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JP2006137106A - 溶剤含有物除去用粘着シート - Google Patents

溶剤含有物除去用粘着シート Download PDF

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JP2006137106A
JP2006137106A JP2004329288A JP2004329288A JP2006137106A JP 2006137106 A JP2006137106 A JP 2006137106A JP 2004329288 A JP2004329288 A JP 2004329288A JP 2004329288 A JP2004329288 A JP 2004329288A JP 2006137106 A JP2006137106 A JP 2006137106A
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Masanobu Yoneda
正信 米田
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Nitto Denko Corp
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Abstract

【課題】 スクリーン印刷版の裏側に裏回りした溶剤含有物を、静電気の発生及び清浄対象物への汚染を防止しつつ、効率的に除去できる溶剤含有物除去用シートを提供する。
【解決手段】 溶剤含有物除去用粘着シートは、基材と、該基材の少なくとも片方の面に、イオン性液体を含有する粘着剤組成物により形成された粘着剤層とを有する溶剤含有物除去用粘着シートであって、イオン性液体が、窒素原子含有オニウム塩系化合物、硫黄原子含有オニウム塩系化合物およびリン原子含有オニウム塩系化合物から選択された少なくとも1種のオニウム塩系化合物を含有し、且つオニウム塩系化合物が、下記式(1)〜(4)で表されるカチオン成分を含有していることを特徴とする。
Figure 2006137106

イオン性液体の具体例としては、ジアリルジメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドなどがあげられる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、例えば、スクリーン印刷の際にスクリーン印刷版の裏側に裏回りしたペースト(インキ)や、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷などの印刷機のロール類に付着したインキ、その他、インクジェットプリンターのインキ、ペンキなど、溶剤含有物を除去するための清浄用粘着シートとしての溶剤含有物除去用粘着シートに関する。
溶剤含有物、例えば、ペースト、インキ等の溶剤を含有して湿った状態にある半固形物は、印刷、塗料、接着剤等の分野で広く使用されている。しかし、このような溶剤含有物が、所定の部位に過剰に存在したり、不要な部位に存在する場合には、機械や機器類、手などを汚染したり、製品の品質を損なうなど種々の不具合が発生しやすい。例えば、スクリーン印刷においては、一定の印刷回数を経ると、スクリーン印刷版にペースト(インキ)が裏回りして被印刷物を汚染したり、印刷画像に滲みが生じて、正確で美麗な印刷ができない状態となる。
従来、このようなスクリーン印刷時の滲み等を防止するために、版の裏側に裏回りしたペーストを粘着シートを用いて除去する方法が知られている。例えば、スクリーン印刷版の乳化剤などを脱離させることなく、スクリーン印刷版の裏側に裏回りしたペーストを確実に付着させて除去できるクリーニング効果の高いスクリーン印刷版清浄用粘着シートが提案されている(特許文献1参照)。
特許第3281323号公報
しかしながら、このように、スクリーン印刷版清浄用粘着シートなどの溶剤含有物除去用粘着シートを用いて、ペースト等の溶剤含有物を除去する際、静電気の発生が問題になっていた。静電気が発生すると、パスラインで粘着シート同士が接近した時に、静電気の影響で粘着シート同士が引き寄せられたり、逆に反発し合うという不具合が生じることがある。また、静電気の影響で回りのゴミや埃が粘着シートに付着し、ペースト(インキ)の除去性に問題が生じることもあった。さらに、作業者が作業中粘着シートに触れた際に、静電気のショックにより不快感を感じることもあった。
このような問題の解決策としてスクリーン印刷機のクリーニングユニット中に静電気除去装置を設置することが行われているが、あらゆる部位での静電気発生を抑えようとすると、いくつもの静電気除去装置を設置することになり、コスト的なデメリットが大きいという問題があった。また、粘着剤に低分子の界面活性剤を添加することにより、帯電防止を行う方法も挙げられるが、低分子の界面活性剤は、粘着剤層表面にブリードしやすいため、スクリーン版への汚染が懸念される。さらに、スクリーン印刷版清浄用粘着シートなどの溶剤含有物除去用粘着シートとして、帯電防止処理が施されている溶剤含有物除去用シートを用いることにより、静電気の発生を抑制又は防止しつつ、ペースト等の溶剤含有物を除去する方法が提案されているが、帯電防止処理工程(例えば帯電防止剤の塗布工程や乾燥工程など)が増え、設備の追加、および生産性の低下などの問題が生じる。
従って、本発明の目的は、スクリーン印刷版の裏側に裏回りしたペースト等の溶剤含有物を、静電気の発生をより一層抑制又は防止しつつ、且つスクリーン印刷版等の清浄対象物への汚染を抑制又は防止しつつ、効率的に除去することができる溶剤含有物除去用シートを提供することにある。
本発明者は前記目的を達成するために鋭意検討した結果、溶剤含有物除去用粘着シートにおける粘着剤層を、特定のイオン性液体を含有する粘着剤組成物により形成すると、溶剤含有物除去用粘着シートは、優れたクリーニング性能を保持しつつ、静電気の発生を効果的に抑制又は防止することができることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明は、基材と、該基材の少なくとも片方の面に、イオン性液体を含有する粘着剤組成物により形成された粘着剤層とを有する溶剤含有物除去用粘着シートであって、イオン性液体が、窒素原子含有オニウム塩系化合物、硫黄原子含有オニウム塩系化合物およびリン原子含有オニウム塩系化合物から選択された少なくとも1種のオニウム塩系化合物を含有し、且つオニウム塩系化合物が、下記式(1)〜(4)で表されるカチオン成分を含有していることを特徴とする溶剤含有物除去用粘着シートを提供する。
Figure 2006137106
[式(1)において、R1は炭素数が4〜20の2価の炭化水素基を表す。但し、R1の一方の末端の炭素原子は、窒素原子と二重結合により結合していてもよい。また、R2、R3は、同一又は異なって、水素原子、または炭素数が1〜16の炭化水素基を表す。但し、R2およびR3の炭化水素基は、ヘテロ原子を含んでいてもよい。なお、窒素原子が、R1の一方の末端の炭素原子又はR2と、2重結合により結合している場合、R3は存在しない。
式(2)において、R4は炭素数が2〜20の2価の炭化水素基を表す。但し、R4の一方の末端の炭素原子は、非カチオン性の窒素原子と二重結合により結合していてもよい。R5、R6、R7は、同一又は異なって、水素原子、または炭素数が1〜16の炭化水素基を表す。但し、R5、R6およびR7の炭化水素基は、ヘテロ原子を含んでいてもよい。なお、非カチオン性の窒素原子が、R4の末端の炭素原子と、2重結合により結合している場合、R7は存在しない。
式(3)において、R8は炭素数が2〜20の2価の炭化水素基を表す。但し、R8の一方の末端の炭素原子は、非カチオン性の窒素原子と二重結合により結合していてもよい。R9、R10、R11は、同一又は異なって、水素原子、または炭素数が1〜16の炭化水素基を表す。但し、R9、R10およびR11の炭化水素基は、ヘテロ原子を含んでいてもよい。なお、非カチオン性の窒素原子が、R8の末端の炭素原子と、2重結合により結合している場合、R11は存在しない。
式(4)において、Xは、窒素原子、硫黄原子、またはリン原子を表す。R12、R13、R14、R15は、同一又は異なって、水素原子、または炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。但し、R12、R13、R14およびR15の炭化水素基は、ヘテロ原子を含んでいてもよい。なお、Xが硫黄原子の場合、R15は存在しない。]
前記オニウム塩系化合物としては、フッ素原子を含むアニオン成分を含有していることが好ましい。前記イオン性液体の割合は、粘着剤組成物を構成するベースポリマー100重量部に対して0.01〜40重量部であってもよい。
本発明の溶剤含有物除去用粘着シートは、スクリーン印刷版の清浄用の粘着シートとして好適に用いることができる。
本発明は、また、清浄対象物に付着した溶剤含有物を、溶剤含有物除去用粘着シートにより除去する方法であって、溶剤含有物除去用粘着シートとして、前記溶剤含有物除去用粘着シートが用いられていることを特徴とする溶剤含有物の除去方法を提供する。
本発明の溶剤含有物除去用粘着シートによれば、前記構成を有しているため、スクリーン印刷版の裏側に裏回りしたペースト等の溶剤含有物を、静電気の発生をより一層抑制又は防止しつつ、且つスクリーン印刷版等の清浄対象物への汚染を抑制又は防止しつつ、効率的に除去することができる。そのため、静電気による不具合の発生がなくなり、歩留まりや設備の稼働率を向上させることが可能となる。
[粘着剤層]
本発明の溶剤含有物除去用粘着シートにおいて、粘着剤層は、下記のオニウム塩系化合物を含有するイオン性液体を含有している粘着剤組成物により形成されている。
オニウム塩系化合物:窒素原子含有オニウム塩系化合物、硫黄原子含有オニウム塩系化合物およびリン原子含有オニウム塩系化合物から選択された少なくとも1種であり、且つ下記式(1)〜(4)で表されるカチオン成分を含有するオニウム塩系化合物
