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JP2006321932A - 担体ポリマー粒子およびその製造方法 - Google Patents

担体ポリマー粒子およびその製造方法 Download PDF

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JP2006321932A JP2005147824A JP2005147824A JP2006321932A JP 2006321932 A JP2006321932 A JP 2006321932A JP 2005147824 A JP2005147824 A JP 2005147824A JP 2005147824 A JP2005147824 A JP 2005147824A JP 2006321932 A JP2006321932 A JP 2006321932A
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organic polymer
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昌之 高橋
Kiyoshi Kasai
澄 笠井
Toshihiro Ogawa
俊博 小川
Koji Tamori
功二 田守
Kinji Yamada
欣司 山田
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Abstract

【課題】非特異吸着が少ない担体ポリマー粒子およびその製造方法を提供する。
【解決手段】担体ポリマー粒子は、粒径が0.1〜15μmの有機ポリマー粒子と、前記有機ポリマー粒子の表面を被覆する糖類と、を含み、前記有機ポリマー粒子および前記糖類が化学結合している。前記糖類は多糖類である。前記糖類はカルボキシメチル化されている。前記化学結合は、アミド結合およびエステル結合の少なくとも一方を含む。前記有機ポリマー粒子は、第一の官能基を有し、前記糖類は、第二の官能基を有し、前記第一の官能基と前記第二の官能基とを反応させることにより、前記有機ポリマー粒子と前記糖類とを結合させる。
【選択図】なし

Description

本発明は、有機ポリマー粒子の表面が糖類で被覆されている担体ポリマー粒子およびその製造方法に関する。
近年、創薬などの分野で、分子間相互作用を利用して、ある特定の分子に特異的な相互作用を有する分子を探索する試みが盛んに行われている。具体的には、相互作用を有する片方の分子を担体に固定し、特異的相互作用を利用してもう片方の分子(ターゲット分子)を捕捉、精製することが広く行われている。
例えば、アフィニティー樹脂を用いた免疫抑制剤FK506の細胞内結合タンパク質FKBP12の発見(非特許文献1)などが知られている。このようなアフィニティー樹脂としては、アガロースなどの多孔質ゲルが一般的に用いられている。しかしながら、多孔質ゲルを用いる場合、ターゲット分子以外の分子がアフィニティー樹脂に吸着する、いわゆる、非特異吸着と呼ばれる現象が生じ、ターゲット分子の分離、精製が困難であるという問題が生じる。
かかる非特異吸着の解決策として、表面がグリシジルメタクリレートで覆われたスチレン−グリシジルメタクリレート重合体にスペーサを介して生理活性物質を結合したミクロスフィア(特許文献―1,2)、粒子表面に親水性のスペーサを導入した粒子(特許文献―3,4)などが提案されている。しかしながら、これらはいずれも非特異吸着の低減効果が充分ではなく、さらに非特異吸着の少ない担体用粒子が求められている。
一方、化学結合法で感作させる生理活性物質担体ポリマー粒子として、主にカルボキシル基変性ポリスチレン粒子が広く使用されている。しかしながら、このポリスチレン系の粒子は一般に、試験検体中に存在する目的としない他の生理活性物質等の吸着(非特異吸着)が大きく、これにより感作粒子の性能が阻害されるため、粒子を使用する上での大きな障害になっている。これに対して、粒子表面に目的の生理活性物質を感作させた後、残りの粒子表面をウシ血清アルブミン(BSA)等の害の少ないタンパクを先に吸着させるブロッキングの手法が用いられているが、非特異吸着を充分に防止することは困難である。また、ポリスチレン粒子にスチレンスルホン酸塩もしくは一般式(CHCHO)または(CHCHCHO)で表されるポリアルキレンオキシド側鎖を有するアクリルエステルを共重合させたり、あるいは粒子の乳化重合後にアルカリ性水溶液中で加熱処理して粒子に結合した過硫酸塩系開始剤の断片を加水分解させたりすることにより、生理活性物質担体粒子としての性能を向上させることが知られているが、非特異吸着を充分に防止するには至っていない。
特許第3086427号公報 特許第3292721号公報 WO 2004/025297 A1号公報 WO 2004/040305 A1号公報
本発明の目的は、タンパク質などの生理活性物質の非特異吸着が極めて少ない担体ポリマー粒子およびその製造方法を提供することである。
本発明の担体ポリマー粒子は、
粒径が0.1〜15μmの有機ポリマー粒子と、
