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JP2006256456A - 車両の駆動力配分制御装置 - Google Patents

車両の駆動力配分制御装置 Download PDF

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JP2006256456A
JP2006256456A JP2005075671A JP2005075671A JP2006256456A JP 2006256456 A JP2006256456 A JP 2006256456A JP 2005075671 A JP2005075671 A JP 2005075671A JP 2005075671 A JP2005075671 A JP 2005075671A JP 2006256456 A JP2006256456 A JP 2006256456A
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JP2005075671A
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Koichi Takayama
晃一 高山
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Nissan Motor Co Ltd
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Nissan Motor Co Ltd
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Abstract

【課題】 操舵操作を伴う旋回時、高い応答性によりコーナリングフォースの限界を予測し、応答良く運転者へ車両挙動の限界が近いことを知らせることができる車両の駆動力配分制御装置を提供すること。
【解決手段】 前後輪のうち一方を主駆動輪とし他方を副駆動輪とし、前後輪の駆動力配分を制御する駆動力配分制御手段を備えた車両において、運転者の操舵操作量を検出する操舵操作量検出手段(操舵角センサ7)と、前輪タイヤの横滑り角によるコーナリングフォース限界に近い領域の操舵操作量限界判定値を設定する操舵操作量限界判定値設定手段(ステップS2)と、設け、前記駆動力配分制御手段は、運転者の操舵操作量が操舵操作量限界判定値を上回ると、前記副駆動輪へ伝達される駆動力をステップ的に変動させるフィードフォワード制御を行う手段とした。
【選択図】 図2

Description

本発明は、前後輪のうち一方を主駆動輪とし他方を副駆動輪とし、前後輪の駆動力配分を制御する駆動力配分制御手段を備えた車両の駆動力配分制御装置の技術分野に属する。
従来、前後輪の駆動力配分を制御する駆動力配分制御手段を備えた車両において、加速旋回時等のように車両の運動状態が限界を迎える時、路面摩擦係数の変化にかかわらず、限界予知性の向上及び限界コントロール性の向上を図ることを目的とし、横加速度と前後加速度と前後輪回転速度差とにより判断される車両の運動状態が、限界前の警戒領域にあると判定されたとき、リジッド2輪駆動方向に駆動力配分を変更するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
特開平5−131856号公報
しかしながら、従来の車両の駆動力配分制御装置にあっては、旋回限界域にて車両運動としてあらわれた横加速度と前後加速度と前後輪回転速度差等の物理量をフィードバック制御することで車両の運動状態を判断し、駆動力配分比を変更する構成であるため、車両の運動状態が限界前の警戒領域にあるとの判定が、車両挙動変化が発生した後となり、警戒領域判定に遅れが生じるし、さらに、この警戒領域判定に基づき駆動力配分比の変更制御が事後的に開始されることで、限界予知性や限界コントロール性にも遅れが生じてしまう、という問題があった。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、操舵操作を伴う旋回時、高い応答性によりコーナリングフォースの限界を予測し、応答良く運転者へ車両挙動の限界が近いことを知らせることができる車両の駆動力配分制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明では、前後輪のうち一方を主駆動輪とし他方を副駆動輪とし、前後輪の駆動力配分を制御する駆動力配分制御手段を備えた車両において、
運転者の操舵操作量を検出する操舵操作量検出手段と、
前輪タイヤの横滑り角によるコーナリングフォース限界に近い領域の操舵操作量限界判定値を設定する操舵操作量限界判定値設定手段と、設け、
前記駆動力配分制御手段は、運転者の操舵操作量が操舵操作量限界判定値を上回ると、前記副駆動輪へ伝達される駆動力をステップ的に変動させるフィードフォワード制御を行うことを特徴とする。
なお、「操舵操作量」は、運転者の操舵操作に応じてステアリング系にて発生する変化量であり、操舵角、前輪の車輪速差、ステアリングラックの移動量等の上位概念である。
よって、本発明の車両の駆動力配分制御装置にあっては、操舵操作量限界判定値設定手段において、前輪タイヤの横滑り角によるコーナリングフォース限界に近い領域の操舵操作量限界判定値が設定され、駆動力配分制御手段において、運転者の操舵操作量が操舵操作量限界判定値を上回ると、副駆動輪へ伝達される駆動力をステップ的に変動させるフィードフォワード制御が行われる。すなわち、運転者の旋回意思をあらわす操舵操作量を入力情報としてコーナリングフォース限界に近い領域を判定することで、旋回限界域の車両運動状態を監視しながら判定する従来例に比べ、応答良くコーナリングフォース限界に近い領域を判定することができる。そして、操舵操作量により高応答で限界判定されると、急な駆動力配分の変化に伴う車両挙動の変化により運転者にコーナリングフォースの限界に近いことを知らせることができ、限界予知性向上の実効が図られる。
