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JP2007089524A - 目的昆虫により良く効くδ内毒素変異体を選抜するためのシステム - Google Patents

目的昆虫により良く効くδ内毒素変異体を選抜するためのシステム Download PDF

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Abstract

【課題】標的昆虫により良く効くδ内毒素変異体を選抜するためのシステムを提供する。
【解決手段】標的昆虫に対して殺虫活性を増した毒素タンパク質の変異体を選抜する方法であって、殺虫性の毒素タンパク質をその受容体に結合性を持った形でT7ファージに発現させた毒素提示ファージを作製すること、上記受容体を結合させた担体を用いて、それらに結合親和性を有する毒素提示ファージを選抜すること、上記システムを利用して、受容体に対して結合親和性を増した変異体を選抜すること、を特徴とする変異体の選抜方法、上記変異体を活性本体として含む殺虫性組成物、及び上記変異体をコードする遺伝子を発現可能に導入した害虫抵抗性植物。
【選択図】図1

Description

本発明は、殺虫性の毒素タンパク質の選抜方法、及び該方法で選抜された毒素タンパク質とその応用技術に関するものであり、更に詳しくは、標的昆虫に特異的に作用する殺虫性の毒素タンパク質変異体の選抜方法、該選抜方法を利用して取得した、受容体に対して結合親和性を増した毒素タンパク質変異体、該変異体をコードする遺伝子、上記変異体を活性本体として含む殺虫性組成物、及び上記変異体遺伝子を導入した害虫抵抗性組換え植物体に関するものである。
BT菌(Bacillus thuringiensis菌)は、グラム陽性の土壌細菌であり、人畜環境に無害な殺虫性のタンパク質であるδ内毒素を産生する。人類は、これまで、殺虫剤や害虫抵抗性組換え作物の活性本体として実用に値するBT菌δ内毒素の開発を、土壌から何千ものBT菌を分離し、それを標的害虫でその致死活性を生物検定することを通して行ってきた(非特許文献1)。このような操作が1940年代から世界中で行われて来た結果、何十万にも及ぶ菌株の中からかなりの数の有用なBT菌株が発見され、そのうちの一部は、微生物殺虫剤に応用されるに至っている。また、BT菌δ内毒素の一部は、組換え作物に害虫抵抗性を与えるための遺伝子素材になっている(非特許文献2)。
一方、抗体の変異体をファージ上に発現させた変異体ライブラリーを構築し、該抗原に対して結合性を持つ変異体を選抜することで、その抗原に対してより良く結合する抗体を選抜する、進化分子工学的手法が大きな成果をあげて来た(非特許文献3、4)。これによって、天然に存在する抗体タンパク質が利用可能になるばかりでなく、目的の性質を獲得した抗体タンパク質を、抗体利用技術として、人類は自ら育て上げることが可能になった。
合成殺虫剤においては、何万かの検体に1つの割合で殺虫剤として上市されるものが見つかることが経験上分かっており、企業は、開発コストを予め計算できる。しかし、例えば、BT菌あるいはそのδ内毒素の場合は、土壌からのBT菌の分離に多大な労力と時間、費用がかかるばかりか、目的害虫に良く効くBT菌が必ず見つかるとの保証もなく、開発コストが読めない状況にある。そこで、BT菌の開発には、他の方法の誕生が望まれている。また、仮に、標的害虫に効くBT菌が見つかったとしても、それらのほとんどは、合成殺虫剤に比べると、効き目が弱く、開発と生産のコストが高い割には良い商品が作れないで来た。よって、それらのBT菌の活性の本体であるδ内毒素の比活性を高める技術が望まれている。
一方、抗体タンパク質で成功を収めた進化分子工学は、ファージディスプレイ法という技術を用いて、M13ファージ上に抗体タンパク質を発現させることで、始めて実用的な位地に到達した。ところで、この技術は、様々な結合性タンパク質の結合親和性の改良に利用できると考えられる。したがって、この技術は、δ内毒素の昆虫の受容体への結合親和性の改良にも原理的には応用できる可能性があるはずである。
しかし、現実には、δ内毒素が大腸菌に悪さをするなどの理由からか、世界のどの研究室も、進化分子工学で使用できる条件を満たすδ内毒素のファージディスプレイを実現できずにおり(非特許文献5、6)、δ内毒素の進化分子工学は、実現していないのが実情である。
もし、ファージディスプレイ法の利用が可能になれば、比較的簡単に得られる「あまり効かないBT菌δ内毒素」を出発材料にして、それを進化分子工学的に改良し、標的害虫の受容体によく結合し、結果的にその害虫に良く効くδ内毒素を生み出すシステムを構築することが可能になると考えられる。しかし、現実には、このように機能的なファージディスプレイ法の利用が実現されなかったこともあり、昆虫の消化管の受容体を結合対象とした進化分子工学を実施する上で必要になるファージ及び毒素タンパク質変異体の「選抜系」も未完成のままである。
一方、BT菌が産生するδ内毒素は、標的昆虫に対して非常に高い殺虫特異性を示し、しかも環境中で分解され、汚染源となる可能性がないため、化学殺虫剤の代替品として注目されている。しかし、BT菌δ内毒素は、耐性昆虫の出現、殺菌スペクトラムが狭いなどの問題点があり、その改良が求められており、特に、受容体に対して高い結合性を有する毒素タンパク質変異体の開発が重要な課題となっている。
従来技術として、例えば、害虫の中腸の刷子縁膜上に存在するBT菌δ内毒素に対する結合性タンパク質(BP)と特異的に反応する抗体及び該抗体を利用したBPを認識するBT菌δ内毒素の同定方法等が提案されている(特許文献1)。また、昆虫に経口施用するのに適したBT菌のδ内毒素変異体もしくは誘導体を含む殺昆虫組成物が提案されている(特許文献2)。
また、BT菌株又はそれに由来する全長のCrylII毒素、Cyt毒素等のδ内毒素がイネミズゾウリムシが食害する植物組織中で発現されるように、BT菌殺虫性構造遺伝子をイネ植物ゲノムの中に挿入することによって、該イネミズゾウリムシに植物体中からBT菌δ内毒素を投与する方法が提案されている(特許文献3)。また、双翅目の害虫に対する農薬活性を有し、少なくとも約0.05%/gのBT菌δ内毒素を含む農薬組成物が提案されている(特許文献4)。更に、CrylFコアN末端側毒素部分と、CrylAb毒素又はCrylAc/CrylAbキメラ毒素由来の異種のC末端側プロ毒素部分とを含むキメラ毒素を使用して、BT菌内毒素をコードする遺伝子を改編することによって、シュードモナスにおけるBT菌内毒素の発現を改良する方法が提案されている(特許文献5)。