前記有機ポリマー粒子の表面を被覆する糖類と、
を含み、
前記有機ポリマー粒子および前記糖類が化学結合している。
ここで、上記本発明の担体ポリマー粒子において、前記糖類が多糖類であることができる。
ここで、上記本発明の担体ポリマー粒子において、前記糖類はカルボキシメチル化されていることができる。
ここで、上記本発明の担体ポリマー粒子において、前記化学結合は、アミド結合およびエステル結合の少なくとも一方を含む結合基によることができる。
本発明の担体ポリマー粒子の製造方法は、
粒径が0.1〜15μmの有機ポリマー粒子および前記糖類を化学結合させることにより、前記有機ポリマー粒子の表面を前記糖類で被覆する工程を含む。
ここで、上記本発明の担体ポリマー粒子の製造方法において、前記化学結合させる際、前記有機ポリマー粒子は、第1の官能基を有し、前記糖類は、第2の官能基を有し、前記第1の官能基と前記第2の官能基とを反応させることにより、前記有機ポリマー粒子と前記糖類とを結合させることができる。
ここで、上記本発明の担体ポリマー粒子の製造方法において、前記第1の官能基は、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、およびトシル基から選ばれる少なくとも1種以上の官能基であることができる。
本発明の担体ポリマー粒子によれば、粒径が0.1〜15μmの有機ポリマー粒子と、前記有機ポリマー粒子の表面を被覆する糖類と、を含み、前記有機ポリマー粒子および前記糖類が化学結合していることにより、非特異吸着が少ないという特徴を有する。これにより、目的とする分子の分離および精製を容易に行なうことができる。
以下、本発明の担体ポリマー粒子およびその製造方法について、詳細に説明する。
1.担体ポリマー粒子
本発明の担体ポリマー粒子は、粒径が0.1〜15μmの有機ポリマー粒子と、有機ポリマー粒子の表面を被覆する糖類と、を含む。また、本発明の担体ポリマー粒子においては、有機ポリマー粒子および糖類が化学結合している。限定されないが、化学結合は、アミド結合およびエステル結合の少なくとも一方を含む結合基によるものが好ましい。
本発明の担体ポリマー粒子はそのままで使用することも可能であるが、化合物との反応を効率的に行なうために、分散媒に分散させた分散液として使用することも可能である。かかる分散媒としては、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、t−ブチルアルコールなどのアルコール類、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどのエチレングリコール誘導体、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのプロピレングリコール誘導体、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、乳酸エチル、γ―ブチルラクトンなどのエステル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド類、ジメチルスルホキシド、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素などが挙げられる。
本発明の担体ポリマー粒子の粒径は、好ましくは0.1〜17μmであり、より好ましくは1〜10μmである。ここで、粒径が0.1μm未満の場合、遠心分離などを用いた分離に長時間を要し、水などの洗浄溶媒と粒子との分離が不十分になるため、目的外の分子(例えば、タンパク質などの生理活性物質)の除去が不十分になり、充分な精製ができない場合がある。一方、粒径が17μmを超えると、表面積が小さくなり、ターゲットとするタンパク質などの生理活性物質の捕捉量が少ない場合がある。
次に、本発明の担体ポリマー粒子の構成要素について詳細に説明する。
1.1.有機ポリマー粒子
本発明で使用する有機ポリマー粒子の平均粒子径は好ましくは0.1〜15μm、さらに好ましくは0.3〜10μm、もっとも好ましくは1〜10μmである。また、本発明で使用する有機ポリマー粒子の変動係数は、通常30%以下、好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下である。
本発明において、有機ポリマー粒子は、本発明の担体ポリマー粒子のベース粒子として使用することができる。有機ポリマー粒子は、化学結合によって結合された糖類で表面を被覆することが容易であるため、ベース粒子として適している。また、有機ポリマー粒子として、磁性体含有有機ポリマー粒子を用いることができる。
上述したように、本発明の担体ポリマー粒子を溶媒に分散させる場合、分散媒に有機ポリマー粒子が溶解したり、あるいは溶媒によって有機ポリマー粒子が膨潤したりすると、タンパク質などの生理活性物質の非特異吸着が増加する。このため、有機ポリマー粒子は、分散媒に溶解しないことが望ましい。ここで、分散媒としては、例えば、水系媒体を用いることができる。ここで、水系媒体とは、水、または水と水に溶解する溶剤(例えば、アルコール類、アルキレングリコール誘導体など)との混合物をいう。
