ところで、換気制御装置が適用される空間としては、レストランやホテルなどの飲食店の厨房空間が想定される。このような店舗の厨房空間には、複数の調理機器が設けられる場合が多く、この場合には、全ての調理機器から発生する換気対象物を室外に排出する必要がある。
ここで、上述した換気制御装置を用いて複数の調理機器の稼働状況に応じた換気制御を行うためには、複数の調理機器毎に温度センサなどの検知手段を設ける必要があると考えられる。この場合、検知手段、あるいは検知手段に付随する部品(配線、固定部材、変換器等)の点数が多くなり、この換気制御装置が複雑化してしまう。
一方、複数の調理機器のうち一部の調理機器のみに検知手段を配置する場合、全ての調理機器の稼働状況に対応する換気制御を行うことができず、厨房空間の快適性を継続的に維持することも困難となる恐れがある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、複数の調理機器が配置された厨房空間の換気を行う換気制御装置において、厨房空間の快適性を保ちながら、この厨房空間に設けられる検知手段の数量を削減することである。
第1の発明は、複数の調理機器(a,b,c,d,e)が配置される厨房空間の空気を室外に排出する排気手段(20)と、複数の調理機器(a,b,c,d,e)のうち一部の調理機器(d,e)に設けられるとともに、調理機器(d,e)の稼働状況を検知する検知手段(31,32)と、上記排気手段(20)の排気風量を変更する制御部(40)とを備え、上記制御部(40)は、上記検知手段(31,32)の検知対象外の調理機器(a,b,c)の最低必要排気量を設定する風量設定部(42)と、運転時に常に最低必要排気量を下限値とし、且つ上記検知手段(31,32)の検出信号に基づいて排気手段(20)の排気風量を下限値以上で増減させる風量変更部(43)とを備えるものである。
ここで、上記「検知手段」は、調理機器(a,b,c)の稼働状況を直接的に検知するもの(調理機器の通電状態の検知手段、調理機器のガス使用量の検知手段、調理機器の電力消費の検知手段等)であってもよいし、間接的に検知するもの(温度センサ、CO2センサ等)であってもよい。
上記第1の発明では、複数の調理機器(a,b,c,d,e)が配置される厨房空間に換気制御装置が設けられる。複数の調理機器(a,b,c,d,e)のうち一部の調理機器(d,e)には、これらの調理機器(d,e)に対応する検知手段(31,32)が個別に設けられる。
ここで、本発明の制御部(40)には、検知手段(31,32)が対応していない調理機器(a,b,c)の最低必要排気量を設定する風量設定部(42)が設けられる。なお、最低必要排気量は、調理機器(a,b,c)の発熱量や、これらの調理機器(a,b,c)から発生する換気対象物を捕集するフードの型式、調理機器からフードまでの距離などに応じて任意に決定される。
制御部(40)の風量変更部(43)は、排気手段(20)の排気風量を上記最低必要排気量以上としながら、同時に上記検知手段(31,32)の検出信号に応じて排気風量を増減させる。したがって、検知手段(31,32)が対応しない調理機器(a,b,c)の最低必要排気量を常に確保しながら、検知手段(31,32)が対応する調理機器(d,e)の稼働状況に応じた排気風量の制御を行うことができる。
第2の発明は、第1の発明の換気制御装置において、検知手段が、調理機器(d,e)の近傍の温度を検出する温度センサ(31,32)で構成され、風量変更部(43)は、最低必要排気量を下限値とし、且つ上記温度センサ(31,32)の検出温度に基づいて排気手段(20)の排気風量を下限値以上で増減させるものである。
上記第2の発明では、調理機器(d,e)の近傍に調理機器(d,e)の稼働状況を検知するための温度センサ(31,32)が設けられる。つまり、温度センサ(31,32)は、調理機器(d,e)の稼働に伴う調理機器(d,e)の近傍の温度変化を検知することで、調理機器(d,e)の稼働状況を検知する。そして、風量変更部(43)は、排気手段(20)の排気風量を上記最低必要排気量以上としながら、同時に上記温度検知手段(31,32)の検出信号に応じて排気風量を増減させる。
第3の発明は、第2の発明の換気制御装置において、制御部(40)は、温度センサ(31,32)の検出温度に基づいて加算排気量を算出する算出部(41)を備え、風量変更部(43)は、最低必要排気量と加算排気量との和を排気手段(20)の排気風量とするものである。ここで、上記「加算排気量」は、温度センサ(31,32)の検出温度の変化に対応して段階的、あるいはリニアに増減されて算出されるものであってもよいし、例えば温度センサ(31,32)の温度変化(例えば温度上昇率)に伴って増減されて算出されるもののであってもよい。
上記第3の発明では、温度センサ(31,32)の検出温度、すなわち温度センサ(31,32)が対応する調理機器(d,e)の稼働状況に応じて算出部(41)が加算排気量を算出する。そして、風量変更部(43)は、風量設定部(42)に設定された最低必要排気量と、算出部(41)で算出された加算排気量との和を排気手段(20)の排気風量とする。したがって、排気手段(20)の排気風量を確実に最低必要排気量以上としながら、調理機器(d,e)の稼働状況に応じた排気風量の変更を行うことができる。
第4の発明は、第3の発明の換気制御装置において、制御部(40)が、調理機器(d,e)を稼働状態とみなす稼働温度が設定される温度設定部(45)を備え、算出部(41)は、上記温度センサ(31,32)の検出温度が上記稼働温度未満の場合に加算排気量をゼロとする一方、上記温度センサ(31,32)の検出温度が上記稼働温度以上の場合に加算排気量をゼロよりも大きい所定排気量とするものである。
上記第4の発明では、温度設定部(45)に、調理機器(d,e)の稼働の有無を判別するための稼働温度が設定される。ここで、温度センサ(31,32)の検出温度が稼働温度未満の場合、温度センサ(31,32)に対応する調理機器(d,e)が稼働していないとみなされ、加算排気量がゼロとなる。一方、温度センサ(31,32)の検出温度が稼働温度以上の場合、温度センサ(31,32)に対応する調理機器(d,e)が稼働しているとみなされ、加算排気量が所定排気量となる。つまり、本発明では、温度センサ(31,32)の検出温度に応じて調理機器(d,e)の稼働の有無が判別され、これに応じて排気手段(20)の排気風量が段階的に制御される。
第5の発明は、第3の発明の換気制御装置において、温度センサは、複数の調理機器(d,e)に対応する複数の温度センサ(31,32)で構成され、複数の温度センサ(31,32)が直列又は並列に接続される入力部(44a)を有するとともに、該複数の温度センサ(31,32)からの検出信号を変換して算出部(41)に伝送する変換部(44)を備えるものである。
上記第5の発明では、温度センサ(31,32)が一つの入力部(44a)に直列配線又は並列配線で接続される。したがって、変換部(44)には、複数の温度センサ(31,32)からの電気的信号(例えば複数の温度センサの電位差)が一つの信号となって入力される。
具体的に、例えば2つの温度センサ(31,32)が入力部(44a)に対して直列に接続されている場合、入力部(44a)には、第1の温度センサ(31)で生じた電位差V1と、第2の温度センサ(32)で生じた電位差V2との総和が入力される。このため、算出部(41)には、第1温度センサ(31)の検出温度T1と第2温度センサ(32)の検出温度T2との合計となる検出温度Tが伝送される。したがって、この検出温度Tに基づいて加算排気量を決定し、排気手段(20)の排気風量を変更することができる。
また、例えば2つの温度センサ(31,32)が入力部(44a)に対して並列に接続されている場合、入力部(44a)には、第1の温度センサ(31)で生じた電位差V1と、第2の温度センサ(32)で生じた電位差V2との平均値が入力される。このため、算出部(41)には、第1温度センサ(31)の検出温度T1と第2温度センサ(32)の検出温度T2との平均の検出温度Tが伝送される。したがって、この検出温度Tに基づいて加算排気量を決定し、排気手段(20)の排気風量を変更することもできる。
