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JP2006276568A - 光学部材 - Google Patents

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JP2006276568A
JP2006276568A JP2005097013A JP2005097013A JP2006276568A JP 2006276568 A JP2006276568 A JP 2006276568A JP 2005097013 A JP2005097013 A JP 2005097013A JP 2005097013 A JP2005097013 A JP 2005097013A JP 2006276568 A JP2006276568 A JP 2006276568A
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Takashi Mitsuishi
剛史 三石
Terufumi Hamamoto
輝文 濱本
Kenichi Niide
謙一 新出
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Hoya Corp
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Hoya Corp
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Abstract

【課題】反射防止性能を有するだけでなく、吸収が少なく、耐摩耗性及び帯電防止効果に優れた良好な光学部材を提供すること。
【解決手段】プラスチック基材と、真空蒸着で形成された多層反射防止膜とを有する光学部材であって、該多層反射防止膜中の少なくとも1層が、炭化金属、窒化金属、及び炭・窒化金属から選ばれる1種以上の無機物質よりなる帯電防止層である光学部材とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、反射防止膜を有する光学部材に関し、特に、反射防止性能を有するだけでなく、吸収が少なく、耐摩耗性及び帯電防止効果に優れた良好な光学部材に関する。
従来から、プラスチック基材に、無機物質を蒸着してなる反射防止膜を設けた光学部材が知られている。かかる光学部材は優れた反射防止性、耐擦傷性を有している。
しかしながら、このような反射防止膜を有する光学部材は、プラスチック基材であるため、帯電防止効果が十分ではない。その帯電防止効果が十分ではないという課題を解決する方法として、例えば、プラスチック基材上にハードコート層と導電性とハードコート性を有する帯電防止性ハードコート層とを順次設けることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、不定量の酸素を金属に反応させた導電性を有する金属酸化物からなる光学薄膜を反射防止膜中に導入する事によって、帯電防止効果を付与することが知られている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、特許文献1などに開示されている帯電防止性ハードコート膜の場合では帯電防止効果は十分あるものの、吸収が大きく、レンズが着色してしまうという課題を有していた。
また、特許文献2などに開示されている光学部材は、帯電防止効果は十分あるものの、表面の耐擦傷性に課題を有していた。
特開2002−329598号公報 欧州特許公開第0834092号公報
本発明は、このような従来技術の問題点を払拭した、反射防止性能を有するだけでなく、吸収が少なく、耐摩耗性及び帯電防止効果に優れた良好な光学部材を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、多層反射防止膜の構成層の少なくとも1層として、炭化金属または窒化金属または炭・窒化金属からなる帯電防止層を設けることにより、前記の課題を解決し得ることを見出した。本発明はかかる知見に基づいて完成されたものである。
すなわち本発明の光学部材は、プラスチック基材と、真空蒸着で形成された多層反射防止膜とを有する光学部材であって、該多層反射防止膜中の少なくとも1層が、炭化金属、窒化金属、炭・窒化金属から選ばれる1種以上の無機物質からなる帯電防止膜である事を特徴とするものである。
本発明によれば、反射防止性能を有するだけでなく、吸収が少なく、耐摩耗性及び帯電防止効果に優れた良好な光学部材が得られる。
