JP2006175979A - 車線逸脱防止装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 逸脱回避制御の制御介入中に、運転者が逸脱方向への操舵を行った場合に、逸脱回避のためのヨーモーメントを発生させるために制動力制御が通常時以上に継続して行われることに起因して、ブレーキディスクの耐久性が低下することを回避する。
【解決手段】 走行車線からの自車両の横ずれ量(逸脱推定値Xs)に応じたヨーモーメントを発生させて逸脱回避を図るが、このとき、逸脱回避制御の1作動期間中における目標ヨーモーメントMsの積算値Wを逐次計測し(ステップS1からS5)、目標ヨーモーメントの積算値Wの絶対値が、走行車線の道路曲率ρに応じて設定されるヨーモーメント積算制限値Wcの絶対値以上となったときには、逸脱方向への操舵操作が行われる等といった非通常の状況下で逸脱回避制御が行われていると判断し、最終目標ヨーモーメントMsを零に設定して、ヨーモーメントの発生を終了する(ステップS6からステップS9)。
【選択図】 図2
【解決手段】 走行車線からの自車両の横ずれ量(逸脱推定値Xs)に応じたヨーモーメントを発生させて逸脱回避を図るが、このとき、逸脱回避制御の1作動期間中における目標ヨーモーメントMsの積算値Wを逐次計測し(ステップS1からS5)、目標ヨーモーメントの積算値Wの絶対値が、走行車線の道路曲率ρに応じて設定されるヨーモーメント積算制限値Wcの絶対値以上となったときには、逸脱方向への操舵操作が行われる等といった非通常の状況下で逸脱回避制御が行われていると判断し、最終目標ヨーモーメントMsを零に設定して、ヨーモーメントの発生を終了する(ステップS6からステップS9)。
【選択図】 図2
Description
本発明は、走行中に自車両が走行車線から逸脱しそうになったときに、その逸脱を防止するようにした車線逸脱防止装置に関するものである。
従来、この種の技術としては、例えば、自車両の走行位置の横ずれ量に応じて制動力アクチュエータを制御し、左右輪のうち逸脱方向とは反対側の車輪に制動力を付加することで、車線からの逸脱を防止するようにしたものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2000−33860号公報
ここで、上記従来のように、車輪に制動力を付加することで、車線からの逸脱を防止するようにした車線逸脱防止装置においては、例えば、運転者が車線変更する場合等、制動力によって発生する逸脱回避方向へのヨーモーメントと均衡するような、逸脱を助長する方向への操舵トルクを運転者が発生させ続けた場合には、逸脱傾向の状態が継続し、この間制動力が発生され続けることになるため、ブレーキディスクの摩擦狭持が継続することになり、ブレーキディスクや、車線逸脱防止装置全体の耐久性に影響を与えるという問題がある。
そこで、この発明は、上記従来の問題に着目してなされたものであって、逸脱回避制御による逸脱回避方向とは逆方向に操舵トルクが発生するような場合であっても、耐久性に影響を与えることのない、車線逸脱防止装置を提供することを提供することを目的としている。
そこで、この発明は、上記従来の問題に着目してなされたものであって、逸脱回避制御による逸脱回避方向とは逆方向に操舵トルクが発生するような場合であっても、耐久性に影響を与えることのない、車線逸脱防止装置を提供することを提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明に係る車線逸脱防止装置は、逸脱回避制御手段により逸脱回避制御が行われている間、積算値算出手段により逸脱回避制御手段による制御量を逐次積算する。この積算値算出手段で算出された積算値が、予め設定したしきい値を上回るときには、通常の逸脱回避制御とは異なる状況下で制御が行われていると判断し、これ以後、逸脱回避制御による制御量を制限する。
本発明に係る車線逸脱防止装置によれば、積算値算出手段で算出された積算値が、予め設定したしきい値を上回るときには、これ以後、逸脱回避制御手段による制御量を制限するようにしたから、運転者が逸脱回避制御手段による逸脱回避方向とは逆方向に操舵介入した場合等、通常とは異なる状況下で逸脱回避制御が行われることによって、逸脱回避制御が通常よりも長い期間実行され続けることを回避することができる。したがって、例えば、制動力を発生させるためのブレーキディスク等といった、逸脱回避制御手段を構成する各部が劣化することを抑制し、その耐久性を向上させることができる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、第1の実施の形態における車線逸脱防止装置の一例を示す車両概略構成図である。なお、この車両は、自動変速機及びコンベンショナルディファレンシャルギヤを搭載した後輪駆動車両であり、制動装置は、前後輪とも、左右輪の制動力を独立に制御可能としている。
図1中の符号1はブレーキペダル、2はブースタ、3はマスタシリンダ、4はリザーバであり、通常は、運転者によるブレーキペダル1の踏込み量に応じて、マスタシリンダ3で昇圧された制動流体圧が、各車輪5FL〜5RRの各ホイールシリンダ6FL〜6RRに供給されるようになっているが、このマスタシリンダ3と各ホイールシリンダ6FL〜6RRとの間には制動流体圧制御回路7が介挿されており、この制動流体圧制御回路7内で、各ホイールシリンダ6FL〜6RRの制動流体圧を個別に制御することも可能となっている。
図1は、第1の実施の形態における車線逸脱防止装置の一例を示す車両概略構成図である。なお、この車両は、自動変速機及びコンベンショナルディファレンシャルギヤを搭載した後輪駆動車両であり、制動装置は、前後輪とも、左右輪の制動力を独立に制御可能としている。
図1中の符号1はブレーキペダル、2はブースタ、3はマスタシリンダ、4はリザーバであり、通常は、運転者によるブレーキペダル1の踏込み量に応じて、マスタシリンダ3で昇圧された制動流体圧が、各車輪5FL〜5RRの各ホイールシリンダ6FL〜6RRに供給されるようになっているが、このマスタシリンダ3と各ホイールシリンダ6FL〜6RRとの間には制動流体圧制御回路7が介挿されており、この制動流体圧制御回路7内で、各ホイールシリンダ6FL〜6RRの制動流体圧を個別に制御することも可能となっている。
前記制動流体圧制御回路7は、例えばアンチスキッド制御やトラクション制御に用いられる制動流体圧制御回路を利用したものであり、この実施形態では、各ホイールシリンダ6FL〜6RRの制動流体圧を、単独で増減圧することができるように構成されている。この制動流体圧制御回路7は、後述するコントロールユニット8からの制動流体圧指令値に応じて各ホイールシリンダ6FL〜6RRの制動流体圧を制御する。
また、この車両には、エンジン9の運転状態、自動変速機10の選択変速比、並びにスロットルバルブ11のスロットル開度を制御することにより、駆動輪である後輪5RL、5RRへの駆動トルクを制御する駆動トルクコントロールユニット12が設けられている。エンジン9の運転状態制御は、例えば燃料噴射量や点火時期を制御することによって制御することができるし、同時にスロットル開度を制御することによっても制御することができる。
なお、この駆動トルクコントロールユニット12は、単独で、駆動輪である後輪5RL、5RRの駆動トルクを制御することも可能であるが、前述したコントロールユニット8から駆動トルクの指令値が入力されたときには、その駆動トルク指令値を参照しながら駆動輪トルクを制御する。
なお、この駆動トルクコントロールユニット12は、単独で、駆動輪である後輪5RL、5RRの駆動トルクを制御することも可能であるが、前述したコントロールユニット8から駆動トルクの指令値が入力されたときには、その駆動トルク指令値を参照しながら駆動輪トルクを制御する。
