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JP2006299045A - 医療材料用高分子化合物及び該高分子化合物を用いたバイオチップ用基板 - Google Patents

医療材料用高分子化合物及び該高分子化合物を用いたバイオチップ用基板 Download PDF

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JP2006299045A
JP2006299045A JP2005121708A JP2005121708A JP2006299045A JP 2006299045 A JP2006299045 A JP 2006299045A JP 2005121708 A JP2005121708 A JP 2005121708A JP 2005121708 A JP2005121708 A JP 2005121708A JP 2006299045 A JP2006299045 A JP 2006299045A
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group
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unsaturated polymerizable
polymerizable monomer
substrate
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Application number
JP2005121708A
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English (en)
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Takayuki Matsumoto
孝行 松元
Sumio Shibahara
澄夫 柴原
Mitsutaka Matsumoto
光貴 松本
Souhei Funaoka
創平 舩岡
Daisuke Masuda
大輔 増田
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Sumitomo Bakelite Co Ltd
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Sumitomo Bakelite Co Ltd
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Abstract

【課題】生理活性物質の固定化能力に優れ、タンパク質に対して非特異吸着が少なく、洗浄工程においても溶解や劣化の少ない化学的・物理的安定性を有し、プラスチック基材表面へも好適にコーティング可能な医療用高分子化合物を提供すること、および該高分子化合物を用いてSN比の高いバイオチップ用基板を提供すること。
【解決手段】基板表面にアルキレングリコール残基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー、生理活性物質を固定化する官能基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー及び疎水性ユニットを有するエチレン系不飽和重合性モノマーを共重合して得られる医療材料用高分子化合物および該医療材料用高分子化合物を含む層を基板表面に形成したバイオチップ用基板。

Description

本発明は、生理活性物質を固定化する機能を有する医療材料用高分子化合物、該高分子材料を含む表面コーティング材料、該高分子化合物を用いたバイオチップ基板に関する。
遺伝子活性の評価や疾患プロセス、薬物効果の生物学的プロセスを含む生物学的プロセスを解読するための試みは、伝統的に、ゲノミクスに焦点が当てられてきたが、プロテオミクスは、細胞の生物学的機能についてより詳細な情報を提供する。プロテオミクスは、遺伝子レベルというよりもむしろ、タンパク質レベルでの発現を検出し、定量することによる、遺伝子活性の定性的かつ定量的な測定を含む。また、タンパク質の翻訳後修飾、タンパク質間の相互作用など遺伝子にコードされない事象の研究を含む。
膨大なゲノム情報の入手が可能となった今日、プロテオミクス研究はますます迅速高効率(ハイスループット)化が求められている。この目的の分子アレイとしてDNAチップが実用化されてきた。一方、生体機能において最も複雑で多様性の高いタンパク質の検出に関しては、プロテインチップが提唱され、最近研究が進められている。プロテインチップとは、タンパク質、またはそれを捕捉する分子をチップ(微小な基板や粒子)表面に固定化したものを総称する。
現状のプロテインチップは一般にDNAチップの延長線上に位置付けられて開発がなされている為、ガラス基板や粒子においてタンパク質、またはそれを捕捉する分子をチップ表面に固定化する検討がなされている(例えば、特許文献1参照)。たとえば、タンパク質の物理的吸着による固定化などが行われている。
一方、プロテインチップのシグナル検出において、信号対雑音比を低下させる原因として検出対象物質の基板への非特異的な吸着(たとえば、非特許文献1参照)が挙げられる。
先述のタンパク質の物理的吸着による固定化では、タンパク質を固定化した後に2次抗体の非特異的吸着を防止するため、吸着防止剤のコーティングが行われているが、これらの非特異的吸着防止能は十分でない。また1次抗体を固定化した後に吸着防止剤をコーティングするため、固定化したタンパク質がコーティングされてしまい、2次抗体と反応できないという問題があった。このため、1次抗体の固定化後、吸着防止剤をコーティングすることなく、生理活性物質の非特異的吸着量の少ないバイオチップが求められている。
