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JP2007058137A - 電子写真用トナー、及びその製造方法 - Google Patents

電子写真用トナー、及びその製造方法 Download PDF

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JP2007058137A JP2005246877A JP2005246877A JP2007058137A JP 2007058137 A JP2007058137 A JP 2007058137A JP 2005246877 A JP2005246877 A JP 2005246877A JP 2005246877 A JP2005246877 A JP 2005246877A JP 2007058137 A JP2007058137 A JP 2007058137A
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Kazufumi Tomita
和史 冨田
Moeki Iguchi
もえ木 井口
Takashi Imai
孝史 今井
Hiroshi Nakazawa
博 中沢
Katsumi Daimon
克己 大門
Yosuke Tsurumi
洋介 鶴見
Shuji Sato
修二 佐藤
Shigeru Hayashi
繁 林
Yusuke Ikeda
雄介 池田
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Fujifilm Business Innovation Corp
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Fuji Xerox Co Ltd
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Abstract

【課題】 低温域での定着性に優れ、かつ画質維持性、保存性に優れる静電荷現像用トナー及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 少なくとも結着樹脂A、着色剤及び離型剤を含有し、更に被覆樹脂Bで被覆された結晶性物質Cが分散している、形状係数SF1が100〜140の電子写真用トナーであって、前記結着樹脂A、被覆樹脂Bがポリエステル樹脂であり、かつ、前記結晶性物質Cがポリエステル樹脂又はウレタン化合物であり、該被覆樹脂Bのガラス転移温度が該結着樹脂Aのガラス転移温度より高いことを特徴とする電子写真用トナー及びその製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、電子写真法で用いられる電子写真用トナー、及びその製造方法に関する。
電子写真法としては、多数の方法が知られているが、一般には光導電性物質を利用した感光体層に種々の手段を用い静電潜像を形成する露光工程、トナーを含む現像剤で静電潜像を現像する工程、トナーを紙等の記録材に転写する工程、該トナー画像を熱、圧力などにより記録材に定着する工程、感光体層に残存したトナーを除去する工程といった基本工程から成り立っている(例えば、特許文献1及び2参照)。
ここで用いられる現像剤には、トナーとキャリアからなる2成分現像剤と、磁性トナー又は非磁性トナーを単独で用いる1成分現像剤とが知られている。トナーの製造には、通常、熱可塑性樹脂を着色剤、帯電制御剤、ワックスなどの離型剤とともに溶融混練し冷却した後、微粉砕・分級する混練粉砕法が一般的に採用されている。これらトナーは、必要に応じて流動性やクリーニング性を改善するために無機や有機の微粒子をトナー粒子表面に添加することもある。これらの微粒子の添加により、優れたトナーを製造できるが、次のようないくつかの問題点がある。
通常の混練粉砕法では、トナーの形状及び表面構造は不定形であり、使用材料の粉砕性や粉砕工程の条件により、それらは微妙に変化するため、トナーの形状及び表面構造を制御することは困難であった。また、混練粉砕法では材料選択の範囲に制約がある。具体的には、粉砕前の溶融混練物が十分に脆く、経済的に可能な製造装置で容易に微粉砕される物でなければならない。ところが、その要求を満たすために前記溶融混練物を脆くすると、現像機中でトナーに加わる機械的せん断力などにより、トナーはさらに微粉を発生したり、トナー形状に変化をきたすことがある。これらの影響により、2成分現像剤では前記微粉がキャリア表面に固着し、現像剤の帯電劣化を加速したり、1成分現像剤では粒度分布が拡大してトナー飛散を生じたり、トナー形状の変化により現像性を低下させ、画質の劣化を生ずるという問題が発生した。
また、これら混練粉砕法によるトナーにワックスなどの離型剤を多量に内添しても、熱可塑性樹脂との組み合せによっては、トナー表面への離型剤の露出が抑制されてしまうことが多い。特に、トナーに配合される高分子量成分によりトナーの弾性が増し、やや粉砕され難くなった樹脂と、ポリエチレンのような脆いワックスとの組み合せでは、トナー表面にポリエチレンの露出が多く見られる。これは定着時の離型性や感光体上からの未転写トナーのクリーニングには有利であるが、トナー表層のポリエチレンが機械力で現像ロール、感光体、キャリアなどの表面に容易に移行して、それらを汚染し、信頼性を低下させることになる。
更に、トナー形状が不定型であることにより流動性助剤を添加しても十分な流動性を確保できないことがあり、機内の機械的せん断力によりトナー表面の微粒子がトナー凹部分に移動して経時的にトナーの流動性を低下させたり、流動性助剤がトナー内部に埋没して現像性、転写性、クリーニング性が悪化する。また、クリーニング工程で回収されたトナーを再び現像機に戻して使用すると、さらに画質が低下する。これらを防ぐために、さらに流動性助剤を増加すると感光体上に黒点が発生したり、流動性助剤粒子が飛散するという問題が生ずる。
一方、電子写真プロセスにおいて、長寿命、小型化、高速化、カラー化などでトナーに要求される特性は、ますます大きくなっている。特に定着装置の高速化、小型化、省エネルギー化に対応する技術としてトナーの定着温度の低温化が種々検討されている。しかし、トナーの保存性との両立が重要で、この課題に対し結晶性高分子を用いた技術が提案されている。しかし結晶性高分子を用いる場合、粉砕が難しく、小粒径のトナーを作製することが難しかった。
このために、混練粉砕法とは異なる種々の重合法を用いたトナーの製造方法が検討されている。例えば、懸濁重合法によるトナーの製造法が提案されている(例えば、特許文献3及び4参照)。しかし、これらの方法を用いてトナーを製造すると、トナーの粒度分布を制御しようとしても混練粉砕法の域を出ることはできず、多くの場合はさらなる分級操作を必要とする。また、これらの方法で得たトナーは、その形状がほぼ真球状であるため、感光体等に残留するトナーのクリーニング性が極めて悪く、画質信頼性を損ねるという問題がある。
更に近年、トナー形状及び表面構造を積極的に制御する方法として、乳化重合凝集法によるトナーの製造方法が提案されている(例えば、特許文献5及び6参照)。これらは、乳化重合法により樹脂分散液を調製し、他方溶媒に着色剤を分散した着色剤分散液を調製し、これらを混合してトナー粒径に相当する凝集体を形成し、加熱することによって融合・合一させるトナーの製造方法である。この方法で、形状をある程度制御でき、帯電性、耐久性の改善を図ることができる。
この乳化重合凝集法と結晶性物質を組み合わせたものとして、結晶性物質と無定形高分子とを含有する樹脂微粒子を水系媒体中で融着させて得られるトナーが提案されている(例えば、特許文献7参照)。この提案により定着温度の低温化が可能となったが、この提案では、定着前に結晶性物質と結着樹脂が一部相溶するため、高温での保存性が劣るという欠点があった。また結晶性物質がトナー表面近くに多く存在するため、長期使用すると現像器中でトナー表面に結晶性物質が露出し、画質に悪影響を与えるという欠点があった。
米国特許第2,297,691号明細書 特公昭42−23910号公報 特開昭62−73276号公報 特開平5−027476号公報 特開昭63−282752号公報 特開平6−250439号公報 特開2001−42568号広報
本発明は、前記問題点を解消し、低温域での定着性に優れ、かつ画質維持性、保存性に優れる静電荷現像用トナー及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等は鋭意検討した結果、下記の本発明が、前記課題を解決することを見出し本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
<1> 結着樹脂A、着色剤及び離型剤を含有し、更に被覆樹脂Bで被覆された結晶性物質Cが分散している、形状係数SF1が100〜140の電子写真用トナーであって、前記結着樹脂A、被覆樹脂B及び結晶性物質Cがポリエステル樹脂であり、該被覆樹脂Bのガラス転移温度が該結着樹脂Aのガラス転移温度より高いことを特徴とする電子写真用トナーである。
<2> 結着樹脂A、着色剤及び離型剤を含有し、更に被覆樹脂Bで被覆された結晶性物質Cが分散している、形状係数SF1が100〜140の電子写真用トナーであって、前記結着樹脂A及び被覆樹脂Bがポリエステル樹脂であり、かつ、前記結晶性物質Cがウレタン化合物であり、該被覆樹脂Bのガラス転移温度が該結着樹脂Aのガラス転移温度より高いことを特徴とする電子写真用トナーである。
<3> 前記結晶性物質Cの融点が離型剤の融点よりも低いことを特徴とする<1>又は<2>に記載の電子写真用トナーである。
<4> <1>〜<3>の何れか1つに記載の電子写真用トナーの製造方法であって、被覆樹脂B及び結晶性物質Cを有機溶媒に溶解させ、水に分散させた後、該有機溶媒を除去して、結晶性物質Cが被覆樹脂Bで被覆された平均粒径が1μm以下の結晶性樹脂微粒子を分散した結晶性樹脂微粒子分散液を調製する結晶性樹脂微粒子分散液調製工程と、該結晶性樹脂微粒子分散液、平均粒径が1μm以下の結着樹脂Aの微粒子を分散した結着樹脂微粒子分散液、離型剤微粒子を分散した離型剤微粒子分散液、及び着色剤の粒子を分散した着色剤粒子分散液を混合し、結晶性樹脂微粒子、結着樹脂微粒子A、着色剤粒子及び離型剤粒子を含む粒子を凝集させて、凝集粒子を形成する凝集粒子形成工程と、該凝集粒子を前記結着樹脂Aのガラス転移温度以上の温度に加熱して融合・合一する融合・合一工程と、を有することを特徴とする電子写真用トナーの製造方法である。
<5> 前記結晶性樹脂微粒子の平均粒径が50〜1000nmであることを特徴とする<4>に記載の電子写真用トナーの製造方法である。
本発明は、低温域での定着性に優れ、かつ画質維持性、保存性に優れる静電荷現像用トナー及びその製造方法を提供することができる。
<電子写真用トナー>
第一の本発明の電子写真用トナー(以下、「第一の本発明のトナー」という場合がある。)は、結着樹脂A、着色剤及び離型剤を含有し、更に被覆樹脂Bで被覆された結晶性物質Cが分散している、形状係数SF1が100〜140の電子写真用トナーであって、前記結着樹脂A、被覆樹脂B及び結晶性物質Cがポリエステル樹脂であり、該被覆樹脂Bのガラス転移温度が該結着樹脂Aのガラス転移温度より高いことを特徴とする。
また、第二の本発明の電子写真用トナー(以下、「第二の本発明のトナー」という場合がある。)は、結着樹脂A、着色剤及び離型剤を含有し、更に被覆樹脂Bで被覆された結晶性物質Cが分散している、形状係数SF1が100〜140の電子写真用トナーであって、前記結着樹脂A及び被覆樹脂Bがポリエステル樹脂であり、かつ、前記結晶性物質Cがウレタン化合物であり、該被覆樹脂Bのガラス転移温度が該結着樹脂Aのガラス転移温度より高いことを特徴とする。
尚、本発明において、ガラス転移温度は、JIS K−7121:87に記載された入力補償示差走査熱量測定法で測定することができる。
先ず、結晶性物質Cについて説明する。
