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JP2006245753A - パラメトリックスピーカー - Google Patents

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JP2006245753A
JP2006245753A JP2005055738A JP2005055738A JP2006245753A JP 2006245753 A JP2006245753 A JP 2006245753A JP 2005055738 A JP2005055738 A JP 2005055738A JP 2005055738 A JP2005055738 A JP 2005055738A JP 2006245753 A JP2006245753 A JP 2006245753A
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Takashi Miki
敬 三木
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Oki Electric Industry Co Ltd
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Oki Electric Industry Co Ltd
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Abstract

【課題】 どのようなオーディオ信号に対しても、可聴帯域における誤差の少ないオーディオ復元信号を生成できるパラメトリックスピーカーを提供する。
【解決手段】 超音波振動子907から発生される超音波によって復元されるオーディオ復元信号を算出する復元信号算出手段110と、オーディオ復元信号とオーディオ信号との誤差信号を求める誤差信号算出手段106と、誤差信号の中から、聴覚心理モデルマスキングを通過した可聴誤差信号を抽出する可聴誤差信号抽出手段107と、オーディオ信号から可聴誤差信号を減算して、変調信号を生成するための補正オーディオ信号を算出する可聴誤差信号減算手段108とを備えたものである。
【選択図】 図1

Description

本発明は、超音波に対する空気の非線形性を利用したパラメトリックスピーカーに関する。
従来、指向性の高いスピーカーシステムとして、超音波に対する空気の非線形性を利用したパラメトリックスピーカーシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。その原理は、厳密には流体力学を解く必要があるが、超音波に対する空気の非線形相互作用はパラメトリック相互作用として知られている。
図5は、パラメトリックスピーカーの原理を説明する図である。ここで図5を用いてパラメトリックスピーカーの原理を簡単に説明する。スピーカーや超音波振動子等の音源10000から1次音波として2つの異なる周波数F1、F2を持った音波を出力した場合、両音波が空気中を伝搬する過程で空気の非線形性により両音波に相互作用が生じ、その差成分(F2−F1)の音波と和成分(F2+F1)の音波が生じる。この相互作用は、一般的にパラメトリック相互作用として知られている。
F1とF2が可聴領域を遙かに超えた超音波周波数である場合、1次音波は人にとっては音として聞こえないが、差成分(F2−F1)が可聴周波数帯域内であると、この差成分(F2−F1)が2次音波として聞こえる現象が起こる。ここで生成された2次音波の指向性は1次音波の指向性に近いものとなるため、1次音波として鋭い指向性を持つ超音波を用いることにより可聴音である2次音波にも鋭い指向性を持たせることができる。
パラメトリック相互作用を利用したスピーカーシステムでは、空気中の非線形性による復元作用で生成された2次音波が、元のオーディオ信号f(t)となるような信号を超音波振動子から放出する必要がある。ここで、バークテイ(Barktay)によるパラメトリック音響アレイに対する遠距離音場解によると、2次音波p(t)は以下の式に示されるように、1次音波の包絡線(エンベロープともいう)E(t)の2乗を時間で2階微分したものに比例する。
Figure 2006245753
オーディオ信号f(t)で超音波搬送波sinωt(ωは搬送波周波数)を振幅変調した場合、その包絡線E(t)は以下の式で表される。
Figure 2006245753
ここでmは、AM変調度を表す。
2次音波p(t)がf(t)になるようにするためには、上記の式(1)を考慮すると以下に示す式(3)のような包絡線E(t)が必要となる(例えば、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5参照)。
