JP2007204324A - 高純度酸化亜鉛単結晶の製造方法および高純度酸化亜鉛単結晶 - Google Patents
高純度酸化亜鉛単結晶の製造方法および高純度酸化亜鉛単結晶 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】酸化亜鉛単結晶を熱処理してLi濃度の十分に少ない高純度酸化亜鉛単結晶を製造し、熱処理後の加工工程で歩留まりを低下させることなく、酸化亜鉛単結晶の収率を向上させる高純度酸化亜鉛単結晶の製造方法を提供する。
【解決手段】酸化亜鉛単結晶の熱処理温度が1100〜1400℃であり、該熱処理時間が(a)熱処理温度が1100℃以上1225℃以下の場合は式(1)を、(b)熱処理温度が1225℃を超えて1400℃以下の場合は式(2)を満たすとともに、該熱処理温度からの降温処理を350℃/時間以下の降温速度で行う。[熱処理時間(時間)]≧−0.04×[熱処理温度(℃)]+50 式(1)[熱処理時間(時間)]≧1 式(2)
【選択図】図5
【解決手段】酸化亜鉛単結晶の熱処理温度が1100〜1400℃であり、該熱処理時間が(a)熱処理温度が1100℃以上1225℃以下の場合は式(1)を、(b)熱処理温度が1225℃を超えて1400℃以下の場合は式(2)を満たすとともに、該熱処理温度からの降温処理を350℃/時間以下の降温速度で行う。[熱処理時間(時間)]≧−0.04×[熱処理温度(℃)]+50 式(1)[熱処理時間(時間)]≧1 式(2)
【選択図】図5
Description
本発明は、高純度酸化亜鉛(以下、酸化亜鉛の化学式「ZnO」をもって同義の用語として使用する)単結晶の製造方法および高純度酸化亜鉛単結晶に関する。詳しくは、酸化亜鉛単結晶を熱処理することによって高純度酸化亜鉛単結晶を製造する方法およびそれによって得られる高純度酸化亜鉛単結晶に関する。
酸化亜鉛(ZnO)の単結晶は、六方晶系のウルツ鉱型化合物の結晶構造を持ち、直接遷移で禁制帯幅(Eg:3.37eV)が大きい半導体である。また、励起子結合エネルギー(ZnO:60meV)が他の半導体材料(GaN:21meV、ZnSe:20meV)に比べ非常に大きいため、高効率な発光デバイス材料として期待されている。ZnOを使用した発光素子の実現には、ZnOをp型に調製する必要があるが、ZnOは酸素欠損あるいは格子間位置亜鉛などの欠陥を生成し易く、n型になり易くp型になりにくい性質がある。
現在、数多くの機関でZnOのp型化が研究され、これが実現すれば、フォトエレクトロニクス界及びエネルギー界に革命が起こると期待されている。また、青色発光ダイオード(LED)として数年前から実用化されているGaNとは同じ結晶構造で格子定数も近い(格子ミスマッチ:約2%)こと、将来、低価格で製造できる可能性のあることから、現在、主に使用されているサファイアやSiCに代わるGaNの成膜用基板としても関心を集めている。
その他、酸化亜鉛(ZnO)の単結晶は、表面弾性波(SAW)、ガスセンサー、圧電素子、透明導電体、バリスターなど多方面に用いられている。
酸化亜鉛(ZnO)の単結晶の製造方法としては、Liを含有する溶媒を用いる水熱合成法等が知られている。水熱合成法は、結晶成長速度が大きく、大きな単結晶が比較的短時間で得られる点で工業的に有利であるが、水熱合成法で溶媒に水酸化リチウム(LiOH)水溶液を使用した場合には、得られるZnO単結晶は必ず不純物であるLiを含むことになる。
特許文献1には、KOH及びLiOHから成るアルカリ水溶液の溶媒(以下、「アルカリ溶媒」という。)を用いて、水熱合成法により製造した酸化亜鉛(ZnO)単結晶は、不可避的にLiを0.1〜30ppmを含むことが記載されている。
特許文献2には、Li等のアルカリ金属存在下、水熱合成法で製造した酸化亜鉛単結晶基板(ウエハ)中に、適当なドナー原子が存在するとアクセプター準位を形成するLi等のアルカリ金属と共存して発生する弱い黄色の発光が発生し、また、製造後の結晶は高抵抗であると記載されている。そして、この結晶の黄色発光の発生を防止するためには、熱処理後にフォトルミネッセンス特性において375〜385nmの範囲にある紫外発光ピークの相対強度が400〜800nmに見られる紫外発光ピークの相対強度に対して高い発光状態となるような熱処理条件で熱処理とする旨の記載がある。このアクセプター原子の除去による黄色発光の防止とドナーの導入、アクセプターの補償によりn型半導体酸化亜鉛単結晶基板の低抵抗化を図る目的で、酸化亜鉛単結晶基板(ウエハ)を空気中で1200℃で熱処理することが好ましい旨の記載がある。また、酸素中では、酸化亜鉛の昇華が抑制されるため、より高温での熱処理が可能とも記載されている。
しかしながら、特許文献2には、上記黄色発光は、アクセプター順位を形成するLi等濃度とドナー原子との関係で決定される記載はあるが、そのLi濃度は不明である。
また、Liは原子半径が小さく結晶中を動きやすく、各種用途に使用した場合に、酸化亜鉛単結晶中でのLi拡散も懸念されることから、よりLi濃度の低い酸化亜鉛単結晶が望まれている。
