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JP2007093864A - 位相差板、偏光板および液晶表示装置 - Google Patents

位相差板、偏光板および液晶表示装置 Download PDF

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JP2007093864A
JP2007093864A JP2005281538A JP2005281538A JP2007093864A JP 2007093864 A JP2007093864 A JP 2007093864A JP 2005281538 A JP2005281538 A JP 2005281538A JP 2005281538 A JP2005281538 A JP 2005281538A JP 2007093864 A JP2007093864 A JP 2007093864A
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film
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Shinji Igari
伸治 猪狩
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Fujifilm Corp
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Abstract

【課題】液晶表示装置の表示特性の改善に寄与し、生産性の著しく向上した位相差板一体型偏光板を提供し、さらに、視野角の拡大された液晶表示装置やバックライト利用効率の向上された液晶表示装置を提供すること、及び光学異方性層を多層化したλ/4板として有効な位相差板の密着を改良すること。
【解決手段】支持体上に少なくとも一種の液晶性化合物を含有する光学異方性層を少なくとも2層形成してなり、少なくとも2層の該光学異方性層を該支持体側から順次光重合させて固定化させることによって製造される位相差板において、前記光学異方性層のうち最も支持体側の層の重合率が10〜90%であることを特徴とする位相差板。
【選択図】なし

Description

本発明は、位相差板、偏光板および偏光板に関する。特に本発明は、反射型液晶表示装置、半透過型液晶表示装置、透過型液晶表示装置、GH−LCD、PS変換素子、光ディスクの書き込み用のピックアップ、輝度向上膜または反射防止膜に利用されるλ/4板として有効な位相差板に関する。
λ/4板は、非常に多くの用途を有しており、既に反射型LCD、半透過型LCD、輝度向上膜、光ディスク用ピックアップやPS変換素子に使用されている。それらに現在使用されている大部分のλ/4板は、ポリマーフィルムを延伸することで光学異方性を発現させた位相差板である。ポリマーフィルムの光学的な向きは、一般にシート状あるいはロール状フィルムの縦方向または横方向に相当するものであり、シートあるいはロールの斜め方向に光軸や遅相軸を有するポリマーフィルムは、製造が非常に困難である。位相差板を使用する場合の多くは、偏光板の透過軸に対して、平行でも直交でもない角度に配置される。また、2枚以上の位相差板と偏光板を各々が平行でも直交でもない角度に配置される場合も多い。一般に、偏光板の透過軸はロール状フィルムに対して直交方向であるため、位相差板と偏光板を貼り合わせるためには、それぞれのフィルムを所定の角度にカットして、得られるチップを貼り合わせる必要がある。チップの貼り合わせで位相差板と偏光板の積層体を製造しようとすると、粘着剤の塗布工程や、チップカットあるいはチップの貼り合わせ工程が必要となり、処理が煩雑であって、軸ズレによる品質低下が起きやすく、歩留まりが低下し、コストが増大し、汚染による劣化も起きやすい。また、ポリマーフィルムでは、三次元方向の屈折率異方性の発現が、延伸倍率、温度、延伸速度、ポリマーの分子量のような様々な条件に影響を受ける。そのため、ポリマーフィルムの光学異方性を精密に制御することも難しい。
かかる問題を解決するため、ロール状フィルムにディスコティック液晶性化合物や棒状液晶性化合物を含有する塗布液を塗布し、所定の方向に配向させることで光学異方性を発現させ、ロール状フィルムに対して平行でも直交でもない角度に遅相軸を有する位相差板が提案されている(特許文献1、2)。また、ディスコティック液晶性化合物の円盤面がフィルム面に対して実質的に垂直になるように配向固定化された位相差板が開示されている(特許文献3、4、5、6)。
特開2001−4837号公報 特開2004−53841号公報 特開平9−292522号公報 特開2000−56310号公報 特開2000−104073号公報 特開2000−105316号公報
従来の技術では、配向欠陥が生じたり、配向時にはじきが出てしまうなどの問題が発生した。さらに、垂直配向性を付与するためにポリマーを修飾したり、あるいは特殊なモノマーを用いてポリマーを合成することが必要となり、結果として配向膜が高価になってしまうことから、工業的にはより安価な配向膜を用いてディスコティック液晶性化合物を実質的に垂直に配向させる技術が求められていた。また、位相差板を液晶表示装置に用いる際、ディスコティック液晶性化合物が実質的に垂直配向した層のみからなる位相差板では、それぞれの液晶モードで最適になるように三次元方向の屈折率異方性を発現させることが困難であり、三次元方向の屈折率異方性を任意に制御できる技術が求められていた。
この光学特性を任意に制御する方法の一つとして、ディスコティック液晶性化合物や棒状液晶性化合物を含む光学異方性層を積層させる方法がある。この方法は、フィルム平面方向のレタデーションを、ディスコティック液晶性化合物の円盤面がフィルム面に対して実質的に垂直になるように配向させることや棒状液晶性化合物の長軸方向をフィルム面に対して平行に配向させることにより調整し、さらに棒状液晶化合物を垂直配向させることによりフィルム面に対して垂直方向のレタデーションをその厚みから調整して最適なレタデーションになるように作成する。これによって、最適なλ/4膜を形成させることができる。しかし、この方法で形成された積層させた光学異方性層を含むフィルムは、フィルム表面の傷やフィルム層に粘着剤による光学異方性層の界面を境に膜剥がれが生じやすくなるという密着が悪くなる問題があった。
本発明は前記諸問題に鑑みなされたものであって、液晶表示装置の表示特性の改善に寄与し、生産性の著しく向上した位相差板一体型偏光板を提供し、さらに、視野角の拡大された液晶表示装置やバックライト利用効率の向上された液晶表示装置を提供することを目的とする。さらに、それら目的のための液晶性化合物を含有した光学異方性層を多層化したλ/4板として有効な位相差板の密着を改良することを目的とする。
本願発明の目的は、下記手段により達成された。
1. 支持体上に少なくとも一種の液晶性化合物を含有する光学異方性層を少なくとも2層形成してなり、該少なくとも2層の光学異方性層を該支持体側から順次光重合させて固定化させることによって製造される位相差板において、
前記光学異方性層のうち支持体側の層を光重合させた後の重合率が10〜90%であることを特徴とする位相差板。
2. 前記重合率が20〜80%であることを特徴とする上記1記載の位相差板。
3. 支持体上に少なくとも一種の液晶性化合物を含有する光学異方性層を少なくとも2層形成してなり、該少なくとも2層の光学異方性層を該支持体側から順次光重合させて固定化させることによって製造される位相差板において、
前記光学異方性層のうち支持体側の層を光重合させた後の表面の重合率が1〜50%であることを特徴とする位相差板。
4. 前記少なくとも2層の光学異方性層が、いずれもディスコティック液晶性化合物または棒状液晶性化合物のいずれかを少なくとも一種含有することを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の位相差板。
5. 前記少なくとも2層の光学異方性層が、ディスコティック液晶性化合物を少なくとも1種含有する光学異方性層と棒状液晶性化合物を少なくとも1種含有する光学異方性層とにより構成されていることを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載の位相差板。
6. 前記少なくとも2層の光学異方性層が、ディスコティック液晶性化合物を含有する光学異方性層と、棒状液晶性化合物を含有する光学異方性層とにより構成されており、前記ディスコティック液晶性化合物の円盤面が前記ディスコティック液晶性化合物を含有する光学異方性層面に対して実質的に垂直になるように配向状態が固定化されており、前記棒状液晶性化合物の長軸方向が前記棒状液晶性化合物を含有する光学異方性層面に対して実質的に垂直になるように配向状態が固定化されている上記1〜5のいずれかに記載の位相差板。
7. 前記少なくとも2層の光学異方性層が、いずれも棒状液晶性化合物を含有する光学異方性層であり、前記棒状液晶性化合物の長軸方向が光学異方性層面に対して実質的に平行になるように配向状態が固定化されている層と光学異方性層面に対して実質的に垂直になるように配向状態が固定化されている上記1〜5のいずれかに記載の位相差板。
8. 前記支持体が、面内のレタデーション(Re)が0〜20nmで、かつ、厚さ方向のレタデーション(Rth)が−100nm〜100nmである上記1〜7のいずれか1
項に記載の位相差板。
9. 上記1〜8のいずれか1項に記載の位相差板と偏光膜とを有する偏光板。
10. 上記1〜8のいずれか1項に記載の位相差板、または、上記9に記載の偏光板と、液晶セルとを含む液晶表示装置。
11. 支持体上に少なくとも一種の液晶性化合物を含有する光学異方性層を少なくとも2層形成してなり、該少なくとも2層の光学異方性層を該支持体側から順次光重合させて固定化させる位相差板の製造方法において、
前記光学異方性層のうち支持体側の層の重合率が10〜90%となるように重合率を調整することを特徴とする位相差板の製造方法。
12. 支持体上に少なくとも一種の液晶性化合物を含有する光学異方性層を少なくとも2層形成してなり、該少なくとも2層の光学異方性層を該支持体側から順次光重合させて固定化させる位相差板の製造方法において、
前記光学異方性層のうち支持体側の層の表面の重合率が1〜50%となるように重合率を調整することを特徴とする位相差板の製造方法。
本発明の位相差板は、液晶表示装置の表示特性の改善に寄与し、生産性の著しく向上した位相差板一体型の偏光板を提供することができ、視野角の拡大された液晶表示装置やバックライト利用効率の向上された液晶表示装置を提供することができるものであり、λ/4板として有効で、密着性が改良されたものである。
また、本発明によれば、生産性の著しく向上した位相差板一体型の偏光板、及び視野角の拡大された液晶表示装置やバックライト利用効率の向上された液晶表示装置を提供することができる。
以下、本発明の位相差板について詳細に説明する。
以下において、本発明位相差板、偏光板および液晶表示装置の実施形態について順次説明する。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。さらに、本発明でいう「支持体上」又は「配向膜上」には、該支持体等の直接の表面をいう場合と、該支持体等の上に何らかの層(膜)を設けた表面をいう場合の両方を含む趣旨である。
本明細書において、「平行」、「直交」とは、厳密な角度±10°未満の範囲内であることを意味する。この範囲は厳密な角度との誤差は、±5°未満であることが好ましく、±2°未満であることがより好ましい。また、「実質的に垂直」とは、厳密な垂直の角度よりも±20°未満の範囲内であることを意味する。この範囲は厳密な角度との誤差は、±15°未満であることが好ましく、±10°未満であることがより好ましい。また、「遅相軸」は、フィルム面内で屈折率が最大となる方向を意味する。さらに屈折率の測定波長は特別な記述がない限り、可視光域のλ=550nmでの値である。
本明細書において「偏光板」とは、特に断らない限り、長尺の偏光板及び液晶装置に組み込まれる大きさに裁断された(本明細書において、「裁断」には「打ち抜き」及び「切り出し」等も含むものとする)偏光板の両者を含む意味で用いられる。また、本明細書では、「偏光膜」及び「偏光板」を区別して用いるが、「偏光板」は「偏光膜」の少なくとも片面に該偏光膜を保護する透明保護膜を有する積層体を意味するものとする。
本明細書において、Re、Rthは各々、ある波長λnmにおける面内のレタデーションおよび厚さ方向のレタデーションを表す。
ReはKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。Rthは前記Re、面内の遅相軸(KOBRA
21ADHにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して+40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレタデーション値、および面内の遅相軸を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレタデーション値の計3つの方向で測定したレタデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHを算出する。ここで平均屈折率の仮定値はポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。
[位相差板]
本発明においては、位相差板についての発明が2つあるが、まず、第1の位相差板の発明(請求項1記載の発明)について説明する。
本発明の位相差板は、支持体上に少なくとも一種の液晶性化合物を含有する光学異方性層を少なくとも2層形成してなり、該少なくとも2層の光学異方性層を該支持体側から順次光重合させて固定化させることによって製造されるものである。
前記光学異方性層のうち支持体側の層を光重合させた後の重合率が10〜90%であり、20〜80%であることが好ましく、30〜80%であることがさらに好ましい。
前記重合率が、10%未満であると液晶性化合物の固定が不十分となり配向不良となってλ/4板としての性能が得られなくなり、90%を超えるとその上に塗布される光学異方性層との密着性を改良することができなくなる。
光学異方性層の重合率は、赤外吸収スペクトルを測定することで調べることができる。透明支持体に塗布した光学異方性層を含む位相差フィルムを好ましい光源である紫外線照射後赤外分光法で重合置換基の特性吸収帯である80cm-1付近のピークの吸光度を測定し、紫外線照射前のフィルムの吸光度比として求めることができる。この重合率は、光重合させるときのUV強度や照射量を変化させることによって調整することができる。積層した光学異方性層フィルムの密着が悪化するのは、支持体側(以下、支持体側の層を「下層」と称する場合がある)の光学異方性層を光重合した後に表面の重合性基が減少するために、支持体と反対側(以下、支持体と反対側の層を「上層」と称する場合がある)の光学異方性層との間の重合が起きなくなったためと考えられる。
次に第2の位相差板の発明について説明する。
第2の位相差板の発明は、支持体上に少なくとも一種の液晶性化合物を含有する光学異方性層を少なくとも2層形成してなり、該少なくとも2層の光学異方性層を該支持体側から順次光重合させて固定化させることによって製造される位相差板において、前記光学異方性層のうち支持体側の層を光重合させた後の表面の重合率が通常の重合率に比べて低い、1〜50%であり、3〜30%が好ましい。これは、上層に塗布される光学異方性層との密着性を確保するためである。
上記重合率が1%未満であると、表面の液晶性化合物の固定が不十分となり配向不良の原因となってλ/4板としての性能が得られなくなり、50%を超えると、その上に塗布される光学異方性層との密着性を改良することができなくなる。
光学異方性層表面の重合率は、位相差フィルムの反射で測定した赤外吸収スペクトルから調べることができる。
光重合反応は空気中の酸素によって阻害させることが知られている(例えば、技術情報協会編、「光硬化技術 −樹脂・開始剤の選定と配合条件および硬化度の測定・評価−」、p.114(2000年))。酸素を含む空気に直接接する条件で重合させると、表面は重合が起きにくくなる。本発明者らは更に検討をすすめ、上述の光学異方性層の重合率が高くても、実施例に示すように、表面の重合率は高くないことから発明を完成したものである。
本発明のように最下層の光学異方性層の重合率及び光学異方性層表面の重合率は、後述する製造方法に準じて上記範囲内とすることができる。
なお、以下の発明の説明においては、上述の第1の位相差板、第2の位相差板とも特に断らない限り、同様である。
前記位相差板は、面内のレタデーション値、厚み方向のレタデーション値をそれぞれRe、Rthとし、Nzを下記式(1)のように定義したときに、Nzが0より小さい、具体的にはNzは−5〜−0.1であることが好ましく、−4.5〜−0.2であることがより好ましく、−4〜−0.3であることがさらに好ましく、−4〜−1.0であることが最も好ましい。
Nz=0.5+Rth/Re (1)
該位相差板平面の法線方向から測定したレタデーションの値をRe(0)とし、該位相差板の遅相軸を傾斜軸として、該位相差板を40°傾けて測定したレタデーションの値をRe(40)、該位相差板を前記傾斜方向と反対側に40°傾けて測定したレタデーションの値をRe(−40)としたとき、Re(0)、Re(40)、Re(−40)の3点の測定値および該位相差板の厚さと平均屈折率から、厚さ方向の屈折率(Rth)が算出することができる。
本発明の位相差板は、Reが50〜200nmであることが好ましく、70〜180nmであるのがより好ましく、80〜160nmであるのがさらに好ましく、90〜160nmであるのが最も好ましい。上記範囲内にあることで、λ/4板として好適に用いることができる。また、前記Re(40)とRe(−40)が実質的に等しいことが好ましい。Re(40)とRe(−40)との差は、0nmであるのがより好ましいが、測定誤差等を考慮して、本明細書ではその差が4nmの範囲を実質的に等しいというものとする。
本発明の位相差板は、波長が大きくなるにしたがってReも大きくなる広帯域性を有することも好ましい。例えば、広帯域性を発現させるため、実質的に1/2波長のReを有する層と実質的に1/4波長のReを有する層を、それらの遅相軸が交差するように積層する技術が特開2000−284126号公報などに開示されている。また、変性ポリカーボネートフィルムを延伸することで広帯域性を発現させる技術が国際公開第00/26705号パンフレットなどに開示されている。これら技術により所望のReを有する広帯域位相差板を作製し、さらに液晶性化合物を含む光学異方性層を積層することにより上記式(1)を満たすように三次元方向の屈折率を制御することができる。
また、Rthは−1000〜−20nmであることが好ましく、−800〜−30nmであることがより好ましく、−600〜−40nmであることがさらに好ましく、−300〜−100nmであることが特に好ましい。
[液晶性化合物を含む光学異方性層]
本発明の位相差板に用いられる光学異方性層の構成材料について説明する。
本発明において前記光学異方性層は2層以上用いられるが各層の構成材料は同じでも異なっていても良く、前記光学異方性層は必須成分としての液晶性化合物、及び必要に応じて用いられる垂直配向促進剤とを重合開始剤を用いて重合させることにより得られるものを用いることができる。例えば、低分子液晶性化合物を液晶状態においてネマチック配向に形成後、光架橋や熱架橋によって固定化して得られる光学異方性層や、高分子液晶性化合物を液晶状態においてネマチック配向に形成後、冷却することによって当該配向を固定化して得られる光学異方性層を用いることもできる。
本発明において用いられる液晶性化合物としては、上述の好ましい上記光学的特性を満
