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JP2006113944A - データキャリア構造及びその設置構造 - Google Patents

データキャリア構造及びその設置構造 Download PDF

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JP2006113944A
JP2006113944A JP2004302714A JP2004302714A JP2006113944A JP 2006113944 A JP2006113944 A JP 2006113944A JP 2004302714 A JP2004302714 A JP 2004302714A JP 2004302714 A JP2004302714 A JP 2004302714A JP 2006113944 A JP2006113944 A JP 2006113944A
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仲麻呂 兵頭
Fujio Senba
不二夫 仙波
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Abstract

【課題】 本発明は、断面円形の設置対象物の外周面に容易に設置することが出来、通信可能範囲が拡張出来るデータキャリア構造及びその設置構造を提供することを可能にすることを目的としている。
【解決手段】 可撓性を有する帯状の基板2,3と、該基板2,3の長手方向に沿って配置された細長い磁束捕捉体と、該磁束捕捉体に電磁的に結合されたデータキャリア5とを備え、且つ全体がリング状に変形可能に構成したことを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、断面円形の設置対象物の外周面に沿って設置出来るデータキャリア構造、及びその設置構造に関するものである。
物品に関する情報、例えば物品の製造年月日、製造者、仕様、メンテナンス情報等の情報は、物品の製造、流通、使用、リサイクル等の各段階で必要になることが多い。近年、設置対象物である物品にデータキャリアを取り付け若しくは設置し、そのデータキャリアに物品に関する情報を記憶または読み出しする技術が普及してきた。一般的なデータキャリアは送受信用のアンテナを含む送受信部、CPU(中央演算装置)により構成した制御部、書き込み及び読み出し可能なメモリを有する記憶部、コンデンサにより構成した電源部を有し、アンテナ以外の部分はIC(Integrated Circuit)回路で構成して全体を極めて小型に形成している。
データキャリアに物品に関する情報を書き込みまたは呼び出しを行うにはリーダライタ等の通信装置を用いる。リーダライタは送受信用のアンテナと制御部、記憶部等を備え、そのアンテナとデータキャリアの送受信用のアンテナ間での非接触的な電磁波通信により、データキャリアの記憶部に物品の書き込みをし、または記憶した情報を読み出す。
物品には断面が円形に形成されたものが多い。例えばビア樽は断面円形な有底筒状の収容部と、該収容部の上部に連通する断面円形な注口部を有する。そのような断面円形な部分にデータキャリアを設置する場合、データキャリア全体が小型であれば円弧状の側面に接着等により貼り付けたりビス止めすることが出来る。しかしデータキャリア全体を小型化するにはアンテナも小さくする必要があるので、通信感度の低下により通信距離が短くなるという問題がある。特に物品が金属等の導電性材料で作られている場合は、電磁波通信に用いる電磁波(具体的には電磁波を構成する磁束φ)が導電性材料に吸収されるので通信距離は更に短くなる。
データキャリアの通信距離を拡大する技術として、データキャリアのアンテナと高透磁率の磁性シートを電磁的に結合し、その磁性シートにより電磁波通信に用いる磁束φを捕捉して通信距離及び通信の指向性を高めたデータキャリア構造が特開2002-319008号公報(特許文献1)に記載されている。
データキャリアの通信距離を拡大する他の技術として、ループアンテナを備えたデータキャリア構造が特開2002-319009号公報(特許文献2)に記載されている。この技術はデータキャリアの送受信用アンテナと、大きなループに形成したループアンテナとを電磁的に結合したもので、データキャリアはループアンテナを介して通信装置と電磁波通信を行うものであり、その通信感度はループアンテナの巻き数とループ面積に比例する。
特開2002−319008号公報 特開2002−319009号公報
しかしながら、前述の従来技術は、何れも平坦な面に設置することを目的として開発されたものであり、そのままでは断面円形の設置対象物の外周面に容易に設置することは困難であり、またデータキャリアの設置面以外の他の方向に通信装置を配置すると電磁波通信が出来ない。即ち、通信可能範囲が狭い角度内に限定されるという問題があった。
本発明は前記課題を解決するものであり、その目的とするところは、断面円形の設置対象物の外周面に容易に設置することが出来、通信可能範囲が拡張出来るデータキャリア構造及びその設置構造を提供せんとするものである。
前記目的を達成するための本発明に係るデータキャリア構造の第1の構成は、断面円形の設置対象物の外周面に沿って設置するデータキャリア構造であって、可撓性を有する帯状の基板と、前記基板の長手方向に沿って配置された細長い磁束捕捉体と、前記磁束捕捉体に電磁的に結合されたデータキャリアとを備え、且つ全体がリング状に変形可能とされていることを特徴とする。
また、本発明に係るデータキャリア構造の第2の構成は、前記第1の構成において、前記磁束捕捉体は、高透磁率の磁性シートを有して構成されていることを特徴とする。
また、本発明に係るデータキャリア構造の第3の構成は、前記第1の構成において、前記磁束捕捉体は、ループアンテナを有して構成されていることを特徴とする。
また、本発明に係るデータキャリア構造の第4の構成は、前記第1の構成において、前記磁束捕捉体は、高透磁率の磁性シートと、ループアンテナとを有して構成されていることを特徴とする。
