図1は、本発明の第1の実施例による固体撮像装置100の概略平面図である。
固体撮像装置100は、1次元状に配列される複数の光電変換素子(フォトダイオード)11、フォトダイオード11から読み出される信号電荷を一時的に蓄積するラインメモリ10、一次元状に配列され、端部近傍で2系統にチャネルが分岐される電荷結合素子(CCD)30、分岐後のCCD30の各端部に設けられ、転送された信号電荷を検出するフローティングディフュージョン(FD)5、FD5の電位変動を検出して出力する出力回路(出力アンプ)9を含んで構成される。さらに、FD5は、検出された信号電荷を所望のタイミングで排出するリセットトランジスタRS1及びRS2とリセットドレインRDを有する。なお、ラインメモリ10は省略してもよい。
CCD30は、2相駆動型CCDであり、各相(φH1、φH2)2相の2電極(第1層電極7及び第2層電極8)及び転送チャネル3、4により構成され、第1層電極7下部の転送チャネル3は、第2層電極8下部の転送チャネル4より深い電位となるように形成され、信号電荷転送時には、転送チャネル3に信号電荷を一時的に蓄積する。
本実施例では、アウトプットゲート(OG)を固定電圧とし、チャネル分岐後の電極7、8はφH3及びφH4で制御される。また、本実施例では、FD5を小さくしつつ転送効率を保つために、前段のOGをFD5のサイズに一致させるように曲げて、転送方向と直角の電界がかかるようにしている。
図2は、図1に示す固体撮像装置100の電荷結合素子(CCD)30を駆動するタイミングチャートである。
φH1とφH2は、Duty比(周期時間に占めるハイレベル電圧が印加される期間比)の概略50%で互いに逆相の2値パルスで、図1のH1及びH2にそれぞれ印加されるものである。φH3とφH4はDuty比の概略50%で互いに逆相の2値パルスで、φH1とφH2の2分周した周波数で駆動され、図1のH3及びH4にそれぞれ印加されるものである。
φRS1とφRS2はφH3及びφH4と同周波数であるが、Duty比の概略25%で各々φRS1はφH3の立ち上がり、φRS2はφH4の立ち上がりがほぼ一致しており、図1のRS1及びRS2にそれぞれ印加されるものである。
図3は、図1の固体撮像装置100の部分的断面図である。図3(A)は、図1のA−Bで示す部分の断面図であり、図3(B)は、図1のC−Dで示す部分の断面図である。
一導電型半導体基板1の表層側に基板と反対導電型のウェル層2を形成し、ウェル層2中の基板表面には、ウェル層2と反対導電型の不純物層(転送チャネル)3、4が形成される。不純物層3と不純物層4では、不純物層4が相対的に薄い不純物層を成す。また、不純物層3、4の横方向端部には、拡散層(フローティングディフュージョン)5が形成されている。基板1の上には、絶縁層6を介して、第1の電極7と、電極7と基板1それぞれに対し絶縁層6を介して第2の電極8が形成されている。OG下は、不純物層3が形成され、それ以外の部分では、電極7下に不純物層3、電極8下に不純物層4が形成されている。第1の電極7と第2の電極8は、電気的に接続されており、図2に示す入力により周知の2相駆動CCDの動作を実現する。
図4は、分岐の駆動を説明するための、図1のA−B、C−Dで示す部分の図2のタイミングt1〜t4におけるポテンシャル図である。図中、斜線を施した四角は信号電荷を表す。
図から明らかなように、H1及びH2にて転送された信号電荷はH3及びH4の制御により、OS1とOS2側にH1及びH2の駆動周期の2倍であるH3及びH4の周期で分配転送される。
以上、本発明の第1の実施例によれば、一次元状に配置した電荷結合素子の端部にて分岐した構造を有する電荷結合素子において、アウトプットゲートからフローティングディフュージョンへの転送効率を改善することができる。
図5は、本発明の第2の実施例によるの固体撮像装置200の概略平面図である。
固体撮像装置200は、いわゆるインターライン型CCD(ITCCD)である。受光領域20には、多数の光電変換素子(画素)11が正方格子状に配列されている。それぞれの光電変換素子11の列間には、光電変換素子11で発生した信号電荷を読み出して垂直方向に転送する垂直電荷転送路(VCCD)24が、転送電極及び垂直転送チャネルを含んで形成され、光電変換素子11で生じた信号電荷を垂直方向に転送する。VCCD24の端部には、VCCD24により転送される信号電荷を一時的に蓄積するラインメモリ10が設けられる。さらに、ラインメモリ10の下側には、ラインメモリ10から信号電荷を受け取り水平方向に転送する水平電荷転送装置(HCCD)31及び信号電荷を電圧に変換して出力する出力アンプ(出力回路)9が設けられる。なお、本発明の実施例では、上述したように、HCCD31端部近傍において、チャネルが二つに分岐されるので、2系統の出力アンプ9が設けられている。また、ラインメモリ10は省略することもできる。