ここで、「結晶性」とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有するものを指し、具体的には、吸熱ピークの半値幅が、15℃以下であることが必要であり、10℃以下であることが好ましい。これによりトナーが、温度の変化に対して粘度が急峻に変化する物性を有することができる。
第一の本発明のトナーに用いられる結晶性物質Cは、結晶性のポリエステル樹脂(以下、「本発明に係る結晶性ポリエステル樹脂」という場合がある。)である。
また、本発明においては、結晶性のポリエステル主鎖に対して他成分を共重合したポリマーにおいて、他成分が50質量%以下の場合、この共重合体も上述のような熱的特性(DSCにおいて、吸熱ピークの半値幅が、15℃以下である。)を満たす場合には、本発明で定義する「結晶性」に分類されるものとする。
本発明に係る結晶性ポリエステル樹脂の融点は、50〜100℃の範囲であることが好ましく、55〜95℃の範囲であることがより好ましく、60〜90℃の範囲であることが更に好ましい。本発明に係る結晶性ポリエステル樹脂の融点が50℃より低いとトナーの保存性や、定着後のトナー画像の保存性が問題となる場合がある。また、融点が100℃より高いと、低温定着が困難になる場合がある。
なお、本発明において、結晶性物質Cの融点の測定には、示差走査熱量計(DSC)を用い、室温から150℃まで毎分10℃の昇温速度で測定を行ったときのJIS K−7121に示す入力補償示差走査熱量測定の融解ピーク温度として求めることができる。但し、結晶性の樹脂においては、複数の融解ピークを示す場合があるが、本発明においては、最大のピークを示す温度をもって融点とみなす。
本発明に係る結晶性ポリエステル樹脂は、下記式(1)で示されるエステル濃度Mが、0.05以上0.11以下であることが好ましい。
式(1) M=K/A
但し、式(1)中、Mはエステル濃度を表し、Kは結晶性ポリエステル樹脂に含まれるエステル基の数(1分子当たりの平均数)を表し、Aは結晶性ポリエステル樹脂の高分子鎖を構成する原子数(1分子当たりの平均数)を表す。
ここで、前記「エステル濃度M」とは、結晶性ポリエステル樹脂のポリマーにおけるエステル基の含有割合を示す一つの指標である。前記式(1)中のKで表される「結晶性ポリエステル樹脂に含まれるエステル基の数」は、言い換えれば結晶性ポリエステル樹脂全体に含まれるエステル結合の数を指す。
前記式(1)中のAで表される「結晶性ポリエステル樹脂に含まれる高分子鎖を構成する原子数」は、結晶性ポリエステル樹脂の高分子鎖を構成する原子の合計であり、エステル結合に関与する原子数は全て含むが、その他の構成部位における枝分かれした部分の原子数は含まない。すなわち、エステル結合に関与するカルボキシル基やアルコール基に由来する炭素原子および酸素原子(1つのエステル結合中酸素原子は2個)や、高分子鎖を構成する、例えば芳香環における6つの炭素は、前記原子数の計算に含まれるが、高分子鎖を構成する、例えば芳香環やアルキル基における水素原子、その置換体の原子ないし原子群は、前記原子数の計算に含まれない。
具体例を挙げて説明すれば、高分子鎖を構成するアリーレン基における、炭素原子6つと水素原子4つとの計10個の原子のうち、前記「結晶性ポリエステル樹脂に含まれる高分子鎖を構成する原子数」に含まれるものは、炭素原子の6つのみであり、また、前記水素が如何なる置換基に置換されたとしても、当該置換基を構成する原子は、前記「結晶性ポリエステル樹脂に含まれる高分子鎖を構成する原子数」に含まれない。
結晶性ポリエステル樹脂が、1の繰り返し単位(例えば、高分子がH−[OCOR1COOR2O−]n−Hで表される場合、1の繰り返し単位は、[ ]内で表される。R1及びR2は一価の基を、nは1以上の整数を表す。)のみからなる単重合体の場合には、1の繰り返し単位内には、エステル結合は2個存在する(すなわち、当該繰り返し単位内におけるエステル基数K’=2)ので、エステル濃度Mは、下記式(1−1)により、求めることができる。
・式(1−1) M=2/A’
但し、前記式(1−1)中、Mはエステル濃度を、A’は1の繰り返し単位における高分子鎖を構成する原子数を、それぞれ表す。
また、本発明に係る結晶性ポリエステル樹脂が、複数の共重合単位からなる共重合体の場合には、共重合単位ごとに、エステル基数KXおよび高分子鎖を構成する原子数AXを求め、これらに共重合割合を乗じた上で、それぞれ合計し、前記式(1)に代入することで、求めることができる。例えば、共重合単位がXa、XbおよびXcの3つであり、これらの共重合割合がa:b:c(ただし、a+b+c=1)である化合物[(Xa)a(Xb)b(Xc)c]についてのエステル濃度Mは、下記式(1−2)により、求めることができる。
・式(1−2) M={KXa×a+KXb×b+KXc×c}/
{AXa×a+AXb×b+AXc×c}
但し、前記式(1−2)中、Mはエステル濃度を表し、KXaは共重合単位Xa、KXbは共重合単位Xb、KXcは共重合単位Xcにおけるそれぞれのエステル基数を表し、AXaは共重合単位Xa、AXbは共重合単位Xb、AXcは共重合単位Xcにおけるそれぞれの高分子鎖を構成する原子数を表す。
本発明に係る結晶性ポリエステル樹脂のエステル濃度Mは、これを用いて作製したトナーの帯電性に大きな影響を与える。これはエステル濃度Mにより樹脂抵抗が変化するのが主要因であり、エステル濃度Mが大きくなると樹脂抵抗が低下し、帯電性が低下してしまう場合があるからである。本発明に係る結晶性ポリエステル樹脂においては、そのエステル濃度を0.05〜0.11の範囲内とすることが好ましい。この場合、十分な帯電性や帯電安定性が得られるとともに、安定してトナーを作製することが容易である。
前記エステル濃度Mが0.05未満では、結晶性ポリエステル樹脂の融点が高くなり、紙等の記録媒体表面への接着性も低下する場合がある。また、結晶性ポリエステル樹脂の構成単位としてスルホン酸成分を含有させても、疎水性が強く、かつ、溶剤への溶解性も低下することから安定してトナーを作製することが困難となる場合がある。さらに、結晶性ポリエステル樹脂の合成に用いるモノマーも高価になるためコスト的にも好ましくない場合がある。なお、エステル濃度の下限としては0.055がより好ましく、0.06が更に好ましい。一方、エステル濃度が0.11を超えると、樹脂抵抗が低下し、トナーの帯電性が低下してしまう場合がある。また、融点も低くなりすぎるため、粉体や定着画像の安定性も低下してしまう場合がある。なお、エステル濃度の上限としては0.105がより好ましく、0.102が更に好ましい。
既述の如く、本発明に係る結晶性ポリエステル樹脂は、前記式(1)で定義されるエステル濃度Mが0.05〜0.11の範囲内の結晶性ポリエステル樹脂(以下、単に「特定のポリエステル樹脂」という場合がある。)を、主成分として用いることが好ましい。
ここで「主成分」とは、結着樹脂として用いられる結晶性樹脂およびアモルファス樹脂を構成する成分のうち、主たる成分のことを指し、具体的には、前記結着樹脂の50質量%以上を構成する成分を意味する。ただし、本発明において、前記結着樹脂のうち、特定のポリエステル樹脂が70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが更に好ましい。
本発明に係る結晶性ポリエステル樹脂は、酸(ジカルボン酸)成分とアルコール(ジオール)成分とから合成されるものであり、本発明において、「酸由来構成成分」とは、ポリエステル樹脂において、ポリエステル樹脂の合成前には酸成分であった構成部位を指し、「アルコール由来構成成分」とは、ポリエステル樹脂の合成前にはアルコール成分であった構成部位を指す。
−酸由来構成成分−
前記酸由来構成成分は、脂肪族ジカルボン酸が好ましく、特に直鎖型のカルボン酸が好ましい。例えば、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼリン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸など、或いはその低級アルキルエステルや酸無水物が挙げられるが、この限りではない。これらの中では、入手容易性を考慮すると、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸が好ましい。
芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸等が挙げられ、中でもテレフタル酸が、入手容易性、低融点のポリマーを形成しやすい等の点で好ましい。
前記酸由来構成成分としては前述の脂肪族ジカルボン酸由来構成成分や芳香族ジカルボン酸由来成分のほかに、スルホン酸基を持つジカルボン酸由来成分を含むことが好ましい。結晶性樹脂を結着樹脂の主成分にした場合、従来の粉砕法によるトナー作製は困難となる。しかし、本発明のトナーを湿式製法で作製する場合には、トナーの作製に用いる結晶性樹脂としてスルホン酸基を持つジカルボン酸由来成分を含有するものと利用することで、溶剤及び水への溶解性が向上し、湿式造粒性が格段に向上することができる。
加えて、後述するような湿式製法を利用して本発明のトナーを作製する際に使用する界面活性剤の量を低減または使用しないで造粒することが可能となるため、後の洗浄工程が簡易化できる。さらに分子間凝集力が向上するため、耐オフセット性に有効であり、加えて、コア層のマトリックスを構成する結晶性樹脂中に顔料等の着色剤の分散を良好にできる点でも有効である。
このようなスルホン基を持つジカルボン酸としては、例えば、2−スルホテレフタル酸ナトリウム塩、5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩、スルホコハク酸ナトリウム塩等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの低級アルキルエステル、酸無水物等も挙げられる。これらの中でも、コストの点で、5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩等が好ましい。
スルホン酸基を持つジカルボン酸由来成分の全酸由来構成成分における含有量としては、0.1〜6.0構成モル%であり、0.5〜5.0構成モル%がより好ましい。
前記含有量が6.0構成モル%を超えると、合成されるポリエステル樹脂の結晶性が低下し、融点が降下して、画像の保存性が悪くなったり、トナーの機械的強度が低下したりしてしまう場合がある。また、樹脂抵抗が低下し水分が吸着しやすくなるため、帯電量、特に高湿下での帯電量が低下し過ぎてしまう場合がある。前記含有量が0.1構成モル%より下回ると特にエステル濃度が低い場合に溶剤や水への溶解性が悪くなり、製造性が著しく悪くなってしまう場合や、顔料の分散性が悪化する場合がある。
また、前記酸由来構成成分のほか、2重結合を持つジカルボン酸由来構成成分等の構成成分を含んでもよい。尚、前記2重結合を持つジカルボン酸由来構成成分には、2重結合を持つジカルボン酸の低級アルキルエステルまたは酸無水物等に由来する構成成分も含まれる。
前記2重結合を持つジカルボン酸は、その2重結合を利用して樹脂全体を架橋させ得る点で、定着時のホットオフセットを防ぐために好適に用いることができる。このようなジカルボン酸としては、例えば、フマル酸、マレイン酸、3−ヘキセンジオイック酸、3−オクテンジオイック酸等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの低級アルキルエステル、酸無水物等も挙げられる。これらの中でも、コストの点で、フマル酸、マレイン酸等が好ましい。
これらの、2重結合を持つジカルボン酸由来構成成分を含有させた場合、全酸由来構成成分における含有量としては、20構成モル%以下が好ましく、10構成モル%以下がより好ましい。前記含有量が20構成モル%を超えると、ポリエステル樹脂の結晶性が低下し、融点が降下して、画像の保存性が悪くなったり、トナーの機械的強度が低下してしまう。
なお、本発明において「構成モル%」とは、ポリエステル樹脂における酸由来構成成分全体中の当該酸由来構成成分、または、アルコール由来構成成分全体中の当該アルコール構成成分を、各1単位(モル)としたときの百分率を指す。
−アルコール由来構成成分−
