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JP2006298938A - グルカゴン様ペプチド−1(glp−1)またはその同族体における外科処置後の異化変調を防止するための使用 - Google Patents

グルカゴン様ペプチド−1(glp−1)またはその同族体における外科処置後の異化変調を防止するための使用 Download PDF

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Abstract

【課題】外科処置後の回復を改善する方法を提供する。
【解決手段】外科処置後の異化変調およびインスリン抵抗性を減弱させる方法であって、それを必要としている患者に、GLP−1、GLP−1同族体、GLP−1誘導体およびそれらの製薬的に許容される塩の中から選ばれる化合物を投与することを特徴とする方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、外科的傷害(トラウマ)に起因する異化反応およびインスリン抵抗性を予防することによる外科処置後の回復を改善する方法に関する。
西欧諸国では、100万人当たりおよそ20−25,000の外科的処置が1年の間に行われている。傷害に似た外科手術は代謝に顕著な変化を引き起こす[非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4]。組織修復の一次燃料であるグルコースの合成促進は外科処置後の重要な物質代謝であり、体タンパク質および貯蔵エネルギーを代償として起こる[非特許文献5;非特許文献6]。
これらの変調は従来、傷害に対する応答として放出されるグルコ−調節ストレスホルモン類および他の異化因子、例えばサイトカイン類が原因とされてきた。異化作用に向かう変調が顕著になればなるほど、患者の罹患率は増大し、回復は遅くなる[非特許文献7;非特許文献8]。
術後の異化作用状態はタンパク質同化ホルモン、特に成長ホルモンおよびIGF−1によって処置できる[非特許文献9;非特許文献10;非特許文献11]。インスリン処置は異化傷害患者において明らかに有益であることが幾つかの研究により示された[非特許文献12;非特許文献13;非特許文献14;非特許文献15;非特許文献16;非特許文献17]。
しかし、別の研究は、インスリンの術後有益性はインスリン抵抗性によって損なわれることが多いと示している。インスリン抵抗性では、通常濃度のインスリンでは通常以下の応答しか惹起されない。インスリン抵抗性はインスリンと細胞表面レセプターとの結合性の減少あるいは細胞内代謝の変化に由来すると思われる。インスリン感受性の減少として特徴付けられる第1のタイプは通常、インスリン濃度を増大させれば克服できる。インスリン応答性の減少として特徴付けられる第2のタイプでは、大量のインスリンによっては克服できない。
傷害後のインスリン抵抗性はインスリン抵抗性の程度に応じたインスリン量によって克服できるので、これはインスリン感受性の減少であると思われる[非特許文献18;非特許文献19]。選択的腹部外科処置後におけるインスリン感受性の減少は少なくとも5日間続くが、3週間を超えることはなく、そしてこの減少は術後の第1日目が最も重篤であり、正常に復帰するのに3週間費やすことがある[非特許文献20]。
傷害後に観察される一時的なインスリン抵抗性の原因は充分に分かっていない。コルチゾールおよびグルカゴンはともに傷害に対する異化応答の一因となり得る[非特許文献21;非特許文献22;非特許文献23]。しかし、術後インスリン抵抗性の研究では、これらタンパク質異化ホルモンの変調と外科処置後のインスリン感受性の変化との間に相関性を示すことができなかった[非特許文献20;非特許文献24;非特許文献25]。
傷害後における脂質利用性の増大がグルコース−脂肪酸サイクルを介してインスリン抵抗性を誘発するのかもしれない[非特許文献26]。インスリンを同時注入したとしても、遊離脂肪酸(FFA)の利用性の増大はインスリン抵抗性を誘発し、グルコースから脂肪への基質酸化を変化させた[非特許文献27;非特許文献28;非特許文献29;非特許文献30;非特許文献31]。
選択的外科処置は麻酔の危険性を減ずるために一晩絶食させた後に行うのが通例である。外科処置前に一晩(10−16時間)患者を絶食させるこの確立されたプラクティスは異化状態の発達を増大させ、インスリン抵抗性を悪化させる。出血や内毒素血症などのストレスを負荷されたラットにおける研究は、24時間以内の絶食が傷害に対する異化応答を顕著に悪化させることを示している[非特許文献32;非特許文献33;Ljungqvist,O.,ら、Am.J.Physiol.,22:E692-98 (1990)(非特許文献34]。傷害を加える前の絶食時間が短くてもラットでは、炭水化物貯蔵量が顕著に減少し、ホルモン環境が大きく変化し、ストレス応答が増大し、そして最も重要なことに死亡率が増大する[非特許文献32]。
外科処置前にグルコースを経口的[非特許文献35]に、あるいは注入により投与すると、外科処置後のインスリン抵抗性が絶食患者に比べて減少する。選択的腹部外科処置の前にグルコース注入(5mg/kg/分)を一晩受けた患者は術後にインスリン感受性を平均32%喪失し、通例の一晩絶食後に外科処置に入った患者はインスリン感受性を平均55%喪失する[非特許文献36]。
外科処置からの回復に対する絶食の悪影響に加え、外科処置時および処置後の患者の固定および低カロリー栄養もまた、外科処置後のインスリン抵抗性を増大させる。健常人では、24時間の固定化および低カロリー栄養が健常ボランティアの末梢インスリン抵抗性を20−30%増大させることが示された。従って、手術前グルコース注入の後における既報の術後インスリン抵抗性[非特許文献37]は、術後におけるベッド安静および低カロリー栄養の付加的な効果に一部由来しているのかもしれない。
外科処置が普及しているとすれば、異化応答およびインスリン抵抗性などの否定的な副作用は最小限に抑え、治癒を改善し死亡率を減少させることが重要である。術後のインスリン抵抗性はインスリンによる異化状態の処置を失敗に導く。手術前絶食という凝り固まった医療行為は術後異化状態およびインスリン抵抗性を悪化させる。よって、異化状態とインスリン抵抗性の両方を克服する処置が必要である。
異化状態とインスリン抵抗性の両方を克服するための本明細書に記載する1つの処置は手術前、間および後にグルコースおよびインスリンを同時投与することである。しかし、インスリン注入は、血糖値(血中グルコース)が0.3mM以下と定義される低血糖症を引き起こす可能性がある。低血糖症は心室性不整脈の危険性を増大させ、インスリン注入の危険な結末である。低血糖症を予防するため、糖尿病に対するインスリン注入のアルゴリズムが開発された[非特許文献38]。しかし、このアルゴリズムの下でも21%の患者は低血糖症を引き起こした。心筋梗塞後の別のグルコース制御試験では、インスリンおよびグルコースを注入した場合、18%の患者が低血糖症を引き起こした[非特許文献39]。
低血糖症の発現を検出でき、できるだけ素早く治療できるように血糖値のモニターリングがインスリン注入にはさらに必要である。上記試験におけるインスリン注入を受けた患者[非特許文献40]では、血糖を少なくとも2時間毎に測定し、それに応じて注入速度を調節した。従って、心筋梗塞患者におけるインスリン−グルコース注入療法の安全性および効能は血糖データへのアクセスの容易さおよび迅速さに依存する。このように血糖をモニターリングしなければならない強い必要性は健康管理従事者に大きな負担を強い、処置の不便さと経費を増大させる。その結果、外科処置前の臨床治療室では、インスリンの静脈内投与によって得られるであろう外科処置前の血糖値をモニターし最適化するための手段を多くの場合は講じない。インスリン注入に内在する危険性および負担を考えると、傷害に対する異化反応を外科処置前/後に制御する新たな方法が求められる。