第6の発明は、第2から第5のいずれか1の発明の換気制御装置において、温度センサ(31,32)は、複数の調理機器(a,b,c,d,e)のうち定格発熱量の大きい調理機器(d,e)に設けられるものである。
上記第6の発明では、複数の調理機器(a,b,c,d,e)のうち定格発熱量の大きい調理機器(d,e)に温度センサ(31,32)が設けられるため、温度センサ(31,32)が対応しない調理機器(a,b,c)の発熱量などに応じて設定される最低必要排気量を小さくすることができる。
第7の発明は、第1の発明の換気制御装置において、検知手段が、調理機器(d,e)の通電量を検知する通電量検知手段(51,52)で構成され、風量変更部(43)は、最低必要排気量を下限値とし、且つ上記通電量検知手段(51,52)の検知通電量に基づいて排気手段(20)の排気風量を下限値以上で増減させるものである。
上記第7の発明では、例えば電磁調理機器や電気式オーブンなどの電気調理機器から成る調理機器(d,e)の稼働状況を検知するための通電量検知手段(51,52)が設けられる。つまり、通電量検知手段(51,52)は、調理機器(d,e)の稼働に伴う調理機器(d,e)の通電量の変化を検知することで、調理機器(d,e)の稼働状況を検知する。また、上記通電量検知手段(51,52)の検知対象外となる調理機器(a,b,c)の発熱量や、これらの調理機器(a,b,c)から発生する換気対象物を捕集するフードの型式、調理機器からフードまでの距離などに応じて最低必要排気風量が決定される。そして、風量変更部(43)は、排気手段(20)の排気風量を上記最低必要排気量以上としながら、同時に上記通電量検知手段(51,52)の検出信号に応じて排気風量を増減させる。
第8の発明は、第7の発明の換気制御装置において、通電量検知手段(51)が、複数の調理機器(d,e)の通電量の合計値を検出するように構成され、風量変更部(43)は、最低必要排気量を下限値とし、且つ上記通電量検知手段(51)で検出された複数の調理機器(d,e)の通電量の合計値に基づいて排気手段(20)の排気風量を下限値以上で増減させるものである。
第8の発明では、通電量検知手段(51)の検知対象となる複数の調理機器(d,e)について、これらの調理機器(d,e)の通電量の合計値を通電量検知手段(51)が検出する。そして、風量変更部(43)は、排気手段(20)の排気風量を上記最低必要排気量以上としながら、同時に上記通電量検知手段(51,52)で検出された通電量の合計値に応じて排気風量を増減させる。
第9の発明は、第1の発明の換気制御装置において、検知手段が、調理機器(d,e)のガス使用量を検知するガス検知手段(61,62)で構成され、風量変更部(43)は、最低必要排気量を下限値とし、且つ上記ガス検知手段(61,62)の検知ガス使用量に基づいて排気手段(20)の排気風量を下限値以上で増減させるものである。
第9の発明では、例えばガスコンロやガスレンジなどのガス調理機器から成る調理機器(e,f)の稼働状況を検知するためのガス検知手段(61,62)が設けられる。つまり、ガス検知手段(61,62)は、 調理機器(e,f)の稼働に伴う調理機器(e,f)のガス使用量の変化を検知することで、調理機器(e,f)の稼働状況を検知する。また、上記ガス検知手段(61,62)の検知対象外となる調理機器(a,b,c)の発熱量や、これらの調理機器(a,b,c)から発生する換気対象物を捕集するフードの型式、調理機器からフードまでの距離などに応じて最低必要排気風量が決定される。そして、風量変更部(43)は、排気手段(20)の排気風量を上記最低必要排気量以上としながら、同時に上記ガス検知手段(61,62)の検出信号に応じて排気風量を増減させる。
第10の発明は、複数の調理機器(a,b,c)が配置される厨房空間の空気を室外に排出する排気手段(20)と、複数の調理機器(a.b.c)の通電量の合計値を検知する通電量検知手段(51)と、上記通電量検知手段(51)で検出された複数の調理機器(a,b,c)の合計値に基づいて排気手段(20)の排気風量を変更する制御部(40)とを備えるものである。
第10の発明では、例えば電磁調理機器や電気式オーブンなどの電気調理機器から成る調理機器(a,b,c)の稼働状況を検知するための通電量検知手段(51)が設けられる。通電量検知手段(51)は、複数の調理機器(a,b,c)の通電量の合計値を検出することで、厨房空間の換気負荷を間接的に検知する。そして、制御部(40)は、調理機器(a,b,c)の合計値に基づいて排気手段(20)の排気風量を増減させる。
上記第1の発明によれば、排気手段(20)の排気風量を常に最低必要排気量以上としながら、さらに検知手段(31,32)の検出信号に基づいて排気手段(20)の排気風量を増減させるようにしている。このため、検知手段(31,32)が対応しない調理機器(a,b,c)の必要最小限の排気を確保するとともに、検知手段(31,32)が対応する調理機器(d,e)の稼働状況を加味した排気手段(20)の換気制御を行うことができる。したがって、この厨房空間の快適性を保ちながら、検知手段の数量を削減することができる。また、過剰な換気によってこの厨房空間に適用される空気調和機の空調負荷が増大してしまう、あるいは排気手段(20)の動力が無駄となってしまうことも抑制できる。
上記第2の発明によれば、調理機器(d,e)の稼働状況を検知する検知手段として温度センサ(31,32)を用いるようにしている。このため、比較的廉価かつシンプルに検知手段を構成することができ、容易かつ確実に調理機器(d,e)の稼働状況を検知することができる。
上記第3の発明によれば、温度センサ(31,32)の検出温度に基づいて算出部(41)で算出された加算排気量と、風量設定部(42)に設定された最低必要排気量との和を排気手段(20)の排気風量とするようにしている。このため、排気手段(20)の排気風量を確実に最低必要排気量以上とすることができる。
上記第4の発明によれば、温度センサ(31,32)の検出温度が稼働温度未満となると、加算排気量をゼロとする、すなわち排気手段(20)の排気風量を必要最低排気量のみとする一方、温度センサ(31,32)の検出温度が稼働温度以上となると、加算排気量を所定排気量として、排気手段(20)の排気風量を必要最低排気量よりも大きくするようにしている。したがって、調理機器(d,e)の稼働の有無を容易に判別することができ、これらの調理機器(d,e)の稼働状況に応じて排気風量を確実に変更することができる。
上記第5の発明によれば、複数の温度センサ(31,32)を一つの入力部(44a)に対して直列又は並列に接続するようにしている。そして、算出部(41)によって、複数の温度センサ(31,32)の検出温度の総和又は平均値に基づき加算排気量を決定できるようにしている。このため、温度センサ(31,32)に対応する入力部の数量を削減しながら、温度センサ(31,32)が対応する調理機器(d,e)の稼働状況に応じた換気制御を行うことができる。
上記第6の発明によれば、複数の調理機器(a,b,c,d,e)のうち定格発熱量の大きい調理機器(d,e)に温度センサ(31,32)を配置することで、最低必要排気量を小さくすることができる。したがって、排気手段(20)の動力削減、あるいは厨房空間に設けられる空気調和機の空調負荷の低減を図ることができる。
上記第7の発明によれば、調理機器(d,e)の稼働状況を検知する検知手段として通電量検知手段(51,52)を用いるようにしている。そして、通電量検知手段(51,52)の対応しない調理機器(a,b,c)の必要最小限の排気を確保しながら、通電量検知手段(51,52)の対応する調理機器(d,e)の稼働状況を加味した換気制御を行えるようにしている。したがって、電磁調理機器や電気式オーブンなどの電気調理機器が配置される厨房空間において、この厨房空間の快適性を保ちながら、この通電量検知手段の数量を削減することができる。