バイオチップに対する生理活性物質の非特異的吸着量を低減させるには、バイオチップの親水性を向上させるのが有効であるが、このようなバイオチップを用いた場合、親水性の高さ故にタンパク質を捕捉させた後の洗浄工程において基板に固定化したタンパク質またはそれを捕捉する分子が流出し、信号が低下するという問題があった。この問題に対する1つのアプローチとして、官能基、スペーサー基、および結合基を含む活性成分、架橋用成分、マトリックス形成成分を支持体上に被覆し、硬化させることで、支持体上に強固に結合した機能性表面を形成できることが開示されている(たとえば、特許文献2)。しかしながら、この開示された方法では支持体上で低分子成分の硬化が進行するため、支持体がプラスチック基板の場合には反りや変形が起きる恐れがあった。また、網の目状に絡み合ったマトリックスが形成されることから、生理活性物質を固定化するための官能基の反応が抑制されたり、固定化した生理活性物質の機能発現の再現性が悪いなどの問題があった。さらに、洗浄を行ってもマトリックス内部に入り込んだタンパク質を除去しきれないために非特異吸着を十分に抑制できないといった問題もあった。
特開2001−116750号公報 特表2004−531390(P2004−531390A) 「DNAマイクロアレイ実戦マニュアル」、林崎良英、岡崎康司編、羊土社、2000年、p.57
本発明の課題は、生理活性物質の固定化能力に優れ、タンパク質に対して非特異吸着が少なく、洗浄工程における溶解や劣化の少ない化学的・物理的安定性を有し、プラスチック基材表面へも好適にコーティング可能な医療用高分子化合物を提供すること、該高分子化合物を用いてSN比の高いバイオチップ用基板を提供することである。
本発明者らは、生理活性物質の固定化能力に優れ、タンパク質に対して非特異吸着が少ない医療材料用高分子化合物の開発を目指して鋭意検討を行った。その結果、アルキレングリコール残基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー(a)、生理活性物質を固定化する官能基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー(b)及び疎水性ユニットを有するエチレン系不飽和重合性モノマー(c)を共重合して得られる医療材料用高分子化合物が、生理活性物質の固定化能力に優れ、非特異吸着が少なく、プラスチック基板上にも均一にかつ反りやうねりなどの問題が生じることなくコーティングでき、バイオチップに好適に用いられることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、
(1)アルキレングリコール残基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー(a)、生理活性物質を固定化する官能基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー(b)及び疎水性ユニットを有するエチレン系不飽和重合性モノマー(c)を共重合して得られることを特徴とする医療材料用高分子化合物、
(2)アルキレングリコール残基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー(a)が下記の一般式[1]で表されるモノマーである(1)記載の医療材料用高分子化合物、
Figure 2006299045
(式中R1は水素原子またはメチル基を示し、R2は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基を示す。Xは炭素数1〜10のアルキレングリコール残基を示し、pは1〜100の整数を示す。繰り返されるXは、同一であっても、または異なるアルキレングリコール残基の連鎖であってもよい。)
(3)アルキレングリコール残基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー(a)がメトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートまたはエトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートである(1)記載の医療材料用高分子化合物、
(4)前記メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートまたはエトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートのエチレングリコールの平均連鎖が3〜100である(3)記載の医療材料用高分子化合物、
(5)生理活性物質を固定化する官能基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー(b)の官能基がアルデヒド基、活性エステル基、エポキシ基、ビニルスルホン基、ビオチンから選ばれる少なくとも一つの官能基である(1)〜(4)いずれか記載の医療材料用高分子化合物、
(6)生理活性物質を固定化する官能基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー(b)が下記の一般式[2]で表される活性エステル基を有するモノマーである(1)〜(4)いずれか記載の医療材料用高分子化合物、
Figure 2006299045

(式中R3は水素原子またはメチル基を示し、Yは炭素数1〜10のアルキレングリコール残基またはアルキル基を示す。Wは活性エステル基を示す。qは1〜20の整数を示す。qが2以上20以下の整数である場合、繰り返されるYは、それぞれ同一であっても、または異なるアルキレングリコール残基の連鎖であってもよい。)
(7)前記活性エステル基がp−ニトロフェニルエステル基又はN−ヒドロキシスクシンイミドエステル基である(5)または(6)記載の医療材料用高分子化合物、
