以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
《発明の実施形態1》
図1は、本発明の実施形態に係るインクジェットプリンタを示す。このインクジェットプリンタは、写真プリントシステムに用いられるものであって、画像データの取得及びオーダ情報の取得を行いかつ必要な補正処理等を行う受付ブロック100(図9参照)と通信ケーブルを介して接続されており、この受付ブロック100から通信ケーブルを介して伝送される画像データをオーダ情報に基づきプリントペーパPに対してプリントを行うようになされている。
上記インクジェットプリンタは、筐体1と、この筐体1内の下部に配設されたマガジン収容部2と、筐体1内の上下方向略中央部に配設されたカセット収容部3と、筐体1内の上部に配設され、プリントペーパPに対して画像データのプリントを行うプリント部4と、プリントペーパPをマガジン収容部2からプリント部4へ搬送するための第1搬送路と、プリントペーパPをカセット収容部3からプリント部4へ搬送するための第2搬送路と、プリント部4でプリントされたプリントペーパPを該プリント部4から筐体1の外部へ排出するための第3搬送路と、筐体1の外部に設けられ、第3搬送路により筐体1の外部へ排出されたプリントペーパPを受け止める排出トレイ5とを備えている。尚、筐体前後方向は図1の左右方向であり、筐体前側は図1の右側であり、筐体後側は図1の左側である。また、筐体左右方向は図1の紙面に垂直な方向である。
上記マガジン収容部2には、ロール状に巻かれた長尺状ペーパであるプリントペーパPがペーパマガジン8に収容保持された状態でセットされるようになっている。このプリントペーパPは、プリントされるプリント面が外側となるように巻かれている。一方、上記カセット収容部3には、単票紙である複数枚のプリントペーパPが矩形箱状の給紙カセット9内に収容保持された状態でセットされるようになっている。この給紙カセット9内のプリントペーパPは、プリント面を上向きにして厚み方向(上下方向)に重ねられているとともに、押付け板10により、上側に位置する後述の送出しローラ35に押し付けられている。上記マガジン収容部2及びカセット収容部3は、プリントペーパPがセットされるペーパセット部を構成することになる。そして、マガジン収容部2又はカセット収容部3にセットされたプリントペーパPが、後述の如くプリント部4へと搬送されて該プリント部4でプリントされ、上記排出トレイ5へ排出されるようになっている。尚、マガジン収容部2には、幅寸法が小さいプリントペーパPを2つ筐体左右方向に並列にセットすることも可能になっており、このように2つ並列にセットした場合には、そのセットされた2つのプリントペーパPがマガジン収容部2から同時に引き出されて2列で搬送され、プリント部4において2つのプリントペーパPにプリントが行われ、排出トレイに同時に排出されることになる。
上記筐体1内には、上記第1〜第3搬送路を構成すべく、第1供給ユニットU1、カッターユニットU2、第2供給ユニットU3、スイッチバックユニットU4、プリントユニットU5及びカール矯正ユニットU6が設けられている。第1搬送路は、マガジン収容部2から順に、第1供給ユニットU1、カッターユニットU2、カール矯正ユニットU6、スイッチバックユニットU4及びプリントユニットU5で構成されている。また、第2搬送路は、カセット収容部3から順に、第2供給ユニットU3、スイッチバックユニットU4及びプリントユニットU5で構成されている。さらに、第3搬送路はプリントユニットU5で構成されている。
上記第1供給ユニットU1は、マガジン収容部2(ペーパマガジン8)内に設けられている。この第1供給ユニットU1は、ロール状のプリントペーパPを支持する3つの支持ローラ15と、プリントペーパPをカッターユニットU2へと導くガイド部材16と、このガイド部材16の途中に設けられかつプリントペーパPをカッターユニットU2へ搬送するための、駆動及び従動ローラ17a,17bからなる圧着型の供給ローラ17と、ガイド部材16の上流側に設けられ、プリントペーパPが巻き掛けられるガイドローラ18とを備えている。上記3つの支持ローラ15のうち筐体前側に配設されたローラは、不図示の電動モータによって回転駆動されて、プリントペーパPに対しロール中心回りに回転力を付与するようになっている。また、供給ローラ17の駆動ローラ17aは、カッターユニットU2に配設された電動モータ30により、伝動ベルト31及びギヤ列19を介して、同じくカッターユニットU2に配設された後述の送出しローラ25の駆動ローラ25aと共に回転駆動されるようになっている。この第1供給ユニットU1の下流側端には、第1ペーパ検出センサ20が設けられており、この第1ペーパ検出センサ20により、プリントペーパPがマガジン収容部2から全て引き出された場合の該プリントペーパPの後端が検出されるようになっている。このプリントペーパPの後端が検出された場合には、その旨をディスプレイ等を介してオペレータに知らせるようになっている。