また、Liは原子半径が小さく結晶中を動きやすく、各種用途に使用した場合に、酸化亜鉛単結晶中でのLi拡散も懸念されることから、よりLi濃度の低い酸化亜鉛単結晶が望まれている。
しかし、特許文献1、特許文献2等で示される従来の方法では、Li濃度を十分に少なくすることができなかった。
また、本発明者らは特許文献2に記載の条件である大気中、1200℃の熱処理後に研磨などを施した場合にクラックが発生し、酸化亜鉛単結晶基板(ウエハ)の製造歩留まりが大きく低下するロットがあることを見出した。
特開2004−315361号公報
特開2005−39131号公報
また、本発明者らは特許文献2に記載の条件である大気中、1200℃の熱処理後に研磨などを施した場合にクラックが発生し、酸化亜鉛単結晶基板(ウエハ)の製造歩留まりが大きく低下するロットがあることを見出した。
本願発明は、以上のような従来技術における課題である、Li濃度の十分に少ない高純度酸化亜鉛単結晶を製造し、また、熱処理後の加工工程で歩留まりを低下させることなく、酸化亜鉛単結晶の収率を向上させることを目的とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、酸化亜鉛単結晶を熱処理して高純度酸化亜鉛単結晶を製造する方法において、酸化亜鉛単結晶の熱処理温度、熱処理時間、降温速度をコントロールすることにより、Li濃度を十分に低下させ、熱処理後の加工工程でクラックが発生しにくい酸化亜鉛単結晶を製造しうることを見出し、本願発明に到達した
即ち、本発明の第1の要旨は、酸化亜鉛単結晶を熱処理して高純度酸化亜鉛単結晶を製造する方法において、該熱処理温度が1100〜1400℃であり、該熱処理時間が(a)熱処理温度が1100℃以上1225℃以下の場合は式(1)を、(b)熱処理温度が1225℃を超えて1400℃以下の場合は式(2)を満たし、該熱処理温度からの降温処理を350℃/時間以下の降温速度で行うことを特徴とする高純度酸化亜鉛単結晶の製造方法、に存する。
[熱処理時間(時間)]≧−0.04×[熱処理温度(℃)]+50 式(1)
[熱処理時間(時間)]≧1 式(2)
[熱処理時間(時間)]≧−0.04×[熱処理温度(℃)]+50 式(1)
[熱処理時間(時間)]≧1 式(2)
本発明の第2の要旨は、Li濃度が1×1016atoms/cm3以下である高純度酸化亜鉛単結晶、に存する。
本発明によれば、単結晶中のLi濃度を低下させた大きな高純度酸化亜鉛単結晶を得ることができる。また、Li濃度を低下させることにより、高純度酸化亜鉛単結晶がn型半導体の場合には単結晶の低抵抗化が図れる。また、高純度酸化亜鉛を基板として半導体素子を作成した場合には、半導体素子の劣化防止や特性向上を図ることができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容に特定はされない。
[高純度酸化亜鉛(ZnO)単結晶]
本発明の高純度酸化亜鉛(ZnO)単結晶とは、Li濃度が1×1016atoms/cm3以下、好ましくは、5×1015atoms/cm3以下、より好ましくは、1×1015atoms/cm3以下である。本発明の高純度酸化亜鉛(ZnO)単結晶中のLiは少ないほど好ましいが、後述する製法との関係で、通常1×1013atoms/cm3以上含んでいる。
本発明の高純度酸化亜鉛(ZnO)単結晶とは、Li濃度が1×1016atoms/cm3以下、好ましくは、5×1015atoms/cm3以下、より好ましくは、1×1015atoms/cm3以下である。本発明の高純度酸化亜鉛(ZnO)単結晶中のLiは少ないほど好ましいが、後述する製法との関係で、通常1×1013atoms/cm3以上含んでいる。
高純度酸化亜鉛(ZnO)単結晶のLi濃度は、目的とする用途に応じて決定される。
例えば、Liはアクセプター元素として働くことから、酸化亜鉛半導体の導電型および導電性を左右する物質であり、他の不純物元素との関係から導電型や抵抗値を目的とする範囲に規定する必要がある。また、Liは原子半径が小さく結晶中を動きやすい原子であることから、Li含有量が多すぎる酸化亜鉛単結晶を半導体素子に使用した場合には、長期間の通電による特性の変化や、故障の原因となることが懸念され、用途に応じた適切な濃度範囲が求められる。
例えば、Liはアクセプター元素として働くことから、酸化亜鉛半導体の導電型および導電性を左右する物質であり、他の不純物元素との関係から導電型や抵抗値を目的とする範囲に規定する必要がある。また、Liは原子半径が小さく結晶中を動きやすい原子であることから、Li含有量が多すぎる酸化亜鉛単結晶を半導体素子に使用した場合には、長期間の通電による特性の変化や、故障の原因となることが懸念され、用途に応じた適切な濃度範囲が求められる。
高純度酸化亜鉛(ZnO)単結晶中のLi濃度は、2次イオン質量分析装置(SIMS)により測定することができる。この際の分析条件は、一次イオンにO2+を使用し、加速電圧を8.0kVとすればよい。
