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JP2006207090A - セルロース系繊維構造体及びその製造方法 - Google Patents

セルロース系繊維構造体及びその製造方法 Download PDF

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JP2006207090A JP2005023709A JP2005023709A JP2006207090A JP 2006207090 A JP2006207090 A JP 2006207090A JP 2005023709 A JP2005023709 A JP 2005023709A JP 2005023709 A JP2005023709 A JP 2005023709A JP 2006207090 A JP2006207090 A JP 2006207090A
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Takayuki Ogawa
小川  貴之
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Asahi Kasei Fibers Corp
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Abstract

【課題】クリーンルーム用ワイパーにおいて問題となる、乾燥時または水や低級アルコールなどの溶媒含浸時に繊維内部から溶出する特定イオン物質の量が極めて少ない繊維構造体を提供する。
【解決手段】繊維内部の特定イオンの量が各々9000μg/kg以下であることを特徴とする、好ましくはセルロース系不織布であるセルロース系繊維構造体、および超臨界または高圧二酸化炭素を媒体として処理することを特徴とする前記セルロース系繊維構造体の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は繊維構造体及びその製造方法に関し、さらに詳しくはセルロース系繊維不織布及びその製造方法に関する。
従来から、クリーンルームや環境の管理された室内で用いられる用品には、その環境維持に特別な性能が要求され、例えば、微小な塵、埃、繊維状の屑、素材の欠片など(以下、総称してリントという)の発生が少ないことが要求される。周知の通り、クリーンルーム内の汚染は、作業者自身及び作業者が使用する用品からの発生によるものが多い。このため、ルーム内で使用する作業衣やワイパーなどの用品には、特別な注意が払われているとともに、今も改良が続けられている。
クリーンルーム内の汚染の潜在的な発生源の一つは、クリーンルーム内で通常に行われる清拭作業に用いられるワイパーである。例えば、半導体や集積回路などの製造、組立ての際には、その作業工程で汚れを拭き取るためにワイパーが用いられるばかりでなでなく、種々の設備、備品の表面の清掃、壁や部屋の内面を清掃するためにも広くワイパーが用いられている。これらの作業においてワイパーから周辺環境へのリントの放出と発散を防止するためにクリーンルーム等の環境が制御された室内で用いられるワイパーには各種の工夫がなされてきた。
しかし近年、クリーンルーム内の要求されるクリーン度のアップに伴い、ワイパーにおいてもリントに加えて乾燥時または水や低級アルコールなどの溶媒含浸時にワイパー本体から発生する特定のアニオン(ナトリウムイオン、塩素イオン)などのイオン成分が少ないワイパーが求められている。
クリーンルーム用ワイパーの製造方法としては、超純水を用いる例(特許文献1に記載)がある。特許文献1によれば、ワイパーの製造時に超純水を用いる事で、リントの発生の極めて少ないワイパーが製造可能と記載されている。しかしながら、超純水を用いたとしても、繊維内部に存在する微小かつ微量なイオン成分を抽出し、取り除く事は不可能である。また、超純水処理は、専用の処理装置の設置などコストがかかる上に、処理後の布帛を乾燥させねばならず、その際特にセルロース系繊維を含む場合、風合いの硬化や構造物の形態が変化してしまう恐れがある。