また、この車両には、自車両の走行車線からの逸脱判断用に走行車線内の自車両の位置を検出するための前方外界認識センサとして、CCDカメラ等で構成される単眼カメラ13及びカメラコントローラ14を備えている。このカメラコントローラ14では、単眼カメラ13で捉えた自車両前方の撮像画像から、例えば白線等のレーンマーカを検出して走行車線を検出すると共に、公知の手順で、前記走行車線に対する自車両のヨー角φ、すなわち走行車線に対する自車両の向き、走行車線中央からの自車両の横変位X、走行車線の道路曲率ρ、走行車線幅Wd等を算出することができるように構成されている。
なお、このカメラコントローラ14は、例えば特開平11−296660号公報に記載されているように、レーンマーカを検出すること等により、公知の手順で走行車線を検出し、この走行車線に対して前記各データを算出する。
なお、このカメラコントローラ14は、例えば特開平11−296660号公報に記載されているように、レーンマーカを検出すること等により、公知の手順で走行車線を検出し、この走行車線に対して前記各データを算出する。
また、この車両には、自車両に発生する前後加速度Xg及び横加速度Ygを検出する加速度センサ15、自車両に発生するヨーレートγを検出するヨーレートセンサ16、前記マスタシリンダ3の出力圧、いわゆるマスタシリンダ圧Pmを検出するマスタシリンダ圧センサ17、アクセルペダルの踏込み量、すなわちアクセル開度Accを検出するアクセル開度センサ18、ステアリングホイール21の操舵角θを検出する操舵角センサ19、各車輪5FL〜5RRの回転速度、いわゆる車輪速度Vwi(i=FL〜RR)を検出する車輪速度センサ22FL〜22RR、方向指示器による方向指示操作を検出する方向指示スイッチ20が備えられ、それらの検出信号は前記コントロールユニット8に出力される。
また、前記カメラコントローラ14で検出された走行車線に対する自車両のヨー角φ、走行車線中央からの自車両の横変位X、走行車線の道路曲率ρ、走行車線幅Wd、駆動トルクコントロールユニット12で制御された車輪軸上での駆動トルクTwや運転者のアクセル操作量に応じた要求駆動力τm、エンジントルクτa等も合わせてコントロールユニット8に出力される。
なお、検出された車両の走行状態データに左右の方向性がある場合には、何れも左方向を正方向とし、右方向を負方向とする。すなわち、ヨーレートγや横加速度Yg、操舵角θ、ヨー角φは、左旋回時に正値となり、右旋回時に負値となる。また、横変位Xは、走行車線中央から左方にずれているときに正値となり、逆に右方向にずれているときに負値となる。また、走行車線の道路曲率ρは、左カーブの場合に正値となり、右カーブの場合に負値となる。
次に、前記コントロールユニット8で行われる演算処理の処理手順を図2のフローチャートに従って説明する。この演算処理は、所定サンプリング時間ΔT(例えば、10〔ms〕)毎にタイマ割込によって実行される。なお、このフローチャートでは通信のためのステップを設けていないが、演算処理によって得られた情報は随時記憶装置に更新記憶されると共に、必要な情報は随時記憶装置から読み出される。
この演算処理では、まず、ステップS1の処理で、前記各センサで検出された前後加速度Xg、横加速度Yg、ヨーレートγ、各車輪速度Vwi、アクセル開度Acc、マスタシリンダ圧Pm、操舵角θ、方向指示スイッチ信号、カメラコントローラ14からの走行車線に対する自車両のヨー角φ、走行車線中央からの自車両の横変位X、走行車線の道路曲率ρ、走行車線幅Wd、駆動トルクコントロールユニット12からの、車輪軸上での駆動トルクTw等の情報を読み込む。
また、各車輪速度Vwi(i=FL〜RR)のうち、非駆動輪である前左右輪速度VwFL、VwFRの平均値から自車両の走行速度Vを算出する。
なお、ここでは、前左右輪速度VwFL、VwFRに基づいて走行速度Vを算出するようにした場合について説明したが、例えば、車両に公知のアンチスキッド制御を行うABS制御手段が搭載されており、このABS制御手段によりアンチスキッド制御が行われている場合には、このアンチスキッド制御での処理過程で推定される推定車体速を用いるようにすればよい。
なお、ここでは、前左右輪速度VwFL、VwFRに基づいて走行速度Vを算出するようにした場合について説明したが、例えば、車両に公知のアンチスキッド制御を行うABS制御手段が搭載されており、このABS制御手段によりアンチスキッド制御が行われている場合には、このアンチスキッド制御での処理過程で推定される推定車体速を用いるようにすればよい。
次に、ステップS2に移行し、逸脱推定値として将来の推定横変位Xsを次式(1)から算出する。
Xs=Tt×V×(φ+Tt×V×ρ)+X ……(1)
なお、式(1)中の、Ttは車頭時間、VはステップS1で算出した自車両の走行速度、φは自車両の走行車線に対する車両のヨー角、ρは走行車線の道路曲率、Xは現時点における走行車線中心からの横変位である。
Xs=Tt×V×(φ+Tt×V×ρ)+X ……(1)
なお、式(1)中の、Ttは車頭時間、VはステップS1で算出した自車両の走行速度、φは自車両の走行車線に対する車両のヨー角、ρは走行車線の道路曲率、Xは現時点における走行車線中心からの横変位である。
なお、ここでは、前記(1)式に基づいて推定横変位Xsを算出するようにした場合について説明したが、これに限るものではなく、例えば車両に作用するヨーレートを考慮して算出するようにしてもよい。例えば、ヨーレートセンサ16の精度が高くまたノイズが少ない場合等には、このように、ヨーレートを考慮して推定横変位Xsを算出することによって、逸脱警報や逸脱防止制御をより的確なタイミングで作動させ、また、解除させることができる。
なお、前記Ttは前方注視距離算出用の車頭時間であり、車頭時間Ttに自車両の走行速度Vを乗じると前方注視距離になる。つまり、車頭時間Tt後の走行車線中央からの横変位推定値が将来の推定横変位Xsとなる。後述するように、本実施形態では、この将来の推定横変位Xsが所定の逸脱判定値以上となるときに自車両は走行車線を逸脱する可能性がある、或いは逸脱傾向にあると判断する。
一般に、運転者が警報に気づいて逸脱の回避操作を行うまでには、いくらかの所要時間を要する場合が多い。また、自車両が車線逸脱する可能性が高いと判定して逸脱防止制御が作動したとしても、自車両は逸脱防止制御の作動に伴ってすぐに走行中の車線中央へ向かって移動するわけではなく、車線を逸脱する速度は低くなるものの、車両の向きが車線内側へ向くまでの間は、走行車線の外側に向かって移動していく。このため、運転者に対し、余裕をもって車線の逸脱防止操作を行うことを促すために、車頭時間Ttは“0”〔s〕よりも大きな値に設定することが望ましい。
次いで、ステップS3に移行し、自車両が走行車線から逸脱傾向にあるか否かの逸脱判断を行う。
この逸脱判断は、ステップS2で算出した推定横変位Xsと、逸脱判断しきい値Xcとを比較することにより行う。具体的には、Xs≧Xcであるときには、左に車線逸脱すると判断し、逸脱判断フラグFLDを“LEFT”に設定する。また、Xs≦−Xcであるときには右に車線逸脱すると判断し、逸脱判断フラグFLDを“RIGHT”に設定する。そして、Xs≧Xcでなく且つXs≦−Xcでない場合には自車両は逸脱状態ではないと判断して逸脱判断フラグFLDを“OFF”に設定する。
この逸脱判断は、ステップS2で算出した推定横変位Xsと、逸脱判断しきい値Xcとを比較することにより行う。具体的には、Xs≧Xcであるときには、左に車線逸脱すると判断し、逸脱判断フラグFLDを“LEFT”に設定する。また、Xs≦−Xcであるときには右に車線逸脱すると判断し、逸脱判断フラグFLDを“RIGHT”に設定する。そして、Xs≧Xcでなく且つXs≦−Xcでない場合には自車両は逸脱状態ではないと判断して逸脱判断フラグFLDを“OFF”に設定する。