本発明の高純度酸化亜鉛(ZnO)単結晶の大きさは、5mm角(=5×5mm2)×厚み0.2mm以上、好ましくは、直径5cm(=2.5×2.5×3.14cm2)×厚み0.3mm以上、特に好ましくは、直径5cm×厚み0.5mm以上である。
高純度酸化亜鉛(ZnO)単結晶の大きさの下限は、目的とする使用用途により、決定される。
例えば、半導体素子用の基板(ウエハ)として使用する場合には、5mm角×厚み0.2mm程度の大きさがないと使用が困難で、コスト高となるため、5mm角×厚み0.2mm以上であることが必要である。
高純度酸化亜鉛(ZnO)単結晶の大きさの下限は、目的とする使用用途により、決定される。
例えば、半導体素子用の基板(ウエハ)として使用する場合には、5mm角×厚み0.2mm程度の大きさがないと使用が困難で、コスト高となるため、5mm角×厚み0.2mm以上であることが必要である。
一方、高純度酸化亜鉛(ZnO)単結晶の大きさの上限は、特に限定されないが、製造可能な酸化亜鉛単結晶のサイズは、後述する単結晶製造装置、熱処理装置の大きさにより決定される。
高純度酸化亜鉛(ZnO)単結晶は加工工程でクラックが発生しないものであり、好ましくは、熱処理後の加工工程でクラックが発生しないものであり、特に好ましくは、熱処理後のラップ、ポリッシングなどの研磨工程でクラックが発生しないものである。
例えば、高純度酸化亜鉛(ZnO)単結晶を半導体素子用基板(ウエハ)として使用する場合には、非常に精度のよい表面平坦性を求められることがあるが、熱処理後にクラックが発生しないものであれば、表面平坦性の向上に寄与するポリッシングを熱処理後に実施できる利点がある。
例えば、高純度酸化亜鉛(ZnO)単結晶を半導体素子用基板(ウエハ)として使用する場合には、非常に精度のよい表面平坦性を求められることがあるが、熱処理後にクラックが発生しないものであれば、表面平坦性の向上に寄与するポリッシングを熱処理後に実施できる利点がある。
本発明の高純度酸化亜鉛(ZnO)単結晶の製法の詳細は後述するが、原料となる酸化亜鉛単結晶の製造方法は特に限定されない。但し、熱処理前の酸化亜鉛単結晶にはLiが含まれるような酸化亜鉛単結晶の製造法である必要がある。例えば、Liを含有する溶媒を使用する水熱合成法の場合には、不純物であるLiを必ず含むことになる。
[高純度酸化亜鉛(ZnO)の製法]
本発明の高純度酸化亜鉛(ZnO)単結晶は、酸化亜鉛単結晶を原料としてこれを特定の条件で熱処理することにより製造される。
本発明の高純度酸化亜鉛(ZnO)単結晶は、酸化亜鉛単結晶を原料としてこれを特定の条件で熱処理することにより製造される。
〈原料酸化亜鉛単結晶の製造〉
本発明の高純度酸化亜鉛(ZnO)単結晶の製造原料である酸化亜鉛単結晶には、製法に由来してLi以外の不純物を含んでいてもよい。例えば、酸化亜鉛単結晶の水熱合成法で使用する単結晶製造装置のオートクレーブは、材質として鉄を主材とした高張力鋼などにより形成されているため、オートクレーブ由来の不純物(Fe等)が、原料である酸化亜鉛単結晶に含まれることになる。
本発明の高純度酸化亜鉛(ZnO)単結晶の製造原料である酸化亜鉛単結晶には、製法に由来してLi以外の不純物を含んでいてもよい。例えば、酸化亜鉛単結晶の水熱合成法で使用する単結晶製造装置のオートクレーブは、材質として鉄を主材とした高張力鋼などにより形成されているため、オートクレーブ由来の不純物(Fe等)が、原料である酸化亜鉛単結晶に含まれることになる。
原料としての酸化亜鉛単結晶の製法として、短時間で大きな結晶が得られることから、Liを含有する溶媒を使用する水熱合成法が好ましい。この場合、例えば、特許文献1の記載に準じて製造すればよい。
即ち、種結晶としてZnO単結晶を、原料として99.999%以上の高純度ZnO粉末を使用し、単結晶製造装置のオートクレーブ内に、通常1〜6mol/l好ましくは3mol/lのKOHと通常1〜3mol/l好ましくは1mol/lのLiOHとを含むアルカリ溶媒を共存させて結晶の製造を行う。アルカリ溶媒の充填率としては、オートクレーブ内のフリー内容積の60〜90%とするのが好ましい。
即ち、種結晶としてZnO単結晶を、原料として99.999%以上の高純度ZnO粉末を使用し、単結晶製造装置のオートクレーブ内に、通常1〜6mol/l好ましくは3mol/lのKOHと通常1〜3mol/l好ましくは1mol/lのLiOHとを含むアルカリ溶媒を共存させて結晶の製造を行う。アルカリ溶媒の充填率としては、オートクレーブ内のフリー内容積の60〜90%とするのが好ましい。
この原料としての酸化亜鉛単結晶の製造は、高温高圧(通常300〜400℃、500〜1000atm)の超臨界状態で行なわれることが好ましい。この際、成長領域の温度を溶解領域の温度より約15〜50℃低くすることにより対流が発生し、溶解領域で溶けた原料が成長領域に上昇して種結晶に析出し結晶が製造される。
成長領域と溶解領域の製造温度は、具体的には、成長領域の温度は300〜360℃、溶解領域温度は340〜400℃とするのが好ましい。そして、この状態のまま30〜200日間定常運転して結晶を製造させ、その後、単結晶製造装置を停止して室温に下げ、酸化亜鉛単結晶を取り出す。