Figure 2006137106
[式(1)において、R1は炭素数が4〜20の2価の炭化水素基を表す。但し、R1の一方の末端の炭素原子は、窒素原子と二重結合により結合していてもよい。また、R2、R3は、同一又は異なって、水素原子、または炭素数が1〜16の炭化水素基を表す。但し、R2およびR3の炭化水素基は、ヘテロ原子を含んでいてもよい。なお、窒素原子が、R1の一方の末端の炭素原子又はR2と、2重結合により結合している場合、R3は存在しない。
式(2)において、R4は炭素数が2〜20の2価の炭化水素基を表す。但し、R4の一方の末端の炭素原子は、非カチオン性の窒素原子と二重結合により結合していてもよい。R5、R6、R7は、同一又は異なって、水素原子、または炭素数が1〜16の炭化水素基を表す。但し、R5、R6およびR7の炭化水素基は、ヘテロ原子を含んでいてもよい。なお、非カチオン性の窒素原子が、R4の末端の炭素原子と、2重結合により結合している場合、R7は存在しない。
式(3)において、R8は炭素数が2〜20の2価の炭化水素基を表す。但し、R8の一方の末端の炭素原子は、非カチオン性の窒素原子と二重結合により結合していてもよい。R9、R10、R11は、同一又は異なって、水素原子、または炭素数が1〜16の炭化水素基を表す。但し、R9、R10およびR11の炭化水素基は、ヘテロ原子を含んでいてもよい。なお、非カチオン性の窒素原子が、R8の末端の炭素原子と、2重結合により結合している場合、R11は存在しない。
式(4)において、Xは、窒素原子、硫黄原子、またはリン原子を表す。R12、R13、R14、R15は、同一又は異なって、水素原子、または炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。但し、R12、R13、R14およびR15の炭化水素基は、ヘテロ原子を含んでいてもよい。なお、Xが硫黄原子の場合、R15は存在しない。]
本発明では、前記オニウム塩系化合物を含有するイオン性液体(「オニウム塩系イオン性液体」と称する場合がある)は、帯電防止機能を発揮する成分として用いており、このオニウム塩系イオン性液体は、粘着剤層中において粘着剤層表面へのブリードが抑制又は防止されており、経時や高温下においても、被着体である清浄対象物への汚染を抑制又は防止することができる。また、オニウム塩系イオン性液体は、室温(例えば、23℃)において、液状であるため、粘着剤への添加も容易に行うことができる。さらに、オニウム塩系イオン性液体は、蒸気圧がないため(すなわち、不揮発性であるため)、経時で消失することがなく、帯電防止特性を継続して発揮し続けることができる。
(オニウム塩系イオン性液体)
オニウム塩系イオン性液体は、窒素原子含有オニウム塩系化合物(含窒素オニウム塩系化合物)、硫黄原子含有オニウム塩系化合物(含硫黄オニウム塩系化合物)およびリン原子含有オニウム塩系化合物(含リンオニウム塩系化合物)から選択された少なくとも1種のオニウム塩系化合物を含有しているとともに、前記オニウム塩系化合物は、前記式(1)〜(4)で表されるカチオン成分を含有している。
(カチオン成分)
前記式(1)において、R1は炭素数が4〜20の2価の炭化水素基であり、該炭化水素基としては、2価の脂肪族系炭化水素基が好適である。2価の脂肪族系炭化水素基としては、飽和、不飽和のいずれであってもよい。具体的には、2価の脂肪族系炭化水素基において、2価の飽和脂肪族系炭化水素基としては、例えば、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基等の炭素数が4〜20のアルキレン基が挙げられる。また、2価の不飽和脂肪族系炭化水素基としては、例えば、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、1−ペンテニレン基、2−ペンテニレン基、1−ヘキセニレン基、2−ヘキセニレン基、3−ヘキセニレン基、1−ヘプテニレン基、2−ヘプテニレン基、3−ヘプテニレン基等の炭素数が4〜20のアルケニレン基;1,3−ブタジエニレン基、1,3−ペンタジエニレン基、1,4−ペンタジエニレン基、1,3−ヘキサジエニレン基、1,4−ヘキサジエニレン基、1,5−ヘキサジエニレン基、1,3−ヘプタジエニレン基、1,4−ヘプタジエニレン基、1,5−ヘプタジエニレン基、1,6−ヘプタジエニレン基等の炭素数が4〜20のアルカジエニレン基の他、二重結合を3個以上有している2価の不飽和脂肪族系炭化水素基などが挙げられる。
1の2価の炭化水素基の炭素数としては、4〜20であれば特に制限されないが、4〜10であることが好ましく、なかでも4〜7(特に4又は5)が好適である。
なお、R1の2価の炭化水素基は、置換基を1個又は2個以上有していてもよい。置換基としては、例えば、脂肪族系炭化水素基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基など)や、脂環式系炭化水素基、芳香族系炭化水素基等の各種炭化水素基などが挙げられる。このような置換基としての炭化水素基は、分子中に(分子の主鎖又は側鎖中に)、ヘテロ原子(例えば、酸素原子、硫黄原子、窒素原子など)を含んでいてもよい。なお、置換基は、2個以上である場合、1種のみにより構成されていてもよく、2種以上が組み合わせられて構成されていてもよい。また、R1の2価の炭化水素基における異なる炭素原子に結合している置換基どうしは、互いに結合して環を形成していてもよい。このような環は、脂環式環、芳香族環、複素環等のいずれの形態の環であってもよく、また、環を構成する元素の数は特に制限されない。
このようなR1の一方の末端の炭素原子は、窒素原子と単結合により結合していてもよく、二重結合により結合していてもよい。
従って、前記式(1)で表されるカチオン成分は、構成元素として窒素原子を1個含有している複素環骨格(例えば、ピリジン骨格、ピペリジン骨格、ピロリジン骨格、ピロリン骨格、ピロール骨格の他、インドール骨格、イソインドール骨格、3H−インドール骨格、キノリン骨格、イソキノリン骨格、カルバゾール骨格、4aH−カルバゾール骨格、β−カルボリン骨格、フェナントリジン骨格、アクリジン骨格、フェナントロリン骨格など)を有している。
また、R2、R3は、水素原子、または炭素数が1〜16の炭化水素基であり、該炭化水素基としては、脂肪族系炭化水素基(飽和又は不飽和の脂肪族系炭化水素基)、脂環式系炭化水素基、芳香族系炭化水素基のいずれであってもよいが、脂肪族系炭化水素基や芳香族系炭化水素基が好適である。具体的には、R2、R3に係る脂肪族系炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基等の炭素数が1〜16のアルキル基が挙げられる。また、R2、R3に係る芳香族系炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
なお、R2およびR3の炭化水素基は、分子中に(分子の主鎖又は側鎖中に)、ヘテロ原子(例えば、酸素原子、硫黄原子、窒素原子など)を含んでいてもよい。
2、R3は、同一であってもよく、異なっていてもよい。なお、窒素原子が、R1の一方の末端の炭素原子又はR2と、2重結合により結合している場合、R3は存在しない。
前記式(2)において、R4は炭素数が2〜20の2価の炭化水素基であり、該炭化水素基としては、前記式(1)におけるR1と同様に、2価の脂肪族系炭化水素基が好適である。2価の脂肪族系炭化水素基としては、飽和、不飽和のいずれであってもよい。具体的には、2価の脂肪族系炭化水素基において、2価の飽和脂肪族系炭化水素基としては、例えば、エチレン基、トリメチレン基の他、前記式(1)のR1における2価の飽和脂肪族系炭化水素基として例示のアルキレン基(例えば、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基等)などの炭素数が2〜20のアルキレン基が挙げられる。また、2価の不飽和脂肪族系炭化水素基としては、例えば、エテニレン基、1−プロペニレン基、2−プロペニレン基の他、前記式(1)のR1における2価の不飽和脂肪族系炭化水素基として例示のアルケニレン基(例えば、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、1−ペンテニレン基、2−ペンテニレン基、1−ヘキセニレン基、2−ヘキセニレン基、3−ヘキセニレン基、1−ヘプテニレン基、2−ヘプテニレン基、3−ヘプテニレン基等)などの炭素数が2〜20のアルケニレン基;前記式(1)のR1における2価の不飽和脂肪族系炭化水素基として例示のアルカジエニレン基(例えば、1,3−ブタジエニレン基、1,3−ペンタジエニレン基、1,4−ペンタジエニレン基、1,3−ヘキサジエニレン基、1,4−ヘキサジエニレン基、1,5−ヘキサジエニレン基、1,3−ヘプタジエニレン基、1,4−ヘプタジエニレン基、1,5−ヘプタジエニレン基、1,6−ヘプタジエニレン基等の炭素数が4〜20のアルカジエニレン基)の他、二重結合を3個以上有している2価の不飽和脂肪族系炭化水素基などが挙げられる。
4の2価の炭化水素基の炭素数としては、2〜20であれば特に制限されないが、2〜8であることが好ましく、なかでも2〜5(特に2又は3)が好適である。
なお、R4の2価の炭化水素基は、置換基を1個又は2個以上有していてもよい。R4に係る2価の炭化水素基における置換基としては、前記R1に係る2価の炭化水素基における置換基と同様である。
このようなR4の一方の末端の炭素原子は、非カチオン性の窒素原子[式(2)において、R7が結合している窒素原子]と単結合により結合していてもよく、二重結合により結合していてもよい。
従って、前記式(2)で表されるカチオン成分は、構成元素として窒素原子を2個、所定の配置及び結合形態で含有している複素環骨格(例えば、イミダゾール骨格、イミダゾリン骨格、ピリミジン骨格、テトラヒドロピリミジン骨格、ジヒドロピリミジン骨格、プリン骨格、キナゾリン骨格、プテリジン骨格、ペリミジン骨格など)を有している。