(8)疎水性ユニットを有するエチレン系不飽和重合性モノマー(c)の疎水性ユニットがアルキル基である(1)〜(7)いずれか記載の医療材料用高分子化合物、
(9)疎水性ユニットを有するエチレン系不飽和重合性モノマー(c)の疎水性ユニットが炭素数3〜20アルキル基である(1)〜(8)いずれか記載の医療材料用高分子化合物、
(10)前記疎水性ユニットを有するエチレン系不飽和重合性モノマー(c)がn―ブチルメタクリレート、n−ドデシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、及びシクロヘキシルメタクリレートから選ばれる少なくとも一つのモノマーである(9)記載の医療材料用高分子化合物、
(11)(1)〜(10)いずれか記載の医療材料用高分子化合物を含む医療材料用表面コーティング材料、
(12)(1)〜(11)いずれか記載の医療材料用高分子化合物を含む層を基板表面に形成したバイオチップ用基板、
(13)前記基板がプラスチック製である(12)記載のバイオチップ用基板、
(14)前記プラスチックが飽和環状ポリオレフィンである(13)記載のバイオチップ用基板、
(15)(12)〜(14)いずれか記載のバイオチップ用基板に生理活性物質を固定化したバイオチップ、
(16)前記生理活性物質が核酸、アプタマー、タンパク質、オリゴペプチド、糖鎖、及び糖タンパク質から選ばれる少なくとも一つの生理活性物質である(15)記載のバイオチップ、
である。
本発明によれば、生理活性物質の固定化能力に優れ、タンパク質に対して非特異吸着が少なく、洗浄工程においても溶解や劣化の少ない化学的・物理的安定性を有し、プラスチック基材表面へも好適にコーティング可能な医療用高分子化合物を提供でき、更に該高分子化合物を用いてSN比の高いバイオチップ用基板を提供することができる。
本発明の高分子化合物は、アルキレングリコール残基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー(a)、生理活性物質を固定化する官能基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー(b)及び疎水性ユニットを有するエチレン系不飽和重合性モノマー(c)を共重合して得られることを特徴とする。この高分子化合物は、生理活性物質の非特異的吸着を抑制する性質、生理活性物質を固定化する性質を併せ持つポリマーで、アルキレングリコール残基が生理活性物質の非特異的吸着を抑制する役割を果たし、生理活性物質を固定化する官能基が生理活性物質を固定化する役割を果たす。また、疎水性ユニットを有することから、水に対して溶けにくく、洗浄工程により基材から流出してしまうことがない。
本発明に使用するアルキレングリコール残基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー(a)は、特に構造を限定しないが、一般式[1]で表される(メタ)アクリル基と炭素数1〜10のアルキレングリコール残基Xの連鎖からなる化合物であることが好ましい。
Figure 2006299045
式中のアルキレングリコール残基Xの炭素数は1〜10であり、好ましくは1〜6であり、より好ましくは2〜4であり、更に好ましくは2〜3であり、最も好ましくは2である。アルキレングリコール残基Xの繰り返し数pは、特に限定されるものではないが、好ましくは1〜100の整数であり、より好ましくは2〜100の整数であり、更に好ましくは2〜95の整数であり、最も好ましくは20〜90の整数である。繰り返し数2以上100以下の場合は、繰り返されるアルキレングリコール残基Xの炭素数は同一であっても、異なっていてもよい。
アルキレングリコール残基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー(a)としては、例えばメトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートおよびその水酸基の一置換エステル、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートおよびその水酸基の一置換エステル、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールを側鎖とする(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール (メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられるが、生理活性物質の非特異的吸着の少なさ及び入手性からメトキシポリエチレングリコールメタクリレートまたはエトキシポリエチレングリコールメタクリレートが好ましい。
本発明に用いる生理活性物質を固定化する官能基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー(b)の官能基としては、化学的に活性な基、受容体基、リガンド基などがあるが、これらに限定されない。具体的な例としては、アルデヒド基、活性エステル基、エポキシ基、ビニルスルホン基、ビオチン、チオール基、アミノ基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、ヒドロキシル基、アクリレート基、マレイミド基、ヒドラジド基、アジド基、アミド基、スルホネート基、ストレプトアビジン、金属キレートなどがあるがこれらに限定されない。これらの中でも生理活性物質に多く含まれるアミノ基との反応性の点からアルデヒド基、活性エステル基、エポキシ基、ビニルスルホン基が好ましく、また生理活性物質と結合定数が高いビオチンが好ましい。なかでもモノマーの保存安定性の点から活性エステル基が最も好ましい。