なお、このようにして製造される本発明の高純度酸化亜鉛(ZnO)単結晶の製造原料となる酸化亜鉛単結晶には、Liが含まれるが、原料となる酸化亜鉛単結晶のLi濃度の上限は、通常1.5×1019atoms/cm3、好ましくは、1×1019atoms/cm3、より好ましくは5×1018atoms/cm3である。熱処理によりLi濃度を低くする本発明の趣旨より、原料となる酸化亜鉛単結晶のLi濃度が低い方が好ましい。同じ理由により、下限についてもLi濃度が低い方が好ましいが、原料の入手容易性の点からは通常5×1016atoms/cm3、好ましくは1×1017atoms/cm3、より好ましくは5×1017atoms/cm3である。
〈熱処理〉
本発明において、原料酸化亜鉛単結晶の熱処理に用いる熱処理装置は、1100℃〜1400℃の加熱が可能な、市販の一般的な電気炉を用いることができる。例えば、発熱体の材質として炭化ケイ素質やカンタル(サンドビック インテレクチュアル プロパティー アクティエボラーグ社の登録商標)を採用したものを用いることができる。
また、耐火材には、高純度アルミナファイバーなどが使用できる。
本発明において、原料酸化亜鉛単結晶の熱処理に用いる熱処理装置は、1100℃〜1400℃の加熱が可能な、市販の一般的な電気炉を用いることができる。例えば、発熱体の材質として炭化ケイ素質やカンタル(サンドビック インテレクチュアル プロパティー アクティエボラーグ社の登録商標)を採用したものを用いることができる。
また、耐火材には、高純度アルミナファイバーなどが使用できる。
熱処理装置に投入する原料となる酸化亜鉛単結晶の形状は特に限定されない。例えば、上記水熱合成法で製造したバルク単結晶でもよいし、用途に応じて加工した形状であってもよい。好ましくは板状に加工したものであり、例えば基板(ウエハ)を作製するために板状にスライシングしたものが挙げられる。これは、熱処理により、Liが酸化亜鉛単結晶表面から離脱することから、体積に対して表面積の大きくなる板状に加工したものが優位であることによる。なお、加工表面の平坦性は特に問わないため、ラップ、ポリッシングについては、熱処理前には必須ではない。
また、用途に応じて加工する場合、任意の結晶方位で加工したものを使用することができる。例えば基板(ウエハ)を作製するために板状にスライシングする際に、c軸に垂直にスライシングして板状に加工するだけでなく、c軸に平行な面にスライシングしてもよく、その他任意の結晶方位でスライシングでき、特定の面方位に限られない。
熱処理装置に投入する原料となる酸化亜鉛単結晶の大きさについては前述した高純度酸化亜鉛(ZnO)単結晶のサイズと同様の理由により特に限定されない。
熱処理装置の炉内には、原料である酸化亜鉛単結晶と共に、酸化亜鉛物質を存在させることもできる。熱処理炉内に酸化亜鉛物質を存在させることは必須ではないが、酸化亜鉛は亜鉛の蒸気圧が高いことから昇華しやすいため、酸化亜鉛物質を熱処理装置内に存在させると、原料である酸化亜鉛単結晶から酸化亜鉛が昇華するのを防止する効果があり好ましい。
存在させる酸化亜鉛物質は、粉末、多結晶体、焼結体等の形態は問わない。但し、焼結体が好ましい。これは熱処理装置内への設置のしやすさなど取り扱いがしやすいことによる。
原料酸化亜鉛単結晶と共存させる酸化亜鉛物質の純度は通常99.9%以上、好ましくは99.99%以上、より好ましくは99.999%以上であることが好ましい。また、酸化亜鉛物質中のLi濃度は通常0.1ppm以下であることが好ましい。例えば、酸化亜鉛物質を硝酸、塩酸で溶解した溶液を誘導結合プラズマ質量分析計(ICP−QMS)で、標準添加法で定量した場合に、Liが検出限界以下となるものを使用すればよい。これは、酸化亜鉛物質中の不純物が酸化亜鉛単結晶を汚染するのを防ぐためである。
また、酸化亜鉛物質は原料である酸化亜鉛単結晶に接触していてもしていなくても良いが、好ましくは接触していない部分を存在させることが好ましい。これは、酸化亜鉛単結晶より離脱したLiの酸化亜鉛単結晶への再付着を防ぐ効果があるからである。
具体的には、後述の如く、図2に示すような酸化亜鉛焼結体の箱42に酸化亜鉛単結晶ウエハ41を入れ、この箱42を図3に示すように熱処理装置に入れて熱処理を行うことがより好ましい例として挙げられる。
本発明においては、熱処理条件を本発明の範囲内でコントロールすることにより、得られる高純度酸化亜鉛単結晶のLi濃度が調整することができ、本発明の高純度酸化亜鉛単結晶を所望のLi濃度で得ることが可能である。
以下、本発明に係る熱処理条件について記載する。
熱処理雰囲気は、酸化亜鉛と反応しない気体であれば良く、酸化亜鉛の昇華を抑制するために、酸素を含有する気体中で行うのが好ましい。例えば大気中、酸素中が挙げられ、いずれも可能であるが、装置の簡便性から大気中が好ましく、Li濃度の低下に対する効果も大気中で十分である。但し、酸素を含有しない雰囲気での熱処理は、1000℃以上では酸化亜鉛の昇華が活発になることから、好ましくない。