特開平5−202099号公報 特表2001−5080329号公報 特表平11−501318号公報 特表平10−504451号公報 特表平10−500292号公報 岡田斉夫ら編、天敵微生物の研究手法、222p.、日本植物防疫協会(1993) 佐藤令一、昆虫病原細菌の資材化、pp194−214、(微生物の資材化:研究の最前線 鈴井孝仁、岡田斎夫、国見裕久、牧野孝宏、斉藤雅典、宮下清貴 編364pp.)ソフトサイエンス社(2000) Schier R, Bye J, Apell G, McCallA, Adams GP, Malmqvist M, Weiner LM, Marks JD. Isolation of high-affinity monomerichuman anti-c-erbB-2 single chain Fv using affinity-driven selection. J Mol Biol.1996 Jan 12;255(1):28-43 Thompson J, Pope T, Tung JS, ChanC, Hollis G, Mark G, Johnson KS. Affinity maturation of a high-affinity human monoclonalantibody against the third hypervariable loop of human immunodeficiency virus: useof phage display to improve affinity and broaden strain reactivity. J Mol Biol.1996 Feb 16;256(1):77-88 Kasman LM, Lukowiak AA, GarczynskiSF, McNall RJ, Youngman P, Adang MJ. Phage display of a biologically active Bacillusthuringiensis toxin. Appl Environ Microbiol. 1998 Aug;64(8):2995-3003 Marzari R, Edomi P, Bhatnagar RK,Ahmad S, Selvapandiyan A, Bradbury A. Phage display of Bacillus thuringiensis CryIA(a)insecticidal toxin. FEBS Lett. 1997 Jul 7;411(1):27-31
このような状況の中で、本発明者は、上記従来技術に鑑みて、昆虫の消化管の受容体を結合対象とした進化分子工学を実施可能にする新しい「選抜系」を確立することを目標として鋭意研究を重ねた結果、昆虫の消化管上の受容体であるcadherin−like proteinに結合性を持った形でBT菌δ内毒素をT7ファージ上に発現させることに成功すると共に、更に、これを利用して、上記受容体を結合させた担体を用いて、それらに結合する毒素提示ファージを選抜する方法を確立することに成功し、更に研究を重ねて、本発明を完成するに至った。
本発明は、標的昆虫に対してより良く効く殺虫性の毒素タンパク質の変異体を選抜する方法を提供することを目的とするものである。また、本発明は、様々な変異体の中から受容体に対して結合親和性を増した変異体を選抜すること、また、それにより、標的の昆虫に対して殺虫活性を増した変異体を選抜することを可能とする新規殺虫性毒素タンパク質変異体の選抜方法を提供することを目的とするものである。更に、本発明は、上記変異体を活性本体とする殺虫性組成物、上記変異体をコードする遺伝子を発現可能に植物体に導入した害虫抵抗性組換え植物体を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)標的昆虫に対して殺虫活性を増した毒素タンパク質の変異体を選抜する方法であって、
1)殺虫性の毒素タンパク質をその受容体に結合性を持った形でT7ファージに発現させた毒素提示ファージを作製する、
2)上記受容体を結合させた担体を用いて、それらに結合親和性を有する毒素提示ファージを選抜する、
3)上記システムを利用して、受容体に対して結合親和性を増した変異体を選抜する、
ことを特徴とする変異体の選抜方法。
(2)毒素提示ファージ発現ベクターを宿主に感染させて増殖させ、ファージクローンをクローニングして、毒素提示ファージを取得する、前記(1)に記載の方法。
(3)上記システムを利用して、変異体ライブラリーを構築し、それらの変異体の中から受容体に対して結合親和性を増した変異体を選抜する、前記(1)に記載の方法。
(4)殺虫性の毒素タンパク質としてδ内毒素を使用し、受容体としてcadherin−like protein、δ内毒素結合性分子、又は受容体代替物を使用する、前記(1)に記載の方法。
(5)既存の殺虫性の毒素タンパク質に変異を入れた変異体を用いて、変異体の選抜を繰り返すことにより、結合親和性を増した目的の変異体を取得する、前記(1)に記載の方法。
(6)担体が、プレート、ゲル、メンブレン、繊維又はビーズである、前記(1)に記載の方法。
(7)変異体の選抜工程において、受容体を結合させた磁気ビーズを用いて毒素提示ファージを濃縮する操作を繰り返して、濃縮された毒素提示ファージを取得する、前記(1)に記載の方法。
(8)前記(1)から(7)のいずれかに記載の選抜方法で取得した、受容体に対して結合親和性を増した変異体、又はその変異体をコードする遺伝子。
(9)前記(8)に記載の変異体を活性本体として含有することを特徴とする殺虫性組成物。
(10)前記(8)に記載の変異体をコードする遺伝子を発現可能に植物体に導入したことを特徴とする害虫抵抗性組換え植物体。
(11)植物体が、食用作物である、前記(10)に記載の害虫抵抗性組換え植物体。