水を使わない洗浄方法としては、超臨界二酸化炭素を用いる例(特許文献2に記載)がある。特許文献2によれば、繊維、織物、混紡織物または縫製品を洗浄する方法において、超臨界、亜臨界または液体状の高圧二酸化炭素と極性溶媒を含む混合物を用いて、繊維に付着したシミ、汚れ、ゴミなどの異物を高圧二酸化炭素中に除去する方法が記載されている。しかしながら、この方法においても繊維表面に付着したリントなどを除去する事は可能だとしても、特にセルロース繊維の場合、超臨界あるいは高圧二酸化炭素中では、ほとんど膨潤しないため、流体が繊維内部に存在する微小かつ微量なイオン成分を抽出し、取り除く事は難しい。
このため従来の方法では、リントの除去は出来ても上記特定のイオン成分の発生が少ないワイパーを製造するのは極めて困難であった。
国際公開WO99/35958号明細書 特開2002−4169号公報
本発明の課題は、上記従来技術の問題点を解決し、クリーンルームなどで用いられるワイパーなどに代表される繊維構造体において問題となる、乾燥時または水や低級アルコールなどの溶媒含浸時に繊維内部から溶出する特定イオン物質の量が極めて少ないセルロース系繊維製品を提供することにある。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、上記課題を達成するために本願で特許請求される発明は以下の通りである。
(1)繊維内部の特定イオンの量が各々9000μg/kg以下であることを特徴とするセルロース系繊維構造体。
(2)前記構造体がセルロース系繊維不織布である事を特徴とする前記(1)記載のセルロース系繊維構造体。
(3)超臨界または高圧二酸化炭素を媒体として処理することを特徴とする前記(1)または(2)記載のセルロース系繊維構造体の製造方法。
(4)媒体中に無機性/有機性値が1.0〜4.5である環状アミン系化合物を添加することを特徴とする前記(3)記載のセルロース系繊維構造体の製造方法。
(5)媒体中に低級アルコールを添加することを特徴とする前記(4)記載のセルロース系繊維構造体の製造方法。
(6)前記(1)または(2)記載のセルロース系繊維構造体が少なくとも片側表面に面積率50%以上で存在することを特徴とするクリーンルーム用ワイパー。
本発明によって得られるセルロース系繊維構造体は、乾燥時または水や低級アルコールなどの溶媒含浸時に繊維内部から溶出する特定イオン物質の量が極めて少ないため、クリーンルーム内の汚染を最低限に抑えることのできるクリーンルーム用ワイパーを提供できる。
以下に本発明を詳説する。
本発明におけるセルロース系繊維とは、麻、綿、キュプラ、ビスコースレーヨン、ポリノジックレーヨン(特に平均重合度500〜600が好ましい。)等の再生セルロース繊維、ライオセル〔LYOCELL:例えば繊維学会誌(繊維と工業)Vol.48,No.11(1992)P.584〜P.591に記載されているコートルズ社の商品名テンセルが相当する。〕などであるが、好ましくは、天然セルロース繊維に比べて繊維内の不純物が少ない再生セルロース繊維(キュプラ、ビスコースレーヨン、ポリノジックレーヨン等)、ライオセルであり、更に好ましくは再生セルロース連続長繊維である。
本発明のセルロース系繊維構造体は、主としてセルロース系繊維からなる。セルロース系繊維100%であってもよく、セルロース系繊維の有する親水性、保湿性等の優れた特性を損わない程度に、例えば、ポリエステル、ポリアミド等の合成繊維を混用した不織布をも含んでも良い。吸液性能および静電気による空気中のイオン担持を抑えるためには、この場合に混用する合成繊維は70重量%未満であることが好ましく、より好ましくは50重量%未満、更に好ましくは30重量%未満である。
セルロース系繊維構造体の形態には特に制限はなく、例えば、織編物、不織布、繊維製品から、ワタ、糸条などのいずれの形態でも良いが、好ましくは編物及び不織布であり、より好ましくは不織布である。また、繊維の組織、単糸デニール等は特に限定されない。
本発明のセルロース系繊維構造体の構造は特に限定されないが、少なくとも片側表面において、セルロース繊維が面積率50%以上で存在することが好ましい。ここでいう面積率とは不織布表面を構成するどちらか一方の面に存在するセルロース繊維の片側表面に対する割合で、例えば合成繊維と複合されている場合、セルロース繊維が染色され、合成繊維が染色されない染料で構造体を染色し、表面積に対する染色部分の面積を画像解析等によって求めることができる。片側表面のセルロース繊維が面積率50%未満であると、特にワイパーを湿潤状態で使用する際に、拭き取り面に十分な量の溶媒を保持しにくいためである。