本発明の多層反射防止膜は、屈折率の異なる複数の層が、必要に応じて設けられるその他の層と共に、蒸着法で形成された膜である。また、各層は、良好な膜強度及び密着性を得るためイオンアシスト法で形成されていると好ましい。
本発明の帯電防止層は多層反射防止膜の他の層と同様に、蒸着法で形成される。また、良好な帯電防止効果、膜硬度及び密着性を得るためにイオンアシスト法で形成されていると好ましい。
前記多層反射防止膜の帯電防止層以外の膜構成層は特に限定されないが、良好な反射防止効果等の物性を得るため、低屈折率層としてSiO2層、又はSiO2とAl23との混合層を、高屈折率層としてNb25層、TiO2層、又はTa25層を有することが好ましい。
本発明における、炭化金属、窒化金属、炭・窒化金属から選ばれる1種以上の無機物質からなる帯電防止層を形成するために使用される金属としては、特に限定されないがTi及び/又はCrから選ばれる1種以上の金属が好ましい。
前記帯電防止層を作製する際に使用する気体としては、炭化金属、窒化金属、炭・窒化金属のいずれの層を形成するかに応じて、CH4及びN2から選ばれる1種以上の高純度気体又はその混合ガスが用いられる。
前記帯電防止層のイオンアシスト法において、出力で好ましい範囲は、特に、良好な反応を得る観点から、加速電圧が50〜700V 、加速電流が30〜250mAである。
前記イオンアシスト法を実施する際に使用されるイオン化ガスは、特に限定されないが、成膜中の反応性、酸化防止の点からN2及びCH4から選ばれる1種以上の高純度気体又はその混合ガスを用いるのが好ましい。
前記帯電防止層の層数と膜厚は特に限定されないが、特に、良好な帯電防止効果を維持しつつ、吸収の少ない反射防止膜とする観点から、全膜厚が5〜100nmであることが好ましい。
前記帯電防止層の層数について、前記総膜厚の範囲内であれば、特に限定がないが、生産性の高い反射防止膜とする観点から、1ないし2とすることが好ましい。
前記帯電防止層は、多層反射防止膜中の任意の位置に形成できるが、特に優れた帯電防止効果を得るために、プラスチック基材から最も遠い位置に施すことが好ましい。帯電防止層が2層以上ある場合は、その内の1層をプラスチック基材から最も遠い位置に施すことが好ましい。但し、後記するハイブリッド層を1層以上設ける場合は、ハイブリッド層の内の1層をプラスチック基材から最も遠い位置に施し、それに隣接する(プラスチック基材側)位置に帯電防止層を施すのが好ましい。
前記帯電防止層の成膜前に密着性確保のためにイオン化ガス処理しても良い。イオン銃前処理におけるイオン化ガスは、O2及び/又はArなどを用いることができ、イオン化ガス処理の出力で好ましい範囲は、特に良好な密着性、耐摩耗性を得る観点から加速電圧が50〜700V、 加速電流が50〜250mAである。
本発明における、多層反射防止膜の最表層には、良好な撥水性を得るために、更に撥水層を用いる事が好ましい。
撥水層の形成方法は、特に限定されず、例えば、蒸着加熱法、浸漬塗布法、スピンコーティング法等により形成することができる。
前記撥水層の成膜前に密着性確保のためにイオン化ガス処理しても良い。イオン銃前処理におけるイオン化ガスは、O2及び/又はArなどを用いることができ、イオン化ガス処理の出力で好ましい範囲は、特に良好な密着性、耐摩耗性を得る観点から加速電圧が50〜700V、 加速電流が50〜250mAである。
前記多層反射防止膜の、上記帯電防止層、低屈折率層、高屈折率層及び撥水層以外の膜構成層は特に限定されないが、良好な耐擦傷性等の物性を得るため、前記多層反射防止膜中の少なくとも1層が、SiO2単体、SiO2とAl23との混合物、又は、TiO2、ZrO2、Ta25、Nb25及びY23から選ばれる1種以上の無機物質と、常温、常圧下で液体である有機ケイ素化合物及び/又は常温、常圧下で液体である、その側鎖又は末端に反応性基を含有する炭素と水素とを必須成分とするケイ素非含有有機化合物とを蒸着原料として、形成されるハイブリッド層を有する事が好ましい。
前記ハイブリッド層に使用される有機物質としては、膜厚の制御、蒸着速度の制御の観点から、常温、常圧下で、液体状態にある有機ケイ素化合物及び/又は常温、常圧下で液体である、その側鎖又は末端に反応性基を含有する炭素と水素とを必須成分とするケイ素非含有有機化合物が用いられる。
前記有機ケイ素化合物としては、例えば、以下の一般式(a)〜(d)で表されるいずれかの構造を有することが好ましい。
一般式(a):シラン・シロキサン化合物
