JP2006130825A - 複合成形体の製造方法及び複合成形体 - Google Patents
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Abstract
【課題】
本発明の課題は、加熱加圧成形前のフェノール樹脂の硬化と木材チップ中やフェノール樹脂中の水分によるクラックやパンクの発生とを防止し、曲げ強度の高い複合成形体の製造方法を提供することを目的とする。また、この製造方法により製造される曲げ強度の高い複合成形体を提供することを目的とする。
【解決手段】
本発明の複合成形体の製造方法及びこの製造方法により製造される複合成形体は、木材チップの含水率を低くすることで、木材チップとフェノール樹脂溶液との混合物中の含水率を低くすることができ、加熱加圧成形する際に発生するパンクやクラックを防止することができる。また、フェノール樹脂溶液を適度に含浸させることで接着界面の樹脂量を多くすることができ、強度の高い複合成形体となる。
【選択図】
図1
本発明の課題は、加熱加圧成形前のフェノール樹脂の硬化と木材チップ中やフェノール樹脂中の水分によるクラックやパンクの発生とを防止し、曲げ強度の高い複合成形体の製造方法を提供することを目的とする。また、この製造方法により製造される曲げ強度の高い複合成形体を提供することを目的とする。
【解決手段】
本発明の複合成形体の製造方法及びこの製造方法により製造される複合成形体は、木材チップの含水率を低くすることで、木材チップとフェノール樹脂溶液との混合物中の含水率を低くすることができ、加熱加圧成形する際に発生するパンクやクラックを防止することができる。また、フェノール樹脂溶液を適度に含浸させることで接着界面の樹脂量を多くすることができ、強度の高い複合成形体となる。
【選択図】
図1
Description
本発明は、複合成形体の製造方法に関するものであり、その製造方法によって製造される複合成形体に関するものである。
パーティクルボード等の複合成形体は、床板や壁板、野地板等の建築構築用材料、運搬や保管用パレットを構成する材料として広く利用されている。そして、この複合成形体は、木材チップと接着剤とを混ぜ合わせて加熱加圧成形することで製造されている。しかしながら、単に接着剤と混ぜ合わせた木材チップを加熱加圧成形するだけのでは、十分な曲げ強度を得ることができなかった。
また、従来の複合成形体の製造方法としては、60wt%から90wt%の木材チップに10から20wt%のフェノール樹脂を加圧により含浸させ、フェノール樹脂の含浸した木材チップを加熱加圧成形する方法がある(例えば、特許文献1参照)。
そして、木質材料に2wt%から20wt%濃度の低分子量フェノール樹脂水溶液を含浸させ、乾燥後、140℃から200℃で加熱加圧成形することを特徴とする木質形成板の製造方法がある(例えば、特許文献2参照)。
さらに、有機繊維に粘度が20cpsから300cpsで、固形分濃度が40%から65%の熱硬化性樹脂の水分散液を付着した後、成形して製造される成形ボードの製造方法がある(例えば、特許文献3参照)。
上記特許文献1記載の方法は、加圧することで木材チップにフェノール樹脂を含浸させ、フェノール樹脂の含浸した木材チップを加熱加圧成形する方法である。このとき、木材チップに多くの水分が含まれているとフェノール樹脂の含浸が不十分となり、木材チップ同士の接着を妨げる恐れがある。また、このような場合、加熱加圧成形の直後に木材チップとフェノール樹脂とに含まれる水分によりクラックやパンク等が発生するという問題点がある。
また、上記特許文献2記載の方法は、低分子フェノール樹脂水溶液を木質材料に含浸させ、加熱加圧成形する前に70℃で乾燥させる必要がある。このように、加熱によって乾燥させることで、低分子フェノール樹脂水溶液が硬化し、木質材料の接着を妨げる恐れがある。
そして、上記特許文献3記載の方法は、木材チップではなく有機繊維を使用している。木材チップより細かい有機繊維は、木材チップに比べ表面積が大きくなり、樹脂の含浸量が非常に多くなるため、使用する熱硬化性樹脂が多くなってしまう。そのため、製造コストが増加してしまうという問題点がある。