例えば、前輪駆動ベースの四輪駆動車であって、限界判定時に後輪(副駆動輪)へ伝達される駆動力をステップ的に増大する場合には、前輪(主駆動輪)へ伝達される駆動力の減少に伴い、応答良く前輪のコーナリングフォースの回復を図ることができる。つまり、運転者にコーナリングフォースの限界に近いことを知らせることができるばかりでなく、コーナリングフォース限界を応答良く高めることもでき、限界予知性向上と限界コントロール性向上の実効が図られる。
以下、本発明の車両の駆動力配分制御装置を実施するための最良の形態を、図面に示す実施例1及び実施例2に基づいて説明する。
まず、構成を説明する。
図1は実施例1の駆動力配分制御装置が適用されたハイブリッド四輪駆動車を示す全体システム図である。
実施例1の前輪駆動ベースによるハイブリッド四輪駆動車は、図1に示すように、エンジン1(第1駆動源)と、フロントモータ2F(第1駆動源)と、リアモータ2R(第2駆動源)と、左前輪タイヤ3FL(主駆動輪)と、右前輪タイヤ3FR(主駆動輪)と、左後輪タイヤ3RL(副駆動輪)と、右後輪タイヤ3RR(副駆動輪)と、フロントディファレンシャル4Fと、リアディファレンシャル4Rと、フロントトランスミッション5Fと、リアトランスミッション5Rと、を備えている。
前記フロントモータ2Fとリアモータ2Rは、電動発電機として、力行と回生の両方を行う。
前記左右前輪タイヤ3FL,3FRは、エンジン1とフロントモータ2Fのうち少なくとも一方を駆動源とし、フロントトランスミッション5Fを経過した駆動力が、フロントディファレンシャル4Fにより左右等配分にして駆動される。
前記左右後輪タイヤ3RL,3RRは、リアモータ2Rのみを駆動源とし、リアトランスミッション5Rを経過した駆動力が、リアディファレンシャル4Rにより左右等配分にして駆動される。なお、リアディファレンシャル4Rは、内部に設定された差動制限クラッチの締結力制御や、内部に設定された左クラッチと右クラッチに対する締結力制御により駆動力配分を制御可能としても良い。
実施例1のハイブリッド四輪駆動車の駆動力配分制御系は、図1に示すように、車輪速センサ6と、操舵角センサ7(操舵操作量検出手段)と、横加速度センサ8と、車速センサ9と、アクセル開度センサ10と、コントローラ11と、強電バッテリ12と、フロントインバータ13Fと、リアインバータ13Rと、を備えている。
前記車輪速センサ6は、左前輪速センサ6FL、右前輪速センサ6FR、左後輪速センサ6RL、右後輪速センサ6RRにより構成され、車輪速情報を得る。
前記操舵角センサ7からは操舵角情報を得る。前記横加速度センサ8からは横加速度情報を得る。前記車速センサ9からは車速情報を得る。前記アクセル開度センサ10からはアクセル開度情報を得る。
前記コントローラ11は、車輪速センサ6、操舵角センサ7、横加速度センサ8、車速センサ9、アクセル開度センサ10からの情報を読み込み、操舵角絶対値|θ|が操舵角限界判定値θ1を超えると、左右後輪タイヤ3RL,3Rrへ伝達される駆動力をステップ的に増大するフィードフォワード制御を行う。
前記強電バッテリ12は、両インバータ13F,13Rを経由して電力を両モータ2F,2Rに供給すると共に、両モータ2F,2Rによる発電電力を回収する役目も果たす。
前記フロントインバータ13Fとリアインバータ13Rは、強電バッテリ12の電気エネルギーを両モータ2F,2Rへ供給することと、両モータ2F,2Rにより回生した電気エネルギーを強電バッテリ12へ戻す役割を果たす。
次に、作用を説明する。
[駆動力配分制御処理]
図2は実施例1のコントローラ10にて実行される駆動力配分制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する(駆動力配分制御手段)。
ステップS1では、操舵角θ、路面摩擦係数μ、車速V、総駆動力Tを読み込み、ステップS2へ移行する。
ここで、「操舵角θ」は、操舵角センサ7からのセンサ値に基づき演算される。「路面摩擦係数μ」は、駆動スリップ発生時の駆動力レベル等により推定演算したり、インフラから情報受信される。「車速V」は、車速センサ9からのセンサ値に基づき演算される。「総駆動力T」は、アクセル開度センサ10からのアクセル開度情報に基づき、運転者の要求駆動力として演算される。
ステップS2では、ステップS1でのθ,μ,V,Tの読み込みに続き、車速Vと路面摩擦係数μにより、操舵操作量の所定値である操舵角限界判定値θ1を決定し、ステップS3へ移行する(操舵操作量限界判定値設定手段)。
ここで、「操舵角限界判定値θ1」とは、前輪タイヤの横滑り角βによるコーナリングフォース限界に近い領域の値であり、図3に示すように、車速Vが高車速であるほど小さく、かつ、路面摩擦係数μが低μを示すほど小さくなる値にて設定される。
ステップS3では、ステップS2での操舵角限界判定値θ1の決定に続き、操舵角絶対値|θ|が操舵角限界判定値θ1を超えているか否かを判断し、Yesの場合はステップS4へ移行し、Noの場合はリターンへ移行する。
ステップS4では、ステップS3での|θ|>θ1との判断に続き、後輪駆動力指令値Tr(=後輪トルク)を計算し、ステップS5へ移行する。
ここで、「後輪駆動力指令値Tr」は、図4に示すように、Tr=E(Eは一定値であり、例えば、車両挙動の変化をドライバが認知できる値以上で、車両の前後重力配分比に対応する値を限界とする。)で与える。この場合、後輪への駆動力は、|θ|>θ1の領域において、操舵角θの増減にかかわらず維持されることになる。