Figure 2006276568
一般式(b):シラザン化合物
Figure 2006276568
一般式(c):シクロシロキサン化合物
Figure 2006276568
一般式(d):シクロシラザン化合物
Figure 2006276568
一般式(a)〜(d)において、式中のm、nは、それぞれ独立に0以上の整数を表し、X1〜X8はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜6の炭化水素基(飽和・不飽和双方を含む)、−OR1基、−CH2OR2基、−COOR3基、−OCOR4基、−SR5基、−CH2SR6基、−NR7 2基、または、−CH2NR8 2基(R1〜R8は水素または炭素数1〜6の炭化水素基(飽和・不飽和双方を含む))を表す。また、X1〜X8はすべて同じ官能基でも良いし、すべて異なるものでも良く限定されない。
前記R1〜R8の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ビニル基、アリル基、エチニル基、フェニル基、シクロヘキシル基、プロピニル基、イソプロペニル基等が挙げられる。
前記有機ケイ素化合物の数平均分子量は、ハイブリッド膜中の有機成分の制御、膜自体の強度の点から、好ましくは、48〜320、特に好ましくは、48〜249である。
さらに、前記の、その側鎖または末端に反応性基を含有する炭素及び水素を必須成分とするケイ素非含有有機化合物としては、例えば以下の一般式(e)〜(g)で表される化合物が好ましく用いられる。
一般式(e):片末端にエポキシ基を有する炭素及び水素を必須成分とするケイ素非含有有機化合物
Figure 2006276568
一般式(f):両末端にエポキシ基を有する炭素及び水素を必須成分とするケイ素非含有有機化合物
Figure 2006276568
一般式(e)及び(f)において、R9、R10は水素、炭素数1〜18の炭化水素、または、ポリエーテルを主鎖とする炭素数1〜18の炭素及び水素及び酸素を必須成分とする有機基を表す。
一般式(g):二重結合を含む、炭素及び水素を必須成分とするケイ素非含有有機化合物
Figure 2006276568
一般式(g)において、X9〜X12は水素、炭素数1〜18の炭化水素、炭素数1〜18の炭素及び水素及び酸素を必須成分とする有機基、炭素数1〜18の炭素及び水素及び窒素を必須成分とする有機基、または炭素数1〜18の炭素及び水素及び酸素及び窒素を必須成分とする有機基を表す。
前記一般式(e)〜(g)で表される化合物の数平均分子量は、ハイブリッド膜中の有機成分の制御及びハイブリッドの膜強度を考慮して、好ましくは、28~320、特に好ましくは、28~249である。
前記ハイブリッド層を形成する際には、無機物質、有機物質それぞれを別の蒸着源にて同時に蒸着して成膜するのが好ましい。
また、蒸着速度の制御の観点から、有機物質を貯蔵する外部モノマータンクを加熱・減圧してモノマーをチャンバー内に供給し、O2ガス及び/またはArガスを用いイオンアシスト成膜するのが好ましい。また、有機物質の導入口は、無機物質蒸発源真上に設けるのが対衝撃性、対摩耗性向上に効果的であり、有機ケイ素化合物を使用する場合は下部より、その側鎖または末端に反応性基を含有する炭素及び水素を必須成分とするケイ素非含有有機化合物を使用する場合は上部より、各々供給するのが好ましい。
前記外部モノマータンクの加熱温度は、その有機物質の蒸発温度により異なるが、30〜200℃、好ましくは50〜150℃とすることが適当な蒸着速度を得るという点から好ましい。
前記ハイブリッド層の有機物質の好ましい層内含有率は、特に良好な物性改質効果が得られる点を考慮して、0.02〜25質量%である。
前記ハイブリッド層は、多層反射防止膜中の任意の位置に形成できる。また、前記ハイブリッド層は複数の層への形成も可能である。ハイブリッド層の好ましい位置としては、特に優れた耐衝撃性を得るために、プラスチック基材に最も近い位置及び/又はプラスチック基材から最も遠い位置に施すことが好ましい。
また、特に優れた密着性を得るため前記ハイブリッド層は、イオンアシスト法で形成されていると好ましい。
前記ハイブリッド層を作製する際のイオンアシスト法において、出力で好ましい範囲は、特に、良好な反応を得る観点から、加速電圧が50〜700V、 加速電流が30〜250mAである。イオンアシスト法を実施する際に使用されるイオン化ガスは、成膜中の反応性、酸化防止の点からArガス及び/又はO2ガスを用いるのが好ましい。