上記カッターユニットU2は、上下方向に延びる縦フレーム6に固定された状態で第1供給ユニットU1の筐体後側に配設されていて、プリントペーパPをカール矯正ユニットU6へ送り出す圧着型の送出しローラ25と、この送出しローラ25の下流側に配設され、プリントペーパPを切断するための、固定刃26a及び可動刃26bからなるカッター26と、該可動刃26bを駆動する駆動機構等が収容されたカッター駆動部27と、水平方向に延び、プリントペーパPを送出しローラ25からカッター26による切断位置へ案内するガイド部材28とを備えている。上記カッター26により、マガジン収容部2から引き出されたプリントペーパPが、受付ブロック100からのオーダ情報に基づいて予め決められた長さに切断されるようになっている。上記送出しローラ25は、プリントペーパPを挟持する1つの駆動ローラ25aと2つの従動ローラ25bとからなり、これら従動ローラ25bが1つの圧縮コイルばね29により駆動ローラ25aに押し付けられている。この駆動ローラ25aは、上述の如く、電動モータ30により、第1供給ユニットU1における供給ローラ17の駆動ローラ17aと共に、伝動ベルト31を介して回転駆動されるようになっている。そして、プリントペーパPは、送出しローラ25及びガイド部材28により水平方向で筐体後向きに移動してカール矯正ユニットU6へと送り出され、後述の如くカール矯正ユニットU6の下流側に位置するスイッチバックユニットU4のローラ対41に受け取られて把持された後に、カッター26により切断されるようになっている。尚、このようにローラ対41がプリントペーパPを切断前に受け取るのではなくて、切断後に受け取るようにしてもよい。但し、この場合は、カッターユニットU2における搬送路が長くなるため、切断前に受け取るようにするのがよい。
上記カール矯正ユニットU6は、それぞれ中心軸回りに正逆回転自在に構成されかつ互いに上下方向に対向してその間にプリントペーパPを通過させるローラ対61とされる。ローラ対61のうち上側に位置する第1ローラ部61aは、図2に示すように、回転軸方向に所定の間隔を空けて配置された複数のローラとしての大径部61a1と、隣り合う大径部61a1の間に設けられた複数の小径部61a2とを有している。また、ローラ対61のうち下側に位置する第2ローラ部61bも同様に、回転軸方向に所定の間隔を空けて配置された複数のローラとしての大径部61b1と、隣り合う大径部61b1の間に設けられた複数の小径部61b2とを有しており、第2ローラ部61bの大径部61b1は第1ローラ部61aの小径部61a2と相対し、第2ローラ部61bの小径部61b2は第1ローラ部61aの大径部61a1と相対するようになっている。また、第1ローラ部61a及び第2ローラ部61bは、第1ローラ部61aの大径部61a1と第2ローラ部61bの大径部及び小径部61b1、61b2と、及び第2ローラ部61bの大径部61b1と第1ローラ部61aの大径部及び小径部61a1、61a2とはそれぞれ互いに非接触でかつ、第1ローラ部61aの大径部61a1の外周縁部と第2ローラ部61bの大径部61b1の外周縁部とは回転軸方向にみて上下に重なるように、配設されている。こうして、第2ローラ部61bの複数の大径部61b1が、それぞれ第1ローラ部61aの複数の大径部61a1の間に入り込むようになり、即ち、第1ローラ部61aの大径部61a1と第2ローラ部61bの大径部61b1とが回転軸方向に所謂千鳥状に配置されている。このように構成された第1ローラ部61aと第2ローラ部61bとの間には、図3に示すように、ペーパ搬送方向から見て波形状の間隙が形成される。尚、第2ローラ部61bは、第1ローラ部61aとの対向方向において、カム機構等の周知の移動機構(図示省略)によって移動可能に構成されており、第1ローラ部61aと第2ローラ部61bとの間に形成される間隙は、所望の幅に調整可能に構成されている。こうして、後述するように、プリントペーパPのカールを矯正するためのカール矯正量が適宜設定される。尚、第1ローラ部61a及び第2ローラ部61bがそれぞれ回動自在に構成されているが、第1ローラ部61a及び第2ローラ部61bのそれぞれの軸部は固定されており、それぞれの軸部に対して、大径部61a1及び大径部61b1がそれぞれ回動自在に構成されていてもよい。
上記第2供給ユニットU3は、カセット収容部3にセットされた複数枚のプリントペーパP(単票紙)の最上部に位置するプリントペーパPのプリント面に当接する送出しローラ35と、この送出しローラ35を、ギヤ列37を介して駆動する電動モータ36とを備えており、送出しローラ35の駆動により、最上部に位置するプリントペーパPが1枚だけ水平方向で筐体後向きに移動してスイッチバックユニットU4へと送り出されるようになっている。
上記スイッチバックユニットU4は、第1搬送路及び第2搬送路の途中に設けられたスイッチバック装置を構成している。このスイッチバックユニットU4は、該スイッチバックユニットU4の上流側に位置する上流側搬送路(つまり第1供給ユニットU1、カッターユニットU2及びカール矯正ユニットU6、又は第2供給ユニットU3)より搬送されてきたプリントペーパPを受け取って、該プリントペーパPを受取り時のプリントペーパ移動方向とは逆向きに、スイッチバックユニットU4の下流側に位置する下流側搬送路(つまりプリントユニットU5)に送り出すようになっている。すなわち、上流側搬送路では、プリントペーパPがプリント面を上向きにした状態で筐体後側に向かって搬送され、該上流側搬送路よりも上側位置に設けられた下流側搬送路では、プリントペーパPがプリント面を上向きにした状態で上流側搬送路とは逆向きの筐体前側に向かって搬送されるが、スイッチバックユニットU4で、プリントペーパPの進行方向が、プリント面を上向きにした状態のまま逆転され、上流側搬送路から下流側搬送路へのプリントペーパPの移行が、プリントペーパPを曲げずにスムーズに行えるようになっている。