有機ポリマー粒子を構成するポリマーとしては、特に、ビニル系ポリマーが好ましい。ビニル系ポリマーを構成するビニル系モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ハロゲン化スチレン、ジビニルベンゼンなどの芳香族ビニル単量体、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類、アクリロニトリルなどの不飽和ニトリル、メチルアクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレートなどのエチレン性不飽和カルボン酸アルキルエステル、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートなどの多官能性(メタ)アクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレートなどの官能基を有する(メタ)アクリレートなどを例示することができる。このビニル系ポリマーは単独重合体であっても、あるいは上記ビニル系モノマーから選ばれた2種以上のモノマーからなる共重合体であってもよい。また、上記ビニル系モノマーとブタジエン、イソプレンなどの共役ジオレフィン、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、ジアリルフタレート、アリルアクリレート、アリルメタクリレートなどの共重合可能なモノマーとの共重合体も使用することができる。
磁性体含有有機ポリマー粒子は、磁石で集めることが可能な公知の粒子状物質であり、磁性体微粒子を含有する。本発明において使用される有機ポリマー粒子が磁性体含有有機ポリマー粒子である場合、本発明の担体ポリマー粒子は、例えば後述する用途に使用可能な磁性粒子として使用することができる。
磁性体含有有機ポリマー粒子の粒径が0.1μm未満であると、磁力による分離精製に長時間を要することがあり、10μmを超えると表面積が小さくなり、ターゲットとするタンパク質などの生理活性物質の捕捉量が少ない場合がある。
磁性体含有有機ポリマー粒子の内部組成は均質であってもよいが、上記の好ましい粒径範囲にある均質な磁性体粒子は、常磁性である物質が多く、磁力による分離精製を繰り返すと媒質への再分散が困難になる場合がある。このため、磁性体含有有機ポリマー粒子は、残留磁化の少ない磁性体微粒子を含む、不均質な内部組成を有することがより好ましい。このような不均質な内部組成を有する磁性体含有有機ポリマー粒子の内部構造としては、磁性体微粒子をポリマーなどの非磁性体の連続相中に分散した構造、磁性体微粒子の2次凝集体をコアとしてポリマーなどの非磁性体をシェルとする構造、ポリマーなどの非磁性体(非磁性核粒子)をコアとして磁性体微粒子の2次凝集体をシェルとする構造などが挙げられる。ここで、磁性体含有有機ポリマー粒子に含まれるポリマーとしては、例えば、有機ポリマー粒子を構成するものとして列記された上記ポリマーであってもよい。ポリマーなどの非磁性体(非磁性核粒子)をコアとして磁性体微粒子の2次凝集体をシェルとする内部構造の場合、最外層にさらにポリマー層を形成することが好ましい。最外層のポリマーとしては、例えば、ベース粒子に使用する有機ポリマー粒子を構成するものとして列記された上記ポリマーであってもよい。
本発明において、有機ポリマー粒子は、例えば、乳化重合、ソープフリー重合、懸濁重合などの定法を用いて製造が可能である。また、有機ポリマー粒子が磁性体含有有機ポリマー粒子の場合、例えば、非磁性核粒子と磁性体微粒子とを混合し、非磁性核粒子の表面に磁性体微粒子を物理的に吸着させることにより製造が可能である。なお、本発明において、「物理的吸着」とは、化学反応を伴わない吸着を意味する。「物理的吸着」の原理としては、例えば、疎水/疎水吸着、溶融結合または吸着、融着結合または吸着、水素結合、ファンデルワールス結合などが挙げられる。
より具体的には、有機ポリマー粒子は、例えば、上記ビニル系モノマーの懸濁重合、あるいはポリマーバルクの粉砕によって得ることができる。例えば、有機ポリマー粒子は、特公昭57−24369号公報記載のシード粒子を用いる二段膨潤重合法、ジャーナル・オブ・ポリマーサイエンス・ポリマーレター・エディション,937頁,第21巻,1963年(J. Polym. Sc i., Polymer Letter Ed. 21,937(1963))記載の重合方法、特開昭61−215602号公報、特開昭61−215603号公報、および特開昭61−215604号公報記載の方法によって作製することができる。
また、磁性体含有有機ポリマー粒子は、上述したように、疎水/疎水吸着を利用する方法によって作製することができる。例えば、非磁性核粒子の表面および磁性体微粒子の表面が疎水性のものあるいは疎水化処理されたものを選択し、これらの非磁性核粒子および磁性体微粒子をドライブレンドするか、あるいは、非磁性核粒子および磁性体微粒子の双方を侵すことなく良分散性の溶剤(例えばトルエン、ヘキサン)中で充分分散させた後、混合条件下で溶剤を揮発させる方法が挙げられる。
