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JP2006104238A - ラジカル重合開始剤及びそれを用いた重合体の製造方法 - Google Patents

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JP2006104238A JP2004289583A JP2004289583A JP2006104238A JP 2006104238 A JP2006104238 A JP 2006104238A JP 2004289583 A JP2004289583 A JP 2004289583A JP 2004289583 A JP2004289583 A JP 2004289583A JP 2006104238 A JP2006104238 A JP 2006104238A
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昭太 新林
Hideo Nagashima
英夫 永島
Yukihiro Motoyama
幸弘 本山
Jinka Kin
仁華 金
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Abstract

【課題】 複核錯体としてアルコキシ配位の2核ルテニウム錯体と活性有機ハロゲン化合物の組み合わせによるラジカル重合開始剤を提供する。さらにその開始剤を用いて末端に化学変換可能な官能基を有するポリマーの製造法を提供する。
【解決手段】 触媒活性を示す金属錯体として、金属錯体単独による活性制御を可能とする、特定なアルコキシ配位ルテニウム2核錯体とハロゲン化合物系とのラジカル重合開始剤を見出す。さらにその重合開始剤の存在下で、ラジカル重合性単量体を重合させることを特徴とする重合体を製造する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、アルコキシルテニウム2核錯体と活性有機ハロゲン化合物からなるラジカル重合開始剤、ならびに、それを用いる重合体の製造方法に関する。より詳しくは、本発明はラジカル重合性単量体の種類、組み合わせに対して幅広い範囲で適用可能な上記ラジカル重合開始剤を使用し、分子量を制御しつつ、生成した重合体の化学変換を可能にする末端官能基をもつ重合体を製造する方法に関する。
従来のラジカル重合と異なり、ポリマー成長末端が化学変換可能な活性を有するリビングラジカル重合、例えば、原子移動ラジカル重合(ATRP)(非特許文献1参照)、ニトロキシドを介するラジカル重合(NMP)(非特許文献2参照)、硫黄類化合物経由可逆付加チェイントランスファーラジカル重合(RAFT)(非特許文献3参照)などは、ポリマーの分子量、モノマー残基序列、次元構造などを任意に制御できることから、この10年以来多くの注目を集めて来た。その中で、特に、金属錯体とハロゲン化合物との組み合わせによる原子移動ラジカル重合系はその広範に渡るモノマー種類の適応性が示され、それを用いるポリマーの精密制御方法は、ポリマーの合成だけではなく、基材表面・界面の化学修飾、デバイス構築にも広がるようになった。
ATRP法で用いられる金属錯体は、通常は銅、またはルテニウム錯体であり、かつそれらは一つの金属を有する単核金属化合物に限られている。ルテニウム単核錯体を用いる重合触媒系では、重合触媒活性を引き起こすために、ルテニウム錯体以外に、アルミニウム類金属化合物、またはアミン類配位子などを余分に使うことが要求される(例えば特許文献1及び2参照)。従って、重合反応において、モノマー種類などが変わると反応制御が困難となること、モノマー以外の化合物の混入によるポリマー精製が煩雑になることなど、多くの問題が問われている。また、ルテニウム錯体はイオン性ではなく、それに由来の重合溶剤への適応性にも限界が生じることもある。
一方、複核錯体として二つのルテニウム金属を一つの錯体分子中に有する2核ルテニウム錯体は、有機合成での環化付加反応に優れた触媒活性を示すことが知られている(非特許文献4参照)。このことは、2核のルテニウム錯体が二重結合を有する化合物について、普遍的な付加反応触媒活性をもたらすことが示唆されたと考えられる。しかしながら、従来の2核ルテニウム錯体はルテニウム−ルテニウム結合を有することを特徴とした。