そこで、本発明は、上記実状に鑑み、加熱加圧成形前のフェノール樹脂の硬化と木材チップ中やフェノール樹脂中の水分によるクラックやパンクの発生とを防止し、曲げ強度の高い複合成形体の製造方法を提供することを目的とする。また、この製造方法により製造される曲げ強度の高い複合成形体を提供することを目的とする。
本発明の複合成形体の製造方法は、木材チップの含水率を3%以下となるように該木材チップを乾燥する工程と、乾燥した上記木材チップと低分子量フェノール樹脂を水に分散したフェノール樹脂溶液とを混合する工程と、上記木材チップと上記フェノール樹脂溶液との混合物を加熱加圧成形する工程とを有することを特徴とする。
本発明の複合成形体の製造方法によれば、木材チップの含水率を3%以下とすることで、木材チップとフェノール樹脂溶液との混合物の含水率を低下させることができる。したがって、この混合物の加熱加圧成形での混合物中の水分によるパンクやクラックの発生を防ぐことができる。
また、上記複合成形体の製造方法において、上記木材チップと上記フェノール樹脂溶液との混合物は、加熱加圧成形前の含水率を13%以下とすることを特徴とする。これにより、木材チップとフェノール樹脂溶液との混合物の含水率を抑え、混合物の加熱加圧成形で、混合物中の水分によるパンクやクラックの発生を防ぐことができる。
さらに、上記複合成形体の製造方法において、上記木材チップと上記フェノール樹脂溶液との混合物は、150℃以上で加熱するとともに20kg/cm2以上で加圧することを特徴とする。これにより、木材チップとフェノール樹脂溶液との混合物のフェノール樹脂を硬化させるとともに、木材チップを所定の形状に成形することができる。すなわち、加熱加圧成形するのに必要な熱と圧力を混合物に与えることができ、複合成形体を製造することができる。
またさらに、上記複合成形体の製造方法において、上記フェノール樹脂溶液は、不揮発成分を45%以上55%以下とし、25℃における粘度を1.3poise以上2.0poise以下であることを特徴とする。これにより、木材チップにフェノール樹脂が適度に含浸し、接着界面での樹脂量を多くすることで複合成形体の強度を向上させることができる。
また、フェノール樹脂溶液の水分量をこの範囲内とすることで、木材チップとフェノール樹脂溶液との混合物のパンクやクラックの発生や混合物中のフェノール樹脂溶液の不均一な混合を防止することができる。
本発明の複合成形体は、含水率を3%以下になるように乾燥させた木材チップと、低分子量フェノール樹脂を水に分散したフェノール樹脂溶液を上記木材チップと混合し、上記木材チップと上記フェノール樹脂溶液との混合物を加熱加圧成形することで硬化する樹脂とを有することを特徴とする。
本発明の複合成形体によれば、乾燥により含水率を低くした木材チップを使用することで、樹脂を組成するフェノール樹脂溶液と木材チップとの混合物の含水率が低くなる。これにより、加熱加圧成形後に混合物中の水分により発生するパンクやクラックを防止することができる。したがって、パンクやクラックのない複合成形体となる。また、木材チップ中の水分を少なくすることで、樹脂の硬化による木材チップ同士の接着の阻害を防止することもできる。そのため、複合成形体の強度を向上させることができる。
本発明の複合成形体の製造方法は、含水率を3%以下となるように乾燥させた木材チップを使用することで、フェノール樹脂溶液との混合物の含水率を低く抑えることができる。そのため、混合物の加熱加圧成形後に混合物中の水分によって発生するパンクやクラックなどの発生を防ぐことができる。
また、適度な粘度のフェノール樹脂溶液を使用することで、木材チップへの過剰な含浸を抑え、木材チップ上で硬化する樹脂量を多くすることができ、強度の高い複合成形体を製造することができる。
本発明の複合成形体によれば、乾燥により含水率を低くした木材チップを使用することで、樹脂を組成するフェノール樹脂溶液と木材チップとの混合物の含水率が低くなる。これにより、加熱加圧成形後に混合物中の水分により発生するパンクやクラックを防止することができる。したがって、パンクやクラックのない複合成形体となる。
また、木材チップ中の水分を少なくすることで、樹脂の硬化による木材チップ同士の接着の阻害を防止することもできる。そのため、複合成形体の強度を向上させることができる。また、適度な粘度のフェノール樹脂溶液を使用することにより、木材チップへの過剰な含浸を抑え、木材チップ上で硬化する樹脂量を多くすることができ、強度を向上させることができる。