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明は、標的昆虫に対して殺虫活性を増した毒素タンパク質の変異体を選抜する方法であって、(1)殺虫性の毒素タンパク質をその受容体に結合性を持った形でT7ファージに発現させた毒素提示ファージを作製する、(2)上記受容体を結合させた担体を用いて、それらに結合親和性を有する毒素提示ファージを選抜する、(3)上記システムを利用して、受容体に対して結合親和性を増した変異体を選抜する、ことからなる変異体の選抜方法の点、及び上記システムを利用して、変異体ライブラリーを構築し、それらの変異体の中から受容体に対して結合親和性を増した変異体を選抜する上記の方法の点、に特徴を有するものである。
また、本発明は、上記の選抜方法で取得した、受容体に対して結合親和性を増した変異体、又はその変異体をコードする遺伝子の点、上記の変異体を活性本体として含有することを特徴とする殺虫性組成物の点、及び上記の変異体をコードする遺伝子を発現可能に植物体に導入したことを特徴とする害虫抵抗性組換え植物体の点、に特徴を有するものである。
本発明において、殺虫性の毒素タンパク質としては、例えば、人畜環境に無害な殺虫性の毒素タンパク質であるBT菌のδ内毒素、そのタンパク質に任意の変異を入れた変異体もしくは誘導体が例示されるが、これらに限定されるものではなく、これらと同等ないし類似の機能性を有するものであればその種類に制限されることなく本発明の対象とされる。それらとしては、例えば、細菌が作る他の殺虫性毒素タンパク質あるいは植物が作る毒素タンパク質等が例示される。本発明では、上記δ内毒素のように、既存の殺虫性の毒素タンパク質であって、昆虫の消化管上等に存在する受容体との結合親和性を増した変異体を選抜することで、結果的に標的の昆虫に対して殺虫活性を増大した変異体の選抜が可能になる殺虫性の毒素タンパク質変異体を使用することが望ましい。また、本発明では、上記受容体として、上記毒素タンパク質の受容体、アミノペプチダーゼNのように、生理的な意味で機能的であることが示される毒素タンパク質結合性分子、受容体候補分子等の適宜の受容体代替物を使用することができる。以下、本明細書では、殺虫性の毒素タンパク質として、BT菌δ内毒素タンパク質及びその変異体を用いた方法を例として説明する。
本発明では、好適には、例えば、BT菌δ内毒素タンパク質をT7ファージのキャプシドタンパク質上に提示するためのT7ファージ発現ベクターが構築される。この場合、T7ファージ発現ベクターには、市販の製品(Novagen社のT7Select10−3b等)を使用することができる。δ内毒素の遺伝子としては、例えば、Cry1Aa毒素及びCry1Ab毒素等の任意の遺伝子領域を使用し、これを任意のプライマーを用いてPCRで増幅させる。得られた増幅断片を制限酵素で消化した後、同様にして消化したT7ファージ発現ベクターに挿入し、完成した毒素提示ファージ発現ベクターはPakagink Kitでパッケージングしてファージ粒子とし、これを大腸菌等の宿主に感染させて増殖させ、ファージクローンをクローニングして、毒素提示ファージを取得する。
この場合、宿主としては、好適には、例えば、大腸菌が例示されるが、これに制限されるものではなく、上記δ内毒素の所定の遺伝子領域を発現できるファージクローンをクローニングできるものであれば適宜の宿主を使用することができる。上記方法によるδ内毒素(Cry1Aa毒素、Cry1Ab毒素等100にも及ぶδ内毒素サブクラスの各毒素等)のタンパク質をコードする遺伝子挿入ファージクローンの作製工程により、δ内毒素タンパク質がファージ上に提示されている、また、そのタンパク質が、capside protein 10Bとの融合タンパク質として発現されているδ内毒素提示ファージを取得することができる。
次に、本発明では、上記システムを利用して、変異体ライブラリーを構築し、それらの変異体の中から受容体に対して結合親和性を増した変異体を選抜する。この場合、既存の殺虫性のδ内毒素タンパク質に変異を入れた変異体を用いて、変異体の選抜を繰り返すことにより、結合親和性を増した目的の変異体を取得する。δ内毒素タンパク質に変異を入れる手法は、任意の方法を使用することができ、任意の配列の変異体を利用することができる。また、本発明では、変異体の選抜工程において、受容体を結合させた磁気ビーズを用いて、δ内毒素提示ファージを濃縮する濃縮操作を行うことができる。この濃縮操作を繰り返すことで、濃縮されたδ内毒素提示ファージを取得することができる。
次に、上記δ内毒素遺伝子挿入ファージが、δ内毒素の受容体に結合する本来の受容体結合能力を持っているかどうか調べたところ、上記δ内毒素提示ファージは、受容体に対する結合親和性を有していること、また、δ内毒素及び受容体の種類によって、その結合親和性に差があることが明らかとなった。すなわち、本発明では、様々のδ内毒素及び受容体の種類を任意に組み合わせることで、例えば、受容体に対して結合性を持たないファージあるいはδ内毒素を発現していても結合性が低いファージから、δ内毒素を発現していて、受容体に対して高い結合親和性を持つファージを選抜することができ、それにより、δ内毒素提示ファージの選抜システムを確立できることができる。
また、本発明では、受容体を結合させた担体を用いることにより、δ内毒素提示ファージとwild−typeファージとの間の結合性の差が大きくなることから、それらの結合親和性の差を利用して結合親和性の高いファージを高効率に選抜できる新しいファージ選抜系を構築することが可能である。本発明では、上記担体として、例えば、プレートやビーズが利用され、それらとして、好適には、Corning社製、Coster 9018 Micro−well PlateやPromega社製Magne GSTTM Glutathione Particleが例示される。
本発明では、上述のδ内毒素提示ファージを用いて、様々の変異を導入したδ内毒素タンパク質変異体のライブラリーを構築し、それらの中から受容体に対して結合親和性を増した変異体を選抜することができる。その場合、上述のように、磁気ビーズ法による濃縮操作を行うことが可能であり、濃縮操作を連続的に実施することにより、例えば、特定のδ内毒素提示ファージを約200〜130,000倍濃縮することが可能である。このように、本発明では、δ内毒素提示ファージによる変異体ライブラリーから、上記濃縮操作を繰り返すことで、受容体に対して結合親和性の高い所望のクローンを効率良く濃縮することが可能である。