また、本発明に係るデータキャリア構造の第5の構成は、前記第3、第4の構成において、前記ループアンテナは、長径の異なる複数のコイル体を有し、それらコイル体の一方の端部は互いに重なり合って配置され、その重なり部分においてデータキャリアが電磁的に結合していることを特徴とする。
また、本発明に係るデータキャリア構造の第6の構成は、前記第5の構成において、前記ループアンテナは2組設けられ、前記データキャリアは空芯の円形なアンテナと、そのアンテナに接続した制御部とを含むIC回路を有して構成され、前記各ループアンテナの重なり部分は前記基板の厚さ方向に前記データキャリアのアンテナを挟んで対向して配置されていることを特徴とする。
また、本発明に係るデータキャリア構造の第7の構成は、前記第1〜第6の何れかの構成において、前記基板はバネ性を有して全体がリング状に形成され、前記基板の両端部の間隔が拡縮可能とされていることを特徴とする。
また、本発明に係るデータキャリア設置構造の第1の構成は、前述のデータキャリア構造を断面円形の設置対象物に設置する構造において、前記データキャリア構造が前記設置対象物の外周面に沿って配置されていることを特徴とする。
また、本発明に係るデータキャリア設置構造の第2の構成は、前記第1の構成において、前記データキャリア構造における磁束捕捉体が高透磁率の磁性シートにより構成されると共に、前記データキャリアが円形なアンテナを有する円板状に形成され、前記磁性シートが前記設置対象物の外周面に沿って配置された状態で、前記磁性シートの一方の端部が前記データキャリアの一方の表面側に沿って配置されると共に該磁性シートの他方の端部が前記データキャリアの他方の表面側に沿って配置され、且つそれら磁性シートの一方の端部と他方の端部とは前記データキャリアの面方向において互いにオーバーラップしていることを特徴とする。
本発明に係るデータキャリア構造の第1の構成によれば、全体がリング状に変形可能とされているので、断面円形の設置対象物の外周面に沿って巻き付ける等により容易に設置出来る。そしてデータキャリアを上記のように断面円形の設置対象物の外周面に設置した状態では、基板の長手方向に沿って配置した磁束捕捉体が設置対象物の外周面に沿って配置されるので、設置対象物の外周面の何れの角度からも通信装置からの磁束を効率良く捕捉出来、且つ高感度(または長い通信距離)で電磁波通信を行うことが出来る。逆に磁束捕捉体はデータキャリアから発信する磁束も同様に捕捉して設置対象物の外周面の何れの角度からも通信装置に送り出すことが出来る。従って、通信装置の配置の自由度が高い。
また、本発明に係るデータキャリア構造の第2、第3、第4の構成によれば、磁束捕捉体として、高透磁率の磁性シート或いはループアンテナの少なくとも一方、或いは両方で構成すると、簡単な構造で且つ高い捕捉率で磁束を捕捉し、捕捉した磁束を通信装置からデータキャリアへ、またはその逆方向に伝達することが出来る。更にこのような磁束捕捉体を用いると、設置面の全周面以外に、それから上下方向、斜め方向等のずれた方向でも通信装置との間で高い通信感度を確保して電磁波通信を行うことが出来る。
また、本発明に係るデータキャリア構造の第5の構成によれば、ループアンテナが長径の異なる複数のコイル体を有し、それらコイル体の一方の端部を互いに重なるように配置し、その重なり部分においてデータキャリアを電磁的に結合したことで、直径の異なる断面円形の設置対象物の外周面に共通の寸法に製作されたデータキャリア構造を容易に設置出来る。即ち、外周面の長さに合わせてデータキャリア構造を複数のコイル体の一方の端部に設けた重なり部分と反対側の適当な位置で切断して設置することが出来る。この場合、未切断のループアンテナ部分を磁束捕捉体として通信装置との間で電磁波通信を行うことが出来る。
また、本発明に係るデータキャリア構造の第6の構成によれば、磁束捕捉体としてループアンテナを2組設け、データキャリアを空芯の円形なアンテナと、そのアンテナに接続した制御部とを含むIC回路を有して構成し、各ループアンテナの重なり部分を基板の厚さ方向にデータキャリアのアンテナを挟んで対向して配置することにより、2組のループアンテナのうち少なくとも一方のループアンテナを切断出来るので、長さ調整の自由度が大きくなる。
また、本発明に係るデータキャリア構造の第7の構成によれば、基板がバネ性を有し且つ全体が予めリング状に形成され、その両端部の間隔が拡縮可能とされているので、断面円形の設置対象物に対して、その外周に両端部を広げながら差し込みまたは引き出す操作だけで容易に装脱着出来る。そのためデータキャリア構造の設置やメンテナンス、またはリサイクルして繰り返し使用することが容易になる。
また、本発明に係るデータキャリア設置構造の第1の構成によれば、前述のデータキャリア構造を断面円形の設置対象物の外周面に設置しているので、設置対象物の外周面の何れの角度においても、通信装置との間で高い通信感度を確保して電磁波通信を行うことが出来る。
また、本発明に係るデータキャリア設置構造の第2の構成によれば、磁束捕捉体として高透磁率の磁性シートの一方の端部がデータキャリアの一方の表面側に沿って配置されると共に該磁性シートの他方の端部がデータキャリアの他方の表面側に沿って配置され、且つそれら磁性シートの一方の端部と他方の端部とはデータキャリアの面方向において互いにオーバーラップしているため通信装置からの電磁波による磁束が磁性シートで捕捉され、その捕捉された磁束がデータキャリアの面を貫通するようにしてデータキャリアに伝達される。逆にデータキャリアのアンテナからの電磁波による磁束はそのデータキャリアの面を貫通する方向に発生し、その磁束が磁性シートの一方の端部から流入し他方の端部から戻るようなループを形成し、それによって磁性シート全体に効率良く磁束が分布するので、その磁束が通信装置のアンテナで受信される。従って、この構成によれば一層高い通信感度で電磁波通信を行うことが出来る。
