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JP2007083132A - 陰イオン交換樹脂からの有機物溶出低減方法 - Google Patents

陰イオン交換樹脂からの有機物溶出低減方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
陰イオン交換樹脂からの有機物溶出量を低減させるための追加の単位操作・装置が不要であり、且つ有機物の溶出量が確実に一定量以下となる、陰イオン交換樹脂における有機物溶出量の低減方法の提供。
【解決手段】
陰イオン交換樹脂を密閉状態で保存することによりエージングし、該エージング後の陰イオン交換樹脂を超純水で洗浄することを含む、陰イオン交換樹脂における有機物溶出量の低減方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、陰イオン交換樹脂における有機物溶出量を低減させる方法、有機物溶出量の少ない陰イオン交換樹脂、及びかかる陰イオン交換樹脂を用いた超純水の製造方法に関する。
現在、半導体・液晶等に代表される電子産業においては、イオン、有機物、微粒子等のような不純物の量を極限まで低減させた超純水が、製造工程中における洗浄等に使用されている。このように超純水に含まれる不純物量を出来るだけ少なくしているのは、かかる不純物が得られる最終製品の欠陥原因となる場合があるためである。特に、超純水に含まれる有機物は半導体製造物等の性能に大きな影響を及ぼすため、全有機炭素(TOC)として、超純水の製造から使用にかけて連続的に測定・管理されている。
超純水の製造に利用される代表的水処理システムにおいては、一般的に、イオン交換樹脂による不純物の除去工程が含まれる。ここで、かかる水処理システムを用いて超純水を製造する場合、超純水に含まれる有機物には、そもそも被処理水そのものに存在していたものに加えて、水処理システムを構成する材料自体から溶出される不純物も含まれる。
イオン交換樹脂も有機材料であるため、通水することにより一定量の有機物がイオン交換樹脂から溶出してくることが知られている。よって、何の前処理も施されていないイオン交換樹脂を超純水製造における水処理システムに直接使用した場合には、得られる水のTOC量が急激に増加してしまう。つまり、被処理水をイオン交換樹脂に通した場合、水中の不純物がイオン交換樹脂に吸着されて除去される一方、イオン交換樹脂からも有機物が溶出してくるので、得られる水のTOC量を一定レベル以下にすることができない。
このため、超純水の製造に用いられるイオン交換樹脂としては、有機物溶出量の少ないものが求められており、イオン交換樹脂からの有機物溶出量を低減させる前処理方法について、様々な検討・開発がなされてきている。
例えば、超純水等の高度に処理された清浄な水により洗浄する方法や、超純水による洗浄前に水溶性の有機溶媒で処理・洗浄する方法(例えば、特許文献1、2参照)が知られている。また、陰イオン交換樹脂をアルカリ溶液中で加熱処理した後、水溶性有機溶媒で洗浄することで、全有機炭素の溶出を低減させる方法(例えば、特許文献3参照)も提案されている。
更に、これまで、イオン交換樹脂は、製造後一定時間保存すると、接触雰囲気中の酸化剤や温度の影響によって溶出する有機物の量が増加すると考えられていた。よって、上記のようなイオン交換樹脂の前処理は、イオン交換樹脂の製造直後に行われ、かかる前処理後、速やかに水処理システムに用いられるのが一般的である(例えば、非特許文献1参照)。
特開平5−4051号公報 特開平5−15789号公報 特開2004−41915号公報 オルガノ株式会社編,「イオン交換樹脂 その技術と応用」,1985年7月,p.93
確かに、上記文献に記載される前処理方法は優れた方法であるが、有機物溶出量を低減させるためには、水溶性有機溶媒での洗浄のような追加の単位操作や、アルカリ溶液中での加熱処理を行うための追加の装置が必要となる。このような単位操作や追加装置は、製造コストの点において不利である。