次に、本発明では、上記δ内毒素提示ファージクローンから常法により所望のδ内毒素タンパク質変異体を回収し、該変異体のアミノ酸配列に基づいて設計した特定の変異体をコードする遺伝子を用いて、適宜の遺伝子組換え手法により、変異体を大量に産生することが可能である。得られた受容体に対して高い結合親和性を持った変異体は、それを殺虫性組成物の活性本体として利用することが可能であり、また、上記変異体をコードする遺伝子を適宜の手法により発現可能に植物体に導入することにより、害虫抵抗性植物体を作出することが可能である。本発明においては、上記手法により選抜した、受容体に対して結合親和性を増した様々の変異体及びその遺伝子を用いて、上述の手法に準じて所望の殺虫剤、及び害虫抵抗性作物を、任意に設計し、作製することができる。
δ内毒素は、昆虫に摂食されると、中腸のアルカリ条件によって可溶化され、中腸内のプロテアーゼによりプロセッシングを受け、標的昆虫に対して殺虫活性を持つ活性型トキシンになる。この活性型トキシンは、昆虫の中腸細胞膜上に存在する受容体と結合し、膜上で構造変化を起こし、ポアを形成することにより浸透圧バランスが崩れ、上皮細胞の溶解や膨張が起こり、細胞が破裂し、それにより、標的昆虫は、腸における栄養分の吸収機能が損なわれ。死に至る。本発明は、そのようなδ内毒素の変異体を種々設計、作製し、それらの変異体の中から、受容体に対して結合親和性を増した特定の変異体を選抜するための新しい選抜系を提供するものとして有用であり、また、そのような変異体を活性本体とする殺虫剤、及びそのような変異体をコードする遺伝子を発現可能に作物体に導入した害虫抵抗性作物を提供するものとして有用である。
以上のように、本発明について、BT菌のδ内毒素タンパク質を例に具体的に説明したが、本発明は、上記δ内毒素タンパク質の場合に制限されるものではなく、δ内毒素タンパク質の任意の変異体、その誘導体、更には、これらと同等ないし類似の機能及び作用機作を有するあらゆる種類の毒素タンパク質、その変異体及び誘導体の場合にも、同様に適用することができる。本発明では、上記毒素提示ファージの構築方法、それを利用した変異体ライブラリーの構築方法、上記変異体の選抜システムを利用することで、あらゆる種類の殺虫性の毒素タンパク質及び受容体に適用可能な変異体の選抜系を確立することが可能であり、それにより、それらに対応した所望の標的昆虫に適用可能な殺虫剤、及び害虫抵抗性を付与した食用作物等のあらゆる種類の植物体を提供することを実現することができる。
本発明により、次のような効果が奏される。
(1)殺虫性の毒素タンパク質の変異体をファージ上に発現させた毒素提示ファージを利用した変異体ライブラリーを構築し、受容体に対して選抜することで、その受容体に対してより良く結合する変異体を選抜することが可能である。
(2)このような進化分子工学的手法を利用することにより、天然に存在する遺伝子やその発現産物であるタンパク質をただ利用することから脱却し、目的の性質を獲得したタンパク質を自ら育て上げることで所望の変異体を取得することが可能である。
(3)同様の原理で、例えば、標的昆虫から調製した受容体分子であるcadherin−like proteinと、その昆虫に弱い活性を持つδ内毒素の遺伝子から準備した変異体δ内毒素ライブラリーを構築することが可能であり、それを利用して、選抜法であるパニング法やビーズ法により、その昆虫のcadherin−like proteinに対して結合親和性を増したδ内毒素を生み出すことが可能である。
(4)また、標的昆虫に強い殺虫活性を持つδ内毒素の遺伝子から準備した変異体δ内毒素ライブラリーを利用して、上記選抜を繰り返すことにより、その昆虫のcadherin−like proteinに対して更に高い結合親和性を持つδ内毒素を取得することが可能である。
(5)薬理学的に言えば、受容体に結合親和性を増した変異物質は、出発物質よりも低濃度で作用することになり、結果として活性が増したことになる。すなわち、本発明の方法を用いることで、進化分子工学的に、標的の昆虫に対してより効くδ内毒素を作製することが可能になる。更に、上記のようなδ内毒素ライブラリーとcadherin−like protein等を用いて受容体に結合親和性を増した変異体を選抜することにより、これまで有効な天然のδ内毒素がまったく知られていなかった昆虫に対して活性をもつδ内毒素を生み出すことも可能である。
(6)そのようにして作製したδ内毒素のバラエティーは、容易に天然に存在し、人類が現実的に発見できる数をはるかに超越したものになり得る。しかも、それらは、天然のδ内毒素と同様のフォールディングを持つタンパク質であり、BT菌が産生する多くの天然の変異体δ内毒素と化学的には本質的な違いがないものと考えられる。
(7)本発明により、人畜や地球環境に対しては天然のδ内毒素と全く同様に安全なタンパク質を進化分子工学で創出し、それを利用した新規殺虫剤、及び害虫抵抗性作物を提供できる。
(8)また、今後明らかにされる可能性のある第2、第3の受容体をcadherin−like proteinの代替物として使うことにより、それらを介して昆虫を殺すδ内毒素を生み出すことも可能である。
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
(1)Cry1Aa毒素提示ファージ及びCry1Ab毒素提示ファージ発現ベクターの構築
2種類のδ内毒素(Cry1Aa毒素及びCry1Ab毒素)について、T7ファージのキャプシドタンパク質上に提示するためのベクターを構築した。Cry1Aa及びCry1Ab発現ファージベクターの構築法の概要を図1に示す。T7ファージ発現ベクターには、Novagen社のT7Select10−3bを用いた。まず、Cry1Aa毒素及びCry1Ab毒素のドメイン1から3を含む遺伝子領域(29〜618位のアミノ酸)をPCRで増幅した。