具体的には、スイッチバックユニットU4は、上流側搬送路より搬送されてきたプリントペーパPを受け取って把持する把持部材を備えている。本実施形態では、この把持部材は、それぞれ中心軸回りに正逆回転自在に構成されかつ互いに上下方向に対向してその間にプリントペーパPを挟持するローラ対41とされ、このローラ対41のうち一方(本実施形態では、プリントペーパPの裏面に接触するローラ)は駆動ローラ41aであり、他方(プリントペーパPのプリント面に接触するローラ)は従動ローラ41bである。そして、駆動ローラ41aは、駆動機構としての電動モータ42及び伝動ベルト43(図4及び図5参照)により、中心軸回りに正逆に回転駆動されるようになっており、この駆動ローラ41aの正転及び逆転により、上流側搬送路からのプリントペーパPの受取り及び引込みと、下流側搬送路へのプリントペーパPの送出しとをそれぞれ行うようになっている。尚、ローラ対41の両方のローラを駆動するようにしてもよく、上下で駆動及び従動の機能を逆にしてもよい。
上記ローラ対41は、移動機構によって、カール矯正ユニットU6、第2供給ユニットU3及びプリントユニットU5の筐体後側位置において上下方向に直線移動するようになっている。この移動機構は、図4及び図5に示すように、縦フレーム6に固定されかつ上下及び筐体左右方向に延びるレール架台45と、このレール架台45の筐体左右方向一端部に上下方向に延びるように取り付けられた走行レール46と、この走行レール46の上下両端部近傍にそれぞれ設けられた2つのプーリ47に巻き掛けられ、該走行レール46に沿って延びる駆動ベルト48と、レール架台45に取付固定されかつ下側のプーリ47に直結された電動モータ49とを備えている。この電動モータ49により駆動ベルト48が正逆駆動されるようになっている。そして、駆動ベルト48にはブラケット50が取付固定され、このブラケット50には、走行レール46と嵌合してスライドするスライド部材51が固定されており、電動モータ49による駆動ベルト48の正逆駆動により、ブラケット50が上下方向に往復移動するようになっている。尚、このブラケット50の上下位置は、ブラケット50を検出するセンサ等が設けられた基準位置(例えば最下端)からの移動量(例えばモータの回転量)を計測することで分かるようになっている。
上記ブラケット50には、支持板52が固定され、この支持板52に上記ローラ対41における駆動ローラ41a及び従動ローラ41bの各一端部が回転可能に支持されており、このことで、ブラケット50の移動に伴ってローラ対41が上下方向に直線移動することになる。尚、図示は省略するが、駆動ローラ41a及び従動ローラ41bの各他端部は、レール架台45の筐体左右方向他端部に形成された支持部に上下方向にスライド可能に支持されている。
上記支持板52に、上述の、駆動ローラ41aを駆動するための電動モータ42が固定されている。この電動モータ42の回転軸及び駆動ローラ41aの一端部には、プーリ54がそれぞれ固定されており、この両プーリ54に上記伝動ベルト43が巻き掛けられて、この伝動ベルト43を介して駆動ローラ41aが駆動されることになる。
上記移動機構によって、上記ローラ対41は、上流側搬送路よりプリントペーパPを受け取る受取り位置と該受取り位置に対して上側に所定距離だけ離れた位置に設けられかつ該プリントペーパPを下流側搬送路に送り出す送出し位置との間で直線移動するようになっている。すなわち、上記カール矯正ユニットU6の下流端と略同じ高さ位置(走行レール46の下端近傍位置)が、カール矯正ユニットU6よりプリントペーパPを受け取る受取り位置(以下、第1受取り位置という)とされ、上記第2供給ユニットU3の下流端と略同じ高さ位置(走行レール46の上下方向略中央位置)が、第2供給ユニットU3よりプリントペーパPを受け取る受取り位置(以下、第2受取り位置という)とされている。一方、プリントユニットU5の上流端と略同じ高さ位置(走行レール46の上端近傍位置)が、プリントペーパPをプリントユニットU5に送り出す送出し位置とされている。このように上流側搬送路の下流端と下流側搬送路の上流端とが所定距離(各ユニットU1〜U6の配置により決まる値であり、出来る限り小さい値に設定される)だけ離れており、これに対応してローラ対41が移動することになる。
そして、スイッチバックユニットU4は、第1受取り位置においてローラ対41により上流側搬送路(カール矯正ユニットU6)よりプリントペーパPを受け取って把持した後でかつカッター26によりプリントペーパPが切断された後に、又は第2受取り位置においてローラ対41により上流側搬送路(第2供給ユニットU3)よりプリントペーパPを受け取って把持した後に、上記移動機構により、該プリントペーパPを把持したローラ対41を、該プリントペーパPが上流側搬送路から切り離された状態で送出し位置に移動させ、該送出し位置において該プリントペーパPを受取り時のプリントペーパPの移動方向とは逆向きに下流側搬送路に送り出すように構成されている。この下流側搬送路に送り出されるプリントペーパPの移動方向は、水平方向で受取り時の移動方向とは逆向き(筐体前向き)となる。
図4に示すように、上記支持板52におけるローラ対41の筐体前後部には、ローラ対41により把持されたプリントペーパPの下側に位置して該プリントペーパPを支持する第1及び第2支持部材56,57がそれぞれ固定されている(図5では図示を省略している)。この第1支持部材56は、プリントペーパPをカール矯正ユニットU6から水平状態でローラ対41に導く役割を有している。この第1支持部材56には、プリントペーパPを検出するための第2ペーパ検出センサ58が設けられている。