アルコール構成成分としては脂肪族ジカルボン酸を用いることが望ましく、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9―ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ドデカンジオール、1,12−ウンデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオール、などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらの中では、入手容易性やコストを考慮すると1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。
前記アルコール由来構成成分は、脂肪族ジオール由来構成成分の含有量が80構成モル%以上であるこことが好ましく、この場合、必要に応じてその他の成分を含んでいてもよい。前記アルコール由来構成成分としては、前記脂肪族ジオール由来構成成分の含有量が90構成モル%以上であるのが好ましい。
前記含有量が、80構成モル%未満では、ポリエステル樹脂の結晶性が低下し、融点が降下するため、耐トナーブロッキング性、画像保存性及び、低温定着性が悪化してしまう場合がある。また、必要に応じて含まれるその他の成分としては、2重結合を持つジオール由来構成成分等の構成成分が挙げられる。
前記2重結合を持つジオールとしては、2−ブテン−1,4−ジオール、3−ブテン−1,6−ジオール、4−ブテン−1,8−ジオール等が挙げられる。
前記2重結合を持つジオール由来構成成分を含有させる場合、アルコール由来構成成分における含有量としては、20構成モル%以下が好ましく、10構成モル%以下がより好ましい。
前記含有量が20構成モル%を超えると、ポリエステル樹脂の結晶性が低下し、融点が降下して、画像の保存性が悪くなったり、トナーの機械的強度が低下してしまう場合がある。
本発明に係る結晶性ポリエステル樹脂の製造方法としては、特に制限はなく、酸成分とアルコール成分とを反応させる一般的なポリエステル重合法で製造することができ、例えば、直接重縮合、エステル交換法等を、合成原料として用いるモノマーの種類によって使い分けて合成することができる。前記酸成分とアルコール成分とを反応させる際のモル比(酸成分/アルコール成分)としては、反応条件等によっても異なるため、一概には言えないが、通常1/1程度である。
結晶性ポリエステル樹脂の製造は、重合温度180〜230℃の間で行うことができ、必要に応じて反応系内を減圧にし、縮合時に発生する水やアルコールを除去しながら反応させる。
モノマーが、反応温度下で溶解または相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助剤として加え溶解させてもよい。重縮合反応においては、溶解補助溶剤を留去しながら行う。共重合反応において相溶性の悪いモノマーが存在する場合は、あらかじめ相溶性の悪いモノマーとそのモノマーと重縮合予定の酸またはアルコールとを縮合させておいてから主成分と共に重縮合させるとよい。
結晶性ポリエステル樹脂の製造時に使用可能な触媒としては、ナトリウム、リチウム等のアルカリ金属化合物;マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属化合物;亜鉛、マンガン、アンチモン、チタン、スズ、ジルコニウム、ゲルマニウム等の金属化合物;亜リン酸化合物;リン酸化合物;及びアミン化合物等が挙げられる。
具体的には、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、酢酸リチウム、炭酸リチウム、酢酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、酢酸マグネシウム、酢酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸マンガン、ナフテン酸マンガン、チタンテトラエトキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、三酸化アンチモン、トリフェニルアンチモン、トリブチルアンチモン、ギ酸スズ、シュウ酸スズ、テトラフェニルスズ、ジブチルスズジクロライド、ジブチルスズオキシド、ジフェニルスズオキシド、ジルコニウムテトラブトキシド、ナフテン酸ジルコニウム、炭酸ジルコニール、酢酸ジルコニール、ステアリン酸ジルコニール、オクチル酸ジルコニール、酸化ゲルマニウム、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、トリエチルアミン、トリフェニルアミン等の化合物が挙げられる。
得られた結晶性ポリエステル樹脂の酸価(樹脂1gを中和するに必要なKOHのmg数)は、後述する乳化分散法等を利用したトナー粒子の造粒性を確保しやすいことや、得られるトナーの帯電性や環境安定性(温度・湿度が変化した時の帯電性の安定性)を良好なものに保ちやすいことなどから、5〜30mgKOH/gであることが好ましい。
本発明に係る結晶性ポリエステル樹脂の酸価は、原料の多価カルボン酸と多価アルコールの配合比と反応率により、ポリエステルの末端のカルボキシル基を制御することによって調整することができる。あるいは多価カルボン酸成分として無水トリメリット酸を使用することによってポリエステルの主鎖中にカルボキシル基を有するものが得られる。
第一の本発明のトナーにおいて、トナー中の結晶性物質C(本発明に係る結晶性ポリエステル樹脂)の含有量は、2〜40質量%が好ましい。前記結晶性物質Cの含有量が2質量%より少ないと定着温度が十分下がらなくなる場合があり、40%を超えるとトナーの熱保存性が低下する場合がある。
第二の本発明のトナーに用いられる結晶性物質Cは、ウレタン化合物(以下、「本発明に係るウレタン化合物」という場合がある。)である。
本発明に係るウレタン化合物の融点は、50〜100℃の範囲であることが好ましく、55〜95℃の範囲であることがより好ましく、60〜90℃の範囲であることが更に好ましい。本発明に係るウレタン化合物の融点が50℃より低いとトナーの保存性や、定着後のトナー画像の保存性が問題となる場合がある。また、本発明に係るウレタン化合物の融点が100℃より高いと、低温定着が困難になる場合がある。
本発明に係るウレタン化合物は、具体的には、アルコールとイソシアネートとの反応によって得られるウレタン化合物(アルコールとしては、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールなどのモノアルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、キシリレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ビスフェノールA、水添ビスフェノールA、ビスフェノールAエチレンオキサイド、ビスフェノールAプロピレンオキサイド、ソルビトール、グリセリンなどの2価以上のアルコール;およびアルコール誘導体。イソシアネートとしては、フェニルイソシアネート、ステアリルイソシアネートなどのモノイソシアネート;2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、トランスシクロヘキサン1,4−ジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートカプロン酸、テトラメチル−m−キシリレンジイソシアネート、テトラメチル−p−キシリレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェート、イソシアネートアルキル2,6−ジイソシアネートカプロネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネートなどが挙げられる。また、それらと、単量体ポリオールを用いたウレタン変性体、トリメチロールプロパンとのアダクト体、ポリエーテルポリオールあるいはポリエステルポリオールを用いたウレタンプレポリマー、ウレチジオン変性体、イソシアヌレート変性体、カルボジイミド変性体、ウレトンイミン変性体、アロハネート変性体、ビュレット変性体も用いられる。またアルコールおよびイソシアネートをそれぞれ2種類以上、組み合せてもかまわない。)が挙げられる。
第二の本発明のトナーにおいて、結晶性物質C(本発明に係るウレタン化合物)のトナ中の含有量は2〜40質量%であることが好ましく、3〜20質量%であることがより好ましい。前記結晶性物質Cの含有量が2質量%より少ないと定着温度が十分下がらない場合があり、40質量%を超えるとトナーの熱保存性が低下する場合がある。
また、本発明に係るウレタン化合物の融点は、50〜100℃が好ましく、60〜90℃がより好ましい。本発明に係るウレタン化合物の融点が50℃未満であると、ブロッキングが発生しやすくなる場合がある。一方、本発明に係るウレタン化合物の融点が100℃を超えると、低温定着が難しくなる場合がある。
第一の本発明のトナー及び第二の本発明のトナー(以下、併せて「本発明のトナー」という場合がある。)に用いられる結着樹脂Aは、ポリエステル樹脂であり、ガラス転移温度が前記被覆樹脂Bのガラス転移温度より低ければ特に制限はないが、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分との縮合重合によって得られるポリエステル樹脂(アルコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、シクロヘキサンジメタノール、キシリレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ビスフェノールA、水添ビスフェノールA、ビスフェノールAエチレンオキサイド、ビスフェノールAプロピレンオキサイド、ソルビトール、グリセリンなどの2価以上のアルコールおよびアルコール誘導体。カルボン酸成分としては、マレイン酸、フマール酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、シクロペンタンジカルボン酸、無水コハク酸、無水トリメリット酸、無水マレイン酸、ドデセニル無水コハク酸などの2価以上のカルボン酸、カルボン酸誘導体や無水カルボン酸などが挙げられる。アルコール成分およびカルボン酸成分はそれぞれ2種類以上、組み合せてもかまわない)が挙げられる。
前記結着樹脂Aは、ガラス転移温度(TgA)が40〜80℃であることが好ましく、50〜70℃であることがより好ましい。また、重量平均分子量が5000〜50000であることが好ましく、10000〜30000であることがより好ましい。
本発明のトナーに用いられる被覆樹脂Bは、ポリエステル樹脂であり、ガラス転移温度が前記結着樹脂Aのガラス転移温度より高ければ特に制限はないが、結着樹脂Aと同様のモノマーからなるポリエステルを用いることができる。
本発明のトナーは、前記結晶性物質Cが被覆樹脂Bに被覆されており、加熱定着前には
結着樹脂Aと結晶性物質Cとが接していないが、定着時に加熱されることにより、被覆樹脂Bから結晶性物質Cが染み出し、結着樹脂Aと結晶性物質Cとが混ざり、低温域での定着性に優れ、かつ画質維持性、保存性に優れるという本発明の効果が得られる。
前記被覆樹脂Bは、ガラス転移温度(TgB)が90℃より低い(より好ましくは60℃以上80℃より低い)ことが、前記結晶性物質Cをトナー中で安定に分散させることと、低温定着性を両立する上で好ましい。前記TgB90℃以上であると、定着温度が上昇する場合がある。
また、被覆樹脂Bの重量平均分子量は10000〜100000が好ましい。
更に、結晶性物質Cに対する被覆樹脂Bの量は、10質量%〜200%が好ましい。結晶性物質Cに対する被覆樹脂Bの量が10質量%未満であると、十分被覆されずトナー中の結晶性樹脂の分散が大きくなる場合があり、200質量%を超えるとは結晶性樹脂が定着時に有効に働かなくなる場合がある。
