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JP2007187864A - ハイブリッドレンズの製造方法およびハイブリッドレンズ - Google Patents

ハイブリッドレンズの製造方法およびハイブリッドレンズ Download PDF

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JP2007187864A JP2006005762A JP2006005762A JP2007187864A JP 2007187864 A JP2007187864 A JP 2007187864A JP 2006005762 A JP2006005762 A JP 2006005762A JP 2006005762 A JP2006005762 A JP 2006005762A JP 2007187864 A JP2007187864 A JP 2007187864A
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忠雄 児島
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明子 川瀬
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Abstract

【課題】ガラス基材と樹脂層の密着性の良いハイブリッドレンズおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】ガラス基材と、そのガラス基材の少なくとも一方の面に樹脂によるレンズ面を成形するための成形型とを組み合わせた鋳型に、多価イソシアネート化合物と、多価チオール化合物とを含むウレタン系樹脂組成物を注入する工程と、ウレタン系樹脂組成物を熱硬化して樹脂層を形成する工程とを有するハイブリッドレンズの製造方法を提供する。このウレタン系樹脂組成物は、ポリオール化合物または長鎖ジチオール化合物を含むことが望ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、ガラス製のレンズ基材と樹脂を接合したハイブリッドレンズ、およびその製造方法に関するものである。
レンズや反射鏡等の光学素子を備えた各種の光学機器において、高性能化、小型軽量化、低コスト化を図るために、非球面レンズを有する光学素子を用いることが増加している。例えば、液晶プロジェクタ用の投射レンズは、高拡大の画像を近距離で投影しようとすると、収差補正に必要なレンズが多数枚必要となると共に、最もスクリーン側の最後(出射側)のレンズは大口径となる。したがって、最もスクリーン側の大口径レンズを非球面化して結像性能の向上と、レンズ枚数の削減の効果を得ようとすることが多い。
しかしながら、大口径の非球面レンズを、ガラスレンズを精密研削・研磨して製造する方法はコストが高く、家電としてのプロジェクタを提供する場合には用いることができない。これに対して、球面ガラスレンズの上に非球面形状の樹脂層を重ねて形成する製造方法は、低コストで大口径の非球面レンズを製造できるので好ましい。ガラスレンズと樹脂層との組み合わせからなるレンズはハイブリッドレンズと呼ばれている。
ハイブリッドレンズの製造過程は、まず、球面ガラスレンズを基材として、そのガラスレンズ基材と、その一方あるいは両方に非球面形状を転写する成形型とを組み合わせる。次に、母材と成形型との間に樹脂組成物を充填し、光または熱により硬化する。この後に、成形型を脱離することにより、表面が非球面形状になったハイブリッドレンズが製造される。
特開2005−60657号公報
特許文献1には、球面形状のガラス基材の上に非球面形状の樹脂層を形成する際に、その最大厚みを確保し肉厚で非球面量の大きなハイブリッドレンズを得るために、アクリレート系樹脂を用いることが開示されている。さらに、アクリレート系樹脂によりハイブリッドレンズを形成する際の問題としては、例えば、硬化成形する際の重合収縮に起因するガラス基材の割れや樹脂の亀裂が発生する問題があり、これを防止するために、樹脂に柔軟性を持たせることが開示されている。
さらに、特許文献1には、アクリレート系の樹脂組成物による樹脂層とレンズ基材との密着性を確保するためにシランカップリング剤を含むことが開示されており、このシランカップリング剤は樹脂層の表面硬度を向上するために有効であることが開示されている。
このように、ハイブリッドレンズを形成するための樹脂層には、ガラス基材に対する密着性と、ある程度の柔軟性と、表面強度とが要求される。さらに、多くのレンズでは樹脂層の表面に反射防止層を形成するために、反射防止層との密着性が要求される。そして、プロジェクタなどの光学製品に使用される環境を考えると、十分な高温耐久性も要求される。
アクリレート系樹脂は、シランカップリング剤を適量含めたり、異なる種類のアクリレート化合物を含めることにより、上記の幾つかの条件を満足する樹脂組成物が見出されている。しかしながら、反射防止層との密着性をさらに向上しようとすると、他の性能、例えば高温耐久性を維持することが難しくなったり、高温耐久性を向上しようとすると密着性を維持することが難しくなるなど、さらに高い性能のハイブリッドレンズを製造するための条件を設定することが困難になっている。
本発明の一つの態様は、チオウレタン系の樹脂を用いたハイブリッドレンズの製造方法である。すなわち、本発明の一態様の製造方法は、ガラス基材と、そのガラス基材の少なくとも一方の面に樹脂によるレンズ面を成形するための成形型とを組み合わせた鋳型に、多価イソシアネート化合物と、多価チオール化合物とを含むウレタン系樹脂組成物を注入する工程と、そのウレタン系樹脂組成物を熱硬化して樹脂層を形成する工程とを有する。
多価イソシアネート化合物と、多価チオール化合物とを含むウレタン系樹脂組成物は熱硬化樹脂組成物であり、この組成物を熱硬化した樹脂層は、ガラス基材との密着性が非常に高い。また、高温耐久性も十分に高く、さらに、反射防止膜との密着性も高い。したがって、シランカップリング剤などの添加剤を含めても良いが、基本的には、樹脂組成物自身の特性としてガラス基材との密着性および反射防止膜との密着性を確保できる。このため、本発明の一態様の製造方法に係るウレタン系樹脂組成物は、ハイブリッドレンズの樹脂層として要求される幾つかの性能を基本的に備えており、さらに高度な高温耐久性の要望などに対応できるハイブリッドレンズを製造できる。
