[go: up one dir, main page]

JP2006290228A - 車輪横力算出方法および車輪横力算出装置 - Google Patents

車輪横力算出方法および車輪横力算出装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2006290228A
JP2006290228A JP2005115753A JP2005115753A JP2006290228A JP 2006290228 A JP2006290228 A JP 2006290228A JP 2005115753 A JP2005115753 A JP 2005115753A JP 2005115753 A JP2005115753 A JP 2005115753A JP 2006290228 A JP2006290228 A JP 2006290228A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
wheel
vehicle
tire
lateral force
contact length
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2005115753A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4487130B2 (ja
Inventor
Atsushi Matsuda
松田  淳
Takashi Kitazaki
剛史 北崎
Naoshi Miyashita
直士 宮下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Yokohama Rubber Co Ltd
Original Assignee
Yokohama Rubber Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Yokohama Rubber Co Ltd filed Critical Yokohama Rubber Co Ltd
Priority to JP2005115753A priority Critical patent/JP4487130B2/ja
Publication of JP2006290228A publication Critical patent/JP2006290228A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4487130B2 publication Critical patent/JP4487130B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Tires In General (AREA)
  • Control Of Driving Devices And Active Controlling Of Vehicle (AREA)

Abstract

【課題】車両の旋回走行中における、実際に車両に装着された複数の車輪それぞれに発生する横力を、簡便かつ高精度に算出する。
【解決手段】旋回走行中の車両にかかる、車両重進行方向に対して略垂直方向の遠心力の大きさと、車両の旋回走行中における複数の車輪それぞれの接地長とを求め、遠心力の大きさと各車輪の接地長とをそれぞれ乗算することで、各車輪にかかる横力を、各車輪毎にそれぞれ算出すること遠心力の大きさとに基づき、各車輪にかかる横力をそれぞれ算出する。
【選択図】図5