また、R5、R6、R7は、水素原子、または炭素数が1〜16の炭化水素基であり、該炭化水素基としては、前記式(1)におけるR2、R3と同様に、脂肪族系炭化水素基(飽和又は不飽和の脂肪族系炭化水素基)、脂環式系炭化水素基、芳香族系炭化水素基のいずれであってもよいが、脂肪族系炭化水素基や芳香族系炭化水素基が好適である。具体的には、R5、R6、R7に係る脂肪族系炭化水素基としては、前記式(1)のR2、R3に係る脂肪族系炭化水素基として例示のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基等)などの炭素数が1〜16のアルキル基が挙げられる。また、R5、R6、R7に係る芳香族系炭化水素基としては、前記式(1)のR2、R3に係る芳香族系炭化水素基と同様に、フェニル基やナフチル基などが挙げられる。
なお、R5、R6、R7の炭化水素基は、分子中に(分子の主鎖又は側鎖中に)、ヘテロ原子(例えば、酸素原子、硫黄原子、窒素原子など)を含んでいてもよい。
5、R6、R7は、それぞれの間で、同一であってもよく、異なっていてもよい。なお、非カチオン性の窒素原子が、R4の末端の炭素原子と、2重結合により結合している場合、R7は存在しない。
前記式(3)において、R8は炭素数が2〜20の2価の炭化水素基であり、該炭化水素基としては、前記式(1)におけるR1や、前記式(2)におけるR4と同様に、2価の脂肪族系炭化水素基が好適である。2価の脂肪族系炭化水素基としては、飽和、不飽和のいずれであってもよい。具体的には、2価の脂肪族系炭化水素基において、2価の飽和脂肪族系炭化水素基としては、前記式(1)のR1や、前記式(2)のR4における2価の飽和脂肪族系炭化水素基として例示のアルキレン基(例えば、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基等)などの炭素数が2〜20のアルキレン基が挙げられる。また、2価の不飽和脂肪族系炭化水素基としては、前記式(1)のR1や、前記式(2)のR4における2価の不飽和脂肪族系炭化水素基として例示のアルケニレン基(例えば、エテニレン基、1−プロペニレン基、2−プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、1−ペンテニレン基、2−ペンテニレン基、1−ヘキセニレン基、2−ヘキセニレン基、3−ヘキセニレン基、1−ヘプテニレン基、2−ヘプテニレン基、3−ヘプテニレン基等)などの炭素数が2〜20のアルケニレン基;前記式(1)のR1や、前記式(2)のR4における2価の不飽和脂肪族系炭化水素基として例示のアルカジエニレン基(例えば、1,3−ブタジエニレン基、1,3−ペンタジエニレン基、1,4−ペンタジエニレン基、1,3−ヘキサジエニレン基、1,4−ヘキサジエニレン基、1,5−ヘキサジエニレン基、1,3−ヘプタジエニレン基、1,4−ヘプタジエニレン基、1,5−ヘプタジエニレン基、1,6−ヘプタジエニレン基等の炭素数が4〜20のアルカジエニレン基)の他、二重結合を3個以上有している2価の不飽和脂肪族系炭化水素基などが挙げられる。
8の2価の炭化水素基の炭素数としては、2〜20であれば特に制限されないが、2〜8であることが好ましく、なかでも2〜5(特に2又は3)が好適である。
なお、R8の2価の炭化水素基は、置換基を1個又は2個以上有していてもよい。R8に係る2価の炭化水素基における置換基としては、前記R1に係る2価の炭化水素基における置換基と同様である。
このようなR8の一方の末端の炭素原子は、非カチオン性の窒素原子[式(3)において、R11が結合している窒素原子]と単結合により結合していてもよく、二重結合により結合していてもよい。
従って、前記式(3)で表されるカチオン成分は、構成元素として窒素原子を2個、所定の配置及び結合形態で含有している複素環骨格(例えば、ピラゾール骨格、ピラゾリン骨格、1H−インダゾール骨格、フタラジン骨格など)を有している。
また、R9、R10、R11は、水素原子、または炭素数が1〜16の炭化水素基であり、該炭化水素基としては、前記式(1)におけるR2、R3や、前記式(2)におけるR5、R6、R7と同様に、脂肪族系炭化水素基(飽和又は不飽和の脂肪族系炭化水素基)、脂環式系炭化水素基、芳香族系炭化水素基のいずれであってもよいが、脂肪族系炭化水素基や芳香族系炭化水素基が好適である。具体的には、R9、R10、R11に係る脂肪族系炭化水素基としては、前記式(1)のR2、R3や、前記式(2)のR5、R6、R7に係る脂肪族系炭化水素基として例示のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基等)などの炭素数が1〜16のアルキル基が挙げられる。また、R9、R10、R11に係る芳香族系炭化水素基としては、前記式(1)のR2、R3や、前記式(2)のR5、R6、R7に係る芳香族系炭化水素基と同様に、フェニル基やナフチル基などが挙げられる。
なお、R9、R10、R11の炭化水素基は、分子中に(分子の主鎖又は側鎖中に)、ヘテロ原子(例えば、酸素原子、硫黄原子、窒素原子など)を含んでいてもよい。
9、R10、R11は、それぞれの間で、同一であってもよく、異なっていてもよい。なお、非カチオン性の窒素原子が、R8の末端の炭素原子と、2重結合により結合している場合、R11は存在しない。
前記式(4)において、R12、R13、R14、R15は、水素原子、または炭素数が1〜20の炭化水素基であり、脂肪族系炭化水素基、脂環式系炭化水素基、芳香族系炭化水素基のいずれであってもよいが、脂肪族系炭化水素基や芳香族系炭化水素基が好適である。脂肪族系炭化水素基としては、飽和、不飽和のいずれの脂肪族系炭化水素基であってもよい。具体的には、R12、R13、R14、R15に係る脂肪族系炭化水素基としては、前記式(1)のR2、R3、前記式(2)のR5、R6、R7や、前記式(3)のR9、R10、R11に係る脂肪族系炭化水素基として例示のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基等)の他、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基などの炭素数が1〜20のアルキル基;ビニル基(エテニル基)、1−プロペニル基、アリル基(2−プロペニル基)、イソプロペニル基(1−メチルビニル基)、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、1−メチルアリル基、2−メチルアリル基等の炭素数が2〜20のアルケニル基などが挙げられる。R12、R13、R14、R15に係る芳香族系炭化水素基としては、前記式(1)のR2、R3、前記式(2)のR5、R6、R7や、前記式(3)のR9、R10、R11に係る芳香族系炭化水素基と同様に、フェニル基やナフチル基などが挙げられる。
12、R13、R14、R15の炭化水素基は、分子中に(分子の主鎖又は側鎖中に)、ヘテロ原子(例えば、酸素原子、硫黄原子、窒素原子など)原子を含んでいてもよい。
12、R13、R14、R15は、それぞれの間で、同一であってもよく、異なっていてもよい。R12〜R15は、少なくともいずれか1個の基が他の基と異なっている場合、いわゆる「非対称の」カチオン成分(例えば、非対称のテトラアルキルアンモニウム系カチオン成分、非対称のトリアルキルスルホニウム系カチオン成分、非対称のテトラアルキルホスホニウム系カチオン成分など)と称され、一方、すべての基が同一の基(水素原子又は同一の炭化水素基)である場合、いわゆる「対象の」カチオン成分と称される。
なお、Xは、窒素原子やリン原子の場合、4価となり、一方、硫黄原子の場合、3価となる。そのため、Xが硫黄原子の場合、R15は存在しない。
オニウム塩系化合物におけるカチオン成分としては、前記式(1)〜(4)で表されるカチオン成分を少なくとも含有していれば特に制限されない。このようなカチオン成分としては、具体的には、以下に示されるカチオン成分等を例示することができる。
前記式(1)で表されるカチオン成分としては、例えば、1−エチルピリジニウムカチオン、1−ブチルピリジニウムカチオン、1−ヘキシルピリジニウムカチオン、1−ブチル−3−メチルピリジニウムカチオン、1−ブチル−4−メチルピリジニウムカチオン、1−ヘキシル−3−メチルピリジニウムカチオン、1−ブチル−3,4−ジメチルピリジニウムカチオン、1,1−ジメチルピロリジニウムカチオン、1−エチル−1−メチルピロリジニウムカチオン、1−メチル−1−プロピルピロリジニウムカチオン、2−メチル−1−ピロリンカチオン、1−エチル−2−フェニルインドールカチオン、1,2−ジメチルインドールカチオン、1−エチルカルバゾールカチオンなどが挙げられる
前記式(2)で表されるカチオン成分としては、例えば、1,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1,3−ジエチルイミダゾリウムカチオン、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−デシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−ドデシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−テトラデシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムカチオン、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1−ヘキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1,3−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3−トリメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3,4−テトラメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3,5−テトラメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウムカチオン、1,3−ジメチル−1,4−ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,3−ジメチル−1,6−ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3−トリメチル−1,4−ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3−トリメチル−1,6−ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3,4−テトラメチル−1,4−ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3,4−テトラメチル−1,6−ジヒドロピリミジニウムカチオンなどが挙げられる。