前記逸脱判断しきい値Xcは、定数であって、日本国内では、高速道路の車線幅は約3.5〔m〕であることから、例えば0.8〔m〕程度に設定すればよい。また、例えば、走行車線幅Wdの半分値から自車両の車幅の半分値を減じた値と、例えば前記0.8〔m〕とのうちの何れか小さい方を用いるようにしてもよい。
なお、ここでは、推定横変位Xsと逸脱判断しきい値Xcとを比較することにより、逸脱判断フラグFLDを設定するようにした場合について説明したが、さらに運転者に車線変更の意思があるかどうかをも考慮して逸脱判断フラグFLDを設定するようにしてもよい。
なお、ここでは、推定横変位Xsと逸脱判断しきい値Xcとを比較することにより、逸脱判断フラグFLDを設定するようにした場合について説明したが、さらに運転者に車線変更の意思があるかどうかをも考慮して逸脱判断フラグFLDを設定するようにしてもよい。
例えば、方向指示スイッチ20がオン状態であるか否かを判定し、オン状態である場合には方向指示スイッチ20の指示方向と、ステップS2で算出した推定横変位Xsで特定される逸脱方向とが一致するかどうかを判定する。そして、これらが一致するときには車線変更を行うものと判定し、推定横変位Xsと逸脱判断しきい値Xcとの比較結果に応じて設定された逸脱判断フラグFLDが“ON”である場合にはこれを“OFF”に変更する。一方、方向指示スイッチ20の指示方向と、推定横変位Xsで特定される逸脱方向とが一致しない場合には車線変更ではないと判定し、推定横変位Xsと逸脱判断しきい値Xcとの比較結果に応じて設定された逸脱判断フラグFLDの設定値をそのまま維持する。
また、方向指示スイッチ20がオン状態からオフ状態に切り換わった場合には、これ以後、所定時間経過するまでの間は、車線変更の過渡状態であると判断し、方向指示スイッチ20がオフ状態であってもオン状態であるとして処理を行う。そして、方向指示スイッチ20がオン状態からオフ状態に切り替わった時点から所定時間経過したときに、車線変更は終了とし、以後、方向指示スイッチ20の状態に応じて処理を行う。
なお、前記所定時間は、車線変更の後期の時点で方向指示スイッチ20がオフ状態に切り替えられた時点から、自車両の走行位置が車線変更先の車線中央よりの位置に達したとみなすことの可能な時間に設定され、例えば4秒程度に設定される。
次に、ステップS4に移行し、逸脱を回避するために必要なヨーモーメントである目標ヨーモーメントMsbを算出する。
次に、ステップS4に移行し、逸脱を回避するために必要なヨーモーメントである目標ヨーモーメントMsbを算出する。
具体的には、逸脱判断フラグFLDが“LEFT”であるときには、次式(2)にしたがって、目標ヨーモーメントMsbを算出する。また、逸脱判断フラグFLDが“RIGHT”であるときには、次式(3)にしたがって、目標ヨーモーメントMsbを算出する。そして、逸脱判断フラグFLDが“OFF”であるときには、自車両が逸脱状態にはないと判断され、ヨーモーメントを発生させる必要はないから目標ヨーモーメントはMsb=0に設定する。
Msb=−K1×K2×(Xs−Xc) ……(2)
Msb=−K1×K2×(Xs+Xc) ……(3)
Msb=−K1×K2×(Xs−Xc) ……(2)
Msb=−K1×K2×(Xs+Xc) ……(3)
なお、式(2)及び(3)中のK1は車両諸元によって定まる定数である。また、K2は、自車両の走行速度Vに応じて設定される比例係数であって、例えば、走行速度Vが比較的大きいときには比例係数K2を比較的小さな値に設定して、目標ヨーモーメントMsbを抑制し、高速走行時に大きなヨーモーメントが作用することにより車両挙動が不安定となることを回避し、逆に走行速度Vが比較的小さいときには比例的大きな値に設定して、十分な目標ヨーモーメントMsbを確保し、ヨーモーメントを発生させることにより逸脱状態からの速やかな回復を図るようになっている。
次に、ステップS5に移行し、目標ヨーモーメントの積算値Wを算出する。具体的には、次式(4)に示すように、ステップS4で算出された目標ヨーモーメントMsbを逐次加算し、これを目標ヨーモーメント積算値Wとする。
W=Wz+Msb ……(4)
なお、(4)式中のWzは、前回のサンプリング周期における目標ヨーモーメント積算値Wである。また、逸脱回避制御フラグFLDが“OFF”になったとき、目標ヨーモーメント積算値Wを零にリセットする。なお、前記Wzは、起動時及び前記逸脱回避制御フラグFLDが“OFF”になったときには、零に設定される。
W=Wz+Msb ……(4)
なお、(4)式中のWzは、前回のサンプリング周期における目標ヨーモーメント積算値Wである。また、逸脱回避制御フラグFLDが“OFF”になったとき、目標ヨーモーメント積算値Wを零にリセットする。なお、前記Wzは、起動時及び前記逸脱回避制御フラグFLDが“OFF”になったときには、零に設定される。
次いで、ステップS6に移行し、逸脱回避制御による制御介入が開始されてから、制御介入が終了するまでの1回の制御介入において車両に作用するトータルのヨーモーメントを制限するための、ヨーモーメント積算制限値Wcを算出する。
このヨーモーメント積算制限値Wcは、走行車線の道路曲率ρ及びその旋回方向に応じて、例えば、図3に示す制御マップから設定する。
このヨーモーメント積算制限値Wcは、走行車線の道路曲率ρ及びその旋回方向に応じて、例えば、図3に示す制御マップから設定する。
具体的には、自車両が左方向に逸脱する傾向にあるとき(FLD=LEFT)には図3(a)の制御マップから算出し、自車両が右方向に逸脱する傾向にあるとき(FLD=RIGHT)には図3(b)の制御マップから算出する。
なお、図3(a)及び図3(b)において、横軸は道路曲率ρ、縦軸はヨーモーメント積算制限値Wcである。そして、目標ヨーモーメントMsbは、右方向へのヨーモーメント発生時に負値、左方向へのヨーモーメント発生時に正値となるため、ヨーモーメント積算制限値Wcは、右方向へのヨーモーメント制限時に負値、左方向へのヨーモーメント制限時に正値となる。
なお、図3(a)及び図3(b)において、横軸は道路曲率ρ、縦軸はヨーモーメント積算制限値Wcである。そして、目標ヨーモーメントMsbは、右方向へのヨーモーメント発生時に負値、左方向へのヨーモーメント発生時に正値となるため、ヨーモーメント積算制限値Wcは、右方向へのヨーモーメント制限時に負値、左方向へのヨーモーメント制限時に正値となる。
図3に示すように、道路曲率ρが零であって直線路であるときには、ヨーモーメント積算制限値Wcは初期値W0に設定される。そして、自車両の逸脱方向と、走行車線のカーブ方向とが逆方向であって、自車両が旋回外側に逸脱する傾向にあるときには、道路曲率ρが、カーブが急となる方向に大きいときほど、ヨーモーメント積算制限値Wcの絶対値は大きくなるように設定される。逆に、自車両の逸脱方向と、走行車線のカーブ方向とが同一方向であって、自車両が旋回内側に逸脱する傾向にあるときには、ヨーモーメント積算制限値Wcは、道路曲率ρに関わらず、初期値W0に設定される。
なお、前記初期値W0は、例えば運転者の逸脱を助長する方向への操舵トルクの発生や、横風、路面カント等といった、外乱のない通常の逸脱回避制御時において、逸脱回避制御の1作動中、つまり、逸脱回避制御が開始されてから、自車両が逸脱傾向から復帰するまでの期間中における、目標ヨーモーメント積算値Wの絶対値よりも大きな値に設定される。
ここで、自車両が旋回外側に逸脱する傾向にあるときには、直線路を走行している場合に比較して、走行車線に対する自車両の横ずれ量がより大きくなる傾向にあることから、逸脱を回避するために必要とするヨーモーメントの総和は、直線路を走行している場合に比較してより多く必要となる。また、急カーブであるときほど走行車線に対する自車両の横ずれ量はより大きくなると予測される。したがって、図3に示すように、自車両がカーブ路を走行しており旋回外側方向に逸脱する傾向にある場合には、ヨーモーメント積算制限値Wcは、その絶対値が初期値W0の絶対値よりも大きくなるように設定され、且つ、道路曲率ρの絶対値が大きく急カーブであるときほど、ヨーモーメント積算制限値Wcの絶対値はより大きくなるように設定される。
