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JP2007075510A - 水解性衛生薄葉紙及びその製造方法 - Google Patents

水解性衛生薄葉紙及びその製造方法 Download PDF

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JP2007075510A
JP2007075510A JP2005270500A JP2005270500A JP2007075510A JP 2007075510 A JP2007075510 A JP 2007075510A JP 2005270500 A JP2005270500 A JP 2005270500A JP 2005270500 A JP2005270500 A JP 2005270500A JP 2007075510 A JP2007075510 A JP 2007075510A
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Toshiki Yoshioka
俊樹 吉岡
Atsushi Konuma
敦嗣 小沼
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Daio Paper Corp
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Abstract

【課題】使用時の吸水性を確保するとともに、裏抜け防止を確実に図り、かつ厚み感と柔軟性、滑らかさを与えるとともに、使用後の廃棄時には容易に水流により崩壊し、例えば水洗トイレでの詰まりがない水解性衛生薄葉紙とする。
【解決手段】少なくとも2枚の薄葉紙を重ねて水解性衛生薄葉紙とする。この際、少なくとも一方の外層は、この外層以外のいずれかの層よりも、JIS P 8113に基づく乾燥引張強度を、縦方向及び横方向において各々大きく又は各々等しくする。
【選択図】図1

Description

本発明は、トイレットペーパー、業務用ティシュペーパー(例えば、飛行機内で使用されるもの。)等の水解性衛生薄葉紙に関するものである。
トイレットペーパーなどの水解性衛生薄葉紙は、直接肌に触れるものであることから、消費者から、柔らかさ、ふんわり感、滑らかさ、厚み感などの官能性に優れるものが要求されている。
一方、近年の温水洗浄便座の普及に伴い、トイレットペーパーに要求される性能が変化している。すなわち、温水洗浄便座においてトイレットペーパーを用いる主目的は、洗浄後の体表面に残った水をぬぐい取ることであるため、温水洗浄便座において使用されるトイレットペーパーに最も要求されるものは吸水性である。そのため、この種のトイレットペーパーは、体表面に残った水の全量を吸収し、かつ吸収した水が裏抜けして手の側に付かないことが求められている。
そこで、薄葉紙を重ねることによって生ずる空隙を利用することで吸水性を向上させた、複数枚の薄葉紙で必要な機能を果し得る温水洗浄便座に適したトイレットペーパーが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この提案は、更にエンボス加工を施すことにより、表面積を拡大して、また、薄葉紙と薄葉紙との間の吸水容量を大きくして、吸水性を向上させている。
しかしながら、エンボスが増えると、柔らかさや滑らかさが低下して肌触りが悪くなる。特に、排泄部及びその周辺部に疾患のある使用者にとっては、柔らかさや滑らかさについての考慮がないと、著しく使いづらい。もっとも、柔らか過ぎるとトイレットペーパーの表面が崩壊し、排泄部及びその周辺部に貼り付く現象が発生するため、不快感を与えてしまう。また、貼り付きを取り除くため、さらに拭き取る必要があり、疾患部分を刺激してしまい、痛みの発生原因となる。さらに、柔らかさや滑らかさの改善に固執すると、水解性が悪化し、使用後の廃棄の際における水洗トイレでの詰まりが生じ易くなる。
特開2002−172072号公報
本発明が解決しようとする主たる課題は、使用時の吸水性を確保し、裏抜け防止を図り、かつ厚み感と柔軟性、滑らかさを与えるとともに、使用後の廃棄時には水流により容易に崩壊し、例えば、水洗トイレなどでの詰まりが生じるおそれのない水解性衛生薄葉紙を提供することにある。また、この水解性衛生薄葉紙の製造方法も提供することにある。
上記課題を解決した本発明は、次記のとおりである。
<請求項1項記載の発明>
少なくとも2枚の薄葉紙を重ねてなる水解性衛生薄葉紙において、
少なくとも一方の外層は、この外層以外のいずれかの層よりも、JIS P 8113に基づく乾燥引張強度が、縦方向及び横方向において各々大きい又は各々等しい、ことを特徴とする水解性衛生薄葉紙。
(作用効果)
本発明の水解性衛生薄葉紙は、少なくとも2枚の薄葉紙を重ねてなるもので、少なくとも一方の外層は、この外層以外のいずれかの層よりも、JIS P 8113に基づく乾燥引張強度が、縦方向及び横方向において各々大きい又は等しいので、使用時の吸水性を確保し、裏抜け防止を図り、かつ厚み感と柔軟性、滑らかさを与えるとともに、使用後の廃棄時には水流により容易に崩壊する。
なお、本発明でいう「縦方向」とは、ライン流れ方向(長手方向)であり、「横方向」とは、ライン流れ方向に対する横断方向(幅方向)のことである。
<請求項2項記載の発明>
前記少なくとも一方の外層の、縦方向の乾燥引張強度が100〜250cN/25mm、横方向の乾燥引張強度が50〜100cN/25mmで、
かつ、前記少なくとも一方の外層以外のいずれかの層の、縦方向の乾燥引張強度が100〜800cN/25mm、横方向の乾燥引張強度が50〜350cN/25mmである、請求項1記載の水解性衛生薄葉紙。
