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JP2006207919A - 地中熱利用冷暖房装置および方法 - Google Patents

地中熱利用冷暖房装置および方法 Download PDF

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JP2006207919A
JP2006207919A JP2005019977A JP2005019977A JP2006207919A JP 2006207919 A JP2006207919 A JP 2006207919A JP 2005019977 A JP2005019977 A JP 2005019977A JP 2005019977 A JP2005019977 A JP 2005019977A JP 2006207919 A JP2006207919 A JP 2006207919A
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heat transfer
building
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JP2005019977A
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Shigeo Yoshida
繁夫 吉田
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Panasonic Homes Co Ltd
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Panahome Corp
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Publication date
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Abstract

【課題】 従来における地中熱利用ヒートポンプシステムが有する問題点を解消し、新設および既設の住宅の何れにも容易に適用でき、多大な施工コストをかけずに、実用的に十分に地中熱を利用して冷暖房が行えるようにする。
【解決手段】 地盤内の熱を利用して建築物の冷暖房を行う装置であって、地盤E内に地表面G.L.から0.2〜2mの深さで水平方向に沿って埋設され、内部を循環する熱媒体が地盤との間で熱交換を行い長さ方向に熱を移送する熱移送パイプ50と、建築物に設置され、熱移送パイプ50の一端が導入され、熱移送パイプ50内の熱媒体が有する熱を取り出す熱交換器60とを備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、地中熱利用冷暖房装置および方法に関し、詳しくは、地表上と地中との温度差を利用して建築物の冷暖房を行う装置と、このような装置を用いて建築物の冷暖房を行う方法とを対象にしている。
地中熱を利用して建築物の冷暖房を行う技術は、既に数多く提案されている。
一般的には、地表面から地中に鋼管などからなる中空杭を打ち、この中空杭の内部に、水や空気などの熱媒体の循環路を設ける。中空杭を循環する熱媒体は、地中熱で熱せられて加温される。熱媒体の熱を地上に設置された熱交換器で熱交換すれば、水道水の加温用あるいは空調用の熱源となる。なお、夏などは、地上よりも地中の温度が低くなるので、中空杭の熱媒体も低温になり、冷房用の冷熱源として利用できる。このような技術は、地中の温熱あるいは冷熱を汲み上げて地表で利用することから、地中熱利用ヒートポンプと呼ばれることがある。
特許文献1には、地中に打ち込んだパイプに気体を強制循環させて、地中と地表との間で気体とともに熱を移送することで、効率的に地中熱を利用する技術が示されている。
特許文献2には、地中に打ち込まれた既成杭の内部に、後から設置する熱交換用配管として、一部が蛇腹状をなしていて屈曲や湾曲が容易な管材を使用することで、運搬や既成杭への出し入れを容易にする技術が示されている。具体例として、長さ6mの既成杭に熱交換用配管を設置して、十分な熱量が得られることが実証されている。
特開2004−301470号公報 特開2004−177013号公報
前記した従来の地中熱利用システムでは、地表から地盤の深くまで垂直な杭を打ち込む必要があるため、施工が面倒で、施工コストも高くつくという問題があった。
既設の住宅に地中熱利用システムを設置しようとする場合、住宅の狭い敷地内に、大掛りな杭打ち装置を運び入れることは困難である。杭打ち時に生じる強い衝撃や振動は、当該住宅だけでなく周辺住宅へも悪影響を及ぼす可能性がある。
住宅の施工時であれば、住宅の施工面に予め杭を打ち込むことは可能である。それでも、杭打ち作業の手間およびコストが住宅の施工価格に上乗せされることになる。住宅の施工時に、地盤を補強するための補強杭を打ち込む場合には、補強杭をヒートポンプ用の杭に兼用させることで、施工コストの低減が図れるが、全ての住宅に補強杭が施工されるわけではない。
地中熱を大量に取り出すには、地盤と杭との伝熱面積を増やすために、地盤のより深い位置まで杭を打ち込む必要がある。杭の打ち込む深さが増えるほど、大掛かりな装置が必要になったり、施工が難しくなったり、作業に伴う周辺地盤への影響が大きくなってしまう。地中に杭を打ち込むことで、地下の水脈に悪影響を与えるなど、周辺地盤への影響を避けることがある。この問題を避けるには、予め地質検査を行う必要が生じ、余計に施工コストが高くつく。