本発明の複合成形体の製造方法及びその方法で製造される複合成形体について、図面を参照しながら説明する。なお、本発明は、以下の説明に限られるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
図1は、本発明の複合成形体の製造方法により製造された複合成形体の断面形状を示す図である。図1で示される本発明の複合成形体10の製造方法は、木材チップ1の含水率を3%以下となるように乾燥させ、乾燥した木材チップ1とフェノール類とアルデヒド類を塩基等の触媒下で適度に反応させた低分子量のフェノール樹脂を水に分散させたフェノール樹脂溶液とを混合し、この混合物を金型等に入れて混合物の形状を整え、熱と圧力を加えて加熱加圧成形することでフェノール樹脂溶液を硬化させた樹脂2で木材チップ1同士を接着させることで複合成形体10が製造できる。
木材チップ1は、木材を所定の大きさに破砕されたものである。この木材チップ1の大きさとしては、フェノール樹脂溶液が木材チップ1の表面に適度に含浸することができる大きさであれば特に限定されるものではない。例えば木材チップ1を繊維状にまで細かくしてしまうと、木材チップ1に比べて表面積が大きくなり、繊維中へのフェノール樹脂溶液の含浸量が多くなり、フェノール樹脂溶液の使用量が増加してしまう。
木材チップ1の大きさは、例えば、繊維状までに細かくならない範囲内で直径約2mm以下、長さ約6mm以下に粉砕した略円柱状のものや、粒径約2mm以下の略粒状のものを使用することもできる。このとき、木材チップ1の大きさを揃えると木材チップ1の乾燥やフェノール樹脂溶液との混合が均一となりやすくなる。
木材チップ1の材質は、木材であれば特に限定されるものではなく、例えば、杉、檜、松等の針葉樹や桜、クヌギ等の広葉樹をはじめとする木材が挙げられる。例えば、これらの木材の端材や廃材等を所定の大きさなるように破砕して木材チップが形成される。
フェノール樹脂溶液は、低分子量のフェノール樹脂溶液を水に分散することで形成される。そして、このフェノール樹脂溶液を木材チップ1と混ぜ合わせ、加熱加圧成形することで硬化し、木材チップ1同士を接着させる樹脂2となる。
この低分子量のフェノール樹脂は、フェノール類とアルデヒド類とを混合し、塩基等の触媒の存在下で適度に反応させることで形成できる。例えば、フェノール樹脂は、市販されている合成フェノールを用い、そのフェノール1molに対してホルムアルデヒドを1molから2mol使用し、触媒としてカセイソーダ0.05molから0.2mol及びアンモニア0.01molから0.1molを使用することで生成することができる。
このような反応において、フェノール樹脂は、反応時間や反応温度を制御しすることで重合度を制御し、フェノール樹脂の分子量をコントロールすることができる。このフェノール樹脂の分子量は、数平均分子量を300から600程度とすることで、形成されるフェノール樹脂溶液の適度な粘度に調製することができる。
このフェノール樹脂溶液は、使用する木材チップ1の大きさや製造する複合成形体10の強さにもよるが、25℃における粘度が1.3poise以上2.0poise以下であることが好ましい。フェノール樹脂溶液の粘度が1.3poise未満の場合、木材チップ1にフェノール樹脂溶液への含浸が過剰となり、フェノール樹脂溶液を多く必要とする。そして、フェノール樹脂溶液の使用量が多くなることで複合成形体の製造コストが高くなってしまう。また、低粘度のフェノール樹脂溶液を使用すると硬化した樹脂の強度は高いものの脆弱となる傾向があり、形成される複合成形体に十分な強度を与えることができなくなる。
一方、フェノール樹脂溶液の粘度が2.0poiseより大きい場合、粘度が高すぎてしまい、木材チップと混ざりにくくなり、木材チップ1とフェノール樹脂溶液との均一な混合物の形成が難しくなる。すなわち、製造される複合成形体10の強度に斑ができてしまう恐れがある。
さらに好ましいフェノール樹脂溶液の粘度は、1.6poise以上1.9poise以下である。この範囲内とすることで、木材チップ1にフェノール樹脂溶液が適度に含浸し、接着界面の樹脂量を増加させ、より強度を向上させることができる。