あるいは、磁性体含有有機ポリマー粒子を、物理的に強い力を外部から加えることにより、非磁性核粒子および磁性体微粒子の複合化を実現させる方法により作製することもできる。物理的に強い力を負荷する方法としては、例えば、乳鉢、自動乳鉢、ボールミル、ブレード加圧式粉体圧縮法、メカノフュージョン法のようなメカノケミカル効果を利用するもの、あるいはジェットミル、ハイブリダイザーなど高速気流中衝撃法を利用するものが挙げられる。効率よくかつ強固に複合化を実施するには、物理的吸着力が強いことが望ましい。その方法としては、攪拌翼付き容器中で攪拌翼の周速度が好ましくは15m/秒以上、より好ましくは30m/秒以上、さらに好ましくは40〜150m/秒で実施することが挙げられる。撹拌翼の周速度が15m/秒より低いと、非磁性核粒子の表面に磁性体微粒子を吸着させるのに十分なエネルギーを得ることができないことがある。なお、撹拌翼の周速度の上限については、特に制限はないが、使用する装置、エネルギー効率などの点から自ずと決定される。
1.2.糖類
本発明の担体ポリマー粒子に用いられる糖類としては、例えば、フルクトース,アラビノース,キシロース,リボース,デオキシリボースなどのフラノース類、グルコ−ス,マンノース,ガラクトースなどのピラノース類、セプタノース類などの単糖類、トレハロース,ラクトース,コージオース,ニゲロース,マルトース,イソマルトース,ソホロース,ラミナリオース,セロビオース,ゲンチビオースなどの二糖類、デンプン,アミロース,アミロペクチン,デキストリン,グリコーゲン,シクロデキストリン,セルロース,アガロース,アルギン酸,イヌリン,グルコマンナン,キチン,キトサン,ヒアルロン酸などの多糖類を挙げることができる。有機ポリマー粒子と糖類とを化学結合させて、有機ポリマー粒子の表面を覆うためには、被覆効率の点で高分子量の多糖類が好ましい。なお、糖類は、例えばカルボキシメチルセルロースやカルボキシメチルデキストランのように、上述した糖類の分子内の官能基(例えば、水酸基、アミノ基、カルボキシル基など)の少なくとも一部が変換されたものであってもよく、その変換は必要に応じて多段階施されたものであってもよい。より好ましくは、糖類として、例えばカルボキシメチルセルロースやカルボキシメチルデキストランのように、カルボキシメチル化されているものを用いる。
2.担体用ポリマー粒子の製造方法
本発明の担体ポリマー粒子の製造方法は、粒径が0.1〜15μmの有機ポリマー粒子および前記糖類を化学結合させることにより、前記有機ポリマー粒子の表面を糖で被覆する工程を含む。
本発明において、有機ポリマー粒子と糖類とを化学結合させるための手法としては特に制限がなく、公知の化学反応を用いることができる。
図1は、本発明の担体ポリマー粒子の製造方法の一態様を模式的に示す図である。図2は、本発明の担体ポリマー粒子の一態様を模式的に示す図であり、図1に示される工程により作製された本発明のポリマー粒子10を示している。
例えば、図1に示されるように、本発明の担体ポリマー粒子を作製する際に使用する有機ポリマー粒子11は、その表面に複数の官能基(第1の官能基)13を有していてもよい。ここで第1の官能基13とは、有機ポリマー粒子11の粒子形状形成時に導入された官能基でもよいし、あるいはその官能基を粒子形状形成後に変換することによって得られた官能基でもよい。その際、官能基の変換は必要に応じて複数回行なってもよい。限定されないが、例えば有機ポリマー粒子11の粒子形状を形成した際に導入された官能基がエポキシ基である場合、そのエポキシ基に大過剰のアンモニアあるいは適当なジアミン化合物を作用させて生じるアミノ基を第1の官能基とすることができるし、また例えば、有機ポリマー粒子11の粒子形状を形成した際に導入された官能基が水酸基である場合、その水酸基をトシル基に変換した後、そのトシル基に大過剰の適当なジアミン化合物を作用させて生じるアミノ基を第1の官能基13とすることができる。例えば、後述する実施例1〜5でそれぞれ得られる有機ポリマー粒子Am−1〜5においては、第1の官能基13がアミノ基であることができる。
また、本発明の担体ポリマー粒子を作製する際に使用する糖類12は、その1分子中に複数個の官能基(第2の官能基)14を有していてもよく、その官能基は糖類の官能基が変換されたものであってもよい。
第1の官能基13および/または第2の官能基14として使用可能な官能基としては、例えば、カルボキシル基、水酸基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、ビニル基、アリル基、アクリル基、メタクリル基、トシル基、アジド基などが挙げられる。この場合、第1の官能基13および第2の官能基14は互いに対して反応性を有する。限定されないが、例えば、第1の官能基13がエポキシ基である場合、第2の官能基14はアミノ基であることができるし、また例えば、第1の官能基13がアミノ基である場合、第2の官能基14はカルボキシル基であることができる。
図1において、第1の官能基13と第2の官能基14とが反応することにより、有機ポリマー粒子11と糖類12とが化学的に結合することができる(図2参照)。これにより、本発明の担体ポリマー粒子10を得ることができる。