本発明の課題は、前記した従来における地中熱利用ヒートポンプシステムが有する問題点を解消し、新設および既設の住宅の何れにも容易に適用でき、多大な施工コストをかけずに、実用的に十分に地中熱を利用して冷暖房が行えるようにすることである。
本発明にかかる地中熱利用冷暖房装置は、地盤内の熱を利用して建築物の冷暖房を行う装置であって、前記地盤内に地表面から0.2〜2mの深さで水平方向に沿って埋設され、内部を循環する熱媒体が地盤との間で熱交換を行い長さ方向に熱を移送する熱移送パイプと、前記建築物に設置され、前記熱移送パイプの一端が導入され、前記熱移送パイプ内の熱媒体が有する熱を取り出す熱交換器とを備える。
〔地盤〕
通常の建築物が施工される地盤であり、熱移送パイプの埋設が可能な地質条件を備えていれば、それ以上の特別な地質条件は要求されない。温泉地帯のような地熱が特別に高い地盤である必要はない。
建築物の地下地盤が利用できる。建築物の床下空間の底面を構成する床下地盤が利用できる。建築物の地下地盤や床下地盤は、地盤を覆う建築物が、日射や外気の影響を遮断する作用がある。地盤内の温度変動が少なくなるので好ましい。地盤内に埋設されて地表側の温度変動の影響を防ぐ断熱材層をなくしたり、断熱材層の厚みを薄くしたり、比較的簡易で安価な断熱材層を採用したりすることができる。特に、床下地盤は、十分な高さのある床下空間が良好な断熱機能すなわち保温保冷を果たす。床下空間の底面にコンクリート層が打設された土間コンクリート構造であれば、さらに良好な断熱機能を発揮できる。床下空間を囲む基礎構造の内面に断熱層を有していれば、床下空間の保温保冷機能はより高まる。また、床下地盤内の保冷保温機能も高まる。
建築物よりも外側の屋外地盤も採用できる。建築物の敷地内で建築物の周辺に存在する通路や庭、花壇、駐車スペース、遊戯スペースなどが利用できる。公園や街路に設置することもできる。地表に各種の構造物が施工されている個所は、建築物の施工個所と同様に、地表の構造物が断熱機能を発揮して、地盤内の温度変動を少なくする効果が期待できる。建築物の軒下や日覆いが設置されている屋外地盤も、日射の影響が避けられる。
特に、芝生の庭や花壇のように植物が植えられて緑化が施された緑化地盤は、日射や寒風の影響を植物が遮るとともに、植物からの水分蒸発による放熱作用で、日射等による過度の温度上昇を防ぎ、地盤内の温度変動防止に効果が高い。植物を植えた土壌が吸水および吸放湿を行うことで、地盤内の温度変動を低減する機能もある。
緑化を施さなくても、地表面に吸水・吸放湿層を有する吸水・吸放湿地盤であれば、前記同様の機能が発揮できる。例えば、地盤の表面に、吸水性や吸放湿性あるいは調湿性の高い敷石やタイル、舗装材を施工しておいても、表面からの蒸発潜熱によって地盤が過度に温度上昇するのを防止することができる。調湿性のある舗装として、珪湿頁岩などの調湿材が配合された舗装材料を塗工したり、調湿材が配合されたタイルやプレートを敷き詰めたりすることができる。
〔建築物〕
一般住宅を含む各種建築物に適用できる。大掛りな冷暖房装置や施工作業が行い難い戸建て住宅に適しているが、集合住宅やオフィスビル、公共建築物、商業施設などに適用することも可能である。
〔熱移送パイプ〕
基本的には、通常の地中熱利用技術で利用されている熱移送パイプの技術が適用できる。
熱移送パイプは、相対的に温度が高い一端側から、相対的に温度が低い他端側へと長さ方向に温熱を移送する機能を有している。また、低温端から高温端へと冷熱を移送する場合も含まれる。以下では、熱という技術概念には、温熱と冷熱との両方の技術概念を含むことがある。
<熱移送パイプの配置>
熱移送パイプの一端側は、地盤内からの熱を得るために地盤内に埋設される。特に、地表面から一定の深さで水平方向に沿って埋設される。
水平方向に埋設する深さは、通常、0.2〜2mに設定する。好ましくは、0.3〜1mである。
埋設深さが浅過ぎると、大気温や日射などの影響を受け易く、地盤内の温度が安定し難くなる。冷暖房に必要な熱エネルギーを得難くなる。埋設深さが深すぎると、利用できる熱エネルギーがそれほど増えないのに比べて、埋設施工に手間がかかったり大掛りな施工装置が必要になったりする。
建築物の基礎構造と同程度の深さ位置に設定しておけば、施工が容易である。一般的な基礎構造の深さである0.5〜0.6mに設定できる。建築物の基礎工事に合わせて熱移送パイプを施工する場合は、基礎工事における地盤の掘り下げ面に、熱移送パイプを敷設すればよい。この場合は、基礎工事の掘り下げ深さが熱移送パイプの埋設深さになる。
寒期に地盤が凍結する凍結深度が深い寒冷地の場合、比較的深い位置に埋設することが望ましい。具体的には、1.5〜2mの深さに埋設することが好ましい。
熱移送パイプは、正確に水平方向に埋設する場合のほか、水平方向に近い傾斜状態で埋設していても目的は達成できる。地盤内で、深さ方向に複数段に熱移送パイプを埋設することもできる。
熱移送パイプの平面方向における配置は、単純な直線状のほか、曲線状や屈曲線状、これらを組み合わせた各種パターン状などが採用できる。より具体的には、渦巻き状や折り返し平行線状、ジグザグ状などがある。熱移送パイプを合流させたり分岐させたりして、より複雑なパターンで配置することもできる。平面方向で、場所により、熱移送パイプの埋設深さを変えることもできる。地下の埋設物を回避するように迂回させて熱移送パイプを配置することもできる。