図により本発明に係るデータキャリア構造及びその設置構造の一実施形態を具体的に説明する。先ず、図1〜図3を用いて本発明に係るデータキャリア構造及びその設置構造の第1実施形態の構成について説明する。図1は本発明に係るデータキャリア構造の第1実施形態の模式図であり、(a)は第1実施形態のデータキャリア構造を示す正面説明図、(b)は(a)のA−A断面説明図、図2は断面円形の設置対象物の一例としてビア樽の上部に設けた注口部の外周面に第1実施形態のデータキャリア構造を巻き付け、接着剤等により外周面に密着して設置した状態を示す斜視図、図3は第1実施形態のデータキャリア構造を構成するデータキャリアの制御系のブロック図である。
図1において、断面円形の設置対象物7の外周面に沿って設置するデータキャリア構造1は可撓性を有する2枚の帯状の基板2,3と、一方の基板2の長手方向(図1(a)の左右方向)に沿って配置された細長い磁束捕捉体となる高透磁率の磁性シート4と、該磁性シート4に電磁的に結合されたデータキャリア5とを備え、且つデータキャリア構造1の全体がリング状に変形可能とされている。
基板2,3は可撓性を有するポリエチレンシート、ポリスチレンシートのような樹脂シート等の非導電性材料で作られ、その長手方向の寸法は断面円形の設置対象物7の一例として例えば図2に示すビア樽の注口部7aの外周長に適合するように設定するが、好ましくは注口部7aの外周長さの1.0倍〜0.8倍程度の範囲から選択する。
磁束捕捉体となる磁性シート4の一方の端部付近にデータキャリア5が配置され、磁性シート4及びデータキャリア5は接着剤6等により2枚の基板2,3の間に固定して配置される。本実施形態ではデータキャリア5として空芯の円形なアンテナ5aと、そのアンテナ5aの両端部に電気的に接続した制御部10を含むIC(Integrated Circuit)回路5bとを有して構成されたものを用いている。
磁性シート4はモリブデンやサマリウム等を含む一般的な高透磁率フェライト系の磁性シート4やフェライト系アモルファス等の高透磁率の磁性シート4により構成される。尚、この磁性シート4の厚さは可撓性を有する範囲(フェライト系アモルファスシートの場合は18μm〜30μm程度の厚さ範囲)とされる。
アンテナ5aのコイル面の半分程度と磁性シート4の端部表面は互いに平行して接近状態で対向配置され、それによって磁性シート4で吸収して補足した磁束φをアンテナ5aに効率良く伝達し、逆にアンテナ5aで発生した磁束を磁性シート4に効率良く伝達することが出来る。本発明で言う「電磁的な結合」とはこのような作用を有する両者の関係を意味する。
図2は図1に示すデータキャリア構造1を断面円形の設置対象物7の一例としてビア樽の注口部7aの外周面に沿って配置して設置した状態を示す斜視図である。データキャリア構造1はその磁性シート4側を内側(即ち図1(b)に示す基板2側を内側)にして設置対象物7となるビア樽の注口部7aの外周面に巻き付けるように配置し、接着剤等により固定することにより図2に示すような設置状態になる。尚、接着剤の代わりにビス止め等の固定具を用いても良い。
図2に示すように設置したデータキャリア構造1はリーダライタ等の通信装置8との間で電磁波通信を行うことが出来る。その際、通信装置8からデータキャリア5への磁束φ、またはデータキャリア5から通信装置8への磁束φは磁束捕捉体としての磁性シート4を介して伝達される。
即ち、通信装置8のアンテナから発信した電磁波を構成する磁束φは磁性シート4に吸収され、その吸収した磁束φにより磁性シート4と電磁的に結合したデータキャリア5のアンテナ5aに誘導電流が発生し、その誘導電流は受信信号としてIC回路5bを構成する制御部10に伝達される。
逆にIC回路5bからの発信信号によりアンテナ5aに流れる電流により誘導磁束φが発生し、その誘導磁束φが磁性シート4に吸収され、そこから更に外部の通信装置8のアンテナに磁束φとして発信される。
図3はデータキャリア装置1を構成するデータキャリア5の制御系のブロック図である。データキャリア5はIC回路5bを有し、該IC回路5bには共振回路を含む送信手段と受信手段を有する送受信部9、CPU(中央演算装置)により構成される制御部10、書き込み及び読み出し可能なフラッシュメモリ等により構成される記憶部11、コンデンサにより構成される電源部12が収容される。
本実施形態のデータキャリア5を構成する空芯の円形のアンテナ5aは平面状に形成され、その両端部にIC回路5bが電気的に接続される。このデータキャリア5は樹脂モールドにより外部から保護され、全体として円板状に形成される。
次に図2及び図3を参照して、断面円形の設置対象物7となるビア樽の注口部7aの外周面に沿って設置されたデータキャリア構造1のデータキャリア5の内部に設けられた送受信部9と外部の通信装置8との間で非接触通信を行う様子について説明する。先ず図2に示すビア樽の注口部7aの前面側に通信装置8を接近して、その通信開始ボタン(図示せず)を押すと、該通信装置8に予め設定されたシーケンスにより、該通信装置8のアンテナコイルから最初に呼出信号の電磁波が送信される。
その電磁波は磁束捕捉体となる磁性シート4により捕捉されてデータキャリア5のアンテナ5aで受信され、該アンテナ5aには電磁誘導による電流が流れ、その電流による信号が送受信部9を介して制御部10に入力されて該制御部10は受信状態になる。
次に送受信部9に接続されたアンテナ5aから送信された応答信号の電磁波が磁性シート4により捕捉されて通信装置8に伝送され、それによって通信装置8は次に読み出し信号または書き込み信号を送受信部9に送信する。
送受信部9はその信号を受けて制御部10が読み出し制御または書き込み制御を行う。そして読み出し制御の場合は、その読み出し信号に応じた情報を記憶部11から読み出し、アンテナ5aから送信された信号の電磁波が磁性シート4により捕捉されて通信装置8に伝送される。また通信装置8から送信された書き込み情報は記憶部11に記憶される。
尚、通信装置8はこの分野では周知のものであり、上記電源用電磁波送信、応答用電磁波送信、送受信部9からの受信制御等のシーケンスは、前記通信開始ボタン等を押すことにより自動的に実行される。