若しくは、「後輪駆動力指令値Tr」は、図5に示すように、Tr=Fθ−G(Fは操舵角θの変化に対する傾きをあらわす値、Gは操舵角ゼロの時に交わる後輪駆動力指令値)で与える。この場合、後輪への駆動力は、|θ|>θ1の領域において、操舵角θが大きくなるほど増加することになる。
ステップS5では、ステップS4での後輪駆動力指令値Trの計算に続き、総駆動力Tとの差により前輪駆動力指令値Tfを計算し、ステップS6へ移行する。
ここで、前輪駆動力指令値Tfの計算式は、
Tf=T−Tr
である。
ステップS6では、ステップS5での前輪駆動力指令値Tfの計算に続き、前輪駆動力指令値Tfを得る制御指令をフロントインバータ13Fに出力すると共に、後輪駆動力指令値Trを得る制御指令をリアインバータ13Rに出力する。
[駆動力配分制御作用]
旋回時であって、操舵角絶対値|θ|が操舵角限界判定値θ1以下の領域では、図2のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→リターンへと進む流れが繰り返され、後輪駆動力指令値Trはゼロのままで、前輪駆動状態が維持される。
その後、操舵角絶対値|θ|が操舵角限界判定値θ1を超えると、図2のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS5→ステップS6→リターンへと進む流れが繰り返され、ステップS4において、後輪駆動力指令値Trが、Tr=E、若しくは、Tr=Fθ−Gの式により計算され、ステップS5において、前輪駆動力指令値Tfが、総駆動力Tから後輪駆動力指令値Trを差し引くことで計算され、ステップS6において、計算された前輪駆動力指令値Tfと後輪駆動力指令値Trを得る制御指令が出力される。
すなわち、図4または図5に示すように、操舵角絶対値|θ|が操舵角限界判定値θ1を超えた時点で、後輪トルクがゼロの状態から、一気に高められ、それまでの前輪駆動状態から4輪駆動状態へと駆動力配分状況が変化し、急な駆動力配分の変化に伴う車両挙動の変化により運転者にコーナリングフォースの限界に近いことを知らせることができる。
ここで、操舵角限界判定値θ1の決め方について説明する。
まず、前輪駆動車の2輪モデル車両と横滑り角の関係は、図6に示す通りであり、横滑り角βは、前輪タイヤの進行方向と前輪タイヤの回転面とがなす角度であらわされる。
そして、タイヤの横滑り角βとコーナリングフォースCfの関係は、図7に示すように、横滑り角βが小さい領域では、コーナリングフォースCfと横滑り角βの関係は直線的であるが、横滑り角βがある値を超えると、少しずつコーナリングフォースCfの増加が鈍り、横滑り角βが所定値β1になると、コーナリングフォースCfは飽和し、いわゆる、コーナリングフォース限界となる。
そして、コーナリングフォースCfの最大値は、図7の矢印に示すように、タイヤから路面へ伝達する駆動力が小さい場合に最も大きな値となり、タイヤから路面へ伝達する駆動力が大きくなるにしたがって値が低下する。
そこで、コーナリングフォースCfの最大値を得る操舵角をCf限界操舵角とし、車速Vと路面摩擦係数μとの関係をみると、図8に示すように、車速Vが高車速になるほどタイヤから路面へ伝達する駆動力が小さくなることで、Cf限界操舵角が低下し、かつ、路面摩擦係数μが低摩擦係数になるほどタイヤから路面へ伝達する駆動力が小さくなることで、Cf限界操舵角が低下する特性を示す。
したがって、前記図8に示すCf限界操舵角特性を利用し、Cf限界操舵角を操舵角限界判定値θ1に置き換えて作成したのが、図3に示す操舵角限界値判定マップであり、このマップを用いて操舵角限界判定値θ1を決めるようにしている。
すなわち、運転者の旋回意思をあらわす操舵角θを入力情報とし、図3に示す操舵角限界値判定マップによりコーナリングフォース限界に近い領域を判定することで、旋回限界域の車両運動状態を監視しながら判定する従来例に比べ、応答良くコーナリングフォース限界に近い領域を判定することができ、限界予知性向上の実効が図られる。
加えて、図3に示す操舵角限界値判定マップでは、車速V及び路面摩擦係数μに対応して操舵角限界判定値θ1を決めているため、タイヤから路面へ伝達する駆動力に対応した適切な操舵角限界判定値θ1を得ることができる。
そして、前輪駆動ベースの四輪駆動車である実施例1にあっては、操舵角絶対値|θ|が操舵角限界判定値θ1となるまでは後輪駆動力をゼロに維持し、操舵角絶対値|θ|が操舵角限界判定値θ1を超えると、超えた時点にて後輪へ伝達される駆動力をステップ的に増大するようにしているため、前輪へ伝達される駆動力の減少に伴い、図9に示すように、操舵角絶対値|θ|が操舵角限界判定値θ1を超えた時点で、応答良く前輪のコーナリングフォースの回復を図ることができる。つまり、運転者にコーナリングフォースの限界に近いことを知らせることができるばかりでなく、コーナリングフォース限界を応答良く高めることもでき、コーナリングフォース限界が高まることでのコーナリングフォースCfの余裕代により、旋回限界域でのコントロール性を向上できる。
ここで、操舵角絶対値|θ|が操舵角限界判定値θ1を超えた時点で後輪トルクTrを、Tr=Eで与える場合、図9に示すように、応答良く前輪のコーナリングフォースを回復させることで、確実にアンダーステアの低減を図ることができる。
また、操舵角絶対値|θ|が操舵角限界判定値θ1を超えた時点で後輪トルクTrを、Tr=Fθ−Gで与える場合、応答良く前輪のコーナリングフォースを回復させると共に、図9の丸枠内に示すように、操舵角絶対値|θ|の上昇に応じて前輪のコーナリングフォースを増しつつ後輪のコーナリングフォースを減じるため、Tr=Eで与える場合に比べ、より大きな回頭モーメントを発生させるので、運転者の操舵角限界判定値θ1を超えた切り増し操作にも対応して確実にアンダーステアを抑えることができる。
次に、効果を説明する。