(作用効果)
本発明の水解性衛生薄葉紙は、請求項1記載の水解性衛生薄葉紙と同様の作用効果を奏する。また、縦方向及び横方向の乾燥引張強度を、前記範囲内に特定しているので好ましい。前記下限値よりも小さいと、使用時、つまり水分の拭き取りにおいて、表面が崩壊しやすくなり、例えば、トイレットペーパーの場合、拭き取りの際、表面が崩壊し、排泄部及びその周辺部に貼り付く現象が発生するため、使用者に不快感を与えてしまう。また、貼り付きを取り除くため、さらに拭き取る必要があり、排泄部及びその周辺部に疾患のある使用者にとっては、疾患部分を刺激してしまい、痛みの発生原因となる。さらには、吸水性や裏抜け防止、柔軟性、滑らかさの点で不具合を生じる。逆に、前記上限値を超えると、水解性衛生薄葉紙が硬くなり、吸水性や裏抜け防止は発現するものの柔軟性、滑らかさの点で不具合が生じ、ひいては水解性の悪化に繋がるおそれがある。
<請求項3項記載の発明>
JIS L 0208に規定される絶乾状態の乾燥機中に3分間放置した後の、JIS P 4501に基づく水解性が80秒以内である、請求項1又は請求項2記載の水解性衛生薄葉紙。
(作用効果)
本発明の水解性衛生薄葉紙は、請求項1や請求項2記載の水解性衛生薄葉紙と同様の作用効果を奏する。また、使用後の廃棄時には水流により容易に崩壊し、例えば、水洗トイレなどでの詰まりが生じるおそれがない。
ここで、JIS L 0208に規定される絶乾状態の乾燥機中に3分間放置することを「3分キュアリング」と定義する。3分キュアリングする趣旨は、水解性衛生薄葉紙に添加した薬剤の効果を発揮させることにあり、例えば、水解性衛生薄葉紙の製品完成後、消費者が使用する段階での状態により近くなる。
<請求項4項記載の発明>
水平かつ平滑で水が浸透しない場所に水1mlを滴下した後、この水を30mm×40mmに広げ、この上にJIS L 0208に規定される絶乾状態の乾燥機中に3分間放置した後の薄葉紙を複数枚積み重ねた場合に、前記水が浸透する前記薄葉紙の枚数が20枚以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の水解性衛生薄葉紙。
(作用効果)
本発明の水解性衛生薄葉紙は、請求項1や請求項2、請求項3記載の水解性衛生薄葉紙と同様の作用効果を奏する。また、水分の裏抜けが好適に防止される。
<請求項5項記載の発明>
前記少なくとも一方の外層以外のいずれかの層は、一過性湿潤紙力剤が無添加とされ、かつ、前記少なくとも一方の外層は、一過性湿潤紙力剤が添加され、この添加量は、原料パルプ1トン当たり0.5〜2.5kgとされている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の水解性衛生薄葉紙。
(作用効果)
上記構成とすることで、使用時、つまり水分の拭き取り時においては、水解性衛生薄葉紙全体の崩壊が抑止され、使用後の廃棄時においては容易に水流により崩壊するものとなる。少なくとも一方の外層に前記範囲内で一過性湿潤紙力剤を添加することは、使用時の水分の拭き取りでは崩壊は進まないものの、使用後の廃棄時における水流により、まずこの部分から崩壊が始まり、次いで各層の分離が起こることになり、全体的に容易に崩壊するものとなる。上記範囲の下限値よりも小さいと、使用時の水分の拭き取りだけで崩壊が進み易くなり、吸水性や裏抜け防止、柔軟性、滑らかさの点で不具合を生じてしまう。逆に上限値を超えると、使用後の廃棄時における水流でも崩壊が抑止され、例えば水洗トイレでの詰まりに繋がる。
<請求項6項記載の発明>
各層のカチオン澱粉の添加量が、前記少なくとも一方の外層以外のいずれかの層は、原料パルプ1トン当たり1.5〜4.5kgとされ、かつ、前記少なくとも一方の外層は、原料パルプ1トン当たり0〜2.0kgとされている、請求項5記載の水解性衛生薄葉紙。
(作用効果)
請求項5の作用効果を奏する。特に、カチオン澱粉が添加されると、乾燥時の強度が確保されるとともに、使用時、つまり水分の拭き取り時における水解性衛生薄葉紙全体の崩壊を抑止することができる。特に、添加量は上記範囲内とすることが好ましく、下限値より小さいと、使用時の水分の拭き取りだけで崩壊が進み易くなり、吸水性や裏抜け防止、柔軟性、滑らかさの点で不具合を生じてしまう。逆に上限値を超えると、使用後の廃棄時における水流でも崩壊が抑止され、例えば水洗トイレでの詰まりに繋がる。
<請求項7項記載の発明>
紙厚が100〜450μmで、かつ、各層の米坪が11〜30g/m2である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の水解性衛生薄葉紙。
(作用効果)
紙厚及び米坪を上記範囲内にすることは、使用時の吸水性を確保するとともに、裏抜け防止を確実に図り、かつ厚み感と柔軟性、滑らかさを与えるとともに、使用後の廃棄時には容易に水流により崩壊するものとなる。特に、水洗トイレでの詰まりを防止できる。紙厚及び米坪において、上記下限値よりも小さいと、吸水性が確保しにくいとともに、裏抜けしてしまうおそれがある。逆に上限値を超えると、厚み感はあるものの柔軟性が劣るようになる。
<請求項8項記載の発明>
各層に、柔軟剤及び柔軟保湿剤の少なくともいずれか一方が添加されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の水解性衛生薄葉紙。
(作用効果)
各層に、柔軟剤及び柔軟保湿剤の少なくともいずれか一方が添加されることにより、使用時の吸水性を確保、裏抜け防止をしつつ、かつ厚み感と滑らかさを与えるとともに、使用後の廃棄時には容易に水流により崩壊することに加え、特に使用時の柔軟性を促進させることができる。
<請求項9項記載の発明>