熱処理雰囲気は、酸化亜鉛と反応しない気体であれば良く、酸化亜鉛の昇華を抑制するために、酸素を含有する気体中で行うのが好ましい。例えば大気中、酸素中が挙げられ、いずれも可能であるが、装置の簡便性から大気中が好ましく、Li濃度の低下に対する効果も大気中で十分である。但し、酸素を含有しない雰囲気での熱処理は、1000℃以上では酸化亜鉛の昇華が活発になることから、好ましくない。
熱処理温度の下限は通常1100℃、好ましくは1200℃、上限は通常1400℃、好ましくは1300℃である。この熱処理温度の上限は、目的のLi濃度を1×1016atoms/cm3以下とするのに必要な熱処理時間が1時間もあれば、十分であることからこれ以上の高い温度は特に不要であり、また、これ以上の高温での熱処理を行う場合に熱処理装置に使用できる炉材、発熱体の材質が限られ、コスト高を招くことによる。
一方、熱処理温度の下限は、Li濃度を1×1016atoms/cm3以下とするために必要な熱処理時間が1100℃で6時間程度であり、これは、製造上現実的な範囲であることによる。
熱処理時間は、熱処理温度、目的とする酸化亜鉛単結晶中のLi濃度に依存する。目的とするLi濃度が、1×1016atoms/cm3以下の高純度酸化亜鉛単結晶を得るための熱処理時間の下限は、(a)熱処理温度が1100℃以上1225℃以下の場合は下記式(1)を、(b)熱処理温度が1225℃を超えて1400℃以下の場合には下記式(2)を満たすように決定される。
[熱処理時間(時間)]≧−0.04×[熱処理温度(℃)]+50 式(1)
[熱処理時間(時間)]≧1 式(2)
[熱処理時間(時間)]≧−0.04×[熱処理温度(℃)]+50 式(1)
[熱処理時間(時間)]≧1 式(2)
また、目的とするLi濃度がより好ましい1×1015atoms/cm3以下の高純度酸化亜鉛単結晶を得るための熱処理時間の下限は、(c)熱処理温度が1100℃以上1300℃以下の場合は下記式(3)を、(d)熱処理温度が1300℃を超えて1400℃以下の場合には下記式(4)を満たすように決定される。
[熱処理時間(時間)]≧−0.045×[熱処理温度(℃)]+59.5 式(3)
[熱処理時間(時間)]≧1 式(4)
[熱処理時間(時間)]≧−0.045×[熱処理温度(℃)]+59.5 式(3)
[熱処理時間(時間)]≧1 式(4)
なお、式(1)〜(4)に示したように、最低でも1時間の熱処理を行う。これは、熱処理装置の昇温直後の炉内の温度安定性を確保し、安定した熱処理を実施するためである。
熱処理時間の上限は特に規定しないが、目的とする結晶中のLi濃度が達成できる熱処理時間であれば十分である。
熱処理時間の上限は特に規定しないが、目的とする結晶中のLi濃度が達成できる熱処理時間であれば十分である。
熱処理後の降温速度は、熱処理温度からの降温処理を350℃/時間以下、好ましくは300℃/時間以下で行う。これ以上の降温処理を行い急激に冷却すると酸化亜鉛単結晶中の熱歪みが大きくなり、熱処理後の加工工程(ポリッシング等の研磨など)でクラックが生じやすくなるためである。降温速度の下限は特に限定されない。降温速度が小さいほど熱歪は小さくなり好ましいが、降温時間が長くなるため、工業的に適切な範囲とすればよい。
熱処理時の圧力は、特に限定されない。但し、減圧下では、酸化亜鉛単結晶の昇華を促進するため、大気圧下、又は加圧下が好ましく、装置の簡便性からは大気圧下が好ましい。
熱処理中の熱処理装置内へのガス導入についても特に限定されない。ガス導入する場合に、導入するガスは酸化亜鉛と反応しない、また不純物を含まない気体であることが好ましい。例えば、大気中で熱処理を行っている場合に、酸化亜鉛単結晶から離脱したLi等を含有する装置内雰囲気を置換するために、大気を装置に導入する方法などを採用することが挙げられる。
このような本発明の高純度酸化亜鉛単結晶の製造方法により、Li濃度が1×1016atoms/cm3以下である本発明の高純度酸化亜鉛単結晶を製造することができる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限りこれらの実施例に限定されるものではない。
[製造例1:実施例及び比較例で用いる原料酸化亜鉛単結晶の製造]
特許文献1に記載された水熱合成法に準じる方法で、図1に示される構造の単結晶製造装置を用いて酸化亜鉛単結晶を製造した。
特許文献1に記載された水熱合成法に準じる方法で、図1に示される構造の単結晶製造装置を用いて酸化亜鉛単結晶を製造した。
図1に示す単結晶製造装置11は、水熱合成法によって、ZnOの単結晶を製造する際に必要な温度及び圧力を、その内部に加えることができるオートクレーブ12と、このオートクレーブ12の内部に収容して使用する製造容器20とから構成される。オートクレーブ12は、例えば、鉄を主材とした高張力鋼などによって形成されたオートクレーブ12の容器本体13に、パッキン17を挟んで蓋体14を被せて、固着部15により固着することで、その内部を気密封止するような構造となっている。オートクレーブ12内に収容して使用する製造容器20は、白金(Pt)製であり、その形状は略円筒状の容器である。そして、その上部には圧力調整部として作用するベローズ30が製造容器20の内部を密閉した状態で取り付けられている。