Figure 2006245753
特公平5−82799号公報(第1頁、図1、図7) 特開2000−50387号公報(第11頁) 特開2001−25081号公報(第2頁) 特開2003−299180号公報(第3頁) 特表2003−507982号公報(第18頁)
従来のパラメトリックスピーカーでは(例えば、特許文献2、特許文献3、特許文献4参照)、一般的に上記の式(3)における平方根の演算を以下に示すようなべき級数に展開して行うが、このとき2つの課題が発生する。
Figure 2006245753
1つ目の課題は、上記の式(4)に示すようなべき級数展開を行うと、元のオーディオ信号の帯域幅を大きく拡大することになり、そのような広帯域幅の信号を効率よく出力する超音波振動子は実現が困難であることである。
2つ目の課題は、このような広帯域幅の信号で振幅変調を行うと、1次音波の下側帯域が可聴周波数帯域に入ってしまい、それが歪みとして聞こえてしまうということである。
上記のような課題を解決する手段として、超音波搬送波の周波数を高い周波数に設定することが考えられるが、それによって新たな2つの課題が発生する。
1つ目は、そのような超高周波成分は空気中での減衰が著しく、音量を確保するのが困難であるということである。
2つ目は、そのような超高周波振動を持つエネルギーは空気中で低いレベルで飽和してしまうため、空気中の減衰に打ち勝つような強い音圧を物理的に出せないことである。
上記のような課題について、別の解決方法も提案されている。1つは上記の式(2)の変調度mを小さくすることである。このようにmを小さくすると上記のE(t)で振幅変調したときの歪みも小さくなる。しかし、変調度mを小さくすると、2次音波p(t)も小さくなってしまうという問題点があった。
その他の解決方法として、上記の式(3)のような平方根演算を使わない単側帯波(SSB、Single Side Band)を使用する方法も提案されている(例えば、特許文献4参照)。この方法では、周波数帯域を減らすことができるが、音質低下を伴うという問題点があった。
このため、パラメトリック相互作用による2次音波p(t)を式(1)あるいは類似の演算によって擬似的に算出し、元のオーディオ信号との誤差信号を求め、誤差を補正するような補正信号を反復的に計算する手法が提案されている(例えば、特許文献5参照)。
しかしこの手法では、どのような誤差成分を取り除いてどのような誤差成分をそのまま許容するかの判断基準が設けられていないため、誤差信号が十分に除去できなかった場合に、聴覚上ほとんど問題にならない誤差成分を取り除く一方で、聴覚上はっきりと聞き取れる誤差成分をそのまま残してしまうことがあるという問題点があった。
本発明に係るパラメトリックスピーカーは、可聴帯域のオーディオ信号から生成された変調信号で、少なくとも可聴帯域より高い周波数帯域の超音波信号を振幅変調する振幅変調手段と、振幅変調された超音波信号によって駆動される超音波振動子を備えたパラメトリックスピーカーであって、超音波振動子から発生される超音波によって復元されるオーディオ復元信号を算出する復元信号算出手段と、オーディオ復元信号とオーディオ信号との誤差信号を求める誤差信号算出手段と、誤差信号の中から、聴覚心理モデルマスキングを通過した可聴誤差信号を抽出する可聴誤差信号抽出手段と、オーディオ信号から可聴誤差信号を減算して、変調信号を生成するための補正オーディオ信号を算出する可聴誤差信号減算手段とを備えたものである。
本発明に係るパラメトリックスピーカーは、上記のように聴覚心理モデルマスキングを通過した可聴誤差信号を抽出する可聴誤差信号抽出手段などを備えているため、どのようなオーディオ信号に対しても、空気中の減衰や歪み等を抑制できる適当な周波数帯域の搬送波を用いて、可聴帯域における誤差の少ないオーディオ復元信号を生成できるものである。
実施形態1.
図1は、本発明の実施形態1に係るパラメトリックスピーカーのシステム構成を示す図である。以下、図1を参照しながら本実施形態1に係るパラメトリックスピーカーのシステム構成及び変調方法について説明する。
まず、音楽等のオーディオ信号X(t)が本実施形態1に係るパラメトリックスピーカーに入力されると、聴覚心理モデルマスキング曲線生成部100はオーディオ信号X(t)を入力として聴覚心理モデルをあてはめたマスキング曲線M(ω)を算出する。聴覚心理モデルによるマスキング曲線M(ω)は、例えばMPEGのオーディオコーデック処理に準じて算出することができる。この処理については、ISO/IEC、11172−3、”Coding of Moving Picture and Associated Audio for Digital Storage Media at up to about 1.5Mb/s−Part3”、Aug.1993、或いは、J.D.Johnston著、”Estimation of Perceptual Entropy Using Noise Masking Criteria”、ICASSP、1988、A1.9、pp2524−2527等を参照されたい。