本発明の一態様の製造方法に係るウレタン系樹脂組成物とガラス基材との密着性が非常に高いことは本願発明者らの実験により確認されている。このため、アクリレート系の樹脂組成物により、ハイブリッドレンズを形成する際には、ガラス基材の表面にカップリング剤を塗布するなどの前処理を行うことが通常行われているが、本発明の一態様の製造方法では、その前処理を省くことが可能となる。すなわち、本発明の一態様の製造方法の注入する工程では、ガラス基材の成形面に、密着性を強化する処理が行われていない鋳型に、ウレタン系樹脂組成物を注入することができる。
さらに、本発明の一態様の製造方法のウレタン系樹脂組成物は、ポリオール化合物または長鎖ジチオール化合物を含むことが望ましい。
本発明の一態様の製造方法のウレタン系樹脂は密着性が高い反面、硬化する際に樹脂が本来持っている重合収縮力に起因し、あるいは、温度サイクル試験により、ガラス基材との間に剥離が生じたり、樹脂に亀裂が生じたりすることがある。上記のポリオール化合物または長鎖ジチオール化合物を付加することで、ガラス基材のひび割れや樹脂亀裂を抑制できる。
好適なポリオール化合物として、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールビスフェノールAエーテル、ポリプロピレングリコールビスフェノールAエーテル、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールビスフェノールAエーテル等がある。
ポリプロピレングリコール(PPG)は、5重量%〜10重量%の範囲で含むことが望ましい。
ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリエチレングリコールビスフェノールAエーテル(DA)、ポリプロピレングリコールビスフェノールAエーテル(DB)、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールビスフェノールAエーテル(DAB)の少なくともいずれか1種以上は、5重量%〜30重量%の範囲で含むことが望ましい。
好適な長鎖ジチオール化合物として、1,10−デカンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール等がある。
1,10−デカンジチオールは、3重量%〜10重量%の範囲で含むことが望ましい。
1,6−ヘキサンジチオールは、5重量%〜15重量%の範囲で含むことが望ましい。
これらポリオール化合物や長鎖ジチオール化合物は、少ないと重合収縮力の緩和効果を得ることができず、多すぎると、他の成分との相溶性が低下する。このため、ガラス転移温度(Tg)が低下し、実用温度において軟化する可能性がある。
本発明の他の一態様は、ガラス基材と、そのガラス基材の少なくとも一方の面に樹脂層が形成されたハイブリッドレンズであって、樹脂層は、多価イソシアネート化合物と、多価チオール化合物とを含むウレタン系樹脂組成物を熱硬化することにより形成されているハイブリッドレンズである。
本発明の他の一形態において、ウレタン系樹脂組成物は、ポリオール化合物または長鎖ジチオール化合物を含むことが望ましい。
以下において、本発明の一形態である製造方法によりハイブリッドレンズを製造する概要を説明する。この製造方法は、ガラス基材と、そのガラス基材の少なくとも一方の面に樹脂によるレンズ面を成形するための成形型とを組み合わせた鋳型に、多価イソシアネート化合物(第1成分)と、多価チオール化合物(第2成分)とを含むウレタン系樹脂組成物を注入する工程と、そのウレタン系樹脂組成物を熱硬化して樹脂層を形成する工程とを有する。また、ハイブリッドレンズは、ガラス基材と、そのガラス基材の少なくとも一方の面に樹脂層が形成されたハイブリッドレンズであって、樹脂層は、多価イソシアネート化合物と、多価チオール化合物とを含むウレタン系樹脂組成物を熱硬化することにより形成されている。
上記の多価イソシアネート化合物は、脂環族ポリイソシアネート化合物であるノルボルネンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートであることが好ましい。多価イソシアネート化合物としては、さらに、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、4,4'−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、4,4'−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルイソシアネート)、3,8−ビス(イソシアナトメチル)トリシクロデカン、3,9−ビス(イソシアナトメチル)トリシクロデカン、4,8−ビス(イソシアナトメチル)トリシクロデカン、4,9−ビス(イソシアナトメチル)トリシクロデカンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、屈折率の向上に効果的であると考えられている、芳香族ポリイソシアネートを含めることも有用である。
上記の多価チオール化合物は、1,1,3,3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,2,5−トリメルカプト−4−チアペンタン、3,3−ジメルカプトメチル−1,5−ジメルカプト−2,4−ジチアペンタン、3−メルカプトメチル−1,5−ジメルカプト−2,4−ジチアペンタン、3−メルカプトメチルチオ−1,7−ジメルカプト−2,6−ジチアヘプタン、3,6−ジメルカプトメチル−1,9−ジメルカプト−2,5,8−トリチアノナン、3,7−ジメルカプトメチル−1,9−ジメルカプト−2,5,8−トリチアノナン、4,6−ジメルカプトメチル−1,9−ジメルカプト−2,5,8−トリチアノナン、3−メルカプトメチル−1,6−ジメルカプト−2,5−ジチアヘキサン、3−メルカプトメチルチオ−1,5−ジメルカプト−2−チアペンタン、1,1,2,2−テトラキス(メルカプトメチルチオ)エタン、1,4,8,11−テトラメルカプト−2,6,10−トリチアウンデカン、1,4,9,12−テトラメルカプト−2,6,7,11−テトラチアドデカン、2,3−ジチア−1,4−ブタンジチオール、2,3,5,6−テトラチア−1,7−ヘプタンジチオール、2,3,5,6,8,9−ヘキサチア−1,10−デカンジチオール、4,5−ビス(メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチオラン、4,6−ビス(メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアン、2−ビス(メルカプトメチルチオ)メチルー1,3−ジチエタン、2−(2,2−ビス(メルカプトメチルチオ)エチル)−1,3−ジチエタン等のポリチオール化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