一方、上記第2支持部材57の筐体後部には、下側に曲げられた曲げ部が形成され、この曲げ部には、押えローラ59が当接している。この押えローラ59は、支持板52に回動自在に支持されたアーム60の先端部に回動自在に取り付けられており、該押えローラ59の自重により第2支持部材57の曲げ部に当接している。そして、この第2支持部材57の曲げ部及び押えローラ59により、ローラ対41により把持されたプリントペーパPが下側に垂れて筐体1の後部内壁面に当接しないようになされている。すなわち、筐体1内におけるスイッチバックユニットU4の筐体後側(ローラ対41に対して上流側搬送路及び下流側搬送路とは反対側における該ローラ対41の移動範囲に対応する部分)には、ローラ対41により把持されるプリントペーパP用の空間スペース12が設けられているが、上記の如くプリントペーパPを下側に垂らすようにすることで、その空間スペース12の筐体前後方向(上流側搬送路の延長方向)に沿った長さを出来る限り小さくすることができる。一方、プリントペーパPを下側に垂らすことで、ローラ対41により把持されるプリントペーパP用の空間スペース12を、上記移動範囲に対応する部分の下方(第1受取り位置よりも下側)に延長する必要があるが、本実施形態では、第1搬送路に関して、スイッチバックユニットU4の上流側に位置する上流側搬送路及び第1受取り位置が、マガジン収容部2にセットされたプリントペーパPのロール中心よりも上側位置に設けられており、このことで、筐体1の高さを大きくすることなく上記空間スペース12を下方に容易に延長することができる。
尚、図示は省略するが、上記第1及び第2支持部材56,57におけるペーパ幅方向両端部には、プリントペーパPの幅方向への移動を規制する規制部材がそれぞれ設けられており、この両規制部材は、ペーパ幅(ペーパマガジン8に設けた識別コード部を検出することでペーパ幅が分かるようになっている)に応じてその間隔を変化可能に構成されている。上述の如くプリントペーパPが2列で搬送される場合には、上記両規制部材間の中央部に更にもう1つの規制部材が搬送路上に進入して、これら3つの規制部材により2列で搬送される各プリントペーパPの幅方向への移動を規制するようになっている。
上記プリントユニットU5は、上記縦フレーム6の上端位置において水平方向に延びる横フレーム7に固定された固定台65と、この固定台65の上下方向中間部に設けられ、プリント時にプリントペーパPを支持するプリント台66と、このプリント台66上に位置するプリントペーパPと対向し、該プリントペーパPに対しインクを吐出してプリントを行うプリントヘッド67とを備えている。このプリント台66及びプリントヘッド67が上記プリント部4を構成する。
上記プリント台66は、プリントペーパPをファン等によりプリント台66の下側から吸引して吸着保持する構成にはなっておらず、図6に示すように、吸引用孔等を有していない。このプリント台66のペーパ幅方向(図6に示すX方向)両端部には、ペーパ搬送方向(Y方向)に延びる複数(本実施形態では、片側6つずつ)の溝66aがペーパ幅方向に所定間隔をあけて並ぶように形成されている。これら各溝66aは、種々のサイズのプリントペーパPの幅方向両端位置に対応して設けられており、各溝66a内には、上記プリントヘッド67から吐出されたインクがプリントペーパPの幅方向両端から外側に外れた場合(特に縁なしプリントを行う際に外側に外れ易い)に、該インクを吸収するためのインク吸収材68が嵌め込まれている。また、プリント台66のペーパ幅方向中央部には、後述の3つのヘッドユニット67aの各位置にそれぞれ対応して凹部66bが形成されており、この各凹部66b内には、プリントペーパPを2列で搬送してプリントする際に、プリントヘッド67の各ヘッドユニット67aより予備吐出(プリントを行う前の試し打ち)されたインクを吸収するインク吸収材69が嵌め込まれている。
本実施形態では、上記プリントヘッド67は、図6に示すように、その底面(プリント台66と対向する面)に複数のインク吐出ノズル67bが副走査方向(ペーパ搬送方向(Y方向))に列をなすように設けられた3つのヘッドユニット67aを有しており、これら3つのヘッドユニット67aが互いに副走査方向に間隔をあけて並んでいる。尚、各ヘッドユニット67aのノズル列は、図6では1列しか記載していないが、実際には、複数色のインクにそれぞれ対応してペーパ幅方向に複数並ぶように設けられる。また、ヘッドユニット67aは3つである必要はなく、1つや2つであってもよく、4つ以上であってもよい。
上記プリントヘッド67の上面は、該プリントヘッド67を主走査方向(図1の紙面に垂直な方向(図6に示すX方向))に往復移動させるための駆動ベルト70に取付固定されている。この駆動ベルト70は、主走査方向に延びていて、その両端部にそれぞれ配設されかつ固定台65の上部に回転自在に支持された2つのプーリ71(図1では1つのみ示す)に巻き掛けられている。この一方のプーリ71は、不図示の電動モータにより回転駆動されるようになっている。また、固定台65の上部には、駆動ベルト70に沿って主走査方向に延びるガイドレール72が取付固定されており、プリントヘッド67は、このガイドレール72に案内されながら、駆動ベルト70によって主走査方向に往復移動するようになっている。そして、プリント台66上のプリントペーパPは、プリント台66の上流側に設けられた搬送ローラ75により一定の単位搬送量で間欠的に(ステップ状に)副走査方向に搬送され、この間欠搬送時におけるプリントペーパPの各停止時に、プリントヘッド67が主走査方向に一走査(一往動作又は一復動作)されて、この走査時に、主走査方向の各位置で、各ヘッドユニット67aのインク吐出ノズル67bからインクが吐出される。つまり、プリントヘッド67の一走査後に、プリントペーパPが単位搬送量だけ搬送され、その後、再びプリントヘッド67が一走査され、この動作が繰り返し行われて、所望の画像がプリントされることになる。
