JP2007089524A - 目的昆虫により良く効くδ内毒素変異体を選抜するためのシステム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】標的昆虫に対して殺虫活性を増した毒素タンパク質の変異体を選抜する方法であって、殺虫性の毒素タンパク質をその受容体に結合性を持った形でT7ファージに発現させた毒素提示ファージを作製すること、上記受容体を結合させた担体を用いて、それらに結合親和性を有する毒素提示ファージを選抜すること、上記システムを利用して、受容体に対して結合親和性を増した変異体を選抜すること、を特徴とする変異体の選抜方法、上記変異体を活性本体として含む殺虫性組成物、及び上記変異体をコードする遺伝子を発現可能に導入した害虫抵抗性植物。
【選択図】図1
Description
(1)標的昆虫に対して殺虫活性を増した毒素タンパク質の変異体を選抜する方法であって、
1)殺虫性の毒素タンパク質をその受容体に結合性を持った形でT7ファージに発現させた毒素提示ファージを作製する、
2)上記受容体を結合させた担体を用いて、それらに結合親和性を有する毒素提示ファージを選抜する、
3)上記システムを利用して、受容体に対して結合親和性を増した変異体を選抜する、
ことを特徴とする変異体の選抜方法。
(2)毒素提示ファージ発現ベクターを宿主に感染させて増殖させ、ファージクローンをクローニングして、毒素提示ファージを取得する、前記(1)に記載の方法。
(3)上記システムを利用して、変異体ライブラリーを構築し、それらの変異体の中から受容体に対して結合親和性を増した変異体を選抜する、前記(1)に記載の方法。
(4)殺虫性の毒素タンパク質としてδ内毒素を使用し、受容体としてcadherin−like protein、δ内毒素結合性分子、又は受容体代替物を使用する、前記(1)に記載の方法。
(5)既存の殺虫性の毒素タンパク質に変異を入れた変異体を用いて、変異体の選抜を繰り返すことにより、結合親和性を増した目的の変異体を取得する、前記(1)に記載の方法。
(6)担体が、プレート、ゲル、メンブレン、繊維又はビーズである、前記(1)に記載の方法。
(7)変異体の選抜工程において、受容体を結合させた磁気ビーズを用いて毒素提示ファージを濃縮する操作を繰り返して、濃縮された毒素提示ファージを取得する、前記(1)に記載の方法。
(8)前記(1)から(7)のいずれかに記載の選抜方法で取得した、受容体に対して結合親和性を増した変異体、又はその変異体をコードする遺伝子。
(9)前記(8)に記載の変異体を活性本体として含有することを特徴とする殺虫性組成物。
(10)前記(8)に記載の変異体をコードする遺伝子を発現可能に植物体に導入したことを特徴とする害虫抵抗性組換え植物体。
(11)植物体が、食用作物である、前記(10)に記載の害虫抵抗性組換え植物体。
本発明は、標的昆虫に対して殺虫活性を増した毒素タンパク質の変異体を選抜する方法であって、(1)殺虫性の毒素タンパク質をその受容体に結合性を持った形でT7ファージに発現させた毒素提示ファージを作製する、(2)上記受容体を結合させた担体を用いて、それらに結合親和性を有する毒素提示ファージを選抜する、(3)上記システムを利用して、受容体に対して結合親和性を増した変異体を選抜する、ことからなる変異体の選抜方法の点、及び上記システムを利用して、変異体ライブラリーを構築し、それらの変異体の中から受容体に対して結合親和性を増した変異体を選抜する上記の方法の点、に特徴を有するものである。
(1)殺虫性の毒素タンパク質の変異体をファージ上に発現させた毒素提示ファージを利用した変異体ライブラリーを構築し、受容体に対して選抜することで、その受容体に対してより良く結合する変異体を選抜することが可能である。
(2)このような進化分子工学的手法を利用することにより、天然に存在する遺伝子やその発現産物であるタンパク質をただ利用することから脱却し、目的の性質を獲得したタンパク質を自ら育て上げることで所望の変異体を取得することが可能である。
(3)同様の原理で、例えば、標的昆虫から調製した受容体分子であるcadherin−like proteinと、その昆虫に弱い活性を持つδ内毒素の遺伝子から準備した変異体δ内毒素ライブラリーを構築することが可能であり、それを利用して、選抜法であるパニング法やビーズ法により、その昆虫のcadherin−like proteinに対して結合親和性を増したδ内毒素を生み出すことが可能である。
(4)また、標的昆虫に強い殺虫活性を持つδ内毒素の遺伝子から準備した変異体δ内毒素ライブラリーを利用して、上記選抜を繰り返すことにより、その昆虫のcadherin−like proteinに対して更に高い結合親和性を持つδ内毒素を取得することが可能である。
(5)薬理学的に言えば、受容体に結合親和性を増した変異物質は、出発物質よりも低濃度で作用することになり、結果として活性が増したことになる。すなわち、本発明の方法を用いることで、進化分子工学的に、標的の昆虫に対してより効くδ内毒素を作製することが可能になる。更に、上記のようなδ内毒素ライブラリーとcadherin−like protein等を用いて受容体に結合親和性を増した変異体を選抜することにより、これまで有効な天然のδ内毒素がまったく知られていなかった昆虫に対して活性をもつδ内毒素を生み出すことも可能である。
(6)そのようにして作製したδ内毒素のバラエティーは、容易に天然に存在し、人類が現実的に発見できる数をはるかに超越したものになり得る。しかも、それらは、天然のδ内毒素と同様のフォールディングを持つタンパク質であり、BT菌が産生する多くの天然の変異体δ内毒素と化学的には本質的な違いがないものと考えられる。
