JP2006311353A - ダウンコンバータおよびアップコンバータ - Google Patents
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Abstract
【課題】 消費電力を軽減させ、低IF型においては充分なイメージ抑圧比を得られ、ゼロIF型においてはEVMを改善できるダウンコンバータおよびアップコンバータを提供する。
【解決手段】 複素係数トランスバーサルフィルタ115は、入力されるRF信号の正の周波数あるいは負の周波数のいずれか一方を抑圧し、RF信号を実部と虚部からなる複素RF信号へ変換して出力する。局部発振器であるlocalb116は、所定の周波数を中心周波数とする複素ローカル信号を出力する。全複素ミキサ117は、複素係数トランスバーサルフィルタ115と、localb116とに接続され、複素係数トランスバーサルフィルタ115から出力される複素信号と、localb116から出力される複素ローカル信号とを乗算して周波数変換し、RF信号の周波数より所定の周波数だけ離れた周波数の複素信号を出力する。
【選択図】 図1
【解決手段】 複素係数トランスバーサルフィルタ115は、入力されるRF信号の正の周波数あるいは負の周波数のいずれか一方を抑圧し、RF信号を実部と虚部からなる複素RF信号へ変換して出力する。局部発振器であるlocalb116は、所定の周波数を中心周波数とする複素ローカル信号を出力する。全複素ミキサ117は、複素係数トランスバーサルフィルタ115と、localb116とに接続され、複素係数トランスバーサルフィルタ115から出力される複素信号と、localb116から出力される複素ローカル信号とを乗算して周波数変換し、RF信号の周波数より所定の周波数だけ離れた周波数の複素信号を出力する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、受信機において周波数変換を行うダウンコンバータおよび送信機において周波数変換を行うアップコンバータに関する。
<低IF型のダウンコンバータの背景技術>
例えば、携帯電話機のように、受信機および送信機の機能を併せ持つ通信機において、受信機の機能として、通話内容およびデータ通信内容によって変調されたRF(Radio Frequency)信号を受信し、受信したRF信号を復調部に入力するための周波数に変換し、且つ、目的の信号を選択するチャンネル選択を行うフロントエンドの構成として、以下のような構成が存在する。すなわち、RF信号を中間周波数(IF:Intermediate Frequency)信号に変換するヘテロダイン方式、イメージ周波数信号を抑圧するイメージリジェクション(抑圧)ミキサ(実入力複素出力半複素ミキサ)によってRF信号をIF信号に変換する低IF方式といった構成が存在する。
例えば、携帯電話機のように、受信機および送信機の機能を併せ持つ通信機において、受信機の機能として、通話内容およびデータ通信内容によって変調されたRF(Radio Frequency)信号を受信し、受信したRF信号を復調部に入力するための周波数に変換し、且つ、目的の信号を選択するチャンネル選択を行うフロントエンドの構成として、以下のような構成が存在する。すなわち、RF信号を中間周波数(IF:Intermediate Frequency)信号に変換するヘテロダイン方式、イメージ周波数信号を抑圧するイメージリジェクション(抑圧)ミキサ(実入力複素出力半複素ミキサ)によってRF信号をIF信号に変換する低IF方式といった構成が存在する。
これらの構成の内、ヘテロダイン方式は、IF信号の周波数を高くし、周波数変換前のRF部において、目的信号の周波数とイメージ周波数との差を大きくすることにより、RFフィルタによってイメージ周波数信号を抑圧し、イメージ周波数信号による妨害(以下、イメージ周波数妨害という)を回避している。
ところで、このようなヘテロダイン方式が適用される具体例であり、送受信動作が同時に行われるフルデュープレックス(全二重)型の無線機においては、送信周波数信号や、送信および受信のローカル信号を共通化した時におけるイメージ周波数に近い送信信号(以下、イメージ周波数信号という)を抑圧するが、RF信号からIF信号に変換するときに発生するイメージ周波数信号をRF信号のフィルタ(以下、RFフィルタという)によって抑圧しきれない場合、イメージ周波数信号の周波数を変えるために、IF信号の周波数を無線通信方式毎に変えて、RFフィルタにて抑圧できるようにしている。このため、複数の通信方式をサポートするマルチモード無線機においても、モード(通信方式)毎にチャンネル帯域幅が異なることと併せて、モード毎にIF信号の周波数を変えている。それゆえに、マルチモード無線機において、モード毎に中心周波数または通過周波数が異なるIF信号のフィルタ(以下、IFフィルタという)を用意する必要が生じ、回路規模が非常に大きくなるという問題があった。
ところで、このようなヘテロダイン方式が適用される具体例であり、送受信動作が同時に行われるフルデュープレックス(全二重)型の無線機においては、送信周波数信号や、送信および受信のローカル信号を共通化した時におけるイメージ周波数に近い送信信号(以下、イメージ周波数信号という)を抑圧するが、RF信号からIF信号に変換するときに発生するイメージ周波数信号をRF信号のフィルタ(以下、RFフィルタという)によって抑圧しきれない場合、イメージ周波数信号の周波数を変えるために、IF信号の周波数を無線通信方式毎に変えて、RFフィルタにて抑圧できるようにしている。このため、複数の通信方式をサポートするマルチモード無線機においても、モード(通信方式)毎にチャンネル帯域幅が異なることと併せて、モード毎にIF信号の周波数を変えている。それゆえに、マルチモード無線機において、モード毎に中心周波数または通過周波数が異なるIF信号のフィルタ(以下、IFフィルタという)を用意する必要が生じ、回路規模が非常に大きくなるという問題があった。
これに対して、低IF方式の構成例として、図34に示す回路によって示される低IF型のダウンコンバータ8は、局部発振器であるLocalb813が接続され、乗算器からなるミキサI814と、ミキサQ815とから構成されるイメージリジェクションミキサ(実入力複素出力ミキサ(半複素ミキサの一種))を用いて周波数変換を行う。尚、Localb813と上述したイメージリジェクションミキサとを組み合わせて周波数変換器が構成される。そして、ローカル信号の周波数を中心として、目的信号の周波数に対して、IF信号の周波数だけ低周波側の対称な位置に存在する目的外信号、すなわち、イメージ周波数信号をRFフィルタとIFフィルタの周波数特性に依存することなく抑圧する。ここで、イメージ周波数信号の抑圧比は、後述するイメージ抑圧比によって表され、RFフィルタの特性に対する依存度が低いことから、IF信号の周波数を低くすることができる。
このとき、IF信号の周波数の2倍の周波数が目的信号の周波数とイメージ周波数との周波数間隔になることから、IF信号の周波数がチャンネル間隔に等しいとき、目的チャンネルのイメージ周波数は、目的チャンネルの次隣接チャンネルとなる。
例えば、ダウンコンバータを使用する無線通信方式において、IF信号の周波数から、該IF信号の周波数の2倍の周波数だけ離れたイメージ周波数信号に対するブロッキング等の要求仕様が、該低IF型のダウンコンバータ8におけるイメージ抑圧比以下であるときに、このダウンコンバータ8は該無線方式の仕様を満足する。
例えば、ダウンコンバータを使用する無線通信方式において、IF信号の周波数から、該IF信号の周波数の2倍の周波数だけ離れたイメージ周波数信号に対するブロッキング等の要求仕様が、該低IF型のダウンコンバータ8におけるイメージ抑圧比以下であるときに、このダウンコンバータ8は該無線方式の仕様を満足する。
上述したように、低IF型の構成によれば、IF信号の周波数を低くすることができるので、IFフィルタをアクティブフィルタによって構成することができ、IC化による装置の小型化が容易である。また、マルチモード無線機においても、無線通信方式毎にIF信号の周波数を変える必要がなくなり、IFフィルタを容易に共通化することができる。尚、前述したように通信方式毎にチャンネル帯域幅が異なるため、IFフィルタの帯域幅は無線通信方式毎に変更せざるを得ないが、トランジスタのトランスコンダクタンス(gm)を変化させることにより特性を必要に応じて変更するgmCフィルタ等を用いることにより、IFフィルタの特性を容易に可変させることができる。そのため、低IF型の構成によって、複数のIFフィルタを用意することなく、1つのIFフィルタによって、回路規模を大きくすることなく、マルチモード無線機を構成することができる。
しかしながら、低IF型の構成においては、非特許文献1および非特許文献2において記載されるように、イメージ抑圧比は30dB程度しか保証されない。そのため、該低IF型の構成は、イメージ周波数信号に対するブロッキング等の仕様が甘い無線通信方式には適用可能であるが、30dBを超える妨害耐性を要求する方式においては、該要求仕様を満足できなくなり、該方式に適用することができないという問題があった。
例えば、GSM(Global System for Mobile Communications)(登録商標)においては、目的信号の周波数から300kHz以内の周波数におけるイメージ周波数信号に対するブロッキング等の妨害耐性の要求仕様が18dBであるので適用が可能である。しかし、W−CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)は目的信号の周波数から5MHz離れた隣接チャンネルに対する妨害耐性の要求仕様が33dBであるので、実用上、ボーダーラインであり、要求仕様を満足するために、装置に使用するミキサの選別やイメージ抑圧比を向上するための装置の精度向上策のためにチップ面積が大きくなる等、コスト上昇に繋がるという問題があった。また、30dBというイメージ抑圧比自体も容易に実現できる値ではなく、その実現のために、使用するトランジスタのバラツキによるミキサのイメージ抑圧比の劣化を抑えるため、該トランジスタのサイズを大きくするので、消費電力の増大およびfT(遷移周波数:Transition frequency)の低下を引き起こし、イメージ抑圧比以外の諸特性が劣化するという問題があった。
さらに、GSM(登録商標)やW−CDMAにおいても、RF部における周波数変換の他に、ディジタル部において複数のチャンネルからのチャンネル選択(以下、チャンネル選択という)を行うディジタルチューナやソフトウェア無線機のフロントエンドとして用いる場合、例えば、GSM(登録商標)においては、目的信号の周波数から300kHz以上離れた周波数におけるイメージ周波数信号に対するブロッキング等の妨害耐性の要求仕様が50dB以上となり、W−CDMAにおいても同様に要求仕様がイメージリジェクションミキサによって実現できるイメージ抑圧比を超えることから、事実上、ディジタル部におけるチャンネル選択が不可能になる。したがって、上述した低IF型の構成を、ディジタルチューナやソフトウェア無線機のフロントエンドに適用することはできない。
上記のような問題を解決し、30dBを超えるイメージ周波数妨害耐性を要求する無線通信方式において、低IF型の構成を適用することを狙い、前述したイメージリジェクションミキサを用いて40dBを超えるイメージ抑圧比を得るために、以下の方法が考えられる。
先ず、IF信号の周波数を高くし、周波数変換前のRF部において、目的信号の周波数とイメージ周波数との差を大きくすることにより、RFフィルタによってイメージ周波数信号を抑圧する方法が考えられる。しかしながら、周波数処理がディジタル処理によって行われる近年の無線機においては、IF信号の周波数を高くすることにより、IF信号をディジタル化するA/D(Analog to Digital)コンバータ(ADC)および該A/Dコンバータの出力を処理するディジタル信号処理部のクロックが上昇することにより消費電力が増大するという問題があった。尚、サブナイキストサンプリング手法を用いることより、A/Dコンバータのクロックを低くすることはできるが、この場合、A/Dコンバータの入力周波数帯域を広くすることにより、A/Dコンバータのクロックを低くする前と同様に、消費電力が増大する。また、IF信号をアナログ処理する場合においても、IF信号の周波数が高くなると、消費電力が増大するという問題があった。
次に、非特許文献1および非特許文献2に記載されているdual−band RF front−end ICのように、ディジタル処理による補正処理や、特許文献3および特許文献4の論文に記載されているようにアナログ回路処理による補正処理等によって、イメージリジェクションミキサの特性を補正する方法が考えられる。しかしながら、ディジタル処理による補正においては、ディジタル部における演算処理のため、消費電力が増大するという問題があり、アナログ処理による補正においては補正のための回路規模が大きくなり、また、補正精度がよくないという問題があった。
次に、非特許文献3および非特許文献4のFigure3.25(b)に記載されるように、RF部において位相器を設け、該位相器により90度の位相差を得て、RF信号を複素化し、複素化したRF信号を複素ローカル信号との複素乗算により周波数変換を行うことにより、イメージ周波数信号の抑圧を行う方法が考えられる。しかしながら、この方法においては、位相器において発生する損失が問題になる。位相器の損失は、例えば帯域を広げるため、位相器の次数を上げると増大し、この損失のため、受信感度が低下する。また、RC(抵抗−コンデンサ)によって構成される位相器においては、周波数が高いRFにてRおよびCの値が小さくなるために、入力インピーダンスも考慮すると、実用的な精度が得られないという問題があった。
次に、非特許文献4のFigure 3.28およびFigure 3.31に記載されているように、複素ローカル信号を用いたミキサにより、RF信号の周波数変換および信号の複素化を行い、複素ローカル信号との複素乗算を再度行うことにより、イメージ周波数信号の抑圧を行う方法が考えられる。しかしながら、複素ローカル信号を用いたミキサによる複素化においては、ミキサとローカル信号発振器が増えることにより消費電力が増大する問題とローカル信号発振器数が増えることによる、スプリアス受信等の問題があった。
<低IF型のデュアルコンバージョン型ダウンコンバータの背景技術>
また、上述したヘテロダイン方式における別の例として、RF信号を2回の周波数変換によってIF信号に変換する、デュアルコンバージョン型ダウンコンバータが存在する。
これに対して、前述したように、RF信号を1回の周波数変換によってIF信号に変換するダウンコンバータを、シングルコンバージョン型ダウンコンバータという。
また、上述したヘテロダイン方式における別の例として、RF信号を2回の周波数変換によってIF信号に変換する、デュアルコンバージョン型ダウンコンバータが存在する。
これに対して、前述したように、RF信号を1回の周波数変換によってIF信号に変換するダウンコンバータを、シングルコンバージョン型ダウンコンバータという。
デュアルコンバージョン型ダウンコンバータにおいて、広い周波数範囲のRF信号を受信する場合、1回目の周波数変換によって生成される中間周波数信号(以下、第1IF信号という)の周波数がRF信号の周波数より低いと、目的信号の周波数に対してイメージ周波数が近くなるため、受信周波数に応じて通過帯域を可変し、イメージ周波数において必要な減衰量を得る可変型RFフィルタを用いないと、イメージ抑圧比が確保できない。また、IF信号とそのN倍、ローカル信号とそのM倍(N、M:整数)の組み合わせによって生じるスプリアス受信を避けることも困難である。しかも、上述したように、目的信号の周波数に対してイメージ周波数が近い場合、可変型RFフィルタの通過帯域において急峻な特性が要求されるので、該フィルタのサイズは大きくなり、且つ、遮断特性について、バラツキやチューニングを行った時の誤差に対する許容度が小さいため、該フィルタの通過帯域の特性について微妙な調整が必要になる。
上記の問題は、第1IF信号の周波数がRF信号の周波数より高くし、目的信号の周波数に対してイメージ周波数を遠くすることにより、解決することができるので、デュアルコンバージョン型ダウンコンバータにおいては、第1IF信号の周波数をRF信号の周波数より高くした(アップコンバージョンを行った)後に、2回目の周波数変換によって周波数を低くする(ダウンコンバージョンを行う)構成とする。以下、2回目の周波数変換によって生成される中間周波数信号を、第2IF信号という。
しかしながら、第1IF信号より第2IF信号への周波数変換時に生じる、第2IF信号のイメージ周波数妨害を避けるために、第1IFのフィルタ(以下、第1IFフィルタという)は、第2IF信号のイメージ周波数において十分な減衰量を持つ必要があり、第2IF信号の周波数が低い場合、第1IFフィルタが非常に急峻な遷移帯域特性を有することを要求され、該フィルタのサイズが大きくなるか、もしくは、該フィルタの挿入損失が増大する等の問題があった。また、第1IF信号の周波数が高いことから、第1IFフィルタについて、中心周波数のバラツキや温度による変動を考慮して通過帯域を広くすることが求められることから、第1IFフィルタの要求仕様がより厳しくなるという問題があった。このため、第2IF信号の周波数を高くすることにより、第1IFフィルタの要求仕様を緩和する方法が採られる。
しかしながら、第2IF信号の周波数が高くなることにより、復調処理のためのA/Dコンバータのクロック周波数を高くする必要があり、前述したように、A/Dコンバータのクロック周波数の増大、または、サブナイキストサンプリングを用いるA/Dコンバータにおける入力帯域幅の増大のために消費電力が増大するという問題があった。
上記の問題を解決する方法として、デュアルコンバージョン型ダウンコンバータにおいて、シングルコンバージョン型ダウンコンバータにおける低IF型の構成を、第2IF信号について導入することが考えられる。つまり、イメージリジェクションミキサによって、第1IF信号を複素ローカル信号によって第2IF信号に周波数変換を行うことにより、目的信号へのイメージ周波数妨害を抑圧することが考えられる。これにより、第1IFフィルタの特性を急峻にすることなく、イメージ抑圧比を確保することができる。この場合、第1IF信号、第2IF信号が、シングルコンバージョン型ダウンコンバータにおけるRF信号、IF信号に相当する。
しかしながら、前述したように、低IF型の構成においては、シングルコンバージョン型ダウンコンバータと同様に、イメージ抑圧比が30dB程度しか保証されないという問題がある。これを改善する方法についても、シングルコンバージョン型ダウンコンバータにおける改善法と同様に、主に、消費電力の増大を伴ってしまうという問題があった。
<低IF型のアップコンバータの背景技術>
一方、携帯電話機における送信機の機能として、通話内容およびデータ通信内容等の情報を含むベースバンド信号をRF信号に変換するアップコンバータの構成として以下のような構成が存在する。すなわち、複素ベースバンド信号を複素ローカル信号とミキシングして実IF信号に変換し、実IF信号を実ローカル信号とミキシングして実RF信号に変換する構成が存在する。
一方、携帯電話機における送信機の機能として、通話内容およびデータ通信内容等の情報を含むベースバンド信号をRF信号に変換するアップコンバータの構成として以下のような構成が存在する。すなわち、複素ベースバンド信号を複素ローカル信号とミキシングして実IF信号に変換し、実IF信号を実ローカル信号とミキシングして実RF信号に変換する構成が存在する。
上記のアップコンバータにおいて、RFフィルタによってIF信号のイメージ周波数信号を抑圧するために、RF信号におけるシステム帯域幅の広帯域化に伴って、IF信号の周波数を高くすることが要求され、さらに、通信速度の高速化によるチャンネル帯域の広帯域化に伴うRF帯域の広帯域化により、IF信号の周波数をより高くすることが要求されるようになっている。そのため、IF信号の処理部において、コストアップおよび消費電力の増大を招くという問題があった。もしくは、IF信号の周波数を可能な限り低くしようとすると、RFフィルタに対する要求仕様が厳しくなるという問題があった。
上記の問題の対策として、前述した低IF型のダウンコンバータと同様に、アップコンバータにおいても、複素ベースバンド信号をイメージリジェクションミキサの一種である全複素ミキサによって複素IF信号に変換し、該複素IF信号を半複素ミキサによって複素ローカル信号とミキシングすることによりイメージ周波数信号を抑圧し、低いIF周波数を可能とする低IF方式という構成が用いられる。この構成によると、イメージリジェクションミキサのイメージ周波数信号の抑圧効果によって、IF信号のイメージ周波数信号を抑圧するためのRFフィルタが不要になることから、RF信号のSAW(Surface Acoustic Wave)フィルタに対する要求仕様は大きく緩和され、従来2段必要であったRF信号のSAWフィルタが1段で済むようになり、場合によっては、RF信号のSAWフィルタを不要とすることもできる。
しかしながら、受信用として用いられるイメージリジェクションミキサのイメージ抑圧比の性能を参照すると、非特許文献1および非特許文献2において記載されるように、−30dBcのイメージ周波数信号が送信スプリアスとして存在すると推定される。これは、送信スプリアスの許容マスクを超え、仕様を満足しないスプリアスとなる。
また、上述した、低IF方式の構成を採る、低IF型のアップコンバータにおいても、イメージ周波数信号を完全になくすことはできず、目的周波数の近くにイメージ周波数信号が現れる。図37に示すような従来の低IF型のアップコンバータ38において、複素ベースバンドにおけるキャリア間隔1.6MHzのDSB(Double Sided Band)信号を、中心周波数を5MHzとした周波数変換を行った複素IF信号のスペクトルを図38に示す。この複素IF信号を、実部(同相成分:I:In phase component)である実部信号I、虚部(直交成分:Q:Quadrature phase component)である虚部信号Qの振幅(レベル)間に10%の誤差がある複素ローカル信号(795MHz)とミキシングした実信号出力のスペクトルを図39に示す。図39によると、イメージ周波数(790MHz)において、目的信号(800MHz)に対し、−26dBcのイメージ周波数信号が発生している。
このため、上述した、低IF型のアップコンバータのように、イメージ抑圧比が−30dBc程度しか確保できない場合、目的信号近傍におけるスプリアスマスクを満足しない。仮に、該スプリアスマスクをぎりぎり満足したとしても、イメージリジェクションミキサのバラツキや環境条件の変動によるイメージ抑圧比の劣化により、仕様を満足しない場合が発生するという問題があった。
ここで、前述したイメージリジェクションミキサを用いて40dBを超えるイメージ抑圧比を得るために、以下の方法が考えられる。
先ず、イメージ抑圧比を抑圧するために、RFフィルタを用いることが考えられる。しかしながら、RFフィルタの要求仕様を厳しくしないために、IF信号の周波数を低くすることができず、上述したように、IF信号の処理部において、コストアップおよび消費電力の増大を招くという問題があった。
次に、ミキサに用いるトランジスタのバラツキによる、ミキサのイメージ抑圧比の劣化を抑えるため、トランジスタのサイズを大きくする方法が採られる。しかしながら、この方法によると、消費電力の増大およびfTの低下を引き起こし、イメージ抑圧比以外の諸特性が劣化するという問題があった。さらに、アナログの持つ不正確性ゆえに、多くの場合において、仕様を満足するイメージ抑圧比を得ることが困難であるという問題があった。
次に、非特許文献3と非特許文献4のFigure 3.28, Figure 3.31に記載されるように、受信機におけるRF信号のポリフェーズフィルタ(位相器)による信号処理を送信機に応用する方法が採られる。つまり、複素IF信号と複素ローカル信号のミキシングを行うミキサを、複素RF信号を出力する全複素ミキサとし、ミキサ出力の複素RF信号の負の周波数成分を、ポリフェーズフィルタによって抑圧する。この方式は理論的には優れているが、ポリフェーズフィルタは、RCによって構成されるために損失が大きく、帯域が狭いので、高い減衰量もしくは広い帯域を得るために段数を増やしてしまうとさらに損失が増大してしまいフィルタ出力におけるイメージ抑圧比が低くなり、実用的でないという問題があった。
次に、非特許文献4のFigure 3.28およびFigure 3.31に記載されるように、半複素ミキサによってベースバンド信号を複素化することにより、上述した全複素ミキサに入力する複素IF信号を得る方法が考えられる。しかしながら、この方法においては、ミキサおよびローカル信号発振器が増えることにより消費電力が増大し、ローカル信号発振器数が増えることによりスプリアス送信等の問題があった。
<ゼロIF型のダウンコンバータの背景技術>
また、RF信号またはIF信号を複素ベースバンド信号に変換するダウンコンバータのうち、最も回路が簡略であり、小型化が容易である構成例として、実RF信号を、該実RF信号の周波数と同一の周波数の複素ローカル信号とミキサによって乗算を行い、中心周波数が周波数ゼロ(直流)となる周波数変換を行いつつ、該信号を複素化する、図57に示すようなゼロIF型のダウンコンバータ68が存在する。
しかしながら、ゼロIF型のダウンコンバータは、前述した、多段階の周波数変換を行うシングルコンバージョン型ダウンコンバータおよびデュアルコンバージョン型ダウンコンバータと比較して小形な半面、ミキサにおけるローカル信号のリークを自己受信することによるDCオフセット、ミキサの非直線性に起因する2次相互変調(IM2)が発生し、それによる歪が目的信号に干渉するという問題を抱えており、それにより、EVM(Error Vector Magnitude)の劣化が引き起こされる。今後、通信速度の高速化に伴って多値変調を行う際に、EVMの劣化が重要な問題となる。
また、RF信号またはIF信号を複素ベースバンド信号に変換するダウンコンバータのうち、最も回路が簡略であり、小型化が容易である構成例として、実RF信号を、該実RF信号の周波数と同一の周波数の複素ローカル信号とミキサによって乗算を行い、中心周波数が周波数ゼロ(直流)となる周波数変換を行いつつ、該信号を複素化する、図57に示すようなゼロIF型のダウンコンバータ68が存在する。
しかしながら、ゼロIF型のダウンコンバータは、前述した、多段階の周波数変換を行うシングルコンバージョン型ダウンコンバータおよびデュアルコンバージョン型ダウンコンバータと比較して小形な半面、ミキサにおけるローカル信号のリークを自己受信することによるDCオフセット、ミキサの非直線性に起因する2次相互変調(IM2)が発生し、それによる歪が目的信号に干渉するという問題を抱えており、それにより、EVM(Error Vector Magnitude)の劣化が引き起こされる。今後、通信速度の高速化に伴って多値変調を行う際に、EVMの劣化が重要な問題となる。
ここで、EVMの劣化は、ローカル信号、ミキサの処理後の信号における実部信号Iと虚部信号Qとが完全に直交しない不完全性によって生じる。この対策のために、ローカル信号の実部信号Iおよび虚部信号Q間の振幅誤差と位相誤差の低減、ミキサを構成するトランジスタ間の誤差の低減といった回路上の特性改善を行う技術が開発され、また、複素ベースバンド信号をディジタル化した後にディジタル信号処理により実部信号Iおよび虚部信号Q間の誤差を補償する数多くの技術が開発されている。
しかしながら、アナログ回路上の特性改善については、アナログ回路が持つ不完全性のために限界がある。特に、多値変調においては符号間干渉の劣化、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)においてはキャリア間干渉の劣化が生じる。また、非特許文献5に記載されるように、無線LAN(Local Area Network)における通信方式であるMIMO(Multiple Input/Multiple Output)方式のように、限られた周波数帯域において従来の方式より高速な通信を行うことを目的とする通信方式においては、この誤差改善の限界のために、実用上の通信速度が理論上の上限に対して低下し、通信速度の高速化が阻害されるという問題があった。
また、ディジタル信号処理による補償技術も、処理量の増大に伴う、消費電力の増大等を引き起こすという問題があった。
また、ディジタル信号処理による補償技術も、処理量の増大に伴う、消費電力の増大等を引き起こすという問題があった。
<ゼロIF型のアップコンバータの背景技術>
また、複素ベースバンド信号をRF信号に変換するアップコンバータのうち、最も回路が簡略であり、小型化が容易である構成例として、複素ベースバンド信号を、実RF信号の周波数と同一の周波数の複素ローカル信号とミキサによって乗算を行い、周波数をRF信号の周波数に変換して実RF信号を出力する、ゼロIF型のアップコンバータが存在する。
しかしながら、ゼロIF型のアップコンバータは、前述した、多段階の周波数変換を行うアップコンバータと比較して小形な半面、以下の問題があった。すなわち、ゼロIF型のダウンコンバータにおけるDCオフセットに相当するキャリアリークの問題があり、さらに、ゼロIF型のダウンコンバータと同様に、ミキサにおいて、ローカル信号、ミキサの処理後の信号における実部信号Iと虚部信号Qとが完全に直交しない不完全性によって生じるEVMの劣化という大きな問題があった。尚、EVMの改善においては、ゼロIF型のダウンコンバータと同様の問題が発生する。
特開2002−246847号公報
特開平6−188928号公報
特許第2988277号公報
特開2000−224497号公報
フィリップス社SA1920データシート
フィリップス社SA1921データシート
"Mixer Topology Selection for a Multi-Standard High Image-Reject Front-End",Vojkan Vidojkovic,Johan van der Tang,Arjan Leeuwenburgh and Arthur van Roermumd, ProRISC Workshop on Circuits, Systems and Signal Processing,pp. 526-530,2002
"CMOS WIRELESS TRANSCEIVER DESIGN",Jan Crols, Michiel Steyaert,Kluwer International Series in Engineering and Computer Science,1997
"RF系の不完全性によるMIMO通信システムの特性劣化に関する検討",鎌田 裕之,水谷 慶,坂口 啓,荒木 純道, 2004年電子通信情報学会通信ソサエティ大会,pp357,2004
また、複素ベースバンド信号をRF信号に変換するアップコンバータのうち、最も回路が簡略であり、小型化が容易である構成例として、複素ベースバンド信号を、実RF信号の周波数と同一の周波数の複素ローカル信号とミキサによって乗算を行い、周波数をRF信号の周波数に変換して実RF信号を出力する、ゼロIF型のアップコンバータが存在する。
しかしながら、ゼロIF型のアップコンバータは、前述した、多段階の周波数変換を行うアップコンバータと比較して小形な半面、以下の問題があった。すなわち、ゼロIF型のダウンコンバータにおけるDCオフセットに相当するキャリアリークの問題があり、さらに、ゼロIF型のダウンコンバータと同様に、ミキサにおいて、ローカル信号、ミキサの処理後の信号における実部信号Iと虚部信号Qとが完全に直交しない不完全性によって生じるEVMの劣化という大きな問題があった。尚、EVMの改善においては、ゼロIF型のダウンコンバータと同様の問題が発生する。