本発明の担体ポリマー粒子は、上述した工程によって作製された後、必要に応じて、pH調整を行ない、次いで、透析・限外ろ過・遠心分離等の精製処理によって表面を洗浄してから、担体粒子として使用できる。
3.用途
本発明の担体ポリマー粒子は、創薬分野での化合物担体用粒子および診断薬用の化学結合担体用粒子として利用できる。
より詳しくは、本発明の担体ポリマー粒子を用いて、解析対象の化学物質(被解析化学物質)を化学結合で固定化し、タンパク物質等との分子間相互作用を用いて当該相互作用を解析および/または測定することによって、被解析化学物質と特異的な相互作用を有するタンパク物質などを選別し、精製することが可能である。
また、本発明の担体ポリマー粒子は、抗体・抗原・酵素・ホルモン等のタンパク質、DNA・RNA等の核酸物質、あるいは生理活性糖鎖化合物(以下、これらを「生理活性物質」という)を粒子表面に化学結合法で感作させる生理活性物質担体ポリマー粒子として利用できる。
なお、本発明の担体ポリマー粒子の用途は、上述した創薬分野での化合物担体用粒子および診断薬用の化学結合担体用粒子に限定されるわけではなく、例えば、生化学分野、塗料、紙、電子写真、化粧品、医薬品、農薬、食品、触媒など広い分野で利用できる。
4.実施例
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって制限されるものではない。なお、本実施例において、「%」および「部」は重量基準である。
4.1.評価方法
4.1.1.非特異吸着性の評価1(タンパク吸着)
4.1.1A.前洗浄工程
実施例または比較例で得られた担体ポリマー粒子の濃度が1wt%になるように純水に希釈分散し、分散液を調製した。次に、この分散液500μlをエッペンドルフチューブに取り、遠心分離機(MX−150,トミー精機(株)製)にて遠心分離し(回転数15,000rpm、15℃、10分間)、上澄みを除去した。次いで、沈降物を含むチューブにPBS(−)緩衝液500μlを注ぎ、タッチミキサーで振動を与えて前記粒子を分散させた。
4.1.1B.蛋白吸着反応工程
引き続きこのチューブに、1wt%BSA(ウシ血清アルブミン)のPBS(−)溶液500μlを注ぎ、さらにタッチミキサーで振動を与えて前記粒子を分散させた後、常温にて2時間回転倒混和させた。
4.1.1C.洗浄工程
引き続きこのチューブを遠心分離した後、上澄みを除去し、10mMのHEPES1mlを注いでタッチミキサーで振動を与えて前記粒子を分散させた。同様の処理をさらに2回繰り返した後、内容物を別の未使用のエッペンドルフチューブに移し、遠心分離を行なった後、上澄みを除去した。
4.1.1D.剥離工程
引き続きこのチューブに0.5%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)水溶液50μlを注いでタッチミキサーでごく軽く振動を与えて前記粒子を分散させた。10分間放置した後、遠心分離を行ない、上澄みの20μlを採取した。
4.1.1E.サンプリング工程
バイオラッド社製プレミックスサンプルバッファー中での濃度が2wt%になるように2−メルカプトエタノールを溶解させ(以下、これを「サンプルバッファー」とする)、このうち20μlをエッペンドルフチューブに採取した。これに上記剥離工程で採取した上澄み20μlを混ぜ、チューブヒーターにて100℃で5分間加熱した。
一方、コントロールとして、1wt%のBSAのPBS(−)溶液を2%SDS溶液で5,000倍、10,000倍、20,000倍に希釈したものを20μl取り、サンプルバッファー20μlと混ぜ、チューブヒーターにて100℃で5分間加熱した。これらを参照用希釈BSAと呼ぶ。
4.1.1F.電気泳動(SDS−PAGE)
バイオラッド社製縦型電気泳動システム「ミニプロティアン3」、バイオラッド社製プレキャストポリアクリルアミドゲル「レディーゲルJ(15%)」、およびバイオラッド社製プレミックス泳動バッファーを用いて、ゲル1レーンあたり20μlをアプライし、電気泳動を行った。染色はバイオラッド社製シルバーステインプラスキットを用いて標準的な手法で行った。染色されたゲルはバイオラッド社製デンシトメーター「GS−700」でスキャンして画像化し、解析ソフトウェア「Multi−Analyst」を用いて、ゲルにおけるBSAのバンドの濃度と面積との積を定量した。
参照用希釈BSAにおいて、ゲル1レーンあたりに流れるBSAの重量が既知であるため、バンド濃度と面積との積から検量線を引き、この検量線に基づいて、前記粒子から剥離したBSAの重量を重量単位で換算した。なお、この重量は、粒子1mgあたりに吸着していたBSAの重量に相当する。
4.1.2.粒径
直径1μm以上の粒子については、レーザ回折式粒度分布測定装置((株)島津製作所製)SALD−200Vにより、直径1μm未満の粒子についてはレーザ散乱回折法粒度分布測定装置(型名:LS 13 320,(株)ベックマン・コールター製)により粒径を測定した。
4.1.3.赤外吸収スペクトル
フーリエ変換赤外分光光度計(日本電子株式会社製JIR−5500)を用い、KBr法により赤外吸収スペクトルを測定した。