(7)本発明により、人畜や地球環境に対しては天然のδ内毒素と全く同様に安全なタンパク質を進化分子工学で創出し、それを利用した新規殺虫剤、及び害虫抵抗性作物を提供できる。
(8)また、今後明らかにされる可能性のある第2、第3の受容体をcadherin−like proteinの代替物として使うことにより、それらを介して昆虫を殺すδ内毒素を生み出すことも可能である。
2種類のδ内毒素(Cry1Aa毒素及びCry1Ab毒素)について、T7ファージのキャプシドタンパク質上に提示するためのベクターを構築した。Cry1Aa及びCry1Ab発現ファージベクターの構築法の概要を図1に示す。T7ファージ発現ベクターには、Novagen社のT7Select10−3bを用いた。まず、Cry1Aa毒素及びCry1Ab毒素のドメイン1から3を含む遺伝子領域(29〜618位のアミノ酸)をPCRで増幅した。
得られたCry1Aa毒素及びCry1Ab毒素遺伝子挿入ファージクローンが、本当にそれぞれの毒素タンパク質をファージ上に提示していることを確かめることを目的に、以下の2つの実験を実施した。
δ内毒素提示ファージが毒素の受容体に結合する能力を持っているか、換言すると、このようにして提示されたδ内毒素が本来の受容体結合能力を持っているか否かを確認する目的で、カイコ中腸における受容体の一つであるcadherin−like protein(BtR175)を結合対象として用いて実験を行った。この実験では、Cry1Aa毒素提示ファージ及びCry1Ab毒素提示ファージの受容体分子BtR175への結合性を調べるために、ファージを、BtR175を結合させた、あるいはさせていない対照区のプレートもしくは磁気ビーズと混合し、撹拌した後、それらをPBSTで5回洗浄した。次に、磁気ビーズに結合しているファージを、1%SDS PBSTで溶出し、大腸菌に感染させplaque forming unitを算出した。
磁気ビーズ法は、ファージディスプレイした変異導入ScFV(single chain fragment variable derived from the antibody:一本鎖抗体)のライブラリーから結合親和性の高いクローンを選抜する上で最も強力な方法の一つである。そこで、磁気ビーズ法がファージディスプレイ法を利用したCry1A 毒素のBtR1751に対する結合親和性向上を図る進化分子工学にも応用できるか否かを検討した。
更に、磁気ビーズによる濃縮操作を繰り返すことにより、微量しか含まれていない結合親和性の高いファージを、低いファージの中から理論どおりに濃縮できるかを確かめるために、Cry1Aa毒素提示ファージとCry1Ab毒素提示ファージを1:10、1:103、及び1:106の比率で混合した合計109個のファージに対して磁気ビーズによる濃縮操作を連続的に実施した。
Claims (11)
- 標的昆虫に対して殺虫活性を増した毒素タンパク質の変異体を選抜する方法であって、
(1)殺虫性の毒素タンパク質をその受容体に結合性を持った形でT7ファージに発現させた毒素提示ファージを作製する、
(2)上記受容体を結合させた担体を用いて、それらに結合親和性を有する毒素提示ファージを選抜する、
(3)上記システムを利用して、受容体に対して結合親和性を増した変異体を選抜する、
ことを特徴とする変異体の選抜方法。 - 毒素提示ファージ発現ベクターを宿主に感染させて増殖させ、ファージクローンをクローニングして、毒素提示ファージを取得する、請求項1に記載の方法。
- 上記システムを利用して、変異体ライブラリーを構築し、それらの変異体の中から受容体に対して結合親和性を増した変異体を選抜する、請求項1に記載の方法。
- 殺虫性の毒素タンパク質としてδ内毒素を使用し、受容体としてcadherin−like protein、δ内毒素結合性分子、又は受容体代替物を使用する、請求項1に記載の方法。
- 既存の殺虫性の毒素タンパク質に変異を入れた変異体を用いて、変異体の選抜を繰り返すことにより、結合親和性を増した目的の変異体を取得する、請求項1に記載の方法。
- 担体が、プレート、ゲル、メンブレン、繊維又はビーズである、請求項1に記載の方法。
- 変異体の選抜工程において、受容体を結合させた磁気ビーズを用いて毒素提示ファージを濃縮する操作を繰り返して、濃縮された毒素提示ファージを取得する、請求項1に記載の方法。
- 請求項1から7のいずれかに記載の選抜方法で取得した、受容体に対して結合親和性を増した変異体、又はその変異体をコードする遺伝子。
- 請求項8に記載の変異体を活性本体として含有することを特徴とする殺虫性組成物。
- 請求項8に記載の変異体をコードする遺伝子を発現可能に植物体に導入したことを特徴とする害虫抵抗性組換え植物体。
- 植物体が、食用作物である、請求項10に記載の害虫抵抗性組換え植物体。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN102175876A (zh) * | 2011-02-11 | 2011-09-07 | 南京农业大学 | 一种检测Cry1Ab/Cry1Ac杀虫蛋白的免疫纳米磁颗粒及其制备方法 |
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JP2003517836A (ja) * | 1999-12-21 | 2003-06-03 | スージェン・インコーポレーテッド | 哺乳動物蛋白質ホスファターゼ |
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