特にフェノール樹脂溶液をスプレーでの噴霧により木材チップと混合させる場合、スプレーノズルが詰まってしまう恐れがある。すなわち、フェノール樹脂溶液の粘度をこの範囲内とすることで、木材チップ1への過度の含浸を抑え、接着界面での樹脂量を多くすることができる。したがって、強度の高い複合成形体10を製造することができる。
また、このフェノール樹脂溶液の不揮発分としては、45%以上55%以下であることが好ましい。フェノール樹脂溶液の不揮発分が45%未満の場合、フェノール樹脂溶液の水分量が多くなりすぎるため、木材チップ1とフェノール樹脂溶液との混合物を加熱加圧成形後に、その水分によってパンクやクラックの発生してしまう。一方、不揮発分が55%より高い場合、水等の溶媒の量が少なすぎてしまい、フェノール樹脂溶液が木材チップ1に均一に混ざり合わない可能性がある。
さらに好ましいフェノール樹脂溶液の不揮発分は、47%以上49%以下である。この範囲とすることで、フェノール樹脂溶液の水分量が適度に保たれ、効率的に木材チップ1とフェノール樹脂溶液とを混合し、パンクやクラックを発生しない。また、製造される複合成形体の強度に斑を作らず、より強度の高い複合成形体となる。
このフェノール樹脂溶液は、上述のような粘度と不揮発分を有することで、フェノール樹脂溶液が硬化する時間が短くなる。これにより、加熱加圧成形の時間が短くなり、形成する複合成形体10への負荷を軽減できるとともに、コストを低くすることができる。
上述のように説明した木材チップ1とフェノール樹脂溶液を使用して図1で示された複合成形体10を製造することができる。図2は、本発明の複合成形体の製造方法の一例の各工程を示す図である。複合成形板である複合成形体10は、まず、ステップS1のように原料となる木材を破砕して上述で説明したようなチップ状の木材チップ1を形成する。ここで、木材がチップ状に加工されているものを使用する場合はこの工程を省略することができる。
次に、ステップS2のように形成された木材チップ1を乾燥させる。この乾燥は、木材チップ1の含水率が3%以下となるように乾燥させる。木材チップ1の含水率が3%より高くなると、木材チップ1中の水分が多くなり、木材チップ1とフェノール樹脂溶液との混合物の含水率が高くなる。そして、この混合物を加熱加圧成形すると混合物の水分によってパンクやクラックが発生してしまう。さらに好ましい木材チップ1の含水率は1%以下である。これにより、木材チップ1からの水分をほとんど無くすことができ、よりパンクやクラックの発生を防止することができる。
含水率を3%以下になるように乾燥した木材チップ1は、ステップS3のように、篩い分けによって大きさが揃えられる。このように木材チップ1の大きさを揃えることにより、比較的大きな木材チップと比較的小さな木材チップとに分けることができる。このように、木材チップ1を大きさによって分ける必要がない場合はこの工程を省略することもできる。
乾燥した木材チップ1は、ステップS4のように、上述で説明したフェノール樹脂溶液と混ぜ合わせ、木材チップ1とフェノール樹脂溶液との混合物を形成する。この混合物は、後に加熱加圧成形されるが、その前の含水率は13%以下となることが好ましい。混合物の含水率が13%より高くなる場合、加熱加圧成形すると混合物中の水分によりパンクやクラックが発生してしまう。
しかしながら、木材チップ1とフェノール樹脂溶液とを混ぜ合わせた後に、乾燥を行うと、フェノール樹脂溶液が硬化してしまい、板状に成形することが困難となる。したがって、混合物の含水率は、混合物の加熱加圧形成前に木材チップ1の含水率とフェノール樹脂溶液の水等の溶媒量で調節する。これにより、フェノール樹脂溶液の硬化を防ぎ、成形を行うことができる。この混合物の使用量は、製造する複合成形体10の大きさや厚さによって適宜変更することができる。
この混合物は、図3のように、フェノール樹脂溶液4が木材チップ1の隙間3に入り込むように含浸する。このように木材チップ1に含浸するとともに、木材チップ1の隙間3の外側にはみ出したフェノール樹脂溶液4が他の木材チップ1の隙間3に入り込む。この状態で熱と圧力を加えて加熱加圧成形すると、フェノール樹脂溶液2が硬化し、木材チップ1同士を接着することができる。