たすものであれば液晶性化合物の種類については特に制限されないが重合性の液晶性化合物が好ましく用いられる。重合性の液晶性化合物を用いることにより他の重合性化合物を用いることなく光学異方性層を形成することができる。なお本発明では、光学異方性層は、該液晶性化合物が重合等によって固定されて形成された層であり、層となった後はもはや液晶性を示す必要はない。重合性の液晶性化合物は、多官能性重合性液晶でもよいし、単官能性重合性液晶性化合物でもよい。また、液晶性化合物は、ディスコティック液晶性化合物でもよいし、棒状液晶性化合物でもよい。
本発明の位相差板は、二層以上の光学異方性層の積層体を含有する。二層以上の光学異方性層を積層することで、三次元方向の屈折率異方性を任意に制御するのが、より容易になる。例えば、2層の積層体とする場合には、Reを所望の値にするために第1の光学異方性層を形成し、Rthを調整するために第2の光学異方性層を形成することにより、上記式(1)を満たす位相差板を作製することができる。そして、本発明においては、下層の光学異方性層をReを所望の値にするための上記の第1の光学異方性層とするのが好ましい。
前記第1の光学異方性層に用いられる液晶性化合物は、ディスコティック液晶性化合物でもよいし、棒状液晶性化合物でもよい。位相差板が上記式(1)を満たせば液晶性化合物の配向状態は、垂直配向、水平配向、ハイブリッド配向、傾斜配向いずれでもよい。視野角依存性が対称である位相差板を作製するためには、ディスコティック液晶性化合物の円盤面がフィルム面(光学異方性層面)に対して実質的に垂直であるか、または、棒状液晶性化合物の長軸がフィルム面(光学異方性層面)に対して実質的に水平であることが好ましい。ディスコティック液晶性化合物が実質的に垂直とは、フィルム面(光学異方性層面)とディスコティック液晶性化合物の円盤面とのなす角度が70°〜90°の範囲内であることを意味する。円盤面の平均傾斜角がこの範囲内になるように傾斜配向させてもよいし、傾斜角が徐々に変化するハイブリッド配向させてもよい。傾斜配向またはハイブリッド配向の場合でも、平均傾斜角は70°〜90°であることが好ましく、80°〜90°がより好ましく、85°〜90°がさらに好ましい。棒状液晶性化合物が実質的に水平とは、フィルム面(光学異方性層面)と棒状液晶性化合物のダイレクターとのなす角度が0°〜20°の範囲内であることを意味する。棒状液晶性化合物の平均傾斜角がこの範囲内になるように傾斜配向させてもよいし、傾斜角が徐々に変化するようにハイブリッド配向させてもよい。傾斜配向またはハイブリッド配向の場合でも、平均傾斜角は0°〜20°であることが好ましく、0°〜10°がより好ましく、0°〜5°がさらに好ましい。
前記第2の光学異方性層に用いられる液晶性化合物は、ディスコティック液晶性化合物でもよいし、棒状液晶性化合物でもよい。位相差板が上記式(1)を満たせば液晶性化合物の配向状態は、垂直配向、水平配向、ハイブリッド配向、傾斜配向いずれでもよい。位相板のRthの制御には、棒状液晶性化合物を用いることが好ましく、棒状液晶性化合物の長軸がフィルム面(光学異方性層面)に対して実質的に垂直であることがさらに好ましい。棒状液晶性化合物が実質的に垂直とは、フィルム面(光学異方性層面)と棒状液晶性化合物のダイレクターとのなす角度が70°〜90°の範囲内であることを意味する。平均傾斜角がこの範囲内になるように傾斜配向させてもよいし、傾斜角が徐々に変化するようにハイブリッド配向させてもよい。傾斜配向またはハイブリッド配向の場合でも、棒状液晶性化合物の平均傾斜角は70°〜90°であることが好ましく、80°〜90°がより好ましく、85°〜90°がさらに好ましい。
前記光学異方性層は、棒状液晶性化合物又はディスコティック液晶性化合物等の液晶性化合物と、所望により、下記の重合開始剤や空気界面配向剤や他の添加剤を含む塗布液を、支持体上に塗布することで形成することができる。支持体上に配向膜を形成し、該配向膜表面に前記塗布液を塗布して形成することが好ましい。
すなわち、本発明においては、前記少なくとも2層の光学異方性層が、いずれもディスコティック液晶性化合物または棒状液晶性化合物のいずれかを少なくとも一種含有することが好ましい。
また、前記少なくとも2層の光学異方性層が、ディスコティック液晶性化合物を少なくとも1種含有する光学異方性層と棒状液晶性化合物を少なくとも1種含有する光学異方性層とにより構成されている構成とすることもできる。
また、本発明においては、前記少なくとも2層の光学異方性層が、ディスコティック液晶性化合物を含有する光学異方性層と、棒状液晶性化合物を含有する光学異方性層とにより構成されており、前記ディスコティック液晶性化合物の円盤面が前記ディスコティック液晶性化合物を含有する光学異方性層面に対して実質的に垂直になるように配向状態が固定化されており、前記棒状液晶性化合物の長軸方向が前記棒状液晶性化合物を含有する光学異方性層面に対して実質的に垂直になるように配向状態が固定化されている構成とすることもできる。
また、本発明においては、前記少なくとも2層の光学異方性層が、いずれも棒状液晶性化合物を含有する光学異方性層であり、前記棒状液晶性化合物の長軸方向が光学異方性層面に対して実質的に平行になるように配向状態が固定化されている層と光学異方性層面に対して実質的に垂直になるように配向状態が固定化されている構成とすることもできる。
[ディスコティック液晶性化合物]
本発明で液晶性化合物として用いられるディスコティック液晶性化合物は、様々な文献(C.Destrade et al.,Mol.Crysr.Liq.Cryst.,vol.71,page 111(1981);日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(1994);B.Kohne et al.,Angew.Chem.Soc.Chem.Comm.,page 1794(1985);J.Zhang et al.,J.Am.Chem.Soc.,vol.116,page 2655(1994))に記載されているものを用いることができる。ディスコティック液晶性化合物の重合については、特開平8−27284号公報に記載がある。
ディスコティック液晶性化合物は、重合により固定可能なように、重合性基を有するのが好ましい。例えば、ディスコティック液晶性化合物の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させた構造が考えられるが、但し、円盤状コアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる。そこで、円盤状コアと重合性基との間に連結基を有する構造が好ましい。即ち、重合性基を有するディスコティック液晶性化合物は、下記式で表わされる化合物であることが好ましい。
D(−L−P)n
式中、Dは円盤状コアであり、Lは2価の連結基であり、Pは重合性基であり、nは4〜12の整数である。前記式中の円盤状コア(D)、2価の連結基(L)及び重合性基(P)の好ましい具体例は、それぞれ、特開2001−4837号公報に記載の(D1)〜(D15)、(L1)〜(L25)、(P1)〜(P18)であり、同公報に記載の内容を好ましく用いることができる。なお、液晶性化合物のディスコティックネマティック液晶相−固相転移温度は、70〜300℃が好ましく、70〜170℃がより好ましい。
[棒状液晶性化合物]
本発明で液晶性化合物として用いられる棒状液晶性化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。以上のような低分子液晶性化合物だけではなく、高分子液晶性化合物も用いることができる。棒状液晶性化合物は、重合により固定可能なように、重合性基を有するのが好ましい。液晶性化合物には活性光線や電子線、熱などによって重合や架橋反応を起こしうる部分構造を有するものが好適に用いられる。その部分構造の個数は好ましくは1〜6個、より好ましくは1〜3個である。重合性棒状液晶性化合物としては、Makromol.Chem.,190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許第4683327号明細書、同5622648号明細書、同5770107号明細書、国際公開WO95/22586号公報、同95/24455号公報、同97/00600号公報、同98/23580号公報、同98/52905号公報、特開平1−272551号公報、同6−16616号公報、同7−110469号公報、同11−80081号公報、および特開2001−328973号公報などに記載の化合物を用いることができる。
[垂直配向促進剤]
本発明においては、ディスコティック液晶性化合物や棒状液晶性化合物を均一に垂直配向させるために、前記光学異方性層の支持体側の界面側(配向膜を支持体上に設ける場合には「配向膜界面側」でもある。)および支持体と反対側の界面(以下、この界面を「空気界面」と称する場合がある)側において液晶性化合物を垂直に配向制御することが好ましい。この目的のために、垂直配向促進剤を用いるのが好ましい。
該垂直配向促進剤としては、排除体積効果、静電気的効果または表面エネルギー効果によって液晶性化合物を垂直に配向させる作用を及ぼす化合物や、空気界面側の配向制御に関しては液晶性化合物の配向時に空気界面に偏在し、その排除体積効果、静電気的効果、または表面エネルギー効果によって液晶性化合物を垂直に配向させる作用を及ぼす化合物が挙げられる。すなわち、前記光学異方性層は、前記液晶性化合物に好適には該垂直配向促進剤を配合した組成物(以下、単に「液晶性組成物」ということがある)を用いて形成することができる。このような支持体側界面側で液晶性化合物の分子を垂直に配向させるのを促進する化合物(配向膜界面側垂直配向剤)としては、ピリジニウム誘導体が好適に用いられる。空気界面側で液晶性化合物の分子を垂直に配向させるのを促進する化合物(空気界面側垂直配向剤)としては、該化合物が空気界面側に偏在するのを促進する、フルオロ脂肪族基と、カルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SO3H)、ホスホノキシ基{−OP(=O)(OH)2}およびそれらの塩からなる群より選ばれる1種以上の親水性基とを含む化合物が好適に用いられる。また、これらの化合物を配合することによって、例えば、液晶性組成物を塗布液として調製した場合に、該塗布液の塗布性が改善され、ムラ、ハジキの発生が抑制される。以下に垂直配向促進剤に関して詳細に説明する。
前記垂直配向促進剤の使用量は、後述するように用いる化合物により好ましい範囲が異なるが、前記液晶性化合物100質量部に対して0.05〜4質量部とするのが好ましく、0.1〜1質量部とするのが更に好ましい。
[配向膜界面側垂直配向剤]
本発明に使用可能な配向膜界面側垂直配向剤としては、下記式(I)で表されるピリジニウム誘導体(ピリジニウム塩)が好適に用いられる。該ピリジニウム誘導体の少なくとも1種を前記液晶性組成物に添加することによって、ディスコティック液晶性化合物の分子を配向膜近傍で実質的に垂直に配向させることができる。
Figure 2007093864
式(I)において、L1は2価の連結基を表し、アルキレン基と−O−、−S−、−CO−、−SO2−、−NRa−(但し、Raは炭素原子数が1〜5のアルキル基又は水素原子である)、アルケニレン基、アルキニレン基またはアリーレン基との組み合わせからなる炭素原子数が1〜20の2価の連結基であることが好ましい。アルキレン基は、直鎖で
あっても分岐であってもよい。
式(I)において、R1は、水素原子、無置換のアミノ基または炭素原子数が1〜20の置換基で置換された置換アミノ基である。R1が置換アミノ基である場合、脂肪族基によって置換されていることが好ましい。脂肪族基は、例えば、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基および置換アルキニル基が挙げられる。また、R1が2置換アミノ基である場合、2つの脂肪族基が互いに結合して含窒素複素環を形成してもよい。このとき形成される含窒素複素環は、5員環または6員環であることが好ましい。R1は水素原子、無置換のアミノ基または炭素原子数が1〜20の置換アミノ基であることが好ましく、水素原子、無置換のアミノ基または炭素原子数が2〜12の置換アミノ基であることがより好ましく、水素原子、無置換のアミノ基または炭素原子数が2〜8の置換アミノ基であることがさらに好ましい。R1がアミノ基である場合、ピリジニウム環の4位に置換されていることが好ましい。
式(I)において、Xはアニオンである。アニオンの例には、ハロゲン陰イオン(例えば、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオンなど)、スルホン酸イオン(例えば、メタンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、メチル硫酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、p−クロロベンゼンスルホン酸イオン、1,3−ベンゼンジスルホン酸イオン、1,5−ナフタレンジスルホン酸イオン、2,6−ナフタレンジスルホン酸イオンなど)、硫酸イオン、炭酸イオン、硝酸イオン、チオシアン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ピクリン酸イオン、酢酸イオン、ギ酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、リン酸イオン(例えば、ヘキサフルオロリン酸イオン)、水酸イオンなどが挙げられる。Xは、好ましくは、ハロゲン陰イオン、スルホネートイオン、水酸イオンである。
式(I)において、Y1は5員環又は6員環を部分構造として有する炭素数1〜30の2価の連結基である。Y1に含まれる環状部分構造はシクロヘキシル環、芳香族環または複素環であることがより好ましい。芳香族環としては、ベンゼン環、インデン環、ナフタレン環、フルオレン環、フェナントレン環、アントラセン環、ビフェニル環、およびピレン環を挙げることができる。ベンゼン環、ビフェニル環、およびナフタレン環がさらに好ましい。複素環を構成する複素原子としては、窒素原子、酸素原子および硫黄原子が好ましく、例えば、フラン環、チオフェン環、ピロール環、ピロリン環、ピロリジン環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、イミダゾリン環、イミダゾリジン環、ピラゾール環、ピラゾリン環、ピラゾリジン環、トリアゾール環、フラザン環、テトラゾール環、ピラン環、ジオキサン環、ジチアン環、チイン環、ピリジン環、ピペリジン環、オキサジン環、モルホリン環、チアジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピペラジン環およびトリアジン環などを挙げることができる。複素環は6員環であることが好ましい。Yで表される5員環又は6員環を部分構造として有する2価の連結基は置換基を有していてもよい。
式(I)において、Zは、ハロゲン置換フェニル基、ニトロ置換フェニル基、シアノ置換フェニル基、炭素原子数が1〜10のアルキル基で置換されたフェニル基、炭素原子数が2〜10のアルコキシ基で置換されたフェニル基、炭素原子数が1〜12のアルキル基、炭素原子数が2〜20のアルキニル基、炭素原子数が1〜12のアルコキシ基、炭素原子数が2〜13のアルコキシカルボニル基、炭素原子数が7〜26のアリールオキシカルボニル基、炭素原子数が7〜26のアリールカルボニルオキシ基であり、シアノ置換フェニル基、ハロゲン置換フェニル基、炭素原子数が1〜10のアルキル基で置換されたフェニル基、炭素原子数が2〜10のアルコキシ基で置換されたフェニル基、炭素原子数が7〜26のアリールオキシカルボニル基または炭素原子数が7〜26のアリールカルボニルオキシ基であるのが好ましい。
Zは、さらに置換基を有していてもよく、置換基の例には、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数が1〜16のアルキル基、炭素原子数が1〜16のアルケニル基、炭素原子数が1〜16のアルキニル基、炭素原子数が1〜16のハロゲン置換アルキル基、炭素原子数が1〜16のアルコキシ基、炭素原子数が2〜16のアシル基、炭素原子数が1〜16のアルキルチオ基、炭素原子数が2〜16のアシルオキシ基、炭素原子数が2〜16のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数が2〜16のアルキル置換カルバモイル基および炭素原子数が2〜16のアシルアミノ基が含まれる。
本発明に用いられるピリジニウム化合物としては、下記式(Ia)で表されるピリジニウム化合物が好ましい。
Figure 2007093864
式(Ia)において、L3は、単結合、−O−、−O−CO−、−CO−O−、−C≡C−、−CH=CH−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−O−AL−O−、−O−AL−O−CO−、−O−AL−CO−O−、−CO−O−AL−O−、−CO−O−AL−O−CO−、−CO−O−AL−CO−O−、−O−CO−AL−O−、−O−CO−AL−O−CO−または−O−CO−AL−CO−O−である。ALは、炭素原子数が1〜10のアルキレン基である。L3は、単結合、−O−、−O−AL−O−、−O−AL−O−CO−、−O−AL−CO−O−、−CO−O−AL−O−、−CO−O−AL−O−CO−、−CO−O−AL−CO−O−、−O−CO−AL−O−、−O−CO−AL−O−CO−または−O−CO−AL−CO−O−であるのが好ましく、単結合もしくは−O−であるのがより好ましい。
式(Ia)において、L4は、単結合、−O−、−O−CO−、−CO−O−、−C≡C−、−CH=CH−、−CH=N−、−N=CH−または−N=N−である。
式(Ia)において、R3は、水素原子、無置換アミノ基または炭素原子数が2〜20のアルキル置換アミノ基である。R3がジアルキル置換アミノ基である場合、2つのアルキル基が互いに結合して含窒素複素環を形成してもよい。このとき形成される含窒素複素環は、5員環または6員環が好ましい。R3は水素原子、無置換アミノ基または炭素原子数が2〜12のジアルキル置換アミノ基がさらに好ましく、水素原子、無置換アミノ基または炭素原子数が2〜8のジアルキル置換アミノ基が最も好ましい。R3が無置換アミノ基である場合、ピリジニウム環の4位がアミノ置換されていることが好ましい。
式(Ia)において、Y2およびY3は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい6員環からなる2価の基である。6員環の例は、脂肪族環、芳香族環(ベンゼン環)および複素環が挙げられる。6員脂肪族環の例は、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環およびシクロヘキサジエン環が挙げられる。6員複素環の例は、ピラン環、ジオキサン環、ジチアン環、チイン環、ピリジン環、ピペリジン環、オキサジン環、モルホリン環、チアジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピペラジン環およびトリアジン環が挙げられる。6員環に、他の6員環または5員環が縮合していてもよい。
置換基の例は、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数が1〜12のアルキル基および炭素原子数が1〜12のアルコキシ基が挙げられる。アルキル基およびアルコキシ基は、炭素原子数が2〜12のアシル基または炭素原子数が2〜12のアシルオキシ基で置換されていてもよい。アシル基およびアシルオキシ基の定義は、後述する。
式(Ia)において、X1はアニオンである。X1は、一価のアニオンであることが好ましい。アニオンの例には、ハロゲン陰イオン(例えば、フッ素イオン、塩素イオン、臭素
イオン、ヨウ素イオン)およびスルホン酸イオン(例えば、メタンスルホン酸イオン、p−トルエンスルン酸イオン、ベンゼンスルン酸イオン)が含まれる。