前記式(3)で表されるカチオン成分としては、例えば、1−メチルピラゾリウムカチオン、3−メチルピラゾリウムカチオン、1−エチル−2−メチルピラゾリウムカチオンなどが挙げられる。
前記式(4)で表されるカチオン成分としては、例えば、テトラメチルアンモニウムカチオン、テトラエチルアンモニウムカチオン、テトラn−ブチルアンモニウムカチオン、テトラヘキシルアンモニウムカチオン、トリエチルメチルアンモニウムカチオン、トリn−ブチルエチルアンモニウムカチオン、トリメチルデシルアンモニウムカチオン、トリメチルスルホニウムカチオン、トリエチルスルホニウムカチオン、トリn−ブチルスルホニウムカチオン、トリヘキシルスルホニウムカチオン、ジエチルメチルスルホニウムカチオン、ジn−ブチルエチルスルホニウムカチオン、ジメチルデシルスルホニウムカチオン、テトラメチルホスホニウムカチオン、テトラエチルホスホニウムカチオン、テトラn−ブチルホスホニウムカチオン、テトラヘキシルホスホニウムカチオン、トリエチルメチルホスホニウムカチオン、トリn−ブチルエチルホスホニウムカチオン、トリメチルデシルホスホニウムカチオン、ジアリルジメチルアンモニウムカチオンなどが挙げられる。前記式(4)で表されるカチオン成分としては、トリエチルメチルアンモニウムカチオン、トリn−ブチルエチルアンモニウムカチオン、トリメチルデシルアンモニウムカチオン等のいわゆる「非対称の」テトラアルキルアンモニウム系カチオン成分;ジエチルメチルスルホニウムカチオン、ジn−ブチルエチルスルホニウムカチオン、ジメチルデシルスルホニウムカチオン等のいわゆる「非対称の」トリアルキルスルホニウム系カチオン成分;トリエチルメチルホスホニウムカチオン、トリn−ブチルエチルホスホニウムカチオン、トリメチルデシルホスホニウムカチオン等のいわゆる「非対称の」テトラアルキルホスホニウム系カチオン成分を好適に用いることができる。
(アニオン成分)
オニウム塩系化合物は、前記式(1)〜(4)で表されるカチオン成分に配位した対イオンであるアニオン成分を含有している。オニウム塩系化合物におけるアニオン成分としては、前記式(1)〜(4)で表されるカチオン成分に対して対イオンになることが可能なアニオン成分であれば特に制限されない。具体的には、アニオン成分としては、例えば、ハロゲン原子イオン[塩素イオン(Cl-)、臭素イオン(Br-)、ヨウ素イオン(I-)、フッ素イオン(F-)など]、AlCl4 -、Al2Cl7 -、BF4 -、PF6 -、ClO4 -、NO3 -、CH3COO-、CF3COO-、CH3SO3 -、CF3SO3 -、(CF3SO22-、(CF3SO23-、AsF6 -、SbF6 -、NbF6 -、TaF6 -、F(HF)n -、(CN)2-、C49SO3 -、(C25SO22-、C37COO-などが挙げられる
アニオン成分としては、特に、フッ素原子を含むアニオン成分(フッ素系アニオン成分)を好適に用いることができる。アニオン成分としてフッ素系アニオン成分を用いると、イオン性液体として、低融点のイオン性液体を得ることができる。
(オニウム塩系化合物)
オニウム塩系化合物としては、前記式(1)〜(4)で表されるカチオン成分と、該カチオン成分に対して配位可能なアニオン成分とを少なくとも含有している。すなわち、オニウム塩系化合物は、前記式(1)〜(4)で表されるカチオン成分に、該カチオン成分に対して配位可能なアニオン成分が配位した形態の化合物である。オニウム塩系化合物としては、例えば、前記例示のカチオン成分、および前記例示のアニオン成分から、それぞれ、適宜選択して、両者(カチオン成分およびアニオン成分)を組み合わせたものを用いることができる。
なお、オニウム塩系化合物において、窒素原子含有オニウム塩系化合物(含窒素オニウム塩系化合物)とは、通常、カチオン成分として窒素原子を含有するカチオン成分[すなわち、前記式(1)〜(3)で表されるカチオン成分や、前記式(4)で表され且つXが窒素原子であるカチオン成分]が用いられている含窒素オニウム塩系化合物のことを意味している。また、硫黄原子含有オニウム塩系化合物(含硫黄オニウム塩系化合物)とは、通常、カチオン成分として硫黄原子を含有するカチオン成分[すなわち、前記式(4)で表され且つXが硫黄原子であるカチオン成分]が用いられている含硫黄オニウム塩系化合物のことを意味している。さらにまた、リン原子含有オニウム塩系化合物(含リンオニウム塩系化合物)とは、通常、カチオン成分としてリン原子を含有するカチオン成分[すなわち、前記式(4)で表され且つXがリン原子であるカチオン成分]が用いられている含リンオニウム塩系化合物のことを意味している。
具体的には、含窒素オニウム塩系化合物としては、例えば、カチオン成分が前記式(1)で表されるカチオン成分である場合、1−ブチルピリジニウムテトラフルオロボレート、1−ブチルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1−ブチル−3−メチルピリジニウムテトラフルオロボレート、1−ブチル−3−メチルピリジニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−ブチル−3−メチルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチル−3−メチルピリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−ヘキシルピリジニウムテトラフルオロボレート、2−メチル−1−ピロリンテトラフルオロボレート、1−エチル−2−フェニルインドールテトラフルオロボレート、1,2−ジメチルインドールテトラフルオロボレート、1−エチルカルバゾールテトラフルオロボレートなどが挙げられる。
また、含窒素オニウム塩系化合物としては、カチオン成分が、前記式(2)で表されるカチオン成分である場合、例えば、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムアセテート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロアセテート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヘプタフルオロブチレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムペルフルオロブタンスルホネート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムジシアナミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロアセテート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘプタフルオロブチレート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムペルフルオロブタンスルホネート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムブロミド、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−ヘキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドなどが挙げられる。
さらに、含窒素オニウム塩系化合物としては、カチオン成分が、前記式(3)で表されるカチオン成分である場合、例えば、1−メチルピラゾリウムテトラフルオロボレート、3−メチルピラゾリウムテトラフルオロボレートなどが挙げられる。
さらにまた、含窒素オニウム塩系化合物としては、カチオン成分が、前記式(4)で表され且つXが窒素原子であるカチオン成分である場合、例えば、テトラヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ジアリルジメチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジアリルジメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ジアリルジメチルアンモニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドなどが挙げられる。
また、含硫黄オニウム塩系化合物や含リンオニウム塩系化合物としては、前記式(4)で表され且つXが窒素原子であるカチオン成分である含窒素オニウム塩系化合物として例示の含窒素オニウム塩系化合物に対応したものなどが挙げられる。
オニウム塩系イオン性液体は、前記オニウム塩系化合物を含有する液体であれば、例えば、前記オニウム塩系化合物のみによる液体、前記オニウム塩系化合物が溶媒中に溶解された状態の液体など何れの形態の液体であってもよい。オニウム塩系イオン性液体としては、液状状態のオニウム塩系化合物のみにより構成されていることが好ましい。