複合成形体10は、フェノール樹脂溶液の木材チップ1への含浸させることで強度を高めることができる。しかしながら、木材チップ1の空隙3に完全に含浸させなくても十分な強度を得ることができる。本発明で使用するフェノール樹脂溶液は、その粘度を1.3poise以上2.0poise以下という適度な粘度をもたせることで、過剰な含浸を避けることができる。これにより、接着界面での樹脂量が多くなり、複合成形体10の強度を向上させることができる。また、より好ましくは、1.6poise以上1.9poise以下とすることで、木材チップ1とフェノール樹脂溶液との混合が容易に行え効率的に複合成形体10を形成することができる。さらに、使用するフェノール樹脂溶液の量を少なくすることができ、製造コストを抑えることができる。
そして、フェノール樹脂溶液の不揮発分を45%以上55%以下とすることで、フェノール樹脂溶液の水分量を適正に保つことができ、木材チップ1と均一に混合することができ、その混合物の加熱加圧成形の際に発生するパンクやクラックを防止することができる。 より好ましくは、フェノール樹脂溶液の不揮発分を47%以上49%以下とすることで、木材チップ1との混合にスプレーでの噴霧が容易に行え、効率的に木材チップ1とフェノール樹脂溶液とを混合することができる。
図2に示されるように、ステップS4で調製された木材チップ1とフェノール樹脂溶液との混合物は、ステップS5のように、均一に混合した後、加熱加圧成形される。例えば、図4のように、金型等を利用して混合物を所定の形状に整え、混合物の上方からプレス装置等で熱と圧力を加え、加熱加圧成形する。この加熱加圧成形の方法は、所定の温度と所定の圧力をかけられるものであれば特に限定されるものではない。例えば、多段式のホットプレスやシングルオープン式のホットプレス等を使用してもよい。
木材チップ1とフェノール樹脂溶液との混合物の加熱は、150℃以上であることが好ましい。150℃未満の場合、フェノール樹脂が硬化せず、複合成形体10とならない。また、より好ましくは、170℃以上の温度で混合物を加熱するのがよい。170℃以上であれば、十分にフェノール樹脂を硬化することができ、より強度の高い複合成形体10を製造することができる。
また、木材チップ1とフェノール樹脂溶液との混合物への加圧は、20kg/cm2以上であることが好ましい。20kg/cm2未満である場合、成形時の圧力不足を招き複合成形体10の製造が困難となることがある。
より好ましくは、34kg/cm2以上の圧力で混合物を加圧するのがよい。34kg/cm2であれば、木材チップ1を十分に加圧し、木材チップ1同士を密着させることができる。そして、木材チップ1が十分に圧された状態でフェノール樹脂が硬化し、樹脂2となることで接着界面における樹脂量の多い複合成形体10となり、十分な強度を有する複合成形体10を製造することができる。また、加熱加圧成形の時間は、形成する複合成形体10の大きさや厚さなどに応じて適宜変更することができる。
この加熱加圧成形時に、木材チップ1とフェノール樹脂溶液との混合物中の水分を外に逃がすために適宜ガス抜きを行ってもよい。木材チップ1を3%以下にまで乾燥させることで、加熱加圧成形後のパンクやクラックの発生を防止しているが、このように、ガス抜きを行うことで、パンクやクラックの発生をより確実に防止することができる。
図2で示されるように、ステップS5で加熱加圧成形された木材チップ1とフェノール樹脂溶液との混合物は、ステップS6のように、例えば大気中で放置する等の方法で冷却される。冷却後、使用する形状の大きさに合わせて切断されることで、複合成形体10が製造される。このとき、加熱加圧成形によって必要とする形状に加工されている場合は、切断の工程を省略することができる。
上述のように、本発明の複合成形体10の製造方法は、含水率を3%以下となるように乾燥させた木材チップ1を使用することで、フェノール樹脂溶液との混合物の含水率を低く抑えることができる。そのため、混合物の加熱加圧成形したときに混合物中の水分によって発生するパンクやクラックなどの発生を防ぐことができる。また、適度な粘度のフェノール樹脂溶液を使用することで、木材チップ1への過剰な含浸を抑え、木材チップ1上で硬化する樹脂量を多くすることができ、強度の高い複合成形体10を製造することができる。
