましい。
液体水素タンクに液体水素を貯蔵すると、周囲から侵入する熱によってボイルオフ水素ガスが発生する。発生したボイルオフ水素ガスは、第1水素貯蔵材料タンク内に流入し、第1水素貯蔵材料に貯蔵される。残ったボイルオフ水素ガスは、次に第2水素貯蔵材料タンクに流入し、第2水素貯蔵材料に貯蔵される。この時、第1水素貯蔵材料タンク及び第2水素貯蔵タンク間が熱的に接続されていると、第1水素貯蔵材料にボイルオフ水素ガスが吸着することにより発生する吸着熱が第2水素貯蔵材料タンクに伝わり、第2水素貯蔵材料が加温される。そのため、第1水素貯蔵材料として、相対的に低温における水素貯蔵特性に優れた材料(例えば、カーボン系材料)を用い、第2水素貯蔵材料として、相対的に高温における水素貯蔵特性に優れた材料(例えば、高解離圧水素吸蔵合金)を用いると、エネルギを浪費することなく、ボイルオフ水素ガスを効率よく貯蔵することができる。
さらに、高温流体導入手段及び/又は蓄圧タンクをさらに備えている場合には、システムを複雑化させることなく所定の圧力を有する水素ガスを発生させることができる。
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に、本発明の一実施の形態に係る低温液体・気体水素貯蔵タンクの概略構成図を示す。図1において、低温液体・気体水素貯蔵タンク10は、液体水素タンク12と、第1水素貯蔵材料タンク14と、第2液体水素貯蔵材料タンク16とを備えている。
液体水素タンク12は、その内部に液体水素18を貯蔵するためのタンクである。
液体水素タンク12は、
(1) 外部から侵入する熱によって液体水素18を適度に蒸発させる機能(断熱性)、並びに、
(2) 液体水素18の蒸発により発生したボイルオフ水素ガスをその上部空間に閉じ込め、適度な圧力を維持する機能(密閉性及び耐圧性)、
を備えている必要がある。
液体水素タンク12は、具体的には、適度な断熱性を得ることが可能な真空二重構造、高圧の水素ガスを発生させることが可能な密閉構造、及び、後述する水素貯蔵材料の解離圧に耐えうる耐圧構造を備えたものを用いるのが好ましい。また、真空二重構造の内壁と外壁の間には、強度を維持するための支持部材(図示せず)を設けるのが好ましい。この支持部材は、液体水素18に適度な熱を供給するための伝熱部材としての機能も果たす。液体水素タンク12及び支持部材の材料としては、具体的には、アルミニウム合金(A6061T6)などがある。尚、外周部には、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維などを保冷兼応力確保部材として用いるのも良い。液体水素タンク12の形状、大きさ等は、特に限定されるものではなく、目的に応じて任意に選択することができる。
第1水素貯蔵材料タンク14は、その内部に第1水素貯蔵材料20を充填するためのタンクである。同様に、第2水素貯蔵材料タンク16は、その内部に第2水素貯蔵材料22を充填するためのタンクである。タンク内に充填される水素貯蔵材料は、タンクが曝される温度雰囲気及び圧力において、水素を貯蔵・放出することが可能な材料であればよい。水素貯蔵材料の詳細については、後述する。
第1水素貯蔵材料タンク14及び第2水素貯蔵材料タンク16は、それぞれ、適度な圧力を有する水素ガスを適度な温度で保持する機能(断熱性、密閉性、耐圧性)を備えている必要がある。
第1水素貯蔵材料タンク14及び第2水素貯蔵材料タンク16は、具体的には、その外壁が水素脆性に対する耐性を有する材料からなるものが好ましい。このような材料としては、具体的には、アルミニウム合金(A6061T6)などがある。尚、外周部には、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維などを保冷兼応力確保部材として用いるのも良い。また、タンク内部には、タンクに耐圧性及び熱伝導性を付与するための支持部材(図示せず)を設けるのが好ましい。支持部材の材質としては、具体的には、アルミニウム合金(A6061T6)などがある。また、支持部材の形状は、特に限定されるものではないが、ハニカム状が好ましい。この場合、水素貯蔵材料は、タンク内に設置されたハニカム構造の空洞部分に充填される。