このような単結晶製造装置11では、製造容器20内の上部側にフレーム21と白金線22を用いてZnO種結晶3を吊り下げると共に、その下部側に原料26を配置して種結晶3を成長させることによりZnO単結晶の製造を行う。ZnO種結晶3と原料26との間には、熱対流を制御する内部バッフル板24が設けられており、この内部バッフル板24によって、製造容器20内が溶解領域と成長領域とに区切られている。内部バッフル板24には、複数の孔が形成されており、この孔の数によって決定されるバッフル板24の開口面積は10%に設定しているが、該開口面積の設定により、溶解領域から成長領域への対流量を制御でき、結晶成長の速度に影響を与えるものである。また、製造容器20の外側に外部バッフル板25が設けられており、この外部バッフル板25により製造容器20の外側の対流を制限することで、製造容器20内の領域間において種結晶3の成長に必要な温度差が得られるようにしている。
以上のような単結晶製造装置11を使用し、水熱合成法により種結晶からZnOの単結晶の製造を行うことができる。製造容器内20内に不純物の混入が殆どなく、製造日数を用途に応じて選定することにより工業用途に利用できる口径サイズを有するZnOの単結晶を製造することができる。
純度99.9999%のZnO粉末を成形用型枠容器で押し固めた後、1100℃で24時間焼成を行い、固形化したものを製造容器20内に充填した。次いで、製造容器20内に、鉱化剤として1mol/lのLiOHおよび3mol/lのKOHを溶かした純水をフリー容積の80%注入し、更に、H2O2を0.05mol/l注入した。その後、製造容器20とベローズ30の間を溶接し、製造容器20内を完全に密封溶接した。また、オートクレーブ12(φ200×300mm)と製造容器20との間に伝熱のために、純水をフリー容積の80%充填した。オートクレーブ12は、容器本体13と蓋体14からなり、パッキン17を挟んで容器本体13と蓋体14を被せて、固着部15により固着して、その内部を気密密封できるようにした。
その後、ヒータ16により、溶解領域と成長領域を加熱した。加熱に際しては、溶解領域の温度を成長領域の温度より15〜50℃高くし、最終的には、溶解領域を360℃、成長領域を310℃程度になるように昇温した。溶解領域で溶けた原料が対流により上昇し、成長領域にある種結晶3付近より析出することで種結晶を成長させ、ZnO単結晶を製造していくことになる。このままの状態で60日間定常運転を行い、c軸方向およびa軸方向共に約0.2mm/日の製造速度で成長させ、その後、系内を室温常圧に戻してから、長径約5cmのZnO単結晶を取り出し、本発明の実施例、比較例に使用する酸化亜鉛単結晶を得た。
[実施例1〜5]
製造例1で水熱合成法により得られた酸化亜鉛単結晶より厚み1mmのc面ウエハを切り出し、直径5cm×厚み1mmの円形ウエハに加工した後、両面をラップ、ポリッシングし鏡面に仕上げた(処理後のウエハの厚みは0.8mm)。
製造例1で水熱合成法により得られた酸化亜鉛単結晶より厚み1mmのc面ウエハを切り出し、直径5cm×厚み1mmの円形ウエハに加工した後、両面をラップ、ポリッシングし鏡面に仕上げた(処理後のウエハの厚みは0.8mm)。
このウエハ41を図2に示すような酸化亜鉛焼結体の箱42に入れ蓋をして、図3に示すように熱処理装置51内にウエハを入れた酸化亜鉛焼結体の箱42を設置した。ここで、使用する箱42を構成する酸化亜鉛焼結体としては、硝酸、塩酸で溶解した溶液をICP−QMS(横河アナリティカシステムズ HP4500)を用いて標準添加法でLiを定量した場合、検出限界(0.01ppm)以下であるものを使用した。
熱処理装置には、山田電機(株)製の卓上型高速昇温炉(型式MSFT−1530)を用いた。大気中で室温より表1に示した熱処理温度まで、2時間かけて昇温した後、大気中で表1に示した熱処理温度、熱処理時間で熱処理を施した。この熱処理時間は、いずれも式(1)もしくは式(2)を満たす熱処理時間である。熱処理後のウエハの冷却は、降温速度を300℃/時間として室温まで冷却した。
熱処理を施したウエハは純水で洗浄後、更に片面を10μmづつポリッシングした。いずれのウエハについてもポリッシング中にクラックは生じなかった。仕上った鏡面ウエハより10mm角のサンプルを切り出し、CAMEA社製の2次イオン質量分析装置(SIMS)(型番:CAMECA ims4f)によりLi濃度を定量した。この際、一次イオンにO2+を使用し、加速電圧を8.0kVで分析した。
その結果を、表1に示した。
表1より、熱処理温度が1100℃で熱処理時間が6時間、1200℃で2時間の熱処理を行うとLi濃度は1.0×1016atoms/cm3以下となった。また、熱処理温度が1100℃で熱処理温度が12時間、1250℃で3時間、1300℃で2時間の熱処理を行うとLi濃度は1.0×1015atoms/cm3以下となった。
