JP2006225573A - 鉄鋼構造物の被覆材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、鉄鋼を主体とする材料で製造された鉄鋼構造物の被覆材料を提供する。
【解決手段】 ポリエチレンテレフタレート又はその誘導体を主成分とする樹脂シートの鋼材と接触させる面に、粘着性ゴム又はアクリル系粘着剤を含む粘着材層を積層してなる鉄鋼構造物の被覆材料。また、前記被覆材料に用いる樹脂シートが、表面の少なくとも片面に、接着性と耐候性の少なくとも一方が優れた樹脂を積層してなるものである鉄鋼構造物の被覆材料。さらに、前記被覆材料に用いる樹脂シートの樹脂中に、紫外線吸収剤、酸化防止剤、又は、接着性と耐候性の少なくとも一方が優れた樹脂から選ばれる1種又は複数が添加されてなる鉄鋼構造物の被覆材料。
【選択図】 なし
【解決手段】 ポリエチレンテレフタレート又はその誘導体を主成分とする樹脂シートの鋼材と接触させる面に、粘着性ゴム又はアクリル系粘着剤を含む粘着材層を積層してなる鉄鋼構造物の被覆材料。また、前記被覆材料に用いる樹脂シートが、表面の少なくとも片面に、接着性と耐候性の少なくとも一方が優れた樹脂を積層してなるものである鉄鋼構造物の被覆材料。さらに、前記被覆材料に用いる樹脂シートの樹脂中に、紫外線吸収剤、酸化防止剤、又は、接着性と耐候性の少なくとも一方が優れた樹脂から選ばれる1種又は複数が添加されてなる鉄鋼構造物の被覆材料。
【選択図】 なし
Description
本発明は、鉄鋼を主体とする材料で構成される屋外に設置される構造物の被覆材料に関するものである。
鋼板製の分電ボックス、鉄塔、鋼橋梁等、屋外に設置されている鉄鋼構造物は、鋼材の腐食防止のため、塗装、めっき、溶射等の処理がなされるのが一般的である。しかし、長期使用後には、塗膜が剥離したり、鋼表面の亜鉛又は亜鉛合金等のめっきによる防食層が消耗することにより、鋼材の表面が腐食し易くなる。従来は、鉄鋼構造物の現地での防食処理あるいは防食皮膜の補修方法として、ブラスト、グラインダー等の物理的手段により、表面の酸化皮膜あるいは腐食生成物、又は、防食皮膜を除去した後、防錆顔料を含む塗料を塗装するのが通常であった。
しかし、この塗装による補修は防食効果が小さく、また、鉄塔の上部等、場所によっては、周囲に塗料が飛散するのを防止するために、シートで覆って上記作業を行う必要がある等、大変なコストを必要とするものであった。このような問題を解消する方法として、施工性に優れたテープを用いた防食方法、又は、防食皮膜の補修方法が種々開発されている。例えば特開平5−60290号公報(特許文献1)、特開平8−20751号公報(特許文献2)および特開平10−337804号公報(特許文献3)が提案されている。
しかし、これらの方法は、上層皮膜あるいは施工後の塗装等のために不織布を使用したり、また、皮膜形成のための結果として多孔質基材を使用している。このため、これらの皮膜は、水、酸素等の腐食性因子に対してのバリアーとしての機能は低い。また、前述のように、鉄鋼構造物の現地における防食工事又は防食皮膜の補修においては、塗装作業のような、液体を使用する作業が施工上の問題となる。
そのため、これらの方法のように防食皮膜を付着させる作業について、その施工性を高めても、その皮膜上に塗装を行うことや、鉄鋼構造物表面の酸化皮膜、構造物表面の劣化した防食皮膜、腐食生成物を除去した後に、防錆剤を直接付着(化成処理)させたり、塗料に混入する形で付着(プライマー塗装)させたりすることの困難さには変わりがない。化成処理、プライマー塗装等を行わずに、金属に直接塗装等を行っても、容易に塗膜剥離が生じるのは周知のとおりである。そのため、これらの防食工事、補修方法には、施工後の防食能に限界があった。
そこで、本発明は、上述の課題を解決するために、腐食性因子のバリアーとしての機能と、鉄鋼構造物表面の化成処理に着目し、新しい鉄鋼構造物の被覆材料を提供することを目的とする。