図1(a)および(b)に、ハイブリッドレンズの製造工程の一部を模式的に示してある。このハイブリッドレンズは、液晶プロジェクタ用の投写レンズシステムの一部である。ガラス製で球面のレンズ基材2の片面に樹脂層3がモールドされ、非球面のハイブリッドレンズ1が製造される。
このハイブリッドレンズの製造方法では、図1(a)に示すように、ガラス基材2と、そのガラス基材の少なくとも一方の面に樹脂によるレンズ面を成形するための成形型4とを組み合わせた鋳型7に、多価イソシアネート化合物と、多価チオール化合物とを含むウレタン系樹脂組成物9を注入する工程を有する。さらに、図1(b)に示すように、ウレタン系樹脂組成物を熱硬化して樹脂層3を形成した後、成形型4を取り外し、ガラス基材2と樹脂層3からなるハイブリッドレンズ1が供給される。ガラス基材2の一例は、鏡面仕上げした外径100mm、曲率120mmの球状の凸面(成型面)21を備えた負のメニスカスレンズである。成形型4の一例は、非球面形状に鏡面仕上げ加工した転写面41を備えた外径100mmの型ガラスである。鋳型7は、これらガラス基材2と成形型4とを、中心の厚みを0.5mm、最大樹脂層厚5mmとなる空間が形成されるように組み合わせて、粘着テープ5で固定したものである。
以下では、幾つかの組成の組み合わせによりハイブリッドレンズを製造する例をさらに説明する。
(実施例1)
(鋳型の組立)
実施例1の製造方法においては、ガラス基材2を洗浄した後、ガラス基材2の樹脂層3と接する成型面21に、樹脂層3との密着性を向上するために、シランカップリング剤を塗布する前処理を行う。この例では、シランカップリング剤として、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの0.5%イソプロパノール溶液を、ガラス基材2の面21に塗布し、その後、120℃程度で、約1時間、焼成処理した。
成形型4は、洗浄した後、転写面41に、樹脂層3との剥離を容易にするために、離型剤を予め塗布する前処理を行う。この例では、離型剤として、フッ素系撥水処理剤を転写面41に塗布した後、乾燥処理を行う。
(モノマーの調合)
樹脂層3を製造するためのモノマー(樹脂組成物)L1を調合した。樹脂組成物L1を調合するために、第1成分の多価イソシアネート化合物(B)であるキシリレンジイソシアネート50.7重量%と、第2成分の多価チオール化合物となるエピクロルヒドリン、2−メルカプトエタノール、硫化ソーダ、およびチオ尿素から得られる反応生成物を49.3重量%とを混合した。これらを室温でよく攪拌した後、1mmHg以下に減圧して1時間脱気し、実施例1のウレタン系樹脂組成物L1を得た。
(樹脂層の形成)
この樹脂組成物L1を鋳型に注入し、熱硬化させる。熱硬化は、樹脂組成物L1が注入された鋳型7を防爆型加熱オーブン中で35℃から120℃まで10時間かけて徐々に昇温して行った。その後、120℃で2時間加熱し硬化を完結させた。その後、成形型4を脱型してハイブリッドレンズ1を取り出し、さらに、120℃で1時間加熱してアニール処理した。
(反射防止膜の形成)
得られたハイブリッドレンズ1には、樹脂層3およびガラス基材2の両面にそれぞれ反射防止コート処理を行い、この実施例1におけるサンプルS1とした。本例では、反射防止コート処理は、基材SiOとZrOを交互に重ねながら蒸着し、5層の無機系の反射防止膜を形成した。
樹脂組成物L1による樹脂層3を備えたハイブリッドレンズのサンプルS1に対し、以下で述べる試験を行い、各特性を評価した。評価方法および結果については以下で纏めて説明する。以下の実施例および比較例についても同様である。
(実施例2)
実施例2では、実施例1と同様に組み立てられた鋳型であるが、ガラス基材2の表面21へシランカップリング剤を塗布する前処理を行っていない鋳型7と、実施例1と同じ樹脂組成物L1とを用いて、その他については同様にハイブリッドレンズを製造した。この実施例2により製造されたハイブリッドレンズをサンプルS2とする。
(実施例3)
実施例3では、実施例1と同様に組み立てられた鋳型(ガラス基材2の表面21へシランカップリング剤を塗布する前処理を含む)と、以下で調合された樹脂組成物L3とを用い、その他については実施例1と同様にハイブリッドレンズを製造した。この実施例3により製造されたハイブリッドレンズをサンプルS3とする。
樹脂組成物L3の調合を、次のように行った。多価イソシアネート化合物であるノルボルネンジイソシアネート53.0重量%と、多価チオール化合物となるエピクロルヒドリン、2−メルカプトエタノール、硫化ソーダ、およびチオ尿素から得られる反応生成物を47.0重量%とを混合した。これを室温でよく攪拌した後、1mmHg以下に減圧して1時間脱気し、実施例3のウレタン系樹脂組成物L3を得た。
(実施例4)
実施例4では、実施例1と同様に組み立てられた鋳型であるが、ガラス基材2の表面21へシランカップリング剤を塗布する前処理を行っていない鋳型7と、実施例3と同じ樹脂組成物L3とを用いて、その他については同様にハイブリッドレンズを製造した。この実施例4により製造されたハイブリッドレンズをサンプルS4とする。
(比較例1)
比較例1では、実施例1と同様に組み立てられた鋳型(ガラス基材2の表面21へシランカップリング剤を塗布する前処理を含む)と、以下で調合された樹脂組成物L5とを用い、ハイブリッドレンズを製造した。この比較例1により製造されたハイブリッドレンズをサンプルS5とする。
樹脂組成物L5の調合を以下のように行った。ノナブチレングリコールジメタクリレートを65.0重量%と、トリレンジイソシアネート、および2−ヒドロキシエチルアクリレートを反応させて得られたウレタンジアクリレートを20.0重量%と、トリシクロ(5,2,1,02,6)デカン−8−イルメタクリレートを12.0重量%と、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを3.0重量%とを混合した。さらに、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドを300ppmと、t−ブチルパーオキシイソブチレートを600ppmとを混合した。これらを室温でよく攪拌した後、50mmHgに減圧して15分間脱気し、アクリレート系の樹脂組成物L5を得た。