4.2.合成例
4.2.1.合成例1(有機ポリマー粒子A−1の合成)
有機ポリマー粒子A−1は、シード粒子を用いる二段膨潤重合法で作製した。
シード粒子として、ソープフリー重合で重合した粒子径0.98μmのポリスチレン粒子を用い、このポリスチレン粒子を水500gに窒素雰囲気下で分散させて水分散体(固形分量5.0g)を調製し、これに二段膨潤重合法(特公昭57−24369号公報記載の方法に準拠)でシード粒子に、一段目として有機溶剤(シェルゾールTK0.1g)、二段目としてモノマー(MMA(メタクリル酸メチル)70g、TMP(トリメチロールプロパントリメタクリレート)10g、およびGMA(グリシジルメタクリレート)20g)を加えて吸収させた後、AIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を2g添加して75℃で24時間ゆっくり撹拌した。次に、この反応液を冷却した後、500メッシュ金網でろ過したところ、99%が通過し、良好な重合安定性であった。重合収率は99%であった。得られた有機ポリマー粒子A−1の粒子径は2.71μmであり、粒子径の変動係数は2%で、単分散粒子であった。
4.2.2.合成例2(有機ポリマー粒子A−2の合成)
モノマーとしてMMA50g、TMP10g、およびGMA40gを使用した以外は、上記合成例1と同様の方法を用いることにより、粒子径が2.64μmであり、変動係数が2%の有機ポリマー粒子A−2を得た。
4.2.3.合成例3(有機ポリマー粒子A−3の合成)
モノマーとしてMMA30g、TMP10g、およびGMA60gを使用した以外は、上記合成例1と同様の方法を用いることにより、粒子径が2.61μmであり、変動係数が2.1%の有機ポリマー粒子A−3を得た。
4.2.4.合成例4(有機ポリマー粒子A−4の合成)
シード粒子として粒径2.6μmのポリスチレン粒子を使用した以外は、上記合成例3と同様の方法を用いることにより、粒子径が7.05μmであり、変動係数が2.3%の有機ポリマー粒子A−4を得た。
4.2.5.合成例5(有機ポリマー粒子A−5の合成)
モノマーとしてTMP10gおよびGMA90gを使用した以外は、上記合成例1と同様の方法を用いることにより、粒子径が2.58μmであり、変動係数が2.3%の有機ポリマー粒子A−5を得た。
4.2.6.合成例6(糖類CMC−1の合成)
日本製紙ケミカル株式会社製カルボキシメチルセルロースナトリウム塩APP−84(平均分子量17,000でグルコース単位1個当たり平均0.7個のカルボキシル基を含有)の水溶液に液のpHが2以下になるまで希塩酸を加え、この液を透析した後、凍結乾燥することによりカルボキシメチルセルロースCMC−1を得た。
4.2.7.合成例7(糖類CMD−1の合成)
ファルマシア AB(Pharmacia AB)社製デキストランT500(平均分子量500,000)の10wt%水溶液2.5gに水酸化ナトリウム0.72gおよびブロモ酢酸1.04gを加え、均一になるまで数分間攪拌した。次に、この溶液を40℃に60時間保持した後、氷冷し、次いで、液のpHが2以下になるまで希塩酸を加え、この液を透析した後、凍結乾燥することにより、カルボキシメチルデキストランCMD−1を得た。滴定により、CMD−1に含まれるカルボン酸を定量したところ、CMD−1は、グルコース単位1個当たり平均0.4個のカルボン酸基を含有していた。
4.3.実施例1
有機ポリマー粒子A−1の分散液から遠心分離により単離した重合体粒子をアセトンに分散させ、遠心分離して洗浄する操作を3回繰り返した後、乾燥させた。次に、この粒子0.50gを100mlフラスコに入れ、エチレンジアミン25gを加えた後、間接超音波を10分間照射して分散させてから、窒素雰囲気下で50℃にて6時間加熱攪拌し、その後、遠心分離により前記粒子を単離した。次いで、この粒子をメタノールで2回、水/メタノール混合物(3/1、容積比)で3回洗浄した後、乾燥させることにより、有機ポリマー粒子Am−1を白色粉末として0.54g得た。
この有機ポリマー粒子Am−1は、有機ポリマー粒子A−1と比較して重量が増加した。さらに、エチレンジアミン処理前の赤外吸収スペクトル(有機ポリマー粒子A−1の赤外吸収スペクトル)と比較して、この有機ポリマー粒子Am−1(エチレンジアミン処理後)の赤外吸収スペクトルにおいては、有機ポリマー粒子A−1の赤外吸収スペクトルにおいて900cm−1付近に観測されたエポキシ基に由来するピークが消失し、かつ、1級アミンに典型的なピークが3300cm−1付近および3500cm−1付近に新たに観測された。以上の結果から、有機ポリマー粒子Am−1は、有機ポリマー粒子A−1にアミノ基が導入されたものであることが確認された。すなわち、有機ポリマー粒子Am−1では、第1の官能基13がアミノ基である。
次に、上記合成例1で得たCMC−1の30mgを純水1.2gに溶解し、ここに有機ポリマー粒子Am−1を30.6mg加え、間接超音波を30分間照射して分散させた。次いで、この分散液を氷冷し、塩酸1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドの10wt%水溶液0.30gを加え、氷冷下で12時間攪拌した。続いて、遠心分離により粒子を単離し、純水に分散させ遠心分離して洗浄する操作を10回繰り返した後、乾燥させることにより、33.6mgの担体ポリマー粒子P−1を得た。