このため、図4に示すように、自車両が直線路を走行している場合には、ヨーモーメント積算制限値Wcは初期値W0に設定されるが、自車両が旋回外側方向に逸脱している場合には、ヨーモーメント積算制限値Wcは、図3に示すように、初期値W0よりもその絶対値がより大きな値に設定されることから、所定の大きさのヨーモーメントを発生させるものとすると、ヨーモーメント積算制限値Wcとして初期値W0が設定されている場合に比較して、ヨーモーメントの発生時間がより長く許容されるようになる。そして、道路曲率ρの絶対値が大きく急カーブであるときほど、より長い時間、ヨーモーメントの発生が許容され、すなわち、より多くのヨーモーメントの発生が許容されることになる。
なお、ここでは、図3に示すように、自車両が旋回内側方向へ逸脱傾向にあるときには、ヨーモーメント積算制限値Wcを初期値W0に設定するようにした場合について説明したが、これに限るものではなく、例えば、図5(a)、図5(b)に示すように、自車両が旋回内側方向へ逸脱傾向にあるときには、道路曲率ρの絶対値が大きく急カーブであるときほど、ヨーモーメント積算制限値Wcの絶対値が初期値W0からより小さくなるように設定してもよい。つまり、自車両が旋回内側方向へ逸脱傾向にあり、且つ走行車線の旋回内側方向への道路曲率ρが大きいということは、自車両は走行車線に沿って走行する傾向にあって、走行車線に対する自車両の横ずれ量は、道路曲率ρが大きいときほど小さくなると予測されることから、逸脱回避に必要とするヨーモーメントの総和はより少なくてすむ。したがって、このように旋回内側方向に逸脱する傾向にあるときには、道路曲率ρの絶対値が大きいときほど、ヨーモーメント積算制限値Wcを小さくするようにしてもよい。
このようにして、ヨーモーメント積算制限値Wcを設定したならば、ステップS7に移行し、ステップS5で算出した目標ヨーモーメント積算値Wと、ステップS6で算出したヨーモーメント積算制限値Wcとを比較し、その比較結果に応じてステップS4で算出した目標ヨーモーメントMsbを補正し、最終目標ヨーモーメントMsを算出する。
具体的には、逸脱判断フラグFLDが“LEFT”の場合、目標ヨーモーメント積算値Wがヨーモーメント積算値Wc以下(W≦Wc)であるときには、最終目標ヨーモーメントをMs=0に設定し、ヨーモーメントの発生を終了する。なお、このとき、目標ヨーモーメント積算値Wがヨーモーメント積算値Wc以下となった時点における目標ヨーモーメントMsbを初期値として、この初期値から徐々に零まで減少する値を、前記最終目標ヨーモーメントMsとして設定してもよい。このように設定することにより、ヨーモーメントが時車両に急に作用しなくなることに起因する車両挙動変動の発生や、運転者に違和感を与えることを回避することができる。
一方、目標ヨーモーメント積算値Wがヨーモーメント積算値Wcよりも大きいとき(W>Wc)には、ステップS4で算出された目標ヨーモーメントMsbを最終目標ヨーモーメントMsとして設定する。
また、逸脱判断フラグFLDが“RIGHT”の場合、目標ヨーモーメント積算値Wがヨーモーメント積算制限値Wc以上(W≧Wc)の場合、最終目標ヨーモーメントをMs=0に設定し、ヨーモーメントの発生を終了する。なお、このとき、目標ヨーモーメント積算値Wがヨーモーメント積算制限値Wc以上となった時点における目標ヨーモーメントMsbを初期値とし、この初期値から徐々に減少する値を、最終目標ヨーモーメントMsとして設定するようにしてもよい。このようにすることによって、ヨーモーメントが自車両に急に作用しなくなることに起因する車両挙動変動の発生や、運転者に違和感を与えることを回避することができる。
また、逸脱判断フラグFLDが“RIGHT”の場合、目標ヨーモーメント積算値Wがヨーモーメント積算制限値Wc以上(W≧Wc)の場合、最終目標ヨーモーメントをMs=0に設定し、ヨーモーメントの発生を終了する。なお、このとき、目標ヨーモーメント積算値Wがヨーモーメント積算制限値Wc以上となった時点における目標ヨーモーメントMsbを初期値とし、この初期値から徐々に減少する値を、最終目標ヨーモーメントMsとして設定するようにしてもよい。このようにすることによって、ヨーモーメントが自車両に急に作用しなくなることに起因する車両挙動変動の発生や、運転者に違和感を与えることを回避することができる。
一方、目標ヨーモーメント積算値Wがヨーモーメント積算値Wcよりも小さいとき(W<Wc)には、ステップS4で算出された目標ヨーモーメントMsbを最終目標ヨーモーメントMsとして設定する。
そして、逸脱判断フラグFLDが“OFF”の場合には、ヨーモーメントを発生させる必要はないから、最終目標ヨーモーメントはMs=0に設定する。なお、上述のように、逸脱回避制御を終了するために、最終目標ヨーモーメントMsを徐々に零まで減少させるようにした場合には、この徐々に減少させている最中に、逸脱判断フラグFLDが“OFF”となったときには、最終目標ヨーモーメントMsを引き続き徐々に零まで減少させる。
そして、逸脱判断フラグFLDが“OFF”の場合には、ヨーモーメントを発生させる必要はないから、最終目標ヨーモーメントはMs=0に設定する。なお、上述のように、逸脱回避制御を終了するために、最終目標ヨーモーメントMsを徐々に零まで減少させるようにした場合には、この徐々に減少させている最中に、逸脱判断フラグFLDが“OFF”となったときには、最終目標ヨーモーメントMsを引き続き徐々に零まで減少させる。
このようにして最終目標ヨーモーメントMsを算出したならば、ステップS8に移行し、逸脱を回避させるための目標制動力として、各輪の目標制動液圧Psi(i=FL〜RR)を算出する。
まず、逸脱判断フラグFLDが“OFF”である場合には、自車両は逸脱状態になくヨーモーメントを発生させる必要はないから、運転者による制動操作であるマスタシリンダ液圧Pmを考慮して各輪の目標制動液圧Psi(i=FL〜RR)を次式(5)から算出する。なお、(5)式中のPmRは、マスタシンダ液圧Pmから算出される前後配分を考慮した後輪用マスタシリンダ液圧である。
PsFL=PsFR=Pm
PsRL=PsRR=PmR ……(5)
まず、逸脱判断フラグFLDが“OFF”である場合には、自車両は逸脱状態になくヨーモーメントを発生させる必要はないから、運転者による制動操作であるマスタシリンダ液圧Pmを考慮して各輪の目標制動液圧Psi(i=FL〜RR)を次式(5)から算出する。なお、(5)式中のPmRは、マスタシンダ液圧Pmから算出される前後配分を考慮した後輪用マスタシリンダ液圧である。
PsFL=PsFR=Pm
PsRL=PsRR=PmR ……(5)
一方、逸脱判断フラグFLDが“ON”である場合には、ステップS7で算出した最終目標ヨーモーメントMsを考慮して目標制動液圧Psi(i=FL〜RR)を算出する。
まず、最終目標ヨーモーメントMsの大きさに応じて場合分けを行って、前後輪の左右輪の制動力差ΔPsF、ΔPsRを算出する。最終目標ヨーモーメントの絶対値|Ms|が予め設定したしきい値Ms0よりも小さいとき(|Ms|<Ms0)には、前後輪の制動力差ΔPsF、ΔPsRを、次式(6)から算出し、最終目標ヨーモーメントの絶対値|Ms|が予め設定したしきい値Ms0以上であるとき(|Ms|≧Ms0)には、前後輪の制動力差ΔPsF、ΔPsRを、次式(7)から算出する。
まず、最終目標ヨーモーメントMsの大きさに応じて場合分けを行って、前後輪の左右輪の制動力差ΔPsF、ΔPsRを算出する。最終目標ヨーモーメントの絶対値|Ms|が予め設定したしきい値Ms0よりも小さいとき(|Ms|<Ms0)には、前後輪の制動力差ΔPsF、ΔPsRを、次式(6)から算出し、最終目標ヨーモーメントの絶対値|Ms|が予め設定したしきい値Ms0以上であるとき(|Ms|≧Ms0)には、前後輪の制動力差ΔPsF、ΔPsRを、次式(7)から算出する。