本発明の複合成形体10は、上述で説明した方法で製造することができる。図1のように、本発明の複合成形体10は、含水率を3%以下になるように乾燥させた木材チップ1と、低分子量フェノール樹脂を溶媒に溶解したフェノール樹脂溶液と木材チップ1と混ぜ合わせ、木材チップ1と上記フェノール樹脂溶液との混合物を加熱加圧成形することで硬化する樹脂2を有している。
含水率を3%以下となるように木材チップ1を乾燥させることで、木材チップ1とフェノール樹脂溶液との混合物の加熱加圧成形する際、混合物中の水分によるパンクやクラックの発生を防止することができる。すなわち、パンクやクラックのない複合成形体10となる。
また、フェノール樹脂溶液の粘度を1.3poise以上2.0poise以下とし、不揮発分を45%以上55%以下とすることで、フェノール樹脂溶液と木材チップ1との混合物中の水分量を低く抑えることができ、パンクやクラックの発生を防止することができる。また、木材チップ1へのフェノール樹脂溶液の過度の含浸を抑え、接着界面での樹脂量を多くし、複合成形体10の強度を向上させることができる。
また、フェノール樹脂溶液の木材チップ1への過度な含浸を防ぎ、接着界面での樹脂量を多くすることができ、強度を向上させることができる。また、加熱を150℃以上、加圧を20kg/cm2以上で加熱加圧成形することで、フェノール樹脂溶液が硬化して樹脂2となり、所定の形状に成形される。より好ましくは、170℃以上の加熱と34kg/cm2以上の加圧により、木材チップ1同士をより密着させることができ、より強度を向上させることができる。
本発明の複合成形体は、上記の物に限られるものではなく、大きさの異なる2種類の木材チップを用いて、それぞれの木材チップをフェノール樹脂溶液と混合し、比較的大きな木材チップとフェノール樹脂溶液との混合物を比較的小さな木材チップとフェノール樹脂溶液との混合物で挟んだ状態で加熱加圧成形してもよい。これにより図5のような、比較的小さな木材チップからなる層6で比較的大きな木材チップからなる層5を挟んだ3層構造の複合成形体20となる。
本発明の複合成形体は、木材チップとフェノール樹脂溶液との混合物を加熱加圧成形前に所定の金型等で所定の形状に整えることで、種々の形状の複合成形体を形成することもできる。例えば、この複合成形体は、板状、柱状、筒状、ブロック状等の種々の形状を有していてもよい。
以下、本発明の複合成形体の製造方法及びの実施例を示す。なお、本発明においては、以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
[実施例1]
市販されているフェノール1000gと37%ホルマリン1290gを撹拌機と水冷式コンデンサーを備えた3リットルの三ツ口フラスコに入れ、85℃から95℃の湯浴中にて加熱した。これに、40%カセイソーダ水溶液200gと25%アンモニア水50gを触媒として徐々に加え、内温を90℃に保ちながら2時間反応させた。その後、常温まで冷却してレゾール型フェール樹脂を2500g得た。
市販されているフェノール1000gと37%ホルマリン1290gを撹拌機と水冷式コンデンサーを備えた3リットルの三ツ口フラスコに入れ、85℃から95℃の湯浴中にて加熱した。これに、40%カセイソーダ水溶液200gと25%アンモニア水50gを触媒として徐々に加え、内温を90℃に保ちながら2時間反応させた。その後、常温まで冷却してレゾール型フェール樹脂を2500g得た。
[実施例2]
木材を粉砕機で直径2mm以下、長さ6mm以下に粉砕し、含水率を3%となるように乾燥させて木材チップとした。そして、実施例1で生成したフェノール樹脂に水を加え、を25℃における粘度が1.9poiseで、不揮発分48%に調製、フェノール樹脂溶液とした。この木材チップにフェノール樹脂溶液の配合率が18%から16%となるように加え、混合器で混合した。この混合物の含水率は12%となった。
木材を粉砕機で直径2mm以下、長さ6mm以下に粉砕し、含水率を3%となるように乾燥させて木材チップとした。そして、実施例1で生成したフェノール樹脂に水を加え、を25℃における粘度が1.9poiseで、不揮発分48%に調製、フェノール樹脂溶液とした。この木材チップにフェノール樹脂溶液の配合率が18%から16%となるように加え、混合器で混合した。この混合物の含水率は12%となった。