式(Ia)において、Z1は水素原子、シアノ基、炭素原子数が1〜12のアルキル基または炭素原子数が1〜12のアルコキシ基であって、アルキル基およびアルコキシ基は、それぞれ、炭素原子数が2〜12のアシル基または炭素原子数が2〜12のアシルオキシ基で置換されていてもよい。
式(Ia)において、mは1または2であって、mが2の場合、2つのL4および2つのY3は、異なっていてもよい。
mが2の場合、Z1は、シアノ基、炭素原子数が1〜10のアルキル基または炭素原子数が1〜10のアルコキシ基であることが好ましい。
mが1の場合、Z1は、炭素原子数が7〜12のアルキル基、炭素原子数が7〜12のアルコキシ基、炭素原子数が7〜12のアシル置換アルキル基、炭素原子数が7〜12のアシル置換アルコキシ基、炭素原子数が7〜12のアシルオキシ置換アルキル基または炭素原子数が7〜12のアシルオキシ置換アルコキシ基であることが好ましい。
アシル基は−CO−R、アシルオキシ基は−O−CO−Rで表され、Rは脂肪族基(アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基)または芳香族基(アリール基、置換アリール基)である。Rは、脂肪族基であることが好ましく、アルキル基またはアルケニル基であることがさらに好ましい。
式(Ia)において、pは、1〜10の整数である。Cp2pは、分岐構造を有していてもよい鎖状アルキレン基を意味する。Cp2pは、直鎖状アルキレン基であることが好ましい。また、pは1または2であることがより好ましい。
以下に、式(I)および/または(Ia)で表される化合物の具体例を示す。ここで、Meはメチル基を表す。
Figure 2007093864
Figure 2007093864
Figure 2007093864
Figure 2007093864
ピリジニウム誘導体は、一般にピリジン環をアルキル化(メンシュトキン反応)して得られる。
前記液晶性組成物中における前記ピリジニウム誘導体の含有量の好ましい範囲は、その用途によって異なるが、液晶性組成物(塗布液として調製した場合は溶媒を除いた液晶性組成物の固形分)中、0.005〜8質量%であるのが好ましく、0.01〜5質量%であるのがより好ましい。
[空気界面側垂直配向剤]
本発明に使用可能な空気界面側垂直配向剤としては、フルオロ脂肪族基と、カルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SO3H)、ホスホノキシ基{−OP(=O)(OH)2}およびそれらの塩からなる群より選ばれる1種以上の親水性基とを含有するフルオロ脂肪族基含有ポリマー(以下、「フッ素系ポリマー」という)、又は一般式(III)で表される含フッ素化合物が好適に用いられる。
まず、フッ素系ポリマーについて説明する。
本発明に使用可能なフッ素系ポリマーは、フルオロ脂肪族基と、カルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SO3H)、ホスホノキシ基{−OP(=O)(OH)2}およびそれらの塩からなる群より選ばれる1種以上の親水性基とを含有することを特徴とする。ポリマーの種類としては、「改訂 高分子合成の化学」(大津隆行著、発行:株式会社化学同人、1968)1〜4ページに記載があり、例えば、ポリオレフィン類、ポリエステル類、ポリアミド類、ポリイミド類、ポリウレタン類、ポリカーボネート類、ポリスルホン類、ポリカーボナート類、ポリエーテル類、ポリアセタール類、ポリケトン類、ポリフェニレンオキシド類、ポリフェニレンスルフィド類、ポリアリレート類、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)類、ポリビニリデンフロライド類、セルロース誘導体などが挙げられる。前記フッ素系ポリマーは、ポリオレフィン類であることが好ましい。
前記フッ素系ポリマーは、フルオロ脂肪族基を側鎖に有するポリマーである。前記フルオロ脂肪族基は、炭素数1〜12であるのが好ましく、6〜10であるのがより好ましい。脂肪族基は、鎖状であっても環状であってもよく、鎖状である場合は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。中でも、直鎖状の炭素数6〜10のフルオロ脂肪族基が好ましい。フッ素原子による置換の程度については特に制限はないが、脂肪族基中の50%以上の水素原子がフッ素原子に置換されているのが好ましく、60%以上が置換されているのがより好ましい。フルオロ脂肪族基は、エステル結合、アミド結合、イミド結合、ウレタン結合、ウレア結合、エーテル結合、チオエーテル結合、芳香族環などを介してポリマー主鎖と結合した側鎖に含まれる。フルオロ脂肪族基の一つは、テロメリゼーション法(テロマー法ともいわれる)またはオリゴメリゼーション法(オリゴマー法ともいわれる)により製造されたフルオロ脂肪族化合物から導かれるものである。これらのフルオロ脂肪族化合物の製造法に関しては、例えば、「フッ素化合物の合成と機能」(監修:石川延男、発行:株式会社シーエムシー、1987)の117〜118ページや、「Chemistry of Organic Fluorine Compounds II」(Monograph 187,Ed by Milos Hudlicky and Attila E.Pavlath,American Chemical Society 1995)の747〜752ページに記載されている。テロメリゼーション法とは、ヨウ化物等の連鎖移動常数の大きいアルキルハライドをテローゲンとして、テトラフルオロエチレン等のフッ素含有ビニル化合物のラジカル重合を行い、テロマーを合成する方法である(Scheme−1に例を示した)。
Figure 2007093864
得られた、末端ヨウ素化テロマーは通常、例えば[Scheme2]のごとき適切な末端化学修飾を施され、フルオロ脂肪族化合物へと導かれる。これらの化合物は必要に応じ、さらに所望のモノマー構造へと変換され、フッ素系ポリマーの製造に使用される。
Figure 2007093864
本発明に使用可能なフッ素系ポリマーの製造に利用可能なモノマーの具体例を以下に挙げるが、本発明は以下の具体例によってなんら制限されるものではない。
Figure 2007093864
Figure 2007093864
Figure 2007093864
Figure 2007093864
Figure 2007093864
Figure 2007093864
Figure 2007093864
本発明に使用可能なフッ素系ポリマーの一態様は、フルオロ脂肪族基含有モノマー(以下、「フッ素系モノマー」ということがある)より誘導される繰り返し単位と、下記式(II)で表される親水性基を含有する繰り返し単位とを有する共重合体である。
Figure 2007093864
上記式(II)において、R1、R2およびR33はそれぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。Qはカルボキシル基(−COOH)もしくはその塩、スルホ基(−SO3H)もしくはその塩、または、ホスホノキシ基{−OP(=O)(OH)2}もしくはその塩を表す。Lは下記の連結基群から選ばれる任意の基、またはそれらの2つ以上を組み合わせて形成される2価の連結基を表す。
(連結基群)
単結合、−O−、−CO−、−NRb−(Rbは水素原子、アルキル基、アリール基、またはアラルキル基を表す)、−S−、−SO2−、−P(=O)(ORf)−(Rfはアルキル基、アリール基、またはアラルキル基を表す)、アルキレン基およびアリーレン基。
式(II)中、R1、R2およびR33は、それぞれ独立に、水素原子または下記に例示した置換基群から選ばれる置換基を表す。
(置換基群)
アルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、さらに好ましくは炭素数1〜8のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、さらに好ましくは炭素数2〜8のアルケニル基であり、例えば、ビニル基、アリール基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基などが挙げられる)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、さらに好ましくは炭素数2〜8のアルキニル基であり、例えば、プロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、さらに好ましくは炭素数6〜12のアリール基であり、例えば、フェニル基、p−メチルフェニル基、ナフチル基などが挙げられる)、アラルキル基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、さらに好ましくは炭素数7〜12のアラルキル基であり、例えば、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基などが挙げられる)、置換もしくは無置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、さらに好ましくは炭素数0〜6のアミノ基であり、例えば、無置換アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、アニリノ基などが挙げられる)、
アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、さらに好ましくは炭素数1〜10のアルコキシ基であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが挙げられる)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好
ましくは炭素数2〜16、さらに好ましくは2〜10のアルコキシカルボニル基であり、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、さらに好ましくは2〜10のアシルオキシ基であり、例えば、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、さらに好ましくは炭素数2〜10のアシルアミノ基であり、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、さらに好ましくは炭素数2〜12のアルコキシカルボニルアミノ基であり、例えば、メトキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、さらに好ましくは炭素数7〜12のアリールオキシカルボニルアミノ基であり、例えば、フェニルオキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、さらに好ましくは炭素数1〜12のスルホニルアミノ基であり、例えば、メタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基などが挙げられる)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、さらに好ましくは炭素数0〜12のスルファモイル基であり、例えば、スルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基などが挙げられる)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、さらに好ましくは炭素数1〜12のカルバモイル基であり、例えば、無置換のカルバモイル基、メチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基などが挙げられる)、
アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、さらに好ましくは炭素数1〜12のアルキルチオ基であり、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基などが挙げられる)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、さらに好ましくは炭素数6〜12のアリールチオ基であり、例えば、フェニルチオ基などが挙げられる)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、さらに好ましくは炭素数1〜12のスルホニル基であり、例えば、メシル基、トシル基などが挙げられる)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、さらに好ましくは炭素数1〜12のスルフィニル基であり、例えば、メタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基などが挙げられる)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、さらに好ましくは炭素数1〜12のウレイド基であり、例えば、無置換のウレイド基、メチルウレイド基、フェニルウレイド基などが挙げられる)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、さらに好ましくは炭素数1〜12のリン酸アミド基であり、例えば、ジエチルリン酸アミド基、フェニルリン酸アミド基などが挙げられる)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12のヘテロ環基であり、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有するヘテロ環基であり、例えば、イミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基などが挙げられる)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、さらに好ましくは、炭素数3〜24のシリル基であり、例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる)が含まれる。これらの置換基はさらにこれらの置換基によって置換されていてもよい。また、置換基を二つ以上有する場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに結合して環を形成していてもよい。
1、R2およびR33はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子(例えば
、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、または後述する−L−Qで表される基であることが好ましく、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、塩素原子、−L−Qで表される基であることがより好ましく、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基であることが特に好ましく、水素原子、炭素数1〜2のアルキル基であることが最も好ましい。該アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基等が挙げられる。該アルキル基は、適当な置換基を有していてもよい。該置換基としては、ハロゲン原子、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、ヒドロキシル基、アシルオキシ基、アミノ基、アルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホニル基、スルファモイル基、スルホンアミド基、スルホリル基、カルボキシル基などが挙げられる。なお、アルキル基の炭素数は、置換基の炭素原子を含まない。以下、他の基の炭素数についても同様である。
Lは、上記連結基群から選ばれる2価の連結基、またはそれらの2つ以上を組み合わせて形成される2価の連結基を表す。上記連結基群中、−NRb−のRbは、水素原子、アルキル基、アリール基またはアラルキル基を表し、好ましくは水素原子またはアルキル基である。また、−PO(ORf)−のRfはアルキル基、アリール基またはアラルキル基を表し、好ましくはアルキル基である。RbおよびRfがアルキル基、アリール基またはアラルキル基を表す場合の炭素数は「置換基群」で説明したものと同じである。Lとしては、単結合、−O−、−CO−、−NRb−、−S−、−SO2−、アルキレン基またはアリーレン基を含むことが好ましく、−CO−、−O−、−NRb−、アルキレン基またはアリーレン基を含んでいることが特に好ましい。Lがアルキレン基を含む場合、アルキレン基の炭素数は好ましくは1〜10、より好ましくは1〜8、さらに好ましくは1〜6である。特に好ましいアルキレン基の具体例として、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラブチレン基、ヘキサメチレン基等が挙げられる。Lが、アリーレン基を含む場合、アリーレン基の炭素数は、好ましくは6〜24、より好ましくは6〜18、さらに好ましくは6〜12である。特に好ましいアリーレン基の具体例として、フェニレン基、ナフタレン基等が挙げられる。Lが、アルキレン基とアリーレン基を組み合わせて得られる2価の連結基(即ちアラルキレン基)を含む場合、アラルキレン基の炭素数は、好ましくは7〜34、より好ましくは7〜26、さらに好ましくは7〜16である。特に好ましいアラルキレン基の具体例として、フェニレンメチレン基、フェニレンエチレン基、メチレンフェニレン基等が挙げられる。Lとして挙げられた基は、適当な置換基を有していてもよい。このような置換基としては先にR1、R2、R33における置換基として挙げた置換基と同様なものを挙げることができる。
以下にLの具体的構造を例示する。
Figure 2007093864
Figure 2007093864
前記式(II)中、Qはカルボキシル基、カルボキシル基の塩(例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩(例えばアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、トリメチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、トリメチルベンジルアンモニウム、ジメチルフェニルアンモニウムなど)、ピリジニウム塩など)、スルホ基、スルホ基の塩(塩を形成するカチオンの例は上記カルボキシル基に記載のものと同じ)、ホスホノキシ基、ホスホノキシ基の塩(塩を形成するカチオンの例は上記カルボキシル基に記載のものと同じ)を表す。より好ましくはカルボキシル基、スルホ基、ホスホ基であり、特に好ましいのはカルボキシル基またはスルホ基である。
前記フッ素系ポリマーは、前記式(II)で表される繰り返し単位を1種含んでいてもよい
し、2種以上含んでいてもよい。また、前記フッ素系ポリマーは、上記各繰り返し単位以外の他の繰り返し単位を1種または2種以上有していてもよい。前記他の繰り返し単位については特に制限されず、通常のラジカル重合反応可能なモノマーから誘導される繰り返し単位が好ましい例として挙げられる。以下、他の繰り返し単位を誘導するモノマーの具体例を挙げる。前記フッ素系ポリマーは、下記モノマー群から選ばれる1種または2種以上のモノマーから誘導される繰り返し単位を含有していてもよい。
モノマー群
(1)アルケン類
エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ヘキセン、1−ドデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、ヘキサフルオロプロペン、フッ化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレン、3,3,3−トリフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデンなど;