上述したように、各方式のダウンコンバータおよびアップコンバータにおける問題をまとめると、低IF方式のダウンコンバータおよびアップコンバータにおける主な問題は、充分なイメージ抑圧比が得られないことおよび消費電力の増大に起因する問題である。
また、ゼロIF方式のダウンコンバータおよびアップコンバータでの主な問題は、通信速度を早くした場合におけるEVMの劣化および消費電力の増大に起因する問題である。
また、さらに、低IF方式およびゼロIF方式のダウンコンバータとアップコンバータにおいて、広帯域あるいはマルチバンドのRF信号の処理を可能とすることが市場のニーズとして高まってきていることから、上記の低IF方式およびゼロIF方式に起因する問題を解決しつつ広帯域化、マルチバンド化を図らなければならないという問題もある。
また、ゼロIF方式のダウンコンバータおよびアップコンバータでの主な問題は、通信速度を早くした場合におけるEVMの劣化および消費電力の増大に起因する問題である。
また、さらに、低IF方式およびゼロIF方式のダウンコンバータとアップコンバータにおいて、広帯域あるいはマルチバンドのRF信号の処理を可能とすることが市場のニーズとして高まってきていることから、上記の低IF方式およびゼロIF方式に起因する問題を解決しつつ広帯域化、マルチバンド化を図らなければならないという問題もある。
本発明は、上記事情を考慮してなされたもので、その目的は、消費電力を軽減させつつ、低IF型においては充分なイメージ抑圧比を得ることができ、ゼロIF型においてはEVMを改善することができるダウンコンバータおよびアップコンバータを提供することにある。
上述した課題を解決するために、本発明は、RF信号を低周波数へ周波数変換するダウンコンバータであって、入力されるRF信号に対し偶関数に基づいて生成されるインパルス応答に基づいてたたみ込み積分を行い複素RF信号の実部を生成し、前記入力されるRF信号に対し奇関数に基づいて生成されるインパルス応答に基づいてたたみ込み積分を行い複素RF信号の虚部を生成し、正の周波数あるいは負の周波数のいずれか一方を抑圧して複素RF信号を出力する複素係数トランスバーサルフィルタと、 所定の周波数を有する複素ローカル信号を出力する局部発振器と、前記複素係数トランスバーサルフィルタと、前記局部発振器とに接続され、前記複素係数トランスバーサルフィルタから出力される前記複素RF信号と、前記局部発振器から出力される前記複素ローカル信号とを乗算して周波数変換し、前記RF信号の周波数より前記所定の周波数離れた周波数の複素信号を出力する複素ミキサとを備えたことを特徴とするダウンコンバータである。
また、本発明は、複素信号をRF信号の周波数へ周波数変換するアップコンバータであって、所定の周波数を有する複素ローカル信号を出力する局部発振器と、前記局部発振器に接続され、入力される前記複素信号と、前記局部発振器から出力される複素ローカル信号とを乗算して周波数変換して複素RF信号を出力する複素ミキサと、前記複素ミキサに接続され、前記複素ミキサから出力される前記複素RF信号の実部に対し偶関数に基づいて生成されるインパルス応答に基づいてたたみ込み積分を行い、前記複素RF信号の虚部に対し奇関数に基づいて生成されるインパルス応答に基づいてたたみ込み積分を行うことにより正の周波数あるいは負の周波数のいずれか一方を抑圧して実数RF信号を出力する複素係数トランスバーサルフィルタとを備えたことを特徴とするアップコンバータである。
<低IF型のシングルコンバージョン型またはデュアルコンバージョン型のダウンコンバータの原理>
ここで、本発明におけるシングルコンバージョン型またはデュアルコンバージョン型のダウンコンバータがイメージ周波数信号を抑圧する原理について、本発明におけるシングルコンバージョン型のダウンコンバータの基本構成例によって説明する。
ここで、本発明におけるシングルコンバージョン型またはデュアルコンバージョン型のダウンコンバータがイメージ周波数信号を抑圧する原理について、本発明におけるシングルコンバージョン型のダウンコンバータの基本構成例によって説明する。
<低IF型のダウンコンバータの第1の基本構成例>
先ず、図1に示す、本発明における低IF型のダウンコンバータの第1の基本構成例の説明を行う。上述したシングルコンバージョン型のダウンコンバータ1は、例えばアンテナに接続される入力端TRFから入力したRF(Radio Frequency)信号をIF信号に変換するIF生成部11と、復調部に接続され、IF信号をベースバンド信号に変換し、例えば、RF信号にかけられた変調信号を取り出して出力端TOIおよびTOQからそれぞれ出力するベースバンド生成部12とから構成される。IF生成部11と、ベースバンド生成部12とは、端子TIおよびTQにおいて接続される。
先ず、図1に示す、本発明における低IF型のダウンコンバータの第1の基本構成例の説明を行う。上述したシングルコンバージョン型のダウンコンバータ1は、例えばアンテナに接続される入力端TRFから入力したRF(Radio Frequency)信号をIF信号に変換するIF生成部11と、復調部に接続され、IF信号をベースバンド信号に変換し、例えば、RF信号にかけられた変調信号を取り出して出力端TOIおよびTOQからそれぞれ出力するベースバンド生成部12とから構成される。IF生成部11と、ベースバンド生成部12とは、端子TIおよびTQにおいて接続される。
IF生成部11は、LNA(Low Noise Amplifier)111と、複素係数トランスバーサルフィルタ115と、局部発振器であるLocalb116と、全複素ミキサ117(複素ミキサ)とから構成される。複素係数トランスバーサルフィルタ115は後述するようにイメージ周波数妨害を抑圧する。
複素係数トランスバーサルフィルタ115は、BPF(Band Pass Filter)−IおよびBPF−Qによって構成される。複素係数トランスバーサルフィルタ115の入力端Irpは、BPF−IおよびBPF−Qの入力端に共通に接続され、複素係数トランスバーサルフィルタ115の出力端OrpIはBPF−Iの出力端に接続され、出力端OrpQはBPF−Qの出力端に接続される。複素係数トランスバーサルフィルタ115は、入力端Irpから実信号S11Aを入力し、出力端OrpIおよびOrpQから、互いに90°の位相差を有する複素信号S11Bの実部S11BIおよび虚部S11BQをそれぞれ出力する。
Localb116はRF信号の周波数とIF信号の周波数との差の周波数を有し、該周波数をA1とする。Localb116は実部がcos、虚部がsinよりなる複素ローカル信号を出力する。以下、Localb116が出力する複素ローカル信号を「周波数A1の複素ローカル信号」という。尚、前述したLocalb813はLocalb116と同じ周波数を有する。また、これ以降に言及する複素ローカル信号は、いずれも、実部がcos、虚部がsinよりなる。
全複素ミキサ117は、RF信号である複素信号S11BをIF信号である複素信号S11Cの周波数(所定の周波数)へ周波数変換を行うものであり、例えば乗算器によって構成されるミキサII171と、ミキサIQ172と、ミキサQI174と、ミキサQQ175と、減算器173と、加算器176とから構成される。全複素ミキサ117は、入力端IcmCにおいてlocalb116から周波数A1の複素ローカル信号の実部を入力し、入力端IcmSにおいてlocalb116から周波数A1の複素ローカル信号の虚部を入力し、該信号によって、入力端IcmIおよびIcmQから入力した複素信号S11Bを、直流に近い信号へ周波数変換を行い、出力端OcmIおよびOcmQから複素信号S11Cを出力する。
ミキサII171は入力端IcmIから入力した複素信号S11Bの実部S11BIと入力端IcmCから入力した周波数A1の複素ローカル信号の実部とを乗算し、減算器173の正入力端に出力する。ミキサIQ172は入力端IcmIから入力した複素信号S11Bの実部S11BIと入力端IcmSから入力した周波数A1の複素ローカル信号の虚部とを乗算し、減算器176の一方の端に出力する。
ミキサQI174は入力端IcmQから入力した複素信号S11Bの虚部S11BQと入力端IcmCから入力した周波数A1の複素ローカル信号の実部とを乗算し、加算器176の他方の入力端に出力する。ミキサQQ175は入力端IcmQから入力した複素信号S11Bの虚部S11BQと入力端IcmSから入力した周波数A1の複素ローカル信号の虚部とを乗算し、減算器173の負入力端に出力する。
減算器173はミキサII171の出力信号からミキサQQ175の出力信号を減算し、複素信号S11Cの実部S11CQとして、出力端OcmIに出力する。加算器176はミキサIQ172の出力信号およびミキサQI174の出力信号を加算し、複素信号S11Cの虚部S11CQとして、出力端OcmQに出力する。
ベースバンド生成部12は、BPF121、122と、AGCアンプ(Auto Gain Control Amplifier)123、124と、A/Dコンバータ125、126と、インバランス補正部127と、局部発振器であるLocalc128と、全複素ミキサ129と、LPF(Low Pass Filter)130、131とから構成される。
BPF121、122は、入力される複素信号S11Cに対して、正負のIF信号の周波数を中心とした所定の範囲の周波数帯域に帯域制限を行い、複素信号S12Dを出力する。AGCアンプ123、124は入力端TAGCにて入力した電圧に応じてゲイン(利得)を制御する。尚、BPF121、122は、LPFを用いてもよい。
A/Dコンバータ125、126は、ベースバンド生成部12の後段に接続される復調部にてディジタル信号処理を行うため、AGCアンプ123、124から出力された複素信号に対してA/D変換を行い、複素信号S12Bをインバランス補正部127に出力する。
インバランス補正部127は、補償値メモリ132と、乗算器133とから構成され、後述するように、AGCアンプ123の出力信号の振幅とAGCアンプ124の出力信号の振幅の差による、A/Dコンバータ125の出力信号S12CIの振幅とA/Dコンバータ126の出力信号S12CQの振幅との差(インバランス)をディジタル的に補正することによって、目的信号帯域にてイメージ周波数妨害の発生を抑制しつつ、目的信号帯域において良好なイメージ抑圧比を得ることができる。
補償値メモリ132は、例えば、A/Dコンバータ126の出力信号S12CQの振幅とA/Dコンバータ125の出力信号S12CIの振幅との比の値(補償値)が、A/Dコンバータ126の出力信号S12CQの振幅に対応して予め格納されている。乗算器133は、入力端IicQにてA/Dコンバータ126の出力信号S12CQの振幅と、該振幅に応じて補償値メモリ132から入力した補償値とを乗算し、乗算結果を出力信号S12DQとして出力端OicQに出力する。尚、入力端IicIにて、A/Dコンバータ125の出力信号S12CIは、出力端OicIに出力信号S12DIとしてそのまま出力される。
Localc128はIF周波数と等しい周波数を有し、該周波数をA2とする。Localc128は周波数A2を有する複素ローカル信号を出力する。以下、Localc128が出力する複素ローカル信号を「周波数A2の複素ローカル信号」という。尚、前述したLocalc823はLocalc128と同じ周波数を有する。
全複素ミキサ129は、全複素ミキサ117と同一の構成であり、入力端IcmCにおいてlocalc128から周波数A2の複素ローカル信号の実部を入力し、入力端IcmSにおいてlocalc128から周波数A2の複素ローカル信号の虚部を入力し、該信号によって、入力端IcmIおよびIcmQにおいてインバランス補正部127から入力した複素信号S12Cを、周波数ゼロの成分を含むベースバンド信号へ周波数変換を行い、出力端OcmIおよびOcmQから複素信号S12Dを出力する。
尚、図1に示す、本発明における低IF型のダウンコンバータの第1の基本構成であるダウンコンバータ1は、図34に示す、従来におけるダウンコンバータ8と比して、以下の点において異なることを特徴とする。すなわち、ダウンコンバータ8はIF生成部81と、ベースバンド生成部82とから構成され、IF生成部11において、IF生成部81に比して、BPF812が複素係数トランスバーサルフィルタ115に置き換えられ、前述した、Localb813と、ミキサI814と、ミキサQ815とから構成される半複素ミキサが、Localb116および全複素ミキサ117に置き換えられている。
また、ベースバンド生成部12においても、ベースバンド生成部82に比して、複素係数フィルタ821が削除され、局部発振器であるLocalc823および減算器822と、ミキサI824と、ミキサQ825とから構成される半複素ミキサが、Localc128および全複素ミキサ129に置き換えられ、全複素ミキサ129の出力端OcmIおよびOcmQと、ベースバンド生成部12の出力端TOIおよびTOQとの間に、LPF130および131が、それぞれ、追加挿入されている。
また、Localb116、Localb813、Localc128、Localc823、および後述するLocalc136は、複素周波数軸上にて、負の周波数−fcの付近にスペクトルを有する複素ローカル信号を出力する。つまり、該複素ローカル信号の周波数は負の周波数−fcとなる。
尚、従来におけるデュアルコンバージョン型のダウンコンバータとして、図35に示すように、従来におけるシングルコンバージョン型のダウンコンバータ8において、IF生成部81内のLNA111とBPF812との間に、BPF112と乗算器であるミキサA113と局部発振器であるLocala114とからなる周波数変換器が介挿された構成のIF生成部81aを有するダウンコンバータ8aが存在する。
また、本発明の第1の基本構成例におけるデュアルコンバージョン型のダウンコンバータとして、図2に示すように、本発明の第1の基本構成例におけるシングルコンバージョン型のダウンコンバータ1において、IF生成部11が、LNA111と複素係数トランスバーサルフィルタ115との間に、上述した周波数変換器が介挿されたIF生成部11aに置き換えられたダウンコンバータ1aが存在する。
尚、図2においては、ベースバンド生成部12に代えて、全複素ミキサ129とLPF130、131とを、複素係数フィルタ821およびLocalc823ならびに減算器822と、ミキサI824とミキサQ825とから構成される半複素ミキサとによって置き換えたベースバンド生成部12aが構成されている。
また、本発明の第1の基本構成例におけるデュアルコンバージョン型のダウンコンバータとして、図2に示すように、本発明の第1の基本構成例におけるシングルコンバージョン型のダウンコンバータ1において、IF生成部11が、LNA111と複素係数トランスバーサルフィルタ115との間に、上述した周波数変換器が介挿されたIF生成部11aに置き換えられたダウンコンバータ1aが存在する。
尚、図2においては、ベースバンド生成部12に代えて、全複素ミキサ129とLPF130、131とを、複素係数フィルタ821およびLocalc823ならびに減算器822と、ミキサI824とミキサQ825とから構成される半複素ミキサとによって置き換えたベースバンド生成部12aが構成されている。
次に、上述したダウンコンバータ1の動作の概略を説明する。アンテナから入力端TRFにて入力された実信号RFがLNA111によって増幅され、実信号S11Aが出力される。複素係数トランスバーサルフィルタ115が、該信号を入力し、複素信号S11Bを全複素ミキサ117に出力する。全複素ミキサ117は、Localb116から入力した周波数A1の複素ローカル信号によって、直流に近い信号(IF信号)へ周波数変換を行い、複素信号S11Cを、BPF121およびBPF122に出力する。
BPF121およびBPF122は、複素信号S11Cの帯域制限処理を行い、複素信号S12AをAGCアンプ123および124に出力する。AGCアンプ123および124は、複素信号S12Aの実部S12AIおよび虚部S12AQの振幅を、A/Dコンバータ125および126に入力するのに適切な振幅に調整し、A/Dコンバータ125および126に出力する。A/Dコンバータ125および126は入力された信号をA/D変換し、複素信号S12Bをインバランス補正部127に出力する。
インバランス補正部127は、複素信号S12Bを入力し、実部S12BIと虚部S12BQとの差をディジタル的に補正して、複素信号S12Cを出力する。全複素ミキサ129は、複素信号S12Cを、Localc128から出力される周波数A2の複素ローカル信号によって、直流成分を含むベースバンド信号へ周波数変換を行い、複素信号S12DをLPF130および131に出力する。LPF130および131は複素信号S12Dの帯域制限を行い、ベースバンド信号を復調部へ出力する。
尚、本発明の第1の基本構成例におけるデュアルコンバージョン型のダウンコンバータであるダウンコンバータ1aにおいては、図2に示すように、LNA111から出力された実信号S11A0がBPF112によって帯域制限され、ミキサA113においてLocala114から出力された実ローカル信号とミキシングされて実信号S11A0の周波数とLocala114の周波数との和または差の周波数へ周波数変換が行われ、1回目の周波数変換後の信号、つまり、第1IF信号である実信号S11Aが複素係数トランスバーサルフィルタ115に出力される。実信号S11Aは複素係数トランスバーサルフィルタ115によって帯域制限され、全複素ミキサ117においてLocalb116から出力された複素ローカル信号とミキシングされて周波数変換が行われ、2回目の周波数変換後の信号、つまり、第2IF信号である複素信号S11Bがベースバンド生成部12aに出力される。
ここで、ダウンコンバータ1aの構成とダウンコンバータ1の構成とを対応付けると、ダウンコンバータ1aにおける実信号S11Aである第1IF信号、複素信号S11Bである第2IF信号が、ダウンコンバータ1における実信号S11AであるRF信号、複素信号S11BであるIF信号に、それぞれ、対応することがわかる。よって、ダウンコンバータ1aの動作の概略については、ダウンコンバータ1における実信号S11AであるRF信号、複素信号S11BであるIF信号を、それぞれ、実信号S11Aである第1IF信号、複素信号S11Bである第2IF信号に置き換えて説明されることになる。
また、上述したダウンコンバータ1aにおいて、複素係数フィルタ821は、複素信号S12Cの帯域制限を行い、実部S12CIを減算器822の正の入力端に出力し、虚部S12CQを減算器822の負の入力端に出力する。減算器822は、実部S12CIから虚部S12CQを減算し、ミキサI824およびミキサQ825に実信号を出力する。ミキサI824は、減算器822から入力した実信号と、Localc823から入力した周波数A2の複素ローカル信号の実部とを乗算し、ミキサQ825は、減算器822から入力した実信号と、Localc823から入力した周波数A2の複素ローカル信号の虚部とを乗算し、実信号の周波数と、Localc823の周波数の差の周波数の信号である複素信号を出力端TOIおよびTOQに出力する。
<低IF型のダウンコンバータにおける複素係数トランスバーサルフィルタ115について>
次に、IF生成部11、11a内の複素係数トランスバーサルフィルタ115の概要および設計法について説明する。
次に、IF生成部11、11a内の複素係数トランスバーサルフィルタ115の概要および設計法について説明する。
複素係数トランスバーサルフィルタ115は、RF信号を、実信号から複素信号に変換する。複素係数トランスバーサルフィルタ115は、変換後の複素信号S11Bの実部S11BIを生成する処理用として偶対称インパルスとのたたみ込み積分を行うトランスバーサルフィルタと、複素信号S11Bの虚部S11BQを生成する処理用として奇対称インパルスとのたたみ込み積分を行うトランスバーサルフィルタとから構成される。上述したトランスバーサルフィルタの特性は任意であり、偶対称インパルスとのたたみ込み積分を行う部分と、奇対称インパルスとのたたみ込み積分を行う部分とは、90°の位相差を持つ信号を出力する。尚、RF信号の実信号から複素信号への変換は、従来、位相器によって実現されていた。
複素係数トランスバーサルフィルタ115は、例えば、予め定められた通過帯域幅Bw/2、阻止帯域減衰量ATTの実係数LPFを設計し、この実係数LPFの係数にejωtを乗じて、中心周波数ω、通過帯域幅Bw、阻止帯域減衰量ATTのフィルタを得る、所謂、周波数シフト法によって設計する。ここでは、中心周波数ω=800MHz、阻止帯域減衰量ATT=39dBとして、複素係数トランスバーサルフィルタ115を設計する。
図3は、複素係数トランスバーサルフィルタ115の実部のインパルス応答を示す図であり、インパルス応答の中心に対して偶対称のインパルス応答を持つ。図4は、複素係数トランスバーサルフィルタ115の虚部のインパルス応答を示す図であり、インパルス応答の中心に対して奇対称のインパルス応答を持つ。尚、上述した複素係数トランスバーサルフィルタ115は、サンプリング周波数を2.4GHzとしている。
次に、IF生成部11、11a内の複素係数トランスバーサルフィルタ115の動作の詳細を説明する。
図1において、入力端TRFにて実信号RFを入力することにより、複素係数トランスバーサルフィルタ115は、入力端IrpにてLNA111から実信号S11Aを入力し、出力端OrpIおよびOrpQから、複素信号S11Bの実部S11BIおよび虚部S11BQを、それぞれ出力する。
図1において、入力端TRFにて実信号RFを入力することにより、複素係数トランスバーサルフィルタ115は、入力端IrpにてLNA111から実信号S11Aを入力し、出力端OrpIおよびOrpQから、複素信号S11Bの実部S11BIおよび虚部S11BQを、それぞれ出力する。
ここで、実信号S11Aが以下のような二つの信号になるように、入力端TRFにて二つの実信号RFを入力する。すなわち、一方の信号は、中心周波数=800MHz、キャリア間隔=1.6MHz、各キャリアの電力=−20dBであるDSB信号であり、この信号を目的信号とする。また、他方の信号は、上述した目的信号より10MHz低い周波数である、周波数=790MHz、電力=0dBのCW(Continuous Wave:無変調波)信号であり、この信号を目的外信号とする。尚、上述した目的外信号は、後述するように、イメージ周波数信号となる。
尚、ダウンコンバータ1aにおいては、1回目の周波数変換後の信号である第1IF信号、つまり、実信号S11Aが、上述したダウンコンバータ1における信号と等しくなるように、入力端TRFにて二つの実信号RFを入力する。すなわち、一方の信号は、中心周波数=400MHz、キャリア間隔=1.6MHz、各キャリアの電力=−20dBであるDSB信号であり、この信号を目的信号とする。また、他方の信号は、上述した目的信号より10MHz低い周波数である、周波数=390MHz、電力=0dBのCW信号であり、この信号を目的外信号とする。そして、locala114の周波数を400MHzとする。ここで、ダウンコンバータ1と同様に、第1IF信号から第2IF信号への変換における目的外信号はイメージ周波数信号となる。
この結果、出力端OrpIおよびOrpQにおいて観測される複素信号S11Bのスペクトルは、図5のようになる。破線は複素係数トランスバーサルフィルタ115の周波数特性であり、上述した目的信号およびイメージ周波数信号は複素係数トランスバーサルフィルタ115の通過帯域内にあるが、負の周波数にあるイメージ周波数信号は複素係数トランスバーサルフィルタ115の通過帯域外にあり、39dB抑圧されることがわかる。
<低IF型のダウンコンバータにおける全複素ミキサ117の動作の詳細について>
次に、IF生成部11、11a内の全複素ミキサ117の動作の詳細を説明する。
ここで、全複素ミキサ117と、図34に示す、Localb813およびミキサI814ならびにミキサQ815から構成される半複素ミキサとにおいて、同等の処理(周波数シフトのための時間領域処理)が行われるので、図34における半複素ミキサについて説明を行う。
次に、IF生成部11、11a内の全複素ミキサ117の動作の詳細を説明する。
ここで、全複素ミキサ117と、図34に示す、Localb813およびミキサI814ならびにミキサQ815から構成される半複素ミキサとにおいて、同等の処理(周波数シフトのための時間領域処理)が行われるので、図34における半複素ミキサについて説明を行う。
尚、該複素ローカル信号のスペクトルは、負の周波数−fcの付近のみに存在するのが理想的だが、該複素ローカル信号の実部と虚部との振幅の間に誤差が発生するため、現実には、後述するように、正の周波数fcの付近にも、低いレベルのスペクトルが存在することになる。
先ず、実RF信号である実信号S11Aを信号srf(t)、複素信号S11Cを信号sif(t)、上述した複素ローカル信号の振幅をA、複素ローカル信号をA(Loi(t)−jLoq(t))、上述した複素ローカル信号の実部と虚部との間の振幅の誤差をAeとしたとき、
となり、第2項に示すように、複素ローカル信号の実部と虚部間の振幅の誤差Aeの存在により発生する誤差信号によって、目的の周波数変換に対して反対方向の周波数変換が行われる。ここで、実信号S11Aは、互いに複素共役な複素信号srfp(t)とsrfm(t)の合成であるから、
となることから、ローカル信号の誤差信号によりプラス方向の周波数変換操作が行われ、ローカル信号の誤差信号以外の信号である非誤差信号によって、マイナス方向の周波数変換が行われることがわかる。そして、BPF121および122によって、ダウンコンバージョン操作(直流に近い周波数に変換する操作)を行う項(第1項、第4項)以外の項(第2項、第3項)を抑圧すると、
となる。これより、第1項に示すように、実信号S11Aの正の周波数の信号について、マイナス方向への周波数シフトによる目的信号の周波数変換に対して、ローカル信号が誤差信号を含むことにより、第2項に示すように、実信号S11Aの正の周波数の信号に対する複素共役信号である負の周波数の信号について、プラス方向へ周波数が発生する。このとき、目的信号である実信号S11Aの周波数よりもIF信号の周波数の2倍だけ低い周波数に信号が存在すると、この信号の負の周波数のプラス方向への周波数シフトされた信号周波数はIF信号に変換された目的信号の周波数と一致し、イメージ周波数妨害を発生する。
ここで、位相誤差φeによるイメージ抑圧比の劣化を考慮すると、イメージ抑圧比IMRmixは、
によって求められる。イメージ抑圧比が劣化している例として、ローカル信号の実部Iの振幅と虚部Qの振幅との間に10%の誤差があり、位相誤差φe=0である(位相誤差がない)場合、Ae=0.1、cosφe =1となり、(式4)から、上述した半複素ミキサの出力におけるイメージ抑圧比IMRmixは、26dBと算出される。
尚、従来におけるデュアルコンバージョン型のダウンコンバータ8aは、前述したように、第1IF信号、第2IF信号が、従来におけるダウンコンバータ8のRF信号、IF信号にそれぞれ対応する。また、ダウンコンバータ8aにおいて半複素ミキサが第2IF信号を生成するための局部発振器であるLocalb813が、ダウンコンバータ8において半複素ミキサがIF信号を生成するための局部発振器であるLocalb813と対応する。そのため、第1IF信号、第2IF信号、Localb116が出力する複素ローカル信号を、ダウンコンバータ8におけるRF信号、IF信号、Localb116が出力する複素ローカル信号に置き換えることにより、ダウンコンバータ8aにおいても、(式1〜4)が成立する。ここで、簡単のため、第1IF信号によるイメージ妨害は、BPF112によって完全に抑圧されているものとする。
次に、ダウンコンバータ8において、上述した半複素ミキサがイメージ周波数信号を抑圧する様子を、複素周波数軸上のスペクトルの処理として図6に示し、該処理の説明を行う。
先ず、図6(a)に示すように、複素周波数軸上のスペクトルとして、実信号S11Aが、Localb813から出力される複素ローカル信号の正の周波数fcの付近において、信号s1p(t)および信号s2p(t)を有することを想定する。ここで、実信号S11Aは、前述したように、互いに複素共役な複素信号の合成であるから、実信号S11Aを信号srf(t)とすると、
但し、
とする。これにより、図6(a)に示すように、複素周波数軸上のスペクトルとして、実信号S11Aが、複素ローカル信号の負の周波数−fcの付近においても、信号s1p(t)および信号s2p(t)と共役な信号s1m(t)および信号s2m(t)を有することになる。尚、信号s1p(t)および信号s2p(t)と、信号s1m(t)および信号s2m(t)とは、それぞれ振幅が等しい。
次に、上述した複素ローカル信号は、複素周波数軸上のスペクトルとして、理想的には、負の周波数−fcの付近において、非誤差信号のみ有する。このとき、複素ローカル信号の周波数が負の周波数であるという。しかしながら、現実には、複素ローカル信号は、実部と虚部間の振幅の誤差Aeのために、図6(b)に示すように、非誤差信号L1(t)と、正の周波数fcの付近において、誤差信号L1e(t)とを有する。これにより、複素ローカル信号をLrf(t)とすると、
となる。尚、誤差信号L1e(t)の振幅は、非誤差信号L1(t)の振幅より小さい。
そして、実信号11Asrf(t)と複素ローカル信号Lrf(t)とが、半複素ミキサにおいて半複素ミキシング(複素乗算)され、複素信号S11Cが生成される。複素信号S11Cをsif(t)とすると、
となる。これにより、複素信号S11Cは、複素周波数軸上のスペクトルとして、図6(c)に示すような各信号を有する。以下、各信号について、説明を行う。
実信号S11Aの負の周波数−fc付近にある信号s1m(t)および信号s2m(t)が、複素ローカル信号Lrf(t)の負の周波数−fcの非誤差信号L1(t)と乗算され、複素ローカル信号の負の周波数の2倍の周波数−2fc付近において、信号s1m(t)L1(t)および信号s2m(t)L1(t)が生成される。また、実信号S11Aの正の周波数+fc付近にある信号s1p(t)および信号s2p(t)が、複素ローカル信号Lrf(t)の正の周波数+fcの誤差信号L1e(t)と乗算され、複素ローカル信号の正の周波数の2倍の周波数+2fc付近において、信号s1p(t)L1e(t)および信号s2p(t)L1e(t)が生成される。
また、実信号S11Aの正の周波数+fc付近にある信号s1p(t)および信号s2p(t)が、複素ローカル信号Lrf(t)の負の周波数−fcの非誤差信号L1(t)と乗算され、直流に近い周波数において、信号s1p(t)L1(t)および信号s2p(t)L1(t)が生成される。また、実信号S11Aの負の周波数−fc付近にある信号s1m(t)および信号s2m(t)が、複素ローカル信号Lrf(t)の正の周波数+fcの誤差信号L1e(t)と乗算され、直流に近い周波数において、信号s1m(t)L1e(t)および信号s2m(t)L1e(t)が生成される。
以上のことより、直流に近い周波数において、次のように、イメージ周波数妨害が発生する。すなわち、信号s1p(t)L1(t)と信号s2m(t)L1e(t)とが同一の周波数に存在し、信号s2p(t)L1(t)と信号s1m(t)L1e(t)とが同一の周波数に存在することになり、互いに妨害し合う関係となる。すなわち、信号s1p(t)は、複素ローカル信号の正の周波数+fcに関して対称な信号s2p(t)と直流に関して対称な信号s2m(t)によって妨害され、信号s2p(t)は、複素ローカル信号の正の周波数+fcに関して対称な信号s1p(t)と直流に関して対称な信号s1m(t)によって妨害されることになる。
