JP2007153739A - 胃瘻用経腸栄養剤の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明では、経胃瘻栄養法に適した、粘度が6000mPa・s以上の高粘度の栄養剤であって、レトルト処理されているにもかかわらず、長期保存による水相分離が発生し難い胃瘻用経腸栄養剤の製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】製品の粘度が6000mPa・s以上のレトルト処理された胃瘻用経腸栄養剤の製造方法であって、加熱糊化型澱粉を均一に分散してある粗乳化物を高圧ホモゲナイザーにより均質化処理して精乳化し、精乳化後充填前の粘度が2000mPa・s以下の状態で充填密封した後、レトルト処理することを特徴とする胃瘻用経腸栄養剤の製造方法。
【選択図】 なし
Description
本発明は、保存安定性に優れた胃瘻用経腸栄養剤の製造方法に関する。さらに詳しくは、高粘度の栄養剤であって、レトルト処理されているにもかかわらず、長期保存による水相分離が発生し難い胃瘻用経腸栄養剤の製造方法に関する。
従来、術前術後の患者や、通常の食物の経口摂取が不可能な寝たきり老人等の栄養補給方法としては、経静脈栄養法と経腸栄養法が挙げられる。さらに前記経腸栄養法には経鼻胃管栄養法と経胃瘻栄養法がある。
経鼻胃管栄養法とは、鼻または口から、胃または小腸内に栄養チューブを挿入し、当該チューブを経由して経腸栄養剤を投与する方法である。患者自身が栄養チューブを挿入することも可能であり、容易な方法であることから、従来、栄養補給方法の主流となっている。したがって、現在、市販されている経腸栄養剤は、前記経鼻胃管栄養法で使用する径の細い栄養チューブで投与できるよう、低粘度のものが一般的である。しかしながら、経腸栄養剤が低粘度であるために、下痢や胃食道逆流による誤嚥性肺炎が起こりやすいといった問題があることが指摘されている。
このような症状を改善するための技術として特許第3633942号公報(特許文献1)には、経腸栄養剤としての流動食が経管的に投与されることが予定された患者に、その流動食を投与する前もしくは後において、またはそれと同時に増粘剤を含む溶液である嘔吐予防食品を経管的に投与し、胃の中で経腸栄養剤に粘度をつける技術が開示されている。
一方、経胃瘻栄養法とは、腹壁と胃壁とに跨って造設された胃瘻の瘻孔に栄養チューブを挿入し、その栄養チューブを経て体外から胃の内部に経腸栄養剤を投与する方法である。従来当該栄養法を行うには胃瘻造設のための外科的手術が必要であったが、近年、簡単な内視鏡的手術で胃瘻が造設できる経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG)が確立された。当該胃瘻造設術は、手術時間が10〜15分程度で比較的短時間であるため患者への負担が少なく、造設後の管理も比較的容易であるというメリットがあるので、今日、前記栄養法は経鼻胃管栄養法に代わり急速に普及し始めている。
経胃瘻栄養法で使用する栄養剤としては、現在専用のものが市販されていないため、経鼻胃管栄養法に使用する低粘度の経腸栄養剤を使用している。しかしながら、経鼻胃管栄養法と同様に下痢や胃食道逆流による誤嚥性肺炎に加え、胃瘻の瘻孔から前記栄養剤が漏れるといった問題が起こることも指摘されている。そこで近年、経胃瘻栄養法では経鼻胃管栄養法の2〜3倍径の太い栄養チューブを用いるという特徴を利用し、病院や施設等で逆流や下痢の対策が行われ始めている。その一つとして、特開2004−217531号公報(特許文献2)には、1000mPa・s〜60000mPa・sの経管栄養剤が記載されている。しかし、当該公報にはその増粘方法に関する具体的な記載もなく、レトルト処理等の加熱殺菌処理をされているわけでもない。