内分泌ホルモンであるグルカゴン様ペプチド1(以下、GLP−1と略す)は消化管においてプログルカゴンからプロセッシングされ、栄養誘発性のインスリン放出を増大させる[非特許文献41]。GLP−1の種々の断頭型がインスリン分泌(インスリノトロピック作用)およびcAMP生成を刺激することが知られている[例えば、非特許文献42を参照]。インビトロにおける種々の研究実験と外的に投与したGLP−1、GLP−(7−36)アミドおよびGLP−1(7−37)酸に対する哺乳動物、特にヒトにおけるインスリン分泌応答との相関性は確立している[例えば、非特許文献43;非特許文献44;非特許文献45;および非特許文献46を参照]。GLP−1(7−36)アミドは、インスリン感受性を刺激しかつグルコース誘発性のインスリン放出を生理学的濃度で増大させることによって、インスリン依存型糖尿病患者において明らかな抗糖尿病誘発作用を示す[非特許文献44]。インスリン非依存型糖尿病患者にGLP−1(7−36)アミドを投与すると、インスリン放出が刺激され、グルカゴン分泌が低減し、胃内容排出が阻害され、グルコース利用性が増大される[非特許文献47;非特許文献48;非特許文献49]。
GLP−1型分子を長期療法に使用することは、このようなペプチドの血清半減期が非常に短いため、妨げられていた。例えば、GLP−1(7−37)は3−5分の血清半減期しかない。GLP−1(7−36)アミドは皮下投与した場合約50分の半減期を有する。このように、これらのGLP分子は長期的な効果を得るためには連続注入などして投与しなければならない[非特許文献50]。
Shaw,J.H.F.,ら、Ann.Surg.,209(1):63-72(1989) Little,R.A.,ら、Prog. Clin.Biol.Res. 263A:463-475(1987) Frayn,K.N.,Clin.Endorinol.24:577-599(1986) Brandi,L.,ら、Clin.Sci.85:525-35(1993) Gump,F.E.ら、J.Trauma, 14:378-88(1974) Black,P.B.,ら、Ann.Surg.196:420-35(1982) Thorell,A.,ら、Eur.J.Surg.,159:593-99(1993) Chernow,B.,ら、Arch.Intern.Med.,147:1273-8(1987) Hammarkvist,F.,ら、Ann.Surg.,216(2):184-190(1991) Ziegler,T.,ら、Annu.Rev.Med.,45:459-80(1994) Ziegler,T.R.,ら、J.Parent.Ent.Nutr.14(6):547-81(1990) Hinton.P.,ら、Lancet,17(4月):767-69(1971) Shizgal,H.,ら、Am.J.Clin.Nutr.,50:1355-63(1989) Woolfson,A.M.J.ら、N.Clin.Nutr.,50:1355-63(1989) Woolfson, A.M. J.,ら、N.Engl.J.Med.300:14-17(1979) Brooks,D.,ら、J.Surg.Res.40:395-405(1986) Sakurai,Y.,ら、Ann.Surg.222:283-97(1995) Brandi,L.S.,ら、Clin.Science 79:443-450(1990) Henderson,A.A.ら、Clin. Sci.80:25-32(1990) Thorell,A.ら、(1993) Alberti,J.G.M.M.,ら、J.Parent.Ent.Nutr.4(2):141-46(1980) Gelfand,R.A.,ら、J.Clin.Invest.74(12月):2238-2248(1984) Marliss,E.B.,ら、J.Clin. Invest.49:2256-70(1970) Thorell A., Karolinska Hospital and Institute, 104 01 ストックホルム、スェーデン(1993) Thorell,A,ら、Br.J.Surg.81:59-63(1994) Randle,P.J.,ら、Diab.Metab.Rev. 4(7):623-38(1988) Ferrannini,E.,ら、J.Clin.Invest.72:1737-47(1983) Bevilacqua,S.ら、Metabolism 36:502-6(1987) Bevilacqua,S.ら、Diabetes 39:383-89(1990) Bonadonna,R.C.ら、Am.J.Physiol.259:E736-50(1990) Bonadonna,R.C.ら、Am.J.Physiol.257:E49-56(1989) Alibegovic,A.,ら、Circ.Shokc, 39:1-6(1993) Eshali, A.H.,ら、Eur.J. Surg.,157:85-89(1991) Ljungqvist,O.,ら、Am.J.Physiol.,22:E692-98 (1990) Nygren,J.,ら、Ann.Surg. 222:728-34 (1995) Ljngqvist,O.,ら、J.Am.Coll.Surg.178:329-36(1994) Ljungqvist, O.,(1994) Hendra,T.J.,ら、Diabetes Res.Clin.Pract.,16:213-220(1992) Malmberg,K.A.,ら、Diabetes Care, 17:1007-1014 (1994) Malmberg,1994 Krcymann B.,ら、Lancet 2:1300-1303(1987) Mojsov,S., Int.J. Peptide Protein Reserch, 40:333-343(1992) Nauck,M.A.ら、Diabetologia,36: 741-744 (1993) Gutniak,M.,ら、New England J. of Medicine, 326(20):1316-1322 (1992) Nauck,M.A.,ら、J.Clin.Invest.,91:301-307(1993) Thorens,B.,ら、Diabetes,42:1219-1225(1993) Nauck,1993 Gutniak,1992 Nauck, 1993 Gutniak M.ら、Diabetes Care 17:1039-1044(1994)
本発明では、患者は通常外科処置前に入院しており、そこでは外科処置前、処置の間および後に液剤が非経口的に連続投与されているので、GLP−1の短い半減期と結果的な連続投与の必要性は不都合なことではない。
従って、本発明は、外科処置後の異化変調およびインスリン抵抗性を減弱させる方法であって、それを必要としている患者にGLP−1、GLP−1同族体、GLP−1誘導体およびそれらの製薬的に許容される塩からなる群の中から選ばれる化合物を投与することを特徴とする方法を初めて提供するものである。
「GLP−1」とはGLP−1(7−37)を意味する。GLP−1(7−37)のアミノ末端は数字7を割当て、カルボキシ末端には数字37を割当てるのが当業界の慣例である。GLP−1(7−37)のアミノ酸配列は当業者に周知であるが、便宜的に以下にその配列を示す:
Figure 2006298938
(配列番号1)