このような技術背景から、本発明では、2核のルテニウム間をアルコキシで配位させた2核ルテニウム錯体の合成およびそれをラジカル重合触媒に展開することを検討し、本発明を完成するに至った。
J. Wangら、Macromolecules, 1995年、28巻、7901頁 C. J. Hawkerら、Macromolecules, 1996年、29巻、5245頁 A. Ajayghoshら、Macromolecules, 1998年、31巻、1463頁 H. Kondoら、J. Am. Chem. Soc. 2002年、123巻、500頁 特開平8−41117号公報 特開2002−80523号公報
本発明が解決しようとする課題は、複核錯体として、アルコキシ配位のルテニウム2核錯体と活性有機ハロゲン化合物の組み合わせによるラジカル重合開始剤を提供することにあり、さらにその開始剤を用いる重合反応から末端に化学変換可能な官能基を有するポリマーの製造法を提供する。
本発明では、触媒活性を示す金属錯体として、金属錯体単独による活性制御を可能とする、特定なアルコキシ配位ルテニウム2核錯体とハロゲン化合物系とのラジカル重合開始剤を見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、シクロペンタジエニル基を有するアルコキシ配位ルテニウム2核錯体(以下、ルテニウム2核錯体という)(A)と、活性有機ハロゲン化合物(B)とからなることを特徴とするラジカル重合開始剤を提供する。
又、本発明は、上記重合開始剤の存在下で、少なくとも1種類、好ましくは2種類以上のラジカル重合性単量体を重合させることを特徴とする重合体の製造方法を提供する。
本発明は、上記金属2核錯体と上記活性有機ハロゲン化合物をラジカル重合開始剤として用いることで、その金属2核錯体の優れた触媒活性により、そのラジカル重合反応が室温以下でも進行することができる。
本発明では、金属錯体として、後出の一般式(化1)で示されるように、ペンタシクロペンタジエニル基が配位されたルテニウムとルテニウム間にアルコキシ基が配位され、繋げた4員環構造を有するルテニウム2核錯体(A)を用いられる。かかるルテニウム2核錯体では、2核金属を取り囲む周辺置換基は触媒活性に寄与するが、二つの5員環のシクロペンタジエニル類残基には五つの置換基が結合してもよく、その置換基としては、水素原子、メチル基、エチル基に代表されるアルキル基、好ましくは炭素数6以下のアルキル基、フェニル基に代表されるアリール基、フッ素、臭素、塩素などを取りあげることができる。また、錯体中の二つのシクロペンタジエニル類残基がペアとして、それは共に同一の構造の残基ペアでもよく、それぞれ異なる構造の残基からのペアでもよい。即ち、両方とも無置換基の残基のペアまたは同一置換基を有する残基ペア、または、無置換の残基と置換基を有する残基からのペアであってもよい。
尚、上記ルテニウム2核錯体においては、金属としてルテニウム金属であるが、他の遷移金属類も活性があれば同様に使用することができる。
本発明で用いられるルテニウム2核錯体(A)の代表的なものとしては、下記一般式(化1)で示される。
Figure 2006104238
式中、ルテニウムに結合した2つのシクロペンタジエニル基は、同一構造のものでもよく、それぞれ異なる構造でもよいが、その置換基であるXとYは水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基に代表されるアルキル基、フェニル基に代表されるアリール基、またはフッ素、臭素、塩素のハロゲン原子である。また、式中、RとRは同一構造でもよく、それぞれ異なる構造でもよいが、それらの構造は、メチル基、エチル基、イソプロピル基、プロピル基、イソブチル基、ブチル基、フェニル基、トリフロロメチルメチレン基であるアルキル基またはアリール基である。