次に図4を用いて本発明に係るデータキャリア構造及びその設置構造の第2実施形態の構成について説明する。図4は本発明に係るデータキャリア構造の第2実施形態の模式図であり、(a)は第2実施形態のデータキャリア構造を示す正面説明図、(b)は(a)のB−B断面説明図である。尚、前記第1実施形態と同様に構成したものは同一の符号を付して説明を省略する。
前記第1実施形態では磁束捕捉体として高透磁率の磁性シート4を適用した場合の一例について説明したが、本実施形態では磁束捕捉体として基板3の長手方向(図4(a)の左右方向)に沿って配置された1回または複数回ループ状に巻回した長円の細長いループアンテナ13を適用した場合の一例について説明する。
この磁束捕捉体となるループアンテナ13の一例としては、例えば銅箔をループ状に切り抜いたものを基板3に接着する方法、または基板3にスクリーン印刷等によりループアンテナ13を形成する方法等により作ることが出来る。
ループアンテナ13の長径側の長さ(図4(a)の左右方向の長さ)は基板2,3の長尺方向(図4(a)の左右方向)の長さの寸法の0.95倍〜0.6倍程度、好ましくは0.9倍〜0.8倍程度の範囲に設定する。ループアンテナ13の長径側の長さを上記のような範囲にすると、データキャリア構造1を設置対象物7となるビア樽の注口部7aの外周面に設置したときに、ループアンテナ13の長径側の両端部がそれに応じた間隙で離反して互いに対向する(図2の磁性シート4をループアンテナ13に置き換えて参照)。
ループアンテナ13の長径側の両端部には、それぞれ電磁波通信に用いる磁束φによって誘起される電流(誘導電流)が循環するが、一方の端部の電流方向と他方の端部の電流方向は互いに逆になるので、それらによって誘起される二次磁束がその減殺分だけ減少する。
従って、例えば実験等により、そのような二次磁束の減少を生じさせないか若しくは大幅に抑制出来る範囲に基板2,3に対するループアンテナ13の長径側の長さを選択して該ループアンテナ13の長径側(図4(a)の左右方向)の両端部の離反間隙を設定することが望ましい。本発明者の実験によればループアンテナ13の長径側の両端部の離反間隔を少なくとも2mm〜3mm程度の範囲に設定すれば磁束減少効果は無視し得る程度になる。
データキャリア5におけるアンテナ5aのコイル面と、ループアンテナ13におけるループ面の長径側の端部(図4の実線で示すデータキャリア5の位置)、或いは中間部(図4の破線で示すデータキャリア5の位置)は互いに平行して接近状態で対向配置され、それによって磁束捕捉体となるループアンテナ13で吸収して補足した磁束φをアンテナ5aに効率良く伝達し、逆にアンテナ5aで発生した磁束φをループアンテナ13に効率良く伝達することが出来る。即ち、磁束捕捉体となるループアンテナ13とデータキャリア5のアンテナ5aとは電磁的に結合されている。
そして、通信装置8のアンテナから発信した電磁波を構成する磁束φは磁束捕捉体としてのループアンテナ13により捕捉され、捕捉された磁束φによりループアンテナ13に流れる誘導電流により二次磁束が発生する。その二次磁束がループアンテナ13と電磁的に結合したデータキャリア5のアンテナ5aに鎖交することにより、該アンテナ5aに誘導電流が発生し、この誘導電流が受信信号としてIC回路5bに設けられた制御部10に伝達される。逆にIC回路5bからの発信信号によりアンテナ5aに流れる電流により誘導磁束が発生し、その誘導磁束がループアンテナ13に鎖交することにより二次誘導電流が発生し、その二次誘導電流により発生した二次磁束が通信装置8のアンテナに磁束φとして発信される。他の構成は前記第1実施形態と同様に構成され、同様の効果を得ることが出来る。
次に図5を用いて本発明に係るデータキャリア構造及びその設置構造の第3実施形態の構成について説明する。図5は本発明に係るデータキャリア構造の第3実施形態の模式図であり、(a)は第3実施形態のデータキャリア構造を示す正面説明図、(b)は(a)のC−C断面説明図である。尚、前記各実施形態と同様に構成したものは同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態は、図1に示す第1実施形態と、図4に示す第2実施形態とを組み合わせた一例であり、基板2,3の長手方向に沿って配置された細長い磁束捕捉体として、高透磁率の磁性シート4と、長円形のループアンテナ13の両方を有して構成される。尚、これら磁性シート4及びループアンテナ13自体は前述の第1、第2実施形態と同様な構成であるので、それらの説明は省略する。
本実施形態では磁性シート4がループアンテナ13の長径方向に沿って一方のアンテナ線上に重なるように配置されており、磁性シート4とループアンテナ13との相乗効果によりデータキャリア5と通信装置8との電磁波通信をより高感度で行うことが出来る。
即ち、通信装置8のアンテナから発信した電磁波を構成する磁束φは、磁束捕捉体としてのループアンテナ13により捕捉され、捕捉された磁束φによりループアンテナ13には誘導電流が生じ、その誘導電流により発生する二次磁束が磁束捕捉体としてのループアンテナ13と電磁的に結合したデータキャリア5のアンテナ5aに鎖交し、それによってアンテナ5aに誘導電流が発生し、この誘導電流は受信信号としてIC回路5bの制御部10に伝達される。
それと共に、通信装置8のアンテナから発信した電磁波を構成する磁束φは磁束捕捉体としての磁性シート4にも集中的に吸収され、その吸収した磁束φがループアンテナ13と鎖交することにより該ループアンテナ13における前記誘導電流を増加させる。一方、磁性シート4に吸収した磁束φは直接、データキャリア5のアンテナ5aとも鎖交してそこに誘導電流を発生させる。そしてアンテナ5aに合成された誘導電流は受信信号としてIC回路5bの制御部10に伝達される。
