JP2007051041A - カーボンナノチューブの製造方法、その製造方法により製造されるカーボンナノチューブ、及びカーボンナノチューブ製造用触媒 - Google Patents
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Abstract
【課題】1本ごとが独立したカーボンナノチューブを製造する方法、その製造方法により製造されるカーボンナノチューブ、及びカーボンナノチューブ製造用触媒を提供する。
【解決手段】表面にCr−Fe−O系皮膜を有するFeCr含有合金を基板として用い、前記基板から上方に向かってカーボンナノチューブを成長させる工程を含むカーボンナノチューブの製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】表面にCr−Fe−O系皮膜を有するFeCr含有合金を基板として用い、前記基板から上方に向かってカーボンナノチューブを成長させる工程を含むカーボンナノチューブの製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、カーボンナノチューブの製造方法、その製造方法により製造されるカーボンナノチューブ、及びカーボンナノチューブ製造用触媒に関する。
カーボンナノチューブは優れた強度、電気伝導性、熱伝導性等を有することから、さまざまな用途、例えば、電池電極、複合繊維、走査型プローブ顕微鏡のプローブなどに利用されている。
カーボンナノチューブの製造方法は主として、アーク放電法、レーザー蒸発法、化学的気相成長法(CVD法)等がある。アーク放電法及びレーザー蒸発法は、収率が低い、製造装置が複雑である等の理由により、大量生産に不向きであるという問題がある。
一方、CVD法は、気相ガスを化学分解して、基板上にカーボンナノチューブを成長させる方法であるため、大量生産を容易とする。よって、現在CVD法が注目されている。
しかしながら、CVD法は、カーボンナノチューブが基板上に無秩序に成長するため、生成されたカーボンナノチューブはバンドル(束)状になる。そうすると、カーボンナノチューブを製品に使用する場合に、その束を一本ごとに切り分ける必要が生じるが、現状では、この束状に一本ごとに切り分けるのは非常に困難である。
そこで、これらの問題を解決するために一本ごとに独立して製造させる方法として、直径数nmの触媒金属微粒子を基板上に置いて、その微粒子からカーボンナノチューブを成長させる方法が提供されている(特許文献1)。しかしながら、この方法では、直径が数nmの触媒金属微粒子は非常に凝集しやすい性質を有するため、配置された金属微粒子が凝集するという問題が生じる。また、加熱により金属微粒子が溶けるという問題も生じる。よって、この方法では、一本ごとに独立し、かつ、直径が数nmというカーボンナノチューブを製造することが困難である。
また、触媒金属と触媒金属以外の材料とを交互に積層してなる積層物の切断面上に、カーボンナノチューブを成長させる方法も提供されている(特許文献2)。しかしながら、この方法は、カーボンナノチューブが成長する場である触媒層が連続している。そうすると、成長するカーボンナノチューブ同士が隣接してしまう。その結果、カーボンナノチューブ同士が付着してしまい、完全に一本ごとが独立したカーボンナノチューブを成長できず、改良の余地がある。
したがって、完全に一本ごとが独立したカーボンナノチューブの製造方法が望まれている。
特開2003−171108号公報
特開2004−18342号公報
本発明の主な目的は、1本ごとが独立したカーボンナノチューブの製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記従来技術の問題点に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、特定の構成を有する基板を用いることによって上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記に示すカーボンナノチューブの製造方法、その製造方法によって製造されるカーボンナノチューブ及びカーボンナノチューブ製造用触媒に係る。
1.表面にCr−Fe−O系皮膜を有するFeCr含有合金を基板として用い、前記基板から上方に向かってカーボンナノチューブを成長させる工程を含むカーボンナノチューブの製造方法。
2.前記FeCr含有合金がステンレス鋼である、上記項1記載の製造方法。
3.前記基板が、FeCr含有合金を酸素ガス含有雰囲気中150〜1100℃で熱処理することにより得られる、上記項1又は2に記載の製造方法。