本発明に使用する生理活性物質を固定化する官能基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー(b)は、特に構造を限定しないが、下記の一般式[2]で表される(メタ)アクリル基と活性エステル基が炭素数1〜10のアルキレングリコール残基の連鎖またはアルキル基を介して結合した化合物であることが好ましい。
Figure 2006299045
式[2]で、R3は水素原子またはメチル基を示し、アルキレングリコール残基Yの炭素数は1〜10であり、好ましくは1〜6であり、より好ましくは2〜4であり、更に好ましくは2〜3であり、最も好ましくは2である。アルキレングリコール残基Yの繰り返し数qは1〜20の整数であり、より好ましくは2〜18の整数であり、更に好ましくは3〜16の整数であり、最も好ましくは4〜14の整数である。繰り返し数2以上20以下の場合は、繰り返されるアルキレングリコール残基の炭素数は同一であっても、異なっていてもよい。
本発明に使用する「活性エステル基」は、エステル基の片方の置換基に酸性度の高い電子求引性基を有して求核反応に対して活性化されたエステル群、すなわち反応活性の高いエステル基を意味するものとして、各種の化学合成、たとえば高分子化学、ペプチド合成等の分野で慣用されているものである。実際的には、フェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N−ヒドロキシアミンエステル類、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等がアルキルエステル等に比べてはるかに高い活性を有する活性エステル基として知られている。
このような活性エステル基としては、たとえばp−ニトロフェニル活性エステル基、N−ヒドロキシスクシンイミド活性エステル基、コハク酸イミド活性エステル基、フタル酸イミド活性エステル基、5−ノルボルネン−2、3−ジカルボキシイミド活性エステル基等が挙げられるが、中でもp−ニトロフェニル活性エステル基又はN−ヒドロキシスクシンイミド活性エステル基が好ましく、p−ニトロフェニル活性エステル基が最も好ましい。
本発明に使用する生理活性物質を固定化する官能基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー(b)のポリマー中での組成比は特に制限されるものではないが、1〜50mol%が好ましく、より好ましくは1〜30mol%、最も好ましくは1〜20mol%である。
本発明に使用する疎水性ユニットを有するエチレン系不飽和重合性モノマー(c)は、特に構造を限定しないが、(メタ)アクリル基に疎水性ユニットが結合したモノマーが好ましく、脂肪族(メタ)アクリレート類や芳香族(メタ)アクリレート類が挙げられる。より好ましくは、前記脂肪族がアルキル基である(メタ)アクリレート類である。さらに好ましくは、前記アルキル基が炭素数3〜20のアルキル基である(メタ)アクリレート類である。アルキル基は特に構造を限定されるものではなく、直鎖であっても、分岐していても、環状になっていてもよい。具体的なモノマーの例としては、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ネオペンチル(メタ)アクリレート、iso−ネオペンチル(メタ)アクリレート、sec−ネオペンチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、iso−ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、iso−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、iso−ノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、iso−デシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、iso−ドデシル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、iso−トリデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレート、iso−テトラデシル(メタ)アクリレート、n−ペンタデシル(メタ)アクリレート、iso−ペンタデシル(メタ)アクリレート、n−ヘキサデシル(メタ)アクリレート、iso−ヘキサデシル(メタ)アクリレート、n−オクタデシル(メタ)アクリレート、iso−オクタデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらのなかで最も好ましいのが、n―ブチルメタクリレート、n−ドデシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、及びシクロヘキシルメタクリレートである。
本発明に使用する疎水性ユニットを有するエチレン系不飽和重合性モノマー(c)のポリマー中での組成比は特に制限されるものではないが、10〜90mol%が好ましく、より好ましくは20〜80mol%、最も好ましくは20〜70mol%である。エチレン系不飽和重合性モノマー(c)のポリマー中での組成比が10mol%を下回ると親水性が高くなり、洗浄工程により基材から流出してしまう可能性が高くなる。一方、90mol%を越えると生理活性物質の非特異的吸着が多くなる。
本発明の高分子化合物の合成方法は、特に限定されるものではないが、合成の容易さから、少なくともアルキレングリコール残基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー(a)、生理活性物質を固定化する官能基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー(b)および疎水性ユニットを有するエチレン系不飽和重合性モノマー(c)を含む混合物を、重合開始剤存在下、溶媒中でラジカル重合することが好ましい。