上記搬送ローラ75は、プリントユニットU5の上流側端部(つまり下流側搬送路の上流側端部であって、送出し位置に位置するローラ対41(図7参照)の近傍)に設けられており、送出し位置に位置するローラ対41により送り出されたプリントペーパPを受け取ってプリント部4へ搬送する役割を有している。この搬送ローラ75は、カッターユニットU2における送出しローラ25と同様に、プリントペーパPを挟持する1つの駆動ローラ75aと2つの従動ローラ75bとからなり、2つの従動ローラ75bが1つの圧縮コイルばね76により駆動ローラ75aに押し付けられている。この駆動ローラ75aは、電動モータ77により伝動ベルト78を介して回転駆動されるようになっている。
上記搬送ローラ75により挟持されたプリントペーパPにおける該挟持部分の高さ位置は、上記プリント台66の上面よりも高くされており、プリントペーパPは、駆動ローラ75aに巻き掛けられながらプリント台66に対して斜め上方から進入し、プリント台66の上流側端部において該上流側端部に対して上方に隙間があくように支持された案内ローラ79によって、駆動ローラ75aに巻き掛けられた部分とは反対側に曲げられて、プリントペーパPの裏面がプリント台66の上面に略接触した状態で搬送されることになる。
一方、プリント台66の下流側には、プリントされたプリントペーパPを筐体1の外部へ排出するための第3搬送路を構成すべく、駆動及び従動ローラ81a,81bからなる2対の圧着型の排出ローラ81が互いにペーパ搬送方向に間隔をあけて設けられている。この各排出ローラ81の駆動ローラ81aは、電動モータ82により伝動ベルト83を介して同時に駆動されるようになっている。そして、下流側の排出ローラ81の高さ位置は上流側の排出ローラ81よりも高く、下流側の排出ローラ81と上流側の排出ローラ81との間には、プリントペーパPを持ち上げて下流側の排出ローラ81へと導くガイド部材84が設けられている。
上記のように、プリントペーパPはプリント台66の上流側及び下流側でプリント台66の上面よりも高い位置に持ち上げられているため、プリントペーパPのプリント台66上の部分は、プリント台66の上面に押し付けらるようになる。これにより、プリント台66上でのプリントペーパPの平面性が確保される。特にマガジン収容部2から搬送されてきたプリントペーパPは、上記ロールによる巻き癖によって、長さ方向中央部が両端部に対してプリント面側に突出するようにカールしているが、このようにプリントペーパPがカールしていても、プリント台66に吸着させることなく平面性を確保することができるようになる。尚、本実施形態では、後述の如く、マガジン収容部2から搬送されてきたプリントペーパPは、プリント台66に供給される前に上記カールが矯正されるので、平面性をより一層向上させることができる。
上記排出トレイ5は、筐体1の外部における上記排出ローラ81の筐体前側に設けられていて、筐体1の前方へ突出しており、その先端部には、補助トレイ5aが格納されている。この補助トレイ5aは、排出されるプリントペーパPの長さが排出トレイ5の長さよりも長い場合に、筐体1の前方へ引き出すことで、該長いプリントペーパPを受け止めることができるようになっている。
本インクジェットプリンタは、制御系として、図9に示すように、マイクロプロセッサ101(以下、CPUという)と、このCPU101とデータバスを介して接続された搬送制御部102、ヘッド制御部103、プリント制御部104、半導体メモリRAM/ROM105、通信インタフェース106、上述の第1ペーパ検出センサ20及び第2ペーパ検出センサ58とを備えている。
上記搬送制御部102は、上記各ユニットU1〜U6夫々の動作制御を行う。ヘッド制御部103は、プリントヘッド67の動作制御を行う。通信インタフェース106は、受付ブロック100との間で情報の送受信を行うためのものである。プリント制御部104は、受付ブロック100から通信インタフェース106を介して受信した画像データに基づき、プリントペーパPに対して画像データのプリントを実現するための制御を行う。
上記搬送制御部102の制御により、上記各ユニットU1〜U6は以下のように動作する。
マガジン収容部2にセットされたプリントペーパPに対してプリントを行う場合には、スイッチバックユニットU4のローラ対41を第1受取り位置に位置させておく(図1参照)。そして、第1供給ユニットU1の支持ローラ15及び供給ローラ17並びにカッターユニットU2の送出しローラ25を作動させることにより、プリントペーパPをマガジン収容部2から引き出して、カール矯正ユニットU6のローラ対61の間隙を通過させて、第1受取り位置に位置するローラ対41へと搬送する。
ここで、プリントペーパPが、それぞれ大径部61a1,61b1及び小径部61a2,61b2を有する第1ローラ部61a及び第2ローラ部61bの間を通過することによって、ペーパ長手方向から見て波形状に曲げられて(図3参照)、上記ロールの巻き癖によるカールが矯正されることになる。こうして、カールが矯正されたプリントペーパPは、ローラ対41へ搬送される。