(2)ジエン類
1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−n−プロピル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1−フェニル−1,3−ブタジエン、1−α−ナフチル−1,3−ブタジエン、1−β−ナフチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、1−ブロモ−1,3−ブタジエン、1−クロロブタジエン、2−フルオロ−1,3−ブタジエン、2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン、1,1,2−トリクロロ−1,3−ブタジエンおよび2−シアノ−1,3−ブタジエン、1,4−ジビニルシクロヘキサンなど;
(3)α,β−不飽和カルボン酸の誘導体
(3a)アルキルアクリレート類
メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルへキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、tert−オクチルアクリレート、ドデシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、2−クロロエチルアクリレート、2−ブロモエチルアクリレート、4−クロロブチルアクリレート、2−シアノエチルアクリレート、2−アセトキシエチルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、2−クロロシクロヘキシルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、ω−メトキシポリエチレングリコールアクリレート(ポリオキシエチレンの付加モル数:n=2ないし100のもの)、3−メトキシブチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−ブトキシエチルアクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチルアクリレート、1−ブロモ−2−メトキシエチルアクリレート、1,1−ジクロロ−2−エトキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレートなど);
(3b)アルキルメタクリレート類
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルメタクリレート、アリルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、クレジルメタクリレート、ナフチルメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、3−メトキシブチルメタクリレート、ω−メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(ポリオキシエチレンの付加モル数:n=2ないし100のもの)、2−アセトキシエチルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、2−ブトキシエチルメタクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレート、アリルメタクリレート、2−イソシアナトエチルメタクリレートなど;
(3c)不飽和多価カルボン酸のジエステル類
マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジブチル、イタコン酸ジメチル、タコン酸ジブチル、クロトン酸ジブチル、クロトン酸ジヘキシル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジメチルなど;
(3d)α、β−不飽和カルボン酸のアミド類
N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N−tertブチルアクリルアミド、N−tertオクチルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−(2−アセトアセトキシエチル)アクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド、N−アクリロイルモルフォリン、ジアセトンアクリルアミド、N−メチルマレイミドなど;
(4)不飽和ニトリル類
アクリロニトリル、メタクリロニトリルなど;
(5)スチレンおよびその誘導体
スチレン、ビニルトルエン、エチルスチレン、p−tertブチルスチレン、p−ビニル安息香酸メチル、α−メチルスチレン、p−クロロメチルスチレン、ビニルナフタレン、p−メトキシスチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン、p−アセトキシスチレンなど;
(6)ビニルエステル類
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、クロロ酢酸ビニル、メトキシ酢酸ビニル、フェニル酢酸ビニルなど;
(7)ビニルエーテル類
メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、n−ペンチルビニルエーテル、n−ヘキシルビニルエーテル、n−オクチルビニルエーテル、n−ドデシルビニルエーテル、n−エイコシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、フルオロブチルビニルエーテル、フルオロブトキシエチルビニルエーテルなど;および
(8)その他の重合性単量体
N−ビニルピロリドン、メチルビニルケトン、フェニルビニルケトン、メトキシエチルビニルケトン、2−ビニルオキサゾリン、2−イソプロペニルオキサゾリンなど。
前記フッ素系ポリマー中、フルオロ脂肪族基含有モノマーの量は、該ポリマーの構成モノマー総量の5質量%以上であるのが好ましく、10質量%以上であるのがより好ましく、30質量%以上であるのがさらに好ましい。前記フッ素系ポリマーにおいて、前記式(II)で表される繰り返し単位の量は、該フッ素ポリマーの構成モノマー総量の0.5質量%以上であるのが好ましく、1〜20質量%であるのがより好ましく、1〜10質量%であるのがさらに好ましい。上記の質量百分率は使用するモノマーの分子量により好ましい範囲の数値が変動し易いため、ポリマーの単位質量当たりの官能基モル数で表す方が、式(II)で表される繰り返し単位の含有量を正確に規定できる。該表記を用いた場合、前記フッ素系ポリマー中に含有される親水性基(式(II)中のQ)の好ましい量は、0.1mmol/g〜10mmol/gであり、より好ましい量は0.2mmol/g〜8mmol/gである。
本発明に用いる前記フッ素系ポリマーの質量平均分子量は1,000,000以下が好ましく、500,000以下がより好ましく、100,000以下がさらに好ましい。質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて、ポリスチレン(PS)換算の値として測定可能である。
前記フッ素系ポリマーの重合方法は、特に限定されるものではないが、例えば、ビニル基を利用したカチオン重合やラジカル重合、または、アニオン重合等の重合方法を採ることができ、これらの中ではラジカル重合が汎用に利用できる点で特に好ましい。ラジカル重合の重合開始剤としては、ラジカル熱重合開始剤や、ラジカル光重合開始剤等の公知の化合物を使用することができるが、特に、ラジカル熱重合開始剤を使用することが好ましい。ここで、ラジカル熱重合開始剤は、分解温度以上に加熱することにより、ラジカルを発生させる化合物である。このようなラジカル熱重合開始剤としては、例えば、ジアシルパーオキサイド(アセチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等)、ケトンパーオキサイド(メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等)、ハイドロパーオキサイド(過酸化水素、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等)、ジアルキルパーオキサイド(ジ−tert−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド等)、パーオキシエステル類(tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシピバレート等)、アゾ系化合物(アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル等)、過硫酸塩類(過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等)が挙げられる。このようなラジカル熱重合開始剤は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
ラジカル重合方法は、特に制限されるものでなく、乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法、溶液重合法等を採ることが可能である。典型的なラジカル重合方法である溶液重合についてさらに具体的に説明する。他の重合方法についても概要は同等であり、その詳細は例えば「高分子科学実験法」高分子学会編(東京化学同人、1981年)等に記載されている。
溶液重合を行うためには有機溶媒を使用する。これらの有機溶媒は本発明の目的、効果を損なわない範囲で任意に選択可能である。これらの有機溶媒は通常、大気圧下での沸点が50〜200℃の範囲内の値を有する有機化合物であり、各構成成分を均一に溶解させる有機化合物が好ましい。好ましい有機溶媒の例を示すと、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類;ジブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、γ−ブチロラクトン等のエステル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;が挙げられる。なお、これらの有機溶媒は、1種単独または2種以上を組み合わせて用いることが可能である。さらに、モノマーや生成するポリマーの溶解性の観点から上記有機溶媒に水を併用した水混合有機溶媒も適用可能である。
また、溶液重合条件も特に制限されるものではないが、例えば、50〜200℃の温度範囲内で、10分〜30時間加熱することが好ましい。さらに、発生したラジカルが失活しないように、溶液重合中はもちろんのこと、溶液重合開始前にも、不活性ガスパージを行うことが好ましい。不活性ガスとしては通常窒素ガスが好適に用いられる。
前記フッ素系ポリマーを好ましい分子量範囲で得るためには、連鎖移動剤を用いたラジカル重合法が特に有効である。連鎖移動剤としてはメルカプタン類(例えば、オクチルメルカプタン、デシルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプ
タン、オクタデシルメルカプタン、チオフェノール、p−ノニルチオフェノール等)、ポリハロゲン化アルキル類(例えば、四塩化炭素、クロロホルム、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,1−トリブロモオクタンなど)、低活性モノマー類(α−メチルスチレン、α−メチルスチレンダイマー等)のいずれも用いることができるが、好ましくは炭素数4〜16のメルカプタン類である。これらの連鎖移動剤の使用量は、連鎖移動剤の活性やモノマーの組み合わせ、重合条件などにより著しく影響され精密な制御が必要であるが、使用するモノマーの全モル数に対して好ましくは0.01モル%〜50モル%程度であり、より好ましくは0.05モル%〜30モル%、さらに好ましくは0.08モル%〜25モル%である。これらの連鎖移動剤は、重合過程において重合度を制御するべき対象のモノマーと同時に系内に存在させればよく、その添加方法については特に問わない。モノマーに溶解して添加してもよいし、モノマーと別途に添加することも可能である。
なお、本発明のフッ素系ポリマーは、ディスコティック液晶性化合物の配向状態を固定化するために置換基として重合性基を有するものも好ましい。
以下に、フッ素系ポリマーとして本発明に好ましく用いられる具体例を示すが、本発明はこれらの具体例によってなんら限定されるものではない。ここで式中の数値(a、b、c、d等の数値)は、それぞれ各モノマーの組成比を示す質量百分率であり、MwはGPCにより測定されたPEO換算の質量平均分子量である。
Figure 2007093864
Figure 2007093864
Figure 2007093864
Figure 2007093864
Figure 2007093864
本発明に用いられるフッ素系ポリマーは、公知慣用の方法で製造することができる。例えば先にあげたフッ素系モノマー、水素結合性基を有するモノマー等を含む有機溶媒中に、汎用のラジカル重合開始剤を添加し、重合させることにより製造できる。また、場合によりその他の付加重合性不飽和化合物を、さらに添加して上記と同じ方法にて製造することができる。各モノマーの重合性に応じ、反応容器にモノマーと開始剤を滴下しながら重合する滴下重合法なども、均一な組成のポリマーを得るために有効である。
本発明の光学異方性層等を形成する為の液晶性組成物(塗布液として調製した場合は、溶媒を除いた液晶性組成物の固形分)中における前記フッ素系ポリマーの含有量の好ましい範囲は、その用途によって異なるが、組成物(塗布液である場合は溶媒を除いた組成物の固形分)中、0.005〜8質量%であるのが好ましく、0.01〜5質量%であるのがより好ましく、0.05〜1質量%であるのがさらに好ましい。前記フッ素系ポリマーの添加量が0.005質量%以上であれば効果が充分であり、また8質量%以下であれば、塗膜の乾燥が充分に行なわれ、光学フィルムとしての性能(例えばレタデーションの均一性等)に影響を及ぼすことがなく、好ましい。
次に、同様に空気界面側垂直配向剤として使用可能な、式(III)で表される含フッ素化合物について説明する。
式(III)
(R0mo−L0−(W)no
式中、R0はアルキル基、末端にCF3基を有するアルキル基、または末端にCF2H基を有するアルキル基を表し、moは1以上の整数を表す。複数個のR0は同一でも異なっていてもよいが、少なくとも一つは末端にCF3基またはCF2H基を有するアルキル基を表す。L0は(mo+no)価の連結基を表し、Wはカルボキシル基(−COOH)もしくはその塩、スルホ基(−SO3H)もしくはその塩、またはホスホノキシ{−OP(=O)(OH)2}もしくはその塩を表し、noは1以上の整数を表す。
式(III)中、R0は含フッ素化合物の疎水性基として機能する。R0で表されるアルキル基は置換もしくは無置換のアルキル基であり、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、好ましくは炭素数1〜20のアルキル基であり、更に好ましくは4〜16のアルキル基であり、特に好ましくは6〜16のアルキル基である。該置換基としては後述の置換基群Dとして例示する置換基のいずれかを適用できる。
0で表される末端にCF3基を有するアルキル基は、好ましくは炭素数1〜20であり、より好ましくは4〜16であり、さらに好ましくは4〜8である。前記末端にCF3基を有するアルキル基は、アルキル基に含まれる水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換されたアルキル基である。アルキル基中の水素原子の50%以上がフッ素原子で置換されているのが好ましく、60%以上が置換されているのがより好ましく、70%以上を置換されているのが特に好ましい。残りの水素原子は、さらに後述の置換基群Dとして例示された置換基によって置換されていてもよい。R0で表される末端にCF2H基を有するアルキル基は、好ましくは炭素数1〜20であり、より好ましくは4〜16であり、さらに好ましくは4〜8である。前記末端にCF2H基を有するアルキル基は、アルキル基に含まれる水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換されたアルキル基である。アルキル基中の水素原子の50%以上がフッ素原子で置換されていることが好ましく、60%以上が置換されていることがより好ましく、70%以上を置換されていることがさらに好ましい。残りの水素原子は、さらに後述の置換基群Dとして例示する置換基によって置換されていてもよい。R0で表される末端にCF3基を有するアルキル基、または末端にCF2H基を有するアルキル基の例を以下に示す。
R1:n−C817
R2:n−C613
R3:n−C49
R4:n−C817−(CH22
R5:n−C613−(CH22
R6:n−C49−(CH22
R7:H−(CF28
R8:H−(CF26
R9:H−(CF24
R10:H−(CF28−(CH2)−
R11:H−(CF26−(CH2)−
R12:H−(CF24−(CH2)−
式(III)において、L0で表される(mo+no)価の連結基は、アルキレン基、アルケニレン基、芳香族基、ヘテロ環基、−CO−、−NRd−(Rdは炭素原子数が1〜5のアルキル基または水素原子)、−O−、−S−、−SO−、−SO2−からなる群より選ばれる基を少なくとも2つ組み合わせた連結基であることが好ましい。
式(III)において、Wはカルボキシル基(−COOH)もしくはその塩、スルホ基(−SO3H)もしくはその塩、またはホスホノキシ基{−OP(=O)(OH)2}もしくはその塩を表す。Wの好ましい範囲は、式(II)におけるQと同一である。
前記式 (III)で表される含フッ素化合物の中でも、下記式(III)−aまたは式(III)−bで表される化合物が好ましい。
Figure 2007093864
式(III)−a中、R4およびR5は各々アルキル基、末端にCF3基を有するアルキル基、または末端にCF2H基を有するアルキル基を表すが、R4およびR5が同時にアルキル基であることはない。W1およびW2は各々水素原子、カルボキシル基(−COOH)もしくはその塩、スルホ基(−SO3H)もしくはその塩、ホスホノキシ{−OP(=O)(OH)2}もしくはその塩、または置換基としてカルボキシル基、スルホ基もしくはホスホノキシ基を有する、アルキル基、アルコキシ基もしくはアルキルアミノ基を表すが、W1およびW2が同時に水素原子であることはない。
式(III)−b
(R6−L2−)m2(Ar1)−W3
式(III)−b中、R6はアルキル基、末端にCF3基を有するアルキル基、または末端にCF2H基を有するアルキル基を表し、m2は1以上の整数を表し、複数個のR6は同一でも異なっていてもよいが、少なくとも一つは末端にCF3基またはCF2H基を有するアルキル基を表す。L2は、アルキレン基、芳香族基、−CO−、−NR’−(R’は炭素原子数が1〜5のアルキル基または水素原子)、−O−、−S−、−SO−、−SO2−およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる2価の連結基を表し、複数個のL2は同一でも異なっていてもよい。Ar1は芳香族炭化水素環または芳香族ヘテロ環を表し、W3はカルボキシル基(−COOH)もしくはその塩、スルホ基(−SO3H)もしくはその塩、ホスホノキシ基{−OP(=O)(OH)2}もしくはその塩、または置換基としてカルボキシル基、スルホ基もしくはホスホノキシ基を有する、アルキル基、アルコキシ基もしくはアルキルアミノ基を表す。