表1より、熱処理温度が1100℃で熱処理時間が6時間、1200℃で2時間の熱処理を行うとLi濃度は1.0×1016atoms/cm3以下となった。また、熱処理温度が1100℃で熱処理温度が12時間、1250℃で3時間、1300℃で2時間の熱処理を行うとLi濃度は1.0×1015atoms/cm3以下となった。
実施例2については、さらに、仕上った鏡面ウエハ面内より図4のように中央部と外周部分より均等に4個所サンプルを切り出し、測定点がウエハ中心と中心より半径20mmの円周上の点になるようにSIMS測定を行ったところ、測定点全てにおいてLi濃度は1.0×1016atoms/cm3以下であった。
なお、Li濃度は、仕上った鏡面ウエハ表面より深さ10μmまでほぼ均一であり、更にウエハを表面より500μm研磨した後、研磨面より深さ方向に測定してもLi濃度が変化していないことを確認した。
なお、Li濃度は、仕上った鏡面ウエハ表面より深さ10μmまでほぼ均一であり、更にウエハを表面より500μm研磨した後、研磨面より深さ方向に測定してもLi濃度が変化していないことを確認した。
[比較例1、2]
製造例1で水熱合成法により得られた酸化亜鉛単結晶から、比較例1では実施例1、2でウエハを切り出した位置と隣り合う位置より、比較例2では、実施例3、4でウエハを切り出した位置と隣り合う位置より、それぞれウエハを切り出し、実施例1〜5と同様に直径5cm×厚み1mmの円形ウエハに加工した後、両面をラップ、ポリッシングし鏡面に仕上げた。このウエハを、大気中で表1に示した熱処理温度及び熱処理時間で熱処理した。この熱処理時間は、いずれも式(1)および式(2)を満たさず、実施例1〜5に比較して熱処理温度に対する熱処理時間が短い条件である。その他の条件は、実施例1〜5と同様に行い、同様にLi濃度を定量した。
製造例1で水熱合成法により得られた酸化亜鉛単結晶から、比較例1では実施例1、2でウエハを切り出した位置と隣り合う位置より、比較例2では、実施例3、4でウエハを切り出した位置と隣り合う位置より、それぞれウエハを切り出し、実施例1〜5と同様に直径5cm×厚み1mmの円形ウエハに加工した後、両面をラップ、ポリッシングし鏡面に仕上げた。このウエハを、大気中で表1に示した熱処理温度及び熱処理時間で熱処理した。この熱処理時間は、いずれも式(1)および式(2)を満たさず、実施例1〜5に比較して熱処理温度に対する熱処理時間が短い条件である。その他の条件は、実施例1〜5と同様に行い、同様にLi濃度を定量した。
その結果を表1に示した。
表1より、熱処理温度が1100℃で熱処理時間が1時間、2時間のどちらもLi濃度は1.0×1016atoms/cm3を超えており、実施例1〜5に比べて高いLi濃度を示した。
表1より、熱処理温度が1100℃で熱処理時間が1時間、2時間のどちらもLi濃度は1.0×1016atoms/cm3を超えており、実施例1〜5に比べて高いLi濃度を示した。
比較例1については、さらに実施例2と同様に、仕上った鏡面ウエハ面内より、図4のように中央部と外周部分より均等に4個所サンプルを切り出し、測定点がウエハ中心と中心より半径20mmの円周上の点になるようにSIMS測定を行ったところ、測定点全てにおいてLi濃度は1.0×1016atoms/cm3を超えていた。
なお、Li濃度は、仕上った鏡面ウエハ表面より深さ10μmまでほぼ均一であり、更にウエハを表面より500μm研磨した後、研磨面より深さ方向に測定してもLi濃度が変化していないことを確認した。
なお、Li濃度は、仕上った鏡面ウエハ表面より深さ10μmまでほぼ均一であり、更にウエハを表面より500μm研磨した後、研磨面より深さ方向に測定してもLi濃度が変化していないことを確認した。
上記実施例1〜5及び比較例1,2の結果から、熱処理温度及び熱処理時間とLi濃度との関係を図5にまとめた。
[比較例3]
製造例1で水熱合成法により得られた酸化亜鉛単結晶から、実施例2でウエハを切り出した位置と隣り合う位置よりウエハを切り出し、実施例1〜5と同様に直径5cm×厚み1mmの円形ウエハに加工した後、両面をラップ、ポリッシングし鏡面に仕上げた。このウエハから10mm角のサンプルを切り出し、熱処理をせずにSIMSによりLi濃度を定量し、結果を表1に示した。
表1に示すように、Li濃度は6.5×1017atoms/cm3であり、熱処理を行った実施例1〜5、比較例1、2に比べて高い値を示した。
製造例1で水熱合成法により得られた酸化亜鉛単結晶から、実施例2でウエハを切り出した位置と隣り合う位置よりウエハを切り出し、実施例1〜5と同様に直径5cm×厚み1mmの円形ウエハに加工した後、両面をラップ、ポリッシングし鏡面に仕上げた。このウエハから10mm角のサンプルを切り出し、熱処理をせずにSIMSによりLi濃度を定量し、結果を表1に示した。
表1に示すように、Li濃度は6.5×1017atoms/cm3であり、熱処理を行った実施例1〜5、比較例1、2に比べて高い値を示した。
さらに実施例2と同様に、ウエハ面内より図4のように中央部と外周部分より均等に4個所サンプルを切り出し、測定点がウエハ中心と中心より半径20mmの円周上の点になるようにSIMS測定を行ったところ、測定点全てにおいてLi濃度は2.0×1017atoms/cm3を超えていた。