ここで、現実における信号、つまり、実信号または理想的でない複素信号においては、正の周波数において信号が存在すると、それに応じて、正の周波数に対して、直流に関して対称である負の周波数において、信号が存在することになる。そのため、信号s1p(t)は、結果的に、複素ローカル信号の正の周波数+fcに関して対称な信号s1m(t)によって妨害を受けることになり、信号s1p(t)が、正の周波数+fcに関して鏡像状の関係にある周波数の信号s2p(t)によって妨害されることになる。これらのことより、信号s2p(t)は、信号s1p(t)のイメージ周波数信号であり、信号s1p(t)がイメージ周波数信号s2p(t)により妨害を受けるという。また、上記と同様に、信号s1p(t)は、信号s2p(t)のイメージ周波数信号であり、信号s2p(t)がイメージ周波数信号s1p(t)により妨害を受けるという。
次に、本発明における低IF型のダウンコンバータの第1の基本構成例であるダウンコンバータ1内のIF生成部11の動作の詳細を、図34に示す、従来における低IF型のダウンコンバータ8の動作の詳細と比較しながら説明する。ここで、ローカル信号がLocalb813から出力され、Localb813の周波数が795MHzであるとする。また、前述したように、該ローカル信号の実部Iの振幅と虚部Qの振幅との間に10%の誤差があり、位相誤差φe=0であるとする。
先ず、従来におけるダウンコンバータ8の動作の詳細を説明する。ダウンコンバータ8の入力端TRFにて、ダウンコンバータ1と同様に、実信号S11Aが以下のような二つの信号になるように、入力端TRFにて二つの実信号RFを入力する。すなわち、一方の信号は、中心周波数=800MHz、キャリア間隔=1.6MHz、各キャリアの電力=−20dBであるDSB信号であり、この信号を目的信号とする。また、他方の信号は、上述した目的信号より10MHz低い周波数である、周波数=790MHz、電力=0dBのCW信号であり、この信号を目的外信号とする。
また、ダウンコンバータ8aにおいては、1回目の周波数変換後の信号である第1IF信号、つまり、実信号S11Aが、上述したダウンコンバータ8における信号と等しくなるように、入力端TRFにて二つの実信号RFを入力する。すなわち、一方の信号は、中心周波数=400MHz、キャリア間隔=1.6MHz、各キャリアの電力=−20dBであるDSB信号であり、この信号を目的信号とする。また、他方の信号は、上述した目的信号より10MHz低い周波数である、周波数=390MHz、電力=0dBのCW信号であり、この信号を目的外信号とする。そして、locala114の周波数を400MHzとする。ここで、ダウンコンバータ1と同様に、第1IF信号から第2IF信号への変換における目的外信号はイメージ周波数信号となる。
実信号S11Aは、前述した半複素ミキサによって、実信号S11Aの周波数(800MHz、790MHz)とLocalb813の周波数(795MHz)との差の周波数(5MHz)の複素信号S11Cに変換される。
このとき、実信号S11Aは、複素周波数軸上にて、目的信号と同じ振幅の信号を、目的信号の周波数に負の符号を付した周波数(以下、負の周波数という)付近において有する。また、目的外信号と同じ振幅の信号を、目的外信号の負の周波数において有する。以下、目的信号の正の周波数付近の信号を信号aとし、負の周波数付近の信号を信号bとする。また、目的外信号の正の周波数の信号を信号cとし、負の周波数の信号を信号dとする。
半複素ミキサによって、信号aは、実信号S11Aの正の周波数(800MHz)とLocalb813の正の周波数(795MHz)との差の周波数である5MHz(=800MHz−795MHz)付近に移動する。信号bは、実信号S11Aの正の周波数(790MHz)とLocalb813の正の周波数との差の周波数である−5MHz(=790MHz−795MHz)付近に移動する。
また、信号cは、実信号S11Aの負の周波数(−790MHz)とLocalb813の負の周波数(−795MHz)との差の周波数である5MHz(=−790MHz−(−795MHz))に移動する。信号dは、実信号S11Aの負の周波数(−800MHz)とLocalb813の負の周波数(−795MHz)との差の周波数である−5MHz(=−800MHz−(−795MHz))に移動する。
また、信号cは、実信号S11Aの負の周波数(−790MHz)とLocalb813の負の周波数(−795MHz)との差の周波数である5MHz(=−790MHz−(−795MHz))に移動する。信号dは、実信号S11Aの負の周波数(−800MHz)とLocalb813の負の周波数(−795MHz)との差の周波数である−5MHz(=−800MHz−(−795MHz))に移動する。
以上より、半複素ミキサによって生成された複素信号S11Cにおいて、以下の周波数付近にて、次のように、異なる信号が存在することになる。すなわち、周波数5MHz付近においては、信号aが占有する帯域に信号dが存在し、周波数−5MHz付近においては、信号bが占有する帯域に信号cが存在することになる。そして、同一の周波数帯域に異なる信号が共存する場合、一方が他方を妨害することになる。
ところで、半複素ミキサにおいては、前述したように、複素ローカル信号が、正の周波数+fcにおいて、負の周波数−fcにおける非誤差信号L1(t)より小さい振幅の誤差信号L1e(t)を有しているため、これらの信号と乗算される信号a〜dの振幅について、以下のような変化が生ずる。すなわち、正の周波数+fcにおける誤差信号L1e(t)と乗算される信号b、dの振幅が、負の周波数−fcにおける非誤差信号L1(t)と乗算される信号a、cの振幅に比して小さくなる。その結果、複素信号S11Cのスペクトルは、図36に示すようになる。この図に示されるように、信号dは信号cに比して、26dB抑圧されており、半複素ミキサを用いることにより、イメージ抑圧比が26dB改善されることになる。尚、信号bは、信号aに対して、26dB抑圧されることがわかる。
上記の状態は、信号dが信号aに対して十分抑圧されているとは言い難い。しかしながら、本発明における低IF型のダウンコンバータ1は、前述したように、複素係数トランスバーサルフィルタ115によって負の周波数の信号を39dB抑圧するので、前述した信号b、dが全複素ミキサ117に入力される前に39dB抑圧され、さらに全複素ミキサ117によって26dB抑圧されるので、図7に示すように、信号dは信号cに比して、−65dB抑圧され、複素係数トランスバーサルフィルタ115およびイメージリジェクションミキサの一種である全複素ミキサ117を用いることにより、イメージ抑圧比が−65dBに改善されることになる。尚、信号bは、信号aに対して、−65dB抑圧されていることがわかる。尚、複素係数トランスバーサルフィルタ115が負の周波数の信号を抑圧するので、(式3)の第2項が抑圧され、イメージ抑圧比が改善されることがわかる。
尚、デュアルコンバージョン型のダウンコンバータ1aにおいても、前述したように信号、Localb116の周波数を設定することにより、第1IF信号から第2IF信号への変換において、シングルコンバージョン型のダウンコンバータ1と同等のイメージ抑圧比を得ることができる。
次に、本発明における低IF型のダウンコンバータの第1の基本構成であるダウンコンバータ1において、複素係数トランスバーサルフィルタ115および全複素ミキサ117によってイメージ周波数信号が抑圧される様子を、複素周波数軸上のスペクトルの処理として図8に示し、該処理の説明を行う。
前述した、従来における低IF型のダウンコンバータ8と同様に、実信号S11Aは、図8(a)に示すように、複素周波数軸上のスペクトルとして、複素ローカル信号の正の周波数+fcの付近において、信号s1p(t)および信号s2p(t)を有し、複素ローカル信号の負の周波数−fcの付近においても、信号s1p(t)および信号s2p(t)と共役な信号s1m(t)および信号s2m(t)を有することになる。尚、信号s1p(t)および信号s2p(t)と、信号s1m(t)および信号s2m(t)とは、それぞれ振幅が等しい。
そして、実信号S11Aが複素係数トランスバーサルフィルタ115に入力され、複素係数トランスバーサルフィルタ115から複素信号S11Bが出力される。前述したように、複素係数トランスバーサルフィルタ115が負の周波数の信号を抑圧するため、複素信号S11Bは、図8(b)に示すように、複素周波数軸上のスペクトルとして、複素ローカル信号の正の周波数+fcの付近において、信号s1p(t)および信号s2p(t)のみを有するようになる。ここで、複素信号S11Bを信号s’rf(t)とすると、
となる。ここで、Localb116から出力される複素ローカル信号は、Localb813から出力される複素ローカル信号と同様に、(式6)が示す、信号Lrf(t)によって表され、図8(c)に示すようになる。そして、複素信号11Bsrf(t)と複素ローカル信号Lrf(t)とが、全複素ミキサ117において全複素ミキシング(複素乗算)され、複素信号S11Cが生成される。複素信号S11Cをsif(t)とすると、
となる。これにより、複素信号S11Cは、複素周波数軸上のスペクトルとして、図8(d)に示すような各信号を有する。すなわち、複素信号S11Bの正の周波数+fc付近にある信号s1p(t)および信号s2p(t)が、複素ローカル信号Lrf(t)の負の周波数−fcの非誤差信号L1(t)と乗算され、直流に近い周波数において、信号s1p(t)L1(t)および信号s2p(t)L1(t)が生成される。
上述したように、ダウンコンバータ1における複素信号S11Cは、同じ周波数付近に異なる信号が同居しないため、従来におけるダウンコンバータ8と異なり、イメージ周波数妨害は発生しない。以上より、複素係数トランスバーサルフィルタ115が負の周波数の信号を抑圧することより、イメージ周波数妨害が発生しなくなる。
尚、実際には、複素係数トランスバーサルフィルタ115による負の周波数の信号に対する減衰量が有限の値であるため、負の周波数の信号を完全に抑圧することはできないが、トータルとしてみたイメージ抑圧比は、全複素ミキサ117により得られる値に対して、複素係数トランスバーサルフィルタ115によって得られる値だけ、改善されることになる。
また、上述したダウンコンバータ1において、以下のようにイメージ周波数を設定することにより、イメージ抑圧比の向上を図ることができる。
例えば、イメージ周波数が目的信号の周波数から、図5に示す周波数特性を有する複素係数トランスバーサルフィルタ115の通過帯域幅の半分の周波数(18MHz)以上の周波数だけ離れた周波数になるようにIF信号の周波数を25MHzに設定し、イメージ周波数が複素係数トランスバーサルフィルタ115の通過帯域外になるようにする。このとき、目的信号の周波数が800MHzとすると、Localb116の周波数は775MHzとなる。
ここで、実信号S11Aが以下のような二つの信号になるように、入力端TRFにて二つの実信号RFを入力する。すなわち、一方の信号は、中心周波数=800MHz、キャリア間隔=1.6MHz、各キャリアの電力=−20dBであるDSB信号であり、この信号を目的信号とする。また、他方の信号は、上述した目的信号より50MHz低い周波数である、周波数=750MHz、電力=0dBのCW信号であり、この信号を目的外信号とする。尚、上述した目的外信号は、目的信号に対するイメージ周波数信号となる。
また、ダウンコンバータ1aにおいては、1回目の周波数変換後の信号である第1IF信号、つまり、実信号S11Aが、上述したダウンコンバータ1における信号と等しくなるように、入力端TRFにて二つの実信号RFを入力する。すなわち、一方の信号は、中心周波数=400MHz、キャリア間隔=1.6MHz、各キャリアの電力=−20dBであるDSB信号であり、この信号を目的信号とする。また、他方の信号は、上述した目的信号より50MHz低い周波数である、周波数=350MHz、電力=0dBのCW信号であり、この信号を目的外信号とする。そして、locala114の周波数を400MHzとする。ここで、ダウンコンバータ1と同様に、目的外信号はイメージ周波数信号となる。また、ダウンコンバータ1aにおいては、第2IF信号が、後述するIF信号に対応する。
ここで、IF信号である複素信号S11Cの周波数を25MHzに設定したときの、全複素ミキサ117の出力信号である複素信号S11Cのスペクトルを図9に示す。前述したように、図9は、IF信号の周波数を5MHzから25MHzに変更したときに、ダウンコンバータ1内のIF生成部11における複素信号S11Cのスペクトルであるため、IF信号の周波数が5MHzであるときの複素信号S11Cのスペクトル(図7)と比較して説明する。
図9における、信号a’’〜d’’は、IF生成部11において、IF信号の周波数を5MHzから25MHzに変更したときの信号であるため、図7における、信号a〜dにそれぞれ相当し、信号a’’〜d’’が生成される過程も、IF信号の周波数以外は信号a〜dとそれぞれ同一である。
ここで、信号c’’は、IF生成部11におけるイメージ周波数(750MHz)信号がLocalb116によって周波数変換(周波数が−775MHzだけシフト)された信号である。尚、ダウンコンバータ1aにおいては、信号c’’は、IF生成部11aにおいて、前述した350MHzの信号が前述した周波数変換器によって400MHz上昇されて生成されたイメージ周波数(750MHz)信号が、Localb116によって周波数変換(周波数が−775MHzだけシフト)された信号である。
そのため、上述した信号c’’は、複素係数トランスバーサルフィルタ115の入力端Irpにおいては、前述したように、複素係数トランスバーサルフィルタ115の通過帯域(800MHz±18MHz)外の信号である。そのため、信号c’’は、複素係数トランスバーサルフィルタ115を通過することにより、図9に示すように、図7に示す信号c(IF信号の周波数が5MHzの場合の信号)に比して、39dB抑圧される。
また、IF信号の周波数が5MHzの場合と同様に、複素係数トランスバーサルフィルタ115の出力信号である複素信号S11Bの負の周波数の信号がLocalb116からの周波数A1の複素ローカル信号の実部と虚部との振幅差の存在によってプラス方向に周波数変換されることにより、目的信号である信号a’’に対するイメージ周波数妨害が発生する。このとき、図5に示すように、複素係数トランスバーサルフィルタ115の−25MHz付近における周波数特性が、−5MHz付近における周波数特性と等しいので、IF信号の周波数を5MHzから25MHzに変更しても、複素係数トランスバーサルフィルタ115および全複素ミキサ117を用いて実信号S11Aを複素信号S11Cに変換することによって得られるイメージ抑圧比は同等の値(−65dB)となる。
これらより、次のようなことがいえる。すなわち、信号c’’は、複素係数トランスバーサルフィルタ115および全複素ミキサ117を用いて実信号S11Aを複素信号S11Cに変換することによって得られるイメージ抑圧比に加えて、複素係数トランスバーサルフィルタ115の周波数特性によって、さらに39dBのイメージ抑圧比の改善を図ることができることとなる。これにより、本発明の各基本構成例および各実施形態におけるベースバンド生成部において、入力される信号を複素信号化することによりイメージ抑圧比を改善するだけでなく、入力される信号のイメージ周波数成分を減衰させることによって、イメージ抑圧比を改善することができる。
また、本発明においては、IF生成部11にて、複素係数トランスバーサルフィルタ115および全複素ミキサ117によって、高いイメージ抑圧比が得られる。しかしながら、ベースバンド生成部12の入力端における複素信号S11Cにおいては、図7に示すように、目的周波数(5MHz)信号(信号a)に対して、イメージ周波数(−5MHz)において高レベルの信号(信号c)が存在している。ここで、複素係数フィルタ134の出力信号である複素信号S12Aの実部S12AIと虚部S12AQとが完全に直交していれば、信号aと信号cとは干渉しない。しかし、IF生成部32において複素係数フィルタ134の処理や、AGCアンプ123および124、A/Dコンバータ125および126の処理によって、複素信号S12Bの実部S12BIと虚部S12BQとの間に振幅差があると、信号cによって、信号aに対してイメージ周波数妨害が発生する。
そこで、複素信号S12Bの実部S12BIと虚部S12BQとの間の振幅差を補正することにより、IF生成部32におけるイメージ周波数妨害の発生を抑制する。その補正の具体的な手段の一つとして、上述したインバランス補正部127によって、複素信号S12Bの実部S12BIと虚部S12BQとの間にて発生し易い振幅誤差によるイメージ周波数妨害の発生を抑制する。これにより、IF信号における性能の劣化を改善することが可能となる。
尚、デュアルコンバージョン型のダウンコンバータ1aにおいても、前述したように信号、Localb116の周波数を設定することにより、シングルコンバージョン型のダウンコンバータ1と同等のイメージ抑圧比を得ることができる。
<低IF型のダウンコンバータにおける複素係数SAWフィルタ150、157について>
次に、図1における複素係数トランスバーサルフィルタ115の具体的構成例である複素係数SAWフィルタ150について、図10を参照して説明する。尚、複素係数トランスバーサルフィルタ115は、他に、スイッチドキャパシタ回路、電荷結合素子(CCD:Charge Coupled Devices)を用いて構成することができるが、高い周波数においてはSAWフィルタが適している。
尚、上述した複素係数SAWフィルタ150を使用したダウンコンバータの具体例は、後述する本発明の第1〜3の実施形態において詳説する。
次に、図1における複素係数トランスバーサルフィルタ115の具体的構成例である複素係数SAWフィルタ150について、図10を参照して説明する。尚、複素係数トランスバーサルフィルタ115は、他に、スイッチドキャパシタ回路、電荷結合素子(CCD:Charge Coupled Devices)を用いて構成することができるが、高い周波数においてはSAWフィルタが適している。
尚、上述した複素係数SAWフィルタ150を使用したダウンコンバータの具体例は、後述する本発明の第1〜3の実施形態において詳説する。
複素係数SAWフィルタ150は、トランスバーサル型SAWフィルタによって構成され、例えば、水晶やセラミックといった圧電材料によって構成される圧電基板151の表面に、すだれ状電極(以下、IDT(:Inter-Digital Transducer)という)152〜155が配置された構造になっている。IDT152〜155は、櫛型をなし、交互に対向する二つの電極指によって構成される。
IDT152および154は、圧電基板151上に、図10の紙面の垂直方向に関して、一直線上に並べて配置されており、IDT154は、IDT152を垂直方向に関して平行移動した位置関係にある。IDT152および154の同じ位置関係にある電極指が、複素係数SAWフィルタ150の入力端に共通に接続され、他方の電極指が圧電基板151に接地される。以上のように、IDT152および154は、入力用のIDTとなる。
また、圧電基板151の上に、紙面の水平方向に関して、予め定められた間隔をおいて、IDT152および154に対向して、IDT153および155が配置され、IDT152および154と、IDT152および154とによって、弾性表面波の伝播路が二つ形成される。IDT153および155は、図10に示すように、対向する電極指の交差幅が場所毎に異なるように、圧電基板151上に配置される。ここで、IDT153は、IDT153の対向する電極指の間隙によって形成される曲線(包絡線)が該曲線の中心に対して偶対称になるように、圧電基板151上に配置される。また、IDT155は、IDT155の対向する電極指の間隙によって形成される曲線が、該曲線の中心に対して奇対称になるように、圧電基板151上に配置される。
IDT153および155の同じ位置関係にある電極指が、出力端IおよびQにそれぞれ接続され、他方の電極指が圧電基板151に接地される。以上のように、IDT153および155は、出力用のIDTとなる。
次に、複素係数SAWフィルタ150の動作および設計法について説明する。
IDT152および154にインパルス電気信号が印加されると、圧電基板151は、IDT152および154の電極指の間隙において、入力端に接続された電極指と接地された電極指との間に発生した電位差による圧電効果によって、機械的な歪みを生じ、弾性表面波(SAW)が励振され、圧電基板151上にて、紙面に関して水平方向に伝搬する。そして、IDT153および155の電極指の間隙において、弾性表面波の伝播に伴い、圧電基板151に機械的な歪みを生じ、その歪みによる圧電効果によって、IDT153の電極指、または、出力端Qに接続されたIDT155の電極指と、接地された電極指との間に発生した電位差が、出力端Iまたは出力端Qから信号としてそれぞれ取り出される。
IDT152および154にインパルス電気信号が印加されると、圧電基板151は、IDT152および154の電極指の間隙において、入力端に接続された電極指と接地された電極指との間に発生した電位差による圧電効果によって、機械的な歪みを生じ、弾性表面波(SAW)が励振され、圧電基板151上にて、紙面に関して水平方向に伝搬する。そして、IDT153および155の電極指の間隙において、弾性表面波の伝播に伴い、圧電基板151に機械的な歪みを生じ、その歪みによる圧電効果によって、IDT153の電極指、または、出力端Qに接続されたIDT155の電極指と、接地された電極指との間に発生した電位差が、出力端Iまたは出力端Qから信号としてそれぞれ取り出される。
このとき、入力側のIDTであるIDT152および154においては、電極指が節となるような弾性表面波が励起され易くなり、電極指の間隔(ピッチ)を変更することにより、任意の波長の弾性表面波を励起することができる。また、出力側のIDTであるIDT153および155においては、電極指が節となるような弾性表面波に対して、電極指間に電位差が発生し易くなり、電極指の間隔を変更することにより、任意の波長の信号を取り出すことができる。以上のことより、SAWフィルタにおいては、少なくとも、入力側または出力側のいずれかのIDTの電極指の間隔を変更することにより、任意の波長の信号を取り出すことができることになる。
また、複素係数SAWフィルタ150は、トランスバーサル型SAWフィルタであり、複素係数SAWフィルタ150のインパルス応答は、IDT152および154における、各電極指(以下、タップという)における重み関数(交差幅)Wi、各タップからの距離xi、弾性表面波の位相速度νによって決まり、その周波数伝達関数H(ω)は、
によって与えられる。これは、重み関数Wiの線形結合であり、トランスバーサルフィルタの基本原理と同じである。前述したように、該弾性表面波は、圧電基板151上において、IDT152および154から、それらに対向して設けられたIDT153および155に伝播し、IDT153および155において、再び電気信号に変換されることにより、所望のフィルタ特性を得ることができる。
また、トランスバーサルフィルタは、重み関数Wiと距離xiを設計することにより、振幅特性および位相特性を独立に規定することができる。そのため、トランスバーサル型SAWフィルタの重み関数Wiと距離xiを設計することにより、複素係数SAWフィルタ150について、所望の特性を得ることができる。
また、トランスバーサルフィルタは、重み関数Wiと距離xiを設計することにより、振幅特性および位相特性を独立に規定することができる。そのため、トランスバーサル型SAWフィルタの重み関数Wiと距離xiを設計することにより、複素係数SAWフィルタ150について、所望の特性を得ることができる。
複素係数SAWフィルタ150は、圧電基板151上に設けられた二つの実係数トランスバーサル型SAWフィルタによって構成される。具体的に、圧電基板151上に設けられた二つの実係数トランスバーサル型SAWフィルタの内の一方は、IDT152を入力用のIDT、IDT154を出力用のIDTとした実係数トランスバーサル型SAWフィルタであり、もう片方は、IDT153を入力用のIDT、IDT155を出力用のIDTとした実係数トランスバーサル型SAWフィルタである。尚、IDT153の電極指は、前述したように、該電極指の間隙によって構成される曲線が電極の中心線に対して偶対称になるように、圧電基板151上に配置され、IDT155の電極指は、該電極指の間隙によって構成される曲線が電極の中心線に対して奇対称になるように、圧電基板151上に配置される。これにより、該複素係数SAWフィルタ150において、IDT153の電極指の間隙によって形成される曲線が実部のインパルス応答に対応するように設定される(以下、これを「電極指に実部のインパルス応答に対応した重みづけが施される」という)。また、IDT155の電極指に虚部のインパルス応答に対応した重みづけが施される。
これにより、複素係数SAWフィルタ150は、入力用のIDTであるIDT152および154に同時に実信号S11Aを入力すると、IDT153に接続された出力端Iからは実部のインパルス応答が出力され、IDT155に接続された出力端Qからは虚部のインパルス応答が出力されることになる。尚、出力端Iにおける出力信号と出力端Qにおける出力信号とは、互いに90°の位相差を有する。
また、複素係数トランスバーサルフィルタ115を複素係数SAWフィルタ150によって実現することにより、以下の利点がある。すなわち、SAWフィルタは電極の寸法によって特性が決まり、また、現在の微細加工技術を用いることにより、該SAWフィルタの電極の寸法を精度よく形成することが可能であるため、所望の特性バラツキを少なくすることができ、装置全体における性能向上を図ることができる。
尚、本基本構成例においては、出力用IDTであるIDT153および155に上述した重み付けを施したが、入力用IDTであるIDT152および154に重み付けを施してもよい。
また、図11に示すように、複素係数SAWフィルタ150における入力用のIDT152および154を、それらと対向する出力用のIDT153および155と対向する構造であるIDT156に置き換えた構成の複素係数SAWフィルタ157を使用してもよい。上述したIDT156は、対向する出力用のIDT153および155との間に形成される二つの弾性表面波の伝播路に跨ることになる。
<低IF型のダウンコンバータの第2の基本構成例>
次に、図12に示す、本発明における低IF型のダウンコンバータの第2の基本構成例の説明を行う。上述したダウンコンバータ2のブロック構成は、図1と類似しているが、ベースバンド生成部22の構成および動作が、第1の基本構成例であるダウンコンバータ1におけるベースバンド生成部12と異なっている。
以下、図に従って、第2の基本構成例であるダウンコンバータ2について説明する。
次に、図12に示す、本発明における低IF型のダウンコンバータの第2の基本構成例の説明を行う。上述したダウンコンバータ2のブロック構成は、図1と類似しているが、ベースバンド生成部22の構成および動作が、第1の基本構成例であるダウンコンバータ1におけるベースバンド生成部12と異なっている。
以下、図に従って、第2の基本構成例であるダウンコンバータ2について説明する。
ベースバンド生成部22は、第1の基本構成例におけるベースバンド生成部12に比して、BPF121および122が複素係数フィルタ134(複素係数フィルタ)に置き換えられ、インバランス補正部127が削除されているところが異なる。
複素係数フィルタ134は、図13に示すような複素係数トランスバーサルフィルタによって実現される。該複素係数トランスバーサルフィルタは、係数が複素係数であり、BPF−Ia321と、BPF−Ib322と、BPF−Qa323と、BPF−Qb324と、減算器325と、加算器326とから構成される。
BPF−Ia321は入力端Iiから入力した信号に対して、目的とする周波数付近のみを通過させるフィルタ処理を行い、処理後の信号を減算器325の正入力端に出力し、BPF−Ib322は入力端Qiから入力した信号に対して、該フィルタ処理を行い、処理後の信号を加算器326の一方の入力端に出力する。BPF−Ia321およびBPF−Ib322は係数の実部についての処理を行う。
BPF−Qa323は入力端Iiから入力した信号に対して、該フィルタ処理を行い、処理後の信号を加算器326の他方の入力端に出力し、BPF−Qb324は入力端Qiから入力した信号に対して、該フィルタ処理を行い、処理後の信号を減算器325の負入力端に出力する。BPF−Qa323およびBPF−Qb324は係数の虚部についての処理を行う。
減算器325はBPF−Ia321の出力信号からBPF−Qb324の出力信号を減算し、減算結果を出力信号の実部として出力端Ioに出力する。加算器326はBPF−Ib322の出力信号およびBPF−Qa323の出力信号を加算し、加算結果を出力信号の虚部として出力端Qoに出力する。
次に、上述した複素係数トランスバーサルフィルタの設計法の例について説明する。
該複素係数トランスバーサルフィルタは、第1の基本構成例における複素係数トランスバーサルフィルタ115と同様に、前述した周波数シフト法によって設計する。ここでは、中心周波数ω=5MHzとして、該複素係数トランスバーサルフィルタを設計する。尚、複素係数トランスバーサルフィルタは、複素バンドパス特性を有することができるので、帯域制限フィルタを兼ねることができる。
該複素係数トランスバーサルフィルタは、第1の基本構成例における複素係数トランスバーサルフィルタ115と同様に、前述した周波数シフト法によって設計する。ここでは、中心周波数ω=5MHzとして、該複素係数トランスバーサルフィルタを設計する。尚、複素係数トランスバーサルフィルタは、複素バンドパス特性を有することができるので、帯域制限フィルタを兼ねることができる。
図14は、該複素係数トランスバーサルフィルタの実部のインパルス応答を示す図であり、インパルス応答の中心に対して偶対称のインパルス応答を持つ。図15は、該複素係数トランスバーサルフィルタの虚部のインパルス応答を示す図であり、インパルス応答の中心に対して奇対称のインパルス応答を持つ。尚、上述した複素係数トランスバーサルフィルタは、サンプリング周波数を150MHzとしている。
次に、ベースバンド生成部22の動作について、図12を参照して説明する。
IF生成部22の動作は、第1の基本構成例におけるベースバンド生成部12の動作と類似しているので、相違点のみについて説明する。
尚、本基本構成例におけるダウンコンバータ2の入力端TRFにて、第1の基本構成例であるダウンコンバータ1の入力端TRFにて入力された信号と同様の信号が入力されるとする。
IF生成部22の動作は、第1の基本構成例におけるベースバンド生成部12の動作と類似しているので、相違点のみについて説明する。
尚、本基本構成例におけるダウンコンバータ2の入力端TRFにて、第1の基本構成例であるダウンコンバータ1の入力端TRFにて入力された信号と同様の信号が入力されるとする。
ここで、端子TIおよびTQにおける複素信号S11Cを信号sif(t)とする。信号sif(t)である複素信号S11Cの実部S11CIと虚部S11CQとの間に振幅の誤差がある場合、実部S11CIの振幅をB、実部S11CIである信号sifi(t)と虚部S11CQである信号sifq(t)との振幅の誤差をBeとし、信号sif(t)が、信号sifi(t)と信号sifq(t)との合成であるので、
となることから、目的信号の周波数に対する負の周波数、換言すると、目的信号の周波数と絶対値が同じで符合のみ異なる周波数であるイメージ周波数において、また、イメージ周波数の負の周波数である目的信号周波数において、誤差Beの大きさに比例した信号が現れる。つまり、イメージ周波数妨害が再発生することになる。