成形の複合成形体が所要の厚さとなるように金型にフェノール樹脂溶液と木材チップとの混合物を入れ、185℃の温度、34kg/cm2の圧力で、形成される複合成形体の厚さ1mmあたり20秒から15秒間加熱加圧成形して、複合成形体を製造した。複合成形体の製造のために使用される加熱加圧成形する装置は、200℃の温度、38kg/cm2の圧力で加熱加圧できる装置であった。製造された複合成形体は、曲げ強度が350kg/cm2から550kg/cm2で、密度が0.85g/ccから1.2g/ccであった。
[実施例3]
上記フェノール樹脂溶液と含水率を3%以下の木材チップとを使用し、実施例2で説明した方法により、厚さが20mmの複合形成体を製造した。木材チップにフェノール樹脂溶液の配合率が18%となるようにフェノール樹脂溶液を加え、混合器で混合した。この混合物の含水率は12%となった。そして、製造される複合成形体の厚さが20mmとなる量の混合物を金型に入れた。金型に入れられた混合物は、185℃の温度、34kg/cm2の圧力で、形成される複合成形体の厚さ1mmあたり15秒間加熱加圧成形して、複合成形体を製造した。製造された20mmの複合成形体は、曲げ強度が510kg/cm2、吸水膨張率が4.2%、含水率が2.6%、密度1.05g/ccが、ホルムアルデヒド放出量が0.04ppmであった。
上記フェノール樹脂溶液と含水率を3%以下の木材チップとを使用し、実施例2で説明した方法により、厚さが20mmの複合形成体を製造した。木材チップにフェノール樹脂溶液の配合率が18%となるようにフェノール樹脂溶液を加え、混合器で混合した。この混合物の含水率は12%となった。そして、製造される複合成形体の厚さが20mmとなる量の混合物を金型に入れた。金型に入れられた混合物は、185℃の温度、34kg/cm2の圧力で、形成される複合成形体の厚さ1mmあたり15秒間加熱加圧成形して、複合成形体を製造した。製造された20mmの複合成形体は、曲げ強度が510kg/cm2、吸水膨張率が4.2%、含水率が2.6%、密度1.05g/ccが、ホルムアルデヒド放出量が0.04ppmであった。
[実施例4]
上記フェノール樹脂溶液と含水率を3%以下の木材チップとを使用し、実施例2で説明した方法により、厚さが16mmの複合形成体を製造した。木材チップにフェノール樹脂溶液の配合率が18%となるようにフェノール樹脂溶液を加え、混合器で混合した。この混合物の含水率は12%となった。そして、製造される複合成形体の厚さが16mmより厚くなる量の混合物を金型に入れた。金型に入れられた混合物は、185℃の温度、34kg/cm2の圧力で、形成される複合成形体の厚さ1mmあたり15秒間加熱加圧成形して、複合成形体を製造した。製造された複合形成体は、厚さが16mmとなるように表面を削った。形成された16mmの複合成形体は、曲げ強度が356kg/cm2、吸水膨張率が3.9%、含水率が3.1%、密度1.01g/ccが、ホルムアルデヒド放出量が0.04ppmであった。
上記フェノール樹脂溶液と含水率を3%以下の木材チップとを使用し、実施例2で説明した方法により、厚さが16mmの複合形成体を製造した。木材チップにフェノール樹脂溶液の配合率が18%となるようにフェノール樹脂溶液を加え、混合器で混合した。この混合物の含水率は12%となった。そして、製造される複合成形体の厚さが16mmより厚くなる量の混合物を金型に入れた。金型に入れられた混合物は、185℃の温度、34kg/cm2の圧力で、形成される複合成形体の厚さ1mmあたり15秒間加熱加圧成形して、複合成形体を製造した。製造された複合形成体は、厚さが16mmとなるように表面を削った。形成された16mmの複合成形体は、曲げ強度が356kg/cm2、吸水膨張率が3.9%、含水率が3.1%、密度1.01g/ccが、ホルムアルデヒド放出量が0.04ppmであった。
[実施例5]
上記フェノール樹脂溶液と含水率を3%以下の木材チップとを使用し、実施例2で説明した方法により、厚さが9mmの複合形成体を製造した。木材チップにフェノール樹脂溶液の配合率が18%となるようにフェノール樹脂溶液を加え、混合器で混合した。この混合物の含水率は12%となった。そして、製造される複合成形体の厚さが9mmとなる量の混合物を金型に入れた。金型に入れられた混合物は、185℃の温度、34kg/cm2の圧力で、形成される複合成形体の厚さ1mmあたり15秒間加熱加圧成形して、複合成形体を製造した。製造された9mmの複合成形体は、曲げ強度が494kg/cm2、吸水膨張率が4.6%、含水率が3.8%、密度0.93g/ccが、ホルムアルデヒド放出量が0.09ppmであった。