上記ローラ対41の駆動ローラ41aは、プリントペーパPの先端が第2ペーパ検出センサ58により検出されたときに駆動し始めて図1及び図4で反時計回り方向に回転(正転)し、カール矯正ユニットU6より水平方向で筐体後向きに搬送されてきたプリントペーパPを受け取って把持する。つまり、プリントペーパPを駆動ローラ41aと従動ローラ41bとの間に挟持する。駆動ローラ41aは駆動し続けて、プリントペーパPを筐体後側の空間スペース12へと引き込む。そして、プリントペーパPの先端が第2ペーパ検出センサ58により検出されてから、オーダ情報に基づいて決定された量だけ搬送した後に、カッター26の可動刃26bが作動してプリントペーパPが切断される。この切断後も駆動ローラ41aは駆動し続け、切断されたプリントペーパPの後端部がローラ対41により把持されたところで停止する。この段階で、ローラ対41により把持されたプリントペーパPは、上流側搬送路には掛かっておらず、上流側搬送路から切り離された状態となる。尚、第1供給ユニットU1の支持ローラ15及び供給ローラ17並びにカッターユニットU2の送出しローラ25の作動は、プリントペーパPの切断後に停止する。
続いて、スイッチバックユニットU4の駆動ベルト48が作動し、ローラ対41が上方に移動して送出し位置で停止する(図7参照)。これにより、プリントペーパPが上流側搬送路(カッターユニットU2)から切り離された状態で受取り位置から送出し位置に搬送される。
その後、ローラ対41の駆動ローラ41aが図7で時計回り方向に回転(逆転)し、切断後のプリントペーパPを水平方向で筐体前向きにプリントユニットU5の搬送ローラ75へと送り出す。
上記プリントペーパPの送出し時に、プリントペーパPの先端(受取り時の後端)が第2ペーパ検出センサ58により検出され、この検出によりプリントユニットU5の搬送ローラ75が作動を開始し、搬送ローラ75は、スイッチバックユニットU4より送り出されたプリントペーパPを受け取って、そのままプリント台66へと搬送する。尚、スイッチバックユニットU4のローラ対41は、第2ペーパ検出センサ58によりプリントペーパPの後端が検出された後に、下方に移動して第1受取り位置へ戻る。
そして、搬送ローラ75により単位搬送量で間欠的に搬送しながら、プリントヘッド67を主走査方向に移動させて、該プリントヘッド67の各ヘッドユニット67aのインク吐出ノズル67bよりプリント台66上のプリントペーパPに対しインクを吐出することでプリントを行う。
上記プリントされたプリントペーパPは、排出ローラ81によって、プリント面を上向きにして筐体1の外部へ排出されて、排出トレイ5によって受け止められる。
一方、カセット収容部3にセットされたプリントペーパPに対してプリントを行う場合には、スイッチバックユニットU4のローラ対41を第2受取り位置に位置させておく(図8参照)。そして、第2供給ユニットU3の送出しローラ35の作動により、プリントペーパPをカセット収容部3から引き出して、第2受取り位置に位置するローラ対41へと搬送する。
続いて、マガジン収容部2から引き出されたプリントペーパPと同様に、ローラ対41がプリントペーパPの後端部を把持した後、上方に移動して送出し位置で停止する。これにより、プリントペーパPが上流側搬送路(第2供給ユニットU3)から切り離された状態で受取り位置から送出し位置に搬送される。尚、カセット収容部3にセットされたプリントペーパPの場合には、カール矯正を行う必要がないので、第2供給ユニットU3とローラ対41との間には、上記カール矯正ユニットU6のようなプリントペーパPのカールを矯正する装置が設けられていない。その後、ローラ対41の駆動ローラ41aが逆転して、プリントペーパPを受取り時の移動方向とは逆向きにプリントユニットU5の搬送ローラ75へと送り出す。
上記プリントペーパPの搬送ローラ75への送出し時に、プリントペーパPの先端が第2ペーパ検出センサ58により検出され、この検出によりプリントユニットU5の搬送ローラ75が作動を開始する。搬送ローラ75は停止することなく作動し続けて、スイッチバックユニットU4より送り出されたプリントペーパPを受け取って、そのままプリント台66へと搬送する。尚、スイッチバックユニットU4のローラ対41は、第2ペーパ検出センサ58によりプリントペーパPの後端が検出された後に、下方に移動して第2受取り位置へ戻る。
次いで、マガジン収容部2から引き出されたプリントペーパPと同様に、プリントペーパPを搬送ローラ75により単位搬送量で間欠的に搬送しながら、プリントヘッド67を主走査方向に移動させてプリントを行う。このプリントされたプリントペーパPは、排出ローラ81によって、プリント面を上向きにして筐体1の外部へ排出されて、排出トレイ5によって受け止められる。
したがって、上記実施形態1では、プリントペーパPは、カール矯正ユニットU6によって、マガジン収容部2におけるロールの巻き癖によるカールと直行する方向に波形状に曲げられるため、そのカールを矯正することができる。その結果、プリント部4でのプリントペーパPの平面性が確保され、プリント品質を向上させることができる。