ラミネートエンボス加工されている、請求項1〜8のいずれか1項に記載の水解性衛生薄葉紙。
(作用効果)
ラミネートエンボス加工をすることで、厚み感を向上させるとともに、表面積を拡大させることにより吸水性を向上させることができる。
<請求項10項記載の発明>
少なくとも2枚の薄葉紙を重ねてなる水解性衛生薄葉紙の製造方法において、
少なくとも一方の外層が、この外層以外のいずれかの層よりも、JIS P 8113に基づく乾燥引張強度が、縦方向及び横方向において各々大きいか又は各々等しくなるようにする、ことを特徴とする水解性衛生薄葉紙の製造方法。
(作用効果)
本発明法により、請求項1記載の水解性衛生薄葉紙を得ることができる。
<請求項11項記載の発明>
前記少なくとも一方の外層の、縦方向の乾燥引張強度が100〜250cN/25mm、横方向の乾燥引張強度が50〜100cN/25mmで、
かつ、前記少なくとも一方の外層以外のいずれかの層の、縦方向の乾燥引張強度が100〜800cN/25mm、横方向の乾燥引張強度が50〜350cN/25mmとなるようにする、請求項10記載の水解性衛生薄葉紙の製造方法。
(作用効果)
本発明法により、請求項2記載の水解性衛生薄葉紙を得ることができる。
<請求項12項記載の発明>
前記少なくとも一方の外層以外のいずれかの層は、一過性湿潤紙力剤を無添加とし、かつ、前記少なくとも一方の外層は、一過性湿潤紙力剤を添加し、この添加量を、原料パルプ1トン当たり0.5〜2.5kgとする、請求項10又は請求項11記載の水解性衛生薄葉紙の製造方法。
(作用効果)
本発明法により、請求項5記載の水解性衛生薄葉紙を得ることができる。
<請求項13項記載の発明>
各層のカチオン澱粉の添加量を、前記少なくとも一方の外層以外のいずれかの層は、原料パルプ1トン当たり1.5〜4.5kgとし、かつ、前記少なくとも一方の外層は、原料パルプ1トン当たり0〜2.0kgとする、請求項12記載の水解性衛生薄葉紙の製造方法。
(作用効果)
本発明法により、請求項6記載の水解性衛生薄葉紙を得ることができる。
<請求項14項記載の発明>
紙厚を100〜450μmとし、かつ、各層の米坪を11〜30g/m2とする、請求項10〜13のいずれか1項に記載の水解性衛生薄葉紙の製造方法。
(作用効果)
本発明法により、請求項7記載の水解性衛生薄葉紙を得ることができる。
<請求項15項記載の発明>
各層に、柔軟剤及び柔軟保湿剤の少なくともいずれか一方を添加する、請求項10〜14のいずれか1項に記載の水解性衛生薄葉紙の製造方法。
(作用効果)
本発明法により、請求項8記載の水解性衛生薄葉紙を得ることができる。
<請求項16項記載の発明>
ラミネートエンボス加工する、請求項10〜15のいずれか1項に記載の水解性衛生薄葉紙の製造方法。
(作用効果)
本発明法により、請求項9記載の水解性衛生薄葉紙を得ることができる。
本発明によると、使用時には吸水性を確保するとともに、裏抜け防止を確実に図り、かつ厚み感と柔軟性、滑らかさを与えるとともに、使用後の廃棄時には容易に水流により崩壊し、例えば水洗トイレでの詰まりがない水解性衛生薄葉紙及びその製造方法となる。
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しつつ詳説する。本発明に係る水解性衛生薄葉紙は、少なくとも2枚以上の紙などからなる薄葉紙(原紙シート)が重ねられた形態を採る。重ねられる原紙シートの枚数は特に限定されるものではなく、例えば2枚、3枚、4枚、又はそれ以上の複数枚と適宜変更することができる。特に、2枚又は3枚がエンボス加工した場合、エンボスの形状保持のため望ましい。
(原紙)
原紙は、NBKP、LBKP、BCTMP、古紙などのパルプを、目的の水解性衛生薄葉紙に応じた割合で配合した原料パルプを抄紙してなるものを用いる。特に、NBKPとLBKPとの配合が好ましく、その配合割合は、NBKP:LBKP=30:70〜50:50がよく、特に、NBKP:LBKP=40:60が望ましい。LBKPの配合を高めることで、柔軟性や滑らかさを発現し易くなるためである。ここで重要なのは、目的の水解性衛生薄葉紙において、少なくとも一方の外層は、この外層以外の少なくともいずれかの層よりも、JIS P 8113に基づく乾燥引張強度が縦方向及び横方向において各々大きくすることにある。
原紙の具体的な物性としては、3枚重ね(3プライ)のトイレットペーパーの場合には、外層の縦方向の乾燥引張強度が、100〜250cN/25mm、横方向の乾燥引張強度が、50〜100cN/25mm、外層に挟まれた内層の縦方向の乾燥引張強度が、350〜500cN/25mm、横方向の乾燥引張強度が、110〜200cN/25mmであるであることが好ましい。これら下限値よりも小さいと、使用時、つまり水分の拭き取り時において、表面が崩壊しやすくなり、吸水性や裏抜け防止、柔軟性、滑らかさの点で不具合を生じてしまう。逆に、上限値を超えると、水解性衛生薄葉紙が硬くなり、吸水性や裏抜け防止は発現するものの柔軟性、滑らかさの点で不具合が生じ、引いては水解性の悪化に繋がる恐れがある。このためには、外層の原紙は原料パルプの未叩解時のフリーネス(ろ水度)がJIS P 8121に準じたカナダ標準ろ水度試験方法により、600〜700ccとし、その後、叩解することなく抄紙することで、柔軟性、滑らかさを維持させることができる。また、内層は、原料パルプの未叩解時のフリーネス(ろ水度)がJIS P 8121に準じたカナダ標準ろ水度試験方法により、600〜700ccとし、その後、未叩解のままか又は叩解することにより、未叩解のまま又は叩解前後のフリーネスダウン幅を0〜100ccとして抄紙することで、柔軟性、滑らかさを維持すると共に、原紙の強度を持たせることができる。
〔紙厚〕