また、本発明者による検討の結果、従来の前処理方法を用いたとしても、製造直後又は製造後30日程度までの陰イオン交換樹脂を用いた場合には、有機物溶出量の低減効果に限界があることが明らかとなってきた。すなわち、製造直後から30日程度経過した、あるいは30日経過以前の陰イオン交換樹脂に対して、上記文献に記載される前処理方法を用いて有機物溶出量低減させたとしても、必ずしも目的とする充分なレベルまで有機物溶出量を低減できない場合があることが判明した。
そこで、上記知見に基づき更なる検討を重ねた結果、意外にも、製造後の陰イオン交換樹脂を密閉状態にて一定時間保存することでエージングした後に、超純水で洗浄するという簡便な処理を行うだけで、確実に有機物溶出量を一定レベルまで低減できること、及びこの低減効果は、特に陰イオン交換樹脂において顕著であることを見出し、本発明を完成するに到った。
すなわち、本発明は、陰イオン交換樹脂を密閉状態で保存することによりエージングし、該エージング後の陰イオン交換樹脂を超純水で洗浄することを含む、陰イオン交換樹脂における有機物溶出量の低減方法に関する。
また、本発明は、陰イオン交換樹脂を、陰イオン交換樹脂の2倍量の超純水中に3日間浸漬し、次いで、陰イオン交換樹脂量の10倍量の超純水を用い空塔速度20h−1で洗浄した際のΔTOCが20ppb以下となる、陰イオン交換樹脂に関する。
更に、本発明は、有機物溶出量が一定レベルまで低減した陰イオン交換樹脂を用いた超純水の製造方法に関する。
本発明の陰イオン交換樹脂における有機物溶出量の低減方法は、陰イオン交換樹脂を製造した後、まず、密閉状態で保存することによりエージングし、次いで超純水を用いて洗浄するだけでよいので、追加の装置・単位操作を必要とせず、生産効率の点において極めて優れた方法である。
また、かかる有機物溶出量の低減方法により処理された陰イオン交換樹脂は、有機物の溶出量が確実に一定量以下になっている。このように、本発明によれば、優れた性能を有し、且つ均質である陰イオン交換樹脂を確実に製造することが可能となり、陰イオン交換樹脂におけるロット間のばらつき等の問題を解消することができる。更にまた、この有機物溶出量が少なく、且つ均質な陰イオン交換樹脂を水処理システムに用いることで、得られる超純水の水質も高純度且つ均質となる。
上記のとおり、本発明における陰イオン交換樹脂から溶出する有機物の量を低減させる方法は、(1)陰イオン交換樹脂を密閉状態で保存することによりエージングする工程、及び(2)該エージング後の陰イオン交換樹脂を超純水で洗浄する工程を含んでいる。
陰イオン交換樹脂のエージングは、密閉状態にて、陰イオン交換樹脂を一定時間保存することにより行われる。ここで、密閉状態とは、製造後の陰イオン交換樹脂と外部空気との接触を防止できる状態であればよく、特定の環境・雰囲気(例えば、窒素雰囲気)下で陰イオン交換樹脂を正確に管理し保存できるような厳密な密閉状態にする必要はない。また、エージングのために、陰イオン交換樹脂を密閉状態で保存する方法についても、特に制限はない。例えば、製造後の陰イオン交換樹脂を袋又は容器内に収容して保存すればよく、より具体的には、陰イオン交換樹脂をポリエチレン又はポリプロピレン等のプラスチック製袋に封入し、その袋口をゴム紐等で閉じ、紙製ドラム等の内部に入れて保管する等の方法が挙げられる。
ここで、製造後の陰イオン交換樹脂を袋や容器に入れ、更にドラムなどの各種形態に梱包し、これを次工程である前処理工程(有機物溶出量の低減工程)で使用するという一連の操作は、従来から行われている。一方、本発明においても、製造後の陰イオン交換樹脂を袋又は容器内に収容して保管するのであるが、上述の通り、本発明においては、かかる密閉状態にした陰イオン交換樹脂を所定時間保存することで、陰イオン交換樹脂のエージングを行い、有機物の溶出量が確実に一定量以下となるようにしている。したがって、本発明においては、かかるエージングの後に、従来技術において記載されるような前処理工程(有機物溶出量の低減工程)を経る必要がなく、水溶性有機溶媒での洗浄のような追加の単位操作や、アルカリ溶液中での加熱処理を行うための追加の装置が不要となる。