第1水素貯蔵材料タンク14−第2水素貯蔵材料タンク16間は、水素の貯蔵・放出に伴う反応熱の授受を行うことができるように、熱的に接続されている。「熱的に接続されている」とは、熱の良導体(例えば、銅やアルミ合金など)によりタンク間が連結されていることをいう。両タンク間を熱的に接続すると、水素の貯蔵・放出に伴う反応熱によって、第1水素貯蔵材料20及び第2水素貯蔵材料22を、それぞれ、水素の貯蔵・吸着に適した温度に維持するのが容易化するという利点がある。
一方、液体水素タンク12−第1水素貯蔵材料タンク14間は、断熱されていても良く、あるいは、熱的に接続されていても良い。液体水素タンク12−第1水素貯蔵材料タンク14間を断熱するか、あるいは熱的に接続するかは、低温液体・気体水素貯蔵タンク10の用途に応じて、適宜選択する。一般に、単位時間当たりの水素消費量が相対的に多い水素消費源に水素ガスを供給する場合、液体水素タンク12−第1水素貯蔵材料タンク14間は、熱的に接続されているのが好ましい。両タンク間が熱的に接続されていると、第1水素貯蔵材料20に水素が吸着されたときに生ずる吸着熱によって、ボイルオフ水素ガス発生量を増大させることができる。一方、単位時間当たりの水素消費量が相対的に少ない水素消費源に水素ガスを供給する場合、液体水素タンク12−第1水素貯蔵材料タンク14間は、断熱されているのが好ましい。
図1に示す例において、液体水素タンク12の上面には、スペーサ24を介して第1水素貯蔵材料タンク14が接合されている。スペーサ24は、上述したように、断熱材(例えば、ポリウレタン、発泡スチロールや無機材料(ケイソウエ)を用いたり、二重構造にして空間部位をロータリーポンプで真空引き(10−1Pa程度)した低真空状態を取り入れても良い)又は熱の良導体のいずれであっても良い。なお、液体水素タンク12−第1水素貯蔵材料タンク14間を断熱する場合には、両タンクを離間させ、タンク間を配管で接続しても良い。
また、第1水素貯蔵材料タンク14の上面には、隔壁26を介して第2水素貯蔵材料タンク16が接合されている。隔壁26には、上述したように、熱の良導体が用いられる。第1水素貯蔵材料タンク14及び第2水素貯蔵材料タンク16は、別個のタンクが隔壁26を介して接合されたものでも良く、あるいは、一体化された1つのタンクの内部が隔壁26によって仕切られたものでも良い。
なお、水素ガスは、上方に拡散する性質があるので、図1に示すように、下から液体水素タンク12、第1水素貯蔵材料タンク14、及び第2水素貯蔵材料タンク16の順に配置するのが好ましいが、タンクの配置は、これに限定されるものではない。例えば、液体水素タンク12と第1水素貯蔵材料タンク14とを配管で接続し、第1水素貯蔵材料タンク14(及び、これに熱的に接続された第2水素貯蔵材料タンク)を液体水素タンク12の側面や下面に配置しても良い。
液体水素タンク12の上面のほぼ中央及び第1水素貯蔵材料タンク14の下面のほぼ中央は、水素ガス導入孔12aにより連結され、水素ガス導入孔12aには、フィルタ28aが設けられている。また、第1水素貯蔵材料タンク14の上面の左右及び第2水素貯蔵材料タンク16の下面の左右は、それぞれ、水素ガス導入孔14a、14bにより連結され、水素ガス導入孔14a、14bには、それぞれ、フィルタ28b、28cが設けられている。さらに、第2水素貯蔵材料タンク16の上面のほぼ中央には、水素ガス放出孔16aが設けられ、水素ガス放出孔16aには、フィルタ28dが設けられている。フィルタ28a〜28dは、第1水素貯蔵材料20及び第2水素貯蔵材料22の飛散を防止するためのものである。フィルタ28a〜28dの材質は、特に限定されるものではないが、Al焼結合金が好ましい。