本発明のラジカル重合開始剤は、ルテニウム2核錯体(A)と活性有機ハロゲン化合物(B)と組み合わせることにより、ラジカル重合性モノマーの重合開始剤として優れた活性を有し、かつその錯体を用いることで、末端に化学変換が可能なポリマーをもたらすことができる特徴を有している。
また、本発明でのルテニウム2核錯体(A)を、有機ハロゲン化合物以外の様々な添加剤と併用することで、ラジカル重合反応への適応性を広げることができる。
本発明でのリビング重合開始剤は、ルテニウム2核錯体(A)と活性有機ハロゲン化合物(B)からの組み合わせから構成されるが、その有機ハロゲン化合物としては、該ルテニウム2核錯体に作用することによりラジカルを発生することが可能なものであり、例えばα−ハロゲノカルボニル類化合物、α−ハロゲノカルボン酸エステル類化合物またはポリハロゲン化アルカン類、ベンジルハライド類化合物、アルカンブロマイド、アルカンヨーダイドであればよい。より詳しくは、1,1−ジクロロアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトンなどのカルボニル類化合物、または、2−ブロモ−2−メチルプロパン酸エチル、2−ブロモ−2−メチルプロパン酸アントラセニルメチル、2−クロロ−2,4,4−トリメチルグルタル酸ジメチル、1,2−ビス(α−ブロモプロピオニルオキシ)エタンなどのエステル類、エチレンブロマイド、エチレンヨーダイドなどのアルカンハライド類、ベンジルクロライド、ベンジルブロマイドなどのベンジルハライド類、または四塩化炭素、四臭化炭素などのポリハロゲン類をあげることができる。
又、本発明で使用される活性有機ハロゲン化合物(B)としては、末端にハロゲン残基を有するポリマーを用いることもできる。かかるポリマーとしては、ポリエーテル類[−(CH−O]−(式中、n及びpは整数である)、例えば、末端にハロゲン化アセチル残基を有するポリグリコール、ポリテトラメチレンエーテル、また、末端に臭素、ヨウ素残基を有するポリオキサゾリン類、例えば、ポリメチルオキサゾリン、ポリエチルオキサゾリン、ポリフェニルオキサゾリン、などの一種で、又はそれらを組み合わせて使用することができる。
上記のポリマー類を含むラジカル重合開始剤によりラジカル重合性単量体をラジカル重合すれば、ラジカル重合性単量体をラジカル重合で得られるポリマー骨格にかかる末端にハロゲン残基を有するポリマーをブロックさせることができる。このようなブロックポリマーは、通常のラジカル重合開始剤を用いては得ることができない。
本発明でのルテニウム2核錯体(A)と活性有機ハロゲン化合物(B)の組み合わせでは、該錯体対有機ハロゲン化合物のモル比が1〜0.5の範囲での割合で使用することができるが、触媒活性の高さから考えた場合、有機ハロゲン化合物がかかる錯体より過剰であることが好ましい。
本発明でのラジカル重合開始剤はラジカル重合性モノマー全般の重合に適応できる。ラジカル重合性モノマーとしては、(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリアミド類、スチレン類、ビニルピリジン類などを取りあげることができる。より詳しくは、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ジメチルアミノエチルメタクリレートなどのメタクリレート類モノマー、または、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ジメチルアミノエチルアクリレートなどのアクリレート類モノマー、または、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミドなどアクリルアミド類モノマー、または、スチレン、2−クロロメチルスチレン、3−クロロメチルスチレン、4−クロロメチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−ビニル安息香酸、p−ビニルフェニルスルホン酸などスチレン類モノマー、またはp−ビニルピリジン、o−ビニルピリジンなどのビニルピリジン類モノマーを用いることができる。
