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JP2006320246A - 茶抽出物 - Google Patents

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JP2006320246A JP2005146131A JP2005146131A JP2006320246A JP 2006320246 A JP2006320246 A JP 2006320246A JP 2005146131 A JP2005146131 A JP 2005146131A JP 2005146131 A JP2005146131 A JP 2005146131A JP 2006320246 A JP2006320246 A JP 2006320246A
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tea
tea extract
extract
beverage
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JP2005146131A
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English (en)
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Tomoyoshi Yamaguchi
智佳 山口
Hiroshi Hojo
寛 北條
Takeyuki Suzuki
壯幸 鈴木
Kensuke Yagi
健介 八木
Fumio Nanjo
文雄 南条
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Mitsui Norin Co Ltd
Original Assignee
Mitsui Norin Co Ltd
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Abstract

【課題】 茶飲料製造時に添加することで、特別な製造工程や新規な製造設備を必要とせず、工程が煩雑になること無く簡便にフロック抑制効果を示し、かつに良好な風味と外観の色調安定性を供す茶抽出物を提供すること。
【解決手段】本発明のアルミニウムとストリクチニンの関係をしかるべき値にコントロールした茶抽出物は、茶飲料製造時に添加した際に、保存時のフロック生成を抑制でき、かつ良好な風味と外観の色調安定性を供することが可能である。
【選択図】なし

Description

本発明は、フロック抑制効果を有し、茶飲料に添加した際に外観の色調安定性を供し、かつ良好な風味を示す茶抽出物に関する。
お茶に含まれる苦渋味成分である茶カテキンは抗う触作用、血圧上昇抑制作用、体脂肪抑制作用等の生理機能を有することが明らかにされ、注目を集めている。飲料を摂取する時にこうした茶カテキンの生理効果をより享受するために、茶抽出物を添加して、高濃度の茶カテキンを含有させた飲料を製造する方法なども報告されている(特許文献1参照)。茶抽出物にはカフェインの少ないタイプや、カテキンを高濃度に含むタイプなど、様々なバリエーションが市販されており、手軽に飲料の成分をコントロールできる点で飲料の製造に欠かせない存在となってきている。
一方、茶飲料を長期間保存すると、次第にフロック(綿状浮遊物及び/又は沈殿物)が観察されるようになる。フロックは、時間の経過と共に、徐々にその大きさと量が増し、好ましくない濁りを有する外観を与えるだけでなく、このフロック発生現象はその形状や大きさから微生物による汚染と誤認されやすい等、茶飲料の好ましくない経時的変化として扱われている場合が多い。このフロックの発生は茶飲料全般にみられるが、緑茶において特に起こりやすい現象である。このフロックの本体は分子量が2万以上の水溶性多糖成分であるとの報告(非特許文献1参照)や、茶成分の一つであるストリクチニンが加熱によってエラグ酸に分解され、このエラグ酸がタンパク質等と結合することによって形成されるとの報告(特許文献2参照)がある。