オニウム塩系イオン性液体の使用量としては、粘着剤層を構成する粘着剤におけるベースポリマーと、オニウム塩系イオン性液体におけるオニウム塩系化合物との相溶性に応じて適宜設定するため、一概には定義することができないが、一般的には、オニウム塩系化合物の割合が、粘着剤層を構成する粘着剤におけるベースポリマー100重量部に対して0.01〜40重量部(好ましくは0.03〜30重量部、さらに好ましくは0.05〜10重量部)となるような範囲である。オニウム塩系イオン性液体中に含まれるオニウム塩系化合物の割合が、粘着剤層を構成する粘着剤におけるベースポリマー100重量部に対して0.01重量部未満であると、十分な帯電防止特性を発揮することができない場合があり、一方、40重量部を超えていると、被着体である清浄対象物を汚染させる場合がある。
なお、オニウム塩系イオン性液体の製造方法としては、目的とする組成のオニウム塩系イオン性液体が得られれば特に制限されず、一般的には、文献「イオン性液体 −開発の最前線と未来−」(株式会社シーエムシー出版発行)に記載されているような方法(ハロゲン化物法、水酸化物法、酸エステル法、錯形成法、中和法など)が利用される。もちろん、オニウム塩系イオン性液体は、市販品を用いることもできる。
具体的には、前記ハロゲン化物法は、例えば、下記の反応式(5)〜(6)で示されるような反応を利用して行われる方法である。まず、反応式(5)で示されるように、第3級アミン(R3N;R:炭素数が1〜20の炭化水素基)と、ハロゲン化アルキル(RX;X:ハロゲン原子)とを反応させて、ハロゲン化物(R4NX)を得る。次に、反応式(6)で示されるように、ハロゲン化物(R4NX)を、目的とするオニウム塩系化合物(R4NA)におけるアニオン構造(A-)を有する酸(HA)と反応させること[反応式(6a)]、または塩(MA;M:アニオンと塩を形成することが可能なカチオン)と反応させること[反応式(6b)]により、目的とするオニウム塩系化合物(R4NA)または該オニウム塩系化合物を含有するイオン性液体を調製する。
Figure 2006137106
[反応式(5)〜(6)において、Rは炭素数が1〜20の炭化水素基を示す。Xは塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を示す。MはNH4、Li、Na、K、またはAgを示す。なお、Rの炭化水素基は、ヘテロ原子を含んでいてもよい。]
前記反応式(5)〜(6)において、Rの炭素数が1〜20の炭化水素基は、前記式(4)におけるR12、R13、R14、R15における炭素数が1〜20の炭化水素基と同様である。また、計4個のRは、それぞれの間で、同一の炭化水素基であってもよく、異なった炭化水素基であってもよい。
前記水酸化物法は、例えば、下記の反応式(7)〜(8)で示されるような反応を利用して行われる方法である。まず、反応式(7)で示されるように、イオン交換膜法による電解[反応式(7a)]、OH型イオン交換樹脂法[反応式(7b)]によるイオン交換や、酸化銀(Ag2O)との反応[反応式(7c)]により、ハロゲン化物(R4NX;Rは前記に同じ)から、水酸化物(R4NOH)を得る。次に、反応式(8)で示されるように、水酸化物(R4NOH)を、前記ハロゲン化物法の場合と同様にして、目的とするオニウム塩系化合物(R4NA)におけるアニオン構造(A-)を有する酸(HA)と反応させること[反応式(8a)]、または塩(MA;Mは前記に同じ)と反応させること[反応式(8b)]により、目的とするオニウム塩系化合物(R4NA)または該オニウム塩系化合物を含有するイオン性液体を調製する。
Figure 2006137106
[反応式(7)〜(8)において、P−OHはOH型イオン交換樹脂、P−XはOH型イオン交換樹脂P−OHにおけるOH基がX基に変換されたものを示す。なお、R、X、Mは前記に同じ。]
前記酸エステル法は、例えば、下記の反応式(9)〜(10)で示されるような反応を利用して行われる方法である。まず、反応式(9)で示されるように、第3級アミン(R3N;Rは前記に同じ)と、酸エステル[ROY;OY:OS(=O)(=O)OR´、OS(=O)OR´、OP(OR´)(=O)OR´、OP(OR´)OR´、OC(=O)OR´、OS(=O)(=O)R´、OP(OR´)(=O)R´、OC(=O)R´(R´は炭化水素基である)]とを反応させて、酸エステル化物(R4NOY)を得る。次に、反応式(10)で示されるように、酸エステル化物(R4NOY)を、前記ハロゲン化物法の場合と同様にして、目的とするオニウム塩系化合物(R4NA)におけるアニオン構造(A-)を有する酸(HA)と反応させること[反応式(10a)]、または塩(MA;Mは前記に同じ)と反応させること[反応式(10b)]により、目的とするオニウム塩系化合物(R4NA)または該オニウム塩系化合物を含有するイオン性液体を調製する。
Figure 2006137106
[反応式(9)〜(10)において、OYは下記式(9a)〜(9h)で表される基を示す。R、Mは前記に同じ。]
Figure 2006137106
[式(9a)〜(9h)において、R´は炭化水素基を示す。なお、1分子中にR´が2個ある場合、2個のR´は、同一であってもよく、異なっていてもよい。また、R´の炭化水素基は、ヘテロ原子を含んでいてもよい。]
なお、前記反応式(9a)〜(9h)において、R´の炭化水素基としては、前記式(4)におけるR12、R13、R14、R15において例示された炭素数が1〜20の炭化水素基と同様の炭化水素基を好適に用いることができる。
このような酸エステル法で用いられる酸エステルとしては、例えば、硫酸エステル、亜硫酸エステル、リン酸エステル、亜リン酸エステル、炭酸エステル等の無機酸のエステルや、メタンスルホン酸エステル、メチルホスホン酸エステル、蟻酸エステル等の有機酸のエステルなどの各種エステルを用いることができる。
また、酸エステル法では、酸エステルとして、メチルトリフルオロメタンスルホネート、メチルトリフルオロアセテート等の酸エステルを用いることにより、直接に、目的とするオニウム塩系化合物(R4NA)または該オニウム塩系化合物を含有するイオン性液体を調製することもできる。
前記錯形成法は、例えば、下記の反応式(11)〜(12)で示されるような反応を利用して行われる方法である。まず、反応式(11)で示されるように、第4級アンモニウムのハロゲン化物(R4NX)、第4級アンモニウムの水酸化物(R4NOH)または第4級アンモニウムの炭酸エステル化物(R4NOY´;OY´:OC(=O)OR″)を、フッ化水素(HF)を反応させること[反応式(11a)]、またはフッ化アンモニウム(NH4F)と反応させること[反応式(11b)]により、フッ化第4級アンモニウム(R4NF)を得る。次に、反応式(12)で示されるように、フッ化第4級アンモニウム(R4NF)を、フッ化物(MFn-1:BF3、AlF3、PF5、AsF5、SbF5、NbF5、TaF5)と錯形成反応させることにより、目的とするオニウム塩系化合物(R4NFn)または該オニウム塩系化合物を含有するイオン性液体を調製する。
Figure 2006137106
[反応式(11)〜(12)において、OY´は、OC(=O)OR″(R″:炭化水素基)を示す。M´Fn-1はBF3、AlF3、PF5、AsF5、SbF5、NbF5、またはTaF5を示す。なお、R″の炭化水素基は、ヘテロ原子を含んでいてもよい。]
前記反応式(11)〜(12)において、OY´である「OC(=O)OR″」に係るR″の炭化水素基としては、前記式(9e)で表されるOY基における「OC(=O)OR´」と同様の炭化水素基[すなわち、前記式(4)におけるR12、R13、R14、R15において例示された炭素数が1〜20の炭化水素基と同様の炭化水素基]を好適に用いることができる。
前記中和法は、例えば、下記の反応式(13)で示されるような反応を利用して行われる方法である。反応式(13)で示されるように、第3級アミンと、有機酸(HZ)とを反応させることにより、目的とするオニウム塩系化合物(R3HN+-;Zは有機酸の残基)または該オニウム塩系化合物を含有するイオン性液体を調製する。
Figure 2006137106
[反応式(13)において、HZはHBF4、HPF6、CH3COOH、CF3COOH、CF3SO3H、(CF3SO22NH、(CF3SO23CH、(C25SO22NHを示す。]
前記反応式(13)において、Zは、各種の有機酸[HBF4、HPF6、CH3COOH、CF3COOH、CF3SO3H、(CF3SO22NH、(CF3SO23CH、(C25SO22NH]から、水素原子を取り除いた残基である。
(粘着剤)
粘着剤層を構成する粘着剤としては、特に制限されず、公知の粘着剤(例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、ウレタン系粘着剤、フッ素系粘着剤など)から適宜選択して用いることができる。粘着剤は単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
粘着剤としては、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤を好適に用いることができる。アクリル系粘着剤としては、(メタ)アクリレートをモノマー主成分としているアクリル系ポリマーをベースポリマーとするアクリル系粘着剤を好適に用いることができる。また、ゴム系粘着剤としては、天然ゴム、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SISブロック共重合体)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBSブロック共重合体)、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBSブロック共重合体)、スチレン−ブタジエンゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ブチルゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム等のゴム成分をベースポリマーとするゴム系粘着剤を好適に用いることができる。