本発明でのこれらのモノマーは単独または二種類以上のモノマーを同時に反応に用いることもできる。また、二種類以上のモノマーを重合反応の一定時間毎に加えて使用することもできる。例えば、第一モノマーが消費されてから次のモノマーを加えることで、得られるポリマーがジブロック、またはトリブロックまたはそれ以上のブロック共重合体の構造を取ることができる。
ラジカル重合性モノマーと本発明のラジカル重合開始剤を混合し、重合を行う際、該モノマー対ラジカル重合開始剤中のハロゲン化合物とのモル比は10〜5000であればよく、それが50〜1000であれば更に好ましい。
本発明でのラジカル重合開始剤を用いて重合反応を行う際、反応温度を室温以下または室温以上にも設定できるが、好ましくは、20℃前後の室温状態で反応を行うことができる。
その際の反応時間は、1〜24時間範囲で十分であるが、ラジカル重合開始剤の種類、ラジカル重合性モノマーの種類及び反応温度により設定することが望ましく、特に得られる重合体又は共重合体の分子量の制御に合わせて設定することがより重要である。その際の重合体又は共重合体の分子量は、特に制限されないが、数平均分子量1000〜1000000が好ましい。
本発明の共重合反応においては、溶媒なしでのバルク重合、又は溶媒存在下での溶液重合、又はアルコール類などの溶媒の存在下でのエマルジョン重合などの異なる重合方法が適用できる。
上記の重合反応に用いることができる溶媒としては、反応系に於いてラジカルを発生しない非活性のものであり、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、アニソール、シアノベンゼン、ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール等が挙げられる。
本発明でのラジカル重合開始剤を用いる場合、その主成分であるルテニウム2核錯体(A)の活性を制御するために、活性制御剤を用いることができる。活性制御剤としては、塩基性有機化合物であればよく、具体的にはピリジン類、アミン類化合物を用いることができる。その中でも、ピリジン、ビピリジン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、ジアミノエチルアミン、トリアミノエチルアミンなどを好適に用いることができる。
かかる活性制御剤を用いる場合、ルテニウム2核錯体(A)に対し、活性制御剤を0.2〜5等量を加えればよく、高めの触媒活性を考えた場合、それが0.5〜1.5等量であればより好適である。
以下に実施例および比較例を持って本発明をより詳しく説明する。尚、例中のGPC測定法及びNMR測定の測定法は下記により行った。
(GPC測定法)
高速液体クロマトグラフィー(東ソー株式会社製HLC−8020)、UV及びRI検出器、TSKgel 2000xl+3000Hxl+5000Hxl+guardcolumnHxl−H、溶媒THF、流速:1.0ml/min、温度:40℃にて測定した。
(NMR測定法)
H−,13C−NMRの測定は、日本電子(株)製のLambda600にて行った。
合成例1
<末端に臭素が結合したポリメチルオキサゾリン(PMOX−Br)の合成>
容積50mlの反応容器内部を窒素ガスで置換した後、カチオン開環リビング重合開始剤である臭化ベンジル0.171g(1mmol)、N,N−ジメチルアセトアミド5mlを加え、室温で攪拌した。この溶液に、2−メチル−2−オキサゾリン2.17g(0.033mol)を加えた後、100℃で14時間攪拌しながら2−メチル−2−オキサゾリンをカチオン開環リビング重合させた。重合率は98%であった。
反応混合液の温度を室温に下げ、メタノール10mlを加えた後、反応混合液を減圧濃縮した。この濃縮液をジエチルエーテル100ml中に注いで、重合体を沈殿させた。得られた重合体のメタノール溶液を、ジエチルエーテル中に注いで再沈殿させ、吸引濾過後、濾過物を真空乾燥し、末端に臭素が結合したポリメチルオキサゾリン(PMOX−Br)6.2gを得た。収率は95%であった。
GPC測定からの数平均分子量は3000、分子量分布は1.27であった。
合成例2
<メトキシ配位ルテニウム2核錯体の合成>