既述のように、本発明のトナーは、被覆樹脂Bのガラス転移温度(TgB)が該結着樹脂Aのガラス転移温度(TgA)より高いことを必須とする。前記TgBが前記TgA以下の温度であると、トナーの保存性が低下してしまう。被覆樹脂Bのガラス転移温度と該結着樹脂Aのガラス転移温度との差(TgB−TgA)は、2〜30℃であることが好ましく、3〜15℃であることがより好ましい。
本発明のトナーに用いられる離型剤としては、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油、ライスワックス、シュガーワックス、パーム蝋等の植物系ワックス;ミツロウ等の動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、酸価パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の鉱物、石油系ワックス;ポリオレフィンワックス、酸価ポリオレフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の合成ワックス;及びそれらの変性物などを挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、混合して使用してもよい。
前記離型剤は、融点が60〜99℃の範囲、より好ましくは70〜97℃の範囲にあるワックスを含むことが好ましい。60℃以上のワックスを含まないと、とトナーの保管安定性が低下し、トナーの凝集体が増え画質の劣化が起こる場合がある。また、99℃以下のワックスを含まないと、ホットオフセット温度が低下する場合がある。
前記離型剤の含有量はトナーに対し、好ましくは5%以上20%以下である。
前記離型剤の融点は、自動接線処理システムを備えた島津製作所社製の示差走査熱量計(DSC−50)等により、離型剤を10℃/分の昇温速度で室温から200℃まで加熱し、10分間200℃とした後,30℃/分の降温速度で200℃から−10℃まで冷却し、10分間−10℃とするという前処理を行った後、20℃/分の昇温速度で−10℃から200℃まで加熱を行い、温度(℃)と熱量(mW)の関係から求まる最大の吸熱ピークのことである。
前記離型剤の融点は、結晶性物質Cの融点より高い(結晶性物質Cの融点が離型剤の融点より低い)ことが好ましい。前記離型剤の融点が結晶性物質Cの融点より低いと、オフセットが発生する場合がある。前記離型剤の融点と結晶性物質Cの融点との温度差は、4〜40℃であることが好ましく、2〜50℃であることがより好ましい。
本発明のトナーに用いられる着色剤としては公知のものが挙げられ、例えば、黒色顔料としては、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、酸化チタン、アニリンブラック、活性炭、非磁性フェライト、マグネタイト等が挙げられる。
また、黄色顔料としては、例えば、黄鉛、亜鉛黄、黄色酸化鉄、カドミウムイエロー、クロムイエロー、ハンザイエロー、ハンザイエロー10G 、ベンジジンイエローG 、ベンジジンイエローGR、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーメネントイエローNCG 等が挙げられる。
橙色顔料としては、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR 、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ベンジジンオレンジG 、インダスレンブリリアントオレンジRK、インダスレンブリリアントオレンジGK等が挙げられる。赤色顔料としては、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デイポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、ローダミンB レーキ、レーキレッドC 、ローズベンガル、エオキシンレッド、アリザリンレーキ等が挙げられる。
青色顔料としては、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、ファストスカイブルー、インダスレンブルーBC、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレレートなどが挙げられる。紫色顔料としては、マンガン紫、ファストバイオレットB 、メチルバイオレットレーキ等が挙げられる。
緑色顔料としては、酸化クロム、クロムグリーン、ピクメントグリーン、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG 等が挙げられる。白色顔料としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等が挙げられる。体質顔料としては、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等が挙げられる。さらに、染料としては、塩基性、酸性、分散、直接染料等の各種染料、例えば、ニグロシン、メチレンブルー、ローズベンガル、キノリンイエロー、ウルトラマリンブルー等が挙げられる。
また、これらの着色剤は単独で、又は混合し、さらには固溶体の状態でも使用できる。
これらの着色剤は、極性を有する界面活性剤を用い、前記ホモジナイザーによって水系に分散して使用する場合があるが、その際、酸価が10〜50mgKOHを有する体積平均粒径100nm以下の極性樹脂微粒子を0.4〜10質量%、好ましくは1.2〜5.0質量%の範囲で添加して着色剤を被覆して使用することができる。
前記極性樹脂微粒子は、公知の方法で被覆できる。具体的には、着色剤粒子とイオン交換水とを適宜混合し、前記の任意の分散機を用いて着色剤粒子分散液を作製した後、これに極性樹脂微粒子を添加・付着させる。また、着色剤粒子とイオン交換水とを適宜混合し、前記の任意の分散機を用いて分散させた後、前記極性樹脂微粒子を添加し、さらにホモジナイズして着色剤粒子に付着させても構わない。さらにまた、前記極性樹脂微粒子は、着色剤粒子分散液に一括して添加してもよいし、段階的に添加しても構わないが、付着性の観点から滴下しながら徐々に添加するのが好ましい。
前記着色剤は、色相角、彩度、明度、耐候性、OHP透過性、トナー中での分散性の観点から選択される。着色剤の添加量は、トナーの樹脂100質量%に対して、1〜20質量%の範囲で添加される。黒色着色剤として磁性体を用いるときには、他の着色剤とは異なり、30〜100質量%の範囲で添加される。
本発明のトナーは、トルエン不溶解分を含んでいることが好ましい。トルエン不溶解分とは、トナー中のトルエンに溶解しない物質の質量%のことで、具体的にはトナー50mgとトルエン40gを混合し、20〜30℃で17時間攪拌混合した後、12000rpmで2分間遠心分離を行い、得られた上澄み液20gを乾固させ重量からトルエン可溶分を算出し、50mgからトルエン可溶分を差し引くことでトルエン不溶分が算出する。
トルエン不溶解分は、好ましくは10〜50%で、特に好ましくは20〜40%である。
トルエン不溶解分を前記範囲に制御する方法としては、ラテックスの架橋、多価金属イオン集剤によるラテックス粒子間の架橋、無機微粒子添加による構造粘性の増加により行うことができるが、無機微粒子の添加、ラテックスの架橋では、ラテックス、無機微粒子などの粒子内の架橋が弱く、トナー粒子を加熱する工程で融解したワックス微粒子の合一を抑制し、トナー表面へのワックスの突き出しを抑制するには、多価金属イオン凝集剤によるイオン架橋による増粘化がより好ましい。またこれらを組み合わせて使用することができる。
また、前記無機微粒子の例としては、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カルシウムなど、通常トナー表面の外添剤として使用される全てのものを、イオン性界面活性剤や高分子酸、高分子塩基に分散して使用することができる。トナー中での分散性を良好にするため、無機微粒子の表面はシランカップリング剤等で疎水化することが好ましい。また無機微粒子の量はトナーに対し10質量%以下が好ましい。
本発明のトナーの形状は、
形状係数SF1=(ML2/A)×(π/4)×100
(式中、ML:トナー粒子の絶対最大長、A:トナー粒子の投影面積)として求められるSF1が100〜140の範囲であり、好ましくは100〜135の範囲である。前記形状係数SF1は、主に顕微鏡画像や走査電子顕微鏡画像を画像解析装置(ルーゼックス)によって解析することによって数値化される。具体的には、スライドガラス上に散布したトナーの光学顕微鏡画面をビデオカメラによりルーゼックス画像解析装置に取り込み、100個以上のトナーの測定した平均値を求めることにより得られる。140以上ではトナーが壊れ、内包された結晶性樹脂が露出しやすく、その結果、保存性や帯電性が低下する。
本発明のトナーは、DSC曲線において第一の昇温時のオンセットTgが45〜80℃の範囲であることが好ましく、50〜70℃の範囲であることがより好ましい。前記オンセットTgが45℃以上を示すことで高温多湿下におけるブロッキング現象の発生を防止でき、優れた保管性を獲得できる。また、オンセットTgが80℃以下であると低温定着性が十分に発揮される。
また、本発明のトナーは、第一の昇温時及び第二の昇温時に明確な吸熱ピークを示し、第二の昇温時の吸熱ピークが第一の昇温時の吸熱ピークの1/10以上1/2以下の範囲であることが好ましく、1/9以上1/2.5以下の範囲であることがより好ましい。本発明のトナーは、定着加熱前は、結晶性物質Cがバインダー樹脂を軟らかくすることなく均一に分散されていることが好ましく、定着加熱時は、結晶性物質Cが瞬時に溶融し低温定着を十分に発揮することが好ましい。すなわち、第二の昇温時の吸熱ピークが第一の吸熱ピークの1/10未満であると、定着加熱前に、バインダー樹脂を軟らかくする成分が存在する可能性も高く、また、保管性、帯電維持性及び耐オフセット性に悪影響を及ぼす場合がある、第二の昇温時の吸熱ピークが第一の吸熱ピークの1/2を超えると、低温定着を十分に発揮できない場合がある。
一方、前記トナーの第二の昇温時の吸熱ピークが第一の昇温時の吸熱ピークの1/10以上1/2以下の範囲となる挙動が高温多湿下での帯電維持性獲得のためには好ましい。このように、トナー粒子中に低融点成分がほとんど存在しないシャープな融解挙動を示す結晶性物質をバインダー樹脂中に、バインダー樹脂を軟らかくすることなく均一に分散させることで、高温高湿下でのブロッキング現象を防止し、且つ、高温高湿下での帯電維持性を獲得することができる。
本発明のトナーは、前記結晶性物質CがDSC曲線において、第一の昇温時の吸熱ピーク温度とベースラインからピークトップまでの高さの8分の1の高さにおけるピーク温度幅が10℃以下であることが好ましく、9℃以下であることがより好ましい。吸熱ピーク温度とベースラインからピークトップまでの高さの8分の1の高さにおけるピーク温度幅が10℃を超えると、定着加熱前にバインダー樹脂を軟らかくする結晶性物質成分が存在しやすくなり、ブロッキング現象が生じやすくなったり、帯電維持性への効果が不十分になったりする場合がある。一方、前記ピーク温度幅が10℃以下となると前記結晶性物質Cがバインダー樹脂を軟らかくする成分を含まないことを意味し、
十分な保管安定性及び低温定着性、更には帯電維持性を提供することができる。
尚、以上のオンセットTg、第一の昇温時の吸熱ピークに対する第二の昇温時の吸熱ピークの割合、ピーク温度幅の測定は、自動接線処理システムを備えた島津製作所の示差走査熱量計(DSC−50)に測定対象サンプルをセットし、10℃/分の昇温速度で室温から150℃まで加熱して温度(℃)と熱量(mW)の関係を求め、次に10℃/分の降温速度で0℃まで冷却し、再度これを10℃/分の昇温速度で150℃まで加熱してデータを採取した。ここで、0℃及び150℃にてそれぞれ5分間ホールドし、ASTM−D3418−8に準拠したものである。尚、測定サンプルは5〜20mg(好ましくは10mg)を精密に秤量し、これをアルミニウムバン中に入れ、リファレンスとして空アルミバンを用いた。
前記オンセットTgはトナーのDSC曲線において、第一の昇温時の第一の変曲点をトナーのオンセットTgとした。