各層の紙厚は、50〜300μmとなるのが好ましい。50μm未満では、トイレットペーパーの場合、柔らかさの向上の観点からは好ましいものの、トイレットペーパーとしての強度を適正に確保することができないためである。また、300μm超では、トイレットペーパーが硬くなりすぎて、トイレットペーパーの肌触りが悪化するだけでなく、使用時にゴワツキ感が生じるためである。特に、各層を同じ紙厚に統一する必要はなく、3枚重ね(3プライ)のトイレットペーパーの場合には、外層の紙厚は50〜250μm、外層に挟まれた内層の紙厚は50〜250μmとするのが好ましい。
なお、紙厚の測定方法としては、JIS P 8111の条件下で、ダイヤルシックネスゲージ(厚み測定器)「PEACOCK G型」(尾崎製作所製)を用いて測定するものとする。具体的には、プランジャーと測定台の間にゴミ、チリ等がないことを確認してプランジャーを測定台の上におろし、前記ダイヤルシックネスゲージのメモリを移動させてゼロ点を合わせ、次いで、プランジャーを上げて試料(例えば、トイレットペーパー。)を試験台の上におき、プランジャーをゆっくりと下ろしそのときのゲージを読み取る。このとき、プランジャーをのせるだけとする。なお、紙厚は測定を10回行って得られる平均値とする。
〔引張強度〕
本発明に係る水解性衛生薄葉紙の引張強度は、JIS P 8113の引張試験方法に準じて行う。その中でJIS P 8111に規定された標準条件下で、縦方向及び横方向に幅25mmに裁断するものとする。
〔水分浸透度〕
水解性薄葉紙の水分浸透度は、水平に薄葉紙を複数枚積み重ね、積み重ねた薄葉紙に水分が浸透する枚数が20枚以下であることが好ましい。
ここで、水分浸透度の具体的な測定方法としては、例えば、3枚重ね(3プライ)のトイレットペーパーを1組として、これを順次積み重ねていき、少なくとも10組の積み重ねた試料を用意する。次いで1mlの水をスポイドで計り取り、水平かつ平滑で水が浸透しない試験台の上で30mm×40mmの面積に均一に広げる。広げるには、スポイド自体か、顕微鏡で使用するプレパラートといったガラス片を用いることができ、均一に広げることができればこれら以外のものを使用しても良い。次に錘を用意し、広げた水の上に積み重ねた試料を上から静かに被せ、ほぼ同時に被せた上のほぼ中心に重りを置き、約1秒後錘を離し、水が浸透した紙の枚数を数える。
上記の錘は650gとし、紙に当たる底部の面積が30mm×50mmのものを使用する。置き方として、錘の30mmの辺が、広げた水の30mmの辺に沿うように置き、広げた水を覆うようにする。30mm×50mmの面積は、実使用において温水洗浄便座を用いた後、濡れた排泄部及び排泄部周辺を拭く時に、これら部分に接触する紙の面積を想定したものである。また、650gは排泄後の排泄部及び排泄部周辺をトイレットペーパーで拭き取る際にかかる力を想定したものである。水が浸透する枚数が20枚以下としたのは、実際上、トイレットペーパーを20枚以下になるよう折り重ねて使用されることが多いことからである。裏抜け防止の観点から言えば、15枚以下であることが望ましい。
〔ソフトネス〕
本発明に係る水解性衛生薄葉紙のソフトネス(JIS L 1096 曲げ合成)は、1.5〜3.5gであることが好ましい。1.5g未満では、水解性衛生薄葉紙が柔らかくなりすぎて厚み感の確保が困難となるためである。また、3.5g超では、水解性衛生薄葉紙が硬くなりすぎて肌触りが悪化するためである。
ここで、ソフトネスとは、10cm巾の衛生薄葉紙を端子によって巾20mmの隙間に押し込んだときの抵抗値(縦横の平均値)であり、値が小さいほど、柔らかいことを意味する。本明細書でソフトネス は、ハンドルオメータ法(JIS L−1096 E法)によって測定した値をいう。ソフトネスは、例えば、坪量、層の数、層を形成する繊維・フィルム等の種類、融着加工条件などを変化させることにより、調節することができる。
〔湿潤破裂強度〕
本発明に係る湿潤破裂強度の測定は、カトーテック株式会社製「ハンディー圧縮試験機 KES−G5」を用いて行う。例えば、3枚重ね(3プライ)のトイレットペーパーの場合、まず直径約90mmの開口のある長さ190mm、幅150mm、厚み50〜60μmの平鋼板に、トイレットペーパー1組を敷き、開口を覆う。この時、トイレットペーパーの長手方向が平鋼板の長さ方向に沿うように敷く。トイレットペーパーの大きさは開口を覆うだけの大きさであれば足りるが、通常トイレットペーパーは幅方向にミシン目が付与されているので、ミシン目部分は開口にかからないようにする。好ましくはミシン目とミシン目の間の大きさ(ワンピッチ)分を敷くのが良い。形成された水平な台座上に、例えば3枚重ね(3プライ)のトイレットペーパーを1組敷く。平鋼板に敷いたトイレットペーパーの長手方向が試験機の試料台の奥側方向になるように設置する。具体的には試料台は直径約90mmの開口があり、この上には同様に直径約90mmの開口のある試料挟時台があり、試料台と試料挟時台の間に、平鋼板に敷いたトイレットペーパーを開口部分が一致するように設置・固定する。直径約15mmの鋼球を持つ加圧棒を開口部分から上方に約1cm離して設置し、この状態をゼロ点とする。SENS(測定感度切り換え)スイッチを5、STROKE SET(制御ストローク設定)スイッチを10として、前記鋼球を持つ加圧棒のほぼ真下のトイレットペーパー部分にピペットで2mlの水を垂らし、ゼロ点から前記鋼球を持つ加圧棒を速度1.0cm/秒で鉛直下方に移動させてトイレットペーパーを圧縮・破裂させる。その後、前記鋼球を持つ加圧棒が測定前の状態に戻った時のデジタルメータ(測定電圧確認)のパネルの数値に50を乗じた値を測定値とする。
〔プライ剥離強度〕