本発明では、粘着剤としては、特にアクリル系粘着剤を好適に用いることができる。アクリル系粘着剤としては、(メタ)アクリレートをモノマー主成分としているアクリル系ポリマーをベースポリマーとするアクリル系粘着剤であれば特に制限されないが、オニウム塩系イオン性液体との相溶性のバランスや、粘着性等の観点から、炭素数が1〜14のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートをモノマー主成分とするアクリル系ポリマーをベースポリマーとするアクリル系粘着剤が好適である。
アクリル系粘着剤において、アクリル系ポリマーのモノマー主成分としての炭素数が1〜14のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−ヘプチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ウンデシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。アルキル(メタ)アクリレートは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
このようなアルキル(メタ)アクリレートとしては、モノマー主成分として用いられているので、アクリル系ポリマーを構成するためのモノマー成分全量に対して50重量%以上(例えば、50〜100重量%)の割合で用いられていることが重要である。
なお、アクリル系ポリマーを構成するためのモノマー成分として、前記アルキル(メタ)アクリレートと共重合が可能なモノマー成分(共重合性モノマー成分)が用いられていてもよい。このような共重合性モノマー成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸(アクリル酸、メタクリル酸)、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等のカルボキシル基含有モノマーや、これらのカルボキシル基含有モノマーの酸無水物(例えば、無水マレイン酸、無水イコタン酸などの酸無水物基含有モノマー);(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等のヒドロキシル基含有モノマー;(メタ)アクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有モノマー;(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル等のアミノ基含有モノマー;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有モノマー;(メタ)アクリロニトリル(アクリロニトリル、メタクリロニトリル)等のシアノ基含有モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン系モノマー;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル等のアルコキシ基含有モノマー;エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン等のオレフィン系モノマー;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル系モノマー;塩化ビニル等のハロゲン原子含有モノマー;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;(メタ)アクリル酸フェニル等の(メタ)アクリル酸アリールエステルなどが挙げられる。また、共重合性モノマーとしては、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、ジビニルベンゼン、ブチルジ(メタ)アクリレート、ヘキシルジ(メタ)アクリレートなどの多官能モノマーを用いることもできる。
共重合性モノマーは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。共重合性モノマーとしては、カルボキシル基含有モノマー又はその無水物や、ヒドロキシル基、アミノ基、アミド基(アミド結合を有する基)を有するモノマー等の官能基を有する共重合性モノマーを好適に用いることができ、特に、カルボキシル基含有モノマーを好適に用いることができる。
前記アクリル系ポリマーは、公知乃至慣用の重合方法(例えば、溶液重合方法、エマルジョン重合方法や塊状重合方法など)により調製することができる。
このようなアクリル系ポリマーとしては、重量平均分子量が10万以上(例えば、10万〜250万、好ましくは20万〜150万、さらに好ましくは30万〜100万)であることが好適である。
なお、粘着剤中には、種々の添加剤、例えば、粘着付与剤、表面潤滑剤、レベリング剤、酸化防止剤、腐食防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、シランカップリング剤、可塑剤、軟化剤、帯電防止剤、界面活性剤、発泡剤、無機又は有機の充填剤、金属粉や顔料等の粉体、粒子状や箔状物等の従来公知の各種添加剤を、使用する目的に応じて適宜添加することができる。
粘着剤層の形成に際して、アクリル系ポリマーを適宜架橋させることで、さらに耐熱性に優れた粘着シートを得ることができる。架橋方法としては、特に制限されないが、例えば、アクリル系ポリマーに適宜架橋化基点として導入された官能基(カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、アミド結合を有する基など)と反応しうる基を有する化合物(例えば、ポリイソシアネート系化合物、エポキシ系化合物、アジリジン系化合物等の架橋剤など)を用いて反応させる架橋方法(いわゆる「架橋剤を用いる架橋方法」)を好適に採用することができる。
前記架橋剤としては、なかでも、ポリイソシアネート系化合物、エポキシ系化合物を好適に用いることができる。ポリイソシアネート系化合物としては、例えば、脂肪族ポリイソシアネート類(例えば、1,4−テトラメチレンジイソシアネ−ト、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、リジンジイソシアネ−トなど)、脂環族ポリイソシアネート類(例えば、シクロペンチルジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、イソホロンジイソシアネ−トなど)、芳香族ポリイソシアネ−ト類(例えば、2,4−トリレンジイソシアネ−ト、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネ−トなど)、芳香脂肪族ポリイソシアネ−ト類(例えば、キシリレン−1,4−ジイソシアネートなど)の他、前記例示の脂肪族ポリイソシアネ−ト類、脂環族ポリイソシアネ−ト類、芳香族ポリイソシアネ−ト類、芳香脂肪族ポリイソシアネ−ト類による二重体や三量体、反応生成物又は重合物[例えば、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物(商品名「コロネートL」日本ポリウレタン工業株式会社製)、トリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート3量体付加物(商品名「コロネートHL」日本ポリウレタン工業株式会社製)、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(商品名「コロネートHX」日本ポリウレタン工業株式会社製)など]などが挙げられる。また、エポキシ系化合物としては、例えば、N,N,N´,N´−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン(商品名「TETRAD−X」三菱瓦斯化学株式会社製)、1,3−ビス(N,N−グリシジルアミノメチル)シクロヘキサン(商品名「TETRAD−C」三菱瓦斯化学株式会社製)などが挙げられる。
架橋剤の使用量は、架橋すべきアクリル系ポリマーとのバランスや、粘着シートとしての使用用途等によって適宜選択することができる。アクリル系粘着剤の凝集力により十分な耐熱性を得るには、架橋剤は、一般的に、アクリル系ポリマー100重量部に対して0.5重量部以上の割合で配合することが好ましい。また、柔軟性、接着性の観点から、架橋剤は、アクリル系ポリマー100重量部に対して30重量部以下の割合で配合することが好ましい。
粘着剤層の厚みは、例えば3〜100μm(好ましくは5〜50μm)程度である。
粘着剤層は、基材の少なくとも片方の面に形成されている。粘着剤層は公知の粘着剤層の形成方法を利用して形成することができる。具体的には、基材の所定の面上に、粘着剤を塗布し、乾燥及び/又は硬化させることにより、粘着剤層を形成する方法や、セパレータ上に粘着剤を塗布して粘着剤層を形成した後、該粘着剤層を、基材の所定の面上に転写させることにより形成する方法を利用して、粘着剤層を、基材の少なくとも片方の面に形成することができる。
粘着剤層は、単層、複層のいずれの形態を有していてもよい。また、粘着剤層は、本発明の効果を損なわない範囲で、他の層を介して基材上に形成されていてもよい。
なお、粘着剤層が、基材の両面に形成されている場合、少なくとも一方の粘着剤層が、オニウム塩系イオン性液体を含有する粘着剤組成物により形成された粘着剤層となっていればよい。
[基材]
本発明の溶剤含有物除去用粘着シートにおいて、基材としては、特に制限されないが、プラスチック基材や、紙、不織布等の多孔質基材などを用いることができる。さらに、用途によっては、発泡体、布、金属箔等の各種基材も用いることができる。具体的には、前記プラスチック基材を構成するプラスチック材としては、シート状やフィルム状等の形態で形成することができるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリアクリレート;ポリスチレン;ポリアミド6、ポリアミド6,6、部分芳香族ポリアミド等のポリアミド;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリカーボネートなどが挙げられる。