|Ms|<Ms0のとき
ΔPsF=0
ΔPsR=2×KbR×|Ms|/T ……(6)
|Ms|≧Ms0のとき
ΔPsF=2×KbF×(|Ms|−Ms0)/T
ΔPsR=2×KbR×Ms0/T ……(7)
なお、式(6)及び(7)中のTはトレッドである。また、KbF及びKbRは、制動力を制動液圧に変換するための換算係数であって、ブレーキ諸元によって決まる定数である。
ΔPsF=0
ΔPsR=2×KbR×|Ms|/T ……(6)
|Ms|≧Ms0のとき
ΔPsF=2×KbF×(|Ms|−Ms0)/T
ΔPsR=2×KbR×Ms0/T ……(7)
なお、式(6)及び(7)中のTはトレッドである。また、KbF及びKbRは、制動力を制動液圧に変換するための換算係数であって、ブレーキ諸元によって決まる定数である。
そして、逸脱方向と、運転者による制動操作であるマスタシリンダ液圧Pmとを考慮して、各輪の目標制動液圧Psi(i=FL〜RR)を算出する。具体的には、最終目標ヨーモーメントMsが負値であるとき、すなわち、自車両が左方向に車線逸脱しようとしているときには目標制動流体圧Psiを次式(8)により算出する。
PsFL=Pm
PsFR=Pm+ΔPsF
PsRL=PmR
PsRR=PmR+ΔPsR ……(8)
PsFL=Pm
PsFR=Pm+ΔPsF
PsRL=PmR
PsRR=PmR+ΔPsR ……(8)
一方、前記最終目標ヨーモーメントMsが零以上の値であってすなわち自車両が右方向に車線逸脱しようとしているときには目標制動流体圧Psiを下記(9)式により算出する。
PsFL=Pm+ΔPsF
PsFR=Pm
PsRL=PmR+ΔPsR
PsRR=PmR ……(9)
PsFL=Pm+ΔPsF
PsFR=Pm
PsRL=PmR+ΔPsR
PsRR=PmR ……(9)
このようにして、目標制動流体圧Psiを算出したならば、ステップS9に移行し、ステップS8で算出した目標制動流体圧Psiを前記制動流体圧制御回路7に向けて出力する。
なお、コントロールユニット8によって車線逸脱が検知された場合にこれを運転者に警告するための警報装置を搭載し、逸脱判断フラグFLDが“ON”であるときには、ヨーモーメントを発生させると共に、この警報装置を作動させるようにしてもよい。この警報装置は、例えば、音声やブザー音を発生するためのスピーカやモニタを含んで構成され、表示情報及び音声情報によって運転者に警告を発するようになっている。
以上の処理によって図2に示す演算処理が終了する。そして、一連の演算処理が終了したならば、タイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
なお、コントロールユニット8によって車線逸脱が検知された場合にこれを運転者に警告するための警報装置を搭載し、逸脱判断フラグFLDが“ON”であるときには、ヨーモーメントを発生させると共に、この警報装置を作動させるようにしてもよい。この警報装置は、例えば、音声やブザー音を発生するためのスピーカやモニタを含んで構成され、表示情報及び音声情報によって運転者に警告を発するようになっている。
以上の処理によって図2に示す演算処理が終了する。そして、一連の演算処理が終了したならば、タイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
次に、上記第1の実施の形態の動作を説明する。
今、自車両が走行車線中央寄りを直進走行している場合には、推定横変位Xsが比較的小さいことから、推定横変位Xsは逸脱判断しきい値Xcよりも小さいか又は−Xcよりも大きくなることから、逸脱判断フラグFLDは“OFF”に設定される。このため目標ヨーモーメントはMsb=0に設定される(ステップS1〜S4)。
今、自車両が走行車線中央寄りを直進走行している場合には、推定横変位Xsが比較的小さいことから、推定横変位Xsは逸脱判断しきい値Xcよりも小さいか又は−Xcよりも大きくなることから、逸脱判断フラグFLDは“OFF”に設定される。このため目標ヨーモーメントはMsb=0に設定される(ステップS1〜S4)。
自車両が逸脱傾向にない間は、目標ヨーモーメントはMsb=0に設定されることから、目標ヨーモーメント積算値Wも零を維持する。したがって、図2の演算処理では、ステップS7の処理で最終目標ヨーモーメントMsとして“0”が設定されることから、目標制動流体圧Psiとしてマスタシリンダ圧Pmに応じた流体圧が設定され、ヨーモーメントが発生されることはなく、運転者の運転操作に即した車両挙動となる。
この状態から、自車両が左に逸脱する傾向となり、推定横変位Xsが逸脱判断しきい値Xc以上となると、逸脱判断フラグFLDが“LEFT”に設定され、ステップS4で推定横変位Xsと逸脱判断しきい値Xcとの差、つまり自車両の横ずれ量に応じた目標ヨーモーメントMsbが算出される。
そして、この時点から目標ヨーモーメントMsbの積算値Wが逐次算出され、また、このとき、走行車線の道路曲率ρ及びその旋回方向と、自車両の逸脱方向とに基づいてヨーモーメント積算制限値Wcが算出される。
そして、この時点から目標ヨーモーメントMsbの積算値Wが逐次算出され、また、このとき、走行車線の道路曲率ρ及びその旋回方向と、自車両の逸脱方向とに基づいてヨーモーメント積算制限値Wcが算出される。
ここで、自車両が直線路を走行している状態である場合には、図3(a)の制御マップから、ヨーモーメント積算制限値Wcは初期値W0(負値)に設定される。そして、逸脱傾向となった初期時点では、目標ヨーモーメント積算値W(負値)は、ヨーモーメント積算制限値Wcよりも大きいことから、最終目標ヨーモーメントMsとして目標ヨーモーメントMsbが設定される。このため、現在の自車両の横ずれ量に応じたヨーモーメントが車両に発生することになり、車線逸脱を回避するための十分なヨーモーメントが車両に発生されることになって、逸脱回避制御による逸脱回避が図られることになる。
そして、逸脱回避制御が行われている間、サンプリング周期毎に、目標ヨーモーメントMsbが算出されると共に、目標ヨーモーメント積算値Wが算出されることから、逸脱回避制御の作動時間が長くなるほど目標ヨーモーメント積算値Wも増加することになる。そして、目標ヨーモーメント積算値Wがヨーモーメント積算制限値Wcよりも大きい間は、最終目標ヨーモーメントMsとして目標ヨーモーメントMsbが設定されるから、自車両の横ずれ量に応じたヨーモーメントが車両に発生することになり、逸脱回避制御による逸脱回避が図られることになる。
ここで、ヨーモーメント積算制限値Wcは、直線路を走行中に逸脱傾向となった場合に、この逸脱を回避するために通常必要なヨーモーメントの総和相当の値に設定されている。したがって、逸脱回避制御による制御介入が行われている間、運転者が車線変更を行う等、運転車が車線逸脱を助長する方向に操舵トルクを発生させていなければ、目標ヨーモーメント積算値Wがヨーモーメント積算制限値Wcよりも小さくなることはないから、最終目標ヨーモーメントMsとして、目標ヨーモーメントMsbが設定されることになり、逸脱回避制御が作動中、自車両の横ずれ量に応じたヨーモーメントが発生されることになり、自車両が逸脱傾向から復帰するまでの間、逸脱回避制御による逸脱回避が図られることになる。
このとき、例えば、走行車線が右方向にカーブしている状態で、自車両が左方向に逸脱傾向となった場合には、走行車線に対し逸脱がより大きくなる方向に自車両が向かうことから、直線路を走行している場合に比較して、逸脱回避のためのヨーモーメントを、より多く発生させる必要がある。この場合、図3(a)の制御マップに示すように、道路曲率ρが大きいときほど、ヨーモーメント積算制限値Wcの絶対値はより大きくなるように設定されるため、右カーブを走行している場合であっても、目標ヨーモーメント積算値Wはヨーモーメント積算制限値Wcよりも大きくなり、目標ヨーモーメント積算値Wがヨーモーメント積算制限値Wc以下となることはない。このため、目標ヨーモーメントMsbが最終目標ヨーモーメントMsとして設定されるから、自車両の逸脱を回避するために必要な十分なヨーモーメントが発生されることになり、自車両が逸脱傾向から復帰するまでの間、逸脱回避制御による、十分な逸脱回避が図られることになる。