Description

本発明は、複数の車輪を備える車両について、この車両の旋回走行中において各車輪にかかる横力を、各車輪毎にそれぞれ算出する車輪横力算出方法、および車輪横力算出装置に関する。
自動車車両の操縦安定性には、自動車車両の旋回走行特性(コーナリング特性)は特に重要であり、より高い操縦安定性をもつ自動車車両の設計のためにも、自動車車両のコーナリング特性の評価は重要である。ホイールにタイヤが装着されてなる車輪を備える自動車車両のコーナリング特性には、車両の構造の特性(重量バランスなど)や、サスペンションの特性、タイヤの特性、さらに路面の状態など、種々の要因が関わっている。自動車車両のコーナリングでは、前後輪のタイヤの接地面に発生する旋回半径中心向きの力(コーナリングフォース)の総和と、車両の遠心力がつりあい状態になっている。コーナリングフォースの大きさは、各タイヤの接地面に発生する各タイヤの赤道面に垂直な方向の力(車輪横力)に応じている。コーナリング中に発生する、この横力の大きさは、自動車車両やタイヤ、走行条件によって種々異なる。種々の条件における各車輪の車輪横力の大きさを評価することは、自動車車両のコーナリング特性の評価に特に重要である。
例えば、特定タイヤに発生する横力を評価する方法として、公知の室内コーナリング試験機を用いる方法が挙げられる。このような室内コーナリング試験機では、例えば、特定タイヤに荷重を負荷した状態で、この特定タイヤを仮想路面に接触させる。そして、この仮想路面と特定タイヤとを相対移動させて特定タイヤを転動させ、この特定タイヤの接地面に発生する横力を測定する。しかし、車両のタイヤに発生する横力については、上述のコーナリング特性同様、車両の構造の特性(重量バランスなど)や、サスペンションの特性、タイヤの特性、さらに路面の状態など、種々の要因が関わっている。また、実際の車両走行時には、車両の姿勢変化等により、各車輪にかかる荷重の変化も頻繁に起こる。このため、公知の室内コーナリング試験機では、実際にタイヤが車両に取り付けられて、この車両が実際に路面を走行する際の状態(タイヤにかかる負荷状態や、タイヤの転動状態)を再現するには、その再現精度に限界があり、実際に特定タイヤが車両に取り付けられた場合の、特定タイヤの接地面に発生する横力を精度良く測定することはできない。これに対し、実際に車両に装着されたタイヤに発生する横力を評価する方法として、特許文献1では、センサによってタイヤの側壁のねじれ変形を測定し、この測定したねじれ変形から、タイヤに発生する横力を推定する、タイヤの力を予測するためのシステムが記載されている。
特表2001−512207号公報
しかし、特許文献1記載のタイヤの力を予測するためのシステムでは、事前に、タイヤ変形とその変形時に発生する力の関係を把握しておく必要がある。タイヤ変形とその変形時に発生する力の関係を把握しておくには、大きな手間を要する。このように事前に把握された、タイヤ変形とその変形に発生する力の関係を用いるのみでは、車両が実際に路面を走行する際の種々の状態(タイヤにかかる負荷状態や、タイヤの転動状態)において、タイヤの接地面に発生する横力を精度良く測定することはできない。そこで、本発明は、実際に車両に装着された複数の車輪それぞれに発生する横力を、簡便かつ高精度に算出する方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、複数の車輪を備える車両について、この車両の旋回走行中において、各車輪にかかる横力をそれぞれ算出する方法であって、旋回走行中の車両にかかる、車両進行方向に対して略垂直方向の遠心力の大きさを求める遠心力導出ステップと、前記車両の旋回走行中における、前記複数の車輪それぞれの接地長を求める接地長導出ステップと、前記複数の車輪それぞれの接地長の総和に対する各車輪それぞれの接地長の比と、前記遠心力の大きさとに基づき、各車輪にかかる横力をそれぞれ算出する横力算出ステップとを有することを特徴とする車輪横力算出方法を提供する。
なお、前記横力算出ステップは、前記遠心力の大きさと各車輪の前記接地長の比とをそれぞれ乗算することで、各車輪にかかる横力を、各車輪毎にそれぞれ算出することが好ましい。
また、前記車輪はタイヤを備え、前記接地長導出ステップに先がけて、転動中のタイヤが前記路面から外力を受けることで発生する、前記タイヤの所定部位の時系列の加速度データを取得する加速度データ取得ステップを有し、前記接地長導出ステップは、前記加速度データ取得ステップで取得された、前記タイヤの時系列の加速度データを用いて、前記複数の車輪それぞれの接地長を求めることが好ましい。
また、前記接地長導出ステップは、前記時系列の加速度データから、タイヤの変形に基づく時系列の加速度データを抽出して、前記タイヤの変形に基づく時系列の加速度データに対して2階の時間積分を行って変位データを求めることにより、タイヤの所定部位における変形量を算出して、このタイヤの所定部位における変形量を用いて前記接地長を算出することが好ましい。
なお、前記加速度データ取得ステップで取得される加速度データは、前記タイヤの周方向に対して直交するラジアル方向の加速度のデータ及びタイヤの周方向の加速度のデータの少なくとも一方のデータであり、前記接地長導出ステップで算出される、前記タイヤの所定部位の変形量は、タイヤのラジアル方向及び周方向の変形量、もしくはラジアル方向の変形量であることが好ましい。
また、前記遠心力導出ステップは、前記複数の車輪それぞれの、前記タイヤの所定部位の時系列の加速度データを用いて各車輪の回転角速度を算出し、この各車輪の回転角速度に基づき、前記車両の旋回半径および前記車両の進行速度の推定値を求め、これら車両の旋回半径、車両の進行速度の推定値、および予め取得された前記車両の重量情報に基づき、前記遠心力を算出することが好ましい。
また、前記遠心力導出ステップは、各車輪それぞれの回転角速度を用いて、各車輪の移動速度をそれぞれ算出し、前記車両の少なくとも1つの車軸線上に備えられた左右の車輪の前記移動速度の比の値を用いて、前記車両の旋回半径を導出してもよい。
なお、前記遠心力導出ステップは、前記車両に設けられた車両加速度センサによって計測された、前記車両の旋回走行中における、車両進行方向に対して略垂直方向の加速度の大きさと、前記車両の重量とに基づき、前記遠心力の大きさを導出することが好ましい。
なお、本発明は、複数の車輪を備える車両について、この車両の旋回走行中において、各車輪にかかる横力をそれぞれ算出する装置であって、旋回走行中の車両にかかる、車両進行方向に対して略垂直方向の遠心力の大きさを求める遠心力導出手段と、前記車両の旋回走行中における、前記複数の車輪それぞれの接地長を求める接地長導出手段と、前記複数の車輪それぞれの接地長の総和に対する各車輪それぞれの接地長の比と、前記遠心力の大きさとに基づき、各車輪にかかる横力をそれぞれ算出する横力算出手段とを有することを特徴とする車輪横力算出装置を併せて提供する。なお、前記横力算出手段は、前記遠心力の大きさと各車輪の前記接地長の比とをそれぞれ乗算することで、各車輪にかかる横力を、各車輪毎にそれぞれ算出することが好ましい。
また、前記車輪はタイヤを備えた車輪であって、前記タイヤの所定部位に設けられ、転動中のタイヤが前記路面から外力を受けることで発生する、前記タイヤの所定部位の時系列の加速度データを取得する加速度センサを有し、前記接地長導出手段は、前記加速度センサで計測された、前記タイヤの時系列の加速度データを用いて、前記複数の車輪それぞれの接地長を求めることが好ましい。
なお、前記接地長導出手段は、前記時系列の加速度データから、タイヤの変形に基づく時系列の加速度データを抽出して、前記タイヤの変形に基づく時系列の加速度データに対して2階の時間積分を行って変位データを求めることにより、タイヤの所定部位における変形量を算出する変形量算出部と、このタイヤの所定部位における変形量を用いて前記接地長を算出する接地長算出部とを有して構成されることが好ましい。
また、前記加速度センサで計測される加速度データは、前記タイヤの周方向に対して直交するラジアル方向の加速度のデータ及びタイヤの周方向の加速度のデータの少なくとも一方のデータであり、前記接地長導出手段で算出される、前記タイヤの所定部位の変形量は、タイヤのラジアル方向及び周方向の変形量、もしくはラジアル方向の変形量であることが好ましい。
なお、前記遠心力導出手段は、前記複数の車輪それぞれの、前記タイヤの所定部位の時系列の加速度データを用いて各車輪の回転角速度を算出する角速度算出部と、前記回転角速度に基づき、前記車両の旋回半径を求める旋回半径算出部と、前記回転角速度に基づき、前記車両の進行速度の推定値を求める速度推定値算出部と、これら車両の旋回半径、車両の進行速度の推定値、および予め取得された前記車両の重量情報に基づき、前記遠心力を算出する遠心力算出部とを有して構成されることが好ましい。
また、前記旋回半径算出部は、各車輪それぞれの回転角速度を用いて、各車輪の移動速度をそれぞれ算出し、前記車両の少なくとも1つの車軸線上に備えられた左右の車輪の前記移動速度の比の値を用いて、前記車両の旋回半径を導出することが好ましい。
また、前記車両に設けられた、前記車両の旋回走行中における、車両進行方向に対して略垂直方向の車両加速度の大きさを計測する車両加速度センサを有し、前記遠心力導出手段は、前記車両加速度と、前記車両の重量の情報とに基づき、前記遠心力の大きさを導出することが好ましい。
なお、前記加速度センサは、前記タイヤの周方向に複数設けられていることが好ましく、また、前記加速度センサが、前記タイヤの幅方向に複数設けられていることも、また好ましい。
本発明の車輪横力算出方法および車輪横力算出装置によれば、車両の旋回走行中における、実際に車両に装着された複数の車輪それぞれに発生する横力を、簡便かつ高精度に算出することができる。
以下、本発明の車輪横力算出方法および車輪横力算出装置について、添付の図面に示される好適実施例を基に詳細に説明する。