他にも、特許第3516673(特許文献3)及び特開2004−26844(特許文献4)寒天等により栄養剤を半固形化して胃や腸内でも栄養剤に形態保持性を持たせる技術が開示されている。しかし、当該実施例をみると介護者が市販の低粘度の経腸栄養剤に半固形化剤を添加して経腸栄養剤の固さを調整しており、経腸栄養剤の投与が必要になったときにその都度固形化する必要がある上、固形化した経腸栄養剤はレトルト処理等の加熱殺菌処理をしているわけではないので保存ができない。したがって、当該方法では、介護者が経腸栄養剤を調整しなければならないという手間と、調整した経腸栄養剤を長期保存できないという問題点がある。
このような状況を踏まえ、経胃瘻栄養法で使用する径の太い栄養チューブに適しているうえ、胃食道逆流による誤嚥性肺炎、下痢や瘻孔からの漏れなどの問題が起こり難い高粘度の栄養剤であって、介護者が特別な調整をすることなく直接投与可能であって、且つ、常温保存可能なレトルト処理してなる経胃瘻栄養法専用の胃瘻用経腸栄養剤の開発が求められている。
そこで、上述した経胃瘻栄養法に適した胃瘻用経腸栄養剤の開発を試みた。
本発明者らは、まず、市販の経腸栄養剤に寒天を添加して固形化した後、レトルト処理することを試みた。しかし、レトルト処理すると、経腸栄養剤は液状化して粘度が低下してしまい、粘度が低下したまま投与すると上述したように下痢や嘔吐が起こることが懸念された。
次に、寒天に代えて、澱粉を用いることを試みた。市販の経腸栄養剤に増粘剤として澱粉を添加して加熱糊化し、経腸栄養剤を充分に増粘させた後、レトルト処理することを行った。しかしながら、前記澱粉を加熱糊化して増粘させた後レトルト処理した経腸栄養剤は、レトルト処理した後、保存中に水相分離が生じてしまい、製品として安定しない、という新たな問題点が明らかとなった。
本発明者らは、まず、市販の経腸栄養剤に寒天を添加して固形化した後、レトルト処理することを試みた。しかし、レトルト処理すると、経腸栄養剤は液状化して粘度が低下してしまい、粘度が低下したまま投与すると上述したように下痢や嘔吐が起こることが懸念された。
次に、寒天に代えて、澱粉を用いることを試みた。市販の経腸栄養剤に増粘剤として澱粉を添加して加熱糊化し、経腸栄養剤を充分に増粘させた後、レトルト処理することを行った。しかしながら、前記澱粉を加熱糊化して増粘させた後レトルト処理した経腸栄養剤は、レトルト処理した後、保存中に水相分離が生じてしまい、製品として安定しない、という新たな問題点が明らかとなった。
そこで本発明の目的は、経胃瘻栄養法に適した、粘度が6000mPa・s以上の高粘度の栄養剤であって、レトルト処理されているにもかかわらず、長期保存による水相分離が発生し難い胃瘻用経腸栄養剤の製造方法を提供するものである。
本発明者らは、上記目的を達成すべく、研究を重ねた結果、製品の粘度が6000mPa・s以上のレトルト処理された胃瘻用経腸栄養剤の製造方法であって、加熱糊化型澱粉を均一に分散してある粗乳化物を高圧ホモゲナイザーにより均質化処理して精乳化し、精乳化後充填前の粘度が2000mPa・s以下の状態で充填密封した後、レトルト処理することを特徴とする胃瘻用経腸栄養剤の製造方法、を提供することにより本発明の課題を解決することができたのである。
本発明の胃瘻用経腸栄養剤の製造方法によれば、経胃瘻栄養法に適した高粘度の栄養剤であって、レトルト処理されているにもかかわらず長期保存による水相分離が発生し難い胃瘻用経腸栄養剤を得ることができる。したがって、高粘度であるので、特別な調整が必要なく直接投与可能であり、胃食道逆流による誤嚥性肺炎、下痢や、瘻孔からの漏れなどの問題が起こりにくい。さらに、レトルト処理してあるので常温保存が可能であり取り扱いが容易で衛生的な胃瘻用経腸栄養剤となる。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本発明において「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」をそれぞれ意味する。