そこで、本基本構成例においては、前述した複素係数フィルタ134を用いて、複素信号S11Cに対して、以下のような信号処理を行う。すなわち、複素係数フィルタ134に正の周波数を通過帯域とする特性を持たせ、複素係数フィルタ134によって、負の周波数であるイメージ周波数信号を抑圧する処理を行う。これにより、IF生成部11と同様に、ベースバンド生成部22において、イメージ周波数妨害の再発生を回避している。
また、複素信号S12Aは、IF生成部22の入力信号である複素信号S11Cに複素係数フィルタ134による信号処理が施された信号であるから、図7に示す信号a〜dに複素係数フィルタ134による信号処理が施されたスペクトルを有する。ここで、図16において、複素係数フィルタ134として用いている複素係数トランスバーサルフィルタの周波数特性を破線にて示し、複素信号S12Aのスペクトルを実線にて示す。該破線によって示されるように、図7における信号a、dは通過帯域内にあるため、複素係数フィルタ134によって減衰されずに通過し、図16においてもそのままのレベルにて表現される。一方、図7における信号b、cは、阻止帯域内にあるために、図16における信号c’のように減衰することとなる。尚、図7における信号bは、信号c’と同程度減衰した結果、図16において表現しうる最低の振幅(−100dB)以下になり、図16には現れなくなっている。
ここで、ベースバンド生成部22においては、上述したように、複素係数フィルタ134によって、負の周波数であるイメージ周波数信号を抑圧する処理が行われるため、第1の基本構成例のベースバンド生成部12におけるインバランス補正部127が不要となり、これを削除することが可能になっている。
以上のように、本基本構成例においては、複素係数フィルタ134によってIF信号である複素信号S11Cの負の周波数を抑圧することにより、ベースバンド生成部22におけるイメージ周波数妨害の再発生を回避し、イメージ抑圧比のさらなる向上を図ることができる。さらに、イメージ周波数信号を減衰させるので、複素係数フィルタ134より後段のダイナミックレンジに対する要求条件を緩和することが可能となる。
尚、本基本構成例においては、複素係数フィルタ134の前段に位置する全複素ミキサ117が、負の周波数の信号を抑圧して正の周波数の信号を通過させる特性を有しているので、複素係数フィルタ134に正の周波数を通過帯域とする特性を持たせ、負の周波数であるイメージ周波数信号を抑圧する処理を行わせるようにしたが、複素係数フィルタ134に、正の周波数の信号が抑圧され、主に、負の周波数の信号からなる信号が入力される場合、複素係数フィルタ134に負の周波数を通過帯域とする特性を持たせ、正の周波数の信号を抑圧する処理を行わせる。
また、本発明の第1の基本構成例と同様に、本発明の第2の基本構成例におけるデュアルコンバージョン型のダウンコンバータとして、図17に示すように、本発明の第2の基本構成例におけるシングルコンバージョン型のダウンコンバータ2において、IF生成部11内におけるLNA111と複素係数トランスバーサルフィルタ115との間に、上述した周波数変換器が介挿されたIF生成部11aを含む構成のダウンコンバータ2aが存在する。このダウンコンバータ2aは、第1IF信号、第2IF信号を、ダウンコンバータ2のRF信号、IF信号に置き換えて考察すると、同等の特性が得られることがわかる。
また、複素係数フィルタ134は、図13に示す複素係数トランスバーサルフィルタのみでなく、RCによる複素バンドリジェクト特性を有するポリフェーズフィルタや、オペアンプ等を用いた複素係数フィルタを用いてもよい。ここで、ポリフェーズフィルタは、通過帯域が正の周波数付近にある場合、該通過帯域においてフラットな周波数特性を有する。ここで、ポリフェーズフィルタは、前述した複素係数トランスバーサルフィルタとは異なり、複素バンドリジェクト特性を有しているので、帯域制限フィルタを兼ねることはできない。
<低IF型のダウンコンバータにおける複素係数SAWフィルタ340について>
次に、図12に示されるダウンコンバータ2における複素係数フィルタ134として使用される複素係数トランスバーサルフィルタの具体的構成例である、複素係数SAWフィルタ340について、図18を参照して説明する。
また、上述した複素係数SAWフィルタ340を使用したダウンコンバータの具体例は、後述する本発明の第1〜2の実施形態において詳説する。
次に、図12に示されるダウンコンバータ2における複素係数フィルタ134として使用される複素係数トランスバーサルフィルタの具体的構成例である、複素係数SAWフィルタ340について、図18を参照して説明する。
また、上述した複素係数SAWフィルタ340を使用したダウンコンバータの具体例は、後述する本発明の第1〜2の実施形態において詳説する。
複素係数SAWフィルタ340は、第2の基本構成例における複素係数SAWフィルタ150と同様の構成であり、圧電基板151の表面にIDT343(第1のすだれ電極)、IDT345(第2のすだれ電極)、IDT346(第3のすだれ電極)が配置される。尚、IDT343、345〜346は、IDT152〜155と同様の構成である。
複素係数SAWフィルタ340は、圧電基板151上に設けられた二つの実係数トランスバーサル型SAWフィルタによって構成される。具体的に、圧電基板151上に設けられた二つの実係数トランスバーサル型SAWフィルタの内の一方は、IDT342を入力用のIDT、IDT344を出力用のIDTとした実係数トランスバーサル型SAWフィルタであり、もう片方は、IDT343を入力用のIDT、IDT345を出力用のIDTとした実係数トランスバーサル型SAWフィルタである。尚、IDT343の電極指は、前述したように、該電極指の間隙によって構成される曲線が該曲線の中心に対して偶対称になるように圧電基板151上に配置され、IDT345の電極指は、該電極指の間隙によって構成される曲線が該曲線の中心に対して奇対称になるように、圧電基板151上に配置される。これにより、該複素係数SAWフィルタ340において、IDT343の電極指に実部のインパルス応答に対応するように設定される。また、IDT345の電極指に虚部のインパルス応答に対応した重みづけが施される。
これにより、複素係数SAWフィルタ340は、入力用のIDTであるIDT342および344に同時に複素信号S11Cの実部S11CIおよび虚部S11CQを入力すると、IDT343に接続された出力端Iからは実部のインパルス応答が出力され、IDT345に接続された出力端Qからは虚部のインパルス応答が出力されることになる。尚、出力端Iにおける出力信号と出力端Qにおける出力信号とは、互いに90°の位相差を有する。
また、前述した複素係数SAWフィルタ150と同様に、複素係数フィルタ134を複素係数SAWフィルタ340によって実現することにより、以下の利点がある。すなわち、近年の微細加工技術の進歩により、該フィルタを精度よく作ることができ、装置全体における性能向上を図ることができる。
尚、本基本構成例においては、出力用IDTであるIDT343および345に上述した重み付けを施したが、複素係数SAWフィルタ150と同様に、入力用IDTであるIDT342および344に重み付けを施してもよい。
<低IF型のダウンコンバータの第3の基本構成例>
次に、図19に示す、本発明における低IF型のダウンコンバータの第3の基本構成例の説明を行う。上述したダウンコンバータ3のブロック構成は、図12と類似しているが、ベースバンド生成部32の構成および動作が、第2の基本構成例であるダウンコンバータ2におけるベースバンド生成部22と異なっている。
以下、図に従って、第3の基本構成例であるダウンコンバータ3について説明する。
次に、図19に示す、本発明における低IF型のダウンコンバータの第3の基本構成例の説明を行う。上述したダウンコンバータ3のブロック構成は、図12と類似しているが、ベースバンド生成部32の構成および動作が、第2の基本構成例であるダウンコンバータ2におけるベースバンド生成部22と異なっている。
以下、図に従って、第3の基本構成例であるダウンコンバータ3について説明する。
ベースバンド生成部32は、第2の基本構成例におけるベースバンド生成部22に比して、複素係数フィルタ134とAGCアンプ123との間に減算器135が介挿され、AGCアンプ124およびA/Dコンバータ126が削除され、全複素ミキサ129が、局部発振器であるLocalc136と、ミキサI137と、ミキサQ138とから構成される半複素ミキサに置き換えられるところが異なる。
Localc136はLocalc128と同様に、IF周波数と等しい周波数を有し、該周波数をA2とする。よって、以下、Localc136が出力する複素ローカル信号を「周波数A2の複素ローカル信号」という。
次に、ベースバンド生成部32の動作について、図19を参照して説明する。
ベースバンド生成部32の動作は、第2の基本構成例におけるベースバンド生成部22の動作と類似しているので、相違点のみについて説明する。
ベースバンド生成部32の動作は、第2の基本構成例におけるベースバンド生成部22の動作と類似しているので、相違点のみについて説明する。
複素係数フィルタ134は、入力した信号に対して、負の周波数の信号を抑圧する処理を施し、複素信号S12Aの実部S12AIを減算器135の正入力端に出力し、また、複素信号S12Aの虚部S12AQを減算器135の負入力端に出力する。減算器135は実部S12AIから虚部S12AQを減算し、実信号S12A’を、AGCアンプ123の信号入力端に出力する。
ミキサI137は、A/Dコンバータ125から入力した実信号S12Cと、Localb136から入力した周波数A2の複素ローカル信号の実部とを乗算し、両者の信号の周波数の差の周波数の信号である複素信号S12Dの実部S12DIをLPF130の入力端に出力する。ミキサQ138は、A/Dコンバータ125から入力した実信号S12Cと、とLocalb136から入力した周波数A2の複素ローカル信号の虚部とを乗算し、両者の信号の周波数の差の周波数の信号である複素信号S12Dの虚部S12DQをLPF131の入力端に出力する。
ここで、減算器135において、複素係数フィルタ134の出力の虚部S12AQの極性を反転し、減算器135の出力の処理を、実部S12AIと虚部S12AQとの差から、実部S12AIおよび虚部S12AQの和に変更することにより、複素係数フィルタ134および減算器135による信号の処理の特性は複素共役となり、正の周波数の信号を抑圧し、負の周波数を通過帯域とする特性となる。本基本構成例においては、該処理は、中心周波数を−5MHzとするバンドパス特性となる。
以上のように、本基本構成例においては、第2の基本構成例と類似の処理によって、IF生成部32にて、負の周波数の信号を抑圧することにより、イメージ周波数信号を抑圧し、イメージ周波数妨害の再発生を抑圧する。そして、複素係数フィルタ134の出力信号である複素信号S12Aの実部S12AIまたは、虚部S12AQのみを取り出してAGCアンプ123の信号入力端に出力することにより、図19に示すように、AGCアンプおよびA/Dコンバータによって構成される信号処理の系統が、AGCアンプ123およびA/Dコンバータ125からなる一系統のみとなる。これにより、第2の基本構成例のように、AGCアンプおよびA/Dコンバータによって構成される信号処理の系統が、AGCアンプ123およびA/Dコンバータ125からなる一系統と、AGCアンプ124およびA/Dコンバータ126からなるもう一系統との二系統による構成をとる必要がなくなる。これによって、回路の規模を半減させることができ、また、コストを下げることができ、さらに、消費電力も低減することが可能となる。
尚、本基本構成例においては、第2の基本構成例と同様に、複素係数フィルタ134の前段に位置する全複素ミキサ117が、負の周波数の信号を抑圧して正の周波数の信号を通過させる特性を有しているので、複素係数フィルタ134に正の周波数を通過帯域とする特性を持たせ、負の周波数であるイメージ周波数信号を抑圧する処理を行わせるようにしたが、複素係数フィルタ134に、正の周波数の信号が抑圧され、主に、負の周波数の信号からなる信号が入力される場合、複素係数フィルタ134に負の周波数を通過帯域とする特性を持たせ、正の周波数の信号を抑圧する処理を行わせる。
また、本発明の第1、第2の基本構成例と同様に、本発明の第3の基本構成例におけるデュアルコンバージョン型のダウンコンバータとして、図20に示すように、本発明の第3の基本構成例におけるシングルコンバージョン型のダウンコンバータ3において、IF生成部11内におけるLNA111と複素係数トランスバーサルフィルタ115との間に、上述した周波数変換器が介挿されたIF生成部11aを含む構成のダウンコンバータ3aが存在する。このダウンコンバータ3aは、第1IF信号、第2IF信号を、ダウンコンバータ3のRF信号、IF信号に置き換えて考察すると、同等の特性が得られることがわかる。
<低IF型のアップコンバータの原理>
次に、本発明における低IF型のアップコンバータがイメージ周波数信号を抑圧する原理について、本発明におけるアップコンバータの基本構成例によって説明する。
次に、本発明における低IF型のアップコンバータがイメージ周波数信号を抑圧する原理について、本発明におけるアップコンバータの基本構成例によって説明する。
<低IF型のアップコンバータの基本構成例>
先ず、図21に示す、本発明における低IF型のアップコンバータの基本構成例の説明を行う。上述した低IF型のアップコンバータ31は、例えば実部と虚部を有するディジタル入力端TIおよびTQから入力されるディジタル信号をアナログベースバンド信号に変換し、変換されたアナログ信号をIF(中間周波数)信号に周波数変換して複素IF信号を生成し、該複素IF信号を高周波であるRF信号の周波数に変換し、変換された複素RF信号の実部のみを取り出して、出力端TRFに接続されたアンテナ等から送信する。
先ず、図21に示す、本発明における低IF型のアップコンバータの基本構成例の説明を行う。上述した低IF型のアップコンバータ31は、例えば実部と虚部を有するディジタル入力端TIおよびTQから入力されるディジタル信号をアナログベースバンド信号に変換し、変換されたアナログ信号をIF(中間周波数)信号に周波数変換して複素IF信号を生成し、該複素IF信号を高周波であるRF信号の周波数に変換し、変換された複素RF信号の実部のみを取り出して、出力端TRFに接続されたアンテナ等から送信する。
アップコンバータ31は、D/Aコンバータ(DAC:Digital to Analog Converter)301、302と、LPF303、304と、局部発振器であるLocald305と、全複素ミキサ306と、複素係数トランスバーサルフィルタ307(第2の複素係数トランスバーサルフィルタ)と、局部発振器であるLocale308と、全複素ミキサ309(複素ミキサ)と、複素係数トランスバーサルフィルタ310とから構成される。
Locald305はIF周波数と等しい周波数を有し、該周波数をB1とする。Locald305は周波数B1を有する複素ローカル信号を出力する。以下、Locald305が出力する複素ローカル信号を「周波数B1の複素ローカル信号」という。
全複素ミキサ306は、前述した全複素ミキサ117と同一の構成であり、ベースバンド信号である複素信号S30BをIF信号である複素信号S30CとしてLocald305の周波数(B1)へ周波数変換を行うものであり、入力端IcmCにおいてlocald305から周波数B1の複素ローカル信号の実部を入力し、入力端IcmSにおいてlocald305から周波数B1の複素ローカル信号の虚部を入力し、該信号によって、入力端IcmIおよびIcmQから入力した複素信号S30Bを、locald305の出力信号の周波数へ周波数変換を行い、出力端OcmIおよびOcmQから複素信号S30Cを出力する。
複素係数トランスバーサルフィルタ307は、実部の入力端として入力端IirI、虚部の入力端として入力端IirQ、実部の出力端として出力端OirI、虚部の出力端として出力端OirQを有し、複素信号S30Cの正の周波数のいずれかを抑圧して、複素信号S30Dとして出力する。
Locale308はRF信号の周波数とIF周波数と等しい周波数との差の周波数を有し、該周波数をB2とする。Locale308は周波数B2を有する複素ローカル信号を出力する。以下、Locale308が出力する複素ローカル信号を「周波数B2の複素ローカル信号」という。
全複素ミキサ309は、前述した全複素ミキサ117と同一の構成であり、入力端IcmCにおいてlocale308から周波数B2の複素ローカル信号の実部を入力し、入力端IcmSにおいてlocale308から周波数B2の複素ローカル信号の虚部を入力し、該信号によって、入力端IcmIおよびIcmQにおいて複素係数トランスバーサルフィルタ307から入力したIF信号である複素信号S30Dを、locale308の出力信号の周波数(B2)および複素信号S30Dの周波数の和の周波数へ周波数変換を行い、出力端OcmIおよびOcmQから複素信号S30Eを出力する。
複素係数トランスバーサルフィルタ310は、BPF−I、BPF−Qおよび減算器によって構成される。複素係数トランスバーサルフィルタ310の実部の入力端IrpIはBPF−Iの入力端に接続され、虚部の入力端IrpQはBPF−Qの入力端に接続される。BPF−Iの出力端は減算器の正の入力端に接続され、BPF−Qの出力端は減算器の負の入力端に接続される。減算器の出力端は複素係数トランスバーサルフィルタ310の出力端Orpに接続される。複素係数トランスバーサルフィルタ310は、実部の入力端IrpIおよび虚部の入力端IrpQから複素信号S11Eを入力し、出力端OrpからRF信号を出力する。
尚、図21に示す、本発明における低IF型のアップコンバータの基本構成であるアップコンバータ31は、図37に示す、従来におけるアップコンバータ38と比して、以下の点において異なる。すなわち、アップコンバータ38に比して、BPF311、312が複素係数トランスバーサルフィルタ307に置き換えられ、BPF311、312の出力信号である複素信号S30DをLocale308から出力される複素ローカル信号によって実信号に周波数変換を行う半複素ミキサ313およびBPF314の組合せが、複素係数トランスバーサルフィルタ307の出力信号である複素信号S30DをLocale308から出力される複素ローカル信号によって複素信号S30EIに周波数変換を行う全複素ミキサ309および複素信号S30EIの帯域制限を行い実信号を出力する複素係数トランスバーサルフィルタ310の組合せに置き換えられている。
また、アップコンバータ31および38におけるLocald305、Locale308は、次のような複素ローカル信号を出力する。すなわち、前述した、ダウンコンバータにおけるLocalb116、Localb813、Localc128、Localc823、およびLocalc136とは異なり、複素周波数軸上にて、正の周波数fcの付近にスペクトルを有する複素ローカル信号を出力する。これにより、複素ローカル信号の周波数は正の周波数fcとなる。
次に、上述したアップコンバータ31の動作の概略を説明する。
入力端TIIおよびTIQにて入力された複素ベースバンド信号であるキャリア間隔=1.6MHzのDSB信号がD/Aコンバータ301、302によってディジタル信号からアナログ信号に変換される。LPF303、304は、D/Aコンバータ301、302から入力した複素信号S30Aを、高周波成分の除去および波形整形を行い、全複素ミキサ306に複素信号S30Bを出力する。
入力端TIIおよびTIQにて入力された複素ベースバンド信号であるキャリア間隔=1.6MHzのDSB信号がD/Aコンバータ301、302によってディジタル信号からアナログ信号に変換される。LPF303、304は、D/Aコンバータ301、302から入力した複素信号S30Aを、高周波成分の除去および波形整形を行い、全複素ミキサ306に複素信号S30Bを出力する。
全複素ミキサ306は、Locald305から入力した、周波数B1の複素ローカル信号によって、信号S30BをLocald305の信号の周波数(B1=5MHz)へ周波数変換を行い、図38に示すように、5MHzを中心周波数とするDSB信号であるIF信号の複素信号S30Cを、複素係数トランスバーサルフィルタ307の実部の入力端および虚部の入力端にそれぞれ出力する。複素係数トランスバーサルフィルタ307は、複素信号S30Cの負の周波数を抑圧し、複素信号S30Dを全複素ミキサ309に出力する。
全複素ミキサ309は、Locale308から入力した周波数B2の複素ローカル信号によって、複素信号S30DをRF信号の周波数へ周波数変換を行い、RF信号である複素信号S30Eを、複素係数トランスバーサルフィルタ310の実部の入力端および虚部の入力端に出力する。複素係数トランスバーサルフィルタ310は、複素信号S30Eの負の周波数を抑圧し、複素信号S30Eの実部S30EIを内部のBPF−Iを通した信号から虚部S30EQを内部のBPF−Qを通した信号を、内部の減算器によって減算し、アップコンバータ31の出力端TORFに実信号RFを出力する。
<低IF型のアップコンバータ31における全複素ミキサ309の動作の詳細について>
次に、アップコンバータ31における全複素ミキサ309の動作の詳細を説明する。
ここで、全複素ミキサ309と、図37に示す、アップコンバータ38における半複素ミキサ313(複素入力複素ローカル実出力ミキサ)とは、同等のイメージ抑圧比が得られるので、図37における半複素ミキサ313について説明を行う。尚、半複素ミキサ313の実部の入力端および虚部の入力端において、キャリア周波数=5MHz、キャリア間隔=1.6MHzのDSB信号である複素IF信号が入力されることを想定する。
次に、アップコンバータ31における全複素ミキサ309の動作の詳細を説明する。
ここで、全複素ミキサ309と、図37に示す、アップコンバータ38における半複素ミキサ313(複素入力複素ローカル実出力ミキサ)とは、同等のイメージ抑圧比が得られるので、図37における半複素ミキサ313について説明を行う。尚、半複素ミキサ313の実部の入力端および虚部の入力端において、キャリア周波数=5MHz、キャリア間隔=1.6MHzのDSB信号である複素IF信号が入力されることを想定する。
尚、複素ローカル信号のスペクトルは、正の周波数fcの付近のみに存在するのが理想的だが、複素ローカル信号の実部と虚部との振幅の間に誤差が発生し、この誤差により、後述するように、負の周波数−fcの付近にも、低いレベルのスペクトルが存在することになる。
先ず、複素IF信号である複素信号S30Dを信号(sifi(t)+jsifq(t))という理想的な複素信号として扱い、上述した複素ローカル信号の振幅をA、複素ローカル信号をA(Loi(t)+jLoq(t))、上述した複素ローカル信号の実部と虚部との間の振幅の誤差をAe、複素RF信号S30E0を信号srf(t)としたとき、
となり、第2項に示すように、複素ローカル信号の実部と虚部間の振幅の誤差Aeの存在により発生する誤差信号によって、目的の周波数変換に対して反対方向の周波数変換が行われる。ここで、複素信号S30E0であるsrf(t)の実部のみを取り出し、該信号を s’rf(t)とすると、
となることから、該信号を s’rf(t)は、第1項においてはローカル信号の非誤差信号によりプラス方向への周波数変換が行われ、第2項においてはローカル信号の誤差信号によりマイナス方向への周波数変換操作が行われた信号の複素共役信号であることがわかる。
ここで、位相誤差φeによるイメージ抑圧比の劣化を考慮すると、イメージ抑圧比IMRmixは、(式4)によって求められる。イメージ抑圧比が劣化している例として、Locale308から出力されるローカル信号の実部Iの振幅と虚部Qの振幅との間に10%の誤差があり、位相誤差φe=0である(位相誤差がない)場合、Ae=0.1、cosφe =1となり、(式14)から、上述した半複素ミキサ313の出力端におけるイメージ抑圧比IMRmixは、26dBと算出される。
<低IF型のアップコンバータ31における複素係数トランスバーサルフィルタ310について>
次に、アップコンバータ31内の複素係数トランスバーサルフィルタ310の概要および設計法について説明する。
次に、アップコンバータ31内の複素係数トランスバーサルフィルタ310の概要および設計法について説明する。
複素係数トランスバーサルフィルタ310は、RF信号を負の周波数を抑圧しつつ、複素信号から実信号に変換する。複素係数トランスバーサルフィルタ310は、複素信号S30Eの実部S30EIに対する処理用として偶対称インパルスとのたたみ込み積分を行うトランスバーサルフィルタと、複素信号S30Eの虚部S30EQに対する処理用として奇対称インパルスとのたたみ込み積分を行うトランスバーサルフィルタと減算器とから構成される。前述した複素係数トランスバーサルフィルタ115と同様に、上記の二つのトランスバーサルフィルタの特性は任意であり、二つのトランスバーサルフィルタは、90°の位相差を持つ信号を出力し、減算器によって該出力信号が合成される。尚、RF信号の複素信号から実信号への変換は、従来、位相器によって実現されていた。
複素係数トランスバーサルフィルタ310は、前述した複素係数トランスバーサルフィルタ115と同様に、予め定められた通過帯域幅Bw/2、阻止帯域減衰量ATTの実係数LPFを設計し、この実係数LPFの係数にejωtを乗じて、中心周波数ω、通過帯域幅Bw、阻止帯域減衰量ATTのフィルタを得る、所謂、周波数シフト法によって設計する。ここでは、中心周波数ω=800MHz、阻止帯域減衰量ATT=39dBとして、複素係数トランスバーサルフィルタ310を設計する。
図3は、複素係数トランスバーサルフィルタ310の実部のインパルス応答を示す図であり、インパルス応答の中心に対して偶対称のインパルス応答を持つ。図4は、複素係数トランスバーサルフィルタ310の虚部のインパルス応答を示す図であり、インパルス応答の中心に対して奇対称のインパルス応答を持つ。尚、上述した複素係数トランスバーサルフィルタ115は、サンプリング周波数を2.4GHzとしている。尚、上述した複素係数トランスバーサルフィルタ310の実部および虚部のインパルス応答は、前述した複素係数トランスバーサルフィルタ115の実部および虚部のインパルス応答と同等である。
次に、全複素ミキサ309が複素係数トランスバーサルフィルタ310に出力する複素信号S30Eについて説明する。
ここで、図21において、Locald305の周波数が5MHzであり、また、Locale308の周波数が795MHzであるとする。また、Locale308から出力されるローカル信号の実部Iの振幅と虚部Qの振幅との間に10%の誤差があるとする。
ここで、図21において、Locald305の周波数が5MHzであり、また、Locale308の周波数が795MHzであるとする。また、Locale308から出力されるローカル信号の実部Iの振幅と虚部Qの振幅との間に10%の誤差があるとする。
上述したように、Locale308から出力されるローカル信号の実部Iの振幅と虚部Qの振幅との間に10%の誤差があるため、全複素ミキサ309において、複素信号S30D(IF信号)から複素信号S30E(RF信号)への周波数変換において、IF信号の周波数(5MHz)からRF周波数(800MHz)への+795MHzの周波数変換とは逆(−795MHz)の周波数変換が行われる。この周波数変換により図22に示すように、−790MHz(イメージ周波数)において、+795MHzの周波数変換による信号(目的信号)がより−26dB低い信号(イメージ周波数信号)が発生する。これにより、複素信号S30Eにおいて、全複素ミキサ309によって、イメージ抑圧比が−26dB得られることになる。
次に、複素係数トランスバーサルフィルタ310の動作の詳細を説明する。図22に、複素係数トランスバーサルフィルタ310の周波数特性を示す。この図において、破線は複素係数トランスバーサルフィルタ310の周波数特性であり、上述した目的信号である信号e(複素信号S30E)は複素係数トランスバーサルフィルタ310の通過帯域内にあるが、負の周波数にあるイメージ周波数信号である信号fは複素係数トランスバーサルフィルタ310の通過帯域外にあり、−39dB抑圧されることがわかる。よって、実信号RFにおいて、複素係数トランスバーサルフィルタ310によって、イメージ抑圧比が−39dB得られることになる。
以上のように、アップコンバータ31において、複素信号S30Dは、全複素ミキサ309によってイメージ抑圧比が−26dB得られ、さらに複素係数トランスバーサルフィルタ310によってイメージ抑圧比が−39dB得られるので、信号fはさらに−39dB抑圧され、実信号RFは、図23に示す信号e(目的信号)と信号g(イメージ周波数信号)とからなるスペクトルを有する。このとき、図23に示すように、信号gは、信号eに対して−65dB抑圧される。換言すると、目的信号に対して、イメージ抑圧比が−65dB得られることになる。
ここで、Locald305の周波数が5MHzであり、また、Locale308の周波数が795MHzであるとした場合の、半複素ミキサ313の出力端における信号S30E2のスペクトルを図39に示す。この図に示されるように、周波数=790MHzである信号g’(イメージ周波数信号)は、周波数=800MHzである信号e(目的信号)に比して、−26dBしか抑圧されておらず、全複素ミキサ309および複素係数トランスバーサルフィルタ310により、半複素ミキサ313に比して、イメージ抑圧比が−65dBに改善されることになる。
これらより、次のようなことがいえる。すなわち、全複素ミキサ309による負の周波数の抑圧効果および複素係数トランスバーサルフィルタ310の周波数特性による負の周波数の抑圧効果によって、不要帯域の信号が抑圧され、イメージ抑圧比向上と不要帯域の信号の抑圧にために他の回路構成を必要としないため、送信機の小型化を図ることもできる。
尚、全複素ミキサ306および複素係数トランスバーサルフィルタ307も、前述した全複素ミキサ309および複素係数トランスバーサルフィルタ310と同様の原理にて、複素ベースバンド信号である複素信号S30Bを、イメージ抑圧比を確保しつつ、複素IF信号である複素信号S30Dへ変換する。
<低IF型のアップコンバータにおける複素係数SAWフィルタ360について>
次に、図21における複素係数トランスバーサルフィルタ310の具体的構成例である複素係数SAWフィルタ360について、図24を参照して説明する。尚、複素係数トランスバーサルフィルタ310は、前述した複素係数トランスバーサルフィルタ115と同様に、他に、スイッチドキャパシタ回路、電荷結合素子を用いて構成することができるが、高い周波数においてはSAWフィルタが適している。
尚、上述した複素係数SAWフィルタ360、または、前述した複素係数SAWフィルタ350を使用したアップコンバータの具体例は、後述する本発明の第1〜2の実施形態において詳説する。
次に、図21における複素係数トランスバーサルフィルタ310の具体的構成例である複素係数SAWフィルタ360について、図24を参照して説明する。尚、複素係数トランスバーサルフィルタ310は、前述した複素係数トランスバーサルフィルタ115と同様に、他に、スイッチドキャパシタ回路、電荷結合素子を用いて構成することができるが、高い周波数においてはSAWフィルタが適している。
尚、上述した複素係数SAWフィルタ360、または、前述した複素係数SAWフィルタ350を使用したアップコンバータの具体例は、後述する本発明の第1〜2の実施形態において詳説する。
複素係数SAWフィルタ360は、前述した複素係数SAWフィルタ150、157、340、350と同様に、トランスバーサル型SAWフィルタによって構成され、圧電基板151の表面に、IDT363〜366が配置された構造になっている。IDT363〜366は、櫛型をなし、交互に対向する二つの電極指によって構成される。