本発明に係る水解性衛生薄葉紙でラミネートエンボス加工をした場合のプライ剥離強度は、JIS P 8113の引張試験方法に準じて行う。その中でJIS P 8111に規定された標準条件下で、縦方向に幅50mmに裁断するものとする。詳細は後述する。
(第1の実施形態)
以下2枚の原紙シートを重ねた水解性衛生薄葉紙の形態について、図1〜3を参照しながら詳述するが、本発明は、この形態に限定されるわけではない。なお、本発明及び本明細書において「接着剤」とは、少なくとも顔料を含むものであればよく、例えば、顔料を含むインクそのものも接着剤とされる。また、PVA(ポリビニルアルコール)やCMC(カルボキシメチルセルロース)、アクリル樹脂といった接着性効果のある物質を別途加えたとしても、少なくとも顔料を含む限り、全体として本発明の接着剤とする。ただし、染料は含まない。なお、本発明及び本明細書では、「接着剤」と「着色接着剤」は同義語である。
本形態の水解性衛生薄葉紙Xは、重ねられた2枚の原紙シートS1、S2に、30〜100個/cm2のエンボス密度及び0.05〜2.0mmのエンボス深さを有するマイクロエンボス(第1エンボス)Mがそれぞれ施されている。図1において、全体を砂目状に描いてあるが、その各点がマイクロエンボス(第1エンボス)Mに相当するものと描いているものである。
これらの原紙シートS1,S2は対面していずれも外層となっており、図2に示すように、マイクロエンボス凸面同士及び凹面同士が近接して向い合っている。この原紙シートS1,S2のマイクロエンボスMの一部上に重ねて図柄模様を形成する図案エンボス(前記マイクロエンボスMよりエンボス密度が疎でエンボス深さの深いもの)E1,E2がそれぞれ加工されており、原紙シートS1,S2のマイクロエンボスMに対して図案エンボスE1,E2が重畳して形成されている。原紙シートS1,S2はこの重畳部で接合されている。なお、図2は原理的な説明図であり、現実的には、図案エンボスE1,E2部分においてマイクロエンボスMも含めてこれらの形状は図示の形状に対して角部が崩れるものであることを付言する。
本形態においては、図4に示されるように、原紙シートS1に「花」柄エンボスE1、原紙シートS2に「葉」柄エンボスE2がそれぞれ付与されている。なお、図案エンボスは、大きさ、形状などは特に限定されるものではなく、ロゴマーク、数字、文字、幾何学模様など適宜選択することができる。
このように各原紙シートS1,S2に、それぞれ単独で図案エンボスE1,E2加工が施され、かつマイクロエンボス同士が対面していることにより、各原紙シートS1,S2を重ね合わせてできる水解性衛生薄葉紙Xの嵩高性が向上され、シートの吸収性や柔らかさが良好なものとされる。
他方、前記図案エンボスE1,E2の凸部頭頂部Etには、水解性衛生薄葉紙Xの地色とは異なる色に顔料により着色された接着剤G1,G2が付与されており、この接着剤G1,G2によって両原紙シートS1,S2が接着されている。本形態では、花柄エンボスE1の凸部頭頂部Et1に赤色顔料の接着剤G1が付与され、葉柄エンボスE2の凸部頭頂部Et2に緑色顔料の接着剤G2が付与されている。
そして、この接着剤G1,G2が、原紙シートS1、S2を透して水解性衛生薄葉紙Xの表裏面F、Bから視覚認識されることにより、図案エンボスE1、E2が彩色が施された図案として視認される。すなわち、赤い花柄のエンボスと緑の葉柄のエンボスが一体的とされた図案として視認される。
ここで、本発明では、前記接着剤G1,G2が、水解性衛生薄葉紙Xの表裏面から視認されることにより、図案を構成することとなるので、接着剤G1,G2が十分に水解性衛生薄葉紙Xの表裏面から明りょうに視認可能となるように、原紙シートS1,S2のJIS P 8149に基づく不透明度を、30〜80%、望ましくは60〜70%とするのが好適である。この程度の不透明度であれば、十分に水解性衛生薄葉紙の表裏面から接着剤の色彩が明りょうに視識可能となる。
他方、接着剤G1,G2の具体例としては、例えば、PVA(ポリビニルアルコール)、CMC(カルボキシメチルセルロース)等の接着成分に対して、顔料により着色したものを使用する。
ここで、原紙シートS1,S2の対する前記接着剤G1,G2の塗布量としては、例えば、水解性衛生薄葉紙Xがトイレットペーパーであれば0.01〜2.0g/m2とするのが望ましい。2.0g/m2を超えると、ごわつくようになり、0.01g/m2未満であると原紙シート同士の接着が不十分となる。なお、糊の塗布量は、シート製品の種類に応じて適宜増減することができる。
ここで、本発明及び本明細書において「原紙シートの地色と異なる色」とは、色相が異なる場合はもちろん、彩度、明度のみが異なり、原紙シートの地色と着色糊付与部分の色とがグラデーション模様を構成する場合をも含む。
接着剤付与部分と接着剤非付与部分とのL*値の3.0以上あるのが望ましい。なお、L*値の測定は、日本電色工業製の測定装置「PF−10」を用いて行うことができる。測定は、接着剤非付与原紙シートを10枚以上重ねたシート上に、一枚の接着剤付与部分を備える原紙シートを当該接着剤付与部分が内面となるようにして載せたものを試験片とし、この試験片の接着剤付与シートを載せた面から接着剤付与部分と接着剤非付与部分のL*値をそれぞれ測定する。
以上説明の本形態の水解性衛生薄葉紙Xを製造するにあたっては、例えば、次記のようにして行うことができる。予めシートS1及びS2に、肌触り性の向上という観点から好ましくは60%以上、より好ましくは90%以上の実質的に全領域にわたって、それぞれ図示しないマイクロエンボス加工ロール装置によってマイクロエンボスM加工を施す。