4.前記皮膜がFeを3〜50at%含む、上記項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
5.前記工程が、炭素含有ガスの存在下において、前記基板とそれに対向する電極との間に電圧を印加することによって前記炭素含有ガスからプラズマを発生させることにより行われる、上記項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
6.カーボンナノチューブを形成させるための基板であって、前記基板が表面にCr−Fe−O系皮膜を有するFeCr含有合金であることを特徴とする、カーボンナノチューブ製造用触媒。
7.前記FeCr含有合金がステンレス鋼である、上記項6記載のカーボンナノチューブ製造用触媒。
8.前記基板が、FeCr含有合金を酸素ガス含有雰囲気中150〜1100℃で熱処理することにより得られる、上記項6又は7に記載のカーボンナノチューブ製造用触媒。
9.前記皮膜がFeを3〜50at%含む、上記項6〜8のいずれかに記載のカーボンナノチューブ製造用触媒。
10.上記項1〜5のいずれかに記載の製造方法により得られるカーボンナノチューブ。
1.表面にCr−Fe−O系皮膜を有するFeCr含有合金を基板として用い、前記基板から上方に向かってカーボンナノチューブを成長させる工程を含むカーボンナノチューブの製造方法。
2.前記FeCr含有合金がステンレス鋼である、上記項1記載の製造方法。
3.前記基板が、FeCr含有合金を酸素ガス含有雰囲気中150〜1100℃で熱処理することにより得られる、上記項1又は2に記載の製造方法。
4.前記皮膜がFeを3〜50at%含む、上記項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
5.前記工程が、炭素含有ガスの存在下において、前記基板とそれに対向する電極との間に電圧を印加することによって前記炭素含有ガスからプラズマを発生させることにより行われる、上記項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
6.カーボンナノチューブを形成させるための基板であって、前記基板が表面にCr−Fe−O系皮膜を有するFeCr含有合金であることを特徴とする、カーボンナノチューブ製造用触媒。
7.前記FeCr含有合金がステンレス鋼である、上記項6記載のカーボンナノチューブ製造用触媒。
8.前記基板が、FeCr含有合金を酸素ガス含有雰囲気中150〜1100℃で熱処理することにより得られる、上記項6又は7に記載のカーボンナノチューブ製造用触媒。
9.前記皮膜がFeを3〜50at%含む、上記項6〜8のいずれかに記載のカーボンナノチューブ製造用触媒。
10.上記項1〜5のいずれかに記載の製造方法により得られるカーボンナノチューブ。
本発明によれば、1本ごとが独立して同じ方向に配列したカーボンナノチューブを製造することができる。このため、束状のカーボンナノチューブを1本ごとに切り分ける工程を必要としない。また、触媒微粒子の大きさを揃える工程、触媒微粒子を均一に分散させる工程等も必要としない。
その結果、従来よりも容易かつ確実にカーボンナノチューブを製造することができる。
1.カーボンナノチューブの製造方法
本発明のカーボンナノチューブの製造方法は、表面にCr−Fe−O系皮膜を有するFeCr含有合金を基板として用い、前記基板から上方に向かってカーボンナノチューブを成長させる工程を含むことを特徴とする。
本発明のカーボンナノチューブの製造方法は、表面にCr−Fe−O系皮膜を有するFeCr含有合金を基板として用い、前記基板から上方に向かってカーボンナノチューブを成長させる工程を含むことを特徴とする。
本発明の製造方法で用いる基板は、表面にCr−Fe−O系皮膜を有するFeCr含有合金である。
FeCr含有合金は、Fe及びCrを含有している限り特に制限されず、例えば、これら以外の金属、Ni、C、Al、Ti、Mn、Co、Si、Zn、Zr、Sn、Cu、B、V、Mo、Nb、Nd、W等の金属を含んでいてもよい。FeCr含有合金中のFe含有量は特に制限されないが、通常は10〜90at%程度とすればよい。また、Cr含有量も特に制限されないが、通常は5〜90at%程度とすればよい。
本発明では、特にFeCr含有合金がステンレス鋼であることが好ましい。ステンレス鋼は、一般的には、Crを12重量%程度以上含有する鋼をいう。ステンレス鋼の種類としては、例えば、マルテンサイト系ステンレス鋼、フェライト系ステンレス鋼、オーステナイト系ステンレス鋼等が挙げられる。