したがって、本発明における水平方向に熱移送パイプを埋設するとは、本発明の目的を達成できる範囲で、水平方向に近い傾斜状態や段差など、一部あるいは全体が正確な水平方向ではない場合も含んでいる。
熱移送パイプの他端側は、建築物に設置され、熱移送パイプから熱を取り出して利用する熱交換器に接続されたり、熱交換器の内部まで引き入れられたりする。
熱移送パイプの埋設長さは、建築物の冷暖房に必要な熱量と、地盤から熱交換して得られる単位長さ当たりの熱量とを勘案して設定できる。但し、埋設長さが増えると、後述する熱媒体の流通が行い難くなったり大きな動力を必要になったりする。また、建築物の地下地盤や床下地盤に埋設する場合は、埋設スペースすなわち埋設長さに制限がある。
地盤内に水平方向に埋設された個所から、建築物の熱交換器までの敷設経路は、特に限定されない。地盤内の水平部分から垂直あるいは斜め上向きに延びて、地表から建築物へと引き込まれる。
例えば、熱移送パイプが床下地盤に埋設される場合、床下空間から床構造を経て室内空間などまで熱移送パイプを敷設することができる。建築物の外部に露出しないので、特別な保護構造を設けなくてもよい場合がある。建築物の基礎構造、床構造、柱構造、壁構造などの内部に、熱移送パイプを敷設することもできる。
熱移送パイプが、屋外地盤に埋設される場合、地盤内を建築物の下方まで延ばせば、建築物の内部に引き込むことができる。屋外地盤で地表に延ばし、建築物の外壁から建築物内に引き込むこともできる。
<熱媒体>
熱移送パイプの内部には、熱を移送する熱媒体が循環している。熱媒体としては、空気や水蒸気などの気体、水などの液体その他の流体が使用できる。熱容量が大きく熱の移送効率が高いものが好ましい。空調装置などで熱媒体として利用されている冷媒ガスあるいは冷媒液も使用できる。また、熱移送パイプを循環することで、高温側では蒸気あるいは気体になり、低温側では液体になるという相変化を起こす熱媒体も使用できる。
熱媒体は、熱移送パイプの内部を循環して熱を移送するだけで、熱媒体が外部に放出されたり排出されたりすることはない。したがって、熱移送パイプは、実質的に永久的あるいは半永久的に熱の移送機能を発揮することができる。但し、経時的に熱媒体が散逸する場合は、熱移送パイプに定期的に熱媒体を追加充填する場合もある。
<熱媒体の循環>
熱移送パイプ内における熱媒体の循環移動は、両端における温度差によって生じる蒸発液化の相変化作用や毛細管現象、重力などを利用して、外部から動力を加えずに自然に行わせることができる。このような熱移送パイプは、ヒートパイプと呼ばれることがある。また、熱媒体の循環経路に、電動ポンプやコンプレッサーなどの強制循環手段を設けておけば、熱媒体の循環すなわち熱の移送が効率的に行える。通常、ポンプは液体の移送装置、コンプレッサーは気体の移送装置を意味するが、本明細書では、液体および気体を含む熱媒体の循環装置をポンプと称することがある。前記した自然循環と強制循環とを併用することもできる。
強制循環手段は、熱媒体の循環経路において、何れの個所に設けることもできる。例えば、後述する屋内空間に設置される熱交換器に組み込んでおいたり並設しておいたりすることができる。屋内空間の熱交換器の下方で床構造内や床下空間内に設置しておけば、ポンプなどの駆動音が屋内空間に漏れ難く、駆動に伴う発熱で、屋内空間の冷房効果が損なわれることも防止できる。さらに、床下地盤内に設置しておくこともできる。例えば、地表面にボックス状をなすポンプなどの収容室を設けておくことができる。収容室の上面に断熱性や防音性に優れた蓋を設けておけば、熱や音の漏れが防げる。収容室から地盤側に熱が逃げても、熱容量の大きな地盤に吸収されて、熱移送パイプと地盤との熱交換には支障は生じない。
熱移送パイプを屋外地盤に埋設する場合は、建築物の屋外にポンプなどを設置しておけば、屋内空間への影響を少なくできる。
<熱媒体循環路>
熱移送パイプの構造として、細いチューブや管材、ホースなどを、長さ方向における熱媒体の往路と復路とに平行に配置し、両端をU字形に連結して環状の熱媒体循環路を構成した構造が採用できる。二重管の内側と外側とを熱媒体の往路および復路に使用することもできる。1本の管材に長さ方向につづく仕切りを設けて熱媒体の往路および復路を構成することもできる。
これらの熱媒体が流通する管路だけで熱移送パイプを構成することができる。熱媒体循環路の外壁で、地盤との間の熱交換を果たしたり、建築物で冷暖房に利用する熱を取り出す際の熱交換を果たしたりできる。この場合、管路の材料は、金属、合成樹脂、繊維強化樹脂、セラミックなどが使用できる。熱伝導性の良い金属等を使用することが望ましい。管路を屈曲させたり湾曲させたりする必要がある場合は、柔軟性のある金属などの可撓性材料や、蛇腹状などの可撓性構造を採用することができる。複数の材料からなる複合管も利用できる。管路の外面に、熱交換機能を高めるフィンや鍔、突起、凹凸などを設けておくことができる。管路の内面に、熱媒体の流動性および熱伝達性を高める溝や凹凸を設けておくこともできる。
<保護筒>
熱媒体循環路の外側に、熱媒体循環路を保護する保護筒を設けることができる。保護筒は、金属、合成樹脂、繊維強化樹脂、セラミックなど、基本的には熱媒体循環路と同様の材料の中から、地盤からの圧力に耐える機械的強度に優れた材料や、地下水などに侵蝕され難い耐蝕性に優れた材料などが使用できる。熱移送パイプは、地表から地盤内に打ち込んで設置するものではないので、保護筒には、打ち込み作業に耐えるほどの剛性や耐久性は要求されない。熱媒体循環路と地盤とが熱交換を行う個所に設ける保護筒は、熱媒体循環路および地盤との熱伝達性に優れた材料や構造が好ましい。保護筒の外面に熱交換用のフィンなども設けることもできる。