なお、図1に示す例においては、合計4個の水素ガス導入孔及び水素ガス放出孔が記載されているが、これは単なる例示であり、水素ガス導入孔及び水素ガス放出孔の個数は、任意に選択することができる。
液体水素タンク12の側面には、液体水素18を導入するための導入管12bが設けられている。第2水素貯蔵材料タンク16上面の水素ガス放出孔16bには、水素ガス供給配管30が接続され、水素ガス供給配管には、圧力感知電磁バルブ32が設けられている。圧力感知電磁バルブ32は、タンク内の水素ガス圧が予め設定された圧力に達したことを感知したときに、水素ガス供給管30を開にするためのバルブである。
水素ガス供給配管30の先端には、水素消費源(例えば、燃料電池、水素エンジンなど)又は蓄圧タンク(いずれも図示せず)が接続されている。蓄圧タンクは、必ずしも必要なものではないが、蓄圧タンクを設けると、第2水素貯蔵材料タンク16から放出されるボイルオフ水素ガスを一時的に貯蔵することができる。そのため、燃料電池の始動時など、水素消費源が大量の水素ガスを必要とするときでも、必要量の水素を安定して供給することができる。また、水素ガスが消費されないときでも、一定量の水素を貯蔵することができるので、水素ロスを低減することができる。
また、図1に示す例においては、第1水素貯蔵材料タンク14及び第2水素貯蔵材料タンク16内に、第1水素貯蔵材料20及び第2水素貯蔵材料22を加温するための高温流体を流すパイプ(高温流体導入手段)34が設けられている。高温流体導入手段は、必ずしも必要なものではないが、タンク内に高温流体を流すと、第1水素貯蔵材料20及び第2水素貯蔵材料22が加熱され、水素放出が促進される。そのため、多量の水素が必要になったときでも、必要量の水素を安定して供給することができる。このような高温流体としては、具体的には、水素消費源を冷却するための冷却液(例えば、燃料電池自動車等のラジエターに用いられる不凍液)などがある。なお、高温流体導入手段は、第1水素貯蔵材料20及び第2水素貯蔵材料22のいずれか一方のみを加温するものでも良く、あるいは、双方を加温するものでも良い。
液体水素タンク12、第1水素貯蔵材料タンク14、及び第2水素貯蔵材料タンク16の内部構造、配置、形状、材質等に関するその他の点については、特に限定されるものではなく、目的に応じて任意に選択することができる。
但し、第1水素貯蔵材料タンク14は、単にボイルオフ水素ガスを吸着するためだけではなく、第1水素貯蔵材料20に水素が吸着することにより発生する吸着熱で第2水素貯蔵材料22を適度な温度に加温する機能を持つ。そのため、第1水素貯蔵材料タンク14は、タンク内に流入した水素ガスが最短距離を通って第2水素貯蔵材料タンク16に放出される内部構造よりむしろ、水素ガスが第1水素貯蔵材料タンク12内を迂回しながら第2水素貯蔵材料タンク16に放出されるような内部構造を有するものが好ましい。
水素ガスを迂回させるための構造としては、具体的には、
(1) ボイルオフ水素ガスの入口及び出口を結ぶ方向と、ボイルオフ水素ガスの流入面の法線方向(水素ガス導入孔12aが設けられた液体水素タンク12の表面に対して垂直方向)とが非平行となるように、入口及び出口を配置した構造、
(2) ボイルオフ水素ガスの流れを迂回させるための仕切壁を第1水素貯蔵材料タンク12の内部に設けた構造、
などがある。これらは、単独で用いても良く、あるいは組み合わせて用いても良い。
図1に示す例においては、水素ガス導入孔14a、14b(出口)は、いずれも水素ガス導入孔12a(入口)の真上には形成されておらず、斜め方向に形成されている。また、水素ガス導入孔12aの周囲には、仕切壁36が設けられている。そのため、水素ガスは、図1の1点鎖線に示すように、第1水素貯蔵材料タンク14の内部を迂回しながら、第2水素貯蔵材料タンク16に流れ込むようになっている。