複素係数SAWフィルタ360は、複素係数SAWフィルタ150のIDT152と153、154と155とを入れ替えた構成のIDT363〜366からなる。IDT363および365の同じ位置関係にある電極指が圧電基板151に共通に接地され、IDT363および365の他方の電極指が入力端I、入力端Qにそれぞれ接続される。IDT363の電極指に実部のインパルス応答に対応した重みづけが施され、IDT365の電極指に虚部のインパルス応答に対応した重みづけが施される。
IDT363および365に対向するIDT364および366の隣接する電極指が圧電基板151に共通に接地される。IDT364および366の他方の電極指が出力端に共通に接続される。
上記のように電極指が接続されているため、圧電基板151上において、IDT364および366が、対向するIDT343および345から励起される弾性表面波を受信して出力端に出力する信号の極性が逆になる。このことより、IDT364および366によって、IDT363にて入力された信号からIDT365にて入力された信号を減算する処理が行われることになる。よって、複素係数SAWフィルタ360を以上のような構成にすることより、入力端Iにおける信号から入力端Qにおける信号を減算する処理を、複素係数SAWフィルタ360内部にて行わせることができる。
また、複素係数SAWフィルタ360は、後述する、図28に示すように、出力用のIDT346が、対向する入力用のIDT343および345との間に形成される二つの弾性表面波の伝播路に跨る構造を有する複素係数SAWフィルタ350に置き換えてもよい。
<ゼロIF型のダウンコンバータの原理>
次に、本発明におけるゼロIF型の動作の原理について、本発明におけるゼロIF型のダウンコンバータの基本構成例によって説明する。
次に、本発明におけるゼロIF型の動作の原理について、本発明におけるゼロIF型のダウンコンバータの基本構成例によって説明する。
<ゼロIF型のダウンコンバータの基本構成例>
先ず、図40に示す、本発明におけるゼロIF型のダウンコンバータの基本構成例の説明を行う。上述したダウンコンバータ40は、例えば、無線受信機であり、アンテナに接続される入力端TRFから入力したRF信号を複素RF信号に変換し、該複素RF信号を局部発振器であるLocalf514から出力され、RF信号周波数と同じ周波数の複素ローカル信号によって、複素ベースバンド信号を生成して復調部に出力する。尚、ゼロIF型のダウンコンバータ40は、後述する準ゼロIF型のダウンコンバータとの対比のために、端子TIおよびTQにおいて接続されるIF生成部53と、ベースバンド生成部54とから構成されるものとする。
先ず、図40に示す、本発明におけるゼロIF型のダウンコンバータの基本構成例の説明を行う。上述したダウンコンバータ40は、例えば、無線受信機であり、アンテナに接続される入力端TRFから入力したRF信号を複素RF信号に変換し、該複素RF信号を局部発振器であるLocalf514から出力され、RF信号周波数と同じ周波数の複素ローカル信号によって、複素ベースバンド信号を生成して復調部に出力する。尚、ゼロIF型のダウンコンバータ40は、後述する準ゼロIF型のダウンコンバータとの対比のために、端子TIおよびTQにおいて接続されるIF生成部53と、ベースバンド生成部54とから構成されるものとする。
IF生成部53は、LNA511と、複素係数フィルタ513と、前述したLocalf514と、全複素ミキサ515(複素ミキサ)とから構成される。複素係数フィルタ513および全複素ミキサ515は後述するようにEVMの劣化を抑圧する。
複素係数フィルタ513は、入力端IrpIおよびIrpQから実信号S41Aを入力し、出力端OrpIおよびOrpQから、互いに90°の位相差を有する複素信号S41Bの実部S41BIおよび虚部S41BQをそれぞれ出力する。
図41は、本発明におけるダウンコンバータ40の複素係数フィルタ513として使用される複素係数トランスバーサルフィルタの周波数特性を示した図である。当該複素係数トランスバーサルフィルタは、前述した低IF型のダウンコンバータに使用される複素係数トランスバーサルフィルタと同様の設計方法によって設計することができる。例えば、ダウンコンバータ40において、図41に示すように、RF信号周波数=800MHzを中心周波数とした一定の範囲の周波数帯以外の周波数帯において、RF信号を39dBだけ抑圧するフィルタを構成する。
また、図42は、当該複素係数トランスバーサルフィルタの実部のインパルス応答を示した図であり、中心に対して偶対称のインパルス応答を有する。図43は、当該複素係数トランスバーサルフィルタの虚部のインパルス応答を示す図であり、中心に対して奇対称のインパルス応答を有する。これらのインパルス応答と入力信号とをたたみ込み積分することにより、負の周波数信号を抑圧しつつ、互いに90°の位相差を有する複素信号を出力することが可能となる。尚、図42および図43の縦軸は、正規化された値である。
Localf514はRF信号の周波数とIF周波数との差の周波数を有し、該周波数をC1とする。よって、以下、Localf514が出力する複素ローカル信号を「周波数C1の複素ローカル信号」という。
全複素ミキサ515は、RF信号である複素信号S41Bをベースバンド信号である複素信号S41Cの周波数へ周波数変換を行うものであり、入力端IcmCにおいてlocalf514から周波数C1の複素ローカル信号の実部を入力し、入力端IcmSにおいてlocalf514から周波数C1の複素ローカル信号の虚部を入力し、該信号によって、入力端IcmIおよびIcmQから入力した複素信号S41Bを、周波数ゼロの信号へ周波数変換を行い、出力端OcmIおよびOcmQから複素信号S41Cを出力する。
ベースバンド生成部54は、複素係数フィルタ522と、AGCアンプ523、524と、A/Dコンバータ525、526と、局部発振器であるLocalg527と、全複素ミキサ528と、LPF529、530とから構成される。
複素係数フィルタ522は、入力される複素信号S41Cに対して、IF信号の周波数を中心とした所定の範囲以外の周波数帯域について帯域制限を行い、複素信号S42Aを出力する。AGCアンプ523、524は入力端TAGCにて入力した電圧に応じてゲイン(利得)を制御する。
A/Dコンバータ525、526は、ベースバンド生成部54の後段に接続される復調部にてディジタル信号処理を行うため、AGCアンプ523、524から出力された複素信号に対してA/D変換を行い、複素信号S42Cを全複素ミキサ528に出力する。
Localg527はIF周波数と等しい周波数を有し、該周波数をC2とする。よって、以下、Localg527が出力する複素ローカル信号を「周波数C2の複素ローカル信号」という。
全複素ミキサ528は、前述した全複素ミキサ117と同一の構成であり、入力端IcmCにおいてlocalg527から周波数C2の複素ローカル信号の実部を入力し、入力端IcmSにおいてlocalg527から周波数C2の複素ローカル信号の虚部を入力し、該信号によって、入力端IcmIおよびIcmQにおいてA/Dコンバータ525および526から入力した複素信号S42Cを、直流成分を含むベースバンド信号へ周波数変換を行い、出力端OcmIおよびOcmQから複素信号S42Dを出力する。
尚、RF信号である信号S41Aの周波数とLocalf514の出力周波数が等しい場合、Localg527および全複素ミキサ528は不要となる。後述するように、信号S41Aの周波数とLocalf514の出力周波数が異なる場合、Localg527および全複素ミキサ528が必要となる。
また、図40に示す、本発明におけるゼロIF型のダウンコンバータの第1の基本構成であるダウンコンバータ40は、信号S41Aの周波数とLocalf514の出力周波数が等しい場合、図56に示す、従来におけるゼロIF型のダウンコンバータ48と比して、以下の点において異なる。すなわち、ダウンコンバータ48はIF生成部55と、ベースバンド生成部56とから構成され、IF生成部53において、IF生成部55に比して、BPF516が複素係数フィルタ513に置き換えられ、Localf514から出力される複素ローカル信号によって、実信号から複素信号へ周波数変換を行う半複素ミキサ517が、複素信号から複素信号へ周波数変換を行う全複素ミキサ515に置き換えられている。また、ベースバンド生成部54において、ベースバンド生成部56に比して、LPF541および542が複素係数フィルタ522に置き換えられているところが異なる。
次に、上述したダウンコンバータ40の動作の概略を説明する。アンテナから入力端TRFにて入力された実信号RFがLNA511によって増幅され、実信号S41Aが出力される。複素係数フィルタ513が、該信号を入力し、複素信号S41Bを全複素ミキサ515に出力する。全複素ミキサ515は、Localf514から入力した周波数C12Hzの複素ローカル信号によって、周波数ゼロまたはIF周波数と等しい周波数である複素ローカル信号へ周波数変換を行い、複素信号S41Cを、複素係数フィルタ522に出力する。
複素係数フィルタ522は、複素信号S41Cの帯域制限処理を行い、複素信号S42AをAGCアンプ523および524に出力する。AGCアンプ523および524は、複素信号S42Aの実部S42AIおよび虚部S42AQの振幅を、A/Dコンバータ525および526に入力するのに適切な振幅に調整し、A/Dコンバータ525および526に出力する。A/Dコンバータ525および526は入力された信号をA/D変換し、複素信号S42Cを全複素ミキサ528に出力する。
全複素ミキサ528は、複素信号S42Cを、Localg527から出力される周波数C2の複素ローカル信号によって、周波数ゼロのベースバンド信号へ周波数変換を行い、複素信号S42DをLPF529および530に出力する。LPF529および530は複素信号S42Dの帯域制限を行いベースバンド信号の実部信号Iおよび虚部信号Qを復調部へ出力する。
尚、RF信号である信号S41Aの周波数とLocalf514の出力周波数が等しい場合、A/Dコンバータ525および526は、複素信号S42Aを直接、LPF529および530にそれぞれ出力する。
次に、ダウンコンバータ40において、全複素ミキサ515がイメージ周波数信号を抑圧する様子を、先ず、下記に示す理由により、従来におけるダウンコンバータ48において、半複素ミキサ517がイメージ周波数信号を抑圧する様子を、複素周波数軸上のスペクトルの処理として図44に示すことにより、該処理の説明を行う。
すなわち、全複素ミキサ515と、図57に示す半複素ミキサ517とは、同等の処理(周波数シフトのための時間領域処理)が行われるので、図57に示す、半複素ミキサ517について説明を行う。
すなわち、全複素ミキサ515と、図57に示す半複素ミキサ517とは、同等の処理(周波数シフトのための時間領域処理)が行われるので、図57に示す、半複素ミキサ517について説明を行う。
先ず、図44(a)に示すように、複素周波数軸上のスペクトルとして、実信号S41Aが、Localf514から出力される複素ローカル信号の正の周波数fcを信号帯域内に含む信号s1p(t)を有することを想定する。ここで、実信号S41Aは、前述したように、互いに複素共役な複素信号の合成であるから、実信号S41Aを信号srf(t)とすると、
但し、
となる。これにより、図44(a)に示すように、複素周波数軸上のスペクトルとして、実信号S41Aが、複素ローカル信号の負の周波数−fcの付近においても、信号s1p(t)と共役な信号s1m(t)を有することになる。尚、信号s1p(t)と、信号s1m(t)とは、それぞれ振幅が等しい。
次に、上述した複素ローカル信号は、複素周波数軸上のスペクトルとして、理想的には、負の周波数−fcの付近において、非誤差信号のみ有する。このとき、複素ローカル信号の周波数が負の周波数であるという。しかしながら、現実には、複素ローカル信号は、実部と虚部間の振幅の誤差Aeのために、図44(b)に示すように、非誤差信号L1(t)と、正の周波数fcの付近において、誤差信号L1e(t)とを有する。これにより、複素ローカル信号をLrf(t)とすると、(式7)に示すようになる。そして、実信号41Asrf(t)と複素ローカル信号Lrf(t)とが、半複素ミキサ517において半複素ミキシング(複素乗算)され、複素信号S41Cが生成される。複素信号S41Cをsbb(t)とすると、
となる。これにより、複素信号S41Cは、複素周波数軸上のスペクトルとして、図44(c)に示すような各信号を有する。以下、各信号について、説明を行う。
実信号S41Aの負の周波数−fcを信号帯域内に含む信号s1m(t)が、複素ローカル信号Lrf(t)の負の周波数−fcの非誤差信号L1(t)と乗算され、複素ローカル信号の負の周波数の2倍の周波数−2fc付近において、信号s1m(t)L1(t)が生成される。また、実信号S41Aの正の周波数+fcを信号帯域内に含む信号s1p(t)が、複素ローカル信号Lrf(t)の正の周波数+fcの誤差信号L1e(t)と乗算され、複素ローカル信号の正の周波数の2倍の周波数+2fc付近において、信号s1p(t)L1e(t)が生成される。
また、実信号S41Aの正の周波数+fcを信号帯域内に含む信号s1p(t)が、複素ローカル信号Lrf(t)の負の周波数−fcの非誤差信号L1(t)と乗算され、直流、つまり、周波数ゼロにおいて、信号s1p(t)L1(t)が生成される。また、実信号S41Aの負の周波数−fcを信号帯域内に含む信号s1m(t)が、複素ローカル信号Lrf(t)の正の周波数+fcの誤差信号L1e(t)と乗算され、周波数ゼロにおいて、信号s1m(t)L1e(t)が生成される。
以上のことより、周波数ゼロにおいて、次のような現象が発生する。すなわち、信号s1p(t)L1(t)とs1m(t)L1e(t)とが同一の周波数(周波数ゼロ)に存在することになり、互いに妨害し合う関係となる。すなわち、信号s1p(t)は、周波数ゼロに関して対称な信号である、負の周波数−fcを信号帯域内に含む信号s1m(t)によって妨害されることになる。
このとき、ある信号が、該信号に対して周波数ゼロに関して対称な信号によって妨害を受けることになるので、以下の理由より、このような妨害をイメージ(鏡像)周波数妨害という。
ここで、ゼロIF型のダウンコンバータは、実周波数軸上においては、負の周波数という概念がないため、周波数ゼロに関してイメージ周波数という概念はないが、考察を複素周波数軸上に拡張することにより、負の周波数という概念を適用することができ、周波数ゼロに関してイメージ周波数妨害という概念を適用することができる。
よって、考察を複素周波数軸上に拡張することにより、ゼロIF型ダウンコンバータにおいて、EMVの劣化の原理を、低IF型のダウンコンバータにおけるイメージ周波数妨害の発生の原理によって説明することができるようになる。
よって、考察を複素周波数軸上に拡張することにより、ゼロIF型ダウンコンバータにおいて、EMVの劣化の原理を、低IF型のダウンコンバータにおけるイメージ周波数妨害の発生の原理によって説明することができるようになる。
ここで、アナログのダウンコンバータのように、直交性等が不完全なダウンコンバータの場合、現実における信号、つまり、実信号または理想的でない複素信号においては、正の周波数において信号が存在すると、それに応じて、正の周波数に対して、直流に関して対称である負の周波数を信号帯域内に含む信号が存在することになる。そのため、信号s1p(t)は、結果的に、複素ローカル信号の、周波数ゼロに関して対称な信号である、負の周波数−fcを信号帯域内に含む信号s1m(t)によって妨害を受けることになる。以上より、信号s1m(t)は、信号s1p(t)のイメージ周波数信号を起こす信号であり、信号s1p(t)が信号s1m(t)によりイメージ周波数信号が起こるという。
次に、ダウンコンバータ40において、複素係数フィルタ513および全複素ミキサ515によってイメージ周波数信号が抑圧される様子を、複素周波数軸上のスペクトルの処理として図45に示し、該処理の説明を行う。
前述した、従来におけるゼロIF型のダウンコンバータ48と同様に、実信号S41Aは、図45(a)に示すように、複素周波数軸上のスペクトルとして、複素ローカル信号の正の周波数+fcを信号帯域内に含む信号s1p(t)を有し、複素ローカル信号の負の周波数−fcを信号帯域内に含む信号s1p(t)と共役な信号s1m(t)を有することになる。尚、信号s1p(t)と、信号s1m(t)とは、それぞれ振幅が等しい。
そして、実信号S41Aが複素係数フィルタ513に入力され、複素係数フィルタ513から複素信号S41Bが出力される。ここで、複素係数フィルタ513が負の周波数の信号を抑圧するため、複素信号S41Bは、図45(b)に示すように、複素周波数軸上のスペクトルとして、複素ローカル信号の正の周波数+fcを信号帯域内に含む信号s1p(t)のみを有するようになる。ここで、複素信号S41Bを信号s’rf(t)とすると、
となる。ここで、Localf514から出力される複素ローカル信号は、(式16)が示す、信号Lrf(t)によって表され、図45(c)に示すようになる。そして、複素信号41Bsrf(t)と複素ローカル信号Lrf(t)とが、全複素ミキサ515において全複素ミキシング(複素乗算)され、複素信号S41Cが生成される。複素信号S41Cをsbb(t)とすると、
となる。これにより、複素信号S41Cは、複素周波数軸上のスペクトルとして、図45(d)に示すような各信号を有する。すなわち、複素信号S41Bの正の周波数+fcを信号帯域内に含む信号s1p(t)が、複素ローカル信号Lrf(t)の負の周波数−fcを信号帯域内に含む非誤差信号L1(t)と乗算され、直流に近い周波数において、信号s1p(t)L1(t)が生成される。
上述したように、ダウンコンバータ40における複素信号S41Cは、同じ周波数付近に異なる信号が同居しないため、従来におけるダウンコンバータ48と異なり、イメージ周波数信号は発生しない。以上より、複素係数フィルタ513が負の周波数の信号を抑圧することより、イメージ周波数信号が発生しなくなる。
ここで、ダウンコンバータ40において発生するEVMの劣化は、実RF信号である信号S41Aの正の周波数の信号のみをベースバンドに変換するはずのミキサの動作が、ミキサとローカル信号の不完全性のために、実RF信号の負の周波数信号(正の周波数信号の複素共役信号)もベースバンドに変換するといった、目的成分の周波数変換とともに、それと逆方向の周波数変換も併せて行われることにより生じる。
そして、この目的成分と逆方向の周波数変換を、前述した低IF型のダウンコンバータ8に対して行ったように、複素周波数上の周波数変換処理としての考察を行うと、ダウンコンバータ1におけるイメージ周波数妨害と同じ原理によって生じている。このことより、ダウンコンバータ1とダウンコンバータ40においては、目的信号周波数とローカル信号周波数の差によって、妨害信号が、目的信号より離れたイメージ周波数にある信号の複素共役信号であるか、目的信号の複素共役信号であるかの違いが生じているに過ぎないことが分かる。
ここで、図1に示す、低IF型のダウンコンバータ1のA/Dコンバータ125、126に入力する周波数を、低IFからベースバンドとし、BPF121、122を複素係数フィルタ522に置き換えると、図40に示すような、ゼロIF型またはゼロIF型のダウンコンバータであるダウンコンバータ40となる。ただし、ダウンコンバータ40がゼロIF型のダウンコンバータとなるためには、全複素ミキサ129は省略される。以上のように、周波数変換前の実信号の負の成分を複素係数フィルタによって抑圧することにより、ゼロIF型ダウンコンバータ40におけるEVMが、ローカル信号とミキサの不完全性の改善やディジタル信号処理による補償を行うことなく改善できることがわかる。
尚、実際には、複素係数フィルタ513による負の周波数の信号に対する減衰量が有限の値であるため、負の周波数の信号を完全に抑圧することはできないが、トータルとしてみたEVMの劣化の抑圧の性能は、全複素ミキサ515により得られる値に対して、複素係数フィルタ513によって得られる値だけ、改善されることになる。
<準ゼロIF型のダウンコンバータの原理>
次に、本発明におけるゼロIF型のダウンコンバータがEVMの劣化を抑圧する原理について、本発明におけるゼロIF型のダウンコンバータの基本構成例によって説明する。 尚、準ゼロIF型のダウンコンバータとは、ディジタルチューナ、ディジタル受信機、ソフトウェア無線機等に利用することができるダウンコンバータである。
次に、本発明におけるゼロIF型のダウンコンバータがEVMの劣化を抑圧する原理について、本発明におけるゼロIF型のダウンコンバータの基本構成例によって説明する。 尚、準ゼロIF型のダウンコンバータとは、ディジタルチューナ、ディジタル受信機、ソフトウェア無線機等に利用することができるダウンコンバータである。
前述したように、ゼロIF型のダウンコンバータを実現するためには、RF周波数とローカル周波数とが一致する必要があり、そのためには、細かい周波数ステップにてチューニングを可能とするPLL回路が必要となる。また、細かい周波数ステップにてチューニングを行いながら、さらに高速な応答も必要とする場合には、高価なフラクショナルN−PLL回路が必要となり、従来の無線受信機においては当該フラクショナルN−PLL回路が適用されている。
ところで、ディジタルチューナ、ディジタル受信機、ソフトウェア無線機等においては、内部のディジタル処理部にて、細かい周波数ステップにてチューニングが可能であるため、フラクショナルN−PLL回路のような高価なものを適用することは、コストの面において効率的ではない。また、当該フラクショナルN−PLL回路のような回路を適用することは、サイズの面においても効率的ではなく、むしろ、簡単、且つ、コンパクトな構成とすることが、ディジタルチューナ、ディジタル受信機、ソフトウェア無線機等においては望まれている。
つまり、準ゼロIF型のダウンコンバータとは、ゼロIF型のダウンコンバータに用いられるアナログ回路に、上述したフラクショナルN−PLL回路ではなく、インテジャーN−PLL回路を適用することにより、コスト的およびサイズ的な要求等を満たすような構成をとるダウンコンバータである。インテジャーN−PLL回路を適用することにより、周波数ゼロに対してオフセットが存在する中間周波数信号(準ベースバンド信号)がミキサから出力されることになるが、準ゼロIF型のダウンコンバータにおいては、ディジタル処理部によって、この中間周波数信号からオフセット分を除去し、目的となる周波数ゼロを中心周波数とするベースバンド信号を得ている。
上述した低IF型のダウンコンバータと準ゼロIF型のダウンコンバータとの違いは、準ゼロIF型のダウンコンバータは、アナログ回路によって、粗い周波数ステップにて周波数変換し、ディジタル回路によって、細かい周波数ステップにて周波数変換して周波数ゼロへ変換することを目的としており、中間周波数が、RF信号のチャネル信号帯域内の周波数値となるのに対して、低IF型のダウンコンバータにおいては、中間周波数が、RF信号のチャネル信号帯域外の周波数値となり、チャネル信号帯域とイメージ周波数帯域が重ならない点が異なる。
<準ゼロIF型のダウンコンバータの基本構成例>
ここで、準ゼロIF型のダウンコンバータの基本構成例の説明を行う。上述した準ゼロIF型のダウンコンバータの基本構成例は、前述したゼロIF型のダウンコンバータ40において、RF信号である信号S41Aの周波数とLocalf514の出力周波数が異なる場合における構成となる。上述したダウンコンバータ40は、例えば、無線受信機であり、アンテナに接続される入力端TRFから入力したRF信号を複素RF信号に変換し、該複素RF信号を局部発振器であるLocalf514から出力され、RF信号周波数と同じ周波数の複素ローカル信号によって、複素ベースバンド信号を生成して復調部に出力する。尚、ダウンコンバータ40は、前述したように、端子TIおよびTQにおいて接続されるIF生成部53と、ベースバンド生成部54とから構成される。
ここで、準ゼロIF型のダウンコンバータの基本構成例の説明を行う。上述した準ゼロIF型のダウンコンバータの基本構成例は、前述したゼロIF型のダウンコンバータ40において、RF信号である信号S41Aの周波数とLocalf514の出力周波数が異なる場合における構成となる。上述したダウンコンバータ40は、例えば、無線受信機であり、アンテナに接続される入力端TRFから入力したRF信号を複素RF信号に変換し、該複素RF信号を局部発振器であるLocalf514から出力され、RF信号周波数と同じ周波数の複素ローカル信号によって、複素ベースバンド信号を生成して復調部に出力する。尚、ダウンコンバータ40は、前述したように、端子TIおよびTQにおいて接続されるIF生成部53と、ベースバンド生成部54とから構成される。
IF生成部53は、例えばアンテナに接続される入力端TRFから入力したRF信号を、複素RF信号に変換する。また、IF生成部53は、当該複素RF信号を局部発振器から出力される周波数ゼロ(直流)より所定の周波数離れた周波数値であって、RF信号の信号帯域内の周波数の値だけ離れた周波数である複素ローカル信号によって、周波数変換を行う。当該周波数変換によって、複素信号の周波数は、直流からRF信号の周波数と中間周波数(IF)の差の周波数値(以下、オフセット周波数と呼ぶ)、離れた複素IF信号へ変換する。ベースバンド生成部54は、IF生成部53から出力されるIF信号をベースバンド信号の実部信号Iおよび虚部信号Qに変換し、ベースバンド信号を取り出して復調部に出力する。尚、構成の内容および動作の概要は、ゼロIF型のダウンコンバータとして機能している場合に説明した内容と類似しているので、相違点のみ説明する。
ダウンコンバータ40において、IF生成部53は、RF信号を分解能の粗い周波数変換を行うことにより、IF信号へ変換し、ベースバンド生成部54に出力する。
ベースバンド生成部54は、IF生成部53から入力したIF信号に対して、分解能の細かい周波数変換を行い、ベースバンド信号を取り出して復調部に出力する。
ベースバンド生成部54は、IF生成部53から入力したIF信号に対して、分解能の細かい周波数変換を行い、ベースバンド信号を取り出して復調部に出力する。
ここで、直流より所定の周波数離れた周波数値であって、RF信号の信号帯域内の周波数の値、すなわち中間周波数(IF)とは、RF信号の信号帯域内においてRF信号の中心周波数からオフセット周波数だけ離れた周波数(所定の周波数)である。
尚、前述したように、1段目のミキサである全複素ミキサ515がアナログ処理を用い、2段目のミキサである全複素ミキサ528がA/D変換後のディジタル信号処理を用いるダウンコンバータ40は、例えば、ディジタル受信機やソフトウェア無線技術を用いる受信機に用いられる。
また、上述したゼロIF型および準ゼロIF型のダウンコンバータに用いられる複素係数フィルタにおいて、負の周波数帯域を抑制する構成について述べたが、正の周波数信号を抑圧し、取り出した負の周波数成分の信号に基づいて処理を行う構成としてもよい。
<ゼロIF型のアップコンバータの原理>
次に、本発明におけるゼロIF型のアップコンバータがEVMを抑圧する原理について、本発明におけるゼロIF型のアップコンバータの基本構成例によって説明する。
次に、本発明におけるゼロIF型のアップコンバータがEVMを抑圧する原理について、本発明におけるゼロIF型のアップコンバータの基本構成例によって説明する。
<ゼロIF型のアップコンバータの基本構成例>
先ず、図46に示す、本発明におけるゼロIF型のアップコンバータの基本構成例の説明を行う。上述したアップコンバータ60は、例えば、無線送信機であり、実部と虚部を有するディジタル入力TIIおよびTIQから入力されるディジタル信号をアナログベースバンド信号に変換し、変換されたアナログ信号に対してRF信号周波数への周波数変換を行って複素RF信号を生成し、さらに、生成された複素RF信号の実部のみを取り出して、出力端TORFに接続されたアンテナ等から送信する。
先ず、図46に示す、本発明におけるゼロIF型のアップコンバータの基本構成例の説明を行う。上述したアップコンバータ60は、例えば、無線送信機であり、実部と虚部を有するディジタル入力TIIおよびTIQから入力されるディジタル信号をアナログベースバンド信号に変換し、変換されたアナログ信号に対してRF信号周波数への周波数変換を行って複素RF信号を生成し、さらに、生成された複素RF信号の実部のみを取り出して、出力端TORFに接続されたアンテナ等から送信する。
アップコンバータ60は、D/Aコンバータ701、702と、LPF703、704と、局部発振器であるLocalh705と、全複素ミキサ706(複素ミキサ)と、複素係数フィルタ707(第2の複素係数トランスバーサルフィルタ)と、減算器708とから構成される。
D/Aコンバータ701、702は、それぞれ入力端TIIおよびTIQから入力されるディジタル信号をアナログベースバンド信号に変換する。LPF703、704は、D/Aコンバータ701、702から出力される複素信号S60Aの高周波成分を除去して波形整形を行い、複素信号S60Bを出力する。尚、LPF703、704はLPFを使用してもよい。
Localh705はRF信号の周波数を有し、該周波数をD1とする。よって、以下、Localh705が出力する複素ローカル信号を「周波数D1の複素ローカル信号」という。
全複素ミキサ706は、前述した全複素ミキサ117と同一の構成であり、ベースバンド信号である複素信号S60Bを、RF信号である複素信号S60CとしてLocalh705の周波数へ周波数変換を行うものであり、入力端IcmCにおいてLocalh705から周波数D1の複素ローカル信号の実部を入力し、入力端IcmSにおいてLocalh705から周波数D1の複素ローカル信号の虚部を入力し、該信号によって、入力端IcmIおよびIcmQから入力した複素信号S60Bを、localh705の出力信号の周波数へ周波数変換を行い、出力端OcmIおよびOcmQから複素信号S60Cとして出力する。
複素係数フィルタ707は、実部の入力端として入力端IirI、虚部の入力端として入力端IirQ、実部の出力端として出力端OirI、虚部の出力端として出力端OirQを有し、複素信号S60Cの正の周波数のいずれかを抑圧して、複素信号S60Dを減算器708に出力する。減算器708は、複素信号S60Dの実部S60DIから虚部S60DQを減算し、アップコンバータ60の出力端TORFから実信号RFを出力する。
尚、図46に示す、本発明におけるゼロIF型のアップコンバータの基本構成であるアップコンバータ60は、図57に示す、従来におけるアップコンバータ68と比して、以下の点において異なる。すなわち、アップコンバータ68に比して、LPF711、712が、BPFによって代用することもできるLPF703、704に置き換えられている。また、LPF711、712の出力信号である複素信号S60BをLocalh705から出力される複素ローカル信号によって実信号に周波数変換を行う半複素ミキサ713およびBPF714の組合せが、LPF703、704の出力信号である複素信号S60BをLocalh705から出力される複素ローカル信号によって複素信号S60Cに周波数変換を行う全複素ミキサ706および複素信号S30Cの正または負の周波数のみを抑圧しつつ帯域制限を行う複素係数フィルタ707ならびに複素係数フィルタ707から出力される複素信号S60Dの実部S60DIから虚部S60DQを減算することにより、実信号RFを出力する減算器708の組合せに置き換えられている。
次に、上述したアップコンバータ60の動作の概略を説明する。