保護筒は、熱媒体循環路の保護を必要とする個所だけに設けておけばよい。例えば、地盤から地表に露出して配置される個所では保護が必要になる場合が多い。地盤内に埋設される個所では、保護筒は必要ない場合がある。熱媒体循環路が地盤との間で熱交換を果たす個所では、保護筒がないほうが、熱交換の効率が良い場合がある。
<断熱筒>
保護筒あるいは熱媒体循環路の外側に断熱筒を設けておくことで、熱移送パイプのうち外部との熱交換が不要であるか有害である個所において、外部との断熱を果たすことができる。
具体的には、地盤内において熱媒体循環路と地盤との間で熱交換を行う領域には断熱筒は不要であるが、それ以外の領域で熱媒体循環路から熱が逃げないように断熱筒を配置しておくことができる。熱移送パイプが、屋外空間に露出する個所や地表に配置される個所では、断熱筒による外部との断熱が非常に有効である。建築物の内部で周辺への熱伝達を避けたほうがよい個所においても、断熱筒の配置が有効である。
断熱筒には、通常の空調配管などにおける断熱層の材料や構造が適用できる。例えば、発泡樹脂パイプやガラスウール筒、金属箔などが挙げられる。断熱筒の外周に、断熱筒を保護する保護筒を設けることもできる。
〔断熱材層〕
熱移送パイプの上方を覆って地盤内に埋設される。熱移送パイプの周辺において、地盤に地表側の温度変動の影響が及び難くする。
断熱材層の材料は、通常の建築土木技術において利用されているシート状あるいは板状の断熱材料が使用できる。具体的には、発泡樹脂、グラスウール、無機繊維材料などが挙げられる。複数の材料層を積層することで、断熱機能を向上させたりすることもできる。地盤に埋設された状態で、腐蝕したり変質したりし難い材料が好ましい。吸水性の少ない材料は、吸水による変質劣化や断熱性の低下が生じ難い。地震等で地盤に加わる負荷や衝撃、振動などで損傷し難いように、強度や耐久性のある材料が好ましい。柔軟性のある材料は取り扱い易い。断熱材層に防蟻・防虫処理を施しておくことができる。断熱材層を、防蟻・防虫機能を有する袋に収容したり、防蟻・防虫コーティングを施したりすることもできる。具体的には、発泡スチロールは、独立気泡で吸水し難く断熱性にも優れている点で好ましい材料となる。
断熱材層の厚みは、使用する材料や層構造、地盤などの施工条件によっても異なるが、通常、10〜100mmに設定できる。好ましくは、25〜100mmである。
断熱材層の配置は、熱移送パイプを埋設した地盤と地表面との間における熱伝達を遮断もしくは抑制できるように設定される。平面形状において、熱移送パイプの上方を覆う範囲、あるいは、熱移送パイプよりも少し外側までを覆う範囲に配置することが望ましい。上下方向で、熱移送パイプとの間に間隔をあけておけば、熱移送パイプと地盤との間の熱交換が良好に行える。施工条件によっても異なるが、例えば、熱移送パイプの上端と断熱材層の下面との間に10〜30cmの間隔をあけることができる。断熱材層を上下方向に間隔をあけて2段に配置することもできる。断熱材層を、熱移送パイプの上方に加えて側方までを覆うように配置することもできる。
熱移送パイプが地盤内から地表に至る個所では、断熱材層の外側を熱移送パイプが通ってもよいし、断熱材層を貫通して熱移送パイプが通ってもよい。
床下地盤に施工する場合、床下空間の基礎構造に施工される断熱層と、熱移送パイプの上方で地盤に埋設される断熱材層とを連結しておくこともできる。
〔熱交換器〕
建築物に設置され、熱移送パイプの一端が導入され、熱移送パイプ内の熱媒体が有する熱を取り出す。
基本的には、通常の建築物における冷暖房用の熱交換器に関する技術が適用できる。
熱移送パイプを構成する熱媒体循環路の外面に、空気を接触させれば、熱媒体との間で熱交換が果たせる。熱媒体循環路の端部に、熱交換用のコイルや蛇腹管、フィン付き管などを連結して、それらの内部を熱媒体が流通するようにしておけば、熱交換の効率が高まる。送風ファンで強制的に生成された空気流と接触させれば、熱交換効率が高まる。
熱交換器として床暖房システムが利用できる。床暖房システムに熱移送パイプを接続し、熱媒体を床暖房システムに供給して床面に沿って循環させれば、熱媒体と床暖房システムとの間で熱交換が行え、効率的な床暖房が実現できる。
〔冷暖房方法〕
前記した構造の地中熱利用冷暖房装置を用いて、建築物の冷暖房を行うことができる。
地盤内の温度と建築物の屋内温度との温度差によって、暖房または冷房が行える。
<温度差>
建築物の屋内温度は、気候、昼夜の別、日射の方向や強さ、外気温、風雨の存在と強さなど、様々な環境条件によって、大きく変動する。例えば、冬期の夜間には氷点下、夏期の日中には40℃近くになることがある。
これに対して、地盤内の温度は、あまり変動しない。一般的に、温泉などの高熱源が存在しないところでは、地盤の十分に深いところ、具体的には深度100m以下程度では、季節や昼夜の違いに関係なく、ほぼ一定である。例えば、日本列島の中央近くである関西地方では、約15℃前後であることが判っている。地盤の深さが浅くなると、少しずつ、地表側の影響を受けることになり、温度の変動幅が増える。それでも、地表面から0.1m以上深くなれば、温度の変動幅は±3℃程度に収まる。