上記フェノール樹脂溶液と含水率を3%以下の木材チップとを使用し、実施例2で説明した方法により、厚さが9mmの複合形成体を製造した。木材チップにフェノール樹脂溶液の配合率が18%となるようにフェノール樹脂溶液を加え、混合器で混合した。この混合物の含水率は12%となった。そして、製造される複合成形体の厚さが9mmとなる量の混合物を金型に入れた。金型に入れられた混合物は、185℃の温度、34kg/cm2の圧力で、形成される複合成形体の厚さ1mmあたり15秒間加熱加圧成形して、複合成形体を製造した。製造された9mmの複合成形体は、曲げ強度が494kg/cm2、吸水膨張率が4.6%、含水率が3.8%、密度0.93g/ccが、ホルムアルデヒド放出量が0.09ppmであった。
1 木材チップ
2 樹脂
3 空隙
4 フェノール樹脂溶液
10 複合成形体
2 樹脂
3 空隙
4 フェノール樹脂溶液
10 複合成形体
Claims (5)
- 木材チップの含水率を3%以下となるように該木材チップを乾燥する工程と、
乾燥した上記木材チップと低分子量フェノール樹脂を水に分散したフェノール樹脂溶液とを混合する工程と、
上記木材チップと上記フェノール樹脂溶液との混合物を加熱加圧成形する工程とを有することを特徴とする複合成形体の製造方法。 - 上記木材チップと上記フェノール樹脂溶液との混合物は、加熱加圧成形前の含水率を13%以下とすることを特徴とする請求項1記載の複合成形体の製造方法。
- 上記木材チップと上記フェノール樹脂溶液との混合物は、150℃以上で加熱するとともに20kg/cm2以上で加圧することを特徴とする請求項1記載の複合成形体の製造方法。
- 上記フェノール樹脂溶液は、不揮発成分を45%以上55%以下とし、25℃における粘度を1.3poise以上2.0poise以下であることを特徴とする請求項1記載の複合成形体の製造方法。
- 含水率を3%以下になるように乾燥させた木材チップと、
低分子量フェノール樹脂を水に分散したフェノール樹脂溶液を上記木材チップと混合し、上記木材チップと上記フェノール樹脂溶液との混合物を加熱加圧成形することで硬化する樹脂とを有する
ことを特徴とする複合成形体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004323710A JP2006130825A (ja) | 2004-11-08 | 2004-11-08 | 複合成形体の製造方法及び複合成形体 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010208133A (ja) * | 2009-03-10 | 2010-09-24 | Dic Corp | 高強度パーティクルボードの製造方法 |
JP2022501221A (ja) * | 2018-09-21 | 2022-01-06 | ウーディオ オサケユキチュアWoodio Oy | 成形品の製造方法 |
-
2004
- 2004-11-08 JP JP2004323710A patent/JP2006130825A/ja active Pending
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JP2022501221A (ja) * | 2018-09-21 | 2022-01-06 | ウーディオ オサケユキチュアWoodio Oy | 成形品の製造方法 |
JP7336512B2 (ja) | 2018-09-21 | 2023-08-31 | ウーディオ オサケユキチュア | 成形品の製造方法 |
US12059817B2 (en) | 2018-09-21 | 2024-08-13 | Woodio Oy | Method of manufacturing moulded articles |
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