入力端TIIおよびTIQにて入力された複素ベースバンド信号である複素信号の実部信号I、虚部信号QがD/Aコンバータ701、702によってディジタル信号からアナログ信号に変換される。LPF703、704は、D/Aコンバータ701、702から入力した複素信号S60Aを、高周波成分の除去および波形整形を行い、全複素ミキサ706に複素信号S60Bを出力する。
入力端TIIおよびTIQにて入力された複素ベースバンド信号である複素信号の実部信号I、虚部信号QがD/Aコンバータ701、702によってディジタル信号からアナログ信号に変換される。LPF703、704は、D/Aコンバータ701、702から入力した複素信号S60Aを、高周波成分の除去および波形整形を行い、全複素ミキサ706に複素信号S60Bを出力する。
全複素ミキサ706は、Localh705から入力した周波数D1の複素ローカル信号によって、信号S60BをLocalh705の信号の周波数(D1)へ周波数変換を行い、IF信号の複素信号S60Cの実部S60CIおよび虚部S60CQを、複素係数フィルタ707の実部の入力端および虚部の入力端にそれぞれ出力する。複素係数フィルタ707は、複素信号S60Cの負の周波数を抑圧しつつ、互いに90°位相が異なる複素信号S60Dの実部S60DIおよび虚部S60DQを減算器708に出力する。減算器708は、実部S60DIから虚部S60DQの減算を行い、アップコンバータ60の出力端TORFに実信号RFを出力する。
次に、アップコンバータ60において、上述した全複素ミキサ706がEMVの劣化を起こす信号を抑圧する様子を説明するために、従来におけるアップコンバータ68において、半複素ミキサ713がEVMの劣化を抑圧する様子を複素周波数軸上のスペクトルの処理として図47に示して、両者を比較する。
図47(a)に示すように、複素周波数軸上のスペクトルとして、複素信号S60Bが、周波数ゼロを信号帯域内に含む信号s1(t)を有することを想定する。ここで、複素信号S60Bを信号sbb(t)とすると、
となる。
次に、上述した複素ローカル信号は、複素周波数軸上のスペクトルとして、理想的には、正の周波数+fcを信号帯域内に含む非誤差信号のみ有する。このとき、複素ローカル信号の周波数が正の周波数であるという。しかしながら、現実には、複素ローカル信号は、実部と虚部間の振幅の誤差Aeのために、図47(b)に示すように、非誤差信号L1(t)と、負の周波数fcを信号帯域内に含む誤差信号L1e(t)とを有する。これにより、複素ローカル信号をLrf(t)とすると、(式7)に示すようになる。そして、複素信号S60Bsrf(t)と複素ローカル信号Lrf(t)とが、半複素ミキサ713において半複素ミキシング(複素乗算)され、実信号S60Cが生成される。実信号S60Cをsrf(t)とすると、
となる。ここで、s1*(t)、L1*(t)、L1e*(t)は、それぞれ、s1(t)、L1(t)、L1e(t)の共役複素数とする。これにより、実信号S60Cは、複素周波数軸上のスペクトルとして、図47(c)に示すような各信号を有する。以下、各信号について、説明を行う。
複素信号S60Bの周波数ゼロを信号帯域内に含む信号s1(t)が、複素ローカル信号Lrf(t)の正の周波数+fcの非誤差信号L1(t)と乗算され、複素ローカル信号の正の周波数+fcを信号帯域内に含む信号s1(t)L1(t)が生成される。また、信号s1(t)が、複素ローカル信号Lrf(t)の負の周波数−fcの誤差信号L1e(t)と乗算され、複素ローカル信号の負の周波数−fcを信号帯域内に含む信号s1(t)L1e(t)が生成される。
また、信号s1(t)の共役複素数である信号s1*(t)が、複素ローカル信号Lrf(t)の負の周波数−fcの誤差信号L1e(t)の共役複素数である信号L1e*(t)と乗算され、複素ローカル信号の正の周波数+fcを信号帯域内に含む信号s1*(t)L1e*(t)が生成される。また、信号s1*(t)が、複素ローカル信号Lrf(t)の正の周波数+fcの非誤差信号L1(t)の共役複素数である信号L1*(t)と乗算され、複素ローカル信号の負の周波数−fcを信号帯域内に含む信号s1*(t)L1*(t)が生成される。
以上のことより、周波数ゼロにおいて、次のように、EVMの劣化が発生する。すなわち、信号s1(t)L1(t)とs1*(t)L1e*(t)、信号s1(t)L1e(t)とs1*(t)L1*(t)が同一の周波数(それぞれ、正の周波数+fc、負の周波数−fc)に存在することになり、互いに妨害し合う関係となる。すなわち、信号s1(t)は、周波数ゼロに関して対称な信号である、負の周波数−fcを信号帯域内に含む信号s1*(t)によってEVMの劣化が発生することになる。
ここで、現実における信号、つまり、実信号または理想的でない複素信号においては、正の周波数において信号が存在すると、それに応じて、正の周波数に対して、直流に関して対称である負の周波数を信号帯域内に含む信号が存在することになる。そのため、信号s1(t)は、結果的に、複素ローカル信号の、周波数ゼロに関して対称な信号である、負の周波数−fcを信号帯域内に含む信号s1* (t)によって妨害を受けることになる。これらのことより、信号s1*(t)は、信号s1(t)のEVMの劣化を引き起こす信号であり、信号信号s1(t)が信号s1*(t)により妨害を受けるという。
次に、アップコンバータ60において、複素係数フィルタ707および全複素ミキサ706によってEVMの劣化が抑圧される様子を、複素周波数軸上のスペクトルの処理として図48に示し、該処理の説明を行う。
前述した、従来におけるゼロIF型のアップコンバータ68と同様に、複素信号S60Bは、図48(a)に示すように、複素周波数軸上のスペクトルとして、周波数ゼロを信号帯域内に含む信号s1(t)を有することを想定する。ここで、複素信号S60Bを信号sbb(t)とすると、(式18)となる。
次に、上述した複素ローカル信号は、複素周波数軸上のスペクトルとして、理想的には、正の周波数+fcを信号帯域内に含む非誤差信号のみ有する。このとき、複素ローカル信号の周波数が正の周波数であるという。しかしながら、現実には、複素ローカル信号は、実部と虚部間の振幅の誤差Aeのために、図48(b)に示すように、非誤差信号L1(t)と、負の周波数fcを信号帯域内に含む誤差信号L1e(t)とを有する。これにより、複素ローカル信号をLrf(t)とすると、(式7)に示すようになる。そして、複素信号S60Bsrf(t)と複素ローカル信号Lrf(t)とが、全複素ミキサ706において全複素ミキシング(複素乗算)され、複素信号S60Cが生成される。複素信号S60Cをsrf(t)とすると、(式19)となる。これにより、複素信号S60Cは、複素周波数軸上のスペクトルとして、図48(c)に示すような各信号を有する。以下、各信号について、説明を行う。
複素信号S60Bの周波数ゼロを信号帯域内に含む信号s1(t)が、複素ローカル信号Lrf(t)の正の周波数+fcの非誤差信号L1(t)と乗算され、複素ローカル信号の正の周波数+fcを信号帯域内に含む信号s1(t)L1(t)が生成される。
また、信号s1(t)が、複素ローカル信号Lrf(t)の負の周波数−fcの誤差信号L1e(t)と乗算され、複素ローカル信号の負の周波数−fcを信号帯域内に含む信号s1(t)L1e(t)が生成される。
このとき、前述したように、誤差信号L1e(t)の振幅が、非誤差信号L1(t)の振幅より小さいので、信号L1(t) L1e(t) の振幅が、信号L1(t) L1(t)の振幅より小さくなる。
また、全複素ミキサ706においては、前述した半複素ミキサ713と異なり、複素共役信号s1*(t)と、複素ローカル信号Lrf(t)との乗算結果である、信号s1*(t)L1e(t)および信号s1*(t)L1(t)を発生しない。
そして、上述した複素信号S60Cは、複素係数フィルタ707によって負の周波数信号を抑圧され、減算器708によって、複素係数フィルタ707から出力された複素信号S60Dの実部S60DIからおよび虚部S60DQが減算されることにより、実部が取り出される。この処理により、出力される実信号RFは、
となる。このとき、図48(c)に示す複素信号S60Cの複素ローカル信号の負の周波数−fcを信号帯域内に含む信号s1(t)L1e(t)が、複素係数フィルタ707によって抑圧される。そして、複素ローカル信号の正の周波数+fcを信号帯域内に含む信号s1(t)L1(t)が減算器708によって、実部信号および虚部信号が合成されることにより、合成された信号である実信号RFは、図48(d)に示すように、複素周波数軸上のスペクトルとして、正の周波数+fcを信号帯域内に含む信号s1(t)L1(t)および負の周波数−fcを信号帯域内に含む信号s1*(t)L1*(t) を有する。尚、信号s1*(t)、L1*(t)は、それぞれ、s1(t)、L1(t)の共役複素数である。
以上のように、アップコンバータ60における実信号RFは、同じ周波数付近に異なる信号が同居しないため、従来におけるアップコンバータ68と異なり、EVMの劣化は発生しない。以上より、複素係数フィルタ707が負の周波数の信号を抑圧することより、EVMの劣化が発生しなくなる。
尚、実際には、複素係数フィルタ707による負の周波数の信号に対する減衰量が有限の値であるため、負の周波数の信号を完全に抑圧することはできないが、トータルとしてみたEVMの劣化の抑圧の性能は、全複素ミキサ706により得られる値に対して、複素係数フィルタ707によって得られる値だけ、改善されることになる。
<準ゼロIF型のアップコンバータの原理>
次に、本発明における準ゼロIF型のアップコンバータがEVMの劣化を抑圧する原理について、本発明における準ゼロIF型のアップコンバータの基本構成例によって説明する。
次に、本発明における準ゼロIF型のアップコンバータがEVMの劣化を抑圧する原理について、本発明における準ゼロIF型のアップコンバータの基本構成例によって説明する。
<準ゼロIF型のアップコンバータの基本構成例>
図49は、本発明における準ゼロIF型のアップコンバータの基本構成例であるアップコンバータ63を示した図である。アップコンバータ63は、例えば、無線送信機であり、実部と虚部を有する、入力端TIIおよびTIQから入力されるディジタル信号I、Qをアナログベースバンド信号に変換し、変換されたアナログベースバンド信号に対して、局部発振器であるLocali734から出力される粗いステップの周波数変換のためのローカル信号によって、直流からオフセット周波数の値だけ離れた中間周波数(IF)の複素IF信号へ変換する。さらに、局部発振器であるLocalh705から出力される細かいステップの周波数変換のためのローカル信号に基づいて当該複素IF信号を高周波でありアンテナ等から送信することができるRF信号の周波数に周波数変換し、該複素RF信号の実部のみを取り出して、出力端TORFに接続されたアンテナ等から送信する。
図49は、本発明における準ゼロIF型のアップコンバータの基本構成例であるアップコンバータ63を示した図である。アップコンバータ63は、例えば、無線送信機であり、実部と虚部を有する、入力端TIIおよびTIQから入力されるディジタル信号I、Qをアナログベースバンド信号に変換し、変換されたアナログベースバンド信号に対して、局部発振器であるLocali734から出力される粗いステップの周波数変換のためのローカル信号によって、直流からオフセット周波数の値だけ離れた中間周波数(IF)の複素IF信号へ変換する。さらに、局部発振器であるLocalh705から出力される細かいステップの周波数変換のためのローカル信号に基づいて当該複素IF信号を高周波でありアンテナ等から送信することができるRF信号の周波数に周波数変換し、該複素RF信号の実部のみを取り出して、出力端TORFに接続されたアンテナ等から送信する。
ここで、上述したアップコンバータ63におけるオフセット周波数とは、粗いステップの周波数変換のためのローカル信号の周波数である。粗いステップの周波数変換のためのローカル信号の周波数とは、RF信号の中心周波数に粗いステップの周波数変換のためのローカル信号の周波数を加えた周波数値が、RF信号の周波数帯域内となる周波数値となる。
ここで、アップコンバータ63においては、細かいステップの周波数変換のための局部発振器であるLocalh705から出力される細かいステップの周波数変換のためのローカル信号によって複素ベースバンド信号を複素RF信号へ周波数変換する構成を有するが、Localh705の分解能が低い場合、当該細かいステップの周波数変換のためのローカル信号の周波数とRF信号周波数との間に差の値が存在することが想定される。準ゼロIF型のアップコンバータであるアップコンバータ63は、この差を補完するため、1回目の局部発振器であるLocali734を設け、粗いステップの周波数変換のためのローカル信号により、オフセット周波数を中心周波数とする細かいステップの周波数変換を行って、準ベースバンド信号を最初に生成しておくことによって、細かいステップの周波数変換のためのローカル信号によって、目的となるRF信号周波数を有する信号へ周波数変換を行うことを可能とするものである。
尚、図49に示す、本発明における準ゼロ型のアップコンバータの基本構成例であるアップコンバータ63のブロック構成は、図46と類似しているが、構成および動作が、ゼロIF型のアップコンバータの基本構成例であるアップコンバータ60と異なっている。
以下、図に従って、準ゼロ型のアップコンバータの基本構成例であるアップコンバータ63について説明する。
以下、図に従って、準ゼロ型のアップコンバータの基本構成例であるアップコンバータ63について説明する。
アップコンバータ63は、ゼロIF型のアップコンバータの基本構成例であるアップコンバータ60に比して、入力端TII、TIQと、D/Aコンバータ701、702の入力端との間に、LPF731、732と、RF信号の周波数からオフセット周波数離れた周波数の信号を出力するLocali734と、全複素ミキサ735が介挿されるところが異なる。また、LPF703、704が、BPFに置き換えることができないLPF725、726に置き換えられている。また、複素係数フィルタ707および減算器708の機能が統合され、複素信号を入力し、実信号を出力する構成の複素係数フィルタ709に置き換えられているところが異なる。尚、複素係数フィルタ709は、ゼロIF型のアップコンバータ61における複素係数フィルタ707に比して、外付けの減算器708を併用して行っている信号の減算処理をフィルタ内部にて行っているところが異なる。
LPF731、732はディジタル信号の高周波成分を除去して波形整形を行う。全複素ミキサ735は、上記のオフセット周波数を中心周波数とする信号へ周波数変換するものである。
Locali734はオフセット周波数を有し、該周波数をD2とする。よって、以下、Locali734が出力する複素ローカル信号を「周波数D2の複素ローカル信号」という。
また、Locali734がオフセット周波数を有する場合、共に使用されるLocalh705の周波数(D1)は、RF信号の周波数とオフセット周波数との差の周波数となる。
また、Locali734がオフセット周波数を有する場合、共に使用されるLocalh705の周波数(D1)は、RF信号の周波数とオフセット周波数との差の周波数となる。
全複素ミキサ735は、前述した全複素ミキサ117と同一の構成であり、ベースバンド信号である複素信号S61AをIF信号である複素信号S61BとしてLocali734の周波数であるオフセット周波数へ周波数変換を行うものであり、入力端IcmCにおいてLocali734から周波数D2の複素ローカル信号の実部を入力し、入力端IcmSにおいてLocali734から周波数D2の複素ローカル信号の虚部を入力し、該信号によって、入力端IcmIおよびIcmQから入力した複素信号S61Aを、locali734の出力信号の周波数であるオフセット周波数へ周波数変換を行い、出力端OcmIおよびOcmQから複素信号S61Bを出力する。
次に、上述した準ゼロIF型のアップコンバータ63の動作について説明する。
LPF731および732は、入力端TIIおよびTIQから入力されたディジタル信号に対して高周波成分を除去して波形整形し、それぞれ複素ベースバンド信号である複素信号S61Aを出力する。
LPF731および732は、入力端TIIおよびTIQから入力されたディジタル信号に対して高周波成分を除去して波形整形し、それぞれ複素ベースバンド信号である複素信号S61Aを出力する。
全複素ミキサ735は、複素信号S61Aを、Locali734から出力される周波数D2の複素ローカル信号によってオフセット周波数を複素信号S61Aの中心周波数にする周波数変換を行い、複素IF信号である複素信号S61Bの実部S61BIおよび虚部S61BQをD/Aコンバータ701および702に出力する。
全複素ミキサ735から出力された複素信号S61Bの実部S61BIがD/Aコンバータ701によりアナログ信号である実部S61CIに変換される。また、複素信号S61Bの虚部S61BQがD/Aコンバータ702によりアナログ信号である虚部S61CQに変換され、アナログ信号化された複素IF信号である複素信号S61Cが生成される。複素信号S61Cの実部S61CIはLPF725により高周波成分が除去されて波形整形され、複素信号S61Dの実部S61DIとして出力される。また、複素信号S61Cの虚部S61CQはLPF726により高周波成分が除去されて波形整形され、虚部S61DQとして出力される。
全複素ミキサ706は、Localh705から、RF信号周波数からオフセット周波数離れた周波数(D1)を有する複素ローカル信号に基づいて複素信号S61Dに対して周波数変換を行い、RF信号の周波数を有する複素RF信号である複素信号S61Eを、複素係数フィルタ709に出力する。複素係数フィルタ709は、入力される複素信号S61Eの負の周波数を抑圧しつつ、互いに90°位相が異なる実信号である実信号RFを、出力端TORFに出力する。
尚、ゼロIF型および準ゼロIF型のアップコンバータ60、63に用いられる複素係数フィルタ707、709としては、例えば、ポリフェーズフィルタや複素係数トランスバーサルフィルタを適用することができる。複素係数トランスバーサルフィルタを用いる場合、図42および図43に示すインパルス応答を有し、具体的には、図41に示す周波数特性を有する複素係数トランスバーサルフィルタ等を適用することができる。
尚、図49に示すように、1段目のミキサである全複素ミキサ735においてディジタル信号処理を用い、2段目のミキサである全複素ミキサ706においてD/A変換後の信号に対してアナログ処理を用いる準ゼロIF型のアップコンバータ63は、ディジタル受信機やソフトウェア無線技術を用いる送信機に設けられる。
また、上述したアップコンバータ60、63における複素係数フィルタ707、709が負の周波数帯域を抑圧することを前提として説明したが、正の周波数帯域を抑圧し、取り出した負の周波数成分の信号に基づいて処理を行う構成としてもよい。
また、上述した複素係数トランスバーサルフィルタに用いられる偶対称インパルス応答あるいは奇対称インパルス応答は、複素係数トランスバーサルフィルタにフラットな群遅延特性が要求される場合には、厳密に偶対称あるいは奇対称である必要があるが、群遅延特性が厳密にフラットであることを要求されない場合には、対称性が失われたインパルス応答であってもよい。
本発明におけるダウンコンバータにおいては、入力されるRF信号に対し実部のインパルス応答に基づいてたたみ込み積分して複素RF信号の実部を生成し、入力されるRF信号に対し虚部のインパルス応答に基づいてたたみ込み積分して複素RF信号の虚部を生成し、正の周波数あるいは負の周波数のいずれか一方を抑圧して複素RF信号を出力する複素係数トランスバーサルフィルタと、該複素RF信号と複素ローカル信号とを、正の周波数あるいは負の周波数のいずれか一方を抑圧しつつミキシングする複素ミキサとを備える構成とした。そのため、RF信号において、複素係数トランスバーサルフィルタによるイメージ抑圧比と複素ミキサによるイメージ抑圧比との和のイメージ抑圧比にてイメージ妨害を抑圧でき、イメージ抑圧比を向上させることができる。これにより、低IF型のダウンコンバータにおいては充分なイメージ抑圧比を得ることができ、ゼロIF型、準ゼロIF型のダウンコンバータにおいてはEVMを改善することが可能となる。また、複素係数トランスバーサルフィルタを用いる構成としたため、実部と虚部の位相差として、90°の位相差を容易に得ることができ、また、バンドパスフィルタとしての機能を兼ね備えることができるため、ダウンコンバータの小型化が可能となる。また、低IF型のダウンコンバータにおいては、周波数変換器を複素係数トランスバーサルフィルタの前段に介挿することにより、RF信号から2回の周波数変換を行うデュアルコンバージョン型のダウンコンバータを構成することができ、周波数変換の分解能を確保しつつイメージ抑圧比を得ることができる。
また、ミキサによってイメージ抑圧比を稼ぐ必要がないので、トランジスタのバラツキによるイメージ抑圧比の劣化を許容できるようになる。そのため、ミキサのトランジスタを小さくすることができるので、トランジスタの使用個数は増加するが、一つ一つのトランジスタの消費電力の削減により、トータルの消費電力を削減することができる。また、fTの低下を防ぐこともでき、性能向上を図ることができる。
また、この本発明におけるアップコンバータにおいては、複素信号と、複素ローカル信号とを正の周波数あるいは負の周波数のいずれか一方を抑圧しつつミキシングし、RF信号を複素係数トランスバーサルフィルタに出力する複素ミキサと、複素ミキサから出力される複素RF信号の実部に対し実部のインパルス応答に基づいてたたみ込み積分し、前記複素RF信号の虚部に対し虚部のインパルス応答に基づいてたたみ込み積分を行うことにより、正の周波数あるいは負の周波数のいずれか一方を抑圧して実数RF信号を出力する複素係数トランスバーサルフィルタとを備える構成とした。そのため、RF信号について、複素ミキサによるイメージ抑圧比と複素係数トランスバーサルフィルタによるイメージ抑圧比との和のイメージ抑圧比にてイメージ妨害を抑圧でき、イメージ抑圧比を向上させることができる。また、複素係数トランスバーサルフィルタを用いる構成としたことにより、実部と虚部の位相差として、90°の位相差を容易に得ることができ、また、バンドパスフィルタとしての機能を兼ね備えることができるため、アップコンバータの小型化が可能となる。
<低IF型のダウンコンバータの第1の実施形態>
以下、図面を参照し、この発明に係る低IF型のダウンコンバータの第1の実施形態について説明する。
図25は本実施形態における低IF型のダウンコンバータ4の構成を示すブロック図である。ダウンコンバータ4のブロック構成は、図19と類似しているが、IF生成部41とベースバンド生成部42との構成および動作が、第3の基本構成例であるダウンコンバータ3におけるIF生成部31とベースバンド生成部32と異なっている。
以下、図に従って、本実施形態におけるダウンコンバータ4について説明する。
以下、図面を参照し、この発明に係る低IF型のダウンコンバータの第1の実施形態について説明する。
図25は本実施形態における低IF型のダウンコンバータ4の構成を示すブロック図である。ダウンコンバータ4のブロック構成は、図19と類似しているが、IF生成部41とベースバンド生成部42との構成および動作が、第3の基本構成例であるダウンコンバータ3におけるIF生成部31とベースバンド生成部32と異なっている。
以下、図に従って、本実施形態におけるダウンコンバータ4について説明する。
IF生成部41は、第3の基本構成例におけるIF生成部11に比して、複素係数トランスバーサルフィルタ115の実現手段の一つとして、複素係数SAWフィルタ150または157が用いられているところが異なる。
ベースバンド生成部42は、第3の基本構成例におけるベースバンド生成部32に比して、複素係数フィルタ134の実現手段の一つとして、複素係数SAWフィルタ340が用いられ、加算器139および切換器140が追加されているところが異なる。
次に、本実施形態におけるダウンコンバータ4におけるIF生成部41およびベースバンド生成部42の動作について、図25を参照して説明する。
IF生成部41およびベースバンド生成部42の動作は、第3の基本構成例におけるIF生成部11およびベースバンド生成部32の動作と類似しているので、相違点のみについて説明する。
IF生成部41およびベースバンド生成部42の動作は、第3の基本構成例におけるIF生成部11およびベースバンド生成部32の動作と類似しているので、相違点のみについて説明する。
IF生成部41において、LNA111から出力された実信号S11Aは、複素係数SAWフィルタ150または157に入力され、複素係数SAWフィルタ150または157から複素信号S11Bが出力される。全複素ミキサ117は複素信号S11Bを入力し、複素信号S11Bの周波数よりIF信号の周波数だけ低い周波数のLocalb116の出力信号によって、複素信号S11Bの周波数変換を行い、複素信号S11Bよりも低い周波数のIF信号である複素信号S11Cに変換する。尚、複素係数SAWフィルタ150または157の通過帯域幅は無線システム帯域幅をカバーしているとする。
ベースバンド生成部42において、複素係数SAWフィルタ340は、入力した信号に対して、帯域制限を行い、且つ、正または負の周波数の信号のみを抑圧する処理を施し、複素信号S12Aの実部S12AIを減算器135の正入力端および加算器139の一方の入力端に出力し、また、複素信号S12Aの虚部S12AQを減算器135の負入力端および加算器139の他方の入力端に出力する。尚、複素係数SAWフィルタ340の通過帯域幅は、IF生成部41における複素係数SAWフィルタ150または157と同様に、チャンネル帯域幅をカバーしているとする。
減算器135は実部S12AIから虚部S12AQを減算し、実信号S12AUを切換器140の入力端USBへ出力する。加算器139は実部S12AIと虚部S12AQとを加算し、実信号S12ALを切換器140の入力端LSBへ出力する。
このとき、減算器135は、実部S12AIから虚部S12AQを減算する処理により、周波数が正の周波数であるUSB(Upper Side Band)の実信号S12AUを出力する。また、加算器139は、実部S12AIから虚部S12AQを減算する処理により、周波数が負の周波数であるLSB(Lower Side Band)の実信号S12ALを出力する。
切換器140は、複素係数SAWフィルタ340が、正の周波数の信号のみを通過させるか負の周波数の信号のみを通過させるかのいずれに設計されるかに応じて、AGCアンプ123へ出力される信号を次のように切換える。すなわち、複素係数SAWフィルタ340が正の周波数の信号のみを通過させるように設計された場合、切換器140によって、入力端USBと出力端とを接続し、実信号S12AUをACGアンプ123へ供給するようにする。また、複素係数SAWフィルタ340が負の周波数の信号のみを通過させるように設定された場合、切換器140によって、入力端LSBと出力端とを接続し、実信号S12ALをACGアンプ123へ供給するようにする。
尚、低消費電力化ために、切換器140によって入力端USBと出力端とが接続された場合、動作が不要となる加算器139の駆動用電源を停止し、また、切換器140によって入力端LSBと出力端とが接続された場合、動作が不要となる減算器135の駆動用電源を停止する。
尚、低消費電力化ために、切換器140によって入力端USBと出力端とが接続された場合、動作が不要となる加算器139の駆動用電源を停止し、また、切換器140によって入力端LSBと出力端とが接続された場合、動作が不要となる減算器135の駆動用電源を停止する。
以上のように、第1の実施形態におけるダウンコンバータ4は、第3の基本構成例におけるダウンコンバータ3に比して、次のような利点を有する。
すなわち、IF生成部41において、IF生成部11内の複素係数トランスバーサルフィルタ115の実現手段の一つとして、複素係数SAWフィルタ150または157を用いることにより、該フィルタの特性をSAWフィルタのすだれ状電極の構造に基づいて設計することができ、一般的な微細加工技術を利用することにより、装置全体における性能向上を図ることができる。また、ベースバンド生成部42において、ベースバンド生成部32内の複素係数フィルタ134を複素係数SAWフィルタ340に置き換えることにより、該フィルタを精度よく作ることができ、装置全体における性能向上を図ることができる。また複素係数SAWフィルタ150、157、340は受動素子であるため、電力消費がなく、装置全体の省電力化を図ることができる。また、正の周波数あるいは負の周波数を抑圧し、かつ目的信号が存在する周波数側において目的信号が存在する帯域外を抑圧するフィルタ効果を得ることが可能となる。
すなわち、IF生成部41において、IF生成部11内の複素係数トランスバーサルフィルタ115の実現手段の一つとして、複素係数SAWフィルタ150または157を用いることにより、該フィルタの特性をSAWフィルタのすだれ状電極の構造に基づいて設計することができ、一般的な微細加工技術を利用することにより、装置全体における性能向上を図ることができる。また、ベースバンド生成部42において、ベースバンド生成部32内の複素係数フィルタ134を複素係数SAWフィルタ340に置き換えることにより、該フィルタを精度よく作ることができ、装置全体における性能向上を図ることができる。また複素係数SAWフィルタ150、157、340は受動素子であるため、電力消費がなく、装置全体の省電力化を図ることができる。また、正の周波数あるいは負の周波数を抑圧し、かつ目的信号が存在する周波数側において目的信号が存在する帯域外を抑圧するフィルタ効果を得ることが可能となる。
また、加算器139および切換器140を追加することにより、USBについての信号処理のみを行う構成となっている第3の基本構成例におけるダウンコンバータ3に比して、切換器140、および、減算器135と加算器139とのいずれかに選択的に電源を供給する装置の切換によって、USBの実信号S12AUおよびLSBの実信号S12ALについて選択的に信号処理を行うことができる。
<低IF型のダウンコンバータの第2の実施形態>
次に、図面を参照し、本発明に係る低IF型のダウンコンバータの第2の実施形態について説明する。
図26は本実施形態における低IF型のダウンコンバータ5の構成を示すブロック図である。ダウンコンバータ5のブロック構成は、図25と類似しているが、ベースバンド生成部52の構成および動作が、本発明の第1の実施形態におけるダウンコンバータ4内のベースバンド生成部42と異なっている。
以下、図に従って、本実施形態におけるダウンコンバータ5について説明する。
次に、図面を参照し、本発明に係る低IF型のダウンコンバータの第2の実施形態について説明する。
図26は本実施形態における低IF型のダウンコンバータ5の構成を示すブロック図である。ダウンコンバータ5のブロック構成は、図25と類似しているが、ベースバンド生成部52の構成および動作が、本発明の第1の実施形態におけるダウンコンバータ4内のベースバンド生成部42と異なっている。
以下、図に従って、本実施形態におけるダウンコンバータ5について説明する。
ベースバンド生成部52は、第1の実施形態におけるベースバンド生成部42に比して、複素係数フィルタ134が、切換器140が削除され、AGCアンプ124、A/Dコンバータ126、ミキサI141、ミキサQ142、LPF143、144が追加されているところが異なる。
次に、本実施形態におけるダウンコンバータ5におけるベースバンド生成部52の動作について、図26を参照して説明する。
ベースバンド生成部52の動作は、第1の実施形態におけるベースバンド生成部42の動作と類似しているので、相違点のみについて説明する。