またオーディオ信号X(t)は、補正信号生成部120にも入力される。補正信号生成部120には、2重積分フィルタ101、平方根演算器102、バンドパスフィルタ103、2乗演算器104、2次微分フィルタ105、誤差信号算出手段106、可聴誤差信号抽出手段107が設けられている。なお2乗演算器104と2次微分フィルタ105は、復元信号算出手段110を構成している。また誤差信号算出手段106は、例えば加算器から構成されている。
さらにオーディオ信号X(t)は可聴誤差信号減算手段108にも入力され、可聴誤差信号減算手段108は、オーディオ信号X(t)から可聴誤差信号抽出手段107で抽出された可聴誤差信号e’1(t)を減算する。なお可聴誤差信号減算手段108は、例えば加算器から構成されている。
2重積分フィルタ201、平方根演算器202、バンドパスフィルタ203、2乗演算器204、2次微分フィルタ205、誤差信号算出手段206、可聴誤差信号抽出手段207は可聴誤差信号減算手段108によって生成された補正オーディオ信号X1(t)に対して補正信号生成部120と同様の処理を行うものであり、その構成もオーディオ信号生成部120と同様である。可聴誤差信号減算手段208は、可聴誤差信号減算手段108によって生成された補正オーディオ信号X1(t)から可聴誤差信号抽出手段207で抽出された可聴誤差信号e’2(t)を減算する。
本実施形態1では、補正信号生成部120と同様の処理部がn個(nは自然数)あるものとし、上記のような処理がn回繰り返されるものとする。なおこのn個の処理部は、例えば1つのソフトウェアで構成することができる。
上記のような処理がn回繰り返されることにより算出された補正オーディオ信号Xn(t)は順次、2重積分フィルタ901、平方根演算器902、バンドパスフィルタ903に入力される。さらにバンドパスフィルタ903を通過した信号は、超音波振動子補正フィルタ904により補正されて変調器905に入力され、変調器905は超音波キャリア発生器906で生成された超音波信号C(t)を、超音波振動子補正フィルタ904で生成された変調信号で振幅変調する。最後に、振幅変調された超音波信号は超音波振動子907によって圧力波(超音波)として空気中に放出される。
ここで本実施形態1に係るパラメトリックスピーカーの変調方法について詳しく説明する。
オーディオ信号X(t)が本実施形態1に係るパラメトリックスピーカーに入力されると、上記のように聴覚心理モデルマスキング曲線生成部100はオーディオ信号X(t)を入力として聴覚心理モデルをあてはめたマスキング曲線M(ω)を算出する。
一方、補正信号生成部120に入力されたオーディオ信号X(t)は、まず2重積分フィルタ101で、式(3)に示すような時間についての2重積分を施される。そして平方根演算器102は、この2重積分後の信号に対して式(3)に示すような平方根演算を行う。このとき、平方根演算を施された信号は周波数帯域が大きく拡がる(理論的には無限に拡がる)ため、バンドパスフィルタ103によって予め定められた周波数帯域制限をかけられる。具体的な周波数帯域制限の設定方法については、変調器905による超音波変調処理の後の下側側帯波が可聴周波数帯域にかかることを防止する下限カットオフ周波数や、超音波振動子907の特性制約を考慮した上限及び下限カットオフ周波数を考慮して決めればよい。
バンドパスフィルタ103によって周波数帯域制限をかけられた信号は、復元信号算出手段110に入力され、この信号に基づいて復元信号算出手段110は、超音波振動子907から放射された超音波からパラメトリック相互作用によって生成される2次音波p(t)(オーディオ復元信号)を擬似的に算出する。具体的には、2乗演算器104は式(1)におけるE2(t)を算出し、2次微分フィルタ105は式(1)における時間についての2階微分を行う。本実施形態1では、上記のバークテイによるパラメトリック音響アレイに対する遠距離音場解を用いて2次音波p(t)を擬似的に算出している(式(1)参照)。
なお本実施形態1では、上記のバークテイによるパラメトリック音響アレイに対する遠距離音場解を用いて2次音波p(t)を算出しているが、例えば他の演算式を用いて2次音波p(t)を算出してもよいし、或いは復元信号算出手段110の代わりにマイク等の集音器を設けて、実際に空気中を伝搬した超音波によって復元された信号を集音し、その信号をオーディオ復元信号として用いるようにしてもよい。