本発明では、腐食因子の一つである酸素に着目した。そして、酸素の透過性が低い、ポリエチレンテレフタレート樹脂又はその誘導体を主体とする樹脂を用いることにより、被覆皮膜のバリアーとしての防食能力を格段に高めることを可能にしたものである。このポリエチレンテレフタレート樹脂に、接着性向上処理、耐候性向上処理を行ない、また、被覆材料の粘着剤層中に、鉄鋼又は亜鉛系のめっきを防食する働きを持つ元素又は化合物を含有させることにより、鉄鋼構造物の酸化皮膜を除去した表面や、劣化した防食皮膜、腐食生成物を除去した後の表面に、プライマー塗装と同等の効果を及ぼすことを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明の第1は、ポリエチレンテレフタレート又はその誘導体を主成分とする樹脂シートの鋼材と接触させる面に、粘着性ゴム又はアクリル系粘着剤を含む粘着材層を積層してなることを特徴とする鉄鋼構造物の被覆材料である。
第2は、前記被覆材料に用いる樹脂シートが、表面の少なくとも片面に、接着性と耐候性の少なくとも一方が優れた樹脂を積層してなるものである上記第1に記載の鉄鋼構造物の被覆材料である。
第2は、前記被覆材料に用いる樹脂シートが、表面の少なくとも片面に、接着性と耐候性の少なくとも一方が優れた樹脂を積層してなるものである上記第1に記載の鉄鋼構造物の被覆材料である。
第3は、前記被覆材料に用いる樹脂シートの樹脂中に、紫外線吸収剤、酸化防止剤、接着性と耐候性の少なくとも一方が優れた樹脂から選ばれる1種又は複数を添加されてなる上記第1又は第2に記載の鉄鋼構造物の被覆材料である。
第4は、前記被覆材料に用いる樹脂シートが、表面の少なくとも片面に、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理、紫外線処理の何れかの処理をされてなるものである上記第1〜3の何れかに記載の鉄鋼構造物の被覆材料である。
第5は、前記被覆材料に用いる粘着材層中に、金属の防食作用を有する元素又は化合物を含有してなる上記第1に記載の鉄鋼構造物の被覆材料である。
第4は、前記被覆材料に用いる樹脂シートが、表面の少なくとも片面に、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理、紫外線処理の何れかの処理をされてなるものである上記第1〜3の何れかに記載の鉄鋼構造物の被覆材料である。
第5は、前記被覆材料に用いる粘着材層中に、金属の防食作用を有する元素又は化合物を含有してなる上記第1に記載の鉄鋼構造物の被覆材料である。
本発明の鉄鋼構造物の被覆材料を用いることにより、屋外の鉄鋼構造物の補修、現地での防食被覆を容易に低コストで行うことができる。また、貼付された皮膜は、鋼材の防食機能と共に、特に酸素の供給を断つことによって、長期にわたり構造物の防食皮膜として機能する。また、本発明の被覆材料を用いた防食工事によると、鋼構造物の現地での防食皮膜形成作業、補修作業において、塗装等の液体を扱う作業をなくすことができる。このため、作業を、作業性良く、容易に行うことができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、ポリエチレンテレフタレート系樹脂シートに、必要に応じて、耐久性向上処理と易接着処理をした後、その表面に、金属を防食する化合物を含有させた粘着材層を付与したことを特徴とする鉄鋼構造物の被覆材料である。
本発明は、ポリエチレンテレフタレート系樹脂シートに、必要に応じて、耐久性向上処理と易接着処理をした後、その表面に、金属を防食する化合物を含有させた粘着材層を付与したことを特徴とする鉄鋼構造物の被覆材料である。
本発明に用いられる樹脂シートは、ポリエチレンテレフタレート樹脂又はその誘導体を主体とする樹脂シートである。具体的には、純粋なポリエチレンテレフタレート(以下、PET)樹脂、あるいは、PETに1,4−シクロヘキサンジメタノールあるいはイソフタル酸等を共重合し、結晶化速度を調整したPETの誘導体、ポリエチレンナフタレート、ポリブチテレフタレート等、又は、これらの樹脂を樹脂シート中の有機物の50%以上含有するコポリマー又はポリマーアロイ等である。