ベースバンド生成部52の動作は、第1の実施形態におけるベースバンド生成部42の動作と類似しているので、相違点のみについて説明する。
減算器135からUSBの実信号S12AUがAGCアンプ123の信号入力端に出力される。A/Dコンバータ125はミキサI137およびミキサQ138に実信号S12C1を出力する。ミキサI137およびミキサQ138はLPF130および131に複素信号S12D1の実部S12DI1および虚部S12DQ1をそれぞれ出力する。LPF130および131は、複素ベースバンド信号I1およびQ1をそれぞれ出力する。
加算器139からLSBの実信号S12ALがAGCアンプ124の信号入力端に出力される。AGCアンプ124は、実信号S12ALの振幅を、A/Dコンバータ126に入力するのに適切な振幅に調整し、A/Dコンバータ126に出力する。A/Dコンバータ126は入力された信号をA/D変換し、実信号S12C2として、ミキサI141およびミキサQ142に出力する。
ミキサI141は、A/Dコンバータ126から入力した実信号S12C2と、Localb136から入力した周波数A2の複素ローカル信号の実部とを乗算し、両者の信号の周波数の差の周波数の信号である複素信号S12D2の実部S12DI2をLPF143の入力端に出力する。ミキサQ142は、A/Dコンバータ126から入力した実信号S12C2と、Localb136から入力した周波数A2の複素ローカル信号の虚部とを乗算し、両者の信号の周波数の差の周波数の信号である複素信号S12D2の虚部S12DQ2をLPF144の入力端に出力する。LPF143および144は、複素信号S12D2の実部S12DI2および虚部S12DQ2の帯域制限を行い、複素ベースバンド信号I2およびQ2をそれぞれ出力する。
以上のように、第2の実施形態におけるベースバンド生成部52は、USBの実信号S12AUおよびLSBの実信号S12ALについて切換器140によって選択的に信号処理を行っている第1の実施形態におけるベースバンド生成部42に比して、実信号S12AUおよび実信号S12ALについて同時に信号処理することが可能となる。
尚、本実施形態においては、USBの実信号S12AUの周波数とLSBの実信号S12AL号の周波数の絶対値が同じであることを前提に、ミキサI137およびミキサQ138によって周波数変換を行うための局部発振器と、ミキサI143およびミキサQ144によって周波数変換を行うための局部発振器とを、Localc136によって共用している。
<低IF型のダウンコンバータの第3の実施形態>
次に、図面を参照し、本発明に係る低IF型のダウンコンバータの第3の実施形態について説明する。
図27は本実施形態における低IF型のダウンコンバータ6の構成を示すブロック図である。ダウンコンバータ6のブロック構成は、図25と類似しているが、ベースバンド生成部62の構成および動作が、本発明の第1の実施形態におけるダウンコンバータ4内のベースバンド生成部42と異なっている。
以下、図に従って、本実施形態におけるダウンコンバータ6について説明する。
次に、図面を参照し、本発明に係る低IF型のダウンコンバータの第3の実施形態について説明する。
図27は本実施形態における低IF型のダウンコンバータ6の構成を示すブロック図である。ダウンコンバータ6のブロック構成は、図25と類似しているが、ベースバンド生成部62の構成および動作が、本発明の第1の実施形態におけるダウンコンバータ4内のベースバンド生成部42と異なっている。
以下、図に従って、本実施形態におけるダウンコンバータ6について説明する。
ベースバンド生成部62は、第1の実施形態におけるベースバンド生成部42に比して、複素係数SAWフィルタ340が複素係数SAWフィルタ350に置き換えられ、加算器139および切換器140が削除されているところが異なる。
複素係数SAWフィルタ350の出力端はAGCアンプ123の信号入力端に接続される。複素係数SAWフィルタ350は、後述するように、入力した複素信号に実信号化を含む信号処理を施し、実信号S12AUをAGCアンプ123に出力する。
図28に示すように、複素係数SAWフィルタ350は、圧電基板151の表面に、入力用のIDTとしてIDT343(第1のすだれ電極)、IDT345(第2のすだれ電極)、出力用IDTとしてIDT346(第3のすだれ電極)が配置される。複素係数SAWフィルタ350は、第1および第2の実施形態における複素係数SAWフィルタ340に比して、入力用のIDTのうちの一方であるIDT343の電極指の方に実部のインパルス応答に対応した重みづけが施され、また、入力用のIDTのうちの他方であるIDT345の電極指の方に虚部のインパルス応答に対応した重みづけが施される。また、紙面の水平方向に関して、予め定められた間隔をおいて、出力用のIDT346一つが、入力用のIDT343および345の両方に対向するようになっているところが異なる。尚、IDT346は、対向する入力用のIDT343および345との間に形成される二つの弾性表面波の伝播路に跨ることになる。
また、上述した各IDTの電極指は次のように入力端、出力端に接続され、または接地される。すなわち、IDT343とIDT345について、近接する側の電極指が圧電基板151に接地され、IDT343の接地されていない電極指が入力端Iに接続され、IDT345の接地されていない電極指が入力端Qに接続される。IDT346の一方の電極指が圧電基板151に接地され、IDT346の他方の電極指が出力端に接続される。
上記のように電極指が接続されているため、圧電基板151上にIDT343および345から励起される二つの弾性表面波の極性が逆になる。これらの弾性表面波が同一のIDT346によって電気信号に変換されるため、IDT346によって、IDT343にて入力された信号からIDT345にて入力された信号を減算する処理が行われることになる。よって、複素係数SAWフィルタ350を以上のような構成にすることより、第1の実施形態において減算器135によって行っていた、入力端Iにおける信号から入力端Qにおける信号を減算する処理を、複素係数SAWフィルタ350内部にて行わせることができる。
尚、本実施形態におけるベースバンド生成部62は、実信号化されたUSB信号S12AUのみについて処理を行うため、第1の実施形態におけるベースバンド生成部42と異なり、複素係数SAWフィルタ350によってUSBのみが選択されるために、LSBの処理は行わない。ここで、第1の実施形態において、加算器139および切換器140を削除して、LSBの処理を行わないベースバンド生成部とし、本実施形態におけるベースバンド生成部62との比較を行う。ベースバンド生成部62は、前述したように、複素係数SAWフィルタ350によって、複素係数SAWフィルタ340および減算器135を用いて行われる信号処理を行うことができるので、同一の信号処理の機能を確保しつつ、減算器135を削除することができ、装置の構成を簡略化することができる。
また、IF信号の周波数が高い場合、複素係数SAWフィルタ340と減算器135とを結ぶ線材等が持つリードインダクタンス等によって、特性が出ないケースも発生する。このような場合、圧電基板151上において信号経路を非常に短く形成することができる複素係数SAWフィルタ350は好適である。
また、本実施形態におけるベースバンド生成部62は、USBの実信号S12AUのみについて信号処理を行うことを想定したが、Localc136の周波数をIF信号の周波数より高くして、LSBの実信号S12ALのみについて信号処理を行うことを想定すると、前述したように、該信号処理は、複素信号S12Aの実部S12AIおよび虚部S12AQの加算により行われることとなるので、複素係数SAWフィルタ350について次のような変更を行うことにより実現される。
すなわち、図28に示す、複素係数SAWフィルタ350内のIDT345の電極指について、圧電基板151に接地されている電極指と入力端Qに接続されている電極指とを入れ替える変更を行う。
上記のような変更を行うことにより、圧電基板151上にIDT343および345から励起される二つの弾性表面波の極性は一致する。これらの弾性表面波が同一のIDT346によって電気信号に変換されるため、IDT346によって、IDT343にて入力された信号とIDT345にて入力された信号とを加算する処理が行われることになる。よって、複素係数SAWフィルタ350を以上のような構成にすることより、第1の実施形態において加算器139によって行っていた、入力端Iにおける信号と入力端Qにおける信号とを加算する処理を、複素係数SAWフィルタ350内部にて行わせることができる。
以上のように、第3の実施形態におけるベースバンド生成部62は、第1の実施形態において減算器135および切換器140を削除してUSBの実信号S12AUの信号処理を行わないことを前提としたベースバンド生成部に比して、上述した仕様に変更した複素係数SAWフィルタ350によって、複素係数SAWフィルタ340および加算器139を用いて行われる信号処理を行うことができるので、同一の信号処理の機能を確保しつつ、加算器139を削除し、装置の構成を簡略化し、小型化を図ることができる。
また、本発明の第1、第3の基本構成例と同様に、本発明の第3の実施形態におけるデュアルコンバージョン型のダウンコンバータとして、図29に示すように、本発明の第3の実施形態におけるシングルコンバージョン型のダウンコンバータ6において、IF生成部41内におけるLNA111と複素係数SAWフィルタ150または157との間に、前述した周波数変換器が介挿されたIF生成部41aを含む構成のダウンコンバータ6aが存在する。このダウンコンバータ6aは、第1IF信号、第2IF信号を、ダウンコンバータ6のRF信号、IF信号に置き換えて考察すると、同等の特性が得られることがわかる。
<低IF型のダウンコンバータの第4の実施形態>
次に、図面を参照し、本発明に係る低IF型のダウンコンバータの第4の実施形態について説明する。
図30は本実施形態における低IF型のダウンコンバータ7の構成を示すブロック図である。ダウンコンバータ7のブロック構成は、図1と類似しているが、IF生成部41とベースバンド生成部72との構成および動作が、第1の基本構成例であるダウンコンバータ1におけるIF生成部11とベースバンド生成部12と異なっている。
以下、図に従って、本実施形態におけるダウンコンバータ7について説明する。
次に、図面を参照し、本発明に係る低IF型のダウンコンバータの第4の実施形態について説明する。
図30は本実施形態における低IF型のダウンコンバータ7の構成を示すブロック図である。ダウンコンバータ7のブロック構成は、図1と類似しているが、IF生成部41とベースバンド生成部72との構成および動作が、第1の基本構成例であるダウンコンバータ1におけるIF生成部11とベースバンド生成部12と異なっている。
以下、図に従って、本実施形態におけるダウンコンバータ7について説明する。
IF生成部41は、本発明の第1〜3の実施形態と同様に、第1の基本構成例におけるIF生成部11に比して、複素係数トランスバーサルフィルタ115の実現手段の一つとして、複素係数SAWフィルタ150または157が用いられているところが異なる。
ベースバンド生成部72は、第1の基本構成例におけるベースバンド生成部12に比して、BPF121および122がBPF721および722に置き換えられ、インバランス補正部127が、イメージ周波数妨害キャンセラ73に置き換えられるところが異なる。
イメージ周波数妨害キャンセラ73は、乗算器74(共役信号生成手段)と、LMS(Least Mean Square)コア75(信号レベル調整手段)と、アッテネータ(ATT)76、77(信号レベル調整手段)と、減算器78、79(信号合成手段)とから構成される。LMSコア75は、LMSアルゴリズムに基づく適応フィルタとして動作する。
次に、本実施形態におけるダウンコンバータ7におけるベースバンド生成部72の動作について、図30を参照して説明する。
ベースバンド生成部72の動作は、第1の基本構成例におけるベースバンド生成部12の動作と類似しているので、相違点のみについて説明する。
ベースバンド生成部72の動作は、第1の基本構成例におけるベースバンド生成部12の動作と類似しているので、相違点のみについて説明する。
入力端TIから入力された複素信号S11Dの実部S11DIはBPF721によって帯域制限が行われ、複素信号S12Aの実部S12AIとしてAGCアンプ123に出力される。入力端TQから入力された複素信号S11Dの虚部S11DQはBPF721によって帯域制限が行われ、複素信号S12Aの虚部S12AQとしてAGCアンプ124に出力される。
イメージ周波数妨害キャンセラ73において、乗算器74は複素信号S12Bの虚部S12BQに「−1」を乗算し符号を反転させて、LMSコア75に出力する。LMSコア75は、A/Dコンバータ125から複素信号S12Bの実部S12BIを入力し、乗算器74から複素信号S12Bの虚部S12BQの極性を反転した信号を入力し、複素信号S12Bの複素共役信号である複素信号S12Cを生成する。LMSコア73は適応フィルタの中心部分であり、後述する減算器78および79の出力信号を誤差信号、生成された複素共役信号を参照信号として、LMSアルゴリズムに基づいてフィルタの係数を制御する。
ATT76はLMSコア75の実部の出力端から出力される信号(イメージ周波数妨害キャンセル信号の実部)の振幅を調整して減算器78に出力する。ATT77はLMSコア75の虚部の出力端から出力される信号(イメージ周波数妨害キャンセル信号の虚部)の振幅を調整して減算器79に出力する。
減算器78はA/Dコンバータ125から出力された複素信号S12Bの実部S12BIからATT76によって振幅調整されたイメージ周波数妨害キャンセル信号を減算し、複素信号S12Cの実部S12CIを全複素ミキサ129およびLMSコア75に出力する。減算器79はA/Dコンバータ126から出力された複素信号S12Bの虚部S12BQからATT77によって振幅調整されたイメージ周波数妨害キャンセル信号を減算し、複素信号S12Cの虚部S12CQを全複素ミキサ129およびLMSコア75に出力する。
以上のような動作によって、イメージ妨害キャンセラ73における適応フィルタにおいて、イメージ周波数妨害信号の元の信号から乗算器74によって生成される複素共役信号を参照信号として、入力される複素信号S12Bに含まれるイメージ周波数妨害信号と、参照信号との誤差を最小にするように動作する。誤差が完全にないときは、イメージ周波数妨害信号が完全に抑圧されるので、適応フィルタの適応精度限界までイメージ周波数妨害排除特性を向上させることができる。
尚、イメージ妨害キャンセラ73における適応フィルタにおいて、適応処理時にキャリブレーション信号を入力して適応フィルタの係数を求めてもよい。さらに、アナログ部の特性変化が短い時間で生じることはないため、イメージ周波数妨害信号が時間軸上において緩やかに変動する場合、適応処理を常に動作させる必要はなく、所定の時間だけ適応処理を行い、残りの時間は求めた係数により適応フィルタをイコライザとして動作させ、これを繰り返すことにより目的を達成してもよい。
LMSコア75の出力のレベルを調整する実部のATT76および虚部のATT77は、LMSコア75のフィルタ係数語長を最小限の係数語長で動作させるために挿入する。また、適応フィルタに参照信号として入力される複素共役信号より、イメージ周波数妨害信号の信号レベルが非常に小さくなり、ATT76および77を用いることができない場合は、LMSコア75において係数の大きさを可変にすることにより、出力であるイメージ周波数妨害キャンセル信号をイメージ周波数妨害信号と同一レベルに変化させることができる。ここで、LMSコア75の係数値を小さくすることは、フィルタ係数語長を短くすることと等しくなる。
以上のように、第4の実施形態におけるベースバンド生成部72は、第1の基本構成例におけるベースバンド生成部12に比して、以下のような利点を有する。すなわち、AGCアンプ123、124が、可変されたゲインおよび周波数に依存して、複素信号S12Cの実部S12CIの振幅と虚部S12CQの振幅とが揃わず、両者の信号間に振幅の差(インバランス)が発生し、イメージ周波数妨害の再発生を引き起こす不具合が発生していた。本実施形態におけるイメージ妨害信号キャンセラ73は、複素信号S12Cの実部S12CIの振幅と虚部S12CQの振幅との差をAGCアンプ123および124のゲインと無関係に固定値によって補正するインバランス補正部127に比して、それぞれの周波数に応じて、イメージ周波数妨害の再発生をより確実に回避することができる。また、上記のような処理によって、例えば、80〜100dBといった、より、高いイメージ抑圧比を得ることができる。
また、本発明の第1、第3の基本構成例および第3の実施形態と同様に、本発明の第4の実施形態におけるデュアルコンバージョン型のダウンコンバータとして、図31に示すように、本発明の第4の実施形態におけるシングルコンバージョン型のダウンコンバータ7において、IF生成部41内におけるLNA111と複素係数SAWフィルタ150または157との間に、前述した周波数変換器が介挿されたIF生成部41aを含む構成のダウンコンバータ7aが存在する。このダウンコンバータ7aは、第1IF信号、第2IF信号を、ダウンコンバータ7のRF信号、IF信号に置き換えて考察すると、同等の特性が得られることがわかる。
以上、詳述したように、本発明の第1〜2の基本構成例および第2、4の実施形態において、正と負の周波数が同時に処理され、A/Dコンバータ125および126によってディジタル信号に変換された後に、ディジタル部において、正と負の周波数の選択あるいは、同時処理の選択が可能となっている。
ここで、上述した第1〜4の実施形態におけるダウンコンバータ4〜7の利点等を説明する。
上述した第1〜3の実施形態におけるダウンコンバータ4〜6は、低消費電力が要求される用途に適している。SAWフィルタ340または350によりチャンネル帯域に制限されるため、A/Dコンバータ125、126に要求されるダイナミックレンジおよびビット数は小さくなり、IF信号の周波数が最小でも40MHzと高くなることを相殺して、消費電力を下げることができる。また、ベースバンド生成部42、52、62内の複素係数SAWフィルタ340または350をポリフェーズフィルタに置き換えた場合、IF信号の周波数を下げることができるので、A/Dコンバータ125および126のサンプリング周波数の低下と入力帯域幅の低下によって、複素係数SAWフィルタ340または350を用いる場合よりもフィルタ特性が劣化しダイナミックレンジが大きくなることによる消費電力の増大を相殺するか、或いは、より低消費電力化を図ることが可能となる。
また、第4の実施形態におけるダウンコンバータ7は、狭帯域無線方式等、非常に高いイメージ抑圧比が要求される用途に適している。
上述した第1〜3の実施形態におけるダウンコンバータ4〜6は、低消費電力が要求される用途に適している。SAWフィルタ340または350によりチャンネル帯域に制限されるため、A/Dコンバータ125、126に要求されるダイナミックレンジおよびビット数は小さくなり、IF信号の周波数が最小でも40MHzと高くなることを相殺して、消費電力を下げることができる。また、ベースバンド生成部42、52、62内の複素係数SAWフィルタ340または350をポリフェーズフィルタに置き換えた場合、IF信号の周波数を下げることができるので、A/Dコンバータ125および126のサンプリング周波数の低下と入力帯域幅の低下によって、複素係数SAWフィルタ340または350を用いる場合よりもフィルタ特性が劣化しダイナミックレンジが大きくなることによる消費電力の増大を相殺するか、或いは、より低消費電力化を図ることが可能となる。
また、第4の実施形態におけるダウンコンバータ7は、狭帯域無線方式等、非常に高いイメージ抑圧比が要求される用途に適している。
また、デュアルコンバージョン型のダウンコンバータ1a、2a、3a、6a、7aにおいては、第2IF信号の周波数を変更することにより、イメージ周波数が変わるので、第2IF信号の周波数を変更して、イメージ抑圧補正を行わずに、消費電力を抑制しつつ、イメージ抑圧比を確保してもよい。これは、イメージ周波数付近に信号がない場合、イメージ抑圧比が不十分でも妨害が発生しないため、等価的にイメージ抑圧比を確保できることになる。このとき、消費電力が大きいディジタル的な信号処理を行う必要がなくなる。
また、デュアルコンバージョン型のダウンコンバータ1a、2a、3a、6a、7aにおいては、第1IF信号の周波数をRF信号の周波数より高く設定しているが、RF信号の周波数が連続的でなく、例えば、RF信号が800〜900MHzと、1900〜2000MHzといった不連続な周波数帯をカバーする場合、それらの周波数帯の間に存在する900〜1900MHzを第1IF信号の周波数に設定してもよい。このようにすることにより、以下の問題を回避することができる。すなわち、RF信号の帯域内に第1IF信号の周波数がある場合、RF信号の通り抜け等の不可避な問題を回避することができる。また、第1IF周波数をむやみに高くした場合に、消費電力が増加し、特性のよいIFフィルタが作り難くなることを回避できる。以上のように、RF信号の周波数帯が不連続である場合、第1IF信号の周波数をRF信号が使用しない周波数帯に設定するのが望ましい。
<低IF型のアップコンバータの第1の実施形態>
以下、図面を参照し、この発明に係る低IF型のアップコンバータの第1の実施形態について説明する。
図32は本実施形態における低IF型のアップコンバータ34の構成を示すブロック図である。アップコンバータ34のブロック構成は、図21と類似しているが、複素係数トランスバーサルフィルタ310の実現手段の一つとして、複素係数SAWフィルタ350、または複素係数SAWフィルタ360のいずれかが用いられるところが、基本構成例におけるアップコンバータ31と異なっている。
以下、図に従って、本実施形態におけるアップコンバータ34について説明する。
以下、図面を参照し、この発明に係る低IF型のアップコンバータの第1の実施形態について説明する。
図32は本実施形態における低IF型のアップコンバータ34の構成を示すブロック図である。アップコンバータ34のブロック構成は、図21と類似しているが、複素係数トランスバーサルフィルタ310の実現手段の一つとして、複素係数SAWフィルタ350、または複素係数SAWフィルタ360のいずれかが用いられるところが、基本構成例におけるアップコンバータ31と異なっている。
以下、図に従って、本実施形態におけるアップコンバータ34について説明する。
尚、本実施形態におけるアップコンバータ34の動作は、基本構成例におけるアップコンバータ31の動作と類似しているが、全複素ミキサ309の出力信号である複素信号S30Eに対する信号処理を、複素係数トランスバーサルフィルタ310の実現手段の一つとして、複素係数SAWフィルタ350、360のいずれかによって行うところが異なる。
以上のように、第1の実施形態におけるアップコンバータ34は、基本構成例におけるアップコンバータ31に比して、次のような利点を有する。
すなわち、複素係数トランスバーサルフィルタ310を複素係数SAWフィルタ350または360に置き換えることにより、該フィルタを精度よく作ることができ、装置全体における性能向上を図ることができる。また、通常のSAWフィルタより形状が若干大きくなるが、通常のBPFに比して大幅な小型化が望める複素係数SAWフィルタ350、360を用いて装置全体の小型化を図ることができる。また複素係数SAWフィルタ350、360は受動素子であるため、電力消費がなく、装置全体の省電力化を図ることができる。
すなわち、複素係数トランスバーサルフィルタ310を複素係数SAWフィルタ350または360に置き換えることにより、該フィルタを精度よく作ることができ、装置全体における性能向上を図ることができる。また、通常のSAWフィルタより形状が若干大きくなるが、通常のBPFに比して大幅な小型化が望める複素係数SAWフィルタ350、360を用いて装置全体の小型化を図ることができる。また複素係数SAWフィルタ350、360は受動素子であるため、電力消費がなく、装置全体の省電力化を図ることができる。
<低IF型のアップコンバータの第2の実施形態>
次に、図面を参照し、この発明に係る低IF型のアップコンバータの第2の実施形態にしているが、LPF303、304、Locald305、全複素ミついて説明する。
図33は本実施形態における低IF型のアップコンバータ35の構成を示すブロック図である。アップコンバータ35のブロック構成は、図32と類似しているが、LPF303〜304および全複素ミキサ306が削除されるところが、第1の実施形態におけるアップコンバータ34と異なっている。
以下、図に従って、本実施形態におけるアップコンバータ35について説明する。
次に、図面を参照し、この発明に係る低IF型のアップコンバータの第2の実施形態にしているが、LPF303、304、Locald305、全複素ミついて説明する。
図33は本実施形態における低IF型のアップコンバータ35の構成を示すブロック図である。アップコンバータ35のブロック構成は、図32と類似しているが、LPF303〜304および全複素ミキサ306が削除されるところが、第1の実施形態におけるアップコンバータ34と異なっている。
以下、図に従って、本実施形態におけるアップコンバータ35について説明する。
尚、本実施形態におけるアップコンバータ35の動作は、第1の実施形態におけるアップコンバータ34の動作と類似しているが、D/Aコンバータ301、302から出力された複素ベースバンド信号である複素信号S30Aを全複素ミキサ306によってlocald305の周波数(IF信号の周波数)へ変換する処理を行わず、複素信号S30Aの周波数をIF信号の周波数に設定することによって、複素信号S30AをD/Aコンバータ301、302から複素係数トランスバーサルフィルタ307に直接出力するところが異なる。つまり、アップコンバータ35は入力端TIIおよびTIQから複素ベースバンド信号ではなく、複素IF信号を入力することになる。
以上のように、第2の実施形態におけるアップコンバータ35は、第1の実施形態におけるアップコンバータ34に比して、次のような利点を有する。
すなわち、入力端TIIおよびTIQから複素ベースバンド信号ではなく、複素IF信号を入力することにより、LPF303、304、Locald305、全複素ミキサ306からなるベースバンド処理段が削除され、第1の実施形態におけるアップコンバータ34に比して、小型、且つ、軽量なアップコンバータを構成することができる。
すなわち、入力端TIIおよびTIQから複素ベースバンド信号ではなく、複素IF信号を入力することにより、LPF303、304、Locald305、全複素ミキサ306からなるベースバンド処理段が削除され、第1の実施形態におけるアップコンバータ34に比して、小型、且つ、軽量なアップコンバータを構成することができる。
<ゼロIF、準ゼロIF型のダウンコンバータの実施形態>
次に、図面を参照し、この発明に係るゼロIFまたは準ゼロIF型のダウンコンバータの実施形態について説明する。
図50は本実施形態におけるゼロIFまたは準ゼロIF型のダウンコンバータ44の構成を示すブロック図である。ダウンコンバータ44のブロック構成は、図40と類似しているが、IF生成部57とベースバンド生成部58との構成および動作が、基本構成例であるダウンコンバータ40におけるIF生成部53とベースバンド生成部54と異なっている。
以下、図に従って、本実施形態におけるダウンコンバータ44について説明する。
次に、図面を参照し、この発明に係るゼロIFまたは準ゼロIF型のダウンコンバータの実施形態について説明する。
図50は本実施形態におけるゼロIFまたは準ゼロIF型のダウンコンバータ44の構成を示すブロック図である。ダウンコンバータ44のブロック構成は、図40と類似しているが、IF生成部57とベースバンド生成部58との構成および動作が、基本構成例であるダウンコンバータ40におけるIF生成部53とベースバンド生成部54と異なっている。
以下、図に従って、本実施形態におけるダウンコンバータ44について説明する。
IF生成部57は、基本構成例におけるIF生成部53に比して、複素係数フィルタ113が、複素係数SAWフィルタ518に置き換えられているところが異なる。また、
IF生成部57において、局部発振器であるLocalf514が、後述するように、ゼロIF型のダウンコンバータと準ゼロIF型のダウンコンバータとに対応する周波数の信号を出力することができるようになっており、IF生成部57は、Localf514の発振周波数を切り替えることにより、ゼロIF型のダウンコンバータとしての処理または準ゼロIF型のダウンコンバータとして処理のいずれかを選択することが可能となっている。
IF生成部57において、局部発振器であるLocalf514が、後述するように、ゼロIF型のダウンコンバータと準ゼロIF型のダウンコンバータとに対応する周波数の信号を出力することができるようになっており、IF生成部57は、Localf514の発振周波数を切り替えることにより、ゼロIF型のダウンコンバータとしての処理または準ゼロIF型のダウンコンバータとして処理のいずれかを選択することが可能となっている。
図51は、ダウンコンバータ44のIF生成部57の複素係数SAWフィルタ518の構造を示した図である。当該SAWフィルタの原理は、前述した複素係数SAWフィルタ150と同様であるため、ここにおいては説明を省略し、以下、ダウンコンバータ44において用いられる複素係数SAWフィルタ518の構成および動作について説明する。
複素係数SAWフィルタ518は、圧電基板151と、圧電基板151上に配置され、交差幅が場所毎に異なるITD183〜186によって構成されている。IDT183、185は、入力端に共通に接続されており、インパルス電気信号が印加されると、圧電性により機械的歪みを生じ、弾性表面波が励振され、圧電基板151の左右方向に伝搬する。IDT184は実部信号を出力する出力端Iに接続され、IDT183からの弾性表面波を受信することができるような位置に配置される。また、IDT186は虚部信号を出力する出力端Qに接続され、IDT185からの弾性表面波を受信することができるような位置に設けられている。IDT184は、実部のインパルス応答、すなわち偶対称インパルス応答に対応した重み付けを行うため、包絡線の中心に対して偶対称となるように各電極指が設けられる。IDT186は、虚部のインパルス応答、すなわち奇対称インパルス応答に対応した重み付けを行うため、包絡線の中心に対して奇対称となるように各電極指が設けられる。この構成によって、実RF信号を実部と虚部において、90°の位相差を有する複素RF信号へ変換することが可能となる。
次に、複素係数SAWフィルタ518の動作について説明する。最初に、入力端に実RF信号が入力されると、IDT183とIDT185において弾性表面波が励振され、該弾性表面波が伝搬される。IDT183とIDT185とから伝搬される弾性表面波は、それぞれの伝搬方向に設けられたIDT184とIDT186によって受信され、それぞれに対応したインパルス応答に基づくたたみ込み積分が行われつつ再び電気信号に変換される。このとき、IDT184においては、RF信号の実部信号が出力端Iから出力され、IDT186においては、RF信号の虚部信号が出力端Qから出力される。この構成により、図42および図43に示したインパルス応答と実RF信号とをたたみ込み積分することにより、実RF信号の負の周波数帯域を抑制しつつ、互いに90°の位相差を有する複素RF信号を出力することが可能となる。
尚、インパルス応答に対応する重み付けがされたIDT183およびIDT185を入力端に接続し、出力端にIDT184および186を設けるようにしても、同様に複素信号を出力することが可能である。