プライマーには、制限酵素切断部位を導入したact−As−s−Bam(5’−TGGGGATCCAATAGAAACTGGTTACACCCCAAT−3’)とact−Aa−as−Not(5’−TCATTCACCGCCCGCCGGCGTCTTTCTAAATCATATTCTGCCTCAA−3’)を用いた。得られた増幅断片をBamHIもしくはNotIで消化した後、それらをBamHI及びNotIで消化したT7Select10−3bベクターに挿入した。完成したCry1A毒素発現ファージベクターは、T7Select Packaging Kitでパッケージングしてファージ粒子とし、大腸菌に感染させて増殖させ、ファージクローンをクローニングした。
(2)δ内毒素のT7ファージ上発現の確認
得られたCry1Aa毒素及びCry1Ab毒素遺伝子挿入ファージクローンが、本当にそれぞれの毒素タンパク質をファージ上に提示していることを確かめることを目的に、以下の2つの実験を実施した。
まず、それぞれのファージクローンを大腸菌と混合した後、プレートに蒔きこみ、多数のプラークを作らせ、そこにニトロセルロース膜にのせてファージ粒子を転写した。膜を仔牛血清アルブミン(BSA)でブロッキングした後、1次抗体としてCry1Aa毒素特異的マウスモノクローナル抗体(2F9)もしくは抗Cry1Aa毒素マウス血清と、また、2次血清としては、FITC標識抗マウスIgG抗体と反応させ、ECL検出試薬でファージ上に各毒素が発現しているかを検討した。その結果を図2のA〜Fに示す。
その結果、モノクローナル抗体2F9に対しては、何も発現していないT7ファージ(wild type ファージ)とCry1Ab毒素遺伝子挿入ファージは全く反応しなかったが(図2B及びC)、Cry1Aa毒素遺伝子挿入ファージは、強いシグナルが得られた(図2A)。
一方、抗Cry1Aa毒素マウス血清に対しては、wild typeファージは全く反応しなかったが(図2F)、Cry1Aa毒素遺伝子挿入ファージは、強く反応した(図2D)。また、Cry1Ab毒素遺伝子挿入ファージでは、Cry1Aa毒素遺伝子挿入ファージの場合より若干弱いシグナルが得られた(図2E)。
1次抗体として用いた抗Cry1Aa毒素マウス血清は、Cry1Aa毒素に対して作製したものである。一方、Cry1Ab毒素は、Cry1Aa毒素と60アミノ酸残基が異なっている。したがって、Cry1Ab毒素に対して、この1次抗体は、Cry1Aa毒素よりも若干弱く反応したものと考えられた。
次に、Cry1Aa毒素遺伝子挿入ファージとCry1Ab毒素遺伝子挿入ファージを大量に準備し、それぞれをSDS−PAGEのサンプルバッファーに溶解して、SDS−PAGEを行い、得られたタンパク質バンドをニトロセルロース膜に転写して、抗Cry1Aa毒素血清等を用いて前記の実験と同様の操作を行い、ウエスタンブロッティングを行った。その結果を図2Gに示す。
その結果、wild typeファージからは何のバンドも見られなかったが、Cry1Aa毒素遺伝子挿入ファージとCry1Ab毒素遺伝子挿入ファージからは、約105 kDaのバンドが観察された(図2G)。それぞれのδ内毒素は、T7ファージのcapside proteinである10BのC末端に結合し形で発現するので、理論上は103 kDaのタンパク質になっているはずであるが、得られたバンドは、これにほぼ一致する大きさを持っており、T7ファージ上に提示されている融合タンパク質であると考えられた。
以上の二つの実験結果から、Cry1Aa毒素遺伝子挿入ファージとCry1Ab毒素遺伝子挿入ファージでは、それぞれの毒素タンパク質が、capside protein である10Bとの融合タンパク質として発現していることが示された。
(3)δ内毒素提示ファージの受容体への結合能力の確認
δ内毒素提示ファージが毒素の受容体に結合する能力を持っているか、換言すると、このようにして提示されたδ内毒素が本来の受容体結合能力を持っているか否かを確認する目的で、カイコ中腸における受容体の一つであるcadherin−like protein(BtR175)を結合対象として用いて実験を行った。この実験では、Cry1Aa毒素提示ファージ及びCry1Ab毒素提示ファージの受容体分子BtR175への結合性を調べるために、ファージを、BtR175を結合させた、あるいはさせていない対照区のプレートもしくは磁気ビーズと混合し、撹拌した後、それらをPBSTで5回洗浄した。次に、磁気ビーズに結合しているファージを、1%SDS PBSTで溶出し、大腸菌に感染させplaque forming unitを算出した。
すなわち、まず、バイオパニングによってCry1Aa毒素提示ファージ及びCry1Ab毒素提示ファージのBtR175に対する結合能力をwild−typeファージと比較した。すなわち、ELISAプレートにBtR175をコーティングしたものと、しないものを用意し、ファージを添加して震盪し、洗浄後に、プレートに結合しているファージの数を測定した。
Cry1Aa毒素提示ファージの場合は、BtR175をコーティングプレートでは添加した2.8×1010個のファージのうち、1.4×10個がプレートに結合した(図3A)。また、「バイオパニング後のファージ数/バイオパニング前のファージ数」をbinding index(BI)と定義して計算すると、4.9×10−4であった。
一方、コーティングしていないプレートでは、添加した2.8×1010個のファージのうち、1.7×10個がプレートに結合していた(BI=6.1×10−6)。Cry1Aa毒素提示ファージのBtR175コーティングプレートに対する結合親和性(binding index)はコーティングしていないプレートに対する結合親和性の約80倍であった。Cry1Ab毒素提示ファージでは、BtR175コーティングプレートでは添加した4.3×10個のファージのうち、6.5×10個がプレートに結合していた(BI=1.5×10−4)(図3A)。
また、コーティングしていないプレートでは、添加した4.3×10個のファージのうち、1.3×10個がプレートに結合していた(BI=3.2×10−6)。BtR175コーティングプレートへのCry1Ab毒素提示ファージの結合親和性はコーティングしていないプレートへの結合親和性の約47倍であった。wild−type ファージでは、7.1×10個のファージのうち、1.4 ×10個がBtR175コーティングプレートに結合した(BI=2.0×10−5)(図3A)。