まず、前記式(III)−aについて説明する。
4およびR5は前記式(III)におけるR0と同義であり、その好ましい範囲も同一である。W1およびW2で表されるカルボキシル基(−COOH)もしくはその塩、スルホ基(−SO3H)もしくはその塩、ホスホノキシ基{−OP(=O)(OH)2}もしくはその塩は前記式(III)におけるWと同義でありその好ましい範囲も同一である。W1およびW2で表される置換基としてカルボキシル基、スルホ基、ホスホノキシ基を有するアルキル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、好ましくは炭素数1〜20のアルキル基であり、更に好ましくは1〜8のアルキル基であり、特に好ましくは1〜3のアルキル基である。前記置換基としてカルボキシル基、スルホ基、ホスホノキシ基を有するアルキル基は、少なくとも一つのカルボキシル基、スルホ基、またはホスホノキシ基を有していればよく、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノキシ基としては、前記式(III)中のWが表すカルボキシル基、スルホ基、ホスホノキシ基と同義であり好ましい範囲も同一である。前記置換基としてカルボキシル基、スルホ基、ホスホノキシ基を有するアルキル基は、これ以外の置換基によって置換されていてもよく、該置換基としては後述の置換基群Dとして例示する置換基のいずれかを適用できる。W1およびW2で表される置換基としてカルボキシル基、スルホ基、ホスホノキシ基を有するアルコキシ基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、好ましくは炭素数1〜20のアルコキシ基であり、更に好ましくは1〜8のアルコキシ基であり、特に好ましくは1〜4のアルコキシ基である。前記置換基としてカルボキシル基、スルホ基、ホスホノキシ基を有するアルコキシ基は、少なくとも一つのカルボキシル基、スルホ基、またはホスホノキシ基を有していればよく、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノキシ基としては、前記式(III)中のWが表すカルボキシル基、スルホ基、ホスホノキシ基と同義であり好ましい範囲も同一である。前記カルボキシル基、スルホ基、ホスホノキシ基を有するアルコキシ基は、これ以外の置換基によって置換されていてもよく、該置換基としては後述の置換基群Dとして例示する置換基のいずれかを適用できる。W1およびW2で表される置換基としてカルボキシル基、スルホ基、ホスホノキシ基を有するアルキルアミノ基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、好ましくは炭素数1〜20のアルキルアミノ基であり、より好ましくは1〜8のアルキルアミノ基であり、さらに好ましくは1〜4のアルキルアミノ基である。前記カルボキシル基、スルホ基、ホスホノキシ基を有するアルキルアミノ基は、少なくとも一つのカルボキシル基、スルホ基、またはホスホノキシ基を有していればよく、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノキシ基としては、前記式(III)中のWが表すカルボキシル基、スルホ基、ホスホノキシ基と同義であり好ましい範囲も同一である。前記カルボキシル基、スルホ基、ホスホノキシ基を有するアルキルアミノ基は、これ以外の置換基によって置換されていてもよく、該置換基としては後述の置換基群Dとして例示する置換基のいずれかを適用できる。
1およびW2は、特に好ましくはそれぞれ水素原子または−(CH2nSO3M(nは0または1を表す。)である。Mはカチオンを表すが、分子内で荷電が0になる場合は、Mはなくてもよい。Mで表されるカチオンとしては、例えばプロトニウムイオン、アルカリ金属イオン(リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンなど)、アルカリ土類金属イオン(バリウムイオン、カルシウムイオンなど)、アンモニウムイオンなどが好ましく適用される。このうち、特に好ましくはプロトニウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオンである。
次に、前記式(III)−bについて説明する。
6は前記式(III)におけるR0と同義であり、その好ましい範囲も同一である。L2は、好ましくは炭素数1〜12のアルキレン基、炭素数6〜12の芳香族基、−CO−、−NR−、−O−、−S−、−SO−、−SO2−およびそれらの組み合わせからなる総炭素数0〜40の連結基を表し、より好ましくは炭素数1〜8のアルキレン基、フェニル基、−CO−、−NR−、−O−、−S−、−SO2−およびそれらの組み合わせからなる総炭素数0〜20の連結基を表す。Ar1は、好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素環を表し、より好ましくはベンゼン環またはナフタレン環を表す。W3で表されるカルボキシル基(−COOH)もしくはその塩、スルホ基(−SO3H)もしくはその塩、ホスホノキシ基{−OP(=O)(OH)2}もしくはその塩、または置換基としてカルボキシル基、スルホ基もしくはホスホノキシ基を有するアルキル基、アルコキシ基、またはアルキルアミノ基は、前記式(III)−aにおけるW1およびW2で表されるカルボキシル基(−COOH)もしくはその塩、スルホ基(−SO3H)もしくはその塩、ホスホノキシ{−OP(=O)(OH)2}もしくはその塩、または置換基としてカルボキシル基、スルホ基もしくはホスホノキシ基を有するアルキル基、アルコキシ基、またはアルキルアミノ基と同義でありその好ましい範囲も同一である。
3は、好ましくはカルボキシル基(−COOH)もしくはその塩、スルホ基(−SO3H)もしくはその塩、または置換基としてカルボキシル基(−COOH)もしくはその塩またはスルホ基(−SO3H)もしくはその塩を有するアルキルアミノ基であり、特に好ましくはSO3M、またはCO2Mである。Mはカチオンを表すが、分子内で荷電が0になる場合は、Mはなくてもよい。Mで表されるカチオンとしては、例えばプロトニウムイオン、アルカリ金属イオン(リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンなど)、アルカリ土類金属イオン(バリウムイオン、カルシウムイオンなど)、アンモニウムイオンなどが好ましく適用される。このうち、特に好ましくはプロトニウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオンである。
本明細書において、置換基群Dには、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8のアルキル基であり、例えば、メ
チル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、さらに好ましくは炭素数2〜8のアルケニル基であり、例えば、ビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基などが挙げられる)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、さらに好ましくは炭素数2〜8のアルキニル基であり、例えば、プロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、さらに好ましくは炭素数6〜12のアリール基であり、例えば、フェニル基、p−メチルフェニル基、ナフチル基などが挙げられる)、置換もしくは無置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、さらに好ましくは炭素数0〜6のアミノ基であり、例えば、無置換アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基などが挙げられる)、
アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、さらに好ましくは炭素数1〜8のアルコキシ基であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが挙げられる)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、さらに好ましくは炭素数6〜12のアリールオキシ基であり、例えば、フェニルオキシ基、2−ナフチルオキシ基などが挙げられる)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、さらに好ましくは炭素数1〜12のアシル基であり、例えば、アセチル基、ベンゾイル基、ホルミル基、ピバロイル基などが挙げられる)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、さらに好ましくは炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基であり、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、さらに好ましくは炭素数7〜10のアリールオキシカルボニル基であり、例えば、フェニルオキシカルボニル基などが挙げられる)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、さらに好ましくは炭素数2〜10のアシルオキシ基であり、例えば、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる)。
アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、さらに好ましくは炭素数2〜10のアシルアミノ基であり、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、さらに好ましくは炭素数2〜12のアルコキシカルボニルアミノ基であり、例えば、メトキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、さらに好ましくは炭素数7〜12のアリールオキシカルボニルアミノ基であり、例えば、フェニルオキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、さらに好ましくは炭素数1〜12のスルホニルアミノ基であり、例えば、メタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基などが挙げられる)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、さらに好ましくは炭素数0〜12のスルファモイル基であり、例えば、スルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基などが挙げられる)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、さらに好ましくは炭素数1〜12のカルバモイル基であり、例えば、無置換のカルバモイル基、メチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基などが挙げられる)、
アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、さらに好ましくは炭素数1〜12のアルキルチオ基であり、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基
などが挙げられる)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、さらに好ましくは炭素数6〜12のアリールチオ基であり、例えば、フェニルチオ基などが挙げられる)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、さらに好ましくは炭素数1〜12のスルホニル基であり、例えば、メシル基、トシル基などが挙げられる)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、さらに好ましくは炭素数1〜12のスルフィニル基であり、例えば、メタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基などが挙げられる)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、さらに好ましくは炭素数1〜12のウレイド基であり、例えば、無置換のウレイド基、メチルウレイド基、フェニルウレイド基などが挙げられる)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、さらに好ましくは炭素数1〜12のリン酸アミド基であり、例えば、ジエチルリン酸アミド基、フェニルリン酸アミド基などが挙げられる)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12のヘテロ環基であり、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有するヘテロ環基であり、例えば、イミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基などが挙げられる)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、さらに好ましくは、炭素数3〜24のシリル基であり、例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる)が含まれる。これらの置換基はさらにこれらの置換基によって置換されていてもよい。また、置換基が二つ以上有する場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに結合して環を形成していてもよい。
なお、本発明の含フッ素化合物は、ディスコティック液晶性化合物の配向状態を固定化するために置換基として重合性基を有するものも好ましい。
本発明に使用可能な式(III)にて表される含フッ素化合物の具体例を以下に示すが、本発明に用いられる含フッ素化合物はこれらに限定されるものではない。
Figure 2007093864
Figure 2007093864
Figure 2007093864
Figure 2007093864
Figure 2007093864
前記具体例中PTSはパラトルエンスルホン酸を表す。
前記液晶性組成物中における前記含フッ素化合物の含有量の好ましい範囲は、その用途によって異なるが、前記液晶性組成物(塗布液である場合は溶媒を除いた組成物の固形分)中、0.005〜8質量%であるのが好ましく、0.01〜5質量%であるのがより好ましく、0.05〜1質量%であるのがさらに好ましい。
第1の光学異方性層と第2の光学異方性は、それぞれ、前記含フッ素系化合物を含有することが好ましく、同一の含フッ素系化合物を1種類以上含有することがさらに好ましい。特に、同一のフッ素系化合物を採用すると、第1の光学異方性層と第2の光学異方性層を積層する場合に、両層の密着性がよくなり好ましい。
[水平配向剤]
本発明において、棒状液晶性化合物液晶を水平配向させるために、液晶性化合物の分子を水平配向させるのに寄与する下記一般式(IV)〜(VI)で表される化合物の少なくとも一種を含有するのが好ましい。なお、本発明で「水平配向」とは、液晶層の水平面に対して液晶性化合物の長軸方向が平行であることをいうが、厳密に平行であることを要求するものではなく、本明細書では、液晶性化合物の長軸方向の円盤面と水平面とのなす傾斜角が10度未満の配向を意味するものとする。傾斜角は5度以下が好ましく、3度以下がより好ましく、2度以下がさらに好ましく、1度以下が最も好ましい。前記傾斜角は0度であってもよい。
一般式(IV)
Figure 2007093864
上記式中、R 1 、R 2 及びR 3 は各々独立して、水素原子又は置換基を表し、X 1 、X 2 及びX 3 は単結合又は二価の連結基を表す。
一般式(V)
Figure 2007093864
上記式中、Rは置換基を表し、mは0〜5の整数を表す。mが2以上の整数を表す場合、複数個のRは同一でも異なっていてもよい。
一般式(VI)
Figure 2007093864
上記式中、R 4 、R 5 、R 6 、R 7 、R 8 及びR 9 は各々独立して、水素原子又は置換基を表す。
以下にさらに一般式(IV)〜(VI)にて表される化合物について詳細に説明する。まず、一般式(IV)にて表される化合物について説明する。
1 、R 2 、及びR 3 で各々表される置換基としては、アルキル基(好ましくは炭素数1〜40、より好ましくは炭素数1〜30、特に好ましくは炭素数1〜20のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜40、より好ましくは炭素数2〜30、特に好ましくは炭素数2〜20のアルケニル基であり、例えば、ビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基などが挙げられる)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜40、より好ましくは炭素数2〜30、特に好ましくは炭素数2〜20のアルキニル基であり、例えば、プロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12のアリール基であり、例えば、フェニル基、p−メチルフェニル基、ナフチル基などが挙げられる)、置換もしくは無置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜40、より好ましくは炭素数0〜30、特に好ましくは炭素数0〜20のアミノ基であり、例えば、無置換アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、アニリノ基などが挙げられる)、
アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜40、より好ましくは炭素数1〜30、特に好ましくは炭素数1〜20のアルコキシ基であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ
基などが挙げられる)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜40、より好ましくは炭素数6〜30、特に好ましくは炭素数6〜20のアリールオキシ基であり、例えば、フェニルオキシ基、2−ナフチルオキシ基などが挙げられる)、アシル基(好ましくは炭素数1〜40、より好ましくは炭素数1〜30、特に好ましくは炭素数1〜20のアシル基であり、例えば、アセチル基、ベンゾイル基、ホルミル基、ピバロイル基などが挙げられる)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜40、より好ましくは炭素数2〜30、特に好ましくは炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基であり、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜40、より好ましくは炭素数7〜30、特に好ましくは炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基であり、例えば、フェニルオキシカルボニル基などが挙げられる)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜40、より好ましくは炭素数2〜30、特に好ましくは炭素数2〜20のアシルオキシ基であり、例えば、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる)、
アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜40、より好ましくは炭素数2〜30、特に好ましくは炭素数2〜20のアシルアミノ基であり、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜40、より好ましくは炭素数2〜30、特に好ましくは炭素数2〜20のアルコキシカルボニルアミノ基であり、例えば、メトキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜40、より好ましくは炭素数7〜30、特に好ましくは炭素数7〜20のアリールオキシカルボニルアミノ基であり、例えば、フェニルオキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜40、より好ましくは炭素数1〜30、特に好ましくは炭素数1〜20のスルホニルアミノ基であり、例えば、メタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基などが挙げられる)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜40、より好ましくは炭素数0〜30、特に好ましくは炭素数0〜20のスルファモイル基であり、例えば、スルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基などが挙げられる)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜40、より好ましくは炭素数1〜30、特に好ましくは炭素数1〜20のカルバモイル基であり、例えば、無置換のカルバモイル基、メチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基などが挙げられる)、
アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜40、より好ましくは炭素数1〜30、特に好ましくは炭素数1〜20であり、例えば、フェニルチオ基などが挙げられる)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜40、より好ましくは炭素数1〜30、特に好ましくは炭素数1〜20のスルホニル基であり、例えば、メシル基、トシル基などが挙げられる)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜40、より好ましくは炭素数1〜30、特に好ましくは炭素数1〜20のスルフィニル基であり、例えば、メタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基などが挙げられる)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜40、より好ましくは炭素数1〜30、特に好ましくは炭素数1〜20のウレイド基であり、例えば、無置換のウレイド基、メチルウレイド基、フェニルウレイド基などが挙げられる)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜40、より好ましくは炭素数1〜30、特に好ましくは炭素数1〜20のリン酸アミド基であり、例えば、ジエチルリン酸アミド基、フェニルリン酸アミド基などが挙げられる)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12のヘテロ環基であり、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有するヘテロ環基であり、例えば、イミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基、1,3,5−トリアジル基などが挙げられる)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24のシリル基であり、例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる)が含まれる。これらの置換基はさらにこれらの置換基によって置換されていてもよい。また、置換基が二つ以上有する場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに結合して環を形成していてもよい。
1 、R 2 及びR 3 で各々表される置換基としては、好ましくはアルキル基、アリール基、置換もしくは無置換のアミノ基、アルコキシ基、アルキルチオ基又はハロゲン原子である。
1 、X 2 及びX 3 で表される二価の連結基は、アルキレン基、アルケニレン基、二価の芳香族基、二価のヘテロ環残基、−CO−、―NR a −(R a は炭素原子数が1〜5のアルキル基または水素原子)、−O−、−S−、−SO−、−SO 2 −及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。二価の連結基は、アルキレン基、フェニル基、−CO−、−NR a −、−O−、−S−、−SO 2 −及びそれらの群より選ばれる二価の連結基を少なくとも二つ組み合わせた基であることがより好ましい。
アルキレン基の炭素原子数は、1〜12であることが好ましい。アルケニレン基の炭素原子数は、2〜12であることが好ましい。二価の芳香族基の炭素原子数は、6〜10であることが好ましい。アルキレン基、アルケニレン基及び二価の芳香族基は、可能であれば前述のR 1 、R 2 及びR 3 の置換基として例示された基(例、アルキル基、ハロゲン原子、シアノ、アルコキシ基、アシルオキシ基)によって置換されていてもよい。
前記一般式(IV)で表される化合物の中でも、下記一般式(IVa)又は(IVb)で表される化合物が特に好ましい。
一般式(IVa)
Figure 2007093864
上記式中、R 1a 、R 2a 及びR 3a は、水素原子又は置換基を表し、X 1a 、X 2a 及びX 3a は、−NH−、−O−又は−S−を表し、m1a、m2a及びm3aは、1〜3の整数を表す。
一般式(IVb)
Figure 2007093864
上記式中、Rf 1 、Rf 2 及びRf 3 は、末端にCF 3 基又はCF 2 H基を有するアルキル基を表し、Y 1 、Y 2 及びY 3 は、アルキレン基、−CO−、−NH−、−O−、−S−、−SO 2 −及びそれらの群より選ばれる二価の連結基を少なくとも二つ組み合わせた基を表す。
まず、一般式(IVa)にて表される化合物について説明する。
1a 、R 2a 及びR 3a で各々表される置換基は、前記一般式(IV)におけるR 1
、R 2 及びR 3 と同義であり、その好ましい範囲も同一である。R 1a 、R 2a 及びR 3a で各々表される置換基としては、特に好ましくは末端にCF 3 基又はCF2 H基を有するアルコキシ基である。該アルコキシ基中に含まれるアルキル鎖は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、好ましくは炭素数4〜20であり、さらに好ましくは炭素数4〜16であり、特に好ましくは6〜16である。前記末端にCF 3 基又はCF 2 H基を有するアルコキシ基は、アルコキシ基に含まれる水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されたアルコキシ基である。アルコキシ基中の水素原子の50%以上がフッ素原
子で置換されているのが好ましく、60%以上が置換されているのがより好ましく、70%以上を置換されているのが特に好ましい。以下に、R 1a 、R 2a 及びR 3a で表される末端にCF 3 基又はCF 2 H基を有するアルコキシ基の例を示す。
R1:n−C 8 17 −O−
R2:n−C 6 13 −O−
R3:n−C 4 9 −O−
R4:n−C 8 17 −(CH 2 2 −O−(CH 2 2 −O−
R5:n−C 6 13 −(CH 2 2 −O−(CH 2 2 −O−
R6:n−C 4 9 −(CH 2 2 −O−(CH 2 2 −O−
R7:n−C 8 17 −(CH 2 3 −O−
R8:n−C 6 13 −(CH 2 3 −O−
R9:n−C 4 9 −(CH 2 3 −O−
R10:H−(CF 2 8 −O−
R11:H−(CF 2 6 −O−
R12:H−(CF 2 4 −O−
R13:H−(CF 2 8 −(CH 2 )−O−
R14:H−(CF 2 6 −(CH 2 )−O−
R15:H−(CF 2 4 −(CH 2 )−O−
R16:H−(CF 2 8 −(CH 2 )−O−(CH 2 2 −O−
R17:H−(CF 2 6 −(CH 2 )−O−(CH 2 2 −O−
R18:H−(CF 2 4 −(CH 2 )−O−(CH 2 2 −O−
1a 、X 2a 及びX 3a はそれぞれ、好ましくは、−NH−又は−O−を表し、最も好ましくは、−NH−を表す。m1a、m2a及びm3aはそれぞれ、好ましくは2である。
次に、一般式(IVb)にて表される化合物について説明する。
Rf 1 、Rf 2 及びRf 3 で表される末端にCF 3 基又はCF 2 H基を有するアルキル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、好ましくは炭素数4〜20であり、さらに好ましくは炭素数4〜16であり、特に好ましくは6〜16である。CF 3 基又はCF 2 H基以外の置換基を有していてもよい。前記末端にCF 3 基又はCF 2 H基を有するアルキル基は、アルキル基に含まれる水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されたアルキル基である。アルキル基中の水素原子の50%以上がフッ素原子で置換されているのが好ましく、60%以上が置換されているのがより好ましく、70%以上を置換されているのが特に好ましい。Rf 1 、Rf 2 及びRf 3 で表される末端にCF 3 基又はCF2 H基を有するアルキル基の例を以下に示す。
Rf1:n−C 8 17
Rf2:n−C 6 13
Rf3:n−C 4 9
Rf4:n−C 8 17 −(CH 2 2
Rf5:n−C 6 13 −(CH 2 2
Rf6:n−C 4 9 −(CH 2 2
Rf7:H−(CF 2 8
Rf8:H−(CF 2 6
Rf9:H−(CF 2 4
Rf10:H−(CF 2 8 −(CH 2 )−
Rf11:H−(CF 2 6 −(CH 2 )−
Rf12:H−(CF 2 4 −(CH 2 )−
1 、Y 2 及びY 3 はそれぞれ、好ましくは、アルキレン基、−NH−、−O−、−S−、及びそれらの群より選ばれる二価の連結基を少なくとも二つ組み合わせた基を表し、特に好ましくは、アルキレン基、−NH−、−O−、及びそれらの群より選ばれる二価の連結基を少なくとも二つ組み合わせた基を表し、最も好ましくは、−NH−、−O−又は−NH(CH 2 r −O−(rは1〜8の整数を表す。最も好ましくは3である。)を表す。
次に、一般式(V)で表される化合物について説明する。
式(V)中、Rで表される置換基としては、一般式(IV)におけるR 1 、R 2 、及びR 3 で表される置換基と同義であり、その好ましい範囲も同一である。mは、好ましくは1〜3の整数を表し、特に好ましくは2又は3である。
前記一般式(V)で表される化合物の中でも、下記一般式(Va)で表される化合物が特に好ましい。
一般式(Va)
Figure 2007093864
上記式中、Rf 1a 、Rf 2a 及びRf 3a ハ各々独立に、末端にCF 3 基又はCF 2 H基を有するアルキル基を表し、Y 1a 、Y 2a 及びY 3a は各々独立に、アルキレン基、−CO−、−NH−、−O−、−S−、−SO 2 −及びそれらの群より選ばれる二価の連結基を少なくとも二つ組み合わせた基を表す。
Rf 1a 、Rf 2a 及びRf 3a で表される末端にCF 3 基又はCF 2 H基を有するアルキル基としては、前記一般式(IVb)におけるRf 1 、Rf 2 及びRf 3 で表される末端にCF 3 基又はCF 2 H基を有するアルキル基と同義であり、その好ましい範囲も同一である。Y 1a 、Y 2a 及びY 3a としては、前記一般式(IVb)における。Y 1 、Y 2 及びY 3 と同義であり、その好ましい範囲も同一である。最も好ましくは、アルキレン基、−O−及びそれらの群より選ばれる二価の連結基を少なくとも二つ組み合わせた基である。
最後に、一般式(VI)にて表される化合物について説明する。
4 、R 5 、R 6 、R 7 、R 8 及びR 9 でそれぞれ表される置換基としては、一般式(IV)におけるR 1 、R 2 及びR 3 で表される置換基と同義であり、その好ましい範囲も同一である。
前記一般式(VI)で表される化合物の中でも、下記一般式(VIa)で表される化合物が特に好ましい。
Figure 2007093864
上記式中、Rf 11a 、Rf 22a 、Rf 33a 、Rf 44a 、Rf 55a 及びRf 66a は各々独立して、末端にCF 3 基又はCF 2 H基を有するアルキル基を表し、Y 11a 、Y 22a 、Y 33a 、Y 44a 、Y 55a 及びY 66a は各々独立して、アルキレン基、−CO−、−NH−、−O−、−S−、−SO 2 −及びそれらの群より選ばれる二価の連結基を少なくとも二つ組み合わせた基を表す。
Rf 11a 、Rf 22a 、Rf 33a 、Rf 44a 、Rf 55a 及びRf 66a でそれぞれ表される末端にCF 3 基又はCF 2 H基を有するアルキル基としては、前記一般式(IV
b)におけるRf 1 、Rf 2 及びRf 3 で表される末端にCF 3 基又はCF 2 H基を有するアルキル基と同義であり、その好ましい範囲も同一である。Y 11a 、Y 22a 、Y 33 a 、Y 44a 、Y 55a 及びY 66a としては、前記一般式(IVb)における。Y 1 、Y 2 及びY 3 と同義であり、その好ましい範囲も同一である。最も好ましくは、アルキレン基、−O−及びそれらの群より選ばれる二価の連結基を少なくとも二つ組み合わせた基である。
前記一般式(IV)、(V)又は(VI)で表される化合物の具体例を以下に示すが、本発明に用いられる化合物はこれらに限定されるものではない。下記の具体例中、No.I−1〜39は一般式(IV)、No.I−40〜50は一般式(V)、No.I−51〜59は一般式(VI)で表される化合物の例である。
Figure 2007093864
Figure 2007093864
Figure 2007093864
Figure 2007093864
Figure 2007093864
前記一般式(IV)〜(VI)にて表される化合物の添加量としては、液晶性化合物の量に対して0.01〜20質量%が好ましく、0.03〜5質量%がより好ましく、0.05〜3質量%がさらに好ましい。なお、前記一般式(IV)〜(VI)にて表される化合物は、単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
[塗布溶剤]
塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例えば、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例えば、ピリジン)、炭化水素(例えば、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例えば、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例えば、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライドおよびケトンが好ましい。2種類以上の有機溶媒を併用してもよい。塗布液の塗布は、公知の方法(例えば、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)により実施できる。
[重合性開始剤]
垂直配向させた液晶性化合物は、配向状態を維持して固定する。固定化は、液晶性化合物に導入した重合性基の重合反応により実施することが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれる。光重合反応が好ましい。光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許第2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許第2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許第3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許第4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許第4212970号明細書記載)が含まれる。
光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがさらに好ましい。液晶性化合物の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2〜50J/cm2であることが好ましく、100〜800mJ/cm2であることがさらに好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。位相差層の厚さは、0.1〜10μmであることが好ましく、0.5〜5μmであることがさらに好ましく、1〜5μmであることが最も好ましい。
[光学異方性層の他の添加剤]
上記の液晶性化合物と共に、可塑剤、界面活性剤、重合性モノマー等を併用して、塗工膜の均一性、膜の強度、液晶性化合物の配向性等を向上させることができる。これらの素材は液晶性化合物と相溶性を有し、配向を阻害しないことが好ましい。
重合性モノマーとしては、ラジカル重合性またはカチオン重合性の化合物が挙げられる。好ましくは、多官能性ラジカル重合性モノマーであり、上記の重合性基含有の液晶性化合物と共重合性のものが好ましい。例えば、特開2002−296423号公報明細書中の段落番号[0018]〜[0020]に記載のものが挙げられる。上記化合物の添加量は、液晶性化合物100質量部に対して、好ましくは1〜50質量部であり、より好ましくは5〜30質量部である。
界面活性剤としては、従来公知の化合物が挙げられるが、特にフッ素系化合物が好ましい。具体的には、例えば特開2001−330725号公報明細書中の段落番号[0028]〜[0056]に記載の化合物、特願2003−295212号公報明細書中の段落番号[0069]〜[0126]に記載の化合物が挙げられる。
液晶性化合物とともに使用するポリマーは、塗布液を増粘できることが好ましい。ポリマーの例としては、セルロースエステルを挙げることができる。セルロースエステルの好ましい例としては、特開2000−155216号公報明細書中の段落番号[0178]に記載のものが挙げられる。液晶性化合物の配向を阻害しないように、上記ポリマーの添加量は、液晶性化合物100質量部に対して0.1〜10質量部の範囲にあることが好ましく、0.1〜8質量部の範囲にあることがより好ましい。
液晶性化合物のディスコティックネマティック液晶相−固相転移温度は、70〜300℃が好ましく、70〜170℃がさらに好ましい。
[支持体]
本発明の位相差板は、支持体上に少なくとも一種の液晶性化合物を含有する光学異方性層を少なくとも2層形成してなり、該少なくとも2層の光学異方性層を該支持体側から順次光重合させて固定化させることによって製造される。支持体は、光学異方性層を固定化してしまえば、その役割を果たすため、位相差板において必ずしも必須のものではない。例えば、支持体として金属支持体を用いて、2層の光学異方性層を形成後、金属支持体から離すことによって、支持体を持たない位相差板とすることもできる。本発明の位相差板は、支持体として透明フィルム(透明支持体)を用い、該透明支持体上に液晶性組成物を塗布して光学異方性層を形成してなる、自己支持性のある位相差板であることが好ましい。