実施例1の車両の駆動力配分制御装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
(1) 前後輪のうち一方を主駆動輪とし他方を副駆動輪とし、前後輪の駆動力配分を制御する駆動力配分制御手段を備えた車両において、運転者の操舵操作量を検出する操舵操作量検出手段(操舵角センサ7)と、前輪タイヤの横滑り角によるコーナリングフォース限界に近い領域の操舵操作量限界判定値を設定する操舵操作量限界判定値設定手段(ステップS2)と、設け、前記駆動力配分制御手段は、運転者の操舵操作量が操舵操作量限界判定値を上回ると、前記副駆動輪へ伝達される駆動力をステップ的に変動させるフィードフォワード制御を行うため、操舵操作を伴う旋回時、高い応答性によりコーナリングフォースの限界を予測し、応答良く運転者へ車両挙動の限界が近いことを知らせることができる。
(2) 前記操舵操作量限界判定値設定手段(ステップS2)は、車速Vが高車速であるほど小さく、かつ、路面摩擦係数推定値が低路面摩擦係数を示すほど小さくなる値で設定するため、前輪タイヤから路面へ伝達する駆動力に対応した適切な操舵角限界判定値θ1を得ることができる。
(3) 前記駆動力配分制御手段は、運転者の操舵操作量が操舵操作量限界判定値を上回って前記副駆動輪へ伝達される駆動力をステップ的に変動させた後、副駆動輪への駆動力を、操舵操作量の増減にかかわらず維持するため、応答良く主駆動輪のコーナリングフォースを回復させることで、確実にアンダーステア(前輪駆動ベースの四輪駆動車)やオーバーステア(後輪駆動ベースの四輪駆動車)の低減を図ることができる。
(4) 前記駆動力配分制御手段は、運転者の操舵操作量が操舵操作量限界判定値を上回って前記副駆動輪へ伝達される駆動力をステップ的に変動させた後、副駆動輪への駆動力を、操舵操作量が大きくなるほど増加するため、応答良く主駆動輪のコーナリングフォースを回復させると共に、さらなる運転者の操舵操作に対応して確実にアンダーステア(前輪駆動ベースの四輪駆動車)やオーバーステア(後輪駆動ベースの四輪駆動車)の抑制を図ることができる。
(5) 車両は前輪を主駆動輪とする前輪駆動ベースの四輪駆動車であり、前記駆動力配分制御手段は、運転者の操舵操作量が操舵操作量限界判定値以下の領域において、前記副駆動輪へ伝達される駆動力を、操舵操作量にかかわらずゼロを含む所定以下に維持し、運転者の操舵操作量が操舵操作量限界判定値を上回ると、前記副駆動輪へ伝達される駆動力をステップ的に増大するフィードフォワード制御を実行するため、限界域での応答の良い車両挙動の変化による限界予知性向上の実効と、応答の良い前輪コーナリングフォースの回復による限界コントロール性向上の実効とを図ることができる。
(6) 前記車両は、前輪を主駆動輪とし、後輪を副駆動輪とし、エンジン1とフロントモータ2Fにより前輪を駆動する第1駆動源と、リアモータ2Rにより後輪を駆動する第2駆動源と、を備えた前輪駆動ベースのハイブリッド四輪駆動車であり、前記駆動力配分制御手段は、前記第2駆動源の駆動力を制御することで副駆動輪へ伝達される駆動力を制御するため、制御動作応答性の高いリアモータ2Rに対する駆動力指令により、限界予知性向上と限界コントロール性向上を、駆動力配分のステップ的変化により応答良く達成することができる。
実施例2は、運転者の操舵操作量が操舵操作量限界判定値以下の領域において、操舵操作量が大きくなるほど副駆動輪へ伝達される駆動力を線形特性により大きくするフィードフォワード制御を行うようにした例である。なお、構成については、実施例1の図1と同様であるので、図示並びに説明を省略する。
次に、作用を説明する。
[駆動力配分制御処理]
図10は実施例2のコントローラ10にて実行される駆動力配分制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する(駆動力配分制御手段)。
ステップS21では、操舵角θ、横加速度Yg、路面摩擦係数μ、車速V、総駆動力Tを読み込み、ステップS22へ移行する。
ここで、「操舵角θ」は、操舵角センサ7からのセンサ値に基づき演算される。「横加速度Yg」は、横加速度センサ8からのセンサ値に基づき演算される。「路面摩擦係数μ」は、駆動スリップ発生時の駆動力レベル等により推定演算したり、インフラから情報受信される。「車速V」は、車速センサ9からのセンサ値に基づき演算される。「総駆動力T」は、アクセル開度センサ10からのアクセル開度情報に基づき、運転者の要求駆動力として演算される。
ステップS22では、ステップS21でのθ,Yg,μ,V,Tの読み込みに続き、図2のステップS2と同様に、車速Vと路面摩擦係数μにより、操舵操作量の所定値である操舵角限界判定値θ1を決定し、ステップS23へ移行する(操舵操作量限界判定値設定手段)。
ステップS23では、ステップS22での操舵角限界判定値θ1の決定に続き、操舵角絶対値|θ|が操舵角限界判定値θ1を超えているか否かを判断し、Yesの場合はステップS28へ移行し、Noの場合はステップS24へ移行する。
ステップS24では、ステップS23での|θ|≦θ1の判断に続き、旋回指標値LBDを横加速度Ygと路面摩擦係数μにより演算し、ステップS25へ移行する。
ここで、「旋回指標値LBD」とは、横加速度Ygを路面摩擦係数μで除した値Yg/μであり、例えば、路面摩擦係数μが一定の旋回路を最大の横加速度Ygで走破する限界旋回時に1とし、それより低車速あるいは大旋回半径を旋回するにしたがって1より小さい値となるように与える。
ステップS25では、ステップS24での旋回指標値LBDの演算に続き、旋回指標値LBDに基づき2次以上の特性式の最高次の係数A(=常数A)を決定し、ステップS26へ移行する。