また、吸熱ピーク温度とベースラインからピークトップまでの高さの8分の1の高さにおけるピーク温度幅とは、ベースラインから最大吸熱ピークトップまでの高さの8分の1の高さにおける温度と最大吸熱ピーク温度との、温度幅とした。
本発明のトナーの体積平均粒径は、4〜9μmが好ましく、5〜8μmが特に好ましい。本発明のトナーの体積平均粒径が4μm以上であるとが現像性上好ましく、9μm以下が画質の低下がなく好ましい。本発明のトナーの体積平均粒径は、コールターカウンターTA−II(日科機社製)、マルチサイザーII(日科機社製)等の測定器(アパーチャー径100μm)を用いて測定することができる。
また、本発明のトナーの個数粒度分布指標GSDpは、測定される粒度分布を分割し、それぞれの粒径範囲(チャンネル)に対し、小径側からの累積分布を描き、粒子の累積が16%となる粒径を数積平均粒径D16P、粒子の累積が50%となる粒径を体積平均粒径 、粒子の累積が84%となる粒径を数積平均粒径D84Pと定義し、GSDp=(D84P/D16P)0.5として求められ、前記GSDpは1.00以上1.30以下であることが好ましく1.00以上、1.27以下であることがより好ましい。前記GSDpが1.00以上1.30以下であると、クリーニング性能を安定して維持することで、高画質を長時間にわたって維持できる。
本発明のトナーの帯電量は、20〜80μC/gの範囲であることが好ましい。害帯電量が20μC/gを下回ると背景汚れ(カブリ)が発生しやすくなる場合があり、80μC/gを超えると画像濃度が低下しやすくなる場合がある。また、本発明のトナーの夏場(高温高湿)における帯電量と冬場(低温低湿)における帯電量の比は、0.5〜1.5の範囲であることが好ましく、0.7〜1.3の範囲であることがより好ましい。前記帯電量の比が0.5〜1.5の範囲を外れると帯電性の環境依存性が強く、帯電の安定性に欠ける場合がある。
本発明のトナーを磁性トナーとして用いる場合は、結着樹脂中に磁性粉を含有させてもよい。このような磁性粉としては、磁場中で磁化される物質を用いる。具体的には、鉄、コバルト、ニッケル等の金属単体又はその合金の強磁性粉末、又はフェライト、マグネタイト等化合物を使用できる。特に、本発明では、水層中でトナーを得るために、磁性体の水層移行性に注意を払う必要があり、好ましくは表面改質、例えば疎水化処理等を施しておくのが好ましい。
本発明では、トナーの帯電性を一層向上させ安定化させるために帯電制御剤を配合することができる。帯電制御剤としては安息香酸の金属塩、サリチル酸の金属塩、アルキルサリチル酸の金属塩、カテコールの金属塩、含金属ビスアゾ染料、テトラフェニルボレート誘導体、第四級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、ニグロシン系化合物、アルミニウム、鉄、クロムなどの錯体からなる染料や、トリフェニルメタン系顔料、極性基を含有し たレジンタイプの帯電制御剤、さらにこれらの適宣組合せたものが好ましく使用できるが、凝集や融合・合一時の安定性に影響するイオン強度の制御、廃水の汚染低減のためには、水に溶解しにくい材料の方がよい。トナー固形分に対するこれら帯電制御剤の添加量は、一般に10質量%以下の範囲が好ましい。
<電子写真用トナーの製造方法>
既述の本発明の電子写真用トナーの製造方法は、被覆樹脂B及び結晶性物質Cを有機溶媒に溶解させ、水に分散させた後、該有機溶媒を除去して、結晶性物質Cが被覆樹脂Bで被覆された平均粒径が1μm以下の結晶性樹脂微粒子を分散した結晶性樹脂微粒子分散液を調製する結晶性樹脂微粒子分散液調製工程と、該結晶性樹脂微粒子分散液、平均粒径が1μm以下の結着樹脂Aの微粒子を分散した結着樹脂微粒子分散液、離型剤微粒子を分散した離型剤微粒子分散液、及び着色剤の粒子を分散した着色剤粒子分散液を混合し、結晶性樹脂微粒子、結着樹脂微粒子A、着色剤粒子及び離型剤粒子を含む粒子を凝集させて、凝集粒子を形成する凝集粒子形成工程と、該凝集粒子を前記結着樹脂Aのガラス転移温度以上の温度に加熱して融合・合一する融合・合一工程と、を有することを特徴とする。
また、前記結晶性樹脂微粒子の平均粒径が50〜1000nmであることが好ましい。
既述の本発明の電子写真用トナーを得る方法は、特に制限はないが、凝集合一法、懸濁重合法、溶解懸濁法など、水中でトナー粒子を作製する湿式製法が、現像器内でトナー破壊を起こりにくくする形状制御ができるため好ましい。特に形状制御が容易な凝集合一法が好ましい。凝集合一法とは、一般に乳化重合法などによりイオン性界面活性剤を含有する樹脂微粒子分散液を調製し、着色剤粒子分散液及び離型剤粒子分散液とを混合し、前記イオン性界面活性剤とは反対の極性を有する凝集剤によりヘテロ凝集を生じさせることによりトナー径の凝集粒子を形成し、その後、樹脂微粒子のガラス転移点以上の温度に加熱して前記凝集粒子を融合・合一し、洗浄、乾燥してトナーを得る。
前記結晶性樹脂微粒子分散液調製工程は、結晶性物質Cが被覆樹脂Bで被覆された平均粒径が1μm以下の結晶性樹脂微粒子を分散した結晶性樹脂微粒子分散液を調製する
結晶性物質Cを被覆樹脂Bで被覆するためには、結晶性物質Cの溶解度パラメーターと被覆樹脂Bの溶解度パラメーターとの差が0.75〜1.13であることが好ましい。該溶解度パラメーターの差が、0.75より小さいと結晶性物質Cと被覆樹脂Bが相溶し被覆層を形成できなくなる場合があり、1.13より大きいとはがれやすくなり被覆層が形成できない場合がある。
溶解度パラメーターは、物質の凝集エネルギーの大きさを表す数値で、Fedorsによって提案された方法[Polym.Eng.Sci.,vol14,p147(1974)]に従って、原子または原子団の蒸発エネルギーおよびモル体積をそれぞれΔei 、Δvi とすると、本発明における結着樹脂の溶解度パラメーター(SP値)δは次式によって求めることができる。
δ=(ΣΔei /ΣΔvi )1/2
前記結晶性樹脂微粒子の平均粒径は1μm以下であり、50〜1000nmであることが好ましい。前記結晶性樹脂微粒子の平均粒径が1μmを超えると、トナーとなる凝集粒子が形成できない場合がある。
一方、前記結着樹脂Aは、平均粒径が1μm以下(好ましくは50〜500nm)のものを用いる。前記結着樹脂Aの平均粒径が1μmを超えると、トナーとなる凝集粒子が形成できない場合がある。
また、前記凝集粒子形成工程において、結晶性樹脂微粒子分散液、結着樹脂微粒子分散液、着色剤粒子分散液及び離型剤粒子分散液を混合する初期の段階では、予め各極性のイオン性分散剤の量のバランスをずらしておき、ポリ塩化アルミニウム等の無機金属塩の重合体を添加してイオン的に中和し、その後、前記結着樹脂のガラス転移点以下の温度で第1段階の母体凝集粒子を形成し、安定した後、第2段階としてイオン的バランスのずれを補填するような極性、量のイオン性分散剤で処理された樹脂微粒子分散液を添加し、さらに必要に応じて凝集粒子中の樹脂微粒子と追加樹脂微粒子に含まれる樹脂のガラス転移点以下でわずかに加熱して、より高い温度で安定化させたのち、ガラス転移点以上に加熱することにより凝集形成の第2段階で加えた粒子を母体凝集粒子の表面に付着させたまま合一(融合・合一工程)させたものでもよい。更にこの凝集の段階的操作は複数回、くり返し実施してもよい。また追加微粒子は、凝集時の微粒子と異なる材料を用いてもよい。この2段階法は離型剤、結晶性樹脂、着色剤の内包性を向上させるのに有効である。
ビニル系単量体を使用する場合は、イオン性界面活性剤などを用いて乳化重合を実施して樹脂微粒子分散液を調製することができる。また、その他の樹脂の場合は、油性で水への溶解度の比較的低い溶剤に溶解するものであれば樹脂をそれらの溶剤に解かして水中にイオン性の界面活性剤や高分子電解質とともにホモジナイザーなどの分散機で水中に微粒子として分散させ、その後加熱又は減圧して溶剤を蒸散することにより、樹脂微粒子分散液を調製することができる。
用いる離型剤は、平均粒径が150〜1500nmの範囲の粒子とすることが好ましく、静電荷現像用トナー中に分散させ、5〜25質量%の範囲で含有させることにより、オイルレス定着方法における定着画像の剥離性を向上できる。離型剤の平均粒径の好ましい範囲は、160〜1400nm、離型剤の含有量の好ましい範囲は、7〜23質量%である。
前記離型剤は、水中にイオン性界面活性剤、高分子酸や高分子塩基などの高分子電解質とともに分散し、融点以上に加熱しながら、ホモジナイザーや圧力吐出型分散機を用いて強い剪断を付与して微粒子化し、1μm以下の離型剤微粒子の分散液を調製することができる。
前記離型剤微粒子分散液に用いる界面活性剤の濃度は、離型剤に対し、4質量%以下であることが好ましい。4質量%を超えると、粒子形成の凝集速度が遅くなり加熱時間が長くなり、凝集体が増える場合がある。
また、用いる着色剤は、平均粒径が100〜330nmの範囲の粒子として、静電荷現像用トナー中に分散させ、4〜15質量%の範囲で含有させることにより、発色性はもとより、OHP透過性も優れたものとなる。好ましい平均粒径は120〜310nmの範囲であり、好ましい含有量は5〜14質量%の範囲である。
これらの着色剤は公知の方法で分散されるが、例えば、回転せん断型ホモジナイザー、ボールミル、サンドミル、アトライター、コボールミル等のメディア式分散機、三本ロールミル等のロールミル、ナノマイザー等のキャビテーションミル、コロイドミル、高圧対向衝突式の分散機等が好ましく用いられる。
本発明のトナーの製造方法において、樹脂微粒子の乳化重合、着色剤の分散、樹脂微粒子の添加分散、離型剤の分散、それらの凝集、又は、その安定化などの目的で用いる界面活性剤を例示すると、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン性界面活性剤、及びアミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン性界面活性剤を使用することができる。また、ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン性界面活性剤を併用することも効果的である。これらの分散手段としては、回転剪断型ホモジナイザーやメディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどの一般的なものを使用できる。
また、本発明では、極性樹脂微粒子で被覆した着色剤粒子を用いる場合、樹脂と着色剤を溶剤(水、界面活性剤、アルコールなど)中に溶解分散した後、前記のような適当な分散剤(活性剤を含む)と共に水中に分散させ、加熱、減圧して溶剤を除去して得る方法や、乳化重合により作成された樹脂微粒子表面に機械的な剪断力、又は電気的な吸着力で着色剤粒子を固定化する方法などを採用することができる。これらの方法は、凝集粒子に添加される着色剤の遊離を抑制したり、帯電性の着色剤依存性を改善することに有効である。
本発明では、融合・合一工程の終了後、任意の洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程を経て所望のトナーを得ることができるが、洗浄工程は、帯電性を発現・維持するため、十分にイオン交換水による置換洗浄を施すことが好ましい。また、固液分離工程は、特に制限はないが、生産性の点から吸引濾過、加圧濾過、遠心濾過、デカンター等が好ましく用いられる。さらに乾燥工程も特に制限はないが、生産性の点から通気乾燥装置、噴霧乾燥装置、回転乾燥装置、気流乾燥装置、流動層乾燥装置、伝熱加熱型乾燥装置、凍結乾燥装置などが好ましく用いられる。
また、流動性付与やクリーニング性向上の目的で、通常トナーの製造におけると同様に、炭酸カルシウムなどの金属塩、シリカ、アルミナ、チタニア、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、などの金属酸化物化合物、セラミック、カーボンブラック等、などの無機微粒子や、ビニル系樹脂、ポリエステル、シリコーンなどの樹脂微粒子を乾燥状態で剪断力をかけてトナー表面に添加することができる。