「GLP−1同族体」はGLP−1と比較して1つまたはそれ以上のアミノ酸の置換、欠失、逆位または付加を有する分子と定義される。当業者に知られているGLP−1同族体には例えば、GLP−1(7−34)およびGLP−1(7−35)、GLP−1(7−36)、Gln−GLP−1(7−37)、D−Gln−GLP−1(7−37)、Thr16−Lys18−GLP−1(7−37)、およびLys18−GLP−1(7−37)がある。好ましいGLP−1同族体はGLP−1(7−34)およびGLP−1(7−35)であり、これらは米国特許第5,118,666号(これは引用によって本明細書に包含される)に記載されており、またインスリン分泌特性を有するGLP−1の生物学的プロセッシング型であるGLP−1(7−36)も好ましい。他のGLP−1同族体は米国特許第5,545,618号に記載されており、これは引用によって本明細書に包含される。
「GLP−1誘導体」はGLP−1またはGLP−1同族体のアミノ酸配列を有しているが、そのアミノ酸側鎖の基、α−炭素原子、末端アミノ基または末端カルボン酸基の1つまたはそれ以上に化学的修飾を付加的に有している分子として定義される。化学的修飾には化学部分の付加、新たな結合の創製および化学部分の削除があるが、これらに限定されない。アミノ酸側鎖基の修飾にはリジンε−アミノ基のアシル化、アルギニン、ヒスチジンまたはリジンのN−アルキル化、グルタミン酸またはアスパラギン酸カルボン酸基のアルキル化、およびグルタミンまたはアスパラギンの脱アミド化があるが、これらに限定されない。末端アミノの修飾にはデス−アミノ、N−低級アルキル、N−ジ−低級アルキルおよびN−アシル修飾があるが、これらに限定されない。末端カルボキシ基の修飾にはアミド、低級アルキルアミド、ジアルキルアミドおよび低級アルキルエステル修飾があるが、これらに限定されない。低級アルキルはC−Cアルキルである。さらに、1つまたはそれ以上の側鎖の基または末端の基は通常の知識を有するタンパク質化学者に知られている保護基によって保護されていてもよい。アミノ酸のα−炭素はモノ−またはジ−メチル化されていてもよい。
本発明に使用されるGLP−1同族体または誘導体の好ましい化合物群は式:
Figure 2006298938
(配列番号2)
[式中、RはL−ヒスチジン、D−ヒスチジン、デスアミノ−ヒスチジン、2−アミノ−ヒスチジン、β−ヒドロキシ−ヒスチジン、ホモヒスチジン、α−フルオロメチル−ヒスチジン、およびα−メチル−ヒスチジンの中から選ばれ、
XはAla、Gly、Val、Thr、Ileおよびα−メチル−Alaの中から選ばれ、
YはGlu、Gln、Ala、Thr、SerおよびGlyの中から選ばれ、
ZはGlu、Gln、Ala、Thr、SerおよびGlyの中から選ばれ、そして
はNHおよびGly−OHの中から選ばれる。ただし、該化合物の等電点は約6.0から約9.0であり、また、RがHis、XがAla、YがGluおよびZがGluの場合、RはNHでなければならない。]
で示される分子およびその製薬的に許容される塩から構成される。
等電点がこの範囲にある多くのGLP−1同族体および誘導体は既に記載されており、これには例えば、
Figure 2006298938
など[例えばWO91/11457号を参照]がある。
本発明に使用される活性化合物の別の好ましい群は、WO91/11457号に記載されており、以下に示す修飾群から選ばれる少なくとも1つの修飾を有するGLP−1(7−34)、GLP−1(7−35)、GLP−1(7−36)もしくはGLP−1(7−37)またはそれらのアミド体およびそれらの製薬的に許容される塩から本質的に構成される:
(a) 26位および/または34位のリジンに代わるグリシン、セリン、システイン、スレオニン、アスパラギン、グルタミン、チロシン、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、アルギニンまたはD−リジンへの置換; または36位のアルギニンに代わるグリシン、セリン、システイン、スレオニン、アスパラギン、グルタミン、チロシン、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、リジンまたはD−アルギニンへの置換;
(b) 31位のトリプトファンに代わる酸化耐性アミノ酸への置換;
(c) 16位のバリンからチロシン、18位のセリンからリジン、21位のグルタミン酸からアスパラギン酸、22位のグリシンからセリン、23位のグルタミンからアルギニン、24位のアラニンからアルギニンおよび26位のリジンからグルタミンの中から選ばれる少なくとも1つの置換;
(d) 8位のアラニンに代わるグリシン、セリンまたはシステイン;9位のグルタミン酸に代わるアスパラギン酸、グリシン、セリン、システイン、スレオニン、アスパラギン、グルタミン、チロシン、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニンまたはフェニルアラニン;10位のグリシンに代わるセリン、システイン、スレオニン、アスパラギン、グルタミン、チロシン、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニンまたはフェニルアラニン;および15位のアスパラギン酸に代わるグルタミン酸、の中から選ばれる少なくとも1つの置換;および
(e) 7位のヒスチジンに代わるグリシン、セリン、システイン、スレオニン、アスパラギン、グルタミン、チロシン、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニンまたはフェニルアラニンまたはD−もしくはN−アシル化もしくはアルキル化型ヒスチジンへの置換;
ここに、(a)、(b)、(d)および(e)の置換では、置換されるアミノ酸はD−型であってよく、7位に置換されるアミノ酸はN−アシル化またはN−アルキル化型であってもよい。
ジペプチジル−ペプチダーゼIV酵素(DPPIV)は投与されたGLP−1の観察される迅速なインビボ失活に関与し得るので[例えば、Mentlein,R.,ら、Eur.J. Biochem.,214:829-835(1993)]、このDPPIV活性から保護されるGLP−1同族体および誘導体を投与するのが好ましく、Gly−GLP−1(7−36)NH、Val−GLP−1(7−37)OH、α−メチル−Ala−GLP−1(7−36)NH、およびGly−Gln21−GLP−1(7−37)OHまたはそれらの製薬的に許容される塩を投与するのがより好ましい。
米国特許第5,188,666号(これは引用によって本明細書に明らかに包含される)にて特許請求されている分子を本発明に使用することが好ましい。このような分子は以下のアミノ酸配列:
Figure 2006298938
(配列番号3)
[式中、XはLysおよびLys−Glyから選ばれる]
を有するペプチドおよび該ペプチドの誘導体から構成される群から選ばれ、該ペプチドは該ペプチドの製薬的に許容される酸付加塩、該ペプチドの製薬的に許容されるカルボキシレート塩、該ペプチドの製薬的に許容される低級アルキルエステル、およびアミド体、低級アルキルアミド体および低級ジアルキルアミド体から選ばれる該ペプチドの製薬的に許容されるアミド体の中から選ばれる。
本発明に使用される別の好ましい群の化合物は、式:
Figure 2006298938
(配列番号4)
[式中、Rは4−イミダゾプロピオニル、4−イミダゾアセチル、または4−イミダゾ−α,α−ジメチルアセチルであり、
はC−C10非分枝アシルの中から選ばれるか、または不存在であり、
はGly−OHまたはNHであり、
XaaはLysまたはArgである]
で示される米国特許第5,512,549号(これは引用によって本明細書に明らかに包含される)にて特許請求されている化合物およびその製薬的に許容される塩から構成され、これらを本発明に使用することができる。
本発明に使用される配列番号4で示されるさらに好ましい化合物はXaaがArgであり、RがC−C10非分枝アシルである化合物である。
本発明に使用される配列番号4で示される、よりさらに好ましい化合物はXaaがArgであり、RがC−C10非分枝アシルであり、RがGly−OHである化合物である。