さらに、アクリレート系の樹脂組成物L5を、光硬化させるために、鋳型(ガラス基材2と成形型4)の両側から2KWの高圧水銀灯により、6000mJ/cmの紫外線を照射した。その後、120℃で0.5時間加熱した。そして、型4を脱型した。その後、実施例1と同様に、120℃で1時間加熱してアニール処理し、その後、反射防止膜を成膜した。
(比較例2)
比較例2では、実施例1と同様に組み立てられた鋳型であるが、ガラス基材2の表面21へシランカップリング剤を塗布する前処理を行っていない鋳型7と、比較例1と同じ樹脂組成物L5とを用いて、その他については比較例1と同様にハイブリッドレンズを製造した。この比較例2により製造されたハイブリッドレンズをサンプルS6する。
(実施例1〜4および比較例1、2の評価)
上記の実施例1〜4および比較例1および2で得られた反射防止膜付きのハイブリッドレンズのサンプルS1〜S6について、硬化成形後、温度サイクル試験前の外観、屈折率、面精度、耐溶剤性、転写性、注入作業性、密着性を評価した。さらに、以下の方法で温度サイクル試験を行い、その後の、外観、耐溶剤性、密着性を評価した。それぞれの特性の評価方法は以下のとおりである。
外観は、ハイブリッドレンズの樹脂層および反射防止膜に、クラック、腐食、気泡、剥離、著しい色の変化が認められるかどうかを目視により観察した。
屈折率は、アッベ屈折率計を用いて、作成した試験片の25℃における屈折率を測定した。この試験片の作成は、実施例または比較例に示した樹脂組成と同じようにして調製した樹脂組成物を厚さ2mmまたは5mm、外径75mmの円盤状平板に成型し、測定に必要なサイズに切り出して試験片とした。
面精度は、ハイブリッドレンズの樹脂層の表面形状を、3次元形状測定機(松下電器産業(株)製、UA3P)を用いて測定した。「○」は、形状精度が3μm以下のものを示し、「△」は、3μm〜10μmのものを示し、「×」は、10μm以上のものを示している。
耐溶剤性は、アルコール系有機溶剤をしみ込ませたレンズクリーニング用紙(小津紙業(株)製、商品名:ダスパー)により反射防止膜の表面を10回こすり、外観を目視で観察した。「○」は、変化のない良好なものを示している。
転写性は、ガラス型を離型したレンズ面の転写性を目視にて判定した。「○」は、転写性が良いことを示し、「△」は、転写性に若干の問題が有ることを示し、「×」は、転写性が悪いことを示している。
注入作業性は、ハイブリッドレンズの成形型へのハイブリッドレンズ用樹脂組成物を注入する際の難易度を判定した。「○」は、注入しやすいことを示し、「△」は、注入するのがややし難いことを示し、「×」は、注入し難いことを示している。
密着性(ガラス基材との密着性レベル)については、密着力の違いを実証するために以下の引張り試験を行った。先ず、20mm角、厚さ4mmのガラス基材上に上記のサンプルS1〜S6と同様に、それぞれの樹脂層を厚さ10mmとなるように硬化成形した試験片を準備する。この試験片を用い、ガラス基材面と樹脂層とを剥離するのに要する引張り荷重を測定し、密着性の強さの指標(1(低)〜10(高))とした。また、この指標は、アクリレート系樹脂を用いたサンプルS6の測定値を基準として換算した。
温度サイクル試験は、硬化成形して得られたレンズを小型環境試験機(タバイエスペック(株)製、SH−220型)に入れ、−30℃の低温下に30分放置後、80℃の高温下に30分放置する操作を、1サイクルとして10サイクル繰り返す。
この温度サイクル試験(耐久試験)を行った後に、外観、耐溶剤性について、温度サイクル試験前と同様に評価した。温度サイクル試験後の密着性については、接着テープ(ニチバン(株)製:商品名:セロテープ(登録商標)CT−12)を反射防止膜の表面に接着して、剥離する操作を3回繰り返し、外観を目視で観察した。変化のないものを良好とした。
図2に、上記の評価結果を、樹脂層の主組成、ガラス基材の前処理の有無とともに纏めて示している。
まず、実施例1〜4のサンプルS1〜S4は、前処理の有無に関わらず、全ての評価項目について良好であるとの結果が得られた。特に、サンプルS1〜S4は、初期(硬化成形後)の外観は、良好であり、樹脂層3やガラス基材2に気泡、剥離、クラックなどは見られなかった。屈折率が1.60以上と高屈折率であり、硬化した樹脂層3とガラス基材2との密着性レベルは、「5」〜「8」と高レベルであった。温度サイクル試験後の評価も良好であり、樹脂層および反射防止膜にクラック、腐食、気泡、剥離、著しい色の変化は特に認められなかった。
これに対して、比較例1および2で得られた、サンプルS5およびS6では、初期(硬化成形後)の外観は、良好であり、樹脂層3やガラス基材2に気泡、剥離、クラックなどは見られなかったが、屈折率は、1.51程度とやや低く、硬化した樹脂層3とガラス基材2との密着性レベルは、総じてサンプルS1〜S4に対して低く、特に、前処理を行なわなかったサンプルS6は、密着性レベルが「1」と最も低い。
また、温度サイクル試験後の評価においても、前処理を省いたサンプルS6は、接着テープによる反射防止膜の密着性については、芳しくなく、不良と判断された。したがって、アクリレート系の樹脂組成物を用いたサンプルS5またはS6においては、ガラス基材と硬化後の樹脂層との密着性を得るために、少なくともシランカップリング剤を用いた前処理が必要であるのに対し、本願の実施例のサンプルS1〜S4においては、前処理を行なうことによりそれなりの効果は得られていると考えられるが、基本的には、前処理を行なう必要がないことが分かる。
以上より、上記の実施例において調整したウレタン系の樹脂組成物L1およびL3を用いて製造したハイブリッドレンズは、比較例において調整したアクリレート系の樹脂組成物L5を用いて製造したハイブリッドレンズよりも、ガラス基材2と樹脂層3との密着性が高く、高屈折率であり、また、高温耐久性が高いハイブリッドレンズであった。
(実施例5)
実施例5では、実施例1と同様に組み立てられた鋳型であるが、ガラス基材2の表面21へシランカップリング剤を塗布する前処理を行っていない鋳型7と、以下に示す樹脂組成物L11〜L14とを用い、その他については実施例1と同様にハイブリッドレンズを製造した。この実施例5により製造されたハイブリッドレンズをサンプルS11〜S14とする。