したがって、夏期の日中など冷房が必要なときには、地表面から少し下でも、地盤温度は、冷房に利用する低温源として十分に利用できる。冬期の夜間など暖房が必要なときには、暖房に利用する高温源となる。但し、暖房の場合は、居住に快適な温度である20℃程度に比べて地盤温度は少し低いことがあるので、別の暖房装置と組み合わせる必要がある場合も生じる。冷房の場合にも、通常の冷房装置と組み合わせたほうが強力な冷房が可能になることもある。何れの場合も、通常の暖房装置や冷房装置の冷暖房能力を、地中熱利用冷暖房装置で補うことによって、建築物の冷暖房に要するコストを削減できる。
暖房段階と冷房段階とに分けて、より具体的に説明する。
<暖房段階(a)>
地盤内の温度が建築物の屋内温度よりも高い条件で適用できる。通常、冬期の全日や春秋期の夜間が相当する。寒冷地と温暖地とでは、適用時期が異なる場合がある。
熱移送パイプを循環する熱媒体は、相対的に高温度の地盤との間で熱交換を行って、地盤からの熱エネルギーを受け取る。建築物内で熱交換器を介して、熱媒体の熱エネルギーを屋内空間に放出することで、暖房が行われる。
<冷房段階(b)>
地盤内の温度が建築物の屋内温度よりも低い条件で適用できる。通常、夏期の全日や春秋期の日中が相当する。寒冷地と温暖地とでは、適用時期が異なる場合がある。
熱移送パイプを循環する熱媒体は、相対的に低温度の地盤との間で熱交換を行う。建築物の屋内に溜まる熱を奪って、地盤に捨て去ることになる。逆に考えると、地盤の冷熱を、建築物内で熱交換器を介して、屋内空間に放出することで、冷房が行われる。
熱移送パイプが、屋外地盤に埋設されている場合、例えば、酷暑期の日中などは、日射によって地盤が暖められるので、地盤内の温度が高くなり、屋内温度との差が少なくなって、冷房機能が十分に果たせない場合がある。
このような場合、屋外地盤の地表面に散水すると、散水が蒸発するときに地盤から潜熱を奪い去り、地盤の温度を下げることができる。熱移送パイプが埋設された深さの地盤についても温度が下がるので、屋内空間との温度差が大きくなり、冷房効果が高くなる。
屋外地盤への散水は、自動散水装置などを利用して、定時的に行ってもよいし、地盤温度を検知するセンサを設けておいて、センサの検知温度にもとづいて、散水装置の作動を制御することもできる。屋外地盤が、庭や花壇などの場合は、植物への水やり間隔や時間の制御と兼用させることもできる。
本発明にかかる地中熱利用冷暖房装置は、地中熱を取り出すための熱移送パイプを、地盤内に地表面から比較的に浅い位置で水平方向に沿って埋設する。
地盤をわずかに掘り下げる程度であれば、通常の住宅建設などで使用されている汎用の掘削機でも容易かつ迅速に施工できる。新規住宅の建設時であれば、布基礎などの基礎工事を行う際にも地盤をある程度まで掘り下げる。地盤を掘り下げたところの底に熱移送パイプを敷き、その上に土砂を埋め戻す作業も、何ら特別な機械設備は要しない。断熱材層も、土砂の埋め戻し作業の途中で敷設したあと、地表まで土砂を埋め戻すだけで施工できる。しかも、地盤に埋めこむ熱移送パイプが長くなったとしても、地盤を掘り下げる範囲が広くなる程度で、作業自体が難しくなることはない。
地盤内においては、比較的に浅い位置であっても、大気中や地表面のような大きな温度変動は生じず、比較的に狭い温度範囲での変動しか生じないから、大気温度や地表温度との間には、冷暖房に十分に利用できるだけの温度差あるいは熱エネルギーが得られる。
特に、熱移送パイプの上方に断熱材層を施工すれば、地表からの放射冷却や日射による加熱、大気温の大きな変動が、熱移送パイプの埋設位置における地盤温度に大きな影響を及ぼすことを遮断することができ、地盤の深い位置と実質的に変わりなく安定した温度条件を維持することができる。
その結果、従来の地中深くに杭を打ち込む地中熱利用冷暖房技術に比べて、施工が容易でありながら、冷暖房機能の点では何ら遜色のない地中熱利用冷暖房が、極めて経済的に実現できる。
図1に示す実施形態は、地中熱利用暖房装置の設置場所として、一般の戸建て住宅の地下地盤を利用する場合である。住宅および地中熱利用暖房装置の配置構造を模式的に示している。
〔住宅の基本構造〕
コンクリートを打設して構築され断面逆T字形をなす布基礎10が、住宅の間取り区画に対応して縦横に格子状に配置されている。布基礎10の下端部分は、地盤Eに埋設されていて、地表面G.L.よりも低い位置に配置されている。なお、布基礎10の施工は、施工地盤Eを、布基礎10の下端位置程度まで掘り下げ、布基礎10の形状に対応するコンクリート打設型枠を設置したあと、コンクリートを流し込んで硬化させ、型枠を撤去した後、土砂を地表面G.L.まで埋め戻して施工される。
布基礎10の上部には、床構造20や壁構造30が施工されて住宅の上部構造が構築される。床構造20および壁構造30で囲まれ図示を省略した天井や屋根構造で上面が覆われた空間が屋内空間Rである。
床構造20の下方で布基礎10に囲まれた空間が床下空間Uである。床下空間Uの下面は前記した地表面G.L.と同じ高さ位置の地盤Eである。このような閉塞空間である床下空間Uは、屋外における気温変動の影響を受け難いとされている。また、屋内空間Rにおける冷暖房や人間活動などによる温度変動の影響も受け難い。但し、図示を省略しているが、床下空間Uには、必要に応じて布基礎10に貫通形成された換気口から外気が入ったり、床下空間Uの空気を屋内空間Rに供給して換気に利用したりすることもある。このような場合は、床下空間Uでもある程度の温度変動は生じる。