誤差信号算出手段106は、復元信号算出手段110で算出された2次音波p(t)(オーディオ信号X(t)に誤差信号e1(t)が加わったもの)からオーディオ信号X(t)を減算して誤差信号e1(t)を算出する。
この誤差信号e1(t)は可聴誤差信号抽出手段107に入力され、可聴誤差信号抽出手段107は誤差信号e1(t)と聴覚心理モデルマスキング曲線M(ω)とを比較して、誤差信号e1(t)の中の可聴信号のみを取り出し、可聴誤差信号e’1(t)を求める処理を行う。この聴覚心理モデルマスキング処理は、上述のように例えばMPEGのオーディオコーデック処理に準じて容易に行うことができる。
なお可聴誤差信号e’1(t)の抽出方法として、聴覚上感じられる信号をすべて可聴誤差信号とすることも考えられるが、聴覚上の重要度に応じて重みを掛けて誤差成分の取捨選択を行うことも考えられる。このような変更方法は、MP3、MPEG等の低ビット音声コーデック処理に準じて容易に行うことができる。
可聴誤差信号減算手段108は、オーディオ信号X(t)から補正信号生成部120で求められた可聴誤差信号e’1(t)を減算することにより、補正オーディオ信号X1(t)を算出する。
以下、2重積分フィルタ201から可聴誤差信号減算手段208までは、オーディオ信号X(t)を補正オーディオ信号X1(t)に置き換えて、再度2重積分フィルタ101から可聴誤差信号減算手段108と同様の処理を繰り返すことにより、2回目の補正オーディオ信号X2(t)を求める。なお2重積分フィルタ201から可聴誤差信号減算手段208までは、2重積分フィルタ101から可聴誤差信号減算手段108までの構成要素に対応したものである。
この一連の処理をn回繰り返すことにより、n回目の補正オーディオ信号Xn(t)を算出する。なおnの値については、例えば可聴誤差信号の低減率{P(e’n-1(t))−P(e’n(t))}/P(e’n-1(t))がある一定以下になるまで繰り返すようにし、nの値を固定しないようにしてもよい。
上記のように算出された補正オーディオ信号Xn(t)は、2重積分フィルタ901に入力され、2重積分フィルタ101と同様に時間についての2重積分を施される。そして平方根演算器102と同様に、平方根演算器902で平方根演算を施され、バンドパスフィルタ903で周波数帯域制限が行われる。
2重積分フィルタ901からバンドパスフィルタ903までの処理が施された信号は、超音波振動子補正フィルタ904に入力される。超音波振動子補正フィルタ904はこの信号に対して、所望の帯域で望ましい周波数応答特性を得るために超音波振動子907の周波数応答性を補正する。具体的な超音波振動子補正フィルタ904の設定は、超音波振動子907の周波数応答性を測定し(便宜的にはカタログ等のスペックを用いても良い)、その逆特性を実現するフィルタ係数h-1(t)を算出すればよい。原理的には、インパルスレスポンス応答h(t)の逆応答h-1(t)を求めることになる。超音波振動子補正フィルタ904の具体的な演算は、バンドパスフィルタ903の出力信号とh-1(t)との畳み込み演算である。
超音波振動子補正フィルタ904で生成された変調信号は変調器905に入力され、変調器905は超音波キャリア発生器906で生成された超音波信号C(t)を、超音波振動子補正フィルタ904で生成された変調信号で振幅変調する。なおここでの変調方法としては、両側側帯波を用いたAM振幅変調や、片側側帯波を用いたSSB変調等がある。
最後に、振幅変調された超音波信号は超音波振動子907に入力され、超音波振動子907によって圧力波(超音波)として空気中に放出される。
なお超音波信号C(t)の周波数は、可聴領域よりもかなり高く設定する必要があり、一般的には32kHzから200kHzの範囲で設定されるが、200kHz以上の周波数では空気中の減衰が大きくなるため望ましくない。逆に周波数が低すぎる場合には、振幅変調された超音波信号の一部の成分が可聴周波数帯域に入ってしまったり、超音波搬送波を聞き取れる動物への影響が大きくなるおそれがあるため、40kHzから100kHzに設定されることが多い。
本実施形態1に係るパラメトリックスピーカーは、聴覚心理モデルマスキングを通過した可聴誤差信号を抽出する可聴誤差信号抽出手段107などを備えているため、どのようなオーディオ信号に対しても、空気中の減衰や歪み等を抑制できる適当な周波数帯域の搬送波を用いて、可聴帯域における誤差の少ないオーディオ復元信号を生成できる。
また高周波の超音波を使用する必要がないため、変調度を高く設定して音変換効率を上げても音質が劣化せず、超音波振動子907のサイズを小さくしたり個数を減らすことによってコンパクトなスピーカーシステムを実現することができる。
実施形態2.