図1は、本発明の車輪横力算出装置の一例である、車輪横力算出装置10(装置10)について説明する概略構成図である。装置10は、4つの車輪14a〜14dが配備された車両12に備えられている。これら4つの車輪14a〜14dは、同一種類のタイヤ(タイヤサイズやタイヤリム幅、ベルト構造、また、タイヤの充填空気圧などがそれぞれ同一であるタイヤ)15a〜15dがそれぞれ装着されて構成された車輪である。装置10は、センサユニット16a〜16dと、データ処理ユニット20と、ディスプレイ34とからなる。センサユニット16a〜16dは、4つの車輪14a〜14dにそれぞれ備えられており、車両12が路面を走行する際に、各車輪のタイヤ15が路面から外力を受けることで発生する、このタイヤ15の所定部位の加速度情報を取得して無線信号で送信する。また、データ処理ユニット20は、センサユニット16a〜16dから送信された無線信号を受信して、各車輪の変形加速度情報から各車輪の接地長、および車両12に作用する遠心力を導出して、この遠心力と接地長とを用いて、4つの車輪14a〜14dそれぞれに発生する横力の大きさをそれぞれ算出する。ディスプレイ34は、このデータ処理ユニット20において導出される接地長や遠心力、および各車輪14a〜14dそれぞれに発生する横力の算出結果などを表示する。なお、図1に示す例では、データ処理ユニット20は車両12に配置されているが、データ処理ユニット20は持ち運び可能であって、車両12に配置することに限定されない。
図2は、図1に示す車輪横力算出装置10における、センサユニット16aおよびテータ処理ユニット20について説明する図である。センサユニット16a〜16dは、それぞれ同様な構成であるので、ここではセンサユニット16aおよびこのセンサユニット16aが設けられた車輪14aについてのみ図示している。データ処理ユニット20は、受信機3と、増幅器(AMP)4と、処理手段21と、CPU23と、メモリ27とを有する。データ処理ユニット20は、処理手段21の後述する各部が、メモリ27に記憶されたプログラムをCPU23が実行することで機能する、受信機3とAMP4が備えられたコンピュータである。メモリ27には、図示しない入力手段などによって入力された、車両12のホイールベースL、車両トレッド幅K、車両重量M、車輪14a〜14dの車輪外周の長さ、すなわち、タイヤ15a〜15dのタイヤ外周の長さ(車輪14a〜14d全て同一である)の値が記憶されている。各パラメータは、処理手段21の、後述する各部によって適宜呼び出される。各パラメータについては、後述する。
処理手段21は、車輪14a〜14dそれぞれを構成するタイヤ15a〜15dのトレッド部における加速度の計測データを取得するタイヤ加速度データ取得部22、このタイヤ加速度データを処理する信号処理部24、信号処理された加速度データを用いて各車輪14a〜14dの接地長をそれぞれ導出する接地長導出部40と、この加速度の計測データを用い、旋回走行中の車両12にかかる遠心力を導出する遠心力導出部50と、接地長導出部40において導出された、車輪14a〜14dそれぞれの接地長(車輪14a〜車輪14dそれぞれに装着された、各タイヤ15a〜15dそれぞれの接地長)と、遠心力導出部50において導出された車両12にかかる遠心力の大きさとを用いて、車輪14a〜車輪14dそれぞれの接地面(車輪14a〜車輪14dそれぞれに装着された、各タイヤ15a〜15dそれぞれの接地面)に発生する横力の大きさを算出する横力算出部70とからなる。処理手段21の構成の詳細は、後述する。
本発明は、車輪14a〜14dそれぞれの接地長(タイヤ15a〜15dそれぞれの接地長)と、遠心力導出部50において導出された車両12にかかる遠心力の大きさとを用いて、車輪14a〜車輪14dそれぞれの接地面(タイヤ15a〜15dそれぞれの接地面)に発生する横力の大きさを算出することを特徴とする。本発明によれば、例えば、車両12が一般道を法規制に従った速度(通常速度)で走行するような場合(通常走行の場合)について、車輪14a〜車輪14dそれぞれの接地面に発生する横力の大きさを、簡便かつ高精度に算出することができる。以降、このように、車両12が通常走行中に、旋回走行する場合を例に、本発明の特徴について説明する。図3(a)および(b)は、車両12の旋回走行(コーナリング)時に、車両12や車輪14a〜14dにかかる力について説明する図であり、図3(a)は、旋回走行中の車両12にかかる遠心力および車両12の各車輪14a〜14dに発生する横力について説明する概略図である。また、図3(b)は、車両12のうち1つの車輪(車輪14a)について拡大して示す図で、車輪14aを路面側から見た図である。
図3(a)に示すように、車両が旋回走行(コーナリング)している最中は、車両12には、車両12をコーナの外側に押し出す方向に作用する遠心力Fがかかり、車両12の各車輪14a〜14dそれぞれには、この遠心力Fに抗して働くコーナリングフォース(CFa〜CFd)がそれぞれ発生する。コーナリングの最中では、これら遠心力Fと、各車輪14a〜14dに発生する横力CFa〜CFdの総和とが釣りあっている。図3(b)を参照し、例えば右前輪である車輪14aの接地面において、コーナリング中に働く力の概略について説明する。車輪14aは、図3(b)中の斜線で接地領域を示すように、タイヤ15aが路面に接地した状態で、この路面上を転動している。コーナリング中、タイヤ赤道面と路面との交線におけるタイヤ15の接地長は、CLaとなっている。コーナリング中、車両の進行方向に対して、車輪14aを構成するタイヤ15aの赤道面は、角度(スリップ角)をもっている。このスリップ角が小さい場合、タイヤ赤道面に垂直でコーナ内側方向に作用する車輪横力(SFa)の大きさは、コーナリングフォースCFaとほぼ同一(SFa≒CFa)となる(なお、図3(b)では、スリップ角を誇張して示している)。すなわち、車両12が一般道を法規制に従って走行するような場合(通常走行の場合)では、スリップ角は比較的小さく(特に、後輪では非常に小さい)、車輪横力の総和(SFa〜SFdの総和)と遠心力Fとはつりあっている(F=SFa+SFb+SFc+SFdがなりたつ)。
また、スリップ角が小さい場合、任意の空気入りタイヤを備える車輪に対して、一定荷重を負荷して、この車輪を特定路面(車輪の転動中に、路面状態が変化しない路面)に接地させた状態では、この車輪に発生する車輪横力(SF)は、スリップ角に比例することが公知である。すなわち、スリップ角が小さい状態では、スリップ角の変化に対する車輪横力の変化の勾配(いわゆるコーナリングパワー;CP)は一定となっている。かつ、車両12に設けられた4つの車輪14a〜14dには、いずれの車輪についても、スリップ角がほとんど発生しておらず、4つの車輪14a〜14dそれぞれのスリップ角はほぼ同一である。すなわち、4つの車輪14a〜14dそれぞれにかかる車輪横力SFa〜SFdの大きさは、それぞれの車輪のコーナリングパワーCPの大きさによって表せるといえる。
ここで、車両12の旋回走行中において、車輪14aに関するどのような物理量に応じて、車輪のコーナリングパワーCPが求められるかがわかれば、この物理量に応じて、各車輪のコーナリングパワーCPの大きさ、すなわち各車輪の車輪横力SFa〜SFdを求めることができる。上述のように、任意の空気入りタイヤを備える車輪に対して、一定荷重を負荷して、この車輪を特定路面に接地させた状態では、車輪の接地長(タイヤの接地長)は常に一定となっている。すなわち、スリップ角が小さい状態において、スリップ角の変化に対する車輪横力の変化の勾配(コーナリングパワー;CP)が一定となるのは、車輪の接地長が一定の場合である。通常走行の場合、走行中の車両12の姿勢変化により、車両12に設けられた複数の車輪14a〜14dそれぞれにかかる荷重の移動等も頻繁におこり、各車輪14a〜14dそれぞれの接地長CLa〜CLdは種々変化する。
図4(a)〜(c)は、それぞれ異なる複数の車輪について、各車輪の接地長とコーナリングパワーCPの関係を示すグラフであり、各車輪にそれぞれ異なる大きさの荷重を負荷して各車輪を特定路面に接地させた場合それぞれについて、各車輪のコーナリングパワーCPを測定した測定結果を示すグラフである。図4(a)は、それぞれ異なるリム幅(リムサイズ)の2種類のタイヤA,Bを用い、各タイヤにそれぞれ異なる荷重を負荷した状態での、各タイヤのコーナリングパワーCPの大きさを示している。タイヤAおよびタイヤBともに、同一タイヤサイズ(タイヤサイズ205/65R15)のタイヤであり、それぞれが同一空気圧(200kPa)に充填されている。図4(a)から判断できるように、リム幅が異なっていても、タイヤの接地長とタイヤのコーナリングパワーとは線形関係(比例関係)にある。また、図4(b)は、図4(a)におけるタイヤA、タイヤBを用い、各タイヤを図4(a)に示す場合とは異なる空気圧(300kPa)に充填し、各タイヤにそれぞれ異なる荷重を負荷した状態での、各タイヤのコーナリングパワーCPの大きさを示している。図4(a)および図4(b)を比較して判断できるように、空気圧が異なっていても、タイヤの接地長とタイヤのコーナリングパワーとは線形関係(比例関係)にある。また、図4(c)は、図4(a)および(b)において用いた、タイヤAおよびタイヤBのいずれとも異なるタイヤCおよびタイヤDについて、各タイヤにそれぞれ異なる荷重を負荷した状態での、各タイヤのコーナリングパワーCPの大きさを示している。タイヤCとタイヤDとは、それぞれベルト構造が異なっている。ただし、タイヤCおよびタイヤDともに、同一タイヤサイズ(タイヤサイズ215/45ZR17)、および同一リムサイズ(17×7JJ)のタイヤであり、それぞれが同一空気圧(230kPa)に充填されている。図4(c)から、また、図4(a)〜(c)を比較して判断できるように、タイヤのベルト構造またはタイヤサイズが異なっていても、タイヤの接地長とタイヤのコーナリングパワーとは線形関係(比例関係)にある。
このように、タイヤサイズやタイヤリム幅、ベルト構造、また、タイヤの充填空気圧に関わらず、いずれのタイヤについても、接地長とタイヤのコーナリングパワー(CP)とは線形関係にある。すなわち、タイヤのコーナリングパワーCPとタイヤの接地長は、各タイヤの種類によらず線形関係にあり、タイヤのコーナリングパワーCPは、タイヤの接地長に応じて定まっているといえる。すなわち、車輪横力SFは、タイヤのスリップ角SAに加え、タイヤの接地長に応じて定まっているといえる。
車両12に備えられた4つの車輪14a〜14dそれぞれに装着されたタイヤ15a〜15dは、いずれも同一種類のタイヤ(タイヤサイズやタイヤリム幅、ベルト構造、また、タイヤの充填空気圧がほぼ同一)であり、また、旋回走行中の各車輪14a〜14dのスリップアングルも、ほぼ同一(いずれの車輪についても、スリップ角がほとんど発生していない)となっている。すなわち、通常走行において、車両に備えられた複数の車輪が全て同一種類の車輪である場合、各車輪に発生する車輪横力SFa〜SFdそれぞれは、各車輪14a〜14dそれぞれの接地長CLa〜CLdそれぞれに応じて定まっている。