ここで、「2次以上の特性式の最高次の係数A」は、例えば、図11に示すように、旋回指標値LBDが0から第1設定旋回指標値LBD1(例えば、0.7程度の値)までは第1設定値A1という一定値により与え、旋回指標値LBDが第1設定旋回指標値LBD1から1までは旋回指標値LBDが大きくなるにしたがって比例的に大きくなる値にて与える。
この2次以上の特性式の最高次の係数Aの決定方法を数式化すると、
LBD<LBD1のとき、
A=A1
LBD≧LBD1のとき、
A=A1+k(LBD−LBD1) k:定数
となる。
ステップS26では、ステップS25での常数Aの決定に続き、車速Vに応じて不感帯の幅B(=常数B)を決定し、ステップS27へ移行する。
ここで、「車速Vに応じた不感帯の幅B」は、例えば、図12に示すように、車速Vが0から第1設定車速V1までの車速域では第1設定値B1(舵角の切片)から第2設定値B2(微小な舵角)まで反比例的に徐々に低下する値で与え、車速Vが第1設定車速V1を超えると第2設定値B2による一定値にて与える。
この車速Vに応じた不感帯の幅Bの決定方法を数式化すると、
V<V1のとき、
B=B1−(B1−B2)(V/V1)
V≧V1のとき、
B=B2
となる。
ステップS27では、ステップS26での常数Bの決定に続き、常数Aと常数Bと操舵角θにより後輪駆動力指令値Trを計算し、ステップS29へ移行する。
ここで、「後輪駆動力指令値Tr」は、特性方程式の次数をn(実施例1では2次で与えている。)としたとき、
θ<Bのとき、
Tr=0
θ≧Bのとき
Tr=A(θ−B)n=A(θ−B)2
の式により計算する。
ステップS28では、ステップS23での|θ|>θ1との判断に続き、後輪駆動力指令値Tr(=後輪トルク)を計算し、ステップS29へ移行する。
ここで、「後輪駆動力指令値Tr」は、図4に示すように、Tr=Eで与える、若しくは、図5に示すように、Tr=Fθ−Gで与える。
ステップS29では、ステップS27またはステップS28での後輪駆動力指令値Trの計算に続き、総駆動力Tとの差により前輪駆動力指令値Tfを計算し、ステップS30へ移行する。
ここで、前輪駆動力指令値Tfの計算式は、
Tf=T−Tr
である。
ステップS30では、ステップS29での前輪駆動力指令値Tfの計算に続き、旋回中に|θ|≦θ1の判断から|θ|>θ1の判断へと切り替わり、後輪駆動力指令値Trの計算がステップS27での計算からステップS28での計算に切り替わることで、限界予知制御が介入したか否かを判断し、Yesの場合はステップS31へ移行し、Noの場合はステップS33へ移行する。
ステップS31では、ステップS30での限界予知制御の介入判断に続き、本制御介入時の駆動力配分に変化が少ないか否かを判断し、Yesの場合はステップS32へ移行し、Noの場合はステップS33へ移行する。
ステップS32では、ステップS31での本制御介入時の駆動力配分に変化が少ないとの判断に続き、警報(ランプ点灯、ランプ点滅、警報音等)によりドライバーへ限界領域であることを知らせ、ステップS33へ移行する。
ステップS33では、ステップS30での本制御非介入時、または、ステップS31での駆動力配分変化が大きい、または、ステップS32でのドライバーへの限界領域警報に続き、前輪駆動力指令値Tfを得る制御指令をフロントインバータ13Fに出力すると共に、後輪駆動力指令値Trを得る制御指令をリアインバータ13Rに出力する。
[|θ|≦θ1での駆動力配分制御作用]
前輪駆動ベースの車両で、主駆動輪である前輪側に駆動力が配分されたままで、旋回路に進入すると、前輪タイヤにて、駆動力と横力(≒コーナリングフォース)の全てを受け持たなければならないことで、例えば、前輪タイヤのフリクションサークルの限界域まで駆動力が高まっている状態で旋回路に進入すると、旋回のための横力発生余裕代が小さく、旋回路をトレースするのに必要な横力が発生せず、車両の旋回挙動としては、目標旋回ラインから外側に膨らむアンダーステア傾向を示すことになる。
そこで、実施例2では、旋回時であって、操舵角絶対値|θ|が操舵角限界判定値θ1以下の領域では、主駆動輪と副駆動輪の駆動力配分によるアンダーステアモーメントの減少を、従来のフィードバック制御より早い応答性にて実現することを目的とし、図13に示すように、アンダーステアが発生しているか否かにかかわらず、運転者の操舵角θに対して2次以上の特性式に基づき後輪トルク指令値TQDRを与えることで、予めアンダーステアモーメントの発生を減じるようにフィードフォワード制御するようにした。
このように、操舵角θに基づき駆動力配分を変更することにより、車両挙動の変化でアンダーステア傾向を検知する場合のように、アンダーステアの発生検知から制御までに要する時間を短縮できる。また、その特性式を2次としたことにより、操舵角θの小さな通常走行領域では、主駆動輪が主体的に駆動され、操舵角θの大きいところでは、駆動力配分をアンダーステアモーメントを減じるように副駆動輪が駆動されることにより、通常走行領域では違和感を与えることなく制御される一方、アンダーステア傾向が大きく現れる走行領域では応答良く車両挙動が制御される。
したがって、フィードバック制御にてアンダーステア傾向を検出してから車両挙動を制御してきた従来例(例えば、特開平5−185859号公報等)に対し、遅れなく高い応答性で車両挙動を制御できるようになると共に、強アンダーステアを効果的かつ確実に低減可能とする。
そして、2次以上の特性式の少なくとも最高次の係数A(常数A)は、図14に示すように、走行中の路面摩擦係数μの増加に対して減少する特性を有するようにした。
したがって、路面摩擦係数μが高い時は、駆動力配分の変化量を小さくして、駆動系部品への負荷や走行中の違和感を低減することができる一方、路面摩擦係数μが低い時は、操舵角θに対する駆動力配分変化量を大きくすることにより、様々な路面摩擦係数μに応じて効果的にアンダーステアを低減することができる。