本発明に使用される配列番号4で示される、もっと好ましい化合物はXaaがArgであり、RがC−C10非分枝アシルであり、RがGly−OHであり、Rが4−イミダゾプロピオニルである化合物である。
本発明に使用される配列番号4で示される、最も好ましい化合物はXaaがArgであり、RがC非分枝アシルであり、RがGly−OHであり、Rが4−イミダゾプロピオニルである化合物である。
米国特許第5,120,712号(引用によって本明細書に明らかに包含される)に特許請求されている分子を本発明に使用するのがより好ましい。このような分子は以下のアミノ酸配列:
Figure 2006298938
(配列番号1)
を有するペプチドおよび該ペプチドの誘導体から構成される群から選ばれ、該ペプチドは該ペプチドの製薬的に許容される酸付加塩、該ペプチドの製薬的に許容されるカルボキシレート塩、該ペプチドの製薬的に許容される低級アルキルエステル、ならびにアミド体、低級アルキルアミド体および低級ジアルキルアミド体から選ばれる該ペプチドの製薬的に許容されるアミド体の中から選ばれる。
本発明ではGLP−1(7−36)アミドまたはその製薬的に許容される塩を使用するのが最も好ましい。GLP−1(7−36)アミドのアミノ酸配列は:
Figure 2006298938
(配列番号5)
である。
本発明に使用される活性化合物、即ち本発明に使用されるGLP−1、GLP−1同族体またはGLP−1誘導体の製造方法は周知であり、また米国特許第5,118,666号、第5,120,712号および第5,523,549号に記載されている(これらは引用によって本明細書に包含される)。
本発明にて使用される活性化合物またはその前駆体のアミノ酸部分は、1)固相合成化学、2)天然資源からのGLP分子の精製または3)組換えDNA技術のいずれによっても製造される。
ポリペプチドの固相化学合成は当業者に周知であり、これはDugas,H.およびPenney, C., Bioorganic Chemistry, Springer-Verlag,ニューヨーク(1981), pp54-92、Merrifield, J.M., Chem.Soc.,85:2149(1962)、およびStewartおよびYoung, Solid Phase Peptide Synthesis, Freeman, サンフランシスコ(1969) pp.24-66などの当業界の一般的教書に見出すことができる。
例えば、アミノ酸部分は、PE−アプライド・バイオシステムズから供給されている430Aペプチド合成装置(PE−アプライド・バイオシステムズ, Inc., 850 Lincoln Center Drive, Foster City, CA 94404)および合成サイクルを利用する固相方法によって合成することができる。BOC−アミノ酸および他の試薬はPE−アプライド・バイオシステムズおよび他の化学品供給会社から市販されている。C−末端カルボキサミド類の製造のためには、ダブル・カップル・プロトコールを使用する連続Boc化学を出発p−メチルベンズヒドリルアミン樹脂に適用する。C−末端酸の製造には、対応するPAM樹脂を使用する。Asn、GlnおよびArgを、前もって製造したヒドロキシベンゾトリアゾールエステルを使用してカップリングする。側鎖保護基としては以下のものを使用できる:
Arg,トシル
Asp,シクロヘキシル
Glu,シクロヘキシル
Ser,ベンジル
Thr,ベンジル
Tyr,4−ブロモカルボベンズオキシ。
Boc脱保護は塩化メチレン中、トリフルオロ酢酸を用いて行うことができる。合成が完了したなら、10%メタ−クレゾールを含有する無水フッ化水素(HF)を用いてペプチドを脱保護し、樹脂から切断する。側鎖保護基の切断および樹脂からのペプチドの切断は−5℃から5℃、好ましくは氷上にて60分行う。HFを除去した後、ペプチド/樹脂をエーテルで洗浄し、ペプチドを氷酢酸で抽出し、凍結乾燥する。
組換えDNA技術における当業者に周知の手法を使用し、本発明に使用される活性化合物を調製できる。実際、組換えDNA手法は高収率であるため、好ましい。この組換え生産の基本的な工程は以下の工程からなる:
a) GLP−1分子をコードする天然のDNA配列を単離するか、またはGLP−1分子の合成もしくは半合成DNAコード化配列を構築する、
b) 得られたコード化配列を、単独にまたは融合タンパク質としてタンパク質を発現するのに適した態様で発現ベクターに移入する、
c) この発現ベクターによって適当な真核生物または原核生物宿主細胞を形質転換する、
d) 形質転換した宿主細胞をGLP−1分子が発現できる条件下に培養する、そして
e) 組換え的に産生させたGLP−1分子を回収し精製する。
上述のように、コード化配列は全体として合成してもよく、またはより大きな天然グルカゴンコード化DNAを修飾した産物であってもよい。プレプログルカゴンをコードするDNA配列はLundら、Proc.Natl.Acad.Sci. U.S.A.79:345-349 (1982)に記載されており、これは所望の産物が得られるように改変することによって本発明の化合物の半合成生産における出発物質として使用することができる。
GLP−1分子の生産を導くインビトロまたはインビボ転写および翻訳における合成遺伝子は当業者に周知の手法によって構築できる。遺伝子コードの天然の縮重により、当業者ならば、かなり多いが限定された数の、そのすべてがGLP−1分子をコードするDNA配列が構築され得ることは理解されよう。
合成遺伝子の構築方法は当業者に周知である。Brownら、(1979) Methods in Enzymology, Academic Press, N.Y., 68:109-151を参照。遺伝子コードを使用して所望のアミノ酸配列からDNA配列を設計するが、これは当業界の生物学者ならば容易に突き止めることができる。設計すれば、配列自体は通常のDNA合成装置、例えば380Aまたは280Bモデル合成装置(PE−アプライド・バイオシステムズ, Inc., 850 Lincoln Center Drive, Foster City, CA 94404)によって合成できる。
本発明に使用される化合物のアミノ酸部分を発現させるため、適当な制限エンドヌクレアーゼを使用することにより、遺伝子操作した合成DNA配列を多くの適当な組換えDNA発現ベクター中に挿入する。概説はManiatisら、(1989) Molecular Cloning; A Laboratory Manual, Cold Springs Harbor Laboratory Press, N.Y., Vol.1-3を参照のこと。制限エンドヌクレアーゼ切断部位は当業者に周知の増幅および発現ベクターから単離し、それに組み込むことができるようにGLP−1分子コード化DNAのいずれかの末端となるように操作する。使用する個々のエンドヌクレアーゼは使用する親発現ベクターの制限エンドヌクレアーゼ切断パターンによって変動する。制限部位は、コード化配列が制御配列に対して正しく配向し、それにより目的タンパク質が正しく解読枠内に配置し発現されるように選択する。コード化配列は、タンパク質を発現させようとする宿主細胞内で機能する発現ベクターのプロモーターおよびリボゾーム結合部位に対して正しい解読枠内に位置させなければならない。
合成遺伝子が効率的に転写するためには、プロモーター−オペレーター領域と作動可能に関連していなければならない。従って、合成遺伝子のプロモーター−オペレーター領域は合成遺伝子のATG開始コドンに対して同じ配向で逐次的に置く。