次に、第1水素貯蔵材料及び第2水素貯蔵材料について説明する。
第1水素貯蔵材料20及び第2水素貯蔵材料22は、上述したように、それぞれ、第1水素貯蔵材料タンク14及び第2水素貯蔵材料タンク16が曝される温度雰囲気及び圧力において、水素を吸蔵(吸着)・放出することが可能な材料であれば良い。
第1水素貯蔵材料20は、液体水素18が蒸発することにより生じる低温(−200〜−100℃)のボイルオフ水素ガスに直接、曝されるので、このような温度域において、高い水素貯蔵特性を有する材料を用いるのが好ましい。
第1水素貯蔵材料20としては、具体的には、活性炭、フラーレン、ナノチューブなどのカーボン系材料が好ましい。カーボン系材料は、水素ガスを物理吸着することができ、かつ、その吸着量は、温度が低くなるほど多くなるという性質を持つ。また、吸着された水素は、温度を上昇させることによって容易に放出させることができる。
また、カーボン系材料の水素吸着能力は、比表面積に依存する。高い水素吸着能力を得るためには、カーボン系材料の比表面積は、1000m2/g以上が好ましく、さらに好ましくは、2000m/g以上、さらに好ましくは、3000m/g以上である。
図2に、活性炭の比表面積と低温(−196℃(77K)、2MPa)での水素吸着量との関係を示す。図2より、
(1)比表面積が高くなるほど、水素吸着量が多くなること、
(2)比表面積3300m/gで、水素吸着量は5〜5.5wt%になること、及び
(3)比表面積4000m/gで、水素吸着量は7〜7.5wt%になること、
がわかる。
このような高比表面積を有するカーボン系材料としては、具体的には、メソカーボンビーズM30(3000m/g)、及びM40(4000m/g)、(いずれも、大阪ガス製)、MCS−30(3000m/g、関西熱化学製)などがある。
第1水素貯蔵材料20は、カーボン系材料のみからなるものでも良く、あるいは、カーボン系材料に第2成分が添加されたものでも良い。第2成分としては、具体的には、
(1) 金属有機骨格(MOFs、Metal-Organic Frameworks)、
(2) パラ・オルソ変換抑制触媒、
などがある。
「MOFs」とは、金属イオン又はそのクラスターが有機ユニットにより連結したものをいう(例えば、J.Am.Chem.Soc., 2004, 126, 5666-5667参照)。MOFsは、相対的に大きなボイドを持ち、水素ガスを吸着することができるが、水素吸着量は、カーボン系材料に比べて少ない(液体窒素温度で2〜3wt%)。しかしながら、MOFsは、金属イオン又はそのクラスターを含むので、カーボン系材料に比べて熱伝導率が高いという特徴がある。そのため、これをカーボン系材料に添加すると、第1水素貯蔵材料20の熱伝導率を向上させることができる。このようなMOFsとしては、具体的には、Cu−MOF、Zn−MOFなどがある。
一般に、MOFsの添加量が多くなるほど、第1水素貯蔵材料20の熱伝導率は高くなるが、水素吸着量は低下する。従って、第1水素貯蔵材料20へのMOFsの添加量は、目的に応じて最適な量を選択するのが好ましい。
「パラ・オルソ変換抑制触媒」とは、−120℃以下(好ましくは、50K以下)の温度において磁気転移を起こす材料からなる触媒をいう。水素分子は、それぞれの原子核と核スピンの配向により、オルソとパラの2種類の異性体が存在する。オルソ水素は、互いの原子核のスピンが平行であり、パラ水素は、スピンの向きが反平行である。これらの存在比は、常温以上では、オルソ水素:パラ水素=3:1である。しかしながら、低温になるほどパラ水素の存在比が増し、絶対零度付近ではほぼ100%のパラ水素となる。