支持体としては、波長分散が小さいポリマーフィルムを用いることが好ましい。支持体は、さらに、光学異方性が小さいことが好ましい。支持体は光透過率が80%以上であること(透明支持体)が好ましい。波長分散が小さいとは、具体的には、Re(400)/
Re(700)の比が1.2未満であることが好ましい。
位相差板が上記式(1)を満たすよう調整するために、光学異方性のある支持体を用いてもよい。本発明の位相差板に用いられる支持体は、Reが0〜20nmで、Rthが−100nm〜100nmであることが好ましく、Reが0〜10nmで、Rthが−100nm〜20nmであることがさらに好ましい。
ポリマーの例には、セルロースエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリレート、ポリメタクリレートおよび環状ポリオレフィンが含まれる。この中でも、セルロースエステルが好ましく、セルロースアセテートがより好ましい。環状ポリオレフィンとしては、特公平2−9619号公報に記載のテトラシクロドデセン類の開環重合体またはテトラシクロドデセン類とノルボルネン類の開環共重合体を水素添加反応させて得られた重合体を構成成分とするポリマー、商品名としてはアートン(JSR製)や、ゼオネックス、ゼオノア(日本ゼオン製)のシリーズから使用することができる。ポリマーフィルムは、ソルベントキャスト法により形成することが好ましい。
ポリマーフィルムは、ソルベントキャスト法により形成することが好ましい。支持体の厚さは、20〜500μmであることが好ましく、50〜200μmであることがさらに好ましい。透明支持体とその上に設けられる層(接着層、垂直配向膜あるいは位相差層)との接着を改善するため、支持体に表面処理(例えば、グロー放電処理、コロナ放電処理、紫外線(UV)処理、火炎処理)を実施してもよい。支持体の上に、接着層(下塗り層)を設けてもよい。また、支持体や長尺の支持体には、搬送工程でのすべり性を付与したり、巻き取った後の裏面と表面の貼り付きを防止するために、平均粒径が10〜100nmの無機粒子を固形分重量比で5%〜40%混合したポリマー層を支持体の片側に塗布または支持体との共流延によって形成したものを用いることが好ましい。
本発明の好ましい態様は、支持体の長手方向に対して、光学異方性層の遅相軸が平行でも直交でもない方向にある態様である。具体的には、支持体の長手方向と光学異方性層の遅相軸とのなす角が5〜85°であることが好ましい。光学異方性層の遅相軸の角度はラビングの角度で調整できる。長尺状の支持体の長手方向に対して光学異方性層の遅相軸を平行でも直交でもない角度にすることで(例えば、支持体上に配向膜を形成し、該配向膜の表面を長手方向に対して5〜85°の方向にラビング処理することで)、製造時の長尺状の偏光膜とロールトゥロールによる貼り合せが可能になり、貼り合せの軸角度の精度が高く、生産性の高い位相差板の製造が可能になる。
[光学特性を有するポリマーフィルム]
本発明の位相差板は、光学特性を制御するために、液晶性化合物を含有する光学異方性層だけでなく、さらにポリマーフィルムを含んでもよい。ポリマーフィルムは、複屈折性を発現し得るポリマーから形成する。複屈折ポリマーフィルムとしては、複屈折特性の制御性、透明性、耐熱性に優れるものや、光弾性が小さいものが好ましい。この場合、用いる高分子材料としては均一な一軸配向もしくは二軸配向が達成できる高分子であれば特に制限はないが、従来公知のもので溶液流延法や押出し成形方式で製膜できるもの好ましく、ノルボルネン系高分子、ポリカーボネート系高分子、ポリアリレート系高分子、ポリエステル系高分子、ポリサルフォン等の芳香族系高分子、ポリプロピレン等のポリオレフィン、セルロースアシレート、または、それらポリマーの2種又は3種以上を混合したポリマーなどがあげられる。
ポリマーフィルムの光学異方性は、一軸または二軸延伸により得ることが好ましい。一軸延伸は、2つ以上のロールの周速差を利用した縦一軸延伸、またはポリマーフィルムの両サイドを掴んで幅方向に延伸するテンター延伸が好ましい。また、ポリマーフィルムを
縦方向および横方向に延伸することにより、二軸性の光学異方性を発現させてもよい。なお、二枚以上のポリマーフィルムを用いて、二枚以上のフィルム全体の光学的性質が前記の条件を満足してもよい。ポリマーフィルムは、複屈折のムラを少なくするためにソルベントキャスト法により製造することが好ましい。ポリマーフィルムの厚さは、20〜400nmであることが好ましく、30〜100nmであることがより好ましい。
Rthが負の値となる光学特性を有するポリマーフィルムは、熱収縮性のフィルムを貼り合わせて加熱しながら所定の張力を加え高分子フィルムを膜の厚さ方向に延伸する方法(特開2000−206328号公報、特開2000−304925号公報)や、ビニルカルバゾール系高分子を塗布して乾燥させる方法(特開2001−091746号公報)で容易に形成できる。
[配向膜]
本発明の位相差板は、配向膜を有してもよい。すなわち、支持体上に配向膜を設けて、該配向膜の表面に前記液晶性組成物を塗布して、液晶性化合物の分子を配向させてもよい。配向膜は、液晶性化合物の配向方向を規定する機能を有するため、本発明の好ましい態様を実現する上で利用するのが好ましい。しかし、液晶性化合物を配向後にその配向状態を固定してしまえば、配向膜はその役割を果たすため、本発明の構成要素としては必ずしも必須のものではない。即ち、配向状態が固定された配向膜上の光学異方性層のみを支持体上に転写して本発明の位相差板を作製することも可能である。
配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、またはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例えば、ω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で設けることができる。さらに、電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により、配向機能が生じる配向膜も知られている。
配向膜は、ポリマーのラビング処理により形成することが好ましい。
ポリマーの例には、例えば特開平8−338913号公報の段落番号[0022]に記載のメタクリレート系共重合体、スチレン系共重合体、ポリオレフィン、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチルセルロース、ポリカーボネート等が含まれる。シランカップリング剤をポリマーとして用いることができる。水溶性ポリマー(例えば、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール)が好ましく、ゼラチン、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールがさらに好ましく、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールが最も好ましい。
ポリビニルアルコールのケン化度は、70〜100%が好ましく、80〜100%がより好ましい。ポリビニルアルコールの重合度は100〜5000であることが好ましい。
本発明の配向膜では、架橋性官能基(例えば、二重結合)を有する側鎖を主鎖に結合させるか、または、液晶性化合物を配向させる機能を有する架橋性官能基を側鎖に導入することが好ましい。配向膜に使用されるポリマーは、それ自体架橋可能なポリマーあるいは架橋剤により架橋されるポリマーのいずれも使用することができ、これらの組み合わせを複数使用することができる。
架橋性官能基を有する側鎖を配向膜ポリマーの主鎖に結合させるか、または、液晶性化合物を配向させる機能を有する側鎖に架橋性官能基を導入すると、配向膜のポリマーと光学異方性層に含まれる多官能モノマーとを共重合させることができる。その結果、多官能モノマーと多官能モノマーとの間だけではなく、配向膜ポリマーと配向膜ポリマーとの間、そして多官能モノマーと配向膜ポリマーとの間も共有結合で強固に結合される。従って、架橋性官能基を配向膜ポリマーに導入することで、光学補償シートの強度を著しく改善することができる。
配向膜ポリマーの架橋性官能基は、多官能モノマーと同様に、重合性基を含むことが好ましい。具体的には、例えば特開2000−155216号公報の段落番号[0080]〜[0100]に記載のもの等が挙げられる。
配向膜ポリマーは、上記の架橋性官能基とは別に、架橋剤を用いて架橋させることもできる。架橋剤としては、アルデヒド、N−メチロール化合物、ジオキサン誘導体、カルボキシル基を活性化することにより作用する化合物、活性ビニル化合物、活性ハロゲン化合物、イソオキサゾールおよびジアルデヒド澱粉が含まれる。二種類以上の架橋剤を併用してもよい。具体的には、例えば特開2002−62426号公報の段落番号[0023]〜[0024]に記載の化合物等が挙げられる。反応活性の高いアルデヒドが好ましく、グルタルアルデヒドがより好ましい。
架橋剤の添加量は、ポリマーに対して0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜15質量%がさらに好ましい。配向膜に残存する未反応の架橋剤の量は、1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。このように調節することで、配向膜を液晶表示装置に長期使用し、または高温高湿の雰囲気下に長期間放置しても、レチキュレーション発生のない充分な耐久性が得られる。
配向膜は、例えば、配向膜形成材料である上記ポリマー、架橋剤および添加剤を含む溶液を透明支持体上に塗布した後、加熱乾燥(架橋させ)し、ラビング処理することにより形成することができる。架橋反応は、前記のように、透明支持体上に塗布した後、任意の時期に行なってよい。ポリビニルアルコールのような水溶性ポリマーを配向膜形成材料として用いる場合には、塗布液は消泡作用のある有機溶媒(例えば、メタノール)と水の混合溶媒とすることが好ましい。その比率は質量比で水:メタノールが0:100〜99:1が好ましく、0:100〜91:9であることがさらに好ましい。これにより、泡の発生が抑えられ、配向膜、さらには光学異方層の層表面の欠陥が著しく減少する。
配向膜の塗布方法は、スピンコーティング法、ディップコーティング法、カーテンコーティング法、エクストルージョンコーティング法、ロッドコーティング法またはロールコーティング法が好ましく、ロッドコーティング法がより好ましい。また、乾燥後の膜厚は0.1〜10μmが好ましい。加熱乾燥は、20℃〜130℃で行なうことができる。充分な架橋を形成するためには40℃〜120℃が好ましく、特に50℃〜110℃が好ましい。乾燥時間は1分〜36時間で行なうことができるが、好ましくは1分〜30分である。pHも、使用する架橋剤に最適な値に設定することが好ましく、グルタルアルデヒドを使用した場合は、pH4.5〜5.5が好ましく、5がさらに好ましい。
配向膜は、透明支持体上に設けることが好ましい。配向膜は、上記のようにポリマー層を架橋したのち、表面をラビング処理することにより得ることができる。
前記ラビング処理は、LCDの液晶配向処理工程として広く採用されている処理方法を適用することができる。即ち、配向膜の表面を、紙やガーゼ、フェルト、ゴムあるいはナイロン、ポリエステル繊維などを用いて一定方向に擦ることにより、配向を得る方法を用いることができる。一般的には、長さおよび太さが均一な繊維を平均的に植毛した布などを用いて数回程度ラビングを行うことにより実施される。
配向膜のラビング処理面に前記液晶性組成物を塗布して、液晶性化合物の分子を配向させる。その後、必要に応じて、配向膜ポリマーと光学異方性層に含まれる多官能モノマーとを反応させるか、あるいは、架橋剤を用いて配向膜ポリマーを架橋させることで、前記
光学異方性層を形成することができる。
配向膜の膜厚は、0.1〜10μmの範囲にあることが好ましい。
また、第1の光学異方性層の上に第2の光学異方性層を積層するとき、前記2層の間に実質的に配向膜を設けない態様が好ましい。この「実質的に配向膜がない」とは、配向膜として機能させるためだけに形成された膜を含んでいないことを意味する。第1の光学異方性層の表面が、第2の光学異方性層の液晶性化合物が配向するのに寄与する場合であっても、第1の光学異方性層が配向膜としてのみ用いるために形成されていない限り、ラビングの有無に関わらず、「実質的に配向膜がない」態様に含まれる。
次に、本発明の位相差板の製造方法について説明する。
本発明の位相差板の製造方法(上述の第1の位相差板の発明の製造方法)は、支持体上に少なくとも一種の液晶性化合物を含有する光学異方性層を少なくとも2層形成してなり、該少なくとも2層の光学異方性層を該支持体側から順次光重合させて固定化させる位相差板の製造方法において、前記光学異方性層のうち支持体側を光重合させた後の層の重合率が10〜90%となるように重合率を調整することを特徴とする。
前記光学異方性層のうち支持体側の層の重合率を上述の範囲内に調整するには、UV照射量を調整することで実現できる。UV強度を0.5〜5kWであるとき、照射量を50〜1000mJ/cm2にするのが好ましい。
また、本発明の位相差板の他の製造方法(上述の第2の位相差板の発明の製造方法)は、支持体上に少なくとも一種の液晶性化合物を含有する光学異方性層を少なくとも2層形成してなり、該少なくとも2層の光学異方性層を該支持体側から順次光重合させて固定化させる位相差板の製造方法において、前記光学異方性層のうち支持体側の層を光重合させた後の表面の重合率が1〜50%となるように重合率を調整することを特徴とする。
前記光学異方性層のうち支持体側の層の表面の重合率を上述の範囲内に調整するには、UV照射量を調整することで実現できる。UV強度を0.5〜5kWであるとき、照射量を50〜1000mJ/cm2にするのが好ましい。
[偏光板]
次いで、本発明の偏光板について説明する。
本発明の偏光板は、本発明の位相差板と偏光膜とが貼り合わされてなる。本発明の位相差板は偏光膜の保護膜としても機能できる。前記支持体が偏光膜の保護膜として機能して、位相差板一体型偏光板として提供されるのが好ましい。また、本発明の位相差板と保護膜を有す偏光板とを貼り合わされてもよい。
偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。偏光膜の吸収軸は、フィルムの延伸方向に相当する。従って、縦方向(搬送方向)に延伸された偏光膜は長手方向に対して平行に吸収軸を有し、横方向(搬送方向と垂直方向)に延伸された偏光膜は長手方向に対して垂直に吸収軸を有す。
本発明の偏光板の好ましい製造方法は、偏光膜と位相差板がそれぞれ長尺の状態で連続的に積層される工程を含む。該長尺の偏光板は用いられる液晶表示装置の画面の大きさに合わせて裁断される。
直線偏光膜と位相差板を組み合わせて楕円偏光板として構成しておくと、容易に反射型および半透過型液晶表示装置に組み込むことができる。また、有機EL表示装置の反射防止膜としても用いることができる。また、長尺状の楕円偏光板に、別途作製した長尺状のコレステリック液晶性フィルムもさらに積層できるので、生産性の高い輝度向上膜の製造も容易になる。
偏光膜は一般に保護膜を有する。本発明において、液晶性化合物からなる光学異方性層を透明支持体上に形成した場合、該透明支持体を保護膜として機能させることができる。その支持体とは別に偏光膜の保護膜を用いる場合は、保護膜として光学的等方性が高いセルロースエステルフィルムやノルボルネン系ポリマーフィルムを用いることが好ましい。
[液晶表示装置]
次いで、本発明の液晶表示装置について説明する。
本発明の液晶表示装置は、前記位相差板を少なくとも有するものであり、反射型、半透過型、透過型液晶表示装置等が含まれる。液晶表示装置は一般的に、偏光板、液晶セル、および必要に応じて位相差板、反射層、光拡散層、バックライト、フロントライト、光制御フィルム、導光板、プリズムシート、カラーフィルター等の部材から構成されるが、本発明においては前記位相差板を使用することを必須とする点を除いて特に制限は無い。また前記位相差板の使用位置は特に制限はなく、また、1カ所でも複数カ所でも良い。液晶セルとしては特に制限されず、電極を備える一対の透明基板で液晶層を狭持したもの等の一般的な液晶セルが使用できる。液晶セルを構成する前記透明基板としては、液晶層を構成する液晶性を示す材料を特定の配向方向に配向させるものであれば特に制限はない。具体的には、基板自体が液晶を配向させる性質を有していている透明基板、基板自体は配向能に欠けるが、液晶を配向させる性質を有する配向膜等をこれに設けた透明基板等がいずれも使用できる。また、液晶セルの電極は、公知のものが使用できる。通常、液晶層が接する透明基板の面上に設けることができ、配向膜を有する基板を使用する場合は、基板と配向膜との間に設けることができる。前記液晶層を形成する液晶性を示す材料としては、特に制限されず、各種の液晶セルを構成し得る通常の各種低分子液晶性化合物、高分子液晶性化合物およびこれらの混合物が挙げられる。また、これらに液晶性を損なわない範囲で色素やカイラル剤、非液晶性化合物等を添加することもできる。
前記液晶セルは、前記電極基板および液晶層の他に、後述する各種の方式の液晶セルとするのに必要な各種の構成要素を備えていても良い。前記液晶セルの方式としては、TN(Twisted Nematic)方式、STN(SuperTwisted Nematic)方式、ECB(Electrically Controlled Birefringence)方式、IPS(In−Plane Switching)方式、VA(Vertical Alignment)方式、MVA(Multidomain Vertical Alignment)方式、PVA(Patterned Vertical Alignment)方式、OCB(Optically Compensated Birefringence)方式、HAN(Hybrid Aligned Nematic)方式、ASM(Axially Symmetric Aligned
Microcell)方式、ハーフトーングレイスケール方式、ドメイン分割方式、あるいは強誘電性液晶、反強誘電性液晶を利用した表示方式等の各種の方式が挙げられる。また、液晶セルの駆動方式も特に制限はなく、STN−LCD等に用いられるパッシブマトリクス方式、並びにTFT(Thin Film Transistor)電極、TFD(Thin Film Diode)電極等の能動電極を用いるアクティブマトリクス方式、プラズマアドレス方式等のいずれの駆動方式であっても良い。カラーフィルターを使用しないフィールドシーケンシャル方式であってもよい。
本発明における偏光板は、反射型、半透過型、および透過型液晶表示装置に好ましく用いられる。また、本発明における偏光板は、コレステリック液晶フィルムと組み合わされることで、輝度向上膜としても好ましく用いられる。反射型液晶表示装置は、反射板、液晶セルおよび偏光板を、この順に積層した構成を有する。位相差板は、反射板と偏光膜との間(反射板と液晶セルとの間または液晶セルと偏光膜との間)に配置される。反射板は、液晶セルと基板を共有していてもよい。半透過反射型液晶表示装置は、電液晶セルと、該液晶セルより観察者側に配置された偏光板と、前記偏光板と前記液晶セルの間に配置される少なくとも1枚の位相差板と、観察者から見て前記液晶層よりも後方に設置された半透過反射層を少なくとも備え、さらに観察者から見て前記半透過反射層よりも後方に少なくとも1枚の位相差板と偏光板とを有す。このタイプの液晶表示装置では、バックライトを設置することで反射モードと透過モード両方の使用が可能となる。