図1では、床下空間Uを囲む布基礎10の内面に基礎断熱層12を施工している。基礎断熱層12は、発泡ポリスチレンボードなどを貼り付けて構成される。基礎断熱層12は、床下空間Uから地盤E内にわたって、布基礎10の内面を覆っている。前記した布基礎10の構築時に、コンクリート打設型枠の内面に発泡ポリスチレンボードなどを貼り付けたあとでコンクリートを打設すれば、基礎断熱層12の施工が容易に行われる。
基礎断熱層12を施工することで、床下空間Uの断熱性が向上し、床下空間Uの温度変動が抑制できる。床下空間Uと床構造20を介して隣接する屋内空間Rについても、床下空間Uとの伝熱によって、温度変動を抑制できることになる。
〔地中熱利用冷暖房装置〕
<熱移送パイプ>
床下空間Uの地盤Eには、熱移送パイプ50が埋設されている。
熱移送パイプ50には、熱伝導性の良い金属等の管材で形成された熱媒体循環路52を有する。熱媒体循環路52は、熱移送パイプ50の長さ方向に沿って、往路および復路が平行に配置され、熱移送パイプ50の両端で、往路と復路とが連通しており、全体として環状の閉じた循環通路を構成している。熱媒体循環路52には、エアコン用の冷媒などからなる熱媒体が充填封入されており、熱移送パイプ50の一端から他端へと熱を移送する。
熱移送パイプ50は、布基礎10で囲まれた空間で、床下空間Uの地面(=地表面G.L.)よりも40cm下の深さに水平方向に100mの長さで埋設されている。水平方向に延びる熱移送パイプ50の端部は、上方側に屈曲して、地盤Eから床下空間Uに延び、床構造20から室内空間Rへと延びている。
熱移送パイプ50のうち、地盤E内で水平方向に延びる個所には、伝熱フィン56を有している。伝熱フィン56は、伝熱性の良い金属片からなり、熱移送パイプ50の長さ方向に沿って間隔をあけて多数枚が設けられている。伝熱フィン56は、地盤Eと熱移送パイプ50の熱媒体循環路52との伝熱面積を増大させ、熱伝達効率を高める。
熱移送パイプ50のうち、水平方向の端部近くから垂直方向に延びる個所にわたって、熱媒体循環路52を覆う保護筒54を有する。保護筒54は、強度や耐久性に優れた金属管材からなり、熱媒体循環路52を保護する。
<断熱材層>
床下空間Uの地盤Eで、水平方向に延びる熱移送パイプ50の上方には、断熱材層40が埋設されている。
断熱材層40は、前記した基礎断熱層12と同様の発泡ポリスチレンからなる。例えば、1m×1mの矩形で厚さ30mmの発泡ポリスチレンボードを、熱移送パイプ50との間に10cmの間隔をあけて敷き詰める。断熱材層40の両端は、布基礎10の内面の基礎断熱層12と連結される位置まで設けられている。その結果、断熱材層40よりも上方の地盤Eおよび床下空間Uが、上方の断熱材層40と側方の基礎断熱層12とで囲まれた良好な断熱空間になっている。熱移送パイプ50とその上方の地盤Eおよび床下空間Uとは、断熱材層40によって熱伝達が遮断されている。熱移送パイプ50よりも深い地盤Eの熱が、床下空間U側に逃げだすことが阻止される。
<熱交換器>
屋内空間Rには熱交換器60が設置されている。熱交換器60は、基本的には、通常の空調装置における室内機と同様の構造を備えている。
熱交換器60には、床構造20を貫通して上方に引き出された熱移送パイプ50の一端が連結され、熱交換部64に接続されている。熱交換部64は、蛇腹状管や放熱フィン構造などで構成され、熱移送パイプ50から送り込まれた熱媒体と、屋内空間Rの空気との間における熱交換を効率的に行える。
熱交換器60には、送風ファン62を有する。送風ファン62は、熱交換部64を通過する空気流を強制的に作り、熱移送パイプ50の熱媒体と屋内空間Rの空気との間における熱交換を効率化する。
熱交換器60には、熱移送パイプ50の熱媒体循環路52内で熱媒体を強制循環させる循環ポンプ66を備える。熱媒体循環路52が、熱媒体の気化と液化との相変化や対流あるいは毛細管作用などで自然に熱媒体および熱の循環を果たすものであれば必要ない場合もあるが、通常は、熱媒体を強制循環させることで、効率的に熱の移送を果たすことができる。前記した自然の熱移送作用と循環ポンプ66による強制的な熱媒体の移送とを組み合わせることで、低コストで効率的に熱移送を果たすことができる。
図示を省略したが、熱交換器60には、通常の空調装置と同様に、温度調整器や送風調整器、除湿器、風向調整機構などを備えていることができる。
〔地中熱利用冷暖房装置の施工〕
熱移送パイプ50の施工は、住宅の建設時に布基礎10を構築する作業工程に合わせて行う。すなわち、布基礎10を施工するために地盤Eを掘り下げるときには、通常、布基礎10の下端位置を少し超える深さまで地盤Eを掘り下げる。このとき、熱移送パイプ50の施工個所についても掘り下げておけば、作業の手間はそれほど掛からない。基本的に、布基礎10を施工する掘削装置や作業手順がそのまま利用できる。作業者がスコップなどを使って手作業で掘り下げる程度でも可能な場合がある。
地盤Eの掘り下げ個所で、水平な底面に沿って熱移送パイプ50を敷設するのも手作業で行える。熱移送パイプ50が可撓性のある管材からなる場合は、端から順に敷き詰めて置くだけで良い場合もある。図1に示すような伝熱フィン56を有してしても、水平に敷き延べるだけであるから、伝熱フィン56が損傷する心配はない。所定の長さおよび配置で熱移送パイプ50が敷かれたあと、熱移送パイプ50の端部を上方側に屈曲させて地盤Eの上方に延ばしておく。