液体水素から蒸発した直後のボイルオフ水素ガスは、極低温であるので、パラ水素の存在比が高い。一方、ボイルオフ水素ガスが液体水素タンク12から第1水素貯蔵材料タンク14へ拡散するに伴い、水素ガスの温度が上昇し、パラ水素がオルソ水素に変換する。しかも、この反応は発熱反応である。そのため、水素ガスの温度の上昇に伴い、オルソ水素への変換及びこれに伴う発熱がさらに加速される。
パラ→オルソ変換は、水素放出には有利であるが、水素貯蔵には不利である。そこでこのような場合には、第1水素貯蔵材料20に極低温において磁気転移を起こすオルソ水素変換抑制触媒を添加するのが好ましい。これによりパラ→オルソ変換が抑制され、長期間に渡って水素ガスを安定して貯蔵することができる。
第1水素貯蔵材料20が曝される温度域において磁気転移を起こす材料としては、具体的には、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Eu、Ir、Uなどを含むハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、リン酸塩、酸化物などがある。特に、これらの元素を含むハロゲン化物は、水素ガスとの反応性が低いので、第1水素貯蔵材料20に添加するパラ・オルソ変換抑制触媒として好適である。
一般に、パラ・オルソ変換抑制触媒の添加量が多くなるほど、第1水素貯蔵材料20の温度上昇は抑制されるが、水素吸着量は低下する。従って、第1水素貯蔵材料20へのパラ・オルソ変換抑制触媒の添加量は、目的に応じて最適な量を選択するのが好ましい。なお、パラ・オルソ変換抑制触媒の添加量が多くなるほど水素ガスを放出しにくくなるが、このような場合には、高温流体導入手段により第1水素貯蔵材料20を加温すれば良い。
第2水素貯蔵材料22は、第1水素貯蔵材料タンク14を通過した相対的に高温(−100℃前後)のボイルオフ水素ガスに曝されるので、このような温度域において、高い水素貯蔵特性を有する材料を用いるのが好ましい。
水素吸蔵合金は、その組成に応じて、解離圧(水素の吸蔵・放出反応が平衡するときの水素圧力)が異なる。一般に、解離圧は、温度が低くなるほど低下し、解離圧が1気圧(0.1MPa)未満になると、常圧下において、水素を放出することができなくなる。従って、第2水素吸蔵材料22として水素吸蔵合金を用いるときには、第2水素貯蔵材料タンク16が曝される温度域において、解離圧が1気圧(0.1MPa)以上である材料を用いるのが好ましい。特に、高解離圧水素吸蔵合金は、−100℃前後の低温においても高い解離圧を有しているので、第2水素吸蔵材料22として好適である。
ここで、「高解離圧水素吸蔵合金」とは、30℃における水素吸蔵の解離圧が50気圧(5MPa)以上である水素吸蔵合金をいう。解離圧は、さらに好ましくは、100気圧(10MPa)以上である。このような高解離圧水素吸蔵合金としては、具体的には、
(1) TiCrMn、Ti1.05CrMn、Ti1.1CrMn、Ti1.3Cr0.4Mn1.6、Ti1.1Cr0.7Mn1.3、Ti1.2Cr0.8Mn1.6、Ti1.2CrMn、TiCr2、Ti1.2Cr1.9Mn0.1、Ti1.2Cr1.4Mn0.6等のチタン−クロム系合金、
(2) TiMn1.5、Ti0.98Zr0.020.43Fe0.09Cr0.05Mn1.5等のチタン−マンガン系合金、
などがある。
特に、TiCr1.8、Ti67Cr33、Ti33Cr67、Ti20Cr80、Ti33Cr3333、TiCr1.6Fe0.4などのTiCr系合金は、高い水素吸蔵特性(−100℃で約2wt%)を有しているので、第2水素貯蔵材料22として好適である。
第2水素貯蔵材料22は、高解離圧水素吸蔵合金のみからなるものでも良く、あるいは、高解離圧水素吸蔵合金に第2成分が添加されたものでも良い。第2成分としては、具体的には、熱絶縁機能と水素吸着機能を兼ね備えた多孔体が好ましい。このような多孔体を第2水素貯蔵材料22に添加すると、長期間に渡って水素を安定して貯蔵することができる。このような機能を有する多孔体としては、具体的には、ゼオライト、高機能メソポーラス材料(例えば、FSM−16)などがある。