上述のように、各車輪の車輪横力SFa〜SFdは、車両12にかかる遠心力に抗するように発生し、車輪横力の総和(SFa〜SFdの総和)と遠心力Fとはつりあっている(F=SFa+SFb+SFc+SFdがなりたっている)。各車輪14a〜14dそれぞれに発生する車輪横力SFa〜SFdの大きさは、各車輪14a〜14dの接地長の長さCLa〜CLdそれぞれに応じている。すなわち、各車輪に発生する車輪横力SFa〜SFdは、それぞれ、4つの車輪14a〜14dそれぞれの接地長の長さCLa〜CLdの総和に対する各車輪の比と、遠心力の大きさを用い、下記式(1−1)〜式(1−4)によって求めることができる。
Figure 2006290228
本願発明によれば、特に、例えば、車両12が一般道を法規制に従った通常速度で走行するような場合(通常走行の場合)について、車輪14a〜車輪14dそれぞれの接地面に発生する横力の大きさを、簡便かつ高精度に算出することができる。本発明では、このように、車両が通常走行する場合以外においても、例えば、各車輪のスリップ角に応じて算出した横力の大きさに補正を加えるなどの必要な処理を行えば、車両の遠心力および各車輪の接地長の長さを用いて、各車輪に発生する車輪横力を算出することができる。
図1に示す処理手段21では、このような車輪横力SFa〜SFdの算出に必要な、各車輪14a〜14dの接地長CLa〜CLdと遠心力Fとを、旋回走行中の各車輪のタイヤ15a〜15dそれぞれの、所定部位の加速度の計測データに基づいて算出する。ここで用いられる加速度の計測データは、各車輪にそれぞれ設けられた、送信ユニット16a〜16dそれぞれの、タイヤ空洞領域の内周面に固定した加速度センサ2で検知され、各送信ユニットの送信機17から受信機3へ送信されてアンプ4で増幅されたデータである。なお、送信機17を設けず、例えば、加速度センサ2に別途送信機能を持たせ、加速度センサ2から受信機3へ送信するように構成してもよい。なお、車輪14a〜14dに設けられた各送信機17は、それぞれを識別可能とする識別情報(ID)をそれぞれ保有しており、送信機17は、対応する加速度センサで計測された加速度の計測データとともにIDを送信する。
加速度センサ2は、例えば、本願出願人が先に出願した特願2003−134727号に開示された半導体加速度センサが例示される。半導体加速度センサは、具体的には、Siウエハ外周枠部内にダイアフラムが形成されたSiウエハと、このウエハ外周枠部を固定する台座とを有し、ダイアフラムの一方の面の中央部に重錘が設けられ、ダイアフラムには複数のピエゾ抵抗体が形成されている。この半導体加速度センサに加速度が作用した場合、ダイアフラムは変形し、この変形によりピエゾ抵抗体の抵抗値は変化する。この変化を加速度の情報として検出できるようにブリッジ回路が形成されている。
この加速度センサをタイヤ内周面に固定することにより、タイヤ回転中のトレッド部に作用する加速度を計測することができる。
加速度センサ2は、この他にピエゾ圧電素子を用いた加速度ピックアップを用いてもよいし、歪みゲージを組み合わせた歪みゲージタイプの加速度ピックアップを用いてもよい。
図5は、処理手段21について説明するブロック図である。処理手段手段21は、上述のように、タイヤ加速度データ取得部22、信号処理部24、接地長導出部40、遠心力導出部50、および横力算出部70ならなる。また、接地長算出部40は、変形量算出部42と接地長算出部44とを有して構成されており、さらに、遠心力導出部50は、回転角速度算出部52と、車輪移動量算出部54と、擬似車両速度算出部56と、旋回半径算出部58と、遠心力算出部62とを有して構成されている。
タイヤ加速度データ取得部22は、アンプ4で増幅された少なくともタイヤ1回転分の加速度の計測データを入力データとして取得する部分である。アンプ4から供給されるデータは、アナログデータであり、このデータを所定のサンプリング周波数でサンプリングしてデジタルデータに変換する。なお、データ取得部22は、各送信機15から送信された上述のIDに基づき、各車輪から送信される加速度の計測データが、どの車輪のタイヤの加速度の計測データであるか(車輪14a〜車輪14dのいずれの車輪であるか)を判定する。以降、信号処理部24、接地長導出部40および遠心力導出部50の各部で行なわれる各処理は、各車輪のタイヤの計測データそれぞれについて、並列に行なわれる。
信号処理部24は、デジタル化された加速度の計測データから、タイヤの変形に基づく加速度の時系列データを抽出する部位である。信号処理部24では、加速度の計測データに対して平滑化処理を行い、この平滑化された信号に対して近似曲線を算出して背景成分1を求め、この背景成分1を平滑化処理された加速度の計測データから除去することにより、タイヤの変形に基づく加速度の時系列データを抽出する。取得されたタイヤの変形に基づく加速度の時系列データは、接地長導出部40および遠心力導出部50にそれぞれ送られる。信号処理部24における具体的な処理は後述する。
接地長導出部40の変形量算出部42は、抽出されたタイヤの変形に基づく加速度の時系列データに対して2階の時間積分を行って変位データを求めることにより、タイヤの変形量を算出する部位である。タイヤの変形に基づく加速度の時系列データに対して時間に関する2階積分を行い、この後、2階積分して得られたデータに対して近似曲線を算出して背景成分2を求め、この背景成分2を、2階積分して得られた変位データから除去することにより、タイヤの変形量を算出する。さらに、この後、算出されたタイヤの変形量のデータに対して時間に関する2階微分を行ってタイヤの変形量に対応した加速度のデータ、すなわち、ノイズ成分を含まないタイヤの変形に基づく加速度の時系列データを算出する。具体的な処理は後述する。
接地長算出部44は、算出されたタイヤの変形量及びタイヤの変形に基づく加速度の時系列データから、各車輪14a〜14dの各タイヤの接地長を算出する部分である。算出された各タイヤの接地長の情報は、横力算出部70に出力される。
遠心力導出部50は、信号処理部24から受け取った、タイヤの変形に基づく加速度の時系列データを用い、車両12の旋回走行中の車両挙動を表す各種パラメータを算出し、このパラメータを用いて、車両12に作用する遠心力Fを算出する。図6は、遠心力導出部50において算出される、旋回走行中の車両12の挙動を表す各種パラメータについて説明する図である。図6に示す例では、前輪である車輪14aおよび車輪14bのスリップ角に比べて、後輪である車輪14cおよび車輪14dのスリップ角が充分に小さく、後輪の車軸線の延長上に車両12の旋回中心が位置する場合について示している。遠心力導出部50では、図6に示すようなモデルに基づき、車両12に係る遠心力Fの大きさを算出する。
回転角速度算出部52は、タイヤの変形に基づく加速度の時系列データから、各車輪14a〜14dそれぞれについて、図2に示すようなタイヤの接地面の中心位置に対して対向する点O(図2参照)を基準とした際の、各タイヤに設けられた加速度センサ2の設置位置の回転角φが、180°、540°、900°・・・となるタイミングをそれぞれ抽出する。そして、抽出したタイミングを基に、各車輪14a〜14dそれぞれの、時系列の車軸周りの回転角速度(単位時間あたりの回転角φ(図2参照))を導出する。回転角速度算出部52における処理については、後に詳述する。
車輪移動量算出部54は、回転角速度算出部52において算出された、各車輪14a〜14dのうち、前輪である車輪14aおよび車輪14bについて、それぞれの車軸周りの回転角速度と、車輪14aおよび車輪14bの車輪外周長(すなわち各タイヤ15a〜15dそれぞれの、タイヤ回転方向の外周の長さ)とを用いて、車輪14aおよび車輪14bそれぞれの車輪中心位置(各車輪(タイヤ)の赤道面と、各車輪の回転中心である車軸線との交点)の、単位時間あたりの移動量である車輪移動量(図6に示すLFRおよびLFL)をそれぞれ算出する。車輪移動量算出部54における処理については、後に詳述する。
擬似車両速度算出部56は、車輪14aおよび車輪14bの単位時間あたりの移動量である車輪移動量に基づき、車両12の路面に対する移動速度の推定値(擬似車両速度V)を算出する。算出された擬似車両速度Vは、遠心力算出部62に送られる。
旋回半径算出部58は、車輪14aおよび車輪14bの車輪移動量LFRおよびLFLと、車両12のホイールベースLと、車両トレッド幅Kとを用いて、車両12の旋回半径Rを算出する。ここで、ホイールベースLは、前輪である車輪14aおよび車輪14bの車軸線と、後輪である車輪14cおよび車輪14dの車軸線との間隔である(前輪の車輪中心位置と後輪の車輪中心位置との、車両12の前後方向の間隔である)。車両トレッド幅Kは、後輪である車輪14cの赤道面と車輪14dの赤道面との間隔である(車両12の左側に装着された車輪の車輪中心位置と、車両12の右側に装着された車輪の中心位置との、車両12の左右方向の間隔である)。擬似車両速度算出部56における処理については、後に詳述する。車両12の重心位置は、前輪である車輪14aおよび車輪14bの車軸線と、後輪である車輪14cおよび車輪14dの車軸線との間隔を2等分割する分割線と、後輪である車輪14cの赤道面と車輪14dの赤道面との間隔を2等分割する分割面との交点となっている。車両12の運動は、車両12の総重量Mをこの重心位置に集中させた質点モデルで表すことができる。
遠心力算出部62は、算出された旋回半径Rと、擬似車両速度Vと、車両12の総重量Mとを用いて、旋回走行中の車両12に作用する遠心力Fの大きさを算出する。算出された遠心力の大きさFは、横力算出部70に出力される。
処理装置21では、このように、接地長導出部40において各車輪14a〜14dの接地長CLa〜CLdを導出し、また、遠心力導出部50において車両12にかかる遠心力Fを導出する。そして、横力算出部70において、上記の式(1−1)〜式(1−4)の各式を用いて、各車輪14a〜14dそれぞれの接地面に発生する横力の大きさを、各車輪毎に算出する。算出した各車輪に発生する横力の値は、ディスプレイ34に表示出力される。
ディスプレイ34は、横力算出部70において算出された、各車輪14a〜14dに発生する横力の大きさを表示出力する公知の画像表示手段である。ディスプレイ34は、横力算出部70において算出された各車輪に発生する横力の大きさに限定されず、取得された加速度データの波形や、算出された各種パラメータなど、処理装置21において扱われる各種データや算出結果を逐次表示可能となっている。