次いで、図3に示すように、各原紙シートS1、S2は、原紙シートS1用、原紙シートS2用にそれぞれ設置された図案エンボスを付与するための、金属製凸エンボスロール1S,2Sとゴム製抑えロール1R,2Rとの一対のニップでそれぞれ構成される図案エンボスロール1,2に通され、図案エンボスE1,E2が付与される。本形態では、金属エンボスロール1に「花」柄、金属エンボスロール2に「葉」柄が形成されており、原紙シートS1に「花」の柄のエンボス、原紙シートS2に「葉」の柄の各図案エンボスE1,E2がそれぞれ付与される。
原紙シートS1、S2は、図案エンボスロール1,2間を通り抜けてエンボスE1,E2が付与された後には、ゴム製抑えロール1R,2Rから離間し、金属製凸エンボスロール1S,2Sに沿ってガイドされて移動し、エンボス凸部頭頂部Et1,Et2に対して糊が付与される。予め顔料により着色された接着剤が、ドクターチャンバー方式を用いたグルーユニットG1,G2によって塗布されるようにされ、最終的に転写ロール31,32により転写塗布される。
次いで、重ね合せロール4にて、原紙シートS1の花柄エンボスE1と、原紙シートS2の葉柄エンボスE2とが重ならないようにして、かつ、マイクロエンボス凸面と花柄エンボスE1及び葉柄エンボスE2とが対面するようにして両原紙シートS1,S2が重ねられて接着される。
かくして、水解性衛生薄葉紙Xの表裏面F,Bから接着剤G1,G2の色が視認されて、赤色に彩色された花柄エンボスE1と緑色に彩色された葉柄エンボスE2を備えた、接着剤の彩色とエンボスパターンによる図案が形成された従来にはない美粧性を備えるすい解性衛生薄葉紙Xが製造される。
なお、エンボス深さ(高さでもある)の異なる二種類以上のエンボスパターンを有する金属エンボスロールを用いれば、高さの異なる二種類以上のエンボスが一度に付与することが可能である。この場合においては、図3の転写方式から直ちに判るように、エンボス高さの高いエンボスにのみ接着剤を付与することができ、接着剤が塗布されたエンボス凸部頭頂部と接着剤が塗布されていないエンボス凸部頭頂部を形成することができる。
上記形態では、原紙シートS1と原紙シートS2の各図案エンボスが異なる図案であって各図案エンボスE1,E2が重ならないように両原紙シートS1,S2を重ね合わせる形態であるが、図8に断面図を示すように、各原紙シートS1,S2に同じ図案の図柄エンボスE1,E2を付与し、当該図案エンボスE1,E2同士を重ねるようにして、原紙シートS1,S2を接着する水解性衛生薄葉紙Xの形態であってもよい。
(特にトイレットペーパー又はティシュペーパー)
本発明は、特にトイレットペーパー又はティシュペーパー(化粧用も含む)に対して適用する場合に顕著に効果が現れる。
先に関連説明したように、従来、シート全体の着色及びインキによる模様印刷は公知である。しかるに、後者の模様印刷した原紙シートにエンボス加工を施す場合、模様印刷が別工程であること、あるいは模様印刷をオンラインで行うとしてもシートの伸びや誤差のために、模様部分とエンボス加工部分と連係させることは実際的にできない。したがって、模様部分とエンボス加工部分との関連性がないことによりデザイン的に無味乾燥的なものとならざるを得ない。
これに対し、本発明によれば、図案エンボス部分に顔料により着色された接着剤が付与されるために、凹凸部分と着色とが一体となって、周辺領域と区画化されることにより、明りょうな図案として現出するものとなる。
トイレットペーパー又はティシュペーパーでは、極端な、あるいは度の過ぎた着色は好まれないが、本発明によれば、図案エンボスが着色部分と一体となって図案を現出させるので、そして顔料による着色であるので、淡い着色であっても、明りょうな図案として現出させることができるのである。
トイレットペーパー又はティシュペーパーとしては2プライの製品が好ましく、その1プライのJIS P 8124による坪量としては、11〜22g/m2となるのが好ましい。下限を11g/m2と規定したのは、11g/m2を下回ると、柔らかさの向上の観点からは好ましいが強度を適正に確保することができないためである。また、上限を22g/m2と規定したのは、22g/m2を上回ると、硬くなりすぎて、肌触りが悪化するためである。
かかる原紙シートに対し、前述のように、30〜100個/cm2のエンボス密度で0.05〜2.0mmのエンボス深さを有するマイクロエンボス(第1エンボス)Mがそれぞれ施される。
原紙シートS1,S2のマイクロエンボスMの一部上に重ねて、前記マイクロエンボスMよりエンボス密度が疎でエンボス深さの深い図案エンボスE1,E2がそれぞれ加工される。この図案エンボスE1,E2としては、0.1〜5個/cm2のエンボス密度で0.3〜2.5mmのエンボス深さを有するものが望ましい。個数が少ないと、美粧性に乏しく、他方多いと、エンボスの押し込みによる紙の強度低下が生じるおそれがある。さらにエンボス深さが浅いと図案としての明りょう性が確保しがたく、過度に深いと肌触り性を阻害する。
図案エンボスが占める面積としては、1m2当たり、0.5〜30%、特に3〜15%が望ましい。面積割合が小さいと図案として現出しかね、また過度に大きいと過剰な図案となり、商品デザインとして望ましくないものとなる。
原紙シートS1,S2は、接着剤によって接着される。原紙シートS1,S2のプライ剥離強度[cN/50mm]としては5〜100cN/50mmであることが好ましい。下限を5cN/50mmと規定したのは、5cN/50mmを下回ると、原紙シートS1,S2どうしの貼り合わせを適正に行うことができないためである。また、上限を100cN/50mmと規定したのは、100cN/50mmを上回ると、水解性衛生薄葉紙として硬くなりすぎて肌触りが悪化するためである。プライ剥離強度の測定方法は、JIS P 8113の引張試験方法に準じて行う。その中でJIS P 8111に規定された標準条件下で、縦方向に幅50mmに裁断するものとする。裁断した後、試料を縦方向に剥離し、剥離試験用ロードセル(TG200N、ミネビア社製)に対して、剥離した一方を上側のつかみ具に、他方を下側のつかみ具にそれぞれ固定し、その間隔を8cmとする。次に、垂直方向に100mm/分の速度で引張り、さらに5cm剥離させて、その時の強度を測定するものである。