また、本発明においては、空気中に存在する炭酸ガス(CO2)の吸収防止、及び製造効率の観点から、陰イオン交換樹脂を製造後、直ちに袋又は容器内に収容し密閉状態にて保存することが好ましい。具体的には、陰イオン交換樹脂製造装置における陰イオン交換樹脂の製造工程が完了し、該装置からベルトコンベア等で搬出された製造直後の陰イオン交換樹脂を、袋又は容器内に収容して保存することが好ましい。
本発明の有機物溶出量低減方法においては、陰イオン交換樹脂のエージングのために、陰イオン交換樹脂を一定時間保存する必要がある。ここで、陰イオン交換樹脂の保存時間を長くすることで有機物溶出量をより低減させることが可能となるため、この陰イオン交換樹脂の保存時間は、目的とする有機物溶出量の低減レベルに応じて適宜設定すればよい。
また、陰イオン交換樹脂のエージングによる効果は、保存時における陰イオン交換樹脂の温度を変化させることでも制御できる。すなわち、保存時における陰イオン交換樹脂の温度が高い場合には、陰イオン交換樹脂の保存時間が短くても有機物溶出量の低減効果は大きくなる。
このように、陰イオン交換樹脂のエージング時間(保存時間)を一概に定めることはできず、また、エージングの際の条件である保存時間及び保存温度範囲の関係も有機物溶出量の低減レベルによって変化する。ただし、一般的には、エージング後の陰イオン交換樹脂を、陰イオン交換樹脂の2倍量の超純水中に3日間浸漬し、次いで、陰イオン交換樹脂量の10倍量の超純水を用い空塔速度20h−1で洗浄した際のΔTOCが20ppb以下となるように、陰イオン交換樹脂の保存時間及び保存温度を設定し、陰イオン交換樹脂のエージングを行うことが好ましい。
ここで、「ΔTOC」とは、陰イオン交換樹脂における有機物溶出量低減レベルを評価するために測定される値であり、イオン交換樹脂に被処理水を通水することによって、イオン交換樹脂から溶出し処理水へ加味されるTOCの量を表している。すなわち、イオン交換樹脂を充填したカラムに被処理水を通水した場合、カラム出口から得られる処理後の水のTOCから、カラムに導入される前の被処理水のTOCを差し引くことで、ΔTOCを測定することができる。なお、被処理水及び処理水のTOCを同時刻に測定することは困難であり、また重要ではないため、事前に測定したカラムに導入前の被処理水のTOCを、カラム出口から得られる処理水のTOCから差し引いても差し支えない。
被処理水及び処理水のTOCは、当業界において既知であり入手可能な装置により求めることが可能であり、例えば、IONICS社製SIEVERS810やANATEL社製A1000等のTOC計により測定することができる。具体的には、被処理水及び処理水を適宜、回分式又は連続式にサンプリングし、TOC計で測定を行う。連続式の場合には、カラムの前後の配管から導管を分岐し、被処理水及び処理水をTOC計へ導入し、TOCの測定を行う。測定原理についてはTOC計により異なり、同一の被処理水または処理水を測定して得られるTOC値は、異なるTOC計間で必ずしも一致しないという場合もある。従って、ΔTOCの測定は、同一のTOC計を用いて測定した被処理水及び処理水のTOC値から求めることが好ましい。