シートとしては、アモルファス状態でも、延伸した状態でも、結晶化した状態でも良い。但し、温度が高い環境で使用する場合には、アモルファスのPETシートは、結晶化による応力が発生して、皮膜が剥離し易くなるという問題がある。このため、結晶化を抑制する必要があり、例えば、結晶化し難い1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合PET樹脂(PET−G)をブレンドする等の工夫が必要である。
PET系樹脂シートの厚さとしては、腐食性因子のバリアとしての機能から0.1mm以上は必要であり、望ましくは0.2mm以上である。上限としては、貼付する場所の形状にもよるが、作業性の点から、平面部への貼付で2mm以下であり、鋼管等の曲面への貼付を考慮すれば、作業性等の面から一般的には1mmが上限である。樹脂シートの幅としては、広い面積の鋼材を隙間なく被覆するためには、広い方が望ましいのは言うまでもない。しかし、実際には、製造上の問題から最大でも2m程度が限界である。また、作業性を考慮した場合は、それよりも狭い方が望ましい場合もあり得る。これらの基本的な条件を満たしていれば、樹脂として、PETボトル等からの再生品を用いることは、全く差し支えない。
粘着剤としては、天然ゴム系、スチレン−ブタジエンゴム、ブチルゴム等の合成ゴム系や、アクリル系の粘着剤を使用することができる。粘着剤の種類には、特に制限はないが、要求される特性としては、粘着力が強く、また、耐候性に優れることである。また、鋼材とPET樹脂シートとの熱膨張率の差を吸収する必要があるため、柔軟さも必要となる。粘着剤層の柔軟性を高めるための方法として、ゴム等の柔軟なシートの両側に粘着剤を塗布する等の多層構造にしても良い。
粘着剤層の厚さとしては、上述のように柔軟性を要求されることを考慮すれば、極端に薄いものは望ましくない。また、後述するような、粘着剤層に防錆機能を有する化合物を含有させるためにも、ある程度の厚さは必要である。また、極端に厚い場合には、粘着層自身の内部応力が問題になる可能性もあるため、0.1mm〜1.5mmの範囲が望ましい。なお、構造物の被覆部分の形態、作業手順等により、被覆材に要求される特性は異なる。細い鋼管に巻きつける、あるいは、シートの端部を重ねて広い面積に貼付する場合には、貼り易くする、あるいは、重ね部に生じる隙間を小さくすることが望ましいため、全体の厚さを小さくすることが望ましい場合もあり、場合に応じた設定が必要となる。
純粋なPET樹脂は、基本的に耐候性、接着性が悪い。このため、長期の防食被覆としては、その改善が必要である。耐候性の改善方法としては、耐候性に優れた樹脂の共押し出し、樹脂コーティング等により樹脂シート表面に紫外線吸収層を形成する方法、他に、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐候性が優れた樹脂等をPETに添加してPET樹脂シート自身の耐候性を向上させる方法がある。
また、接着性の改善方法としては、接着性に優れた樹脂の共押し出し、樹脂コーティング等による樹脂シート表面に接着性が優れた層を形成する方法、接着性が優れた樹脂をPETに添加してPET樹脂シート自身の接着性を向上させる方法、また、PET樹脂表面をコロナ放電処理、プラズマ処理等により改質し、接着性を向上させる方法がある。なお、注意すべきこととして、粘着剤を貼付する面は、接着性のみ考慮すればよいが、反対面は耐候性のみでなく、接着性も必要とされることがある。これは、被覆作業において、補修シートを部分的に重ねながら貼付することが予想されるためである。また、必要に応じて、本被覆材料により鋼材表面を被覆後、粘着シート等により、ステンレス箔、チタン箔等を貼付することにより、さらに高い耐候性・耐食性を付与することも可能となる。