原紙シートはたとえば薄いピンクやブルーなどに着色されたものでもよいし、着色されないパルプ自体の色が現出したものでもよい。接着剤の色としては限定されない。
ここで注意すべきは、着色接着剤中の顔料が、0.01〜50%であることである。顔料含有量が少ないと、図案エンボス部分において着色がまだらとなり、図案をシャープに(明りょうに)に現出しがたいとともに、色のカスレが生じ易くなり、前記質量比が過度に大きいと接着性が悪くなり、前記剥離強度条件を満たし難いものとなるとともに、色の滲みが生じ易くなるおそれがある。
着色接着剤の粘度としては、1〜100mpa、特に5〜30mpaが望ましい。
(第2の実施形態)
図5〜図7に、3枚の原紙シートを使用する場合の第2の実施形態を示した。
この第2の実施形態は、1プライ当たりの坪量が11〜22g/m2である3枚の原紙シートS3、S4、S5が、S3及びS5が外層となるように重ねられたシート製品である。
2枚の原紙シートS3、S4は、適宜の段階で、積層状態とされ、この積層シートSWに面積が大きくかつ深さが深いマクロエンボスE3、面積が小さくかつ深さが浅いマイクロエンボスE4が、例えば、ゴム製抑えロール51Rに対する金属製凸エンボスロール51Sによる押圧によって形成される。金属製凸エンボスロール51Sの押圧は15〜30kg/cmとするのが望ましい。押圧が小さいと嵩が出にくく、吸液性を阻害する原因に繋がる。逆に大きいと、シートのエンボス部分での破れに繋がり易くなる。
他方の1枚の単独原紙シートS5には、面積が小さくかつ深さが浅いマイクロエンボスが、ゴム製抑えロール61Rに対する金属製凸エンボスロール61Sによる押圧によって形成される。
また、金属製凸エンボスロール51Sに対向して、グルーユニットG3及び転写ロール32が配設され、顔料により着色された接着剤G3が、ドクターチャンバー方式によって、マイクロエンボスE4の凸部頭頂部に転写塗布される。
マクロエンボスE3が形成された積層シートSWは、単独原紙シートS5と共に、金属製凸エンボスロール51Sに対向する重ね合わせロール70間に案内され、積層シートSWと単独原紙シートS5とがニップされ、両者が接着糊G3によって接着される。その後は、長紙管に巻き付けられた後、細幅のトイレットペーパーロールとされたり、インタホルダに導かれてティシュペーパーなどのシート製品とされたりする。
ここで、金属製凸エンボスロール51Sに対向する重ね合わせロール70間のニップのクリアランスは5〜200μm、ニップ圧は3〜20kg/cmとするのが望ましい。クリアランス及びニップ圧が小さいと接着性が悪く、逆に大きいと、エンボスの形崩れが生じ、また、接着剤の他のシートへの過度の浸透が多くなり、ザラツキの原因となる。
第2の実施形態における、マクロエンボスE3及びマイクロエンボスE4の形成は適宜選択できるが、その例示が図5に示すものである。図5の例では、間欠点の曲線と、花弁部分にマクロエンボスE3を形成し、間欠点の曲線で囲まれる領域内にマイクロエンボスE4を形成し例である。したがって、第1の実施形態のように、マイクロエンボスにマクロエンボスが重畳していない例であるが、重畳させてもよい。本発明において基本的にデザインが限定されるものではない。
第2の実施形態はトイレットペーパーロールとして好適なものであり、ロールの外面側を積層シートSWとし、内面側を単独原紙シートS5とするのが、消費者に対し嵩高性を印象付けるのに適している。
(その他)
(1)一過性湿潤紙力剤は、添加することにより、水分を拭き取り時の水分量程度では表面が粗くなったり破れたりせず、廃棄時の多量の水、例えば、水洗トイレでの水流では崩壊させることができるようになる。例えば、TS−20(星光PMC社製) などを用いることができる。
(2)柔軟剤は、添加することにより、表面の柔らかさや滑らかさが発現し、肌触りがよくなる。特に、排泄部に疾患のある使用者にとって、患部を傷めることなく好適に水分の拭き取りができる。柔軟剤としては、例えば、カチオン系界面活性剤を使用するのが好ましい。このカチオン系界面活性剤としては、第4級アンモニウム塩、アミン塩、又はアミンなどを用いることができる。また、両性イオン界面活性剤としては、カルボキシ、スルホネート、サルフェートを含有する第2級若しくは第3級アミンの脂肪族誘導体、又は複素環式第2級若しくは第3級アミンの脂肪族誘導体などを用いることができる。
(3)柔軟保湿剤は、添加することにより、原料パルプ表面をコーティングすることで、表面の摩擦抵抗が下がり、滑らかでしっとりした風合いを発現させることができる。柔軟保湿剤としては、例えば、脂肪酸アミド系化合物などを用いることができる。
3枚重ね(3プライ)のトイレットペーパーについて、1枚にマイクロエンボス(ドット状)を施し、他2枚に同じ2種類のマクロエンボス(花弁及び点状の曲線)を施した。マクロエンボスの凸部頭頂部に、青色顔料(サカタインクス株式会社製「ブライトーンXFT−8」)を分散して得た粘度12mpaの着色接着剤を塗布した。原紙構成は表1に示した。なお、塗布面積率(着色面積率又はマクロエンボス占有面積率)は7.01%とし、着色接着剤中の顔料濃度を1.8%及び1.44%とし、結果を表2に示した。
Figure 2007075510
Figure 2007075510
この結果から、本発明によれば、使用時には吸水性を確保するとともに、裏抜け防止を確実に図り、かつ厚み感と柔軟性、滑らかさを与えるとともに、使用後の廃棄時には容易に水流により崩壊し、例えば、水洗トイレでの詰まりがない水解性衛生薄葉紙となることがわかる。