サンプルS11の樹脂組成物L11を調整するために、まず、第1成分の多価イソシアネート化合物(A)であるノルボルイソシアネート48.7重量%と、第2成分の多価チオール化合物となるエピクロルヒドリン、2−メルカプトエタノール、硫化ソーダ、およびチオ尿素から得られる反応生成物を41.3重量%とを混合した。さらに、第3成分のポリオール化合物となるポリプロピレングリコール(分子量1000)(以下、PPG1000)を10.0重量%と、ブチルチンジクロライド100ppmとを混合した。これらを室温でよく攪拌した後、1mmHg以下に減圧して1時間脱気し、ウレタン系の樹脂組成物L11を得た。
サンプルS12の樹脂組成物L12は、多価イソシアネート化合物であるノルボルイソシアネート50.4重量%と、多価チオール化合物となる組成43.6重量%と、第3成分(PPG1000)6.0重量%とを含む。
サンプルS13の樹脂組成物L13は、多価イソシアネート化合物であるノルボルイソシアネート51.7重量%と、多価チオール化合物となる組成45.3重量%と、第3成分(PPG1000)3.0重量%を含む。
サンプルS14の樹脂組成物L14は、多価イソシアネート化合物であるノルボルイソシアネート46.5重量%と、多価チオール化合物となる組成38.5重量%と、第3成分(PPG1000)15.0重量%とを含む。
(実施例5の評価)
このようにして得られたサンプルS11〜S14を実施例1〜4および比較例1、2の評価と同様の方法で評価した。その結果を図3に示している。
第3成分のPPG1000が15重量%含まれる樹脂組成物L14は、注入作業性が低く、さらに、この樹脂組成物L14を用いたサンプルS14の温度サイクル試験後の評価は、外観検査および耐溶剤性が不良と評価された。したがって、PPG1000を多く含みすぎる樹脂組成物L14を用いたサンプルS14は、高温耐久性が低いと判断される。
一方、剥離については、第3成分のPPG1000を3重量%含んだ樹脂組成物L13によるサンプルS13では、「△」であるのに対し、PPG1000をより多く含んだ樹脂組成物L11、L12およびL14によるサンプルS11、S12およびS14は、良好な結果を示している。したがって、多価イソシアネート化合物と、多価チオール化合物とに加えて、第3成分であるポリオール化合物を含む樹脂組成物を用いてハイブリッドレンズを製造することにより、樹脂層がさらに剥離し難い、ハイブリッドレンズを提供することが可能となる。
そして、実施例5の評価結果より、多価イソシアネート化合物と、多価チオール化合物とに加えて、第3成分のポリオール化合物として、ポリプロピレングリコール(PPG)を付加する際には、5重量%〜10重量%の範囲で含む、ウレタン系樹脂組成物を用いてハイブリッドレンズを製造することが望ましいことが分かる。
(実施例6)
実施例6では、実施例1と同様に組み立てられた鋳型であるが、ガラス基材2の表面21へシランカップリング剤を塗布する前処理を行っていない鋳型7と、以下に示す樹脂組成物L21〜L25とを用い、その他については実施例1と同様にハイブリッドレンズを製造した。この実施例6により製造されたハイブリッドレンズをサンプルS21〜S25とする。
樹脂組成物L21を調整するために、まず、多価イソシアネート化合物(第1成分)であるノルボルネンジイソシアネート50.1重量%と、多価チオール化合物となるエピクロルヒドリン、2−メルカプトエタノール、硫化ソーダ、およびチオ尿素から得られる反応生成物(第2成分)39.9重量%とを混合した。さらに、第3成分のポリオール化合物となるポリエチレングリコールビスフェノールAエーテル(分子量400)(以下、DA400)10.0重量%と、ブチルチンジクロライド100ppmとを混合した。これらを室温でよく攪拌した後、1mmHg以下に減圧して1時間脱気し、ウレタン系の樹脂組成物L21を得た。
サンプルS22の樹脂組成物L22は、多価イソシアネート化合物であるノルボルネンジイソシアネート47.2重量%と、多価チオール化合物となる組成32.8重量%と、第3成分(DA400)20.0重量%とを含む。
サンプルS23の樹脂組成物L23は、多価イソシアネート化合物であるノルボルネンジイソシアネート44.3重量%と、多価チオール化合物となる組成25.7重量%と、第3成分(DA400)30.0重量%とを含む。
サンプルS24の樹脂組成物L24は、多価イソシアネート化合物であるノルボルネンジイソシアネート51.6重量%と、多価チオール化合物となる組成43.4重量%と、第3成分(DA400)5.0重量%とを含む。
サンプルS25の樹脂組成物L25は、多価イソシアネート化合物であるノルボルネンジイソシアネート42.8重量%と、多価チオール化合物となる組成22.2重量%と、第3成分(DA400)35.0重量%とを含む。
(実施例6の評価)
このようにして得られたサンプルS21〜S25を、実施例1〜4および比較例1、2の評価と同様の方法で評価した。その結果を図4に示している。
DA400が35重量%含まれる樹脂組成物L25は、注入作業性が低く、さらに、この樹脂組成物L25を用いたサンプルS25は、耐溶剤性が低く、また、温度サイクル試験後の評価は、外観検査および耐溶剤性が不良と評価された。したがって、DA400を多く含みすぎる樹脂組成物L25を用いたサンプルS25は、高温耐久性が低いと判断される。
一方、剥離については、第3成分のDA400を5重量%含んだ樹脂組成物L24によるサンプルS24では、「△」であるのに対し、DA400をより多く含んだ樹脂組成物L21、L22、L23およびL25によるサンプルS21、S22、S23およびS25は、良好な結果を示している。したがって、実施例5と同様に、多価イソシアネート化合物と、多価チオール化合物とに加えて、第3成分であるポリオール化合物を含む樹脂組成物を用いてハイブリッドレンズを製造することにより、樹脂層がさらに剥離し難いハイブリッドレンズを提供することが可能となる。
そして、実施例6の評価結果より、多価イソシアネート化合物と、多価チオール化合物とに加えて、第3成分のポリオール化合物として、DA400を付加する際には、5重量%〜30重量%の範囲で含む、ウレタン系樹脂組成物を用いてハイブリッドレンズを製造することが望ましいことが分かる。
(実施例7)
実施例7では、実施例1と同様に組み立てられた鋳型であるが、ガラス基材2の表面21へシランカップリング剤を塗布する前処理を行っていない鋳型7と、以下に示す樹脂組成物L31〜L33とを用い、その他については実施例1と同様にハイブリッドレンズを製造した。この実施例7により製造されたハイブリッドレンズをサンプルS31〜S33とする。