前記液晶表示装置において、本発明の位相差板と組み合わされた偏光板は楕円偏光板または円偏光板等として機能する。本発明における液晶表示装置は、本発明の前記位相差板を少なくとも1ヶ所に用いたものである。
本発明の位相差板および偏光板は前記用途に限らず、その他の種々の用途に供することが出来る。例えば、ホスト−ゲスト型液晶表示装置、タッチパネル、エレクトロルミネッセンス(EL)素子などの反射防止膜、反射型偏光板などに用いることができる。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[実施例1]
<セルロースアセテートフィルムの作製>
(セルロースアセテート溶液の調製)
下記の組成に示す各成分をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液Aを調製した。
(セルロースアセテート溶液Aの組成)
アセチル置換度2.94のセルロースアセテート 100.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 402.0質量部
メタノール(第2溶媒) 60.0質量部
(マット剤溶液の調製)
平均粒径16nmのシリカ粒子(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製)を20質量部、メタノール80質量部を30分間よく攪拌混合してシリカ粒子分散液とした。この分散液を下記の組成に示す各成分とともに分散機に投入し、さらに30分以上攪拌して各成分を溶解し、マット剤溶液を調製した。
(マット剤溶液組成)
平均粒径16nmのシリカ粒子分散液 10.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 76.3質量部
メタノール(第2溶媒) 3.4質量部
セルロースアセテート溶液A 10.3質量部
(添加剤溶液の調製)
下記組成に示す各成分をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。
(添加剤溶液組成)
下記の光学異方性低下剤 49.3質量部
下記の波長分散調整剤 4.9質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 58.4質量部
メタノール(第2溶媒) 8.7質量部
セルロースアセテート溶液A 12.8質量部
光学異方性低下剤
Figure 2007093864
波長分散調整剤
Figure 2007093864
(セルロースアセテートフィルムの作製)
上記セルロースアセテート溶液Aを94.6質量部、マット剤溶液を1.3質量部、添加剤溶液4.1質量部のそれぞれを濾過後に混合し、バンド流延機を用いて流延した。上記組成で光学異方性低下剤および波長分散調整剤のセルロースアセテートに対する質量比はそれぞれ12%、1.2%であった。残留溶剤量30%でフィルムをバンドから剥離し、140℃で40分間乾燥させ、厚さ80μmの長尺状のセルロースアセテートフィルムを製造した。得られたフィルムの面内レタデーション(Re)は1nm(遅相軸はフィルム長手方向と垂直な方向)、厚み方向のレタデーション(Rth)は−1nmであった。
<位相差板1−1bの作製>
(配向膜の形成)
上記作製したセルロースアセテートフィルムの表面をケン化後、下記組成の配向膜塗布液を#14のワイヤーバーで連続的に塗布した。60℃の温風で60秒、さらに100℃の温風で120秒乾燥し、膜を形成した。次に、形成した膜にフィルムの長手方向に対して45°の方向に連続的にラビング処理を施して配向膜を形成した。
(配向膜塗布液の組成)
下記の変性ポリビニルアルコール 10質量部
水 371質量部
メタノール 119質量部
グルタルアルデヒド 0.5質量部
変性ポリビニルアルコール
Figure 2007093864
(第1の光学異方性層の形成)
下記の組成のディスコティック液晶性化合物を含む光学異方性層塗布液を上記作製した配向膜上に#3.6のワイヤーバーで連続的に塗布した。塗布液の溶媒の乾燥及びディスコティック液晶性化合物の配向熟成のために、100℃の温風で30秒、さらに130℃の温風で60秒間加熱した。続いて、UV照射(UV強度:1.8kW、照射量:350mJ/m2)により液晶性化合物の配向を固定化し支持体側の光学異方性層である第1の光学異方性層を形成し、位相差板1−1aを作製した。このときの重合率を表1に示す。
(第1の光学異方性層塗布液の組成)
下記のディスコティック液晶性化合物 91質量部
エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート
(V#360、大阪有機化学(株)製) 9質量部
光重合開始剤 3質量部
(イルガキュアー907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製) 1質量部
フッ素系ポリマー P−19 0.4質量部
ピリジニム塩 I−30 0.5質量部
メタノール 30質量部
メチルエチルケトン 165質量部
ディスコティック液晶性化合物
Figure 2007093864
自動複屈折率計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株)社製)を用いて、上記作製した位相差板1−1aの589nmにおけるRe(0)、Re(40)およびRe(−40)を測定し、Rth、および、Nzを求めた(表3)。これらの結果からディスコティック液晶性化合物の円盤面のフィルム面に対する平均傾斜角は90°であり、ディスコティック液晶性化合物がフィルム面に対して垂直に配向していることが確認できた。また、遅相軸の方向は配向膜のラビング方向と平行であり、支持体の長手方向となす角は45°であった。
(第2の光学異方性層の形成)
上記作製した位相差板1−1aの第1の光学異方性層の上に、下記組成の棒状液晶性化合物を含む光学異方性層塗布液を配向膜上に#3.0のワイヤーバーで連続的に塗布した。塗布液の溶媒の乾燥及び棒状液晶性化合物の配向熟成のために、90℃の温風で60秒間加熱した。続いて、UV照射(UV強度:1.8kW、照射量:350mJ/m2)により液晶性化合物の配向を固定化し第2の光学異方性層を形成した。続いて、光学異方性層が形成された面の反対側のセルロースアセテートフィルム表面を連続的にケン化処理し、位相差板1−1bを作製した。
(第2の光学異方性層塗布液の組成)
下記の棒状液晶性化合物A 100質量部
光重合開始剤 3質量部
(イルガキュアー907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製) 1質量部
フッ素系ポリマー P−22 0.2質量部
下記のフッ素系ポリマー(D) 0.2質量部
ピリジニム塩I−12 2質量部
メタノール 30質量部
メチルエチルケトン 168質量部
棒状液晶性化合物A
Figure 2007093864
フッ素系ポリマー(D)
Figure 2007093864
上記と同様にして、位相差板1−1bの589nmにおけるRe(0)、Re(40)およびRe(−40)を測定し、Rth、および、Nzを求めた。その結果を表3に示す。これらの結果から、ディスコティック液晶性化合物がフィルム面(光学異方性層面)に対して垂直に配向している第1の光学異方性層の上に、棒状液晶性化合物がフィルム面(光学異方性層面)に対して垂直に配向している第2の光学異方性層が形成されたことが確認できた。また、遅相軸の方向は配向膜のラビング方向と平行であり、支持体の長手方向となす角は45°であった。
第1の光学異方性層の形成において、UV強度と照射量を調整して表1に示したように重合率が異なる試料1−2a〜1−8aを作成した。第1の光学異方性層のみが形成されている位相差板1−2a〜1−8aについても589nmにおけるRe(0)、Re(40)およびRe(−40)を測定し、Rth、および、Nzを求めたところ、試料1−1aと同等の結果であった。第2の光学異方性層を上記と同様にして、作成した試料1−2b〜1−8bについて密着の評価を行った。
第1の光学異方性層の重合率は、作成した位相差フィルムの赤外吸収分光光度計で、アクリロイル基の面内変角振動の吸収帯である810cm-1付近のピークの吸光度を測定し、紫外線照射前のフィルムの吸光度比から求めた。
第1の光学異方性層の表面の重合率は、作成した位相差フィルムをFT−IR分光光度計を用いて表面反射の吸収を測定し、上記810cm-1付近のピークの吸光度から求めた。
密着の評価は、作成した位相差フィルムを温度25℃、相対湿度60%の条件で2時間調湿した。液晶塗布面を、カッターナイフで碁盤目状に縦11本、横11本の切り込みを入れ、日東電工(株)製のポリエステル粘着テープ(No.31B)における密着試験を同じ場所で繰り返し2回行った。ハードコート層の剥がれの有無を目視で観察し、その結果の平均値に対して、下記の4段階で評価を行った。
◎:100ますのうち、剥がれが全く認められなかったもの
○:100ますのうち、剥がれが認められたのが2ます以下のもの
△:100ますのうち、剥がれが認められたのが3ます以上10ます以下のもの
×:100ますのうち、剥がれが認められたものが10升をこえたもの
Figure 2007093864
[実施例2]
<位相差板2−1bの作製>
(第1の光学異方性層の形成)
上記作製した長尺状のセルロースアセテートフィルムの表面をケン化処理し、実施例1と同様に連続的に配向膜を形成し、長手方向に対し45°の方向にラビング処理を施した。その配向膜上に、下記の組成の棒状液晶性化合物を含む塗布液を配向膜上に#2.0のワイヤーバーで連続的に塗布した。塗布液の溶媒の乾燥及び棒状液晶性化合物の配向熟成のために、90℃の温風で60秒間加熱した。続いて、UV照射(UV強度:1.8kW、照射量:350mJ/m2)により液晶性化合物の配向を固定化し支持体側の光学異方性層である第1の光学異方性層を形成し、位相差板2−1aを作製した。第1の光学異方性層のみが形成されている位相差板2−1aについても589nmにおけるRe(0)、Re(40)およびRe(−40)を測定し、Rth、および、Nzを求めた。結果を表3に示す。
(第1の光学異方性層塗布液の組成)
上記棒状液晶性化合物A 100質量部
光重合開始剤 3質量部
(イルガキュアー907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製) 1質量部
下記のフッ素系ポリマー(F) 0.4質量部
前記の水平配向剤(G)I−13 0.2質量部
メチルエチルケトン 194質量部
フッ素系ポリマー(F)
Figure 2007093864
実施例1と同様に、位相差板2−1aの589nmにおけるRe(0)、Re(40)およびRe(−40)を測定し、Rth、および、Nzを求めた。結果を表3に示す。これらの結果から棒状液晶性化合物の長軸のフィルム面に対する平均傾斜角は0°であり、棒状液晶性化合物がフィルム面に対して水平に配向していることが確認できた。また、遅相軸の方向は配向膜のラビング方向と平行であり、支持体の長手方向となす角は45°であった。
(第2の光学異方性層の形成)
上記作製した位相差板2−1aの第1の光学異方性層の上に、第1光学異方性層の場合と同様にして配向膜を形成した。続いて、その配向膜上に、#3.4のワイヤーバーを使用する以外は実施例1で第2の光学異方性層を形成したときと同様にして、第2の光学異方性を形成した。続いて、光学異方性層が形成された面の反対側のセルロースアセテートフィルム表面を連続的にケン化処理し、位相差板2−1bを作製した。
上記と同様にして、位相差板2−1bの589nmにおけるRe(0)、Re(40)およびRe(−40)を測定し、Rth、および、Nzを求めた。結果を表3に示す。これらの結果から、棒状液晶がフィルム面(光学異方性層面)に対して水平に配向している第1の光学異方性層の上に、棒状液晶性化合物がフィルム面(光学異方性層面)に対して垂直に配向している第2の光学異方性層が形成されたことが確認できた。また、遅相軸の方向は配向膜のラビング方向と平行であり、支持体の長手方向となす角は45°であった。
第1の光学異方性層の形成において、UV強度と照射量を調整して表2に示したように重合率が異なる試料2−2a〜2−8aを作成した。第1の光学異方性層のみが形成されている位相差板2−2a〜2−8aについても589nmにおけるRe(0)、Re(40)およびRe(−40)を測定し、Rth、および、Nzを求めたところ、試料1−1aと同等の結果であった。第2の光学異方性層を上記と同様にして、作成した試料2−2b〜2−8bについて密着の評価を行った。
Figure 2007093864
Figure 2007093864
[実施例3]
<偏光板1および2の作製>
ヨウ素水溶液中で連続して染色した厚さ80μmのロール状ポリビニルアルコールフィルムを搬送方向に5倍延伸し、乾燥して長尺の偏光膜を得た。この偏光膜の一方の面に、上記作製した位相差板1−1bの光学異方性層が形成されていない面を、他方の面に視野角拡大フィルム(WV FILM ワイドビューA WV SA 128)を、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて連続して貼り合わせ、長尺の偏光板1を作製した。偏光膜の吸
収軸はフィルム長手方向に対して平行であり、ワイドビューフィルムの遅相軸はフィルム長手方向と直交していた。偏光膜の吸収軸と位相差板1−1bの遅相軸とがなす角は45.0°であった。
同様にして、位相差板2−1bを用いて、それぞれ偏光板2を作製した。いずれも偏光膜の吸収軸はフィルム長手方向に対して平行であり、ワイドビューフィルムの遅相軸はフィルム長手方向と直交していた。偏光膜の吸収軸と位相差板2−1bのそれぞれの遅相軸とのなす角はいずれも45.0°であった。
[実施例4]
<偏光板3および4の作製>
特開2003−337221号公報の実施例に記載の方法と同様にして、長尺状のコレステリック液晶フィルムを作製した。上記作製した偏光板1のワイドビューフィルムと反対側の面に、コレステリック液晶性フィルムを連続的に貼り合せ、長尺状の偏光板3を作製した。
同様にして、偏光板2とコレステリック液晶性フィルムをそれぞれ連続的に貼り合せ、長尺状の偏光板4を作製した。
[比較例]
<偏光板5および6の作製>
実施例1〜2で作成した位相差板1−1aおよび2−1aを、光学異方性層が形成された面と反対側のセルロースアセテートフィルム表面を連続的にケン化処理した。実施例3と同様にして、長尺状の偏光膜を作製し、その偏光膜の一方の面に、上記作製した位相差板1−1aおよび2−1aの光学異方性層が形成されていない面を、他方の面にワイドビューフィルムを、連続して貼り合わせ、長尺の偏光板5および6をそれぞれ作製した。偏光膜の吸収軸はフィルム長手方向に対して平行であり、ワイドビューフィルムの遅相軸はフィルム長手方向と直交していた。偏光膜の吸収軸と位相差板1−1aおよび2−1aの遅相軸とのなす角はいずれも45.0°であった。
<偏光板7および8の作製>
実施例4と同様にして、長尺状のコレステリック液晶フィルムを作製し、偏光板5および6のワイドビューフィルムと反対側の面と、コレステリック液晶フィルムをそれぞれ連続的に貼り合せ、長尺状の偏光板7および8をそれぞれ作製した。
[実施例5]
<液晶表示装置の作製>
TN型液晶セルを使用した液晶表示装置(AQUOS LC20C1S、シャープ(株)製)に設けられている一対の偏光板のうち、バックライト側の偏光板のみを剥がし、代わりに上記作製した偏光板3、4、7および8を、ワイドビューフィルムが液晶セル側となるように粘着剤を介して、貼り付けた。観察者側の偏光板の透過軸と、バックライト側の偏光板の透過軸とは、Oモードとなるように配置した。
作製した液晶表示装置について、測定機(EZ−Contrast 160D、ELDIM社製)を用いて、黒表示(L1)から白表示(L8)までで視野角を測定した。偏光板8を用いた場合に対する白表示時の正面輝度を1.00として、表4に相対値として示した。また、白表示を斜め方向から観察したところ、偏光板7および8を用いた場合に比べ、偏光板3および4を用いた場合は色付きが小さかった。
Figure 2007093864

Claims (12)

  1. 支持体上に少なくとも一種の液晶性化合物を含有する光学異方性層を少なくとも2層形成してなり、該少なくとも2層の光学異方性層を該支持体側から順次光重合させて固定化させることによって製造される位相差板において、
    前記光学異方性層のうち支持体側の層を光重合させた後の重合率が10〜90%であることを特徴とする位相差板。
  2. 前記重合率が20〜80%であることを特徴とする請求項1記載の位相差板。
  3. 支持体上に少なくとも一種の液晶性化合物を含有する光学異方性層を少なくとも2層形成してなり、該少なくとも2層の光学異方性層を該支持体側から順次光重合させて固定化させることによって製造される位相差板において、
    前記光学異方性層のうち支持体側の層を光重合させた後の表面の重合率が1〜50%であることを特徴とする位相差板。
  4. 前記少なくとも2層の光学異方性層が、いずれもディスコティック液晶性化合物または棒状液晶性化合物のいずれかを少なくとも一種含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の位相差板。
  5. 前記少なくとも2層の光学異方性層が、ディスコティック液晶性化合物を少なくとも1種含有する光学異方性層と棒状液晶性化合物を少なくとも1種含有する光学異方性層とにより構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の位相差板。
  6. 前記少なくとも2層の光学異方性層が、ディスコティック液晶性化合物を含有する光学異方性層と、棒状液晶性化合物を含有する光学異方性層とにより構成されており、前記ディスコティック液晶性化合物の円盤面が前記ディスコティック液晶性化合物を含有する光学異方性層面に対して実質的に垂直になるように配向状態が固定化されており、前記棒状液晶性化合物の長軸方向が前記棒状液晶性化合物を含有する光学異方性層面に対して実質的に垂直になるように配向状態が固定化されている請求項1〜5のいずれかに記載の位相差板。
  7. 前記少なくとも2層の光学異方性層が、いずれも棒状液晶性化合物を含有する光学異方性層であり、前記棒状液晶性化合物の長軸方向が光学異方性層面に対して実質的に平行になるように配向状態が固定化されている層と光学異方性層面に対して実質的に垂直になるように配向状態が固定化されている請求項1〜5のいずれかに記載の位相差板。
  8. 前記支持体が、面内のレタデーション(Re)が0〜20nmで、かつ、厚さ方向のレタデーション(Rth)が−100nm〜100nmである請求項1〜7のいずれか1項に記載の位相差板。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の位相差板と偏光膜とを有する偏光板。
  10. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の位相差板、または、請求項9に記載の偏光板と、液晶セルとを含む液晶表示装置。
  11. 支持体上に少なくとも一種の液晶性化合物を含有する光学異方性層を少なくとも2層形成してなり、該少なくとも2層の光学異方性層を該支持体側から順次光重合させて固定化させる位相差板の製造方法において、
    前記光学異方性層のうち支持体側の層の重合率が10〜90%となるように重合率を調
    整することを特徴とする位相差板の製造方法。
  12. 支持体上に少なくとも一種の液晶性化合物を含有する光学異方性層を少なくとも2層形成してなり、該少なくとも2層の光学異方性層を該支持体側から順次光重合させて固定化させる位相差板の製造方法において、
    前記光学異方性層のうち支持体側の層の表面の重合率が1〜50%となるように重合率を調整することを特徴とする位相差板の製造方法。
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