FeCr含有合金の表面に被覆されているCr−Fe−O系皮膜は、Cr及びFeの金属酸化物を含む皮膜であり、Cr、Fe及びOを有していれば特に制限されない。上記皮膜は、Fe、Cr及びO以外にも、Niを含んでいてよい。すなわち、上記皮膜はCr−Fe−Ni−O系皮膜であってもよい。また、その他にも、例えば、Mn, Si, C, P, S ,Mo, Ti, Alなどを含んでいてもよい。
皮膜中のFe含有量は、通常3〜50at%程度、好ましくは5〜40at%程度、より好ましくは10〜30at%程度である。この含有量にすることにより、Feの有する触媒能がより効果的に発揮され、カーボンナノチューブを1本ごとに形成することができる。
皮膜中のCr含有量は限定的でないが、通常1〜50at%程度、好ましくは2〜25at%程度とすればよい。
皮膜中のO含有量も限定的でないが、通常0.1〜70at%程度、好ましくは1〜60at%程度とすればよい。
NiなどのFe、Cr及びO以外の元素を含む場合においては、Niなどの含有量は、皮膜構成元素の全量中で、0.1〜40at%程度とすればよい。
皮膜の厚さは、カーボンナノチューブを成長させる触媒能を有する限り制限されないが、通常0.3nm〜1000nm程度、好ましくは2nm〜100nm程度、より好ましくは10nm〜30nm程度である。
本発明の基板は、前記FeCr含有合金(より好ましくはステンレス鋼)を例えば、大気中等の酸素ガス含有雰囲気中(通常は、酸素含有量0.1〜100体積%)で熱処理することにより得られるものが好ましい。熱処理温度は、150〜1100℃程度、好ましくは250〜1000℃程度である。この熱処理により形成されるCr−Fe−O系皮膜により、より確実に1本ごとに独立したカーボンナノチューブを成長させることができる。
また、基板表面に突起物等の凹凸を有してもよい。突起物を有する場合、当該突起部の直径は、通常は0.1nm〜100nm程度とすればよい。高さは通常は1nm〜150nm程度とすればよい。皮膜表面に突起部等を有することにより、この突起部から1本ごとに独立したカーボンナノチューブを成長させることができる。
本発明の製造方法は、上述した基板から上方に向かってカーボンナノチューブを成長させることができる限り、特に制限されない。例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的気相成長法(PVD法)のほか、化学的気相成長法(CVD法)等を用いることができる。本発明では、特にCVD法が好ましい。
CVD法では、通常、所望の原子を含有する反応ガスを加熱等により化学分解させた後、所望の原子を基板上に積層させる。本発明では、炭素含有ガスを加熱、放電等により化学分解した後、上記基板からカーボンナノチューブを成長させればよい。
炭素含有ガスは、炭素原子を含んでいるものであれば良く、各種の有機化合物を用いることができる。例えば、炭化水素化合物として、メタン、エチレン、アセチレン、ベンゼン、ブタン、イソプロパノールなどが挙げられる。これらの中でも、炭素数1〜4の飽和又は不飽和の直鎖炭化水素が好ましく、メタン及びアセチレンの少なくとも1種が好ましい。
また、炭素含有ガスとともに、キャリアガスとして、ヘリウム、アルゴン、窒素等の不活性ガスのほか、水素などを導入してもよい。
また、炭素含有ガスとともに、キャリアガスとして、ヘリウム、アルゴン、窒素等の不活性ガスのほか、水素などを導入してもよい。
CVD法には、熱CVD法(単にCVD法とも呼ばれる)、プラズマCVD法、光CVD法、レーザーCVD法などが挙げられる。これらの中でも、電圧を印加することにより指向性を有するため、プラズマCVD法が好ましい。
プラズマCVD法は、通常、放電することによって反応装置内の反応ガスからプラズマを発生させることにより行う。
本発明では、プラズマCVD法に用いる電源は限定的でなく、例えば、直流電源であってもよく、交流電源さらには高周波電源であってもよい。
また、プラズマを発生させる方法は特に制限されず、目的に応じて適宜決定される。例えば、二極放電形、熱電子放電形、磁場収束形、ECR放電形、誘導プラズマ形、ヘリコン波形、螺旋アンテナ形などが挙げられる。
これらの中でも、二極放電形が好ましい。例えば、炭素含有ガスの存在下において、前記基板とそれに対向する電極との間に電圧を印加することによって前記炭素含有ガスをプラズマ状態にさせる方法を好適に採用することができる。
以下、好ましい実施の形態として、二極放電形を採用する場合の条件について説明する。
基板の温度は特に限定されないが、通常は300〜700℃程度であり、好ましくは400〜600℃程度である。