サンプルS31の樹脂組成物L31を調整するために、まず、多価イソシアネート化合物であるノルボルネンジイソシアネート49.1重量%と、多価チオール化合物となるエピクロルヒドリン、2−メルカプトエタノール、硫化ソーダ、およびチオ尿素から得られる反応生成物40.9重量%とを混合した。さらに、第3成分のポリオール化合物となるポリエチレングリコールビスフェノールAエーテル(分子量700)(以下、DA700)10.0重量%と、ブチルチンジクロライド100ppmとを混合した。これらを室温でよく攪拌した後、1mmHg以下に減圧して1時間脱気し、ウレタン系の樹脂組成物L31を得た。
サンプルS32の樹脂組成物L32は、多価イソシアネート化合物であるノルボルネンジイソシアネート45.2重量%と、多価チオール化合物となる組成34.8重量%と、第3成分(DA700)20.0重量%とを含む。
サンプルS33の樹脂組成物L33は、多価イソシアネート化合物であるノルボルネンジイソシアネート41.3重量%と、多価チオール化合物となる組成28.7重量%と、第3成分(DA700)30.0重量%とを含む。
(実施例7の評価)
このようにして得られたサンプルS31〜S33を、実施例1〜4および比較例1、2の評価と同様の方法で評価した。その結果を図5に示している。上記の実施例6の評価結果と同様に、多価イソシアネート化合物と、多価チオール化合物とに加えて、第3成分であるポリオール化合物であるDA700を10重量%〜30重量%含む樹脂組成物L31〜L33によるサンプルS31〜S33は全ての評価で良好な結果を示している。
そして、実施例7の評価結果より、DA400を用いた実施例6の評価結果を参照すると、多価イソシアネート化合物と、多価チオール化合物とに加えて、第3成分のポリオール化合物として、DA700を付加する際には、5重量%〜30重量%の範囲で含む、ウレタン系樹脂組成物を用いてハイブリッドレンズを製造することが望ましいことが分かる。
(実施例8)
実施例8では、実施例1と同様に組み立てられた鋳型であるが、ガラス基材2の表面21へシランカップリング剤を塗布する前処理を行っていない鋳型7と、以下に示す樹脂組成物L41〜L45とを用い、その他については実施例1と同様にハイブリッドレンズを製造した。この実施例8により製造されたハイブリッドレンズをサンプルS41〜S45とする。
サンプルS41の樹脂組成物L41を調整するために、まず、多価イソシアネート化合物であるノルボルネンジイソシアネート50.1重量%と、多価チオール化合物となるエピクロルヒドリン、2−メルカプトエタノール、硫化ソーダ、およびチオ尿素から得られる反応生成物39.9重量%とを混合した。さらに、第3成分のポリオール化合物となるポリプロピレングリコールビスフェノールAエーテル(以下、DB400)を10.0重量%と、ブチルチンジクロライド100ppmとを混合した。これらを室温でよく攪拌した後、1mmHg以下に減圧して1時間脱気し、ウレタン系の樹脂組成物L41を得た。
サンプルS42の樹脂組成物L42は、多価イソシアネート化合物であるノルボルネンジイソシアネート47.3重量%と、多価チオール化合物となる組成32.7重量%と、第3成分(DB400)20.0重量%とを含む。
サンプルS43の樹脂組成物L43は、多価イソシアネート化合物であるノルボルネンジイソシアネート44.4重量%と、多価チオール化合物となる組成25.6重量%と、第3成分(DB400)30.0重量%とを含む。
サンプルS44の樹脂組成物L44は、多価イソシアネート化合物であるノルボルネンジイソシアネート51.6重量%と、多価チオール化合物となる組成43.4重量%と、第3成分(DB400)5.0重量%とを含む。
サンプルS45の樹脂組成物L45は、多価イソシアネート化合物であるノルボルネンジイソシアネート42.8重量%と、多価チオール化合物となる組成22.2重量%と、第3成分(DB400)35.0重量%とを含む。
(実施例8の評価)
このようにして得られたサンプルS41〜S45を実施例1〜4および比較例1、2の評価と同様の方法で評価した。その結果を図6に示している。
DB400が35重量%含まれる樹脂組成物L45は、注入作業性が低く、さらに、この樹脂組成物L45を用いたサンプルS45は、耐溶剤性が低く、また、温度サイクル試験後の評価は、外観検査が不良と評価された。したがって、DB400を多く含みすぎる樹脂組成物L45を用いたサンプルS45は、高温耐久性が低いと判断される。
一方、剥離については、第3成分のDB400を5重量%含んだ樹脂組成物L44によるサンプルS44では、「△」であるのに対し、DB400をより多く含んだ樹脂組成物L41、L42、L43およびL45によるサンプルS41、S42、S43およびS45は、「○」と良好な結果を示している。したがって、実施例5と同様に、多価イソシアネート化合物と、多価チオール化合物とに加えて、第3成分であるポリオール化合物を含む樹脂組成物を用いてハイブリッドレンズを製造することにより、樹脂層がさらに剥離し難いハイブリッドレンズを提供することが可能となる。
そして、実施例8の評価結果より、多価イソシアネート化合物と、多価チオール化合物とに加えて、第3成分のポリオール化合物として、DB400を付加する際には、5重量%〜30重量%の範囲で含む、ウレタン系樹脂組成物を用いてハイブリッドレンズを製造することが望ましいことが分かる。
(実施例9)
実施例9では、実施例1と同様に組み立てられた鋳型であるが、ガラス基材2の表面21へシランカップリング剤を塗布する前処理を行っていない鋳型7と、以下に示す樹脂組成物L51〜L53とを用い、その他については実施例1と同様にハイブリッドレンズを製造した。この実施例9により製造されたハイブリッドレンズをサンプルS51〜S53とする。
サンプルS51の樹脂組成物L51を調整するために、まず、多価イソシアネート化合物であるノルボルネンジイソシアネート48.9重量%と、多価チオール化合物となるエピクロルヒドリン、2−メルカプトエタノール、硫化ソーダ、およびチオ尿素から得られる反応生成物41.1重量%とを混合した。さらに、第3成分のポリオール化合物となるポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールビスフェノールAエーテル(以下、DAB800)10.0重量%と、ブチルチンジクロライド100ppmとを混合した。これらを室温でよく攪拌した後、1mmHg以下に減圧して1時間脱気し、ウレタン系の樹脂組成物L51を得た。