酸化防止剤としては、チオエーテル系、フェノール系酸化防止剤、カーボンブラック等の公知の酸化防止剤が使用可能である。紫外線吸収剤としては、有機系ではベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒンダードアミン系等、無機系では酸化チタン等、公知の紫外線吸収剤が使用可能である。これらの添加剤は、その種類にもよるが、0.1質量%から最大で3.0質量%の含有量で配合される。0.1質量%未満では、添加効果が不十分であり、3.0質量%を超えると、効果が飽和し、コストが上昇するのみならず、樹脂シートの機械的な特性に悪影響を及ぼす恐れがあるためである。
シート両面の接着性、耐候性を高める最も簡単な方法の1つとは、その両者を満足させるポリマー層を、共押し出しにより、適当な厚さで樹脂シート両面に形成することである。例えば、ポリアリレート樹脂(芳香族ジカルボン酸とビスフェノール類からなるポリエステル樹脂)は、紫外線吸収層として、また、接着性改善層として非常に良好である。
これ以外にも、PET系樹脂シートには、種々の添加剤の使用が可能である。着色剤としては、例えば、有機系では、ベンズイミダゾロン系、ジアリライド系等のアゾ顔料、フタロシアニン系、ジオキサジン系等の多環系顔料等、無機系では、酸化チタン、酸化鉄、コバルトブルー顔料等が挙げられる。その他、リン酸エステルアミド系、シリコン系等の難燃剤添加による高機能化も可能である。
これ以外にも、PET系樹脂シートには、種々の添加剤の使用が可能である。着色剤としては、例えば、有機系では、ベンズイミダゾロン系、ジアリライド系等のアゾ顔料、フタロシアニン系、ジオキサジン系等の多環系顔料等、無機系では、酸化チタン、酸化鉄、コバルトブルー顔料等が挙げられる。その他、リン酸エステルアミド系、シリコン系等の難燃剤添加による高機能化も可能である。
粘着剤層に添加する化合物としては、一般に防錆顔料として使われているクロム酸ストロンチウム等のクロム酸塩の他に、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛等のリン酸系防錆顔料、モリブデン酸アルミニウム、モリブデン酸バリウム等のモリブデン酸系防錆顔料等、その他、タンニン酸塩、また、シランカップリング剤、カルシウムシリケート、フェロシリコン等の微粉末を挙げることができる。添加量としては、粘着剤の粘着力に影響しない範囲であることが重要であり、体積分率で10%以下であることが望ましい。
鉄鋼構造物の被覆工事の施工にあたっては、先ず、対象となる鉄鋼構造物表面の、酸化皮膜、劣化した防食皮膜あるいは錆等の腐食生成物をサンドブラスト等の一般的な方法で除去し、鋼、めっき、健全な塗装皮膜等の表面を出す。その後、本発明の防食被覆シートを貼付する。この際、防食被覆シートを貼付する前に、化成処理として、上述したような防錆顔料等を直接化成処理として、あるいは塗料に混入して塗布することにより、被覆後の耐久性を向上させることは可能である。
しかし、鉄鋼構造物の設置現場では、特に鉄塔の被覆等の状況においては、液体を使用することが困難なことは前述の通りであり、この場合は、前述した金属の防食機能を有する化合物を粘着剤層に添加した防食被覆シートを使用することができる。また、液体の使用に大きな問題がない場合であっても、この被覆材料を用いた防食工事は、作業の費用、所要時間、また、安全衛生と言う面から有利であることは言うまでもない。なお、この防食被覆材料は、劣化した防食皮膜の補修材料としても使用可能であることは、前述したとおりである。
以下に、実施例を挙げて、本発明を詳細に説明する。
(実施例1)
両面に各々100μm厚のポリアリレート樹脂層を有する、合計厚さ1mmのアモルファスPET樹脂(以下A−PET)シートに、1mm厚のポリオレフィン系発泡シート両面にアクリル酸ブチルとヒドロキシエチルメタクリレートを主成分とするアクリル系粘着剤を付着させた3層構造の粘着シートを貼付し、防食被覆シートとした。なお、ポリアリレート樹脂としては、ポリ4.4´−イソプロピリデンジフェニレンテレフタレート/イソフタレートコポリマー(商品名Uポリマー、ユニチカ(株)製)を用いた。
(実施例1)