本発明は、製品の粘度が6000mPa・s以上のレトルト処理された胃瘻用経腸栄養剤の製造方法であって、胃瘻用経腸栄養剤を耐熱性容器、例えば、レトルトパウチ等に充填密封し、胃瘻用経腸栄養剤の中心部の品温を120℃で4分間相当加熱する、またはこれと同等以上の効力を有する条件で加熱殺菌処理、いわゆるレトルト処理した胃瘻用経腸栄養剤の製造方法に係る発明である。そして、本発明は、加熱糊化型澱粉が均一に分散してある粗乳化物を高圧ホモゲナイザーにより均質化処理して精乳化し、粘度が2000mPa・s以下の状態で充填密封した後、レトルト処理することに特徴を有する。
本発明は、製品の粘度が6000mPa・s以上のレトルト処理された胃瘻用経腸栄養剤の製造方法であって、胃瘻用経腸栄養剤を耐熱性容器、例えば、レトルトパウチ等に充填密封し、胃瘻用経腸栄養剤の中心部の品温を120℃で4分間相当加熱する、またはこれと同等以上の効力を有する条件で加熱殺菌処理、いわゆるレトルト処理した胃瘻用経腸栄養剤の製造方法に係る発明である。そして、本発明は、加熱糊化型澱粉が均一に分散してある粗乳化物を高圧ホモゲナイザーにより均質化処理して精乳化し、粘度が2000mPa・s以下の状態で充填密封した後、レトルト処理することに特徴を有する。
ここで、経腸栄養剤は、食事摂取基準に基づき一日に必要な栄養素が過不足なく摂取できるように、蛋白質、糖質、脂質、ビタミン等の含有量を調整して設計してあるもの、又は被介護者の病態にあわせて食事摂取基準より蛋白質含有量や糖質含有量を増減させたものであり、本発明においては脂質成分として少なくとも食用油脂を用いたものである。そして、本発明の胃瘻用経腸栄養剤は、粘度が6000mPa・s以上の高粘度の液状物であって、前記経腸栄養剤に加熱糊化型澱粉を配合することにより、経胃瘻栄養法に適するように改良したものである。
澱粉には、加熱糊化型澱粉と冷水膨潤型澱粉があり、本発明では加熱糊化型澱粉を用いる。加熱糊化型澱粉は、水を加えて高温で、より具体的には、例えば70℃程度以上で加熱することで糊化し、吸水して膨潤すると同時に粘性を呈する澱粉である。例えば、コーンスターチ、タピオカ澱粉、小麦澱粉、馬鈴薯澱粉等、又は、アセチル化アジピン酸架橋澱粉、アセチル化リン酸架橋澱粉、アセチル化酸化澱粉、リン酸化澱粉、リン酸架橋澱粉、酸化澱粉、酢酸澱粉、ヒドロキシプロピル澱粉、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉等の化工澱粉、あるいは湿熱処理澱粉等の加工澱粉があげられる。これに対し、冷水膨潤型澱粉は、糊化した状態の性質がそのまま維持された澱粉であり、加熱を必要とせず常温(20℃)の水で膨潤し粘性を呈する澱粉である。本発明の胃瘻用経腸栄養剤には、冷水膨潤型澱粉は適さないものである。
製品の粘度が6000mPa・s以上であると、胃食道逆流による誤嚥性肺炎、下痢や、瘻孔からの漏れなどの問題が起こりにくくなるため、特許文献2及び特許文献3のように、介護者が栄養剤を固形化したり増粘させたりするという特別な調製をすることなく、直接被介護者に投与することができるので、胃瘻用経腸栄養剤として非常に好ましい。
次に、本発明の製造方法に準じて説明する。
本発明は、まず、脂質以外の経腸栄養剤の原料(蛋白質、糖質、ビタミン、ミネラル、清水等)と加熱糊化型澱粉を分散させた水相部と、脂質を含有した油相部を混合し、加熱糊化型澱粉が均一に分散した粗乳化物を調製する。つまり、常法に則し攪拌機等を使用して、油相部と水相部を乳化させると共に加熱糊化型澱粉含めた各原料の粒子が目視で観察されない程度均一に分散してある粗乳化物を調製する。
さらに、本発明は、後述する精乳化後充填前の乳化物の粘度を2000mPa・s以下、好ましくは1000mPa・s以下とする必要がある。したがって、上記粗乳化物の調製の際も、加熱糊化型澱粉が糊化して前記粘度値を超えないようにする必要がある。前記粘度値を超えないようにするには、粗乳化物の調製において、加熱糊化型澱粉を分散させた水相、粗乳化時及び粗乳化物のそれぞれの品温をコントロールするとよく、好ましくは65℃以下、より好ましくは60℃以下とするとよい。