また、上記した「陰イオン交換樹脂を、陰イオン交換樹脂の2倍量の超純水中に3日間浸漬し、次いで、陰イオン交換樹脂量の10倍量の超純水を用い空塔速度20h−1で洗浄する」という陰イオン交換樹脂の処理条件は、本発明におけるΔTOC測定の際に使用する共通の条件とする。その理由は、ΔTOC測定における陰イオン交換樹脂の処理条件は、得られるΔTOC値と密接に関係するからである。すなわち、陰イオン交換樹脂の浸漬時に接触させる超純水の量及び接触させる時間、並びに陰イオン交換樹脂の洗浄時に接触させる超純水の量及び空塔速度によって、得られるΔTOCは変化する。一般的には、陰イオン交換樹脂の浸漬時に接触させる超純水の量及び接触させる時間を増加させると、ΔTOC値は減少する。また、陰イオン交換樹脂の洗浄時に接触させる超純水の量及び空塔速度を増加させる場合も、ΔTOC値は減少する。したがって、上記した陰イオン交換樹脂の処理条件がΔTOC測定のための唯一の条件でなく、異なる条件で陰イオン交換樹脂の処理を行ってΔTOCを測定してもよいが、陰イオン交換樹脂間における有機物溶出低減効果を判別するためには、同一の陰イオン交換樹脂の処理条件下でΔTOCを測定し、得られたΔTOC値を直接比較する必要がある。なお、上記処理条件において使用される超純水としては、比抵抗が1MΩ・cm以上、及びTOCが20ppb以下のものであれば差し支えないが、比抵抗が18MΩ・cm以上、及びTOCが4ppb以下の超純水が好ましい。
なお、以下の保存温度範囲及び保存時間に限定される訳ではないが、上記処理条件下、つまり、陰イオン交換樹脂を、陰イオン交換樹脂の2倍量の超純水中に3日間浸漬し、次いで、陰イオン交換樹脂量の10倍量の超純水を用い空塔速度20h−1で洗浄した場合において、ΔTOCを20ppb以下とするには、陰イオン交換樹脂の温度を10〜30℃とした場合、一般的に、陰イオン交換樹脂を60日以上保存することが好ましい。また、ΔTOCを15ppb以下とするためには、陰イオン交換樹脂の保存温度を10〜30℃とした場合、陰イオン交換樹脂を90日以上保存することが好ましい。
上述の通り、保存時間を長くすることで有機物溶出量をより低減させることが可能となるが、陰イオン交換樹脂の保存温度を10〜30℃とした場合、90日以上保存しても低減効果に大きな差は見られない。また、空気中の酸素を起因とする陰イオン交換樹脂の酸化劣化の促進や、陰イオン交換樹脂の空気中の炭酸ガスの吸収等の悪影響も生じるため、陰イオン交換樹脂の保存時間は2年以下とすることが好ましく、より好ましくは1年、最も好ましくは6ヶ月である。
また、保存時における陰イオン交換樹脂の温度を40℃以上にした場合には、陰イオン交換樹脂を10日以上保存することで、20ppb以下のΔTOCにすることができる。ただし、保存時における陰イオン交換樹脂の温度が高くなりすぎると、陰イオン交換樹脂の熱分解が促進される場合がある。陰イオン交換樹脂の種類及びイオン形により、好ましい上限温度は異なるが、例えば、後述する陰イオン交換樹脂の中で、スチレンモノマーとジビニルベンゼンモノマーとから構成される架橋共重合体に、クロロメチルメチルエーテル等を反応させて得られるハロアルキル基を有する架橋共重合体に、トリメチルアミンを反応させて得られる、トリメチルアンモニウム基を有する陰イオン交換樹脂(イオン形が水酸化物イオン形)を用いた場合には、60℃以下で保存することが好ましい。なお、陰イオン交換樹脂の温度を40℃以上にした場合における保存時間の上限については、保存温度を10〜30℃とした場合と同様であり、陰イオン交換樹脂の酸化劣化の促進及び空気中の炭酸ガス吸収の観点から、好ましくは2年以下、より好ましくは1年、最も好ましくは6ヶ月である。
次に、本発明の方法において陰イオン交換樹脂の洗浄に使用される超純水について説明する。本発明で使用可能な「超純水」については、「純水」と明確に区別する必要はない。上述のΔTOC測定における陰イオン交換樹脂の処理と同じく、比抵抗が1MΩ・cm以上、及びTOCが20ppb以下のものであれば使用可能であり、好ましくは、比抵抗が18MΩ・cm以上、及びTOCが4ppb以下の超純水を用いて、エージング後の陰イオン交換樹脂の洗浄を行う。