さらに、2次以上の特性式の少なくとも最高次の係数A(常数A)は、図15に示すように、上記図14の特性を考慮し、走行中の路面摩擦係数μと横加速度Yg(車両の横向き加速度相当値)から決定される値(LBD=Yg/μ)の増加に対して上昇する特性を有するようにした。
したがって、路面摩擦係数μに対して横加速度Ygの小さな走行状態(例えば、定常旋回等)では、駆動力配分の変化量を小さくして、駆動系部品の負荷や走行中の違和感を低減できる一方、路面摩擦係数μに対し横加速度Ygが大きな走行状態(例えば、限界旋回時等)では、操舵角θに対する駆動力配分変化量を大きくすることで、車両の旋回限界付近では、効果的にアンダーステアを低減できる。
そして、上記図15の特性を考慮し、実施例2では、図10のフローチャートにおいて、ステップS21→ステップS22→ステップS23→ステップS24→ステップS25へと進み、ステップS25において、2次以上の特性式の最高次の係数Aは、図11に示すように、旋回指標値LBDが0から第1設定旋回指標値LBD1までは第1設定値A1という一定値により与え、旋回指標値LBDが第1設定旋回指標値LBD1から1までは旋回指標値LBDが大きくなるにしたがって比例的に大きくなる値にて与えるようにした。
したがって、路面摩擦係数μに対して横加速度Ygの小さな旋回指標値LBDが0から第1設定旋回指標値LBD1までの定常旋回域では、駆動力配分の変化量を小さくして、駆動系部品の負荷や走行中の違和感を低減する一方、路面摩擦係数μに対し横加速度Ygが大きな旋回指標値LBDが第1設定旋回指標値LBD1から1までの限界旋回域では、操舵角θに対する駆動力配分変化量を大きくすることで、効果的にアンダーステアを低減する。つまり、定常旋回域での負荷や違和感の低減と、限界旋回域での効果的なアンダーステア低減の両立を図るようにした。
そして、2次以上の特性式の操舵角θについては、図16に示すように、車速Vに応じた不感帯を設け、この不感帯は、車速Vが上昇するにしたがって小さくなる特性を有するようにした。
したがって、車速Vの小さな領域、例えば、駐車時や車庫入れ等の比較的大きな操舵角θが与えられる走行領域において、駆動力配分変更をしにくくすることにより、副駆動輪への駆動力印加に伴う違和感や駆動系部品の負荷増加を防止することができる。
そして、上記図16の特性を考慮し、実施例2では、図10のフローチャートにおいて、ステップS21→ステップS22→ステップS23→ステップS24→ステップS25→ステップS26へと進み、ステップS26において、常数Bは、車速Vが0から第1設定車速V1までの車速域では第1設定値B1から第2設定値B2まで反比例的に徐々に低下する値で与え、車速Vが第1設定車速V1を超えると第2設定値B2による一定値にて与えるようにした。
すなわち、車速Vの大きな領域において、微小な操舵角θに対して駆動力配分を変更すると、路面外乱等により操舵角を修正する度に駆動力配分が行われ、駆動系部品への負荷が増えたり、車両挙動に違和感を生じる可能性がある。
したがって、高速域での一定値による不感帯を設定することで、前記負荷や違和感を防止することができると共に、一定値による不感帯以上の操舵が行われた場合には、前述の駆動力配分が行われ、アンダーステア挙動を効果的に抑制できる。
上記のように、実施例2の操舵角絶対値|θ|が操舵角限界判定値θ1以下の領域における駆動力配分制御は、図10のフローチャートにおいて、ステップS21→ステップS22→ステップS23→ステップS24→ステップS25→ステップS26→ステップS27→ステップS29→ステップS30→ステップS33へと進むことでなされ、ステップS25における2次以上の特性式の最高次の係数A(=常数A)の決定により、図17に示すように、高操舵角域での後輪トルク指令値TQDRの上昇勾配を、路面摩擦係数μに対する横加速度Ygの比による旋回指標値LBDに応じて最適に変更することができ(図11)、かつ、低操舵角域での後輪トルク指令値TQDRの立ち上がり開始点を、車速Vに応じて最適に設定できる(図12)。
[|θ|>θ1での駆動力配分制御作用]
操舵角絶対値|θ|が操舵角限界判定値θ1を超えた場合、図10のフローチャートにおいて、ステップS21→ステップS22→ステップS23→ステップS28→ステップS29へと進む流れとなり、|θ|≦θ1での線形特性による駆動力配分制御に優先し、実施例1で説明した限界予知制御の介入が許可される。
そして、この限界予知制御の介入時であって、図18に示すように、駆動力配分変化が大きい場合には、図10のフローチャートにおいて、ステップS29からステップS30→ステップS31→ステップS33へと進む流れとなり、後輪トルクが操舵角絶対値|θ|が操舵角限界判定値θ1を超えた時点で急激に減少することで、車両の挙動が変化し、この車両挙動変化により運転者に対し、コーナリングフォースの限界に近いことを知らせることができる。
一方、線形特性による駆動力配分制御で十分に後輪トルクが高まっていない時点で限界予知制御が介入すると、駆動力配分変化が小さく、車両挙動変化による運転者への報知が期待できない。これに対し、限界予知制御の介入時であって、かつ、駆動力配分変化が小さい場合には、図10のフローチャートにおいて、ステップS29からステップS30→ステップS31→ステップS32→ステップS33へと進む流れとなり、ステップS32では、ランプや音等の警報により、コーナリングフォースの限界に近い車両挙動の限界領域を運転者に知らせることができる。
次に、効果を説明する。
実施例2の車両の駆動力配分制御装置にあっては、実施例1の(1),(2),(3),(4),(6)の効果に加え、下記に列挙する効果を得ることができる。