本発明は、まず、脂質以外の経腸栄養剤の原料(蛋白質、糖質、ビタミン、ミネラル、清水等)と加熱糊化型澱粉を分散させた水相部と、脂質を含有した油相部を混合し、加熱糊化型澱粉が均一に分散した粗乳化物を調製する。つまり、常法に則し攪拌機等を使用して、油相部と水相部を乳化させると共に加熱糊化型澱粉含めた各原料の粒子が目視で観察されない程度均一に分散してある粗乳化物を調製する。
さらに、本発明は、後述する精乳化後充填前の乳化物の粘度を2000mPa・s以下、好ましくは1000mPa・s以下とする必要がある。したがって、上記粗乳化物の調製の際も、加熱糊化型澱粉が糊化して前記粘度値を超えないようにする必要がある。前記粘度値を超えないようにするには、粗乳化物の調製において、加熱糊化型澱粉を分散させた水相、粗乳化時及び粗乳化物のそれぞれの品温をコントロールするとよく、好ましくは65℃以下、より好ましくは60℃以下とするとよい。
また、用いる加熱糊化型澱粉の配合量は、製品の粘度が6000mPa・s以上の高粘度となるように配合すればよいが、具体的には、胃瘻用経腸栄養剤に対して0.5〜5%が好ましく、より好ましくは1.5〜4%である。
次に、上述した方法で得られた粗乳化物を、高圧ホモゲナイザーにて均質化処理して精乳化物を調製する。高圧ホモゲナイザーによる均質化処理は、常法に則して行えばよく、例えば、10〜40MPa程度で行えばよい。
さらに、本発明は精乳化後充填前の乳化物の粘度が2000mPa・s以下、より好ましくは1000mPa・s以下とする必要がある。したがって、上記精乳化物調製の際も、加熱糊化型澱粉が糊化して前記粘度を超えないようにする必要がある。例えば、精乳化物の調製において、精乳化時及び精乳化物のそれぞれの品温をコントロールするとよく、好ましくは65℃以下、より好ましくは60℃以下とするとよい。
さらに、本発明は精乳化後充填前の乳化物の粘度が2000mPa・s以下、より好ましくは1000mPa・s以下とする必要がある。したがって、上記精乳化物調製の際も、加熱糊化型澱粉が糊化して前記粘度を超えないようにする必要がある。例えば、精乳化物の調製において、精乳化時及び精乳化物のそれぞれの品温をコントロールするとよく、好ましくは65℃以下、より好ましくは60℃以下とするとよい。
精乳化後充填前の粘度を2000mPa・s以下、より好ましくは1000mPa・sとする理由は、後述の試験例で示すとおり、粘度が前記値より高いとレトルト処理後、保存中に水相分離が生じ好ましくないからである。
なお、この際、精乳化後充填前の粘度の測定は、BH粘度計(東京計器(株)製、BH型)を用い品温23℃、ローターNo.3、20rpmで5回転したところの粘度を測定したものである。
なお、この際、精乳化後充填前の粘度の測定は、BH粘度計(東京計器(株)製、BH型)を用い品温23℃、ローターNo.3、20rpmで5回転したところの粘度を測定したものである。
最後に、上述した方法で得られた粘度2000mPa・s以下の精乳化物を、レトルトパウチ等の耐熱性容器に充填密封し、常法に則してレトルト処理することにより胃瘻用経腸栄養剤を得る。レトルト処理は、具体的には、例えば、レトルト釜の設定条件を100℃超150℃以下で10〜60分程度にして加圧加熱すればよい。
上述した本発明の製造方法により得られた胃瘻用経腸栄養剤は、製品の粘度が6000mPa・s以上のものである。製品の粘度を6000mPa・s以上とすることで、下痢や胃食道逆流や瘻孔からの漏れが起こりにくくなる。
なお、製品の粘度の測定は、製品を23℃で3日間保管した後、BH粘度計(東京計器(株)製、BH型)を用い品温23℃、ローターNo.5、20rpmで5回転したところの粘度を測定したものである。製造後3日経過後に粘度を測定する理由としては、製造後3日間は粘度が変動する場合があり、安定した値が得られないからである。
なお、製品の粘度の測定は、製品を23℃で3日間保管した後、BH粘度計(東京計器(株)製、BH型)を用い品温23℃、ローターNo.5、20rpmで5回転したところの粘度を測定したものである。製造後3日経過後に粘度を測定する理由としては、製造後3日間は粘度が変動する場合があり、安定した値が得られないからである。