原核生物および真核生物細胞を形質転換するに有用な種々の発現ベクターは当業者に周知である。The Promega Biological Research Products Catalogue (1992)(Promega Corp., 2800 Woods Hollow Road, Madison, WI, 53711-5399);およびThe Stratagene Cloning Systems Catalogue (1992)(Stratagene Corp., 11011 North Torrey Pines Road, La Jolla, CA, 92037)を参照。さらに、米国特許第4,710,473号には外来遺伝子を大腸菌において高率に発現させるのに有用な環状DNAプラスミド形質転換ベクターが開示されている。このプラスミドは組換えDNA手法の形質転換ベクターとして有用であり、かつ
(a) 宿主細胞内での自律的複製能をプラスミドに付与し、
(b) 宿主細胞培養が維持されている温度に相関して自律的プラスミド複製を制御し、
(c) 宿主細胞集合体でのプラスミドの保全性を安定化させ、
(d) 宿主細胞集合体でのプラスミド保全性の指標となるタンパク質産物を合成させ、
(e) プラスミドに固有の一連の制限エンドヌクレアーゼ認識部位を提供し、そして
(f) mRNA転写を終止させる。
この環状DNAプラスミドは、外来遺伝子を高レベルで発現させるための組換えDNA手法のベクターとして有用である。
本発明に使用される化合物のアミノ酸部分に対する発現ベクターを構築すると、次ぎの工程はそのベクターを適当な細胞内に入れることにより、ポリペプチドを発現するのに有用な組換え宿主細胞を構築することである。組換えDNAベクターで細胞を形質転換する手法は当業者に周知であり、Maniatisら(前掲)などの一般的教書に見出すことができる。作成する宿主細胞は真核生物または原核生物細胞のいずれからでも構築される。
原核生物宿主細胞は一般に、タンパク質を比較的高率かつ容易に培養中に産生する。高レベル細菌発現系にて発現されるタンパク質は粒子状または封入体として凝集するのが特徴であり、これは高レベルの過剰発現タンパク質を含む。このようなタンパク質凝集体は当業者に周知の手法により、回収し可溶化し変性し再折りたたみしなければならないのが普通である。Kreuger,ら、(1990) in Protein Folding, Gierash and King, eds, pg136-142, Amerian Association for the Advancement of Science Publication No. 89-18S, Washington,D.C.; および米国特許第4,923,967号を参照のこと。
所望のGLP−1同族体またはGLP−1誘導体を調製するには、前駆体GLP−1またはGLP−1同族体アミノ酸配に次ぎの周知の方法によって改変を施す: GLP−1前駆体の化学的修飾、酵素的修飾または化学的および酵素的修飾の組み合わせ。伝統的な液相法および半合成法の手法も本発明に使用されるGLP−1分子の調製に有用である。本発明のGLP−1分子を調製する方法はペプチド化学の当業者には周知である。
当業者に既知の種々の方法のいずれによっても、Lys34のε−アミノ基にアシル基を付加できる。Bioconjugate Chem."Chemical Modifications of Proteins: History and Applications" 1,2-12頁(1990)およびHashimotoら、Pharmaceutical Res. 6(2):171-176(1989)。
例えば、ホウ酸緩衝液中、50%アセトニトリルを使用し、オクタン酸のN−ヒドロキシ−スクシンイミドエステルをリジル−εアミンに付加することができる。このペプチドはイミダゾール基を加える前または後いずれでもアシル化することができる。さらに、組換え的にペプチドを調製するのであれば、酵素的切断の前にアシル化すればよい。また、WO96−29342号(引用によって本明細書に包含される)に教示されているようにGLP−1誘導体のリジンをアシル化できる。
GLP−1(7−36)アミド分子およびGLP−1(7−37)分子における保護された、保護されていないおよび部分的に保護された天然のおよび非天然の多くの機能的な同族体および誘導体の存在および調製は当業界の文献に記載されている[例えば、米国特許第5,120,712号および第5,118,666号(これらは引用によって本明細書に包含される)、およびOrskov,C.,ら、J.Biol.Chem.,264(22):12826-12829(1989)およびWO91/11457号(Buckley,D.I.,ら、1991年8月8日発行)を参照のこと]。
要すれば、GLP−1誘導体のアミノおよびカルボキシ末端アミノ酸残基は保護してもよく、あるいはいずれか一方を保護してもよい。このような保護基を形成し除去するための反応は標準的な文献、例えば”Protective Groups in Organic Chemistry”,Plenum Press, ロンドンおよびニューヨーク(1973);Green,T.H.,”Protective Groups in Organic Synthesis”, Whiley,ニューヨーク(1981);および”The Peptides”,Vol.I, Schroder and Lubke, Academic Press London and New York (1965)などに記載されている。代表的なアミノ保護基には例えば、ホルミル、アセチル、イソプロピル、ブトキシカルボニル、フルオレニルメトキシカルボニル、カルボベンジルオキシなどがある。代表的なカルボキシ保護基には例えば、ベンジルエステル、メチルエステル、エチルエステル、t−ブチルエステル、p−ニトロフェニルエステルなどがある。
本発明に使用されるカルボキシ末端における低級アルキルエステルのGLP−1誘導体は、塩酸などの触媒酸の存在下、所望の(C−C)アルカノールを所望のポリペプチドと反応させることによって調製される。このようなアルキルエステル形成のための適当な条件は反応温度約50℃、約1時間から約3時間の反応時間である。同様に、Aspおよび/またはGlu残基のアルキルエステル誘導体を形成できる。
本発明に使用される化合物のカルボキサミド誘導体の調製は例えばStewart, J.M.,ら、Solid Phase Peptide Synthesis, Pierce Chemical Company Press, 1984に記載されているようにして行う。
本発明では、GLP−1、GLP−1同族体またはGLP−1誘導体の製薬的に許容される塩形態を使用できる。酸付加塩を形成するために普通に使用される酸は塩化水素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、リン酸などの無機酸、およびp−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、p−ブロモフェニルスルホン酸、炭酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、酢酸などの有機酸である。このような塩の例には硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、燐酸塩、一水素燐酸塩、二水素燐酸塩、メタ燐酸塩、ピロ燐酸塩、塩化物、臭素化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソ酪酸塩、カプロン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオール酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバカン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン−1,4−ジ酸塩、ヘキシン−1,6−ジ酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩、スルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、γ−ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン−1−スルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩、マンデル酸塩、その他の塩を包含する。好ましい酸付加塩は塩酸および臭酸などの鉱酸、特に塩酸から形成される塩である。