この合成は三つのステップを経て合成されたが、反応1として[CpRu(μ−Cl)Cl](Aと略す)の合成、反応2として[CpRu(μ−Cl)Cl](Bと略す)の合成、反応3として[CpRu(μ−OMe)](Cと略す)の合成からなる。但しCpはシクロペンタジエニル基の置換基が全てメチル基であることを示す。
<Aの合成>
([CpRu(μ−Cl)Cl]の合成)
100ml二口ナスフラスコにアルゴン気流下で三塩化ルテニウム2.01g(7.7mmol)、脱水エタノール40mlを入れ、さらにペンタメチルシクロペンタジエン3.1ml(19.8mmol)をシリンジで加えて80℃に加熱して還流させながら撹拌し、反応させた。3時間後、溶液を室温まで冷却したのち、さらに氷冷し、十分に溶液を冷やして生成物を析出させたのち、メンブランフィルターで反応溶液の濾過を行い、濾紙上の残留物として目的の生成物を得た。得られた生成物をそれぞれ50ml程度のエタノール、ジエチルエーテル及びヘキサンで順に洗浄し、錯体の精製を行った。得られた固体を減圧乾燥して目的の生成物を得た。
(生成物)
暗褐色固体:収率82%
融点 265−270℃(分解)(文献値272℃)
<Bの合成>
([CpRu(μ−Cl)Cl]の合成)
50mlシュレンクチューブに[CpRu(μ−Cl)Cl]0.8mg(1.3mmol)、蒸留したテトラヒドロフラン20mlを入れ、容器内をアルゴン雰囲気に置換した。ここにアルゴン気流下でリチウムトリエチルボロンハイドライド(THF溶液、0.95M)をシリンジで2.8ml(2.6mmol、1eq vs Ru)滴下し、1時間撹拌した。反応後、いったん溶媒を減圧除去したのち、残留物にTHF約3mlを加え上澄みをシリンジで抜き取り、残留物を洗浄する作業を三回ほど繰り返して生成物を精製し、残った溶媒を除去、減圧乾燥して目的の生成物を得た。
(黄橙色固体)
黄橙色固体:収率37%
H NMR(395.75MHz,C)δ1.66(s,15H)
13C NMR(99.45MHz,C)δ10.4,68.9
<Cの合成>
([CpRu(μ−OMe)]の合成)
100mlシュレンクチューブに[CpRu(μ−Cl)Cl]1.0g(1.68mmol)、炭酸カリウム3.0g(21.71mmol)を入れ、容器内を完全にアルゴン置換した。ここにアルゴン気流下で脱水メタノール30mlを加え、一昼夜撹拌し、反応を行って目的の生成物を得た。このとき、反応溶液は徐々に赤紫色に変化し、目的の錯体の生成が確認される。そののち、溶媒を減圧除去、窒素雰囲気のグローブボックス中において残留物を100mlのヘキサンで抽出し、セライト濾過を行い、錯体の精製を行った。濾液の溶媒を減圧除去して目的の生成物(メトキシ配位ルテニウム2核錯体)を得た。
(生成物)
赤紫色固体:収率38%
H NMR(395.75MHz,CDCl)δ1.65(s,15H),4.67(s,3H)
13C NMR(99.45MHz,CDCl)δ11.5,70.4,70.5
実施例1
<ブチルアクリレート(BA)の重合>
アルゴン雰囲気下のアンプル管に合成例2で得た(C)錯体(0.019mmol)を入れ、CaHで脱水し、減圧蒸留したBA(1.870mmol)を加えた。ラジカル重合開始剤としてエチルブロマイド0.038mmolと、溶媒として1,2−ジクロロエタン2mlを加えた。混合物を室温で24時間撹拌した。転化率は98%であることを確認した後、混合物をエーテルにて沈殿させ、吸引濾過、減圧乾燥した。得られたポリマーは、収率95%、GPC測定による数平均分子量12,000、分子量分布1.6であった。
ルテニウム2核錯体を含むラジカル重合開始剤により、BAの室温でのラジカル重合はほぼ定量的であることが確認された。
実施例2
<ポリメチルオキサゾリン(PMOX−Br)とポリメチルメタクリレート(PMMA)のブロック共重合体>