また、上記実施形態1では、上流側搬送路とスイッチバックユニットU4との間でプリントペーパPを受け渡す必要があるが、カール矯正ユニットU6をカッターユニットU2とスイッチバックユニットU4のローラ対41との間に配置することによって、カッターユニットU2とローラ対41との間でプリントペーパPを受け渡す前にそのカールを矯正することができるため、プリントペーパPの前端が送り出されるにつれてカールにより湾曲していきローラ対41へ的確に到達しないとういことを防止することができる。つまり、上流側搬送路とスイッチバックユニットU4との間でプリントペーパPの受け渡しを確実に行うことができ、ペーパジャム等が発生することを防止することができる。
尚、上記実施形態1では、カール矯正ユニットU6を、カッターユニットU2とスイッチバックユニットU4との間に配置したが、マガジン収容部2とプリント部4との間であって、マガジン収容部2から引き出されたプリントペーパPのロールの巻き癖によるカールを矯正できる場所であれば、いずれの場所に配置してもよい。ただし、例えば、プリントユニットU5のすぐ上流側等に配置する場合には、カセット収容部3から搬送されるカールしていないプリントペーパPに対しては、カール矯正ユニットU6の第1ローラ部61aと第2ローラ部61bとの間隔を広くする等して、該プリントペーパPに波形状の癖をつけないようにすることが必要である。
また、上記実施形態1では、上流側搬送路と下流側搬送路との間においてスイッチバックユニットU4によってプリントペーパPを搬送するように構成しているが、これに限られず、上流側搬送路と下流側搬送路との間に搬送ローラを設けて、上流側搬送路から下流側搬送路までプリントペーパPを連続的にローラ搬送するように構成してもよい。かかる場合には、カール矯正ユニットU6は、搬送路の途中であって、マガジン収容部2とプリント部4との間であれば任意の場所に配置することができる。
《発明の実施形態2》
図10は、本発明の実施形態2に係るインクジェットプリンタを示す。このインクジェットプリンタは、実施形態1に係るインクジェットプリンタに対して、スイッチバックユニットU4がカール矯正装置を兼用する(逆に言えば、カール矯正ユニットU6がスイッチバック装置を兼用する)。つまり、本実施形態2においては、図10に示すように、カール矯正ユニットU62のローラ対62が実施形態1におけるスイッチバックユニットU4のローラ対41の代わり、支持板52に配設される。
具体的には、本実施形態2に係るスイッチバックユニットU42は、上流側搬送路より搬送されてきたプリントペーパPを受け取って把持する把持部材を備えている。この把持部材は、それぞれ中心軸回りに正逆回転自在に構成されかつ互いに上下方向に対向してその間にプリントペーパPを挟持するローラ対62とされ、このローラ対62のうち一方(本実施形態では、プリントペーパPの裏面に接触するローラ)は駆動回転する第2ローラ部62bであり、他方(プリントペーパPのプリント面に接触するローラ)は従動回転する第1ローラ部62aである。
第1ローラ部62aは、図2、3及び11に示すように、回転軸方向に所定の間隔を空けて配置された複数のローラとしての大径部62a1と、隣り合う大径部62a1の間に設けられた複数の小径部62a2とを有している。また、第2ローラ部62bも同様に、回転軸方向に所定の間隔を空けて配置された複数のローラとしての大径部62b1と、隣り合う大径部62b1の間に設けられた複数の小径部62b2とを有しており、第2ローラ部62bの大径部62b1は第1ローラ部62aの小径部62a2と相対し、第2ローラ部62bの小径部62b2は第1ローラ部62aの大径部62a1と相対するようになっている。また、第1ローラ部62a及び第2ローラ部62bは、第1ローラ部62aの大径部62a1及び第2ローラ部62bの小径部62b2、並びに第1ローラ部62aの小径部62a2及び第2ローラ部62bの大径部62b1は互いに非接触でかつ、第1ローラ部62aの大径部62a1の外周縁部と第2ローラ部62bの大径部62b1の外周縁部とは回転軸方向にみて上下に重なるように、配設されている。こうして、第2ローラ部62bの複数の大径部62b1が、それぞれ第1ローラ部62aの複数の大径部62a1の間に入り込むようになり、即ち、第1ローラ部62aの大径部62a1と第2ローラ部62bの大径部62b1とが回転軸方向に所謂千鳥状に配置されている。尚、第1ローラ部62aは、第2ローラ部62bとの対向方向において、カム機構等の周知の移動機構(図示省略)によって移動可能に構成されており、第1ローラ部62aと第2ローラ部62bとの間に形成される間隙は、所望の幅に調整可能に構成されている。こうして、プリントペーパPのカールを矯正するためのカール矯正量が適宜設定される。尚、第1ローラ部62a及び第2ローラ部62bがそれぞれ回動自在に構成されているが、第1ローラ部62a及び第2ローラ部62bのそれぞれの軸部は固定されており、それぞれの軸部に対して、大径部62a1及び大径部62b1がそれぞれ回動自在に構成されていてもよい。
そして、第1ローラ部62aは、実施形態1と同様に、駆動機構としての電動モータ42及び伝動ベルト43により、中心軸周りに正逆に回転駆動されるようになっており、この第1ローラ部62aの正転及び逆転により、上流側搬送路からのプリントペーパPの受取り及び引込みと、下流側搬送路へのプリントペーパPの送り出しとをそれぞれ行うようになっている。その他のスイッチバックユニットU42の構成は、実施形態1のスイッチバックユニットU4と同様である。
実施形態2に係るインクジェットプリンタにおいては、搬送制御部102の制御により、各ユニットU1〜U62は以下のように動作する。尚、上記実施形態1と同様の動作については説明を省略する。