塩基付加塩には、アンモニウムまたは水酸化、炭酸、重炭酸アルカリもしくはアルカリ土類金属、などの無機塩基から誘導されるものが包含される。本発明の塩の製造に有用な塩基には水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸カリウムなどがある。塩形態は特に好ましい。
本発明に使用されるGLP−1、GLP−1同族体またはGLP−1誘導体は本発明使用前に1つまたはそれ以上の賦形剤とともに製剤化することができる。例えば、本発明に使用される活性化合物は周知の方法によって2価金属カチオンと錯体化することができる。このような金属カチオンには例えば、Zn++、Mn++、Fe++、Co++、Cd++、Ni++などがある。
本発明に使用される活性化合物は要すれば、製薬的に許容される緩衝液と一緒にすることができ、許容される安定性を付与するようpHを調整でき、また非経口投与に適したpHとすることができる。1つまたはそれ以上の製薬的に許容される塩を加えてイオン強度または張性を調節できる。1つまたはそれ以上の賦形剤を加えて、さらに製剤の等張性を調節できる。グリセリンは等張性調節賦形剤の例である。
投与は医師が有効であると認識しているあらゆる経路によって行われる。非経口投与が好ましい。非経口投与は医学文献では、滅菌シリンジまたは他の何らかの器械的装置例えば注入ポンプなどによって身体に投与剤形を注射するものとして普通は理解される。非経口投与には静脈内、筋肉内、皮下、腹腔内、脊髄内、くも膜下内、脳室内、動脈内、くも膜下、および硬膜外などがある。静脈内、筋肉内および皮下投与経路は本発明使用化合物にとってより好ましい。静脈内および皮下経路が本発明使用化合物にとってさらにより好ましい。非経口投与では、本発明に使用する活性化合物は適当なpHで蒸留水と一緒にする。
また、別の製薬方法によって作用時間を制御できる。放出制御調製は、本発明に使用する活性化合物を複合化または吸収できるポリマーを使用することによって行うことができる。延長された期間は、適当な巨大分子、例えばポリエステル類、ポリアミノ酸類、ポリビニルピロリドン、エチレンビニル・アセテート、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースまたは硫酸プロタミンを選択し、および巨大分子の濃度および組込み方法を選択し、放出を長期化させることによって達成される。活性の長期化を図るための可能性ある別の方法は、本発明に使用する活性化合物をポリエステル類、ポリアミノ酸類、ヒドロゲル、ポリ(乳酸)またはエチレンビニルアセテート共重合体などの重合体物質の粒子中に組込むことである。あるいは、これら重合体粒子に化合物を組込む代わりに、本発明に使用する化合物をマイクロカプセルに封入することも可能であり、このマイクロカプセルは例えば、コアセルベーション法または界面重合化によって調製され、それは例えばそれぞれヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチン−マイクロカプセルであり、あるいは該化合物をコロイド状薬物供給システム、例えばリポソーム、アルブミン微小球、マイクロエマルジョン、ナノ粒子およびナノカプセル、またはマイクロエマルジョン中に封入することも可能である。このような手法はRemington's Pharmaceutical Sciences (1980)に記載されている。
本発明の手法では、患者は外科処置を施される1−16時間前、外科処置中、および外科処置後の約5日を超えない期間、本発明に使用される化合物が必要である。
上述のように、本発明に使用される化合物の投与を開始する外科処置前の時間は外科処置開始前約16時間から約1時間である。異化作用およびインスリン抵抗性を減ずるために本発明に使用される化合物を投与すべき、外科処置前の時間は、医師に知られている効果を示す因子、例えば最も重要には外科処置前の準備期間に患者が絶食されているか、グルコース注入または飲み物あるいは他の形態の栄養物を供給されているかによって左右され、また患者の性別、体重および年齢、血糖調節能の欠如の程度、血糖調節能の欠如の原因、外科処置による傷害の予想される重篤度、投与経路およびバイオアベイラビリティー、身体の持久力、製剤、投与化合物の活性強度によっても左右されるが、これらに限定されない。本発明に使用する化合物の投与を開始する好ましい時間間隔は外科処置開始前約1時間から約10時間である。投与を開始するのに最も好ましい間隔は外科処置開始前2時間から8時間である。
既に説明したように、個々の形態の外科処置、選択的腹部手術後におけるインスリン抵抗性は手術後の第1日目が最も重篤であり、それは少なくとも5日間続き、正常化するまでに3週間ほどかかる[Thorell,A.,ら(1993)]。従って、術後患者は本発明に使用する化合物を、医師が配慮し決定する、因子に応じた外科処置の傷害後における期間投与されることを要求する。これらの因子の中には、外科処置後に患者が絶食されているか、グルコース注入または飲み物あるいは他の形態の栄養物を供給されているか、およびまた患者の性別、体重および年齢、血糖調節能の欠如の程度、血糖調節能の欠如の原因、外科処置による傷害の実際の重篤度、投与経路およびバイオアベイラビリティー、身体の持久力、製剤、投与化合物の活性強度によっても左右されるが、これらに限定されない。本発明に使用する化合物の好ましい投与時間は外科処置後5時間以内である。
「外科処置後の異化変調」なる用語は外科医には周知であり[Shaw,J.H.F.ら、Ann.Surg.(1989);Little,R.A.,ら、(1987);Frayn,K.N.(1986);Brandi,L.ら、(1993)]、これは、次ぎに挙げる1つまたはそれ以上の現象によって特徴付けることのできる外科処置の傷害に起因する代謝状態であると本明細書では定義する: 体窒素の喪失を伴う負の窒素平衡[Wernerman,J.ら、J.Parent.Enter. Nutr.10:578-82(1986);Tashiro,T.,ら、J.Paretn.Enter.Nutr.9:452-5(1985)]、呼吸商の減少を伴うグルコースに優先する脂質の末梢利用[Frayn,K.N.,ら、Arch.Emerg.Med.4:91-9(1987);Stjernstrom,H.ら、Clin.Physiol.1:59-72 (1981)]、および高血糖にもかかわらず体タンパク質およびエネルギー貯蔵から得る内生グルコース産生[Gump,F.E.ら、(1974);Black,R.B.ら、(1982);Frayn, K.N.,ら、(1987);Frayn,K.N. Br.Med.Bull. 41(3):232-9(1985)]。