逆にIC回路5bからの発信信号によりデータキャリア5のアンテナ5aには磁束φが発生し、その磁束φがループアンテナ13と鎖交すると共に磁性シート4にも吸収され、該ループアンテナ13及び磁性シート4から外部の通信装置8のアンテナに磁束φとして発信される。尚、本実施形態のデータキャリア5はループアンテナ13の長径方向の一端部に配置した場合の一例について説明したが、データキャリア5は図4において破線で示したデータキャリア5のように、ループアンテナ13の長径方向の中央部、或いはそれ以外の任意の中間部に配置しても良い。
このように、本実施形態では、磁束捕捉体としての磁性シート4とループアンテナ13との2つのルートで磁束φが捕捉され、それらが合成されて電磁波通信用の磁束φとして伝送されるので、より高感度の電磁波通信が出来る。尚、ループアンテナ13の短径方向(図5(a)の上下方向)の寸法に対する磁性シート4の短幅方向(図5(a)の上下方向)の寸法比率を20%〜100%の範囲で変化させて実験した結果、何れの場合でもその通信感度(通信距離)は殆ど変化しなかった。他の構成は前記各実施形態と同様に構成され、同様の効果を得るものである。
次に図6を用いて本発明に係るデータキャリア構造及びその設置構造の第4実施形態の構成について説明する。図6は本発明に係るデータキャリア構造の第4実施形態の模式図であり、(a)は第4実施形態のデータキャリア構造を示す正面説明図、(b)は(a)のD−D断面説明図である。尚、前記各実施形態と同様に構成したものは同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態は図6に示すように、図5に示した第3実施形態のデータキャリア5のアンテナ5aを省略し、ループアンテナ13の両端部のリード線をIC回路5bの送受信部9に電気的に接続したものである。
即ち、本実施形態のデータキャリア構造1は、磁束捕捉体として1回または複数回巻回した長円形のループアンテナ13と、該ループアンテナ13の両端に電気的に接続したデータキャリア5のIC回路5bと、磁束捕捉体となる高透磁率の磁性シート4とを備えて構成したものである。尚、IC回路5bは図3に示した第1実施形態と略同様な構成である。
本実施形態では、IC回路5bの送受信部9が直接、ループアンテナ13に接続され、アンテナ5aを省略して該アンテナ5aの代わりをループアンテナ13が兼ねるのでデータキャリア構造1が簡単に出来る。
そして通信装置8からの受信信号はループアンテナ13に流れる誘導電流を直接、送受信部9で受信することが出来、逆に送受信部9から通信装置8への送信信号は直接、ループアンテナ13に伝達される。その際、通信装置8からの磁束φの受信信号強度または通信装置8への磁束φの送信信号強度は磁束捕捉体となる磁性シート4の磁束捕捉作用により増加する。
尚、本実施形態のようにデータキャリア5のアンテナ5aを省略する方法は図4及び図5に示した第2、第3実施形態にも同様に適用出来る。他の構成は前記各実施形態と同様に構成され、同様の効果を得ることが出来るものである。
次に図7を用いて本発明に係るデータキャリア構造及びその設置構造の第5実施形態の構成について説明する。図7は本発明に係るデータキャリア構造の第5実施形態の模式図であり、(a)は第5実施形態のデータキャリア構造を示す正面説明図、(b)は(a)のE−E断面説明図である。尚、前記各実施形態と同様に構成したものは同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態は、図7に示すように、前記図4に示す第2実施形態における磁束捕捉体としてのループアンテナ13が長径の異なる複数のコイル体13a,13b,13c,13dを有し、それらコイル体13a〜13dの一方の端部15が互いに電気的絶縁状態で重なり合って配置され、その重なり部分においてデータキャリア5のアンテナ5aが電磁的に結合している。その他は前記第2実施形態と同様に構成される。このループアンテナ13も図4に示す第2実施形態と同様に、例えば銅箔をループ状に切り抜いたものを基板3に接着する方法、または基板3にスクリーン印刷等により形成する方法等により作ることが出来る。尚、多少感度は低下するが、前記コイル体13a〜13dの重なり部分を互いに電気的に導通した状態とすることも出来る。
本実施形態のデータキャリア構造1は、直径の異なる断面円形の設置対象物7であっても、その外周面に共通の寸法で製作されたデータキャリア構造1を適用出来る。即ち、設置対象物7の外周面の長さに合わせてデータキャリア構造1をループアンテナ13の複数のコイル体13a〜13dの一方の端部15の重なり部分と反対側の適当な位置、例えば図7(a)に示すX−X部分で切断して設置することが出来る。
このように切断したループアンテナ13は、その未切断部分(例えばコイル体13a)を磁束捕捉体として通信装置8との間で電磁波通信を行うことが出来る。他の構成は前記各実施形態と同様に構成され、同様の効果を得ることが出来るものである。
次に図8を用いて本発明に係るデータキャリア構造及びその設置構造の第6実施形態の構成について説明する。図8は本発明に係るデータキャリア構造の第6実施形態の模式図であり、(a)は第6実施形態のデータキャリア構造を示す正面説明図、(b)は(a)のF−F断面説明図である。尚、前記各実施形態と同様に構成したものは同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態では、図8に示すように、図7に示す第5実施形態において、長径の異なる複数のコイル体13a,13b,13c,13dを有するループアンテナ13を2組設け、空芯の円形なアンテナ5aと、そのアンテナ5aに接続したIC回路5bの制御部10とを有して構成されるデータキャリア5を用い、各ループアンテナ13のそれぞれの一方の端部15の各コイル体13a〜13dの重なり部分が、基板2,3の厚さ方向にデータキャリア構造1の中央部に配置されたデータキャリア5のアンテナ5a部分を挟んで対向して配置されている。
本実施形態においても直径の異なる断面円形の設置対象物7であっても、その外周面に共通の寸法に製作されたデータキャリア構造1を適用出来る。例えば図8に示すように図8の右側のループアンテナ13をX−X部分で切断し、図8の左側のループアンテナ13をY−Y部分で切断して用いることが出来る。尚、場合によっては、X−X部分またはY−Y部分のいずれか一方のみを切断して用いることも出来る。他の構成は前記各実施形態と同様に構成され、同様の効果を得ることが出来るものである。