その後、布基礎10の施工を行う。この段階で、熱移送パイプ50の上方に土砂を埋め戻しておけば、熱移送パイプ50あるいは伝熱フィン56などが、作業資材などにぶつかって損傷することが防止できる。布基礎10の施工は、コンクリート打設用の型枠を組みたてたり、型枠の内面に基礎断熱層12を貼り付けたり、コンクリートを流し込んだり、コンクリートの硬化後に型枠を取り外したりする。
布基礎10が構築された段階で、布基礎10の周囲に土砂を埋め戻し、熱移送パイプ50を覆う土砂の上に、断熱材層40を敷く。断熱材層40を布基礎10の基礎断熱層12と一体化させた状態で設置できる。断熱材層40の一部に孔や切れ目を設け、熱移送パイプ50を貫通させて上方に延ばしておく。
断熱材層40の上に、屋外の地表面G.L.と同じ位置まで土砂を埋め戻す。この状態は、通常の住宅施工における布基礎10が施工された状態と同じである。但し、床下空間Uとなる地盤Eから上方に熱移送パイプ50の一端が延びている。
布基礎10の上に住宅の上部構造である床構造20、壁構造30、さらには天井や屋根構造までを構築するのは、通常の住宅施工と全く同じに行える。
住宅が完成した状態で、屋内空間Rの所定場所に熱交換器60が設置され、床下空間Uから熱交換器60へと熱移送パイプ50を導入する。熱移送パイプ50が、床下空間U内などで分割された構造であれば、熱移送パイプ50のうち、地盤E内および床下空間Uの部分を施工したあと、住宅完成後に、熱交換器60から下方に延ばした熱移送パイプ50を、床下空間Uで地盤E側の熱移送パイプ50と連結することができる。
既設の住宅に、後から地中熱利用冷暖房装置を設置することもできる。この場合は、既設住宅の床下空間Uで、地盤Eを掘り下げ、熱移送パイプ50を敷設し、土砂で覆ったあと断熱材層40を敷き詰め、さらに土砂を埋め戻すことになる。
〔地中熱利用冷暖房装置の稼動〕
図1に示す地中熱利用冷暖房装置の稼動について説明する。夏期などにおいて、屋内空間Rを冷房する場合と、冬期などにおいて、屋内空間Rを暖房する場合とに分けて説明する。
<暖房段階(a)>
熱移送パイプ50が、相対的に高温状態にある地盤Eの熱エネルギーを、屋内空間Rの熱交換器60へと移送し、熱交換器60で屋内空間Rの空気を暖める。
地盤Eの温度が15℃、外気温が10℃以下であるとすると、屋内空間Rを外気温よりも5℃程度は高い温度まで暖房することが可能になる。
但し、20℃程度を超える温度まで屋内空間Rを暖房するには、地中熱利用冷暖房装置だけでは不十分になる。その場合は、通常の暖房装置や空調装置と協働させて、室内空間Rを所望の温度まで上昇させることができる。
特に、夜間の就寝時に、安全性や経済性の点から暖房装置を止めておく場合でも、循環ポンプ66の稼動コストは極めてわずかであるから、熱移送パイプ50による熱の供給は終日続けておくことで、屋内空間Rが過剰に低温になってしまうことを防止できる。翌朝に、暖房装置を稼動させれば、直ぐに快適な20℃以上の温度まで昇温させることが可能になる。
<冷房段階(b)>
熱移送パイプ50が、相対的に低温状態にある地盤Eの冷熱を、屋内空間Rの熱交換器60へと移送し、熱交換器60で屋内空間Rの空気を冷却する。
地盤Eの温度が15℃、外気温が30℃以上であるとすると、屋内空間Rを外気温よりも15℃程度まで冷却することが可能になる。
但し、酷暑期の日中など、熱移送パイプ50で供給できる冷熱量が不足する場合は、通常の冷房装置や空調装置と協働させて、室内空間Rを所望の温度まで冷却させればよい。
冷房の場合も、夜間の就寝時には、冷房の効き過ぎによる健康への影響を少なくしたり、冷房装置の作動騒音を軽減したり、電力消費を低減したりするために、通常の冷房装置は止めておくことができる。日射のない夜間であれば、熱移送パイプ50が供給する冷熱だけでも、就寝にとって快適な温度環境を作り出すことが可能になる。循環ポンプ66の稼動音だけであれば、それほど耳障りにはならない。送風ファン62を止めて、室内空気の自然対流や循環だけで熱交換を行わせることもできる。さらに、夜間に屋内空間Rの温度を下げておけば、日の出後に日射によって急激に温度が上がるのを遅らせることができ、起床時に快適な温度環境を実現することができる。
〔屋外地盤への設置〕
図2に示す実施形態は、基本的には前記実施形態と共通する技術であるが、熱移送パイプ50を床下空間Uの地盤ではなく、屋外の地盤Eに敷設する。
図2において、壁構造30や布基礎10で屋内空間Rおよび床下空間Uと仕切られた屋外の地盤Eに、熱移送パイプ50が埋設されている。熱移送パイプ50の埋設個所は、住宅に隣接して設けられた庭である。庭に芝生を植えたり花壇を設置したりする施工の前に、熱移送パイプ50を設置しておく。
熱移送パイプ50の全長において、熱媒体循環路52が保護筒54に覆われている。熱移送パイプ50は、住宅外で地盤Eから地表に露出し、住宅の壁構造30を貫通して屋内空間Rの熱交換器60に導入されている。
屋外で熱移送パイプ50が露出している個所では、保護筒54のさらに外側を断熱筒58で覆っている。断熱筒58は、通常の空調装置における室外配管用の断熱材料を用いることができる。これによって、屋外の冷気や熱気、日射などの影響を防ぐことができる。
熱移送パイプ50の埋設個所を覆って、地盤E内には断熱材層40が埋設されている。