茶飲料のフロック発生を抑制、或いは防止する方法としては例えば、フロック発生の原因物質と考えられている高分子多糖を酵素処理により分解する方法、原因物質や沈殿を限外濾過やケイ藻土濾過によって物理的に取り除く方法、フロック発生を抑制する成分を添加する方法、またはフロック発生の原因となる成分の含有量が少ない原料を使用する方法などの従来技術が開示されている。
これら従来技術の具体例を挙げれば、緑茶の温水抽出液を通常の遠心分離または濾過により清澄化処理した液にアスコルビン酸またはその塩を添加し、ヘミセルラーゼ活性を有する酵素で処理し、必要により加熱殺菌処理する緑茶飲料の製造方法(特許文献3参照)、緑茶又は生鮮乃至乾燥茶葉を抽出して得た水溶性茶成分を限外濾過法により分画し、分子量約1万以上の高分子成分をほぼ除去することによる清澄緑茶飲料の製造方法(特許文献4参照)、フコイダン含有物を茶飲料および茶抽出液に添加することにより、茶飲料保存時に発生する綿状沈殿物(フロック)の発生を防止する方法(特許文献5参照)、容器詰緑茶飲料中のアルミニウムイオンと水不溶性固形分の量を調整する方法(特許文献6参照)、容器詰緑茶飲料中の非エピ体カテキン類とエピ体カテキン類の比率、並びにアルミニウムイオンと珪素イオンの含有量を調整する方法(特許文献7参照)、茶飲料製造時のストリクチニン含有量を調整することにより製造後に発生するフロックを未然に防止する方法(特許文献2参照)などが提案されている。
特開2002−272373号公報 特開2003−235452号公報 特開平8−228684号公報 特開平4−45744号公報 特開2000−116327号公報 特開2004−180574号公報 特開2004−159665号公報 竹尾忠一、ソフトドリンクス技術資料、1号、1993年、P85
茶飲料におけるフロックの発生を抑制する方法に関しては、上記のような様々な方法が開示されている。しかし、これらの方法は、少なくとも次のような欠点を有する。例えば、限外濾過処理など、特別な製造工程を設ける方法では、新規な製造設備が必要となるのに加え、工程が煩雑になる。また、酵素処理による方法では、酵素反応に時間がかかり、カテキンなどの酸化による着色など、外観の色調安定性に大きな障害を与える。
さらに、濾過処理等によって特定の内容成分を除去する方法、酵素処理によって内容成分を変化させる方法、フコイダン含有物を添加する方法では、茶浸出液が本来有している成分のバランスを乱すことになるため、風味への影響が避けられない。特に、高分子多糖類はフロックや変色の原因となる可能性がある一方で、茶飲料のボディー感を構成し、重厚な風味を形成する重要な働きを持っており、これを分解または除去する方法では茶飲料独特の旨みや風味を著しく損ない、保存安定性を付与する目的を達成しても本格的な茶とは異なるものになってしまうという問題がある。容器詰茶飲料中のアルミニウムイオン濃度と水不溶性固形分の濃度をコントロールする方法、容器詰緑茶飲料中の非エピ体カテキン類とエピ体カテキン類の比率、並びにアルミニウムイオンと珪素イオンの含有量をコントロールする方法、ストリクチニン含有量を指標に茶葉を選定する方法では、フロックの原因となる他成分の関与を考えると確実な方法とは言い難く、またこれらの方法では必然的に使用できる茶葉が限定されてしまうため、味覚を主眼においた茶葉の選択ができず、本来の目的である優れた茶の風味を有する茶飲料を提供するという目的を達成することが困難となる。以上のように、従来開示されている技術では、フロック発生の抑制、外観の色調の安定性と茶本来の風味を保持という点を十分に満足させうるものはなかった。
本発明者らは上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、アルミニウム濃度とストリクチニン濃度の関係をバランス良くコントロールすることによって、茶飲料に配合した際に、保存時のフロック生成を抑制でき、かつ茶由来の優れた風味と外観の色調安定性を示す茶抽出物を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の茶抽出物は請求項1に記載の通り、
次の成分(A)、(B):
(A)アルミニウム0.2〜1.0重量%、
(B)ストリクチニン
を含有し、成分(A)の含有量(重量%)と成分(B)の含有量(重量%)からなる次式
(A−0.65)+(B−0.07)/16=Cとした時に