また、本発明の光学部材は、多層反射防止膜の下に、密着性を向上させるために、下地層として、前記ハイブリッド層形成の際に触媒作用のある金属、例えば、Ni、Ag、Pt、Nb及びTiから選ばれる1種以上からなる層を施すことができる。特に好ましい下地層は、より良好な耐衝撃性を付与させるために、Nbからなる金属層である。
金属層を下地層として用いた場合、下地層の上に設けられるハイブリッド層の反応が進みやすくなり、分子内編み目構造を有する物質が得られ、耐衝撃性が向上する。
本発明で使用するプラスチック基材の材質は、特に限定されず、例えば、メチルメタクリレ−ト単独重合体、メチルメタクリレ−トと1種以上の他のモノマ−との共重合体、ジエチレングリコ−ルビスアリルカ−ボネ−ト単独重合体、ジエチレングリコ−ルビスアリルカ−ボネ−トと1種以上の他のモノマ−との共重合体、イオウ含有共重合体、ハロゲン共重合体、ポリカ−ボネ−ト、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、不飽和ポリエステル、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリウレタン、ポリチオウレタン、エピチオ基を有する化合物を原料とする重合体などが挙げられる。
本発明の光学部材においては、前記プラスチック基材とその上に形成される前記下地層等の層との間に、硬化被膜を有しても良い。
硬化被膜としては、通常、金属酸化物コロイド粒子と下記一般式(h)
(R11a (R12)bSi(OR134-(a+b) ・・・(h)
(式中、R11及びR12は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数6〜8のアリール基、炭素数1〜8のアシル基、ハロゲン基、グリシドキシ基、エポキシ基、アミノ基、フェニル基、メルカプト基、メタクリロキシ基及びシアノ基の中から選ばれる有機基を示し、R13は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8アシル基及び炭素数6〜8のフェニル基の中から選ばれる有機基を示し、a及びbは、それぞれ独立に0又は1の整数である。)で表される有機ケイ素化合物とからなる組成物が使用される。
前記金属酸化物コロイド粒子としては、例えば、WO3、ZnO、SiO2、Al23、TiO2、ZrO2、SnO2、BeO又はSb25等が挙げられ、単独又は2種以上を併用することができる。
前記硬化被膜を作るコ−ティング液には、従来知られている方法で、液の調整を行うことができる。即ち、上記の金属酸化物コロイド粒子及び一般式(h)で表される有機ケイ素化合物の他に、所望により、硬化触媒、塗布時における濡れ性を向上させ硬化被膜の平滑性を向上させる目的で各種の有機溶剤や界面活性剤を含有させることもできる。さらに、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤老化防止剤等もコーティング組成物及び硬化被膜の物性に影響を与えない限り添加することができる。
前記コ−ティング組成物の硬化は、熱風乾燥または活性エネルギー線照射によって行い、硬化条件としては、70〜200℃の熱風中にて行うのが好ましく、特に好ましくは90〜150℃である。なお活性エネルギー線としては遠赤外線等があり、熱による損傷を低く抑えることができる。
前記コ−ティング組成物よりなる硬化被膜を基材上に形成する方法としては、上述したコ−ティング組成物を基材に塗布する方法が挙げられる。塗布手段としてはディッピング法、スピンコーティング法、スプレー法等の通常行われる方法が適用できるが、面精度の面からディッピング法、スピンコーティング法が特に好ましい。
硬化被膜とその上の下地層等の層との密着性確保または蒸着物質の初期膜形成状態の均一化を図るために、硬化被膜表面にイオン化ガス処理しても良い。イオン銃前処理におけるイオン化ガスは、O2及び/又はArなどを用いることができ、イオン化ガス処理の出力で好ましい範囲は、特に良好な密着性、耐摩耗性を得る観点から加速電圧が50〜700V 、加速電流が50〜250mAである。
なお、本発明においては、特開昭63-141001号公報などに記載されている、プラスチック基材と多層反射防止膜との間に有機化合物よりなるプライマ−層を施すことを否定するものでなく、更なる耐衝撃性向上のため、プラスチック基材と多層反射防止膜との間、又はプラスチック基材と硬化被膜との間に、有機化合物を原料とするプライマ−層を施してもよい。