上記第8の発明によれば、通電量検知手段(51)の検知対象となる調理機器(d,e)について、その調理機器(d,e)の通電量の合計値に基づいて排気量を変更させるようにしている。したがって、複数の調理機器(d,e)に対し、それよりも少ない数量の通電量検知手段(51)を設けるだけで、複数の調理機器(d,e)の稼働状況を加味した換気制御を行うことができる。つまり、電気調理機器が配置される厨房空間において、通電量検知手段の数量を一層削減することができる。
上記第9の発明によれば、調理機器(e,f)の稼働状況を検知する検知手段としてガス検知手段(61,62)を用いるようにしている。そして、ガス検知手段(61,62)の対応しない調理機器(a,b,c,d)の必要最小限の排気を確保しながら、ガス検知手段(61,62)の対応する調理機器(e,f)の稼働状況を加味した換気制御を行えるようにしている。したがって、ガスコンロやガスレンジなどのガス調理機器が配置される厨房空間において、この厨房空間の快適性を保ちながら、このガス検知手段の数量を削減することができる。
上記第10の発明によれば、複数の調理機器(a,b,c)が配置される厨房空間において、調理機器(a,b,c)の通電量の合計値を通電量検知手段(51)で検知するようにしている。そして、この通電量の合計値の増減に応じて排気手段(20)の排気風量を増減させるようにしている。したがって、複数の調理機器(a,b,c)に対して一つの通電量検知手段(51)を設けるだけで、複数の調理機器(a,b,c)の稼働状況を加味した換気制御を行うことができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
《発明の実施形態1》
本実施形態1に係る換気制御装置(10)は、図1に示すように、レストランやホテルなどの厨房空間の換気を行うものである。この換気制御装置(10)は、複数の調理機器の使用時に発生する換気対象物(二酸化炭素、水蒸気、臭気物質等)を含んだ空気を室外に排出する。なお、本実施形態において、厨房空間には5台の調理機器(a,b,c,d,e)が設けられている。
換気制御装置(10)は、ダクト(15)、排気ファン(20)、温度センサ(31,32)、及び制御部(40)を備えている。
ダクト(15)は、厨房空間内の空気が室外に排出されるまでの空気通路を構成するものである。ダクト(15)は、その下端が厨房空間の天井面に開口する一方、その上端が室外に開口している。ダクト(15)の下端には、フード(11)が設けられている。このフード(11)は、調理機器(a,b,c,d,e)の上部に位置し、これら調理機器(a,b,c,d,e)に跨って配置されている。そして、フード(11)は、これらの調理機器(a,b,c,d,e)から発生する換気対象物を捕集可能に構成されている。
排気ファン(20)は、厨房空間内の空気を圧送して室外に排出するための排気手段を構成するものである。この排気ファン(20)は、ダクト(15)の内部の空気通路に配置されている。
温度センサ(31,32)は、対応する調理機器(d,e)の近傍の温度を検出するものである。本実施形態において、温度センサは、第1温度センサ(31)と第2温度センサ(32)で構成されている。第1温度センサ(31)は、調理機器(d)の近傍に配置されている。つまり、第1温度センサ(31)は、調理機器(d)に対応して配置され、調理機器(d)の稼働状況を検知する検知手段を構成している。また、第2温度センサ(32)は、調理機器(e)の近傍に配置されている。つまり、第2温度センサ(32)は、調理機器(e)に対応して配置され、調理機器(e)の稼働状況を検知する検知手段を構成している。また、第1,第2温度センサ(31,32)がそれぞれ配置される調理機器(d,e)は、調理機器(a,b,c,d,e)のうち定格発熱量の大きい調理機器となっている。
制御部(40)は、上記温度センサ(31,32)の検知信号に基づいて排気ファン(20)の排気風量を変更するものである。この制御部(40)は、算出部(41)、風量設定部(42)、風量変更部(43)、変換部(44)、及び温度設定部(45)を備えている。
変換部(44)は、温度センサ(31,32)の検出信号を受信し、この検出信号を所定の信号に変換した後、この変換信号を算出部(41)に伝送するものである。本実施形態において、変換部(44)には、第1入力部(44a)と第2入力部(44b)とが設けられている。第1入力部(44a)には、ケーブル配線を介して上記第1温度センサ(31)が接続されている。第2入力部(44b)には、ケーブル配線を介して上記第2温度センサ(32)が接続されている。そして、変換部(44)は、各温度センサ(31,32)の検出信号をそれぞれの入力部(44a,44b)で受信した後、これらの変換信号をそれぞれ算出部(41)に出力する。
温度設定部(45)は、温度センサ(31,32)に対応する調理機器(d,e)が稼働しているか否かを判別するための基準温度(稼働温度)を設定するものである。具体的に、温度設定部(45)には、第1温度センサ(31)に対応する調理機器(d)の稼働時の温度となる第1稼働温度と、第2温度センサ(32)に対応する調理機器(e)の稼働時の温度となる第2稼働温度とが設定される。なお、これらの稼働温度を実際の調理機器の稼働時の温度よりも若干低くして温度設定部に設定してもよい。
算出部(41)は、温度センサ(31,32)の検出温度に基づいて加算排気量を決定するものである。本実施形態では、算出部(41)が、第1温度センサ(31)の変換信号に基づく第1加算排気量と、第2温度センサ(32)の変換信号に基づく第2加算排気量を決定する。具体的に、算出部(41)は、第1温度センサ(31)の検出温度が第1稼働温度未満となると、調理機器(d)が停止状態であるとみなして第1加算排気量をゼロとする。一方、算出部(41)は、第1温度センサ(31)の検出温度が第1稼働温度以上となると、調理機器(d)が稼働状態であるとみなして第1加算排気量をQ1とする。なお、Q1には、調理機器(d)の稼働時に発生する換気対象物を室外に充分排出できる排気量が設定される。また、算出部(41)は、第2温度センサ(32)の検出温度が第2稼働温度未満となると、調理機器(e)が停止状態であるとみなして第2加算排気量をゼロとする。一方、算出部(41)は、第2温度センサ(32)の検出温度が第2稼働温度以上となると、調理機器(e)が稼働状態であるとみなして第2加算排気量をQ2とする。なお、Q2には、調理機器(e)の稼働時に発生する換気対象物を室外に充分排出できる排気量が設定される。
風量設定部(42)は、温度センサ(31,32)が対応していない調理機器(a,b,c)の最低必要排気量が設定されるものである。この最低必要排気量は、調理機器(a,b,c)が稼働状態であるときに、これらの調理機器(a,b,c)から発生する換気対象物を室外に充分排気できる排気量が設定される。なお、この最低必要排気量は、例えばフードのタイプ、フードの捕集率、調理機器(a,b,c)の発熱量等に基づいて定められるものである。本実施形態において、風量設定部(42)には、フード(11)の大きさや形状、調理機器からフード(11)までの距離などに応じて定められるフード定数Aと、該フード(11)に対応する調理機器(a,b,c)の発熱量とに基づいて最低必要排気量QA0が設定されている。
風量変更部(43)は、排気ファン(20)の排気量を決定して変更するものである。具体的に、風量変更部(43)は、上記算出部(41)で決定された加算排気量と、上記風量設定部(42)に設定された最低必要排気量との和を算出し、この和を排気ファン(20)の最終的な排気量とする。
−運転動作−
次に、実施形態1に係る換気制御装置(10)の運転動作について図2を参照しながら説明する。なお、図2(A)は、換気制御装置(10)が適用される厨房空間を模式的に示す構成図である(制御部(40)の図示は省略する)。また、図2(B)は、制御部(40)で扱われるパラメータを示す表であり、図2(C)は、調理機器(d,e)の稼働状態と、排気ファン(20)の排気風量Qとの関係を示す表である。なお、図2(C)におけるS1は、第1温度センサ(31)に対応する調理機器(d)の稼働の有無を示すものであり、S2は、第2温度センサ(32)に対応する調理機器(e)の稼働の有無を示すものであり、ONが稼働状態、OFFが停止状態を意味する。