次に図9を用いて本発明に係るデータキャリア構造及びその設置構造の第7実施形態の構成について説明する。図9は本発明に係るデータキャリア構造の第7実施形態の斜視説明図である。尚、前記各実施形態と同様に構成したものは同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態では、図9に示すように、データキャリア構造1の基板2,3が全体としてバネ性を有し且つ全体が予めリング状に形成されている。そして基板2,3の両端部1a,1bの間隔が手等で拡縮可能とされている。図9に示すデータキャリア構造1ではその両端部1a,1bが外側に折り曲げられており、図9に示す矢印方向に手で容易に拡大出来るようになっており、手を離すと図9に示すように互いの間隔が基の狭い状態に戻る。
このように基板2,3を全体としてバネ性を付与するには、少なくとも一方の基板2(又は3)を例えば弾性を有する樹脂シートで構成すれば良い。また設置対象物7の外周面に接する基板2をアルミ板やステンレス板等のバネ性を有する金属材料またはそれと樹脂層の複合層構造とすることも出来る。
尚、本実施形態のように基板2,3を全体としてバネ性を有し且つ全体を予めリング状に形成する形態は、図1、図4〜図8の各実施形態に適用することも出来る。他の構成は前記各実施形態と同様に構成され、同様の効果を得ることが出来るものである。
次に図10を用いて本発明に係るデータキャリア構造及びその設置構造の第8実施形態の構成について説明する。図10は本発明に係るデータキャリア構造の第8実施形態の構成を示す断面説明図である。尚、前記各実施形態と同様に構成したものは同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態では、図10に示すように、図4に示した第2実施形態のデータキャリア構造1において、可撓性を有する樹脂シート等の基板2,3を用い、断面円形の設置対象物7の外周面に接する基板2の内側に該基板2と略同一の形状及び面積を有するアルミニウム箔のような導電性を有する薄い金属層14を設けたものであり、その他は同様に構成される。
例えば断面円形の設置対象物7が樹脂等の非導電性材料で作られている場合には通信装置8と電磁波通信に用いる磁束φが該設置対象物7の外周面の一方から反対側に貫通して通信感度が低下することがある。そこでデータキャリア構造1に金属層14を設けることにより導電性材料で作られた設置対象物7と同様な状態になるので、このような問題は回避され、安定した電磁波通信が可能となる。尚、このような金属層14の設置方式は図4に示す第2実施形態以外にも図1、図5〜図9に示す他の各実施形態にも同様に適用出来る。
次に図11を用いて本発明に係るデータキャリア構造及びその設置構造の第9実施形態の構成について説明する。図11(a)は本発明に係るデータキャリア構造の設置構造の第9実施形態の構成を示す断面説明図、図11(b)は図11(a)のG部分の部分拡大図である。尚、前記各実施形態と同様に構成したものは同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態では、図11に示すように、図1及び図2に示して前述した第1実施形態の設置構造において、図1のデータキャリア構造1を断面円形の設置対象物7の外周面に沿って配置する際、図11(b)に示すように、磁束捕捉体となる高透磁率の磁性シート4の一方の端部4aがデータキャリア5の一方の表面側に沿って配置されると共に該磁性シート4の他方の端部4bが該データキャリア5の他方の表面側に沿って配置され、且つそれら磁性シート4の一方の端部4aと他方の端部4bとは該データキャリア5の面方向において互いにオーバーラップ(重複)している。このオーバーラップした長さLは磁性シート4の幅(短辺側の長さ、即ち図1(a)の上下方向の長さ)と同程度が好ましく、少なくとも該磁性シート4の幅の±10%〜20%以内とする。このように構成すると一層高い通信感度でデータキャリア5と通信装置8との間の電磁波通信を行うことが出来る。他の構成は前記各実施形態と同様に構成され、同様の効果を得ることが出来るものである。
<実験例>
前述した各種データキャリア構造1を断面円形の設置対象物7に設置し、その通信距離(通信感度)を測定した結果を図12〜図14に示す。使用した設置対象物7は直径60mm、厚さ3mmの鉄パイプであり、通信装置8は株式会社ハネックスから市販されているHX001型リーダライタ(高周波出力0.02W)を用いた。尚、通信距離の測定はリーダライタの検出面を設置対象物7の外周面に沿って設置したデータキャリア構造1に垂直に向け真上からデータキャリア構造1とリーダライタとの電磁波通信可能な離間距離を「通信距離」とした。
先ず比較実験例として前記設置対象物7の外周面に直径30mmの円形のデータキャリア5を貼り付けて通信距離を測定した。使用したデータキャリア5は空芯の円形なアンテナ5aにIC回路5bを接続したもの(株式会社ハネックスから市販されている商品名「クリアタグ」)で、通信周波数が125kHzのものである。実験の結果、通信距離は50mmであったが、リーダライタの検出面をデータキャリア5のアンテナ5aのコイル面に垂直な位置から離れる角度に移動すると急激に通信距離が低下し、実用的な使用角度は著しく狭い状態であった。
図12(a)〜(d)に示す各実験例1〜4に用いたデータキャリア構造1の基板2,3は可撓性を有する厚さ0.6mm±0.2mmのポリエチレンシートを用い、データキャリア5は前記比較実験例と同様なもので空芯の円形なアンテナ5aにIC回路5bを接続したもの(株式会社ハネックスから市販されている商品名「クリアタグ」)で、通信周波数が125kHzのもので、全体の外径直径が20mm、30mm及び50mmの3種を用いて実験した。尚、図中の「鉄」とは設置対象物7である「鉄パイプ」の意味である。