担体ポリマー粒子P−1の赤外吸収スペクトルにおいては、反応前の有機ポリマー粒子Am−1に由来するピークに加えて、新たにカルボキシメチルセルロースに由来する3400cm−1付近および1600cm−1付近のピークなどが観測された。以上の結果から、担体ポリマー粒子P−1においては、有機ポリマー粒子Am−1に糖類(カルボキシメチルセルロース)が結合していることが確認された。
担体ポリマー粒子P−1について、タンパク質の非特異吸着性を上記評価方法にしたがって測定した結果、0.08ng/mgと非常に低い値であった。
4.4.実施例2
有機ポリマー粒子A−2の分散液を用いた以外は、上記実施例1と同様の操作を行なうことにより、0.57gの有機ポリマー粒子Am−2を得た。次いで、有機ポリマー粒子Am−2(29.6mg)およびCMC−1(30mg)を用いた以外は、上記実施例1と同様の操作を行なうことにより、カルボキシメチルセルロース結合粒子(担体ポリマー粒子)P−2を34.0mg得た。
担体ポリマー粒子P−2について、タンパク質の非特異吸着性を上記評価方法にしたがって測定した結果、0.05ng/mgと非常に低い値であった。
4.5.実施例3
有機ポリマー粒子A−3の分散液を用いた以外は、上記実施例1と同様の操作を行なうことにより、0.61gの有機ポリマー粒子Am−3を得た。次いで、有機ポリマー粒子Am−3(29.9mg)およびCMC−1(30mg)を用いた以外は、上記実施例1と同様の操作を行なうことにより、カルボキシメチルセルロース結合粒子(担体ポリマー粒子)P−3を36.2mg得た。
担体ポリマー粒子P−3について、タンパク質の非特異吸着性を上記評価方法にしたがって測定した結果、0.02ng/mgと非常に低い値であった。
4.6.実施例4
上記合成例7で得られたCMD−1の150mgを純水6gに溶解し、ここに上記実施例1で得られた有機ポリマー粒子Am−1を150.5mg加え、間接超音波を30分間照射して分散させた。次に、この分散液を氷冷し、塩酸1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドの5wt%水溶液1.40gを加え、氷冷下で12時間攪拌した。次いで、遠心分離により前記粒子を単離し、純水に分散させ遠心分離して洗浄する操作を10回繰り返した後、乾燥させることにより、156.2mgの担体ポリマー粒子P−4を得た。
担体ポリマー粒子P−4の赤外吸収スペクトルにおいては、反応前の有機ポリマー粒子Am−1に由来するピークに加えて、新たにカルボキシメチルデキストランに由来する3400cm−1付近および1600cm−1付近のピークなどが観測された。以上の結果から、担体ポリマー粒子P−4においては、有機ポリマー粒子Am−1に糖類(カルボキシメチルデキストラン)が結合していることが確認された。
担体ポリマー粒子P−4について、タンパク質の非特異吸着性を上記評価方法にしたがって測定した結果、0.07ng/mg粒子と非常に低い値であった。
4.7.実施例5
有機ポリマー粒子A−4の分散液を用いた以外は上記実施例1と同様の操作を行なうことにより、0.62gの有機ポリマー粒子Am−4を得た。この有機ポリマー粒子Am−4(29.9mg)およびCMC−1(30mg)を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行なうことにより、カルボキシメチルセルロース結合粒子(担体ポリマー粒子)P−5を36.1mg得た。
担体ポリマー粒子P−5について、タンパク質の非特異吸着性を上記評価方法にしたがって測定した結果、0.05ng/mg粒子と非常に低い値であった。
4.8.実施例6
有機ポリマー粒子A−5の分散液から遠心分離により単離した重合体粒子を、アセトンに分散させ遠心分離して洗浄する操作を3回繰り返した後、乾燥させた。
次に、この粒子0.50gを100mlフラスコに入れ、ジメチルスルホキシド46.5gを加え、間接超音波を10分間照射して分散させてから10wt%エチレンジアミン溶液(溶媒:ジメチルスルホキシド)3.5gを加えた後、窒素雰囲気下で50℃にて4時間加熱攪拌し、その後、遠心分離により粒子を単離した。この粒子をメタノールで2回、水/メタノール混合物(3/1、容積比)で3回洗浄した後、乾燥させることにより、0.55gの白色粉末として有機ポリマー粒子Am−5を得た。
この有機ポリマー粒子Am−5は、有機ポリマー粒子A−5と比較して重量が増加した。さらに、エチレンジアミン処理前の赤外吸収スペクトル(有機ポリマー粒子A−5の赤外吸収スペクトル)と比較して、この有機ポリマー粒子Am−5(エチレンジアミン処理後)の赤外吸収スペクトルにおいては、有機ポリマー粒子A−5の赤外吸収スペクトルにおいて900cm−1付近に観測されたエポキシ基に由来するピークの強度が弱まり、かつ、1級アミンに典型的なピークが3300cm−1付近に、水酸基に由来するピークが3500cm−1付近にそれぞれ新たに観測された。以上の結果から、有機ポリマー粒子Am−5は、有機ポリマー粒子A−5にアミノ基が導入されて得られたものであることが確認された。また、エチレンジアミン処理前後におけるエポキシ基に由来するピーク強度変化から、有機ポリマー粒子A−5に存在するエポキシ基の反応率は約30%と推定された。