これらの無機微粒子は導電性、帯電性等を制御するためにカップリング材等で表面処理することが好ましく、カップリング材としては具体的にはメチルトリクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ヘキサメチルシラザン、N,N−(ビストリメチルシリル)アセトアミド、N,N−ビス(トリメチルシリル)ウレア、tert−ブチルジメチルクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γーメタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、βー(3.4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γーグリシドキシプリピルトリメトキシシラン、γーグリシドキシプリピルメチルジエトキシシラン、γーメルカプトプロピルトリメトキシシラン、γークロロプロピルトリメトキシシラン、等のシランカップリング剤やチタンカップリング剤等をあげることができる。
前記向き微粒子の添加方法としては、トナーの乾燥後、Vブレンダー、ヘンシエルミキサー等の混合機を用いて乾式でトナー表面に付着させてもよいし、微粒子を水または水/アルコールのごとき水系の液体に分散させた後、スラリー状態のトナーに添加し乾燥させトナー表面に外添剤を付着させてもよい。また、乾燥粉体にスラリーをスプレーしながら乾燥してもよい。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、これらにより本発明は限定されるものではない。本発明のトナーは、次の方法で製造した。即ち、下記の樹脂微粒子分散液(結晶性樹脂微粒子の分散液及び結着樹脂微粒子の分散液)、着色剤粒子分散液、離形剤粒子分散液をそれぞれ調製し、これを所定量混合攪拌しながら、無機金属塩の重合体を添加してイオン的に中和し、前記各粒子の凝集体を形成した。無機水酸化物で系内のpHを弱酸性から中性に調整した後、前記樹脂微粒子のガラス転移点以上の温度に加熱し、融合・合一させた。その後、十分な洗浄・固液分離・乾燥の工程を経て所望のトナーを得た。以下に、それぞれの材料の調整方法、凝集粒子の作成方法の具体例を示す。
(樹脂微粒子分散液1の調製(結着樹脂A−1))
ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、テレフタル酸、ヘキサンジオールからなるポリエステル樹脂(Mw(重量平均分子量、以下同様)=10000、Tg(ガラス転移温度、以下同様)=60℃、溶解度パラメータ10.1)50質量部、酢酸エチル450質量部を加熱混合し溶解した後、ドデシルベンゼンスルホン酸0.3質量%を含む水 600質量部に投入し、ローターステーター型攪拌機(ウルトラタラックス:IKA社製)を用いて攪拌し混合液を懸濁した。その後、減圧下で溶媒を除去した。得られた樹脂微粒子分散液の分散粒径は160nm、固形分率は、8質量%であった。
(樹脂微粒子分散液2の調製(被覆樹脂B−1、結晶性物質C−1))
ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、テレフタル酸、ドデセニルコハク酸、トリメリット酸からなるポリエステル樹脂(Mw=50000、Tg65℃、溶解度パラメータ10.0)25質量部、ブタンジオール、ドデカン2酸からなる結晶性ポリエステル(Mw=20000,融点=71℃、溶解度パラメータ9.23)25質量部、酢酸エチル450質量部を加熱混合し溶解した後、ドデシルベンゼンスルホン酸0.3質量%を含む水 600質量部に投入し、ローターステーター型攪拌機(ウルトラタラックス:IKA社製)を用いて攪拌し混合液を懸濁した。その後、減圧下で溶媒を除去した。得られた樹脂微粒子分散液の分散粒径は150nm、固形分率は、8質量%であった。また得られた樹脂微粒子分散液2を凍結乾燥し、オスミウム染色を行い粒子の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、が表層(ポリエステル樹脂)と内部(結晶性ポリエステル)の2層に分離した微粒子となっていることが観察された。
(樹脂微粒子分散液3の調製(被覆樹脂B−1、結晶性物質C−2))
ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、テレフタル酸、ドデセニルコハク酸、トリメリット酸からなるポリエステル樹脂(Mw=50000、Tg65℃、溶解度パラメータ10.0)20質量部、エチレングリコール、セバシン酸からなる結晶性ポリエステル(Mw=20000,融点=72℃、溶解度パラメータ9.52)30質量部、酢酸エチル450質量部を加熱混合し溶解した後、ドデシルベンゼンスルホン酸0.3質量%を含む水 600質量部に投入し、ローターステーター型攪拌機(ウルトラタラックス:IKA社製)を用いて攪拌し混合液を懸濁した。その後、減圧下で溶媒を除去した。得られた樹脂微粒子分散液の分散粒径は150nm、固形分率は、8質量%であった。また得られた樹脂微粒子分散液を凍結乾燥し、オスミウム染色を行い粒子の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、表層(ポリエステル樹脂)と内部(結晶性ポリエステル)の2層に分離した微粒子となっていることが観察された。
(樹脂微粒子分散液4の調製(結晶性物質C−1))
ブタンジオール、ドデカン2酸からなる結晶性ポリエステル(Mw=20000,融点=71℃、溶解度パラメータ9.23)50質量部、酢酸エチル450質量部を加熱混合し溶解した後、ドデシルベンゼンスルホン酸0.3質量%を含む水 600質量部に投入し、ローターステーター型攪拌機(ウルトラタラックス:IKA社製)を用いて攪拌し混合液を懸した。その後、減圧下で溶媒を除去した。得られた樹脂微粒子分散液の分散粒径は140nm、固形分率は、8質量%であった。
(樹脂微粒子分散液5の調製(樹脂B−2、結晶性物質C−1))
ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、テレフタル酸、イソフタル酸、ノナンジオールからなるポリエステル樹脂(Mw=20000、Tg55℃、溶解度パラメータ10.2)25質量部、ブタンジオール、ドデカン2酸からなる結晶性ポリエステル(Mw=20000,融点=71℃、溶解度パラメータ9.23)25質量部、酢酸エチル450質量部を加熱混合し溶解した後、ドデシルベンゼンスルホン酸0.3質量%を含む水 600質量部に投入し、ローターステーター型攪拌機(ウルトラタラックス:IKA社製)を用いて攪拌し混合液を懸濁した。その後、減圧下で溶媒を除去した。得られた樹脂微粒子分散液の分散粒径は150nm、固形分率は、8質量%であった。また得られた樹脂微粒子分散液を凍結乾燥し、オスミウム染色を行い粒子の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、表層(ポリエステル樹脂)と内部(結晶性ポリエステル)の2層に分離した微粒子となっていることが観察された。
(樹脂微粒子分散液6の調整(樹脂B−3、結晶性物質C−1))
ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物、テレフタル酸、イソフタル酸、ノナンジオールからなるポリエステル樹脂(Mw=20000、Tg63℃、溶解度パラメータ9.95)25質量部、ブタンジオール、ドデカン2酸からなる結晶性ポリエステル(Mw=20000,融点=71℃、溶解度パラメータ9.23)25質量部、酢酸エチル450質量部を加熱混合し溶解した後、ドデシルベンゼンスルホン酸0.3質量%を含む水 600質量部に投入し、ローターステーター型攪拌機(ウルトラタラックス:IKA社製)を用いて攪拌し混合液を懸濁した。その後、減圧下で溶媒を除去した。得られた樹脂微粒子分散液の分散粒径は150nm、固形分率は、8質量%であった。また得られた樹脂微粒子分散液を凍結乾燥し、オスミウム染色を行い粒子の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、均一な構造であることが観察された。
(樹脂微粒子分散液7の調整(樹脂B−4、結晶性物質C−1))
ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、テレフタル酸、イソフタル酸、ノナンジオールからなるポリエステル樹脂(Mw=20000、Tg74℃、溶解度パラメータ10.4)25質量部、ブタンジオール、ドデカン2酸からなる結晶性ポリエステル(Mw=20000,融点=71℃、溶解度パラメータ9.23)25質量部、酢酸エチル450質量部を加熱混合し溶解した後、ドデシルベンゼンスルホン酸0.3質量%を含む水 600質量部に投入し、ローターステーター型攪拌機(ウルトラタラックス:IKA社製)を用いて攪拌し混合液を懸濁した。その後、減圧下で溶媒を除去した。得られた樹脂微粒子分散液の分散粒径は150nm、固形分率は、8質量%であった。また得られた樹脂微粒子分散液を凍結乾燥し、オスミウム染色を行い粒子の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、濃淡の異なる2種の微粒子が観察された。
(樹脂微粒子分散液8の調製(結着樹脂A−1,被覆樹脂B−1、結晶性物質C−1))
ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、テレフタル酸、ドデセニルコハク酸、トリメリット酸からなるポリエステル樹脂(被覆樹脂、Mw=50000、Tg65℃、溶解度パラメータ10.0)8.4質量部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、テレフタル酸、ヘキサンジオールからなるポリエステル樹脂(結着樹脂、Mw=10000、Tg60℃) 33.2質量部、ブタンジオール、ドデカン2酸からなる結晶性ポリエステル(Mw=20000,融点=71℃、溶解度パラメータ9.23)8.4質量部、酢酸エチル450質量部を加熱混合し溶解した後、ドデシルベンゼンスルホン酸0.3質量%を含む水 600質量部に投入し、ローターステーター型攪拌機(ウルトラタラックス:IKA社製)を用いて攪拌し混合液を懸濁した。その後、減圧下で溶媒を除去した。得られた樹脂微粒子分散液の分散粒径は152nm、固形分率は、8質量%であった。また得られた樹脂微粒子分散液を凍結乾燥し、オスミウム染色を行い粒子の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、表層(被覆樹脂)と内部(結晶性ポリエステル及び結着樹脂)の2層に分離した微粒子となっていることが観察された。
(樹脂微粒子分散液17の作製)
ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、テレフタル酸、ドデセニルコハク酸、トリメリット酸からなるポリエステル樹脂と、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、テレフタル酸、イソフタル酸、ノナンジオールからなるポリエステル樹脂との重量比15:10混合物(Mw=40000、Tg61℃、溶解度パラメータ10.08)25質量部、ブタンジオール、ドデカン2酸からなる結晶性ポリエステル(Mw=20000,融点=71℃、溶解度パラメータ9.23)25質量部、酢酸エチル450質量部を加熱混合し溶解した後、ドデシルベンゼンスルホン酸0.3質量%を含む水 600質量部に投入し、ローターステーター型攪拌機(ウルトラタラックス:IKA社製)を用いて攪拌し混合液を懸濁した。その後、減圧下で溶媒を除去した。得られた樹脂微粒子分散液の分散粒径は150nm、固形分率は、8質量%であった。また得られた樹脂微粒子分散液2を凍結乾燥し、オスミウム染色を行い粒子の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、が表層(ポリエステル樹脂)と内部(結晶性ポリエステル)の2層に分離した微粒子となっていることが観察された。
(樹脂微粒子分散液18の作製)
ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、テレフタル酸、ドデセニルコハク酸、トリメリット酸からなるポリエステル樹脂と、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、テレフタル酸、イソフタル酸、ノナンジオールからなるポリエステル樹脂との重量比10:15混合物(Mw=30000、Tg59℃、溶解度パラメータ10.12)25質量部、ブタンジオール、ドデカン2酸からなる結晶性ポリエステル(Mw=20000,融点=71℃、溶解度パラメータ9.23)25質量部、酢酸エチル450質量部を加熱混合し溶解した後、ドデシルベンゼンスルホン酸0.3質量%を含む水 600質量部に投入し、ローターステーター型攪拌機(ウルトラタラックス:IKA社製)を用いて攪拌し混合液を懸濁した。その後、減圧下で溶媒を除去した。得られた樹脂微粒子分散液の分散粒径は150nm、固形分率は、8質量%であった。また得られた樹脂微粒子分散液2を凍結乾燥し、オスミウム染色を行い粒子の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、が表層(ポリエステル樹脂)と内部(結晶性ポリエステル)の2層に分離した微粒子となっていることが観察された。
(着色剤粒子分散液1の調製)
シアン顔料(C.I.Pigment Blue15:3):50質量部
アニオン性界面活性剤(ネオゲンSC、第一工業製薬社製 固形分65%):5質量部
イオン交換水:200質量部
前記成分を混合溶解し、ホモジナイザー(IKA 社製ウルトラタラックス)と超音波照射により分散して中心粒径167nm、固形分22質量%の着色剤粒子分散液1を得た。
(着色剤粒子分散液2の調製)
シアン顔料の代わりに、同量の黒顔料(カーボンブラック:キャボット社製)を用いた以外は着色剤粒子分散液1の調製と同様にして中心粒径159nm、固形分22質量%の着色剤粒子分散液2を得た。
(離型剤粒子分散液1の調製)
融点85℃のワックス:50質量部
(Polywax500(baker petrolite 製)
アニオン性界面活性剤:2.3質量部
(ネオゲンSC、第一工業製薬社製 固形分65質量%)
イオン交換水:200質量部
前記組成物を95℃に加熱して、IKA 社製ウルトラタラックスT50 で十分に分散した後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、中心粒径270nm、固形分21%の離型剤粒子分散液を得た。
(離型剤粒子分散液2の調製)
融点75℃のワックス:50質量部
(HNP9 (日本精蝋(株) 製)
アニオン性界面活性剤 2.3質量部
(ネオゲンSC、第一工業製薬社製 固形分65%)
イオン交換水:200質量部
前記組成物を95℃に加熱して、IKA 社製ウルトラタラックスT50 で十分に分散した後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、中心粒径250 nm、固形分21%の離型剤粒子分散液を得た
〔実施例1〕
前記樹脂微粒子分散液1:329質量部
前記樹脂微粒子分散液2:401質量部
前記着色剤粒子分散液1:26質量部
前記離型剤粒子分散液1:62質量部
ポリ塩化アルミニウム(10%水溶液):2.1質量部
イオン交換水:248質量部
上記の成分を丸型ステンレス製フラスコ中でIKA 社製のウルトラタラックスT50 を用い十分に混合・分散した後、加熱用オイルバスでフラスコを攪拌しながら45℃まで加熱した。45℃(初期加熱温度)で保持した後、ここに樹脂微粒子分散液1を緩やかに108質量部追加した。
その後、濃度0.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を用いて系内のpHを8.0に調整した後、ステンレス製フラスコを密閉し、攪拌軸のシールを磁力シールして攪拌を継続しながら92℃まで加熱した。反応終了後、冷却し、濾過、イオン交換水で十分に洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過により固液分離を行った。これをさらにイオン交換水3L を用いて再分散し、15分間300rpmで攪拌・洗浄した。この洗浄操作をさらに5回繰り返し、ヌッチェ式吸引濾過によりNo.5A ろ紙を用いて固液分離を行った。次いで真空乾燥を12時間継続してトナー粒子を得た。
(評価方法)
得られたトナー粒子にシリカ(キャボット社製、TS720)を0.8質量%添加混合してトナーを得た。
得られたトナーについて、形状係数SF1、平均粒径、DSC曲線において第一の昇温時のオンセットTg、第二の昇温時の吸熱ピークを第一の昇温時の吸熱ピークで割った値、及び第一の昇温時の吸熱ピーク温度とベースラインからピークトップまでの高さの8分の1の高さにおけるピーク温度幅を既述の測定方法で測定した。その結果を表1に示す。
・保存性
得られたトナーを50℃のオーブンに24時間入れ、その後目視で凝集体の有無を観察した。結果を表2に示す。
一方、50μmのフェライトコアにポリメチルメタクリレート(総研化学社製)を1質量%コートしてキャリアを調製した。得られたトナーとこのキャリアとを混合し、トナー濃度が8質量%となるように調製して現像剤を作製した。
・最低定着温度
得られた現像剤を富士ゼロックス製コピー紙(J紙)上に現像剤量0.9mg/cm2となるようにソリッド画像を形成し、A−color935(富士ゼロックス社製)の改造機にて、画像を定着し、定着性の評価を行なった。評価においては定着器温度を80℃から150℃まで10℃おきに変化させ、それぞれの定着温度にて定着画像を作製した後、得られた各定着画像の画像面を谷折りして折れ目部の画像のはがれ度合いを観察し、画像がはがれた結果として折れ目部に現れる用紙の幅を測定し、該幅が0.5mm以下になった定着温度を最低定着温度とした。その結果を表2に示す。
・画質評価
得られた現像剤を用いて、富士ゼロックス社製A−color935改造機により10000枚コピー後の定着画像について目視により画像の均一性を評価した。その結果を表2に示す。
〔実施例2〕
実施例1において、樹脂微粒子分散液2を同量の樹脂微粒子分散液3に、着色剤粒子分散液1を同量の着色剤粒子分散液2に代えた以外は、実施例1と同様にしてトナー及び現像剤を作製した。更に実施例1と同様の評価を実施した。その結果を表1及び2に示す。
〔比較例1〕
実施例1において、pHを8.0に調整した後の加熱温度92℃を86℃に変えた以外は、実施例1と同様にトナー及び現像剤を作製した。更に実施例1と同様の評価を実施した。その結果を表1及び2に示す。
〔比較例2〕
実施例1において、樹脂微粒子分散液2を同量の樹脂微粒子分散液5に代えた以外は、実施例1と同様にしてトナー及び現像剤を作製した。更に実施例1と同様の評価を実施した。その結果を表1及び2に示す。
〔比較例3〕
実施例1の樹脂微粒子分散液2を樹脂微粒子分散液6に変えた以外は、実施例1と同様にトナーを作製した。結果を表1及び2に示す。
〔比較例4〕
実施例1の樹脂微粒子分散液2を樹脂微粒子分散液7に変えた以外は、実施例1と同様にトナーを作製した。結果を表1及び2に示す。
〔比較例5〕
実施例1において、樹脂微粒子分散液2を同量の樹脂微粒子分散液4に代えた以外は、実施例1と同様にしてトナー及び現像剤を作製した。更に実施例1と同様の評価を実施した。その結果を表1及び2に示す。
〔比較例6〕
実施例1において、樹脂微粒子分散液2を同量の樹脂微粒子分散液8に代えた以外は、実施例1と同様にしてトナー及び現像剤を作製した。更に実施例1と同様の評価を実施した。その結果を表1及び2に示す。
[実施例5]
実施例1において、樹脂微粒子分散液2を同量の樹脂微粒子分散液17に代えた以外は、実施例1と同様にしてトナー及び現像剤を作製した。更に実施例1と同様の評価を実施した。その結果を表1及び2に示す。
[比較例15]
実施例1において、樹脂微粒子分散液2を同量の樹脂微粒子分散液18に代えた以外は、実施例1と同様にしてトナー及び現像剤を作製した。更に実施例1と同様の評価を実施した。その結果を表1及び2に示す。
[比較例16]
実施例1において、92℃に加熱前でのpHを8.5から9.5に変えた以外は、実施例1と同様にしてトナー及び現像剤を作製した。更に実施例1と同様の評価を実施した。その結果を表1及び2に示す。
[実施例6]
樹脂微粒子分散液2においてドデシルベンゼンスルホン酸0.3質量%を0.23質量%にした以外は同様にして得られた分散粒径300nmの分散液を用い、実施例1と同様にしてトナー及び現像剤を作製した。更に実施例1と同様の評価を実施した。その結果を表1及び2に示す。
Figure 2007058137
Figure 2007058137
表1及び表2より、形状係数SF1が100〜140で、被覆樹脂Bで被覆された結晶性物質Cが分散し、被覆樹脂Bのガラス転移温度が該結着樹脂Aのガラス転移温度より高い実施例1及び2は、最低定着温度が低く、保存性及び10000枚後の画質が良好であることがわかる。
(樹脂微粒子分散液9の調製(樹脂A−2))
ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、テレフタル酸、ヘキサンジオールからなるポリエステル樹脂(Mw=10000、Tg60℃) 50質量部、酢酸エチル200質量部を加熱混合し溶解した後、ドデシルベンゼンスルホン酸0.3質量%を含む水 300質量部に投入し、ローターステーター型攪拌機(ウルトラタラックス:IKA社製)を用いて攪拌し混合液を懸濁した。その後、減圧下で溶媒を除去した。得られた樹脂微粒子分散液の分散粒径は160nm、固形分率は、20質量%であった。
(樹脂微粒子分散液10の調製(樹脂B−1、ウレタン化合物−1))
ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、テレフタル酸、ドデセニルコハク酸、トリメリット酸からなるポリエステル樹脂(Mw=50000、Tg65℃、溶解度パラメータ10.0)25質量部、ベヘニルアルコール36.7質量部とフェニルイソシアネート13.4質量部を反応させて得られたウレタン化合物(融点=89℃、溶解度パラメータ9.04)25質量部、酢酸エチル450質量部を加熱混合し溶解した後、ドデシルベンゼンスルホン酸0.3質量%を含む水 600質量部に投入し、ローターステーター型攪拌機(ウルトラタラックス:IKA社製)を用いて攪拌し混合液を懸濁した。その後、減圧下で溶媒を除去した。得られた樹脂微粒子分散液の分散粒径は200nm、固形分率は、8質量%であった。また得られた樹脂微粒子分散液を凍結乾燥し、オスミウム染色を行い粒子の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、表層(ポリエステル樹脂)と内部(ウレタン化合物)の2層に分離した微粒子となっていることが観察された。
(樹脂微粒子分散液11の調製(樹脂B−1、ウレタン化合物−2))
ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、テレフタル酸、ドデセニルコハク酸、トリメリット酸からなるポリエステル樹脂(Mw=50000、Tg65℃、溶解度パラメータ10.0)25質量部、トリレンジイソシアネート12.2質量部とステアリルアルコール37.8質量部を反応させて得られたウレタン化合物(融点=96℃、溶解度パラメータ9.24)25質量部、酢酸エチル450質量部を加熱混合し溶解した後、ドデシルベンゼンスルホン酸0.3質量%を含む水 600質量部に投入し、ローターステーター型攪拌機(ウルトラタラックス:IKA社製)を用いて攪拌し混合液を懸濁した。その後、減圧下で溶媒を除去した。得られた樹脂微粒子分散液の分散粒径は190nm、固形分率は、8質量%であった。また得られた樹脂微粒子分散液を凍結乾燥し、オスミウム染色を行い粒子の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、表層(ポリエステル樹脂)と内部(ウレタン化合物)の2層に分離した微粒子となっていることが観察された。
(樹脂微粒子分散液12の調製(ウレタン化合物−2))