(7) 車両は前輪を主駆動輪とする前輪駆動ベースの四輪駆動車であり、前記駆動力配分制御手段は、運転者の操舵操作量が操舵操作量限界判定値以下の領域において、前記操舵操作量が大きくなるほど前記副駆動輪へ伝達される駆動力を線形特性により大きくするフィードフォワード制御を行い、運転者の操舵操作量が操舵操作量限界判定値を上回ると、前記線形特性による駆動力配分制御に優先し、前記副駆動輪へ伝達される駆動力をステップ的に変動させるフィードフォワード制御による限界予知制御の介入を許可するため、線形特性にて後輪への駆動力を増大する駆動力配分制御を行っていることで運転者が前輪のコーナリングフォースの限界を知ることが難しい状況でありながららも、本限界予知制御を介入することで、運転者にコーナリングフォースの限界を知らせることができる。
(8) 前記駆動力配分制御手段は、前記線形特性として2次以上の特性式にて与え、該2次以上の特性式の少なくとも最高次の係数Aは、走行中の路面摩擦係数μに対する横加速度Ygの比により決定される旋回指標値LBDが設定指標値LBD1までは一定値で与え、設定指標値LBD1を超える領域では設定指標値LBDの増加に対して上昇する特性で与えるため、通常走行領域で違和感を与えることのない駆動力配分制御を確保しつつ、車両挙動変化が大きく現れる走行領域では応答良く車両挙動を安定方向に制御することができると共に、定常旋回域での負荷や違和感の低減と、限界旋回域での旋回挙動の効果的安定化との両立を図ることができる。
(9) 前記2次以上の特性式は、操舵角θに対し車速Vに応じた不感帯を設け、この不感帯は、車速Vが上昇するにしたがって小さくなる特性を有するため、例えば、駐車時や車庫入れ等の車速Vが小さく、かつ、比較的大きな操舵角θが与えられる走行領域において、副駆動輪への駆動力印加に伴う違和感や駆動系部品の負荷増加を防止することができる。
(10) 前記駆動力配分制御手段は、運転者の操舵操作量が操舵操作量限界判定値を上回ることで限界予知制御が介入するとき、限界予知制御介入による駆動力配分の変化が少ないと、車載の報知手段により運転者へ限界領域であることを知らせるため、限界予知制御を線形特性にて後輪への駆動力を増大する駆動力配分制御と併用した場合に生じ得る駆動力配分の変化小のときにも、確実に運転者にコーナリングフォースの限界を知らせることができる。
以上、本発明の車両の駆動力配分制御装置を実施例1及び実施例2に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
実施例1,2では、操舵操作量検出手段として、操舵角を検出する操舵角センサの例を示したが、本発明でいう操舵操作量とは、運転者の操舵操作に伴い変化する操舵系操作量の上位概念であり、操舵角θに限らず、例えば、前輪の車輪速差やステアリングラックの移動量等としても良い。
実施例1では、操舵角絶対値|θ|が操舵角限界判定値θ1以下の領域では後輪トルクを付与しない例を示したが、後輪トルクの増大幅を確保することができれば、所定値以下の小さい値による後輪トルクを付与するような例としても良い。
実施例2では、操舵角絶対値|θ|が操舵角限界判定値θ1以下の領域では後輪トルクを操舵角に対する2次の線形特性により与える例を示したが、操舵角絶対値|θ|が操舵角限界判定値θ1以下の領域において、周知の前後輪駆動力配分制御を行い(例えば、前後輪回転速度差情報、車速情報、路面μ情報、アクセル開度情報、から1つ又は複数の情報を選択して前後輪駆動力配分比を設定する等)、操舵角絶対値|θ|が操舵角限界判定値θ1を超えると、それまでの前後輪駆動力配分制御に優先し、本発明の限界予知制御の介入を許可するような例としても良い。
実施例1,2では、前輪駆動ベースの四輪駆動車に対する適用例を示したが、後輪駆動ベースの四輪駆動車にも適用することができる。また、実施例1,2では、前後輪にそれぞれモータを有するハイブリッド四輪駆動車への適用例を示したが、例えば、左右後輪にそれぞれモータを有するハイブリッド四輪駆動車等にも適用できる。さらには、ハイブリッド四輪駆動車に限らず、主駆動源としてエンジンのみを搭載し、副駆動輪には、クラッチ等を介して駆動力を伝達する四輪駆動車にも適用できる。実施例1,2では、駆動力配分制御手段として、主駆動輪と副駆動輪のそれぞれの駆動源の駆動力を直接制御する例を示したが、従来技術に記載されているように、駆動系にトランスファクラッチや差動制限クラッチ等を備え、クラッチ締結力制御により前後輪駆動力配分を制御するものにも適用できる。
実施例1の駆動力配分制御装置が適用されたハイブリッド四輪駆動車を示す全体システム図である。 実施例1のコントローラにて実行される駆動力配分制御処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1の駆動力配分制御で用いられる操舵角限界判定値マップを示す図である。 実施例1の駆動力配分制御で操舵角絶対値が操舵角限界判定値を超えた場合に後輪に配分する第1の後輪トルク特性図である。 実施例1の駆動力配分制御で操舵角絶対値が操舵角限界判定値を超えた場合に後輪に配分する第2の後輪トルク特性図である。 2輪モデルと横滑り角の関係を示す図である。 タイヤの横滑り角とコーナリングフォースの関係を駆動力の大きさをパラメータとしてあらわした図である。 車速と路面摩擦係数に対するコーナリングフォース限界操舵角特性図である。 実施例1の駆動力配分制御(限界予知制御)でのコーナリングフォースの限界値をあらわすタイヤの横滑り角とコーナリングフォースの関係図である。 実施例2のコントローラにて実行される駆動力配分制御処理の流れを示すフローチャートである。 実施例2で用いられる常数Aと旋回指標値LBDとの関係を示すマップ図である。 実施例2で用いられる車速Vと不感帯Bとの関係を示すマップ図である。 線形特性による駆動力配分制御の基本概念を示す操舵角θと後輪トルク指令値TQDRとの関係特性図である。 常数Aと路面摩擦係数μとの関係特性を示す図である。 常数Aと旋回指標値LBDとの基本関係特性を示す図である。 車速Vと不感帯Bとの基本関係特性を示す図である。 実施例2での線形特性による駆動力配分制御を示す操舵角θと後輪トルク指令値TQDRとの関係特性図である。 実施例2での操舵角を横軸とし後輪トルクを縦軸としたときの線形特性による駆動力配分制御と本発明の限界予知制御との組み合わせ特性を示す図である。