図7は、このような装置10において実施される、本発明の車輪横力算出方法を示すフローチャートである。図8〜図12は、装置10における各処理で得られる結果の一例を示している。これらの結果は、いずれも、加速度センサ2によって、タイヤのラジアル方向(半径方向)の加速度を計測データすることで得られた結果である。以下、装置10において実施される、車輪横力算出方法について詳細に説明する。
まず、アンプ4で増幅された、各車輪の加速度の計測データがデータ取得部22に供給され、所定のサンプリング周波数にてサンプリングされて、図8(a)に示すような、デジタル化した計測データが取得される(ステップS102)。この際、データ取得部22は、上述のように、各送信機15から送信された上述のIDに基づき、各車輪から送信される加速度の計測データが、どの車輪のタイヤの加速度の計測データであるか(車輪14a〜車輪14dのいずれの車輪であるか)を判定する。
次に、取得された計測データは、信号処理部24に供給され、まず、フィルタによる平滑化処理が行われる(ステップS104)。図8(a)に示すように、信号処理部24に供給された計測データはノイズ成分が多く含まれるため、平滑化処理により、図8(b)に示すような滑らかなデータとされる。フィルタは、例えば、所定の周波数をカットオフ周波数とするデジタルフィルタが用いられる。カットオフ周波数は、転動速度やノイズ成分によって変化するが、例えば転動速度が60(km/時)の場合、カットオフ周波数は、0.5〜2(kHz)とされる。この他に、デジタルフィルタの替わりに、移動平均処理やトレンドモデル等を用いて平滑化処理を行ってもよい。
次に、信号処理部24において、平滑処理された加速度の計測データから、低周波の背景成分1が除去される(ステップS106)。ラジアル方向の加速度の背景成分1は、タイヤの転動中の遠心力(向心力)の加速度成分及び重力加速度成分を含む(なお、周方向の加速度の背景成分においても、これらの成分を含む)。図8(b)では背景成分1の波形が示されている。低周波成分の抽出は、ステップ104で得られた平滑化処理後の波形データに対し、さらに平滑化処理を行うことで実施する。例えば、所定の周波数をカットオフ周波数とするデジタルフィルタが用いられる。カットオフ周波数は、例えば転動速度が60(km/時)の場合、カットオフ周波数は、0.5〜2(kHz)とされる。この他に、デジタルフィルタの替わりに、移動平均処理やトレンドモデル等を用いて平滑化処理を行ってもよい。また、平滑化処理後の波形データにおいて、例えば所定の時間間隔で複数の節点を設け、予め定められた関数群、例えば3次のスプライン関数を用いて、最小二乗法により第1の近似曲線を算出することによって求めてもよい。節点は、スプライン関数の局所的な曲率(屈曲性)を規定する横軸上の拘束条件を意味する。信号処理部24にでは、このようにして抽出された背景成分1を、ステップS104で平滑化処理された加速度の計測データから差し引くことで、計測データからタイヤの回転に基づく加速度成分及び重力加速度成分が除去される。図8(c)には、除去後の加速度の時系列データが示されている。これにより、タイヤのトレッド部の接地変形に基づく加速度の成分(タイヤの変形に基づく加速度の時系列データ)を抽出することができる。
信号処理部24は、さらに、このようにして取得された、タイヤの変形に基づく加速度の時系列データから、上述の回転角φが、180°、540°、900°・・・となるタイミングをそれぞれ抽出する(ステップS108)。信号処理部24では、タイヤの変形に基づく加速度の時系列データのグラフにおいて、このタイヤの変形に基づく加速度が極小値をとるタイミングを、回転角φが、φ=180°、540°、900°・・・となるタイミングとして抽出する。すなわち、これら極小値のタイミングを、図2に示すように、タイヤ空洞領域の内周面に固定した加速度センサ2が、タイヤの接地面の中心位置に到来する(最も近づく)タイミングとして抽出する。タイヤの接地領域において、タイヤの外周面の路面垂直方向の位置は、路面によって規定される。接地領域において、路面は元々曲率のついたタイヤ外周面を平面上に変形させるので、タイヤは厚み方向に変形する。これによって、タイヤ空洞領域の内周面の位置は、接地領域において、タイヤ厚み方向(路面と垂直な方向)に、少なからず変動する。タイヤの厚み方向の変形は、接地面の中心位置において最も少なくなる。タイヤ空洞領域の内周面に配置された加速度センサによって取得される、タイヤの変形に基づく加速度が極小となるタイミングは、上述の回転角φが、180°、540°、900°・・・となるタイミングであるといえる。ステップS104〜ステップS108までの各処理は、ステップS102で取得された車輪14a〜14dそれぞれの加速度の計測データについて実施される。
次に、データ処理部による処理結果を用い、遠心力導出部50において、旋回中の車両12にかかる遠心力の大きさFが算出される。まず、回転角速度算出部52において、各車輪14a〜14dそれぞれの時系列角速度を算出する(ステップS110)。図9(a)および(b)は、ステップS110における処理で得られる信号波形について説明する図であり、時系列算出部52で取得されるグラフである。回転角速度算出部52では、ステップS108で抽出された、回転角φが180°、540°、900°・・・となるタイミングを用い、各タイミングと回転角の対応を表す散布図を作成し、この散布図に基づき、各車輪14a〜14dそれぞれについて、時系列の回転角を表す近似曲線を生成する。図9(a)には、1つの車輪について生成された近似曲線、および、ステップS108で抽出された各タイミングと回転角との対応を示している。そして、各車輪について、近似曲線で表された時系列の回転角を時間微分し、各車輪の時系列の回転角速度を導出する。図9(b)は、図9(a)に示す近似曲線から求められた、上記1つの車輪の時系列の回転角速度のグラフである。ステップS110では、このような時系列の回転角速度を、各車輪14a〜14dそれぞれについて導出する。
次に、車輪移動量算出部54において、各車輪14a〜14dそれぞれについて、所定時間範囲における車輪移動量を算出する(ステップS112)。各車輪の車輪移動速度は、各車輪の回転各速度に車輪外径の長さを乗算することで求めることができる。すなわち、各車輪の時系列の回転角速度(例えば、図9(a)に示すグラフ)に、車輪外径の長さを乗算することで、各車輪の時系列の車輪移動速度が算出される。この時系列の車輪移動速度を、所定時間範囲において積分し、各車輪の車輪移動量を算出する。車輪移動量算出部54では、少なくとも、車両12の前輪である車輪14aおよび車輪14bそれぞれについて、所定の単位時間での車輪移動量LFRおよび車輪移動量LFLを算出すればよい。
次に、擬似車両速度算出部56において、各車輪の所定の単位時間あたりの移動量から、車両12の路面に対する移動速度の推定値(擬似車両速度V)を算出する(ステップS114)。擬似車両速度算出部56では、まず、所定時間範囲における角車輪の車輪移動量から、各車輪それぞれの単位時間当たりの車輪移動量(各車輪の車輪移動速度)を求める。そして、これら各車輪14a〜14dそれぞれの車輪移動速度の平均値を、車両12の擬似車両速度Vとして算出すればよい。本発明において、擬似車両速度Vは、例えば、車両12の後輪側の2つの車輪14cおよび14dの車輪移動速度の平均値であってもよく、擬似車両速度Vの詳細な算出方法については限定されない。
次に、旋回半径算出部36において、車両12の旋回走行中の旋回半径Rが算出される(ステップS116)。以下、図6を参照して、旋回半径算出部36における旋回半径Rの算出について説明する。以下図6に示すように、所定時間範囲において、車両12が旋回半径を中心に旋回角θだけ移動した場合について説明する。所定時間範囲における旋回角θは充分に小さいとする。
図6において、旋回角θは充分に小さいので、下記式(2)および下記式(3)が成り立つ。
Figure 2006290228
さらに、旋回角θは充分に小さいので、下記式(4)および下記式(5)が成り立ち、下記式(6)が導出される。
Figure 2006290228
上記式(6)に、式(2)および式(3)を代入し、Rについて解くと、下記式(7)が得られる。
Figure 2006290228
旋回半径算出部36では、このようにして、旋回半径Rを導出する。算出された旋回半径Rの値は、遠心力算出部62に送られる。
遠心力算出部62では、算出された旋回半径Rと、擬似車両速度Vと、車両12の総重量Mとを用いて、旋回走行中の車両12に作用する遠心力Fの大きさを、下記式(8)を用いて算出する(ステップS118)。算出した遠心力の大きさFは、横力算出部70に出力される。
Figure 2006290228
遠心力の導出は、このように行なわれる。
次に、データ処理部による処理結果を用い、接地長導出部40において、旋回中の車両12の各車輪14a〜14dそれぞれの接地長である、接地長CLa〜CLdがそれぞれ算出される。まず、変形量算出部42において、接地変形に基づく加速度の時系列データから、トレッド部の接地変形に基づく変形量の分布を算出する(ステップS120)。図10(a)〜(c)は、それぞれ、ステップS120において変形量算出部42で行なわれる処理結果を模式的に示すグラフである。変形量算出部42では、まず、接地変形に基づく加速度の時系列データについて2階の時間積分を施し、変位データを生成する。図10(a)は、データ処理部において第1の背景成分が除去された加速度の時系列データを、時間に関して2階積分した結果である。図7(a)に示されるように、時間と共に変位が増大していることが見られる。これは、積分の対象となる加速度の時系列データにノイズ成分を含み、積分により積算されていくからである。一般に、定常状態で転動するタイヤのトレッド部の注目する一点の変形量又は変位を観察した場合、タイヤの回転周期を単位として周期的な変化を示す。したがって、時間と共に変位が増大することは通常ありえない。
そこで、2階の時間積分が施されて得られた変位データが、タイヤの回転周期を単位として周期的な変化を示すように、この変位データに対して以下の処理が行われる。