上述したように、風量設定部(42)には、温度センサ(31,32)の対応していない調理機器(a,b,c)の最低必要排気量QA0が設定される。
調理機器(d)及び調理機器(e)が停止状態である場合、第1温度センサ(31)の検出温度が第1稼働温度未満となり、第2温度センサ(32)の検出温度が第2稼働温度未満となる。その結果、制御部(40)は、調理機器(d,e)が停止状態であるとみなし、加算排気量をゼロとする。したがって、排気ファン(20)の排気風量Qは、最低必要排気量QA0となる。
調理機器(d)が稼働状態となり、調理機器(e)が停止状態である場合、第1温度センサ(31)の検出温度が第1稼働温度以上となる一方、第2温度センサ(32)の検出温度が第2稼働温度未満となる。その結果、制御部(40)は、調理機器(d)が稼働状態であるとみなし、加算排気量をQ1とする。したがって、排気ファン(20)の排気風量Qは、QA0+Q1となる。
調理機器(d)が停止状態となり、調理機器(e)が稼働状態である場合、第1温度センサ(31)の検出温度が第1稼働温度未満となる一方、第2温度センサ(32)の検出温度が第2稼働温度以上となる。その結果、制御部(40)は、調理機器(e)が稼働状態であるとみなし、加算排気量をQ2とする。したがって、排気ファン(20)の排気風量Qは、QA0+Q2となる。
調理機器(d)及び調理機器(e)が稼働状態である場合、第1温度センサ(31)の検出温度が第1稼働温度以上となり、第2温度センサ(32)の検出温度が第2稼働温度以上となる。その結果、制御部(40)は、調理機器(d)及び調理機器(e)が稼働状態であるとみなし、加算排気量をQ1+Q2とする。したがって、排気ファン(20)の排気風量Qは、QA0+Q1+Q2となる。
−実施形態1の効果−
上記実施形態1に係る換気制御装置では、以下の効果が発揮される。
上記実施形態1によれば、排気ファン(20)の排気風量を常に最低必要排気量QA0以上としながら、さらに第1,第2温度センサ(31,32)の検出信号に基づいて排気手段(20)の排気風量を増減するようにしている。具体的に、第1,第2温度センサ(31,32)の検出温度に基づいて算出部(41)で算出された加算排気量Q1、Q2と、風量設定部(42)に設定された最低必要排気量QA0との和を排気ファン(20)の排気風量とするようにしている。したがって、温度センサ(31,32)が対応しない調理機器(a,b,c)の必要最小限の排気を確保するとともに、温度センサ(31,32)が対応する調理機器(d,e)の稼働状況を加味した換気制御を行うことができる。また、過剰な換気によってこの厨房空間に適用される空気調和機の空調負荷の低減、あるいは排気ファン(20)の動力の低減を図ることできる。
また、上記実施形態1によれば、複数の調理機器(a,b,c,d,e)のうち定格発熱量の大きい調理機器(d,e)に温度センサ(31,32)をそれぞれ配置することで、残りの調理機器(a,b,c)の発熱量等で決定される最低必要排気量を小さくするようにしている。したがって、厨房空間に設けられる空気調和機の空調負荷の低減、あるいは排気ファン(20)の動力の低減を一層効果的に図ることができる。
《発明の実施形態2》
次に、実施形態2に係る換気制御装置(10)について説明する。本実施形態の換気制御装置(10)は、実施形態1と異なるダクトに適用されており、制御部(40)による排気風量Qの決定方法が異なるものである。また、本実施形態では、厨房空間に6台の調理機器(a,b,c,d,e,f)が配置されている。以下に、上記実施形態1と異なる点について説明する。
図3に示すように、本実施形態のダクトは2つに分岐している。そして、このダクトは、その下端が厨房空間に開口する第1と第2のダクト(15a,15b)を備えている。両ダクト(15a,15b)は、その上端が一本の集合ダクト(15)に接続されている。この集合ダクト(15)の上端は、室外空間に開口している。
第1ダクト(15a)の下端には、第1フード(11)が設けられている。この第1フード(11)は、調理機器(a,b,c)の上部に位置し、これら調理機器(a,b,c)に跨るように配置されている。そして、第1フード(11)は、これらの調理機器(a,b,c)から発生する換気対象物を捕集可能に構成されている。第2ダクト(15b)の下端には、第2フード(12)が設けられている。この第2フード(12)は、調理機器(d,e,f)の上部に位置し、これら調理機器(d,e,f)に跨るように配置されている。そして、第2フード(12)は、これらの調理機器(d,e,f)から発生する換気対象物を捕集可能に構成されている。
排気ファン(20)は、集合ダクト(15)の内部の空気通路に配置されている。このため、排気ファン(20)が運転されると、第1ダクト(15a)及び第2ダクト(15b)の双方に空気が導入され、これらの空気が集合ダクト(15)で合流した後、室外へ排出される。
温度センサ(31,32)は、上記実施形態1と同様、第1温度センサ(31)と第2温度センサ(32)とで構成されている。本実施形態では、第1温度センサ(31)が調理機器(e)に対応し、第2温度センサ(32)が調理機器(f)に対応している。
制御部(40)の風量設定部(42)には、温度センサ(31,32)が対応していない調理機器(a,b,c,d)の最低必要排気量が設定されている。具体的に、本実施形態においては、制御部(40)の風量設定部(42)に第1と第2の最低必要排気量が設定される。第1最低必要排気量QA0は、第1フード(11)のフード定数Aと、この第1フード(11)に対応する調理機器(a,b,c)の発熱量とに基づいて設定される。一方、第2最低必要排気量QB0は、第2フード(12)のフード定数Bと、この第2フード(12)に対応する調理機器(d,e,f)のうち、温度センサ(31,32)が配置されていない調理機器(d)の発熱量とに基づいて設定されている。
また、本実施形態の算出部(41)は、フード(11,12)毎の必要吸引風量から排気ファン(20)の排気風量を算出する。具体的に、算出部(41)は、第1フード(11)に対応する調理機器(a,b,c)から発生する換気対象物を室外に充分排気できる排気ファン(20)の排気風量と、第2フード(12)に対応する調理機器(d,e,f)から発生する換気対象物を室外に充分排気できる排気ファン(20)の排気風量とを算出する。そして、風量変更部(43)は、両者の排気風量を比較し、そのうちい大きい方の排気風量を排気ファン(20)の排気風量Qとして変更する。
−運転動作−
次に、実施形態2に係る換気制御装置(10)の運転動作について同図を参照しながら具体的に説明する。なお、本実施形態では、排気ファン(20)の運転時における両フード(11,12)の吸引風量比率が第1フード(11)と第2フード(12)とのフード定数によって定められる。つまり、図3に示すように、第1フード(11)のフード定数をA、第2フード(12)のフード定数をB、排気ファン(20)の排気風量をQとした場合、第1フード(11)の吸引風量は、Q×A/(A+B)となり、第2フード(12)の吸引風量は、Q×B/(A+B)となる。したがって逆に、例えば第1フード(11)においてQA0の吸引風量を得るためには、排気ファン(20)の排気風量Qを、QA0×(A+B)/Aとする必要があり、例えば第2フード(12)においてQB0の吸引風量を得るためには、排気ファン(20)の排気風量Qを、QB0×(A+B)/Bとする必要がある。
調理機器(e)及び調理機器(f)が停止状態である場合、第1温度センサ(31)の検出温度が第1稼働温度未満となり、第2温度センサ(32)の検出温度が第2稼働温度未満となる。その結果、算出部(41)は、調理機器(e,f)が停止状態であるとみなし、加算排気量をゼロとする。
次に、算出部(41)は、フード(11,12)毎の必要な吸引風量を算出する。具体的に、算出部(41)は、まず、第1フード(11)において最低必要排気量QA0を得るための排気ファン(20)の排気風量(QA0×(A+B)/A)を算出する。次に、算出部(41)は、第2フード(12)において最低必要排気量QB0を得るための排気ファン(20)の排気風量(QB0×(A+B)/A)を算出する。そして、風量変更部(43)は、両者の排気風量の大小比較を行い、このうち大きい方の排気風量を排気ファン(20)の排気風量Qとする。