データキャリア構造1の磁束捕捉体を構成する高透磁率の磁性シート4は、フェライト系アモルファスシート(日立金属製の商品名「ファイメットシート」、型式FT-3M、比透磁率100000、厚さ30μm)、またはフェライトシート(株式会社NITO製 型式No.5000NS、比透磁率1000程度、厚さ2.0mmを用い、それぞれ短軸側の寸法を12mm、長手方向の寸法180mmに切断加工して基板2の表面に貼り付けた。尚、図10に示す金属層14として、アルミ箔または銅箔を併用する場合は、基板2にそれと同じ面積の厚さ30μmの箔を貼り付けた。
また図13(a),(b)に示す各実験例5、6に用いたデータキャリア構造1の基板2,3は前記実験例1〜4と同様なものを用い、磁束捕捉体を構成するループアンテナ13はループの長径180mm、短径20mm、巻数3ターンとし、基板3に銅膜を幅及び厚さ1mmにプリント印刷して形成した。更に磁性シート4を併用する場合は、前記実験例1〜4に用いたアモルファスシートと同様のものを使用した。尚、各実験例5、6に用いたデータキャリア5は前記実験例1〜4と同様のもので、その全体の外径直径は30mmである。
<実験例1>
図1に示した第1実施形態のデータキャリア構造1を用いて通信距離を測定した結果を図12(a)に示す。データキャリア5の全体の外径直径は30mmで、データキャリア構造1の端部に配置されたデータキャリア5の垂直方向真上を0度(基準)として、断面円形の設置対象物7となる円筒鉄管の外周面に沿って円周方向に1周回する各角度におけるデータキャリア5と通信装置8との間で通信可能な最大離間距離を通信距離として測定したものである。図12(a)に示すように、磁束捕捉体を構成する高透磁率の磁性シート4としては、フェライト系アモルファスシートが安定した通信感度を得ることが出来ることが判明した。
<実験例2>
図10に示す第8実施形態のように、データキャリア構造1の基板2の内側表面に金属層14としてアルミ箔を貼り付け、その上に磁束捕捉体を構成する高透磁率の磁性シート4としてアモルファスシートを配置したデータキャリア構造1を用いて通信距離を測定した結果を図12(b)に示す。データキャリア5の全体の外径直径は20mm、30mm、50mmについてそれぞれ、データキャリア構造1の端部に配置されたデータキャリア5の垂直方向真上を0度(基準)として、断面円形の設置対象物7となる円筒鉄管の外周面に沿って円周方向に1周回する各角度におけるデータキャリア5と通信装置8との間で通信可能な最大離間距離を通信距離として測定したものである。
<実験例3>
実験例3では、前記実験例2における金属層14としてのアルミ箔を銅箔に変えて同様に通信距離を測定した結果を図12(c)に示す。
<実験例4>
実験例4では、図10に示す第8実施形態のようにデータキャリア構造1の基板2の内側表面に金属層14としてアルミ箔、或いは銅箔を貼り付けるか、或いは金属層14を省略し、その上に磁束捕捉体を構成する高透磁率の磁性シート4としてアモルファスシート、或いはフェライトシートを配置するか、或いは磁性シート4を省略し、更に磁性シート4がアモルファスシートの場合で該アモルファスシートの短尺側(例えば図1(a)の上下方向)の寸法(5mm、40mm)を種々変えたデータキャリア構造1を用いて通信距離を測定した結果を図12(d)に示す。
データキャリア5の全体の外径直径は20mm、30mm、50mmについてそれぞれ、データキャリア構造1の端部に配置されたデータキャリア5の垂直方向真上に通信装置8を配置してデータキャリア5と通信装置8との間で通信可能な最大離間距離を通信距離として測定したものである。
<実験例5>
図5に示す第3実施形態のデータキャリア構造1において、基板2の内側表面に金属層14としてアルミ箔を貼り付け、データキャリア5を磁束捕捉体を構成するループアンテナ13の長径方向(図5(a)の左右方向)中央部に配置したデータキャリア構造1を用いて通信距離を測定した結果を図13(a)に示す。
本実験例では、データキャリア構造1の中央部の垂直方向真上を0度(基準)として、断面円形の設置対象物7となる円筒鉄管の外周面に沿って円周方向に左右に半周回する各角度におけるデータキャリア5と通信装置8との間で通信可能な最大離間距離を通信距離として測定したものである。
<実験例6>
本実験例では、図6に示す第4実施形態のデータキャリア構造1を用いて前記実験例5と同様にデータキャリア構造1の中央部の垂直方向真上を0度(基準)として、断面円形の設置対象物7となる円筒鉄管の外周面に沿って円周方向に左右に半周回する各角度におけるデータキャリア5と通信装置8との間で通信可能な最大離間距離を通信距離として測定したものである。
上記実験結果から、データキャリア5を設置対象物7として鉄管等の磁性体に取りつける場合、(1)磁性を遮断するアルミ箔、銅箔等が有ると通信感度が上がり、下地の磁性体からの影響が少なくなることが判明した。また(2)リーダライタ装置等の通信装置8から電磁波を受けるデータキャリア5のアンテナ5aの外径が大きい程、通信感度が上がることが判明した。
<実験例7>
本実験例では、図11に示す第9実施形態のデータキャリア設置構造を用いて通信距離を測定した結果を図14に示す。本実験例に用いたデータキャリア構造1及び設置対象物7は前記実験例1と同じものを使用した。但し磁性シート4はアモルファスシート(短手方向の幅12mm)とし、その端部4a,4b間は面方向に12mmオーバーラップ(重複)した状態とした。図14に示すように高い通信感度で電磁波通信が可能であることが分かる。
<実験例8>
本実験例では、前記実験例9と同様な実験を行って通信距離を測定した結果を図14に示す。但し、本実験例で磁性シート4はアモルファスシート(短手方向の幅5mm)とし、図1(b)に示す基板2の表面にアルミ箔(短手方向の幅5mm)を貼り付けた。そして磁性シート4の端部4a,4b間は面方向に5mmオーバーラップ(重複)した状態とした。図14に示すように前述と同様に高い通信感度で電磁波通信が可能であることが分かる。