以上、述べたとおり本発明の製造方法は、加熱糊化型澱粉が均一に分散してある粗乳化物を高圧ホモゲナイザーにより均質化して精乳化し、精乳化後充填前の粘度が2000mPa・s以下の状態で密封した後、レトルト処理するという製造方法を経ることにより、レトルト処理後に6000mPa・s以上と高粘度であるにもかかわらず保存中に水相分離が起こりにくい胃瘻用経腸栄養剤を得ることができる。
以下、本発明の胃瘻用経腸栄養剤の製造方法について、実施例及び比較例に基づき具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定するものではない。
<実施例1>
以下に示す配合割合により胃瘻用経腸栄養剤を調製した。まず、攪拌機に清水を入れ、3000rpmで攪拌しながらクエン酸ナトリウム、クエン酸カリウムを投入し、続いてカゼインナトリウム、食物繊維、粉体混合した加熱糊化型澱粉とデキストリンを投入した。次に、乳化剤と食用植物油脂は混合して80℃で加温溶解した後、攪拌機に徐々に注加し、品温が60℃以下となるように乳化した。さらにビタミンミックスを清水に溶解したビタミン溶液と、ミネラルミックス、塩化カルシウム、塩化マグネシウムを清水に溶解したミネラル溶液をそれぞれ調製し、ビタミン溶液、ミネラル溶液の順に攪拌機に投入して攪拌し、水分補正をして、加熱糊化型澱粉が均一に分散した合計10kgの粗乳化物を得た。
以下に示す配合割合により胃瘻用経腸栄養剤を調製した。まず、攪拌機に清水を入れ、3000rpmで攪拌しながらクエン酸ナトリウム、クエン酸カリウムを投入し、続いてカゼインナトリウム、食物繊維、粉体混合した加熱糊化型澱粉とデキストリンを投入した。次に、乳化剤と食用植物油脂は混合して80℃で加温溶解した後、攪拌機に徐々に注加し、品温が60℃以下となるように乳化した。さらにビタミンミックスを清水に溶解したビタミン溶液と、ミネラルミックス、塩化カルシウム、塩化マグネシウムを清水に溶解したミネラル溶液をそれぞれ調製し、ビタミン溶液、ミネラル溶液の順に攪拌機に投入して攪拌し、水分補正をして、加熱糊化型澱粉が均一に分散した合計10kgの粗乳化物を得た。
得られた粗乳化物を高圧ホモゲナイザーにより40MPaの条件で、品温が60℃以下となるように均質化処理して精乳化物を得た。得られた精乳化物の粘度は50mPa・s以下であった。
得られた精乳化物をレトルトパウチに200gずつ充填密封し、レトルト釜の設定条件を120℃で25分にしてレトルト処理し同時に加熱糊化型澱粉を糊化させ、本発明の胃瘻用経腸栄養剤を得た。
得られた精乳化物をレトルトパウチに200gずつ充填密封し、レトルト釜の設定条件を120℃で25分にしてレトルト処理し同時に加熱糊化型澱粉を糊化させ、本発明の胃瘻用経腸栄養剤を得た。
得られた胃瘻用経腸栄養剤の粘度は12000mPa・sであった。
なお、食物繊維は(松谷化学社製 ファイバーソル#2)を、カゼインナトリウムは(DMV JAPAN社製 EM7)を、デキストリンは(松谷化学社製 パインデックス#2)を、乳化剤は(理研ビタミン社製 ポエムK−30)を、加熱糊化型澱粉は(日本エヌエスシー社製 コルフロ67)をそれぞれ用いた。
なお、食物繊維は(松谷化学社製 ファイバーソル#2)を、カゼインナトリウムは(DMV JAPAN社製 EM7)を、デキストリンは(松谷化学社製 パインデックス#2)を、乳化剤は(理研ビタミン社製 ポエムK−30)を、加熱糊化型澱粉は(日本エヌエスシー社製 コルフロ67)をそれぞれ用いた。
<配合割合>
食物繊維 5.6 %
カゼインナトリウム 6.0 %
デキストリン 16.3 %
食用植物油脂 4.2 %
乳化剤 0.5 %
クエン酸ナトリウム 0.5 %
塩化カルシウム 0.2 %
塩化マグネシウム 0.15%
ビタミンミックス 0.15%
ミネラルミックス 0.35%
クエン酸カリウム 0.46%