また、コーティングしていないプレートでは、添加した7.1×10個のファージのうち、4.8×10個がプレートに結合していた(BI=6.8×10−6)。Wild−typeファージの場合には、BtR175コーティングプレートとコーティングしていないプレートとの間で結合親和性にほとんど差が見られなかった。Cry1Aa毒素提示ファージ及びCry1Ab毒素提示ファージのBtR175に対する結合親和性(BI)は、wild−typeファージに対してそれぞれ約25倍と8倍であった。
次に、磁気ビーズを用いて、Cry1Aa毒素提示ファージ及びCry1Ab毒素提示ファージの結合能力をwild−typeファージと比較した。すなわち、磁気ビーズにBtR175をコーティングしたものと、しないものを用意し、ファージを添加し、撹拌し、洗浄後に、磁気ビーズに結合しているファージの数を測定した。BtR175コーティングビーズでは、Cry1Aa毒素提示ファージは、添加した2.2×1010個のファージのうち、4.1×10個が磁気ビーズに結合していた(BI=1.9×10−2)(図3B)。
一方、コーティングしてないビーズでは、添加した2.2×1010個のファージのうち、4.6×10個が磁気ビーズに結合していた(BI=2.1×10−4)(図3B)。BtR175コーティングビーズへのCry1Aa毒素提示ファージの結合親和性(binding index)は、コーティングしてないビーズへの結合親和性の約90倍であった。BtR175コーティングビーズでは、Cry1Ab毒素提示ファージは添加した1.1×1010個のうち、6.5×10個が磁気ビーズに結合していた(BI=5.9×10−3)(図3B)。
また、コーティングしてないビーズでは、添加した2.2×1010個のファージのうち、1.5×10個が磁気ビーズに結合していた(BI=6.8×10−4)。BtR175コーティングビーズへのCry1Ab毒素提示ファージの結合親和性(binding index)は、コーティングしてないビーズへの結合親和性の約9倍であった。wild−typeファージの場合は、BtR175コーティングビーズでは添加した7.5×10個のファージのうち、1.3×10個が磁気ビーズに結合していた(BI=1.7×10−4)(図3B)。
また、コーティングしてないビーズでは、添加した7.5×10個のファージのうち、4.5×10個が磁気ビーズに結合していた(BI=6×10−4)。wild−typeファージの場合には、BtR175コーティングビーズとコーティングしてないビーズとの間で結合数に差がほとんど見られなかった。Cry1Aa毒素提示ファージ及びCry1Ab毒素提示ファージのBtR175に対する結合親和性(binding index)は、Wild−typeファージに対してそれぞれ約112倍と35倍であった。
以上の結果から、Cry1Aa毒素提示ファージとCry1Ab毒素提示ファージは、BtR175に対して結合性を持っていると考えられた。また、Cry1Aa毒素提示ファージは、Cry1Ab毒素提示ファージよりもBtR175に対して結合親和性が高いことが明らかになった。更にまた、このようなシステムを利用して、BtR175に対して結合性を持たないファージあるいはCry1A毒素を発現していても結合性が低いファージから、Cry1A毒素を発現しており、BtR175に対して高い結合性を持つファージを選抜できることが示唆された。同様に、特に磁気ビーズでは、Cry1Ab毒素提示ファージもしくはCry1Ab毒素提示ファージとwild−typeファージとの間の結合性の差が大きく、結合親和性の差を利用した選抜系としては優れていることが明らかになった。
(4)磁気ビーズ法のδ内毒素提示ファージスクリーニング系としての評価
磁気ビーズ法は、ファージディスプレイした変異導入ScFV(single chain fragment variable derived from the antibody:一本鎖抗体)のライブラリーから結合親和性の高いクローンを選抜する上で最も強力な方法の一つである。そこで、磁気ビーズ法がファージディスプレイ法を利用したCry1A 毒素のBtR1751に対する結合親和性向上を図る進化分子工学にも応用できるか否かを検討した。
Cry1Aa毒素提示ファージあるいはCry1Ab毒素提示ファージの比率が10%、1%、及び0.1%の比率になるように、Wild−typeファージと混合し、また、Cry1Aa毒素提示ファージの比率が2.5%及び0.75%になるように、Cry1Ab毒素提示ファージと混合した、合計10個のファージ液を調製した。そのファージ液に、BtR175を結合させた磁気ビーズを混合、撹拌した後、それらをPBSTで5回洗浄した。
次に、磁気ビーズに結合しているファージを1%SDS PBSTで溶出し、磁気ビーズ濃縮前後のファージ混合液を大腸菌に感染させ、プラークを作らせた。プラークをニトロセルロース膜に写し取り、BSAでブロッキングした後、Cry1Aa毒素特異的モノクローナル抗体2F9でCry1Aa毒素提示ファージを、また、抗Cry1Aa毒素血清にてCry1Ab毒素提示ファージを検出し、Cry1Aa毒素提示ファージ及びCry1Ab毒素提示ファージの比率を算出した。実験は2連で行った。
すなわち、合計10個のファージ中に、Cry1Aa毒素提示ファージがwild−typeファージに対して10%、1%あるいは0.1%になるように混合し、BtR175コーティングビーズと一緒に撹拌した後、磁気ビーズに結合したファージを回収し、大腸菌プレートに作らせたプラークに対してCry1Aa毒素特異的モノクロー抗体を用いて、蒸気(2)の要領で、Cry1Aa毒素提示ファージを抗血清で検出することにより、全てのプラーク中のCry1Aa毒素提示ファージの比率を算出した。
その結果、磁気ビーズによる濃縮操作によって、操作前には10%だったものが平均65%に、1%だったものが平均42%に、また0.1%だったものが平均7.4%になり、Cry1Aa毒素提示ファージはそれぞれ6.5倍、42倍、及び74倍濃縮された(図4A)。また、合計10個のファージ中にCry1Ab毒素提示ファージがWild−typeファージに対して、10%、1%あるいは0.1%なるように混合した場合には、磁気ビーズによる濃縮操作によりCry1Ab毒素提示ファージの比率がそれぞれ平均69%、23%、及び3.5%になり、Cry1Ab毒素提示ファージは、それぞれ6.9倍、23倍及び35倍濃縮された(図4B)。