なお、Li濃度はウエハ表面より深さ10μmまでほぼ均一であり、更にウエハを表面より500μm研磨した後、研磨面より深さ方向に測定してもLi濃度が変化していないことを確認した。
なお、Li濃度はウエハ表面より深さ10μmまでほぼ均一であり、更にウエハを表面より500μm研磨した後、研磨面より深さ方向に測定してもLi濃度が変化していないことを確認した。
[比較例4]
製造例1で水熱合成法により得られた酸化亜鉛単結晶から、実施例1でウエハを切り出した位置と隣り合う位置よりウエハを切り出し、実施例1〜5と同様に直径5cm×厚み1mmの円形ウエハに加工した後、両面をラップ、ポリッシングし鏡面に仕上げた。このウエハを、表1に示したように、大気中1300℃で2時間熱処理を施した。この熱処理時間は、式(2)を満たしており、実施例1と同様である。
製造例1で水熱合成法により得られた酸化亜鉛単結晶から、実施例1でウエハを切り出した位置と隣り合う位置よりウエハを切り出し、実施例1〜5と同様に直径5cm×厚み1mmの円形ウエハに加工した後、両面をラップ、ポリッシングし鏡面に仕上げた。このウエハを、表1に示したように、大気中1300℃で2時間熱処理を施した。この熱処理時間は、式(2)を満たしており、実施例1と同様である。
ウエハの熱処理後、熱処理装置の炉を開放した状態で冷却した。この際、冷却開始2時間後には、ほぼ手で触れられる程度には冷却されており、降温速度は500℃/時間以上であった。その他の条件については、実施例1〜5と同様に行った。
熱処理を施したウエハを実施例1〜5と同様に、純水で洗浄し、更に片面を10μmづつポリッシングしたところ、研磨中にクラックが生じた。
熱処理を施したウエハを実施例1〜5と同様に、純水で洗浄し、更に片面を10μmづつポリッシングしたところ、研磨中にクラックが生じた。
以上の比較例3の結果により、熱処理を実施しない水熱合成法のサンプルはLi濃度が1.0×1017atoms/cm3を超えており、熱処理前はLi濃度が高いことが示された。
また、実施例1〜5と比較例1、2との対比より、Li濃度1.0×1016atoms/cm3以下の高純度酸化亜鉛単結晶を得るためには、熱処理温度により必要な熱処理時間が異なり、図5に示すように式(1)もしくは式(2)を満たす必要があること、更に、Li濃度1.0×1015atoms/cm3以下の高純度酸化亜鉛単結晶を得るためには、熱処理温度により必要な熱処理時間が異なり、図5に示すように式(3)もしくは式(4)を満たす必要があることが示された。
また、実施例1〜5と比較例4との対比により、直径5cm、厚さ1mmの高純度酸化亜鉛単結晶ウエハを得る場合には、熱処理温度、熱処理時間だけでなく熱処理後のウエハの冷却において、降温速度を本発明の条件内とすることが、熱処理後のポリッシング工程でのクラック発生を防止するために必要であることが示された。
3 種結晶
11 単結晶製造装置
12 オートクレーブ
13 容器本体
14 蓋体
15 固着部
16 ヒータ
17 パッキン
20 製造容器
21 フレーム
22 白金線
24 内部バッフル板
25 外部バッフル板
26 原料
30 ベローズ
41 酸化亜鉛単結晶ウエハ
42 酸化亜鉛焼結体の箱
51 熱処理装置
52 発熱体
11 単結晶製造装置
12 オートクレーブ
13 容器本体
14 蓋体
15 固着部
16 ヒータ
17 パッキン
20 製造容器
21 フレーム
22 白金線
24 内部バッフル板
25 外部バッフル板
26 原料
30 ベローズ
41 酸化亜鉛単結晶ウエハ
42 酸化亜鉛焼結体の箱
51 熱処理装置
52 発熱体
Claims (6)
- 酸化亜鉛単結晶を熱処理して高純度酸化亜鉛単結晶を製造する方法において、
該熱処理温度が1100〜1400℃であり、
該熱処理時間が
(a)熱処理温度が1100℃以上1225℃以下の場合は式(1)を、
(b)熱処理温度が1225℃を超えて1400℃以下の場合は式(2)を満たし、
該熱処理温度からの降温処理を350℃/時間以下の降温速度で行うことを特徴とする高純度酸化亜鉛単結晶の製造方法。
[熱処理時間(時間)]≧−0.04×[熱処理温度(℃)]+50 式(1)
[熱処理時間(時間)]≧1 式(2) - 熱処理が大気中で行われること特徴とする請求項1に記載の高純度酸化亜鉛単結晶の製造方法。
- 該酸化亜鉛単結晶以外の酸化亜鉛物質の存在下で熱処理をすることを特徴とする請求項1または2に記載の高純度酸化亜鉛単結晶の製造方法。
- Li濃度が1×1016atoms/cm3以下である高純度酸化亜鉛単結晶。
- 大きさが5mm角以上、厚みが0.2mm以上あることを特徴とする請求項4に記載の高純度酸化亜鉛単結晶。
- 反応系にLiを含有する水熱合成法で製造されたものである請求項4または5に記載の高純度酸化亜鉛単結晶。
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