トリレンジイソシアネート12.2質量部とステアリルアルコール37.8質量部を反応させて得られたウレタン化合物(融点=96℃、溶解度パラメータ9.24)50質量部、酢酸エチル450質量部を加熱混合し溶解した後、ドデシルベンゼンスルホン酸0.3質量%を含む水 600質量部に投入し、ローターステーター型攪拌機(ウルトラタラックス:IKA社製)を用いて攪拌し混合液を懸した。その後、減圧下で溶媒を除去した。得られた樹脂微粒子分散液の分散粒径は190nm、固形分率は、8質量%であった。
(樹脂微粒子分散液13の調製(樹脂B−2、ウレタン化合物−1))
ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、テレフタル酸、イソフタル酸、ノナンジオールからなるポリエステル樹脂(Mw=20000、Tg55℃、溶解度パラメータ10.2)25質量部、ベヘニルアルコール36.7質量部とフェニルイソシアネート13.4質量部を反応させて得られたウレタン化合物(融点=89℃、溶解度パラメータ9.04)25質量部、酢酸エチル450質量部を加熱混合し溶解した後、ドデシルベンゼンスルホン酸0.3質量%を含む水 600質量部に投入し、ローターステーター型攪拌機(ウルトラタラックス:IKA社製)を用いて攪拌し混合液を懸濁した。その後、減圧下で溶媒を除去した。得られた樹脂微粒子分散液の分散粒径は210nm、固形分率は、8質量%であった。また得られた樹脂微粒子分散液を凍結乾燥し、オスミウム染色を行い粒子の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、表層(ポリエステル樹脂)と内部(ウレタン化合物)の2層に分離した微粒子となっていることが観察された。
(樹脂微粒子分散液14の調製(樹脂B−5、ウレタン化合物−1))
ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物、ドデカン2酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ノナンジオールからなるポリエステル樹脂(Mw=20000、Tg62℃、溶解度パラメータ9.79)25質量部、ベヘニルアルコール36.7質量部とフェニルイソシアネート13.4質量部を反応させて得られたウレタン化合物(融点=89℃、溶解度パラメータ9.04)25質量部、酢酸エチル450質量部を加熱混合し溶解した後、ドデシルベンゼンスルホン酸0.3質量%を含む水 600質量部に投入し、ローターステーター型攪拌機(ウルトラタラックス:IKA社製)を用いて攪拌し混合液を懸濁した。その後、減圧下で溶媒を除去した。得られた樹脂微粒子分散液の分散粒径は200nm、固形分率は、8質量%であった。また得られた樹脂微粒子分散液を凍結乾燥し、オスミウム染色を行い粒子の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、均一な構造であることが観察された。
(樹脂微粒子分散液15の調製(樹脂B−6、ウレタン化合物−1))
ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、テレフタル酸、イソフタル酸、ノナンジオールからなるポリエステル樹脂(Mw=20000、Tg74℃、溶解度パラメータ10.4)25質量部、ベヘニルアルコール36.7質量部とフェニルイソシアネート13.4質量部を反応させて得られたウレタン化合物(融点=89℃、溶解度パラメータ9.04)25質量部、酢酸エチル450質量部を加熱混合し溶解した後、ドデシルベンゼンスルホン酸0.3質量%を含む水 600質量部に投入し、ローターステーター型攪拌機(ウルトラタラックス:IKA社製)を用いて攪拌し混合液を懸濁した。その後、減圧下で溶媒を除去した。得られた樹脂微粒子分散液の分散粒径は180nm、固形分率は、8質量%であった。また得られた樹脂微粒子分散液を凍結乾燥し、オスミウム染色を行い粒子の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、濃淡の異なる2種の微粒子が観察された。
(樹脂微粒子分散液16の調整(樹脂A,B−1、ウレタン化合物−2))
ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、テレフタル酸、ドデセニルコハク酸、トリメリット酸からなるポリエステル樹脂(Mw=50000、Tg65℃、溶解度パラメータ10.0)8.4質量部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、テレフタル酸、ヘキサンジオールからなるポリエステル樹脂(Mw=10000、Tg60℃) 33.2質量部、トリレンジイソシアネート12.2質量部とステアリルアルコール37.8質量部を反応させて得られたウレタン化合物(融点=96℃、溶解度パラメータ9.54)8.4質量部、酢酸エチル450質量部を加熱混合し溶解した後、ドデシルベンゼンスルホン酸0.3質量%を含む水 600質量部に投入し、ローターステーター型攪拌機(ウルトラタラックス:IKA社製)を用いて攪拌し混合液を懸濁した。その後、減圧下で溶媒を除去した。得られた樹脂微粒子分散液の分散粒径は190nm、固形分率は、8質量%であった。また得られた樹脂微粒子分散液を凍結乾燥し、オスミウム染色を行い粒子の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、表層(被覆樹脂)と内部(ウレタン化合物及び結着樹脂)の2層に分離した微粒子となっていることが観察された。
(離型剤粒子分散液3の調製)
融点104℃のワックス:50質量部
(Polywax725 (baker petrolite 製)
アニオン性界面活性剤:2.3質量部
(ネオゲンSC、第一工業製薬社製 固形分65%)
イオン交換水 200質量部
上記組成物を95℃に加熱して、IKA 社製ウルトラタラックスT50 で十分に分散した後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、中心粒径270 nm、固形分21%の離型剤粒子分散液3を得た。
〔実施例3〕
前記樹脂微粒子分散液9:451質量部
前記樹脂微粒子分散液10:281質量部
前記着色剤粒子分散液1:33.4質量部
前記離型剤粒子分散液3:65.9質量部
ポリ塩化アルミニウム(10%水溶液):2.1質量部
上記の成分を丸型ステンレス製フラスコ中でIKA 社製のウルトラタラックスT50 を用い十分に混合・分散した後、加熱用オイルバスでフラスコを攪拌しながら45℃まで加熱した。45℃(初期加熱温度)で保持した後、ここに樹脂微粒子分散液1を緩やかに109質量部追加した。
その後、濃度0.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を用いて系内のpHを8.0 に調整した後、ステンレス製フラスコを密閉し、攪拌軸のシールを磁力シールして攪拌を継続しながら92℃まで加熱した。反応終了後、冷却し、濾過、イオン交換水で十分に洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過により固液分離を行った。これをさらにイオン交換水3L を用いて再分散し、15分間300rpmで攪拌・洗浄した。この洗浄操作をさらに5回繰り返し、ヌッチェ式吸引濾過によりNo.5A ろ紙を用いて固液分離を行った。次いで真空乾燥を12時間継続してトナー粒子を得た。
得られたトナー粒子にシリカ(キャボット社製、TS720)を0.8質量%添加混合してトナーを得た。得られたトナーについて実施例1と同様の評価を実施した。その結果を表3に示す(保存性については表4に示す。)。
更に、実施例1と同様の方法により、現像剤を作製し、実施例1と同様の評価を実施した。その結果を表4に示す。
〔実施例4〕
実施例3において、樹脂微粒子分散液10を同量の樹脂微粒子分散液11に、着色剤粒子分散液1を着色剤粒子分散液2に代えた以外は、実施例3と同様にしてトナー及び現像剤を作製した。更に実施例3と同様の評価を実施した。その結果を表3及び4に示す。
〔比較例8〕
実施例3において、樹脂微粒子分散液10を同量の樹脂微粒子分散液13に代えた以外は、実施例3と同様にしてトナー及び現像剤を作製した。更に実施例3と同様の評価を実施した。その結果を表3及び4に示す。
〔実施例7〕
実施例3において、離型剤粒子分散液3を離型剤粒子分散液2に代えた以外は、実施例3と同様にしてトナー及び現像剤を作製した。更に実施例3と同様の評価を実施した。その結果を表3及び4に示す。
〔比較例10〕
実施例3において、樹脂微粒子分散液10を同量の樹脂微粒子分散液14に代えた以外は、実施例3と同様にしてトナー及び現像剤を作製した。更に実施例3と同様の評価を実施した。その結果を表3及び4に示す。
〔比較例11〕
実施例3において、樹脂微粒子分散液10を同量の樹脂微粒子分散液15に代えた以外は、実施例3と同様にしてトナー及び現像剤を作製した。更に実施例3と同様の評価を実施した。その結果を表3及び4に示す。
〔比較例12〕
実施例3において、樹脂微粒子分散液10を同量の樹脂微粒子分散液12に代えた以外は、実施例3と同様にしてトナー及び現像剤を作製した。更に実施例3と同様の評価を実施した。その結果を表3及び4に示す。
〔比較例13〕
実施例3において、樹脂微粒子分散液10を同量の樹脂微粒子分散液16に代えた以外は、実施例3と同様にしてトナー及び現像剤を作製した。更に実施例3と同様の評価を実施した。その結果を表3及び4に示す。
Figure 2007058137
Figure 2007058137
表3及び表4より、形状係数SF1が100〜140で、被覆樹脂Bで被覆された結晶性物質Cが分散し、被覆樹脂Bのガラス転移温度が該結着樹脂Aのガラス転移温度より高い実施例3及び4は、最低定着温度が低く、保存性及び10000枚後の画質が良好であることがわかる。

Claims (5)

  1. 結着樹脂A、着色剤及び離型剤を含有し、更に被覆樹脂Bで被覆された結晶性物質Cが分散している、形状係数SF1が100〜140の電子写真用トナーであって、
    前記結着樹脂A、被覆樹脂B及び結晶性物質Cがポリエステル樹脂であり、該被覆樹脂Bのガラス転移温度が該結着樹脂Aのガラス転移温度より高いことを特徴とする電子写真用トナー。
  2. 結着樹脂A、着色剤及び離型剤を含有し、更に被覆樹脂Bで被覆された結晶性物質Cが分散している、形状係数SF1が100〜140の電子写真用トナーであって、
    前記結着樹脂A及び被覆樹脂Bがポリエステル樹脂であり、かつ、前記結晶性物質Cがウレタン化合物であり、該被覆樹脂Bのガラス転移温度が該結着樹脂Aのガラス転移温度より高いことを特徴とする電子写真用トナー。
  3. 前記結晶性物質Cの融点が離型剤の融点よりも低いことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真用トナー。
  4. 請求項1〜3の何れか1項に記載の電子写真用トナーの製造方法であって、
    被覆樹脂B及び結晶性物質Cを有機溶媒に溶解させ、水に分散させた後、該有機溶媒を除去して、結晶性物質Cが被覆樹脂Bで被覆された平均粒径が1μm以下の結晶性樹脂微粒子を分散した結晶性樹脂微粒子分散液を調製する結晶性樹脂微粒子分散液調製工程と、該結晶性樹脂微粒子分散液、平均粒径が1μm以下の結着樹脂Aの微粒子を分散した結着樹脂微粒子分散液、離型剤微粒子を分散した離型剤微粒子分散液、及び着色剤の粒子を分散した着色剤粒子分散液を混合し、結晶性樹脂微粒子、結着樹脂微粒子A、着色剤粒子及び離型剤粒子を含む粒子を凝集させて、凝集粒子を形成する凝集粒子形成工程と、該凝集粒子を前記結着樹脂Aのガラス転移温度以上の温度に加熱して融合・合一する融合・合一工程と、を有することを特徴とする電子写真用トナーの製造方法。
  5. 前記結晶性樹脂微粒子の平均粒径が50〜1000nmであることを特徴とする請求項4に記載の電子写真用トナーの製造方法。
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