溶媒としてはそれぞれのエチレン系不飽和重合性モノマーが溶解するものであればよく、例えば、メタノール、エタノール、t−ブチルアルコール、ベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロメタン、クロロホルム等を挙げることができる。これらの溶媒は、単独または2種以上の組み合わせで用いられる。プラスチック基材に該高分子化合物を塗布する場合は、エタノール、メタノールが基材を変性させないため好ましい。
重合開始剤としては通常のラジカル開始剤ならいずれでもよく、例えば、2,
2’−アゾビスイソブチルニトリル(以下「AIBN」という)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1 −カルボニトリル)等のアゾ化合物、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウリル等の有機過酸化物等を挙げることができる。
本発明の高分子化合物の化学構造は、少なくともアルキレングリコール残基、生理活性物質を固定化する官能基及び疎水性ユニットを有する各エチレン系不飽和重合性モノマーが共重合されたものであれば、その結合方式がランダム、ブロック、グラフト等いずれの形態をなしていてもかまわない。
本発明の高分子化合物の分子量は、高分子化合物と未反応のエチレン系不飽和重合性モノマーとの分離精製が容易になることから、数平均分子量は5000以上が好ましく、10000以上がより好ましい。
本発明の高分子化合物は、基材表面を該高分子化合物で被覆することにより、生理活性物質の非特異的吸着を抑制する性質、特定の生理活性物質を固定化する性質を容易に付与することが可能である。さらに、疎水性ユニットを有することから、水に対して溶けにくく、基材洗浄による信号低下が少ない。
基材表面への高分子化合物の被覆は、例えば有機溶剤に高分子化合物を0.05〜10重量%濃度になるように溶解した高分子溶液を調製し、浸漬、吹きつけ等の公知の方法で基材表面に塗布した後、室温下ないしは加温下にて乾燥させることにより行われる。
有機溶剤としてはエタノール、メタノール、t−ブチルアルコール、ベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、アセトン、メチルエチルケトン等の単独溶媒またはこれらの混合溶剤が使用される。中でも、エタノール、メタノールがプラスチック基材を変性させず、乾燥させやすいため好ましい。
本発明に使用するバイオチップ用基板の素材は、ガラス、プラスチック、金属その他を用いることができるが、表面処理の容易性、量産性の観点から、プラスチックが好ましく、中でも熱可塑性樹脂がより好ましい。
熱可塑性樹脂としては、蛍光発生量の少ないものが好ましく、たとえばポリエチレン、ポリプロピレン等の直鎖状ポリオレフィン、環状ポリオレフィン、含フッ素樹脂等を用いることが好ましく、耐熱性、耐薬品性、低蛍光性、成形性に特に優れる飽和環状ポリオレフィンを用いることがより好ましい。ここで飽和環状ポリオレフィンとは、環状オレフィン構造を有する重合体単独または環状オレフィンとα−オレフィンとの共重合体を水素添加した飽和重合体をさす。
基材表面と表面に被覆される高分子化合物との密着性を高めるために、必要に応じて基材表面を活性化してもよい。活性化する手段としては酸素雰囲気下、アルゴン雰囲気下、窒素雰囲気下、空気雰囲気下などの条件下でプラズマ処理する方法、ArF、KrFなどのエキシマレーザーで処理する方法があるが、酸素雰囲気下でプラズマ処理する方法が好ましい。
本発明の高分子化合物を基材に塗布することで容易に基材に生理活性物質の非特異的吸着を抑制されたバイオチップ基板を作製できる。また、該高分子化合物は疎水性ユニットを含有しているので、洗浄工程における基材上の高分子化合物の流出を抑制することができる。これらのことより、該高分子化合物を塗布した基材はバイオチップに好適に用いることができる。
本発明のバイオチップ基板を使用して各種の生理活性物質を固定化することができる。固定化する生理活性物質は核酸、アプタマー、タンパク質、オリゴペプチド、糖鎖、糖タンパク質などがある。例えば核酸を固定化する場合は、活性エステル基との反応性を高めるため、アミノ基を導入することが好ましい。アミノ基の導入位置は分子鎖末端あるいは側鎖であってもよいが、分子鎖末端にアミノ基が導入されていることが好ましい。
本発明において生理活性物質をバイオチップ基板上に固定化する際には、生理活性物質を溶解又は分散した液体を点着する方法が好ましい。
点着後、静置することにより、生理活性物質が表面に固定化される。例えばアミノ化された核酸を用いた場合は室温から80℃において1時間静置することにより、固定化が可能である。処理温度は高いほうが好ましい。生理活性物質を溶解または分散させる液体としてはアルカリ性であることが好ましい。
洗浄後は生理活性物質を固定化した以外の基板表面の官能基を不活性化処理する。活性エステル基やアルデヒド基の場合はアルカリ化合物、あるいは一級アミノ基を有する化合物で行うことが好ましい。
アルカリ化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、ホウ酸ナトリウム、水酸化リチウム、リン酸カリウムなどを好ましく用いることができる。