一方、自車両が左カーブを走行している状態で、左方向へ逸脱傾向となった場合には、図3(a)の制御マップから、ヨーモーメント積算制限値Wcは初期値W0に設定される。ここで、自車両の逸脱方向と、走行車線の旋回方向とが同一であることから、逸脱を回避するために必要なヨーモーメントは直線路を走行している場合と同等程度とみなすことができる。したがって、ヨーモーメント積算制限値Wcとして初期値W0が設定されたとしても、目標ヨーモーメント積算値Wは、ヨーモーメント積算制限値Wcを下回ることはない。したがって、目標ヨーモーメントMsbが最終目標ヨーモーメントMsとして設定され、自車両の横ずれ量に応じたヨーモーメントが発生されることになり、自車両が逸脱傾向から復帰するまでの間、逸脱回避制御による逸脱回避が図られることになる。
一方、このように逸脱回避制御による制御介入が行われている状態で、運転者が、例えば車線変更を行おうとした場合、また、方向指示器の操作を行わずに車線変更をしようとした場合等、自車両が逸脱傾向にあると判断され、逸脱回避制御による制御介入が行われている状態で、この逸脱を助長する左方向に操舵トルクが発生した場合には、逸脱回避制御により逸脱回避方向への姿勢変化を図っても、逸脱回避制御に対して期待するだけの逸脱回避方向への姿勢変化が生じないことから、車線変更が終了するまでの間、逸脱回避方向へのヨーモーメントが継続して発生されることになって、発生されるヨーモーメントの総和は通常の逸脱回避制御時に比較してより大きくなる。このため、目標ヨーモーメント積算値Wの絶対値が負方向に大きくなって、ヨーモーメント積算制限値Wcを下回った時点で、最終目標ヨーモーメントMsは零に制限されることになる(ステップS7)。したがって、この時点で、逸脱回避制御によるヨーモーメントの発生が終了することになる。そして、車線変更が終了し、推定横変位Xsの絶対値が逸脱判断しきい値Xcの絶対値より小さくなったとき、自車両は逸脱傾向から復帰したとして、逸脱回避制御による制御介入が終了する。
ここで、上述のように、逸脱回避制御による制御介入が行われ逸脱回避方向(右方向)への制御が行われている状態で運転者が逸脱を助長する方向(左方向)に操舵操作を行った場合、自車両が逸脱傾向から復帰するまでにより長い時間がかかることから、発生されるヨーモーメントはより多くなる。上述の場合、各車輪に作用する制動力を制御することでヨーモーメントを発生させるようにしているため、車線変更等のための逸脱を助長する方向への操舵が行われると共に、逸脱回避方向への逸脱回避制御が行われている間、制動力が発生されることになり、これはすなわち、ブレーキディスクの磨耗狭持が継続することになって、ブレーキディスクの耐久性に影響を及ぼすことになる。
しかしながら、上述のように、目標ヨーモーメント積算値Wがヨーモーメント積算制限値Wcを下回った時点、つまり、目標ヨーモーメント積算値Wが、通常の逸脱回避制御により必要とするヨーモーメントの総和を超えたときに、通常の逸脱回避制御とは異なる状況下で逸脱回避制御が行われていると判断し、最終目標ヨーモーメントMsを零とし、この時点で逸脱回避制御によるヨーモーメントの発生を終了するようにしているから、車線変更といった、逸脱を助長する方向に操舵トルクが発生した場合等、逸脱回避制御による制御介入時間の増加或いは制御介入による制御量の増加を伴うような、通常、逸脱回避制御が行われる状況とは異なる状況下で逸脱回避制御が行われた場合に、ブレーキディスクの摩擦狭持期間が長くなることを回避し、ブレーキディスクの耐久性に影響を及ぼすことを回避することができると共に、十分な制御効果が得られないような状況下で逸脱回避制御が引き続き行われることを回避することができる。
また、このとき、図3の制御マップに示すように、自車両が旋回外側に逸脱する傾向にあるときには、道路曲率ρが大きいときほどヨーモーメント積算制限値Wcの絶対値がより大きくなるように、ヨーモーメント積算制限値Wcを設定しているから、自車両の逸脱方向と走行車線の旋回方向とが異なるため、その分より多くのヨーモーメントを必要とする状況であっても、通常の逸脱回避制御が行われているのかどうかを的確に判断することができ、不必要に逸脱回避制御によるヨーモーメントの発生が中止されることを回避し、逸脱回避制御による制御効果を十分発揮させることができる。
また、逸脱回避制御の1作動期間に対して、その制御期間を制限する方法として、例えば、制御継続時間を制限することで、制限を設ける方法等も考えられる。
しかしながら、このように制御継続時間に制限を設けた場合、例えば、カーブ進入時等、初期の制御量が小さく、徐々に大きくなっていくようなシーンにおいては、場合によっては、制御量が弱い時点で制限されてしまい、自車両が逸脱傾向から復帰する以前に逸脱回避制御が終了してしまい、逸脱回避効果を損ねる可能性がある。しかしながら、上記実施の形態においては、逸脱回避制御1作動あたりのヨーモーメントの総和に制限を設けるようにしているから、制御量が小さい場合には制御継続許容時間も長くなる。したがって、例えば、車線変更する場合等、運転者が逸脱方向への操舵トルクを発生させ続けるような非通常操作に対して制限をかけることができるようになり、逸脱方向への操舵トルクが作用することのない通常の状況下での逸脱回避制御による制御効果を十分確保しつつ、耐久性の低下を防止することができる。
しかしながら、このように制御継続時間に制限を設けた場合、例えば、カーブ進入時等、初期の制御量が小さく、徐々に大きくなっていくようなシーンにおいては、場合によっては、制御量が弱い時点で制限されてしまい、自車両が逸脱傾向から復帰する以前に逸脱回避制御が終了してしまい、逸脱回避効果を損ねる可能性がある。しかしながら、上記実施の形態においては、逸脱回避制御1作動あたりのヨーモーメントの総和に制限を設けるようにしているから、制御量が小さい場合には制御継続許容時間も長くなる。したがって、例えば、車線変更する場合等、運転者が逸脱方向への操舵トルクを発生させ続けるような非通常操作に対して制限をかけることができるようになり、逸脱方向への操舵トルクが作用することのない通常の状況下での逸脱回避制御による制御効果を十分確保しつつ、耐久性の低下を防止することができる。
ここで、上記第1の実施の形態において、図2の演算処理が逸脱回避制御手段に対応し、図2のステップS5の処理が積算値算出手段に対応し、ステップS6及びステップS7の処理が制御量制限手段に対応し、ステップS6の処理がしきい値設定手段に対応し、単眼カメラ13及びカメラコントローラ14が道路曲率検出手段に対応している。
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。
この第2の実施の形態は、上記第1の実施の形態において、コントロールユニット8で実行される演算処理の処理手順が異なること以外は同様であるので、同一部の詳細な説明は省略する。
図6は、コントロールユニット8で実行される、第2の実施の形態における演算処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
ステップS11からステップS15の処理は、上記第1の実施の形態における図2のステップS1からステップS5の処理と同様であって、コントロールユニット8では、演算処理を開始すると、各種データを読み込むと共に走行速度Vを算出し(ステップS11)、将来の推定横変位Xsを算出する(ステップS12)。