マガジン収容部2にセットされたプリントペーパPに対してプリントを行う場合には、スイッチバックユニットU42のローラ対62を第1受取り位置に位置させておく(図10参照)。そして、第1供給ユニットU1の支持ローラ15及び供給ローラ17並びにカッターユニットU2の送出しローラ25を作動させることにより、プリントペーパPをマガジン収容部2から引き出して、第1受取り位置に位置するローラ対62へと搬送する。
ここで、カッターユニットU2の下流側には実施形態1におけるカール矯正ユニットU6が設けられておらず、カッターユニットU2のガイド部材28の下流端から水平方向へ送り出されたプリントペーパPは、そのまま第1受取り位置に位置するローラ対62へと搬送される。
上記ローラ対62の第2ローラ部62bは、プリントペーパPの先端が第2ペーパ検出センサ58により検出されたときに駆動し始めて図10で反時計回り方向に回転(正転)し、カッターユニットU2より水平方向で筐体後向きに搬送されてきたプリントペーパPを受け取って把持する。その後、オーダ情報に基づいて決定された量だけ搬送した後に、カッター26の可動刃26bが作動してプリントペーパPが切断され、切断されたプリントペーパPの後端部がローラ対62により把持されたところで、第2ローラ部62bの駆動が停止する。
こうしてプリントペーパPが、それぞれ大径部62a1,62b1及び小径部62a2,62b2を有する第1ローラ部62a及び第2ローラ部62b間を通過することによって、ロールの巻き癖によるカールが矯正される。
続いて、ローラ対62が上方に移動して送出し位置で停止する。その後、ローラ対62が切断後のプリントペーパPをプリントユニットU5の搬送ローラ75へと送り出す。搬送ローラ75は、スイッチバックユニットU42より送り出されたプリントペーパPを受け取って、そのままプリント台66へと搬送する。そして、プリント部4において該プリントペーパPに対してプリントを行う。上記プリントされたプリントペーパPは、筐体1の外部へ排出されて、排出トレイ5によって受け止められる。
一方、カセット収容部3にセットされたプリントペーパPに対してプリントを行う場合には、第2受取り位置に位置させておいた、スイッチバックユニットU42のローラ対62によって、カセット収容部3からプリントペーパPを受け取る。このとき、ローラ対62の第1ローラ部62aと第2ローラ部62bとの間隙は、第1ローラ部62aと第2ローラ部62bとの間でプリントペーパPを挟持でき且つ、該プリントペーパPにペーパ長手方向に見て波形状の癖がつかない程度に設定されている。つまり、カセット収容部3にセットされたプリントペーパPに対してはカールを矯正する必要はないため、ローラ対62は、カール矯正装置としての役割を果たさず、ペーパ搬送装置としての役割だけを果たしている。
そして、マガジン収容部2から引き出されたプリントペーパPと同様に、ローラ対62がプリントペーパPの後端部を把持した後、上方に移動して送出し位置で停止する。その後、ローラ対62がプリントペーパPをプリントユニットU5の搬送ローラ75へと送り出す。プリントユニットU5へ送り出されたプリントペーパPは、プリント部4においてプリントされ、排出トレイ5へ排出される。
したがって、上記実施形態2では、ペーパ搬送装置且つスイッチバック装置であるローラ対62がカール矯正ユニットU62を兼用するため、カールを矯正するためだけの部材を別途設ける必要がなく、部品点数を削減してコストダウンを図ることができる。また、ペーパ搬送におけるスイッチバック動作中に併せてプリントペーパPのカールを矯正するため、プリントペーパPのカール矯正を行う処理時間を短縮することができ、ひいては、インクジェットプリンタのプリント時間を短縮させることができる。
《その他の実施形態》
尚、上記実施形態1及び2では、第1及び第2ローラ部61a、61b(62a、62b)の大径部61a1、61b1(62a1、62b1)は、軸方向中央部分の外径が最も大きく、端部側ほど外径が小さくなっているがこれに限られるものではない。例えば、大径部61a1、61b1(62a1、62b1)が一定の外径を有する円柱形状に形成されてもよい。つまり、相対的に外径が大きい大径部61a1、61b1(62a1、62b1)と相対的に外形が小さい小径部61a2、61b2(62a2、62b2)とが、交互に配置されて、第1ローラ部61a(62a)と第2ローラ部61b(62b)との間に波形状の間隙が形成されればよい。また、上記実施形態1及び2では、第1ローラ部61a(62a)の大径部61a1(62a1)と第2ローラ部61b(62b)の大径部61b1(62b1)とが、それぞれ4個及び3個設けられているが、第1ローラ部61a(62a)の大径部61a1(62a1)と第2ローラ部61b(62b)の大径部61b1(62b1)とが、回転軸方向に千鳥状に交互に配置されるように構成されれば、大径部61a1(62a1)及び61b1(62b1)の個数は任意の数でよい。
また、上記実施形態1及び2では、マガジン収容部2及びカセット収容部3の両方を設けるようにしたが、マガジン収容部2だけを設けるようにしてもよく、マガジン収容部2を複数設けるようにしてもよい。
加えて、上記実施形態1及び2では、本発明のプリンタを、写真プリントシステムに用いられるインクジェットプリンタに適用したが、プリントペーパPをペーパセット部からプリント部4へ搬送するようにしたインクジェットプリンタであれば、本発明はどのようなものにも適用することができる。