熱移送パイプ50を屋外地盤Eに埋設する場合、屋外の日射や外気温の影響を受け難いように、床下地盤に埋設する場合に比べて、深い位置に熱移送パイプ50および断熱材層40を埋設したり、分厚くて断熱機能の高い断熱材層40を設置したりすることができる。熱移送パイプ50の上方で、地表に、芝生を植えたり、花壇を作ったり、敷石を並べたり舗装を行ったりする場合には、それらの構造が断熱作用や遮熱作用を発揮することがあり、特に深い位置に施工したり分厚い断熱材層40を設けなくてもよい場合がある。
図2の実施形態では、屋外地盤Eの地表面に散水ノズル70で散水することによって、地表温度を下げている。これは、夏期の日中など、日射によって地表温度が高くなり、断熱材層40があっても、熱移送パイプ50の周囲の地温が高くなり易い場合に有効である。地表面の散水は、揮発蒸散する際に大きな潜熱を地盤Eから奪い去り、地盤Eの温度を下げる作用がある。地表面に、芝生や植栽があれば、植物による水分の吸い上げ、葉からの蒸散などの作用で、地盤Eの温度はより下がることになる。その結果、熱移送パイプ50の周囲の地温が過剰に上昇することを、より効果的に防止できる。
〔循環ポンプの地盤内設置〕
図3に示す実施形態は、基本的には、前記図1に示す実施形態と共通しているが、循環ポンプ66の設置形態が違っている。相違点を主に説明する。
熱交換器60には、循環ポンプ66を設けていない。床下地盤Eを地表面から少し掘り下げて、ポンプ収容室68を埋め込んでいる。ポンプ収容室68は、コンクリート製ボックスやFRP樹脂製ボックスなどが使用できる。ポンプ収容室68の内部に循環ポンプ66が設置されている。ポンプ収容室68の上面は断熱性のある蓋で塞がれている。
したがって、屋内空間Rには、循環ポンプ66の駆動音や発熱の影響が無くなる。例えば、循環ポンプ66の発熱で冷房効果が損なわれることがない。ポンプ収容室68の内部で循環ポンプ66から発生する駆動音は、床下空間Uから屋内空間Rへは届かない。循環ポンプ66の発熱は、ポンプ収容室68の壁を通じて地盤Eに伝達されるが、熱容量の大きな地盤Eに拡散するので、熱移送パイプ50と地盤Eとの間の熱交換効率を低下させることもない。
さらに、この実施形態では、熱移送パイプ50と地表面との間に断熱材層40を設けていない。これは、床下地盤Eの場合、屋外の日射や放射冷却などの影響を受け難く、布基礎10の内面には基礎断熱層12が設けられているので、熱移送パイプ50の埋設位置における地盤温度の変動は極めて少なくなっているためである。
本発明の地中熱利用冷暖房装置は、例えば、住宅における冷暖房装置あるいは補助的な冷暖房装置として有効に利用できる。従来における地盤深くまで杭を打ち込む地中熱利用技術に比べて、施工が容易で施工コストが格段に低減できる。大掛りな杭打ち装置などが搬入できない狭い敷地や、既設の住宅地などにも施工が可能になる。
本発明の実施形態を表す地中熱利用冷暖房装置の施工状態の断面図 別の実施形態を表す地中熱利用冷暖房装置の施工状態の断面図 別の実施形態を表す地中熱利用冷暖房装置の施工状態の断面図
符号の説明
10 布基礎
12 基礎断熱層
20 床構造
30 壁構造
40 断熱材層
50 熱移送パイプ
52 熱媒体循環路

Claims (10)

  1. 地盤内の熱を利用して建築物の冷暖房を行う装置であって、
    前記地盤内に地表面から0.2〜2mの深さで水平方向に沿って埋設され、内部を循環する熱媒体が地盤との間で熱交換を行い長さ方向に熱を移送する熱移送パイプと、
    前記建築物に設置され、前記熱移送パイプの一端が導入され、前記熱移送パイプ内の熱媒体が有する熱を取り出す熱交換器と
    を備える地中熱利用冷暖房装置。
  2. 前記地盤内で前記熱移送パイプと前記地表面との間に埋設される断熱材層をさらに備える
    請求項1に記載の地中熱利用冷暖房装置。
  3. 前記地盤が、前記建築物の床下空間の底面を構成する床下地盤である
    請求項1または2に記載の地中熱利用冷暖房装置。
  4. 前記建築物が、前記床下空間を囲む基礎構造の内面に基礎断熱層を有する
    請求項3に記載の地中熱利用冷暖房装置。
  5. 前記地盤が、前記建築物より外側の屋外地盤である
    請求項1または2に記載の地中熱利用冷暖房装置。
  6. 前記屋外地盤が、地表面に緑化が施された緑化地盤である
    請求項5に記載の地中熱利用冷暖房装置。
  7. 前記屋外地盤が、地表面に吸水・吸放湿層を有する吸水・吸放湿地盤である
    請求項5または6に記載の地中熱利用冷暖房装置。
  8. 前記熱移送パイプの途中に、前記熱媒体を強制循環させる循環ポンプを有する
    請求項1〜7の何れかに記載の地中熱利用冷暖房装置。
  9. 請求項1〜8の何れかに記載の地中熱利用冷暖房装置を用いて、前記建築物の冷暖房を行う方法であって、
    前記地盤内の温度が前記建築物内の温度よりも低い条件において、前記熱移送パイプにより、建築物内の熱を地盤内に放出させて、建築物を冷房する段階(a)と、
    前記地盤内の温度が前記建築物の屋内温度よりも高い条件において、前記熱移送パイプにより、地盤内の熱を建築物内に放出させて、建築物を暖房する段階(b)と
    の少なくとも何れか一方の段階を含む
    地中熱利用冷暖房方法。
  10. 請求項5〜8の何れかに記載の地中熱利用冷暖房装置を用いて、前記建築物の冷暖房を行う方法であって、
    前記段階(a)が、前記屋外地盤の地表面に散水する工程(a−1)を含む
    前記請求項9に記載の地中熱利用冷暖房方法。
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