このプライマ−層の例としては、ポリイソシアネートとポリオールを原料として、ウレタン系の膜を形成するものが挙げられる。ポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4'−シクロヘキシルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネートのそれぞれ数分子を種々の方法で結合させた付加物、イソシアヌレート、アロファネート、ビュウレット、カルボジイミドをアセト酢酸、マロン酸、メチルエチルケトオキシムなどでブロックしたものなどが挙げられ、一方、ポリオールとしては、水酸基を1分子内に複数個有するポリエステル、ポリエーテル、ポリカプロラクトン、ポリカーボネート、ポリアクリレートなどが挙げられる。また、プライマー膜の屈折率向上のため、TiO2微粒子などの酸化金属微粒子をプライマ−層に含有することができる。
特に、屈折率が1.68〜1.76程度のエピチオ基を有する化合物を原料とするプラスチック基材にプライマ−層を施し、さらに本発明の多層反射防止膜を施すことにより、基材の中心厚を小さくしても耐衝撃性、密着性、耐擦傷性に優れた光学部材を得ることができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例において得られた光学部材の物性評価は以下のようにして行った。
(1)視感透過率
プラスチックレンズの視感透過率Yは、両面に反射防止膜を有するプラスチックレンズをサンプルとして、日立分光光度計U−3410を用い測定した。
(2)視感反射率
プラスチックレンズの視感反射率Yは、両面に反射防止膜を有するプラスチックレンズをサンプルとして、日立分光光度計U−3410を用い測定した。
(3)耐衝撃性
レンズ中心部厚さが1.0mmまたは2.0mm(CTと記載する)で、レンズ度数パワ−が0.00D(ディオプタ−)のレンズを作製してFDA(Food and Drug Administration)で定められているドロップボールテストを行い、以下の基準で評価した。
○:合格 ×:不合格
なお、ここでのボ−ルの重さは14gであった。更にレンズが破損するまでドロップボールテストを継続し、最大荷重として強度確認を行った。
(4)密着性
プラスチックレンズの表面に剃刀にて1mm×1mmの升目を100個作成し、升目上にセロハンテープ(ニチバン社製造販売)を貼り、一気にテープをはがし、残った升目の数(残った升目の数/100)で評価した。
(5)耐摩耗性
プラスチックレンズの表面にスチールウール(規格#0000,日本スチ−ルウ−ル社製)にて1kgf/cm2(0.1Mpa)の荷重をかけ、10ストローク擦り、表面状態により以下の基準で評価した。
UA:殆ど傷なし
A:細い傷数本あり
B:細い傷多数、太い傷数本あり
C:細い傷多数、太い傷多数あり
D:殆ど膜はがれ状態
(6)耐熱性
プラスチックレンズをドライオーブンで60℃から、5℃づつ上昇させて1時間加熱し、クラックの発生温度を測定した。
(7)耐アルカリ性
プラスチックレンズをNaOH10%水溶液に20℃、1時間浸漬し、表面状態により以下の基準で評価した。
UA:殆ど変化なし
A:点状の膜はがれ数個あり
B:点状の膜はがれが全面にあり
C:点状の膜はがれが全面、面状の膜はがれ数個あり
D:殆ど全面膜はがれ
(8)Bayer値
摩耗試験機 BTE Abrasion Tester(商品名、米COLTS社製)及び、ヘイズ 値測定装置(村上色彩技術研究所社製)を使用し、基準レンズとのヘイズ値変 化の差によりBayer値を測定した。
(サンプル数、測定方法)
(a) 基準レンズ(CR39基材)3枚、サンプルレンズ3枚を用意。
(b) 摩耗テスト前ヘイズ(haze)値の測定。
(c) BTE Abrasion Testerにて、摩耗性テスト。
(砂による表面摩耗600往復)
(d) 摩耗テスト後ヘイズ値の測定。
(e) Bayer値算出 (3枚分の平均値とする)
(Bayer値=基準レンズの透過率変化/サンプルレンズの透過率変化)
(9)帯電電圧(初期帯電電圧及び1/e減期)
ティッシュペーパーを用いて、プラスチックレンズの凸面を100回手で擦り、その時の帯電電圧を静電メータFMX−002(シムコジャパン社製)を用いて測定した。帯電電圧は経時変化するため、100回擦った後、5、10、20、40、80、160、320秒後の帯電電圧を測定し、結果をV=V0exp(-at)でフィッティングする。ここでV、V0、1/a、tはそれぞれ、帯電電圧、推定初期帯電電圧、1/e減期、経過時間である。