また、必要に応じて例えば片側が主にセルロース繊維でもう一方が主に合成繊維で構成された2層構造や、両面が主にセルロース繊維で中央部が主に合成繊維で構成された3層構造の構造体であってもよい。
また、セルロース系繊維構造体の製造方法も特に限定されない。例えば、湿式法、抄紙法、乾式法で作られたものでもよく、これらが複合されたものでもよい。構造体が不織布の場合、不織布を複合する方法も特に限定されないが、好ましくは親水性あるいは疎水性溶媒へ溶出するようなバインダーを用いない、高圧流体による複合やエンボス等による圧着が良い。
本発明のセルロース系繊維構造体の目付及び厚みは用途により適宜選択が可能である。構造体の強度および硬さ等、クリーンルーム用ワイパーに求められる性能を満足させるためには、目付は8〜150g/mが好ましく、より好ましくは10〜120g/mであり、厚みは0.03〜1mmが好ましく、より好ましくは0.05〜0.8mmである。
また、本発明のセルロース系繊維構造体は、開口部や凹部、凹凸等で形成されたパターン等の表面修飾されているものであれば、クリーンルーム用ワイパーとしたときの拭き取り性能の点で好ましい。開口部や凹部、メッシュパターンの形状は用法等で適宜選択すればよい。例えば、楕円形や円形、正方形や長方形、ひし形等の独立したパターンや凹凸形状が組み合わされた例えば杉綾形状のパターン等、適宜選択すればよいし、その配列パターン、例えば独立した開口部や凹部で千鳥配列にしたりする等も適宜選択すればよい。独立した開口部や凹部のパターンを設ける場合には、開口部や凹部の1個あたりの面積は0.05〜10mmが好ましく、より好ましくは0.1〜5mm、更に好ましくは0.2〜2.5mmである。尚、開口部や凹部の1個あたりの面積は、構造体の裏側に例えば黒色の色紙等を置いて2値化、すなわち黒と白に分離できる状態にして開口部や凹部が判別できる状態にして画像処理等で求めることができる。
また、このような表面修飾は、例えば不織布の場合、不織布をメッシュ状のネットに乗せた状態で高圧液体流で処理する方法で、ネットの交絡点部の上にある不織布の繊維が高圧液体流で周囲に押しやられることにより、好適に得ることができる。また、例えば金属ロールの表面に凹凸パターンを作成し、金属ロールとゴムロールの間に圧力をかけながら不織布を通して凹凸形状をつけるいわゆるエンボス等の手法でも好適に得ることができる。
本発明のセルロース系繊維構造体の製造方法について一例を紹介する。本発明の好ましい態様は再生セルロース連続長繊維不織布であるが、例えば旭化成せんい株式会社製のキュプラ不織布「ベンリーゼ(登録商標)」がこれに相当する。
キュプラ不織布の製造方法は、異物を除去し、重合度を調整したコットンリンターを銅アンモニウム溶液に溶解させた原液を細孔(原液吐出孔)を有した紡糸口金(紡口)から押し出し、水と共に漏斗内を落下させ、脱アンモニアさせることにより原液を凝固させつつ、延伸を行い、ネット上へ振り落としウエブ形成させる。この際、ネットを進行させながら進行方向と垂直方向へ振動させることにより、ネットへ振り落とされる繊維はSinカーブを描くことになる。紡糸時の延伸は100〜500倍が可能であり、紡糸漏斗の形状と、その中を流下させる紡糸水量を変えることにより、延伸倍率の調整が任意に可能である。延伸倍率を変えることにより、単繊度や不織布の強度を変えることが可能である。 また、紡糸水量や温度を変化させることに原液内に微量残留する低分子量セルロース、いわゆるヘミセルロースをコントロールすることも可能である。また、ネットの進行速度、振動幅を制御することにより、繊維配列方向を制御し、不織布としての強度や伸度等をコントロールすることが可能である。