図6は、図5に示す電荷結合素子(HCCD)31の概略平面図である。
第1の実施例による電荷結合素子30との違いは、一次元状に配置された電荷結合素子31の最終端部の電極7及び不純物層3の平面形状である。当該部位では、分岐したチャネルの境界部を境に、一次元状に配置された電荷結合素子(H1、H2)の転送方向に対し直行方向に遠くなるにしたがって、転送路長が短くなる形状を特徴としている。この構造により、端部電極での不純物層3中のCCDの転送方向に直行する方向のポテンシャルを中央に向かって勾配を形成し、蓄積する信号電荷を中央に集中させることができる。
その他の構成は、図1及び図3に示す第1の実施例による電荷結合素子30と同様であるので、その説明を省略する。また、その駆動も図2に示すタイミングチャートにより、H1及びH2にて転送された信号電荷はH3及びH4の制御により、OS1とOS2側にH1及びH2の駆動周期の2倍であるH3及びH4の周期で分配転送される。
図7は、図6のX−Yで示す部分の不純物層3のポテンシャルを示す図である。
図から明らかなように、不純物層3中央付近を境に端部に向かい電極下のチャネルの幅が狭くなるに伴って、電位が浅くなっている。これは、いわゆる狭チャネル効果に伴うものであり、電極長が短く隣り合う電極下の電位が浅い場合にその隣り合う電極下電位のフリンジ電界による影響で浅くなるものである。従って、分岐側の反対側の第2の電極下は、不純物層4で形成されており、H1の電圧如何にかかわらず電位が浅くなっている。分岐側電位の深さは、タイミングにより異なる。例えば、H3は高電圧印加のときには、このような狭チャネル効果は生じにくい。以上のように、第2の実施例による構造では、信号電荷はチャネル境界付近に集まる。
図8は、第2の実施例による不純物層に形成されるチャネルの信号電荷の動きを示す概念図である。図8(A)は、OS1方向への転送時における信号電荷の動きであり、図8(B)は、OS2方向への転送時における信号電荷の動きである。
図に示すように、H1の不純物層3内の信号電荷はH1電極下にて中央付近に分布しており、分岐チャネルへの転送時間を従来に比して短くすることができる。また、例えば、H3に信号電荷を転送する場合(図2に示すt1のタイミング)には、H4から矢印で示す方向に排斥ドリフト電界が形成されるとともに、H3に向かって矢印で示す方向に引張りドリフト電界が形成される。これにより、信号電荷のH3への転送効率をさらに向上させることができる。また、同様に、H4に信号電荷を転送する場合(図2に示すt3のタイミング)には、H3から矢印で示す方向に排斥ドリフト電界が形成されるとともに、H4に向かって矢印で示す方向に引張りドリフト電界が形成される。これにより、信号電荷のH4への転送効率をさらに向上させることができる。
以上、本発明の第2の実施例によれば、一次元状に配置した電荷結合素子の端部にて分岐した構造を有する電荷結合素子において、分岐部への転送時間を短縮することが可能となり、転送効率を改善することができる。
従って、例えば、第2の実施例による電荷結合素子をフォトダイオードが2次元状に配列された固体撮像装置の水平CCDとして用いた場合は、画像の横流れや解像度の劣化を防止することができる。また、フォトダイオード上にカラーフィルタを積層し、カラー信号を得ようとした場合の色偽信号等を生じない良好な画質を提供することができる。
なお、第1の実施例はラインセンサ、第2の実施例はエリアセンサとしたが、第1の実施例による電荷結合素子30を第2の実施例にエリアセンサに適用してもよい。また、同様に、第2の実施例による電荷結合素子31を第1の実施例にラインセンサに適用してもよい。
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
1…半導体基板、2…ウェル層、3、4…不純物層、5…拡散層(FD)、6…絶縁膜、7、8…電極、9…出力回路、10…ラインメモリ、11…光電変換素子、30、31、60…電荷結合素子、100、200…固体撮像装置