この第2の実施の形態は、上記第1の実施の形態において、コントロールユニット8で実行される演算処理の処理手順が異なること以外は同様であるので、同一部の詳細な説明は省略する。
図6は、コントロールユニット8で実行される、第2の実施の形態における演算処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
ステップS11からステップS15の処理は、上記第1の実施の形態における図2のステップS1からステップS5の処理と同様であって、コントロールユニット8では、演算処理を開始すると、各種データを読み込むと共に走行速度Vを算出し(ステップS11)、将来の推定横変位Xsを算出する(ステップS12)。
そして、推定横変位Xsと逸脱判断しきい値Xcとを比較し、推定横変位Xsが逸脱判断しきい値Xc以上となったとき、または、推定横変位Xsが逸脱判断しきい値−Xc以下となったときに、自車両は逸脱傾向にあると判断し、逸脱判断フラグFLDを逸脱方向に応じて、“LEFT”又は“RIGHT”に設定する(ステップS13)。そして、逸脱判断フラグFLDが“OFF”でないときには、推定横変位Xsと逸脱判断しきい値Xcとの差である横ずれ量に応じて、車線からの逸脱を防止し得る目標ヨーモーメントMsbを算出し(ステップS14)、この目標ヨーモーメントMsbを、前回の目標ヨーモーメント積算値Wzに加算して、目標ヨーモーメント積算値Wを算出する(ステップS15)。
次いで、ステップS16に移行し、図7(a)及び図7(b)の制御マップから、現在の走行車線の道路曲率ρと自車両の逸脱方向とに応じた、ヨーモーメント積算制限値Wccを、上記第1の実施の形態における図2のステップS6の処理と同様の手順で検出する。この図7の制御マップは、上記第1の実施の形態における図3の制御マップと同様に設定された制御マップであって、横軸は道路曲率ρ、縦軸はヨーモーメント積算制限値Wccである。
なお、ここでは、図7の制御マップからヨーモーメント積算制限値Wccを設定する場合について説明したが、この場合も、上記第1の実施の形態における図5の制御マップと同様に設定された図8の制御マップから、ヨーモーメント積算制限値Wccを設定するようにしてもよい。
次いで、ステップS17に移行し、ステップS16で検出した現在の走行状況に応じたヨーモーメント積算制限値Wcc(以下、マップ読み込み値ともいう。)と、前回のサンプリング周期におけるヨーモーメント積算制限値Wczとを比較し、比較結果に応じて今回のヨーモーメント積算制限値Wcを設定する。
次いで、ステップS17に移行し、ステップS16で検出した現在の走行状況に応じたヨーモーメント積算制限値Wcc(以下、マップ読み込み値ともいう。)と、前回のサンプリング周期におけるヨーモーメント積算制限値Wczとを比較し、比較結果に応じて今回のヨーモーメント積算制限値Wcを設定する。
具体的には、自車両が左方向に逸脱傾向にあって逸脱判断フラグFLDが“LEFT”である場合には、ヨーモーメント積算制限値のマップ読み込み値Wccが前回のヨーモーメント積算制限値Wcz以下であるときには、ヨーモーメント積算制限値Wcとしてマップ読み込み値Wccを設定し、ヨーモーメント積算制限値Wcを更新する。一方、ヨーモーメント積算制限値のマップ読み込み値Wccが、前回のヨーモーメント積算制限値Wcよりも大きいときには、ヨーモーメント積算制限値Wcの更新は行わず、前回のヨーモーメント積算制限値Wczを今回のヨーモーメント積算制限値Wcとして設定する。
一方、自車両が右方向に逸脱傾向にあって逸脱判断フラグFLDが“RIGHT”である場合には、ヨーモーメント積算制限値のマップ読み込み値Wccが、前回のヨーモーメント積算制限値Wcz以上である場合には、今回のヨーモーメント積算制限値Wcとしてヨーモーメント積算制限値のマップ読み込み値Wccを設定し、ヨーモーメント積算制限値Wcを更新する。一方、ヨーモーメント積算制限値のマップ読み込み値Wccが、前回のヨーモーメント積算制限値Wczよりも小さいときには、今回のヨーモーメント積算制限値Wcとして、前回のヨーモーメント積算制限値Wczを設定し、ヨーモーメント積算制限値Wcの更新は行わない。
このようにして、ヨーモーメント積算制限値Wcを設定したならば、ステップS18に移行し、以後上記第1の実施の形態における図2のステップS7からステップS9の処理と同様の手順で処理を行う。すなわち、ステップS15で算出した目標ヨーモーメント積算値Wと、ステップS17で設定したヨーモーメント積算制限値Wcとを比較し、目標ヨーモーメント積算値Wの絶対値がヨーモーメント積算制限値Wcの絶対値よりも小さいときには、ステップS14で算出した目標ヨーモーメントMsbを最終目標ヨーモーメントMsとして設定し、この最終目標ヨーモーメントMs相当のヨーモーメントを発生するよう制動力制御を行う。一方、ヨーモーメント積算値Wの絶対値が、ヨーモーメント積算制限値Wcの絶対値以上の場合には、最終目標ヨーモーメントMsとして零を設定し、この時点でヨーモーメントの発生を終了し、逸脱回避制御によるヨーモーメントの発生を終了する。
つまり、この第2の実施の形態においては、逸脱回避制御の1作動期間中に、道路曲率ρが変動したときに、この道路曲率ρがカーブがより急になる方向に変化した場合には、道路曲率ρに応じたヨーモーメント積算制限値Wcとなるように設定するが、道路曲率ρが、カーブがより緩やかになる方向に変化したときにはヨーモーメント積算制限値Wcの更新は行わず、前回の値を維持する。
したがって、例えば、自車両が旋回外側方向に逸脱傾向にある状態では、走行車線に対する自車両の横ずれ量が大きくなる傾向にあることから、直線路を走行している場合に比較して、逸脱回避に要するヨーモーメントの総和はより多く必要となる。ここで、自車両が、道路曲率が略一定の走行車線で、旋回外側方向に逸脱傾向にある場合には、図7の制御マップから道路曲率ρに応じたヨーモーメント積算制限値Wccが検出され、このヨーモーメント積算制限値Wccがヨーモーメント積算制限値Wcとして設定される。このため、直線路を走行している場合に比較して、目標ヨーモーメント積算値Wが増加することになるが、この場合ヨーモーメント積算制限値Wcは、道路曲率ρに応じてより大きな値に設定されていることから、運転者が逸脱方向に操舵操作を行っておらず通常の逸脱回避制御による制御が行われている場合には、目標ヨーモーメント積算値Wの絶対値は、ヨーモーメント積算制限値Wcの絶対値よりも小さくなることから、通常通り逸脱回避制御が行われることになる。
この状態から、走行車線の道路曲率ρが増加し、カーブがより急になった場合には、自車両は旋回外側方向に逸脱する傾向にあることから、走行車線に対する自車両の横ずれ量がより大きくなる傾向となり、その分逸脱回避に要するヨーモーメントの総和はより多く必要となり、目標ヨーモーメント積算値Wがより増加することになる。ここで、道路曲率ρが増加すると、図7の制御マップから算出されるヨーモーメント積算制限値Wccの絶対値は増加することから、ヨーモーメント積算制限値Wcとして、増加後の道路曲率ρに応じたヨーモーメント積算制限値Wccに設定され、ヨーモーメント積算制限値Wcは増加することから、道路曲率ρの増加に伴い目標ヨーモーメント積算値Wが増加しても、目標ヨーモーメント積算値Wの絶対値がヨーモーメント積算制限値Wcの絶対値以上となることはなく、引き続き逸脱回避制御が行われることになる。
逆に、逸脱回避制御による1作動期間中に、ある程度の道路曲率ρの走行車線を走行している状態から、道路曲率ρが減少し、ゆるやかなカーブに移行すると、図7の制御マップから算出されるヨーモーメント積算制限値Wccの絶対値は減少する。このため、ヨーモーメント積算制限値Wcの更新は行われず、これまでの道路曲率ρがより大きな場合に応じたヨーモーメント積算制限値Wcに維持されることになる。