前記基板と対向する電極材料は特に制限されず、例えば、Cu,Ptなどが挙げられる。基板と電極との距離も特に制限されず、通常は10〜40mm程度である。
真空度も特に制限されず、通常は10〜2000Pa程度、好ましくは100〜1500Pa程度である。
電圧についても、基板温度、電極材料等に応じて適宜決定されるが、通常は、正電圧0.1〜2kV程度(好ましくは0.5〜1.5kV程度)を印加すればよい。
2.カーボンナノチューブ
本発明の製造方法によって得られるカーボンナノチューブは、上記基板上から上方に向かって製造される。よって、本発明のカーボンナノチューブは1本ごとが実質的に独立しており、束状に形成されていない。
本発明の製造方法によって得られるカーボンナノチューブは、上記基板上から上方に向かって製造される。よって、本発明のカーボンナノチューブは1本ごとが実質的に独立しており、束状に形成されていない。
本発明の製造方法によって得られるカーボンナノチューブの構造は、単層であってもよいし、多層であってもよい。
単層カーボンナノチューブの直径は、通常0.1nm〜1μm程度である。長さは、通常10nm〜10μm程度である。
多層カーボンナノチューブの直径は、通常1nm〜100nm程度である。長さは、通常10nm〜10μm程度である。層数は、通常2〜100層程度である。
3.カーボンナノチューブ製造用触媒
本発明のカーボンナノチューブ製造用触媒は、カーボンナノチューブを形成させるための基板であって、表面にCr−Fe−O系皮膜を有するFeCr含有合金であることを特徴とする。
3.カーボンナノチューブ製造用触媒
本発明のカーボンナノチューブ製造用触媒は、カーボンナノチューブを形成させるための基板であって、表面にCr−Fe−O系皮膜を有するFeCr含有合金であることを特徴とする。
基板は、カーボンナノチューブの製造方法で説明したものを用いることができる。
上記基板は、ガラス、石英、シリカ、ポーラスシリカ、アルミナなどからなる基材上に積層されていてもよい。
本発明のカーボンナノチューブ製造用触媒である基板の製造方法について説明する。
本発明の基板の製造方法は特に限定的でないが、例えば、FeCr含有合金を熱処理することにより製造することが好適に挙げられる。特にステンレス鋼を熱処理することにより製造することが好ましい。この熱処理により、ステンレス鋼等のFeCr含有合金の内部に存在するFe元素が、FeCr含有合金表面に被覆されている不動態皮膜(Cr−O系皮膜)等に表出する結果、その表面にCr−Fe−O系皮膜を形成することができる。
熱処理の方法としては、例えば、赤外線ヒーター、セラミックスヒーター等を用いて基板周囲の雰囲気を加熱する方法などが挙げられる。
熱処理時の温度は、通常150〜1100℃程度、好ましくは250〜1000℃程度とすればよい。
熱処理時の雰囲気については、例えば、酸素ガス含有雰囲気中(通常は、酸素含有量0.1〜100体積%)で行うことができ、本発明では特に大気中で行うことが好ましい。
熱処理時間は、熱処理の温度、雰囲気等に応じて適宜決定すればよい。
必要に応じて、基板表面に突起物等の凹凸を施してもよい。その加工方法は公知の方法によって施すことができ、例えば、機械的方法、物理的方法、化学的方法等による加工、研磨などが挙げられる。機械的方法としては、例えば、ダイヤモンド針、ダイヤモンド粉末等による切削、研磨などが挙げられる。物理的方法としては、例えば、イオンビーム加工、電子ビーム加工、レーザー加工等などが挙げられる。化学的方法としては、例えば、化学研磨、電解研磨、電解加工などが挙げられる。
碁盤目状に突起部を形成させる場合は、例えば、突起部が配列する方向と直行する方向に突起部のパターンを形成すればよい。パターンを形成する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、感光樹脂等であるレジスト材料を基板表面に塗布し、フォトマスクを重ねて、リソグラフィー(露光)及びエッチングを行うことが挙げられる。
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより明確に説明する。ただし、本発明は、実施例の範囲に限定されるものではない。
(実施例1)
FeCr含有合金としてFeCrNi合金(Cr含有量18重量%、Ni含有量8重量%)(SUS304)を用いた。この合金を管状熱処理炉内に設置し、赤外線ヒーターにより300℃の大気雰囲気下で10分間保持することによって、カーボンナノチューブ製造用触媒である基板(縦2cm×横5cm×厚み0.1cm)を作製した。