調理機器(e)が稼働状態となり、調理機器(f)が停止状態である場合、第1温度センサ(31)の検出温度が第1稼働温度以上となる一方、第2温度センサ(32)の検出温度が第2稼働温度未満となる。その結果、算出部(41)は、調理機器(e)が稼働状態であるとみなし、加算排気量をQ1とする。
次に、算出部(41)は、フード(11,12)毎に必要な吸引風量を算出する。具体的に、算出部(41)は、まず、第1フード(11)において最低必要排気量QA0を得るための排気ファン(20)の排気風量(QA0×(A+B)/A)を算出する。次に、算出部(41)は、第2フード(12)において最低必要排気量QB0に第1加算排気量Q1を加えた排気ファン(20)の排気風量((QB0+Q1)×(A+B)/A)を算出する。そして、風量変更部(43)は、両者の排気風量の大小比較を行い、このうち大きい方の排気風量を排気ファン(20)の排気風量Qとする。
調理機器(e)が停止状態となり、調理機器(f)が稼働状態である場合、第1温度センサ(31)の検出温度が第1稼働温度未満となる一方、第2温度センサ(32)の検出温度が第2稼働温度以上となる。その結果、算出部(41)は、調理機器(f)が稼働状態であるとみなし、加算排気量をQ2とする。
次に、算出部(41)は、フード(11,12)毎に必要な吸引風量を算出する。具体的に、算出部(41)は、まず、第1フード(11)において最低必要排気量QA0を得るための排気ファン(20)の排気風量(QA0×(A+B)/A)を算出する。次に、算出部(41)は、第2フード(12)において最低必要排気量QB0に第2加算排気量Q2を加えた排気ファン(20)の排気風量((QB0+Q2)×(A+B)/A)を算出する。そして、風量変更部(43)は、両者の排気風量の大小比較を行い、このうち大きい方の排気風量を排気ファン(20)の排気風量Qとする。
調理機器(e)及び調理機器(f)が稼働状態である場合、第1温度センサ(31)の検出温度が第1稼働温度以上となり、第2温度センサ(32)の検出温度が第2稼働温度以上となる。その結果、算出部(41)は、調理機器(e)及び調理機器(f)が稼働状態であるとみなし、加算排気量をQ1+Q2とする。
次に、算出部(41)は、フード(11,12)毎に必要な吸引風量を算出する。具体的に、算出部(41)は、まず、第1フード(11)において最低必要排気量QA0を得るための排気ファン(20)の排気風量(QA0×(A+B)/A)を算出する。次に、算出部(41)は、第2フード(12)において最低必要排気量QB0に第1加算排気量Q1と第2加算排気量Q2を加えた排気ファン(20)の排気風量((QB0+Q1+Q2)×(A+B)/A)を算出する。そして、風量変更部(43)は、両者の排気風量の大小比較を行い、このうち大きい方の排気風量を排気ファン(20)の排気風量Qとする。
−実施形態2の効果−
上記実施形態2によれば、風量設定部(42)にフード(11,12)毎の最低必要排気量QA0,QB0を設定し、この最低必要排気量を満たす排気風量で換気を行うようにしている。一方で、調理機器(e,f)の稼働状況を温度センサ(31,32)で検知し、第2フード(12)の必要吸引風量に加算排気量を加えるようにしている。したがって、温度センサ(31,32)が対応しない調理機器(a,b,c,d)の必要最小限の排気を行うと同時に、調理機器(e,f)の稼働状況に応じた換気制御を行うことができる。
また、上記実施形態2によれば、フード毎(11,12)の必要吸引風量を満たすための排気ファン(20)の排気風量を算出し、これらの排気風量のうち大きい方の排気風量を排気ファン(20)の最終的な排気風量としている。したがって、各フード(11,12)において必要吸引風量を満たすことができ、この厨房空間の快適性を確実に確保することができる。
<実施形態2の変形例>
次に、上記実施形態2の変形例について図4を参照しながら説明する。この変形例では、実施形態2と異なり、第1温度センサ(31)が調理機器(c)に設けられる。したがって、第1最低必要排気量QA0は、第1フード(11)のフード定数Aと、第1フード(11)に対応する調理機器(a,b,c)のうち温度センサ(31)が設けられていない調理機器(a,b)の発熱量とに基づいて設定される。また、第2最低必要排気量QB0は、第2フード(12)のフード定数Bと、第2フード(12)に対応する調理機器(d,e,f)のうち温度センサ(31)が設けられていない調理機器(d,e)の発熱量とに基づいて設定される。
この変形例においては、算出部(41)で行われるフード(11,12)毎の必要吸引風量の算出方法が上記実施形態2と異なる(図4(C)参照)。具体的に例示すると、例えば第1,第2温度センサ(31,32)の検出温度に基づいて調理機器(c)及び調理機器(f)が稼働状態であるとみなされた場合、算出部(41)は、第1フード(11)における必要な吸引風量として最低必要排気量QA0に第1加算排気量Q1を加算する。次に、算出部(41)は、第2フード(12)における必要な吸引風量として最低必要排気量QB0に第2加算排気量Q2を加算する。そして、風量変更部(43)は、両者の排気風量の大小比較を行い、このうち大きい方の排気風量を排気ファン(20)の排気風量Qとする(図4(C)の最下欄参照)。したがって、排気ファン(20)は、両フード(11,12)の双方において必要な吸引風量を充足させる排気風量で運転される。
この変形例においても、上記実施形態2と同様、温度センサ(31,32)が対応しない調理機器(a,b,d,e)の必要最小限の排気を行うと同時に、調理機器(c,f)の稼働状況に応じた換気制御を行うことができる。また、各フード(11,12)において必要吸引風量を満たすことができ、この厨房空間の快適性を確実に確保することができる。
《発明の実施形態3》
次に、実施形態3に係る換気制御装置(10)について説明する。本実施形態の換気制御装置(10)は、実施形態2の構成にダクト及びフードを更に1組付与したものであり、制御部(40)による排気風量Qの決定方法が異なるものである。また、本実施形態では、厨房空間に9台の調理機器(a,b,c,d,e,f,g,h,i)が配置されている。以下に、上述した実施形態と異なる点について説明する。
図5に示すように、本実施形態のダクトは3つに分岐している。そして、図5における最も左側のダクトが第1ダクト(15a)を構成し、中央のダクトが第2ダクト(15b)を構成し、右側のダクトが第3ダクト(15c)を構成している。各ダクト(15a,15b,15c)は、その上端が一本の集合ダクト(15)に接続されている。この集合ダクト(15)の上端は、室外空間に開口している。)
第1ダクト(15a)の下端には、第1フード(11)が設けられている。この第1フード(11)は、調理機器(a,b,c)に対応している。第2ダクト(15b)の下端には、第2フード(12)が設けられている。この第2フード(12)は、調理機器(d,e,f)に対応している。第3ダクト(15c)の下端には、第3フード(13)が設けられている。この第3フード(13)は、調理機器(g,h,i)に対応している。
排気ファン(20)は、集合ダクト(15)の内部の所定位置に配置されている。このため、排気ファン(20)が運転されると、各ダクト(15a,15b,15c)に空気が導入され、これらの空気が集合ダクト(15)で合流した後、室外へ排出される。
温度センサ(31,32)は、実施形態1及び2と同様、第1温度センサ(31)と第2温度センサ(32)とで構成されている。本実施形態では、第1温度センサ(31)が調理機器(h)に対応し、第2温度センサ(32)が調理機器(i)に対応している。