Cが0.25以下であることを特徴とするものである。
また、請求項2に記載の通り、請求項1記載の茶抽出物においてストリクチニンの含有量が1.2重量%以下であることを特徴とするものである。
また、請求項3に記載の通り、請求項1乃至2記載の茶抽出物においてタンニン含有量が50重量%以下であることを特徴とするものである。
また、請求項4に記載の通り、請求項1乃至3記載の茶抽出物において緑茶を原料とすることを特徴とするものである。
また、請求項5に記載の通り、請求項1乃至4記載の茶抽出物において茶飲料に添加されるものであることを特徴とするものである。
また、本発明は請求項6に記載の通り、請求項1乃至5記載の茶抽出物を添加し、製造された飲料であることを特徴とするものである。
本発明の茶飲料の製造方法は、請求項7に記載の通り、請求項1乃至5記載の茶抽出物を添加することを特徴とするものである。
本発明の茶抽出物を茶飲料に添加すると、茶の優れた風味を有しながら、フロック発生を抑制することができ、外観の色調も安定に保たれる。これまでに実施されている茶飲料に茶抽出物を添加する試みとしては、単に茶に含まれるカテキン類の優れた生理作用を効果的に発現させることを目的としており、茶飲料のフロックの発生を抑制する手段として茶抽出物が用いられた例は全く見当たらない。
また、本発明の茶抽出物を添加した茶飲料、及びその製造方法によると、特別な装置を必要とせずに既存の設備を利用することができるため生産性、製造コストに対する効果が非常に大きく、更に長期間にわたりフロックの発生が抑制され、外観の色調が保たれるため保存性に優れており、かつ、茶本来の優れた風味を有する茶飲料を提供することができる。
以下において、本発明を詳細に説明する。本発明で言う茶抽出物とは原料となる茶葉を水又は熱水又は含水有機溶媒で抽出し、遠心分離、濾過などの固液分離手段で不溶物を除去した茶抽出液、或いは必要に応じてエバポレーターや凍結乾燥機等により濃縮液や乾燥物の形態にしたものである。本発明の茶抽出物の製造法は、原料となる茶葉や抽出方法を適宜選択してアルミニウム及びストリクチニンの含有量をしかるべき組成となるように調整すればよく、特に制限されないが、上記の方法で得られた茶抽出物にさらに溶媒分画法、限外濾過法、ゲル濾過法、透析などの公知の分離・精製方法を適宜実施しても構わない。
上記に示す原料となる茶葉とは、茶樹(Camellia Sinensis)の葉、又は茎、或いはこれらを原料として製造された加工品を指す。この加工品としては例えば緑茶、花茶等の不発酵茶、ウーロン茶等の半発酵茶、紅茶等の強発酵茶を挙げることができ、いずれも本発明の茶抽出物の原料として使用可能であるが、茶葉中に含まれるアルミニウムとストリクチニンの存在量と、添加対象である茶飲料との風味の兼ね合いから緑茶を用いるのが最も好ましい。
ここで言う緑茶は茶樹の葉、又は茎を収穫後速やかに蒸気または火熱で熱する作業を含む工程により茶葉中の酵素活性を停止させ、すなわち茶の加工における発酵を防止することにより茶葉本来の成分や緑色が保持されるように製造される。緑茶には茶樹の栽培方法や製造方法の違いにより様々なタイプがあり、具体的には煎茶、玉露、かぶせ茶、碾茶、抹茶、番茶、ほうじ茶、釜炒り茶などを例示することができる。アルミニウムは中国茶や番茶、ほうじ茶などに多く含まれていること、ストリクチニンは1番茶や2番茶などの煎茶に多く含まれていることが知られており、これらの緑茶葉を適宜選択、および組み合わせて原料とし、目的とする茶抽出物を作成する事が可能である。
なお、アルミニウムは煎茶(乾燥茶葉)に45mg%、番茶に300mg%程度含まれているが、湯温ではそのうち20%程度しか浸出されず(村松敬一郎、杉山公男、「茶の機能」、学会出版センター、p401)、一般的な茶抽出物におけるその含有量は0.01〜0.1重量%となっている。
また複数の種類の市販茶抽出物などを混ぜ合わせてアルミニウム及びストリクチニンの含有量をコントロールし、本発明の茶抽出物とすることもできる。市販茶抽出物としては、三井農林(株)「ポリフェノン」、伊藤園(株)「テアフラン」、太陽化学(株)「サンフェノン」などが挙げられる。