図2は、本発明の実施形態2に係るパラメトリックスピーカーのシステム構成を示す図である。本実施形態2に係るパラメトリックスピーカーは、実施形態1に係るパラメトリックスピーカーの平方根演算器(図1における平方根演算器102、平方根演算器202、平方根演算器902等)を省略したものであり、それ以外のシステム構成及び変調方法については実施形態1に係るパラメトリックスピーカーと同様であり、説明を省略する。
平方根演算器を省略する理由は、平方根の演算によって元のオーディオ信号X(t)の帯域幅が大きく拡がるため、直接平方根演算を行わず、その代わりに補正信号生成部1120で求められたe’n(t)で繰り返し補正処理を行うことで聴覚上重要な部分について平方根演算と同様の効果を得るようにしているためである。
本実施形態2では、狭帯域の変調信号を生成できるため、広帯域の超音波振動子1907を用いる必要がなく、音質を維持したまま簡便なシステム構成で低コストのパラメトリックスピーカーを実現することができる。その他の効果については、実施形態1に係るパラメトリックスピーカーと同様である。
実施形態3.
図3は、本発明の実施形態3に係るパラメトリックスピーカーのシステム構成を示す図である。本実施形態3に係るパラメトリックスピーカーは、実施形態2に係るパラメトリックスピーカーの補正処理を、主に周波数領域で行うようにしたものであり、それ以外の部分については実施形態2に係るパラメトリックスピーカーとほぼ同様である。
音楽等のオーディオ信号X(t)は、まずFFT(ファスト・フーリエ変換)部3001に入力され、周波数領域の信号S(ω)に変換される。この周波数領域に変換されたオーディオ信号S(ω)は聴覚心理モデルマスキング曲線生成部3100に入力され、聴覚心理モデルマスキング曲線生成部3100はS(ω)から聴覚心理モデルをあてはめたマスキング曲線M(ω)を算出する。
一方、補正信号生成部3120に入力された信号S(ω)は、重み付け部3101で時間についての2重積分と等価な処理を周波数軸上で施される。なお重み値テーブル3102には、時間についての2重積分演算に対応する周波数軸上の演算1/ω2が格納されており、重み付け部3101はこれを用いて重み付けを行う。
重み付けが施された信号は、IFFT(逆ファスト・フーリエ変換)部3103で周波数領域の信号から時間軸領域の信号に変換される。
そして時間軸領域の信号に変換された信号は復元信号算出手段3110に入力され、この信号に基づいて復元信号算出手段3110は、超音波振動子3907から放射された超音波からパラメトリック相互作用によって生成される2次音波(オーディオ復元信号)を擬似的に算出する。具体的には、2乗演算器3104は式(1)におけるE2(t)を算出し、2次微分フィルタ3105は式(1)における時間についての2階微分を行う。本実施形態3では、上記のバークテイによるパラメトリック音響アレイに対する遠距離音場解を用いて2次音波p(t)を擬似的に算出している(式(1)参照)。
誤差信号算出手段3106は、復元信号算出手段3110で算出された2次音波p(t)(オーディオ信号X(t)に誤差信号e1(t)が加わったもの)からオーディオ信号X(t)を減算して誤差信号e1(t)を算出する。
そしてこの誤差信号e1(t)は、FFT部3107で周波数領域の信号e1(ω)に変換される。
この誤差信号e1(ω)は可聴誤差信号抽出手段3108に入力され、可聴誤差信号抽出手段3108は誤差信号e1(ω)と聴覚心理モデルマスキング曲線M(ω)とを比較して、誤差信号e1(ω)の中の可聴信号のみを取り出し、可聴誤差信号e’1(ω)を求める処理を行う。
可聴誤差信号減算手段3109は、周波数領域に変換されたオーディオ信号S(ω)から補正信号生成部3120で求められた可聴誤差信号e’1(ω)を減算することにより、周波数領域の補正オーディオ信号S1(ω)を算出する。
以下、2重積分フィルタ3201から可聴誤差信号減算手段3209までは、周波数領域に変換されたオーディオ信号S(ω)を周波数領域の補正オーディオ信号S1(ω)に置き換えて、再度2重積分フィルタ3101から可聴誤差信号減算手段3109と同様の処理を繰り返すことにより、2回目の周波数領域の補正オーディオ信号S2(ω)を求める。なお2重積分フィルタ3201から可聴誤差信号減算手段3209までは、2重積分フィルタ3101から可聴誤差信号減算手段3109までの構成要素に対応したものである。
この一連の処理をn回繰り返すことにより、n回目の周波数領域の補正オーディオ信号Sn(ω)を算出する。