制御部(40)の風量設定部(42)には、温度センサ(31,32)が対応していない調理機器(a,b,c,d,e,f,g)の最低必要排気量が設定される。具体的に、本実施形態においては、制御部(40)の風量設定部(42)に第1から第3までの最低必要排気量が設定される。第1最低必要排気量QA0は、第1フード(11)のフード定数Aと、この第1フード(11)に対応する調理機器(a,b,c)の発熱量に基づいて設定される。一方、第2最低必要排気量QB0は、第2フード(12)のフード定数Bと、この第2フード(12)に対応する調理機器(d,e,f)の発熱量とに基づいて設定されている。さらに、第3最低必要排気量QC0は、第3フード(13)のフード定数Cと、この第3フード(13)に対応する調理機器(g,h,i)のうち温度センサ(31,32)が対応していない調理機器(g)の発熱量とに基づいて設定されている。
また、本実施形態の算出部(41)は、第1フード(11)の必要吸引風量を満たす排気ファン(20)の排気風量と、第2フード(12)の必要吸引風量を満たす排気ファン(20)の排気風量と、第3フード(13)の必要吸引風量を満たす排気ファン(20)の排気風量とが算出される。そして、風量変更部(43)は、各排気風量のうち最も大きい排気風量を排気ファン(20)の排気風量Qとする。
−運転動作−
次に、実施形態3に係る換気制御装置(10)の運転動作について同図を参照しながら具体的に説明する。なお、本実施形態では、排気ファン(20)の運転時における各フード(11,12,13)の吸引風量比率がこれらフード(11,12,13)のフード定数によって定められる。つまり、図5に示すように、第1フード(11)のフード定数をA、第2フード(12)のフード定数をB、第3フードのフード定数をC、排気ファン(20)の排気風量をQとした場合、第1フード(11)の吸引風量は、Q×A/(A+B+C)となり、第2フード(12)の吸引風量は、Q×B/(A+B+C)となり、第3フード(15c)の吸引風量は、Q×C/(A+B+C)となる。したがって逆に、例えば第1フード(11)においてQA0の吸引風量を得るためには、排気ファン(20)の排気風量Qを、QA0×(A+B+C)/Aとする必要があり、例えば第2フード(12)においてQB0の吸引風量を得るためには、排気ファン(20)の排気風量Qを、QB0×(A+B+C)/Bとする必要があり、例えば第3フード(13)においてQC0の吸引風量を得るためには、排気ファン(20)の排気風量Qを、QC0×(A+B+C)/Cとする必要がある。
算出部(41)は、例えば第1,第2温度センサ(31,32)の検出温度に基づいて調理機器(h)及び調理機器(i)が稼働状態であるとみなされた場合、加算排気量をQ1+Q2とする。次に、算出部(41)は、フード(11,12,13)毎に必要な吸引風量を算出する。具体的に、算出部(41)は、まず、第1フード(11)において最低必要排気量QA0を得るための排気ファン(20)の排気風量(QA0×(A+B+C)/A)を算出する。次に、算出部(41)は、第2フード(12)において最低必要排気量QB0を得るための排気ファン(20)の排気風量(QB0×(A+B+C)/B)を算出する。さらに、算出部(41)は、最低必要排気量QC0にQ1とQ2とを加えた排気ファン(20)の排気風量((QC0+Q1+Q2)×(A+B+C)/C)を算出する。そして、風量変更部(43)は、各排気風量の大小比較を行い、このうち最大の排気風量を排気ファン(20)の排気風量Qとする。
このように本実施形態では、温度センサ(31,32)の検出温度に応じてQ1及びQ2が第3フード(13)の最低必要排気量QC0に加算され、調理機器(h,i)の稼働状況に応じた排気風量Qが決定される(図5(C)参照)。
−実施形態3の効果−
上記実施形態3によれば、風量設定部(42)にフード(11,12,13)毎に最低必要排気量を設定し、この最低必要排気量を満たす排気風量で換気を行うようにしている。一方で、調理機器(h,i)の稼働状況を温度センサ(31,32)で検知し、第3フード(13)の最低必要排気量に加算排気量を加えるようにしている。したがって、温度センサ(31,32)が対応しない調理機器(a,b,c,d,e,f,g)の必要最小限の排気を行うと同時に、調理機器(h,i)の稼働状況に応じた換気制御を行うことができる。
また、上記実施形態3によれば、フード(11,12,13)毎に必要吸引風量を満たす排気ファン(20)の排気風量を算出し、これらの排気風量のうち最大となる排気風量を排気ファン(20)の最終的な排気風量としている。したがって、各フード(11,12,13)において、確実に必要吸引風量を満たすことができ、この厨房空間の快適性を確実に確保することができる。
<実施形態3の変形例>
次に、上記実施形態3の変形例について図6を参照しながら説明する。この変形例では、実施形態3と異なり、第1温度センサ(31)が調理機器(f)に設けられる。したがって、第2最低必要排気量QB0は、第2フード(12)のフード定数Bと、第2フード(12)に対応する調理機器(e,f,g)のうち、温度センサ(31)が設けられていない調理機器(e,f)の発熱量とに基づいて設定される。また、第3最低必要排気量QC0は、第3フード(13)のフード定数Cと、第2フード(12)に対応する調理機器(g,h,i)のうち、温度センサ(32)が設けられていない調理機器(g,h)の発熱量とに基づいて第2最低必要排気量QB0が設定される。
この変形例においては、図6(C)に示すように、算出部(41)で各フード(11,12,13)における必要吸引風量を満たす排気風量を算出する際、第1加算排気量Q1が第2最低必要排気量QB0に加算され、第2加算排気量Q2が第3最低必要排気量QC0に加算される。
この変形例においても、上記実施形態3と同様、温度センサ(31,32)が対応しない調理機器(a,b,c,d,e,g,h)の必要最小限の排気を行うと同時に、調理機器(f,i)の稼働状況に応じた換気制御を行うことができる。また、各フード(11,12,13)において、確実に必要吸引風量を満たすことができ、この厨房空間の快適性を確実に確保することができる。
《発明の実施形態4》
次に、実施形態4に係る換気制御装置(10)について説明する。本実施形態の換気制御装置(10)は、上記実施形態1と温度センサ(31,32)の配線方法が異なるものである。また、この配線方法の相違に伴い、本実施形態の制御部(40)は、実施形態1と異なる構成となっている。以下に、実施形態1と異なる点について説明する。
図7に示すように、実施形態4の制御部(40)には、温度センサ(31,32)に対応する入力部(44a)が一つ設けられている。一方、第1温度センサ(31)及び第2温度センサ(32)は、この入力部(44a)に対して直列に接続されている。
図8に示すように、入力部(44a)には、第1温度センサ(31)の検出信号(電位差V1)と、第2温度センサ(32)の検出信号(電位差V2)との合計(電位差V)が受信される。電位差Vの信号を入力部(44a)より受信した変換器(43)は、この信号を変換し検出温度Tとして算出部(41)に伝送する。したがって、算出部(41)が受信する検出温度Tは、実質的に第1温度センサ(31)の検出温度T1と第2温度センサ(32)の検出温度T2との合計となる。
算出部(41)は、図8(C)に示すようにして、加算排気量の決定を行う。つまり、例えば算出部(41)が受信した検出温度Tが、Toff+Ton(ここで、Toff=Min(Toff1,Toff2)であり、Toff1は、調理機器(d)の未稼働時の温度、Toff2は、調理機器(e)の未稼働時の温度、Ton=Min(Ton1,Ton2)であり、Ton1は、調理機器(d)の稼働時の温度、Ton2は、調理機器(e)の稼働時の温度)未満の場合、調理機器(d,e)が稼働していないものとみなし、加算排気量をゼロとする。したがって、排気ファン(20)の排気風量Qは、QA0となる。
また、検出温度Tが、Toff+Ton以上、かつ2×Ton未満の場合、調理機器(d,e)のうち一方の調理機器を稼働しているとみなし、加算排気量を第1加算排気量Q1と第2加算排気量Q2のうち大きい方の加算排気量とする。したがって、排気ファン(20)の排気風量Qは、QA0+Max(Q1,Q2)となる。
さらに、検出温度Tが、2×Ton以上の場合、調理機器(d,e)の双方が稼働しているとみなし、加算排気量をQ1+Q2とする。したがって、排気ファン(20)の排気風量Qは、QA0+Q1+Q2となる。