本発明の茶抽出物は、長期保存時のフロック生成を抑制する点で0.2重量%〜1.0重量%、好ましくは0.3重量%〜0.95重量%、最も好ましくは0.4重量%〜0.9重量%のアルミニウムを含有することが好ましい。アルミニウム含有量が上限を超えた場合は、茶飲料のフロック抑制効果は発揮するものの、カテキン等のポリフェノール成分がアルミニウムと結合体を形成して沈殿を起こす原因となったり、風味が悪化する恐れがあるため望ましくない。一方、下限値以下では目的とするフロック発生抑制効果が期待できないため望ましくない。
また外観色調安定性、及び風味の面から、茶抽出物中のアルミニウム(A)とストリクチニン(B)の含有量(重量%)の関係を表した次式〔(A−0.65)+(B−0.07)/16=C〕において、Cは0.25以下となるように調整することが必要であり、好ましくは0.15以下、より好ましくは0.1以下、特に好ましくは0.05以下、最も好ましくは0.01以下である。
本発明の茶抽出物において、フロックの発生をより効果的に抑制する為に、ストリクチニンの濃度は1.2重量%以下、より好ましくは1.0重量%以下、更に好ましくは0.8重量%以下、最も好ましくは0.6重量%以下が良い。
また、本発明で用いる茶抽出物のタンニン含有量は50重量%以下、好ましくは40重量%以下が良い。茶抽出物中のタンニン含有量が多すぎると、飲料に添加した際に苦味や渋味が強く、味のバランスが崩れて風味を損なうと共に、変色の原因となりやすい。
本発明の茶抽出物を用いて一般的な工程において茶飲料を製造すれば、保存中におけるフロックの発生を抑制することができる。茶飲料の一般的な製造工程としては、まず飲料原料とする茶葉を20〜50倍重量の温水又は熱水にて抽出する。抽出時間、温度は使用する茶葉の種類や目的により適宜調整するが、通常は45℃以上95℃以下で3分〜30分の抽出を行い、必要に応じて抽出中に撹拌を行う。次いで茶殻等を濾過や遠心分離により除去することにより茶抽出液を得る。これに、水を加えて茶飲料に適した濃度に希釈し、必要に応じて茶希釈液に対して100〜2000ppmのアスコルビン酸又はその塩等を添加し、同じく100〜2000ppmの炭酸水素ナトリウム等によりpHを5.0〜7.0の間に調整し、調合液とする。最後にこの調合液を缶やペットボトル、ガラス瓶、紙容器などの密封容器に充填して製品化する。また、これら工程中には必要に応じて殺菌工程が含まれる。本発明の茶抽出物はこれら工程中のいずれでも添加することができるが、茶抽出液を希釈して調合液とする段階で添加するのが作業効率上好ましい。
上記茶飲料製造工程時における本発明の茶抽出物の添加量は、飲料原料とする茶葉の種類や使用量、抽出方法、最終製品の濃度、形態、及び本発明の茶抽出物中のアルミニウム、ストリクチニン含有量によって適宜調節すればよいが、一般的にタンニン濃度の濃い茶飲料ほどフロックが発生し易い為、茶抽出物の添加量も多めにするのが好ましく、茶飲料中のタンニン含有量に対して0.05〜20.0倍重量となるように茶抽出物を添加するのが効果的である。この茶飲料中のタンニン含有量は、茶抽出物添加後のタンニン含有量で考える。上記飲料製造時に主原料の茶葉以外に、副原料として玄米や各種植物の葉、茎、根などをブレンドしたものや、酸化防止剤、保存料、環状オリゴ糖、食物繊維、乳化剤、色素、香料、安定剤、pH調整剤、酸味料、甘味料、果汁、栄養強化剤などを単独、又は組み合わせて使用しても構わない。
本発明の茶抽出物の添加対象の茶飲料原料としては、緑茶、花茶等の不発酵茶、ウーロン茶等の半発酵茶、紅茶等の強発酵茶などがあげられるが、茶葉の発酵が弱い茶葉ほど、茶飲料に加工した際にフロックや着色などの品質劣化が起こり易く、本発明が効果的になる点で緑茶やジャスミン茶などの花茶が望ましい。また本発明の茶抽出物の添加対象の茶飲料は、金属やプラスチック、ペットボトル、ガラス瓶、紙容器などの密封容器に充填した容器詰飲料であることが特に顕著なフロック抑制効果及び外観の安定性を示す点から望ましい。
本発明の茶抽出物を添加することによるフロックの抑制効果は、単独で行っても十分な効果が得られるが、必要に応じてフロックの発生を抑制する公知の従来技術、すなわち酵素処理により高分子多糖類を分解する製造方法、限外濾過やケイ藻土濾過などの精密濾過を行う製造方法、沈殿物の発生を促した後にこれを除去する製造方法等と併用してもよい。