「インスリン抵抗性」なる用語も臨床医には周知であり、これは正常濃度のインスリンでは正常の応答よりも小さい応答しか惹起できない生理学的状態であると本明細書では定義する。インスリン抵抗性は細胞表面レセプターに対するインスリン結合性の減少、または細胞内代謝の変化に起因している可能性がある。インスリン感受性の減少として特徴付けられる第1のタイプは通常、インスリン濃度を増大させれば克服できる。インスリン応答性の減少として特徴付けられる第2のタイプは、大量のインスリンによっては克服できない。傷害後のインスリン抵抗性は、インスリン抵抗性の程度に応じたインスリン量によって克服できるので、これはインスリン感受性の減少であると考えられる[Brandi,L.S.,ら、Clin. Science 79:443-450(1990);Henderson,A.A.ら、Clin.Sci.80:25-32 (1990)]。選択的腹部外科処置後におけるインスリン感受性の減少は少なくとも5日間続くが、3週間を超えることはなく、この減少は術後の第一日目が最も重篤であり、正常に復帰するのに3週間費やすことがある[Thorell,A.ら、(1993)]。傷害後に観察される一時的なインスリン抵抗性の原因は充分に分かっていない。
患者の血糖値を正常化するのに有効なGLP−1、GLP−1同族体またはGLP−1誘導体の投与量は、多くの因子、例えば患者の性別、体重および年齢、血糖調節能の欠如の程度、血糖調節能の欠如の原因、グルコースもしくは他の炭水化物供給源を同時に投与するか否か、投与経路およびバイオアベイラビリティー、身体の持久力、製剤、投与化合物の活性強度によって左右されるが、これらに限定されない。投与を連続的に行う場合、適当な投与速度は0.25から6pmol/kg体重/分、好ましくは約0.5から約1.2pmol/kg/分である。間欠的に投与する場合、1回の投与における投与量は投与の間隔、GLP−1、GLP−1同族体またはGLP−1誘導体のバイオアベイラビリティー、正常血糖を与えるに必要なレベルを考慮すべきである。所望の臨床効果を得るためのGLP−1、GLP−1同族体またはGLP−1誘導体の投与量および投与速度は通常の医師によって決定される。
本発明をより平易にするため、特定の実施例を以下に記載するが、これらは本発明の例示であって限定するものでない。
実施例1
選択的整形外科手術(ハイパートロプラスティー(hipartroplasty))が予定されている13人の患者をこの試験に供した。患者はいずれも、代謝性疾患、肝臓障害または糖尿病の履歴または徴候を有していない。空腹時血糖値、CRPおよび肝臓試験(ビリルビン、アルカリホスファターゼ、ASTおよびALT)は13人すべての患者にわたって正常であった。
7人の患者(インスリン群、年齢56±5歳;BMI、25±1 kg/m)に対し、一晩絶食後の08:00時から試験した。血糖とホルモンの測定のためにサンプルを採取し、30分間の間接カロリー測定を行う初めの基礎期間の後、インスリン(Actrapid(登録商標)、Novo、コペンハーゲン)を0.8mU/kg/分の一定速度で静脈内注入し、その間グルコース(200mg/ml)を可変的に静脈内注入して血糖を一定レベル(4.5mM)に維持させた。定常状態条件1時間の後、すべての患者に標準化した外科処置(ハイパートロプラスティー)を施した。手術は、インスリン注入の開始後290±23分に開始した。次いで、外科処置の間、高インスリン・正常血糖クランプを維持し、外科処置後さらに3−4時間それを続行した。データは以下の項目に沿って示す:
基礎 インスリン注入の開始前30分、
術前クランプ 外科処置前60分間の定常状態の高インスリン・正常血糖クランプ
初期op 外科処置の開始後10分から40分
後期op 外科処置の最後の30分
術後クランプ 外科処置の開始後143±30分から始める60分間の定常状態の高インスリン・正常血糖クランプ。
年齢およびBMIについて上記インスリン群と適合する第2の群の患者(対照群、n=6、年齢59±3歳;BMI、26±1 kg/m)に対し、外科処置の7日前に同じ術前プロトコール(基礎および術前クランプ)を施した。外科処置の日には対照群に基礎または術前クランプを施さなかった。しかし、外科処置と同時に、インスリン注入(0.8mU/kg/分)を対照群の各患者に施し、高インスリン・正常血糖(4.5mM)クランプ(術後)を開始した。
間接カロリー測定(Deltatrac(登録商標), Dansjoo, スウェーデン)[Frayn,K.N. J. Appl.Physiol.55(2):628-34(1983);Takala,J.,ら、Crit.Care Med.17 (10): 1041-47(1989)]は、基礎期間、外科処置時には2回(初期opおよび後期op)ならびに術前および術後クランプの最後の30分に30分間行った。尿中尿素排泄を分析するため、定期的に尿をサンプリングした。尿貯蔵量[Tappy,L.ら、Diabetes 37:1212-16(1988)]の変化を較正した後、非タンパク質エネルギー消費量(EE)、呼吸商(RQ)および基質酸化率を計算した。
基礎、術前、初期op、後期opおよび術後の期間に加温した手の静脈から繰り返し血液サンプルを採取した。血糖はグルコースオキシダーゼ法(Yellow Springs Instruments, イエロー・スプリングス、オハイオ)により採取直後に測定した[Hugget,A.S.,ら、Lancet 2:368-70(1957)]。ラジオイムノアッセイ(RIA)を使用し、インスリン[Grill,V.ら、Metabolism 39:251-58(1990)];C−ペプチド(Novo Research, Bagsvaerd, デンマーク);コルチゾール[Harris,V.,ら、In Jaffe, B.M. & Behrman,H.R.,eds. Methods of Hormone radioimmunoassay, Academic Press, New York and London (1979) pp.643-56];およびグルカゴン(Euro-Diagnostica AB, Malmo, スウェーデン)[Faloona,G.R.,ら、Glucagon radioimmunoassay technique. Vol.1: Academic Press, New York (1974)] の血清濃度を測定した。
すべての値は個々の値または平均±SEM(平均の標準誤差)である。数学的有意さは、対および非対データについてそれぞれWilcoxonの符号つき順位検定およびMann-Whitney U検定を使用し、p<0.05で認める。術後クランプ時の血清インスリンレベルはインスリン群よりも対照群のほうが低くなる傾向があったので(p=0.06)、クランプ期のGIRも、60分の定常期のGIRと平均血清インスリンレベルとを分けることで普通のインスリンレベルに対応して較正した。
血清インスリンレベルは基礎時および術前クランプ期ともに2群間で同様であった。インスリン群では、外科処置中および術後クランプ期のインスリンレベルは約60μU/mlのままであった。対照群では、インスリンレベルは外科処置中の基礎レベルと比較して変化していなかった。対照群の術後クランプ時のインスリンレベルは術前クランプ期のレベルと有意に相違しておらず、またインスリン群における術後クランプ期のレベルと相違していなかった。
C−ペプチドレベル(表I)は基礎時ならびに術前および術後クランプ期において2群間で同様であった。インスリン群の外科処置時におけるC−ペプチドレベルは対照群と比較して低かった。
両群ともに外科処置後には血清グルカゴンレベルが減少した(p<0.05)(表I)。しかし、外科処置後の相対変化(対 術前%)はインスリン群のほうが大きかった(対 対照p<0.01)。
血清コルチゾールレベル(表I)はインスリン群では外科処置後に減少し、対照群におけるそのレベルは増大する傾向を示した(p=0.1)。コルチゾールの術後レベルは対照群よりもインスリン群のほうが低かった(p<0.05)。
表I
一晩絶食後(対照、n=6)または4時間の生理学的高インスリン後(インスリン、n=7)におけるハイパートロプラスティーを受けている患者のホルモンレベル

Figure 2006298938

P<0.05 Wilcoxonの符号つき順位検定による術前との比較