加熱糊化型澱粉 2.5 %
清水 63.09%
合計 100.0 %
食物繊維 5.6 %
カゼインナトリウム 6.0 %
デキストリン 16.3 %
食用植物油脂 4.2 %
乳化剤 0.5 %
クエン酸ナトリウム 0.5 %
塩化カルシウム 0.2 %
塩化マグネシウム 0.15%
ビタミンミックス 0.15%
ミネラルミックス 0.35%
クエン酸カリウム 0.46%
加熱糊化型澱粉 2.5 %
清水 63.09%
合計 100.0 %
<実施例2>
実施例1と同様の方法で精乳化物を得、得られた精乳化物を攪拌しながら中心品温80℃となってから10分間加熱し、加熱糊化型澱粉をわずかに糊化させた。精乳化後充填前の乳化物の粘度は900mPa・sであった。
次に、レトルトパウチに200gずつ充填密封しレトルト釜の設定条件を120℃で25分にしてレトルト処理を行い、本発明の胃瘻用経腸栄養剤を得た。
得られた胃瘻用経腸栄養剤の粘度は6600mPa・sであった。
実施例1と同様の方法で精乳化物を得、得られた精乳化物を攪拌しながら中心品温80℃となってから10分間加熱し、加熱糊化型澱粉をわずかに糊化させた。精乳化後充填前の乳化物の粘度は900mPa・sであった。
次に、レトルトパウチに200gずつ充填密封しレトルト釜の設定条件を120℃で25分にしてレトルト処理を行い、本発明の胃瘻用経腸栄養剤を得た。
得られた胃瘻用経腸栄養剤の粘度は6600mPa・sであった。
<比較品1>
実施例1と同様の方法で精乳化物を得、得られた精乳化物を攪拌しながら中心品温90℃となってから15分間加熱し、加熱糊化型澱粉を完全に糊化させた。精乳化後充填前の乳化物の粘度は5000mPa・s以上であった。
次に、レトルトパウチに200gずつ充填密封しレトルト釜の設定条件を120℃で25分にしてレトルト処理を行い、経腸栄養剤を得た。
得られた経腸栄養剤の粘度は6200mPa・sであった。
実施例1と同様の方法で精乳化物を得、得られた精乳化物を攪拌しながら中心品温90℃となってから15分間加熱し、加熱糊化型澱粉を完全に糊化させた。精乳化後充填前の乳化物の粘度は5000mPa・s以上であった。
次に、レトルトパウチに200gずつ充填密封しレトルト釜の設定条件を120℃で25分にしてレトルト処理を行い、経腸栄養剤を得た。
得られた経腸栄養剤の粘度は6200mPa・sであった。
<比較品2>
加熱糊化型澱粉を除いた原料を用いて、実施例1と同様にして粗乳化物を得た。得られた粗乳化物を高圧ホモゲナイザーにより40MPaの条件で均質化処理後、再び撹拌機に戻し、ここに加熱糊化型澱粉を投入し、加熱糊化型澱粉が均一に分散するように3000rpmで撹拌混合した。精乳化後充填前の乳化物の粘度は50mPa・s以下であった。
次に、レトルトパウチに200gずつ充填密封しレトルト釜の設定温度を120℃で25分にしてレトルト処理し、同時に加熱糊化型澱粉を糊化させた。得られた経腸栄養剤の粘度は12200mPa・sであった。
加熱糊化型澱粉を除いた原料を用いて、実施例1と同様にして粗乳化物を得た。得られた粗乳化物を高圧ホモゲナイザーにより40MPaの条件で均質化処理後、再び撹拌機に戻し、ここに加熱糊化型澱粉を投入し、加熱糊化型澱粉が均一に分散するように3000rpmで撹拌混合した。精乳化後充填前の乳化物の粘度は50mPa・s以下であった。
次に、レトルトパウチに200gずつ充填密封しレトルト釜の設定温度を120℃で25分にしてレトルト処理し、同時に加熱糊化型澱粉を糊化させた。得られた経腸栄養剤の粘度は12200mPa・sであった。
<比較品3>
実施例1の加熱糊化型澱粉を冷水膨潤型澱粉かえた以外は実施例1と同じ製造方法で経腸栄養剤を調製した。精乳化後充填前の乳化物の粘度は5000mPa・s以上であった。また、得られた経腸栄養剤の粘度は6200mPa・sであった。
実施例1の加熱糊化型澱粉を冷水膨潤型澱粉かえた以外は実施例1と同じ製造方法で経腸栄養剤を調製した。精乳化後充填前の乳化物の粘度は5000mPa・s以上であった。また、得られた経腸栄養剤の粘度は6200mPa・sであった。