(実施例1)
FeCr含有合金としてFeCrNi合金(Cr含有量18重量%、Ni含有量8重量%)(SUS304)を用いた。この合金を管状熱処理炉内に設置し、赤外線ヒーターにより300℃の大気雰囲気下で10分間保持することによって、カーボンナノチューブ製造用触媒である基板(縦2cm×横5cm×厚み0.1cm)を作製した。
この基板表面の厚み方向の組成を、オージェ電子分光法により分析した。この分析結果を図1に示す。図1から分かるように、基板表面に、Fe含有量が10〜30at%程度であるCr−Fe−O系皮膜が、約30nmの厚さで形成されていた。
次いで、対向する基板との距離が20mmとなるように、電極(Cu板)を設置して、図2に示すように、反応装置(ULVAC社製)を設けた。反応装置(チャンバ)内を加熱することにより基板の温度を500℃とした。炭素含有ガスとしてメタンガスを流量50sccmの流速で反応装置内に流し込み、反応装置内の真空度が1000Paとなるようにした。その後、正電圧が+1.21kVで2μs間、負電圧が−0.85kVで1μs間、5kHzの周期で10分間印加した。これにより、炭素をプラズマ状にして、基板表面から上方に向かって多層カーボンナノチューブを形成し、成長させた。
得られたカーボンナノチューブの形成状態を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。この観察した結果を図3に示す。図3から明らかなように、基板に対して垂直方向に1本ごとが独立に立設しており、束の発生が認められなかった。
得られたカーボンナノチューブの直径は平均10nm〜150nm程度、長さは平均1μm〜5μm程度、層数は10〜15層程度であった。
(比較例1)
熱処理を施さないFeCrNi合金表面(SUS304)を比較例1の基板(縦2cm×横5cm×厚み0.1cm)とした。この基板の厚み方向の組成をオージェ電子分光法により分析した。この分析結果を図4に示す。図4から分かるように、合金表面には、Cr−O皮膜が形成されており、Cr−Fe−O皮膜は形成されていなかった。
(比較例1)
熱処理を施さないFeCrNi合金表面(SUS304)を比較例1の基板(縦2cm×横5cm×厚み0.1cm)とした。この基板の厚み方向の組成をオージェ電子分光法により分析した。この分析結果を図4に示す。図4から分かるように、合金表面には、Cr−O皮膜が形成されており、Cr−Fe−O皮膜は形成されていなかった。
この熱処理を施さなかった合金を基板として用いた以外は実施例1と同様にカーボンナノチューブの形成の実験を行った。実験後の基板を走査型電子顕微鏡で観察した結果を図5に示す。図5から明らかなように、カーボンナノチューブは形成しなかった。
Claims (10)
- 表面にCr−Fe−O系皮膜を有するFeCr含有合金を基板として用い、前記基板から上方に向かってカーボンナノチューブを成長させる工程を含むカーボンナノチューブの製造方法。
- 前記FeCr含有合金がステンレス鋼である、請求項1記載の製造方法。
- 前記基板が、FeCr含有合金を酸素ガス含有雰囲気中150〜1100℃で熱処理することにより得られる、請求項1又は2に記載の製造方法。
- 前記皮膜がFeを3〜50at%含む、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
- 前記工程が、炭素含有ガスの存在下において、前記基板とそれに対向する電極との間に電圧を印加することによって前記炭素含有ガスからプラズマを発生させることにより行われる、請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
- カーボンナノチューブを形成させるための基板であって、前記基板が表面にCr−Fe−O系皮膜を有するFeCr含有合金であることを特徴とする、カーボンナノチューブ製造用触媒。
- 前記FeCr含有合金がステンレス鋼である、請求項6記載のカーボンナノチューブ製造用触媒。
- 前記基板が、FeCr含有合金を酸素ガス含有雰囲気中150〜1100℃で熱処理することにより得られる、請求項6又は7に記載のカーボンナノチューブ製造用触媒。
- 前記皮膜がFeを3〜50at%含む、請求項6〜8のいずれかに記載のカーボンナノチューブ製造用触媒。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法により得られるカーボンナノチューブ。
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