上記各データキャリア構造1の電磁波通信に用いる周波数(通信周波数)は、この分野で使用されている数十kHz〜数百MHzの範囲、例えば慣用されている125kHz、13.56MHz等の周波数に適宜設定することが出来る。この周波数は例えばデータキャリア5の送受信部9の共振周波数を適宜選択することにより簡単に設定出来る。
本発明の活用例として、本発明のデータキャリア構造1は金属等の導電性材料、樹脂等の非導電性材料またはそれらの複合材料で作られた断面円形の設置対象物7の曲率を有する外周面に容易に設置することが出来る。そのような物体としては前述したビア樽の他に、棒状部分を有する工具、配管、ケーブル、種々のポール、街路灯等の棒状もしくは筒状部分を有する敷設物、自転車のフレーム等に設置して広く適用出来るものである。
本発明に係るデータキャリア構造の第1実施形態の模式図であり、(a)は第1実施形態のデータキャリア構造を示す正面説明図、(b)は(a)のA−A断面説明図である。 断面円形の設置対象物の一例としてビア樽の上部に設けた注口部の外周面に第1実施形態のデータキャリア構造を巻き付け、接着剤等により外周面に密着して設置した状態を示す斜視図である。 第1実施形態のデータキャリア構造を構成するデータキャリアの制御系のブロック図である。 本発明に係るデータキャリア構造の第2実施形態の模式図であり、(a)は第2実施形態のデータキャリア構造を示す正面説明図、(b)は(a)のB−B断面説明図である。 本発明に係るデータキャリア構造の第3実施形態の模式図であり、(a)は第3実施形態のデータキャリア構造を示す正面説明図、(b)は(a)のC−C断面説明図である。 本発明に係るデータキャリア構造の第4実施形態の模式図であり、(a)は第4実施形態のデータキャリア構造を示す正面説明図、(b)は(a)のD−D断面説明図である。 本発明に係るデータキャリア構造の第5実施形態の模式図であり、(a)は第5実施形態のデータキャリア構造を示す正面説明図、(b)は(a)のE−E断面説明図である。 本発明に係るデータキャリア構造の第6実施形態の模式図であり、(a)は第6実施形態のデータキャリア構造を示す正面説明図、(b)は(a)のF−F断面説明図である。 本発明に係るデータキャリア構造の第7実施形態の斜視説明図である。 本発明に係るデータキャリア構造の第8実施形態の構成を示す断面説明図である。 (a)は本発明に係るデータキャリア構造の設置構造の第9実施形態の構成を示す断面説明図、(b)は(a)のG部分の部分拡大図である。 各データキャリア構造のデータキャリアと通信装置との間で通信可能な最大離間距離を通信距離として測定した実験結果を示す図である。 各データキャリア構造のデータキャリアと通信装置との間で通信可能な最大離間距離を通信距離として測定した実験結果を示す図である。 各データキャリア構造のデータキャリアと通信装置との間で通信可能な最大離間距離を通信距離として測定した実験結果を示す図である。
符号の説明
1…データキャリア構造
1a,1b…両端部
2,3…基板
4…磁性シート
4a,4b…端部
5…データキャリア
5a…アンテナ
5b…IC回路
6…接着剤
7…設置対象物
7a…注口部
8…通信装置
9…送受信部
10…制御部
11…記憶部
12…電源部
13…ループアンテナ
13a〜13d…コイル体
14…金属層
15…端部

Claims (9)

  1. 断面円形の設置対象物の外周面に沿って設置するデータキャリア構造であって、
    可撓性を有する帯状の基板と、前記基板の長手方向に沿って配置された細長い磁束捕捉体と、前記磁束捕捉体に電磁的に結合されたデータキャリアとを備え、且つ全体がリング状に変形可能とされていることを特徴とするデータキャリア構造。
  2. 前記磁束捕捉体は、高透磁率の磁性シートを有して構成されていることを特徴とする請求項1に記載のデータキャリア構造。
  3. 前記磁束捕捉体は、ループアンテナを有して構成されていることを特徴とする請求項1に記載のデータキャリア構造。
  4. 前記磁束捕捉体は、高透磁率の磁性シートと、ループアンテナとを有して構成されていることを特徴とする請求項1に記載のデータキャリア構造。
  5. 前記ループアンテナは、長径の異なる複数のコイル体を有し、それらコイル体の一方の端部は互いに重なり合って配置され、その重なり部分においてデータキャリアが電磁的に結合していることを特徴とする請求項3または請求項4に記載のデータキャリア構造。
  6. 前記ループアンテナは2組設けられ、前記データキャリアは空芯の円形なアンテナと、そのアンテナに接続した制御部とを含むIC回路を有して構成され、前記各ループアンテナの重なり部分は前記基板の厚さ方向に前記データキャリアのアンテナを挟んで対向して配置されていることを特徴とする請求項5に記載のデータキャリア構造。
  7. 前記基板はバネ性を有して全体がリング状に形成され、前記基板の両端部の間隔が拡縮可能とされていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のデータキャリア構造。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のデータキャリア構造を断面円形の設置対象物に設置する構造において、前記データキャリア構造が前記設置対象物の外周面に沿って配置されていることを特徴とするデータキャリア設置構造。
  9. 前記データキャリア構造における磁束捕捉体が高透磁率の磁性シートにより構成されると共に、前記データキャリアが円形なアンテナを有する円板状に形成され、前記磁性シートが前記設置対象物の外周面に沿って配置された状態で、前記磁性シートの一方の端部が前記データキャリアの一方の表面側に沿って配置されると共に該磁性シートの他方の端部が前記データキャリアの他方の表面側に沿って配置され、且つそれら磁性シートの一方の端部と他方の端部とは前記データキャリアの面方向において互いにオーバーラップしていることを特徴とする請求項8に記載のデータキャリア設置構造。
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