両面に各々100μm厚のポリアリレート樹脂層を有する、合計厚さ1mmのアモルファスPET樹脂(以下A−PET)シートに、1mm厚のポリオレフィン系発泡シート両面にアクリル酸ブチルとヒドロキシエチルメタクリレートを主成分とするアクリル系粘着剤を付着させた3層構造の粘着シートを貼付し、防食被覆シートとした。なお、ポリアリレート樹脂としては、ポリ4.4´−イソプロピリデンジフェニレンテレフタレート/イソフタレートコポリマー(商品名Uポリマー、ユニチカ(株)製)を用いた。
また、0.2質量%のフェノール系酸化防止剤と0.2質量%のベンゾトリアゾール系紫外線吸収材を含む厚さ1mmのA−PET樹脂シートと、添加剤を全く含まない厚さ1mmのA−PET樹脂シートのそれぞれの両面にコロナ放電処理を施した後、上述の1mm厚の3層構造の粘着シートをそれぞれ貼付し、防食被覆シートとした。
比較例として、安定剤としてカーボンブラックを含む1mm厚のポリエチレンシートの片面のみにコロナ放電処理し、処理面に、実施例と同じ1mm厚の3層構造の粘着シートを貼付し、防食被覆シートを作製した。
比較例として、安定剤としてカーボンブラックを含む1mm厚のポリエチレンシートの片面のみにコロナ放電処理し、処理面に、実施例と同じ1mm厚の3層構造の粘着シートを貼付し、防食被覆シートを作製した。
以上の4種の被覆材の性能を、以下の方法によって評価した。
(接着力)
JIS Z 0237に準じて、180°方向の引き剥がし力を測定した。なお、接着力は、鋼板に対しての接着力(貼付一週間後、及び、貼付一週間後、さらに50℃温水浸漬30日後)、及び、鋼板に貼付した被覆シートに対する同じ被覆シートの接着力、の3種類を調査した。
(耐候性)
サンシャインウエザーメーター試験(JIS K 5400)1000時間経過後、試験後の外観を目視で評価した。評価結果を表1に示す。
(接着力)
JIS Z 0237に準じて、180°方向の引き剥がし力を測定した。なお、接着力は、鋼板に対しての接着力(貼付一週間後、及び、貼付一週間後、さらに50℃温水浸漬30日後)、及び、鋼板に貼付した被覆シートに対する同じ被覆シートの接着力、の3種類を調査した。
(耐候性)
サンシャインウエザーメーター試験(JIS K 5400)1000時間経過後、試験後の外観を目視で評価した。評価結果を表1に示す。
本発明例No.1、2は、いずれの試験結果も良好である。本発明例No.3は、PET樹脂シートを再生樹脂100%で製造したものであるが、バージン樹脂シートの本発明例No.1、2、4に比較して、何等劣るところはない。これに対し、比較例No.5は、被覆シートの重ね貼りでの接着性が低く、実際の施工に当たって、シート端部を重ね貼りする場合に問題が生じることが予想される。なお、耐候性試験で、本発明例No.1で見られる黄変は、ポリアリレート樹脂が紫外線によって構造変化したことによるものであり、樹脂の劣化を示すものではない。これに対し、本発明例No.4で見られるPETシート表面のザラツキは、主に紫外線により、樹脂が劣化したことを示すものである。また、比較例No.5は、温水浸漬後の接着力低下が激しく、酸素の透過により鋼板表面の腐蝕が進んだ可能性が高い。
(実施例2)
両面に、各々30μm厚のポリアリレート樹脂層を有する、合計厚さ0.3mmの2軸延伸PET樹脂シートに、1mm厚のブチルゴム系粘着剤を付着させ、防食被覆シートとした。ポリアリレート樹脂としては、ポリ4,4´−イソプロピリデンジフェニレンテレフタレート/イソフタレートコポリマー(商品名:Uポリマー、ユニチカ(株)製)を用いた。なお、この粘着剤には、タンニン酸塩とクロム酸塩の1:1混合物の微粉末を体積分率で0.5%練り込んだものを用いた。
両面に、各々30μm厚のポリアリレート樹脂層を有する、合計厚さ0.3mmの2軸延伸PET樹脂シートに、1mm厚のブチルゴム系粘着剤を付着させ、防食被覆シートとした。ポリアリレート樹脂としては、ポリ4,4´−イソプロピリデンジフェニレンテレフタレート/イソフタレートコポリマー(商品名:Uポリマー、ユニチカ(株)製)を用いた。なお、この粘着剤には、タンニン酸塩とクロム酸塩の1:1混合物の微粉末を体積分率で0.5%練り込んだものを用いた。