また、複素係数SAWフィルタ518は、図52に示す複素係数SAWフィルタ187に置き換えてもよい。複素係数SAWフィルタ187は、複素係数SAWフィルタ518において、入力端側に2つのIDT183と185とが設けられていたのに対して、出力側に接続されたIDT184および186の両方の伝搬路に跨るように、入力側にIDT188が設けられている点が異なる。この構成により、入力端側のIDTを1つにすることができる。
図50に戻り、ベースバンド生成部58は、基本構成例におけるベースバンド生成部54に比して、複素係数フィルタ522がBPF541、542に置き換えられ、切換器533、534と、切換器制御部535が追加されているところが異なる。ベースバンド生成部58は、切換器533、534を切り替えることにより、IF生成部57と同様に、ゼロIF型のダウンコンバータとしての処理または準ゼロIF型のダウンコンバータとしての処理のいずれかを選択することが可能となっている。
切換器制御部535は、切換器533、534の制御入力端(図示しない)に接続され、後述するように、切換器533、534を必要に応じて切り替える。また、IF生成部57におけるLocalf514の制御入力端(図示しない)にも接続され、切換器533、534の切換に応じて、Localf514の発振周波数を切り替える。
ここで、切換器制御部535による切換器533、534およびLocalf514の制御の詳細を説明する。
前述したように、RF信号からベースバンド信号を取り出す際には、構成が最も簡略化されるという点において、ゼロIF型のダウンコンバータが最もよいものであるが、RF信号からベースバンド信号への正確な周波数変換の実現のためには、非常に分解能の高い回路を用いることが必要であり、そのような分解能の高い周波数変換を一度に行えない場合、オフセット分の周波数まで周波数変換を行った後に、ディジタル処理によってオフセット分を除去し、ベースバンド信号を得るようにした準ゼロIF型のダウンコンバータが存在する。ここで、ゼロIF型のダウンコンバータと、準ゼロIF型のダウンコンバータとの差は、上述した周波数変換を行うために、切換器制御部533が局部発振器であるlocalf514の周波数をRF信号の周波数と全く等しい値に設定することができるか、RF信号の周波数に近い値にしか設定できないかよるものであることになる。また、準ゼロIF型のダウンコンバータについては、オフセット分を除去するために周波数変換の回路が必要になる。
そのため、RF信号の周波数とLocalf514に設定することができる周波数との関係によって、回路構成が変わることになる。よって、前述した切換器533、534と、切換器制御部535とによって、Localf514に設定する周波数に応じて、以下のように、ダウンコンバータ44をゼロIF型のダウンコンバータまたは準ゼロIF型のダウンコンバータとして機能するように切り替える。
すなわち、ダウンコンバータ44をゼロIF型のダウンコンバータとして機能させる場合、切換器533は端子Tz1と端子Tou1とを、切換器534は端子Tz2と端子Tou2とを接続するように回路を接続し、全複素ミキサ528と、LPF529、530とを断路して、A/Dコンバータ525、526からLPF529、530へ、直接、複素信号S42Cを出力する。
また、ダウンコンバータ44を準ゼロIF型のダウンコンバータとして機能させる場合、切換器533は端子Tj1と端子Tou1とを、切換器534は端子Tj2と端子Tou2とを接続するように回路を接続し、全複素ミキサ528と、LPF529、530とを接続して、A/Dコンバータ525、526から全複素ミキサ528を介して、LPF529、530へ複素信号S42Dを出力する。
次に、ダウンコンバータ44の動作について説明する。先ず、ゼロIF型のダウンコンバータとして動作する場合について説明する。ゼロIF型のダウンコンバータの場合、切換器制御部535は、最初にLocalf514へ、出力される信号の周波数がRF信号の周波数と同じ値になるような係数を設定する。そして、切換器533、534がそれぞれ、端子Tz1と端子Tou1とを、端子Tz2と端子Tou2とを接続するように回路を接続する。このとき、全複素ミキサ528の動作が停止される。
IF生成部57において、アンテナによって受信された実信号のRF信号がLNA511に入力され、LNA511は該RF信号を増幅して複素係数SAWフィルタ518、187に出力する。複素係数SAWフィルタ518、187は、LNA511から出力された増幅後の実RF信号である実信号S41Aを、負の周波数帯域を抑制しつつ、互いに90°位相が異なる実部信号と虚部信号からなる複素RF信号である複素信号S41Bに変換して全複素ミキサ5157に出力する。尚、複素係数SAWフィルタ518、187の通過帯域幅は無線システム帯域幅を確保できるように設定する。
全複素ミキサ515は、Localf514から入力されるRF信号の周波数と同じ周波数の複素ローカル信号が入力され、当該複素ローカル信号と、複素係数SAWフィルタ518、187から出力される複素信号S41Bの実部とをミキシングして複素ベースバンド信号を生成し、出力端TIおよびTQから該信号である複素信号S41Cを出力する。
そして、ベースバンド生成部58において、入力端TIおよびTQから入力した複素信号S41Cが、LPF521、522によって、周波数ゼロを中心とした所定の範囲以外の周波数帯域についての帯域制限が行われ、複素ベースバンド信号である複素信号S42AをAGCアンプ523、524に出力する。AGCアンプ523、524は、複素信号S42Aの振幅を、A/Dコンバータ525および526に入力するのに適切なレベルに調整し、A/Dコンバータ525、526に出力する。A/Dコンバータ525、526は入力された信号をディジタル信号に変換し、切換器533、534を介して、LPF529、530にそれぞれ出力する。LPF529、530は複素ベースバンド信号である複素信号S42Cの高周波成分の除去を行い、複素ベースバンド信号の実部信号Iおよび虚部信号Qをそれぞれ出力端TOIとTOQへ出力する。
次に、ダウンコンバータ44が準ゼロIF型のダウンコンバータとして動作する場合について説明する。準ゼロIF型のダウンコンバータの場合、切換器制御部535は、最初にLocalf514へ、出力される信号の周波数がRF信号の周波数からオフセット周波数だけ離れた値になるような係数を設定する。そして、切換器533、534がそれぞれ、端子Tj1と端子Tou1とを、端子Tj2と端子Tou2とを接続するように回路を接続する。
アンテナから入力端TRFにて入力された実信号のRF信号がLNA511によって増幅され、実RF信号が出力される。当該信号が入力される複素係数SAWフィルタ518、187は、LNA511から出力される実RF信号の負の周波数成分を抑圧し、互いに90°位相が異なる実部信号と虚部信号からなる複素RF信号に変換して全複素ミキサ515に出力する。全複素ミキサ515は、Localf514から出力されるRF信号の周波数からオフセット周波数離れた周波数の複素ローカル信号が入力され、当該複素ローカル信号と、複素係数SAWフィルタ518、187から出力される複素信号S41Bとをミキシングして複素IF信号を生成し、出力端TIおよびTQから該信号である複素信号S41Cを出力する。
次にベースバンド生成部56において、LPF541およびLPF542は、入力した複素信号S41Cに対してオフセット周波数を中心とした所定の範囲以外の周波数帯域について帯域制限を行い、複素IF信号をAGCアンプ523、524に出力する。AGCアンプ523、524は、該複素信号の振幅を、A/Dコンバータ525および526に入力するのに適切なレベルに調整し、A/Dコンバータ525および526に出力する。A/Dコンバータ525および526は入力された複素信号をディジタル信号である複素信号S42Cに変換し、全複素ミキサ528に出力する。
全複素ミキサ528は、複素信号S42Cを、Localh527から出力される周波数C2の複素ローカル信号によって、中心周波数が直流となる複素ベースバンド信号へ周波数変換を行い、変換後の複素ベースバンド信号である複素信号S42Dを、切換器533、534を介して、LPF529、530にそれぞれ出力する。LPF529、530は複素ベースバンド信号である複素信号S42Dの高周波成分の除去と波形整形とを行い、複素ベースバンド信号の実部信号Iおよび虚部信号Qをそれぞれ出力端TOIとTOQへ出力する。
以上のように、ダウンコンバータ44は、少ないスペースにおいてゼロIF型のダウンコンバータと準ゼロIF型のダウンコンバータの機能を兼ね備えることが可能であり、例えば、これにより、双方の機能を要求する携帯端末等への適用を図ることが可能となる。
尚、ダウンコンバータ44において、LPF541および542と、A/Dコンバータ525および526との間において発生する実部信号と虚部信号との間の誤差によってもEVMの劣化が生じるが、この誤差は、複素係数SAWフィルタ518、187と全複素ミキサ528の動作には無関係であり、当該誤差は既存のディジタル信号処理による実部信号と虚部信号との間の誤差補償の手段を適用することにより、改善することができる。
<ゼロIF、順ゼロIF型のアップコンバータの実施形態>
次に、図面を参照し、この発明に係るゼロIFまたは準ゼロIF型のアップコンバータの実施形態の実施形態について説明する。
図53は本実施形態におけるゼロIFまたは準ゼロIF型のアップコンバータ64の構成を示すブロック図である。アップコンバータ64のブロック構成は、図49と類似しているが、構成および動作が、基本構成例である準ゼロIF型のアップコンバータ63と異なっている。
以下、図に従って、本実施形態におけるアップコンバータ64について説明する。
次に、図面を参照し、この発明に係るゼロIFまたは準ゼロIF型のアップコンバータの実施形態の実施形態について説明する。
図53は本実施形態におけるゼロIFまたは準ゼロIF型のアップコンバータ64の構成を示すブロック図である。アップコンバータ64のブロック構成は、図49と類似しているが、構成および動作が、基本構成例である準ゼロIF型のアップコンバータ63と異なっている。
以下、図に従って、本実施形態におけるアップコンバータ64について説明する。
アップコンバータ64は、基本構成例におけるアップコンバータ63に比して、切換器737、738と、切換器制御部739とが追加され、局部発振器であるLocali734が、後述するように、ゼロIF型のアップコンバータと準ゼロIF型のアップコンバータとに対応する周波数の信号を出力することができるようにされ、複素係数フィルタ709が、複素係数SAWフィルタ740に置き換えられているところが異なる。アップコンバータ64は、Locali734の発振周波数および切換器737、738を切り替えることにより、ゼロIF型のアップコンバータとしての処理または準ゼロIF型のアップコンバータとして処理のいずれかを選択することが可能となっている。
切換器制御部739は、切換器737、738の制御入力端(図示しない)に接続され、後述するように、切換器737、738を必要に応じて切り替える。また、Locali734の制御入力端(図示しない)にも接続され、切換器737、738の切換に応じて、Locali734の発振周波数を切り替える。
ここで、切換器制御部739による切換器737、738およびLocali734の制御の詳細を説明する。
前述したように、ベースバンド信号からRF信号を生成する際には、構成が最も簡略化されるという点において、ゼロIF型のアップコンバータが最もよいものであるが、ベースバンド信号からRF信号への正確な周波数変換の実現のためには、非常に分解能の高い回路を用いることが必要であり、そのような分解能の高い周波数変換を一度に行えない場合、前述した準ゼロ型ダウンコンバータの場合と類似の構成として、ベースバンド信号を直流に近い周波数であるオフセット分の周波数までディジタル処理によって周波数変換を行った後に、該オフセット分の周波数からRF信号を得るような周波数変換を行う構成にした準ゼロIF型のアップコンバータが存在する。
ここで、ゼロIF型のアップコンバータと、準ゼロIF型のアップコンバータとの差は、ダウンコンバータと同様に、上述した周波数変換を行うために、切換器制御部739が局部発振器であるlocali734の周波数をRF信号の周波数と全く等しい値に設定することができるか否かによるものであることになる。また、準ゼロIF型のアップコンバータについては、ベースバンド信号を、一旦、オフセット分の周波数に変換するために周波数変換の回路が必要になる。
また、準ゼロIF型のアップコンバータと低IF型のアップコンバータとの差は、入力する信号の帯域が周波数ゼロを跨ぐか否かによる。つまり、準ゼロIF型のアップコンバータに入力する信号の帯域は周波数ゼロを跨ぎ、低IF型のアップコンバータに入力する信号の帯域は周波数ゼロを跨がない。
また、準ゼロIF型のアップコンバータと低IF型のアップコンバータとの差は、入力する信号の帯域が周波数ゼロを跨ぐか否かによる。つまり、準ゼロIF型のアップコンバータに入力する信号の帯域は周波数ゼロを跨ぎ、低IF型のアップコンバータに入力する信号の帯域は周波数ゼロを跨がない。
そのため、RF信号の周波数とLocali734に設定することができる周波数との関係によって、回路構成が変わることになる。よって、前述した切換器737、738と、切換器制御部739とによって、Locali734に設定する周波数に応じて、以下のように、アップコンバータ64をゼロIF型のアップコンバータまたは準ゼロIF型のアップコンバータとして機能するように切り替える。
すなわち、アップコンバータ64をゼロIF型のアップコンバータとして機能させる場合、切換器737は端子Tz1と端子Tou1とを、切換器738は端子Tz2と端子Tou2とを接続するように回路を接続し、全複素ミキサ735と、D/Aコンバータ701、702とを断路して、LPF731、732からへ、直接、D/Aコンバータ701、702へ複素信号S61Aを出力する。
また、アップコンバータ64を準ゼロIF型のアップコンバータとして機能させる場合、切換器737は端子Tj1と端子Tou1とを、切換器738は端子Tj2と端子Tou2とを接続するように回路を接続し、全複素ミキサ735と、D/Aコンバータ701、702とを接続して、LPF701、702から全複素ミキサ735を介して、D/Aコンバータ701、702とへ複素信号S61Bを出力する。
以上のような構成より、アップコンバータ64は、ゼロIF型のアップコンバータ60と、準ゼロIF型のアップコンバータ63との構成を併せ持つこととなる。
図54は、アップコンバータ64の複素係数SAWフィルタ740の構造を示した図である。当該SAWフィルタの原理は、前述した複素係数SAWフィルタ360と同様であるため、ここにおいては説明を省略し、以下、アップコンバータ64において用いられる複素係数SAWフィルタ740の構成および動作について説明する。
複素係数SAWフィルタ740は、圧電基板151と、圧電基板151上に配置され、交差幅が場所毎に異なるITD743〜746によって構成されている。IDT743は実部信号を入力する入力端Iに接続され、IDT745は虚部信号を入力する入力端Qに接続され、インパルス電気信号が印加されると、圧電性により機械的歪みを生じ、弾性表面波が励振され、圧電基板151の左右方向に伝搬する。IDT743は、実部のインパルス応答、すなわち偶対称インパルス応答に対応した重み付けを行うため、包絡線の中心に対して偶対称となるように各電極指が設けられる。IDT745は、虚部のインパルス応答、すなわち奇対称インパルス応答に対応した重み付けを行うため、包絡線の中心に対して奇対称となるように各電極指が設けられる。IDT744はIDT743からの弾性表面波を受信することができるような位置に配置され、IDT746はIDT745からの弾性表面波を受信することができるような位置に配置され、出力端に共通に接続される。また、IDT744および746は互いに逆相になるように接続されているため、実部信号から虚部信号が減算されることになり、出力端から実RF信号が出力されることになる。よって、複素RF信号を実部と虚部において、90°の位相差を有する実RF信号へ変換することが可能となる。
次に、複素係数SAWフィルタ740の動作について説明する。最初に、入力端に複素RF信号が入力されると、IDT743とIDT745において、それぞれに対応したインパルス応答に基づくたたみ込み積分が行われつつ弾性表面波が励振され、該弾性表面波が伝搬される。IDT743とIDT745とから伝搬される弾性表面波は、それぞれの伝搬方向に設けられたIDT744とIDT746によって受信され、再び電気信号に変換される。このとき、IDT744においては、RF信号の実部信号が出力され、IDT746においては、RF信号の虚部信号の極性が逆転した信号が出力され、出力側の虚部に対応するIDT746の出力の極性を逆にすることにより、RF信号の実部信号から虚部信号が減算され、実RF信号が出力端から出力される。
この構成により、図42および図43に示したインパルス応答と複素RF信号とをたたみ込み積分することにより、複素RF信号の負の周波数帯域を抑制しつつ、互いに90°の位相差を有する実RF信号を出力することが可能となる。
この構成により、図42および図43に示したインパルス応答と複素RF信号とをたたみ込み積分することにより、複素RF信号の負の周波数帯域を抑制しつつ、互いに90°の位相差を有する実RF信号を出力することが可能となる。
尚、図54に示す複素係数SAWフィルタ740は、図51、図52に示す複素係数SAWフィルタ518、187においては、出力端側にインパルス応答の重み付けがされた2つのIDT184、186が設けられていたのに対して、入力側にインパルス応答の重み付けがされたIDT743、IDT745が接続され、出力側には出力端に接続され、IDT743、IDT745の伝搬路の上にそれぞれIDT744、IDT746を備えた構成となっている。ここで、インパルス応答に対応する重み付けがされたIDT744およびIDT746を出力端に接続し、入力端にIDT743および745を設けるようにしても、同様に実RF信号を出力することが可能である。
また、極性を逆にするのは虚部のIDT746に限られず、実部のIDT744の極性を逆にするようにしてもよい。
また、尚、複素係数SAWフィルタ740は、図55に示す複素係数SAWフィルタ750に置き換えてもよい。複素係数SAWフィルタ750は、複素係数SAWフィルタ740においては、出力端側に2つのIDT744と746とが設けられていたのに対して、出力側に接続されたIDT744および746の両方の伝搬路に跨るように、入力側にIDT747が設けられ、虚部信号の入力側のIDT745の極性が逆にされている点が異なる。この構成により、出力端側のIDTを1つにすることができる。
以下、アップコンバータ64の動作について説明する。先ず、ゼロIF型のアップコンバータとして動作する場合について説明する。ゼロIF型のアップコンバータの場合、切換器制御部739は、最初にLocali734へ、出力される信号の周波数がRF信号の周波数と同じ値になるような係数を設定する。そして、切換器737、738がそれぞれ、端子Tz1と端子Tou1とを、端子Tz2と端子Tou2とを接続するように回路を接続する。このとき、全複素ミキサ735の動作が停止される。
入力端TIIおよびTIQから入力されたディジタルベースバンド信号は、LPF731、732によって高周波成分が除去され波形整形された後に、D/Aコンバータ701、702によりアナログ信号である複素信号S61Cに変換される。複素信号S61CはLPF725、726により高周波成分が除去されて波形整形される。
全複素ミキサ706は、Localh705から入力され、RF信号周波数と同じ周波数を有する複素ローカル信号に基づいて複素信号を周波数変換し、RF信号の周波数を有する複素RF信号である複素信号S61Eを複素係数SAWフィルタ740、750に出力する。
複素係数SAWフィルタ740、750は、入力される複素RF信号の負の周波数を抑圧しつつ、複素RF信号の実部信号と虚部信号を生成し、実部信号から虚部信号を減算して、実RF信号を取り出す。ここで、複素係数SAWフィルタ740、750の通過帯域幅は無線システム帯域幅を確保できるように設定する。
次に、アップコンバータ62が準ゼロIF型のアップコンバータとして動作する場合について説明する。準ゼロIF型のアップコンバータの場合、切換器制御部739は、最初にLocali734へ、出力される信号の周波数がRF信号の周波数からオフセット周波数だけ離れた値になるような係数を設定する。そして、切換器737、738がそれぞれ、端子Tj1と端子Tou1とを、端子Tj2と端子Tou2とを接続するように回路を接続する。
入力端TIIおよびTIQから入力されたディジタル信号の実部信号は、LPF720および721によって高周波成分が除去され波形整形され、全複素ミキサ735に出力される。
全複素ミキサ735は、入力される複素信号をLocali734から出力される周波数D2の複素ローカル信号によってオフセット周波数を中心周波数とする周波数変換を行い、複素IF信号である複素信号S61BをD/Aコンバータ701および702に出力する。
全複素ミキサ735から出力された複素信号S61Bは、D/Aコンバータ701、702によりアナログ信号に変換され、アナログ信号化された複素IF信号である複素信号S61Cが生成され、LPF725、726に出力される。そして、複素信号S61CはLPF725、726により高周波成分が除去されて波形整形され、全複素ミキサ706に出力される。
全複素ミキサ706は、Localh705から入力され、RF信号周波数からオフセット周波数離れた周波数(D1)を有する複素ローカル信号に基づいて複素信号S61Dに対して周波数変換を行い、RF信号の周波数を有する複素RF信号である複素信号S61Eを、複素係数SAWフィルタ740、750に出力する。複素係数SAWフィルタ740、750は、入力される複素信号S61Eの負の周波数を抑圧しつつ、複素信号S61Eの実部から虚部を減算し、実RF信号を取り出す。
以上のように、アップコンバータ64は、少ないスペースにおいてゼロIF型のアップコンバータと準ゼロIF型のアップコンバータの機能を兼ね備えることが可能であり、例えば、これにより、双方の機能を要求する携帯端末等への適用を図ることが可能となる。
尚、アップコンバータ64において、D/Aコンバータ701、702およびLPF725、726との間において発生する実部信号と虚部信号との間の誤差によってもEVMの劣化が生じるが、この誤差は、複素係数SAWフィルタ740、750と全複素ミキサ706の動作には無関係であり、当該誤差は既存のディジタル信号処理による実部信号と虚部信号との間の誤差補償の手段を適用することにより、改善することができる。
また、上述した複素係数トランスバーサルフィルタに用いられる偶対称インパルス応答あるいは奇対称インパルス応答は、複素係数トランスバーサルフィルタにフラットな群遅延特性が要求される場合には、厳密に偶対称あるいは奇対称である必要があるが、群遅延特性が厳密にフラットであることを要求されない場合には、対称性が失われたインパルス応答であってもよい。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲での設計変更も含まれる。
1〜8、1a、2a、3a、6a、7a、8a、40、44、48・・・ダウンコンバータ、11、11a、41、41a、53、55、57、81、81a・・・IF(Intermediate Frequency)生成部、12、12a、22、32、42、52、54、56、58、62、72、82・・・ベースバンド生成部、31、34、35、38、60、63、64、68・・・アップコンバータ、73・・・イメージ周波数妨害キャンセラ、74・・・乗算器(共役信号生成手段)、75・・・LMS(Least Mean Square)コア(信号レベル調整手段)、76、77・・・、アッテネータ(ATT)(信号レベル調整手段)、78、79・・・減算器(信号合成手段)、111、511・・・LNA(Low Noise Amplifier)、112、121、122、311、312、314、516、714、721〜722、812・・・BPF(Band Pass Filter)、113・・・ミキサA、114・・・Locala、115、310・・・複素係数トランスバーサルフィルタ、116、813・・・Localb、117、309、515、706・・・全複素ミキサ(複素ミキサ)、123、124、523、524・・・AGCアンプ(Auto Gain Control Amplifier)、125、126、525、526・・・A/Dコンバータ(ADC:Analog to Digital Converter)、127・・・インバランス補正部、128、136、823・・・Localc、129、306、528、735・・・全複素ミキサ、130、131、143、144、303、304、529、530、541、542、703、704、711、712、725、726、731,732・・・LPF(Low Pass Filter)、132・・・、補償値メモリ、133・・・乗算器、134、513、522,709、821・・・複素係数フィルタ、135、173、325、708、822・・・減算器、137、141、814、824・・・ミキサI、138、142、815、825・・・ミキサQ、139、176、326・・・加算器、140、533、534、737、738・・・切換器、150、157、187、340、350、360、518、740、750・・・複素係数SAWフィルタ、151・・・圧電基板、152〜156、183〜186、188、342、344、363〜366、743〜747・・・IDT(:Inter-Digital Transducer(すだれ状電極))、171・・・ミキサII、172・・・ミキサIQ、174・・・ミキサQI、175・・・ミキサQQ、301、302、701、702・・・D/Aコンバータ(DAC:Digital to Analog Converter)、305・・・Locald、307、707・・・複素係数トランスバーサルフィルタ(第2の複素係数トランスバーサルフィルタ)、308・・・Locale、313、517、713・・・半複素ミキサ、321・・・BPF−Ia、322・・・BPF−Ib、323・・・BPF−Qa、324・・・BPF−Qb、343・・・IDT(第1のすだれ電極)、345・・・IDT(第2のすだれ電極)、346・・・IDT(第3のすだれ電極)、514・・・Localf、527・・・Localg、535、739・・・切換器制御部、705・・・Localh、734・・・Locali
Claims (13)
- RF信号を低周波数へ周波数変換するダウンコンバータであって、
入力されるRF信号に対し偶関数に基づいて生成されるインパルス応答に基づいてたたみ込み積分を行い複素RF信号の実部を生成し、前記入力されるRF信号に対し奇関数に基づいて生成されるインパルス応答に基づいてたたみ込み積分を行い複素RF信号の虚部を生成し、正の周波数あるいは負の周波数のいずれか一方を抑圧して複素RF信号を出力する複素係数トランスバーサルフィルタと、
所定の周波数を有する複素ローカル信号を出力する局部発振器と、
前記複素係数トランスバーサルフィルタと、前記局部発振器とに接続され、前記複素係数トランスバーサルフィルタから出力される前記複素RF信号と、前記局部発振器から出力される前記複素ローカル信号とを乗算して周波数変換し、前記RF信号の周波数より前記所定の周波数離れた周波数の複素信号を出力する複素ミキサと、
を備えたことを特徴とするダウンコンバータ。 - 前記複素係数トランスバーサルフィルタが、SAWフィルタによって構成されることを特徴とする請求項1に記載のダウンコンバータ。
- 前記所定の周波数が、前記RF信号のチャネル信号帯域外の周波数値であることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかの項に記載のダウンコンバータ。
- 前記RF信号の周波数を変換し、前記複素係数トランスバーサルフィルタに出力する周波数変換器を有することを特徴とする請求項3に記載のダウンコンバータ。
- 前記複素ミキサに接続され、前記複素ミキサから出力される前記複素信号の正の周波数あるいは負の周波数を抑圧して出力する第2の複素係数トランスバーサルフィルタをさらに備えたことを特徴とする請求項3または請求項4のいずれかの項に記載のダウンコンバータ。
- 前記第2の複複素係数トランスバーサルフィルタが、SAWフィルタによって構成されることを特徴とする請求項5に記載のダウンコンバータ。
- 前記複素ミキサから出力された当該複素信号の虚部信号の符号を反転させ、前記複素信号の複素共役となる複素共役信号を生成する共役信号生成手段と、
目的の周波数帯域内において、前記複素信号と前記共役複素信号との振幅及び位相関係を一定にするように、前記複素共役信号のレベルを調整する信号レベル調整手段と、
前記複素ミキサから出力される前記複素信号と、レベルが調整された前記複素共役信号を合成する信号合成手段と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項5から請求項6のいずれかの項に記載のダウンコンバータ。 - 前記RF信号の周波数より前記所定の周波数離れた周波数を、前記複素係数トランスバーサルフィルタの通過帯域端の周波数と前記RF信号の周波数との差の半分の周波数より高い周波数とすることを特徴とする請求項5から請求項7のいずれかの項に記載のダウンコンバータ。
- 複素信号をRF信号の周波数へ周波数変換するアップコンバータであって、
所定の周波数を有する複素ローカル信号を出力する局部発振器と、
前記局部発振器に接続され、入力される前記複素信号と、前記局部発振器から出力される複素ローカル信号とを乗算して周波数変換して複素RF信号を出力する複素ミキサと、
前記複素ミキサに接続され、前記複素ミキサから出力される前記複素RF信号の実部に対し偶関数に基づいて生成されるインパルス応答に基づいてたたみ込み積分を行い、前記複素RF信号の虚部に対し奇関数に基づいて生成されるインパルス応答に基づいてたたみ込み積分を行うことにより正の周波数あるいは負の周波数のいずれか一方を抑圧して実数RF信号を出力する複素係数トランスバーサルフィルタと、
を備えたことを特徴とするアップコンバータ。 - 前記複素係数トランスバーサルフィルタが、SAWフィルタによって構成されることを特徴とする請求項9に記載のアップコンバータ。
- 前記複素信号の中心周波数が、前記RF信号の周波数の値と前記所定の周波数の値との差であって、且つ、前記RF信号の周波数に前記差の値を加えた値が前記RF信号のチャンネル信号帯域外であることを特徴とする請求項9または請求項10のいずれかの項に記載のアップコンバータ。
- 前記複素ミキサの入力側に接続され、入力される複素信号の実部に対し偶関数に基づいて生成されるインパルス応答に基づいてたたみ込み積分を行い複素信号の実部を生成し、前記入力される複素信号の虚部に対し奇関数に基づいて生成されるインパルス応答に基づいてたたみ込み積分を行い複素信号の虚部を生成し、正の周波数あるいは負の周波数のいずれか一方を抑圧して複素信号を前記複素ミキサに出力する第2の複素係数トランスバーサルフィルタをさらに備えたことを特徴とする請求項11に記載のアップコンバータ。
- 前記第2の複素係数トランスバーサルフィルタが、SAWフィルタによって構成されることを特徴とする請求項11または請求項12のいずれかの項に記載のアップコンバータ。
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