一般に、多孔体の添加量が多くなるほど、第2水素貯蔵材料22の熱伝導率は低くなるが、水素吸着量は低下する。従って、第2水素貯蔵材料22への多孔体の添加量は、目的に応じて最適な量を選択するのが好ましい。
第1水素貯蔵材料20及び/又は第2水素貯蔵材料22は、それぞれ、粉末状態のまま使用しても良く、あるいは、成形体の状態で使用しても良い。特に、水素貯蔵材料として成形体を用いると、材料の嵩密度が高くなるので、タンク内への水素貯蔵材料の総充填量を多くすることができる。また、粉末の飛散が少ないので、取り扱いが容易化する。
水素貯蔵材料を成形する場合、粉末をそのまま成形しても良く、あるいは、粉末に結着剤を加えて成形しても良い。特に、カーボン系材料は、成形性が悪いので、カーボン系材料を含む粉末を成形する場合には、結着剤を用いるのが好ましい。
このような結着剤としては、具体的には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等のフッ素樹脂、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、スチレンブタジエンゴム、カルボキシセルロースなどがある。
結着剤を使用する場合、結着剤の添加量は、20wt%以下が好ましい。結着剤の添加量が20wt%を超えると、水素貯蔵量が低下するので好ましくない。結着剤の添加量は、さらに好ましくは、5wt%以下である。また、十分な成形性を得るためには、結着剤の添加量は、0.2wt%以上が好ましい。
粉末を成形する場合、予め、周知の方法を用いて適当な粒度に粉砕しておく。また、2種以上の粉末を含む場合には、周知の方法を用いてこれらを混合し、あるいは、混合粉砕して均一な混合物とする。
成形方法及び成形条件は、特に限定されるものではなく、水素貯蔵材料の組成に応じて最適なものを選択する。例えば、成形方法には、一軸加圧成形(金型成形)、冷間静水圧成形(CIP成形)などを用いることができる。成形は、室温でも良く、あるいは、200℃程度以下の温間で行っても良い。
成形圧力は、一般に、高い方が好ましい。成形圧力が低すぎると、十分な密度及び強度を有する成形体が得られない。成形圧力は、具体的には、100MPa以上が好ましく、さらに好ましくは、300MPa以上である。カーボン系材料を含む粉末を成形する場合には、成形圧力は、300MPa以上が好ましい。一方、成形圧力が高すぎると、実益がないだけでなく、装置の耐久性が問題となる場合がある。従って、成形圧力は、2000MPa以下が好ましい。
水素貯蔵材料に水素吸蔵合金が含まれる場合、水素吸蔵合金の粉末又は成形体に対し、必要に応じて活性化処理を行うのが好ましい。活性化処理とは、水素吸蔵合金表面に吸着しているガスや酸化被膜を除去し、清浄な合金表面を露出させるための処理をいう。活性化処理は、具体的には、高温・高圧下での水素の吸蔵と放出とを複数回繰り返すことにより行われる。
このようにして得られた水素材料材料の粉末又は成形体を、それぞれ、第1水素吸蔵材料タンク14及び第2水素吸蔵材料タンク16に充填すれば、本発明に係る低温液体・気体水素貯蔵タンク10が得られる。
次に、本発明に係る低温液体・気体水素貯蔵タンク10の作用について説明する。
まず、導入管12bを介して液体水素18を液体水素タンク12に注入する。注入された液体水素18は、液体水素タンク12の断熱構造によって低温に保たれるが、外部から侵入する熱によって除々に蒸発し、ボイルオフ水素ガスが発生する。液体水素タンク12は、第1水素貯蔵材料タンク14及び第2水素貯蔵材料タンク16に対してのみ開放されているので、発生したボイルオフ水素ガスは、水素ガス導入孔12aを通って第1水素貯蔵材料タンク14に運ばれる。