基材の厚みは、特に制限されず、基材の種類、強度や作業性などを考慮して適宜設定することができるが、一般には、5〜200μm(好ましくは10〜100μm)程度である。
基材は単層、複層のいずれの形態を有していてもよい。なお、基材がプラスチック基材である場合、プラスチック基材には、必要に応じて、剥離剤(シリコーン系剥離剤、フッ素系剥離剤、長鎖アルキル系剥離剤、脂肪酸アミド系剥離剤など)やシリカ粉等による離型処理;防汚処理;酸処理、アルカリ処理、プライマー処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理等の易接着処理;帯電防止剤(塗布型帯電防止剤、練り込み型帯電防止剤、蒸着型帯電防止剤など)による帯電防止処理などが施されていてもよい。
また、基材には、必要に応じて酸化防止剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、軟化剤、着色剤、充填剤などの添加剤が含まれていてもよい。
[溶剤含有物除去用粘着シート]
本発明の溶剤含有物除去用粘着シートは、基材と、該基材の少なくとも片方の面に、オニウム塩系イオン性液体を含有する粘着剤組成物により形成された粘着剤層(「オニウム塩系イオン性液体含有粘着剤層」と称する場合がある)とを有している。すなわち、溶剤含有物除去用粘着シートは、基材の少なくとも片方の面に、オニウム塩系イオン性液体含有粘着剤層が形成された構成を有している。なお、溶剤含有物除去用粘着シートは、基材の片面に粘着剤層が形成された構成の粘着シート(基材付き片面粘着シート)、基材の両面に粘着剤層が形成された構成の粘着シート(基材付き両面粘着シート)のいずれであってもよい。粘着剤層は、剥離フィルム(剥離ライナー)により保護されていてもよい。
なお、前記溶剤含有物除去用粘着シートが基材付き片面粘着シートである場合、基材の片面にはオニウム塩系イオン性液体含有粘着剤層が形成されており、該オニウム塩系イオン性液体含有粘着剤層は、溶剤含有物除去用粘着剤層である。一方、溶剤含有物除去用粘着シートが基材付き両面粘着シートである場合、基材の両面にオニウム塩系イオン性液体含有粘着剤層が形成されていてもよく、また、基材の片面にオニウム塩系イオン性液体含有粘着剤層が形成され且つ他方の面に、オニウム塩系イオン性液体を含有していない粘着剤組成物により形成された粘着剤層が形成されていてもよい。この際、基材の両面に形成されたオニウム塩系イオン性液体含有粘着剤層が、溶剤含有物除去用粘着剤層であってもよく、基材の片面に形成されたオニウム塩系イオン性液体含有粘着剤層が溶剤含有物除去用粘着剤層であり且つ他方の面に形成された粘着剤層が溶剤含有物除去用粘着剤層でない粘着剤層であってもよい。
本発明の溶剤含有物除去用粘着シートとしては、基材の片面に、溶剤含有物除去用粘着剤層としてのオニウム塩系イオン性液体含有粘着剤層が形成された構成を有していることが好ましい。
なお、溶剤含有物除去用粘着シートは、本発明の効果を損なわない範囲で、他の層(例えば、中間層、下塗り層など)を有していてもよい。具体的には、基材とオニウム塩系イオン性液体含有粘着剤層との間などに、例えば、下塗り剤層や中間層などの層が形成されていてもよい。また、溶剤含有物除去用粘着シートが、基材の片面に、オニウム塩系イオン性液体含有粘着剤層が形成された構成を有している場合、基材の背面(オニウム塩系イオン性液体含有粘着剤層が形成された面に対して反対側の面)に、背面処理層が形成されていてもよい。このような背面処理層は、公知乃至慣用の背面処理剤(例えば、長鎖アルキルアクリレート重合物や長鎖アルキル変性高分子等による長鎖アルキル系剥離剤;アルキルペンダント系剥離剤;シリコーン系剥離剤;フッ素系剥離剤など)により形成することができる。
本発明では、溶剤含有物除去用粘着シートは、ロール状に巻回された形態で形成されていてもよく、シートが積層された形態で形成されていてもよい。すなわち、本発明の溶剤含有物除去用粘着シートは、シート状、テープ状などの形態を有することができる。なお、溶剤含有物除去用粘着シートがロール状に巻回された形態を有している場合、例えば、オニウム塩系イオン性液体含有粘着剤層を、セパレータや基材の背面側に形成された剥離処理層により保護した状態でロール状に巻回することにより、ロール状に巻回された形態の溶剤含有物除去用粘着シートを作製することができる。
溶剤含有物除去用粘着シートは、その層構成等に応じて、コーティング法などの公知乃至慣用の方法を利用して、基材の少なくとも片面に、オニウム塩系イオン性液体含有粘着剤層を形成し、また、必要に応じて、所定の面上に下塗り剤層や背面処理層を形成することにより製造することができる。なお、オニウム塩系イオン性液体を含有する粘着剤組成物を塗布する方法としては、特に制限されず、例えば、ロールコート法、グラビアコート法、リバースコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアーナイフコート法等の方法を利用することができる。
本発明の溶剤含有物除去用粘着シートでは、オニウム塩系イオン性液体含有粘着剤層が基材上に形成された構成を有しているので、スクリーン印刷版の裏側に裏回りしたペースト等の溶剤含有物を除去する際には、静電気の発生をより一層抑制又は防止することができる。従って、本発明の溶剤含有物除去用シートを用いると、スクリーン印刷機のクリーニングユニット中などに静電気除去放置を設けなくても、静電気の発生が防止されているので、静電気による溶剤含有物除去用シート同士の引き寄せや反発、静電気による溶剤含有物の飛散、静電気ショックによる作業者の不快感や、静電気による回りのゴミや埃の付着などの各種不具合を生じさせずに、効率的に、溶剤含有物の除去を行うことができ、歩留まりや設備の稼働率を向上させることができる。
(溶剤含有物)
本発明において、除去対象となる溶剤含有物としては、特に限定されず、溶剤を含有して湿った状態にある半固形物、例えば、ペースト、インキ、糊、接着剤、塗料などが挙げられる。具体的には、溶剤含有物としては、例えば、スクリーン印刷に使用するペースト(インキ)や、オフセット印刷機などの印刷機のロール類に付着したインキなどが挙げられる。
溶剤含有物除去用粘着シートは、例えば、スクリーン版の裏側やロール類等に貼り付けることにより、スクリーン版の裏側に裏回りしたペーストやロール類に付着したインキなどに含まれている溶剤を吸収して、該ペースト等を固形物化できる。従って、本発明の溶剤含有物除去用粘着シートは、例えば、スクリーン印刷版の裏側に裏回りしたペースト(インキ)や、オフセット印刷等の印刷機のロール類に付着したインキ、インクジェットプリンターのインク噴射口付近のインク汚れなどを除去するのに適している。すなわち、本発明の溶剤含有物除去用粘着シートは、スクリーン印刷版の清浄用の粘着シートとして好適に用いることができる。
前記ペーストやインキ等の溶剤含有物に含まれる溶剤としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、ミネラルスピリットなどの脂肪族炭化水素;シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素;トルエン、キシレン、ソルベントナフサ、テトラリン、ジペンテンなどの芳香族炭化水素;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、s−ブチルアルコール、シクロヘキシルアルコール、2−メチルシクロヘキシルアルコール、トリデシルアルコールなどのアルコール;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチルなどのエステル;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、イソホロンなどのケトン;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどのグリコール;ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのグリコールエーテル;ブチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどのグリコールエーテルエステル;水などが挙げられる。スクリーン印刷インキの場合には、中沸点溶剤(沸点:約120〜230℃)や高沸点溶剤(沸点:約230〜320℃)が多く用いられており、例えば、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなど(例えば、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート/ジエチレングリコールモノブチルエーテル[9/1(重量比)])などが挙げられる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、以下において、部とあるのは重量部を、%とあるのは重量%を、それぞれ意味する。
(実施例1)
カルボキシル基含有アクリル系共重合体[ブチルアクリレート/アクリロニトリル/アクリル酸=85:15:2.5(重量比)の共重合体]の溶液100部(固形分)に対して、商品名「EDP−1100(旭電化(株)製、複数のヒドロキシル基を含有するアミン系化合物としてのエチレンジアミンのポリオキシプロピレン縮合物)」10部、商品名「コロネートL(日本ポリウレタン工業(株)製、ポリイソシアネート系化合物)」15部を添加し、さらに、オニウム塩系イオン性液体として、23℃において液状のジアリルジメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド[商品名「DAM−IL」(日本カーリット株式会社製)]3部を添加し、充分混合して粘着剤組成物を調製した。