一級アミノ基を有する化合物としては、メチルアミン、エチルアミン、ブチルアミン、グリシン、9−アミノアクアジン、アミノブタノール、4−アミノ酪酸、アミノカプリル酸、アミノエタノール、5−アミノ2,3−ジヒドロー1,4−ペンタノール、アミノエタンチオール塩酸塩、アミノエタンチオール硫酸、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール、リン酸二水素2−アミノエチル、硫酸水素アミノエチル、4−(2−アミノエチル)モルホリン、5-アミノフルオレセイン、6−アミノヘキサン酸、アミノヘキシルセルロース、p−アミノ馬尿酸、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、5−アミノイソフタル酸、アミノメタン、アミノフェノール、2−アミノオクタン、2−アミノオクタン酸、1−アミノ2−プロパノール、3−アミノ−1−プロパノール、3−アミノプロペン、3−アミノプロピオニトリル、アミノピリジン、11−アミノウンデカン酸、アミノサリチル酸、アミノキノリン、4−アミノフタロニトリル、3−アミノフタルイミド、p−アミノプロピオフェノン、アミノフェニル酢酸、アミノナフタレンなどを好ましく用いることができ、アミノエタノール、グリシンが最も好ましい。
このように生理活性物質を固定化することによって得られたバイオチップは免疫診断、遺伝子マイクロアレイ、タンパク質マイクロアレイ、マイクロフルイディスクデバイスを含めた多くの分析システムにおいて使用することができる。
(p−ニトロフェニルオキシカルボニル−ポリエチレングリコールメタクリレート(MEONP)の合成)
0.01molのポリエチレングリコールモノメタクリレート(日本油脂株式会社製Blenmer PE−200)を20mLのクロロホルムに溶解させた後、−30℃まで冷却した。−30℃に保ちながらこの溶液に、予め作製しておいた0.01molのp−ニトロフェニルクロロフォーメート(Aldrich社製)と0.01molのトリエチルアミン(和光純薬工業株式会社製)及びクロロホルム20mLの均一溶液をゆっくりと滴下した。−30℃にて1時間反応させた後、室温でさらに2時間溶液を攪拌した。その後反応液から塩をろ過により除去し、溶媒を留去してp−ニトロフェニルオキシカルボニル−ポリエチレングリコールメタクリレート(MEONP)を得た。得られたモノマーを重クロロホルム溶媒中1H―NMRで測定し、エチレングリコール残基が4.5単位含まれていることを確認した。
(高分子化合物の合成例1)
ポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(別名メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、以下PEGMAと記載、数平均分子量Mn=約1100、Aldrich社製)、p−ニトロフェニルオキシカルボニル−ポリエチレングリコールメタクリレート(以下MEONPと記載)、シクロヘキシルメタクリレート(以下CHMと記載、東京化成株式会社製)をエタノールに溶解させ、モノマー混合溶液を作製した。総モノマー濃度は0.8mol/L、それぞれのモル比はPEGMA、MEONP、CHMの順に25:5:70である。そこにさらに0.002mol/Lになるように2、2−アゾビスイソブチロニトリル(以下AIBNと記載、和光純薬工業株式会社製)を添加し、均一になるまで撹拌した。その後、アルゴンガス雰囲気下、60℃で4時間反応させた後、反応溶液をジエチルエーテル中に滴下し、沈殿を収集した。得られた高分子化合物を重エタノール溶媒中1H―NMRで測定し、3.4ppm付近に現れるPEGMAの末端メトキシ基に帰属されるピーク、7.6および8.4ppm付近に現れるMEONPのベンゼン環に帰属されるピーク、4.7ppm付近に現れるCHMのメタクリル基に結合したシクロヘキシル基のCHに帰属されるピーク、それぞれの積分値より、この高分子化合物の組成比を算出した。表1に結果を示した。
(高分子化合物の合成例2)
高分子化合物の合成例1と同様にPEGMA、MEONP、CHMをエタノールに溶解させ、モノマー混合溶液を作製した。総モノマー濃度は0.5mol/L、それぞれのモル比はPEGMA、MEONP、CHMの順に45:5:50である。そこにさらに0.002mol/LになるようにAIBNを添加し、均一になるまで撹拌した。その後、アルゴンガス雰囲気下、60℃で4時間反応させた後、反応溶液をジエチルエーテル中に滴下し、沈殿を収集した。得られた高分子化合物を高分子化合物の合成例1と同様に重エタノール溶媒中1H―NMRで測定し、この高分子化合物の組成比を算出した。表1に結果を示した。
(高分子化合物の合成例3)
高分子化合物の合成例1と同様にPEGMA、MEONP、CHMをエタノールに溶解させ、モノマー混合溶液を作製した。総モノマー濃度は0.4mol/L、それぞれのモル比はPEGMA、MEONP、CHMの順に65:5:30である。そこにさらに0.002mol/LになるようにAIBNを添加し、均一になるまで撹拌した。その後、アルゴンガス雰囲気下、60℃で4時間反応させた後、反応溶液をジエチルエーテル中に滴下し、沈殿を収集した。得られた高分子化合物を高分子化合物の合成例1と同様に重エタノール溶媒中1H―NMRで測定し、この高分子化合物の組成比を算出した。表1に結果を示した。
(高分子化合物の合成例4)
PEGMA、MEONP、n―ブチルメタクリレート(以下BMAと記載、関東化学株式会社製)をエタノールに溶解させ、モノマー混合溶液を作製した。総モノマー濃度は1.0mol/L、それぞれのモル比はPEGMA、MEONP、BMAの順に25:5:70である。そこにさらに0.002mol/LになるようにAIBNを添加し、均一になるまで撹拌した。その後、アルゴンガス雰囲気下、60℃で4時間反応させた後、反応溶液をジエチルエーテル中に滴下し、沈殿を収集した。得られた高分子化合物を高分子化合物の合成例1と同様に重エタノール溶媒中1H―NMRで測定し、3.4ppm付近に現れるPEGMAの末端メトキシ基に帰属されるピーク、7.6および8.4ppm付近に現れるMEONPのベンゼン環に帰属されるピーク、1.4〜1.7ppm付近に現れるBMAのメチレン基に帰属されるピーク、それぞれの積分値より、この高分子化合物の組成比を算出した。表1に結果を示した。