この結果より、以下の基準で帯電防止効果のありなしを判断する。
V0<300V、かつ1/a<50秒以下:帯電防止効果あり
V0>300V、または1/a>50秒以下:帯電防止効果なし
(10)帯電防止層単層膜表面抵抗値
帯電防止層をガラス上に30nm成膜し、その表面抵抗を絶縁抵抗計KEW3022(共立電気計器社製)を用いて測定した。
また、実施例及び比較例において使用した材料の種類、製造方法及び各種処理方法は、次の通りである。
(A)プラスチックレンズ基板
基材A:ジエチレングリコ−ルビスアリルカ−ボネ−ト、屈折率1.50、中 心厚2.0mm、レンズ度数0.00
基材B:EYRY基材(商品名、HOYA(株)製造、エピチオ基を有する化合物を用いた重合体)屈折率1.70、中心厚1.0mm、レンズ度数0.00
基材C:EYNOA基材(商品名、HOYA(株)製造、ポリチオウレタン樹脂)屈折率1.67、中心厚1.0mm、レンズ度数0.00
基材D:EYAS基材(商品名、HOYA(株)製造、ポリチオウレタン樹脂)屈折率1.60、中心圧1.0mm、レンズ度数0.00
(B)硬化膜
(a)−1 コ−ティング組成物Aの作成
5℃雰囲気下、変性酸化第二スズ−酸化ジルコニウム−酸化タングステン−酸化珪素複合体メタノールゾル45質量部とγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン15質量部及びテトラエトキシシラン3質量部とを混合し、1時間攪拌する。その後、0.001モル/L濃度の塩酸4.5質量部を添加し、50時間攪拌する。その後、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテル25質量部、ダイアセトンアルコール9質量部及びアルミニウムトリスアセチルアセトネート1.8質量部、過塩素酸アルミニウム0.05質量部を順次添加し、150時間攪拌する。得られた溶液を0.5μmフィルターでろ過する。
(a)−2 硬化膜Aの作成
前記基材A又はDを60℃、10質量%水酸化ナトリウム水溶液中に300秒間浸漬し、その後、超音波28kHz印加の下、イオン交換水を用いて300秒間洗浄した。最後に、70℃雰囲気下、乾燥させる一連の工程を基材前処理とした。
前処理を施した基材A又はDを、ディッピング法にてコーティング組成物Aに30秒間浸漬し、30cm/分にて引き上げた基材を、120℃、60分間の条件にて硬化させた。
(b)−1 コ−ティング組成物Bの作成
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン100質量部を攪拌しながら0.01モル/L濃度塩酸1.4質量部、水23質量部を添加し、24時間攪拌してγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの加水分解物を得る。次に酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化珪素を主体とする複合体微粒子ゾル200質量部とエチルセロソルブ100質量部、シリコーン系界面活性剤0.5質量部及びアルミニウムアセチルアセトネート3.0質量部とを混合し、前述の
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの加水分解物に加え、十分攪拌した後に、ろ過する。
(b)−2 硬化膜Bの作成
アルカリ水溶液で前処理した基材B又は基材Cを、ディッピング法にてコーティング組成物Bに30秒間浸漬し、20cm/分にて引き上げた基材を、120℃、120分間の条件にて硬化させる。
(C)硬化膜のイオン銃処理
硬化膜上に、表に記載したイオン加速電圧及び加速電流、照射時間、ガス雰囲気下の条件で、イオン銃にてイオン照射を行った。
実施例1〜10及び比較例1,2
前記イオン照射した基材D上の硬化膜Aまたは基材B又はC上の硬化膜Bの上に、第1表1/12〜12/12に示した条件で、第1〜8層(比較例は1〜7層)からなる多層反射防止膜を形成して、プラスチックレンズを得た。
なお、ハイブリッド層は、無機物質の蒸着と有機物質との蒸着との、二元蒸着として、ほぼ同時に蒸着するように条件を設定した。有機物質の蒸着の際は、外部加熱タンクにて気化し、気化した有機物を、ガスバルブ、マスフローコントローラを使用して、蒸着装置内に導入した。ハイブリッド層を形成する際には、Arガス、O2ガスとの混合ガスの雰囲気下にてイオンアシスト法を用いた。