紡糸漏斗の形状としては、矩形型が好ましく、流下させる紡糸漏斗の長さは100〜400mm、流下出口のスリット幅は2〜5mmが好ましい。本発明に用いる紡口の原液吐出孔の直径は0.1〜0.5mmが好ましく、形状は丸型が好ましい。また、不織布の均一性を確保する意味から、ウエブを積層して不織布化することが好ましく、その積層枚数は3〜10枚が好ましい。積層後のウエブを例えば特許第787914号公報、特許第877579号公報に記載の方法により、ウエブ状態でセルロースを再生させたり、精練したりした後、高圧水流により繊維交絡させ不織布を製造する。この際に意匠性を付与するために不織布に穴や凹凸をつけたりすることが高圧水流の条件や不織布の下及び/又は上に配置されるネットの柄によって可能となる。得られた不織布は乾燥、巻き取り品として得ることができる。紡糸から巻き取りまでが一連の工程で成されるため繊維が切断されずに連続的に繋がっているので連続長繊維不織布という。
本発明のセルロース系繊維構造体は、繊維内部の特定イオンの量が各々9000μg/kg以下であることを特徴とする。
本発明において特定イオンとは、クリーンルーム中で汚染原因となるイオンの総称であり、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、リン酸イオン、硫酸イオン等が挙げられる。本発明では、比較的繊維への存在量が多く、汚染性への影響が高いナトリウムイオンおよび塩素イオンについて、各々9000μg/kg以下であることを特徴とする。特定イオンの量が9000μg/kg以下である本発明のセルロース系繊維構造体は、クリーンルーム内の汚染を最小限に抑えることでき、クリーンルーム用ワイパーとして好適に用いることができる。より好ましくは5000μg/kg以下、特に好ましくは4000μg/kg以下である。
本発明の、特定イオン量が9000μg/kg以下である本発明のセルロース系繊維構造体は、前述の繊維構造体を超臨界または高圧二酸化炭素を媒体として処理加工することで好適に製造することができる。
本発明において、超臨界二酸化炭素とは、二酸化炭素に7.38MPa以上の圧力および31.1℃以上の温度をかけることにより得られる非凝縮性高密度流体をいう。また高圧二酸化炭素とは、31.1℃で4.0MPa以上、7.38MPa未満のものをいう。このような高圧流体下での処理によって、セルロース系繊維構造体中の特定イオン量を減少させることが可能である。
本発明において、超臨界または高圧二酸化炭素を媒体として処理を行う際には、処理槽に環状アミン系化合物を助剤として添加することが好ましい。環状アミン系化合物としては、無機性/有機性値が1.0〜4.5であるものが好ましく、より好ましくは1.4〜4.0であるものが用いられる。ここで環状アミン系化合物の無機性/有機性値とは、有機化合物の一般性状を表す値であり、その数値が小さいほど疎水性になり、大きいほど親水性になることを示す。この値が上記範囲であれば繊維への構造変化を与えることなくイオン性物質を好適に除去することができる。このような環状アミン系化合物としては、N−メチルピロリドン(NMP、無機性/有機性値=1.47)、4−メチルモルフォリン,N−オキシド(NMMO、無機性/有機性値=3.95)等が挙げられる。
処理槽への上記環状アミン系化合物の添加は、二酸化炭素の添加前または超臨界もしくは高圧二酸化炭素状態のいずれの段階で行ってもよいが、超臨界または高圧二酸化炭素の状態で添加するのが好ましい。環状アミン系化合物の添加量は、染色槽の単位容積に対して0.1〜5vol.%の範囲が好ましく、より好ましくは0.3〜3vol.%である。
本発明において、超臨界または高圧二酸化炭素を媒体として処理を行う際に、環状アミン系化合物に加えて、低級アルコールを用いることが好ましい。本発明における低級アルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール等が挙げられるが、メタノールおよびエタノールが好ましく用いられる。低級アルコールの添加量は、処色槽の単位容積に対して0.1〜5vol.%の範囲が好ましく、より好ましくは0.5〜2vol.%である。