次に、Cry1Aa毒素提示ファージとCry1Ab毒素提示ファージのように、結合親和性の差が小さい2種類のファージの混合物の中から、親和性のより高いファージを磁気ビーズ法によって濃縮できるか否かを検討した。Cry1Aa毒素提示ファージをCry1Ab毒素提示ファージに対して2.5%あるいは0.75%になるように混合し、合計10個のファージに対して、BtR175コーティングビーズで濃縮操作を行い、Cry1Aa毒素特異的モノクローナル抗体を用いて、濃縮後のCry1Aa毒素提示ファージとCry1Ab毒素提示ファージの比率を算出した。
その結果、Cry1Aa毒素提示ファージの割合は、それぞれ平均17.8%及び6.8%となり、結合親和性のより高いCry1Aa毒素提示ファージが7.1倍及び9.0倍濃縮された(図4C)。以上のことから、磁気ビーズによる濃縮操作法はBtR1751に対してより高い結合親和性を持つファージの選抜に使えること、すなわちCry1A毒素の結合親和性の向上(affinity maturation)にも応用できることが明らかになった。
(5)Cry1Aa毒素提示ファージのCry1Ab毒素提示ファージからの濃縮
更に、磁気ビーズによる濃縮操作を繰り返すことにより、微量しか含まれていない結合親和性の高いファージを、低いファージの中から理論どおりに濃縮できるかを確かめるために、Cry1Aa毒素提示ファージとCry1Ab毒素提示ファージを1:10、1:10、及び1:10の比率で混合した合計10個のファージに対して磁気ビーズによる濃縮操作を連続的に実施した。
すなわち、Cry1Aa 毒素提示ファージとCry1Ab毒素提示ファージを1:10、1:1000、1:1000000の比率で混ぜ、合計10個のファージ液を調製した。そのファージ液にBtR175を結合させた磁気ビーズを加え、10分間撹拌した後PBSTで5回洗浄した後磁気ビーズに結合しているファージを1%SDS PBSTで溶出し、大腸菌に感染させたファージを増殖させた。得られたファージに対してBtR175結合磁気ビーズを加え濃縮操作を行った。
濃縮操作後にビーズから回収したファージのプラークに対しては、抗Cry1Aa毒素血清とCry1Aa毒素特異的モノクローナル抗体を用いてイムノアッセイを行い、Cry1Aa毒素提示ファージとCry1Ab毒素提示ファージの比率を算出した。
次に、このファージを大腸菌に感染させ、増殖させ、これを更に磁気ビーズによる濃縮操作にかけた。これらの工程を9ラウンドまで行い、Cry1Aa毒素提示ファージとCry1Ab毒素提示ファージの比率の変化を追跡した。
1:10の比率でスタートした場合には、5ラウンドまでにCry1Aa毒素提示ファージの比率は約80%に到達した(図5A)。また、1:10でスタートした場合には、5ラウンドまでにCry1Aa毒素提示ファージの比率は20%以上に到達し、Cry1Aa毒素提示ファージは約200倍濃縮された(図5A)。
一方、濃度の異なるCry1Aa毒素提示ファージの溶液にCry1Aa毒素特異的プライマーとポリメラーゼを入れてPCRを行い、Cry1Aa毒素DNAの挿入断片を増幅させると、10から10の範囲でファージ数に比例した濃さのバンドが認められた(図5B)。
そこで、1:10でスタートした場合のCry1Aa毒素ファージの比率の向上については、まずはこのシステムを用いて評価した。その結果、ラウンド0からラウンド9のファージから増幅したCry1Aa毒素DNAのバンドはラウンドを重ねるごとに明らかに濃くなった。すなわち、ラウンド9では約100000倍のCry1Aa毒素提示ファージの濃縮が示唆された(図5C)。そこで、ラウンド6から9終了後のファージに対してはプラークに対してイムノアッセイを行った。その結果、ラウンド9終了ファージでは、Cry1Aa毒素提示ファージは約13%に到達しており、130,000倍のCry1Aa毒素提示ファージの濃縮が達成されたことが明らかになった(図5A)。
以上のことから、BtR175に対して結合親和性の高い、少数しか含まれないファージを、磁気ビーズ法で濃縮できることが明らかになった。実際には、10−10程度のCry毒素変異体ライブラリーが作られ、1000倍程度に増幅された後でスクリーニングが実施されると考えられる。したがって、もしwild type毒素の結合親和性に勝る変異体が1クローン存在するとしたら、増幅後の1010−1012のライブラリーから、10から15回程度の磁気ビーズによる濃縮操作を繰り返せば、このクローンを濃縮できることになる。
本発明では、特に、上記実施例によって以下の事項が明らかとなった。すなわち、毒素変異体ライブラリーの中から、受容体に対して高い結合親和性を持つ毒素変異体の選抜を可能にする「ファージ上に毒素変異体を提示するシステム」を構築できた。また、昆虫の消化管上にある受容体、cadherin−like proteinを96穴プレートもしくは磁気ビーズに結合させ、それを結合対象とすることで、「毒素の変異体ライブラリーの中から、受容体に対して高い結合親和性を持つものを選抜できるシステム」を構築できた。また、上記手法を組み合わせることで、「毒素変異体ライブラリーの中から、受容体に対して高い結合親和性を持つものを選抜することを通して、結果的に、標的の昆虫に強い殺虫活性を持つ毒素変異体を選抜することが可能な」毒素変異体の進化分子工学や様々な変異体ライブラリーの選抜に使えるシステムが確立された。更に、それにより、土壌から簡単に見つかる弱い活性しか持っていない毒素タンパク質を出発材料にして、ある目的の害虫に効く変異体タンパク質を任意に生み出すことが可能になった。また、良く効く毒素タンパク質を出発材料にして、更に活性の高い毒素変異体を開発することが可能になった。