サンプルS52の樹脂組成物L52は、多価イソシアネート化合物であるノルボルネンジイソシアネート44.8重量%と、多価チオール化合物となる組成35.2重量%と、第3成分(DAB800)20.0重量%とを含む。
サンプルS53の樹脂組成物L53は、多価イソシアネート化合物であるノルボルネンジイソシアネート40.8重量%と、多価チオール化合物となる組成29.2重量%と、第3成分(DAB800)30.0重量%とを含む。
(実施例9の評価)
このようにして得られたサンプルS51〜S53を、実施例1〜4および比較例1、2の評価と同様の方法で評価した。その結果を図7に示している。上記の実施例7および8の評価結果と同様に、多価イソシアネート化合物と、多価チオール化合物とに加えて、第3成分であるポリオール化合物であるDAB800を10重量%〜30重量%含む樹脂組成物L51〜L53によるサンプルS51〜S53は、全ての評価で良好な結果を示している。
そして、実施例9の評価結果より、DB400を用いた実施例8の評価結果を参照すると、多価イソシアネート化合物と、多価チオール化合物とに加えて、第3成分のポリオール化合物として、DAB800を付加する際には、5重量%〜30重量%の範囲で含む、ウレタン系樹脂組成物を用いてハイブリッドレンズを製造することが望ましいことが分かる。
(実施例10)
実施例10では、実施例1と同様に組み立てられた鋳型であるが、ガラス基材2の表面21へシランカップリング剤を塗布する前処理を行っていない鋳型7と、以下に示す樹脂組成物L61〜L64とを用い、その他については実施例1と同様にハイブリッドレンズを製造した。この実施例10により製造されたハイブリッドレンズをサンプルS61〜S64とする。
サンプルS61の樹脂組成物L61を調整するために、まず、多価イソシアネート化合物(第1成分)であるノルボルネンジイソシアネート52.7重量%と、多価チオール化合物となるエピクロルヒドリン、2−メルカプトエタノール、硫化ソーダ、およびチオ尿素から得られる反応生成物(第2成分)42.3重量%とを混合した。さらに、第3成分の長鎖ジチオール化合物として、1,10−デカンジチオール(以下、10DSH)を5.0重量%と、ブチルチンジクロライド100ppmとを混合した。これらを室温でよく攪拌した後、1mmHg以下に減圧して1時間脱気し、ウレタン系の樹脂組成物L61を得た。
サンプルS62の樹脂組成物L62は、多価イソシアネート化合物であるノルボルネンジイソシアネート52.4重量%と、多価チオール化合物となる組成37.6重量%と、第3成分(10DSH)10.0重量%とを含む。
サンプルS63の樹脂組成物L63は、多価イソシアネート化合物であるノルボルネンジイソシアネート51.8重量%と、多価チオール化合物となる組成28.2重量%と、第3成分(10DSH)20.0重量%とを含む。
サンプルS64の樹脂組成物L64は、多価イソシアネート化合物であるノルボルネンジイソシアネート51.2重量%と、多価チオール化合物となる組成18.8重量%と、第3成分(10DSH)30.0重量%とを含む。
(実施例10の評価)
このようにして得られたサンプルS61〜S64を実施例1〜4および比較例1、2の評価と同様の方法で評価した。その結果を図8に示している。
10DSHが30重量%含まれる樹脂組成物L64は、面精度および耐溶剤性が低く、さらに、温度サイクル試験後の評価は、外観検査が不良と評価された。したがって、10DSHを多く含みすぎる樹脂組成物L64を用いたサンプルS64は、高温耐久性が低いと判断される。
そして、実施例10の評価結果より、多価イソシアネート化合物と、多価チオール化合物とに加えて、第3成分の長鎖ジチオール化合物として、1,10−デカンジチオール(10DSH)を付加する際には、3重量%〜10重量%の範囲で含む、ウレタン系樹脂組成物を用いてハイブリッドレンズを製造することが望ましいことが分かる。
(実施例11)
実施例11では、実施例1と同様に組み立てられた鋳型であるが、ガラス基材2の表面21へシランカップリング剤を塗布する前処理を行っていない鋳型7と、以下に示す樹脂組成物L71〜L74とを用い、その他については実施例1と同様にハイブリッドレンズを製造した。この実施例11により製造されたハイブリッドレンズをサンプルS71〜S74とする。
サンプルS71の樹脂組成物L71を調整するために、まず、多価イソシアネート化合物(第1成分)であるノルボルネンジイソシアネート53.6重量%と、多価チオール化合物となるエピクロルヒドリン、2−メルカプトエタノール、硫化ソーダ、およびチオ尿素から得られる反応生成物(第2成分)41.4重量%とを混合した。さらに、第3成分の長鎖ジチオール化合物として、1,6−ヘキサンジチオール(以下、6DSH)を5.0重量%と、ブチルチンジクロライド100ppmとを混合した。これらを室温でよく攪拌した後、1mmHg以下に減圧して1時間脱気し、ウレタン系の樹脂組成物L71を得た。
サンプルS72の樹脂組成物L72は、多価イソシアネート化合物であるノルボルネンジイソシアネート54.2重量%と、多価チオール化合物となる組成35.8重量%と、第3成分(6DSH)10.0重量%とを含む。
サンプルS73の樹脂組成物L73は、多価イソシアネート化合物であるノルボルネンジイソシアネート53.4重量%と、多価チオール化合物となる組成43.6重量%と、第3成分(6DSH)3.0重量%とを含む。
サンプルS74の樹脂組成物L74は、多価イソシアネート化合物であるノルボルネンジイソシアネート54.7重量%と、多価チオール化合物となる組成34.3重量%と、第3成分(6DSH)15.0重量%とを含む。
(実施例11の評価)
このようにして得られたサンプルS71〜S74を実施例1〜4および比較例1、2の評価と同様の方法で評価した。その結果を図9に示している。
6DSHが15重量%含まれる樹脂組成物L74は、面精度および耐溶剤性が低く、さらに、温度サイクル試験後の評価は、外観検査が不良と評価された。したがって、6DSHを多く含みすぎる樹脂組成物L74を用いたサンプルS74は、高温耐久性が低いと判断される。
一方、剥離については、第3成分の6DSHを3重量%含んだ樹脂組成物L73によるサンプルS73では、「△」であるのに対し、6DSHをより多く含んだ樹脂組成物L71、L72、L74およびL75によるサンプルS71、S72、S74およびS75は、良好な結果を示している。さらに、サンプルS73は、耐溶剤性も低い。したがって、実施例10と同様に、多価イソシアネート化合物と、多価チオール化合物とに加えて、第3成分である長鎖ジチオール化合物を含む樹脂組成物を用いてハイブリッドレンズを製造することにより、樹脂層がさらに剥離し難いハイブリッドレンズを提供することが可能となる。