また、超純水による洗浄方法としては、特に制限はなく、超純水の流量、温度等についても通常の条件に従い適宜選択することができる。具体的には、上述のΔTOC測定の際における陰イオン交換樹脂の処理条件と同様に、まず陰イオン交換樹脂を超純水に浸漬し、次いで超純水で洗浄する方法が挙げられる。
上述のように、従来は、イオン交換樹脂を一定時間保存すると有機物溶出量は増加し、ΔTOCの小さいイオン交換樹脂は得られ難くなると考えられており、また、イオン交換樹脂を単に超純水を用いて洗浄するだけでは、有機物の溶出量を充分に低減できないという理解が一般的であった。
これに対して本発明は、陰イオン交換樹脂をまず密閉状態にて一定時間保存することで陰イオン交換樹脂のエージングを行うことが、陰イオン交換樹脂からの有機物溶出量を確実に低減させる上で有効であるとの知見に基づいている。そして、陰イオン交換樹脂を所定条件でエージングした後であれば、その後、超純水による洗浄という処理だけでも、ΔTOCが非常に小さい陰イオン交換樹脂が得られることを見出した。
すなわち、本発明においては、かかるエージングによる効果により、陰イオン交換樹脂を、陰イオン交換樹脂の2倍量の超純水中に3日間浸漬し、次いで、陰イオン交換樹脂量の10倍量の超純水を用い空塔速度20h−1で洗浄するという処理を行うだけでも、ΔTOCが20ppb以下、好ましくは15ppb以下である陰イオン交換樹脂を製造することが可能となる。かかる超純水による浸漬・洗浄という処理のみにより、ΔTOCが20ppb以下、好ましくは15ppb以下となる陰イオン交換樹脂は、これまで存在しなかった。
続いて、本発明において使用可能な陰イオン交換樹脂について説明する。陰イオン交換樹脂としては、特に制限はなく、例えば(1)モノビニル芳香族モノマーとポリビニル芳香族モノマーとから構成される架橋共重合体に、クロロメチルメチルエーテル等を反応させて得られるハロアルキル基を有する架橋共重合体、又は(2)ハロアルキルスチレンとポリビニル芳香族モノマーとから構成される架橋共重合体に、アミン等の求核性物質を反応させて得られる、トリメチルアンモニウム基、ジメチルエタノールアンモニウム基等の四級アンモニウム基、若しくはジメチルアミン基等の三級アミン基などの官能基を有するイオン交換樹脂を挙げることができる。また、架橋共重合体に含まれるポリビニル芳香族モノマーの含有量、及び架橋共重合体に反応させる官能基の量についても、特に制限はない。更に、陰イオン交換樹脂のイオン形についても、塩化物イオン形、炭酸イオン形、水酸化物イオン形の何れでもよく、これらに限定される訳でもない。また、陰イオン交換樹脂の大きさについても、特に制限はなく、具体的には、平均粒径(体積基準中央値)(Volume Median Diameter)が590±50μmであって、均一係数(Uniformity Coefficient)が1.1以下であるものが例示できる。
具体的な陰イオン交換樹脂の例としては、ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー製、ダウエックス(ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー商標)モノスフィアー(ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー商標)550A UPW(OH)が挙げられる。
本発明の有機物溶出量低減方法を用いて得られる陰イオン交換樹脂は、単床、弱塩基性及び強塩基性陰イオン交換樹脂との組合せによる複層床、又は陽イオン交換樹脂との混床などの形態で、樹脂塔(通常は円筒状容器)に充填され、限外ろ過膜・逆浸透膜・紫外線照射装置等その他の水処理システム構成部材と共に組み合わせて、超純水の製造に使用される。具体的水処理システム構成、及び樹脂塔の大きさは様々であり、従来より知られている方法に従えばよい。また、ユースポイントに近いイオン交換樹脂は非再生運用されるのが通常であるが、本発明における陰イオン交換樹脂についても、再生運用、非再生運用のいずれも可能である。更に、陰イオン交換樹脂の再生方式についても特に制限はない。