上記のように算出された周波数領域の補正オーディオ信号Sn(ω)は、重み付け部3901に入力され、重み付け部3101と同様に、時間についての2重積分と等価な処理を周波数軸上で施される。なお重み値テーブル3902には、時間についての2重積分演算に対応する周波数上の重み値が格納されており、重み付け部3901はこれを用いて重み付けを行う。また重み値テーブル3902に格納された重み値は、超音波振動子補正フィルタ3904に格納された超音波振動子3907の逆応答h-1(t)が乗算されることにより補正されている。具体的な超音波振動子補正フィルタ3904の設定は、実施形態1と同様に行うことができる。
重み付け部3901で重み付けされた信号は、IFFT部3903で周波数領域の信号から時間軸領域の信号に変換される。
IFFT部3903で生成された変調信号は変調器3905に入力され、変調器3905は超音波キャリア発生器3906で生成された超音波信号C(t)を、IFFT部3903で生成された変調信号で振幅変調する。
最後に、振幅変調された超音波信号は超音波振動子3907に入力され、超音波振動子3907によって圧力波(超音波)として空気中に放出される。
本実施形態3では、実施形態2と同様に狭帯域の変調信号を生成できるため、広帯域の超音波振動子3907を用いる必要がなく、音質を維持したまま簡便なシステム構成で低コストのパラメトリックスピーカーを実現することができる。
また聴覚心理モデルマスキング処理と同じ周波数領域で演算処理を行うため、演算量が少なくなり、設計の自由度が向上する。さらにMP3のようなデジタル圧縮符号化された音声を処理する場合には、演算量を大幅に削減することが可能となる。その他の効果については、実施形態1に係るパラメトリックスピーカーと同様である。
実施形態4.
図4は、本発明の実施形態4に係るパラメトリックスピーカーのシステム構成を示す図である。本実施形態4に係るパラメトリックスピーカーは、実施形態1に係るパラメトリックスピーカーに通常のスピーカーを設け、このスピーカーによって可聴誤差信号の中の、オーディオ信号X(t)に対して不足しているスペクトル成分を追加再生するものである。それ以外のシステム構成及び変調方法については実施形態1に係るパラメトリックスピーカーと同様であり、説明を省略する。
本実施形態4では、実施形態1と同様に算出された補正オーディオ信号Xn(t)に対して2重積分フィルタ4991から誤差信号算出手段4996までの処理を行って、誤差信号en+1(t)を算出する。そして可聴誤差信号抽出手段4997は、誤差信号en+1(t)と聴覚心理モデルマスキング曲線M(ω)とを比較して、可聴範囲内で且つ元のオーディオ信号X(t)に対して不足しているスペクトル成分のみを取り出しe’n+1(t)とする。
そして、このe’n+1(t)は、通常のスピーカー4998によって音に変換される。通常のスピーカー4998による音成分と、超音波振動子4907から放射されパラメトリック相互作用によって復調された音成分が合わさることにより忠実な音の再生が可能となる。
本実施形態4では、通常のスピーカーによって可聴範囲内で且つ元のオーディオ信号X(t)に対して不足しているスペクトル成分e’n+1(t)を追加再生するため、極めて忠実な音の再生が可能となる。また通常のスピーカー4998からの音成分は最小限の音量となっているため、パラメトリックスピーカーの特徴である指向性、秘話性は高いレベルで維持することができる。その他の効果については、実施形態1に係るパラメトリックスピーカーと同様である。
なお本発明に係るパラメトリックスピーカーは、上記の実施形態に限定されるものではなく、発明の思想の範囲内において変更することができる。例えば、補正オーディオ信号の算出は複数回行う必要はなく1回のみにしてもよい。
実施形態1に係るパラメトリックスピーカーのシステム構成を示す図。 実施形態2に係るパラメトリックスピーカーのシステム構成を示す図。 実施形態3に係るパラメトリックスピーカーのシステム構成を示す図。 実施形態4に係るパラメトリックスピーカーのシステム構成を示す図。 パラメトリックスピーカーの原理を説明する図。
符号の説明
100 聴覚心理モデルマスキング曲線生成部、101 2重積分フィルタ、102 平方根演算器、103 バンドパスフィルタ、104 2乗演算器、105 2次微分フィルタ、106 誤差信号算出手段、107 可聴誤差信号抽出手段、108 可聴誤差信号減算手段、901 2重積分フィルタ、902 平方根演算器、903 バンドパスフィルタ、904 超音波振動子補正フィルタ、905 変調器、906 超音波キャリア発生器、907 超音波振動子、10000 音源。

Claims (8)

  1. 可聴帯域のオーディオ信号から生成された変調信号で、少なくとも可聴帯域より高い周波数帯域の超音波信号を振幅変調する振幅変調手段と、前記振幅変調された超音波信号によって駆動される超音波振動子を備えたパラメトリックスピーカーであって、
    前記超音波振動子から発生される超音波によって復元されるオーディオ復元信号を算出する復元信号算出手段と、
    前記オーディオ復元信号と前記オーディオ信号との誤差信号を求める誤差信号算出手段と、
    前記誤差信号の中から、聴覚心理モデルマスキングを通過した可聴誤差信号を抽出する可聴誤差信号抽出手段と、
    前記オーディオ信号から前記可聴誤差信号を減算して、前記変調信号を生成するための補正オーディオ信号を算出する可聴誤差信号減算手段と
    を備えたことを特徴とするパラメトリックスピーカー。
  2. 前記復元信号算出手段は、前記オーディオ復元信号が、前記超音波が空気中を伝搬するときの非線形性によるパラメトリック相互作用によって復元されるものとして、前記オーディオ復元信号を算出することを特徴とする請求項1記載のパラメトリックスピーカー。
  3. 前記復元信号算出手段は、前記オーディオ復元信号をp(t)、前記振幅変調された超音波の包絡線をE(t)として、
    Figure 2006245753
    の式を用いて、前記オーディオ復元信号を算出することを特徴とする請求項2記載のパラメトリックスピーカー。
  4. 前記補正オーディオ信号から前記変調信号を生成するための二重積分処理手段と平方根演算手段、及びバンドパスフィルターとを備え、該バンドパスフィルターは、前記超音波振動子から発生される超音波が可聴帯域に入らないように、前記二重積分処理手段と前記平方根演算手段によって算出された信号に対して帯域制限を行うことを特徴とする請求項3記載のパラメトリックスピーカー。
  5. 可聴帯域のオーディオ信号から生成された変調信号で、少なくとも可聴帯域より高い周波数帯域の超音波信号を振幅変調する振幅変調手段と、前記振幅変調された超音波信号によって駆動される超音波振動子を備えたパラメトリックスピーカーであって、
    前記超音波振動子から発生される超音波によって復元されるオーディオ復元信号と前記オーディオ信号との誤差信号を求める誤差信号算出手段と、
    前記誤差信号の中から、聴覚心理モデルマスキングを通過した可聴誤差信号を抽出する可聴誤差信号抽出手段と、
    前記オーディオ信号から前記可聴誤差信号を減算して、前記変調信号を生成するための補正オーディオ信号を算出する可聴誤差信号減算手段とを備え、
    前記誤差信号算出手段は、空気中を伝搬した超音波によって復元され、集音器で集音された信号を前記オーディオ復元信号として用いることを特徴とするパラメトリックスピーカー。
  6. 前記振幅変調手段は、前記超音波信号を振幅変調するときに、前記変調信号を用いて前記超音波振動子から1つの側帯波を発生させることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のパラメトリックスピーカー。
  7. 通常のスピーカーを備え、該通常のスピーカーは、前記可聴誤差信号の中で、前記オーディオ信号に対して不足しているスペクトル成分を追加再生することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のパラメトリックスピーカー。
  8. 復元信号算出手段、前記誤差信号算出手段、前記可聴誤差信号抽出手段及び前記可聴誤差信号減算手段は、前記オーディオ復元信号を算出し、前記可聴誤差信号を減算された補正オーディオ信号に残った誤差信号を求め、該誤差信号の中から可聴誤差信号を抽出し、該可聴誤差信号を前記補正オーディオ信号から減算する操作を繰り返すことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のパラメトリックスピーカー。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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RU2569914C2 (ru) * 2010-07-22 2015-12-10 Конинклейке Филипс Электроникс Н.В. Возбуждение параметрических громкоговорителей

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