−実施形態4の効果−
以上のように、上記実施形態4によれば、入力部(44a)に第1温度センサ(31)と第2温度センサ(32)とを直列に接続している。そして、両温度センサ(31)の検出温度の合計の検出温度Tを、調理機器(d,e)における稼働時の温度Ton、及び未稼働時の温度Toffと比較することで、加算排気量を決定するようにしている。したがって、本実施形態においても調理機器(d,e)の稼働状況に応じて排気ファン(20)の排気風量を変更することができるとともに、調理機器(a,b,c,d)の最低必要排気量を確保することができる。
また、本実施形態では、例えば実施形態1の換気制御装置(10)と比較して(図1参照)、入力部(44a)の個数を削減することができる。したがって、変換器(44)及びこれに関わる周辺機器の構成をシンプルにすることができる。
なお、上記実施形態4では、第1,第2温度センサ(31,32)を入力部(44a)に対して直列に接続するようにしている。しかしながら、上記第1,第2温度センサ(31,32)を入力部(44a)に対して並列に接続するようにしてもよい。この場合には、算出部(41)に第1温度センサ(31)の検出温度T1と第2温度センサの検出温度T2との平均検出温度Tが伝送される。この構成においても、実施形態4と同様の制御によって、調理機器(d,e)の稼働状況に応じて排気ファン(20)の排気風量を変更することができるとともに、調理機器(a,b,c,d)の最低必要排気量を確保することができる。また、入力部(44a)に3対状の温度センサを直列又は並列に接続し、これらの温度センサの合計、あるいは平均値に基づき排気ファン(20)の排気風量を変更することもできる。
《発明の実施形態5》
実施形態5に係る換気制御装置(10)は、電気式の調理機器(a,b,c,d,e)が配置された厨房空間に適用されるものである。図9に示す例では、これらの調理機器が、4台の電磁調理機器(a,b,c,d)と一台の電気式オーブン(e)とで構成されている。
換気制御装置(10)は、実施形態1と同様のダクト(15)及び排気ファン(20)と、実施形態1と類似の制御部(40)を備えている。また、換気制御装置(10)の検知手段は、実施形態1ないし4の温度センサと異なり、第1と第2の電流計(51,52)で構成されている。第1電流計(51)は、調理機器(d)の電源ケーブルに接続されており、調理機器(d)の通電量を検知可能となっている。一方、第2電流計(52)は、調理機器(e)の電源ケーブルに接続されており、調理機器(e)の通電量を検知可能となっている。つまり、各電流計(51,52)は、対応する調理機器(d,e)の通電量を検知することで、各調理機器(d,e)の稼働状況を検知する通電量検知手段を構成している。また、第1電流計(51)は制御部(40)の第1入力部(44a)に、第2電流計(52)は制御部(40)の第2入力部(44b)にケーブル配線を介してそれぞれ接続されている。
上記制御部(40)には、実施形態1の温度設定部(45)に代わって電流設定部(45)が設けられている。この電流設定部(45)は、電流計(51,52)に対応する調理機器(d,e)が稼働しているか否かを判別するための基準電流値(定格電流値)を設定するものである。具体的に、電流設定部(45)には、第1電流計(51)に対応する調理機器(d)の稼働時の電流値となる第1稼働電流値と、第2電流計(52)に対応する調理機器(e)の稼働時の電流値となる第2稼働電流値とが設定される。また、制御部(40)には、実施形態1と同様、風量設定部(42)、風量変更部(43)、及び変換部(44)が設けられている。風量設定部(42)には、電流計(51,52)が対応していない調理機器(a,b,c)の最低必要排気量QA0が設定される。
実施形態5の換気制御装置(10)の運転動作は、実施形態1とほぼ同様である。図10に示すように、調理機器(d)及び調理機器(e)が停止状態である場合、第1電流計(51)の検出電流値が第1稼働電流値未満となり、第2電流計(52)の検出電流値が第2稼働電流値未満となる。その結果、算出部(41)は、調理機器(d,e)が停止状態であるとみなし、加算排気量をゼロとする。したがって、排気ファン(20)の排気風量Qは、最低必要排気量QA0となる。
調理機器(d)が稼働状態となり、調理機器(e)が停止状態である場合、第1電流計(51)の検出電流値が第1稼働電流値以上となる一方、第2電流計(52)の検出電流値が第2稼働電流値未満となる。その結果、算出部(41)は、調理機器(d)が稼働状態であるとみなし、加算排気量をQ1とする。したがって、排気ファン(20)の排気風量Qは、QA0+Q1となる。
調理機器(d)が停止状態となり、調理機器(e)が稼働状態である場合、第1電流計(51)の検出電流値が第1稼働電流値未満となる一方、第2電流計(52)の検出電流値が第2稼働電流値以上となる。その結果、算出部(41)は、調理機器(e)が稼働状態であるとみなし、加算排気量をQ2とする。したがって、排気ファン(20)の排気風量Qは、QA0+Q2となる。
調理機器(d)及び調理機器(e)が稼働状態である場合、第1電流計(51)の検出電流値が第1稼働電流値以上となり、第2電流計(52)の検出電流値が第2稼働電流値以上となる。その結果、算出部(41)は、調理機器(d)及び調理機器(e)が稼働状態であるとみなし、加算排気量をQ1+Q2とする。したがって、排気ファン(20)の排気風量Qは、QA0+Q1+Q2となる。
以上のように、実施形態5では、電気式の調理機器(a,b,c,d,e)において、排気ファン(20)の排気風量を常に最低必要排気量QA0以上としながら、さらに電流計(51,52)の検出電流値に基づいて排気手段(20)の排気風量を増減するようにしている。したがって、電流計(51,52)が対応しない調理機器(a,b,c)の必要最小限の排気を確保するとともに、電流計(51,52)が対応する調理機器(d,e)の稼働状況を加味した換気制御を行うことができる。また、電流計(51,52)の数量を削減するとともに、電流計(51,52)の付属部品の点数を削減できる。
なお、上記実施形態5では、通電量検知手段として電流計(51,52)を用いているが、これに代わって電力計を用いるようにしてもよい。この場合には、電力計が対応する調理機器(d,e)の瞬時的な消費電力に応じて調理機器(d,e)の稼働状況を判断することができる。なお、実施形態5の換気制御装置(10)を実施形態2ないし4のような厨房空間の換気制御に利用してもよい。
《発明の実施形態6》
次に、実施形態6の換気制御装置(10)について図11を参照しながら説明する。この換気制御装置(10)には、実施形態5と異なり一つの電流計(51)しか設けられていない。電流計(51)は、調理機器(d)及び調理機器(e)の双方の電源ケーブルが並列に接続されて合流する主電源ケーブルに接続されている。つまり、電流計(51)は、調理機器(d)及び調理機器(e)の電流値の合計値を検出する通電量検知手段を構成している。
制御部(40)には、実施形態5とほぼ同様にして、算出部(41)、風量設定部(42)、風量変更部(43)、変換部(44)、及び電流設定部(45)が設けられているが、変換部(44)には一つの入力部(44a)のみが設けられている。そして、入力部(44a)には、上記電流計(51)がケーブル配線を介して接続されている。
電流計(51)で検知された両調理機器(d,e)の電流値の合計が制御部(40)の入力部(44a)に入力されると、調理機器(d)の電流値I1と調理機器(e)の電流値I2との合計電流値Iが算出部(41)に伝送される。
算出部(41)は、図12(C)に示すようにして、加算排気量の決定を行う。つまり、例えば算出部(41)が受信した合計電流値Iが、Ion(ここで、Ion=Min(Ion1,Ion2)であり、Ion1は、調理機器(d)の稼働時の電流値、Ion2は、調理機器(e)の稼働時の電流値)未満の場合、調理機器(d,e)が稼働していないものとみなし、加算排気量をゼロとする。したがって、排気ファン(20)の排気風量Qは、QA0となる。