ポリプロピレンフィルム(厚さ:40μm)の片面に、前記粘着剤組成物を、乾燥後の厚さが8μmとなるように塗布し、90℃の温度で3分間乾燥又は硬化させて粘着剤層(オニウム塩系イオン性液体含有粘着剤層)を形成して、粘着シートを作製した。
(実施例2)
オニウム塩系イオン性液体として、23℃において液状の1−ブチル−3−メチルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド5部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物を調製するとともに、該粘着剤組成物を用いて粘着シートを作製した。
(比較例1)
オニウム塩系イオン性液体を用いなかったこと以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物を調製するとともに、該粘着剤組成物を用いて粘着シートを作製した。すなわち、カルボキシル基含有アクリル系共重合体[ブチルアクリレート/アクリロニトリル/アクリル酸=85:15:2.5(重量比)の共重合体]の溶液100部(固形分)に対して、商品名「EDP−1100(旭電化(株)製、複数のヒドロキシル基を含有するアミン系化合物としてのエチレンジアミンのポリオキシプロピレン縮合物)」10部、商品名「コロネートL(日本ポリウレタン工業(株)製、ポリイソシアネート系化合物)」15部が添加されて調製された粘着剤組成物を調製し、該粘着剤組成物を、ポリプロピレンフィルム(厚さ:40μm)の片面に、乾燥後の厚さが8μmとなるように塗布し、90℃の温度で3分間乾燥又は硬化させて粘着剤層を形成して、粘着シートを作製した。
(比較例2)
オニウム塩系イオン性液体の代わりに、アニオン系界面活性剤であるポリオキシラウリルエーテルリン酸(商品名「フォスファノールRD−510Y」東邦化学工業株式会社製)を10重量部用いたこと以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物を調製するとともに、該粘着剤組成物を用いて粘着シートを作製した。
(評価)
実施例1〜2及び比較例1〜2で得られた各粘着シートについて、表面抵抗率、粘着力、溶剤吸収量、汚染性、クリーニング性の評価を下記の方法(表面抵抗率の測定方法、粘着力の測定方法、溶剤吸収量の測定方法、汚染性の評価方法、クリーニング性の評価方法)により測定して評価した。
(表面抵抗率の測定方法)
JIS K 6911に準じて、粘着シートの粘着剤層表面における抵抗率(Ω)を測定した。具体的には、印加電圧100Vで、1分後の抵抗値(Ω)を測定した。但し、試料の調製および測定雰囲気は、23℃、50%RHである。測定又は評価の結果は表1に示した。
(粘着力の測定方法)
粘着シートを23℃×48時間の条件で放置させた後、試料の測定前の処理として、温度が23℃プラスマイナス2℃、相対湿度が50%プラスマイナス5%の状態の雰囲気中に24時間放置する。20mm×150mmのサイズにカットした粘着シートを、下記の被着体に、下記の圧着装置で毎秒5mmの速度で1往復して圧着させる。圧着後、20分間経過した後に、引張試験機を使用して、引張速度300mm/分、剥離角度180°にて粘着シートを被着体から引き剥がしたときの粘着力(N/20mm)を測定した。
圧着装置:圧着装置は、自動式又は手動式もので、試験片を圧着するときにローラーの重量のみが試験片(試料)にかかる構造のものである。ローラーは、厚さ約6mm、スプリング硬さ(Hs)80プラスマイナス5のゴム層で被覆されたもの[幅:約45mm、直径(ゴム層を含む):約95mm、質量:2000プラスマイナス20g]である。
被着体:SUS430BA[なお、次の洗浄方法により洗浄されている。洗浄方法:トルエンをしみこませた布(ガーゼ、ティッシュペーパー、さらし布など)等で被着体の表面を拭く。乾いてから、さらに新しい布などで乾燥するまで良く拭く。目視によって、清浄になったと見られるまで3回以上繰り返して洗浄する。]
測定環境:温度が23℃プラスマイナス2℃であり、相対湿度が50%プラスマイナス5%である。
(溶剤吸収量の測定方法)
20×50mmに切り取って予め重さを測定した粘着シートを、スクリーン印刷用の溶剤であるジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタート中に1秒間浸漬して取り出し、即座に粘着シート表面に付いている溶剤をウエスで拭き取り、再度重さを測定して、単位面積当たりの重さの増加量(g/m2)を算出した。なお、測定環境は23℃×50%RHである。測定又は評価の結果は表1に示した。
(汚染性の評価方法)
ポリエチレンテレフタレート製フィルムに、スクリーン印刷用の溶剤であるジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタートをワイヤーバーで5g/m2塗布し、これに20×50mmの大きさの粘着シートを貼り合わせて、該粘着シートの粘着剤層に、前記溶剤を5g/m2吸収させた後、被着体としてのステンレス板(SUS430BA板)に、ハンドローラーを用いて気泡が入らないようにして貼り合わせた。その後、粘着シートを被着体から手で剥離し、被着体の表面における汚染の状態を目視にて観察し、下記の評価基準により汚染性を評価した。なお、測定環境は23℃×50%RHである。測定又は評価の結果は表1に示した。
評価基準
○:汚染が認められない。
×:汚染が認められる。
(クリーニング性の評価方法)
一定回数使用して、ペーストが裏回りしたスクリーン版の裏側に、粘着シートを均一に貼り付けて剥がすという操作を行い、スクリーン版のクリーニングを行って、クリーニング性について評価した。その結果、実施例1〜2に係る粘着シートについては、クリーニング後、新たに印刷した印刷物に、にじみが発生せず、しかも、静電気による不具合も生じなかった。これに対し、比較例1〜2に係る粘着シートでは、静電気の影響で回りのゴミや埃が粘着シートに付着し、クリーニング後、新たに印刷した印刷物に、にじみが発生した。さらに、作業者が作業中に粘着シートに触れた際に、静電気のショックにより不快感を感じた。
Figure 2006137106
表1より、実施例に係る粘着シートは、比較例に係る粘着シートと比較して、粘着剤層表面における表面抵抗率が小さく、優れた帯電防止性を有していることが確認された。また、粘着力や溶剤吸収量等の溶剤含有物に関する特性はほぼ同等であることも確認された。
なお、比較例2に係る粘着シートでは、粘着剤層表面に界面活性剤がブリードしたため、粘着力の低下と、汚染性が確認された。

Claims (5)

  1. 基材と、該基材の少なくとも片方の面に、イオン性液体を含有する粘着剤組成物により形成された粘着剤層とを有する溶剤含有物除去用粘着シートであって、イオン性液体が、窒素原子含有オニウム塩系化合物、硫黄原子含有オニウム塩系化合物およびリン原子含有オニウム塩系化合物から選択された少なくとも1種のオニウム塩系化合物を含有し、且つオニウム塩系化合物が、下記式(1)〜(4)で表されるカチオン成分を含有していることを特徴とする溶剤含有物除去用粘着シート。
    Figure 2006137106
    [式(1)において、R1は炭素数が4〜20の2価の炭化水素基を表す。但し、R1の一方の末端の炭素原子は、窒素原子と二重結合により結合していてもよい。また、R2、R3は、同一又は異なって、水素原子、または炭素数が1〜16の炭化水素基を表す。但し、R2およびR3の炭化水素基は、ヘテロ原子を含んでいてもよい。なお、窒素原子が、R1の一方の末端の炭素原子又はR2と、2重結合により結合している場合、R3は存在しない。
    式(2)において、R4は炭素数が2〜20の2価の炭化水素基を表す。但し、R4の一方の末端の炭素原子は、非カチオン性の窒素原子と二重結合により結合していてもよい。R5、R6、R7は、同一又は異なって、水素原子、または炭素数が1〜16の炭化水素基を表す。但し、R5、R6およびR7の炭化水素基は、ヘテロ原子を含んでいてもよい。なお、非カチオン性の窒素原子が、R4の末端の炭素原子と、2重結合により結合している場合、R7は存在しない。
    式(3)において、R8は炭素数が2〜20の2価の炭化水素基を表す。但し、R8の一方の末端の炭素原子は、非カチオン性の窒素原子と二重結合により結合していてもよい。R9、R10、R11は、同一又は異なって、水素原子、または炭素数が1〜16の炭化水素基を表す。但し、R9、R10およびR11の炭化水素基は、ヘテロ原子を含んでいてもよい。なお、非カチオン性の窒素原子が、R8の末端の炭素原子と、2重結合により結合している場合、R11は存在しない。
    式(4)において、Xは、窒素原子、硫黄原子、またはリン原子を表す。R12、R13、R14、R15は、同一又は異なって、水素原子、または炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。但し、R12、R13、R14およびR15の炭化水素基は、ヘテロ原子を含んでいてもよい。なお、Xが硫黄原子の場合、R15は存在しない。]
  2. オニウム塩系化合物が、フッ素原子を含むアニオン成分を含有している請求項1記載の溶剤含有物除去用粘着シート。
  3. イオン性液体の割合が、粘着剤組成物を構成するベースポリマー100重量部に対して0.01〜40重量部である請求項1又は2記載の溶剤含有物除去用粘着シート。
  4. スクリーン印刷版の清浄用の粘着シートとして用いられる請求項1乃至3の何れかの項に記載の溶剤含有物除去用粘着シート。
  5. 清浄対象物に付着した溶剤含有物を、溶剤含有物除去用粘着シートにより除去する方法であって、溶剤含有物除去用粘着シートとして、請求項1乃至4の何れかの項に記載の溶剤含有物除去用粘着シートが用いられていることを特徴とする溶剤含有物の除去方法。
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