なお、本発明の茶抽出物は茶飲料以外にも、キャンディー、ガム、ゼリー等の菓子類や、医薬部外品、化粧料などの原料となる茶濃縮エキスの沈殿防止にも用いることができる。
以下に実施例を挙げ、本発明をさらに詳しく説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
茶抽出物中のタンニン濃度は日本食品分析センター編、「五訂 日本食品標準成分分析マニュアルの解説」、中央法規、2001年7月、p.252に記載の公定法(酒石酸鉄試薬法)に従って求めた。またアルミニウム含有量は誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP−AES)を用いて、ストリクチニン含有量は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて以下の条件で測定を行った。
≪サンプルの調製≫
茶抽出物を適量の純水に溶解し、0.45μmメンブランフィルター(DISMIC−13HP;ADVANTEC)でろ過し、以下の条件でICP−AES分析またはHPLC分析に供する。
≪アルミニウム含有量の測定条件≫
装置 :ICP−AES CIROS CCD−M(リガク)
プラズマ電力 :1400W
ポンプ流量 :1ml/min
プラズマガス流量 :Ar,13.0L/min
補助ガス流量 :Ar,1.0L/min
ネブライザーガス流量:Ar,1.0L/min
分析線 :396.152nm
標準液 :関東化学製化学分析用標準液を使用
≪ストリクチニン含有量の測定条件≫
装置 :アライアンスHPLC/PDAシステム(日本ウォーターズ株式会社 )
カラム: Mightysil RP−18 GP、4.6mmφ×150mm(5μm)(関東化学株式会社)
移動相:A液 アセトニトリル:0.05%リン酸水=25:1000
B液 アセトニトリル:0.05%リン酸水:メタノール=10:400:200 (体積比)
グラジエント:注入3分後から25分後にA液100%からB液100%に達するリニアグラジエント
流速:1ml/min
検出:UV267nm
カラム温度:40℃
(実施例1)
中国産の緑茶葉100gを90℃の熱水1000mLに投入し、攪拌しながら30分間抽出を行い、100メッシュのステンレスフィルターで茶葉を分離する。続いてネル濾過により抽出液中の沈殿物や浮遊物を取り除き、茶抽出液を得る。この茶抽出液に酢酸エチル500mlを加え、分液漏斗を用いて激しく混合した後に静置して水層と酢酸エチル層を分液した。さらに分液した水層へ再度酢酸エチル500mlを加え、同様に混合分液の操作を行った後の水層(酢酸エチル抽出残査)をロータリーエバポレーターで濃縮後、凍結乾燥機で乾燥させ、12gの水層画分を得た。この画分中の(A)アルミニウム濃度、(B)ストリクチニン濃度、(A)と(B)からなる次式(A−0.65)+(B−0.07)/16=Cとした時の(C)の値、(D)タンニン濃度の組成は次の通りであった。
((A)=0.32重量%、(B)=0.05重量%、(C)=0.11、(D)=6.9重量%)
(実施例2)
実施例1の茶抽出物10gを精製水250mlに溶解した。この溶液を分画分子量10,000の限外濾過膜(PS/10K、マイクロゴン社製)を使用し、限外濾過を行った。透過液量が200mlに達した時点で、濃縮液に精製水200mlを加え、連続して限外濾過した。濃縮液が50mlになったところで、液量を維持するように精製水を加えながら引き続き限外濾過し、透過液750mlを得た。得られた透過液を濃縮乾燥し、透過液画分として8.9g((A)=0.59重量%、(B)=0.01重量%、(C)=0.00、(D)=1.8重量%)を得た。
(比較例1)
実施例1における酢酸エチル層を一つにまとめ、無水硫酸ナトリウムで一晩脱水後、濃縮乾固して比較例1として8gの酢酸エチル画分((A)=0.01重量%、(B)=0.52重量%、(C)=0.42、(D)=77.0重量%)を得た。
(比較例2)
実施例1と同様の緑茶葉100gを90℃の熱水1000mLに投入し、攪拌しながら30分間抽出を行い、100メッシュのステンレスフィルターで茶葉を分離する。続いてネル濾過により抽出液中の沈殿物や浮遊物を取り除き、茶抽出液を得る。この茶抽出液を凍結乾燥器により乾燥させ、比較例2として茶抽出物34g((A)=0.16重量%、(B)=0.26重量%、(C)=0.25、(D)=37.9重量%)を得た。