本発明における処理加工方法について説明する。超臨界の二酸化炭素を媒体とする場合、処理温度は二酸化炭素の臨界温度よりも5℃以上高いのが好ましく、より好ましくは70〜120℃である。処理温度を120℃以上にしても問題はないが、120℃以下で十分に処理可能であり、コスト高を招く。処理圧力は、二酸化炭素の臨界圧力である7.38MPa以上であればよく、好ましくは15〜25MPaである。超臨界状態の雰囲気を作るには、液化二酸化炭素またはドライアイスなどを用い、密閉系にて31.1℃以上で、かつ7.38MPa以上にすればよい。具体的には、例えば、オートクレーブ中に被処理物および無機性/有機性値が1.0〜4.5の環状アミン系化合物や低級アルコールなどの助剤を入れ、その中にドライアイスまたは液化二酸化炭素などを入れて密閉し、加圧・加温して7.38MPa以上の圧力および31.1℃以上の温度を保持して処理を行う。この際、系中に水が存在すると処理が均一に進まない場合がある。
また高圧二酸化炭素を媒体とする場合は、処理温度は60℃以上が好ましく、より好ましくは70〜120℃である。処理圧力は4.0MPa以上7.38MPa未満が好ましく、より好ましくは5.0〜7.0MPaである。
本発明のセルロース系繊維構造物は、クリーンルーム用ワイパーに好適に用いることができる。
本発明におけるクリーンルーム用ワイパーの形態は特に限定されず、適宜用途に応じて使いやすい形状を選択することができる。例えば、ワイパーを広げた場合の形状が正方形や長方形等の多角形、円形や楕円形等でも問題なく使用でき、用途によって適宜選択すればよい。
また、使用形態についても特に限定されず、用途によって適宜選択すればよい。例えば、目付が高い場合には平版の形状でもよいし、目付が低い場合には折ってあってもかまわない。また、折って使用する場合には、その折り方も適宜選択することができる。
本発明のクリーンルーム用ワイパーは、例えば長尺の巻形状、すなわちロール状でもよい。ロール状のワイパーは自動化された機械や連続的に拭き取る場合に好適に用いられる。ロール状で用いる場合は長繊維であることが好ましい。端部が長さ方向にしか存在しないため、リントの発生源であるワイパーの端部が上述のピース状のワイパーに比べて減少するからである。巻長さや幅等は特に限定されるものではなく、用途に応じて適宜選択されてよい。
また本発明のクリーンルーム用ワイパーにおいて、本発明の目的を損なわない限りワイパーに追加的に付与することが出来る各種の機能付加を任意に行う事が出来る。例えば、水及び/又は種々溶剤で予め湿潤させて供されるワイパー、加熱処理やガンマー線照射や電子線照射やエチレンオキサイドガス処理等によって滅菌処理又は殺菌処理されたワーパー、パイロジェンやエンドトキシンの含有量を制御したワイパー、等々で機能付加されたものも本発明のワイパーに包含され、これら任意の機能付加を何ら制限するものではない。
本発明のクリーンルーム用ワイパーのサイズは特に限定されず、使用用途、使用目的に応じて適宜選択できる。例えば、平版の場合には3〜12インチ角のものが一般的に用いられる。折り品の場合には上述のようなサイズのものが一般的に用いられており、ロール形状の場合には、幅が5〜100cm、巻長さ3〜50m程度のものが一般的に用いられている。
また、ワイパーの製造工程は特に限定されないが、使用用途によって適正な条件を満足していることが好ましい。例えば、医薬医療用ではGMP指定工場であったり、使用環境に見合ったクリーン度の部屋で製造することが好ましい。
例えば折り品の場合、原反をロータリーカッターで縦方向にスリットし、折り機で幅方向にカットしながら折り、一定枚数を袋に詰め、一定個数の袋をダンボールに入れて出荷する。これらの作業はワイパーの使用環境に見合ったクリーン度の部屋で行うことが好ましい。
本発明のワイパーの包装形態、包装材料等は特に限定されず、用途に応じて適宜選択されてよい。
例えば、折りあがった製品を袋に入れ、その袋数個をダンボール箱に入れる等、使用用途に合わせて適宜選択すればよい。
また、例えば、制電性を特に求められる場合にはワイパーを入れる袋を制電袋にすることが好ましい。静電気は物と物とが摩擦することで発生するため、静電気を低下させるためにはワイパー取り出し時の袋との摩擦も考慮することが望まれる。この場合、袋の材質が表面比抵抗値で10〜1010Ω/□程度であるものを用いることが好ましい。
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、例中の処理物の評価は、下記のようにして行った。
1)イオン評価
処理物内の塩素イオン、ナトリウムイオンについて次のように測定を行った。