また、0.2質量%のフェノール系酸化防止剤と0.2質量%のベンゾトリアゾール系紫外線吸収材を含む厚さ0.3mmの2軸延伸PET樹脂シートにコロナ放電処理を施した後、上述の微粉末を練り込んだ1mm厚のブチルゴム粘着剤を貼付し、防食被覆シートとした。また、添加剤を全く含まない厚さ0.3mmの2軸延伸PET樹脂シートの両面に、密着性向上のためにコロナ放電処理を施した後、顔料を含まない1mm厚のブチルゴム粘着剤を貼付し防食被覆シートとした。
比較例として、安定剤としてカーボンブラックを含むポリエチレンシートの片面にコロナ放電処理したものに、顔料を含まない1mm厚のブチルゴム粘着剤を貼付し、防食被覆シートを作製した。試験は、150mm×70mm×5mmの熱延鋼板にショットブラスト処理を行ない、鋼表面を露出させた後、上述の4種類の防食被覆シートを貼付し、以下の試験により評価した。なお、防食性試験に関しては、鋼板表面の半分に被覆シートを貼付後、シートに約10mmの重なりを持たせて残り半分の表面に被覆シートを貼付した。
(接着力)
JIS Z 0237に則り、180°方向の引き剥がし力を測定した。なお、接着力は、鋼板に対しての接着力(貼付一週間後、及び、貼付一週間後、さらに50℃温水浸漬30日後)を調査した。
(防食性)
鋼板の裏面、端部(防食シートの重ね部の端部の隙間を含む)を樹脂でシールした後、塩水(5%NaCl、35℃)噴霧試験を2000時間行った。その後、防食シートを剥離し、防食シートの重ね部の隙間が発生し易い部分を観察した。結果を表2に示す。
JIS Z 0237に則り、180°方向の引き剥がし力を測定した。なお、接着力は、鋼板に対しての接着力(貼付一週間後、及び、貼付一週間後、さらに50℃温水浸漬30日後)を調査した。
(防食性)
鋼板の裏面、端部(防食シートの重ね部の端部の隙間を含む)を樹脂でシールした後、塩水(5%NaCl、35℃)噴霧試験を2000時間行った。その後、防食シートを剥離し、防食シートの重ね部の隙間が発生し易い部分を観察した。結果を表2に示す。
本発明例No.6、7は、いずれの試験結果も良好である。これに対し、本発明例No.8は、重なり部に生じる隙間部に点状に赤錆が発生している。粘着層に金属の防食機能を有する顔料を添加しなかったため、本発明例No.6、7に比較して、防食能が低いことは明らかであり、温水浸漬後の密着力も若干低下している。比較例No.9は、防錆剤が無いことに加えて、樹脂シートが酸素の透過性が高いポリエチレンであるため、引張強さの低下、錆の発生いずれも本発明例No.4、6〜7に比べて大きい。
(実施例3)
200mm×300mm×2mmの亜鉛めっき鋼板に、市販の屋外用アクリル塗料を30μm厚に塗装した。この試験片に、カッターナイフで鉄面に達する直線状の疵を付けた後、30時間の塩水(5%NaCl、35℃)噴霧試験を行った。疵部の腐食生成物と劣化した塗装皮膜をサンドブラスト処理により除去した後、試験片全面に、表3に示す、実施例2で用いた4種類の防食シートを貼付し、裏面及び端面をシールした。この試験片をさらに2000時間の塩水噴霧試験を行った後、防食シートを剥離し、疵部とその周囲を観察した。結果を表3に示す。
200mm×300mm×2mmの亜鉛めっき鋼板に、市販の屋外用アクリル塗料を30μm厚に塗装した。この試験片に、カッターナイフで鉄面に達する直線状の疵を付けた後、30時間の塩水(5%NaCl、35℃)噴霧試験を行った。疵部の腐食生成物と劣化した塗装皮膜をサンドブラスト処理により除去した後、試験片全面に、表3に示す、実施例2で用いた4種類の防食シートを貼付し、裏面及び端面をシールした。この試験片をさらに2000時間の塩水噴霧試験を行った後、防食シートを剥離し、疵部とその周囲を観察した。結果を表3に示す。