すなわち、背景成分1を算出した方法と同様に、変位データに含まれるノイズ成分を背景成分2として算出する。なお、この際、上記の遠心力の導出において求めた、時系列の回転角を用いることで、路面との接地領域を含む領域におけるタイヤの転動中の変形量を精度よく求めることができる。具体的に説明すると、タイヤの周上の領域を、路面との接地領域を含む第1の領域とこれ以外の第2の領域とに分け、第1の領域として、θ=90度より大きく270度未満、450度より大きく720度未満、810度より大きく980度未満の領域を定め、第2の領域として、θ=0以上90度以下及び270度以上360度以下、360度以上450度以下及び630度以上720度以下、720度以上810度以下及び980度以上1070度以下の領域を定める。背景成分2は、上記第2の領域中の複数の周上位置(θ又はθに対応する時間)を節点として用いて、予め定められた関数群を用いて、第1の領域及び第2の領域のデータに対して最小二乗法により第2の近似曲線を算出することによって求める。節点は、スプライン関数の局所的な曲率(屈曲性)を規定する横軸上の拘束条件を意味する。図10(b)には、背景成分2を表す第2の近似曲線が点線で示されている。図10(b)の例では、図10(b)中の「△」で示される位置、すなわちθ=10,30,50,70,90,270,290,310,330,350,370,390,410,430,450,630,650,670,690,710,730,750,770,790,810,990,1010,1030,1050,1070度における時間を節点としている。
図10(a)に示す変位データに対して、上記節点のデータ点を通る3次のスプライン関数で関数近似を行うことにより、図10(b)において点線で示される第2の近似曲線が算出される。関数近似する際、第1の領域には節点はなく、第2の領域の複数の節点のみを用いて関数近似を行い、かつ関数近似に際して行う最小二乗法で用いる第2の領域の重み係数を1とし、第1の領域の重み係数を0.01として処理が行われる。このように背景成分2を算出する際、第1の重み係数を小さくし、かつ第1の領域に節点を定めないのは、第2の領域における変位データを主に用いて背景成分2を算出するためである。第2の領域では、トレッド部の接地による変形は小さくかつその変形は周上で滑らかに変化するため、タイヤの変形量は周上で小さく、その変化も極めて小さい。これに対して、第1の領域では、タイヤのトレッド部は接地変形に基づいて大きく変位しかつ急激に変化する。このため接地変形に基づく変形量は周上で大きくかつ急激に変化する。すなわち、第2の領域におけるトレッド部の変形量は第1の変形量と対比して概略一定を示す。これより、第2の領域の2階積分により得られた変位データを主に用いて第1の近似曲線を算出することで、第2の領域のみならず、路面との接地領域を含む第1の領域におけるタイヤの転動中の変形量を精度よく求めることができる。
図10(b)には、第2の領域の変位データを主に用いて算出された第2の近似曲線が点線で示されている。第2の領域では、第2の近似曲線は変位データ(実線)と略一致している。
そして、背景成分2として算出された近似曲線を変位データから差し引き、トレッド部の接地変形に基づく変形量の周上の分布を算出する。図10(c)は、図10(b)に示す変位信号(実線)から第2の近似曲算線(点線)を差し引くことにより算出される、トレッド部の接地変形に基づく変形量の分布を示している。図10(c)は、トレッド部上の所定の測定位置が周上を回転して変位するときの3回転分の変形量の分布(3回の接地)を示している。接地のたびに変形量が変化していることが見られる。このような方法により算出される変形量は、タイヤの有限要素モデルを用いてシミュレーションを行ったときの変形量と精度良く一致する。
そして、接地長算出部28において接地長が算出される(ステップS122)。まず、図10(c)に示すトレッド部における変形量の時系列データについて時間に関して2階微分を行うことにより、図8(c)に示す加速度からノイズ成分が除去された、トレッド部の変形量に対応した加速度の時系列データ、すなわち、トレッド部の接地変形に基づく、ノイズ成分を含まない加速度の時系列データが算出される。
図11(a)は、接地領域及び接地長を求める方法を示している。まず、ステップS122において抽出されたタイヤのトレッド部の接地変形に基づく、ノイズ成分を含まない加速度の時系列データにおいて、加速度が急激に変化して0を横切る点が2つ求められる。次に、求められた2つの点に対応する変位データ中の位置が求められ、この位置を図11(a)に示すように接地前端及び接地後端の位置とする。このように加速度の時系列データが急激に大きく変化する部分を、接地前端及び接地後端と定めることができるのは、トレッド部が回転して接地領域に来るとき、または接地領域から出るとき、タイヤが急激に変形するからである。また、加速度の時系列データが0を横切る位置を明確に定めることができる。
なお、図11(a)中の下のグラフは、タイヤのラジアル方向及び周方向で表される極座標系から、タイヤの上下方向、前後方向で表される直交座標系に変えて書き表したグラフであり、接地により変形したタイヤの変形形状を示すグラフである。このグラフ上において、接地前端と接地後端の位置を定めることにより接地長を評価することができる。
このような方法により算出される接地長は、タイヤの有限要素モデルを用いてシミュレーションを行ったときの接地長と精度良く一致する。
また、図11(a)に示す方法に変えて、図11(b)に示す方法により接地領域及び接地長を求めることもできる。具体的には、図11(b)は、タイヤの接地中心位置を原点としたときの、タイヤの前後方向の位置をタイヤのトレッド部の外径Cで除算して規格化するとともに、タイヤの上下方向の位置を外径Cで除算して規格化して、タイヤの変形形状を表したグラフである。図11(b)に示されるようにタイヤの変形形状における、上下方向の最下点から上方向に一定距離δ離れた直線を横切る位置を接地前端に対応する規格化位置及び接地後端に対応する規格化位置とする。この規格化位置をそれぞれ求め外径Cを乗算することにより接地前端及び接地後端の位置を求めることができ、これによりタイヤの接地領域及び接地長を求めることができる。前端位置及び後端位置を定めるために用いる一定距離δは、例えば0.001〜0.005の範囲にあることが好ましい。また、最下点から上方向にトレッド部が離れたときの距離の自乗値が所定の値を横切る位置を接地前端及び接地後端とすることもできる。例えば、上記所定の値は、0.00002(cm2)〜0.00005(cm2)の範囲の値であり、好適には0.00004(cm2)が用いられる。静止したタイヤに負荷する荷重を変えて接地長を種々調べた測定結果と、上記方法により求めた接地長の結果は極めて高い相関性を示すことが確認されている。
図12は、上記方法により求められた接地領域及び接地長の例を示している。図12中の太線の部分が接地領域を示している。
このように、タイヤのトレッド部の変形量を、ラジアル方向、周方向及び幅方向のいずれの方向においても算出することができ、転動中のタイヤの変形形状や軌跡を得ることができる。また、トレッド部の内周面に複数の加速度センサを周上に設けることで、トレッド部の周上位置の接地状態を同時に取得することもできる。さらに、タイヤの幅方向に複数の加速度センサを設け、幅方向の接地長や接地領域の分布を求めることで、転動中のタイヤの接地形状を取得することもできる。
このような接地領域の導出(ステップS120およびステップS122)は、各車輪14a〜14dそれぞれの、タイヤの変形に基づく加速度の時系列データそれぞれについて実施され、各車輪14a〜14dそれぞれの、車両12の旋回走行中の接地長CLa〜CLdがそれぞれ算出される。算出された接地長CLa〜CLaは、横力算出部70に出力される。
横力算出部71では、ステップS118において算出された、旋回走行中の車両12にかかる遠心力の大きさRと、各車輪14a〜14dそれぞれの接地長CLa〜CLdそれぞれを用い、上記式(1)に基づいて、各車輪14a〜14dそれぞれに発生する車輪横力SFa〜SFdそれぞれを算出する(ステップS124)。算出した車輪横力SFa〜SFdは、ディスプレイ34に表示出力される。
なお、上述のように、トレッド部の内周面に複数の加速度センサを周上に設けることで、車輪の接地領域に発生する、トレッド部の周方向の横力分布を取得することもできる。さらに、タイヤの幅方向に複数の加速度センサを設けることで、車輪の接地領域に発生する、幅方向の横力分布を求めることもできる。
なお、本実施形態においては、タイヤに備えられた加速度センサによって取得された加速度データを用いて、車両12にかかる遠心力を算出した。本発明では、車両進行方向に対して略垂直方向の加速度の大きさを計測可能なように、車両加速度センサを車両に配置することで、旋回走行中の車両にかかる遠心力の大きさを導出してもよい。例えば、車両に配置された車両加速度センサによって、車両の旋回走行中における車両進行方向に対して略垂直方向の車両加速度の大きさを測定し、この車両加速度と、車両の重量とに基づき、遠心力の大きさを導出してもよい。本発明における遠心力導出方法は、特に限定されない。
以上、本発明のタイヤ横力算出方法およびタイヤ横力算出方法について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
本発明の車輪横力算出装置の一例について説明する概略構成図である。 図1に示す車輪横力算出装置における、センサユニットおよびテータ処理ユニットについて説明する図である。 (a)および(b)は、車両の旋回走行時において、車両や車輪にかかる力について説明する図である。 (a)〜(c)は、それぞれ異なる複数の車輪について、各車輪の接地長とコーナリングパワーの関係を示すグラフである。 図1に示す車輪横力算出装置における、処理手段について説明するブロック図である。 図1に示す車輪横力算出装置の遠心力導出部において算出される、旋回走行中の車両の挙動を表す各種パラメータについて説明する図である。 本発明の車輪横力算出方法の一例を示すフローチャートである。 (a)〜(c)は、本発明の車輪横力算出方法で得られる信号波形を示すグラフである。 (a)および(b)は、本発明の車輪横力算出方法で得られる信号波形を示すグラフである。 (a)〜(c)は、本発明の車輪横力算出方法で得られる信号波形を示すグラフである。 (a)及び(b)は、本発明の車輪横力算出方法で行われる接地長の算出方法を説明する図である。 本発明の車輪横力算出方法で算出される接地長の一例を示す図である。
符号の説明
2 加速度センサ
3 受信機
4 増幅器(AMP)
10 車輪横力算出装置
21 処理装置
22 タイヤ加速度データ取得部
23 CPU
24 信号処理部
27 メモリ
34 ディスプレイ
40 接地長導出部
42 変形量算出部
44 接地長算出部
50 遠心力導出部
52 回転角速度算出部
54 車輪移動量算出部
56 擬似車両速度算出部
58 旋回半径算出部
62 遠心力算出部
70 横力算出部