<前処理>
それぞれの液体640mlにワイパーを40gの割合で浸し、常温で16時間静置する。16時間浸漬後、繊維状異物の除去の為、フィルター(ADVANTEC製 セルロース・ポリエステル複合 メンブランフィルター)にかけてろ過し、ガラス製容器に入れる。
<測定>
前処理で調製した溶液を、塩素イオンについてはイオンクロマトグラフ装置(DIONEX社製 200i/SP)にて、ナトリウムイオンについては発行プラズマ装置(サーモエレクトロン社製 IPIS IntrepidII XDL)にてそれぞれ測定した。
2)風合い評価
処理前後での風合い変化を、変化なし、軟化、硬化の3段階で判定した。
3)総合評価
上記1)〜2)の項目について下記のように総合判断した。
◎:非常に優れている。
○:優れている。
×:不適である
[実施例1]
平均目付30g/mの再生セルロース連続長繊維不織布(ベンリーゼ(登録商標)SS303、旭化成せんい(株)社製 )を用意した。
容積1000ccのオートクレーブ(材質SUS316)内に該不織布40gと、液化二酸化炭素780g、およびNMPを5ml添加し、オートクレーブを封入した。次に該オートクレーブを20℃にて15分放置し、オートクレーブ内部が超臨界状態ではないことを確認した後、昇温速度2℃/分にてオートクレーブを昇温した。オートクレーブ内部の温度が120℃、圧力25.0MPaになったことを確認して、30分間温度と圧力を保持し処理を行った。次に、オートクレーブの圧力を1.0MPa/分で減圧を行い5MPaまで減圧後はオートクレーブ内部圧力を大気圧まで開放した。上記処理を行った不織布の評価結果を表1に示したが、風合い変化も無く、処理前に比べ、イオンの量が極めて少ない構造体が得られた。
[実施例2]
実施例1において、不織布をオートクレーブに投入する際に、液化二酸化炭素及びNMPと同時にメタノールを10ml添加したこと以外は、実施例1と同条件にて処理を行った。上記処理を行った不織布の評価結果を表1に示したが、風合い変化も無く、処理前に比べ、イオンの量が極めて少ない構造体が得られた。
[実施例3]
実施例1において、不織布をオートクレーブに投入する際に、液化二酸化炭素及びメタノールを10ml添加したこと以外は、実施例1と同条件にて処理を行った。上記処理を行った不織布の評価結果を表1に示した。風合い変化は無く、イオンの量が少ない構造体が得られた。
[比較例1]
平均目付30g/mの再生セルロース連続長繊維不織布(ベンリーゼ(登録商標)SS303、旭化成せんい(株)社製 )を用意した。
次に、上記不織布へ超純水(Milli−Q Gradient(ミリポア社製)にて製造)を不織布の上部から30分間シャワーリングを行った。次に、130℃−5分で乾燥を行った。乾燥後に得られた不織布の評価結果を表1に示したが、風合いは堅く、ナトリウムイオンの量を9000μg/kg以下に低減させる事は出来なかった。
Figure 2006207090
本発明の繊維構造体及びその製造方法は、従来困難であったクリーンルームなどで用いられるワイパーなどに代表される繊維構造体において問題となる、乾燥時または水や低級アルコールなどの溶媒含浸時に繊維内部から溶出するイオン物質の量が極めて少ない製品を製造できうることである。

Claims (6)

  1. 繊維内部の特定イオンの量が各々9000μg/kg以下であることを特徴とするセルロース系繊維構造体。
  2. 前記構造体がセルロース系繊維不織布である事を特徴とする請求項1記載のセルロース系繊維構造体。
  3. 超臨界または高圧二酸化炭素を媒体として処理することを特徴とする請求項1または2記載のセルロース系繊維構造体の製造方法。
  4. 媒体中に無機性/有機性値が1.0〜4.5である環状アミン系化合物を添加することを特徴とする請求項3記載のセルロース系繊維構造体の製造方法。
  5. 媒体中に低級アルコールを添加することを特徴とする請求項4記載のセルロース系繊維構造体の製造方法。
  6. 請求項1または2記載のセルロース系繊維構造体からなることを特徴とするクリーンルーム用ワイパー。
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