<比較品4>
実施例1と同様の方法で精乳化物を得、得られた精乳化物を攪拌しながら中心品温80℃となってから15分間加熱し、加熱糊化型澱粉を一部糊化させた。精乳化後充填前の乳化物の粘度は2250mPa・sであった。
次に、レトルトパウチに200gずつ充填密封しレトルト釜の設定条件を120℃で25分間にしてレトルト処理を行い、経腸栄養剤を得た。
得られた経腸栄養剤の粘度は6400mPa・sであった。
実施例1と同様の方法で精乳化物を得、得られた精乳化物を攪拌しながら中心品温80℃となってから15分間加熱し、加熱糊化型澱粉を一部糊化させた。精乳化後充填前の乳化物の粘度は2250mPa・sであった。
次に、レトルトパウチに200gずつ充填密封しレトルト釜の設定条件を120℃で25分間にしてレトルト処理を行い、経腸栄養剤を得た。
得られた経腸栄養剤の粘度は6400mPa・sであった。
<比較試験>
実施例1、実施例2、比較例1乃至4で得られた各経腸栄養剤の製造3日後と製造1ヶ月保存後の製品の状態の確認を行った。結果を表1に示す。
実施例1、実施例2、比較例1乃至4で得られた各経腸栄養剤の製造3日後と製造1ヶ月保存後の製品の状態の確認を行った。結果を表1に示す。
表1より、乳化後充填前の乳化物の粘度が2000mPa・s以上である比較例1、比較例3及び比較例4は、いずれもレトルト処理1ヶ月後に水相分離してしまい、胃瘻用経腸栄養剤として用いることができなくなっていることが理解できる。また、比較例2の精乳化後に加熱糊化型澱粉を用いた経腸栄養剤はレトルト処理3日後から水相分離してしまい、胃瘻用経腸栄養剤として用いることができなくなっていることが理解できる。
これに対して、実施例1及び実施例2の加熱糊化型澱粉を均一に分散してある粗乳化物を高圧ホモゲナイザーにより均質化処理して精乳化し、精乳化後充填前の粘度が2000mPa・s以下の状態で充填密封し、レトルト処理した本発明の胃瘻用経腸栄養剤は、1ヶ月保存後も水相分離が起きることなく、乳化状態が良好であり、胃瘻用経腸栄養剤として用いることができることが理解できる。
これに対して、実施例1及び実施例2の加熱糊化型澱粉を均一に分散してある粗乳化物を高圧ホモゲナイザーにより均質化処理して精乳化し、精乳化後充填前の粘度が2000mPa・s以下の状態で充填密封し、レトルト処理した本発明の胃瘻用経腸栄養剤は、1ヶ月保存後も水相分離が起きることなく、乳化状態が良好であり、胃瘻用経腸栄養剤として用いることができることが理解できる。
Claims (1)
- 製品の粘度が6000mPa・s以上のレトルト処理された胃瘻用経腸栄養剤の製造方法であって、加熱糊化型澱粉を均一に分散してある粗乳化物を高圧ホモゲナイザーにより均質化処理して精乳化し、精乳化後充填前の粘度が2000mPa・s以下の状態で充填密封した後、レトルト処理することを特徴とする胃瘻用経腸栄養剤の製造方法。
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JP2005346597A JP2007153739A (ja) | 2005-11-30 | 2005-11-30 | 胃瘻用経腸栄養剤の製造方法 |
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Cited By (1)
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JPWO2014061808A1 (ja) * | 2012-10-19 | 2016-09-05 | Eaファーマ株式会社 | 胃ろう栄養患者用栄養組成物 |
-
2005
- 2005-11-30 JP JP2005346597A patent/JP2007153739A/ja active Pending
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