本発明の有機物溶出量低減方法を用いて得られる陰イオン交換樹脂によって製造された超純水は、主に半導体・液晶などに代表される電子産業にて使用されるが、食品産業など不純物を更に低減することが求められる用途にも使用できる。
2種類(サンプル1、サンプル2)の製造直後の陰イオン交換樹脂(ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー製、ダウエックス(ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー商標)モノスフィアー(ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー商標)550A UPW(OH))をポリエチレン製ボトルに封入し、ボトル口を専用蓋で閉じ、それぞれ表1に示す日数、温度(20−25℃)条件の下、密閉状態にて保存することでエージングした。上述の陰イオン交換樹脂処理条件に従い、エージング後のサンプル1及び2各330mLを、まず、テフロン容器中の660mLの超純水(比抵抗:18.0MΩ・cm、TOC:4.0ppb)中に、3日間浸漬した。なお、テフロン容器中の超純水は毎日取り替えた。次いで、3日間浸漬後の陰イオン交換樹脂を、カラム(内径:3cm、高さ:50cm)内に充填し、3300mLの超純水(比抵抗:18.0MΩ・cm、TOC:4.0ppb)を用い空塔速度20h−1で洗浄した。そして、処理後の陰イオン交換樹脂の有機物溶出量の低減レベルを、TOC計(IONICS社製SIEVERS 810)を用い、ΔTOCを測定することで評価した。TOC計はカラム出口から得られる処理水のTOCを連続的に測定可能なように設置されており、ΔTOCは事前に測定したカラムに導入前の被処理水のTOCを、カラム出口から得られる処理水のTOCから差し引いて求めた。得られたΔTOCの値を表1に示す。
本発明の方法によれば、製造直後の陰イオン交換樹脂を、まず密閉状態で保存することによりエージングするため、その後に、従来では効果が充分でないとされていた超純水による洗浄という処理を行うだけでも、陰イオン交換樹脂からの有機物溶出量を確実に一定量以下にすることが可能となる。また、陰イオン交換樹脂からの有機物溶出量を確実に一定量以下にすることができるため、陰イオン交換樹脂におけるロット間のバラツキに伴う問題を回避できる。したがって、本発明の方法により得られる、有機物溶出量が少なく且つ均質な陰イオン交換樹脂を水処理システムに用いることで、高純度且つ均質な超純水を安定して得ることができ、電子産業等の分野において広く使用することが可能となる。
更に、本発明の方法によれば、有機物溶出量を低減させるために、水溶性有機溶媒での洗浄のような単位操作や、アルカリ溶液中での加熱処理を行うための追加の装置を設ける必要がないので、製造効率・コストの点において非常に有利となる。

Claims (5)

  1. 陰イオン交換樹脂を密閉状態で保存することによりエージングし、該エージング後の陰イオン交換樹脂を超純水で洗浄することを含む、陰イオン交換樹脂における有機物溶出量の低減方法。
  2. 請求項1に記載の方法により処理された、陰イオン交換樹脂。
  3. 陰イオン交換樹脂を、陰イオン交換樹脂の2倍量の超純水中に3日間浸漬し、次いで、陰イオン交換樹脂量の10倍量の超純水を用い空塔速度20h−1で洗浄した際のΔTOCが20ppb以下となる、陰イオン交換樹脂。
  4. 請求項2記載の陰イオン交換樹脂に被処理水を接触させることを含む、超純水の製造方法。
  5. 請求項3記載の陰イオン交換樹脂を用いる、超純水の製造方法。
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