以上詳述したように、本発明は、標的昆虫に対してより良く効く殺虫性の毒素タンパク質変異体を選抜するためのシステムに係るものであり、従来、土壌からのBT菌の分離とそれに対する昆虫を用いた生物検定を基にした開発法に依存して「微生物殺虫剤」というジャンルと「害虫抵抗性組換え食品」と言うジャンルが生まれ、現在でも重要な商品として作られているが、これに対して、本発明によれば、簡単に見つかる弱い活性しか持っていない殺虫性の毒素を出発材料にして、ある目的の害虫に効く変異体タンパク質を任意に生み出すことが可能になった。また、良く効く毒素を出発材料にして、更に活性の高い毒素を開発することが可能になった。すなわち、容易に入手できるタンパク質を材料にして、より有用なタンパク質を育て上げる(分子育種する)ことが可能になり、結果として、このようにして育種した毒素変異体を利用する「タンパク質殺虫剤」とでも言うべき新技術・新製品ジャンルを社会に生み出すことが可能になる。世界における殺虫剤の市場は莫大であるが、この新しいジャンルは、産業的に抗体工学の製品をしのぐものに成長する可能性を秘めているものとして高く期待される。
Cry1Aa及びCry1Ab発現ファージベクターの構築法を示す。 Cry1Aa毒素もしくはCry1Ab毒素のファージ上発現の抗体を用いた解析結果を示す。図中、A―Gは、以下の事項を示す。A−C:Cry1Aa毒素特異的モノクローナル抗体(2F9)へのCry1Aa毒素提示ファージ(A)、Cry1Ab毒素提示ファージ(B)及びwild−typeファージ(C)のプラークの反応。D−F:抗Cry1Aa毒素血清へのCry1Aa毒素提示ファージ(D)、Cry1Ab毒素提示ファージ(E)及びwild−typeファージ(F)のプラークの反応。G:ウエスタンブロッティングによる各ファージタンパク質の抗Cry1Aa毒素血清への反応。レーン1;活性型Cry1Aa 毒素、レーン2;Cry1Aa毒素提示ファージ、レーン3;Cry1Ab毒素提示ファージ、レーン4;wild−typeファージ。 Cry1Aa毒素提示ファージ及びCry1Ab毒素提示ファージの受容体分子BtR175 への結合性を示す。図中、A−Bは、以下の事項を示す。A;バイオパニングによる結合性の評価。B; 磁気ビーズによる結合性の評価。●;BtR175結合区におけるCry1Aa毒素提示ファージの結合、○;対照区におけるCry1Aa 毒素提示ファージの結合;◆:BtR175結合区におけるCry1Ab毒素提示ファージの結合、◇;対照区におけるCry1Ab毒素提示ファージの結合、■;BtR175結合区におけるwild−type ファージの結合、□;対照区におけるwild−typeファージの結合。 磁気ビーズ法のCry1A毒素提示ファージの選抜能力の調査結果を示す。図中、A−Cは、以下の事項を示す。A;Cry1Aa毒素提示ファージとWild−typeファージの混合区。B;Cry1Ab毒素提示ファージとWild−typeファージの混合区。●及び○;出発時Cry1A毒素提示ファージ混合比率10%、◆及び◇;出発時Cry1A毒素提示ファージ混合比率1%、■及び□;出発時Cry1A毒素提示ファージ混合比率0.1%。C; Cry1Aa毒素提示ファージとCry1Ab毒素提示ファージの混合区。●及び○;出発時Cry1Aa毒素提示ファージ混合比率2.5%、◆及び◇;出発時Cry1Aa 毒素提示ファージ混合比率0.75%。 Cry1Aa毒素提示ファージのCry1Ab毒素提示ファージからの濃縮操作の結果を示す。図中、A−Cは、以下の事項を示す。A;濃縮サイクルの過程で磁気ビーズから溶出したファージの一部を大腸菌に感染させ、プラークを作らせ、プラークをニトロセルロース膜に写し取り、BSAでブロッキングした後、Cry1Aa毒素特異的モノクローナル抗体2F9でCry1Aa毒素提示ファージを検出し、Cry1Aa毒素提示ファージの比率をモニターした結果を示す。 ●及び○;出発時混合比1:10、◆及び◇;出発時混合比1:1000、■及び□;出発時混合比1:1000000。B−C:出発時混合比1:1000000の実験区で、Cry1Aa毒素特異的プライマーを用いてファージ液に対してPCRを行い、Cry1Aa毒素提示ファージを用いた標準反応(B)と比較することによって、濃縮ラウンド0 から9(R0〜R9)に含まれるCry1Aa毒素DNA量を定量的に評価し、Cry1Aa毒素提示ファージの濃縮程度をモニターした(C)結果を示す。

Claims (11)

  1. 標的昆虫に対して殺虫活性を増した毒素タンパク質の変異体を選抜する方法であって、
    (1)殺虫性の毒素タンパク質をその受容体に結合性を持った形でT7ファージに発現させた毒素提示ファージを作製する、
    (2)上記受容体を結合させた担体を用いて、それらに結合親和性を有する毒素提示ファージを選抜する、
    (3)上記システムを利用して、受容体に対して結合親和性を増した変異体を選抜する、
    ことを特徴とする変異体の選抜方法。
  2. 毒素提示ファージ発現ベクターを宿主に感染させて増殖させ、ファージクローンをクローニングして、毒素提示ファージを取得する、請求項1に記載の方法。
  3. 上記システムを利用して、変異体ライブラリーを構築し、それらの変異体の中から受容体に対して結合親和性を増した変異体を選抜する、請求項1に記載の方法。
  4. 殺虫性の毒素タンパク質としてδ内毒素を使用し、受容体としてcadherin−like protein、δ内毒素結合性分子、又は受容体代替物を使用する、請求項1に記載の方法。
  5. 既存の殺虫性の毒素タンパク質に変異を入れた変異体を用いて、変異体の選抜を繰り返すことにより、結合親和性を増した目的の変異体を取得する、請求項1に記載の方法。
  6. 担体が、プレート、ゲル、メンブレン、繊維又はビーズである、請求項1に記載の方法。
  7. 変異体の選抜工程において、受容体を結合させた磁気ビーズを用いて毒素提示ファージを濃縮する操作を繰り返して、濃縮された毒素提示ファージを取得する、請求項1に記載の方法。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載の選抜方法で取得した、受容体に対して結合親和性を増した変異体、又はその変異体をコードする遺伝子。
  9. 請求項8に記載の変異体を活性本体として含有することを特徴とする殺虫性組成物。
  10. 請求項8に記載の変異体をコードする遺伝子を発現可能に植物体に導入したことを特徴とする害虫抵抗性組換え植物体。
  11. 植物体が、食用作物である、請求項10に記載の害虫抵抗性組換え植物体。
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