第1水素貯蔵材料タンク14内では、ボイルオフ水素ガスが第1水素貯蔵材料20に貯蔵される。この時に発生した吸着熱は、熱の良導体である隔壁26を介して第2水素貯蔵材料タンク16に伝達され、その内部にある第2水素貯蔵材料22を加温する。
一方、第1水素貯蔵材料20に貯蔵されなかった水素ガスは、さらに、水素ガス導入孔14a、14bを通って第2水素貯蔵材料タンク16に運ばれる。この時、水素ガスは、外部から侵入する熱によって温度が上昇しているが、第2水素貯蔵材料タンク16内に充填されている第2水素貯蔵材料22もまた、吸着熱によって適度な温度に加温されている。そのため、第2水素貯蔵材料22の組成を最適化すれば、第2水素貯蔵材料22に水素を効率よく貯蔵することができる。
さらに、スペーサ24が熱の良導体である場合には、吸着熱がスペーサ24を介して液体水素タンク12にも伝達され、その内部に充填されている液体水素18を加温する。そのため、ボイルオフ水素ガスが増大し、タンク内に水素ガスが充満する。
水素貯蔵材料20、22への水素貯蔵量が限界に達してもなおボイルオフ水素ガスの発生が続くと、タンクの内圧が徐々に増加する。タンク内の圧力を圧力センサ(図示せず)により検知し、タンク内の圧力が設定圧力以上になった場合には、圧力感知電磁バルブ32を開き、水素ガス供給配管30を介して水素ガスを水素消費源又は蓄圧タンクに供給する。また、大量の水素ガスが必要になったときには、パイプ34に高温流体を流し、第1水素貯蔵材料20及び第2水素貯蔵材料22からの水素の放出を加速させる。
液体水素の貯蔵にあたっては、そのボイルオフ水素ガスをどのようにうまく捨てるか、又は、どのように利用するかが問題になる。しかしながら、従来の液体水素タンクは、そのボイルオフ水素ガスを有効に利用(貯蔵)できるものが少ない。また、有効に利用できる手段であっても、そのシステムが複雑で、その維持のために多大なエネルギを必要としていた。
また、低温(液体水素温度〜0℃)における水素吸着・吸蔵材料に関する公開されている研究例は少なく、ボイルオフ水素ガス等の低温水素ガスを吸着・吸蔵する材料も公開されているものが極めて少ない。そのため、低温水素の吸着・吸蔵が可能な材料に関しては、不明な点が多い。さらに、従来の水素吸蔵合金は、常温使用を前提にしており、材料の特性が十分生かされていないものも多い。
これに対し、本発明に係る低温液体・気体水素貯蔵タンク10は、液体水素タンク12に、互いに熱的に接続された第1水素貯蔵材料タンク14及び第2水素貯蔵材料タンクがこの順で繋がれているので、ボイルオフ水素ガスを効率よく貯蔵することができる。特に、第1水素貯蔵材料20として、相対的に低温における水素貯蔵特性に優れた材料(例えば、カーボン系材料)を用い、第2水素貯蔵材料22として、相対的に高温における水素貯蔵特性に優れた材料(例えば、高解離圧水素吸蔵合金)を用いると、エネルギを浪費することなく、ボイルオフ水素ガスを効率よく貯蔵することができる。
また、第1水素貯蔵材料タンク14内の内部構造を迷路のような構造にすると、第2水素貯蔵材料22の加温が効率よく行われ、水素の貯蔵効率が向上する。また、第1水素貯蔵材料タンク14内及び/又は第2水素貯蔵材料タンク16内に高温流体導入手段を設けると、大量の水素ガスが必要になった場合であっても、必要量の水素ガスを安定して供給することができる。また、高温流体として水素消費源を冷却するための冷却液を用いた場合には、水素消費源から排出される熱を有効利用でき、エネルギの浪費を抑制することができる。さらに、第2水素貯蔵材料タンク16から排出される水素ガスを一時的に貯蔵する蓄圧タンクを備えている場合には、システムを複雑化させることなく、所定の圧力を有する所定量の水素ガスを効率よく発生させることができる。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
本発明に係る低温液体・気体水素貯蔵タンクは、燃料電池等の水素ガス消費源で使用される液体水素及びボイルオフ水素ガスの貯蔵手段として用いることができる。