Figure 2006299045
(実施例1−4)
飽和環状ポリオレフィン樹脂をスライドガラス形状(寸法:76mm×26mm×1mm)に加工して固相基板を作成した。この固相基板を高分子化合物の合成例1−4にてえられた高分子化合物の0.3重量%エタノール溶液に浸漬、乾燥することにより、基板表面にアルキレングリコール残基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー、生理活性物質を固定化する官能基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー及び疎水性ユニットを有するエチレン系不飽和重合性モノマーからなる高分子化合物を含む層を導入した。
(比較例1)
(ノンコート基板)
飽和環状ポリオレフィン樹脂をスライドガラス形状(寸法:76mm×26mm×1mm)に加工して固相基板を作成した。
(比較例2)
(アルデヒド基板)
飽和環状ポリオレフィン樹脂をスライドガラス形状(寸法:76mm×26mm×1mm)に加工して固相基板を作成した。酸素雰囲気下のプラズマ処理によって基板表面に酸化処理を施した。この基板を2体積%の3−アミノプロピルトリメトキシシランのエタノール溶液に浸漬した後、純水洗浄し、45℃にて2時間熱処理することによりアミノ基を導入し、さらに1体積%のグルタルアルデヒド水溶液に浸漬した後、純水洗浄することでアルデヒド基を導入した。
(比較例3)
特許文献2(特表2004−531390号公報)の実施例Xに従いアミン反応性スライドガラス基板を作製した。
実施例1−4の基板および比較例3の基板については下記実験を5回繰り返して再現性を確認した。再現性は抗原であるマウス IgG2aを添加しない系で行った。
実験1
工程1(1次抗体の固定化)
次に実施例、比較例で得られた基板上でサンドイッチ法を実施した。詳細はまず、該基板に自動スポッターにより炭酸バッファ(和光純薬製pH9.5)で3.3μmol/リットルに調製された一次抗体である抗マウスIgG2aをスポット後、室温の環境下に24時間静置することにより一次抗体を固定化した。
工程2(吸着防止処理)
その後、実施例1から4の基板は0.1mol/リットルのエタノールアミン(和光純薬製、鹿特級)、0.1mol/リットルのトリスバッファ(SIGMA製)水溶液(pH9.5)に1時間浸漬することにより残りの活性エステル部を失活させた。また、比較例1の基板は市販の吸着防止剤であるブロックエース(大日本製薬株式会社製)を4倍希釈した溶液に2時間浸漬することにより吸着防止処理を施した基板で行った。比較例2の基板は市販の吸着防止剤であるブロックエース(大日本製薬株式会社製)を4倍希釈した溶液に2時間浸漬することにより吸着防止処理を施した。
工程3(抗原抗体反応1)
その後、PBSバッファ(日水製薬製:組織培養用ダルベッコPBS(−)を1リットル中9.6gを溶解したバッファ)で10%に希釈したFBS(子牛血清)溶液を作製した。この溶液中に抗原であるマウス IgG2aを添加し20nmol/リットルとした溶液を作製した。この溶液をPBSバッファ(日水製薬製:組織培養用ダルベッコPBS(−)を1リットル中9.6gを溶解したバッファ)で10%に希釈したFBS(子牛血清)で1倍、2倍、3倍、4倍希釈溶液を作製した。これらの希釈溶液および抗原であるマウス IgG2aを含まない10%FBS溶液を37℃にて2時間、基板と接触させることにより抗原抗体反応を実施した。抗原抗体反応後0.05wt%の非イオン性界面活性剤Tween20(ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社製)を添加した1×SSCバッファ(Zymed Laboratories, Inc.製SSC20×Bufferを希釈して使用)で室温にて5分間洗浄した。
工程4(抗原抗体反応2)
洗浄後、二次抗体であるビオチン標識抗マウス IgG2aをPBSバッファ(日水製薬製:組織培養用ダルベッコPBS(−)を1リットル中9.6gを溶解したバッファ)に添加することにより20nmol/リットルの溶液を作製した。この溶液と基板とを37℃にて2時間、抗原抗体反応を実施した。抗原抗体反応後0.05wt%の非イオン性界面活性剤Tween20(ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社製)を添加した1×SSCバッファ(Zymed Laboratories, Inc.製SSC20×Bufferを希釈して使用)で室温にて5分間洗浄した。
工程5(標識化)
最後にCy5標識されたストレプトアビジンをPBSバッファ(日水製薬製:組織培養用ダルベッコPBS(−)を1リットル中9.6gを溶解したバッファ)に添加することにより20nmol/リットルの溶液を作製した。この溶液と基板とを37℃にて30分反応させた後、0.05wt%の非イオン性界面活性剤Tween20(ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社製)を添加した1×SSCバッファ(Zymed Laboratories, Inc.製SSC20×Bufferを希釈して使用)で室温にて5分間洗浄することにより標識化をした。
各基板について蛍光量測定を行いスポットシグナル強度値とバックグランド値を評価した。バックグランド値の結果を表2に、スポットシグナル強度の結果を表3に、再現性試験結果を表4に示す。
実施例および比較例における蛍光量の測定には、Packard BioChip Technologies社製マイクロアレイスキャナー「ScanArray」を用いた。測定条件は、レーザー出力90%、PMT感度50%、励起波長649nm、測定波長670nm、解像度50μmであった。