本発明は、トイレットペーパー、業務用ティシュペーパー(例えば飛行機内で使用されるもの)等の水解性衛生薄葉紙全般に適用可能である。
第1の実施形態の水解性衛生薄葉紙の正面図である。 第1の実施形態の水解性衛生薄葉紙の断面図である。 第1の実施形態の水解性衛生薄葉紙の製造工程を示す概略図である。 第1の実施形態の水解性衛生薄葉紙の分解図である。 第2の実施形態の水解性衛生薄葉紙の正面図である。 第2の実施形態の水解性衛生薄葉紙の製造工程を示す概略図である。 第2の実施形態の水解性衛生薄葉紙の製造工程を示す概略図である。 水解性衛生薄葉紙の断面図例である。
符号の説明
1S,2S…金属エンボスロール、1R,2R…ゴム製押さえロール、4…重ねロール、51R、61R…ゴム製抑えロール、51S、61S…金属製凸エンボスロール、70…重ね合わせロール、S1〜S5…原紙シート、SW…積層シート、E1,E2…図案マクロエンボス、E3…マクロエンボス、E4…マイクロエンボス、G1,G2,G3…接着剤、M…マイクロエンボス、X…水解性衛生薄葉紙、F…水解性衛生薄葉紙の表面側、B…水解性衛生薄葉紙の裏面側。

Claims (16)

  1. 少なくとも2枚の薄葉紙を重ねてなる水解性衛生薄葉紙において、
    少なくとも一方の外層は、この外層以外のいずれかの層よりも、JIS P 8113に基づく乾燥引張強度が、縦方向及び横方向において各々大きい又は各々等しい、ことを特徴とする水解性衛生薄葉紙。
  2. 前記少なくとも一方の外層の、縦方向の乾燥引張強度が100〜250cN/25mm、横方向の乾燥引張強度が50〜100cN/25mmで、
    かつ、前記少なくとも一方の外層以外のいずれかの層の、縦方向の乾燥引張強度が100〜800cN/25mm、横方向の乾燥引張強度が50〜350cN/25mmである、請求項1記載の水解性衛生薄葉紙。
  3. JIS L 0208に規定される絶乾状態の乾燥機中に3分間放置した後の、JIS P 4501に基づく水解性が80秒以内である、請求項1又は請求項2記載の水解性衛生薄葉紙。
  4. 水平かつ平滑で水が浸透しない場所に水1mlを滴下した後、この水を30mm×40mmに広げ、この上にJIS L 0208に規定される絶乾状態の乾燥機中に3分間放置した後の薄葉紙を複数枚積み重ねた場合に、前記水が浸透する前記薄葉紙の枚数が20枚以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の水解性衛生薄葉紙。
  5. 前記少なくとも一方の外層以外のいずれかの層は、一過性湿潤紙力剤が無添加とされ、かつ、前記少なくとも一方の外層は、一過性湿潤紙力剤が添加され、この添加量は、原料パルプ1トン当たり0.5〜2.5kgとされている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の水解性衛生薄葉紙。
  6. 各層のカチオン澱粉の添加量が、前記少なくとも一方の外層以外のいずれかの層は、原料パルプ1トン当たり1.5〜4.5kgとされ、かつ、前記少なくとも一方の外層は、原料パルプ1トン当たり0〜2.0kgとされている、請求項5記載の水解性衛生薄葉紙。
  7. 紙厚が100〜450μmで、かつ、各層の米坪が11〜30g/m2である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の水解性衛生薄葉紙。
  8. 各層に、柔軟剤及び柔軟保湿剤の少なくともいずれか一方が添加されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の水解性衛生薄葉紙。
  9. ラミネートエンボス加工されている、請求項1〜8のいずれか1項に記載の水解性衛生薄葉紙。
  10. 少なくとも2枚の薄葉紙を重ねてなる水解性衛生薄葉紙の製造方法において、
    少なくとも一方の外層が、この外層以外のいずれかの層よりも、JIS P 8113に基づく乾燥引張強度が、縦方向及び横方向において各々大きいか又は各々等しくなるようにする、ことを特徴とする水解性衛生薄葉紙の製造方法。
  11. 前記少なくとも一方の外層の、縦方向の乾燥引張強度が100〜250cN/25mm、横方向の乾燥引張強度が50〜100cN/25mmで、
    かつ、前記少なくとも一方の外層以外のいずれかの層の、縦方向の乾燥引張強度が100〜800cN/25mm、横方向の乾燥引張強度が50〜350cN/25mmとなるようにする、請求項10記載の水解性衛生薄葉紙の製造方法。
  12. 前記少なくとも一方の外層以外のいずれかの層は、一過性湿潤紙力剤を無添加とし、かつ、前記少なくとも一方の外層は、一過性湿潤紙力剤を添加し、この添加量を、原料パルプ1トン当たり0.5〜2.5kgとする、請求項10又は請求項11記載の水解性衛生薄葉紙の製造方法。
  13. 各層のカチオン澱粉の添加量を、前記少なくとも一方の外層以外のいずれかの層は、原料パルプ1トン当たり1.5〜4.5kgとし、かつ、前記少なくとも一方の外層は、原料パルプ1トン当たり0〜2.0kgとする、請求項12記載の水解性衛生薄葉紙の製造方法。
  14. 紙厚を100〜450μmとし、かつ、各層の米坪を11〜30g/m2とする、請求項10〜13のいずれか1項に記載の水解性衛生薄葉紙の製造方法。
  15. 各層に、柔軟剤及び柔軟保湿剤の少なくともいずれか一方を添加する、請求項10〜14のいずれか1項に記載の水解性衛生薄葉紙の製造方法。
  16. ラミネートエンボス加工する、請求項10〜15のいずれか1項に記載の水解性衛生薄葉紙の製造方法。
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