符号の説明
1 エンジン(第1駆動源)
2F フロントモータ(第1駆動源)
2R リアモータ(第2駆動源)
3FL 左前輪タイヤ(主駆動輪)
3FR 右前輪タイヤ(主駆動輪)
3RL 左後輪タイヤ(副駆動輪)
3RR 右後輪タイヤ(副駆動輪)
4F フロントディファレンシャル
4R リアディファレンシャル
5F フロントトランスミッション
5R リアトランスミッション
6 車輪速センサ
7 操舵角センサ(操舵操作量検出手段)
8 横加速度センサ
9 車速センサ
10 アクセル開度センサ
11 コントローラ
12 強電バッテリ
13F フロントインバータ
13R リアインバータ

Claims (10)

  1. 前後輪のうち一方を主駆動輪とし他方を副駆動輪とし、前後輪の駆動力配分を制御する駆動力配分制御手段を備えた車両において、
    運転者の操舵操作量を検出する操舵操作量検出手段と、
    前輪タイヤの横滑り角によるコーナリングフォース限界に近い領域の操舵操作量限界判定値を設定する操舵操作量限界判定値設定手段と、設け、
    前記駆動力配分制御手段は、運転者の操舵操作量が操舵操作量限界判定値を上回ると、前記副駆動輪へ伝達される駆動力をステップ的に変動させるフィードフォワード制御を行うことを特徴とする車両の駆動力配分制御装置。
  2. 請求項1に記載された車両の駆動力配分制御装置において、
    前記操舵操作量限界判定値設定手段は、車速が高車速であるほど小さく、かつ、路面摩擦係数推定値が低路面摩擦係数を示すほど小さくなる値で設定することを特徴とする車両の駆動力配分制御装置。
  3. 請求項1または2に記載された車両の駆動力配分制御装置において、
    前記駆動力配分制御手段は、運転者の操舵操作量が操舵操作量限界判定値を上回って前記副駆動輪へ伝達される駆動力をステップ的に変動させた後、副駆動輪への駆動力を、操舵操作量の増減にかかわらず維持することを特徴とする車両の駆動力配分制御装置。
  4. 請求項1または2に記載された車両の駆動力配分制御装置において、
    前記駆動力配分制御手段は、運転者の操舵操作量が操舵操作量限界判定値を上回って前記副駆動輪へ伝達される駆動力をステップ的に変動させた後、副駆動輪への駆動力を、操舵操作量が大きくなるほど増加することを特徴とする車両の駆動力配分制御装置。
  5. 請求項1乃至4の何れか1項に記載された車両の駆動力配分制御装置において、
    車両は前輪を主駆動輪とする前輪駆動ベースの四輪駆動車であり、
    前記駆動力配分制御手段は、運転者の操舵操作量が操舵操作量限界判定値以下の領域において、前記副駆動輪へ伝達される駆動力を、操舵操作量にかかわらずゼロを含む所定以下に維持し、運転者の操舵操作量が操舵操作量限界判定値を上回ると、前記副駆動輪へ伝達される駆動力をステップ的に増大するフィードフォワード制御を実行することを特徴とする車両の駆動力配分制御装置。
  6. 請求項1乃至4の何れか1項に記載された車両の駆動力配分制御装置において、
    車両は前輪を主駆動輪とする前輪駆動ベースの四輪駆動車であり、
    前記駆動力配分制御手段は、運転者の操舵操作量が操舵操作量限界判定値以下の領域において、前記操舵操作量が大きくなるほど前記副駆動輪へ伝達される駆動力を線形特性により大きくするフィードフォワード制御を行い、運転者の操舵操作量が操舵操作量限界判定値を上回ると、前記線形特性による駆動力配分制御に優先し、前記副駆動輪へ伝達される駆動力をステップ的に変動させるフィードフォワード制御による限界予知制御の介入を許可することを特徴とする車両の駆動力配分制御装置。
  7. 請求項6に記載された車両の駆動力配分制御装置において、
    前記駆動力配分制御手段は、前記線形特性として2次以上の特性式にて与え、該2次以上の特性式の少なくとも最高次の係数は、走行中の路面摩擦係数に対する車両の横向き加速度相当値の比により決定される旋回指標値が設定指標値までは一定値で与え、設定指標値を超える領域では設定指標値の増加に対して上昇する特性で与えることを特徴とする車両の駆動力配分制御装置。
  8. 請求項7に記載された車両の駆動力配分制御装置において、
    前記2次以上の特性式は、操舵角に対し車速に応じた不感帯を設け、この不感帯は、車速が上昇するにしたがって小さくなる特性を有することを特徴とする車両の駆動力配分制御装置。
  9. 請求項6乃至8の何れか1項に記載された車両の駆動力配分制御装置において、
    前記駆動力配分制御手段は、運転者の操舵操作量が操舵操作量限界判定値を上回ることで限界予知制御が介入するとき、限界予知制御介入による駆動力配分の変化が少ないと、車載の報知手段により運転者へ限界領域であることを知らせることを特徴とする車両の駆動力配分制御装置。
  10. 請求項1乃至9の何れか1項に記載された車両の駆動力配分制御装置において、
    前記車両は、前輪を主駆動輪とし、後輪を副駆動輪とし、エンジンとモータの少なくとも一方により前輪を駆動する第1駆動源と、モータにより後輪を駆動する第2駆動源と、を備えた前輪駆動ベースのハイブリッド四輪駆動車であり、
    前記駆動力配分制御手段は、前記第2駆動源の駆動力を制御することで副駆動輪へ伝達される駆動力を制御することを特徴とする車両の駆動力配分制御装置。
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