本発明例No.10、11は、いずれも補修後の腐食抑制の効果は良好であり、本発明が防食皮膜の補修材料として有用であることが判る。本発明例No.12は、アクリル塗料が粘着材と共に点状に剥離し、僅かに塗膜下腐食が生じた可能性があり、粘着材層に防錆顔料を含まないため、本発明例No.10、11に比較して、腐食抑制効果が低い。比較例No.13は、酸素を透過し易いPEシートであり、PETに比較して、明らかに腐食抑制効果が低いことが判る。
(実施例4)
150mm×70mm×5mmの熱延めっき鋼板をショットブラスト処理した後、試験片全面に、表4に示す処理を行った。さらに実施例2で用いた防食シートを貼付し、裏面及び端面をシールした。この試験片の防食被覆層に、カッターナイフを用いて鉄面に達する長さ50mmの切疵を入れた後、2000時間の塩水噴霧試験を行った。試験後、防食シートを剥離し、疵部周囲の変化を観察した。結果を表4に示す。
150mm×70mm×5mmの熱延めっき鋼板をショットブラスト処理した後、試験片全面に、表4に示す処理を行った。さらに実施例2で用いた防食シートを貼付し、裏面及び端面をシールした。この試験片の防食被覆層に、カッターナイフを用いて鉄面に達する長さ50mmの切疵を入れた後、2000時間の塩水噴霧試験を行った。試験後、防食シートを剥離し、疵部周囲の変化を観察した。結果を表4に示す。
本発明例No.14、15、16は、いずれも疵部の腐食抑制の効果は良好であり、本発明例No.17と比較して防錆顔料の効果は明らかである。この中で、本発明例No.14が本発明例No.15、16に比較して防錆効果が高いのは、防錆顔料の絶対量の差によるものである。本発明例No.15のように鋼材表面に直接防錆顔料を付着させる場合、粘着剤の密着力に悪影響が予想されるため、その量は自ずと限定される。本発明例No.16のように、防錆顔料を樹脂に含ませて塗布する場合には、防錆顔料の量を大きくすることは可能であるが、施工にあたっては、樹脂の溶媒の除去に問題が生じる。水、あるいは高沸点溶媒では溶剤除去に加熱等が必要になり、低沸点溶媒を使用した場合には冷却効果により結露が生じる可能性がある。また、有機溶剤の大気中への放出が問題になることは言うまでもない。これに対し、粘着層中に防錆顔料を添加する場合には、防錆に十分な量の顔料添加が可能であり、施工状も有利なことは明らかである。
特許出願人 新日本製鐵株式会社
代理人 弁理士 椎 名 彊 他1
特許出願人 新日本製鐵株式会社
代理人 弁理士 椎 名 彊 他1
Claims (5)
- ポリエチレンテレフタレート又はその誘導体を主成分とする樹脂シートの鋼材と接触させる面に、粘着性ゴム又はアクリル系粘着剤を含む粘着材層を積層してなることを特徴とする鉄鋼構造物の被覆材料。
- 前記被覆材料に用いる樹脂シートが、表面の少なくとも片面に、接着性と耐候性の少なくとも一方が優れた樹脂を積層してなるものである請求項1記載の鉄鋼構造物の被覆材料。
- 前記被覆材料に用いる樹脂シートの樹脂中に、紫外線吸収剤、酸化防止剤、又は、接着性と耐候性の少なくとも一方が優れた樹脂から選ばれる1種又は複数が添加されてなる請求項1又は2に記載の鉄鋼構造物の被覆材料。
- 前記被覆材料に用いる樹脂シートが、表面の少なくとも片面に、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理、紫外線処理の何れかの処理をされてなるものである請求項1〜3の何れかに記載の鉄鋼構造物の被覆材料。
- 前記被覆材料に用いる粘着材層中に、金属の防食作用を有する元素又は化合物を含有してなる請求項1記載の鉄鋼構造物の被覆材料。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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2005
- 2005-02-21 JP JP2005043440A patent/JP2006225573A/ja not_active Withdrawn
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