そして、実施例11の評価結果より、多価イソシアネート化合物と、多価チオール化合物とに加えて、第3成分の長鎖ジチオール化合物として、6DSHを付加する際には、5重量%〜15重量%の範囲で含む、ウレタン系樹脂組成物を用いてハイブリッドレンズを製造することが望ましいことが分かる。
以上に説明したように、多価イソシアネート化合物と、多価チオール化合物とを含むウレタン系の樹脂組成物を用いることで、肉厚で非球面量の大きなハイブリッドレンズにおいて、ガラス基材と樹脂層の密着性を向上でき、それと共に、転写後の離型の際、あるいは温度サイクル試験において生ずる可能性のあるガラス基材の割れや樹脂層の亀裂を抑制できる。さらには、温度耐久性が良好で、反射防止膜との密着性も良いハイブリッドレンズおよびその製造方法を提供できる。上記の実施例では、無機系の反射防止膜を成膜しているが、これに限らず、多価イソシアネート化合物と、多価チオール化合物とを含むウレタン系の樹脂組成物による樹脂層は、有機系の反射防止膜との密着性も良好である。
さらに、ポリオール化合物または長鎖ジチオール化合物を第3成分として樹脂組成物に付加することにより、剥離の発生をさらに抑制できる。これは、多価チオール化合物の一部をポリオール化合物に置換することでチオウレタン樹脂中に硬化成形時の重合収縮力を緩和する働きをするソフトセグメント領域を形成することができると考えられる。同様に、多価チオール成分の一部を長鎖ジチオール化合物に置換することでも適当な大きさのソフトセグメント領域を形成できるものと考えられる。また、ウレタン樹脂特有のハードセグメント領域とソフトセグメント領域の形成によって重合収縮力の緩和作用を発現できる。特に、ソフトセグメント領域の形成がこの緩和作用に大きく効いているものと考えられる。
ポリオール化合物または長鎖ジチオール化合物は、重合収縮力の緩和効果を得られる程度は少なくとも含めることが望ましい。一方、ポリオール化合物または長鎖ジチオール化合物は、多すぎると、他の成分との相溶性が低下するため、注入作業性、耐溶剤性の低下が見られる。さらに、サイクル温度試験後の外観、耐溶剤性の低下が見られ、耐熱性能の低下も見られる。ガラス転移温度(Tg)が低下し、実用温度において軟化するためであると考えられる。
なお、ハイブリッドレンズ用の樹脂組成物は、必要に応じて、酸化防止剤、黄変防止剤、紫外線吸収剤、染料、顔料等の添加剤が本発明の効果を損なわない範囲で配合されても良い。さらに、樹脂層にハードコート処理などの機能膜を形成するようにしても良い。
また、上記では、ガラス基材の片面に樹脂層(プラスチックレンズ)が成形されたハイブリッドレンズを説明しているが、これに限らず、ガラス基材の両面が樹脂層で成形されている両面ハイブリッドレンズも含まれる。
さらに、上記のハイブリッドレンズを構成要素とする光学レンズ素子は、投影機用非球面レンズとして適用された場合に、最も優れた効果を発揮することができるが、その他にスチルカメラや、ビデオカメラ、それらの交換レンズ、眼鏡レンズ、望遠鏡、双眼鏡、顕微鏡、光ディスク/光磁気ディスク読取用ピックアップレンズ等の光学部品にも適用できる。
本発明のハイブリッドレンズの製造工程の一部の模式図。 実施例1〜4および比較例に係るハイブリッドレンズの評価結果を示す図。 実施例5に係るハイブリッドレンズの評価結果を示す図。 実施例6に係るハイブリッドレンズの評価結果を示す図。 実施例7に係るハイブリッドレンズの評価結果を示す図。 実施例8に係るハイブリッドレンズの評価結果を示す図。 実施例9に係るハイブリッドレンズの評価結果を示す図。 実施例10に係るハイブリッドレンズの評価結果を示す図。 実施例11に係るハイブリッドレンズの評価結果を示す図。
符号の説明
1 ハイブリッドレンズ、2 ガラス基材、3 樹脂層
4 ガラス製の上型(転写型)、7 ハイブリッドレンズの成形型
21 成型面、41 転写面

Claims (9)

  1. ガラス基材と、そのガラス基材の少なくとも一方の面に樹脂によるレンズ面を成形するための成形型とを組み合わせた鋳型に、多価イソシアネート化合物と、多価チオール化合物とを含むウレタン系樹脂組成物を注入する工程と、
    前記ウレタン系樹脂組成物を熱硬化して樹脂層を形成する工程とを有する、ハイブリッドレンズの製造方法。
  2. 請求項1において、前記注入する工程では、前記ガラス基材の成形面に密着性を強化する処理が行われていない前記鋳型に、前記ウレタン系樹脂組成物を注入する、ハイブリッドレンズの製造方法。
  3. 請求項1または2において、前記ウレタン系樹脂組成物は、ポリオール化合物または長鎖ジチオール化合物を含む、ハイブリッドレンズの製造方法。
  4. 請求項3において、前記ウレタン系樹脂組成物は、前記ポリオール化合物として、ポリプロピレングリコールを、5重量%〜10重量%の範囲で含む、ハイブリッドレンズの製造方法。
  5. 請求項3において、前記ウレタン系樹脂組成物は、前記ポリオール化合物として、ポリエチレングリコールビスフェノールAエーテル、ポリプロピレングリコールビスフェノールAエーテル、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールビスフェノールAエーテルの少なくともいずれか1種以上を、5重量%〜30重量%の範囲で含む、ハイブリッドレンズの製造方法。
  6. 請求項1ないし3のいずれかにおいて、前記ウレタン系樹脂組成物は、長鎖ジチオール化合物として、1,10−デカンジチオールを、3重量%〜10重量%の範囲で含む、ハイブリッドレンズの製造方法。
  7. 請求項3において、前記ウレタン系樹脂組成物は、前記長鎖ジチオール化合物として、1,6−ヘキサンジチオールを、5重量%〜15重量%の範囲で含む、ハイブリッドレンズの製造方法。
  8. ガラス基材と、そのガラス基材の少なくとも一方の面に樹脂層が形成されたハイブリッドレンズであって、
    前記樹脂層は、多価イソシアネート化合物と、多価チオール化合物とを含むウレタン系樹脂組成物を熱硬化することにより形成されている、ハイブリッドレンズ。
  9. 請求項8において、前記ウレタン系樹脂組成物は、前記ポリオール化合物または長鎖ジチオール化合物を含む、ハイブリッドレンズ。
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