また、算出部(41)は、合計電流値IがIon以上、かつ2×Ion未満の場合、調理機器(d,e)のうち一方の調理機器を稼働しているとみなし、加算排気量を第1加算排気量Q1と第2加算排気量Q2のうち大きい方の加算排気量とする。したがって、排気ファン(20)の排気風量Qは、QA0+Max(Q1,Q2)となる。
さらに、算出部(41)は、合計電流値Iが、2×Ion以上の場合、調理機器(d,e)の双方が稼働しているとみなし、加算排気量をQ1+Q2とする。したがって、排気ファン(20)の排気風量Qは、QA0+Q1+Q2となる。
以上のように、実施形態6では、一つの電流計(51)で複数の調理機器(d,e)の稼働状況を検出し、これらの調理機器(d,e)の稼働状況に応じて排気風量を変更するようにしている。このため、例えば実施形態5と比較して電流計(51)の数量を一層削減することができ、また、電流計(51)の付属部品の点数も削減できる。一方で、この換気制御装置(10)では、電流計(51)が対応しない調理機器(a,b,c)の最低必要排気量QA0 を充足させるようにしている。このため、厨房空間の快適性を確実に確保することができる。
なお、上記実施形態5と同様、この電流計(51)に代えて電力計を用いるようにしてもよいし、実施形態6の換気制御装置(10)を他の実施形態の厨房空間に適用することもできる。
<実施形態6の変形例>
上記実施形態6では、電流計(51)で検出された合計電流値Iの増減に応じて排気風量を段階的に増減させるようにしている。しかしながら、例えば図13に示すように、合計電流値Iの増減に伴って排気風量をリニアに増減させることもできる。この場合には、例えば合計電流値Iが0である場合に排気ファン(20)の排気風量を最低必要排気量QA0とし、合計電流値Iが増加する場合にはこの最低必要排気量QA0をベースとして排気風量を増大させていけばよい。
《発明の実施形態7》
実施形態7に係る換気制御装置(10)は、図14に示すように、厨房空間に配置された全ての調理機器(a,b,c)の通電量の合計値を通電量検知手段である電流計(51)が検出するようにしたものである。具体的に、電流計(51)は、各調理機器(a,b,c)の各電源ケーブルが並列に接続されて合流する主電源ケーブルに接続されている。また、制御部(40)は、上記実施形態6と同様、算出部(41)、風量設定部(42)、風量変更部(43)、変換部(44)、及び電流設定部(45)が設けられている。
電流計(51)で検出された合計電流値Iは、実施形態6と同様、入力部(44a)を介して算出部(41)に伝送される。つまり、算出部(41)には、調理機器(a)の電流値I1と、調理機器(b)の電流値I2と、調理機器(c)の電流値I3との合計電流値Iが受信される。そして、算出部(41)は、合計電流値Iの増減に伴って排気風量を決定する。
この算出部(41)による排気風量の決定方法としては、上記実施形態6のように合計電流値Iの増減に伴い排気風量を段階的に増減させる方法であってもよいし、実施形態6の変形例のように、合計電流値Iの増減に伴い排気風量をリニアに増減させる方法であってもよい。
上記実施形態7では、全ての調理機器(a,b,c)の稼働状況を一つの電流計(51)で検出し、各調理機器(a,b,c)の稼働状況に応じて排気風量を変更することができる。したがって、電流計(51)の数量の削減を図りながら、厨房空間の換気負荷に応じた換気制御を効果的に行うことができる。
《発明の実施形態8》
実施形態8に係る換気制御装置(10)は、ガスコンロから成る調理機器が配置された厨房空間に適用されるものである。ここでは、上記実施形態2と同様、2つのフード(11,12)と複数の調理機器(a,b,c,d,e,f)が配置された厨房空間において、実施形態8の換気制御装置(10)を適用した例について図15を基に説明する。
換気制御装置(10)は、実施形態2と同様のダクト(15)及び排気ファン(20)と、実施形態2と類似の制御部(40)を備えている。また、換気制御装置(10)の検知手段は、実施形態1ないし4の温度センサと異なり、第1と第2のガスセンサ(61,62)で構成されている。第1ガスセンサ(61)は、調理機器(e)に設置されており、調理機器(e)のガス使用量を連続的に検出する。一方、第2ガスセンサ(62)は、調理機器(f)に設置されており、調理機器(f)のガス使用量を連続的に検出する。つまり、各ガスセンサ(61,62)は、対応する調理機器(d,e)のガス使用量を検知することで、各調理機器(e,f)の稼働状況を検知するガス検知手段を構成している。そして、第1ガスセンサ(61)は制御部(40)の第1入力部(44a)に、第2ガスセンサ(62)は制御部(40)の第2入力部(44b)にケーブル配線を介してそれぞれ接続されている。
また、制御部(40)には、実施形態2の温度設定部(45)に代わってガス量設定部(45)が設けられている。このガス量設定部(45)は、ガスセンサ(61,62)に対応する調理機器(e,f)が稼働しているか否かを判別するための基準ガス使用量を設定するものである。具体的に、ガス量設定部(45)には、第1ガスセンサ(61)に対応する調理機器(e)の稼働時のガス使用量となる第1稼働ガス使用量と、第2ガスセンサ(62)に対応する調理機器(f)の稼働時のガス使用量となる第2稼働ガス使用量とが設定される。
また、制御部(40)には、実施形態2と同様、算出部(41)、風量設定部(42)、風量変更部(43)、及び変換部(44)が設けられている。上記風量設定部(42)には、ガスセンサ(61,62)が対応していない調理機器(a,b,c,d)について、第1フード(11)に対応する調理機器(a,b,c)の第1最低必要排気量QA0と、第2フード(12)に対応する調理機器(d)の第2最低必要排気量QB0とが設定される。
実施形態8の換気制御装置(10)の運転動作は、実施形態2とほぼ同様であるためその詳細の説明は省略する。算出部(41)は、図15(C)に示すように、最低必要排気量QA0と第2最低必要排気量QB0とを確保しながら、さらに排気風量に加算排気量を加算する。つまり算出部(41)は、調理機器(e)のガス使用量が第1稼働ガス使用量以上となった場合には、排気風量に第1加算風量Q1を加算し、調理機器(f)のガス使用量が第2稼働ガス使用量以上となった場合には、排気風量に第2加算風量Q2を加算する。そして、風量変更部(43)は、両者の排気風量の大小比較を行い、このうち大きい方の排気風量を排気ファン(20)の排気風量Qとする。
上記実施形態8では、調理機器(e,f)の稼働状況を検知する検知手段としてガスメータ(61,62)を用いるようにしている。そして、ガスメータ(61,62)の対応しない調理機器(a,b,c,d)の必要最小限の排気を確保しながら、ガスメータ(61,62)の対応する調理機器(e,f)の稼働状況を加味した換気制御を行えるようにしている。したがって、ガスコンロやガスレンジなどのガス調理機器が配置される厨房空間において、この厨房空間の快適性を保ちながら、ガスメータ(61,62)の数量を削減することができる。なお、実施形態8の換気制御を他の実施形態の厨房空間に適用してもよい。
《その他の実施形態》
上記実施形態1ないし4では、検知手段として温度センサ(31,32)を用いるようにしている。この温度センサ(31,32)として、例えばガスコンロなどの調理機器に設けられる立ち消え安全装置や過熱防止装置などに既設される温度センサを利用することもできる。また、この温度センサ(31,32)として、例えば温度情報に基づいて運転が行われる電磁調理機器などに既設される温度センサを利用することもできる。
また、上記実施形態では、検知手段として温度センサ(31,32)、電流計又は電力計(51,52)、あるいはガスメータ(61,62)などを用いるようにしている。しかしながら、上記検知手段はこれに限られるものではなく、調理機器の稼働状況を直接、あるいは間接的に検知できるものであれば如何なるものであってもよい。
さらに、上述した検知手段は、2個に限られるものではなく、厨房空間に配置される調理機器より少ない数量であれば、如何なる数量であってもよい。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。