また、M1は蒸着使用物質、CM1はケイ素非含有有機化合物であることを表す。
表中に記載されているケイ素非含有有機化合物の詳細は次の通りである。
エポライト70(プロピレングリコ−ルジグリシジルエ−テル、分子量約188、共栄社化学社製)
EX920(ポリプロピレングリコ−ルグリシジルエ−テル、平均分子量約304、ナガセケムテックス社製)
なお、実施例5及び6においては、基材と硬化被膜との間にプライマ−層を施した。そのプライマ−層の形成方法は次の通りである。
ポリエステルタイプのポリオール(住友バイエルウレタン社の商品名、デスモフェンA−670使用)6.65質量部、ブロック型ポリイソシアネート(住友バイエルウレタン社の商品名、BL−3175使用)6.08質量部、硬化触媒としてジブチル錫ジラウレート0.17質量部、レベリング剤としてフッ素系レベリング剤(住友スリーエム社の商品名、フロラードFC−430使用)0.17質量部、および溶媒としてジアセトンアルコール95.71質量部からなる混合物を均一な状態になるまで充分攪拌して得られた。かくして得られた液状のプライマーは、前処理としてのアルカリ処理された基体レンズ上に浸漬法(引き上げ速度:24cm/分)にて塗布され、100℃で40分加熱して硬化され、厚さ2〜3μmのプライマー層を形成した。
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Claims (10)

  1. プラスチック基材と、真空蒸着で形成された多層反射防止膜とを有する光学部材であって、該多層反射防止膜中の少なくとも1層が、炭化金属、窒化金属、及び炭・窒化金属から選ばれる1種以上の無機物質よりなる帯電防止層である光学部材。
  2. 前記帯電防止層が、金属を蒸着原料とし、CH4及びN2から選ばれる1種類以上のガス雰囲気下で形成される層である請求項1に記載の光学部材。
  3. 前記帯電防止層を形成するための金属がTi及び/又はCrから選ばれる1種以上である請求項1又は2に記載の光学部材。
  4. 前記帯電防止層が、イオンアシスト蒸着法で形成されてなる請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学部材。
  5. 前記帯電防止層を1層又は2層以上有し、帯電防止層の全膜厚が5〜100nmである請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学部材。
  6. 前記多層反射防止膜の最表層に更に撥水層を設けた請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学部材。
  7. 前記多層反射防止膜中の少なくとも1層が、SiO2単体、SiO2とAl23との混合物、又はTiO2、ZrO2、Ta25、Nb25及びY23から選ばれる1種以上の無機物質と、常温、常圧下で液体である有機ケイ素化合物及び/又は常温、常圧下で液体である、その側鎖又は末端に反応性基を含有する炭素と水素とを必須成分とするケイ素非含有有機化合物とを蒸着原料として形成されたハイブリッド層である請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学部材。
  8. 前記多層反射防止膜中のプラスチック基材から最も遠い層が帯電防止層である請求項1〜7のいずれか1項に記載の光学部材。
  9. 前記多層反射防止膜中のプラスチック基材から最も遠い層がハイブリッド層であり、該ハイブリッド層に隣接する層が帯電防止層である請求項7に記載の光学部材。
  10. 前記多層反射防止膜が、プラスチック基材側から順に、以下に記す構成である請求項7に記載の光学部材。
    第1層 (SiO2+有機物質)又は(SiO2+Al23+有機物質)からなるハイブリッド層
    第2層 Nb25層又はTa25
    第3層 (SiO2+有機物質)又は(SiO2+Al23+有機物質)からなるハイブリッド層
    第4層 Nb25層又はTa25
    第5層 (SiO2+有機物質)又は(SiO2+Al23+有機物質)からなるハイブリッド層
    第6層 Nb25層又はTa25
    第7層 炭化金属、窒化金属、及び炭・窒化金属から選ばれる1種以上の無機物質よりなる帯電防止層
    第8層 (SiO2+有機物質)又は(SiO2+Al23+有機物質)からなるハイブリッド層

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