本発明の一実施の形態に係る低温液体・気体水素貯蔵タンクの概略構成図である。 活性炭の比表面積と、低温(77K)における水素吸着量との関係を示す図である。
符号の説明
10 低温液体・気体水素貯蔵タンク
12 液体水素タンク
14 第1水素貯蔵材料タンク
16 第2水素貯蔵材料タンク
18 液体水素
20 第1水素貯蔵材料
22 第2水素貯蔵材料
34 高温流体導入手段

Claims (16)

  1. 液体水素を貯蔵するための液体水素タンクと、
    前記液体水素タンクから放出されるボイルオフ水素ガスを貯蔵するための第1水素貯蔵材料が充填された第1水素貯蔵材料タンクと、
    前記第1水素貯蔵材料タンクから排出される前記ボイルオフ水素ガスを貯蔵するための第2水素貯蔵材料が充填された第2水素貯蔵材料タンクとを備え、
    前記第1水素貯蔵材料タンク−前記第2水素貯蔵材料タンク間は、水素の貯蔵・放出に伴う反応熱の授受を行うことができるように、熱的に接続されている
    低温液体・気体水素貯蔵タンク。
  2. 前記液体水素タンク−前記第1水素貯蔵材料タンク間は、断熱されている請求項1に記載の低温液体・気体水素貯蔵タンク。
  3. 前記第1水素貯蔵材料タンクは、前記ボイルオフ水素ガスの入口及び出口を結ぶ方向と前記ボイルオフ水素ガスの流入面の法線方向とが非平行である請求項1又は2に記載の低温液体・気体水素貯蔵タンク。
  4. 前記第1水素貯蔵材料タンクは、その内部に前記ボイルオフ水素ガスの流れを迂回させるための仕切壁を備えている請求項1から3までのいずれかに記載の低温液体・気体水素貯蔵タンク。
  5. 前記第1水素貯蔵材料及び/又は前記第2水素貯蔵材料を加温するための高温流体を流す高温流体導入手段をさらに備えた請求項1から4までのいずれかに記載の低温液体・気体水素貯蔵タンク。
  6. 前記高温流体は、水素消費源を冷却するための冷却液である請求項5に記載の低温液体・気体水素貯蔵タンク。
  7. 前記第2水素貯蔵材料タンクから放出される前記ボイルオフ水素ガスを一時的に貯蔵する蓄圧タンクをさらに備えた請求項1から6までのいずれかに記載の低温液体・気体水素貯蔵タンク。
  8. 前記第1水素貯蔵材料は、カーボン系材料を含む請求項1から7までのいずれかに記載の低温液体・気体水素貯蔵タンク。
  9. 前記カーボン系材料は、比表面積が3000m/g以上である請求項8に記載の低温液体・気体水素貯蔵タンク。
  10. 前記第1水素貯蔵材料は、金属有機骨格(MOFs)をさらに含む請求項8又は9に記載の低温液体・気体水素貯蔵タンク。
  11. 前記第1水素貯蔵材料は、−120℃以下の温度において磁気転移を起こす材料からなるパラ・オルソ変換抑制触媒をさらに含む請求項8から10までのいずれかに記載の低温液体・気体水素貯蔵タンク。
  12. 前記パラ・オルソ変換抑制触媒は、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Eu、Ir、及びUから選ばれるいずれか1以上を含むハロゲン化物である請求項11に記載の低温液体・気体水素貯蔵タンク。
  13. 前記第2水素貯蔵材料は、30℃における水素吸蔵の解離圧が5MPa以上である高解離圧水素吸蔵合金を含む請求項1から12までのいずれかに記載の低温液体・気体水素貯蔵材料タンク。
  14. 前記高解離圧水素吸蔵合金は、TiCr系合金である請求項13に記載の低温液体・気体水素貯蔵材料タンク。
  15. 前記第2水素貯蔵材料は、多孔体をさらに含む請求項13又は14に記載の低温液体・気体水素貯蔵タンク。
  16. 前記多孔体は、ゼオライト又はFSMである請求項15に記載の低温液体・気体水素貯蔵タンク。
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