Claims (18)

  1. 複数の車輪を備える車両について、この車両の旋回走行中において、各車輪にかかる横力をそれぞれ算出する方法であって、
    旋回走行中の車両にかかる、車両進行方向に対して略垂直方向の遠心力の大きさを求める遠心力導出ステップと、
    前記車両の旋回走行中における、前記複数の車輪それぞれの接地長を求める接地長導出ステップと、
    前記複数の車輪それぞれの接地長の総和に対する各車輪それぞれの接地長の比と、前記遠心力の大きさとに基づき、各車輪にかかる横力をそれぞれ算出する横力算出ステップとを有することを特徴とする車輪横力算出方法。
  2. 前記横力算出ステップは、前記遠心力の大きさと各車輪の前記接地長の比とをそれぞれ乗算することで、各車輪にかかる横力を、各車輪毎にそれぞれ算出することを特徴する請求項1記載の車輪横力算出方法。
  3. 前記車輪はタイヤを備え、
    前記接地長導出ステップに先がけて、転動中のタイヤが前記路面から外力を受けることで発生する、前記タイヤの所定部位の時系列の加速度データを取得する加速度データ取得ステップを有し、
    前記接地長導出ステップは、前記加速度データ取得ステップで取得された、前記タイヤの時系列の加速度データを用いて、前記複数の車輪それぞれの接地長を求めることを特徴とする請求項1または2記載の車輪横力算出方法。
  4. 前記接地長導出ステップは、前記時系列の加速度データから、タイヤの変形に基づく時系列の加速度データを抽出して、前記タイヤの変形に基づく時系列の加速度データに対して2階の時間積分を行って変位データを求めることにより、タイヤの所定部位における変形量を算出して、このタイヤの所定部位における変形量を用いて前記接地長を算出することを特徴とする請求項3記載の車輪横力算出方法。
  5. 前記加速度データ取得ステップで取得される加速度データは、前記タイヤの周方向に対して直交するラジアル方向の加速度のデータ及びタイヤの周方向の加速度のデータの少なくとも一方のデータであり、
    前記接地長導出ステップで算出される、前記タイヤの所定部位の変形量は、タイヤのラジアル方向及び周方向の変形量、もしくはラジアル方向の変形量であることを特徴とする請求項4記載の車輪横力算出方法。
  6. 前記遠心力導出ステップは、前記複数の車輪それぞれの、前記タイヤの所定部位の時系列の加速度データを用いて各車輪の回転角速度を算出し、この各車輪の回転角速度に基づき、前記車両の旋回半径および前記車両の進行速度の推定値を求め、これら車両の旋回半径、車両の進行速度の推定値、および予め取得された前記車両の重量情報に基づき、前記遠心力を算出することを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の車輪横力算出方法。
  7. 前記遠心力導出ステップは、各車輪それぞれの回転角速度を用いて、各車輪の移動速度をそれぞれ算出し、前記車両の少なくとも1つの車軸線上に備えられた左右の車輪の前記移動速度の比の値を用いて、前記車両の旋回半径を導出することを特徴とする請求項6記載の車輪横力算出方法。
  8. 前記遠心力導出ステップは、前記車両に設けられた車両加速度センサによって計測された、前記車両の旋回走行中における、車両進行方向に対して略垂直方向の加速度の大きさと、前記車両の重量とに基づき、前記遠心力の大きさを導出することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の車輪横力算出方法。
  9. 複数の車輪を備える車両について、この車両の旋回走行中において、各車輪にかかる横力をそれぞれ算出する装置であって、
    旋回走行中の車両にかかる、車両進行方向に対して略垂直方向の遠心力の大きさを求める遠心力導出手段と、
    前記車両の旋回走行中における、前記複数の車輪それぞれの接地長を求める接地長導出手段と、
    前記複数の車輪それぞれの接地長の総和に対する各車輪それぞれの接地長の比と、前記遠心力の大きさとに基づき、各車輪にかかる横力をそれぞれ算出する横力算出手段とを有することを特徴とする車輪横力算出装置。
  10. 前記横力算出手段は、前記遠心力の大きさと各車輪の前記接地長の比とをそれぞれ乗算することで、各車輪にかかる横力を、各車輪毎にそれぞれ算出することを特徴とする請求項9記載の車輪横力算出装置。
  11. 前記車輪はタイヤを備えた車輪であって、
    前記タイヤの所定部位に設けられ、転動中のタイヤが前記路面から外力を受けることで発生する、前記タイヤの所定部位の時系列の加速度データを取得する加速度センサを有し、
    前記接地長導出手段は、前記加速度センサで計測された、前記タイヤの時系列の加速度データを用いて、前記複数の車輪それぞれの接地長を求めることを特徴とする請求項9または10記載の車輪横力算出装置。
  12. 前記接地長導出手段は、
    前記時系列の加速度データから、タイヤの変形に基づく時系列の加速度データを抽出して、前記タイヤの変形に基づく時系列の加速度データに対して2階の時間積分を行って変位データを求めることにより、タイヤの所定部位における変形量を算出する変形量算出部と、
    このタイヤの所定部位における変形量を用いて前記接地長を算出する接地長算出部とを有して構成されることを特徴とする請求項11記載の車輪横力算出装置。
  13. 前記加速度センサで計測される加速度データは、前記タイヤの周方向に対して直交するラジアル方向の加速度のデータ及びタイヤの周方向の加速度のデータの少なくとも一方のデータであり、
    前記接地長導出手段で算出される、前記タイヤの所定部位の変形量は、タイヤのラジアル方向及び周方向の変形量、もしくはラジアル方向の変形量であることを特徴とする請求項12記載の車輪横力算出装置。
  14. 前記遠心力導出手段は、前記複数の車輪それぞれの、前記タイヤの所定部位の時系列の加速度データを用いて各車輪の回転角速度を算出する角速度算出部と、
    前記回転角速度に基づき、前記車両の旋回半径を求める旋回半径算出部と、
    前記回転角速度に基づき、前記車両の進行速度の推定値を求める速度推定値算出部と、
    これら車両の旋回半径、車両の進行速度の推定値、および予め取得された前記車両の重量情報に基づき、前記遠心力を算出する遠心力算出部とを有して構成されることを特徴とする請求項11〜13のいずれか1項に記載の車輪横力算出装置。
  15. 前記旋回半径算出部は、各車輪それぞれの回転角速度を用いて、各車輪の移動速度をそれぞれ算出し、
    前記車両の少なくとも1つの車軸線上に備えられた左右の車輪の前記移動速度の比の値を用いて、前記車両の旋回半径を導出することを特徴とする請求項14記載の車輪横力算出装置。
  16. 前記車両に設けられた、前記車両の旋回走行中における、車両進行方向に対して略垂直方向の車両加速度の大きさを計測する車両加速度センサを有し、
    前記遠心力導出手段は、前記車両加速度と、前記車両の重量の情報とに基づき、前記遠心力の大きさを導出することを特徴とする請求項9〜13のいずれか1項に記載の車輪横力算出装置。
  17. 前記加速度センサは、前記タイヤの周方向に複数設けられていることを特徴とする請求項11〜16のいずれか1項に記載の車輪横力算出装置。
  18. 前記加速度センサは、前記タイヤの幅方向に複数設けられていることを特徴とする請求項11〜16のいずれか1項に記載の車輪横力算出装置。
JP2005115753A 2005-04-13 2005-04-13 車輪横力算出方法および車輪横力算出装置 Expired - Fee Related JP4487130B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005115753A JP4487130B2 (ja) 2005-04-13 2005-04-13 車輪横力算出方法および車輪横力算出装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005115753A JP4487130B2 (ja) 2005-04-13 2005-04-13 車輪横力算出方法および車輪横力算出装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006290228A true JP2006290228A (ja) 2006-10-26
JP4487130B2 JP4487130B2 (ja) 2010-06-23