実施例1−4および比較例1のブロックエース処理ありとを比較することにより、本発明のバイオチップ基板とすることによりバックグランドが低減されることが確認された。また1次抗体の表面への固定化が可能となった。
また、実施例1−4および比較例2を比較することにより、本発明によるバイオチップ基板は、従来のアルデヒド基板に市販の吸着処理剤を処理するよりもバックグランドが低くシグナルが高いバイオチップ基板であることがわかった。
実施例1−4および比較例3を比較することにより、本発明によるバイオチップ基板は特許文献2に記載の基板よりも、バックグランドが低く、かつ1次抗体スポット部の抗原なしの時のシグナル強度が低い、すなわち固定化した1次抗体が機能している。血清中に含まれる非特異的なタンパクと結合しないバイオチップ基板であることがわかった。再現性に関しても優れるバイオチップ基板である。
Figure 2006299045
Figure 2006299045
Figure 2006299045


Claims (16)

  1. アルキレングリコール残基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー(a)、生理活性物質を固定化する官能基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー(b)及び疎水性ユニットを有するエチレン系不飽和重合性モノマー(c)を共重合して得られることを特徴とする医療材料用高分子化合物。
  2. アルキレングリコール残基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー(a)が下記の一般式[1]で表されるモノマーである請求項1記載の医療材料用高分子化合物。
    Figure 2006299045
    (式中R1は水素原子またはメチル基を示し、R2は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基を示す。Xは炭素数1〜10のアルキレングリコール残基を示し、pは1〜100の整数を示す。繰り返されるXは、同一であっても、または異なるアルキレングリコール残基の連鎖であってもよい。)
  3. アルキレングリコール残基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー(a)がメトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートまたはエトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートである請求項1記載の医療材料用高分子化合物。
  4. 前記メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートまたはエトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートのエチレングリコールの平均連鎖が3〜100である請求項3記載の医療材料用高分子化合物。
  5. 生理活性物質を固定化する官能基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー(b)の官能基がアルデヒド基、活性エステル基、エポキシ基、ビニルスルホン基、ビオチンから選ばれる少なくとも一つの官能基である請求項1〜4いずれか記載の医療材料用高分子化合物。
  6. 生理活性物質を固定化する官能基を有するエチレン系不飽和重合性モノマー(b)が下記の一般式[2]で表される活性エステル基を有するモノマーである請求項1〜4いずれか記載の医療材料用高分子化合物。
    Figure 2006299045

    (式中R3は水素原子またはメチル基を示し、Yは炭素数1〜10のアルキレングリコール残基またはアルキル基を示す。Wは活性エステル基を示す。qは1〜20の整数を示す。qが2以上20以下の整数である場合、繰り返されるYは、それぞれ同一であっても、または異なるアルキレングリコール残基の連鎖であってもよい。)
  7. 前記活性エステル基がp−ニトロフェニルエステル基又はN−ヒドロキシスクシンイミドエステル基である請求項5または6記載の医療材料用高分子化合物。
  8. 疎水性ユニットを有するエチレン系不飽和重合性モノマー(c)の疎水性ユニットがアルキル基である請求項1〜7いずれか記載の医療材料用高分子化合物。
  9. 疎水性ユニットを有するエチレン系不飽和重合性モノマー(c)の疎水性ユニットが炭素数3〜20のアルキル基である請求項1〜8いずれか記載の医療材料用高分子化合物。
  10. 前記疎水性ユニットを有するエチレン系不飽和重合性モノマー(c)がn―ブチルメタクリレート、n−ドデシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、及びシクロヘキシルメタクリレートから選ばれる少なくとも一つのモノマーである請求項9記載の医療材料用高分子化合物。
  11. 請求項1〜10いずれか記載の医療材料用高分子化合物を含む医療材料用表面コーティング材料。
  12. 請求項1〜11いずれか記載の医療材料用高分子化合物を含む層を基板表面に形成したバイオチップ用基板。
  13. 前記基板がプラスチック製である請求項12記載のバイオチップ用基板。
  14. 前記プラスチックが飽和環状ポリオレフィンである請求項13記載のバイオチップ用基板。
  15. 請求項12〜14いずれか記載のバイオチップ用基板に生理活性物質を固定化したバイオチップ。
  16. 前記生理活性物質が核酸、アプタマー、タンパク質、オリゴペプチド、糖鎖、及び糖タンパク質から選ばれる少なくとも一つの生理活性物質である請求項15記載のバイオチップ。

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