次いで、ここで得られた有機ポリマー粒子Am−5の100mgを、1wt%硫酸15gおよびアセトン1.5gの混合液に加え、間接超音波を10分間照射して分散させてから、50℃で9時間加熱攪拌し、その後、遠心分離により前記粒子を単離した。
この粒子を水で3回、0.01規定水酸化ナトリウム水溶液で1回、水で5回洗浄した後、乾燥させることにより、102mgの粒子を得た。
次いで、ここで得られた粒子の赤外吸収スペクトル(硫酸処理後に得られた粒子の赤外吸収スペクトル)においては、反応前の有機ポリマー粒子Am−5の赤外吸収スペクトルと比較して、硫酸処理前の有機ポリマー粒子Am−5の赤外吸収スペクトルで900cm−1付近に観測されたエポキシ基に由来するピークの強度が消失し、かつ、水酸基に由来する3500cm−1付近のピークが強まった。この結果から、有機ポリマー粒子Am−5中のエポキシ基が加水分解されたことが確認された。
次いで、ここで得られた粒子30.3mgを用いた以外は実施例1と同様の操作を行なうことにより、カルボキシメチルセルロース結合粒子(担体ポリマー粒子)P−6を33.1mg得た。
担体ポリマー粒子P−6について、タンパク質の非特異吸着性を上記評価方法にしたがって測定した結果、検出限界以下(0.01ng/mg粒子以下)であった。
4.9.実施例7
日本製紙ケミカル株式会社製カルボキシメチルセルロースナトリウム塩APP−84を水溶液にして透析した後、凍結乾燥することにより精製した。この精製APP−84(33mg)および有機ポリマー粒子Am−2(29.8mg)を用いた以外は、上記実施例1と同様の反応操作を行なった。続いて、遠心分離により粒子を単離し、純水に分散させ遠心分離して洗浄する操作を5回、0.01規定塩酸に分散させ遠心分離しイオン交換する操作を3回、さらに純水に分散させて遠心分離して洗浄する操作を5回繰り返した後乾燥させることにより、カルボキシメチルセルロース結合粒子(担体ポリマー粒子)P−7を33.7mg得た。
担体ポリマー粒子P−7について、タンパク質の非特異吸着性を上記評価方法にしたがって測定した結果、0.05ng/mgと非常に低い値であった。
4.10.比較例1
有機ポリマー粒子A−1へのタンパク質の非特異吸着性を上記方法にしたがって測定した結果、1.3ng/mgと高い値であった。
4.11.比較例2
市販の標準ポリスチレン粒子(STADEX SC200S、JSR株式会社製)を純水で充分洗浄してから、非特異吸着性を上記方法にしたがって測定した結果、20ng/mgと極めて高い値であった。
4.12.比較例3
CMC−1の代わりに両末端カルボン酸変性ポリエチレングリコール(エチレンオキサイド単位の平均繰返し数10)を用いた以外は、上記実施例1と同様の操作を行なうことにより、ポリエチレングリコールで表面が被覆された粒子P−7を得た。P−7の非特異吸着性を上記方法にしたがって測定した結果、0.3ng/mgであった。
本発明の担体ポリマー粒子の製造方法の一態様を模式的に示す図である。 本発明の担体ポリマー粒子の一態様を模式的に示す図である。
符号の説明
11,110・・・有機ポリマー粒子
12・・・糖類
13・・・第1の官能基
14・・・第2の官能基

Claims (7)

  1. 粒径が0.1〜15μmの有機ポリマー粒子と、
    前記有機ポリマー粒子の表面を被覆する糖類と、
    を含み、
    前記有機ポリマー粒子および前記糖類が化学結合している、担体ポリマー粒子。
  2. 請求項1において、
    前記糖類は多糖類である、担体ポリマー粒子。
  3. 請求項1または2において、
    前記糖類はカルボキシメチル化されている、担体ポリマー粒子。
  4. 請求項1ないし3のいずれかにおいて、
    前記化学結合は、アミド結合およびエステル結合の少なくとも一方を含む結合基による、担体ポリマー粒子。
  5. 粒径が0.1〜15μmの有機ポリマー粒子および前記糖類を化学結合させることにより、前記有機ポリマー粒子の表面を前記糖類で被覆する工程を含む、担体ポリマー粒子の製造方法。
  6. 請求項5において、
    前記化学結合させる際、
    前記有機ポリマー粒子は、第1の官能基を有し、
    前記糖類は、第2の官能基を有し、
    前記第1の官能基と前記第2の官能基とを反応させることにより、前記有機ポリマー粒子と前記糖類とを結合させる、担体ポリマー粒子の製造方法。
  7. 請求項5または6において、
    前記第1の官能基は、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、およびトシル基から選ばれる少なくとも1種以上の官能基である、担体ポリマー粒子の製造方法。
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