P<0.05 Mann-Whitney U-検定による対照との比較
外科処置後には両群ともグルカゴンレベルが減少したが、最も大きな減少(%)はインスリン群に見出された(対 対照p<0.01)。インスリン群では外科処置後、コルチゾールレベルが減少し(対 術前p<0.05)、対照群におけるレベルは増大する傾向を示した(p=0.1)。従って、外科処置後では、コルチゾールレベルは対照群よりもインスリン群のほうが有意に低い(p<0.05)。
グルコース注入速度(GIR)は術前クランプ期にはインスリン群および対照群間に有意な差異は無かった。対照群では、術前クランプと比較して術後クランプ期における、正常血糖を維持するのに要する平均GIRが減少した(−39±5%、p<0.05)。これとは対照的に、インスリン群は外科処置時にはGIRが維持されており、術後クランプ期では平均してGIRが増大する傾向さえ示した(+16±20%、p=0.2)。最も意義あることには、意外にも、インスリン群における術後クランプ期の平均GIRは対照群よりも有意に高かった(p<0.05)(図1参照)。術前および術後クランプ時のGIRのすべての変動は、定常期の平均血清インスリンレベルについてGIRを較正したとしても、統計的に有意であった(p<0.05)。
外科処置前のグルコースおよび脂質酸化率は両群、同様であった。外科処置時には、インスリン群ではグルコース酸化率が有意に高くなり、脂質酸化率は有意に低くなった(対 対照p<0.05)。インスリン群の術後クランプ時には、術前クランプと比較して基質酸化率の変動は認められなかった。外科処置の前後における安静時エネルギー消費(EE)は両群間に差異はなく、術前クランプと比較して外科処置後は両群ともに同じままであった。
絶食時グルコースレベルはインスリンおよび対照群、同様であった。インスリン注入時の定常期では、正常血糖が維持され、グルコース変動の係数間の平均は対照群では4.6%、インスリン群では6.2%であった。
上記の知見が絶食状態で選択的外科処置を受けた患者が手術後インスリン抵抗性を示し、脂質酸化を増大させることを示していることは疑いの余地はない。さらに、これらの知見は、患者が、手術時に終始維持されるインスリンレベルの上昇状態で外科的ストレス下に置かれるなら、外科処置後の異化変調が完全に阻止され、ストレスに対するホルモン応答が完全に減弱されることをも初めて示すものである。
実施例2
GLP−1(7−36)アミドを夜間10時間かけて投与速度1.2pmol/kg/時で皮下注入により、インスリン非依存型糖尿病(NIDDM)患者5人に投与した。対照として、GLP−1(7−36)アミド注入した日ではない別の日に同じ5人の患者にインスリンを連続注入した。インスリン注入の速度は2時間毎に調節して最適な制御を行い、低血糖とならないようにした。表IIおよび図2のデータに示されるように、GLP−1(7−36)アミドの皮下注入は、いずれの患者においても低血糖を誘発させることなく血糖を殆ど正常化した。GLP−1(7−36)アミドによる代謝制御はインスリンにより達成されるものよりも良好であり、23:00、0:00および1:00時点における平均血糖値はGLP−1(7−36)アミド処置のほうが対照よりも統計的に有意な程度低かった。
表II
夜間に10時間GLP−1(7−36)アミドを連続注入した5人のNIDDM患者における平均血糖値。異なる日に同じ患者を用いて試験した対照では、インスリンを連続注入により投与した。

Figure 2006298938
実施例3
朝食時、昼食時および夕食時に3時間、5人のNIDDM患者に日中、GLP−1(7−36)アミドを注入した。注入時間は図3に示しているように、7:30−10:30(朝食時)、10:30−1:30(昼食時)、および4:30−7:30(夕食時)であった。別の日に行う同じ5人のNIDDM患者での対照実験では、図3に示しているように食事の直前にインスリンを皮下注射した。GLP−1を注入する間は、インスリン注入により観察される食後グルコースの偏奇運動を排除し、正常血糖値を維持させた。GLP−1(7−36)アミドの各注入の終了直後には、血糖値が有意に増大した。GLP−1(7−36)アミドの不適当な副作用は観察されなかった。これらのデータは、GLP−1(7−36)アミド注入がインスリン注射よりも食後グルコースレベルをより有効に制御し、この制御がGLP−1(7−36)アミド注入を続けている限り有効であることを示している。
表III
各食事の開始から始めて3時間GLP−1(7−36)アミドを注入した5人のNIDDM患者の平均血糖値。同じ患者を用いて別の日に行う対照実験では、各食事の直前にインスリンを皮下注射して投与した。食事は7:30、10:30および4:30に開始した。

Figure 2006298938

図1は、6人の対照患者(〇)および選択的外科処置前および時に高インスリン性の正常血糖注入を行った7人の患者(■)における、手術前(術前)クランプ期間に対する手術後(術後)クランプ期間のグルコース注入速度(GIR)の変化パーセンテイジのグラフである。 図2は、5人のインスリン非依存型糖尿病(NIDDM)患者における夜間の平均血糖濃度(mM)に対するGLP−1(7−36)アミドの連続注入の効果(−■−)を示すグラフである。このグラフには、同じ5人のNIDDM患者における別の夜間の平均血糖濃度に対するインスリンの連続注入の効果(- -〇- -)も示している。 図3は、GLP−1(7−36)アミドを日中、3食それぞれの開始時から3時間注入した場合のその注入における5人のNIDDM患者の平均血糖濃度(mM)に対する効果(−■−)を示すグラフである。このグラフには、同じ5人のNIDDM患者における別の日の平均血糖濃度に対する各食事直前におけるインスリンの皮下注射の効果(- -〇- -)も示している。

Claims (13)

  1. 外科処置後の異化変調およびインスリン抵抗性を減弱させる方法であって、それを必要としている患者に、GLP−1、GLP−1同族体、GLP−1誘導体およびそれらの製薬的に許容される塩の中から選ばれる化合物を投与することを特徴とする方法。
  2. 化合物を静脈内投与する、請求項1記載の方法。
  3. 化合物を皮下投与する、請求項1記載の方法。
  4. 投与が連続的である、請求項2または3記載の方法。
  5. 化合物の投与速度が0.25から6pmol/kg/分である、請求項4記載の方法。
  6. 化合物の投与速度が0.5から2.4pmol/kg/分である、請求項5記載の方法。
  7. 該速度が約0.5から約1.2pmol/kg/分である、請求項5記載の方法。
  8. 静脈内投与が間欠的である、請求項2記載の方法。
  9. 化合物を静脈内投与し、さらに他の非経口的経路によっても投与する、請求項2記載の方法。
  10. 他の非経口的経路が皮下経路である、請求項9記載の方法。
  11. 投与する化合物がGLP(7−36)アミドまたはその製薬的に許容される塩である、請求項1記載の方法。
  12. 外科処置後の異化変調およびストレスに対するホルモン応答を減弱させるための方法であって、それを必要として患者に対し、GLP−1、GLP−1同族体およびGLP−1誘導体がそのインスリン分泌活性を示す際に相互作用するレセプターまたはレセプター群と同じものと相互作用することによってインスリン分泌活性を示す化合物を投与することを特徴とする方法。
  13. 外科処置後の異化変調およびストレスに対するホルモン応答を減弱させるための方法であって、GLP−1、GLP−1同族体およびGLP−1誘導体が相互作用してインスリン感受性を増大させるレセプターまたはレセプター群と同じものと相互作用することによってインスリン感受性を増大させる化合物を投与することを特徴とする方法。
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