Family

ID=37411276

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005115753A Expired - Fee Related JP4487130B2 (ja) 2005-04-13 2005-04-13 車輪横力算出方法および車輪横力算出装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4487130B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008059838A1 (fr) * 2006-11-14 2008-05-22 Kabushiki Kaisha Bridgestone Pneu avec capteur et procédé pour mesurer le niveau de distorsion du pneu
WO2009008502A1 (ja) * 2007-07-11 2009-01-15 Kabushiki Kaisha Bridgestone タイヤ摩耗推定方法
JPWO2009157516A1 (ja) * 2008-06-25 2011-12-15 株式会社ブリヂストン タイヤ摩耗推定方法及びタイヤ摩耗推定装置
JP2016138792A (ja) * 2015-01-27 2016-08-04 住友ゴム工業株式会社 タイヤのシミュレーション方法
CN112429008A (zh) * 2020-11-11 2021-03-02 江苏大学 一种轮胎垂向力估算系统及其估算方法

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008059838A1 (fr) * 2006-11-14 2008-05-22 Kabushiki Kaisha Bridgestone Pneu avec capteur et procédé pour mesurer le niveau de distorsion du pneu
US8051705B2 (en) 2006-11-14 2011-11-08 Kabushiki Kaisha Bridgestone Tire equipped with a sensor and a method of measuring strain amount of the tire
WO2009008502A1 (ja) * 2007-07-11 2009-01-15 Kabushiki Kaisha Bridgestone タイヤ摩耗推定方法
JP5111505B2 (ja) * 2007-07-11 2013-01-09 株式会社ブリヂストン タイヤ摩耗推定方法
US8371159B2 (en) 2007-07-11 2013-02-12 Kabushiki Kaisha Bridgestone Method for estimating the wear of a tire
JPWO2009157516A1 (ja) * 2008-06-25 2011-12-15 株式会社ブリヂストン タイヤ摩耗推定方法及びタイヤ摩耗推定装置
JP2016138792A (ja) * 2015-01-27 2016-08-04 住友ゴム工業株式会社 タイヤのシミュレーション方法
CN112429008A (zh) * 2020-11-11 2021-03-02 江苏大学 一种轮胎垂向力估算系统及其估算方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4487130B2 (ja) 2010-06-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4108740B2 (ja) 車輪に発生するコーナリングフォースの大きさを算出する方法および装置
EP1767422B1 (en) Method and apparatus for evaluating a cornering stability of a wheel
JP4604677B2 (ja) タイヤ滑り状態検出方法及びタイヤ滑り状態検出装置
JP3895347B2 (ja) タイヤ変形量算出方法及びタイヤ変形量算出装置
JP4021919B2 (ja) タイヤの転動時たわみ量算出方法、タイヤの転動時データ蓄積方法及びタイヤの転動時接地長算出方法
JP5346659B2 (ja) 車両質量推定装置、方法及びプログラム、並びに、タイヤ空気圧低下検出装置、方法及びプログラム
JP3948678B2 (ja) 車輪の旋回安定性評価方法および車輪の旋回安定性評価装置
EP3509875B1 (en) Estimation of absolute wheel roll radii and estimation of vertical compression value
JP4030572B2 (ja) 車両制動距離予測装置および車両制動距離予測方法
JP2019113373A (ja) 輪荷重推定装置
JP5427868B2 (ja) タイヤ空気圧低下検出方法、装置及びプログラム
CN105431849A (zh) 用于仿真汽车轮胎的滚动半径的方法
JP5265145B2 (ja) タイヤ内圧低下検出方法及び装置、並びにタイヤ内圧低下検出プログラム
JP4121695B2 (ja) タイヤ車外騒音予測方法およびタイヤ車外騒音予測プログラムを記録した記録媒体
JP4487130B2 (ja) 車輪横力算出方法および車輪横力算出装置
JP4946174B2 (ja) タイヤの接地長算出方法及びタイヤの接地長算出装置
JP2011131845A (ja) タイヤ内圧低下検出方法及び装置、並びにタイヤ内圧低下検出プログラム
JP5002203B2 (ja) タイヤ動荷重半径の基準値初期化方法
JP2006256503A (ja) 車輪浮き上がり状態判定装置、車両転覆回避装置、車両耐転覆性評価装置、車輪浮き上がり状態判定方法、車両転覆回避方法、および車両耐転覆性評価方法
JP7040245B2 (ja) タイヤの動的キャンバー角の推定方法
JP3391486B2 (ja) タイヤ空気圧検知装置
JP2008247243A (ja) タイヤの内圧低下判断方法における閾値設定方法
KR101735729B1 (ko) 휠 속도를 이용한 차량 질량 추정 장치 및 그 방법
JP4317837B2 (ja) 車両耐転覆性能評価方法および車両耐転覆性能評価装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080325

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100302

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100315

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130409

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130409

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130409

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130409

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140409

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees