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JP2006242618A - 組織fish法によるテロメア量を指標とした癌の診断 - Google Patents

組織fish法によるテロメア量を指標とした癌の診断 Download PDF

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Makoto Kamimori
眞 神森
Kaiyo Takubo
海誉 田久保
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Abstract

【課題】特別な訓練を受けた病理医を必要としない、優れた癌の診断方法を開発する。
【解決手段】組織FISH法を用いて、テロメアとセントロメアに対し特異的に結合する蛍光標識プローブでハイブリダイズし、両者の相対的な蛍光量比(T/CR)を求め、正常組織と癌組織のT/CRを比較解析することにより正常組織と癌組織を鑑別する。
【選択図】図1

Description

本発明は、正常組織と癌組織との鑑別方法に関し、詳しくは検体中のテロメア量の相対値を測定することにより正常組織と癌組織とを鑑別する癌の診断方法に関する。
癌の診断は多くの方法により行われているが、最終的に病理医(日本病理学会認定病理医)による病理診断により確定する(確定診断)。病理診断は、熟練した臨床検査技師が光学顕微鏡用組織切片を作り、病理医が顕微鏡下に癌と正常細胞を観察し、両者の形態の差異により行う。しかし、癌の組織像は発生臓器により異なり、きわめて多彩であるために両者の鑑別は困難なことが多い。また病理医自体の数もごく少数である。そこで、多くの生物学的マーカーによる診断法が行われているが不十分で、最終的には病理医の病理組織診断を凌駕する診断方法は考えられていない。
また、病理医による形態学的診断では、進行癌では正常組織との形態学的所見のへだたりが大きく、診断(すなわち正常と癌の区別)が容易であるが、きわめて初期の癌や早期癌では正常組織との病理組織学的差異が小さく診断が困難である。
一方、染色体末端に存在するテロメア(telomere)は細胞分裂のたびに200塩基対ずつ短縮する。テロメアが一定以上の長さを維持することで、テロメア同士の癒合や再構築などを予防し、染色体内の遺伝子の恒常性の維持に関与していると考えられている。テロメアの細胞分裂毎の短縮は、末端複製問題(replication of linear chromosomes presents a special problem)として説明される。これは複製の鋳型となる一本鎖のテロメアDNA(TTAGGG)の3'末端より相補的な塩基配列(CCCTAA)が5'末端から3'末端側に複製されるときに、細胞分裂毎に相補鎖側の最後の5'末端部分が複製されないために生じると考えられている。このように、体細胞では分裂のたびにテロメアは短縮するが、無限ともいうべき細胞分裂を必要とする生殖細胞や血液幹細胞では、おもにテロメアを伸長させるタンパク質テロメレースによりテロメアの伸展、維持がはかられている。
テロメア長の調節がどのように行われているのかについては未解明の部分が多く、現在も研究が進行中である。新しいテロメア長の測定法として、定量的蛍光in situハイブリダイゼーション法(Quantitative Fluorescent In Situ Hybridization:Q−FISH法)が、1996年にカナダのBC Cancer CenterのLansdorp教授らによって開発された(非特許文献2、3)。Q−FISH法を用いると、培養細胞を用いて細胞分裂中期の染色体個々のテロメア長測定を、従来のサザンブロット法よりも正確に行うことができる。
Q−FISH法では、培養細胞で細胞分裂中期の細胞を強制的に作製し、これを収穫しプレパラート上に細胞を散布する。次に、このプレパラートをテロメアでラベルされたPNA(Peptide Nucleic Acid:ペプチド核酸)プローブを用いてハイブリダイズし、蛍光顕微鏡で撮影した後、テロメアの光度を画像解析器にかけ、テロメア解析ソフトを用いてテロメア長を測定する。
さらに、2002年頃より、Lansdorp教授らのQ−FISH法を応用発展させた、組織切片におけるテロメア量の測定法(組織FISH法)が開発された(非特許文献4)。この組織FISH法では、すでに作られたパラフィンブロックより起こすことができ、特異的結合性の高いPNAプローブを用いるためにパラフィン切片上における細胞ごとのテロメア量の測定が可能であり、正常細胞や癌細胞におけるそれぞれのテロメア量が求められる。テロメアの量は、細胞分裂中期のテロメアシグナルとセントロメアシグナルの光度比によって求められる。
また、多くの癌組織(約90%)はテロメレースを発現するが、細胞増殖に伴う細胞分裂回数の増加がより激しいために正常組織に比べてテロメア長が短縮することが知られている。一方、老化の原因の一つとして、テロメアがある一定以上の長さ以下に短くなると、老化細胞となり細胞増殖が停止する。培養細胞や癌組織を用いて、Q−FISH法を用いた研究により、テロメア短縮が染色体内の遺伝子の不安定性を増加させることが証明されている(非特許文献1)。
セントロメア(centromere:動原体ともいう)は、有糸分裂時に紡錘体が結合し、極への移動に際し重要な役割を演じる染色体の部分であり、染色体が有糸分裂により分配されるのに必要なDNA配列により構成される。ヒトでは、約170塩基対のアルフォイド配列(アルファサテライト配列ともいう)が数百キロ塩基対から数メガ塩基対にわたって直鎖繰返し配列をつくってセントロメアのDNA配列を構成する。アルフォイド配列に特異的に結合するタンパク質CENP−A、−B、−Cその他のタンパク質が複合体を作りヒト動原体として機能する。
O'Sullivan, J. N .et al, Nature Genet., 32: 280-284, 2002 Lansdorp, P. M. et al, Hum. Mol. Genet., 5: 685-691, 1996 「Q-FISHを用いたテロメア長測定法」クロマチン・染色体実験プロ トコール、186-193、羊土社、神森眞、田久保海誉 著 神森 眞, 田久保海誉, テロメア研究最近の進歩, 老年医学, 41:365-368, 2004
解決しようとする課題は、特別な訓練を受けた病理医を必要としない、優れた癌の診断方法を開発することである。
上記課題を解決するために、本発明者らは、癌細胞とテロメア短縮との関係に着目し、これを癌の診断に応用できるのではないかと考えた。しかし、テロメア長の測定法のゴールデンスタンダードであるサザンブロット法では、異なる細胞からのDNAの混在と測定値の誤差が大きく、これを診断に応用することはできなかった。
そこで、本発明者らは、組織中の細胞ごとのテロメア量の測定に適した組織FISH法を応用して、細胞ごとのテロメア量を求めることにより癌の診断ができるのではないかと考えた。前述のように、組織FISH法では、組織切片上でテロメアとセントロメアに対する蛍光標識特異的プローブをテロメアとセントロメアに結合させ、その蛍光量比からテロメアとセントロメアの比を求め、テロメアシグナルとセントロメアシグナルの比によってテロメア量を相対的に求めることができる。
本発明者らは、多くの組織において細胞ごとのテロメア測定を行うことにより、正常細胞と癌細胞には明らかなテロメア量の差があることを見出し、テロメア量を指標として両者を鑑別する方法をさらに検討した。
詳しくは、病理診断用の4〜6μmの厚さの組織切片を用いて、蛍光色素(Cy3, FITC, Cy5等)で標識したテロメアとセントロメアに対するPNAプローブ(テロメアとセントロメアに特異的に結合する)でハイブリダイズし、両者の相対的光量、つまりT/CR(Telomere/Centromere Ration:テロメアシグナル/セントロメアシグナルの比)を求めてみると、癌組織と非癌組織のT/CRの分布は全く異なることを見出した。
すなわち、T/CRの分布のパターンは、癌ではほぼすべての細胞(90%以上)のT/CRが1.0未満であるが、正常では2〜5までに広く分布する。癌細胞のT/CRの分布のピーク値は0.5程度で1.0をこえることはないが、正常では1.0程度である。T/CRの平均値は、癌細胞では1以下であることがほとんどであるが、正常では2以上である。
このように、本発明者らは、癌組織と非癌組織のT/CRの分布がはっきりと異なることから、T/CRを指標として正常組織と癌組織を鑑別できることを見出し、本発明の完成に至った。
従って、本発明者らは以下の発明を提供する。
(1)被験者より採取した検体中のテロメア量のセントロメア量に対する相対値を測定することを特徴とする、正常組織と癌組織を鑑別する方法。
(2)前記(1)の方法において、前記テロメア量のセントロメア量に対する相対値が、組織FISH法によるテロメアとセントロメアの蛍光標識シグナルの相対的光量(T/CR)として測定される方法。
(3)以下の工程を含む、組織FISH法を用いた、正常組織と癌組織との鑑別方法:
(a)ある組織から採取した癌が疑われる検体、及び同じ組織から採取した非癌検体を、蛍光色素で標識したテロメアとセントロメアのそれぞれに対するPNAプローブでハイブリダイズする工程、
(b)癌が疑われる検体及び非癌検体を蛍光顕微鏡下で撮影する工程、
(c)撮影された画像を解析し、癌が疑われる検体及び非癌検体の各検体中の細胞ごとのテロメアとセントロメアの蛍光標識シグナルの相対的光量(T/CR)を測定し、各検体におけるT/CRの分布のパターン、T/CRのピーク値、及びT/CRの平均値を求める工程、
(d)癌が疑われる検体及び非癌検体の各検体におけるT/CRの分布のパターン、T/CRのピーク値、及びT/CRの平均値を比較解析する工程、
(e)前記比較解析した結果から、正常組織と癌組織とを鑑別する工程。
(4)以下の工程を含む、組織FISH法を用いた、癌の検出方法:
(a)ある組織から採取した癌が疑われる検体を、蛍光色素で標識したテロメアとセントロメアに対するそれぞれのPNAプローブでハイブリダイズする工程、
(b)検体を蛍光顕微鏡下で撮影する工程、
(c)撮影された画像を解析し、検体中の細胞ごとのテロメアとセントロメアの蛍光標識シグナルの相対的光量(T/CR)を測定し、検体におけるT/CRの分布のパターンを求め、検体の90%以上細胞のT/CRが1.0未満であるときに癌であるとする工程。
(5)以下の工程を含む、組織FISH法を用いた、癌の検出方法:
(a)ある組織から採取した癌が疑われる検体を、蛍光色素で標識したテロメアとセントロメアに対するそれぞれのPNAプローブでハイブリダイズする工程、
(b)検体を蛍光顕微鏡下で撮影する工程、
(c)撮影された画像を解析し、検体中の細胞ごとのテロメアとセントロメアの蛍光標識シグナルの相対的光量(T/CR)を測定し、検体におけるT/CRのピーク値を求め、T/CRのピーク値が1.0未満であるときに癌であるとする工程。
(6)以下の工程を含む、組織FISH法を用いた、癌を検出する方法:
(a)ある組織から採取した癌が疑われる検体を、蛍光色素で標識したテロメアとセントロメアに対するそれぞれのPNAプローブでハイブリダイズする工程、
(b)検体を蛍光顕微鏡下で撮影する工程、
(c)撮影された画像を解析し、検体中の細胞ごとのテロメアとセントロメアの蛍光標識シグナルの相対的光量(T/CR)を測定し、検体におけるT/CRの平均値を求め、T/CRの平均値が1.0未満であるときに癌であるとする工程。
(7)蛍光色素で標識したテロメアとセントロメアに対するそれぞれのPNAプローブ、組織FISH用ハイブリダイス溶液、及びテロメア解析ソフトを含む、癌診断用キット。
本発明を用いることにより、特別な訓練を受けた病理医を必要とせずに、正常組織と癌組織を鑑別できる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の癌の診断方法では、癌化及び癌の進行に伴ってテロメアが短縮すること、つまり、癌細胞におけるテロメア長が正常細胞におけるテロメア長よりも短いことを利用し、被験者から採取した検体におけるテロメア量のセントロメア量に対する相対値を指標として、当該検体における癌細胞の有無を診断する。
本発明においては、診断対象となる組織又は器官は特に限定されるものではなく、例えば、脳、脳下垂体、脊髄、唾液腺、胸腺、甲状腺、肺、乳房、皮膚、骨格筋、心臓、肝臓、脾臓、副腎、膵臓、食道、胃、小腸、大腸、直腸膀胱、前立腺、睾丸、卵巣、胎盤、子宮、骨髄(白血病など)、末梢単核球等が挙げられる。乳房を対象とする診断の場合、乳頭腫と乳頭腺管癌は病理診断はきわめて困難であるが、本方法では容易である。また、食道を対象とする場合、上皮内癌の判定は、異論があるが、ごく早期の上皮内癌でも鑑別可能である。
診断対象となる癌の病変の程度としては、進行した状態の癌のみならず、前癌病変の状態の組織も対象となる。つまり、本発明において、癌とは前癌病変も含む概念である。また、本発明において、非癌組織(非癌細胞)または正常組織(正常細胞)とは、従来用いられている一般的な診断方法によって癌の徴候が全く見られない組織(細胞)を意味する。
本発明者らは、進行した癌よりも前癌病変や上皮内癌においてテロメアがより短縮する傾向があることを見出している。特定の理論に拘束されるものではないが、本発明者らは、老化に伴う癌発生率の上昇が、テロメア短縮に起因する染色体の不安定性によるのではないかと考えている。一方、癌ではテロメレース活性獲得などによりテロメア長がわずかに回復する。そのため、進行した癌よりも前癌病変においてテロメアがより短縮化しているのではないかと考えている。
本発明において診断対象となる癌の種類としては、例えば、食道癌の上皮内癌、乳癌、大腸癌等があり、これには前癌病変としての活動性潰瘍性大腸炎等も含まれる。きわめて初期の癌(上皮内癌)や早期癌の病理医による形態学的診断(病理診断)は、これらの初期癌が病理学的、形態学的に正常との差異が小さく困難であるが、本方法では容易にテロメア長に差異が見いだされ、初期や早期の癌の診断に好適といえる。早期や初期の癌では、正常からの病理組織学的差異が小さく病理診断が困難だが、本方法では進行癌と同様に区別(診断)できる。
本発明においては、テロメア量の測定は、組織FISH法を応用して行うのが好適である。したがって、検体は、診断対象となる組織又は器官の細胞の染色体が顕微鏡下で観察可能であるように採取し、採取された検体は、FISH法によるテロメアの染色が可能であるように処理して用いる。組織FISH法では、すでに作られたパラフィンブロックより起こした試料を用いることができるから、実際に臨床で用いる場合には、病理検査で用いる通常の組織切片(多くは細胞分裂間期の細胞)に対して本発明の方法を適用するのも便宜であろう。この場合、固定は、例えば、10%緩衝ホルマリン、4%ホルムアルデヒドで行ったものが好ましいが、これに限定されない。
本発明においては、組織切片上で、テロメアとセントロメアそれぞれに対する蛍光標識プローブによりハイブリダイゼーションを行う組織FISH法を用いて、テロメアとセントロメアに対する特異的な標識の蛍光量比(T/CR)からテロメア量を測定する。
テロメア及びセントロメアのプローブは、特異的に結合するプローブであれば特に限定されない。例えば、テロメアのプローブとしては、市販されている、蛍光色素標識したtelo-Cy3(TTAGGGに相補的な、5’末端−CCTAAA−3’末端の6塩基配列の3回繰り返しtelo Cy3、株式会社ファスマックDNA合成事業部製)を用いることができる。セントロメアプローブは、別の蛍光色素を標識したcenp1(Cenp1 FITC、株式会社ファスマックDNA合成事業部製)を用いる。正常細胞ではcenp1が分子染色するセントロメア部分の蛍光量は、46染色体の総量では、ほぼ一定と考えられ、T/CRによりテロメア長を相対的に知ることができる。組織FISH法のハイブリダイズの条件は、非特許文献3、4に記載されるようなin situハイブリダイゼーション法の条件を適宜改変して適用することができ、原則的に細胞分裂期のテロメアQ−FISH法の応用が容易である。
ハイブリダイズの後、CCDカメラを取り付けた蛍光顕微鏡で、スライドグラスの観察と撮影を行い、撮影された画像の解析により、細胞ごとのT/CRを求めることができる。具体的には、細胞核内のテロメアとセントロメアに結合したプローブの蛍光量を異なるフィルターで蛍光顕微鏡の視野で捉え、両者の蛍光量を顕微鏡下に別々に測光が可能なCCDカメラを用いて撮影し、画像解析ソフト付きコンピュータに画像を取り込み、蛍光シグナルを画像解析ソフトを用いて定量化する。
解析装置は当業者が個々に工夫すればよいが、一例を述べると、例えば、高感度デジタル冷却CCDカメラ(浜松ホトニクス社/ORCA-ER-1394)を装着したニコン80i蛍光顕微鏡による撮像を画像解析用ソフトimage-Pro Plus(プラネトロン社)により8ビット画像に処理しテロメア解析ソフトTFL2004でT/CRとして解析することができる。
本発明においては、正常組織と癌組織においてT/CRを比較することにより、正常組織と癌組織を鑑別することができる。すなわち、正常組織と癌組織から採取した検体中において、細胞ごとのテロメアとセントロメアの蛍光標識シグナルの相対的光量(T/CR)を測定し、各検体におけるT/CRの分布のパターン、T/CRのピーク値、及びT/CRの平均値を求めて比較解析することにより、正常組織と癌組織を鑑別することができる。解析の指標は、一般的には次のようになるであろう。
T/CRの分布のパターンは、癌細胞と正常細胞では異なり、癌ではほぼすべての細胞のT/CRが1.0未満であるが、正常では2〜5までに広く分布する。
癌細胞のT/CRの分布のピーク値は0.5程度で1.0をこえることはないが、正常では1.0程度である。
T/CRの平均値は、癌細胞では1以下であることがほとんどであるが、正常では2以上である。(添付図参照)
次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例に何等限定されるものではない。
1.検体の作成
通常の病理検査と同様に、生検、手術による組織材料を固定後、パラフィンブロックを作製し、ミクロトームにより3−6ミクロンに薄切し、スライドグラスに貼り付ける。この後、通常の病理検査ではヘマトキシリンエオシン染色を行い、細胞自体の形や大きさ(正常とのへだたりから)を観察し癌細胞と非癌細胞は判定するが、本方法では以下を行う。
2.組織FISH(プローブ、ハイブリダイズ)
テロメアのプローブは、Cy3で標識したtelo-Cy3 ((TTAGGG)に相補的な、5'末端−CCTAAA−3'末端の6塩基配列の3回繰り返し)にラベルされたPNAプローブを用いた。セントロメアプローブはFITCで標識したcenp1にラベルされたPNAプローブを用いた。
3. スライドグラスの観察と撮影
高感度CCDカメラにより癌か非癌細胞かを知りたい細胞群の蛍光染色像を撮影する。
4.画像の解析
図1は食道粘膜の各構成細胞(上皮の基底細胞、棘細胞、間質線維芽細胞)、扁平上皮癌細胞のT/CRの分布のパターンを示している。癌と正常各細胞の鑑別は可能である。また、T/CRのピーク値でも、癌では0.5、非癌細胞では1.0程度であり鑑別可能である。
図2に示すT/CRの平均値でも、非癌細胞は明らかに癌よりも大きく、両者の鑑別が可能である(3−10倍)。また、癌細胞のT/CRは、ほぼ1までの範囲に収まるが、非癌細胞では分布が異なり、2以上の範囲に多くの細胞が存在するので、この点でも鑑別可能である。
本発明の方法により、通常の病理切片を用いて、特別な訓練を受けた病理医を必要とせずに簡便に正常組織と癌組織を鑑別できる。また、本発明の方法にはこれまでに蓄積したサンプルが使用可能であり、他の臨床医学的なデータ、免疫組織学的染色、in situハイブリダイゼーション法によるhTERT(ヒトテロメレース)発現の有無などのデータと照合する等これまでの情報を活用し、悪性度の判定や予後の推測についても総合的に判断することができる。
食道粘膜の各構成細胞(癌、上皮基底、上皮棘、間質線維芽細胞)のT/CRの分布図である。(実施例1) 食道粘膜の各構成細胞(癌、上皮基底、上皮棘、間質線維芽細胞)のT/CRの平均値である。(実施例1)

Claims (7)

  1. 被験者より採取した検体中のテロメア量のセントロメア量に対する相対値を測定することを特徴とする、正常組織と癌組織を鑑別する方法。
  2. 前記テロメア量のセントロメア量に対する相対値が、組織FISH法によるテロメアとセントロメアの蛍光標識シグナルの相対的光量(T/CR)として測定される、請求項1に記載の方法。
  3. 組織FISH法を用いた、正常組織と癌組織との鑑別方法であって、
    (a)ある組織から採取した癌が疑われる検体、及び同じ組織から採取した非癌検体を、蛍光色素で標識したテロメアとセントロメアのそれぞれに対するPNAプローブでハイブリダイズする工程、
    (b)癌が疑われる検体及び非癌検体を蛍光顕微鏡下で撮影する工程、
    (c)撮影された画像を解析し、癌が疑われる検体及び非癌検体の各検体中の細胞ごとのテロメアとセントロメアの蛍光標識シグナルの相対的光量(T/CR)を測定し、各検体におけるT/CRの分布のパターン、T/CRのピーク値、及びT/CRの平均値を求める工程
    (d)癌が疑われる検体及び非癌検体の各検体におけるT/CRの分布のパターン、T/CRのピーク値、及びT/CRの平均値を比較解析する工程
    (e)前記比較解析した結果から、正常組織と癌組織とを鑑別する工程
    を含む、前記方法。
  4. 組織FISH法を用いた、癌の検出方法であって
    (a)ある組織から採取した癌が疑われる検体を、蛍光色素で標識したテロメアとセントロメアに対するそれぞれのPNAプローブでハイブリダイズする工程、
    (b)検体を蛍光顕微鏡下で撮影する工程、
    (c)撮影された画像を解析し、検体中の細胞ごとのテロメアとセントロメアの蛍光標識シグナルの相対的光量(T/CR)を測定し、検体におけるT/CRの分布のパターンを求め、検体の90%以上細胞のT/CRが1.0未満であるときに癌であるとする、前記方法。
  5. 組織FISH法を用いた、癌の検出方法であって
    (a)ある組織から採取した癌が疑われる検体を、蛍光色素で標識したテロメアとセントロメアに対するそれぞれのPNAプローブでハイブリダイズする工程、
    (b)検体を蛍光顕微鏡下で撮影する工程、
    (c)撮影された画像を解析し、検体中の細胞ごとのテロメアとセントロメアの蛍光標識シグナルの相対的光量(T/CR)を測定し、検体におけるT/CRのピーク値を求め、T/CRのピーク値が1.0未満であるときに癌であるとする、前記方法。
  6. 組織FISH法を用いた、癌を検出する方法であって、
    (a)ある組織から採取した癌が疑われる検体を、蛍光色素で標識したテロメアとセントロメアに対するそれぞれのPNAプローブでハイブリダイズする工程、
    (b)検体を蛍光顕微鏡下で撮影する工程、
    (c)撮影された画像を解析し、検体中の細胞ごとのテロメアとセントロメアの蛍光標識シグナルの相対的光量(T/CR)を測定し、検体におけるT/CRの平均値を求め、T/CRの平均値が1.0未満であるときに癌であるとする、前記方法。
  7. 蛍光色素で標識したテロメアとセントロメアに対するそれぞれのPNAプローブ、組織FISH用ハイブリダイス溶液、及びテロメア解析ソフトを含む、癌診断用キット。
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