アルゴン雰囲気下、アンプル管に、ラジカル重合開始剤としてPMOX−Br(114mg、0.038mmol)と溶媒として1,2−ジクロロエタン2mlを加えた。PMOX−Brを溶解させた後、合成例2で得た(C)錯体(20mg、0.019mmol)を入れ、次いでCaHで脱水し減圧蒸留したPMMA(3.80g、38mmol)を順次加えた。この混合物を室温(25℃)で15時間撹拌した。転化率が40%に達したことを確認した後、その混合物をGPCにて測定し、数平均分子量が61,000、 分子量分布が1.53であることがわかった。図1に得られたPMOX−Br−PMMAブロック共重合体のGPCの結果を示す。尚、該ブロック共重合体のGPCでは、合成例2のメトキシ配位ルテニウム2核錯体でのGPCのピークが消失している。
混合物をエーテルにて沈殿させ、吸引濾過、減圧乾燥した。収量1.7gであった。
本発明のラジカル重合開始剤により得られる重合体及び共重合体は、種々の用途、例えば塗料、成形材料、分散剤、インク用ベヒクル、繊維用処理剤、接着剤などに使用することができ、特にEL素子用顔料分散剤として有用である。
合成例1で得られたPMOX−Br及び実施例2で得たPMOX−Br−PMMAブロック共重合体の保留時間のGPCチャート

Claims (11)

  1. シクロペンタジエニル基を有するアルコキシ配位ルテニウム2核錯体(A)と、活性有機ハロゲン化合物(B)とからなることを特徴とするラジカル重合開始剤
  2. 前記アルコキシ配位ルテニウム2核錯体(A)が、その分子中にシクロペンタジエニル基を2個有し、且つ該シクロペンタジエニル基が、アルキル基、アリール基、又はハロゲンの置換基を有していてもよい請求項1に記載のラジカル重合開始剤
  3. 前記アルコキシ配位ルテニウム2核錯体(A)のアルコキシ基の炭素鎖が、炭素数1〜4のアルキル基、ハロゲン置換された炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基及びアルキル基置換されたフェニル基を有してもよいアルコキシ基を分子中に2個有するものである請求項1又は2に記載のラジカル重合開始剤
  4. 前記活性有機ハロゲン化合物(B)が、α−ハロゲノカルボニル化合物、α−ハロゲノカルボン酸エステルまたはモノハロゲン化アルカン、ポリハロゲン化アルカンである請求項1〜3のいずれかに記載の重合開始剤
  5. 前記活性有機ハロゲン化合物(B)が、末端にハロゲンが結合したポリエーテル、ポリオキサゾリンである請求項1〜3のいずれかに記載の重合開始剤
  6. 請求項1〜5に記載された重合開始剤の存在下で、少なくとも1種類のラジカル重合性単量体を重合させることを特徴とする重合体の製造方法
  7. ラジカル重合性単量体が、スチレン系単量体、メタクリル酸エステル系単量体、アクリル酸エステル系、および、(メタ)アクリルアミド系単量体からなる群から選ばれる少なくとも1種類のラジカル重合性単量体である請求項6に記載の重合体の製造方法
  8. ラジカル重合性単量体が、スチレン系単量体、メタクリル酸エステル系単量体、および、アクリル酸エステル系、および、(メタ)アクリルアミド系単量体からなる群から選ばれる少なくとも2種類のラジカル重合性単量体を用いて重合させる請求項6に記載の重合体の製造方法
  9. 前記重合体が、その片末端に前記活性有機ハロゲン化合物(B)に由来するハロゲン原子を有する請求項6〜7のいずれかに記載の重合体の製造方法
  10. 前記重合体が、1,000から1,000,000の任意の数平均分子量を有し、且つ分子量分布が2.0以下である請求項6〜9のいずれかに記載の重合体の製造方法
  11. 重合温度を室温以下で行うことからなる請求項6〜9のいずれかに記載の重合体の製造方法
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
RU2348655C1 (ru) * 2007-10-23 2009-03-10 Научно-исследовательский институт химии ГОУ ВПО "Нижегородский государственный университет им. Н.И. Лобачевского" Способ получения полиметилметакрилата

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