ここで、道路曲率ρが大きい場合には、自車両の走行車線に対する横ずれ量もより多く必要であることから、道路曲率ρが変更した時点で目標ヨーモーメント積算値Wはすでにある程度の大きさになっている。このため、道路曲率ρの変動に伴いヨーモーメント積算制限値Wcを減少後の道路曲率ρに応じたヨーモーメント積算制限値Wcに更新した場合、場合によっては、道路曲率ρの大きさがより小さくなる方向に変化した時点、または、これ以後の、自車両が逸脱傾向から復帰する前の時点で目標ヨーモーメント積算値Wの絶対値がヨーモーメント積算制限値Wcの絶対値以上となる場合があり、運転者が逸脱方向への操舵操作を行っておらず通常の逸脱回避制御が行われているにも関わらず、道路曲率ρが低下したことに起因して逸脱回避制御によるヨーモーメントの発生が終了してしまう可能性がある。
しかしながら、上述のように、道路曲率ρが、カーブが緩やかになる方向に変化し、ヨーモーメント積算制限値のマップ読み込み値Wccが減少した場合には、ヨーモーメント積算制限値Wcの更新は行わないようにしているから、道路曲率ρが低下したことに起因して逸脱回避制御によるヨーモーメントの発生を終了することを回避し、道路曲率ρが低下した場合であっても的確に逸脱回避制御を行うことができる。
また、この状態で、運転者が逸脱方向に操舵操作を行った場合には、上記第1の実施の形態と同様に、逸脱回避制御において発生されるヨーモーメントの総和はより多く必要となることから、目標ヨーモーメントの積算値Wの絶対値がヨーモーメント積算制限値Wcの絶対値以上となった時点で、運転者による逸脱方向への操舵操作が行われたことを認識しこの時点で逸脱回避制御によるヨーモーメントの発生が終了される。
したがって、この第2の実施の形態においても、上記第1の実施の形態と同等の作用効果を得ることができると共に、この第2の実施の形態においては、ヨーモーメント積算制限値Wcをその絶対値が大きくなる方向にのみ更新するようにしているから、道路曲率ρが減少した場合であっても、運転者が逸脱方向に操舵操作を行ったかどうか等、通常とは異なる状況下で逸脱回避制御が行われているかどうかを的確に判断することができ、逸脱回避制御によるヨーモーメントの発生が途中で終了することなく、逸脱回避制御による制御効果を十分得ることができる。
なお、上記各実施の形態においては、自車両が左方向に逸脱傾向にある場合について説明したが、右方向に逸脱傾向にある場合も同様である。
また、上記各実施の形態においては、車線逸脱傾向にある場合には、ヨーモーメントを発生させることで、逸脱回避を図るようにした場合について説明したがこれに限るものではなく、例えば、逸脱検出時には自車両を減速させ、実際に逸脱するまでの速度を低減するようにした減速制御手段であっても適用することができ、制動力を制御することで逸脱回避を図るようにした逸脱回避のための制御手段であればどのような方法であっても適用することができる。
また、上記各実施の形態においては、車線逸脱傾向にある場合には、ヨーモーメントを発生させることで、逸脱回避を図るようにした場合について説明したがこれに限るものではなく、例えば、逸脱検出時には自車両を減速させ、実際に逸脱するまでの速度を低減するようにした減速制御手段であっても適用することができ、制動力を制御することで逸脱回避を図るようにした逸脱回避のための制御手段であればどのような方法であっても適用することができる。
ここで、上記第2の実施の形態において、図6の演算処理が逸脱回避制御手段に対応し、図2のステップS15の処理が積算値算出手段に対応し、ステップS16からステップS18の処理が制御量制限手段に対応し、ステップS16及びステップS17の処理がしきい値設定手段に対応し、単眼カメラ13及びカメラコントローラ14が道路曲率検出手段に対応している。
5FL〜5RR 車輪
6FL〜6RR ホイールシリンダ
7 制動流体圧制御回路
8 コントロールユニット
9 エンジン
12 駆動トルクコントロールユニット
13 単眼カメラ
14 カメラコントローラ
15 加速度センサ
16 ヨーレートセンサ
17 マスタシリンダ圧センサ
18 アクセル開度センサ
19 操舵角センサ
20 方向指示スイッチ
22FL〜22RR 車輪速度センサ
6FL〜6RR ホイールシリンダ
7 制動流体圧制御回路
8 コントロールユニット
9 エンジン
12 駆動トルクコントロールユニット
13 単眼カメラ
14 カメラコントローラ
15 加速度センサ
16 ヨーレートセンサ
17 マスタシリンダ圧センサ
18 アクセル開度センサ
19 操舵角センサ
20 方向指示スイッチ
22FL〜22RR 車輪速度センサ
Claims (9)
- 自車両が走行車線から逸脱する傾向にあるとき、この逸脱を回避するように逸脱回避制御を行う逸脱回避制御手段を備えた車線逸脱防止装置において、
前記逸脱回避制御による制御介入が行われている間、その制御量の積算値を算出する積算値算出手段と、
当該積算値算出手段で算出される積算値が、予め設定したしきい値を上回るとき、前記逸脱回避制御手段による制御量を制限する制御量制限手段と、を備えることを特徴とする車線逸脱防止装置。 - 前記積算値算出手段は、前記逸脱回避制御による制御介入が終了したとき、その積算値を初期値にリセットするようになっていることを特徴とする請求項1記載の車線逸脱防止装置。
- 前記制御量制限手段は、前記積算値がしきい値を超えたときの制御量を初期値として徐々に零まで減少する値を、前記制御量として設定するようになっていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車線逸脱防止装置。
- 前記積算値のしきい値を設定するしきい値設定手段と、
走行車線の道路曲率及びその旋回方向を検出する道路曲率検出手段と、を備え、
前記しきい値設定手段は、前記道路曲率検出手段で検出される走行車線の道路曲率及びその旋回方向と、自車両の逸脱方向とに応じて前記しきい値を設定するようになっていることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の車線逸脱防止装置。 - 前記しきい値設定手段は、自車両が旋回内側方向に逸脱する傾向にある場合に比較して自車両が旋回外側方向に逸脱する傾向にある場合の方が、前記しきい値がより大きくなるように、前記しきい値を設定することを特徴とする請求項4記載の車線逸脱防止装置。
- 前記しきい値設定手段は、自車両が旋回外側方向に逸脱する傾向にあるときには、前記走行車線の道路曲率が大きいときほど前記しきい値がより大きくなるように、前記しきい値を設定することを特徴とする請求項4記載の車線逸脱防止装置。
- 前記しきい値設定手段は、前記道路曲率が、増大する方向に変化したときにのみ、前記しきい値を更新するようになっていることを特徴とする請求項4から請求項6の何れか1項に記載の車線逸脱防止装置。
- 前記しきい値は、外乱のない状態で前記逸脱回避制御が行われたときの、前記積算値算出手段で算出される積算値に応じて設定されることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の車線逸脱防止装置。
- 前記逸脱回避制御手段は、自車両の逸脱を回避する方向にヨーモーメントを発生するようになっていることを特徴とする請求項1から請求項8の何れか1項に記載の車線逸脱防止装置。
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JP2004370820A JP2006175979A (ja) | 2004-12-22 | 2004-12-22 | 車線逸脱防止装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2004
- 2004-12-22 JP JP2004370820A patent/JP2006175979A/ja active Pending
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