(比較例3)
烏龍茶葉50gを90℃の熱水500mLに投入し、攪拌しながら30分間抽出を行い、100メッシュのステンレスフィルターで茶葉を分離する。続いてネル濾過により抽出液中の沈殿物や浮遊物を取り除き、茶抽出液を得る。この茶抽出液を凍結乾燥器により乾燥させ、比較例3として茶抽出物16g((A)=0.05重量%、(B)=0.00重量%、(C)=0.36、(D)=15.3重量%)を得た。
(比較例4)
市販の茶抽出物ポリフェノンCH(三井農林(株))((A)=0.18重量%、(B)=1.40重量%、(C)=0.33、(D)=36.2重量%)を比較例4として用いた。
(比較例5)
実施例1と同様の緑茶葉100gを10gのミョウバン(硫酸カリウムアルミニウム・12水、和光純薬(株)、Al含有量=5.69重量%)を加えた90℃の熱水1000mLに投入し、攪拌しながら30分間抽出を行い、100メッシュのステンレスフィルターで茶葉を分離する。続いてネル濾過により抽出液中の沈殿物や浮遊物を取り除き、茶抽出液を得る。この茶抽出液を凍結乾燥器により乾燥させ、比較例5として茶抽出物42g((A)=1.68重量%、(B)=0.21重量%、(C)=1.06、(D)=28.5重量%)を得た。
(試験例1)
液体飲料用にブレンドした緑茶葉100gを、557ppmとなるようにアスコルビン酸ナトリウムを添加した60℃のイオン交換水3000gで5分間抽出し、100メッシュのステンレスフィルターで茶葉を分離した。続いて濾紙(No.26、アドバンテック(株)製)を用いて濾過し、2700gの緑茶抽出液を得た。この抽出液に実施例1、2、及び比較例1〜5に示す茶抽出物をそれぞれ抽出液1000gに対して1000mgとなるように添加し、それぞれタンニン量55mg%となるようにイオン交換水で希釈し、L−アスコルビン酸と炭酸水素ナトリウムを緑茶希釈液1000gあたり0.3gずつ加え、緑茶調合液を作製した。タンニン含有量の測定は上記酒石酸鉄試薬法に従って行った。また茶抽出物を添加した抽出液に対する希釈割合から、茶調合液中の茶抽出物濃度を計算した。
対照品として茶抽出液に茶抽出物を添加しないで同様の希釈・調合を行い、緑茶の調合液を作成した。各々を耐熱性ガラス容器に300gずつ80℃でホットパック充填して密封し、レトルト殺菌処理(121℃、10分間)を行って緑茶飲料とした。
以上で得られた緑茶飲料を室温に冷却後、25℃の恒温機中に保存し、経時的なフロックの発生を目視観察して、保存を開始してからフロックが発生するまでにかかった日数(以下、「フロック発生日数」とする)を記録した。保存開始から30日以上発生が見られなかったサンプルは「発生なし」とした。また茶抽出物未添加の対照品と比較してフロックの発生を2倍以上遅らせた場合に、フロック抑制効果がある、とした。さらに、これらの緑茶飲料を2週間保存した後、風味について官能試験を行った。試験は10人のパネラーによる3点満点の評価(3点:良い、2点:やや良い、1点:やや悪い、0点:悪い)で行い、全パネラーから得られた平均点で表した。また同じく2週間保存後のサンプルを、分光式色差計(型番:SE−2000 日本電色工業(株))を用いて透過光でL値、a値、b値を測定し、それぞれ初発品に対する色差ΔEを計算して色調の変動を調べた。一般的に色差ΔEが3.2以下で同じ色だと見なされている。ΔEの計算は次式から求めた。
L0:初発品L値 a0:初発品a値 b0:初発品b値
L1:保存品L値 a1:保存品a値 b1:保存品b値
ΔE=√〔(L0−L1)+(a0−a1)+(b0−b1)
フロック発生日と官能評価の結果並びに色調の変動を表1に示す。
Figure 2006320246
表1から明らかなように、アルミニウム含有量とストリクチニン含有量の値をコントロールした茶抽出物を添加した茶飲料はフロックの発生を抑制し、良好な風味と色調の安定性を有する事が確認された。
(試験例2)
次に、試験例1で用いた実施例2の茶抽出物と比較例2または/及び4の茶抽出物をブレンドし、アルミニウム含有量とストリクチニン含有量の値をコントロールして、実施例3〜5に示す茶抽出物を作成した。
(実施例3)
実施例3として、実施例2の茶抽出物7gと比較例2の茶抽出物3gをブレンドし、茶抽出物10g((A)アルミニウム濃度=0.46重量%、(B)ストリクチニン濃度=0.08重量%、(C)(A−0.65)+(B−0.07)/16=0.04、(D)タンニン濃度=12.6重量%)を得た。
(実施例4)
実施例4として、実施例2の茶抽出物3gと比較例4の茶抽出物7gをブレンドし、茶抽出物10g((A)=0.30重量%、(B)=0.98重量%、(C)=0.17、(D)=25.9重量%)を得た。
(実施例5)
実施例5として、実施例2の茶抽出物5gと比較例2の茶抽出物2gと比較例4の茶抽出物3gをブレンドし、茶抽出物10g((A)=0.38重量%、(B)=0.48重量%、(C)=0.08、(D)=19.3重量%)を得た。
試験例1と同様に緑茶抽出液を得た。これを希釈して、タンニンを50mg/100mlとし、L−アスコルビン酸と炭酸水素ナトリウムを希釈液1000gあたり0.3gずつ加え、緑茶調合液を作製した。この調合液に実施例3〜5に示す茶抽出物をそれぞれ調合液1000gに対して350mgずつ添加した。一方、対照用緑茶飲料として、茶抽出物無添加のものも作製した。
また、別に上記の緑茶抽出液を希釈して、タンニン100mg/100mlとし、L−アスコルビン酸と炭酸水素ナトリウムを希釈液1000gあたり0.6gずつ加え、緑茶調合液を作製した。この緑茶調合液に実施例3〜5に示す茶抽出物をそれぞれ調合液1000gに対して4gずつ添加した。同様に、対照用緑茶飲料として、茶抽出物無添加のものも作製した。各々の調合液を耐熱性ガラス容器に300gずつ80℃でホットパック充填して密封し、レトルト殺菌処理(121℃、10分間)を行って緑茶飲料とした。
以上で得られた緑茶飲料を室温に冷却後、25℃の恒温機中に保存し、経時的なフロックの発生を目視観察してフロック発生日数を記録した。30日以上発生が見られなかったサンプルは「発生なし」とした。
また茶抽出物未添加の対照品と比較してフロックの発生を2倍以上遅らせた場合に、フロック抑制効果がある、とした。
また、これらの緑茶飲料を2週間保存した後、風味について官能試験を行った。試験は10人のパネラーによる3点満点の評価(3点:良い、2点:やや良い、1点:やや悪い、0点:悪い)で行い、全パネラーから得られた平均点で表した。また同じく2週間保存後のサンプルを、分光式色差計(型番:SE−2000 日本電色工業(株))を用いて透過光でL値、a値、b値を測定し、それぞれ初発品に対する色差ΔEを計算して色調の変動を調べた。フロック発生日数と官能評価の結果並びに色調の変動を表2に示す。
Figure 2006320246
表2から明らかなように、茶抽出物を混合し、アルミニウム含有量とストリクチニン含有量の値をコントロールした茶抽出物を添加すると、茶飲料のフロックの発生を抑制し、良好な風味と外観の色調安定性を有する事が確認された。
本発明の茶抽出物は、前記の通り、特別な装置を必要とせず既存の設備を利用して簡便に、フロックの発生を長期間にわたり抑制する効果を有し、且つ茶由来の良好な風味と外観の色調安定性を供する高品質な茶飲料の製造に利用可能である。

Claims (7)

  1. 次の成分(A)、(B):
    (A)アルミニウム0.2〜1.0重量%、
    (B)ストリクチニン
    を含有し、成分(A)の含有量(重量%)と成分(B)の含有量(重量%)からなる次式
    (A−0.65)+(B−0.07)/16=Cとした時に
    Cが0.25以下となる茶抽出物。
  2. ストリクチニンの含有量が1.2重量%以下である請求項1記載の茶抽出物。
  3. タンニン含有量が50重量%以下である請求項1乃至2記載の茶抽出物。
  4. 緑茶を原料とすることを特徴とした請求項1乃至3記載の茶抽出物。
  5. 茶飲料に添加されるものである請求項1乃至4記載の茶抽出物。
  6. 請求項1乃至5記載の茶抽出物を添加し、製造されたことを特徴とする茶飲料。
  7. 請求項1乃至5記載の茶抽出物を添加し、製造されたことを特徴とする茶飲料の製造方法。

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